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特表2022-530461アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4523 20060101AFI20220622BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20220622BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61K31/4523
C07D401/04 CSP
C07D405/12
A61K31/455
A61P3/06
A61P9/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563298
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2020086754
(87)【国際公開番号】W WO2020216335
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910347198.3
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521464086
【氏名又は名称】ジェネロス バイオファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】フー シン ユアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シンユー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ イー
(72)【発明者】
【氏名】ルフェイ チェンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ルー センビン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC26
4C063CC79
4C063DD10
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC19
4C086BC39
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA45
4C086ZC33
(57)【要約】
式Iに記載の化合物、Nib2その薬学的に許容される塩の1種又は複数種を含む、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用。アテローム性動脈硬化の発生機序に基づき、炎症反応の発生から着手する。前記化合物は、マクロファージの泡沫化を著しく抑制し、脂性壊死物質沈着を減少させ、プラークの形成を減少させ、アテローム性動脈硬化をある程度遅延又は抑制することができることを示す研究がすでにある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム性動脈硬化を予防及び/又は治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、化合物が、式Iに記載の化合物、Nib2及びその薬学的に許容される塩からなる群から選択される使用。
【化1】
式中、Rは
【化2】
であり、
式中、Xは-CH2-CH2-又は
【化3】
であり、
R1はH又は
【化4】
であり、X1はハロゲンであり、
R2はCH3又はCX2であり、X2はハロゲンであり、
前記Nib2の化学式はC161133であり、構造式は次に示すとおりである。
【化5】
【請求項2】
前記式Iに記載の化合物はNib1、X7又はX8であり、前記Nib1の化学式はC282923Oであり、構造式が次に示すとおりであり、
【化6】
前記X7の化学式はC212332であり、構造式は次に示すとおりであり、
【化7】
前記X8の化学式はC2120332であり、構造式は次に示すとおりである、
【化8】
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記Nib1の投与濃度は0.1~1.098mg/kgであり、及び/又は、前記Nib2の投与濃度は0.109~5mg/kgであり、及び/又は、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.1~5mg/kgであり、
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.219~1.098mg/kgであり、例えば0.549mg/kgであり、及び/又は、前記Nib2の投与濃度は0.109~0.549mg/kgであり、例えば0.219mg/kgであり、及び/又は、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.549~1.098mg/kgである、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物は医薬組成物の形式で存在し、前記医薬組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含み、
及び/又は、前記化合物は経口製剤又は注射製剤の形式で存在し、前記経口製剤の剤型は、好ましくは、カプセル又は錠剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記化合物は脂質代謝異常を改善でき、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品であって、式Iに記載の化合物、Nib2及びその薬学的に許容される塩の1種又は複数種を含み、
前記式Iに示す化合物は、次のとおりであり、
【化9】
式中、Rは
【化10】
であり、
式中、Xは-CH2-CH2-又は
【化11】
であり、
R1はH又は
【化12】
であり、X1はハロゲンであり、
R2はCH3又はCX2であり、X2はハロゲンであり、
前記Nib2の化学式はC161133であり、構造式は次に示すとおりであり、
【化13】
好ましくは、前記式Iに記載の化合物はNib1、X7又はX8であり、前記Nib1の化学式はC282923Oであり、構造式は次に示すとおりであり、
【化14】
前記X7の化学式はC212332であり、構造式は次に示すとおりであり、
【化15】
前記X8の化学式はC2120332であり、構造式は次に示すとおりである、
【化16】
医薬品。
【請求項7】
前記Nib1の投与濃度は0.1~1.098mg/kgであり、及び/又は、前記Nib2の投与濃度は0.109~5mg/kgであり、及び/又は、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.1~5mg/kgであり、
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.219~1.098mg/kgであり、例えば0.549mg/kgであり、及び/又は、前記Nib2の投与濃度は0.109~0.549mg/kgであり、例えば0.219mg/kgであり、及び/又は、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.549~1.098mg/kgである、請求項6に記載の医薬品。
【請求項8】
前記医薬品は、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含み、
及び/又は、前記医薬品は医薬組成物の形式で存在し、
及び/又は、前記医薬品は経口製剤又は注射製剤であり、前記経口製剤の剤型は、カプセル又は錠剤である、請求項6又は7に記載の医薬品。
【請求項9】
脂質代謝異常を改善でき、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる、請求項6~8のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項10】
アテローム性動脈硬化の予防及び/又は治療において使用するための前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
治療のために前記請求項のいずれか一項に記載の化合物を用いることを含む、アテローム性動脈硬化を予防及び/又は治療する方法。
【請求項12】
前記請求項のいずれか一項に記載の化合物を含有する、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる医薬品。
【請求項13】
治療のために前記請求項のいずれか一項に記載の化合物を使用することを含む、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる方法。
【請求項14】
脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させることにおいて使用するための、前記請求項いずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させるための医薬品の製造における、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日を2019年4月26日とする中国特許出願201910347198.3の優先権を主張する。本願は、上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、生物医学分野に関し、特にアテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
アテローム性動脈硬化(atherosclerosis,AS)は、虚血性心疾患、脳梗塞、末梢動脈疾患の主たる原因である。脂質異常症は、アテローム性動脈硬化の病変の基礎であり、影響を受けた動脈の病変が内膜から始まり、一般には、まず脂質及び複合炭水化物の蓄積、出血及び血栓形成があり、さらに線維組織の増殖及びカルシウムの沈着があり、動脈中層の徐々な変化及び石灰化を伴い、動脈壁が厚く硬くなり、血管内腔の狭窄がもたらされることを特徴とする。病変は、常に大中筋型動脈に及び、動脈内腔を閉塞するのに十分なほどまで一旦発展すると、この動脈が供給する組織又は器官が虚血又は壊死する。動脈内膜に蓄積した脂質の外観は黄色い粥状を呈するため、アテローム性動脈硬化と呼ばれる。
【0004】
現在、アテローム性動脈硬化の治療に用いられる方法としては、主として薬物治療と手術治療の2種類がある。そのうち、薬物としては、主として次の数種類がある。(1)脂質降下薬:1、スタチン系、2、フィブラート系、3、ニコチン酸、4、コレスチラミン、5、クロフィブラート、6、益寿寧、血脂平及び心脈楽などの不飽和脂肪酸;7、アルギン酸ナトリウムジエステル。(2)抗血小板薬:1、アスピリン、2、ペルサンチン、3、クロピドグレル;4、シロスタゾール。(3)血管拡張薬:1、ヒドララジン(主として動脈に作用する)、2、ニトログリセリン及び硝酸イソソルビド(主として静脈に作用する)、3、ニトロプルシドナトリウム(動脈及び静脈に作用する)、4、プラゾシンなどのα1受容体遮断薬、5、フェントラミンなどのα2受容体遮断薬、6、サルブタモールなどのβ2受容体刺激剤、7、カプトプリル、エナラプリル;8、ニフェジピン、ジルチアゼム、9、アルブテロール、ミノキシジル、プロスタグランジン、心房性ナトリウム利尿ペプチド等。(4)血栓溶解薬及び抗凝固薬 1)1、ウロキナーゼ及びストレプトキナーゼ、2、組織型プラスミノゲンアクチベータ、3、一本鎖ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ、4、TNK-組織型プラスミノゲンアクチベータなどの血栓溶解薬。2)1、ヘパリン、2、エノキサパリン、3、ナドロパリン、4、ビバリルジンなどの抗凝固薬物。手術治療は、主として狭窄又は閉塞動脈に対して血流改善、再建又はバイパス移植等を行う外科手術であり、血管内腔内にステント等を置く介入治療を行うこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脂質降下薬、血管拡張薬、抗血小板薬であるか、血栓溶解薬や抗凝固薬などであるかに関わらず、いずれも症状から着手しているにすぎず、アテローム性動脈硬化形成の問題を解決することはできない。(1)脂質降下薬の種類は多く、脂質を低下させることにより血管の脂性物質の沈着を減少させる。血管拡張薬は、血栓の形成、血管壁の硬化による血圧の上昇に対し、応急薬として用いることができる。抗血小板薬、血栓溶解薬及び抗凝固薬は、血栓の形成をある程度低下させることができる。こうした医薬品は、主として体内の代謝活動に影響を及ぼすことにより実現するので、長期にわたって使用すると、個体の正常な活動に影響を及ぼすため、いずれも著しい副作用を有する。(2)こうした医薬品は、肝臓、腎臓の機能に大きな傷害をもたらし、長期にわたって使用すると、必然的に肝臓、腎臓の面の疾患が引き起こされる。そのため、アテローム性動脈硬化を有効に治療することができる医薬品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を解決するため、本発明は、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用を提供する。本発明は、アテローム性動脈硬化の発生機序に基づき、炎症反応の発生から着手する。本発明の既存の研究結果によれば、本発明における化合物は、マクロファージの泡沫化を著しく抑制し、脂性壊死物質沈着を減少させ、プラークの形成を減少させ、アテローム性動脈硬化をある程度遅延又は抑制することができる。アテローム性動脈硬化の形成を原因から解決し、副作用は少なく、肝臓、腎臓等の臓器の機能に対する傷害が比較的小さい。
【0007】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第1の態様では、式Iに記載の化合物、Nib2及びその薬学的に許容される塩の1種又は複数種を含む、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における化合物の使用を提供する。
【0008】
前記式Iに示す化合物は、次のとおりであり、
【化1】
式中、Rは
【化2】
であり、
式中、Xは-CH2-CH2-又は
【化3】
であり、
R1はH又は
【化4】
であり、X1はハロゲンであり、
R2はCH3又はCX2であり、X2はハロゲンであり、
前記Nib2の化学式はC161133であり、構造式は次に示すとおりである。
【化5】
【0009】
好ましくは、前記式Iに記載の化合物はNib1、X7又はX8であり、
前記Nib1の化学式はC282923Oであり、構造式は次に示すとおりであり、
【化6】
前記X7の化学式はC212332であり、構造式は次に示すとおりであり、
【化7】
前記X8の化学式はC2120332であり、構造式は次に示すとおりである。
【化8】
【0010】
本発明の好ましい実施例において、本発明は、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造におけるNib1の使用を提供し、前記Nib1の化学式はC282923Oであり、構造式は次に示すとおりである。
【化9】
【0011】
本発明の好ましい実施例において、本発明は、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造におけるNib2の使用を提供し、前記Nib2の化学式はC161133であり、構造式は次に示すとおりである。
【化10】
【0012】
本発明の好ましい実施例において、本発明は、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造におけるX7の使用を提供し、前記X7の化学式はC212332であり、構造式は次に示すとおりである。
【化11】
【0013】
本発明の好ましい実施例において、本発明は、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造におけるX8の使用を提供し、前記X8の化学式はC2120332であり、構造式は次に示すとおりである。
【化12】
【0014】
本発明において、Nib1、Nib2、X7及びX8がアテローム性動脈硬化を遅延又は抑制可能な具体的なメカニズムは、次のとおりである。本発明のチームは、研究により、アテローム性動脈硬化が、低密度リポタンパク質の堆積による内皮細胞機能失調から始まり、その後、他の硬化要因とともに病気を誘発することを見出した。活性化した血管内皮細胞は、一連のケモカインを刺激し、細胞表面に付着するタンパク質の発現を増加させる。単球がマクロファージに分化するとともに、これらの表面においてパターン認識受容体の発現が増加し、修飾された低密度リポタンパク質を取り込み、炎症が促進され、油脂が充満した泡沫細胞が形成される。絶えず蓄積される修飾低密度リポタンパク質及び異常な細胞脂質の定常状態により、泡沫細胞の壊死がもたらされ、泡沫細胞の壊死は、脂肪の沈着及び炎症の拡大をもたらす。平滑筋細胞が血管中膜から内膜へと移行し、内膜でのプラークの増殖を安定させ、修飾リポタンパク質を吸収し、細胞質基質タンパク質を分泌する。持続的な炎症は、サイトカインが細胞質基質タンパク質の生成を減少させることによりプラークの安定を破壊し、細胞外マトリックスタンパク質分解マトリックスメタロプロテアーゼの生成/活性を増加させ、これら酵素阻害薬の発現/活性を低下させ、プラークの破裂により血小板の凝集、凝固及び血栓形成をもたらし、最終的にこの病気の臨床合併症をもたらすことによる。サイトカインは、細胞シグナリングを制御し、下流の重要な基の発現又は活性を誘導することができ、免疫細胞及び内皮細胞の相互作用ネットワークに影響を及ぼし、こうした定常状態機序を破壊することによりマクロファージ泡沫細胞の形成及び最終的な血管塞栓を調整する。本発明において、Nib1/Nib2/X7/X8は、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、プラークの形成を減少させることができ、毒性・副作用は比較的低い。
【0015】
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.1~1.098mg/kgである。
【0016】
好ましくは、前記Nib2の投与濃度は0.109~5mg/kgである。
【0017】
好ましくは、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.1~5mg/kgである。
【0018】
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.219~1.098mg/kgであり、例えば0.549mg/kgである。
【0019】
好ましくは、前記Nib2の投与濃度は0.109~0.549mg/kgであり、例えば0.219mg/kgである。
【0020】
好ましくは、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.549~1.098mg/kgである。
【0021】
好ましくは、前記化合物は医薬組成物の形式で存在する。前記医薬組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記化合物は経口製剤又は注射製剤の形式で存在する。前記経口製剤の剤型は、好ましくは、カプセル又は錠剤である。
【0023】
好ましくは、前記化合物は脂質代謝異常を改善でき、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる。
【0024】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第2の態様では、式Iに記載の化合物、Nib2及びその薬学的に許容される塩の1種又は複数種を含む、アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品を提供する。
【0025】
前記式Iに示す化合物は、次のとおりであり、
【化13】
式中、Rは
【化14】
であり、
式中、Xは-CH2-CH2-又は
【化15】
であり、
R1はH又は
【化16】
であり、X1はハロゲンであり、
R2はCH3又はCX2であり、X2はハロゲンであり、
前記Nib2の化学式はC161133であり、構造式は次に示すとおりである。
【化17】
【0026】
好ましくは、前記式Iに記載の化合物はNib1、X7又はX8であり、前記Nib1の化学式はC282923Oであり、構造式は具体的には次に示すとおりであり、
【化18】
前記X7の化学式はC212332であり、構造式は具体的には次に示すとおりであり、
【化19】
前記X8の化学式はC2120332であり、構造式は具体的には次に示すとおりである。
【化20】
【0027】
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.1~1.098mg/kgである。
【0028】
好ましくは、前記Nib2の投与濃度は0.109~5mg/kgである。
【0029】
好ましくは、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.1~5mg/kgである。
【0030】
好ましくは、前記Nib1の投与濃度は0.219~1.098mg/kgであり、例えば0.549mg/kgである。
【0031】
好ましくは、前記Nib2の投与濃度は0.109~0.549mg/kgであり、例えば0.219mg/kgである。
【0032】
好ましくは、前記X7及び/又はX8の投与濃度は0.549~1.098mg/kgである。
【0033】
好ましくは、前記医薬品は、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含む。
【0034】
好ましくは、前記医薬品は医薬組成物の形式で存在する。
【0035】
好ましくは、前記医薬品は経口製剤又は注射製剤であり、前記経口製剤の剤型は、好ましくは、カプセル又は錠剤である。
【0036】
好ましくは、前記医薬品は脂質代謝異常を改善でき、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる。
【0037】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第3の態様では、アテローム性動脈硬化の予防及び/又は治療における本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物の使用を提供する。
【0038】
上記技術的課題を解決するため、本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物を用いて治療を行うことを含む、アテローム性動脈硬化を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0039】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第5の態様では、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物を含む、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる医薬品を提供する。
【0040】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第6の態様では、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物を用いて治療を行うことを含む、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる方法を提供する。
【0041】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第7の態様では、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させることにおける、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物の使用を提供する。
【0042】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第8の態様では、脂質代謝異常を改善し、好ましくはTC、HDL及び/又はLDLのレベルを低下させ、マクロファージ泡沫化を著しく抑制し、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させ、脂性壊死物質沈着を減少させ、及び/又はアテローム性動脈硬化プラーク形成を減少させる医薬品の製造における、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様に記載の化合物の使用を提供する。
【0043】
本発明において、上述したヒトに用いる用量は、本発明の動物試験の用量により換算して得られ、具体的にはマウス用量を換算係数9.1で割る。しかしながら、当業者は、本分野のデフォルトの誤差範囲内の用量(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの差)は、いずれも本発明の保護範囲にあると理解すべきである。
【0044】
先行技術と比べ、本発明の有益な効果は次のとおりである。本発明の化合物は、ApoEノックアウトマウスにおいて、いずれも脂質の改善作用が認められている。ApoE遺伝子ノックアウトマウスの大動脈には、明らかなアテローム性動脈硬化プラークが認められたが、本発明の化合物を与えた後、アテローム性動脈硬化プラークが明らかに改善した。また、アテローム性動脈硬化と関連する脂質含有量の測定では、本発明の化合物は、マウス血清中のTC、HDL、LDLレベルを低下させることができ、アテローム性プラーク内のマクロファージ沈着を著しく減少させることができた。本発明のin vitro、in vivo研究により、本発明の化合物は、脂質代謝異常を改善し、アテローム性動脈硬化を予防し治療できることが示された。本発明は、実験動物のアテローム性動脈硬化の治療の面において、スタチン系脂質降下薬と比べ、アテローム性動脈硬化を有効に予防し治療することができ、糖尿病の発症率を増加させず、肝腎機能の損傷がなかった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、モデル対照群59#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図2図2は、モデル対照群59#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図3図3は、スタチン介入群57#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図4図4は、スタチン介入群57#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図5図5は、試料A低用量群69#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図6図6は、試料A低用量群69#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図7図7は、試料A中用量群24#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図8図8は、試料A中用量群24#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図9図9は、試料A高用量群49#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100である)。
図10図10は、試料A高用量群49#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図11図11は、試料B低用量群55#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図12図12は、試料B低用量群55#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図13図13は、試料B中用量群8#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図14図14は、試料B中用量群8#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図15図15は、試料B高用量群64#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(HE×100)である。
図16図16は、試料B高用量群64#のマウス凍結切片顕微鏡観察図(オイルレッドO×100)である。
図17図17は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管及びプラークで中低レベルのシグナル発現が認められた(モデル対照群16#IHC-P×400)。
図18図18は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(スタチン介入群9#IHC-P×400)。
図19図19は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A低用量群35#IHC-P×400)。
図20図20は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A中用量群50#IHC-P×400)。
図21図21は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で低レベルのシグナル発現が認められた(試料A高用量群2#IHC-P×400)。
図22図22は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B低用量群3#IHC-P×400)。
図23図23は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B中用量群44#IHC-P×400)。
図24図24は、大動脈(VCAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B高用量群23#IHC-P×400)。
図25図25は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管及びプラークで中レベルのシグナル発現が認められた(モデル対照群1#IHC-P×400)。
図26図26は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(スタチン介入群30#IHC-P×400)。
図27図27は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A低用量群65# IHC-P×400)。
図28図28は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A中用量群24#IHC-P×400)。
図29図29は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で低レベルのシグナル発現が認められた(試料A高用量群48# IHC-P×400)。
図30図30は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B低用量群25#IHC-P×400)。
図31図31は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で低レベルのシグナル発現が認められた(試料B中用量群10#IHC-P×400)。
図32図32は、大動脈(ICAM-1)を示し、血管で中レベルのシグナル発現が認められた(試料B高用量群66# IHC-P×400)。
図33図33は、大動脈(CD68)を示し、血管及びプラークで中低レベルのシグナル発現が認められた(モデル対照群29#IHC-P×400)。
図34図34は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(スタチン介入群56#IHC-P×400)。
図35図35は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A低用量群62#IHC-P×400)。
図36図36は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A中用量群24#IHC-P×400)。
図37図37は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料A高用量群19#IHC-P×400)。
図38図38は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B低用量群15#IHC-P×400)。
図39図39は、大動脈(CD68)を示し、血管で中低レベルのシグナル発現が認められた(試料B中用量群43#IHC-P×400)。
図40図40は、大動脈(CD68)を示し、血管で中レベルのシグナル発現が認められた(試料B高用量群39#IHC-P×400)。
図41図41は、ApoE遺伝子ノックアウトマウスアテローム性動脈硬化病変に対する被験試料の病理結果棒グラフである(表9の結果より作製)。
図42図42は、健常対照群、溶媒群及びアトルバスタチン治療群と比較した、化合物Nib1治療群の体重変化曲線である。
図43図43は、健常対照群、溶媒群及びアトルバスタチン治療群と比較した、化合物Nib2(N2)治療群の体重変化曲線である。
図44図44は、健常対照群、溶媒群及びアトルバスタチン治療群と比較した、化合物X7治療群の体重変化曲線である。
図45図45は、健常対照群、溶媒群及びアトルバスタチン治療群と比較した、化合物X8治療群の体重変化曲線である。
図46図46は、各治療群の大動脈内壁プラーク面積の割合の棒グラフである。図中、Aは動脈弓全体のプラーク比(縦切り、全域)であり、Bは動脈流出路の横切り図分析プラーク比である。
図47図47は、実験開始前の各群の動物の脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)レベルを示す。
図48図48は、実験終了時点の動物の脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)レベルを示す。
図49図49は、脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)に対するNib1治療の影響を示す。
図50図50は、脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)に対するNib2治療の影響を示す。
図51図51は、脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)に対するX7治療の影響を示す。
図52図52は、脂質(TG、TCHO、HDL-C、LDL-C)に対するX8治療の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、実施例を参照して、本発明についてさらに説明する。
【0047】
薬効検証実施例1:ApoE遺伝子ノックアウトマウスのアテローム性動脈硬化形成に対する被験試料A(Nib1)、試料B(Nib2)の影響について研究した。
【0048】
1、実験試薬:
被験試料Nib1はSigma社から購入し(ロット番号P1793#)、Nib2はEMD Millipore Corporationから購入し(ロット番号573108#)、アトルバスタチンカルシウム錠は北京嘉林薬業股フン有限公司製である(番号:MC16035)。用いた溶媒は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、ロット番号20170220、天津市福晨化学試剤廠、ジメチルスルホキシドDMSO:ロット番号20170215、広東光華科技股フン有限公司、ポリエチレングリコールPEG300:ロット番号C10113353、上海麦考林生化科技有限公司である。
【0049】
【表1】
【0050】
2、実験方法:
SPFグレードC57BL/6 ApoE-/-モデルマウス(広東省医学実験動物センター提供、実験動物生産許可証番号:SCXK(粤)2013-0002。実験動物品質合格証明番号:44007200048196)雌雄各半分、8~12週齢、計72匹、規格に適合するSPFグレード動物施設において4週間観察し飼育した後、体重が比較的少ない動物を除き、64匹を各群8匹に無作為に割り付け、10%高脂肪食で飼育し、異なる治療プロトコルを受けさせた。1日1回観察し投与し、胃ゾンデで投与し、週1回体重を測定し、58日間続けた。アトルバスタチンカルシウム錠(略称スタチン)を研磨した後、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液で調製し、被験試料をジメチルスルホキシド溶液に溶解し、30% PEG300で調製した。割付けの状況は次の表2に示すとおりである。
【0051】
【表2】
【0052】
実験終了時点で、ペントバルビタールナトリウムで麻酔し、眼窩静脈叢から採血し、低温遠心機3000r/minで10min遠心し、血清を分離した。総コレステロールTC、トリグリセリドTG、高密度リポタンパク質HDL-C、低密度リポタンパク質LDL-Cのレベルを測定し、残りの血清は、-80℃で、冷蔵庫で保存した。
【0053】
動物は、採血後に放血致死させ、大動脈弓を心臓、胸部大動脈用とともに取り、中性ホルマリンで固定し、病理室で検査した。腹部大動脈を取り、液体窒素で急速凍結した後、-80℃で冷凍保存した。
a)HE染色:大動脈弓切片をHE染色し、光学顕微鏡でプラークの状況を観察した。
b)オイルレッドO染色:大動脈弓切片をオイルレッドO染色し、光学顕微鏡でプラークの状況を観察した。
c)免疫染色:胸部大動脈切片を免疫染色してCD68、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、血管細胞接着分子-1(VCAM-1)の発現を測定した。
【0054】
3、統計解析:原データに対して統計処理を行い、表で説明した。原データは、平均数に標準偏差を加減して表し(
【数1】
)、SPSS21.0統計ソフトウェアで解析した。各群の体重データ比較は、反復測定分散分析を用いた。スタチン介入群の脂質とモデル対照群の比較は、独立したサンプルのT検定を用いた。被験試料A、B群の脂質とモデル対照群の比較は、一元配置分散分析を用い、群間比較は、LSD法を用いた。検定水準α=0.05。
【0055】
4、試験結果
4.1 一般観察:試験期間に明らかな異常は認められなかった。
4.2 体重(表3~5を参照):モデル対照群と比較し、各群のマウスの体重は、各測定時間において統計学的な有意差は認められず(P>0.05)、その毒性・副作用が比較的小さいことを示した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
4.3 疾患モデル動物の脂質に対する分析:
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
♂、n=4:モデル対照群と比較し、スタチン介入群のマウスの血清TC、TG、HDL-Cレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.01又は0.05)。被験試料B高用量群のTGレベルは低く、被験試料B中、高用量群のHDL-Cレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。
【0063】
♀、n=4:モデル対照群と比較し、スタチン介入群のマウスの血清TC、TG、HDL-Cレベルはいずれも程度が異なる低下が認められたが、統計学的な有意差は認められなかった(P>0.05)。被験試料A低、高用量群のTC、HDL、LDLレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.01又は0.05)。被験試料B低、中、高用量群のHDL-Cレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。
【0064】
全体、n=8:モデル対照群と比較し、スタチン介入群のマウスの血清TGレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。被験試料A中、高用量群のHDL-Cレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。被験試料B高用量群のTGレベルは低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。
【0065】
上記の結果からわかるように、被験試料A及びBは脂質レベルに対して程度の異なる制御を有し、脂質の改善作用を有した。
【0066】
4.4 大動脈HE、オイルレッドO染色病理結果:試料A中用量群、試料B中用量群の大動脈の組織学的評価は、モデル対照群よりも低く、結果に統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。他の各群の評価はモデル対照群よりも低いか、又は等しく、いずれも統計学的な有意差が認められなかった(P>0.05)。
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
具体的な結果は次のとおりであった。
【0070】
モデル対照群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計6例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち4例の動物(7#、29#、58#、59#(図1、2に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、1例の動物(1#)では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められ、1例の動物(52#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0071】
スタチン介入群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計5例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち2例の動物(45#、57#(図3、4に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、3例の動物(9#、18#、30#)では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められた。
【0072】
試料A低用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計7例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち3例の動物(14#、33#、69#(図5、6に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、4例の動物(35#、62#、65#、68#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0073】
試料A中用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計5例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち5例の動物(21#、24#(図7、8に示す)、32#、61#、70#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0074】
試料A高用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計6例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち3例の動物(17#、48#、49#(図9、10に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、2例の動物(26#、63#)では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められ、1例の動物(41#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0075】
試料B低用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計7例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち3例の動物(6#、25#、55#(図11、12に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、2例の動物(15#、60#)では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められ、2例の動物(3#、42#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0076】
試料B中用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計4例の動物でアテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち1例の動物(8#(図13、14に示す))では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められ、3例の動物(40#、43#、44#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0077】
試料B高用量群:動物8例の大動脈を検査し、組織学的観察によって計7例の動物で動脈アテローム性動脈硬化の発生が認められた。うち2例の動物(39#、64#(図15、16に示す))では、大動脈血管壁マトリックス内に脂性壊死物質沈着を含み、泡沫細胞、プラークを形成し、血管内腔に隆起が認められ、2例の動物(27#、54#)では、大動脈血管壁に脂性壊死物質沈着を含むことが認められ、3例の動物(11#、12#、23#)では、大動脈内膜下層に脂性壊死物質沈着を少量含むことが認められた。
【0078】
上記の結果からわかるように、被験試料A及び被験試料Bを用いた効果は、スタチン群に相当するか、又はより優れていた。いずれもマクロファージ泡沫化を著しく抑制し、脂性壊死物質沈着を減少させ、プラークの形成を減少させ、アテローム性動脈硬化をある程度遅延又は抑制することなどができる。
【0079】
4.5 免疫染色の評価結果は、図17~40に示すとおりであった。
VCAM-1:試料A中、高用量群の結果はモデル対照群よりも低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。
【0080】
ICAM-1:スタチン介入群、試料A低、中、高用量群、試料B中用量群の結果はモデル対照群よりも低く、統計学的な有意差が認められた(P<0.05)。
【0081】
CD68とモデル対照群の比較では、有意差が認められなかった(P>0.05)。
【0082】
【表10】
【0083】
5 結論
本実験では、動物で動脈硬化モデルを確立する過程で、同時に医薬品を投与して介入治療を行っており、臨床における予防的治療の状況に属す。この条件下で、Nib1の低、高用量で雌性マウスのTC、LDL-Cが低下し、試料B高用量でマウスのTGが低下した。これらの化合物は、脂質レベルに対して程度の異なる制御を有し、脂質の改善作用を有した。病理の結果、Nib1の中用量、Nib2の中用量は、ApoE遺伝子ノックアウトマウスの動脈プラークの形成をある程度遅延できることが示されたとともに、大動脈壁VCAM-1及びICAM-1の発現の低下が示された。
【0084】
薬効検証実施例2:高脂肪飲食で誘導したApoEノックアウトマウスアテローム性動脈硬化モデルにおけるNib1、Nib2、X7、X8による治療法の薬効研究について評価した。
【0085】
実験方法:
ApoE遺伝子ノックアウトマウスのアテローム性動脈硬化形成に対する被験試料Nib1、Nib2、X7、X8の影響について研究した。
【0086】
1、実験試薬:
被験試料Nib1はSigma社から購入し(ロット番号P1793#)、Nib2はEMD Millipore Corporationから購入し(ロット番号573108#)、アトルバスタチンカルシウム錠は北京嘉林薬業股フン有限公司製である(番号:MC16035)。用いた溶媒は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、ロット番号20170220、天津市福晨化学試剤廠、ジメチルスルホキシドDMSO:ロット番号20170215、広東光華科技股フン有限公司、ポリエチレングリコールPEG300:ロット番号C10113353、上海麦考林生化科技有限公司である。
【0087】
2、実験方法:
SPFグレードC57BL/6 ApoE-/-モデル雄性マウス、8週齢(維通利華実験動物技術有限公司(中国、北京)から購入、動物許可証番号:SCXK(京)2016-0001、動物合格証番号:11400700331337)、計130匹、規格に適合するSPFグレード動物施設において1週間飼育した後、体重が比較的軽い動物を除き、各群8匹、計11群に無作為に割り付けた。健常対照群以外は10%高脂肪食で飼育し(高脂肪飲食の1日目をD1とした)、高脂肪飲食の8週目より、各群の動物にそれぞれ溶剤又は対応する医薬品を経口投与し、投与体積は10ml/kgとし、1日1回、8週間続けた。1日1回観察し投与し、胃ゾンデで投与し、週1回体重を測定し、56日間続けた。アトルバスタチンカルシウム錠を研磨した後、生理食塩水溶液で調製し、被験試料母液をジメチルスルホキシド溶液に溶解し、30% PEG300で調製した。
【0088】
割付けの状況は次の表に示すとおりである。
【0089】
【表11】
【0090】
実験終了時点で、動物に二酸化炭素を吸入させ安楽死させ、心臓から採血し、低温遠心機3000r/minで10min遠心し、血清を分離した。総コレステロールTC、トリグリセリドTG、高密度リポタンパク質HDL-C、低密度リポタンパク質LDL-Cのレベルを測定し、残りの血清は、-80℃で、冷蔵庫で保存した。
【0091】
また、心臓から採血した後、生理食塩水20mlを左心室に灌流した。放血の完了後、心臓と大動脈(大動脈弓から腸骨動脈まで)に分離した。体から分離した動脈は、大動脈弓から腸骨動脈まで縦方向に切り開き、4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、60%イソプロパノールで10分間同期化した後、60%オイルレッドの中に置いて30分間染色し、再度60%イソプロパノールで3回洗浄し、1回5分とした。最後に、着色した大動脈を脱イオン水で洗浄した後に撮影した。Image Pro Plus 6.0(Media Cybernetics,MD,US)で赤いプラーク領域の割合を測定した。マウス心臓検体を4%パラホルムアルデヒド溶液で一晩固定した後、スクロース溶液で脱水した。次いで、実体顕微鏡においてOCT(Sakura,Japan)で包埋し、7μmの凍結切片を作製した。切片をHEで染色した後、慣例的な病理検査に用い、光学顕微鏡で、4倍で流出路画像を採取し、4倍、10倍、20倍及び40倍の接眼レンズで高品質の形態学的観察を行った。検査基準は、ヒトアテローム性動脈硬化症組織学的分類基準を参照した。
【0092】
3. 実験結果:
3.1 体重変化の結果
動物に高脂肪食を8週間与えた後、異なる治療プロトコルを受けさせ、毎日体重の変化を測定した。各群の変化曲線は図42~45に示すとおりであった。各群の動物の体重変化の傾向は類似しており、有意差は認められず、その毒性・副作用が小さいことが示された。
【0093】
図42は、健常対照(Normal)群、溶媒(Vehicle)群及びアトルバスタチン(Atovastatin)治療群と比較した、化合物Nib1治療群の体重変化曲線である。
【0094】
図43は、健常対照(Normal)群、溶媒(Vehicle)群及びアトルバスタチン(Atovastatin)治療群と比較した、化合物Nib2(N2)治療群の体重変化曲線である。
【0095】
図44は、健常対照(Normal)群、溶媒(Vehicle)群及びアトルバスタチン(Atovastatin)治療群と比較した、化合物X7治療群の体重変化曲線である。
【0096】
図45は、健常対照(Normal)群、溶媒(Vehicle)群及びアトルバスタチン(Atovastatin)治療群と比較した、化合物X8治療群の体重変化曲線である。
【0097】
3.2 動脈アテローム性プラークの面積が大動脈血管内壁の総面積に占める割合(En-Face)によって、異なる治療薬の効果を評価した。
【0098】
動物モデルにおける動脈硬化症の重症度で広く受け入れられている基準を採用し、大動脈内壁全体のすべてのプラークの面積を分析統計した。結果は図46~52に示すとおりであった。モデル群は、健常対照群と比べ、プラーク面積の割合が著しく上昇しており、平均値は17.12%に達し(p<0.001)、動物モデル全体の確立が成功したことを示しており、予期されたプラーク形成効果を達成している。陽性医薬品アトルバスタチン治療群は、プラーク形成を著しく低下させる作用を有しており、6.26%のみであった(p<0.001)。各治療群は、溶媒治療群と比べ、Nib1低用量群を除き、いずれも著しい治療効果が得られている。中でも、X8高用量群の治療効果が最も優れており、陽性医薬品に近く、数値は6.93%であった(p<0.001)。Nib1、Nib2、X7の高用量治療群は、いずれも優れた治療効果が得られた(p<0.01)。図46は、各治療群の大動脈内壁プラーク面積の割合の棒グラフである。図46における数値は、各群のプラークが内壁の総面積に占める割合であり、誤差は標準誤差±SEMである。統計学的有意性分析は、次に示すとおりである。***P<0.001 健常対照群との比較。溶媒群との比較、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、一元配置分散分析ダネットの検定による。&はP<0.05を表し、溶媒群との比較、T検定。
【0099】
【表12】
【0100】
3.3 脂質代謝の結果
実験開始前に、動物の血液検体について、慣例的なトリグリセリド(TG)、総コレステロール(TCHO)、高密度リポタンパク質(HDL-c)及び低密度リポタンパク質(LDL-c)を含む脂質代謝分析を行い、高脂肪又は普通の食事を8週間与えた後、脂質レベルを再度測定し、薬物治療開始後に、実験終了時点まで脂質検査を4週間に1回行った。図47の結果からわかるように、溶媒群と比べ、アトルバスタチンによる治療は、トリグリセリド及び高密度リポタンパク質のレベルを高め、総コレステロール及び低密度リポタンパク質のレベルを下げることができた。Nib1(N1)、Nib2(N2)、X7、X8化合物による治療は、トリグリセリド、総コレステロール及び低密度リポタンパク質のレベルを著しく低下させることができた。高密度リポタンパク質レベルについては、Nib1は、そのレベルを著しく低下させることができたが、他の3種類の医薬品Nib2、X7、X8には明らかな効果がなく、これらの化合物は脂質レベルに対して程度の異なる制御を有することがわかった。
【0101】
図47は、実験開始前の各群の動物の脂質レベルである。図47における数値は、実験開始前の各群の脂質の様々な指標の平均値であり、誤差は標準誤差±SEMである。統計学的有意性分析は、次に示すとおりである。***P<0.001 健常対照群との比較。溶媒群との比較、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、一元配置分散分析ダネットの検定による。&はP<0.05を表し、溶媒群との比較、T検定。
【0102】
図48は、実験終了時点の動物の脂質レベルである。図48における数値は、実験終了時の各群の脂質の様々な指標の平均値であり、誤差は標準誤差±SEMである。統計学的有意性分析は、次に示すとおりである。***P<0.001 健常対照群との比較。溶媒群との比較、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001、一元配置分散分析ダネットの検定による。&はP<0.05を表し、溶媒群との比較、T検定。
【0103】
図49は、脂質に対するNib1治療の影響である。図49において、横座標は時間(週)であり、健常対照群(Normal control)、溶媒治療群(Vehicle)、アトルバスタチン治療群(Atorvastatin 20mpk)と比較したものである。
【0104】
図50は、脂質に対するNib2治療の影響である。図50において、横座標は時間(週)であり、健常対照群(Normal control)、溶媒治療群(Vehicle)、アトルバスタチン治療群(Atorvastatin 20mpk)と比較したものである。
【0105】
図51は、脂質に対するX7治療の影響である。図51において、横座標は時間(週)であり、健常対照群(Normal control)、溶媒治療群(Vehicle)、アトルバスタチン治療群(Atorvastatin 20mpk)と比較したものである。
【0106】
図52は、脂質に対するX8治療の影響である。図52において、横座標は時間(週)であり、健常対照群(Normal control)、溶媒治療群(Vehicle)、アトルバスタチン治療群(Atorvastatin 20mpk)と比較したものである。
【0107】
結論:
本実験によって、用量の異なるNib1、Nib2、X7、X8は、治療型介入方式の下で、プラーク面積の割合を主たる指標としてアテローム性動脈硬化の症状を著しく緩和するとともに、脂質レベルに対して程度の異なる制御があることが証明された。
【0108】
実施例3:1-(1-(2-(p-トリル)アセチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(X7)の化学合成
【化21】
1-(1-(2-(p-トリル)アセチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(X7)の合成ステップは次のとおりである。
【化22】
DCM(20ml)に1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン塩酸塩(1.50g、5.90mmol)、2-(p-トリル)酢酸(1.34g、8.90mmol)及びHATU(6.76g、17.8mmol)を加え、0℃でDIEA(3.81g、29.5mmol)を滴下した。反応混合物を濃縮した。高速液体クロマトグラフィー法(10~95% CH3CN水溶液)を採用して生成物を精製し、白色固体を得た(1.16g、収率56%)。1H NMR (400MHz,CDCl3):δ 10.83 (s,1H),7.21-7.15 (m,4H),6.96-6.90 (m,4H),4.57 (d,J=13.2Hz,1H),4.45-4.32 (m,1H),4.07 (d,J=14.0Hz,1H),3.82-3.67 (m,2H),3.18-3.07 (m,1H),2.72-2.62 (m,1H),2.27 (s,3H),2.08-1.96 (m,1H),1.95-1.80 (m,1H),1.66 (d,J=10.8Hz,1H),1.57 (d,J=10.8Hz,1H). MS (ESI) m/z 350.2 [M+H]+,純度:96.8%@254nm,99.6%@214nm.
【0109】
実施例4:1-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(X8)の化学合成
【化23】
1-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセチル)ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン(X8)の合成ステップは次のとおりである。
【化24】
DCM(50mL)に1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン塩酸塩(1.50g、5.90mmol)、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(1.45g、7.09mmol)及びHATU(3.37g、8.87mmol)を加え、0℃で、DIEA(3.81g、29.6mmol)を加えた。反応混合物を、室温で、N2下で3h撹拌し、DCM(100ml)で反応混合物を希釈し、NH4Cl水溶液(100ml)で洗浄した。分離した有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得て、高速液体クロマトグラフィー法(10~50% CH3CN水溶液)で精製し、白色固体を得た(1.75g、収率74%)。1H NMR (400MHz,CDCl3):δ10.84 (s,1H),7.71 (d,J=8.0Hz,2H),7.53(d,J=8.0Hz,2H),7.09-7.03 (m,1H),6.98-6.92 (m,3H),4.57 (d,J=13.2Hz,1H),4.45-4.32 (m,1H),4.13 (d,J=14.0Hz,1H),3.98-3.85 (m,2H),3.19 (t,J=12.0Hz,1H),2.71 (t,J=12.0Hz,1H),2.16-2.01 (m,2H),1.68 (m,t,J=12.0Hz,2H). MS (ESI) m/z 404.1 [M+H]+,純度:92.4%@254nm,99.7%@214nm.
【0110】
本発明で用いる原料、設備は、特に説明がない場合、いずれも本分野で常用される原料、設備であり、本発明で用いる方法は、特に説明がない場合、いずれも本分野で慣例的な方法である。
【0111】
以上の内容は、本発明の好ましい実施例であるにすぎず、本発明に対するいかなる限定でもない。本発明の技術により実質的に以上の実施例に対して行われたいかなる簡単な修正、変更及び同等の変換は、いずれも本発明の技術手法の保護範囲に属す。
図1-5】
図6-11】
図12-17】
図18-23】
図24-29】
図30-35】
図36-41】
図42-44】
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
【国際調査報告】