(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】垂直離着陸航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/22 20060101AFI20220622BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B64C27/22
B64D27/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563308
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020030143
(87)【国際公開番号】W WO2021025739
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520339482
【氏名又は名称】ジョビー エアロ インク
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO, INC.
【住所又は居所原語表記】340 Woodpecker Ridge Santa Cruz,CA,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100207251
【氏名又は名称】矢島 弘文
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール ベブル ミキッチ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ストール
(72)【発明者】
【氏名】ジョーベン ビバート
(57)【要約】
本航空機は、機体、傾斜機構、ペイロードハウジングを備え得り、オプションで、衝撃減衰器、地上支持部材(例えば、支柱)のセット、動力源のセット、制御要素のセットを備え得る。機体は、ロータのセットおよび支持部材のセットを備え得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイロードハウジングと、前記ペイロードハウジングに結合された機体と、複数の推進アセンブリと、を備える電気航空機システムであって、
前記機体は、
第1の広い表面を画定する左翼と、
第2の広い表面を画定する右翼と、
前記左翼に取り付けられ、かつ、前記第1の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、左支持部材と、
前記右翼に取り付けられ、かつ、前記第2の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、右支持部材と、
を備え、
前記複数の推進アセンブリは、
前記左支持部材の前記左翼の外側に取り付けられた左外側推進アセンブリと、
前記右支持部材の前記右翼の外側に取り付けられた右外側推進アセンブリと、
前記左支持部材の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ取り付けられた、第1の内側推進アセンブリおよび第2の内側推進アセンブリと、
前記右支持部材の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ取り付けられた、第3の内側推進アセンブリおよび第4の内側推進アセンブリと、
を備え、
前記複数の推進アセンブリのそれぞれは、
電気モータと、翼弦線に対して固定迎え角で回転軸の周りに前記電気モータに回転可能に結合されたプロペラと、を備え、
前記固定迎え角は、回転軸と翼弦線の間で画定され、ゼロ以外の値を有する、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記固定迎え角が3度から9度の間であること、
を特徴とする電気航空機システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記左翼および前記右翼を前記ペイロードハウジングに回転可能に結合する傾斜機構と、
前記電気航空機システムを、前進構成とホバリング構成との間で、第1の位置と第2の位置の間にある前記左翼と前記右翼を回転させることによって転換させるように構成された前記傾斜機構と、
を備えることを特徴とする電気航空機システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記左翼は、前記傾斜機構から前記左外側推進アセンブリまで延びるねじり補強部材、を備え、
前記左支持部材は、前記第1の推進アセンブリから前記第2の推進アセンブリまで延びる反横方向ねじり補強部材、を備え、
前記反横方向ねじり補強部材が前記ねじり補強部材と交差しない、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項5】
請求項3に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記各推進力アセンブリの前記プロペラは、ディスク領域、および前記ディスク領域を含む前記ディスク面、を画定し、
前記各推進力アセンブリの前記プロペラは、前記ディスク領域の中央にハブ、を備え、
前記第2の内側推進アセンブリと前記第4の内側推進アセンブリの前記ハブは、前進構成の前記ペイロードハウジングのベースの下にある、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、重心、前記重心を通って延びる横軸、前記重心を通って延びる垂直軸、前記横軸および前記垂直軸を含む横垂直面、を画定し、
前記第1の内側推進アセンブリの前記ハブおよび前記左外側推進アセンブリの前記ハブが、前進構成において、横垂直面の反対側に配置されている、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記傾斜機構は、前記左翼および前記右翼を前記傾斜軸の周りに回転させるように構成され、
前記傾斜軸は、前記重心の後方にある、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項8】
請求項6に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記左翼および前記右翼が下反角翼であること、
を特徴とする電気航空機システム
【請求項9】
請求項3に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記傾斜機構は、前記前進構成と前記ホバリング構成との間で、前記左翼および前記左翼を90度未満回転させるように構成される、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項10】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、エレベーター、エルロン、またはラダーを含まない、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、重量ベクトルを画定し、飛行中に前記重量ベクトルに対抗する正味の揚力ベクトルを生成するように構成され、
前記推進アセンブリは、前進飛行中の前記正味の揚力ベクトルの少なくとも25パーセントを生成するように構成される、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項12】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、バンクなしで前進飛行中に前記電気航空機システムの機首方位を変更するように構成される、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項13】
請求項1に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記推進アセンブリが、電気エネルギーを同時に生成し、前記航空機の重心の周りに正味のモーメントを生成する、ように構成される、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項14】
前進飛行中に前記電気航空機システムの重量ベクトルに対向する正味の揚力ベクトルを生成する電気航空機システムであって、
前記電気航空機システムは、
ペイロードハウジングと、
第1の広い表面を画定する左翼と、
第2の広い表面を画定する右翼と、
前記左翼に取り付けられ、かつ、前記第1の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、左支持部材と、
前記右翼に取り付けられ、かつ、前記第2の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、右支持部材と、
複数の推進アセンブリと、
を備え、
前記複数の推進アセンブリは、
前記左右の支持部材の外側に取り付けられた外側推進アセンブリのセットと、
前記左右の支持部材に取り付けられた内側推進アセンブリのセットと、
を備え、
前進飛行中に前記正味の揚力ベクトルの10パーセントを超える前記正味の揚力ベクトルからなる正味のプロペラの揚力ベクトルを協調的に生成するように構成されている、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項15】
請求項14に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記左翼および前記右翼が協調して、トータルの投影された翼領域を画定し、
前記推進アセンブリの前記プロペラが協調して、トータルの投影された羽根領域を画定し、
前記トータルの投影された羽根領域が、前記トータルの投影された翼領域の50%と200%との間である、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項16】
請求項14に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記複数の推進アセンブリの前記各プロペラが5つの羽根を備える、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項17】
電気航空機システムであって、前記電気航空機システムは、
ペイロードハウジングと、
第1の広い表面を画定する左翼と、
第2の広い表面を画定する右翼と、
前記左翼に取り付けられ、かつ、前記第1の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、左支持部材と、
前記右翼に取り付けられ、かつ、前記第2の広い表面の反対側に配置された第1の端部および第2の端部を備えた、右支持部材と、
前記左翼と前記右翼を前記ペイロードハウジングに接続し、前記ペイロードハウジングに対して前記左翼と前記右翼を独立して回転させるように構成されている、傾斜機構と、
複数の推進アセンブリと、
を備え、
前記複数の推進アセンブリは、
前記左支持部材の前記左翼の外側に取り付けられた左外側推進アセンブリと、
前記右支持部材の前記右翼の外側に取り付けられた右外側推進アセンブリと、
前記左支持部材の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1の内側推進アセンブリおよび第2の内側推進アセンブリと、
前記右支持部材の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ取り付けられた第3の内側推進アセンブリおよび第4の内側推進アセンブリと、
を備える、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項18】
請求項17に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記左翼が、前記傾斜機構から前記左外側推進アセンブリまで延びるねじり補強部材を備え、
前記左支持部材が、前記第1の推進アセンブリから前記第2の推進アセンブリへ延びる反横方向ねじり補強部材を備え、
前記反横方向ねじり補強部材が前記ねじり補強部材と交差しない、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項19】
請求項17に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、バンクなしで前進飛行中に前記電気航空機システムの機首方位を変更するように構成される、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【請求項20】
請求項19に記載の電気航空機システムであって、さらに、
前記電気航空機システムは、エレベータ、エルロン、またはラダーを含まない、
ことを特徴とする電気航空機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月25日に出願された米国仮出願番号62/838,773の利益を主張し、この参照によりその全体が組み込まれる。本出願は、2020年2月28日に出願された米国仮出願番号62/983,445の利益を主張し、この参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年12月9日に出願された米国出願番号16/708,280、2019年6月3日に出願された米国出願番号16/430,163、および2019年5月10日に出願された米国出願番号16/409,653に関連している。これらそれぞれは、この参照によってその全体が組み込まれる。
【0003】
本発明は、航空分野、より具体的には、航空分野における新しく有用な航空機に関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本システムの変形形態のホバリング配置における平面概略図である。
【
図1B】本システムの変形形態の前進配置における平面概略図である。
【
図1C】本システムの変形形態のホバリング配置における側面概略図である。
【
図1D】本システムの変形形態の前進配置における側面概略図である。
【
図2】本システムの変形形態の概略図であって、前進構成とホバリング構成との間でのロータの転換を示す。
【
図3】本システムの変形形態の概略図であって、本航空機の様々な軸を示す、平面図(A)と、側面図(B)、である。
【
図4】前進配置の機体の、異なる変形形態(AからH)を概略的に表したものの正面図である。
【
図5】ホバリング配置のロータ配置の、異なる変形形態(AからF)を概略的に表したものの平面図である。
【
図6A】本航空機の変形形態の側面図の概略図であって、前進配置において、揚力ベクトル軸が重量ベクトルとアライメントされ、前方推力ベクトル軸が抗力ベクトルとアライメントされていることを示す。
【
図6B】本航空機の変形形態の側面図の概略図であって、ホバリング配置において、揚力ベクトル軸が重量ベクトルとアライメントされていることを示す。
【
図8】反横方向支持部材を備えた変形形態の側面図であって、(A)は反横方向支持部材が横方向支持部材の前にあり、(B)は反横方向支持部材が横方向支持部材の後にあり、(C)は反横方向支持部材が横方向支持部材と交差する場合、を示す。
【
図9】本方法の変形形態のフローチャート図である。
【
図10A】前進配置における本システムの第1の変形形態の正面概略図である。
【
図10B】前進配置における本システムの第2の変形形態の正面概略図である。
【
図11】乗客領域を含むペイロードハウジングの変形形態の側面概略図である。
【
図12】後部ロータを含む本航空機の変形形態の概略図であって、(A)はホバリング構成の平面図、(B)は前進構成の平面図、(C)はAの側面図、(D)はBの側面図、を示す。
【
図13A】翼に対するロータディスク迎え角の変形形態の概略図であって、前進構成の場合を示す。
【
図13B】翼に対するロータディスク迎え角の変形形態の概略図であって、移行構成の場合を示す。
【
図13C】翼に対するロータディスク迎え角の変形形態の概略図であって、ホバリング構成の場合を示す。
【
図14】本航空機の変形形態1の概略図であって、(A)はホバリング構成における平面図、(B)は前進構成における平面図、(C)ホバリング構成における側面図、を示す。
【
図15】本航空機の変形形態2の概略図であって、(A)はホバリング構成における平面図、(B)は前進構成における平面図、(C)ホバリング構成における側面図、を示す。
【
図16】本航空機の変形形態3の概略図であって、(A)はホバリング構成における平面図、(B)は前進構成における平面図、(C)ホバリング構成における側面図、を示す。
【
図17】本航空機の変形形態4の概略図であって、(A)はホバリング構成における平面図、(B)は前進構成における平面図、(C)ホバリング構成における側面図、を示す。
【
図18A】上反角翼を備える航空機の変形形態1の正面概略図である。
【
図18B】上反角翼を備える航空機の変形形態2の正面概略図である。
【
図18C】上反角翼を備える航空機の変形形態3の正面概略図である。
【
図18D】上反角翼を備える航空機の変形形態4の正面概略図である。
【
図18E】上反角翼を備える航空機の変形形態5の正面概略図である。
【
図18F】上反角翼を備える航空機の変形形態6の正面概略図である。
【
図19A】下反角翼を備える航空機の変形形態1の正面概略図である。
【
図19B】下反角翼を備える航空機の変形形態2の正面概略図である。
【
図19C】下反角翼を備える航空機の変形形態3の正面概略図である。
【
図19D】下反角翼を備える航空機の変形形態4の正面概略図である。
【
図19E】下反角翼を備える航空機の変形形態5の正面概略図である。
【
図19F】下反角翼を備える航空機の変形形態6の正面概略図である。
【
図21】断熱された貨物領域を含む例示的なペイロードハウジングの側面概略図である。
【
図22A】横方向および反横方向の支持部材間の接続を示す、機体の変形形態の側面断面図である。
【
図22B】横方向および反横方向の支持部材間の接続を示す、機体の変形形態の部分的な概略図である。
【
図22C】横方向および反横方向の支持部材間の接続を示す、機体の変形形態の概略図である。
【
図23A】本航空機の変形形態1の等角の斜視図であって、前進構成の場合を示す。
【
図23B】本航空機の変形形態1の等角の斜視図であって、ホバリング構成の場合を示す。
【
図24A】本航空機の変形形態2の等角の斜視図であって、前進構成の場合を示す。
【
図24B】本航空機の変形形態2の等角の斜視図であって、ホバリング構成の場合を示す。
【
図25A】本航空機の変形形態のホバリング構成前進構成における平面図である。
【
図25B】本航空機の変形形態の前進構成における平面図である。
【
図25C】本航空機の変形形態のホバリング構成における正面図である。
【
図25D】本航空機の変形形態の前進構成における正面図である。
【
図25E】本航空機の変形形態のホバリング構成における側面図である。
【
図25F】本航空機の変形形態の前進構成における側面図である。
【
図25G】本航空機の変形形態の前進構成における側面図である。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図するのではなく、むしろ当業者が本発明を作成および使用することを可能にすることを意図する。
[1.概要]
【0043】
本航空機100は、機体101、傾斜機構110、ペイロードハウジング120を備え得り、オプションで、衝撃減衰器150、地上支持部材(例えば、支柱)160のセット、動力源170のセット、制御要素180のセットを備え得る。機体は、ロータ130のセットおよび支持部材140(本明細書における「支持部材」には「ねじり補強部材」を含む)のセットを備え得る。しかしながら、本航空機100は、追加的または代替的に、任意の他の適切な構成要素のセットを備え得る。本航空機100の第1の例を、
図1A~1Dに示す。本航空機の第2の例を
図25A~25Fに示す。
【0044】
本航空機またはそれ以外に関して本明細書で使用する用語「ロータ」は、ロータ、プロペラおよび/またはあらゆる他の適切な回転空力式アクチュエータを指し得る。ロータは、関節ハブまたは半剛ハブを使用する回転空力式アクチュエータを指し得(例えば、羽根とハブとの接続は、関節接続、可撓接続、剛接続および/またはそれ以外の方法の接続とし得る)、プロペラは、剛ハブを使用する回転空力式アクチュエータを指し得る(例えば、羽根とハブとの接続は、関節接続、可撓接続、剛接続および/またはそれ以外の方法の接続とすし得る)。一方で、本明細書で使用する際、そのような区別は明示的でも暗示的でもなく、「ロータ」の使用は、両方の構成、および関節羽根若しくは剛羽根のあらゆる他の適切な構成、および/または羽根と中心部材若しくはハブとの接続のあらゆる他の適切な構成を指し得る。同様に、「プロペラ」の使用は、両方の構成、および関節羽根若しくは剛羽根のあらゆる他の適切な構成、および/または羽根と中心部材若しくはハブとの接続のあらゆる他の適切な構成を指し得る。したがって、ティルトロータ航空機は、ティルトプロペラ航空機、ティルトプロップ航空機と呼ばれ得り、および/または適切に別様にも呼ばれ若しくは説明され得る。
【0045】
本航空機100またはそれ以外に関して、本明細書で使用する用語「重心」(CoG;Center of Gravity)は、本体またはシステムの重量が作用すると見なされ得る点を指し得り、それは、本明細書における用語「質量中心」(CoM:Center of Mass)(例えば、実質的に均一な重力の仮定の下で)と互いに代替可能である。本航空機のCoGは、任意の適切な状態および/または構成の本航空機のCoGを指し得る。すなわち、負荷のかかった、および/または、負荷のかかっていない状態、前進、以降、および/または垂直の構成、ペイロードハウジングが取り付けられた、および/または、取り付けられていない機体、および/またはその他の適切な航空機の状態または構成、である。
【0046】
本明細書で使用される用語「揚力中心」(CoL:Center of Lift)は、航空機部品によって――主に翼、ロータ、操縦翼面、および/または、空力式胴体部品(貨物ハウジングの外部など)によって、しかし追加的または代替的に、他の航空機の構成要素によって――生成されるすべての揚力の合計がCoLについてゼロの正味のモーメントを生成し、トータルの揚力(例えば、本航空機の構成要素によってトータルで生成される)は、大気中において、CoLを介して作用する。CoLは、CoGと同じであり得り、CoGと併置され得り、CoGの前方、CoGの後方、CoGの外側、CoGの内側、および/または別様にもCoGに対して配置され得る。CoL(および/またはCoGに対するCoLの位置)は、ロータ、傾斜機構、操縦翼面の制御、本航空機に搭載された質量(例えば、乗客、貨物、燃料など)のさまざまな分布を考慮した、CoGのシフト、および/またはべつ様に制御することにより、制御および/または調整可能です。第1の具体例では、ロータの制御は、CoLがCoGと実質的に同じである(またはそうでなければ垂直軸上に配置される)ように調整され、安定した前進飛行をもたらす。
【0047】
ロータ、翼、翼型部、またはそれ以外に関する用語「空力中心」は、航空機の姿勢の変化に伴って空力モーメントが変化しない点を指し得る。空力中心は、CoLと同じ位置であり得り、または、CoLとは異なる位置でもあり得る。以下のCoLへの言及は、空力中心に等しく適用することも、異なって扱うこともできます。
【0048】
用語「ロータの幾何学的中心」は、3次元空間または投影面(たとえば、垂直/横方向の面、正面、上面など)において、すべてのロータ(例えば、ロータハブ)の中心までの距離の合計を最小化する絶対点または相対点(例えば、傾斜軸のすべての位置にわたる機体に対して)を指し得る。あるいは、ロータの幾何学的中心は、ロータの平均位置、各ロータ対に等距離の点を指し得り、および/または別様にも適切に画定し得る。
【0049】
本明細書で使用される用語「推力の中心」(CoT:Center of Thrust)は、結果として生じるまたはトータルの推力が作用するのに取る位置(大きさおよび方向、後者は「推力線」と呼ばれることもある)を指し得る。CoTは、ロータ、傾斜機構、および/または抗力誘導の構成要素(例えば、貨物ハウジング、着陸装置など)の制御によって制御可能および/または調整可能であり得る。第1の具体例では、CoTは本航空機のCoGを介して動作し(たとえば、CoGと位置合わせされる)、本航空機がピッチング、ヨーイング、またはローリングする原因となるモーメントは発生しない。第2の具体例では、CoTは本航空機のCoGを介して機能せず、結果として本航空機がピッチング、ヨーイング、またはローリングするモーメントが発生する(別の航空機のモーメントによって打ち消されない限り)。
【0050】
本明細書で使用される用語「実質的に」は、正確に、ほぼ、所定の閾値または許容範囲内中で、を意味し得り、および/または別様にも任意の適切な意味を有し得る。
【0051】
例えばは、本明細書に記載のシステムおよび方法の構成要素は、2014年3月14日に出願された2014年3月14日出願の米国出願番号14/218,845、および/または2018年3月18日出願の米国出願番号14/662,085に記載された航空機と共に使用、交換、および/または組み合わせ得る。しかし、システムとメソッドは別様にも構成され得る。
[2.効果]
【0052】
本技術のバリエーションは、いくつかの利益および/または利点をもたらし得る。
【0053】
第一に、本技術のバリエーションは、前進および/または移行の飛行モードにおいて本航空機のロータにおける揚力を生成し得る。より大きな回転翼羽根領域(および/またはより大きなロータディスク領域)を利用し、ブレードピッチとRPMを調整することにより、ロータは、前進推力を提供することに加えて、前進飛行モードでの本航空機の空力外形によって生成される揚力を増大させることができ得る。ロータで揚力を生成すると、本航空機の空力外形(翼/支持部材のジオメトリ、胴体ジオメトリなど)によって生成される揚力を増大させるか、または前進構成で本航空機をサポートするのに十分な揚力を生成でき得る。
【0054】
第二に、本技術のバリエーションは、より短いおよび/またはより堅い支持部材(例えば、翼)を利用し得り、これは、本航空機の操作特性(例えば、より狭い回転半径、より小さな必要着陸ゾーンなど)を改善することができる。より短い/より硬い支持部材を備えた変形形態は、翼を弱めたり破壊したり、不十分/危険な乗り心地をもたらすワール・フラッターのリスクを低減する。翼型部断面が小さいと剛性が低下する可能性があるため、トータルの回転翼領域に比べてより小さい翼領域の変形形態利用では、ワール・フラッターのリスクを低減することが特に有益である。より短い/より堅い支持部材を有する変形形態は、本航空機の全体外形(例えば、本航空機のサイズー特に幅)を小さくし、より低コストであり、そして本航空機の抗力を低減し得る。
【0055】
第三に、ロータで揚力を生成する変形形態は、推力およびモータトルクが各ロータで制御可能であり(それにより間接的に揚力を制御する)、それによって前進飛行中のピッチング、ヨーイング、および/またはローリングの制御を可能にするので、本航空機の追加的操縦翼面(例えば、フラップ、エルロン、ラダーベーター、エレベーター、ラダーなど)を削減または排除し得る。いくつかの変形形態では、反横方向支持部材のセットおよび/またはロータは、横方向の動的空気力(例えば、横滑り)および/または正味のヨーモーメントを生成して、本航空機の機首方位を変更し得るので、本航空機は、前進構成で方向転換するためにバンク(bank:本明細書においては「機体傾斜」のことをいう)させる必要はない。第1、第2、および第3の特定の変形形態は、本航空機の適切な操縦翼面のセットを、独立してまたはトータルで削減および/または排除し、ロータによる揚力の生成、本航空機のバンクなしでの機首方位の変更、および/または適切な操縦翼面のセットの排除、をし得る。第1の具体例では、平均ロータ軸に垂直な軸の周りで完全な制御権限を得られる。これらの軸の周りの角加速度は、ロータの推力再分配によって得られる。主なロータ軸に沿って、所望のトータルの軸方向推力が維持されるような個々のモータへのトルクの再分配を介し、回転が得られる。さらに、ロータ軸が互いにわずかに傾斜している場合(たとえば、異なる迎え角、翼に対する異なる迎え角)、それらの間で推力を再分配すると、すべてのロータの平均軸に沿って追加のモーメントが発生し得る。しかし、ロータは別様にも適切に揚力を生成し得る。
【0056】
第四に、本技術のバリエーションは、本航空機の幅に対して大きなトータルのロータディスク領域、および/または翼領域に対して大きな回転翼羽根領域、を利用し得り、これは、本航空機の音響プロファイルを低減し得る。個々のロータごとに(たとえば、特定のロータディスク直径に対して)大きな羽根領域を利用することで、ロータの先端速度を低くすることができ(たとえば、有効なロータディスク直径のロータの先端速度、マッハ0.3、などと比較して)、これにより、本航空機の音響プロファイルを低減させ得る。さらに、個々のロータごとの大きな回転翼羽根領域は、前進飛行中の揚力生成のために、ロータのより効率的な動作を可能とし得る(前述のとおり)。しかし、本航空機は、別様にも音響プロファイルを適切に低減し、および/または他の適切なロータを含み得る。
【0057】
第五に、本技術の変形形態は、非構造的なペイロードハウジングを利用し、これにより、ペイロードハウジングをより軽く、より低コストにすることができる。そのような変形形態では、支持部材(および/またはトーションボックス)をペイロードハウジングの上および/または後ろに配置して、ペイロードハウジングスペースへの侵害を回避し、乗客/貨物により多くのスペースを提供し、ペイロードハウジング内の追加の構造的サポートの必要性を低減/排除し得る。非構造ペイロードハウジングを利用する変形形態では、バッテリー、一次的電気構造物、制御システム、センサー、および他の構成要素を本航空機の他の部分(例えば、翼、支持部材、ナセルなど)に移動できるので、ペイロードハウジング内の構成要素数を減らし得る。変形形態において、本航空機が従来の着陸装置を利用しないため、着陸装置の負荷を支える必要がなくペイロードハウジングは非構造的であり得る。代わりに、ナセルの支柱(ホバリング構成で地面まで伸びる)は、地上で本航空機をサポートするための信頼性が高く、軽量で低コストの手段を提供し、その流線形のジオメトリのために前進飛行で空力的利点をさらに提供し得る。ナセルの支柱は、着陸装置の荷重を、ペイロードハウジングに向けることなく支持部材(機体など)に直接伝達する。変形形態において、機体の支持構造(例えば、構造部材のセット)が本航空機の構成要素の構造的剛性および取付けポイントを提供できるので、ペイロードハウジングは非構造的であり得る。しかし、非構造的なペイロードハウジングは他様にも実現し得る。非構造ペイロードハウジングを利用する技術の変形形態においては、ペイロードハウジングは、貨物(例えば、乗客、貨物など)のより速い積み下ろしを可能にするために、モジュール式、取り外し可能、および/または再構成可能であり得り、これにより、本航空機の稼働時間を改善させ得る。加えて、モジュール式、取り外し可能、および/または再構成可能なペイロードハウジングは、牽引、車両輸送、または他のモジュール輸送モードなど、ポッドの地上輸送の追加手段を可能にし得る。さらに、モジュール式および/または再構成可能なペイロードハウジングオプションを利用する変形形態は、より速い充電および/または給油のために航空機フレームを切り替えて、運用効率をさらに改善することを可能にし得る。
【0058】
第六に、本技術の変形形態において、本航空機は、1以上のロータが動作不能、および/または1以上の操縦翼面が動作不能であっても、傾斜機構の任意姿勢で着陸することができ、障害点を最小限に抑え込み得る。ある具体例においては、傾斜機構が前進構成とホバリング構成の間でスタックおよび/またはロックされている場合でも、ペイロードハウジングが地面に対してある角度(たとえば、上向きに傾斜/ピッチング)の状態でロータを垂直方向に再配向することによって(たとえば、本航空機のピッチを上向きに制御することによって)なおも着陸し得る。変形形態では、これは本航空機の余剰ロータの数と配分により可能となるが、他様にも達成し得る。本技術の変形形態においては、衝撃減衰器を利用することで、ペイロードハウジングの傾斜した姿勢で着陸するとき(例えば、傾斜機構が前進構成とホバリング構成との間で故障する場合)に、乗客および/または貨物を確実に保護し得る。
【0059】
第七に、本技術の変形形態は、すべての飛行モードで、改善した安定性、トリム、および/または操作性を提供する。変形形態では、前進飛行モードでの、抗力(および/または重力)の中心に伴う(前進)推力の中心と重心の中心に伴う揚力の中心の軸アライメント、およびホバリングモードでの、重量ベクトルに伴う揚力(たとえば、垂直ロータ推力)の中心の軸アライメント、の安定性が得られる。変形形態において、1以上の軸アライメントは、例えば、ロータ間の動力配分、回転翼羽根の作動、および/または他の適切な制御などによって、ロータの推力および/または揚力配分をトリミングすることによって(例えば、自動的に)達成し得る。変形形態では、必要なトリミングを最小限に抑え、均等な動力配分を有効にし、および/または制御権限を維持する(たとえば、必要な動力配分が、しきい値を超えない、動力配分がモータの連続動作領域内にある)ように、ロータの幾何学的中心(例えば、平均ハブ位置)は、(例えば、選択的電力供給の有無にかかわらず)前進飛行モードにおける(前方)推力および/または抗力の中心に対して実質的にアライメントされる。他の変形形態においては、ロータの幾何学的中心が重心とずれている可能性があり、これらの変形形態では、ロータに選択的に動力を供給して(例えば、動力を選択的に再分配して)、ロータの推力および/または揚力配分が調節された状態に調整し得る。ある具体例では、ロータの配置は、この不整合にもかかわらず(たとえば、制御権限と効率を維持するため、トリミングを最小限に抑えるため)ロータ全体に実質的に均等に動力を配分するように選択するか、または別様にも配置され得る。加えて、より小さく/より硬い支持部材(翼など)を有する変形形態は、よりタイトなターンを実行でき、着陸するためにより小さな領域しか必要としないため、ハンドリング特性の改善を提供する。いくつかの変形形態では、本航空機は、前進(およびホバリング/移行)飛行モード中に方向転換するためにバンクする必要がなく、これにより、ハンドリングおよび/または乗客の乗り心地を改善し得る。
【0060】
しかし、本技術のバリエーションは、追加的または代替的に、他の適切な利点および/または利点を提供し得る。
【0061】
[3.システム]
本航空機100は、機体、傾斜機構、ペイロードハウジングを備え得り、オプションで、衝撃減衰器、地上支持部材(例えば、支柱)のセット、動力源のセット、および制御要素のセットを備え得る。しかし、本航空機100は、他の適切な構成要素のセットをさらに備え得る。
【0062】
本航空機100は、任意の適切なタイプの航空機であり得る。本航空機100は、好ましくは傾斜翼航空機(例えば、ペイロードハウジングに対して横方向支持部材を傾斜させる他の同様に構成された航空機)であるが、追加的または代替的に、ティルトロータ航空機、回転翼航空機、プロペラ航空機、固定翼航空機、空気より軽い航空機、空気より重い航空機、および/またはその他の適切な航空機であり得る。本航空機は、VTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft:垂直離着陸機)、STOL(Short Take-Off and Landing aircraft:短距離離着陸機)、STOVL(Short Take-Off and Vertical Landing aircraft:短距離離陸垂直着陸機)、として動作し得り、固定翼航空機のように離陸、固定翼航空機のように着陸し得り、および/または他の適切な方法で動作し得る。航空機は、有人、無人(例えば、自律型、遠隔操縦など)、貨物機、旅客機、ドローン、および/または他の適切なタイプの航空機であり得る。本航空機は、好ましくは、前進構成、ホバリング構成、および移行構成の間(例えば、前進とホバリングの間)で動作可能であるが、追加または代替的に、タクシー(例えば、地上操作)構成で動作可能であり、および/または他の方法で適切に構成され得る。前進構成とホバリング構成の例を
図2に示す。
【0063】
本航空機100は、様々な幾何学的特徴を画定する。本航空機は、
図3の(A)~(B)に示されるように、垂直軸105(例えば、ヨー軸)、縦軸104(例えば、ロール軸502)、および横軸103(例えば、ピッチ軸)を備える主要な幾何学的軸を画定する。垂直軸、縦軸、および横軸は、本航空機の重心102(CoG)で交差するように画定され得り、前述の軸のいずれか1つの周りの純粋モーメントにより、本航空機100は、それぞれ、垂直軸、縦軸、および横軸の周りを回転する。しかし、3つの主軸は、CoGを基準にしてまたはせずに、追加的または代替的に、幾何学的に(例えば、1以上の次元における本航空機の対称線に基づいて、本航空機を通る任意の線に基づいて、など)画定され得る。例えば、これらの軸は本航空機の幾何学的中心で交差し得る。本航空機のプロペラはそれぞれ、プロペラの回転軸を中心とするディスク領域を画定し、このディスク領域は、回転軸から離れて延びる無限のディスク面によって包含される。このような本航空機のバリエーションとして、多回転翼のそれぞれのディスク面は、多推進組立体の残りの適当な一部と同一の広がりを有し得る。第1の例として、各ディスク面は、第1のバリエーションのホバリング構成において、互いに同一の広がりを有し得る。第2の例として、各ディスク面は、本航空機の縦軸を横切って対称的に他の1つの推進組立体のディスク面と同一の広がりを有し得り、互いの推進組立体リのディスク面から移され(例えば、オフセットを持たされ)得る。プロペラ軸は、モータ軸および/または他のプロペラ軸と同軸であり得り、モータ軸および/または他のプロペラ軸と同軸でなくあり得り、同一平面上であり得り、同一平面上でなくあり得り、および/または別様にもモータ軸および/または他のプロペラ軸に対して適切に配向され得る。しかし、プロペラ軸および/または多推進組立体のディスク面は、別様にも、互いに対して適切に配置され得る。
【0064】
本航空機100は、任意の適切な音響範囲内で動作し得る。本航空機は、好ましくは下記の最大dBレベル未満で動作するが、追加的または代替的に、異なる飛行構成(例えば、前進、移行、ホバリング、タクシー)で異なる音響範囲内で動作し得り、および/または異なる音響範囲で動作するように構成し得る(例えば、居住地の近く、都会の中心部、さまざまな規制の制限に準拠する場合など)。変形形態として、本航空機の幅に比べて大きなトータルのロータディスク領域および/または翼領域に比べて大きな回転翼羽根領域を利用し得り、これは、本航空機の音響プロファイルを減少させ得る。変形形態では、個々のロータディスクの直径は本航空機の幅の10%から40%の間であるが、本航空機の幅の10%、20%、30%、40%、40%超、および/または10%未満であり得る。複数のそのようなロータを使用すると、本航空機の幅の40%を超える有効なロータディスク直径(たとえば、個々のロータのトータルのロータディスク領域と同じ領域の単一の理論ディスク)を可能にし得る。例えば、40%未満、50%、60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%、250%、および/または250%超などである。同様に、個々のロータごとに(たとえば、特定のロータディスク直径ごとに)大きな羽根領域(たとえば、全体の露出表面領域、ブレードプラットフォーム領域など)を利用すると、ロータの先端速度を低くすることができる(たとえば、有効なロータディスク直径、マッハ0.3、に対して)。これにより、本航空機の音響プロファイルを低減させ得る。個々の回転翼羽根領域(例えば、ロータディスクの半径方向に統合されたロータ上の羽根の数を増やした翼弦、羽根の半径に沿って統合された翼弦として、または他様に、画定される)および/または回転翼羽根のトータルの領域(例えば、ロータ、乗り物などのための、すべての個々の回転翼羽根領域の合計)は、好ましくは、翼領域の10%から200%の間であるが、5%未満、10%、20%、30%、50%、75%、100%、150%、200%、200%超、それらの間の範囲、および/または翼領域に対するその他の任意の適切な割合、であり得る。ある具体例では、回転翼羽根のトータルの領域は10平方メートルになり得る。第2の具体例では、翼領域は8平方メートルであり得り、翼幅は10メートルであり得る。このような変形形態では、本航空機は、ホバリングモードにおいてある音響範囲内で動作するように構成され得り、その最小dBレベルは、30未満、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、またはその他の任意の適切なdBレベル;最大dBレベルは、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、120超、またはその他の任意の適切なdBレベル、である。このような変形形態では、本航空機は、前進モードにおいて適切な音響範囲内で動作するように構成され得り、その最小dBレベルは、10未満、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、またはその他の任意の適切なdBレベル;最大dBレベルは、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、120超、それらの間の範囲、および/またはその他の任意の適切なdBレベル、である。音響範囲は、この音響範囲をEPNL(Effective Perceived Noise Level;実効感覚騒音レベル)スケール(EPNdB)、A加重(dBA)、C加重(dBC)、Z加重、CNEL、NDL、SEL、SENEL、Leq、Lmax、および/またはノイズレベルの他の表現に変換することによって同様に決定し得る。これらは、0m、10m、25m、50m、100m、150m、200m、300m、500m、1000m、および/またはその他の適切な近接の距離で測定されたものである。あるいは、音響範囲について上記で説明した数値を、前述のノイズレベル表現に適用され得る。
【0065】
本航空機100は、任意の適切な質量および/または質量制限(例えば、無負荷質量、負荷質量、最大離陸質量など)を有し得る。本航空機の質量は、0.1kg、0.25kg、0.5kg、0.75kg、1kg、2kg、3kg、5kg、10kg、50kg、200kg、500kg、1000kg、1250kg、1500kg、1750kg、2000kg、2250kg、2500kg、3000kg、3500kg、5000kg、10000kg、25000kg、25000kg超、0.1kg未満、1kg未満、1~5kg、5~10kg、10kg未満、1000kg未満、3500kg未満、10000kg未満、25000kg超、および/またはその他の任意の適切な質量、であり得る。貨物/ペイロードの質量容量は、0.1kg、0.25kg、0.5kg、0.75kg、1kg、2kg、3kg、5kg、10kg、50kg、200kg、500kg、1000kg、および/またはその他の適切な質量、であり得る。燃料および/またはバッテリーの質量は、0.1kg、0.25kg、0.5kg、0.75kg、1kg、2kg、3kg、5kg、10kg、50kg、200kg、500kg、1000kg、および/またはその他の適切な質量、であり得る。燃料および/またはバッテリー容量は航続距離で画定され、1マイル(約1.609km)未満、1マイル(約1.609km)、5マイル(約8.045km)、10マイル(約16.09km)、20マイル(約32.18km)、50マイル(約80.45km)、100マイル(約160.9km)、150マイル(約241.35km)、200マイル(約321.8km)、250マイル(約402.25km)、および/またはその他の任意の適切な航続距離、であり得る。
【0066】
変形形態では、ロータは、流入する気流の方向に垂直な揚力を生成し、同じ推力を維持するために必要なパワーが一定に増加して、本航空機の1以上のロータの推力軸を5~7度角度付けして(例えば、能動的に、例えば設置角度などによって受動的に、)揚力を生成する。前進速度によって増加する揚力と前進推力を0に維持するために必要な力との比率は、L/De(同等の抗力に対する揚力)効率特性である。これは、空力的航空機の構成要素(例えば、ロータ、翼、操縦翼面など)を構造的に維持および/または転換させる場合、20のオーダーになる。機体は、ペイロードハウジングアタッチメントなどのモジュラーコンポーネントアタッチメントへのアタッチメントポイントをオプションで提供し得る。本航空機には、一以上の機体を備え得る。各機体は、好ましくは支持構造を備えるが、追加的または代替的に、他の任意の適切な構成要素を備え得る。支持構造は、支持部材のセットを備え得り、ロータのセット(例えば、前進モードとホバリングモードの間)、モジュラー構成要素、傾斜機構、および/または他の任意の適切な構成要素を取り付けるように機能し得る。
【0067】
本航空機100のロータは、変形形態では、推力(例えば、運動方向に整列した力、運動方向に航空機を推進する力)および/または揚力(例えば、重力に対抗する力、推力に直交する力など)を提供するように機能する。ロータは、好ましくは、すべての飛行構成において、本航空機の重量以上であって本航空機の飛行を維持するための揚力を提供するが、ロータは、前進(および/または移行)構成(たとえば、翼のセットと組み合わせて)を含んだ飛行構成で、必要な揚力の一部を追加的または代替的に提供し得る。ロータの例を
図7に示す。ロータは、個別にまたは集合的に、300%、200%、150%、120%、110%、95%、90%、75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%の力、前述のパーセンテージより多いまたは少ない値、前進飛行中に本航空機の高度を維持するために必要な揚力、または、飛行中に本航空機によって生成されるトータルの揚力、の任意の適切な割合、を提供し得る。ロータは、追加的または代替的に、個別にまたは集合的に、500%、250%、150%、120%、110%、95%、90%、75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%の力、または前進飛行、リフトオフ(離陸など)、移行操作、および/またはその他の適切な操作モード中に、航空機を推進するために必要な力の適切な割合、を提供し得る。ロータは、追加的または代替的に、個別にまたは集合的に、300%、150%、120%、110%、95%、90%、75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%の力、またはホバリング飛行中に本航空機を推進するために必要な揚力および/または推力の適切な割合、を提供し得る。
【0068】
ロータは、前進飛行中の流入気流、本航空機の縦軸、本航空機の翼(例えば、翼断面の翼弦線146)、および/または他の基準軸または平面、に対するロータディスクの迎え角に関連する揚力を提供し得る。翼(例えば、翼弦線146)に対するロータディスクの迎え角は、0度未満、0度、1度、3度、5度、7度、9度、11度、13度、15度、前述の値で囲まれた任意の範囲、および/またはその他の任意の適切な角度、であり得る。翼に対するロータディスクの迎え角191の例が
図13Aに示されている。ロータディスクの迎え角は、0度未満、0度、1度、3度、5度、7度、9度、11度、13度、15度、17度、20度、20度超、前述の値で囲まれた範囲、および/またはその他の任意の適切な角度、であり得る。ロータディスクの迎え角192の例が
図13Bに示されている。ロータディスクの迎え角(翼またはその他に対して)は、ロータ回転軸、モータ回転軸、ロータディスク面133に直交するベクトル、および/または他の任意の適切な基準に対して画定(例えば、測定)し得る。ロータの迎え角は、好ましくは、傾斜機構および/または本航空機のピッチの変化に基づいて変化する。好ましくは、ロータディスク面は、ホバリング構成では横方向/縦方向平面(ピッチ/ロール平面)に実質的に平行であり、前進構成(および/またはホバリング構成)では垂直/横方向平面(ヨー/ピッチ平面)に対して角度が付けられている。したがって、傾斜機構は、前進構成とホバリング構成の間を移行する際にロータディスクの迎え角を90度未満で翼を転換させることが好ましい(例は
図13Cに示されている)が、傾斜機構は、前進構成とホバリング構成の間を移行する際にロータディスクの迎え角を90度オーバーで、前進構成とホバリング構成の間で正確に90度で、および/またはその他の任意の適切な変換角度で、翼を転換させ得る。特定の変形形態では、前進とホバリングとの間の転換は、乗り物の前方への動きを阻止するために、垂直を超えた傾斜(例えば、後方推力ベクトルの生成)を含み得る。
【0069】
各ロータは、好ましくは、回転翼羽根136を推進システムに結合するハブを備える。推進システムは、機体(例えば、翼)構造および/またはナセルに堅固に結合され得り、または翼に対してロータを転換させ、迎え角を変え、および/または翼に対するサイドカント角を変更するように、構成された、ロータ傾斜機構または関節式リンケージを介して結合され得る。推進システムは、好ましくは、ハブに統合され得るか、またはハブとは別個なものであり得る電気モータ(例えば、70kWの連続電力供給が可能)である。あるいは、推進システムは、内燃機関(ICE)、タービンエンジン、ハイブリッド電気エンジン、および/または他の任意の適切な推進システムであり得る。変形形態では、1以上のロータは、シャフト、回転結合、交差結合、および/または他の適切な機構を介して、同じ推進システムに結合および/または連結され得る。ハブは、好ましくは、ロータの回転軸を画定する。ある具体例では、航空機は、複数の推進アセンブリを備え得り、各推進アセンブリは、電気モータと、回転軸の周りで電気モータに回転可能に結合されたプロペラとを備える。第2の具体例では、ハブは、ロータの幾何学的中心に配置され、および/またはロータの幾何学的中心を画定し得る。
【0070】
各ロータは、航空機を推進するために使用し得る流体(例えば、空気)を通って回転するときに動的空気力を生成するように機能する回転翼羽根136のセットを備え得る。各ロータは、任意の適切な数の回転翼羽根を備え得る。好ましくは、各ロータは5つの回転翼羽根を備えるが、あるいは、各ロータに対して2、3、4、6、または6超の回転翼羽根を備え得る。回転翼羽根は、任意の適切なブレード断面および/または空力外形を備え得る。第1の具体例では、回転翼羽根は、2019年12月9日に出願された米国出願番号16/708,280に記載された回転翼型羽根であり、この参照によりその全体が組み込まれる。しかし、回転翼羽根は別様にも構成され得る。
【0071】
回転翼羽根は、適切な翼長方向のジオメトリを画定し得る。好ましくは、回転翼羽根の上面は、一般に、ベシカピシスジオメトリであるが、追加的または代替的に、先端に向かって先細りであり得(例えば、ブレードの端部を横切る回転翼の翼弦長を減少させる)、一定の断面積を有し得り、可変な断面積であり得り、および/または他の適切な形状を有し得る。テーパー角度は、前縁、翼型部の後縁、回転翼の内側部分、および/または先端で、同じでも異なったものでもあり得る。回転翼の先端は、任意の適切な形状を有し得る。先端は、平ら、丸み、または尖ったものであり得り、点、エッジ、面、および/または他の適切な形状であり得る。回転翼は、任意の適切な先端角度を有し得る。羽根先端は、上反角、二面角、角度なし、および/または任意の適切な角度であり得る。回転翼は、任意の適切なねじれ角を有し得る。ねじれ角は、好ましくは、回転翼の翼長に沿って有効なブレード迎え角を変える。羽根のねじれ角は、好ましくは、最も内側の断面と外側の(先端)断面との間で画定されるが、任意の2つの断面の間、羽根のある部分、および/または任意の適切な角度で画定され得る。
【0072】
回転翼羽根は、回転軸の周りに任意の適切な角度間隔を有し得る。好ましくは、回転翼羽根は、回転軸の周りに等間隔に配置されるが、あるいは、回転軸の周りに不均一に間隔を空け得る(例えば、音の軽減のために)。第1の具体例では、回転翼羽根は、2019年6月3日に出願された米国出願番号16/430,163に記載されているような回転軸の周りの空間を有し、この参照によりその全体が組み込まれる。しかし、回転翼羽根は別様にも配置され得る。
【0073】
回転翼羽根は、任意の適切な長さ(羽根の長さなど)の翼長を画定し得る。翼長は、翼弦長、および/または任意の適切な長さに関係なく、断面の翼弦長(L)を基準にしてサイズが設定され得る。翼長は次の通りである。すなわち、1L、5L、10L、15L、20L、25L、50L、<5L、5ー25L、25ー50L、50L超、5cm未満、5cm、10cm、25cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、1m、1.25m、1.5m、1.75m、2.5m、5m、10m、15m、20m、5~25cm、25~50cm、50~100cm、0.1m~15m、1~2m、1~4m、5~10m、10~20m、20m超、および/またはその他の任意の適切な長さ、である。ある具体例では、回転翼羽根は3メートルのロータディスク直径を画定する。
【0074】
本航空機の個別のロータは、同じ構成の同じ回転翼羽根で動作することが好ましいが、あるいは、異なる、回転翼羽根の数、回転翼羽根の長さ(またはロータディスクの半径)、回転翼羽根の間隔、回転翼羽根の断面積、および/または他の異なる特性、を備え得る。
【0075】
ロータは、回転翼羽根の迎え角を(例えば、流体の流れに対して)変更するように機能するブレードピッチング機構137を備え得る。ロータは、単一のピッチング機構、または各ロータに関連する複数のピッチング機構、例えば、ロータごとに1つ、ロータごとに複数、ブレードごとに1つ、および/またはロータごとに他の任意の適切な数のブレードピッチング機構、を備え得る。ピッチング機構は、羽根を独立して作動させることも、複数を同時に作動させることもでき得る。ピッチング機構は、ロータハブに統合されるか、ロータハブに接続/取り付けられるか、および/またはロータハブから分離され得る。好ましくは、ピッチング機構は、電気機械的に作動させ得るが、追加的または代替的に、油圧、空気圧、および/または地上で調整可能(人間の操作者または他の入力によって)であり得る。ピッチング機構は、有限または無限の数の位置の間で操作可能であり得る。ピッチング機構は、制御可能なピッチプロペラ(CPP)、スワッシュプレート、地上調整可能なロータ、および/または他のピッチング機構であり得る。第1の変形形態では、ブレードピッチ機構はスワッシュプレートである。第2の変形形態では、ブレードピッチング機構は、電気機械式アクチュエータのセットである。第3の変形形態では、ロータはピッチング機構を備えず、ロータによって生成される揚力は、RPMを変化させることによって制御される。
【0076】
ロータは、ロータの構造的取り付けとして機能するナセル138を備え得る。ナセルはさらに、1以上の推進コンポーネント(モータ、エンジンなど)および/または電源のパッケージングとして機能し得る。ナセルは、好ましくは、空気力学的に効率的な形状(例えば、流線形)であり、前進構成でナセルの後部に向かって先細である。ナセルは、好ましくは、ロータを機体に接続する支持部材ノードとして機能し、1、2、3、または3つを超える支持部材に接続され得る。第1の変形形態では、ナセルは支持部材の終点に接続され得る。第2の変形形態では、ナセルは支持部材と直交し得る。第3の変形例では、ナセルは支持部材に直接統合され得り、および/または支持部材はナセルに直接統合され得る(例えば、着陸装置支柱、地上支持部材など)。ナセルは、好ましくは、横方向支持部材(および/または翼または他の取り付け部品)に対して固定されるが、さらに、翼および/または傾斜機構に対して、回転、スライド、または他様に作動し得る。ある具体例では、ナセルは、横方向支持部材の外側終端(例えば、左翼および/または右翼、翼の外側端)および反横方向支持部材の垂直終端(例えば、上端および/または下端)に取り付けられる。第2の具体例では、ナセルは、支持部材の前縁または側面、翼極限(例えば、翼端)の近位、に取り付けられ得る。しかし、ナセルは、他の任意の適切な特徴のセットおよび/または配置を有し得る。
【0077】
変形形態では、ロータのサブセット(例えば、すべてのロータ、前進構成で地面に最も近いロータ、後方ロータなど)は、1以上の構成でナセル内に格納および/または拘束され、ブレードピッチ機構および/または引込機構によって作動され得る。第1の例では、地面に最も近いロータは、固定翼スタイルの着陸中または着陸後に格納することで、ロータを保護し、および/または露出した羽根から人間を保護する。
【0078】
ロータは、好ましくは密閉されていない(例えば、係留羽根先端なし、流入スクリーンなし、ファンダクトなしなど)が、追加または代替のバリエーションで、密閉され得り(例えば、ダクテッドファンに見られるように導管される、ディスク領域の周囲のカウリング内に密閉されるなど)、および/または流入および/または流出経路に固定スクリーンを備え得る。ロータの密閉/導管は、ナセルに接続され得り、および/または他様に機体に取り付けられ得る。
【0079】
ロータのセットは、本航空機および/または機体上で任意の適切な配置を有し得る。ロータは、航空機の軸に対して均等または不均一に空間的に配分され得るが、さらに、本航空機の質量(たとえば、重心について)、揚力発生軸、航空機のジオメトリ(例えば、航空機の幾何学的中心)、機体のジオメトリ(例えば、機体の幾何学的中心)、に対して均等または不均一に空間的に配分され得り、および/または他様に分散または配置され得る。ロータは、好ましくは、本航空機および/または機体の側面に関して対称であるが、追加的または代替的に、当該側面に関して非対称であり得る。セット内のロータは、同一平面上にあり得り、オフセット(例えば、垂直、横方向、縦方向、角度付きなど)を有し得り、またはセット内の他のロータに対して他様に配置され得る。一例において、ロータは、本航空機または機体の縦軸に対して左側および右側に均等に配分されているが、他様に構成され得る。ロータ、ハブ、ロータディスク面(および/または受風面)、および/または他の適切なロータ基準は、同一平面上にあり得り、互いに(たとえば、平行平面内で)オフセットされ得り、傾斜(たとえば、プロペラ軸が互いに)し得り、および/または、前進、ホバリング、移行、および/または他の動作モードで、他様に構成され得る。第1の変形形態では、遠位(外側)ロータは、近位(内側)ロータから奥まった位置にある(後方に配置され、前進構成では航空機後方に向かってオフセットされている)。その例を
図14(A)~(C)および
図17(A)~(C)に示す。第2の変形形態では、近位(内側)ロータは、遠位(外側)ロータから奥まった位置にある(後方に配置され、前進構成では航空機後方に向かってオフセットされている)。その例を
図15(A)~(C)に示す。第3の変形形態では、内側および外側のロータディスク面は同一平面上にあり、その例が
図16(A)~(C)に示されている。
【0080】
ロータは、1以上の動作モードにおいて、傾斜軸112および/またはCoGに対して任意の適切な配置を有し得る。1以上のロータ(例えば、ロータハブ)は、傾斜軸の前方、傾斜軸の後方、傾斜軸の上、傾斜軸の下、に有り得り、傾斜軸に沿って配置され、および/または、前進および/またはホバリング構成で傾斜軸に対して他様に適切に配置され得る。1以上のロータ(例えば、ロータハブ)は、CoGの前方、CoGの後方、CoGの上、CoGの下、に有り得り、横軸に沿って配置され、および/または、前進および/またはホバリング構成でCoGに対して他様に適切に配置され得る。第1の例では、ロータのセット(および/または対応するロータハブ)は、前進構成では傾斜軸および/またはCoGの下に(例えば、垂直方向に対して)、そして、ホバリング構成では傾斜軸および/またはCoGの上に配置される。第2の例では、ロータのセット(および/または対応するロータハブ)が、前進構成では傾斜軸および/またはCoGの前方に、ホバリング構成では傾斜軸および/またはCoGの後方に配置される。
【0081】
ロータは、翼に対して任意の適切な配置をとり得る。ロータは、翼の前方、翼の後方、翼の上、翼の下、にあり得り、翼の内側部分に配置、翼の外側部分に配置、翼(例えば、ファンダクトとして機能する翼など)の境界投影内に配置され得り、および/または前進および/またはホバリング構成の翼に対して他様に適切に配置され得る。ロータは、ペイロードハウジングまたは胴体に対して任意の適切な配置をとり得る。ロータ(および/またはロータハブ)は、ペイロードハウジングまたは胴体の側景の境界投影の上、下、前方、後方、および/または内部にあり得る。
【0082】
ロータのセットは、1以上のロータペア(たとえば、上/下のロータペア、左/右のロータペア、前/後のロータペア)を画定し得り、各ペア内のロータはホバリング構成および/または前進構成において、本航空機の1以上の軸の反対側に配置される(例えば、完全な配置、大部分の配置)。本航空機には、任意の適切な数のロータペアを備え得る。本航空機には、2、3、4、または4超のペアのロータを備え得る。ある具体例では、本航空機には、各サイドに3つのロータを備える。すなわち、3つの左ロータと3つの右ロータである。しかし、ロータペアは他様に画定し得り、かつ、ロータは別様にもグループ化され得る。追加的に上部/下部および/または左/右のロータペアを備える機体の例を
図18A~18Fおよび
図19A~19Fに示す。
【0083】
前進構成では、ロータのセットは、好ましくは、本航空機の重心(CoG)(および/または機体または本航空機の幾何学的中心)の上方に1つのロータペアおよび下方に1つのロータペアを備えるが、追加的または代替的に以下を備え得る。すなわち、CoGおよび/または機体または本航空機の幾何学的中心の上および/または下に複数のロータペア(たとえば、上に2つおよび下に1つ、上に2つおよび下に2つ)がある、CoGおよび/または機体または本航空機の幾何学的中心の上にはロータペアが1つもない、CoGおよび/または機体または本航空機の幾何学的中心の下にはロータペアが1つもない、または他様に配置される、である。好ましくは、1つのロータペアは、垂直方向において前進構成(例えば、最大負荷の航空機の場合、無負荷の航空機の場合、CoGの特定の範囲内)でCoGと中央にアライメントされる。追加的または代替的に、本航空機は、CoGとアライメントされた複数のロータペア、前方の1つのロータペアおよび横軸の1つのロータペア(例えば、CoGと交差する横軸)、前方のロータペアの1つのロータおよび横軸(例えば、CoGと交差する横軸)の後方のロータペア、を備え得り、および/または本航空機は、他様に適切に構成され得る。
【0084】
第1の具体例では、反横方向支持部材の端部に取り付けられたロータに関連するロータハブおよび/またはロータディスクの最低点は、ペイロードハウジング(例えば、キャビン、胴体など)のベースの下に延び、および/または、着陸装置の下に伸びる(例えば、前進構成の着陸装置の位置、着陸構成の着陸装置の最低点など)。
【0085】
ホバリングー構成では、すべてのロータペアがCoG(負荷時および/または無負荷時)および/または本航空機の幾何学的中心より垂直的に上にあることが好ましいが、追加的または代替的に、1以上のロータまたはロータペアはCoGおよび/または本航空機の幾何学的中心の下に垂直に配置され得る。ホバリング構成では、1つのロータペアがCoGおよび/または機体または本航空機の幾何学的中心と、縦方向または垂直方向における中央にアライメントされることが好ましいが、追加的にまたは代替的に、:複数のロータペアがCoGおよび/または機体または航空機の幾何学的中心と、縦方向または垂直方向における中央にアライメントされ得り、または、少なくとも1つのロータペアがCoGおよび/または機体または航空機の幾何学的中心の前方にありかつ少なくとも1つのロータペアが同CoG等の後方にあり得り、または、ロータペアの1つのロータが横軸(例えば、CoGまたは幾何学的中心と交差する横軸)の前方にかつロータペアの1つのロータが同横軸の後方にあり得り、および/またはロータ/ロータペアが他様に配置され得る。しかし、本航空機は他様に適切に構成され得る。
【0086】
ロータのセットは、1以上のペアでないロータを備え得る(たとえば、ロータの数が奇数の場合:3、5、7など)。ペアでないロータは、:傾斜機構に対して中央に配置され(たとえば、縦軸と垂直軸によって画定される矢状面にある)、本航空機の機首に配置され、本航空機の尾部/後部に配置され、および/または他様に適切に配置されている。
【0087】
好ましくは、前進構成では、すべてのロータおよび/またはロータペアは、傾斜機構の傾斜軸の縦方向の前方に配置されるが、代替的に、1以上のロータおよび/またはロータペアは傾斜軸の後ろにある。好ましくは、ホバリング構成では、すべてのロータおよび/またはロータペアは、傾斜機構の傾斜軸の上に垂直に配置されるが、代替的に、1以上のロータおよび/またはロータペアは、傾斜軸の下にある。ある具体例では、傾斜機構の傾斜軸は、本航空機のCoGの上(垂直軸に沿って)および後ろ(縦軸に沿って)にある。
【0088】
第1の具体例において:水平(たとえば、前進)飛行では、すべてのロータ(および/またはロータペア)および/または機体(たとえば、翼、ペイロードハウジングのジオメトリによって生成される揚力、等を含む)の複合空力中心は、航空機のCoGと実質的に縦方向にアライメントされている(例えば、CoGを通過する;0度、1度未満、2度未満、3度未満、5度未満、10度未満、および/または重力軸または垂直軸とのその他の適切な角度を形成する;オフセット距離だけCoGから縦方向にオフセットされている;など)。第2の具体例では、ペイロードハウジング(またはペイロードハウジングポッド)の尾部に接続されたロータの後方セットが、傾斜軸の後方にある。
【0089】
ロータは、任意の飛行モードおよび/または航空機の構成において、航空機の抗力ベクトルおよび/または重力ベクトルと任意の適切な関係を有する任意の適切な推力ベクトルおよび/または揚力ベクトルを画定し得る。好ましくは、前進構成(例えば、水平飛行中)では、前進推力ベクトルは実質的に抗力軸とアライメントされ、揚力ベクトルは実質的に重量ベクトルとアライメントされる(例は
図6Aに示されている)が、さらに、揚力および/または前進推力ベクトルは、代替的に、それぞれ、重量および/または抗力ベクトルに対してオフセットを持ち、傾斜され、および/または他様に方向付けられ得る。ホバリング構成では、揚力ベクトル(または垂直推力ベクトル)は実質的に重量ベクトルとアライメントされるが(例を
図6Bに示します)、代替的に、重量ベクトルに対してオフセットを持ち、傾斜され、および/または他様に方向づけられ得る。
ある具体例では、傾斜軸は、揚力および/または推力の中心からオフセットされ、キャビン領域の外側に配置され、それでも、前進飛行中の抗力ベクトルと実質的にアライメントされる推力ベクトル、および、ホバリング時にCoGと実質的にアライメントされる揚力ベクトルを供給する。第2の具体例では、垂直/縦方向平面の傾斜軸を通ってCoGから延びる線は、垂直および/または縦方向軸に対して45度の角度を画定する。第3の具体例では、傾斜軸は、重心の後方および上方(および/または前方および下方)にゼロ以外の角度(例えば、45度)で配置され得り、そのため、すべてのロータの平均推力中心が、ホバリング飛行と前進飛行の両方で重心と、なおもアライメントされ得る。
【0090】
ロータは、時計回り、反時計回り、またはそれらの組み合わせで回転し得る(例えば、ロータのサブセットは時計回りに回転し、残りは反時計回りに回転する)。動作中において、ロータは常にロータのそれぞれの回転方向に回転したり、回転方向を切り替えたり(例えば、本航空機の構成、航空機の回転またはナビゲーションなどに基づいて)、回転を停止したり、および/または他様に動作し得る。ロータの半分は好ましくは一方向に回転し、残りの半分は逆回転する(例えば、他の方向に)。しかし、ロータは2つの方向に他様に分配され得る。好ましくは各サイド(左/右)ごとに少なくとも1つのロータが時計回りに(および1つのロータが反時計回りに)回転し、好ましくは横方向支持部材の上の少なくとも1つのロータ(たとえば、前進構成において)が時計回りに(および1つのロータが反時計回りに)回転し、および/または、横方向支持部材の下の少なくとも1つのロータが時計回りに回転する(そして1つのロータが反時計回りに回転する)が、本航空機には前述のグループのいずれかに2、2超、ゼロ、または任意の適切な数のロータを備え得る。ロータの回転方向の配分は、1以上の推進アセンブリに障害が発生した場合に継続的な飛行操作および/または着陸機能を可能にするように選択され得る。すべてのロータは、好ましくは、すべての飛行モードおよび/または飛行構成(例えば、前進、移行、ホバリングなど)で動力を供給される。しかし、変形例では、1以上の飛行モード中(たとえば、前進飛行中、機首方位の変更中など)にロータのサブセットに電力が供給されない状態であり得る。これにより、エネルギーを節約、および/または、機首方位制御権限を向上させ得る。
【0091】
時計回りと反時計回りのロータの分配例を
図20(A)~(D)に示す。
【0092】
本航空機100の支持部材は、ペイロードハウジングを支持し、ロータ間で構造荷重を伝達するように機能する。支持部材のセット(またはその中のサブセット)は、変形形態では、前進構成で揚力を生成するように機能し得る(例えば、水平飛行中)。第1の具体例では、横方向支持部材は前進構成で、あるしきい値の割合未満の航空機の揚力を生成、例えば次の値未満の揚力、100%、95%、90%、75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、および/またはその他の割合の航空機の(必須の)揚力、を生成する。第2の特定の例では、横方向支持部材は実質的に揚力を生成しない(例えば、5%未満、1%未満など)。第3の具体例では、横方向支持部材は、翼長の一部または全体にわたって翼型部の外形ジオメトリを持たない。第4の具体例では、セットの1以上の支持部材が、揚力または推力に対抗する、抗力または動的空気力を生成する。
【0093】
支持部材のセットは、好ましくは、複数の支持部材を備えるが、追加的または代替的に、単一の支持部材(例えば、単一の部品)を備え得る。支持部材のセットは、任意の適切な配置を有し得る。支持部材は、ロータナセル、傾斜機構、ペイロードハウジングの外部、他の支持部材、および/または本航空機の他の構成要素に、端点を有し得る。支持部材は、好ましくは、端点を堅固に接続する(例えば、機械的に結合される、統合される、固定されるなど)が、代替的に、1以上の端点が回転可能に接続され得る(例えば、傾斜機構に対するピボット、ペイロードハウジングに対するピボット、機体の残りの部分に対するピボット、など)および/または他様に接続され得る。支持部材は、本航空機上の任意の数の端点ノード(例えば、2つの端点ノードなど)を接続し得る。一例では、支持部材のセットは、好ましくは、少なくとも2つの反横方向支持部材および1つの横方向支持部材を備える。しかし、支持部材のセットは、任意の適切な構成で任意の数の支持部材を備え得る。
【0094】
第1の変形形態すなわち双対四辺形の変形形態では、支持部材は、航空機の両サイドに閉じた四辺形のジオメトリを協調的に形成し(たとえば、矢状面を中心にミラーリング)、四辺形の3つの角ノードがロータナセルにあり、4番目がそれらを、傾斜機構または傾斜機構からの延長部に接続している(例えば、追加の部材によって)。双対四辺形の変形形態のある具体例を
図4(D)に示す。双対四辺形の変形形態の第2の具体例を
図4(H)に示す。
【0095】
第2の変形形態すなわちボウネクタイ型の変形形態では、支持部材が各ロータナセルに角を有する外向き多角形を形成し(さまざまな数のロータを接続する多角形形状の例を
図5(A)~(F)に示す)、横方向の支持が遠位(横方向に)のロータナセルを傾斜機構へ接続します。第1の例では、横方向の支持は単一の連続部材として架けられる。第2の例では、横方向の支持は、ペイロードハウジング全体に分割され、各サイド毎に傾斜機構に接続されている。ボウネクタイ型の変形形態は、前進構成では外向き多角形の上部および下部部材を形成し、ホバリング構成では外向き多角形の前方および後方部材を形成する、ペイロードハウジングの反対側にある2つの対向する横方向支持部材、を備える。2つの対向する横方向支持部材間の距離は、前進とホバリングとの間の移行中にペイロードハウジングに影響を与えないように、ペイロードハウジングの長さと高さの両方を超え得る(例えば、50cmなどのクリアランス距離だけ)が、他様にも寸法を取り得る。ボウネクタイ型の変形形態のある具体例を
図4(B)に示す。
【0096】
第3の変形形態すなわちスペースフレーム型の変形形態では、異なる支持部材が各ナセルと傾斜機構との間に延びる(例えば、N個のロータの場合、N個の支持部材がN個のロータを傾斜機構に接続する)。追加の横方向支持部材は、2つの最上部(前進構成において)のナセルを接続し、追加の支持部材のセットは、本航空機の端点と同じサイドにある各ロータナセルと閉じた多角形を形成する(たとえば、6つのロータの場合:左サイドと右サイドの三角形)。スペースフレーム型の変形形態の具体例を
図4(A)に示す。
【0097】
第4の変形形態すなわちクロス型の変形形態では、クロス型の変形形態は、左最外ナセルと右最外ナセルとの間に架けられる横方向支持部材のセットと、残りのロータを横方向支持部材のセットに接続する反横方向支持部材とを備える。横方向支持部材のセットは、単一懸架の横方向支持部材(例を
図4(E)に示す)を備え得り、または傾斜機構の各サイド毎に接続する左部材および右部材を備えうる(例を
図4(G)に示す)。代替的に、横方向支持部材の両側の端点は、別の反横方向支持部材に接続し得る(例えば、
図5(F)に示される8ロータの例の場合)。
【0098】
第5の変形形態すなわちクロスビーム型の変形形態では、ナセルはクロス型の変形形態と同様に結合され、上部のナセル(前進構成)は追加の部材よって接続される。この支持は、傾斜機構、(クロス型の変形形態からの)横方向支持部材のセット、または傾斜機構から延びる梁に接続し得る。クロスビーム型の変形形態の例を
図4(F)に示す。
【0099】
第6の変形形態では、本航空機は、2、3、4、5、6、8、10、12、14、および/または前述の変形形態の1つに記載されるように配置された他の任意の適切な数のロータを備え得る(例えば、追加の左/右、上/下、および/または前/後のロータペア)および/または他様に適切に配置され得る。
【0100】
支持部材のセットは、ペイロードハウジング、傾斜機構、他の支持部材、および/または他の基準点に対して任意の適切な角度を有し得る。支持部材は、矢状面に対して垂直に延び(真っ直ぐ)、または下反角(例は
図10Bおよび
図19A~19Fに示される)、上反角(例は
図10Aおよび
図18A~18Fに示される)、前進角、後退角、を画定し得る。その角度は次の通り。すなわち、0度、5度、10度、15度、20度、30度、45度、60度、70度、75度、80度、85度、90度、0~15度、15ー30度、30~60度、60~75度、75~90度、および/またはその他の任意の適切な角度、である。支持部材および/または機体構造の形状は、逆カモメ形状、カモメ形状、上反角、下反角、および/または他の任意の適切な形状またはジオメトリであり得る。
【0101】
支持部材のセットは、機体(または支持構造などの機体の一部)を形成するために任意の適切な方法で一緒に組み立て得り、この例を
図4(A)~(H)に示す。好ましくは、支持部材は、それらが交差しないトーションボックス148を有するように配置され、その結果、剛性は、内部構造/ジオメトリの不規則性によって減少しないが、支持部材は、交互に交差し得り(例を
図8(C)に示す)、ネスティングジオメトリや外部ジオメトリを有し得り、および/または他様に配置され得る。好ましくは、反横方向支持部材は、横方向支持部材の前方に配置される(例を
図8(A)に示す)が、追加的または代替的に、横方向支持部材の後方に配置され得る(例を
図8(B)に示す)。2つの支持部材間の接続は、任意の適切なジオメトリを有し得る。それらは、隅Rが付けられた、一定半径の弧状の、可変半径の弧状の、面取りされた、空気力学的に最適化された、であり得り、および/または他様に接続し得る。接続は、支持部材(たとえば、同じ構成要素)、同じ材料の異なる構成要素(たとえば、複合)、または異なる材料(たとえば、トーションボックスに固定または結合されたアルミニウムガセット)と統合され得る。複合構造を利用する変形形態では、構成要素が同じ複合レイアップで製造され得り、製造に外部支持構造用の異なる複合レイアップを備え得り、または構成要素が他様に製造/結合され得る。変形形態では、3以上の支持部材が単一の端点、ノード、または接続部において接続および/または交差し得る。
【0102】
第1の変形形態では、トーションボックス148は支持部材の断面プロファイルの断面の一部を占め得り、そのため、交差する支持部材は交差しないトーションボックスを有し得る。一例を
図22Aに示す。
【0103】
支持部材は、任意の外部ジオメトリを有し得る。支持部材は、対称的な翼型部断面を有することが好ましいが、代替的に、非対称的な翼型断面を有し得る。すなわち、丸みを帯びた/弓形の前縁および後縁に向かって先細りの厚さ(例えば、尖った、平らななど)などの空気力学的に効率的な形状;剛性駆動型のジオメトリ(例:円形断面、六角形断面など);非空力ジオメトリ;長方形、卵形、円形、三角形、および/またはその他の適切な断面形状;である。支持部材は次であり得る。すなわち、真っ直ぐ、一定の断面、弧状(例えば、湾曲した、曲がった)、先細り(例えば、先細りの方向の翼長に沿った断面積の減少)、先細りのない(例えば、一定の断面プロファイル)、ガルウィング(または逆ガルウィング)の形状、角度を持った、および/またはその他の適切な翼長方向の形状、である。横方向の支持部材は、縦方向軸に沿って真っ直ぐ、曲げられた、および/または湾曲したものであり得り、および/または他の任意の適切なジオメトリを画定し得る。
【0104】
特定の変形形態では、支持部材は翼145であり得り、そして次を備え得る:すなわち、左翼、右翼、上翼、前翼、後翼、下翼、機体の全幅にまたがる翼、である。
【0105】
支持部材のセットは、任意の適切な内部構造を持ち得る。好ましくは、支持部材は、ねじりの曲げ剛性/反ねじり剛性を提供するために支持部材の内部に統合または接続されたトーションボックスを備える。トーションボックスは管状構造であり、支持部材と同じ断面プロファイル(例えば、外部を支持するリブおよびスパー)を有するか、または円形、正方形、六角形、長方形、および/またはその他の任意の適切なジオメトリなどの異なる断面プロファイルを有し得る。好ましくは、トーションボックスは、半径方向、横方向、縦方向、垂直方向、傾斜方向、または他の方向に延びるビーム/支持体の内部グリッドを有するが、ハニカム、3Dハニカム、プリズム、波形パターン、リブ/スパー、および/または他の内部構造、もまた有し得る。しかし、支持部材は、中実(例えば、中実の梁)、中空のシェル、であり得り、内部トラスを含み得り、または他様に構築し得る。支持部材(および内部構造)は、好ましくは、複合材料(例えば、炭素繊維、ガラス繊維など)でできているが、追加的または代替的に、金属または金属合金(例えば、鋼またはアルミニウム)、プラスチック、それらの任意の組み合わせ、および/またはその他の任意の適切な材料を備え得る。
【0106】
支持部材のセットは、任意の適切な数の横方向支持部材142を備え得る。支持部材のセットは、1、2、3、4、5、6、または6超の横方向支持部材を備え得る。好ましくは、本明細書で参照される「横方向」支持部材は、本航空機または機体の矢状面に対して45度超の角度を画定する支持部材を指す(すなわち、矢状面に垂直であるか、または平行よりも垂直に近い)。しかし、横方向部材は、追加的または代替的に、矢状面との45度超、50度超、60度超、75度超、80度超、85度超の角度を画定する支持部材、矢状面に正確に垂直な支持部材、正面平面に正確に平行な支持部材、であり得り、および/または他様に適切に画定され得る。支持部材のセットは、サイドごとに1つ、サイドごとに2つ、サイドごとに3つ、および/または他の任意の適切な数など、サイドごとに任意の適切な数の横方向支持部材を備え得る。支持部材のセットは、本航空機の反対サイドの翼の間の堅固な接続を含み得り、または左サイドと右サイドとを分割し得る(例えば、左右の翼は、傾斜機構によって独立して作動させ得る;例を、
図24A~24Bに示す)。
【0107】
横方向支持部材は、航空機に適した翼領域を個別にまたは集合的に画定し得る。翼領域は、翼の垂直投影、翼幅方向に統合された弦長、翼の上表面の領域、を指し得り、および/または他様に適切に画定されたものを指し得る。しかし、翼領域は他様に適切に画定され得る。
【0108】
支持部材のセットは、任意の適切な数の反横方向支持部材144(例えば、垂直支持部材)を備え得る。支持部材のセットには、1、2、3、4、5、6、または6超の反横方向支持部材を備え得る。好ましくは、本明細書で参照される反横方向支持部材は、前進構成において、矢状面に対して45度未満の角度(すなわち、矢状面に平行であるか、または垂直よりも平行に近い)を画定する支持部材を指す。しかし、反横方向支持部材を画定するための閾値はを、追加的または代替的に、矢状面との5度未満、10度未満、15度未満、20度未満、30度未満、40度未満の角度とするを画定する支持部材、矢状面に正確に平行な支持部材、横方向支持部材に垂直な支持部材、横方向支持部材ではない任意の支持部材、とし得り、および/または他様に適切に画定され得る。矢状面(たとえば、縦方向の平面)は、ペイロードハウジングの縦方向と縦方向の軸に沿って、翼または横方向の支持部材の翼長と翼弦に沿って、延び得る。反横方向支持部材144は、好ましくは、横方向支持部材に取り付けられるが、他様にも取り付けられ得る。各反横方向支持部材は、好ましくは、それぞれの取り付け部品(例えば、前進構成の横方向支持部材の上下)の第1および第2のサイド(例えば、広い面、広い表面)を超えて延びるが、追加的または代替的に:取り付け部品の片側を超えて延び得り、取り付け部品の広い表面または横断面(例えば、横方向支持部材の翼長および翼弦を覆う)の反対側、に配置された第1および第2の端部を含み得り、または別様にも配置され得る。
【0109】
特定の変形形態は、本航空機は、横方向支持部材(例えば、翼)と、横方向支持部材に取り付けられ完全に支持される反横方向支持部材とを備える。特定の変形形態では、1以上のロータが、反横方向支持部材の外側の横方向支持部材に取り付けられ、反横方向支持部材の内側の横方向支持部材に取り付けられ、反横方向支持部材に取り付けられ(反横方向支持部材と横方向支持部材との間の接続部の上および/または下)、反横方向支持部材の端部に取り付けられ、横方向支持部材の端部に取り付けられ、および/または別様にも配置される。
【0110】
特定の変形形態の第1例では、機体は次のものを備える。すなわち、左翼、右翼、左翼に結合された左反横方向支持部材、右翼に結合された右反横方向支持部材、である。左反横方向支持部材の第1の端部は左翼の上に配置され、左反横方向支持部材の第2の端部は左翼の下に配置される。右反横方向支持部材の第1の端部は、右翼の上に配置され、右反横方向支持部材の第2の端部は、右翼の下に配置される。特定の変形形態の第1例では、機体はさらに以下を含む。すなわち、左反横方向支持部材の外側左翼に取り付けられた左の外側推進アセンブリ、右反横方向支持部材の外側右翼に取り付けられた右の外側推進アセンブリ、左反横方向支持部材の第1および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1および第2の内側推進アセンブリ。右反横方向支持部材の第1および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第3および第4の内側推進アセンブリ。しかし、複数の推進アセンブリのそれぞれは、次からなる。すなわち、電気モータ、回転軸の周りで電気モータに回転可能に結合されたプロペラ、である。左翼は、傾斜機構から左外側推進アセンブリまで延びるトーションボックスを有し得り、左反横方向支持部材は、第1の推進アセンブリから第2の推進アセンブリまで延びる反横方向トーションボックスを備え得る。好ましくは、反横方向トーションボックスは、翼のトーションボックスと交差しない。しかし、反横方向のトーションボックスは、代替的に、翼のトーションボックスと交差し得り、単一の部品として形成され得り、および/または他様に実装され得る。左翼のトーションボックスは、傾斜機構で終端し得り(例を
図22Bに示す)、推進アセンブリのナセルノードで終端し得り、左外側推進アセンブリから右外側推進アセンブリに伸び得り(例を
図22Cに示す)、または他様に構成され得る。
【0111】
支持部材のセットは、適切な任意の数の地上支持部材をオプションで備え得る。地上支持部材は、地上(および/またはタクシー構成)で本航空機を支持するように機能する。地上支持部材は、機体に統合するか、傾斜機構に接続するか、ロータナセルに接続および/または統合するか、および/または他様に実装され得る。好ましくは、地上支持部材は、傾斜機構のホバリング構成において地面(例えば、ペイロードハウジングの下)まで延びるが、代替的に、常にペイロードハウジングの下(例えば、ペイロードと同じ傾斜機構の部分に接続される)に延び得り、および/または地上での本航空機を支持し得る。地上支持部材は、オプションで(例えば、ゴム、圧縮性ばねなどで)緩衝させ得り、および/またはローラー(例えば、地上走行用)を備え得るが、代替的に、スキッド(例えば、着水用)を備え得り、および/または別様にも実装され得る。好ましくは、地上支持部材は、3つ以上の点(例えば、4点、6点、N点でのN個のロータナセル接触など)で地面に接触するが、他様にも構成され得る。
【0112】
本航空機100は、前進構成とホバリング構成との間でロータを転換させるように機能する傾斜機構を備え得る。傾斜機構は、オプションで、迎え角を調整したり、上反角を変更したり、あるいは支持部材やロータの位置を動かし得る。傾斜機構は、好ましくは電気機械式であるが、代替的に、空気圧、油圧、および/または他の作動によって作動させ得る。傾斜機構の作動は、回転、線形作動、回転および線形作動の組み合わせ、または他様に作動させることで、達成され得る。傾斜機構は、好ましくは、支持部材(例えば、横方向支持部材の中央部分)に統合されるが、代替的に、一つの支持部材へ取り付けられ、複数の支持部材へ取り付けられ、機体へ取り付けられ、ペイロードハウジングへ取り付けられ、ペイロードハウジングに統合され、および/または他様に実装され得る。傾斜機構が複数の支持部材を取り付けるとき、傾斜機構は複数の支持部材を、独立して、一緒に、および/または他の任意の適切な関係で、作動させ得る。傾斜メカニズムに接続された支持部材は、片持ち、オーバーハング、ダブルオーバーハング、トラス(追加の支持部材/接続による)、であり得り、および/または別様にも接続され得る。ペイロードハウジング(および/またはカーゴポッド)は、好ましくは傾斜機構から吊り下げられるが、追加的または代替的に、傾斜機構に統合、結合、固定、および/または別様にも接続され得る。傾斜機構は機体に組み込まれ得り、ポッドは翼から分離する機体の残りの部分に取り付けられ、傾斜機構の作動は機体内に完全に含まれる。あるいは、傾斜機構は機体から分離され得る。第1の変形形態では、傾斜機構は、ペイロードハウジングおよび横方向支持部材の中央部分に接続されている。第2の変形形態では、傾斜機構の左サイドが左横方向支持部材の端部に接続され、傾斜機構の右サイドが右横方向支持部材の端部に接続される。第2の変形形態の第1例では、傾斜機構は、ペイロードハウジングの上部に接続する。第2の変形例の第2例では、傾斜機構は、ペイロードハウジング(および/または胴体)の外部に統合されている。
【0113】
変形形態は、傾斜機構は、転換角度194によって翼(または横方向支持部材)を転換させることができ、これは、95度超、95度、92度、90度、89度、87度、85度、80度、75度、75度未満、前述の角度で囲まれた任意の範囲、および/またはその他の任意の適切な角度、であり得る。
【0114】
傾斜機構は、CoG、主軸(例えば、横方向、縦方向、垂直方向)、および/または他の任意の適切な基準に対して、本航空機上で任意の適切な配置を有し得る。傾斜機構は、好ましくは、本航空機の横軸に沿った中心に置かれ、本航空機の矢状面に対して対称であり、および/または別様に本航空機の横方向に配置される。傾斜機構は、好ましくは、傾斜機構は旋回/回転する傾斜軸を画定する。傾斜軸は、好ましくは、次の上方および/または後ろにある。すなわち、本航空機のCoG(例を
図23A~23Bに示す)、ペイロードのCoG、乗客領域(例を
図11(A)~(B)に示す)、ペイロードハウジング、および/または本航空機の他の基準、である。追加的または代替的に、傾斜軸は、横(ピッチ)軸および/またはCoGの、周り、前方、および/または下に中心を置き得り、または、別様に適切に配置され得る。第1の変形形態では、傾斜軸は、ペイロードハウジングの上部、ペイロードハウジングの上に配置され、および/または別様にペイロードハウジング空間を侵害しない。第2の変形形態では、傾斜軸は、ペイロードハウジング壁の厚みを通って延びるが、乗客および/または貨物が存在するペイロードハウジングの部分には及ばない。第3の変形形態では、傾斜軸はペイロードハウジングの上にある。
【0115】
第1の具体例では、傾斜機構の左構成要素および傾斜機構の右構成要素は、それぞれ、支持部材の左セットおよび支持部材の右セットを、傾斜軸の周りのペイロードハウジングに対して旋回させる(例を
図10Bに示す)。
【0116】
第2の具体例では、傾斜機構の左構成要素および傾斜機構の右構成要素は、それぞれ、第1の傾斜軸の周りの支持部材の左セットおよび第2の傾斜軸の周りの支持部材の右セットを旋回させる。ここで、第1の傾斜軸と第2の傾斜軸は同じ平面にある。
【0117】
傾斜機構は、オプションで、傾斜機構が故障した場合に、ペイロードハウジング、機体、支持部材、ロータ、および/または他の構成要素が制御されないまたは意図しない態様で回転するのを防ぐように機能するロック機構、と連動して動作し得る。好ましくは、ロック機構は、傾斜機構の角度位置を保持するために連続的電力を必要としないロック位置(例えば、停電シナリオにおいて)にデフォルト設定される。ロック機構は次が備え得る。すなわち、バックドライブ不可能な機構(例えば、ラチェット、ワームガーなど)、油圧ロック、空気圧ロック、外部ブレーキ機構(例えば、ディスクブレーキなど)、および/または他のロック機構、である。ロック機構は、次において従事し得る。すなわち、停電のシナリオにおいて、機体の左サイドと右サイドの傾斜軸周りの相対角度位置が所定のしきい値(たとえば、1度、3度、5度など)を超えた場合において、ユーザー入力に応じて、および/またはその他のイベント駆動型ベースで、である。
【0118】
傾斜機構はさらに、ピッチ軸(例えば、横軸)の周りで横方向支持部材(例えば、左翼、右翼、翼など)を転換させるように機能し得る。傾斜機構は、横方向支持部材を、95度超、95度、92度、90度、89度、87度、85度、80度、75度、75度未満、前述の角度によって制限される任意の範囲、および/または他の適切な角度、で回転させ得る。
【0119】
傾斜機構は、追加的または代替的に、1以上のロータ傾斜機構と連動して動作し得り、これは、後部ロータのセット、外側ロータ、および/または機体の残りの部分とは独立した他のロータ(例えば、傾斜軸とは異なる軸の周りで)、を旋回させ得る。具体例として、ロータ傾斜機構は、2019年5月10日に出願された米国特許出願第16,409,653号に記載されている機構であり、この参照によりその全体が組み込まれる。ただし、他の任意の適切な傾斜機構が使用され得る。
【0120】
第1の変形形態では、左翼と右翼は互いに対して固定されている。第1の例では、トーションボックスが傾斜機構を通って伸び、左翼を右翼に結合します。第2の例では、各翼は、傾斜機構で堅固に接続されたトーションボックスを含む。第3の例では、傾斜機構は、左翼に接続された左アクチュエータ、右翼に接続された右アクチュエータ、および左右のアクチュエータの相対運動を防止する(例えば、閾値を超えるなど)インターロックを備え得る。インターロックは、デフォルトでロックまたはデフォルトでロック解除されるか、パッシブまたはアクティブであるか、機械的または電気機械的であるか、またはその他の任意の適切なタイプのインターロック、で有り得る。
【0121】
第2の変形形態では、左翼と右翼とをピッチ軸に対して独立して転換させ得り、これにより、追加のロール制御権限(例えば、バンクターンがない、ターン半径が狭いなど)を有効にし得る。これにより、追加の故障モード(片方または両方の翼の傾斜制御機能の喪失)が発生し得る。これは、乗客がいる航空機や3重に冗長化された航空機など、システムの追加の冗長性によって軽減され得る。安全性の低い航空機(無人航空機、自律型航空機、配達用航空機など)では、傾斜制御の喪失は、制御の強化、緊急着陸、および/または他様に軽減または軽減しないこと、により軽減され得る。
【0122】
第3の特定の変形形態では、本航空機の傾斜機構は、航空機の左翼および/または右翼(およびそれに取り付けられたすべての推進アセンブリ)を独立して傾斜させることによって、翼によって生成される動的空気力およびロータからの正味の推力(および/または揚力)を変更し得る。左右の翼を独立して作動させると、ロールモーメントのバランスを取りながら正味のヨーモーメントを生成できるため、航空機をバンクすることなく機首方位を変更し得る。
【0123】
本航空機は、ペイロードハウジングカップリング機構を備え得り、それはペイロードハウジングを傾斜機構に接続するように機能する。ペイロードハウジングカップリングは、ペイロードハウジングを、傾斜機構、支持部材構造、および/または他の航空機構造要素、に接続する機械的部分を備え得る。ペイロードハウジングカップリングは次を接続する電気的接続を備え得る。すなわち、センサ、パイロット制御、HVAC(HeatingーVentilationーAirConditioning;冷暖房空調設備)、照明、および/またはペイロードハウジング内の電気的接続を必要とする他の機器、である。電気的接続は、前進とホバリングとの間の移行中に、ワイヤのストレス、疲労、および/または損傷、を回避するためのワイヤマネジメント(例えば、スリップリングコネクタまたは類似のもの)を備え得る。モジュール式ペイロードハウジングポッドを含む変形例では、ペイロードハウジングカップリング機構は、機体、残りの航空機構造、および/または様々な電気的端点(例えば、バッテリー、モータなど)から、ペイロードハウジングを、選択的に接続することおよび切断することを可能とする。
【0124】
本航空機100は、航空機のペイロードを保護および運搬するように機能するペイロードハウジングを備え得る。ペイロードには次を含み得る。すなわち、1人以上の乗客(例えば2人など)および/または手荷物、パッケージ、貨物、食品の配達、および/または航空機の運航に関連するその他の機器、である。好ましくは、ペイロードは、3人以上の乗客(例えば、3、4、5、6、6人超)、オプションで、パイロット(パイロット入力制御機構と共に)を含み得る。追加的または代替的に、本航空機は遠隔操縦であり得り、および/または自律的に動作し得る。
【0125】
第1の変形形態では、本航空機は配達ドローンであり、ペイロードハウジングは、食品またはユーザー商品などのパッケージを、ユーザーまたは仲介業者(例えば、サービスの場所、乗り物、配送センター、配達員など)に直接運搬する。
【0126】
第2の変形形態では、本航空機はカメラドローンである。ペイロードハウジングは、地域のスキャニングおよび/またはイメージングサービスの施行、に使用されるカメラを運搬する。本航空機は、オプションで、画像を保存するためのオンボードメモリを装備され得り、および/または画像データをユーザまたはリモートシステムにストリーミングするように装備され得る。
【0127】
第3の変形形態では、本航空機は空中散布のために使用される。ペイロードハウジングは、化学薬品(例えば、農薬)、動物(例えば、生きている魚)、有機粒子(例えば、種子、土壌)、水、および/または他のペイロード、を運ぶために装備され得る。ペイロードハウジングは、オプションで、加圧またはエアロゾルスプレー、放出ハッチ、または他の分散手段、を介してペイロードを排出するための散布システムを備え得る。キャビン、カーゴホールド、および/またはペイロードハウジングは、次のことを可能とする。すなわち、断熱材122(
図21の例におけるような)を備えるまたは備えない、温度調節(暖房および/または冷却システムを介し)を備えるまたは温度調節なし(機内の暖房および/または冷却システムなし)、気密または気密でない、窓を備えるまたは備えない(または他様に、本航空機の外部に光学的に接していない)、インセプター(または他のパイロット入力メカニズム)を備えるまたは備えない、カーゴベイを備える、タイダウンを備える、バッテリーパックまたは他の電源を収容する、および/または他の適切な特徴/機能を備える、である。ペイロードハウジングは、オプションで、ペイロードのロードおよび/またはアンロード中などに、内部へのアクセスを選択的に許容するように機能し得るカバー121を備え得る。カバーは、クラムシェル、ガルウィング、サイドオープン(たとえば、車のドアのように)、スライド、スナップイン、ヒンジ付き、ボトムパネル、および/または他の適切なカバー、とし得る。カバーは、追加的または代替的に、ペイロードハウジングの外形の一部または全体を形成するよう機能して、ペイロード(例えば、乗客、配達品など)を封入および/または保護するよう機能し得る。
【0128】
特定の変形形態では、ペイロードハウジングは、モジュール性および再構成可能性を許容するために本航空機の残りの部分から切り離すように機能するモジュール式ポッドを備える。このポッドは、自動、部分的に自動(パイロットが開始するシーケンスなど)、手動、および/またはその他の任意の適切な態様で、接続および/または切離し得る。具体例として、このポッドは、調整メカニズム(その方法の一例を
図9に示す)の支援を受けて接続されている。この調整メカニズムは次に基づいて動作し得る。すなわち、コンピュータービジョン;先細りの溝/堀、基準フレームまたはキー、および/または他の自己位置検出ジオメトリ、などの物理的な調整機能;変動耐性のある接続(たとえば、次を許容できるもの:偏差1mm未満、偏差5mm未満、偏差1cm未満、偏差3cm未満、偏差5cm未満、など);および/またはその他の任意の適切なメカニズム;である。モジュラーポッドと連動して動作するペイロードハウジングカップリング機構は、磁気ファスナー、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、電気機械式アクチュエータ、スプリング支援アクチュエータ、および/または他様なモジュラーポッドの留め付けまたは固定などの、任意の適切な機械的ファスナーおよび/または機械的カップリング技術(例えば、クランプ、保持、ラッチングなどを達成するため)を利用し得る。
【0129】
航空機100は、オプションで、本航空機および/またはペイロードへの衝撃の影響を軽減するように機能する衝撃減衰器を備え得る。衝撃減衰器は、ポッドの後部(例を
図11(A)に示す)、乗客領域の下、乗客領域の前、ペイロードハウジングの前、ペイロードハウジングの下部、ペイロードハウジングの側面、および/またはその他の任意の適切な場所、に配置し得る。衝撃減衰器は、内部や外部に取り付けられ得り、機体またはペイロードハウジングの構造に統合され得り、および/または他様に取り付けられ得る。第1の変形形態では、衝撃減衰器は受動的である:すなわち、ペイロードハウジングの1以上の部分は、衝撃状況においてペイロード(例えば、乗客)が受ける力/加速を軽減するために、押しつぶせ、折り畳め、および/または変形可能である。本航空機の押しつぶせる部分は、ペイロードハウジングの残りの部分と同じまたは異なる材料にし得る。それらは、発泡体、アルミニウム(例えば、ハニカム構造)、ばね鋼、および/または他の材料で構成され得る。第2の変形形態では、衝撃減衰器は、自己膨張式ガスクッション(例えば、エアバッグ)または衝撃時に展開する他の能動安全システム、を備え得る。
【0130】
本航空機100は、オプションで、ロータのセットに電力を供給するように機能する電源のセットを備え得る。好ましくは、電源は、1以上の電池(例えば、電池パックに配置される)を備えるが、追加的または代替的に、燃料電池、液体燃料(例えば、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料など)、および/または他の任意の適切な電源、を備え得る。電源は次に収納され得る。すなわち、ナセルの内側、機体の内側、ペイロードハウジングの外側、ペイロードハウジングの内側、尾翼、支持部材の内側、支持部材に取り付けられたもの、機体に取り付けられた専用の筐体、および/またはその他の任意の適切な場所、である。
【0131】
変形形態では、電源は、ホットスワップ可能、取り外し可能、交換可能、および/または置換え可能であり得る。具体例(電源に1つ以上のバッテリーパックが備わる場合)では、バッテリーパックは、航空機内で充電されるように構成され、航空機外で充電されるように構成され(たとえば、充電のために取り外される)、完全に充電されたバッテリーパックと交換されるように構成され、および/または他様に構成され得る。そのような変形形態は、航空機の稼働時間を増加させ、充電時間を短縮し、航空機に必要な部品数を削減し、および/または他様に運用効率を改善し得る。
【0132】
機体は、好ましくは、ナセル、支持部材(および支持部材間の接続)、および/または他の任意の構造的構成要素を備える。第1の具体例では、機体は、ペイロードハウジングに統合された傾斜機構を有する構造的なペイロードハウジングを備え得る。第2の具体例では、機体は尾翼を備える(例えば、操縦翼面のセット、後部ロータのセットなどを有する)。尾翼を含む航空機の例を
図12(A)~(D)に示す。
【0133】
本航空機100は、飛行制御および操作を容易にするための様々な飛行制御要素を備え得り、これは、操縦翼面および/または制御アクチュエータを備え得る。例えば、本航空機100は、着陸装置(例えば、格納式着陸装置、動力付き/非動力の車輪、固定着陸装置、ナセル支柱など)、飛行操縦翼面(例えば、フラップ、エレベーター、エルロン、ラダー、ラダーベーター、スポイラー、スラット、エアブレーキなど)、飛行計器(例えば、高度計、空速メータと測定器、垂直速度メータと測定器、コンパス、姿勢メータと測定器、機首方位メータと測定器、旋回メータと測定器、フライトディレクターシステム、ナビゲーションシステム、およびその他の任意の適切な機器)、およびその他の任意の適切な構成要素、を備え得る。様々な構成要素は、次の様な任意の適切な態様で本航空機100に結合され得る。;例えば、飛行操縦翼面は、機体および/または尾部の一部に結合および/またはそれらによって画定され得る。;飛行計器は、航空機100のペイロードハウジング(例えば、コックピット)内に、および/または遠隔操作場所(例えば、遠隔操作施設、遠隔操縦場所など)に配置され得る。;または他様に配置され得る。
【0134】
変形形態では、本航空機のペイロードハウジング(例えば、ペイロードハウジングポッド、機体に組み込まれたペイロードハウジングなど)は、任意の適切な飛行操縦翼面のセットを備える尾翼を備え得る。
【0135】
本航空機には、オプションで、前進構成で空力モーメントのバランスをとることによって航空機を安定させるように機能する尾翼を備え得る。尾翼は、横方向の安定装置(例えば、後部翼)および/または垂直方向の安定装置(例えば、垂直安定板)を備え得る安定装置123のセット、を備え得る。横方向の安定装置は、好ましくは、エレベーター(またはラダーベーター)または他のアクチュエータを備えないが、代替的に、エレベーターまたは他の操縦翼面を備え得る。垂直方向の安定装置は、ラダーまたは他のアクチュエータを備えないが、代替的に、ラダーまたは他の操縦翼面を備え得る。垂直および/または横方向の安定装置から操縦翼面を排除することにより、重量を減らし、故障モードの数を減らし、航空機の複雑さ(たとえば、トータルの部品数)を減らし、製造可能性を改善し、および/または他の適切な利点を与え得る。安定装置は、ペイロードハウジング/キャビンに統合されるか、ペイロードハウジングに取り付けられるか、または適切に航空機に接続され得る。変形形態では、尾翼は、選択的に取り付け可能/取り外し可能(例えば、強風条件などで選択的に取り付け可能)であり得り、ペイロードハウジングと同じプロセスで形成および/または製造され得り、別々に製造され得り(ペイロードハウジングと同じまたは異なる材料で)、ペイロードハウジングに接続され得り、および/または他様に取り付けられ得る。
【0136】
システムおよび/または方法の実施形態は、様々なシステム構成要素および様々な方法プロセス、のすべての組み合わせおよび置換を含み得り、本明細書に記載の方法および/またはプロセスの1以上の実例は、非同期的に(例えば、順次に)、同時に(例えば、並行して)、または本明細書に記載のシステム、要素、および/または本質の、1以上の実例による、および/または1以上の実例を使用する、任意の他の適切な順序で、実行され得る。
【0137】
当業者は、従来の詳細な説明および図および特許請求の範囲を認識し、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加え得る。
【国際調査報告】