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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】粉体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220622BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20220622BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/25
A61K8/41
A61K8/19
A61K8/84
A61K8/29
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/98
A61K8/97
A61K8/81
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563275
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2020085277
(87)【国際公開番号】W WO2020216138
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910322033.0
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521463816
【氏名又は名称】シャンハイ ジェンチュン コスメティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ZHENCHUN COSMETICS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1101,No.2 Maji Road,China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone Shanghai 201199, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ジェング, シリ
(72)【発明者】
【氏名】サイ, シャオフア
(72)【発明者】
【氏名】チェング, リジュアン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA072
4C083AA081
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB151
4C083AB211
4C083AB231
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC481
4C083AC482
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD352
4C083BB21
4C083BB22
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB48
4C083CC12
4C083DD17
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF04
4C083FF06
(57)【要約】
本発明は、以下のステップ(1)から(5)を含む粉体の製造方法であって、ステップ(1)において、粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得、粉末相は、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料を含み、ステップ(2)において、材料Aと材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加えて分散体を得、ステップ(3)において、分散体を所定高温に加熱した後、金型に注入し、ステップ(4)において、分散体を所定低温に凍結した後、離型して半製品を得、ステップ(5)において、半製品を乾燥して製品を得る粉体の製造方法を開示する。この製造方法では、天然多糖および皮膚軟化保湿剤により粘着性が向上し、離型が容易になり、製品表面が立体的で滑らかであり、様々な立体的形状に製造されやすく、離型された後、次の操作には金型が要らなくなり、プロセスが簡単で、操作が容易である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ(1)から(5)を含む粉体の製造方法であって、
ステップ(1)において、粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得、前記粉末相は、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料を含み、
ステップ(2)において、前記材料Aと前記材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加えて分散体を得、
ステップ(3)において、前記分散体を金型に充填し、
ステップ(4)において、前記分散体を所定低温に凍結した後、離型して半製品を得、
ステップ(5)において、前記半製品を乾燥して製品を得、
ステップ(5)において、凍結乾燥を採用し、具体的には、まず、前記半製品を冷凍乾燥機に入れ、低温下で引き続き凍結し、冷凍乾燥機の温度が共晶点よりも低く、そして、真空引きし、所定真空度に達した後、加熱して昇華乾燥することにより氷晶を除去し、最後に、昇華終了後、真空乾燥することにより結合水を除去することを特徴とする、粉体の製造方法。
【請求項2】
ステップ(3)において、前記分散体を室温、0.2barから1barの圧力で注入することにより金型に充填し、または前記分散体を所定高温に加熱してから金型に充填することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、前記天然多糖と水を50℃から95℃で混合し、
ステップ(3)において、前記所定高温は50℃から95℃であり、
ステップ(4)において、前記所定低温は5℃から-20℃であり
ステップ(5)において、前記製品中の水の重量百分率は5%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記冷凍乾燥機の温度は-10℃から-60℃であり、前記所定真空度は10Paから70Paであり、前記真空乾燥の温度は5℃から70℃、圧力は10Paから70Paであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記粉末相の重量部は30から60であり、前記天然多糖の重量部は0.1から5であり、前記皮膚軟化保湿剤の重量部は0.5から20であり、前記乳化剤の重量部は0から5であり、前記防腐剤の重量部は0.05から3であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記片状フィラーは、滑石粉末、雲母、カオリン、ラウロイルリシン、窒化ホウ素またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、
前記球状フィラーは、PMMA、ナイロン-12、ポリウレタンまたはHDI/トリメチロールヘキシルラクトン架橋ポリマー、珪石またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、
前記顔料は、無機顔料、有機顔料、真珠光沢顔料またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、
前記無機顔料には、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、必要に応じて水和酸化クロム、アイアンブルーが含まれ、
前記有機顔料には、カーマイン、赤6、赤7、青1、黄5、赤28レーキ顔料が含まれ、
前記真珠光沢顔料には、白色真珠光沢顔料、カラーもしくは染色真珠光沢顔料、有機もしくは無機顔料を含む雲母、ガラス、合成フルオロフロゴパイト材質を含む染色真珠光沢顔料、および金属酸化物を含む真珠光沢顔料が含まれ、
前記天然多糖は、セルロースおよびその誘導体、キサンタンガム、コンドラス・クリスパス、寒天、アラビアガム、澱粉およびその誘導体、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、こんにゃくポリマンノース、マンニトール、キシランまたはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、
前記皮膚軟化保湿剤は、油脂、ポリオールまたはそれらの組成物であり、
前記油脂には、植物、鉱物、動物または合成由来のオイルまたはワックス、グレープシードオイル、メドウフォーム油、水素化植物油、アボカドオイル、シアバター、白油、エチルヘキサン酸セテアリル、スクワラン、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、プロピレングリコールカーボネート、ピバリン酸イソデシル、ポリジメチルシロキサン、蜜蝋、ホワイトワックスが含まれ、
前記ポリオールには、グリセリン、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが含まれ、
前記乳化剤は、PEG-26-PPG-30リン酸エステル、トゥイーン20、トゥイーン80、トゥイーン60、アルキルグリコシド、オレイン酸ポリオキシエチレン、ラウリン酸ポリオキシエチレン、グリセリンクエン酸ステアレートまたはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、
前記防腐剤は、クロルフェネシン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセロール、オクチルグリコールまたはそれらの任意の組み合わせの混合物であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記雲母の重量部は20であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記ナイロン-12の重量部は3であり、前記珪石の重量部は2であり、前記二酸化チタンの重量部は5であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は1であり、前記キサンタンガムの重量部は1であり、前記マンニトールの重量部は3であり、前記グリセリンの重量部は0.5であり、前記エチルヘキシルグリセロールの重量部は2.5であり、前記オクチルグリコールの重量部は0.5であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記雲母の重量部は8であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記珪石の重量部は2であり、前記真珠光沢顔料の重量部は30であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.1であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記スクワランの重量部は1であり、前記水素化植物油の重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記雲母の重量部は10であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記真珠光沢顔料の重量部は30であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.3であり、前記キサンタンガムの重量部は0.15であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記スクワランの重量部は5であり、前記水素化植物油の重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記PEG-26-PPG-30リン酸エステルの重量部は0.5であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05であり、前記エチルヘキシルグリセロールの重量部は1であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記雲母の重量部は10であり、前記珪石の重量部は2であり、前記真珠光沢顔料の重量部は48であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.3であり、前記キサンタンガムの重量部は0.15であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記PEG-26-PPG-30リン酸エステルの重量部は1であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05であり、前記クロルフェネシンの重量部は0.1であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項11】
前記金型は、TPR、TPE、シリカゲル、シリコーンゴムまたはゴムで作製されることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の製造方法、特に粉体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場で一般的な粉体は主に粉末プレスプロセスにより製造されている。粉末プレスプロセスに用いる材料の成分は、通常無機フィラー、真珠光沢顔料、金属石鹸、油脂、防腐剤および皮膚触感調整剤である。粉末プレスプロセスでは、機械撹拌により無機フィラー、真珠光沢顔料などの粉体成分と油性成分とを均一に混合して分散させ、粉体の混合物を得、さらに混合物を金属プレートまたはプラスチックプレートに満たし、金属金型でプレスして成形を行うことにより、粉体化粧品が得られる。粉末プレスプロセスには、主に以下の欠点がある。a.材料に対する要求が高く、特に低密度ミクロスフェア粒子の使用を減少する必要がある。そうしないと、製品にワレ、破砕が発生し、ゆるくなりやすいなどの問題がある。しかし、低密度ミクロスフェア粒子は、ソフトフォーカス、オイルコントロール、および長期的な処方に対してより良い効果がある。使用量を減らすと、上記メイクアップ効果を達成できなくなる。b.プロセスにも欠点があり、環境中の粉塵が多く、材料の損失が大きく、バリが発生しやすく、輸送時の振動などでバリが脱落しやすい。
【0003】
粉末プレスプロセスの欠陥を克服するために、通常、湿式粉末充填プロセスが使用されている。湿式粉末プロセスでは、有機溶媒と粉体とを混合し、スラリーとなるように均一に撹拌した後、容器に置き、さらに吸引ポンプによりスラリーを注射器に吸引し、注射器のヘルドを介してプラスチックボックスの下部にある注入口から容器ボックスに注入し、ブロックを押圧して容器ボックスを密閉し、押圧しながら真空引きにより揮発性溶媒を除去し、最後に、容器ボックスを40℃から60℃の環境に置いて乾燥する。しかし、湿式粉末プロセスにも欠陥がある。例えば、a.一般的に使用される溶剤(例えば、イソドデカン、イソプロパノール)は有害であり、揮発により環境や人体に害を及ぼす恐れがある。b.得られた製品にもこれらの溶媒が微量でも存在する。
【0004】
また、乾式プレスまたは湿式プレスにもかかわらず、複雑な成形には制限されている。粉体に圧力を加えることでパターニングするが、形状が複雑である場合、均一な圧力が保証されにくいため、粉体には壊れやすいまたは緩い領域が発生する。また、粉体の表面に立体パターンを作るには金属金型に対応パターンを刻む必要があり、材料が金属金型に刻んだパターンにくっつくのを防ぐために、金属金型と材料との間に平面隔離布を配置する必要がある。平面隔離布は必ずある程度の厚みを有し、プレスする際に必ず弾性張力が発生する。金属金型のパターンが細かすぎると、平面隔離布は弾性張力とそれ自体の厚みのために表面に明確なパターンを形成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の上記欠陥に対して、本発明は、離型が容易で、製品表面が立体的で滑らかである粉体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、以下のステップ(1)から(5)を含む粉体の製造方法であって、
ステップ(1)において、粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得、前記粉末相は、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料を含み、
ステップ(2)において、前記材料Aと前記材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加えて分散体を得、
ステップ(3)において、前記分散体を金型に注入し、
ステップ(4)において、前記分散体を所定低温に凍結した後、離型して半製品を得、
ステップ(5)において、前記半製品を乾燥して製品を得る粉体の製造方法が提供される。
【0007】
ステップ(1)において、前記天然多糖と水を50℃から95℃で混合する。
ステップ(3)において、前記分散体を室温、0.2barから1barの圧力で注入することにより金型に充填してもよく、または前記分散体を所定高温に加熱してから金型に充填してもよい。前記所定高温は50℃から95℃である。
ステップ(4)において、前記所定低温は5℃から-20℃である。ある実施形態において、前記所定低温は0℃から-20℃である。離型前の低温、特に凍結より、損傷のない完全なものをスムーズに得ることができる。
【0008】
本発明の方法において、乾燥ステップの前に離型を実行することにより、本発明方法は容易に実施できる。
ステップ(5)において、前記製品中の水の重量百分率は5%以下である。
【0009】
ステップ(5)において、凍結乾燥を採用し、具体的には、まず、前記半製品を冷凍乾燥機に入れ、低温下で引き続き凍結し、冷凍乾燥機の温度が共晶点よりも低く、そして、真空引きし、所定真空度に達した後、加熱して昇華乾燥することにより氷晶を除去し、最後に、昇華終了後、真空乾燥することにより結合水を除去する。熱乾燥に比べて、凍結乾燥は、製品の収縮や金型へ付着を引き起こすことがない。
【0010】
一実施形態において、粉体の製造方法は、以下のステップ(1)から(5)を含む。
ステップ(1)において、粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得、前記粉末相は、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料を含む。
ステップ(2)において、前記材料Aと前記材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加えて分散体を得る。
ステップ(3)において、前記分散体を所定高温に加熱した後、金型に注入する。
ステップ(4)において、前記分散体を所定低温に凍結した後、離型して半製品を得る。
ステップ(5)において、前記半製品を乾燥して製品を得る。凍結乾燥を採用し、具体的には、まず、前記半製品を冷凍乾燥機に入れ、低温下で引き続き凍結し、冷凍乾燥機の温度が共晶点よりも低く、そして、真空引きし、所定真空度に達した後、加熱して昇華乾燥することにより氷晶を除去し、最後に、昇華終了後、真空乾燥することにより結合水を除去する。
【0011】
他の実施形態において、粉体の製造方法は、以下のステップ(1)から(5)を含む。
ステップ(1)において、粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得、前記粉末相は、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料を含む。
ステップ(2)において、前記材料Aと前記材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加えて分散体を得る。
ステップ(3)において、前記分散体を室温、0.2barから1barの圧力で注入することにより金型に充填する。
ステップ(4)において、前記分散体を所定低温に凍結した後、離型して半製品を得る。
ステップ(5)において、前記半製品を乾燥して製品を得る。凍結乾燥を採用し、具体的には、まず、前記半製品を冷凍乾燥機に入れ、低温下で引き続き凍結し、冷凍乾燥機の温度が共晶点よりも低く、そして、真空引きし、所定真空度に達した後、加熱して昇華乾燥することにより氷晶を除去し、最後に、昇華終了後、真空乾燥することにより結合水を除去する。
【0012】
さらに、前記冷凍乾燥機の温度は-10℃から-60℃であり、前記所定真空度は10Paから70Paであり、前記真空乾燥の温度は5℃から70℃、圧力は10Paから70Paである。
【0013】
前記粉末相の重量部は30から60であり、前記天然多糖の重量部は0.1から5であり、前記皮膚軟化保湿剤の重量部は0.5から20であり、前記乳化剤の重量部は0から5であり、前記防腐剤の重量部は0.05から3である。
一実施形態において、前記天然多糖の重量部は0.1から0.15である。
【0014】
前記片状フィラーは、滑石粉末、雲母、カオリン、ラウロイルリシン、窒化ホウ素またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、前記球状フィラーは、PMMA、ナイロン-12、ポリウレタンまたはHDI/トリメチロールヘキシルラクトン架橋ポリマー、珪石またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、前記顔料は、無機顔料、有機顔料、真珠光沢顔料またはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、前記無機顔料には、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、必要に応じて水和酸化クロム、アイアンブルーが含まれ、前記有機顔料には、カーマイン、赤6、赤7、青1、黄5、赤28レーキ顔料が含まれ、前記真珠光沢顔料には、白色真珠光沢顔料、カラーもしくは染色真珠光沢顔料、有機もしくは無機顔料を含む雲母、ガラス、合成フルオロフロゴパイト材質を含む染色真珠光沢顔料、および金属酸化物を含む真珠光沢顔料が含まれ、前記天然多糖は、セルロースおよびその誘導体、キサンタンガム、コンドラス・クリスパス、寒天、アラビアガム、澱粉およびその誘導体、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、こんにゃくポリマンノース、マンニトール、キシランまたはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、前記皮膚軟化保湿剤は、油脂、ポリオールまたはそれらの組成物であり、前記油脂には、植物、鉱物、動物または合成由来のオイルまたはワックス、グレープシードオイル、メドウフォーム油、水素化植物油、アボカドオイル、シアバター、白油、エチルヘキサン酸セテアリル、スクワラン、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、プロピレングリコールカーボネート、ピバリン酸イソデシル、ポリジメチルシロキサン、蜜蝋、ホワイトワックスが含まれ、前記ポリオールには、グリセリン、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが含まれ、前記乳化剤は、PEG-26-PPG-30リン酸エステル、トゥイーン20、トゥイーン80、トゥイーン60、アルキルグリコシド、オレイン酸ポリオキシエチレン、ラウリン酸ポリオキシエチレン、グリセリンクエン酸ステアレートまたはそれらの任意の組み合わせの混合物であり、前記防腐剤は、クロルフェネシン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセロール、オクチルグリコールまたはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0015】
前記雲母の重量部は20であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記ナイロン-12の重量部は3であり、前記珪石の重量部は2であり、前記二酸化チタンの重量部は5であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は1であり、前記キサンタンガムの重量部は1であり、前記マンニトールの重量部は3であり、前記グリセリンの重量部は0.5であり、前記エチルヘキシルグリセロールの重量部は2.5であり、前記オクチルグリコールの重量部は0.5である。
【0016】
一実施例において、前記雲母の重量部は8であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記珪石の重量部は2であり、前記真珠光沢顔料の重量部は30であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.1であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記スクワランの重量部は1であり、前記水素化植物油の重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05である。
【0017】
他の実施例において、前記雲母の重量部は10であり、前記PMMAの重量部は3であり、前記真珠光沢顔料の重量部は30であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.3であり、前記キサンタンガムの重量部は0.15であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記スクワランの重量部は5であり、前記水素化植物油の重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記PEG-26-PPG-30リン酸エステルの重量部は0.5であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05であり、前記エチルヘキシルグリセロールの重量部は1である。
【0018】
別の実施例において、前記雲母の重量部は10であり、前記珪石の重量部は2であり、前記真珠光沢顔料の重量部は48であり、前記コンドラス・クリスパスの重量部は0.3であり、前記キサンタンガムの重量部は0.15であり、前記グリセリンの重量部は2であり、前記トゥイーン80の重量部は1であり、前記PEG-26-PPG-30リン酸エステルの重量部は1であり、前記メチルパラベンの重量部は0.05であり、前記クロルフェネシンの重量部は0.1である。
【0019】
前記金型は、TPR、TPE、シリカゲル、シリコーンゴムまたはゴムで作製される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る粉体の製造方法では、天然多糖および皮膚軟化保湿剤により粘着性が向上し、離型が容易になり、製品表面が立体的で滑らかであり、様々な立体的形状に製造されやすく、離型された後、次の操作には金型が要らなくなり、プロセスが簡単で、操作が容易である。
【0021】
以下、本発明の目的、特徴および効果を十分に明確にするために、本発明の思想、具体的な構造および技術的効果をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態の説明に使用される図面を以下に簡単に説明する。以下の説明の図面は、本発明の単なる例示的な実施形態である。 当業者の場合、これらの図面に基づいて、創造的な作業なしに他の図面を入手することもできる。
【0023】
図1】合格サンプルの写真である。
図2】離型時に損傷したサンプルの写真である。
図3】収縮したサンプルと顕著に収縮していないサンプルとの比較写真である。
図4】わずかに粗い表面を有するサンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面および実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。当業者には明らかであるように、本発明に記載される実施形態は、単なる例示であり、このようなすべての実施形態のサブセットのみを表す。特に、創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の範囲内に含まれる。
【0025】
本発明に係る粉体の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップa:粉末相を均一に混合して材料Aを得、天然多糖と適量の水を均一に混合した後、皮膚軟化保湿剤および乳化剤を加え、さらに均一に混合して材料Bを得る。上記粉末相には、片状フィラー、球状フィラーおよび顔料が含まれる。十分な混合のために、上記天然多糖と水を50℃から95℃で混合する。
ステップb:上記材料Aと上記材料Bを均一に混合した後、防腐剤を加え、分散体を得る。
ステップc:良好な流動性を得るために、上記分散体を所定高温に加熱し、その後、金型に注入する。上記所定高温は50℃から95℃である。上記金型はTPR、TPE、シリカゲル、シリコーンゴムまたはゴムなどの軟質材質で作製される。
ステップd:上記分散体を所定低温に凍結した後、離型し、半製品を得る。上記所定低温は5℃から-20℃である。一実施形態において、上記所定低温は0℃から-20℃である。
ステップe:上記半製品を乾燥し、製品、即ち粉体を得る。上記製品中の水の重量百分率は5以下である。
【0026】
ステップeにおいて、凍結乾燥を採用する。
まず、上記半製品を冷凍乾燥機に入れ、低温下で引き続き凍結する。上記冷凍乾燥機の温度は-10℃から-60℃である。そして、真空引きし、真空度が所定真空度に達した後、適切に加熱(温度が共融点を超えてはならない)して昇華乾燥し、氷晶を除去する。上記所定真空度は10Pa-70Paである。最後に、昇華終了後、さらに真空乾燥して結合水を除去する。真空乾燥の温度は5℃から70℃、圧力は10Paから70Paである。
【0027】
上記片状フィラーは、滑石粉末、雲母、カオリン、ラウロイルリシン、窒化ホウ素またはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0028】
上記球状フィラーは、PMMA、ナイロン-12、ポリウレタンまたはHDI/トリメチロールヘキシルラクトン架橋ポリマー、珪石またはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0029】
上記顔料は、無機顔料、有機顔料、真珠光沢顔料またはそれらの任意の組み合わせの混合物である。上記無機顔料には、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、必要に応じて水和酸化クロム、アイアンブルーが含まれる。上記有機顔料には、カーマイン、赤6、赤7、青1、黄5、赤28レーキ顔料が含まれる。上記真珠光沢顔料には、白色真珠光沢顔料、カラーもしくは染色真珠光沢顔料、有機もしくは無機顔料を含む雲母、ガラス、合成フルオロフロゴパイト材質を含む染色真珠光沢顔料、および金属酸化物を含む真珠光沢顔料が含まれる。
【0030】
上記天然多糖は、セルロースおよびその誘導体、キサンタンガム、コンドラス・クリスパス、寒天、アラビアガム、澱粉およびその誘導体、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、こんにゃくポリマンノース、マンニトール、キシランまたはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0031】
上記皮膚軟化保湿剤は、油脂、ポリオールまたはそれらの組成物である。上記油脂には、植物、鉱物、動物もしくは合成由来のオイルまたはワックス、グレープシードオイル、メドウフォーム油、水素化植物油、アボカドオイル、シアバター、白油、エチルヘキサン酸セテアリル、スクワラン、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、プロピレングリコールカーボネート、ピバリン酸イソデシル、ポリジメチルシロキサン、蜜蝋、ホワイトワックスが含まれる。上記ポリオールには、グリセリン、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが含まれる。
【0032】
上記乳化剤は、PEG-26-PPG-30リン酸エステル、トゥイーン20、トゥイーン80、トゥイーン60、アルキルグリコシド、オレイン酸ポリオキシエチレン、ラウリン酸ポリオキシエチレン、グリセリンクエン酸ステアレートまたはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0033】
上記防腐剤は、クロルフェネシン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセロール、オクチルグリコールまたはそれらの任意の組み合わせの混合物である。
【0034】
上記製造方法において、各成分の重量部は、上記粉末相が30から60、上記天然多糖が0.1から5、上記皮膚軟化保湿剤が0.5から20、上記乳化剤が0から5、上記防腐剤が0.05から3である。
【0035】
以下、図面および実施例によって本発明をさらに説明される。しかしながら、以下の実施例および図面は、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。さらなる詳細なしに、当業者は、上記説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられている。本明細書に開示される実施例および実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものではない。議論された基礎となる原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。言い換えれば、上記の説明で具体的に開示された実施形態の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内に含まれる。例えば、本明細書に記載の様々な実施形態の特徴は任意に適切に組み合わせることができる。
【0036】
<実施例1>
表1:実施例1の粉体の組成
【表1】
【0037】
上記成分で製造された粉体は、心地よい触感を有し、変形することがなく、表面に欠陥がない。
【0038】
<実施例2>
表2:実施例2の粉体の組成
【表2】
【0039】
上記成分で製造された粉体は、心地よい触感を有し、変形することがなく、表面に欠陥がなく、塗布されやすい。
【0040】
<実施例3>
表3:実施例3の粉体の組成
【表3】
【0041】
上記成分で製造された粉体は、問題なく成形できるが、比較的に変形しやすく、クリーミーで、化粧ブラシで取りにくい。上記皮膚軟化保湿剤の重量部が20で、サンプルに影響を与えているため、上記皮膚軟化保湿剤重量部の上限は20である。
【0042】
<実施例4>
以下の組成物を用いて化粧品粉末を製造するための方法の異なるパラメーターの影響を分析する。
表4-1:実施例4の粉体の組成
【表4-1】
【0043】
離型温度の影響
同じ内容物を同じ金型に充填し、サンプルに対する冷却離型と凍結離型の影響を観察した結果として、凍結離型の効果が優れており、すべてのサンプルの表面が滑らかで、損傷することなく完全であることが分かる。しかし、冷却離型サンプルの表面が損傷しているか、サンプルが形成されていないため、製品を冷却離型することができないという結論が得られる。これは、凍結離型の効果は冷却離型の効果よりも明らかに優れていることを示している(表4-2を参照)。
【0044】
表4-2:離型温度の影響
【表4-2】
【0045】
乾燥条件の影響
室温、55℃オーブンおよび凍結乾燥の3つの異なる乾燥方法を用いて、サンプルに対する異なる乾燥条件の影響を比較する。冷却離型サンプルの表面が損傷しているため、サンプルを室温55℃のオーブンで乾燥させた後に離型する方法を採用する。凍結乾燥には凍結離型法を採用し、その後サンプルを凍結乾燥し、異なる乾燥条件を比較することでサンプルの状態を得る。
【0046】
室温で乾燥したサンプルの80%以上は離型できない。これらのサンプルが離型できない主な理由は、サンプルが金型に付着し、サンプル表面が破壊されるためである。サンプルの明らかな収縮率は60%以上であり、サンプルの良品率は0である。
【0047】
55℃で乾燥したサンプルでは、55%以上は離型できない。これらのサンプルが離型できない主な理由は、サンプルが金型に付着し、サンプル表面が破壊されるためである。サンプルの明らかな収縮率は60%以上であり、サンプルの良品率は40%である。
【0048】
真空凍結乾燥サンプルでは、表面が完全で顕著な収縮がなく、サンプルの良品率は85%以上であり、他のサンプルは、表面だけがわずかに粗い。一般的なサンプルの良い率は95%以上である。詳細は、表4-1を参照されたい。
【0049】
表4-3:合格サンプル、離型損傷があるサンプル、収縮したサンプル及びわずかに粗い表面を有するサンプルを図1-4に示す。
【表4-3】
【0050】
<実施例5>
表5:実施例5の粉体の組成
【表5】
【0051】
上記成分で製造された粉体は、変形しにくく、表面に欠陥が発生しにくく、指または化粧ブラシで容易に取って塗布することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例を説明した。当業者であれば、本発明の思想に基づいて創造的努力なしに種々の修正および変化を行うことができる。従って、当業者が本発明の思想に基づいて従来技術をもとに論理分析、推論または限られた回数の実験により得られる技術的手段は、いずれも特許請求の範囲に確定された保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】