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特表2022-530372低い硬化前粘度及び硬化後の弾性特性を有するゲルタイプ熱界面材料
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  • 特表-低い硬化前粘度及び硬化後の弾性特性を有するゲルタイプ熱界面材料 図1
  • 特表-低い硬化前粘度及び硬化後の弾性特性を有するゲルタイプ熱界面材料 図2
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  • 特表-低い硬化前粘度及び硬化後の弾性特性を有するゲルタイプ熱界面材料 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】低い硬化前粘度及び硬化後の弾性特性を有するゲルタイプ熱界面材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20220622BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20220622BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20220622BHJP
   C09K 5/14 20060101ALN20220622BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/01
H01L23/36 M
C09K5/14 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562116
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020028908
(87)【国際公開番号】W WO2020219368
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,442
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/844,916
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】チャン、カイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、リーチャン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、リン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ヤークン
【テーマコード(参考)】
4J002
5F136
【Fターム(参考)】
4J002CP031
4J002CP044
4J002CP063
4J002CP122
4J002DA016
4J002DA026
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA106
4J002DA116
4J002DE146
4J002DF016
4J002DJ006
4J002DK006
4J002FA046
4J002FA066
4J002FD144
4J002FD206
4J002GK04
4J002GQ00
4J002GT00
4J002HA01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA23
5F136FA25
5F136FA51
5F136FA62
5F136FA63
5F136FA82
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、コンピュータチップ等の発熱電子デバイスからヒートスプレッダ及びヒートシンク等の放熱構造体に熱を伝達するのに有用な熱界面材料を提供する。熱界面材料は、軟質であり、高熱伝導性充填剤の配合と共に、硬化後の弾性特性を有する。熱界面材料は、少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、少なくとも1つの熱伝導性充填剤、少なくとも1つのカップリング剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの付加阻害剤を含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱界面材料であって、
ポリマーマトリックスであって、
少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、
少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び
少なくとも1つの単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含み、
前記長鎖アルキルシリコーン油、前記長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油のうちの少なくとも1つが、2~32個のアルキル炭素の少なくとも1つの分岐鎖を有する、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料。
【請求項2】
前記長鎖アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化1】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である、請求項1に記載の熱界面材料。
【請求項3】
前記長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化2】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である、請求項2に記載の熱界面材料。
【請求項4】
前記長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化3】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である、請求項3に記載の熱界面材料。
【請求項5】
前記長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、1mgKOH/g~200mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、請求項4に記載の熱界面材料。
【請求項6】
前記熱伝導性充填剤が、少なくとも第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤を、85重量%~97重量%含む、請求項4に記載の熱界面材料。
【請求項7】
前記熱界面材料が、50%ひずみが室温で2時間適用された後に、75%~100%の硬化後回復率を有する、請求項1に記載の熱界面材料。
【請求項8】
前記熱界面材料が、
0.5重量%~5重量%の前記長鎖アルキルシリコーン油、
0.5重量%~5重量%の前記長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、
0.5重量%~2重量%の前記長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、及び
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤、を含む、請求項1に記載の熱界面材料。
【請求項9】
前記熱界面材料が、25ショアOO~50ショアOOの硬度を有する、請求項1に記載の熱界面材料。
【請求項10】
電子部品であって、
ヒートシンクと、
電子チップと、
第1の表面層及び第2の表面層を有する熱界面材料と、を含み、前記熱界面材料が、前記ヒートシンクと電子チップとの間に配置され、前記熱界面材料が、
ポリマーマトリックスであって、
4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、
前記少なくとも1つの長鎖シリコーン油が、
長鎖アルキルシリコーン油、長鎖
ビニル末端アルキルシリコーン油、及び
単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油、
付加阻害剤、
架橋剤、
触媒、
カップリング剤を含む、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、
前記熱界面材料が、
3重量%~15重量%の前記ポリマーマトリックスと、
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤と、を含む、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、熱界面材料に関し、より具体的にはゲルタイプ熱界面材料に関する。
【背景技術】
【0002】
熱界面材料(Thermal interface materials、TIM)は、中央処理装置、ビデオグラフィックスアレイ、サーバー、ゲーム機、スマートフォン、LEDボード等の電子部品からの熱を放散するために広く使用されている。熱界面材料は、典型的には、過剰の熱を電子部品からヒートシンク等のヒートスプレッダに伝達するために用いられる。
【0003】
熱界面材料を含む典型的な電子回路パッケージ構造体10が図1に示されている。電子回路パッケージ構造体10は、例示的に、電子チップ12等の発熱部品と、ヒートスプレッダ14及びヒートシンク16等の1つ以上の放熱部品とを含む。例示的なヒートスプレッダ14及びヒートシンクとしては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、又はニッケルメッキ銅等の金属、金属合金、又は金属メッキ基板が挙げられる。TIM18及びTIM20等のTIM材料は、発熱部品と1つ以上の放熱部品との間に熱的接続を提供する。電子回路パッケージ構造体10は、電子チップ12とヒートスプレッダ14とを接続する第1のTIM18を含む。TIM18は、典型的には、「TIM1」と呼ばれる。電子回路パッケージ構造体10は、ヒートスプレッダ14とヒートシンク16とを接続する第2のTIM20を含む。TIM20は、典型的には、「TIM2」と呼ばれる。別の実施形態では、電子回路パッケージ構造体10は、ヒートスプレッダ14を含まず、TIM(図示せず)は、電子チップ12をヒートシンク16に直接接続する。電子チップ12をヒートシンク16に直接接続するそのようなTIMは、典型的には、TIM1.5と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の熱界面材料としては、ギャップパッド等の部品が挙げられる。しかしながら、ギャップパッドは、非常に薄い厚さの要件を満たすことができないこと、自動化された製造に使用することが困難であること等のいくつかの欠点を有する。
【0005】
他の熱界面材料としては、ゲル生成物が挙げられる。ゲル生成物は、大規模生成のために自動的に分注され得、所望の形状及び厚さに形成され得る。しかしながら、高い熱伝導性を有する典型的な硬化性熱界面材料/ゲル生成物は、高い充填剤配合に起因して、軟質ではなく、硬化後に弾性ではない。したがって、大きな振動及び有意な温度変化が存在する特定の環境では、熱界面材料/ゲルは、界面から剥離し、熱放散性能の低下につながる。
【0006】
上記の改良が望まれている。
【0007】
本開示は、コンピュータチップ等の発熱電子デバイスからヒートスプレッダ及びヒートシンク等の放熱構造体に熱を伝達するのに有用な熱界面材料を提供する。熱界面材料は、軟質であり、高熱伝導性充填剤の配合と共に、硬化後の弾性特性を有する。熱界面材料は、少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、少なくとも1つの熱伝導性充填剤、少なくとも1つのカップリング剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの付加阻害剤を含む。
【0008】
例示的な一実施形態では、熱界面材料が提供される。熱界面材料は、少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び少なくとも1つの単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、ポリマーマトリックスであって、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油のうちの少なくとも1つが、4~16個のアルキル炭素の少なくとも1つの分岐鎖を有する、ポリマーマトリックスと、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含む。より具体的な実施形態では、長鎖アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化1】
【0009】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である。より具体的な実施形態では、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化2】
【0010】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である。より具体的な実施形態では、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化3】
【0011】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である。
【0012】
より具体的な実施形態では、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、1mgKOH/g~200mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。別のより具体的な実施形態では、熱伝導性充填剤は、少なくとも第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤を、85重量%~97重量%含む。
【0013】
更に別のより具体的な実施形態では、熱界面材料は、50%ひずみが室温で2時間適用された後に、75%~100%の硬化後回復率を有する。更に別のより具体的な実施形態では、熱界面材料は、0.5重量%~5重量%の長鎖アルキルシリコーン油、0.5重量%~5重量%の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、0.5重量%~2重量%の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、及び50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤を含む。より具体的な実施形態では、熱界面材料は、25ショアOO~50ショアOOの硬度を有する。
【0014】
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、熱界面材料が提供される。熱界面材料は、ポリマーマトリックスであって、4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油と、付加阻害剤と、架橋剤と、触媒と、カップリング剤と、を含むポリマーマトリックスと、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、熱界面材料は、3重量%~15重量%のポリマーマトリックスと、50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、を含む。更により具体的な実施形態では、熱界面材料は、0.5重量%~5重量%の長鎖アルキルシリコーン油、0.5重量%~5重量%の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、0.5重量%~2重量%の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、0.01重量%~0.5重量%の触媒、0.01重量%~1重量%の付加阻害剤、0.1重量%~1重量%の架橋剤、0.1重量%~10重量%のカップリング剤、及び50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤を含む。上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、熱伝導性充填剤が、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤とを含み、第1の熱伝導性充填剤は、10ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属酸化物であり、第2の熱伝導性充填剤は、1ミクロン~10ミクロンの粒子サイズを有する金属酸化物である。
【0015】
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、長鎖アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化4】
【0016】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である。上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化5】
【0017】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である。上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化6】
【0018】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である。
【0019】
例示的な一実施形態では、電子部品が提供される。電子部品は、ヒートシンクと、電子チップと、第1の表面層及び第2の表面層を有する熱界面材料と、を含み、熱界面材料は、ヒートシンクと電子チップとの間に配置され、熱界面材料は、ポリマーマトリックスであって、4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油と、付加阻害剤と、架橋剤と、触媒と、カップリング剤と、を含むポリマーマトリックスと、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、熱界面材料は、3重量%~15重量%のポリマーマトリックスと、50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、を含む。
【0020】
より具体的な実施形態では、長鎖アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化7】
【0021】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である。別のより具体的な実施形態では、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化8】
【0022】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である。別のより具体的な実施形態では、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、以下の一般式を有し、
【化9】
【0023】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である。
【0024】
より具体的な実施形態では、第1の表面層は、電子チップの表面と接触し、第2の表面層は、ヒートシンクと接触している。より具体的な実施形態では、電子部品は、ヒートシンクと電子チップとの間に配置されたヒートスプレッダであって、第1の表面層が、電子チップの表面と接触し、第2の表面層が、ヒートスプレッダと接触している、ヒートスプレッダを更に含む。より具体的な実施形態では、電子部品は、ヒートシンクと電子チップとの間に配置されたヒートスプレッダであって、第1の表面層が、ヒートスプレッダの表面と接触し、第2の表面層が、ヒートシンクと接触している、ヒートスプレッダを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面と組み合わせて本発明の実施形態の以下の記載を参照することによって、本開示の上述及び他の特徴及び有利性、並びにそれらを達成する方法がより明らかになり、本発明それ自体がより良好に理解されるであろう。
【0026】
図1図1は、典型的な電子回路パッケージ構造体を概略的に図示する。
【0027】
図2図2は、本開示による熱界面材料の作製方法を示すフローチャートである。
【0028】
図3A図3Aは、実施例1に関連し、圧縮力が加えられた場合の実施例1の試料を示す図である。
【0029】
図3B図3Bは、実施例1に関連し、圧縮力が除去された後の実施例1の試料の回復を示す図である。
【0030】
対応する参照文字は、いくつかの図にわたって対応する部分を示す。本明細書に記載される例証は、本発明の例示的な実施態様を示すものであり、このような例証は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
A.熱界面材料
本開示は、コンピュータチップ等の発熱電子デバイスからヒートスプレッダ及びヒートシンク等の放熱構造体に熱を伝達するのに有用な熱界面材料を提供する。熱界面材料は、軟質であり、高熱伝導性充填剤の配合と共に、硬化後の弾性特性を有する。熱界面材料は、少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、少なくとも1つの熱伝導性充填剤、少なくとも1つのカップリング剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの付加阻害剤を含む。本開示の目的のために、「長鎖」は、主鎖から延在するアルキル分岐を含み、アルキル分岐は、4~16個の炭素原子の範囲である。
1.シリコーン油
a.概要
【0032】
本開示は、少なくとも1つの長鎖シリコーン油を含むTIM材料のマトリックスを提供する。シリコーン油は、触媒によって架橋される、ビニル及び水素化物官能基等の1つ以上の架橋性基を含む。一実施形態では、1つ以上の長鎖シリコーン油は、第1の長鎖シリコーン油、第2の長鎖シリコーン油、及び第3の長鎖シリコーン油を含み、第1の長鎖シリコーン油は長鎖アルキルシリコーン油であり、第2の長鎖シリコーン油は、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油であり、第3の長鎖シリコーン油は、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油である。シリコーン油は、熱伝導性充填剤を湿潤し、TIMのための分注可能な(dispensable)流体を形成する。
【0033】
例示的な一実施形態において、シリコーン油としては、例えばShin-Etsuから入手可能なKEシリーズ製品、例えばBluestarから入手可能なSILBIONE(登録商標)、例えばWackerから入手可能なELASTOSIL(登録商標)、SilGel(登録商標)、SILPURAN(登録商標)、及びSEMICOSIL(登録商標)、例えばMomentiveから入手可能なSilopren(登録商標)、例えばDow Corningから入手可能なDow Corning(登録商標)、Silastic(登録商標)、XIAMETER(登録商標)、Syl-off(登録商標)、及びSYLGARD(登録商標)、例えばSquare Siliconeから入手可能なSQUARE(登録商標)、例えばAB specialty Siliconesから入手可能なAndril(登録商標)等のシリコーンゴムが挙げられる。他のポリシロキサンは、Wacker、Shin-etsu、Dowcoring、Momentive、Bluestar、RUNHE、AB Specialty Silicones、Gelest、及びUnited Chemical Technologiesから入手可能である。
【0034】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは3重量%、4重量%、5重量%、多くは10重量%、12.5重量%、15重量%、又は3重量%~15重量%、4重量%~12.5重量%、若しくは5重量%~10重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の全量の1つ以上の長鎖シリコーン油を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約7.2重量%の量の少なくとも1つの長鎖シリコーン油を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、約5重量%の量の少なくとも1つの長鎖シリコーン油を含む。
【0035】
本明細書で考察されるように、「長鎖」シリコーン油は、主鎖から延在し、炭素数が変化する、少なくとも1つの分岐鎖又はアルキル分枝鎖を含む。アルキル分岐は、以下の一般式を有し、
2x+1
式中、xは、1より大きい整数である。いくつかの実施形態では、xは、小さくは2、4、6、8、10、12、大きくは16、18、20、24、28、32、又は2~32、6~16、及び4~12等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内である。分岐シリコーン油は、アルキル分岐を有さない同じ分子量を有するシリコーン油と比較して、分子鎖の絡み合いが少ない低粘度を達成し得る。低粘度は、特に高分子量シリコーン油のための熱界面材料配合物中の熱伝導性充填剤の高い配合を達成するのに役立つ(すなわち、より高分子量は、より長いSi-O-Si鎖及びより大きい分子鎖の絡み合いを意味する)。
b.長鎖アルキルシリコーン油
【0036】
TIMは、長鎖アルキルシリコーン油を含む。長鎖アルキルシリコーン油は、分子鎖間の潤滑性を提供し、配合物の分子鎖の絡み合いを減少させる。例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、部分的なメチル基が長鎖アルキル基で置換されている、一種のシメチコンであり得る。例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、以下に示されるような一般式を有し得る。
【化10】
【0037】
上記の一般式では、nは、小さくは0、10、50、100、500、大きくは1000、2000、5000、10000、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲であり、xは、小さくは2、4、6、8、10、12、大きくは16、18、20、24、28、32、又は2~32、6~16、若しくは4~12等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内であり、mは、5、10、50、200から、大きくは500、1000、2000、5000、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。加えて、n+mは、小さくは10、30、50、100、200、500、大きくは1000、2000、5000、10000、15000、又は10~15000、1000~5000、及び500~2000等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。例示的な一実施形態では、xは、4~16の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、5~15の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、7~11の範囲である。例示的な一実施形態では、nは、50~100の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、100~500の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、500~1000の範囲である。例示的な一実施形態では、mは、10~100の範囲である。別の例示的な実施形態では、mは、100~500の範囲である。例示的な一実施形態では、n+mは、50~200の範囲である。別の例示的な実施形態では、n+mは、200~1000の範囲である。
【0038】
例示的な長鎖アルキルシリコーン油としては、以下のものが挙げられ、BALD-BD1206(粘度は、500cst)は、Baoerdeから入手可能であり、RH-8206(粘度は、900cst~1500cst)及びRH-8207A(粘度は、1000cst~1500cst)それぞれは、Runheから入手可能であり、YD-8206(粘度は、300~2500cst)は、Ailidiから入手可能であり、OFX0203(粘度は、1000cst~1500cst)は、Dow corningから入手可能であり、BS-220(粘度は、5000cstである)は、Blue silaneから入手可能である。
【0039】
例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される場合、小さくは1000ダルトン、9000ダルトン、20000ダルトン、大きくは30000ダルトン、100000ダルトン、200000ダルトン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の重量(M)平均分子量を有し得る。
【0040】
例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、ASTM D445に従って測定される場合、小さくは10cSt、100cSt、500cSt、大きくは5000cSt、50000cSt、100000cSt、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の動粘度を有し得る。例示的な一実施形態では、例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、400cSt~600cStの動粘度を有する。別の例示的な実施形態では、例示的な長鎖アルキルシリコーン油は、500cSt~1000cStの動粘度を有する。
【0041】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは0.5重量%、0.75重量%、1重量%、多くは2重量%、3.5重量%、5重量%、又は0.5重量%~5重量%、0.75重量%~3.5重量%、若しくは1重量%~3.5重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1つ以上の長鎖アルキルシリコーン油を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約3重量%の量の長鎖アルキルシリコーン油を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%の量の長鎖アルキルシリコーン油を含む。
c.長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油
【0042】
TIMの別の例示的な長鎖シリコーン油としては、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油を挙げることができる。長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、その末端ビニル官能基を介して、架橋剤を有する架橋マトリックスを形成し得る。例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、以下に示される一般式を有し得る。
【化11】
【0043】
上記の一般式では、nは、小さくは0、10、50、100、200、500、大きくは1000、2000、5000、10000、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲であり、xは、小さくは2、4、6、8、10、12、大きくは16、18、20、24、28、32、又は2~32、6~16、及び4~12等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内であり、mは、5、10、50、200から、大きくは500、1000、2000、5000、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。加えて、n+mは、小さくは10、30、50、100、200、500、大きくは1000、2000、5000、10000、15000、20000、又は10~20000、1000~5000、及び500~2000等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。例示的な一実施形態では、xは、4~16の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、5~15の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、7~11の範囲である。例示的な一実施形態では、nは、200~500の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、1000~3000の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、2000~5000の範囲である。例示的な一実施形態では、mは、150~300の範囲である。別の例示的な実施形態では、mは、300~500の範囲である。別の例示的な実施形態では、mは、500~1500の範囲である。例示的な一実施形態では、n+mは、200~1000の範囲である。別の例示的な実施形態では、n+mは、1000~5000の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、50~200の範囲である。
【0044】
ビニル官能性シリコーン油は、Si-CH=CH基を有する有機シリコーン成分を含む。例示的なビニル官能性シリコーン油としては、ビニル末端シリコーン油、Si-CH=CH基がポリマー鎖にグラフトされたビニルグラフトシリコーン油、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
例示的なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可能なDMS-V00(186ダルトンの重量平均分子量(M)を有する)、DMS-V03(約500ダルトンのMを有する)、DMS-V05(約800ダルトンのMを有する)、DMS-V21(約6,000ダルトンのMを有する)、DMS-V22(約9,400ダルトンのMを有する)、DMS-V25(約17,200ダルトンのMを有する)、DMS-V25R(約17,200ダルトンのMを有する)、DMS-V35(約49,500ダルトンのMを有する)、DMS-V35R(約49,500ダルトンのMを有する)等のビニル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。例示的なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可能なPDV-0325(約15,500ダルトンのMを有する)、PDV-0331(約27,000ダルトンのMを有する)、PDV-0525(約14,000ダルトンのMを有する)、PDV-1625(約9,500ダルトンのMを有する)、PDV-1631(約19,000ダルトンのMを有する)、PDV-2331(約12,500ダルトンのMを有する)等のビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。例示的なビニル末端シリコーン油としては、Gelest,Inc.から入手可能なPMV-9925(約2,000~3,000ダルトンのMを有する)等のビニル末端ポリフェニルメチルシロキサンが挙げられる。例示的なビニル末端シリコーン油としては、Gelest,Inc.から入手可能なEDV-2025(約16,500~19,000ダルトンのMを有する)等のビニル末端ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0046】
例示的なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可能なDMS-V41(約62,700ダルトンのMを有する)、DMS-V42(約72,000ダルトンのMを有する)、DMS-V46(約117,000ダルトンのMを有する)、DMS-V51(約140,000ダルトンのMを有する)、及びDMS-V52(約155,000ダルトンのMを有する)等のビニル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0047】
例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、双方、Gelest,Inc.から入手可能なVMS-005(約258~431ダルトンのMを有する)、VMS-T11(約1,000~1,500ダルトンのMを有する)等のビニルメチルシロキサンホモポリマーが挙げられる。例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、トリメチルシロキシ末端シリコーン油、シラノール末端シリコーン油、及びビニル末端シリコーン油等のビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0048】
例示的な一実施形態では、ビニルグラフトシリコーン油は、VAT-4326(約10,000~12,000ダルトンのMを有する)等のビニルメチルシロキサン-オクチルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンターポリマー、又はVBT-1323(約8,000~12,000ダルトンのMを有する)等のビニルメチルシロキサン-メトキシポリエチレンオキシプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンターポリマー、又はビニルメチルシロキサン-フェニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサン(約2,500~3,000ダルトンのMを有する)を含む、ビニルメチルシロキサンターポリマーであり、それぞれは、Gelest,Inc.から入手可能であり、例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、トリメチルシロキシ末端シリコーン油、シラノール末端シリコーン油、及びビニル末端シリコーン油等のビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0049】
例示的な一実施形態では、ビニルグラフトシリコーン油は、ビニルメチルシロキサンターポリマーである。例示的な一実施形態では、ビニル官能性シリコーン油は、ビニルT樹脂又はビニルQ樹脂を含む。
【0050】
例示的な一実施形態では、シリコーン油は、RUNHEのRH-Vi303、RH-Vi301等、AB Specialty SiliconesのAndril(登録商標)VS200、Andril(登録商標)VS1000等のビニル官能性油である。
【0051】
例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される場合、小さくは1000ダルトン、9000ダルトン、20000ダルトン、大きくは30000ダルトン、100000ダルトン、200000ダルトン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の重量(M)平均分子量を有し得る。
【0052】
例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、ASTM D445に従って測定される場合、小さくは10cSt、100cSt、500cSt、大きくは5000cSt、50000cSt、100000cSt、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の動粘度を有し得る。例示的な一実施形態では、例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、2000cStの動粘度を有する。別の例示的な実施形態では、例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、1000cStの動粘度を有する。別の例示的な実施形態では、例示的な長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油は、5000cStの動粘度を有する。
【0053】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは0.5重量%、0.75重量%、1重量%、多くは2重量%、3.5重量%、5重量%、又は0.5重量%~5重量%、0.75重量%~3.5重量%、若しくは1重量%~3.5重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1つ以上の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約3重量%の量の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%の量の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油を含む。
d.長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油
【0054】
TIMの別の例示的な長鎖シリコーン油としては、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を挙げることができる。単一末端ヒドロキシル官能基は、熱伝導性充填剤に良好な湿潤性を提供し、長鎖シリコーン油の末端部は、本配合物中の他のシリコーン油との相溶性を改善するのに役立つ。また、長鎖シリコーン油は、硬化中のシリコーン油の潜在的な蒸発、又は配合物の他の処理を減少させる。このような機能に基づいて、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、熱伝導性充填剤間の摩擦を減少させ得る。例示的な長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、以下に示されるような一般式を有し得る。
【化12】
【0055】
上記の一般式では、nは、小さくは5、10、50、100、500、大きくは1000、2000、5000、10000、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲であり、xは、小さくは2、4、6、8、10、12、大きくは16、18、20、24、28、32、又は2~32、6~16、若しくは4~12等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内であり、mは、0、5、10、50、100、200から、大きくは500、1000、2000、5000、又は5~5000、5~50、及び50~500等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。加えて、n+mは、小さくは10、30、50、100、200、500、大きくは1000、2000、5000、10000、15000、又は10~10000、1000~5000、及び500~2000等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である。例示的な一実施形態では、xは、4~16の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、5~15の範囲である。別の例示的な実施形態では、xは、7~11の範囲である。例示的な一実施形態では、nは、10~100の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、100~500の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、500~2000の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、2000~5000の範囲である。別の例示的な実施形態では、nは、5000~10000の範囲である。例示的な一実施形態では、mは、0である。別の例示的な実施形態では、mは、1~20の範囲である。別の例示的な実施形態では、mは、10~100の範囲である。別の例示的な実施形態では、mは、50~500の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、Rは、炭化水素基である。単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油の分子量が10000ダルトン以下である場合、又は最終的な熱界面材料への単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油の配合が2重量%以下である場合、mは、0であり得る。例示的な一実施形態では、m+nは、10~100の範囲である。別の例示的な実施形態では、m+nは、100~500の範囲である。別の例示的な実施形態では、m+nは、500~2000の範囲である。別の例示的な実施形態では、m+n、2000~5000の範囲である。別の例示的な実施形態では、m+Nは、5000~10000の範囲である。
【0056】
ヒドロキシル価は、化学物質中の遊離ヒドロキシル基の含有量の尺度であり、通常、1gの化学物質のヒドロキシル基と同等の水酸化カリウム(KOH)の質量単位(ミリグラム)で表される。一般的な分析方法では、ヒドロキシル価(mg KOH/g)は、1グラムの長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油のアセチル化で取り込まれる酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(ミリグラム)として規定される。ヒドロキシル価を決定するために使用される従来の分析方法は、ピリジン溶媒中で、物質の遊離ヒドロキシル基を無水酢酸でアセチル化することを伴う。反応完了後、水が添加され、残りの未反応無水酢酸が酢酸に変換され、水酸化カリウムで滴定することによって測定される。ヒドロキシル価は、以下の等式を使用して計算され得る。
HV=[56.1(V-Vacet)]/Wacet
式中、HVは、ヒドロキシル価であり、Vは、ブランクの滴定に必要な水酸化カリウム溶液の量(mL)であり、Vacetは、アセチル化された試料の滴定に必要な水酸化カリウム溶液の量(mL)であり、Wacetは、アセチル化に使用される試料の重量(グラム)であり、Nは、滴定剤の規定度であり、56.1は、水酸化カリウムの分子量である。
【0057】
例示的な長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、一般的なKOH(水酸化カリウム)滴定法によって決定される場合、小さくは0.001mg KOH/g、0.01mgKOH/g、0.1mgKOH/g、1mgKOH/g、5mgKOH/g、大きくは10mgKOH/g、20mgKOH/g、50mgKOH/g、100mgKOH/g、又は0.01mgKOH/g~100mgKOH/g、1mgKOH/g~5mgKOH/g、1mgKOH/g~50mgKOH/g等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内のヒドロキシル価を有し得る。例示的な一実施形態では、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、5mgKOH/g~35mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0058】
例示的な長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される場合、小さくは500ダルトン、2000ダルトン、5000ダルトン、大きくは6000ダルトン、50000ダルトン、100000ダルトン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の重量(M)平均分子量を有し得る。
【0059】
例示的な長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、ASTM D445に従って測定される場合、小さくは10cSt、100cSt、300cSt、大きくは500cSt、1000cSt、5000cSt、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の動粘度を有し得る。例示的な一実施形態では、例示的な長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油は、100cSt~150cStの動粘度を有する。
【0060】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%、多くは1重量%、1.25重量%、2重量%、又は0.5重量%~2重量%、0.75重量%~1.25重量%、若しくは1重量%~1.25重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1つ以上の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約1重量%の量の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、約1.2重量%の量の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む。
2.触媒
【0061】
TIMは、付加反応を触媒するための1つ以上の触媒を更に含む。例示的な触媒は、白金含有材料及びロジウム含有材料を含む。例示的な白金含有触媒は、以下に示す一般式を有し得る。
【化13】
【0062】
例示的な白金含有触媒としては、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体(Ashby Karstedt触媒)、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体(Ossko触媒)、白金ジビニルテトラメチルジシロキサンジメチルフマレート錯体、白金ジビニルテトラメチルジシロキサンジメチルマレイン酸錯体等が挙げられる。例示的な白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体としては、SIP6829.2が挙げられ、例示的な白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体としては、SIP6830.3及びSIP6831.2が挙げられ、例示的な白金シクロビニルメチルシロキサン錯体としては、SIP6833.2が挙げられ、これらは全て、Gelest、Inc.から入手可能である。更に例示的な白金含有材料触媒としては、Wacker Chemie AGから入手可能なCatalyst OL、及びUnited Chemical Technologies Inc.から入手可能なPC065、PC072、PC073、PC074、PC075、PC076、PC085、PC086、PC087、PC088が挙げられる。
【0063】
例示的なロジウム含有材料としては、Gelest,Inc.から入手可能なトリス(ジブチルスルフィド)ロジウムトリクロライド(製品コードINRH078)が挙げられる。
【0064】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、白金触媒は、ビニルシリコーン油及びヒドロシリコーン油と反応すると考えられる。
【0065】
TIMは、シリコーン油の全重量に基づいて、少なくは5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、多くは25ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppm、1000ppm、又は10ppm~30ppm、20ppm~100ppm、若しくは5ppm~500ppm等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の触媒を含み得る。
【0066】
例示的な一実施形態では、触媒は、1つ以上のシリコーン油との混合物として提供される。例示的な一実施形態では、白金含有材料触媒は、Shin-Etsuから入手可能なKE-1012-A、KE-1031-A、KE-109E-A、KE-1051J-A、KE-1800T-A、KE1204A、KE1218A等、Bluestarから入手可能なSILBIONE(登録商標)RT Gel 4725 SLD A等、Wackerから入手可能なSilGel(登録商標)612A、ELASTOSIL(登録商標)LR3153A、ELASTOSIL(登録商標)LR3003A、ELASTOSIL(登録商標)LR3005A、SEMICOSIL(登録商標)961A、SEMICOSIL(登録商標)927A、SEMICOSIL(登録商標)205A、SEMICOSIL(登録商標)9212A、SILPURAN(登録商標)2440等、Momentiveから入手可能なSilopren(登録商標)LSR 2010A等、Dow Corningから入手可能なXIAMETER(登録商標)RBL-9200A、XIAMETER(登録商標)RBL-2004A、XIAMETER(登録商標)RBL-9050A、XIAMETER(登録商標)RBL-1552A、Silastic(登録商標)FL30-9201A、Silastic(登録商標)9202A、Silastic(登録商標)9204A、Silastic(登録商標)9206A、SYLGARD(登録商標)184A、Dow Corning(登録商標)QP-1A、Dow corning(登録商標)C6A、Dow Corning(登録商標)CV9204A等の官能性シリコーン油と合わせられる。
【0067】
例示的な触媒としては、塩化白金酸が挙げられる。
【0068】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、多くは0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の触媒を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約0.01重量%の量の触媒を含む。
3.付加阻害剤
【0069】
TIMは、シリコーン油の架橋を阻害又は制限するための1つ以上の付加阻害剤を含む。付加阻害剤は、少なくとも1つのアルキニル化合物を含み、任意選択的に、付加阻害剤は、マルチビニル官能性ポリシロキサンを更に含む。
【0070】
例示的な付加阻害剤としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、2-エチニル-イソプロパノール、2-エチニル-ブタン-2-オール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール;トリメチル(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)シラン、ジメチル-ビス-(3-メチル-1-ブチンオキシ)シラン、メチルビニルビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン、及び((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン等のシリル化アセチレンアルコール;マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジアチル、フマル酸ジアリル、及びマレイン酸ビス-2-メトキシ-1-メチルエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノイソオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノアリル、フマル酸2-メトキシ-1-メチルエチル等の不飽和カルボン酸エステル;アルコールがベンジルアルコール又は1-オクタノール及びエテニルシクロヘキシル-1-オールから選択される混合物等のフマル酸/アルコール混合物;2-イソブチル-1-ブテン-3-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3-メチル-3-ヘキセン-1-イン、1-エチニルシクロヘキセン、3-エチル-3-ブテン-1-イン、及び3-フェニル-3-ブテン-1-イン等の共役エンイン;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシクロシロキサン、及び共役エンインとビニルシクロシロキサンとの混合物が挙げられる。例示的な一実施形態では、付加阻害剤は、2-メチル-3-ブチン-2-オール又は3-メチル-1-ペンチン-3-オールから選択される。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態では、付加阻害剤は、マルチビニル官能性ポリシロキサンを更に含む。例示的なマルチビニル官能性ポリシロキサンは、Wacker Chemie AGから入手可能なPt Inhibitor 88の等のエチニルシクロヘキサノール中のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、白金触媒は、以下に示すようにエチニルシクロヘキサノール及びビニル末端ポリジメチルシロキサンと錯体を形成すると考えられる。
【化14】
【0072】
錯体の形成は、室温での触媒活性を低下させ、したがってTIMの分注性及び湿潤性を維持すると考えられる。硬化工程のより高い温度で、Ptは、錯体から放出され、ビニル官能性シリコーン油及び水素化物官能性シリコーン油のヒドロシリル化を助け、架橋をより制御する。
【0073】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて少なくは0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.15重量%、多くは0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重量%、又は0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.5重量%、若しくは0.05重量%~0.2重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の付加阻害剤を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、0.018重量%の量の付加阻害剤を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、0.02重量%の量の付加阻害剤を含む。
【0074】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、付加阻害剤が存在しない場合、ビニル官能性シリコーン油は、付加ヒドロシリル化機構に基づいて非常に迅速に水素化物官能性シリコーン油と反応して、典型的な方法によっては自動的に分注され得ない固相を形成する。
【0075】
例示的な一実施形態では、付加阻害剤は、Shin-Etsuから入手可能なKE-1056、KE-1151、KE-1820、KE-1825、KE-1830、KE-1831、KE-1833、KE-1842、KE-1884、KE-1885、KE-1886、FE-57、FE-61等、Dow Corningから入手可能なSyl-off(登録商標)7395、Syl-off(登録商標)7610、Syl-off(登録商標)7817、Syl-off(登録商標)7612、Syl-off(登録商標)7780等の官能性シリコーン油と合わされる。
4.架橋シリコーン油(架橋剤)
【0076】
熱ゲルは、架橋シリコーン油を更に含み得る。架橋シリコーン油は、Si-H基を含み得る。例示的なシリコーン油は、以下に示すような一般式を有するヒドロシリコーン油を含む。例示的なヒドロシリコーン油は、一次シリコーン油との付加反応において架橋剤として機能する。
【化15】
【0077】
シリコーン油の架橋中のSi-H基のモル比は、ヨウ素滴定によって試験される。ヨウ素滴定は、約0.1グラムの水素化シリコーン油をスズ箔で包囲された円錐フラスコ内に秤量することを含む。20mLの四塩化炭素(CCl)をフラスコに添加してシリコーン油を溶解させ、光曝露を避けるために、フラスコを更に封止する。次いで、過剰な臭素酢酸溶液(約10mLの可用性比を有する)を、10mLの水と共にフラスコに添加する。フラスコは、光の曝露を回避するために更に封止される。30分後、シールを開き、25mlの10重量%ヨウ化カリウム(KI)水溶液を溶液に添加する。次いで、溶液を1~2分間振動させる。次いで、標準的な0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム(Na)水溶液を添加して、試料溶液を振動で滴定する。1mLの1重量%デンプン水溶液を、指示薬として溶液に添加する。溶液(例えば、青)の色が変化すると、滴定が停止され、チオ硫酸ナトリウムの消費が計算される。次いで、このプロセスを他のサンプルに対して繰り返す。対照サンプルを調製するために、シリコーン油を含まないプロセスを繰り返す。Si-H基(mmol/g)の含有量は以下のとおりである
【数1】
式中、N2は、Si-H基のモル比(mmol/g)であり、Vdは、水素化シリコーン油サンプルに対するチオ硫酸ナトリウム溶液滴定の体積(ml)であり、Vcは、ブランクサンプルに対するチオ硫酸ナトリウム溶液滴定の体積(ml)であり、G2は、水素化シリコーン油の重量(g)であり、M2は、標準的なチオ硫酸ナトリウム溶液のモル濃度(mol/l)である。
【0078】
シリコーン油中のSi-H基(mmol/g)のモル比は、小さくは0.0001、0.001、0.01、0.1程度、大きくは1、5、10、50程度、又は0.01~1、0.1~5、又は0.0001~50等の上記の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内の量であり得る。例示的な一実施形態では、Si-H基のモル比は、0.2~2の量である。
【0079】
例示的な一実施形態では、架橋性シリコーン油は、有機シリコーン成分及びSi-H基を有する水素化物官能性シリコーン油を含む。例示的な水素化物官能性シリコーン油としては、Si-H基がポリマー鎖にグラフトされている、水酸化物末端シリコーン油及び水素化物グラフトシリコーン油、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
例示的な一実施形態では、水素化物末端シリコーン油は、DMS-H05、DMS-H21、DMS-H25、DMS-H31、又はDMS-H41等の水素化物末端ポリジメチルシロキサンであり、各々、Gelest,Inc.から入手可能である。例示的な一実施形態では、水素化物末端シリコーン油は、トリメチルシロキシ末端又は水素化物末端等のメチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーである。例示的なトリメチルシロキシ末端コポリマーとしては、HMS-013、HMS-031、HMS-064、HMS-071、HMS-082、HMS-151、HMS-301、HMS-501が挙げられ、例示的な水素化物末端コポリマーとしては、HMS-H271が挙げられ、それらの各々は、Gelest,Inc.から入手可能である。例示的な一実施形態では、水素化物グラフトシリコーン油は、HMS-991、HMS-992、HMS-993等のトリメチルシロキシ末端を有するポリメチルヒドロシロキサンであり、各々、Gelest,Inc.から入手可能である。
【0081】
例示的な一実施形態では、水素化物グラフトシリコーン油は、HES-992等のトリエチルシロキシ末端を有するポリエチルヒドロシロキサンであり、Gelest,Inc.から入手可能である。例示的な一実施形態では、水素化物グラフトシリコーン油は、Gelest,Inc.から入手可能なHAM-301等のメチルヒドロシロキサン-オクチルメチルシロキサンコポリマーである。
【0082】
例示的な一実施形態では、水素化物官能性油はQ樹脂又はT樹脂であり、例示的なT樹脂としては、SST-3MH1.1が挙げられ、例示的なQ樹脂としては、HQM-105及びHQM-107が挙げられ、各々、Gelest,Inc.から入手可能である。
【0083】
例示的な一実施形態では、ポリシロキサンは、AB Specialty Siliconesから入手可能なAndri(登録商標)XL-10、Andri(登録商標)XL-12等、RUNHEから入手可能なRH-DH04及び等のRH-H503等、Shin-Etsuから入手可能なKE-1012-B、KE-1031-B、KE-109E-B、KE-1051J-B、KE-1800T-B、KE1204B、KE1218B等、Bluestarから入手可能なSILBIONE(登録商標)RT Gel4725SLD B等、Wackerから入手可能なSilGel(登録商標)612B、ELASTOSIL(登録商標)LR3153B、ELASTOSIL(登録商標)LR3003B、ELASTOSIL(登録商標)LR3005B、SEMICOSIL(登録商標)961B、SEMICOSIL(登録商標)927B、SEMICOSIL(登録商標)205B、SEMICOSIL(登録商標)9212B、SILPURAN(登録商標)2440等、Momentiveから入手可能なSilopren(登録商標)LSR2010B等、Dow Corningから入手可能なXIAMETER(登録商標)RBL-9200B、XIAMETER(登録商標)RBL-2004B、XIAMETER(登録商標)RBL-9050B、XIAMETER(登録商標)RBL-1552B、Silastic(登録商標)FL30-9201B、Silastic(登録商標)9202B、Silastic(登録商標)9204B、Silastic(登録商標)9206B、SYLGARD(登録商標)184B、DowCorning(登録商標)QP-1B、DowCorning(登録商標)C6B、DowCorning(登録商標)CV9204B等の水素化官能性油である。
【0084】
例示的な一実施形態では、ポリシロキサンは、Shin-Etsuから入手可能なKEシリーズ製品等、Bluestarから入手可能なSILBIONE(登録商標)、Wackerから入手可能なELASTOSIL(登録商標)、SilGel(登録商標)、SILPURAN(登録商標)、及びSEMICOSIL(登録商標)等、Momentiveから入手可能なSilopren(登録商標)等、Dow Corningから入手可能なDowCorning(登録商標)、Silastic(登録商標)、XIAMETER(登録商標)、Syl-off(登録商標)SYLGARD(登録商標)等、及びAB specialty Silicones入手可能なAndril(登録商標)等のシリコーンゴムを含む。他のポリシロキサンは、Wacker、Shin-etsu、Dowcoring、Momentive、Bluestar、RUNHE、AB Specialty Silicones、及びGelestから入手可能である。
【0085】
例示的な架橋シリコーン油は、小さくは0.5cSt、5cSt、100cSt、200cSt程度、大きくは1,000cSt、10,000cSt、100,000cSt程度、又は0.5cSt~100,000cSt、5cSt~10,000cSt、100cSt~1,000cSt、又は200cSt~1,000cSt等の、ASTMD445に従って測定されたときの上記の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内の動粘度を有し得る。例示的な一実施形態では、架橋シリコーン油は、300cSt~700cStの動粘度を有する。
【0086】
架橋シリコーン油は、熱ゲルの全重量に基づいて、小さくは0.1重量%、0.2重量%、0.4重量%程度、大きくは0.6重量%、0.8重量%、1.0重量%程度、又は0.1重量%~1.0重量%、0.1重量%~0.5重量%、若しくは0.1重量%~0.4重量%等の、上記の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内の量で存在し得る。例示的な実施形態では、架橋シリコーン油は、熱ゲルの総重量に基づいて、0.45重量%である。
【0087】
例示的シリコーン油は、小さくは50ダルトン、100ダルトン、1000ダルトン、10,000ダルトン、50,000ダルトン、70,000ダルトン、100,000ダルトン程度、大きくは1,000,000ダルトン、10,000,000ダルトン、100,000,000ダルトン程度、又は50ダルトン~100,000,000ダルトン、若しくは1000ダルトン~10,000,000ダルトン、若しくは50,000ダルトン~1,000,000ダルトン等、上記の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内にある重量平均分子量を有し得る。
【0088】
全配合物中のSi-H基(TSi-H、mmol)の総含有量は、第2の成分中のシリコーン油のSi-H基(mmol/g)のモル比を、第2の成分中の架橋シリコーン油の重量(g)で割ることによって計算される。
【0089】
Si-H/Tvinylによって計算されるSi-H基(TSi-H)の総含有量とビニル基(Tvinyl)の総含有量との比は、小さくは0.0001、0.001、0.01程度、大きくは0.1、1、10、100、1000程度、又は0.001~0.1、0.01~1、又は0.001~100等の上記の値のいずれか2つの間に定義される任意の範囲内の量であり得る。例示的な製剤では、Si-H基(TSi-H)の総含有量ビニル基(Tvinyl)の総含有量との比は、0.03~10であってもよい。
5.カップリング剤
【0090】
TIMはまた、2つの材料の界面における強力な結合を促進するために、充填剤及びシリコーン油のポリマーマトリックスの両方と相互作用するように機能する1つ以上のカップリング剤も含み得る。これは、充填剤粒子凝集体を分離し、充填剤粒子をポリマーマトリックス中に分散させ、熱伝導性充填剤(複数可)をポリマーマトリックスにより良好に接着させるのに役立つ。例示的なカップリング剤としては、一般式Y-(CH-Si-X(式中、Yは、有機官能基であり、Xは、加水分解性基であり、nは、10~20である)を有するシランカップリング剤が挙げられる。有機官能基Yとしては、アルキル、グリシドキシ、アクリルオキシル、メチルアクリロキシル、アミンが挙げられる。加水分解性基Xとしては、アルキルオキシ、アセトキシが挙げられる。いくつかの例示的な実施形態では、シランカップリング剤としては、アルキルトリアルコキシシランが挙げられる。例示的なアルキトリアルコキシシランとしては、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。他の例示的なカップリング剤としては、例えば、チタネートカップリング剤及びジルコネートカップリング剤を含むシランカップリング剤及び有機金属化合物が挙げられる。例示的なシランカップリング剤としては、脂肪族基を有するシランカップリング剤が挙げられる。例示的なカップリング剤としては、チタンIV 2,2(ビス2-プロペノールアトメチル)ブタノラート、トリス(ジオクチル)ピロホスファト-O;1モルのジイソオクチルホスファイトを有するチタンIV 2-プロパノラート、トリス(ジオクチル)-ピロホスファト-O)付加体、チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト-O、オキソエチレンジオラート、(付加体)、ビス(ジオクチル)(水素)ホスファイト-O;チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト-O、エチレンジオラート(付加体)、ビス(ジオクチル)水素ホスファイト、ジルコニウムIV 2,2(ビス2-プロペノールアトメチル)ブタノラート、トリス(ジオイソオクチル)ピロホスファト-O;ジルコニウムIV2,2-ビス(2-プロペノラトメチル)ブタノラート、シクロジ[2,2-(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラート]、ピロホスファト-O,O、及びヘキサデシルトリメトキシシランが挙げられる。別の例示的な実施形態では、カップリング剤は、Kenrich Chemical Companyから入手可能なKR-TTSである。
【0091】
例示的な一実施形態では、TIMは、以下の式に示すようなカップリング剤としてヘキサデシルトリメトキシシランを含む。
【化16】
【0092】
例示的なカップリング剤は、以下の例示的な反応例に示すように例示的な充填剤と相互作用する。アルミナは、以下の反応で使用される典型的な充填剤である。しかしながら、他の代替的な充填剤を使用してもよい。示すように、カップリング剤を水に添加し、エトキシド基を除去するために加水分解を施す。次いで、生成物に、水が除去され、カップリング剤とアルミナが結合される改質反応を施す。
【化17】
【0093】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、少なくは0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%、多くは1重量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%、又は0.1重量%~10重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.25重量%~0.67重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上のカップリング剤を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、0.6重量%の量のカップリング剤を含む。
【0094】
TIMの上記成分(長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、架橋剤、触媒、阻害剤、及びカップリング剤)は、1つ以上の熱伝導性充填剤と組み合わされて、TIMを形成する、ポリマーマトリックスを形成する。TIMのポリマーマトリックスは、TIMの全重量に基づいて、少なくは3重量%、4重量%、5重量%、多くは10重量%、12.5重量%、15重量%、又は3重量%~15重量%、4重量%~12.5重量%、若しくは5重量%~10重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量であり得る。例示的な一実施形態では、TIMは、約8.42重量%の量のポリマーマトリックスを含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、約6.2重量%の量のポリマーマトリックスを含む。
6.熱伝導性充填剤
【0095】
TIMは、1つ以上の熱伝導性充填剤を含む。例示的な熱伝導性充填剤としては、金属、合金、非金属、金属酸化物及びセラミック、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。金属としては、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、ニッケル、スズ、インジウム、及び鉛が挙げられるが、それらに限定されない。非金属としては、カーボン、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラフェン、窒化ホウ素、及び窒化ケイ素が挙げられるが、それらに限定されない。金属酸化物又はセラミックとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化スズが挙げられるが、それらに限定されない。
【0096】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、10重量%、20重量%、25重量%、50重量%もの少なさ、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%もの多さ、又は10重量%~95重量%、50重量%~95重量%、若しくは85重量%~97重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の熱伝導性充填剤を含み得る。
【0097】
例示的な熱伝導性充填剤は、少なくは0.1ミクロン、1ミクロン、10ミクロン、多くは50ミクロン、75ミクロン、100ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の平均粒子サイズを有し得る。
【0098】
例示的な一実施形態では、TIMは、第1の熱伝導性充填剤と、第2の熱伝導性充填剤とを含み得、第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤はそれぞれ、1ミクロンを超える平均粒子サイズを有する。
【0099】
例示的な一実施形態では、TIMは、第1の熱伝導性充填剤と、第2の熱伝導性充填剤と、第3の熱伝導性充填剤と、を含んでもよく、第1の熱伝導性ファイラーが、10ミクロンより大きい粒子サイズを有し、第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン、2ミクロン、4ミクロンもの小ささ、6ミクロン、8ミクロン、10ミクロンもの大きさ、又はそれらの間に規定される任意の範囲内の粒子サイズを有し、第3の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の平均粒子サイズを有する。
【0100】
例示的な一実施形態では、TIMは、全TIM組成物に関して、少なくは30重量%、35重量%、40重量%、多くは45重量%、50重量%、60重量%、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第1の熱伝導性充填剤を含む。第1の熱伝導性充填剤の平均粒子サイズは、30ミクロンもの小ささである。35ミクロン、40ミクロン、多くは45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例示的なTIMは、全TIM組成物に関して、少なくは30重量%、35重量%、40重量%、多くは45重量%、50重量%、60重量%、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第2の熱伝導性充填剤を更に含む。第2の熱伝導性充填剤は、1ミクロン、3ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する。5ミクロン、多くは10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。
【0101】
例示的な一実施形態では、TIMは、全TIM組成物に関して、少なくは30重量%、35重量%、40重量%、多くは45重量%、50重量%、60重量%、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第1の熱伝導性充填剤を含む。30ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する第1の熱伝導性充填剤。35ミクロン、40ミクロン、多くは45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例示的なTIMは、5重量%、10重量%、15重量%もの少なさ、25重量%、30重量%、40重量%の多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第2の熱伝導性充填剤を更に含む。1ミクロン、3ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する第2の熱伝導性充填剤。5ミクロン、多くは10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例示的なTIMは、5重量%、10重量%、15重量%もの少なさ、25重量%、30重量%、40重量%もの多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第3の熱伝導性充填剤を更に含む。0.1ミクロン、0.3ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する第3の熱伝導性充填剤。0.5ミクロン、多くは1ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。
【0102】
例示的な熱伝導性充填剤としては、アルミニウム、アルミナ、及び酸化亜鉛等の、異なるサイズのセラミック充填剤又は金属充填剤が挙げられる。
6.熱界面材料の例示的な配合物
【0103】
第1の非限定的な例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つの長鎖シリコーン油、約0.1重量%~約5重量%のカップリング剤、約50重量%~約95重量%の熱伝導性充填剤、約0.1重量%~約5重量%の付加阻害剤、約0.1重量%~約5重量%の付加触媒、及び約0.1重量%~1.0重量%の架橋剤を含む。
【0104】
第2の非限定的な例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つの長鎖シリコーン油、約0.1重量%~約5重量%のカップリング剤、約25重量%~約50重量%の第1の熱伝導性充填剤、約25重量%~約50重量%の第2の熱伝導性充填剤、約0.1重量%~約5重量%の付加阻害剤、約0.1重量%~約5重量%の付加触媒、及び約0.1重量%~1.0重量%の架橋剤を含む。
【0105】
第3の非限定的な例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つの長鎖シリコーン油、約0.1重量%~約5重量%のカップリング剤、約25重量%~約50重量%の第1の熱伝導性充填剤、約5重量%~約40重量%の第2の熱伝導性充填剤、約5重量%~約40重量%の第3の熱伝導性充填剤、約0.1重量%~約5重量%の付加阻害剤、約0.1重量%~約5重量%の付加触媒、及び約0.1重量%~1.0重量%の架橋剤を含む。
7.熱界面材料の例示的な特性
【0106】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、硬化後の弾性特性(例えば、圧縮後の回復)、高い熱伝導性、粘度、及び硬度を有する。熱界面材料の硬化後回復率は、熱界面材料/ゲルの元の厚さに基づいて、室温で2時間、熱界面材料/ゲルに、50%ひずみ/圧縮まで圧縮力を加えることによって試験される。次いで、圧縮力が解放され、熱界面材料/ゲルは1時間弛緩され、その後、熱界面材料/ゲルの厚さが測定される。厚さの差は、熱界面材料/ゲルの回復率を表す。
【0107】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、優れた硬化後の弾性/回復特性を有する。熱界面材料/ゲルは、圧縮前の熱界面材料/ゲルの厚さに基づいて、小さくは75%回復率、80%回復率、85%回復率、大きくは90%回復率、95%回復率、100%回復率、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の範囲である弾性/回復特性を有する。例示的な一実施形態では、熱界面材料/ゲルは、約85%の回復率を有する。別の例示的な実施形態では、熱界面材料/ゲルは、約100%の回復率を有する。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、小さくは1W/m.K、2W/m.K、3W/m.K、大きくは4W/mK、7W/m.K、10W/m.K、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の熱伝導率を有する。例示的な熱伝導率試験方法標準は、ASTM D5470である。例示的な一実施形態では、上記のような熱界面材料は、約3.5W/m.Kの熱伝導率を有する。別の例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、約4.7W/m・Kの熱伝導率を有する。
【0109】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、23℃で、小さくは100Pa.s、150Pa.s、200Pa.s、大きくは250Pa.s、275Pa.s、300Pa.s、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の硬化前粘度を有する。例示的な粘度試験法標準は、DIN 53018である。特定の一実施形態では、粘度は、Haake粘度計によって試験される。例示的な一実施形態では、熱界面材料は、約120Pa.sの粘度を有する。別の例示的な実施形態では、熱界面材料は、約275Pa.sの粘度を有する。
【0110】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、例えば、ショアOOタイプ硬度計及びASTM D2240によって決定されるような、小さくは25ショアOO、30ショアOO、35ショアOO、大きくは40ショアOO、45ショアOO、50ショアOO、又は25ショアOO~50ショアOO、25ショアOO~45ショアOO、若しくは25ショアOO~40ショアOO等、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の硬化後の硬度値を有する。例示的な一実施形態では、熱界面材料は、25ショアOOの硬度を有する。別の例示的な実施形態では、熱界面材料は、40ショアOOの硬度を有する。
B.熱界面材料の形成方法
【0111】
ここで図1を参照すると、熱界面材料を作製する例示的な方法100が示されている。示されるように、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニルシリコーン油、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、カップリング剤、触媒、及び阻害剤が、ブロック102で示されるように、秤量され、ミキサーに添加される。次いで、ブロック102でまた示されるように、混合物は、室温で15分間混合される。次いで、ブロック104で、架橋剤がミキサーに添加され、混合物は、10分間混合される。その後、ブロック106で、最大サイズの熱伝導性充填剤がミキサーに添加されて、混合物と10分間混合される。次いで、ブロック108で示されるように、次の最大サイズ(例えば、中サイズ)の熱伝導性充填剤がミキサーに添加され、後続の混合物が更に10分間混合される。次いで、ブロック110に示されるように、最小サイズの熱伝導性充填剤がミキサーに添加され、混合物が更に30分間混合される。次いで、ブロック112で示されるように、混合が更に30分間継続される間、混合器及び混合物に真空が適用される。その後、ブロック114で、真空が停止され、得られた混合物/配合物は、パッケージ化され、かつ/又はブロック116で、続いて硬化される。
C.熱界面材料を利用する用途
【0112】
ここでも図1を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、TIM18によって示されるように、電子部品12とヒートスプレッダ14との間にTIM1として配置される。いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、TIM20によって示されるように、ヒートスプレッダ14とヒートシンク16との間にTIM2として配置される。いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、電子部品12とヒートシンク16との間にTIM1.5(図示せず)として配置される。
【実施例
【0113】
実施例1
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1(比較例1)、比較例2(比較例2)、比較例3(比較例3)、及び比較例4(比較例4)の熱界面材料を、以下の表1に示される配合に従って調製した。配合物のそれぞれの特性もまた、表1に示され、以下で更に考察される。

【表1】

【0114】
実施例1の配合物を調製するために、シリコーン油、カップリング剤、触媒、及び阻害剤を組み合わせ、ミキサー内で15分間混合した。次いで、架橋剤を添加し、後続の混合物を10分間混合した。次いで、40μmの平均直径を有する熱伝導性充填剤を添加し、混合物を10分間混合した。次いで、5μmの平均直径を有する熱伝導性充填剤を添加し、得られた混合物を30分間混合した。その後、混合物に30分間真空混合を適用して、気泡を除去し、実施例1の試料を得た。
【0115】
実施例2の配合物を調製するために、先に考察されたように、実施例1の調製工程を実施し、0.5μmの平均直径を有する熱伝導性充填剤を混合物に添加し、得られた混合物を真空混合の適用前に混合した。
【0116】
比較例1及び2を実施例1及び2と同様に調製したが、実施例1及び2の長鎖シリコーン油の代わりに、500mPa.sの粘度を有するビニル末端シリコーン油を使用した。
【0117】
上記のように、試料の粘度を、Haake粘度計によって試験した。硬度を、ショアOOタイプ硬度計によって試験した。熱伝導率を、ASTMD5470の標準に基づいて、TIM試験機によって試験した。
【0118】
回復試験を、以下の方法によって実施した。熱ゲル試料を、2ミリメートル(mm)の厚さまで圧縮し、150℃のオーブン内で完全に硬化させた。次いで、試料を、1インチ直径を有する円形パッドにダイカットした。次いで、円形パッドを、円形パッドの元の厚さの50%ひずみ又は50%(すなわち、1mm)まで圧縮し、室温で2時間圧縮状態を保持した。次いで、圧縮力を解放し、円形パッドを1時間弛緩させ、その後その厚さを測定し、回復率を決定した。測定された厚さが2mmである場合、回復率は100%であった。厚さが1mmである場合、回復率は、0%であった。
【0119】
上記表1に示されるように、実施例1及び2は、比較例1及び比較例2と比較して、低減した硬化前粘度、より低い硬度値、同等の熱伝導率を示した。
【0120】
加えて、実施例1及び2は、比較例1及び2よりも高い回復特性を示した。特に、実施例1及び2は、それぞれ100%及び85%の回復率を示した。比較すると、比較例1及び2は、それぞれ50%及び20%のより低い回復率を示した。
【0121】
実施例3は、高熱伝導性充填剤配合を有する熱界面材料(7.5W/m Kを超える熱伝導率)も、比較例3よりも良好な弾性特性を示したことを示した。しかしながら、弾性性能は、実施例1及び実施例2の弾性性能よりも低い。
【0122】
実施例4は、AIN充填剤を有する熱界面材料(11W/m Kを超える熱伝導率)も、比較例4よりも良好な弾性特性及びより低い硬化前粘度を示したことを示した。しかしながら、弾性性能は、実施例1及び実施例2の弾性性能よりも低い。
【0123】
本発明は、例示的な設計を有するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。したがって、本出願は、その一般的原理を利用した本発明のあらゆる変形、使用、又は適応を包含することが意図されている。更に、本出願は、本発明が関連し、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
態様
【0124】
態様1は、少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び少なくとも1つの単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含み、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油のうちの少なくとも1つが、2~32個のアルキル炭素の少なくとも1つの分岐鎖を有する、ポリマーマトリックスと、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料である。
【0125】
態様2は、長鎖アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化18】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である、態様1に記載の熱界面材料である。
【0126】
態様3は、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化19】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である、態様1又は態様2に記載の熱界面材料である。
【0127】
態様4は、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化20】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である、態様1~3のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0128】
態様5は、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、1mgKOH/g~200mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、態様1~4のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0129】
態様6は、熱伝導性充填剤が、少なくとも第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤を、85重量%~97重量%含む、態様1~5のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0130】
態様7は、熱界面材料が、50%ひずみが室温で2時間適用された後に、75%~100%の硬化後回復率を有する、態様1~6のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0131】
態様8は、熱界面材料が、0.5重量%~5重量%の長鎖アルキルシリコーン油、0.5重量%~5重量%の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、
0.5重量%~2重量%の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、及び50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0132】
態様9は、熱界面材料が、25ショアOO~50ショアOOの硬度を有する、態様1~8のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0133】
態様10は、ポリマーマトリックスであって、4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油と、付加阻害剤と、架橋剤と、触媒と、カップリング剤と、を含む、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1種の熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料であって、3重量%~15重量%のポリマーマトリックスと、50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料である。
【0134】
態様11は、熱界面材料が、0.5重量%~5重量%の長鎖アルキルシリコーン油、0.5重量%~5重量%の長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、
0.5重量%~2重量%の長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油、0.01重量%~0.5重量%の触媒、0.01重量%~1重量%の付加阻害剤、0.1重量%~1重量%の架橋剤、0.1重量%~10重量%のカップリング剤、及び50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤を含む、態様10に記載の熱界面材料である。
【0135】
態様12は、熱伝導性充填剤が、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤とを含み、第1の熱伝導性充填剤が、10ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属酸化物、セラミックス又はこれらの組み合わせであり、第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン~10ミクロンの粒子サイズを有する金属酸化物である、態様10又は態様11に記載の熱界面材料である。
【0136】
態様13は、長鎖アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化21】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である、態様10~12のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0137】
態様14は、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化22】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である、態様10~13に記載の熱界面材料である。
【0138】
態様15は、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化23】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である、態様10~14のいずれか1つに記載の熱界面材料である。
【0139】
態様16は、ヒートシンクと、電子チップと、第1の表面層及び第2の表面層を有する熱界面材料と、を含み、熱界面材料が、ヒートシンクと電子チップとの間に配置され、熱界面材料が、ポリマーマトリックスであって、
4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、長鎖アルキルシリコーン油、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油と、付加阻害剤と、架橋剤と、触媒と、カップリング剤と、を含むポリマーマトリックスと、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、熱界面材料が、3重量%~15重量%のポリマーマトリックスと、50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、を含む、電子部品である。
【0140】
態様17は、長鎖アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化24】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~2000の範囲であり、n+mは、50~5000の範囲である、態様16に記載の電子部品である。
【0141】
態様18は、長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化25】
式中、nは、0~5000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、mは、5~5000の範囲であり、n+mは、50~10000の範囲である、態様16又は態様17に記載の電子部品である。
【0142】
態様19は、長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油が、以下の一般式を有し、
【化26】
式中、Rは、アルキル基であり、nは、5~1000の範囲であり、xは、2~32の範囲であり、yは、1~3の範囲であり、mは、0~500の範囲であり、n+mは、5~1000の範囲である、態様16~18のいずれか1つに記載の電子部品である。
【0143】
態様20は、第1の表面層が、電子チップの表面と接触し、第2の表面層が、ヒートシンクと接触している、態様16~19のいずれか1つに記載の電子部品である。
【0144】
態様21は、電子部品が、ヒートシンクと電子チップとの間に配置されたヒートスプレッダを更に含み、第1の表面層が、電子チップの表面と接触し、第2の表面層が、ヒートスプレッダと接触している、態様16~20のいずれか1つに記載の電子部品である。
【0145】
態様22は、電子部品が、ヒートシンクと電子チップとの間に配置されたヒートスプレッダを更に含み、第1の表面層が、ヒートスプレッダの表面と接触し、第2の表面層が、ヒートシンクと接触している、態様16~21のいずれか1つに記載の電子部品である。
図1
図2
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱界面材料であって、
ポリマーマトリックスであって、
少なくとも1つの長鎖アルキルシリコーン油、
少なくとも1つの長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び
少なくとも1つの単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含み、
前記長鎖アルキルシリコーン油、前記長鎖ビニル末端アルキルシリコーン油、及び長鎖単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油のうちの少なくとも1つが、2~32個のアルキル炭素の少なくとも1つの分岐鎖を有する、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料。
【請求項2】
熱界面材料であって、
ポリマーマトリックスであって、
4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、
前記少なくとも1つの長鎖シリコーン油が、
長鎖アルキルシリコーン油、
ビニル末端アルキルシリコーン油、及び
単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油と、
付加阻害剤と、
架橋剤と、
触媒と、
カップリング剤と、を含む、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、
前記熱界面材料が、
3重量%~15重量%の前記ポリマーマトリックスと、
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤と、を含む、熱界面材料。
【請求項3】
電子部品であって、
ヒートシンクと、
電子チップと、
第1の表面層及び第2の表面層を有する熱界面材料と、を含み、前記熱界面材料が、前記ヒートシンクと電子チップとの間に配置され、前記熱界面材料が、
ポリマーマトリックスであって、
4~16個のアルキル炭素を有する少なくとも1つの長鎖シリコーン油であって、
前記少なくとも1つの長鎖シリコーン油が、
長鎖アルキルシリコーン油、長鎖
ビニル末端アルキルシリコーン油、及び
単一末端ヒドロキシル末端シリコーン油を含む、少なくとも1つの長鎖シリコーン油、
付加阻害剤、
架橋剤、
触媒、
カップリング剤を含む、ポリマーマトリックスと、
少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、を含み、
前記熱界面材料が、
3重量%~15重量%の前記ポリマーマトリックスと、
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤と、を含む、電子部品。

【国際調査報告】