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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】ウェアラブル心臓血管監視デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
A61B5/022 B
A61B5/022 100Z
A61B5/022 400L
A61B5/022 400M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562330
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2020053623
(87)【国際公開番号】W WO2020212913
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/836,317
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.WINDOWS
3.UNIX
4.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】521458797
【氏名又は名称】42 ヘルス センサー ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シェルドン ロバート スタンレー
(72)【発明者】
【氏名】ローチ ダニエル エドワード
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB08
4C017AC02
4C017BC11
4C017FF18
(57)【要約】
ウェアラブル心臓血管監視デバイスは、人間の耳を使用した血圧測定のために構成された力センサを備える。デバイスは、耳の上に着用され、耳万力の第1の万力面が耳の一方の側に接触しており、耳万力の第2の万力面が耳の他方の側に接触している。力は、万力面のうちの一方または両方を通じて耳に加えられ、血圧を測定するために使用される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル心臓血管監視デバイスであって、
人間の耳の第1の側に、前記耳の前記第1の側に接触するための第1の万力面を用いて着用されるように構成されている、第1の部分と、
前記耳の第2の側に、前記耳の前記第2の側に接触するための第2の万力面を用いて着用されるように構成されている、第2の部分であって、血圧測定用に構成された力センサを含む、第2の部分と、
前記耳の上に着用され、かつ前記第1の部分および前記第2の部分に取り付けられるように構成されている、第3の部分と、を備える、ウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項2】
前記第1の部分は、粘弾性モトフェーズサンプリングを実施するように構成された電子部を備える、請求項1に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項3】
前記第1の部分は、モータ、ギアボックス、およびギアを備え、前記ギアは、前記第1の万力面と接触している、請求項2に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項4】
前記第1の部分の粘弾性モトフェーズサンプリングは、前記モータをサンプリングし、前記サンプルを、前記センサバスを介してアナログ-デジタル変換器(ADC)に提供する、請求項3に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項5】
前記ADCは、前記第2の部分に含まれる、請求項4に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項6】
前記第3の部分は、粘弾性クリップを備える、請求項1に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項7】
前記耳の前記第1の側は、前記耳の後部にあり、前記耳の前記第2の側は、前記耳の前部にある、請求項1に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項8】
前記第1の万力面および前記第2の万力面は、前記耳万力に含まれ、前記耳万力は、閉じ込め圧力が前記耳の組織に加えられ、含まれる前記耳の脈動動脈が、前記耳の前記組織の測定されたパラメータに複数の脈動変化を引き起こす閉じ込め圧力下で膨張および収縮するような、振動測定デバイスである、請求項1に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項9】
前記閉じ込め圧力は、前記耳万力を介して前記耳の平面に対して垂直に加えられる、請求項8に記載のウェアラブル心臓血管監視デバイス。
【請求項10】
耳に圧力を加えるように構成された、第1の万力面と、第2の万力面と、を備える、耳万力と、
前記耳に加えられる前記圧力を使用して血圧を測定するためのセンサと、を備える、心臓血管監視デバイス。
【請求項11】
前記第1の万力面は、前記耳の一方の側に接触し、前記第2の万力面は前記耳の他方の側に接触する、請求項10に記載の心臓血管監視デバイス。
【請求項12】
前記耳万力は、前記耳の組織に圧力を加えるように構成され、前記耳の脈動動脈は、閉じ込め圧力下で膨張および収縮し、前記耳の前記組織の測定されたパラメータに複数の脈動変化を引き起こす、請求項10に記載の心臓血管監視デバイス。
【請求項13】
前記第1の万力面は、圧縮力がミクロン規模の変位を引き起こし、それが力に比例する電圧に変換されるように配設されている、請求項10に記載の心臓血管監視デバイス。
【請求項14】
前記圧縮力を生成するギアボックスとモータとをさらに備え、複数の脈動血圧変化がさらに前記圧縮力を生成する、請求項13に記載の心臓血管監視デバイス。
【請求項15】
前記ミクロン規模の変位は、圧縮された耳組織全体で測定されるか、または前記耳の一方の側で、前記第1の万力面の後部または前記第2の万力面の後部で測定される、請求項13に記載の心臓血管監視デバイス。
【請求項16】
人の血圧を測定するための方法であって、
前記人の耳にウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力取得力を設定することと、
前記耳の上の前記ウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力力を監視することと、
前記耳の上の前記ウェアラブル心臓血管監視デバイスからデータを取得することと、
前記取得したデータを出力することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記データを取得することは、連続的な血圧波形を取得することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記データを取得することは、拡張期血圧、収縮期血圧、および心拍数の描画を実施することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記取得したデータをコンパイルすることと、レポートファイルを生成することと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ウェアラブル心臓血管監視デバイスの収縮期血圧と、拡張期血圧と、をキャリブレーションすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月19日に出願された「Systems and Methods for Non-Invasive Detection of Blood Pressure」と題された米国仮特許出願第62/836,317号の優先権の利益を主張し、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
失神または高血圧を経験している患者を診断または監視するために、医師は患者の血圧(BP)データを必要とする。診療所での予約中に医師によって行われる測定では、読み取り時における患者の血圧しか取得されず、通常の1日を通じた血圧の一時的な変化は検出されない。多くの場合、1回の読み取りでは不十分であるため、長期間にわたって収集されたBPデータが医師によって注文される。典型的に、このデータは、24時間にわたって自由行動下血圧(BP)測定器を使用して収集される。
【0003】
標準的な自由行動下BP測定器は、診断期間中にユーザの腕に着用される自動的に膨張可能なカフからなり、空気供給チューブによって測定デバイスに接続されている。これらの測定器は、1日の約15~30分毎に血圧を測定するために自動的に膨張してユーザの腕を締め付けるため、着用が面倒で通常の活動に支障をきたす。カフが膨張して読み取りを行っているときは、可能であれば、ユーザは動きを制限して座ることが推奨される。不利なことに、膨張したカフで定期的に中断されると、ユーザは、通常の1日を体験することができない。加えて、指定された時間間隔で測定が行われると、収集されるデータは、連続した中断のないデータストリームではなく、一連の個別の測定値であるため、患者の監視期間中の完全な血圧データを真に提供することにならない。
【0004】
血圧を測定するための、膨張可能なカフのない他のデバイスが提案されている。Uenishiらの米国特許出願公開第2007/0135717号は、圧力検出機構を含むが、継続的な測定を可能にせず、むしろ血圧カフと同様の単一の測定を提供する。
【発明の概要】
【0005】
一実装形態では、ウェアラブル心臓血管監視デバイスは、人間の耳の第1の側に、この耳の第1の側に接触するための第1の万力面を用いて着用されるように構成されている、第1の部分と、耳の第2の側に、この耳の第2の側に接触するための第2の万力面を用いて着用されるように構成されている、第2の部分と、を備え、第2の部分は、血圧測定用に構成された力センサを含み、第3の部分は、耳の上に着用されて、第1の部分および第2の部分に取り付けられるように構成されている。
【0006】
一実装形態では、心臓血管監視デバイスは、耳に圧力を加えるように構成された第1の万力面と第2の万力面とを含む耳万力と、耳に加えられた圧力を利用して血圧を測定するセンサと、を備える。
【0007】
一実装形態では、人の血圧を測定するための方法は、人の耳にウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力取得力を設定することと、耳上のウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力力を監視することと、耳上のウェアラブル心臓血管監視デバイスからデータを取得することと、取得したデータを出力することと、を含む。
【0008】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに記述する概念の選択を簡略化された形式で導入するために提供される。本概要は、主張された主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、主張された主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
前述の概要、ならびに以下に詳述する例示的な実施形態の説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解される。実施形態を例示する目的で実施形態の構成例を図面に示すが、実施形態は開示された特定の方法および手段に限定されない。図面は以下のとおりである。
図1】ウェアラブル心臓血管監視デバイスの実装図である。
図2】ウェアラブル心臓血管監視デバイスの別の図である。
図3】ウェアラブル心臓血管監視デバイスと共に使用可能なドッキングステーションの実装図である。
図4】耳万力のひずみの瞬間的な変化に対する粘弾性応答の例を示すグラフである。
図5】非圧縮性鋼ディスク上での耳万力のストップアンドゴー圧縮および減圧の、3サイクルの例を示すグラフである。
図6】耳組織の耳万力圧縮によって作成された瞬間的なひずみの増加に対する粘弾性応答によって作成された、応力緩和運動に重ね合わされた、例示的な動脈血圧波形を示すグラフである。
図7】パルス幅変調(PWM)と同位相の動脈血圧をサンプリングするための粘弾性モトフェーズサンプリング(VEMPS)技法の、例示的な略図を示すグラフである。
図8】基準点を正確に特定するために使用され得る例示的な信号処理技法のグラフである。
図9】ウェアラブル心臓血管監視デバイスと共に使用可能な、血圧測定用システムの実装図である。
図10】ウェアラブル心臓血管監視デバイスを用いた血圧測定方法の、別の実装の動作フローである。
図11】例示的な実施形態および態様が実装され得る例示的なコンピューティング環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
指先、手首、および上腕と比較して、耳は動脈血圧(BP)を検出するのに非常に安定した場所である。人が歩行または運動するときに耳が揺れることはなく、耳は筋肉の活性化/非活性化による信号アーチファクトを経験せず、かつ頭へのアーチ状の軟骨接続は目立たず安定した取り付け構造を提供する。さらに、ほとんどの耳は、脈動動脈に近接するどこかに位置する平面軟骨要素を明示する。平面軟骨要素は大きい必要はなく、耳組織全体の動脈の平面圧縮に適応するのに十分な大きさであればよい。湾曲した軟骨の存在下で経耳組織を圧迫すると、圧縮デバイスの平面が湾曲した軟骨を均一に圧縮しようとするため異なる圧迫をもたらすので、湾曲した軟骨は、より大きな課題を提示する。
【0011】
図1は、ウェアラブル心臓血管監視デバイス100の実装図である。デバイス100は、第3の部分180によって互いに固定された第1の部分110と第2の部分150とを備える。デバイス100は、例えば、耳195の上に着用され得る。いくつかの実装形態では、第1の部分110は、耳195の後部に着用され得、第2の部分150は、耳195の前部に着用され得る。いくつかの実装形態では、第3の部分180は、第1の部分110および第2の部分150に取り付けられ得、第1の部分110と第2の部分150とを接合し、耳195上に着用され得る。
【0012】
第1の部分110は、電子部115および機械部120を備える。第1の部分110は、ハウジング112内に含まれ得る。いくつかの実装形態では、電子部115は、図11に関して説明するコンピューティングデバイス1100などのコンピューティングデバイスの1つ以上の態様、特徴、または構成要素を含み得る。いくつかの実装形態では、電子部115は、1つ以上のマイクロコントローラ、BluetoothLE(Bluetooth Low Energy、本明細書ではBTとも称される)、フラッシュRAMおよび/または他のストレージもしくはメモリ、リアルタイムクロック、63mAhリポバッテリなどのバッテリ、モータ電流モニタ、バッテリ状態モニタ、リアルタイム信号処理、拡張期/収縮期キャリブレーション、ECGポート、バッテリ充電ポート、データダウンロードポート、および/またはファームウェアアップデートポートを含み得る。電子部115は、粘弾性モトフェーズサンプリング117(50Hz)を実施するように構成され得る。いくつかの実装形態では、バッテリ充電ポートおよび/またはデータダウンロードポートは、ドッキングバス105に取り付けられて、ドッキングバス105を介して通信するように構成されている。
【0013】
いくつかの実装形態では、機械部120は、3v DCモータなどのモータ123、136:1遊星ギアボックスなどのギアボックス126、および20:1ウォームギアなどのギア129を備える。万力面132もまた、第1の部分110内に含まれる。いくつかの実装形態では、万力面132は、ギア129に固定されている。デバイス100が着用されると、万力面132は、耳195と接触して配設される。任意選択的に、両面発泡接着剤などの一片の発泡体135が、第1の部分110に配設され、デバイス100が着用されたときに、耳195またはハウジング112に対して静止し得る。
【0014】
第2の部分150は、電子部160および機械部170を備える。センサ160は、酸素飽和度センサ、加速度センサ、および力センサ175を備える。万力面172もまた、第1の部分150内に含まれる。いくつかの実装形態では、万力面172は、力センサ175に固定されている。デバイス100が着用されると、万力面172は、耳195と接触して配設される。第2の部分150は、ハウジング177内に含まれ得る。
【0015】
電子部115と同様、電子部170は、図11に関して説明するコンピューティングデバイス1100などのコンピューティングデバイスの1つ以上の態様、特徴、または構成要素を含み得る。電子部115および電子部170は、センサバス147を介して互いに通信可能である。電子部115および電子部170は、実装形態に応じて、同じコンピューティングデバイス内に含まれ得るか、または別個のコンピューティングデバイスに配設され得る。
【0016】
電子部115および/または電子部170は、制御システムおよび/またはプロセッサを含み得る。プロセッサは、処理回路およびメモリを備え得、処理回路によって実行されるとこの処理回路に本明細書に記載の1つ以上の動作および方法を実行させる、機械命令を格納する。任意選択的に、処理回路は、命令、データ、またはコンピュータアドレスを一時的に格納するためのキャッシュメモリユニットを含み得る。制御システムは、デバイス100によって生成または受信された日付を格納するように動作可能な、任意の従来型のデータストレージをさらに含む。処理回路は、測定値を血圧データに変換するための命令を含み得ることが理解されよう。制御システムはまた、処理回路と外部システムとの間の通信を提供するための、無線送信機、イーサネットアダプタ、USB接続などの入力/出力インターフェースを含み得る。
【0017】
デバイス100は、万力面132および万力面172を含む耳万力131を含むと考えられ得る。心拍毎に、脈動動脈は酸素を豊富に含む血液で膨張および収縮する。耳の中の動脈床は、1心拍あたり50~100ミクロン程度の厚さが増す可能性があると推定される。耳万力131は、閉じ込め圧力が一部の組織に加えられ、含まれる脈動動脈が閉じ込め圧力下で膨張および収縮し、これによって組織の測定されたパラメータに何らかの脈動変化を引き起こすような、オシロメトリックデバイスである。指や上腕などのより身近な組織形状では、閉じ込め圧力は、円柱状の骨の周囲に放射状に加えられる。加圧されたカフは、外接する円柱状の骨要素に対して、組織と動脈を平らにするのに役立つ半径方向の閉じ込め圧力を生成する。耳において、デバイス100は、耳万力131を介して平面に対して垂直に閉じ込め圧力を加える。
【0018】
いくつかの実装形態では、ハウジング112およびハウジング177などのハウジングは、Somos(登録商標)9120ポリマーなどのポリマーから構成され得、ステレオリソグラフィ(SLA)を使用して製造され得る。ただし、任意の適切な材料がハウジングに使用され得、かつ任意の適切な製造技術がハウジングを製造するために使用され得るため、この材料および製造技術に限定することは意図されていない。
【0019】
第3の部分180は、第1の部分110の機械部分120を第2の部分150のセンサ部分160と接続する粘弾性クリップ182を含み得る。クリップは粘弾性として説明されているが、それに限定されるものではなく、実装に応じて、金属、セラミック、または他の材料で作製され得る。同様に、ハウジング、ギアボックス、および他の構成要素は、実装に応じて様々な材料で作製され得る。
【0020】
第1の部分110の粘弾性モトフェーズサンプリング117は、モータ123をサンプリングし、サンプルを、センサバス147を介して第2の部分150の電子部分170(例えば、電子部分170のアナログ-デジタル変換器(ADC)168)に提供する。
【0021】
図2は、ウェアラブル心臓血管監視デバイス100の別の図200である。実例200は、ドッキングバス105、万力面132、万力面172、および力センサ175と共に、第1の部分110、第2の部分150、および第3の部分180を示している。また、ハウジング112およびハウジング177と共に、粘弾性クリップ182も示されている。
【0022】
検知技術は、閉じ込め圧力が変化するときに、何らかの測定されたパラメータの脈動性を監視する。多くの場合、圧縮ドライブは、測定されたパラメータの脈動性が統計的に排除されるまで(すなわち、BP閉塞)、組織を閉じ込める圧縮を安定して増加させるようにプログラムされている。この点において、閉じ込め圧力は動脈収縮期BPを20~50mmHg超えており、閉じ込め圧力がゆっくりと制御されて低下すると、収縮期BPは最終的に低下する閉じ込め圧力を超え、再び脈動性が検出可能となる。この点が、収縮期BPを判定する際に使用される。閉じ込め圧力がさらに低下するにつれて脈動(または振動)の大きさが増加し、最終的に最大の、ピークからトラフの大きさに達する。経験的に、この固有のポイントを使用して拡張期BPが確立される。閉じ込め圧力がさらに低下するにつれて、脈動の大きさは、閉じ込め圧力がゼロに達するまでゆっくりと減少する。この点において、拡張期圧と収縮期圧が判定される。連続的な血圧測定のために、ある程度の快適な閉じ込め圧力が組織に加えられ、連続的な脈動軌跡が取得される。したがって、判定されたばかりの収縮期および拡張期を、直ちに連続したトレース上の拡張期点および収縮期点に相関させることができる。トレースの脈動信号が正常に動作し続け、形状や大きさが大幅にずれない限り、連続的なBPを推定することが可能である。脈動信号に大きな信号異常が発生すると(典型的に、姿勢の変化時、大きな骨格筋の活性時、および呼吸の変化時)、これらの偏差が信号処理によって検出され、新たなキャリブレーションが自動的に開始されるか、または新たなキャリブレーションの要求がユーザに対して生成される。
【0023】
オシロメトリック法のBP判定に用いるやり方に応答する多くの潜在的な脈動信号および技術がある。耳万力が十分に柔軟である(例えば、通常のBP条件下で約100ミクロンの脈動変位が可能である)場合、このミクロン変位は幾つかの方法で測定することができる。これらの変位技術はすべて、ある種の既知の応力/ひずみ関係を通じて、微小変位を力に変換する能力に依存する。典型的に、万力面のうちの1つなどの、耳万力部品の何らかの要素は、ギアボックスモータおよび脈動BP変化からの圧縮力によってミクロン規模の変位が発生し、続いてこれが力に比例する電圧に変換されるように、配設または装着される。いくつかの実施形態では、変位は、圧縮された耳組織全体で測定される。他の実施形態では、測定される変位は、耳の一方の側(例えば、耳の万力面の後ろ)であり得る。
【0024】
一実装形態では、ホール効果変換器(HET)は、耳組織の一方の側に配設され、耳組織の反対側にあるディスク磁石の磁気双極子に同軸に結合され得る。ディスク磁石とHETとの間の距離が、ギアボックスモータおよび変化するBPを介して変化すると、HETは、検出された磁場強度の変化に比例した電圧の変化を生成する。これは簡単な実装手法であり、信号検出に高度な無線周波数(RF)電子機器を必要としないため、比較的低電力である。ホール効果変換器の手段は実現可能だが、設置面積が大きく、活性中により多くの電流を消費し(例えば2mA)、かつキャリブレーションのための製造工程が必要である。
【0025】
一実装形態では、BPは脈動的に変化するため、動脈床および耳の組織床を拡張することができる。まとめると、検討中の動脈床内では、動脈の拡張と収縮が耳万力面に平均的な力の変化を及ぼし得る。この変化する力は、MEMS力ゲージを含む多くの方法でサンプリングすることができる電圧信号に変換可能である。微小電気機械システム(micro-electrical mechanical systems、MEMS)力ゲージは、ホイートストンブリッジ力ゲージの、はるかに安価で小型のバージョンである。これらはより小さく、はるかに安価であり、同様の熱安定性を示す。これらのMEMS力ゲージは、従来のひずみゲージよりも1桁小さいため、自己変形特性が低下し、スイッチング/設定時間が短縮される。
【0026】
リアルタイムの小型化されたハードウェアおよび信号処理は、特殊な処理モジュールの出現により大きな進歩を遂げている。したがって、高度な信号処理の使用が増えるであろう。いくつかの実装形態では、耳装着BPユニットにはマクロ可動部品がまったくなく、信号は小さなセンサと高度なリアルタイム信号処理から導出される。代替として、他の耳装着プラットフォームは、継続的な血圧を測定するための迅速なマクロ機械的ソリューションを提供する。いくつかの実装形態では、マイクロプロセッサ制御のモータ/ギアボックス/ウォームギアリニアアクチュエータ部品を使用して、調査中の耳組織の機械的側面を制御する。上に挙げたように、様々な閉じ込め圧力下で血圧の脈動性を検出するために使用することができる多くのセンサがある。耳ベースのBP測定に関する別の考慮事項は、消費電力である。いくつかの実装形態では、ギアボックスモータはキャリブレーション中にのみ使用されるため、バッテリの長期的な消耗はない。センサパッケージが電力を消費しすぎないことも重要である。電流消耗が最も少ないセンサは、MEMS力センサおよびより大きなサイズのホイートストンブリッジひずみゲージである。これらはパッシブ抵抗センサであり、ターンオン時間が速いためサンプル間の合間にオフにすることができ、かつこれらのデバイスはマイクロアンペアを消耗する。これらの力センサは、光学センサに深刻な影響を与える可能性のある周囲光条件の変化の影響を受けない。これらの力センサは、本質的に温度の変化に合わせて調整される。MEMS力センサも最小の設置面積を有し、事前キャリブレーションされている。
【0027】
さらに、デバイスは、呼吸数、酸素飽和度、活動レベル、体温、および患者が起きているか眠っているかを含む、患者の状態を監視する際に使用するための1つ以上の他のセンサと組み合わされ得る。このような追加センサの例として、酸素計、トリコロールLED/フォトトランジスタ、加速度計、マイク、鼻サーミスタ、体温計、皮膚検流計、線形フォトトランジスタアレイ、超音波プローブおよびアレイ、赤外線LED/フォトトランジスタペア、RFインピーダンス・プレチスモグラフィ、および圧電振動要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
有利には、上記に示した機器が耳に適用されるとき、耳は内部にいかなる筋肉も含まないことが既知である。さらに、耳は、手や足のように大きく動きやすい体の先端には位置しない。したがって、そのような位置から取得される測定値は、ユーザの動きおよび活動に依存しない。
【0029】
図3は、デバイス100またはデバイス200などのウェアラブル心臓血管監視デバイスと共に使用可能なドッキングステーション300の実装図である。ドッキングステーション300は、バッテリ充電(例えば、2時間のバッテリ充電器)、シリアルデータダウンロード(例えば、2分間のシリアルデータダウンロード)、データ暗号化、ファイル転送(例えば、USBファイル転送、WiFiファイル転送など)、および50/60Hz AC電源供給のうちの1つ以上を実施するように構成されている、1つ以上の構成要素を含む。ドッキングステーション300は、デバイス100からのドッキングバス105またはデバイス200からのドッキングバスなどのウェアラブル心臓血管監視デバイスから、ドッキングバスを受信するように構成され得る。
【0030】
図4は、図1のデバイス100などのデバイスを使用した、耳万力の瞬間的な変化に対する粘弾性応答の例を示すグラフ400である。図4は、図1のデバイス100に関して説明されているが、図4に関して説明された手法は、本明細書で企図される任意のウェアラブル心臓血管監視デバイスで使用され得るため、限定を意図するものではない。より具体的には、非圧縮性鋼ディスク上で耳万力によって実施した圧縮/減圧試験は、図4に見られるように粘弾性応答挙動を示した。
【0031】
図4において、A点において、DCモータ123は短時間オンになり、B点でモータ123がオフになるまで、耳万力(万力面132、172を含む)は鋼ディスク全体の応力を急速に増加させる。
【0032】
B点において、モータ123がオフになると、測定された応力は直ちに減衰し始める。遊星ギアボックス126(136:1)とウォームギア129(20:1)との高いギア比は、モータ123への電力が除去されたときに耳の位置がロックされた状態を確実に維持する。したがって、観察された応力減衰速度は、Somos9120ポリマーの粘弾性応答挙動によるものである。粘弾性クリップ182は、耳万力の圧縮力を受ける最も読み取りやすい変形可能なポリマー片であり、したがって、図4は、粘弾性クリップ182の粘弾性応答挙動を表す。圧縮力は、C点で漸近値に向かって指数関数的に減衰することに留意されたい。この応力緩和は、急速に加えられたひずみに対するポリマーの通常の応答である。
【0033】
D点において、DCモータ123が逆にオンに切り替わり、これにより一時的に耳万力が粘弾性クリップ182のひずみを急速に減少させる。E点において、モータ123はオフになり、耳の位置がロックされ、測定された応力が自発的に強まり、F点に向かって漸近的に増加する。応力増大の運動は、(符号では反対であるが)応力緩和の運動と厳密に一致することに留意されたい。この場合、この増大は、ポリマーがゆっくりと元の形状に戻ろうとするポリマー記憶性に起因しており、これにより応力が増大する。応力緩和の減衰運動と応力増大の運動を数値的に比較することにより、両方の運動が双指数関数的減衰プロセスに最も適合することが見出された。さらに、両方の減衰係数は同じであった。
【0034】
図5は、非圧縮性鋼ディスク上での耳万力のストップアンドゴー圧縮および減圧の、3サイクルの例を示すグラフ500である。言い換えると、図5は、耳万力が非圧縮性鋼ディスクにひずみを与えようとするときの、ストップアンドゴー応力の増加とそれに続くストップアンドゴー応力の減少の3サイクルを示している。粘弾性運動は、モータが停止しているときに常に現れることに留意されたい。急速圧縮の直後に、自発的な粘弾性応答は弛緩し、急速減圧後に、自発的な粘弾性応答は増加する。
【0035】
図6は、耳組織の耳万力圧縮によって作成された瞬間的なひずみの増加に対する粘弾性応答によって作成された、応力緩和運動に重ね合わされた、例示的な動脈血圧波形を示すグラフ600である。より具体的には、図6は、耳万力が耳に設置され、モータが短時間運転され、次いで数秒間停止されたときに測定された応力を示している。A点およびB点は、モータが短時間オンになった位置を示している。動脈血圧波形が、バックグラウンド応力緩和運動に明確に重ね合わされていることに留意されたい。
【0036】
ほとんどのオシロメトリック血圧測定デバイスは、脈動組織の圧迫圧力を増減するためのクランプ機構として空気圧カフを利用する。小さな空気圧ポンプがカフを膨張させて圧縮圧力を上げ、電動の排気弁が収縮の速度を制御する。これらのデバイスは通常、一定の速度で膨張し、これに続いてカフの収縮が遅くなり、その間に収縮期および拡張期の圧力を評価するために正確な脈動測定値が取得される。排気弁を介したカフの収縮は継続的な性質であり、この連続性は、滑らかに連続的に減少するバックグラウンド圧力信号を示し、その信号上に動脈血圧の脈動波形が重ね合わされる。カフ圧を収縮させるバックグラウンドの連続的な(すなわち滑らかな)性質により、拡張期および収縮期の血圧の推定に基づく脈動波形の正確な測定が可能になる。
【0037】
デバイス100は、デジタル制御されたDCモータおよびギアボックスを介して、圧縮および減圧を実施する。圧縮および減圧の速度を変更するために、デバイス100は、パルス幅変調(PWM)を採用する。PWMは、サイクルのある割合(すなわち、負荷サイクル)でモータを周期的にオンにし、残りのサイクルでオフにする。したがって、圧縮および減圧のバックグラウンド力は連続的に変化するのではなく、PWMを介して個別に変化する。これにより、図6に示す不連続なバックグラウンド圧力測定が作られる。信号処理の観点から、モータ開始およびその後の粘弾性応答効果によって引き起こされる離散的な応力変化を、所望の脈動性動脈血圧波形から分離することは困難である(再び図6を参照のこと)。したがって、収縮期および拡張期の圧力を判定するために必要な脈動の推定の精度は、これらの信号の不連続性によって妨げられる。粘弾性の不連続性のない脈動測定値を取得することを期待して、耳万力の組み合わせの指数関数的減衰運動を判定し、測定された波形からこれらを差し引くことができる。ただし、すべての固有の新しいデバイスは異なる粘弾性応答運動を有するであろうため、多指数関数的減衰運動のモデルを使用したリアルタイムの信号処理は計算集約的である(そのため、より正確にするためにはより高いサンプリングレートが必要となるであろう)。デバイス100およびデバイス200などの本明細書で企図されるデバイスは、粘弾性応答の不連続性を除去する。
【0038】
図7は、パルス幅変調(PWM)と同位相の動脈血圧をサンプリングするための粘弾性モトフェーズサンプリング(VEMPS)技法の、例示的な略図を示すグラフ700である。VEMPSは、粘弾性クリップ182または粘弾性クリップ282などの固体ポリマー(粘弾性)クリップを採用する任意のデバイスからの、脈動波形の正確な測定を可能にする技術を説明するために使用される用語である。VEMPSは、空気圧ポンプの必要性を排除し(ひいてはサイズを縮小し)、任意の固体クリップ材料/形状およびコンピュータ制御のDCモータ/ギアボックスを使用した脈動波形の推定を続行することを可能にする。さらに、この手法は、粘弾性運動のモデリングを必要とせず、リアルタイム信号処理を最小限に抑え、体温に依存せず、固体材料/形状に依存せず、すべてのPWMモータ速度で動作可能である。
【0039】
VEMPSは、力センサのサンプリングをPWM信号の特定の位相に位相ロックすることによって機能する。一実装形態では、デバイス100などのデバイスは、50HzのPWM周波数を使用して、耳万力モータの速度を制御し、これは、20msのPWMサイクル長に対応する(例えば、図7を参照)。VEMPSが機能するためには、デバイスは50Hzのアナログ-デジタルサンプリング周波数も使用する必要がある。オンボードの24ビットシグマデルタアナログ-デジタル変換器(ADC)には、60Hzと50Hzのデジタルローパスフィルタリング(それぞれ北米と英国の家庭用AC電力グリッド周波数を中心に設計されている)が組み込まれているため、これはデバイスにとって便利である。さらに、ADCは、外部クロックで制御可能なため、PWMモータのオンイベントとADCサンプリングとの完全な同期が可能となる。ADCサンプリングと耳万力のモータオン位相が同期すると、すべての粘弾性応答効果がキャンセルされる(粘弾性応答運動が一定であるため。図5を参照)。したがって、ADCは、モータオンイベント毎にPWMの同じ位相で繰り返しサンプリングする(図7を参照)。したがって、現デバイスは、VEMPSを使用して粘弾性応答の不連続性を無効にする。
【0040】
VEMPSを使用することにより、非常に正確な応力/圧力波形のサンプリングが可能になるため、これを使用して、リアルタイムの脈動の正確な推定、ひいてはリアルタイムのオシロメトリック法の拡張期血圧および収縮期血圧の正確な推定を可能にする。そうすることにより、VEMPSは、材料の粘弾性特性が所定の応力/ひずみ範囲にわたって一定に保たれるという条件で、任意のクリップ構成または材料を使用した設計を可能にする。本質的に、VEMPSによって、力を提供する媒体として個体クリップを使用する設計が可能となり、正確な制御のためにデジタル制御のギアボックスモータを使用することが可能となる。さらに、VEMPSは、圧縮および減圧中に機能し、キャリブレーションの実行毎に、動脈脈動波形の2回の正確な測定を可能にする。さらに、VEMPSは、粘弾性応答運動のリアルタイムの正確なモデリングに必要であろう高いサンプルレートを必要としないため、これにより、浮動小数点計算の数が大幅に削減され、バッテリ消費量が大幅に削減される。
【0041】
したがって、図7は、PWMと同位相の動脈血圧をサンプリングするためのVEMPS法のグラフを示している。軌跡710は、耳万力を横切る力を仮定しており、耳万力モータのPWMに対する粘弾性応答(軌跡730)を示している。明るい円702は、耳万力モータオンの開始を示しており、暗い円704は、モータオンの終了およびADCサンプルが採取された時間を示している。モータオンの終わりに力曲線をサンプリングすることにより、モータオフ中の粘弾性減衰運動は、測定されたサンプルの変動に寄与しない。
【0042】
最大脈動圧力および閉塞圧力を判定することに関して、図8は、基準点を正確に特定するために使用され得る例示的な信号処理技法のグラフ800である。
【0043】
拡張期血圧(DBP)と収縮期血圧(SBP)の判定には、耳万力を介して耳組織の圧迫が一定して増加している間に取得される、力データから推定される2つの基準点が必要である。図8は、一定して増加する耳万力の圧縮中に取得された典型的な力データを示している。加えられる圧縮力が一定して増加するにつれて、動脈血圧波形の脈動は最大脈動点(基準点1)に到達する。この点において、動脈血圧波形は最大振幅を有する。加えられた圧縮力がさらに増加するにつれて、動脈血圧波形の脈動は、ほぼ最小の大きさに到達するまで減少する(基準点2)。この点は、閉塞ポイントと称される。基準点を正確に特定するために使用され得るいくつかの信号処理技法がある。図8は、そのような技法の1つの図である。
【0044】
リアルタイムの信号処理を使用して、血圧判定の圧縮実行中に基準点を特定する。図8は、取得された力データの第1の差分の絶対値(すなわち、現在のサンプル力から前のサンプル力を引いたもの)を、さらなる信号処理と共に使用して、2つの基準点を判定することができることを示している。図8は、第1の差分データの絶対値に適用されたローパスデジタルフィルタが2つの基準点、すなわち、1)極大値(基準点1)、続いて、2)次の極小値(基準点2)を明らかにすることを示している。よって、これらの2つの基準点を使用して、最大脈動および閉塞の耳万力圧力を推定することができる。図8は、測定された力(および応力、すなわち、測定された力/耳万力の面積)を取得するためにバックグラウンドの力曲線に投影された2つの基準点を示している。バックグラウンドの力曲線は、圧縮実行中に取得された力データシーケンスのデジタルローパスフィルタリングを介して取得される。
【0045】
2つの基準点で測定された力/応力は、測定時の個々の対象のDBPおよびSBPのデバイス推定値を表す。大規模なサンプル母集団の場合、これらのデバイス推定値は、対応する検証済みの腕カフ血液測定値に対して回帰され、標準化されたDBPおよびSBP測定値を判定するために使用することができる回帰係数を生じさせる。
【0046】
より具体的には、図8のパネルAにおいて、軌跡810は、圧縮実行中に取得された生の力データであり、軌跡820は、バックグラウンドの力曲線である。パネルBは、圧縮中のBP脈動曲線を示しており、最大の脈動と閉塞を示している。パネルCは、生の力データの第1の差分の絶対値を示している。パネルDは、パネルCの軌跡のローパスデジタルフィルタリングの結果を示しており、最大値は、最大脈動点である基準点ポイント#1である。最小値は、閉塞点である基準点#2の位置にある。これらの2つの点をバックグラウンドの力曲線に投影すると、それぞれ拡張期血圧と収縮期血圧のデバイス推定値を生じさせる。
【0047】
いくつかの実装形態では、組織の圧迫は、耳では発生せず、圧迫駆動機構は、耳ではなく、耳にあるセンサである。一実装形態では、耳に装着されるものは、センサ/アナログサンプラー/Bluetoothラジオ/マイクロコントローラ/フラッシュRAMのみである。このような実装形態は、耳に装着された機械的な働きを有しない。代わりに、耳装着デバイスは、拡張圧(例えば、30mmHg)未満で快適な閉じ込め圧力を維持するように設計されたパッシブな耳クリップである。クリップはセンサを含み、ストレージおよび/または無線/有線送信用にセンサデータをサンプリングする。
【0048】
この実装形態は、断続的なリモートキャリブレーションのプロセスを介して機能する。このプロセスでは、耳のデバイスによって取得された連続データと組み合わせて、別の体の位置で圧縮ドライブおよび組織/動脈の圧縮を断続的に使用する。断続的な時間において、ユーザは、指用カフBPデバイスまたは上腕用膨張性カフBPデバイスを使用して、「標準の」BPを判定する場合がある。同時に、BPデバイスは、耳で取得された連続する脈動データを、他の体の位置で取得された「標準の」BPデータと一致するようにキャリブレーションすることができるように、これらの最新のBP測定値を(無線または有線を介して)耳デバイスに送信する。したがって、連続する耳データは断続的かつリモートでキャリブレーションされる。さらに、膨張性の指用カフデバイスが動脈ツリーの耳クリップと同じ側にある場合は、両方の部位で断続的かつ同時に記録を取得し、さらに、耳および指先は動脈ツリーの同じ枝からのものとなる。耳は、BPのより主要な表現であるのに対し、指先はBPのかなり遠位な表現である。遠位の指先のBP波形は、長い動脈経路に沿った圧力反射からの無数の交絡増加波形(confounding augmentation waveforms)になりやすい傾向にもある。加えて、動脈の中央部分と遠位部分からの同時記録は、動脈経路のインピーダンス特性の伝達関数分析を実施する機会を提供する。さらに、耳から指先までの脈動波形の移動時間を評価することもでき、これにより、心血管の健康状態の高度な評価に使用することができる、これまで既知でなかった他のパルス速度データを提供することができる。本明細書で説明される実装形態は、大動脈波形により類似した波形を生成することに留意されたい。中央波形は、指のような場所の周辺血管からのリバウンド波による、歪みのない、最も真の波形である。利点としては、例えば、脳卒中、心臓発作、死亡などの臨床転帰を予測する際の精度の向上が挙げられ、中心動脈圧を得るためにモデリングする必要はなく、かつこの純粋な信号から拍出量および末梢血管抵抗を計算する方が容易であるため、これにより心不全および高血圧の様々な薬剤クラスを用いた数百マイル離れた場所からの精密医療治療が可能となる。
【0049】
断続的なリモートキャリブレーションの実施形態では、スマートフォンの保護ケースが成形された天然ゴムの指ポートまたは跳ね上げ式の指ポートを有し、指先の挿入時に、アルゴリズムが、爪床と指組織の間に加えられる閉じ込め圧力を調整する小さなギアボックスモータを制御して、パッシブな耳カフとスマートフォンとを無線接続している間ずっと、収縮期および拡張期のBPを判定する。このとき、耳カフのデータはリモートでキャリブレーションされ、耳と指先との間の伝達関数が判定され、将来の分析のために格納される。次いで、無線リンク(例えばBluetoothLE)を介して、耳クリップおよびスマートフォンは別のリモートキャリブレーションが必要な場合にユーザに通知するか、またはユーザが自身の判断でリモートキャリブレーションを実施することができる。
【0050】
別の実施形態は、USBメモリスティックと同様のサイズのデバイスを使用する。ギアボックスモータは、デバイスの内部に装着されており、従来のUSBインターフェースは、データダウンロード用の高速シリアルインターフェイス、およびデバイスと耳クリップ用の充電ポートになる。このデバイスは、スマートフォンを必要としないであろう。
【0051】
上述の断続的なリモートキャリブレーションデバイスに関しては、モータ/ギアボックスと耳万力を耳の部位自体から取り外すことにより、耳のデバイス全体の寸法と質量が1桁小さくなる。これにより、はるかに安定したプラットフォームが提供される。その上、耳における消費電力も大幅に削減され、バッテリの充電間隔を長くすることが可能となる。さらに、動脈血管ツリーの両端(すなわち、耳および指先)に断続的にセンサを有することにより、測定された血管インピーダンス(他者が提供する理論インピーダンスとは対照的な)をリアルタイムで断続的に判定することが可能となり、これはこの分野に固有のものである。加えて、このマルチセンサプラットフォーム(説明された実施形態では断続的であるが)は、マルチセンサドメインへの第1のステップである。小さなメモリスティックサイズのUSBデバイスと組み合わせて断続的に使用される、超小型および超軽量の耳センサの魅力を見逃してはならない。マルチセンサのウェアラブル機器へのこの業界全体の動きがいずれ生じるであろう。上述の断続的なリモートキャリブレーションの配置は、この方向で実現可能な1つのステップである。
【0052】
図9は、ウェアラブル心臓血管監視デバイスと共に使用可能な、血圧測定用システム900の実装図である。このシステムは、外部ソフトウェア入力910、耳デバイス(ファームウェア)930、および外部ソフトウェア出力950を備える。
【0053】
外部ソフトウェア入力910は、例えば、開始911、停止912、設定モード913、ダウンロード914、データ探索915、およびレポートファイル生成916などの、耳デバイス930への入力を含み得るが、これらは限定することを意図するものではない。耳デバイス930への入力は、ここに挙げたものに限定されず、実装形態に応じて、より多くのまたはより少ない入力を含み得る。入力は、BluetoothLE(Bluetooth Low Energy、本明細書ではBTとも称される)を使用して、耳デバイス(ファームウェア)930に提供され得る。
【0054】
耳デバイス930は、耳万力解放、パワーダウンモジュール931、収縮期血圧(SBP)/拡張期血圧(DBP)キャリブレーションモジュール932、耳万力取得モジュールセット933、耳万力監視モジュール934、DBP/SBP/心拍数(HR)描画モジュールを用いた連続血圧取得935、および例えばフラッシュRAM936などのフラッシュメモリなどを含み得るが、これらは限定することを意図するものではない。耳デバイス903は、実装形態に応じて、ここに挙げたものよりも多いまたは少ないモジュールおよび/または構成要素を含み得る。
【0055】
SBP/DBPキャリブレーションモジュール932は、開始911入力を受信することに従って作動または開始され得る。耳万力解放、キャリブレーションモジュール931は、開始912入力を受信することに従って作動または開始され得る。
【0056】
SBP/DBPキャリブレーションモジュール932が耳デバイス930のキャリブレーションを実施後、設定された耳万力取得モジュール933が作動または開始され、次いで、耳万力力監視モジュール934が作動または開始される。次いで、DBP/SBP/HR描画モジュール935を用いた継続的なBP取得が開始され、取得されたデータはフラッシュRAM936に保存される。
【0057】
外部ソフトウェア出力950は、DBP/SBP/HR描画モジュール935を用いた連続的なBP取得から受信されたBTリアルタイムBP/HRデータ951を含み得る。BluetoothLEリアルタイムBP/HRデータ951は、外部ソフトウェア入力910の設定モード913入力に従って取得され得るか、またはそうでない場合は受信もしくは検索され得、これが耳デバイス930に、ひいてはDBP/SBP/HR描画モジュール935を用いた連続的なBP取得に、いくつかの実装形態ではBTによって、命令を提供し得る。
【0058】
外部ソフトウェア出力950はまた、USBを介してフラッシュRAM936からなど、耳デバイス930のストレージからBP/HRデータ952を受信することができる。BP/HRデータ952は、外部ソフトウェア入力910のダウンロード914入力に従って取得され得、もしくはそうでない場合は受信または検索され得、これが耳デバイス930に、ひいてはフラッシュRAM936に、いくつかの実装形態ではBTによって、命令を提供し得る。
【0059】
BP/HRデータ952からのBPデータは、コンパイルされたBPデータ953にコンパイルされ得る(例えば、BPデータをコンパイルするためにコード937を使用する外部ソフトウェア入力910のデータ探索915入力に従って)。
【0060】
BP/HRレポートファイル954が生成され(例えば、コード938を使用して外部ソフトウェア入力910のレポートファイル生成916入力に従って、BP/HRレポートファイル954を生成する)、格納および/またはそうでない場合は出力され得る。
【0061】
図10は、例えば、ウェアラブル心臓血管監視デバイス100または耳デバイス930などのウェアラブル心臓血管監視デバイスを用いた血圧測定のための、方法1000の別の実装形態の動作フローである。
【0062】
1010において、デバイス(例えば、ウェアラブル心臓血管監視デバイス100または耳デバイス930)がキャリブレーションされる。例えば、SBPおよびDBPは、受信された開始コマンド(例えば、外部ソフトウェア入力910の開始911入力)に従って、デバイスのファームウェアによってキャリブレーションされる。
【0063】
1020において、万力取得力(例えば、耳用の)が設定される。これは、所定の量に設定することも、所定の技法またはアルゴリズムに従った量に設定することもできる。
【0064】
1030において、力が(例えば耳に)加えられ、この力が1020からの適切な量に維持されることを確実にするために監視される。
【0065】
1040において、データがデバイスによって取得される。実装形態に応じて、データは、連続的な血圧波形、および/またはDBP、SBP、HRの描画を含み得る。
【0066】
1050において、1040において取得されたデータが、(例えば、メモリまたはデバイスストレージ、例えば、フラッシュRAM、または他のローカルストレージもしくは外部ストレージなどに)格納され得る。代替的または追加的に、データは、例えば、1つ以上の他のデバイスに出力または表示され得る。
【0067】
1060において、測定は停止し(例えば、受信された停止912入力に従って)、万力が解放される。
【0068】
より一般的には、特許請求の範囲を含む本明細書において「処理回路」という用語は、本明細書に記載の機能を実施することができる任意のタイプのデバイスまたはデバイスの組み合わせを広く包含することを意図しており、これらには、他のタイプのマイクロプロセッシング回路、マイクロコントローラ、他の集積回路、他のタイプの回路または回路の組み合わせ、論理ゲートまたはゲートアレイ、または、例えば単独で使用するか、もしくは同じ場所にあるか互いに離れた場所にある他の同様のデバイスと組み合わせて使用する、任意の種類のプログラマブルデバイスを含む(がこれらに限定されない)。追加のタイプの処理回路は、本明細書を検討する際に当業者には明らかであり、係る他のタイプの処理回路の代替は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱しないと見なされる。様々な実施形態では、処理回路は、単一チップ、複数チップ、ならびに/または1つ以上の集積回路およびプリント回路基板を含む他の電子部品として実装することができる。
【0069】
本開示の様々な実施形態、態様、特徴などを実行するための処理回路のための命令を含むコンピュータコードは、メモリ内に存在し得る。様々な実施形態では、処理回路は、単一チップ、複数チップ、および/または1つ以上の集積回路およびプリント回路基板を含む他の電子部品として実装することができる。処理回路は、好適なオペレーティングシステムと共に、コンピュータコードの形式で命令を実行し、データを生成および使用するように動作し得る。限定のためではなく例として、オペレーティングシステムは、他の好適なオペレーティングシステムの中でも、Windowsベース、Macベース、またはUnixもしくはLinuxベースであり得る。オペレーティングシステムは一般的に周知であるため、ここではこれ以上の詳細を説明しない。
【0070】
メモリとしては、読み取り専用メモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、様々な有形の非一時的なコンピュータ可読媒体が挙げられ得る。当技術分野で周知のように、ROMは、データおよび命令を一方向に処理回路に転送するように動作し、RAMは、典型的に、データおよび命令を双方向に転送するために使用される。本明細書に開示される様々な実施形態では、RAMは、処理回路によって実行されると、処理回路に以下でより詳細に説明するプログラム命令を実行させるコンピュータプログラム命令を含む。より一般的には、本明細書で使用される「メモリ」という用語は、1つ以上の記憶媒体を包含し、一般に、制御システムによって使用されるコンピュータコード(例えば、ソフトウェアおよび/またはファームウェア)およびデータを格納する場所を提供する。これには、例えば、電子ストレージ、光学ストレージ、磁気ストレージ、または処理回路にプログラム命令を提供することが可能な任意の他のストレージもしくは送信デバイスを含み得る。メモリとしては、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ASIC、FPGA、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、光学媒体、または処理回路がコンピュータプログラミング言語で命令を読み取ることができる他の好適なメモリがさらに挙げられ得る。
【0071】
図11は、例示的な実施形態および態様が実装され得る例示的なコンピューティング環境を示す。このコンピューティングデバイス環境は、好適なコンピューティング環境の一例に過ぎず、使用範囲または機能に関する制限を示唆することを意図したものではない。
【0072】
他の多くの汎用目的または特殊目的のコンピューティングデバイス環境または構成を使用することができる。使用に好適であり得る周知のコンピューティングデバイス、環境、および/または構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ(PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、組み込みシステム、上記システムまたはデバイスのうちのいずれかを含む分散コンピューティング環境などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令を使用することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。分散コンピューティング環境は、通信ネットワークまたは他のデータ伝送媒体を通じてリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実施される場合に使用され得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールおよび他のデータは、メモリストレージデバイスを含むローカルおよびリモートの両方のコンピュータ記憶媒体に配置され得る。
【0074】
図11を参照すると、本明細書で説明される態様を実装するための例示的なシステムは、コンピューティングデバイス1100などのコンピューティングデバイスを含む。その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス1100は、通常、少なくとも1つの処理ユニット1102およびシステムメモリ1104を含む。コンピューティングデバイスの正確な構成およびタイプに応じて、システムメモリ1104は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、不揮発性(読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)、または2つのある組み合わせであり得る。この最も基本的な構成は、図11に破線1106によって示されている。
【0075】
コンピューティングデバイス1100は、追加の特徴/機能を有し得る。例えば、コンピューティングデバイス1100は、磁気または光学のディスクまたはテープを含むがこれらに限定されない、追加のストレージ(リムーバブルおよび/または非リムーバブル)を含み得る。そのような追加のストレージは、リムーバブルストレージ1108および非リムーバブルストレージ1110によって図11に示されている。
【0076】
コンピューティングデバイス1100は、典型的に、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、デバイス1100によるアクセスが可能な任意の利用可能な媒体であり得、揮発性媒体および不揮発性媒体の両方、リムーバブル媒体および非リムーバブル媒体を含む。
【0077】
コンピュータ記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を格納するための任意の方法または技術で実装された、揮発性媒体、不揮発性媒体、リムーバブル媒体および非リムーバブル媒体が挙げられ得る。システムメモリ1104、リムーバブルストレージ1108、および非リムーバブルストレージ1110はすべて、有形のコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体としては、RAM、ROM、電気的に消去可能なプログラム読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を格納するために使用することができ、コンピューティングデバイス1100によるアクセスが可能な任意の他の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなコンピュータ記憶媒体はいずれも、コンピューティングデバイス1100の一部であってよい。
【0078】
コンピューティングデバイス1100はまた、デバイスが他のデバイスと通信することを可能にするネットワーク接続1112を含み得る。コンピューティングデバイス1100はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチス入力デバイスなどの入力デバイス1114を有し得る。また、ディスプレイ、スピーカー、プリンタなどのような出力デバイス1116も含まれ得る。これらのデバイスはすべて当技術分野では周知であり、ここで詳細に考察する必要はない。
【0079】
本明細書に記載の様々な技術は、ハードウェア構成要素またはソフトウェア構成要素に関連して、あるいは必要に応じてそれら両方の組み合わせに関連して実装され得ることが理解されるべきである。使用可能なハードウェア構成要素の実例的タイプとしては、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)などが挙げられる。現在開示されている主題の方法および装置、またはその特定の態様または部分は、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードドライブ、またはプログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されるとその機械が現在開示されている主題を実行するための装置となる、任意の他の機械可読記憶媒体などの、有形媒体に具体化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形態を採ることができる。
【0080】
一実装形態では、ウェアラブル心臓血管監視デバイスは、人間の耳の第1の側に、この耳の第1の側に接触するための第1の万力面を用いて着用されるように構成されている、第1の部分と、耳の第2の側に、この耳の第2の側に接触するための第2の万力面を用いて着用されるように構成されている、第2の部分と、を備え、第2の部分は、血圧測定用に構成された力センサを含み、第3の部分は、耳の上に着用されて、第1の部分および第2の部分に取り付けられるように構成されている。
【0081】
実装形態は、以下の機能の一部またはすべてを含み得る。第1の部分は、粘弾性モトフェーズサンプリングを実施するように構成された電子部を含む。第1の部分は、モータ、ギアボックス、およびギアを含み、ギアは、第1の万力面と接触している。第1の部分の粘弾性モトフェーズサンプリングは、モータをサンプリングし、センサバスを介してアナログ-デジタル変換器(ADC)にサンプルを提供する。ADCは、第2の部分に含まれる。第3の部分は、粘弾性クリップを含む。耳の第1の側は、耳後部にあり、耳の第2の側は、耳前部にある。第1の万力面および第2の万力面は、耳万力に含まれ、この耳万力は、閉じ込め圧力が耳組織に加えられ、含まれる耳の脈動動脈が、耳組織の測定されたパラメータに複数の脈動変化を引き起こす閉じ込め圧力下で膨張および収縮するような、振動測定デバイスである。閉じ込め圧力は、耳万力を介して耳の平面に垂直に加えられる。
【0082】
一実装形態では、心臓血管監視デバイスは、耳に圧力を加えるように構成された第1の万力面と第2の万力面とを含む耳万力と、耳に加えられた圧力を利用して血圧を測定するセンサと、を備える。
【0083】
実装形態は、以下の機能の一部またはすべてを含み得る。第1の万力面は、耳の一方の側に接触し、第2の万力面は、耳の他方の側に接触する。耳万力は、耳組織に圧力を加えるように構成され、耳の脈動動脈は、閉じ込め圧力下で膨張および収縮し、耳組織の測定されたパラメータに複数の脈動変化を引き起こす。第1の万力面は、圧縮力がミクロン規模の変位を引き起こし、それが力に比例する電圧に変換されるように配設されている。心臓血管監視デバイスは、圧縮力を生成するギアボックスおよびモータをさらに備え、複数の脈動血圧変化がさらに圧縮力を生成する。ミクロン規模の変位は、圧縮された耳組織全体で測定されるか、または耳の一方の側で、第1の万力面の後部または第2の万力面の後部で測定される。
【0084】
一実装形態では、人の血圧を測定するための方法は、人の耳にウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力取得力を設定することと、耳上のウェアラブル心臓血管監視デバイスの万力力を監視することと、耳上のウェアラブル心臓血管監視デバイスからデータを取得することと、取得したデータを出力することと、を含む。
【0085】
実装形態は、以下の機能の一部またはすべてを含み得る。データを取得することは、連続的な血圧波形を取得することを含む。データを取得することは、拡張期血圧、収縮期血圧、および心拍数の描画を実施することをさらに含む。本方法は、取得したデータをコンパイルすることと、レポートファイルを生成することをさらに含む。本方法は、ウェアラブル心臓血管監視デバイスの収縮期血圧および拡張期血圧をキャリブレーションすることをさらに含む。
【0086】
例示的な実装は、1つ以上のスタンドアロンコンピュータシステムのコンテキストで現在開示されている主題の態様を利用することを示す場合があるが、主題はそこまで限定されず、むしろ、ネットワークまたは分散コンピューティング環境などの任意のコンピューティング環境と接続して実装され得る。さらに、現在開示されている主題の態様は、複数の処理チップまたはデバイス内または複数の処理チップまたはデバイスにわたって実装することができ、ストレージは、複数のデバイスにわたって同様に実施することができる。このようなデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、およびハンドヘルドデバイスを含む場合がある。
【0087】
本主題が、構造的特徴および/または方法論の行為について特定の言語で記載されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、上述の特定の特徴または行為に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、上述の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実行する形態の例として開示される。
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【国際調査報告】