(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】椎間板に治療材料を送達するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20220622BHJP
A61L 29/02 20060101ALI20220622BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20220622BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20220622BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20220622BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61M37/00
A61L29/02
A61L29/16
A61L29/14 300
A61K9/00
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562304
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020028950
(87)【国際公開番号】W WO2020219377
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506298792
【氏名又は名称】ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】リーブズ,ベンジャミン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ボイス,トッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】シムコ,ダニエル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルジー,ジェアード・ティー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA94
4C076AA99
4C076BB21
4C076FF31
4C081AC08
4C081BB06
4C081CG03
4C081DA12
4C160LL08
4C267AA02
4C267AA23
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB39
4C267CC27
4C267EE01
4C267GG24
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
椎間板の髄核に治療薬を送達する方法が提供される。この方法は、治療薬を含有する送達ツールを、線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分を通して、かつ椎間板の髄核内に挿入することと、椎間板の髄核に治療薬を送達することと、を含む。装置およびキットも提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板の髄核に治療薬を送達する方法であって、前記治療薬を含有する送達ツールを、線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分を通して、かつ前記椎間板の前記髄核内に挿入することと、前記椎間板の前記髄核に前記治療薬を送達することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記送達ツールを挿入する前に、終板と環状体との間に外科用ツールを用いて送達の入口点を形成することと、前記送達ツールを前記前方部分または前記外側部分を通して挿入することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、外科用ツールを用いて送達の後方入口点を形成することを含み、前記送達ツールを挿入することが、側方または前外側部分から行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記外科用ツールがドリルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
椎間板の髄核に治療薬を送達するための装置であって、前記装置が、前記治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレおよび針を備え、前記カニューレが、遠位端を有し、前記遠位端が、線維輪の前方部分、外側部分、後方部分、または前外側部分を通り、かつ前記椎間板の前記髄核内に貫通するように構成されており、前記針が、前記カニューレの少なくとも一部分内で摺動するように構成されており、前記針が、前記椎間板の前記髄核に接触し、かつ前記椎間板の前記髄核に前記カニューレから前記治療薬を送達するように構成されている先端を有する、装置。
【請求項6】
(i)前記針が、前記針の前記先端が前記カニューレ内にある格納位置内で摺動可能であり、前記針が、前記針の前記先端が前記カニューレの前記遠位端から突出する伸長位置内で摺動可能であり、または(ii)前記装置が、前記針の少なくとも一部分の周りに配置されたプローブをさらに備え、前記プローブが、前記椎間板の終板から前記線維輪の一部分を分離するように構成されている端部を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
(i)前記カニューレの前記遠位端が、前記針の前記先端に対してより鋭くなっている鋭い斜角の先端を備え、または(ii)前記針が、ユーザに触覚フィードバックを提供するように、前記カニューレよりも柔軟性がある、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記針を伸ばすように構成されている弾性部材を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記治療薬が、デポー、ゲル、ヒドロゲル、幹細胞、椎間板起因細胞、多血小板血漿、血液、骨髄濃縮液、サイトカイン、成長および分化因子、緩衝液、生理食塩水、ヒアルロン酸、微粉化した自己椎間板、微粉化した同種椎間板、軟骨、またはそれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記カニューレおよび/または前記針が湾曲している、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記針がカニューレに対して同軸であり、前記針が形状記憶材料を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記形状記憶材料がニチノールを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
椎間板に治療薬を投与する方法であって、前記方法が、前記椎間板の線維輪または髄核につながる血管にカテーテルを挿入することと、前記椎間板の前記髄核において、またはその近くで前記カテーテルを通して前記治療薬を送達することと、を含む、方法。
【請求項14】
(i)前記血管が、錐体底静脈につながる腎区静脈であり、(ii)前記血管が、錐体底動脈につながる腎区静脈であり、または(iii)前記血管が、前記椎間板の前記線維輪もしくは前記髄核に直接的にアクセスでき、または(iv)前記血管が、前記椎間板の前記線維輪もしくは前記髄核に間接的にアクセスできる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテルが、前記治療薬を送達する前に、前記椎体の海綿骨の一部分および終板の前記一部分を貫通するように軸方向に誘導される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記椎体の前記海綿骨の一部および前記終板の一部分が貫通されるときに、空隙が形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記空隙が、前記髄核に直接的にアクセスでき、前記治療薬が、前記治療薬をある期間にわたって前記髄核に持続的に放出するための薬物デポーによって前記空隙に送達される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
湾曲した器具が、前記空隙に挿入され、前記椎間板の線維輪および前記髄核が、前記湾曲した器具によってアクセスされ、前記治療薬が、前記治療薬をある期間にわたって前記髄核に持続的に放出するための薬物デポーによって前記線維輪に送達される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記薬物デポーが、選択された放出プロファイルを有するヒドロゲルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記治療薬が、デポー、ゲル、ヒドロゲル、幹細胞、椎間板起因細胞、多血小板血漿、血液、骨髄濃縮液、サイトカイン、成長および分化因子、緩衝液、生理食塩水、ヒアルロン酸、微粉化した自己椎間板、微粉化した同種椎間板、軟骨、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
人間の脊椎は、26個の連続した椎骨から形成されている。これらの椎骨の各々は、衝撃を吸収し、各椎骨が別の椎骨に直接衝突するのを防ぐように機能する椎間板によって、いずれかの隣接する椎骨から分離されている。各円板の中心には、髄核と呼ばれるプロテオグリカンから作られたゲル状の内層があり、髄核の周りには、線維輪と呼ばれる比較的丈夫な外輪層がある。変性椎間板疾患は、円板の変性を伴う脊椎下部の一般的な変性状態のいずれかを指す。
【0002】
ヒトが年をとるにつれて、その背骨は変性の兆候を示し始める。一般に、変性は、髄核からのプロテオグリカンの喪失と、椎骨間の衝撃を吸収する円板の能力の低下に関連付けられている。一部の罹患者は症状を呈さないかもしれないが、多くの罹患者は慢性的な背痛および/または下肢痛に苦しんでいる。円板の変性に伴う痛みは衰弱させ、患者の生活の質を大幅に低下させる可能性がある。
【0003】
近年、変性円板を治療するために多くの再生療法が開発されてきた。再生療法は、痛みおよび/または変性を治療するために、円板の髄核に送達される治療材料を使用することが多い。しかしながら、これらの治療法は、髄核を治療薬で治療することができるように、後面から接近した円板の線維輪の貫通を必要とする医療処置を必要とする。残念ながら、しばしば後面から線維輪に接近すると、線維輪が断裂で変性が進むだけでなく、針の貫通部位でヘルニアになる可能性が高くなることにより、円板に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
したがって、円板へのさらなる損傷の発生を低減または防止しながら、例えば、治療中の円板の環状線維の断裂を低減または防止しながら、変性円板を効果的に治療する方法および装置を提供することは有益であろう。方法および装置が、後面に加えて、代替の面から円板に接近すれば、有利である。
【発明の概要】
【0005】
変性円板を治療する一方で、治療中に円板に発生するさらなる損傷、例えば、線維輪の断裂を低減または防止するための方法および装置が提供される。いくつかの実施形態では、提供される方法および装置は、後面から円板に接近しない。いくつかの実施形態では、椎間板の髄核に治療薬を送達する方法が提供される。この方法は、治療薬を含有する送達ツールを、線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分を通して、かつ椎間板の髄核に挿入することと、椎間板の髄核に治療薬を送達することと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、椎間板の髄核に治療薬を送達するための装置が提供される。この装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレおよび針を含む。カニューレは、線維輪の前方部分、外側部分、後方部分、または前外側部分を通って、かつ椎間板の髄核に貫通するように構成されている遠位端を有する。針は、カニューレの少なくとも一部分内を摺動するように構成されている。針は、椎間板の髄核に接触し、かつカニューレから椎間板の髄核に治療薬を送達するように構成されている先端を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、椎間板に治療薬を投与する方法が提供される。この方法は、椎間板の髄核につながる血管にカテーテルを挿入することと、椎間板の髄核において、またはその近くでカテーテルを通して治療薬を送達することと、を含む。
【0008】
複数の実施形態が開示されているが、本出願のさらなる他の実施形態は、以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。明らかなように、本開示は、本開示の趣旨および範囲からすべて逸脱することなく、様々な明白な態様において修正することができる。したがって、詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
部分的に、実施形態の他の態様、特徴、利益および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および付随する図に関して明らかになるであろう。
【0010】
【
図1】椎間板の髄核に治療薬を送達するための装置の斜視図である。装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレと針を備える。
【
図1A】針の先端が鋭利である
図1の装置の実施形態の斜視図である。
【
図2】カニューレおよび/または針が湾曲または引っ掛けられている
図1の装置の斜視図である。
【
図3】針がカニューレに対して同軸であり、針が形状記憶材料を含む、
図1の装置の斜視図である。
【
図4】椎間板に治療薬を投与するために使用されるカテーテル装置の斜視図である。
【
図5】椎間板に治療薬を投与するために使用される装置の側面図である。この装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレと針を備える。プローブは、椎間板の終板から線維輪の一部分を分離するように構成されている端部を有する針の少なくとも一部分の周りに配置される。
【
図5A】椎間板に治療薬を投与するために使用される装置の側面図である。この装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレと針を備える。プローブは、椎間板の終板から線維輪の一部分を分離するように構成されている端部を有する針の少なくとも一部分の周りに配置される。
【
図5B】椎間板に治療薬を投与するために使用される装置の側面図である。この装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレと針を備える。プローブは、椎間板の終板から線維輪の一部分を分離するように構成されている端部を有する針の少なくとも一部分の周りに配置される。
【
図6】患者の椎間板の断面側面図である。椎間板は髄核および線維輪を含む。
【
図7】処置室のテーブル上で仰臥位にある患者の斜視図である。患者は、椎間板の髄核を、
図1~5Bの装置のうちの1つによって送達される治療薬で治療する処置を受けていることが示されている。医用画像ガイダンスは、開業医が処置を行うのを手助けするために、開業医によって使用される。
【
図8】
図7の処置中に使用されるガイドワイヤ、複数の拡張器、開創器、および/または光源の斜視図である。
【
図9】
図7の処置中に使用されるガイドワイヤ、複数の拡張器、開創器、および/または光源の斜視図である。
【
図10】
図7の処置中に使用されるガイドワイヤ、複数の拡張器、開創器、および/または光源の斜視図である。
【
図11】
図7の処置中に使用されるガイドワイヤ、複数の拡張器、開創器、および/または光源の斜視図である。
【
図12】背骨の断面、および椎間板の髄核に治療薬を送達する方法の斜視図である。入口点は、終板/線維輪の境界面に創出され、治療薬は、髄核に入り、下向きに湾曲する
図2の装置などの装置を用いて、脊椎の前または外側面から送達される。
【
図13】脊椎の断面、および椎間板の線維輪/髄核に治療薬を送達する方法の斜視図である。入口点が創出され、治療薬は、線維輪/髄核の前方に入り、湾曲する
図2の装置などの装置を用いて、脊椎の後面から接近して送達される。
【
図14】脊椎の断面の斜視図であり、椎間板の髄核に治療薬を送達する方法である。後方入口点が終板/輪状境界において創出され、
図4のカテーテルなどの装置が、線維輪を外側または前外側位置までたどってから、髄核を貫通して治療薬を送達する。
【
図15】胸椎、および椎間板への治療薬投与方法の横断面図である。髄核へのアクセスは、腎区静脈を通り、次に錐体底静脈に入る血管内の接近によって示される。
図4のカテーテルおよび/またはガイドワイヤなどのカテーテルは、治療薬を送達するために、錐体底静脈内に、かつ終板を通って髄核に誘導される。
【
図16】胸椎、および
図15に記載された方法の正中矢状断面図である。
【
図17】胸椎、および椎間板に治療薬を投与する方法の正中矢状断面図である。椎間板は、
図4のカテーテルなどのカテーテルによって上記のように血管系を通してアクセスされ、治療薬を含む薬物デポーが椎体に投与されて、ある期間にわたって髄核への徐放が行われる。
【
図18】胸椎、および椎間板に治療薬を投与する方法の正中矢状断面図である。椎間板は、
図2の装置などの湾曲した器具によって上記の血管系を通してアクセスされ、治療薬を含有する薬物デポーが線維輪に投与されて、ある期間にわたって髄核への徐放が行われる。
【0011】
図は、正確な縮尺率ではないことを理解されたい。さらに、図内の物体間の関係は、縮尺どおりではない場合があり、実際にはサイズに関して逆の関係がある場合がある。これらの図は、図示されている各物体の構造を理解し、明確にすることを目的としており、したがって、構造の特定の特徴を示すために、いくつかの特徴が誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0013】
「患者」という用語は、治療を施すことができる生体系を指す。生体系は、例えば、個々の細胞、細胞のセット(例えば、細胞培養物)、器官、または組織を含み得る。さらに、「患者」という用語は、制限することなく、ヒトを含む動物を指すことができる。
【0014】
「薬物デポー」という用語には、カプセル、ミクロスフェア、微粒子、マイクロカプセル、マイクロファイバ粒子、ナノスフェア、ナノ粒子、コーティング、マトリックス、ウエハ、ピル、ペレット、エマルジョン、リポソーム、ミセル、ゲル、ファイバ、ストリップ、シート、または他の医薬送達組成物あるいはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。薬物デポーは、治療薬を保持および投与するデポーを含み得る。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、デポーからの治療薬の放出を許容する細孔を有する。薬物デポーは、デポー内の流体が薬物を置換することを許容する。ただし、デポーへの細胞浸潤は、デポーの細孔のサイズによって防止される。このように、いくつかの実施形態では、デポーは組織スキャホールドとして機能せず、組織成長を許容しなければならない。むしろ、薬物デポーは治療薬の送達にのみ利用される。いくつかの実施形態では、薬物デポーの細孔は、250~500ミクロン未満である。この細孔サイズは、細胞が薬物デポーに浸潤してスキャホールドする細胞を設けることを妨げる。したがって、この実施形態では、流体が薬物デポーに入ると、治療薬は薬物デポーから溶出するが、細胞は入るのが妨げられる。細孔がほとんどまたは全くないいくつかの実施形態では、治療薬は、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体の他の同様のメカニズムによって、薬物デポーから溶出する。
【0015】
「生分解性」という用語は、薬物デポーのすべてまたは一部が、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体の他の同様のメカニズムによって、時間とともに分解することを含む。様々な実施形態において、「生分解性」は、治療薬が放出された後または放出されている間に、デポーが体内で破壊または分解して非毒性成分になり得ることを含む。「生体浸食性」とは、少なくとも部分的には、周囲の組織、体液、または細胞の作用によって見られる物質との接触により、デポーが時間の経過とともに浸食または分解することを意味する。「生体吸収性」とは、デポーが破壊され、例えば細胞または組織によって人体内に吸収されることを意味する。「生体適合性」とは、デポーが標的組織部位で実質的な組織刺激または壊死を引き起こさないことを意味する。
【0016】
いくつかの実施形態では、薬物デポーは、デポーからの治療薬の放出を許容にする細孔を有することができる。薬物デポーは、デポー内の流体が治療薬を置換することを許容する。ただし、デポーへの細胞浸潤は、デポーの細孔のサイズによって防止される。いくつかの実施形態では、薬物デポーの細孔は、250~500ミクロン未満である。この細孔サイズにより、細胞が薬物デポーに浸潤してスキャホールドする細胞が設けられることが妨げられる。したがって、この実施形態では、流体が薬物デポーに入ると、治療薬は薬物デポーから溶出するが、細胞は入ることが妨げられる。細孔がほとんどまたは全くないいくつかの実施形態では、治療薬は、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体の他の同様のメカニズムによって、薬物デポーから溶出する。
【0017】
「治療薬」という用語は、本明細書では、「薬物」、「治療有効量」、および「医薬品有効成分」という用語と互換的に使用することができる。「治療薬」は、2つ以上の治療薬を含み得、治療薬の例示的な組み合わせは、2つ以上の薬物の組み合わせを含むことが理解されるであろう。薬物デポーは、その部位に送達するための治療薬の濃度勾配を提供する。様々な実施形態において、薬物デポーは、投与部位から最大約0.01cm~約20cmの距離において治療薬の最適な薬物濃度勾配を提供する。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、治療薬がすべてまたは実質的にすべて放出されるまで、拡散勾配に沿って薬物デポーからの連続拡散を提供する。この現象は、患者の体組織によって引き起こされる生物学的「ウィッキング」に似ており、これは、組織が常に治療薬を吸収しているので、組織が治療薬を吸収するときに拡散勾配の低い端部に位置しているため、常に拡散勾配が低くなる。
【0018】
「上部」、「下部」、「最上部」、「底部」、「側面」、「近位」、「遠位」などの用語は、本発明とその部品を図面において方向付けて説明するために、本明細書では単に便宜的に使用されている。しかしながら、本明細書に記載されている除皮装置は、使用時に異なる向きに当然配置されるので、これらの用語は決して本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0019】
本明細書では、「持続的放出」、「持続性放出」、「徐放」(「延長放出」または「制御放出」とも呼ばれる)という表現は、ヒトまたは他の哺乳類の体内に導入され、所定の期間にわたって、所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで、1つ以上の治療薬の流れを連続的または継続的に放出する1つ以上の治療薬を指すのに使用される。連続的または継続的な放出の流れへの言及は、薬物デポー、またはそのマトリックスあるいは成分の生体内での生分解の結果として、または代謝変換あるいは治療薬の溶解、または治療薬の共役の結果として生じる放出を包含することを意図している。当業者が知っているように、持続的放出製剤は、例えば、フィルム、ゲル、スラブ、シート、ペレット、微粒子、ミクロスフェア、マイクロカプセル、スフェロイド、成形誘導体またはペーストとして創出され得る。製剤は、等張食塩水、生理学的緩衝液、または患者への注射に許容される他の溶液への懸濁に適した形態であり得る。さらに、製剤は、非経口製剤、ミクロスフェア、マイクロカプセル、ゲル、ペースト、植え込み可能ロッド、ペレット、プレートまたはファイバなどを含むがこれらに限定されない、本明細書の実施形態に関連して有用であると当業者が認めるいずれかの植え込み可能、挿入可能または注射可能システムと組み合わせて使用することができる。
【0020】
「即時放出」という句は、本明細書では、体内に導入され、それが投与される場所において溶解または吸収されることを許容され、薬物の溶解または吸収を遅延または延長する意図のない1つ以上の治療薬を指すために使用される。即時放出とは、投与後の短期間、例えば、一般に数分~約1時間以内の薬物の放出を指す。
【0021】
疾患または状態を治療すること、またはその治療は、疾患の徴候または症状を緩和しながら、患者(ヒト、通常またはそうでなければ他の哺乳動物)に1つ以上の薬物を投与することを含み得るプロトコルを実行することを指す。緩和は、疾患または状態の兆候または症状が出現する前、およびそれらが出現した後に起こり得る。したがって、「治療すること」または「治療」には、疾患または望ましくない状態を「予防すること」またはその「予防」が含まれる。さらに、「治療すること」または「治療」は、兆候または症状の完全な緩和を必要とせず、治癒を必要とせず、具体的には、患者にわずかな影響しか与えないプロトコルを含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「有する」、「含有する」、「含む」、「備える」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を示すが、追加の要素または特徴を排除するものではない、自由形式の用語である。
【0023】
「椎間板起因の背痛」という用語は、1つ以上の椎間板が痛みの原因である障害を指す。椎間板起因の背痛には、椎間板の膨隆、ヘルニア、破裂などがあり、これらが近位の神経からの反応をもたらし、痛みの感覚を引き起こす。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、材料のパーセンテージまたは比率、反応条件、および他の数値を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修正されているものと理解される。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0025】
本明細書に記載されている数値範囲およびパラメータにかかわらず、本発明の広い範囲は近似値であり、具体的な実施例に記載されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どのような数値であっても、本質的には、それぞれの試験測定で見出された標準偏差に必然的に起因する一定の誤差が含まれている。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、それらに含まれる、あらゆるすべての部分範囲を包含するものと理解されるであろう。例えば、「1~10」の範囲には、最小値1と最大値10との間の(およびそれらを含む)あらゆるすべての部分範囲を含む、すなわち、例えば、5.5~10など最小値が1以上で最大値が10以下のあらゆるすべての部分範囲を含む。
【0026】
ここで本開示の例示的な実施形態を詳細に参照すると、その例が添付の図面に示されている。本開示は、例示された実施形態と併せて説明されるが、それらは、開示をそれらの実施形態に限定することを意図するものではないことが理解される。それどころか、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示に含まれ得るすべての代替物、修正、および同等物を網羅することを意図している。
【0027】
以下の見出しは、本開示を何ら限定するものではなく、いずれか1つの見出しの下の実施形態は、他のいずれかの見出しの下の実施形態と併せて使用することができる。
【0028】
装置
図1~5Bに示されるように、装置20は、損傷を制限しながら、または線維輪AFの後面のさらなる損傷を防止しながら、椎間板ID(
図6)の髄核NPに治療薬を送達するために提供される。装置は、治療薬を摺動可能に受容するように構成されているカニューレ22および針24を備える。カニューレは、近位端26および遠位端28を含む。いくつかの実施形態では、近位端は、注射器30およびばね32などの弾性部材と係合するように構成され、その結果、針はカニューレから延びることができる。
【0029】
カニューレの遠位端は、線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分を通って、椎間板の髄核に貫通するように構成されている。いくつかの実施形態では、遠位端は、針の先端に対してより鋭い斜角の先端34を含む。鋭い斜角の先端は、処置に関連する痛みを最小限に抑え、椎間板外の軟組織での前進と位置決めの容易さを最大化するように構成されている。鋭い斜角の先端は、約5度~約60度の角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、鋭い斜角の先端は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60度から角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、鋭い先端は様々な形状にすることができ、三角形、円錐形、先細り、トロカール、または正方形の形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、先端は鋭くなく、または斜角になっていない。
【0030】
針は、カニューレのチャネル36など、カニューレの少なくとも一部分内で摺動するように構成されている。針は、近位端38および遠位端40を含む。先端42は、遠位端で画定され、椎間板の髄核に接触し、カニューレから椎間板の髄核に治療薬を送達するように構成されている。いくつかの実施形態では、
図1Aに示されるように、針の先端は鋭くなっている。いくつかの実施形態では、先端は、約1から約40mmの長さを有することができる。いくつかの実施形態では、長さは、約5mmであり得るか、または約30mmであり得る。いくつかの実施形態では、先端は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39~約40mmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、針は、ユーザに触覚フィードバックを提供するために、カニューレよりも柔軟である。触覚フィードバックと針先によって創出される高い抵抗は、治療材料の浅い輪内送達を容易にする。
【0031】
いくつかの実施形態では、針は、針の先端がカニューレ内にある格納位置内で摺動可能であり、
図1に示すように、針は、針の先端がカニューレの遠位端から突出する伸長位置内で摺動可能である。例えば、注射器のボタン44は、
図1の矢印Aによって示されるように、針がカニューレのチャネルを通って前進し、伸長位置内に摺動するように、ユーザによって押され得る。いくつかの実施形態では、針の先端は、カニューレの遠位端から約5~約15mm突出することができる。いくつかの実施形態では、先端は、カニューレの遠位端から約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14~約15mmまで突出することができる。次に、
図1の矢印Bによって示されるように、ボタンが再び押されたときに、針をカニューレのチャネル内に格納することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、カニューレおよび/または針は、湾曲または引っ掛けることができる。いくつかの実施形態では、カニューレおよび/または針の遠位端のみが湾曲または引っ掛けられている。いくつかの実施形態では、カニューレおよび/または針は、本明細書に記載されるように、処置中に針および/またはカニューレが髄核に入って下向きに湾曲することができるように、湾曲または引っ掛けられる。したがって、器具は後方位置で脊椎に接近することがき、曲線によってカニューレおよび/または針を線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分に位置決めすることが許容されるので、それを貫通させて椎間板の髄核に治療を行うことができる。例えば、入口点が創出され、治療薬は、線維輪/髄核の前方に入って湾曲する、
図2の装置などの装置を用いて、脊椎の後面から接近して送達される。
【0033】
いくつかの実施形態では、カニューレのすべてまたは一部分は、カニューレが髄核などの椎間板内にどれだけ移動したかを表示するように構成されている視覚的しるし23を含むことができる。いくつかの実施形態では、視覚的しるしは、処置中にCTスキャンで表示することができる。いくつかの実施形態では、視覚的しるしは、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、および/または金属ビーズなどのX線写真のしるしである。
【0034】
いくつかの実施形態では、
図5~5Bに示されるように、装置は、代わりに、プローブ45を含むことができる。プローブは、
図5Aに示されるように、端部47を有する針の少なくとも一部分の周りに配置され、椎間板の終板から線維輪の一部分を分離するように構成されている。いくつかの実施形態では、プローブの端部は鋭いか、または鈍い。この実施形態では、針は、
図5Bに示されるように湾曲しており、形状記憶金属から作ることができる。湾曲した針は、線維輪への損傷の発生を低減または防止するように構成されており、椎間板の内部への治療薬の注入を許容する。さらに、この実施形態では、カニューレの遠位端は、触覚フィードバック、装置の適切な配置を容易にし、カニューレが線維輪を貫通するのを防ぐために、
図5に示されるように鈍くなっている。いくつかの実施形態では、カニューレおよび/またはプローブは、
図2に示される視覚的しるし23と同様に、視覚的しるし49を含むことができる。視覚的しるしは、装置が線維輪に挿入された深さ、および/または装置が回転されたかどうかをユーザに示すように構成されている。いくつかの実施形態では、視覚的しるしは放射状である。いくつかの実施形態では、カニューレは、プローブおよび針よりも大きな直径を有し、プローブは、針よりも大きな直径を有する。いくつかの実施形態では、カニューレ、プローブ、および/または針は、約2~約6mmの直径を有することができる。いくつかの実施形態では、直径は、約3~約4mmであり得る。いくつかの実施形態では、カニューレ、プローブ、および針は同軸に整列している。
【0035】
いくつかの実施形態では、
図3に示されるように、針はカニューレに対して同軸であり、針は形状記憶材料を含む。いくつかの実施形態では、針は、本明細書に記載されるように、処置中に髄核内に前進しながら湾曲するように成形することができる。いくつかの実施形態では、形状記憶材料はニチノールを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、形状記憶材料には、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、ポリウレタン/尿素、ポリエーテルエステル、ポリノルボレン、架橋ポリエチレンおよび架橋ポリ(シクロオクテン)などの架橋ポリマー、無機-有機ハイブリッドポリマー、ならびにウレタン/ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマーなどのコポリマーが含まれ得る。形状記憶合金には、TiNi、CuZnAl、およびFeNiAl合金が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、形状記憶針は、剛性の外科用グレードのプラスチックおよび/または金属材料を含むプラスチック材料の射出成形によって製作することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、針は、約4~約34ゲージのゲージを有する。いくつかの実施形態では、針のゲージは、約4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32~約34ゲージであり得る。いくつかの実施形態では、カニューレおよび/または針は、長さが約16~200mmであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、線維輪の部分へのカニューレの先端の挿入を支援するために、潤滑剤が提供される。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、ルブリシン、ポリエチレングリコール、およびそれらのいずれかの組み合わせであり得る。
【0039】
図4に示されるようなカテーテル100などの装置は、椎間板に治療薬を投与するために提供される。いくつかの実施形態では、カテーテルは、本明細書に記載されるように、椎間板の髄核につながる血管に挿入され、椎間板の髄核において、またはその近くで治療薬を送達するように構成されている。カテーテルは、単独で使用することも、
図1~3の装置と組み合わせて使用することもできる。カテーテルは、近位端104から遠位端106まで延びる細長い管状体102を含む。カテーテルの近位端は、ルアーフィッティング108および注射器110と係合するように構成されている。遠位端は、血管、軟骨、および/または骨を貫通するように構成されている尖端105を含むことができる。カテーテルの遠位端は、湾曲または真っ直ぐにすることができ、椎間板と係合し、治療薬を投与するように構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、心臓カテーテルと同様の方法で構成することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、血管のサイズに適応するために特定のサイズであり得る。ガイドワイヤ112は、カテーテルのチャネル114との摺動可能な係合のために配置することができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、血管、軟骨、および/または骨を貫通するように構成されている尖端115を含むことができる。
【0041】
様々な局面において、装置はまた、
図7に示されるように、ユーザが椎間板を視覚化、またはそうでなければ識別することを許容する、超音波、CT、蛍光透視またはMRI、オーバーヘッド3D定位システム(前処置MRIおよび/またはCTを介して)などの画像ガイダンス(IG)装置と結合され得る。
図7に示すように、患者Pを処置室のテーブル上に仰臥位に寝かせることができ、上記の装置は、単独で、または画像ガイダンスおよび/または放射線不透過性材料と組み合わせて、椎間板の髄核を治療薬で治療するために使用することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、
図8~11に示されるように、装置が実装される前に、様々な外科用ツールを使用して椎間板にアクセスすることができる。例えば、患者に切開が行われた後、ガイドワイヤ112と同様に、
図8に示されるようなガイドワイヤ116を、切開部位を通して挿入して、外科的経路(SP)の創出を支援することができる。
図8に示すように、1つ以上の拡張器118を使用して、周囲の組織および骨を触診し、適切な拡張器の位置決めを特定することができる。
図9に示されるように、1つ以上の拡張器を使用して、周囲の筋肉および/または追加の組織を拡張することによって、SPを拡張/拡大することもできる。例えば、拡張器を順番に重ねて置き、SPを拡張/拡大することができる。
図10に示されるように、開創器120は、1つ以上の拡張器の上に挿入することができ、所定の位置にロックされる。次に、拡張器を取り外して、
図11に示すように、手術部位へのSPを確立することができる。いくつかの実施形態では、処置中に外科医を視覚的に支援するために光源122を提供することができる。いくつかの実施形態では、処置は、経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF)処置または斜め腰椎椎体間固定術(OLIF)処置を含むことができるが、これらに限定されない。上記の拡張器は、TLIF椎体間ケージの拡張器と同じまたは異なるサイズである可能性があることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置、手術器具、および/または方法を使用して、罹患した椎骨または椎骨を治療し、および/または罹患していない椎骨または椎骨を予防的に治療することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、装置の構成要素は、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、およびスチレン系熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、非鉄金属含有量が高く、鉄、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミック、またはそれらの組み合わせの相対比率が低い金属合金などの材料から作られ得る。カニューレ、針および/またはカテーテルは、漏斗部分を含むことができ、プランジャーまたは管状部材は、任意選択で、1つ以上の先細り領域を含むことができる。様々な実施形態において、これらの構成要素は、鈍的、斜角、ダイアモンドポイント、ボールチップ、トロカールチップなどであり得る。これらの構成要素はまた、手術部位に応じて、患者の正確な治療に不可欠な先端スタイルを有し得る。先端スタイルの例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、偏向先端、Hustead、Lancet、Tuoheyなどが含まれる。いくつかの実施形態では、装置は、再利用可能な材料から作るか、あるいは、単一の使い捨て使用を許容する材料から作ることができる。
【0044】
方法
図12~14に示すように、椎間板の髄核に治療薬を送達する方法が提供される。この方法は、治療薬を含有する送達ツールを、線維輪の前方部分、外側部分、または前外側部分を通して、かつ椎間板の髄核に挿入することと、椎間板の髄核に治療薬を送達することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療中に線維輪へのさらなる損傷の発生を低減または防止するために、線維輪の後方部分からではなく線維輪の一部分に送達ツールを挿入するように構成されている。例えば、線維輪へのさらなる損傷には、輪状の断裂が含まれ得る。いくつかの実施形態では、送達ツールを後外側線維輪から離して挿入することを選択することにより、椎間板への将来の損傷およびヘルニアのリスクが低減される。
【0045】
いくつかの実施形態では、
図12に示されるように、送達の入口点(EP)は、送達ツールが挿入される前に、終板/線維輪の境界面に外科用ツールを用いて創出される。EPは、脊椎の前面または外側面から創出される。いくつかの実施形態では、外科用ツールは、限られたスペースで動作するのに十分に薄いドリルまたは他のツールであり得る。EPは、送達ツールのアクセスポイントとして使用される。次に、送達ツールは、前方部分または外側部分を通して挿入される。いくつかの実施形態では、送達ツールは、
図2の装置20である。次に、送達ツールはEPに入り、下向きまたは髄核にアクセスする方向に湾曲する。次に、治療薬が送達ツールに挿入され、髄核に投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図13に示されるように、送達のEPは、送達ツールが挿入される前に、脊椎の後方で、上記のように、外科用ツールを用いて創出される。次に、送達ツールを後方に挿入する。いくつかの実施形態では、送達ツールは、
図2のデバイス20である。次に、送達ツールはEPに入り、下向きに、または輪後部を避けて髄核にアクセスする方向に湾曲する。次に、治療薬が送達ツールに挿入され、髄核に投与される。この実施形態では、装置は、
図2の装置が湾曲または引っ掛けられていることに部分的に起因して、線維輪後部を避けている。
【0047】
いくつかの実施形態では、
図14に示されるように、送達の後方のEPは、外科用ツールを用いて創出される。次に、送達ツールが導入される。いくつかの実施形態では、送達ツールは、
図3の装置20である。次に、送達ツールがEPに挿入され、カニューレが後面から前進し、線維輪の湾曲を前方にたどる。前外側面の位置にあるとき、針は湾曲した面で前進し、中心核空間に入る。次に、治療薬が送達ツールに挿入され、髄核に投与される。このようにして、椎間板の線維輪の後面への損傷を低減するために、脊椎の後面を貫通することが低減および/または回避される。
【0048】
いくつかの実施形態では、
図12~14に示される方法は、
図1に示される装置20を使用して実行することができる。例えば、装置は、針が格納位置に置かれた状態で導入される。次に、針は、選択された椎間板の近くに、上記の所望のEPと整列した軌道で位置決めされるまで、軟組織を通って誘導される。次に、針はカニューレから展開され、伸長位置に置かれ、カニューレの斜角の先端から最大約5mmまで伸ばされる。次に、治療材料は、線維輪および/または髄核に送達される。いくつかの実施形態では、触覚先端によって提供されるフィードバックおよび抵抗は、治療材料の浅い輪内送達を容易にする。いくつかの実施形態では、斜角の先端は、処置に関連する痛みを最小限に抑え、椎間板外の軟組織における前進および位置決めの容易さを最大にする。
【0049】
図15~18に示すように、椎間板に治療薬を投与する方法が提供される。この方法は、椎間板の髄核につながる血管にカテーテルを挿入することと、椎間板の髄核において、またはその近くでカテーテルを通して治療薬を送達することと、を含む。いくつかの実施形態では、カテーテルは
図4のカテーテル100であり、治療薬は注射器110によってカテーテルに送達される。椎間板の血管系は、標準的な血管内技術を使用してアクセスされることを理解されたい。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図15および16に示されるように、血管は、椎体の中心の椎体底静脈につながる腎区静脈であるか、または血管は、椎体底動脈につながる腎区静脈である。次に、カテーテルの経路は、ほぼ軸方向に向けられて椎体底静脈または動脈を貫通し、椎体の海綿骨を通って終板を貫通して、椎間板の髄核にアクセスする。いくつかの実施形態では、カテーテルおよび/またはガイドワイヤは、貫通のために使用される。次に、治療薬はカテーテルによって髄核に送達される。いくつかの実施形態では、カテーテルの経路は、血流の同じ方向に移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテルの経路は、血流の反対方向に移動するように構成されている。
【0051】
軟組織(例えば、筋肉、軟骨、皮膚組織、器官組織など)ならびに硬組織(例えば、骨、歯)が、送達ツール(例えば、カニューレ、針など)によって貫通され、維輪および/または髄核において、またはその近くで分岐する血管にアクセスして、治療を椎間板の標的部位に送達できることが当業者によって理解されるであろう。
【0052】
いくつかの実施形態では、
図17に示されるように、椎間板は、
図15および16の方法に記載されているのと同じ事項でアクセスされるが、この実施形態では、治療薬が髄核に送達される前に、カテーテルおよび/またはガイドワイヤが椎体に引き戻される。空隙Vは、椎体の海綿骨の一部および終板の一部分に、これらの領域をカテーテルで貫通することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、空隙は髄核に直接アクセスできる。次に、治療薬は、薬物デポー200によって椎体の空隙に送達される。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、ある期間にわたる髄核への治療薬の持続的放出のために構成されている。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、例えば、注射器またはカテーテルによって、空隙に注入される。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、選択された放出プロファイルを有するヒドロゲルである。
【0053】
当業者であれば、椎間板の線維輪または髄核への直接アクセスが、とりわけ、動脈、静脈、細動脈、もしくは毛細血管などの血管、または、椎間板の線維輪または髄核に直接つながる別の動脈、静脈、細動脈、もしくは毛細血管に分岐し得る血管に装置を挿入することを含むことを理解できるであろう。
【0054】
当業者であれば、椎間板の線維輪または髄核への関節アクセスが、動脈、静脈、細動脈、もしくは毛細血管などの血管、または、椎間板の線維輪もしくは髄核に直接つながる動脈、静脈、細動脈、もしくは毛細血管に分岐し得る血管に装置を挿入することを含み、椎間板の線維輪または髄核を貫通させることなく治療を行うことができることを理解できるであろう。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図18に示されるように、椎間板は、
図15および16の方法で説明されるのと同じ事項でアクセスされる。しかしながら、この実施形態では、終板の貫通後に髄核を貫通する代わりに、湾曲した装置を使用して空隙にアクセスする。いくつかの実施形態では、装置は、
図2の装置20であり得る。装置を空隙に挿入し、湾曲した器具で椎間板の線維輪および/または髄核にアクセスする。いくつかの実施形態では、次に、治療薬は、薬物デポーによって線維輪に送達され、ある期間にわたって治療薬が髄核に持続的放出される。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、注射器またはカテーテルによって、線維輪、例えば、
図2の装置20に注入される。
【0056】
いくつかの実施形態では、椎間板は、
図15および16の方法に記載されているのと同じ事項において、椎体を介して接近される。しかしながら、この実施形態では、カテーテルは椎間板腔に入らない。代わりに、治療薬は上椎体の椎骨静脈叢に放出される。治療薬の血管外溢出を促進するために、治療薬は、1つ以上の血管外遊出促進剤を含有する薬物デポーに投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の血管外遊出促進剤には、限定されないが、スピンゴシン-1-リン酸受容体の拮抗薬/抗体、組換えICAM-1、または局所的な炎症を促進し、それによって血管内腔の透過性を増加させる内皮刺激剤が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の血管外遊出促進剤の投与は、細胞または大きな分子が、血管内腔の別の密着結合を横断し、終板から標的椎間板腔に拡散することを許容する。
【0057】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、処置を支援するために他の装置と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、ツールは、バルーン、ステント、閉鎖装置、および/または画像誘導装置を含むことができるが、これらに限定されない。
【0058】
様々な態様において、
図7に示すように、超音波、CT、蛍光透視またはMRI、(前処置MRIおよび/またはCTを介する)オーバーヘッド3D定位システムなどの画像誘導装置は、ユーザが椎間板を視覚化、またはそうでなければ識別することを許容する。例えば、本明細書に記載の方法および装置と組み合わせるのに有用な画像装置は、限定されることなく、磁気共鳴イメージング(MRI)、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)、磁気共鳴分光法(MRS)、拡散MRI(DWI)、拡散テンソルMRI(DTI)、脳波記録(EEG)、脳磁図(MEG)、核神経画像、陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、統計パラメトリックマッピングによる発作間欠期SPECT解析(ISAS)、コンピュータ断層撮影(CT)、X線撮影、蛍光透視、血管造影、超音波撮影、経頭蓋磁気刺激(TMS)、経頭蓋直流刺激(tDCS)、経頭蓋電気刺激(TES)、運動誘発電位(MEP)、体性感覚誘発電位(SSEP)、体性感覚誘発電位の位相反転、誘発電位,皮質脳波記録(ECoG)、直接皮質電気刺激(DCES)、微小電極記録(MER)、または局所電界電位記録(LFP)を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、様々なナビゲーションおよび/またはロボットシステム、装置、およびソフトウェアを使用して、患者への治療薬の投与を支援することができる。例えば、ミネソタ州ミネアポリスにあるMedtronic社が所有するMazor X(商標)Stealth Edition、StealthStation(商標)、MazorX(商標)、および/またはO-arm(商標)を使用することができる。
【0060】
様々な実施形態において、装置の1つ以上の構成要素は、最終包装の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品コンポーネントを個別に滅菌し、最終パッケージを滅菌環境で組み立てる必要がある無菌プロセスなどのプロセスよりも、滅菌の保証が大きくなる。
【0061】
様々な実施形態では、ガンマ線が最終滅菌ステップで使用され、これは、骨材料調剤装置に深く浸透するガンマ線からのイオン化エネルギーを利用することを伴う。ガンマ線は微生物を殺すのに非常に効果的で、残留物を残さず、機器に放射能を与えるほどのエネルギーも有していない。ガンマ線は、装置がパッケージ内にあり、ガンマ滅菌が高圧または真空条件を必要としない場合に使用できるため、パッケージシールやその他の構成要素にストレスがかからない。さらに、ガンマ線は透過性の包装材料の必要性を排除する。
【0062】
様々な実施形態において、電子ビーム(e-ビーム)放射は、骨材料調剤装置の1つ以上の構成要素を滅菌するために使用することができる。e-ビーム放射は、電離エネルギーの形態を含み、一般に透過性が低く、線量率が高いという特徴がある。e-ビーム放射は、微生物の生殖細胞を含む、接触時に様々な化学的および分子的結合を変化させるという点で、ガンマ線処理に似ている。e-ビーム滅菌用に生成されたビームは、電気の加速と変換によって生み出された、集中した高電荷の電子の流れである。
【0063】
装置を滅菌するために、例えば、エチレンオキシドなどのガス滅菌または蒸気滅菌を含むがこれらに限定されない他の方法も使用することができる。
【0064】
治療薬
いくつかの実施形態では、治療薬は、デポー、ゲル、ヒドロゲル、幹細胞、椎間板起因細胞、多血小板血漿、血液、骨髄濃縮液、サイトカイン、成長および分化因子、緩衝液、生理食塩水、ヒアルロン酸、微粉化した自己椎間板、微粉化した同種椎間板、軟骨、またはそれらの組み合わせを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療薬は、適切な希釈剤などの液体材料と混合され、次いで、装置に装填され得る。カニューレは、治療薬と一定量の希釈剤を混合するのに十分なスペースを有し得る。いくつかの実施形態では、希釈剤は、デキストロース、サッカロース、フルクトース、グルコース、乳酸リンゲル、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトールを含むがこれらに限定されないポリオール、天然またはアルファ化でんぷん、マルトデキストリン、シクロデキストリンを含むがこれらに限定されない多糖類、二水和物または無水物のリン酸二またはリン酸三カルシウムを含むがこれらに限定されないミネラル化合物、微結晶セルロースを含むがこれに限定されないセルロース誘導体、その一水和物または無水物のラクトース、ならびにそれらの混合物、例えばリン酸二カルシウム二水和物、マンニトール、アルファ化トウモロコシでんぷん、微結晶セルロースおよびそれらの混合物、水および/またはNaCl(生理食塩水)などを含む。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.90%生理食塩水、または0.45%生理食塩水である。いくつかの実施形態では、例えば、D5W(5%の水におけるデキストロース)、D5NS(5%の水および通常の生理食塩水におけるデキストロース)、およびD5W/1/2NS(D5Wおよび1/2の通常の生理食塩水)、血液、間充織幹細胞など、他の送達媒担体を使用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、治療薬は、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、骨誘導性成長因子、抗菌剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。骨誘導剤には、骨形成タンパク質(「BMP」)のファミリーの1つ以上のメンバが含まれる。BMPは、内在性の骨組織に対して骨誘導または成長促進作用を有し、またはプロコラーゲン前駆体として機能すると考えられているタンパク質のクラスである。BMPファミリーの既知のメンバには、BMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14(GDF-5)、BMP-15、BMP-16、BMP-17、BMP-18、ならびにそれらのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにそれらをコードする成熟ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
骨誘導剤として利用されるBMPは、BMP-1および/またはBMP-2、ならびにこれらのBMPの1つ以上の組み合わせが含み得、完全長のBMPまたはその断片、あるいはそれらの組み合わせが、ポリペプチドまたは記載されたBMPのすべてのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドとして含まれる。単離されたBMP骨誘導剤は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、全長タンパク質、またはそれらの組み合わせとして投与することができる。
【0068】
確かに、骨誘導因子は、無制限の供給で利用可能であり、感染症を伝播しないため、組換えヒト骨形成タンパク質(rhBMP)である。いくつかの実施形態では、骨形成タンパク質は、rhBMP-2またはそのヘテロ二量体である。組換えBMP-2は、約0.4mg/mL~約10.0mg/mL、好ましくは約1.5mg/mLの濃度で使用することができる。
【0069】
治療薬は、TGF-βスーパーファミリーの1つ以上のメンバと混合することができる。例えば、マトリックスは、AMH、ARTN、GDF1、GDF10、GDF11、GDF15、GDF2、GDF3、GDF3A、GDF5、GDF6、GDF7、GDF8、GDF9、GDNF、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、LEFTY1、LEFTY2、MSTN、NODAL、NRTN、PSPN、TGFB1、TGFB2、TGFB3、FGF、塩基性FGF、VEGF、インスリン様成長因子、EGF、PDGF、神経成長因子またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、治療薬は、限定されないが、Kineret(登録商標)(アナキンラ)などのIL-1阻害剤を含み得、これはヒトインターロイキン-1受容体拮抗薬(IL-1Ra)の組換え非グリコシル化型、またはIL-1の作用を遮断するモノクローナル抗体であるAMG108である。治療薬は、グルタミン酸およびアスパラギン酸などの興奮性アミノ酸、NMDA受容体、AMPA受容体、および/またはカイニン酸受容体に結合するグルタミン酸の拮抗薬または阻害剤を含み得る。治療薬は、炎症を軽減し、インターロイキン-1受容体拮抗薬、サリドマイド(TNF-α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF-α産生を減少させる)、キナプリル(アンギオテンシンIIの阻害剤、TNF-αをアップレギュレートする)、IL-11(TNF-α受容体の発現を調節する)などのインターフェロン、またはオーリン-トリカルボン酸(TNF-αを阻害する)を含み得るが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態では、治療薬は、鎮痛剤を含み得るが、これに限定されない。鎮痛剤の例には、アセトアミノフェン、トラマドール、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ケトベミドン、レボメタジル、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルフィン、ナルブフィン、オピウム、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチン、またはそれらの組み合わせなどのオピオイド鎮痛薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
治療薬には、抗炎症剤が含まれ得るが、これに限定されない。抗炎症剤の例には、クロニジン、スリンダック、スルファサラジン、ナロキシン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、デソキシスリンダック、テノキシカム、ケトララック、クロニジン、フルフェニサル、サルサレート、トリエタノールアミンサリチル酸、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナミン酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルシン、アロプリノール、オキシプリノール、ベンジダミン塩酸塩、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、ミンバン塩酸塩、パラニレン塩酸塩、テトリダミン、ベンジンドピリン塩酸塩、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキセン、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモール、フルチアジン、メタザミド、レチミド塩酸塩、ネキセリジン塩酸塩、オクタザミド、モリナゾール、ネオシンコフェン、ニマゾール、クエン酸プロキサゾール、テシカム、テシミド、トルメチン、トリフルミデート、フェナメート(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金、テポキサリン、ジチオカルバメート、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
抗炎症剤にはまた、ステロイドが挙げられ、例えば、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾル、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21酢酸塩、デキサメタゾン21リン酸ジ-Na塩、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオメソロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニヴァル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、またはこれらの組み合わせがある。
【0074】
治療薬には、スタチンが含まれ得るが、これに限定されない。有用なスタチンの例には、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン(米国特許第3,883,140号参照、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)、ベロスタチン(シンビノリンとも呼ばれる、米国特許第4,448,784号および同第4,450,171号参照、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)、フルバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、およびフルインドスタチン(Sandoz XU-62-320)、ダルバスタチン(EP出願公開第738510A2号、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)、エプタスタチン、ピタバスタチン、またはそれらの薬学的に許容される塩、あるいはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、スタチンは、スタチンの(+)Rおよび(-)-Sエナンチオマーの混合物を含み得る。様々な実施形態では、スタチンは、スタチンの1:1のラセミ混合物を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、治療薬は、抗菌剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗菌剤としては、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られるトリクロサン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、ならびに硫酸クロルヘキシジンが含まれるクロルヘキシジンおよびその塩、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質、ならびにスルファジアジン銀が含まれる銀およびその塩、ポリミキシン、テトラサイクリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンなどのアミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジキシン酸、ペフロキサシン、エノキサシン、およびシプロフロキサシンなどのキノロン、オキサシリンおよびピプラシルなどのペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0076】
抗菌剤の例には、例示として、アセダプソン、アセトスルホンナトリウム、アラメシン、アレキシジン、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アミサイクリン、アミフロキサシン、メシル酸アミフロキサシン、アミカシン、アミカシン硫酸塩、アミノサリチル酸、アミノサリチル酸ナトリウム、アモキシシリン、アンフォマイシン、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アパルシリンナトリウム、アプラマイシン、アスパルトシン、アストロミシン硫酸塩、アビラマイシン、アボパルシン、アジスロマイシン、アズロシリン、アズロシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、バシトラシン、バシトラシンメチレンジサリチル酸塩、バシトラシン亜鉛、バンベルマイシン、ベンゾイルパスカルシウム、ベリスロマイシン、硫酸ベタミシン、ビアペネム、ビニラマイシン、ビフェナミン塩酸塩、ビスピリチオンマグスルフェックス、ブチカシン、ブチロシン硫酸塩、カプレオマイシン硫酸塩、カルバドックス、カルベニシリン二ナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、カルベニシリンフェニルナトリウム、カルベニシリンカリウム、カルモナムナトリウム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファマンドールナファテ、セファマンドールナトリウム、セファパロール、セファトリジン、セファザフルナトリウム、セファゾリン、セファゾリンナトリウム、セフブペラゾン、セフジニル、セフェピム、セフェピム塩酸塩、セフェテコール、セフィキシム、セフメノキシム塩酸塩、セフメタゾール、セフメタゾールナトリウム、セフォニシド一ナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォラニド、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォテタン二ナトリウム、セフォチアム塩酸塩、セフォキシチン、セフォキシチンナトリウム、セフピミゾール、セフピミゾールナトリウム、セフピラミド、セフピラミドナトリウム、セフピロム硫酸塩、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジンナトリウム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムピボキセチル、セフロキシムナトリウム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファレキシン塩酸塩、セファログリシン、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフラジン、セトサイクリン塩酸塩、セトフェニコール、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミテート、クロラムフェニコールパントテン酸複合体、クロラムフェニコールコハク酸ナトリウム、クロルヘキシジンホスファニレート、クロロキシレノール、クロルテトラサイクリン重硫酸塩、クロルテトラサイクリン塩酸塩、シノキサシン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シロレマイシン、クラリスロマイシン、クリナフロキサシン塩酸塩、クリンダマイシン、クリンダマイシン塩酸塩、パルミチン酸クリンダマイシン塩酸塩、リン酸クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリンベンザチン、クロキサシリンナトリウム、クロルヘキシジン、クロキシキン、コリスチメートナトリウム、コリスチン硫酸塩、クメルマイシン、クメルマイシンナトリウム、シクラシリン、サイクロセリン、ダルホプリスチン、ダプソン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、デメクロサイクリン塩酸塩、デメサイクリン、デノフンギン、ジアベリジン、ジクロキサシリン、ジクロキサシリンナトリウム、ジヒドロストレプトマイシン硫酸塩、ジピリチオン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、ドキシサイクリンカルシウム、ドキシサイクリンフォスファテックス、ドキシサイクリンヒクラート、ドロキサシンナトリウム、エノキサシン、エピシリン、エピテトラサイクリン塩酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストラート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシングルセプテート、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンプロピオネート、エリスロマイシンステアレート、エタンブトール塩酸塩、エチオナミド、フレロキサシン、フルクロキサシリン、フルダラニン、フルメキン、ホスホマイシン、ホスホマイシントロメタミン、フモキシシリン、塩化フラゾリウム、酒石酸フラゾリウム、フシジン酸ナトリウム、フシジン酸、ガンシクロビルおよびガンシクロビルナトリウム、ゲンタマイシン硫酸塩、グロキシモナム、グラミシジン、ハロプロギン、ヘタシリン、ヘタシリンカリウム、ヘキセジン、イバフロキサシン、イミペネム、イソコナゾール、イセパマイシン、イソニアジド、ジョサマイシン、カナマイシン硫酸塩、キタサマイシン、レボフラルタドン、レボプロピルシリンカリウム、レキシトロマイシン、リンコマイシン、リンコマイシン塩酸塩、ロメフロキサシン、ロメフロキサシン塩酸塩、ロメフロキサシンメシレート、ロラカルベフ、マフェニド、メクロサイクリン、メクロサイクリンスルホサリチル酸塩、メガロミシンリン酸カリウム、メキドクス、メロペネム、メタサイクリン、メタサイクリン塩酸塩、メテナミン、ヒプラチン酸メテナミン、メテナミンマンデレート、メチシリンナトリウム、メチオプリム、メトロニダゾール塩酸塩、メトロニダゾールリン酸塩、メズロシリン、メズロシリンナトリウム、ミノサイクリン、ミノサイクリン塩酸塩、ミリンカマイシン塩酸塩、モネンシン、モネンシンナトリウム、ナフシリンナトリウム、ナリジキサートナトリウム、ナリジクス酸、ナテナイシン、ネブラマイシン、パルミチン酸ネオマイシン、ネオマイシン硫酸塩、ネオマイシンウンデシレン酸塩、硫酸ネチルマイシン、ニュートラマイシン、ニフイラデン、ニフラルデゾン、ニフラテル、ニフラトロン、ニフルダジル、ニフリミド、ニフィウピリノール、ニフルキナゾール、ニフルチアゾール、ニトロサイクリン、ニトロフラントイン、ニトロミド、ノルフロキサシン、ノボビオシンナトリウム、オフロキサシン、オンネトプリム、オキサシリンおよびオキサシリンナトリウム、オキシモナム、オキシモナムナトリウム、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンカルシウム、オキシテトラサイクリン塩酸塩、パルジマイシン、パラクロロフェノール、パウロマイシン、ペフロキサシン、メシル酸ペフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンGナトリウム、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、およびペニシリンVカリウムなどのペニシリン、ペンチジドンナトリウム、フェニルアミノサリチル酸塩、ピペラシリンナトリウム、ピルベニシリンナトリウム、ピリジシリンナトリウム、ピリリマイシン塩酸塩、塩酸ピバンピシリン、ピバンピシリンパモエート、ピバンピシリンプロベネート、ポリミキシンb硫酸塩、ポルフィロマイシン、プロピカシン、ピラジナミド、ピリチオン亜鉛、酢酸キンデカミン、キヌプリスチン、ラセフェニコール、ラモプラニン、ラニマイシン、レロマイシン、レプロミシン、リファブチン、リファメタン、リファメキシル、リファミド、リファンピン、リファペンチン、リファキシミン、ロリテトラサイクリン、硝酸ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、ロサラマイシンブチレート、プロピオン酸ロサラマイシン、ロサラマイシンリン酸ナトリウム、ステアリン酸ロサラマイシン、ロソキサシン、ロキサルソン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、サンフェトリネムナトリウム、サルモキシシリン、サルピシリン、スコパファンギン、シソマイシン、硫酸シソマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン塩酸塩、スピラマイシン、スタリマイシン塩酸塩、ステフィマイシン、ストレプトマイシン硫酸塩、ストレプトニコジド、スルファベンズ、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファセタミドナトリウム、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジアジンナトリウム、スルファドキシン、スルファレン、スルファメラジン、スルファメーター、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファモキソール、スルファニル酸亜鉛、スルファニトラン、スルファサラジン、スルファソミゾール、スルファチアゾール、スルファザメット、スルフィソキサゾール、スルフィソキサゾールアセチル、スルフィスボキサゾールジオラミン、スルホミキシン、スロペネム、スルタムリシリン、サンシリンナトリウム、タランピシリン塩酸塩、テイコプラニン、テマフロキサシン塩酸塩、テモシリン、テトラサイクリン、テトラサイクリン塩酸塩、テトラサイクリンリン酸複合体、テトロキソプリム、チアンフェニコール、チフェンシリンカリウム、チカルシリンクレシルナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、チカルシリン一ナトリウム、チクラトン、塩化チオドニウム、トブラマイシン、トブラマイシン硫酸塩、トスフロキサシン、トリメトプリム、トリメトプリム硫酸塩、トリスルファピリミジン、トロレアンドマイシン、トロスペクトマイシン硫酸塩、チロスリシン、バンコマイシン、バンコマイシン塩酸塩、バージニアマイシン、ゾルバマイシン、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
抗菌剤は、治療剤と混合することができる抗ウイルス剤であり得る。抗ウイルス剤には、ビダラビン、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(AZT(ジドブジン)、ddI(ジダノシン)、ddC(ザルシタビン)、d4T(スタブジン)、および3TC(ラミブジン)など)、ネビラピン、デラビルジン、プロテアーゼ阻害剤(サキナビル、リトナビル、インジナビル、およびネルフィナビルなど)、リバビリン、アマンタジン、リマンタジン、ニューラミニダーゼ阻害剤(ザナミビル、およびオセルタミビルなど)、プレコナリル、シドフォビル、フォスカネット、および/またはインターフェロンが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
薬物デポー
いくつかの実施形態では、治療薬は、
図17および18に示されるように、椎間板の線維輪または髄核、または椎間板において、またはその近くに位置する空隙において、またはその近くで薬物デポー200によって送達される。いくつかの実施形態では、薬物デポーには、ヒドロゲル、カプセル、ミクロスフェア、粒子、コーティング、マトリックス、ウエハ、ピル、ペレット、または他の医薬送達組成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
様々な実施形態では、デポーは、薬物の即時放出または持続的放出を提供し得る生体侵食性、生体吸収性、および/または生分解性の生体高分子を含み得る。適切な持続的放出性生体高分子の例には、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)抱合体、ポリ(オルトエステル)(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、でんぷん、アルファ化でんぷん、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギネート、アルブミン、フィブリン、アルファトコフェリル酢酸塩などのビタミンE類似体、d-アルファトコフェリルコハク酸塩、D、L-ラクチド、またはL-ラクチド、、-カプロラクトン、デキストランス、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-g-PLGA、PEGT-PBTコポリマー(多活性)、メタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、PEO-PPO-PEO(プルロニクス)、PEO-PPO-PAAコポリマー、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG、PLA-PLGA、ポロキサマー407、PEG-PLGA-PEGトリブロックコポリマー、SAIB(スクロース酢酸イソブチレート)またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。当業者が知っているように、mPEGはPLGAの可塑剤として使用できるが、他のポリマー/賦形剤を使用して同じ効果を達成することもできる。mPEGは、得られた配合物に展性を与える。様々な実施形態では、薬物デポーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D-ラクチド、D、L-ラクチド、L-ラクチド、D、L-ラクチド--ε-カプロラクトン、D、L-ラクチド-グリコリド-ε-カプロラクトン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0080】
様々な実施形態では、薬物デポーは、治療有効量の治療薬が装填された薬物ペレットを含む。様々な実施形態では、薬物ペレットは、粘性形態のゲルまたはヒドロゲル、および治療薬が充填されたミクロスフェアを含む。ペレットは、例えば、弾丸形状、球形、実質的な球形、フレーク状、棒状、正方形、楕円形などのいずれかの形状であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、治療有効量の治療薬は、椎間板において、またはその近くで薬物デポーによって投与され得る。「治療有効量」とは、薬物を投与すると、炎症の抑制、痛みの軽減または緩和、状態の改善などの生物活性の変化をもたらすものである。患者への投与量は、薬物の薬物動態特性、投与経路、患者の状態および特性(性別、年齢、体重、健康状態、体格など)、症状の程度、併用する治療法、治療の頻度、求める効果を含む、様々な要因に応じて、単回または複数回投与することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、薬物デポーは、選択された薬物放出プロファイルを有し、治療薬は、ある期間にわたって椎間板において、またはその近くで送達される。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、治療薬を直ちに放出するように設計されている。他の実施形態では、薬物デポーは持続的放性のために設計されている。他の実施形態では、薬物デポーは、1つ以上の即時放出表面および1つ以上の持続的放表面を含む。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、5日、10日、15日、20日、25日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月~1年の期間にわたって治療薬を放出する。
【0083】
様々な実施形態では、薬物デポーは、移植後最初の24時間~48時間以内に治療薬の初期バースト用量を引き起こすように設計することができる。「初期バースト」または「バースト効果」「バースト放出」または「大量瞬時投与量」は、薬物デポーが房水と接触した後の最初の24時間~48時間の間の薬物デポーからの治療薬の放出を指す。「バースト効果」は、薬物デポーからの治療薬の放出の増加によると考えられている。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、24時間または48時間にわたって、薬物の約10%、15%、20%、25%、30%、35%、45%~約50%を放出する1つ以上のバースト放出表面を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬物デポーは、約1×102~約6×105dyn/cm2、または2×104~約5×105dyn/cm2、または5×104~約5×104~約5×105dyn/cm2範囲の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、薬物デポーは、固体の形態である。
【0085】
いくつかの実施形態では、治療薬は、固体または半固体の形態の薬物デポーにおいて投与される。薬物デポーの固体または半固体の形態は、約1~約2000センチポアズ(cps)、1~約200cps、または1~約100cpsの範囲の予め投与された粘度を有し得る。固体または半固体の薬物デポーは標的部位に投与された後、半固体または固体のデポーの粘度が増加し、半固体は約1×102~約6×105dynes/cm2、または2×104~約5×105dynes/cm2、または5×104~約5×105dynes/cm2の範囲内の弾性率を有することになる。
【0086】
様々な実施形態では、半固体または固体の薬物デポーは、固有粘度(IV)によって示されるように、約0.10dL/g~約1.2dL/g、または約0.20dL/g~約0.50dL/gの分子量(MW)を有するポリマーを含み得る。他のIV範囲には、約0.05~約0.15dL/g、約0.10~約0.20dL/g、約0.15~約0.25dL/g、約0.20~約0.30dL/g、約0.25~約0.35dL/g、約0.30~約0.35dL/g、約0.35~約0.45dL/g、約0.40~約0.45dL/g、約0.45~約0.55dL/g、約0.50~約0.70dL/g、約0.55~約0.6dL/g、約0.60~約0.80dL/g、約0.70~約0.90dL/g、約0.80~約1.00dL/g、約0.90~約1.10dL/g、約1.0~約1.2dL/g、約1.1~約1.3dL/g、約1.2~約1.4dL/g、約1.3~約1.5dL/g、約1.4~約1.6dL/g、約1.5~約1.7dL/g、約1.6~約1.8dL/g、約1.7~約1.9dL/g、または約1.8~約2.1dL/gが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
ポリマーの分解時間は、1日~1年である可能性がある。いくつかの実施形態では、分解時間は、約1日~約180日である。いくつかの実施形態では、分解時間は、約1日、5日、10日、15日、30日、60日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、340日~約1年である。
【0088】
キット
様々な実施形態では、治療剤が予め充填された装置を含むキットが提供されるか、またはキットが装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、治療薬、注射器、潤滑剤、チューブ、拡張器(ワイプ、針など)などの装置とともに追加の部品を含んでもよい。キットは、第1の区画に装置を含んでもよい。第2の区画は、容器に、または注射器内に封入された治療薬に加え、希釈剤を含有するバイアルや、局所送達に必要な他の投与器具を含んでもよい。第3の区画は、手袋、ドレープ、創傷被覆材、および他の無菌状態を維持するための処置用品、ならびに治療薬の投与方法を示すチャートを含み得る取扱説明書を含んでもよい。第4の区画は、追加の針、留め具、組織接着剤、および/または縫合糸を含んでもよい。各ツールは、放射線滅菌されたプラスチックパウチに別個に入れてもよい。第5の区画は、放射線撮像のための薬品を含んでもよい。キットのカバーには、手順のイラストを含めることができ、無菌状態を保つために区画の上に透明なプラスチックカバーを置くことができる。
【0089】
当業者は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、2つ以上の実施形態を組み合わせ得ることを認識することを理解されたい。
【0090】
本発明は実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更を行うことができることを認識するであろう。
【国際調査報告】