(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】ミニソフトゲルナプロキセン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20220622BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220622BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20220622BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61K9/48
A61P29/00
A61K31/192
A61K9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563331
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020029234
(87)【国際公開番号】W WO2020219499
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520355792
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シェリー,リッキー,スティーブ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA56
4C076AA61
4C076BB01
4C076CC04
4C076EE23A
4C076EE42A
4C076FF68
4C206AA01
4C206AA10
4C206DA22
4C206KA12
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA57
4C206MA58
4C206MA72
4C206NA10
4C206ZB11
(57)【要約】
ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比が約1未満である、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含むミニソフトゲルカプセルが本明細書に開示される。ミニソフトゲルカプセルでそれを必要とする患者を処置するための方法、ならびに高濃度の活性薬剤を有する充填組成物を含むミニソフトゲルカプセルを安定化するための方法も、本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物であって、前記充填組成物が、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含み、ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比が約1未満であり、前記ソフトゲルが8~14のサイズを有する、医薬組成物。
【請求項2】
ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムの前記モル比が、0.55~約0.75である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムの前記モル比が、約0.6~約0.7である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記充填組成物が、約200mg~約800mgの重量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記充填組成物が、約600mg~約700mgの重量を有する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ソフトゲルが、10~12のサイズを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ソフトゲルが、楕円形または卵形を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記充填組成物が、ナプロキセンのカリウム塩を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ナプロキセンのカリウム塩が、前記ナプロキセン遊離酸および前記ナプロキセンのカリウム塩を合わせた総重量に基づいて、約55重量%~約75重量%の濃度で前記充填組成物中に存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ナプロキセンのカリウム塩が、前記ナプロキセン遊離酸および前記ナプロキセンのカリウム塩を合わせた総重量に基づいて、約60重量%~約70重量%の濃度で前記充填組成物中に存在する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約0.5時間~約4時間の平均T
maxを示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約1時間~約2.5時間の範囲の平均T
maxを示す、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約1時間~約6時間の範囲の平均T
maxを示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約2時間~約5時間の範囲の平均T
maxを示す、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約25μg/mL~約70μg/mLの平均C
maxを示す、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約30μg/mL~約60μg/mlのC
maxを示す、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の約200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約20μg/mL~約55μg/mLの範囲の平均C
maxを示す、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の約200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約25μg/mL~約50μg/mLの範囲の平均C
maxを示す、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約450μg・時/mL~約1000μg・時/mLのAUCを示す、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約500μg・時/mL~約975μg・時/mLのAUCを示す、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の約200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約400μg・時/mL~約1000μg・時/mLの範囲の平均AUCを示す、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の約200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約500μg・時/mL~約950μg・時/mLの範囲の平均AUCを示す、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物であって、前記充填組成物が、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含み、ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比が約1未満であり、前記充填組成物が、約200mg~約800mgの重量を有し、前記医薬組成物が、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に約0.5時間~約4時間のT
maxを示し、約25μg/mL~約70μg/mLのC
maxを示し、約450μg・時/mL~約1000μg・時/mLのAUCを示す、医薬組成物。
【請求項24】
ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物であって、前記充填組成物が、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含み、ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比が約1未満であり、前記充填組成物が、約200mg~約800mgの重量を有し、前記医薬組成物が、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に約1時間~約6時間のT
maxを示し、約20μg/mL~約55μg/mLのC
maxを示し、約400μg・時/mL~約1000μg・時/mLのAUCを示す、医薬組成物。
【請求項25】
ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物であって、前記充填組成物が、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含み、ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムとのモル比が約1未満であり、前記充填組成物が、約200mg~約800mgの重量を有する、医薬組成物。
【請求項26】
前記充填組成物が、最大約15%、最大約12%、最大約10%、最大約9%、最大約8%、最大約7%、最大約6%、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、または約0%の水分含量を有する、請求項1から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
約2N~約20N、約4N~約15N、約6N~約13N、または約8N~約12Nの硬度を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物を調製する方法であって、ナプロキセン遊離酸および水酸化カリウムをミニソフトゲルカプセルに取り込むステップを含む方法。
【請求項29】
状態を処置する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年4月26日に出願された米国仮特許出願第62/839,198号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ナプロキセンを含むミニソフトゲル医薬組成物の分野に関する。本発明はまた、そのような医薬組成物を調製する方法および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ソフトゼラチンカプセル(液体ゲルまたはソフトゲルと呼ばれる)は、錠剤、ハードゼラチンカプセル、および液体などの従来の剤形と比べて、明確な利点を示すことができる独自の薬物送達系である。ソフトゲルは、密閉された一体型のカプセルで、液体または半固体で充填されている。ソフトゲルには、シェル組成物および充填組成物の2つの主要成分が含まれている。例示的なシェル組成物は、ゼラチン、可塑剤および水を含んでいてよい。充填組成物は、多種多様な媒体を含んでいてよく、溶液または懸濁液のいずれかであってよい。
【0004】
ソフトゼラチンカプセルは、少なくとも部分的には飲み込み易いので、薬物の経口投与のために多くの人々に好まれる可能性がある。特に高齢者にとっては、ソフトゼラチンシェルは、錠剤またはハードカプセルよりも、カプセルを飲み込み易くする。ソフトゲルカプセルは、そのサイズを小さくすることによって、さらに飲み込み易くできる。そうするためには、充填組成物において高濃度溶液を達成するように、医薬品有効成分および溶媒の量を最適化することが有利である可能性がある。ソフトゲルのサイズおよびその使いやすさを損なうことなく、より濃縮された充填組成物によってより多くの用量を達成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的および概要
本開示の実施形態は、安定であり、標的薬物動態パラメータを示すミニソフトゲル医薬組成物、前記組成物を調製する方法、および前記組成物で状態を処置する方法を対象とし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態では、本開示は、ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物を対象とし得る。充填組成物は、ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物を含んでよい。反応におけるナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比は、約1未満、約0.55~約0.75、約0.6~約0.7、または約0.65であってよい。ソフトゲルは、8~14、または10~12のサイズを有してよい。充填組成物は、約200mg~約800mg、約400mg~約800mg、または約600mg~約700mgの重量であってよい。医薬組成物は、楕円形または卵形に成形されたミニソフトゲルであってよい。いくつかの実施形態では、充填組成物は、ナプロキセン遊離酸およびナプロキセン塩を合わせた総重量に基づいて、約55重量%~約75重量%、約60重量%~約70重量%、または約65重量%の濃度のナプロキセン塩を含んでよい。
【0007】
特定の実施形態では、標的薬物動態パラメータとしては、平均Tmax、平均Cmax、および平均AUCを挙げることができる。薬物動態学的値は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量の、摂食状態または絶食状態にある対象の集団への投与に関するものであってよい。特定の実施形態では、平均Tmax(摂食状態)は、約1時間~約6時間、または約2時間~約5時間の範囲であってよい。特定の実施形態では、平均Cmax(摂食状態)は、約20μg/mL~約55μg/mL、または約25μg/mL~約50μg/mLの範囲であってよい。特定の実施形態では、AUC(摂食状態)は、約400μg・時/mL~約1000μg・時/mL、または約500μg・時/mL~約950μg・時/mLの範囲であってよい。特定の実施形態では、平均Tmax(絶食状態)は、約0.5時間~約4時間、または約1時間~約2.5時間の範囲であってよい。特定の実施形態では、平均Cmax(絶食状態)は、約25μg/mL~約70μg/mL、または約30μg/mL~約60μg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態では、AUC(絶食状態)は、約450μg・時/mL~約1000μg・時/mL、または約500μg・時/mL~約975μg・時/mLの範囲であってよい。
【0008】
特定の実施形態では、本開示は、ナプロキセン遊離酸および水酸化カリウムをミニソフトゲルカプセルに取り込むことによって、本明細書に開示される医薬組成物のいずれかを調製する方法を対象とし得る。
【0009】
特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者に本明細書に開示される医薬組成物のいずれかを投与することによって、状態を処置する方法を対象とし得る。
【0010】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形への言及を含む。したがって、例えば、「医薬品有効成分」への言及は、単一の医薬品有効成分ならびに2つ以上の異なる医薬品有効成分の混合物を含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、ならびに2つ以上の異なる賦形剤の混合物などを含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、測定量に関連する「約」という用語は、測定の目的および測定機器の精度に見合った測定および手入れの度合の実行によって当業者によって予想される、その測定量の通常の変動を示す。特定の実施形態では、「約」という用語は、「約10」が9.5~10.5を含むように、列挙された数±5%を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「活性薬剤」、「有効成分」、「医薬品有効成分」、「API」、および「薬物」という用語は、その目的のために政府機関によって承認されているかどうかに関わらず、治療的、予防的、または他の意図された効果を生み出すことを意図された任意の材料を指す。特定の薬剤に関するこれらの用語には、すべての薬学的に活性な薬剤、そのすべての薬学的に許容される塩、錯体、立体異性体、結晶形、共結晶、エーテル、エステル、水和物、溶媒和物、およびそれらの混合物が含まれ、これらの形態は薬学的に活性である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、空間内のそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子のすべての異性体の総称である。これは、エナンチオマーおよび互いに鏡像ではなく、1つまたは複数のキラル中心を持つ化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。
【0014】
「エナンチオマー」または「エナンチオマー性」という用語は、その鏡像と重ね合わせることができず、したがって光学活性であり、エナンチオマーが偏光面を一方向にある程度回転させ、その鏡像が同じ程度であるが、反対方向に偏光面を回転させる分子を指す。
【0015】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
【0016】
「患者」という用語は、処置の必要性を示唆する特定の1つもしくは複数の症状の臨床症状を示している、ある状態に対して防止的にもしくは予防的に処置されている、または処置すべき状態と診断されている、対象、動物またはヒトを指す。「対象」という用語は、「患者」という用語の定義を含み、その他の点では健康な個体を除外しない。
【0017】
「薬学的に許容される塩」としては、これらに限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩が挙げられる。
【0018】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に言及する簡略化された方法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施できる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に特定の材料および方法を明らかにすることを意図しており、範囲を制限するものではない。本明細書のいかなる文言も、特許請求されていない要素が開示された材料および方法の実施に不可欠であることを示すと解釈するべきではない。
【0019】
「状態」または「状態(複数)」という用語は、有効量の活性薬剤の対象への投与によって処置または予防できるそれらの医学的状態、例えば、疼痛を示す。
【0020】
「の処置」および「処置する」という用語は、状態の重症度の軽減もしくは停止、または状態の症状の重症度の軽減もしくは停止を含む。
【0021】
「の予防」および「予防する」という用語は、状態の発症の回避を含む。
【0022】
「治療有効量」は、対象において、例えば、状態を処置もしくは予防するため、または状態の症状を処置するための、活性薬剤の量、または活性薬剤の組合せの量を含むことを意図している。
【0023】
「薬学的に許容される」という表現は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または合理的な利益/リスク比に見合った他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、それらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態は、ソフトゲルおよび充填組成物を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、充填組成物は、遊離酸形態の医薬品有効成分(API)と塩基との反応生成物を含む。反応生成物は、APIの塩形態であってよい。特定の実施形態では、APIの遊離酸形態と塩基との反応後に、APIの塩形態とAPIの遊離酸形態が充填組成物中に共存しているように、遊離酸形態が塩基と比較してモル過剰であってよい。
【0025】
本明細書に開示される充填組成物中のAPIは、ナプロキセン遊離酸および/またはその薬学的に許容される塩であってよい。いくつかの実施形態では、APIの塩形態(例えば、ナプロキセン塩)は、API(例えば、ナプロキセン遊離酸)の遊離酸形態およびAPIの塩型(例えば、ナプロキセン塩)を合わせた総重量に基づいて計算された、約55重量%~約75重量%、約60重量%~約70重量%、約55重量%~約65重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、もしくは約75重量%、またはその中の任意の部分範囲、またはその中の単一の濃度値で、充填組成物中に存在してよい。
【0026】
前記の範囲は、本明細書に記載の標的薬物動態パラメータを示す安定なソフトゲルナプロキセン組成物を獲得するために有利である。ソフトゲル医薬組成物が約75重量%を超えるナプロキセン塩を含む場合(充填組成物中のナプロキセン遊離酸およびナプロキセン塩を合わせた総重量に基づく)、ソフトゲルは不安定であり、加速状態で溶融する可能性がある。一方、ソフトゲル医薬組成物が約55重量%未満のナプロキセン塩を含む場合(充填組成物中のナプロキセン遊離酸およびナプロキセン塩を合わせた総重量に基づく)、ソフトゲルは、標的状態を処置および/または予防することにおいて、それほど有効ではない可能性がある(すなわち、それは、以下にさらに詳細に記載する薬物動態学的性能を示さない可能性がある)。
【0027】
特定の実施形態では、充填組成物は、40℃および75%相対湿度(RH)で1か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0028】
特定の実施形態では、充填組成物は、40℃および75%相対湿度(RH)で2か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0029】
特定の実施形態では、充填組成物は、40℃および75%相対湿度(RH)で3か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0030】
特定の実施形態では、充填組成物は、40℃および75%相対湿度(RH)で6か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0031】
特定の実施形態では、充填組成物は、40℃および75%相対湿度(RH)で9か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0032】
特定の実施形態では、充填組成物は、30℃および65%相対湿度(RH)で1か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0033】
特定の実施形態では、充填組成物は、30℃および65%相対湿度(RH)で2か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0034】
特定の実施形態では、充填組成物は、30℃および65%相対湿度(RH)で3か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0035】
特定の実施形態では、充填組成物は、30℃および65%相対湿度(RH)で6か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0036】
特定の実施形態では、充填組成物は、30℃および65%の相対湿度(RH)で9か月間保存した後、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、ナプロキセン遊離酸またはナプロキセンのカリウム塩)の量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を維持する。
【0037】
本明細書に開示される充填組成物中の塩基は、その強度およびAPIとのその相互作用によって選択できる。例えば、APIの遊離酸形態(例えば、ナプロキセン遊離酸)の大部分をその塩形態(例えば、ナプロキセン塩)に変換(および維持)するのに十分に強い塩基を選択することが有利である可能性がある。さらに、組み合わせた場合、APIの塩形態(例えば、ナプロキセン塩)およびAPIの遊離酸形態(例えば、ナプロキセン遊離酸)の溶解度を高める塩基を選択することが有利である可能性がある。そのような増強された溶解度は、APIおよびその薬学的に許容される塩の濃縮溶液を形成するのに有用な可能性がある。そのような濃縮溶液は、より小さなサイズを有する剤形で高用量の医薬組成物(すなわち、より少ない容量でより多くのAPI)を形成するのに有用な可能性がある。
【0038】
一実施形態では、塩基は水酸化カリウムであってよい。水酸化カリウムを使用して、遊離酸形態のナプロキセンを中和し、カリウム塩形態のナプロキセンを形成できる。ナプロキセンのカリウム塩は、ナプロキセンの他の特定の塩(例えば、ナプロキセンのナトリウム塩)と比較して、低分子量ポリエチレングリコール溶媒に対してより良好な溶解性を有するので、水酸化カリウムは、ナプロキセン医薬組成物において有用である可能性がある。さらに、ナプロキセンの遊離酸およびナプロキセンのカリウム塩の組合せは、個々の成分それぞれよりも低分子量ポリエチレングリコールに溶け易い。したがって、充填組成物中にナプロキセンのカリウム塩および遊離酸形態のナプロキセンを組み合わせることにより、より高濃度のナプロキセンAPIまたはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を獲得することが可能である(ナプロキセンの遊離酸を欠く、またはナプロキセンの異なる塩形態を含む医薬組成物と比較すると)。
【0039】
最終的なソフトゲルカプセルのサイズと形状は様々であり得る。カプセルの形状は、円形、卵形、楕円形、または非標準的な形状であり得るが、これらに限定されない。典型的なソフトゲルカプセルの形状およびサイズは、以下の表1に示されるものであってよいが、これらに限定されない。
【0040】
【0041】
上記のように、濃縮溶液は、より小さな容量で、それに応じてより小さなサイズのソフトゲルカプセルで、高用量を含むことを可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるソフトゲルカプセルのサイズは、8~14、10~12の範囲のサイズ、およびその間のすべてのサイズ、例えば、8、9、10、11、12、13、または14のサイズを有してよい。特定の実施形態では、本明細書に開示されるソフトゲルカプセルのサイズは、既存の同等の剤形よりも約20%~約30%小さくてもよい(例えば、Aleve(登録商標)液体ゲルナプロキセンナトリウム220mgよりも約20%~約30%小さい)。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される充填組成物は、約200mg~約800mg、約300mg~約750mg、約400mg~約700mg、約400mg~約800mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約750mg、もしくは約800mg、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の重量値を有する。
【0043】
特定の実施形態では、APIの遊離酸形態(例えば、ナプロキセン遊離酸)に対する塩基(例えば、水酸化カリウム)のモル比は、約1未満であってよい。例えば、API(例えば、ナプロキセン遊離酸)に対する塩基(例えば、水酸化カリウム)のモル比は、約0.55~約0.75、約0.6~約0.7、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、約0.60、約0.61、約0.62、約0.63、約0.64、約0.65、約0.66、約0.67、約0.68、約0.69、約0.70、約0.71、約0.72、約0.73、約0.74、もしくは約0.75、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一のモル比の値であってよい。
【0044】
ソフトゲル医薬組成物において、API(ナプロキセン遊離酸など)に対する塩基(水酸化カリウムなど)のモル比が約0.75を超える場合、充填組成物のpHおよびAPI塩(例えば、ナプロキセン塩)含有量が高すぎるため、ソフトゲルカプセルが不安定になる可能性がある。一方、ソフトゲル医薬組成物においてAPI(ナプロキセン遊離酸など)に対する塩基(水酸化カリウムなど)のモル比が約0.55未満の場合、充填組成物のAPI塩(ナプロキセン塩など)含有量が低すぎる可能性があり、医薬組成物は、標的状態を処置および/または予防するのにそれほど有効ではない可能性がある(すなわち、以下でさらに詳細に記載する薬物動態学的性能を示さない可能性がある)。
【0045】
一実施形態では、医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸およびナプロキセン塩を含んでよい。ナプロキセン遊離酸と水酸化カリウムとの反応生成物は、以下に示す化学反応に示すように、ナプロキセンのカリウム塩である可能性がある。したがって、ナプロキセンのカリウム塩の量は、充填組成物中のナプロキセン遊離酸および水酸化カリウムの量に関連している可能性がある。
【0046】
ナプロキセン遊離酸+KOH→ナプロキセンカリウム塩+H2O
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、標的状態(疼痛など)を処置するのに有効であってよい。API(例えば、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩)は、治療有効量の医薬組成物として存在する可能性があり、その結果、医薬組成物は、摂食状態および/または絶食状態にある対象の集団への経口投与後に標的薬物動態パラメータ(例えば、平均Tmax、平均Cmax、および/または平均AUC)を示してよい。
【0047】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量の摂食状態にある対象の集団への経口投与後に、約1時間~約6時間、または約2時間~約5時間の範囲の平均Tmaxを示してよい。
【0048】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量の絶食状態にある対象の集団への経口投与後に、約0.5時間~約4時間、または約1時間~約2.5時間の範囲の平均Tmaxを示してよい。
【0049】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に、約20μg/mL~約55μg/mL、または約25μg/mL~約50μg/mLの範囲の平均Cmaxを示してよい。
【0050】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団への経口投与後に、約25μg/mL~約70μg/mL、または約30μg/mL~約60μg/mLの範囲の平均Cmaxを示してよい。
【0051】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、摂食状態にある対象の集団への経口投与後に、約400μg・時/mL~約1000μg・時/mL、または約500μg・時/mL~約950μg・時/mLの範囲の平均AUCを示してよい。
【0052】
例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の200mgの用量に基づいて、絶食状態にある対象の集団経口投与後に、約450μg・時/mL~約1000μg・時/mL、または約500μg・時/mL~約975μg・時/mLの範囲の平均AUCを示してよい。
【0053】
本明細書に開示される医薬組成物は、薬学的に許容される溶媒をさらに含んでよい。適切な溶媒は、医薬組成物の他の成分を溶解して、液体形態で透明な溶液を得る溶媒であってよい。例示的な溶媒としては、限定されないが、低分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールは、約200~約800ダルトン、約400~約700ダルトンの範囲、または約600ダルトンの平均分子量、またはその中のポリエチレングリコールの分子量範囲の任意の部分範囲もしくは単一の値を有してよい。他の例示的な液体ポリエチレングリコールとしては、限定されないが、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG800、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、ソフトゲルおよび充填組成物から本質的になる(またはそれらからなる)ことができる。充填組成物は、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩と水酸化カリウムとの反応生成物から本質的になる(またはそれらからなる)ことができる。充填組成物は、反応生成物に加えて、溶媒(ポリエチレングリコールおよび/または水など)からさらに本質的になる(またはそれらからなる)ことができる。ソフトゲルカプセルのサイズ、成分の量、および医薬組成物の薬物動態学的特性は、本明細書に記載されているもののいずれを含んでもよい。
【0055】
本明細書に開示される医薬組成物は、界面活性剤(HLB値が10未満または10を超える)、溶媒、共溶媒、固体高分子量ポリエチレングリコール、水溶性ポリマー、香味料、pH調整剤、崩壊剤、可塑剤、着色剤、細孔形成剤、分散剤、水溶性ポリマー、水、グリセリン、ソルビトール、シクロデキストリン、溶解性増強剤、生物学的利用能増強剤、乳白剤、酵素、保存剤、安定剤、抗酸化剤、増量剤、およびそれらの組合せなどの、追加の成分/賦形剤を含んでよい。適切な賦形剤は、液体、半固体、および/または固体の形態であってよい。
【0056】
HLB値が10未満の界面活性剤としては、これらに限定されないが、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)共重合体、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールカプリレート/カプレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールラウレート、グリセロールモノリノレート、グリセロールベヘネート、グリセロールパルミトステアレート、石油およびラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシル2セチルエーテル、ポリオキシル2ステアリルエーテル、ポリオキシル2オレイルエーテル)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート)、スクロースエステル、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)(プルロニック共重合体)、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0057】
HLB値が10を超える適切な界面活性剤としては、限定されないが、ポリソルベート80-ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシル40水素化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0058】
例示的な溶媒および/または共溶媒としては、限定されないが、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0059】
例示的な固体高分子ポリエチレングリコールとしては、限定されないが、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG7000、PEG8000、最大10000のPEG、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0060】
例示的な水溶性ポリマーとしては、限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ガム、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
例示的な可塑剤としては、限定されないが、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ダルシトール、ペンタエリスリトール、もしくはマンニトールなどの糖アルコール可塑剤;または、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、最大10,000MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン、低分子量ポリマー、オリゴマー、共重合体、オイル、有機小分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチ-ブロックポリマー、シングルブロックポリマー、クエン酸エステル型可塑剤、トリアセチン、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、エチルグリコレート、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、グリセリルモノステアレート、ポリソルベート80、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレートおよびアリルグリコレートなどのポリオール可塑剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0062】
例示的な着色剤としては、限定されないが、例えば、白、黒、黄、青、緑、ピンク、赤、オレンジ、紫、藍、および茶などの色が挙げられる。
【0063】
例示的な香味料としては、限定されないが、メントール、スペアミント、およびシナモンなどの呼気清涼化合物、コーヒー豆、フルーツ風味料(例えば、チェリー、オレンジ、ブドウなど)などの他の風味料または香料、特に、口腔衛生に使用されるもの、ならびに第四級アンモニウム塩基などの歯科および口腔洗浄に使用される活性物質が挙げられる。風味料の効果は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどのような風味増強剤を使用して増強できる。
【0064】
例示的な甘味料としては、限定されないが、1種もしくは複数種の人工甘味料、1種もしくは複数種の天然甘味料、またはそれらの組合せが挙げられる。人工甘味料としては、例えば、アセスルファムおよびそのカリウム塩(Sunett(登録商標)として入手可能)などの様々な塩、アリテーム、アスパルテーム(NutraSweet(登録商標)およびEqual(登録商標)として入手可能)、アスパルテーム-アセスルファムの塩(Twinsweet(登録商標)として入手可能)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ジヒドロカルコン化合物、ネオテーム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンおよびそのナトリウム塩(Sweet’N Low(登録商標)として入手可能)などの様々な塩、ステビア、スクラロースなどのスクロースの塩素誘導体(Kaltame(登録商標)およびSplenda(登録商標)として入手可能)、ならびにモグロシドが挙げられる。天然甘味料としては、例えば、グルコース、デキストロース、転化糖、フルクトース、スクロース、グリチルリチン;グリシルリジン酸モノアンモニウム(商品名MagnaSweet(登録商標)で販売);ステビアレバウディアナ(stevia rebaudiana)(ステビオシド)、ラカンカなどの天然の強い甘味料、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどのポリオールが挙げられる。
【0065】
例示的なpH調整剤としては、限定されないが、塩酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。
【0066】
医薬組成物に含まれ得る他の例示的な賦形剤としては、これらに限定されないが、ゼラチン、水溶性多糖類(例えば、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムおよび関連ガム(ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム)、ペクチンなど)、セルロースの水溶性誘導体(例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなど)、セルロースエステルおよびヒドロキシアルキルセルロースエステル(例えば、フタル酸酢酸セルロース(CAP)など)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびそれらのアルカリ金属塩など))、水溶性合成ポリマー(例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、およびポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、およびポリメタクリル酸エステルなど)、ポリビニル酢酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、医薬品/充填組成物の総重量に基づいて、賦形剤は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約4重量%、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下の濃度で、医薬品/充填組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、充填組成物は、ポリエチレングリコール溶媒以外の賦形剤を含まなくてもよい(例えば、約0重量%のポリエチレングリコール溶媒以外の賦形剤であってよい)。いくつかの実施形態では、医薬品/充填組成物は、医薬品/充填組成物総重量に基づいて、例えば、約2重量%~約50重量%、約6重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約40重量%、約15重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、または約15重量%~約25重量%の範囲の量の賦形剤を含んでいてよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、API(その遊離酸形態および/またはその塩形態で)は、充填組成物の総重量に基づいて、約15重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、または約40重量%の濃度で充填組成物中に存在してよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、充填組成物は、最大約15%、最大約12%、最大約10%、最大約9%、最大約8%、最大約7%、最大約6%、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%の水分含量を有してもよく、または完全に水分を含まなくてよい(すなわち、水分含量0%)。特定の実施形態では、そのような上限範囲を超える水分含量は、特定の条件(例えば、40℃および75%相対湿度など)で物理的に安定しないソフトゲル製剤をもたらす可能性がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるソフトゲル組成物は、約2N~約20N、約4N~約15N、約6N~約13N、約8N~約12Nの硬度、またはそれらに包含される任意の部分範囲もしくは任意の単一の値の硬度を有してよい。
【0071】
本明細書に開示される剤形の硬度および/または水分含量は、最大約20日、約1日~約18日、約5日~約15日、約7日~約13日、または約10日~約12日、またはそれらに包含される任意の部分範囲もしくは単一の値の期間に渡って、ソフトゲル製剤を乾燥させることによって、獲得することができる。
【0072】
本発明の実施形態は、ナプロキセンのカリウム塩形態を安定化するための方法を対象とし得る。この方法は、ナプロキセン遊離酸に対する水酸化カリウムのモル比が約1未満で、遊離酸形態のナプロキセンを水酸化カリウム塩基とともにミニソフトゲルカプセルに取り込む(例えば、反応させることによって)ステップを含んでよい。ミニソフトゲルカプセルは8~12のサイズを有してよい。取り込みは、遊離酸形態のナプロキセンを水酸化カリウムと混合し、適切な溶媒(例えば、低分子量ポリエチレングリコール)に溶解して、ナプロキセン遊離酸を水酸化カリウムと反応させ、ナプロキセン遊離酸またはその薬学的に許容される塩の高濃度溶液を獲得することを包含し得る。
【0073】
本明細書に開示される他の賦形剤のいずれも、本明細書に開示される方法のいずれかの様々なステップにおいて、剤形に取り込まれてよい。
【0074】
本発明の実施形態は、それを必要とする患者に本明細書に開示される医薬組成物のいずれかを投与することによって、標的状態(例えば、疼痛)を処置する方法を対象とし得る。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は、本発明を理解するのを助けるために記載されており、本明細書に記載および特許請求される本発明を具体的に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者の範囲内において、現在知られているまたは後に開発されるすべての同等物の置換を含む本発明の変形、および製剤の変更または実験計画のわずかな変更は、本明細書に組み込まれた本発明の範囲内にあると見なされるべきである。
【0076】
[実施例1]
ナプロキセンミニソフトゲル製剤
以下の表2は、異なるモル比および異なる充填重量において、ナプロキセン遊離酸を水酸化カリウムで中和することにより調製した6つの充填組成物を示す。
【0077】
【0078】
以下の表3は、表2に記載されている充填組成物を包含するために使用される3つのソフトゲルの処方を示している。
【0079】
【0080】
表2および表3からのナプロキセンミニソフトゲル製剤は、以下の方法に従って調製した:
【0081】
脱イオン水を、ボトムミキサーを備えた約40ガロンの密閉混合容器に加えた。水を約15℃に冷却した。容器を完全に真空にし、約100RPMで混合しながら、温度を40℃未満に維持した容器に、水酸化カリウムをゆっくりと真空移動した。水酸化カリウムが完全に溶解するまで、水酸化カリウム/水溶液を混合した。溶液の温度を20~25℃に維持した。
【0082】
ポリエチレングリコール600を別の約300ガロンの密閉混合容器に真空移動した。密閉容器のジャケットは27℃に設定した。1200RPMに設定された分散機および20RPMに設定されたスイープにより真空下で混合しながら、ナプロキセン遊離酸の約半分を、ポリエチレングリコール600を含有する密閉混合容器に真空移動し、なお真空下で均一になるまで混合した。
【0083】
混合が完了した後、1200RPMの分散機および20RPMのスイープで混合しながら、水酸化カリウム溶液の約半分を300ガロンの密閉混合タンクにゆっくりと真空移動した。温度を約40℃未満に維持した。
【0084】
約10分間混合した後、ナプロキセン遊離酸の残りを300ガロンの密閉混合タンクに真空移動し、均一になるまで混合した。
【0085】
ナプロキセン遊離酸の移送に続いて、水酸化カリウムの残りを、温度を40℃未満に維持した300ガロンの密閉混合タンクに真空移動した。
【0086】
すべてのナプロキセン遊離酸が完全に溶解するまで、混合物を少なくとも約20分間混合した。
【0087】
充填溶液を密閉受器に移し、密閉受器をロータリーダイカプセル封入機に移した。
【0088】
充填材を、速乾性ゲル処方を使用して、10個の卵形のダイにカプセル化した。
【0089】
ソフトゲルを、充填材水分が最大約7%となるまで乾燥した。各試料の乾燥時間、充填材水分、および硬度を以下の表4に要約する。
【0090】
【0091】
【0092】
[実施例2]
ナプロキセンミニソフトゲル製剤の安定性試験
200mgのナプロキセン遊離酸の2つのバッチ(実施例1の表2および表3からの製剤5および製剤6)を物理的および化学的安定性試験に供した。第1のバッチの結果は、以下の安定性影響点に基づいて確立した:開始時、1か月、2か月、および3か月。結果を以下の表5に要約する。第2のバッチの結果は、以下の安定性影響点に基づいて確立した:開始時、1か月、2か月、3か月、6か月、および9か月。結果を以下の表6に要約する。
【0093】
【0094】
【0095】
比較すると、200mgの関連の活性薬剤を含む市販品の比較製剤は、方法1.1.6.482に基づいて分析したところ、104.0%のアッセイ、0.11%のグリセリンエステル、0.25%のPEG-Nap、および0.36%の関連物質の合計を示した。比較製剤は、購入し、市販のボトルから直接試験した。
【0096】
200mgのナプロキセン遊離酸の2つのバッチ(安定性試験の結果はそれぞれ表5および表6に要約している)は溶解試験にも供した。第1のバッチの溶解結果は、以下の安定性影響点に基づいて確立した:開始時、1か月、2か月、および3か月。第1のバッチの溶解結果は、以下の表7に要約する。第2のバッチの溶解結果は、以下の安定性影響点に基づいて確立した:開始時、1か月、2か月、3か月、6か月、および9か月。第2のバッチの溶解結果は、以下の表8に要約する。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
比較すると、200mgの関連の活性薬剤を含む市販品の比較製剤は、以下の表9に示される溶解結果を示した。比較製剤は、購入し、市販のボトルから直接試験した。
【0101】
【0102】
本明細書に記載の実施形態によるナプロキセンミニソフトゲル製剤の両方のバッチ(特に第2のバッチ)の安定性試験結果および溶解結果は、比較ナプロキセン製剤の安定性試験結果および溶解結果と同等であった。
【0103】
分析方法1.1.6.211を使用して、ナプロキセン200mgソフトゼラチンカプセル中のナプロキセン関連物質の量をHPLCによって測定した。使用したカラムは、YMC-Pack Pro C18 RS、3μm、150×4.6mm、30℃であった。230nmで検出した。試料を周囲の温度に保ち、HPLCによる分析のために10.0μLの容量を注入した。
【0104】
分析方法1.1.6.211を使用して試験するためのストック試料溶液は、次のように調製した。
・ナプロキセン5カプセルを500mLメスフラスコに入れた
・フラスコに希釈液200mLを加えた
・フラスコの底にゲルが付着しなくなり、カプセルが完全に溶解するまで、フラスコを50℃の水浴で少なくとも1時間、時々急速に回転させながら加熱した
・フラスコを水浴から外した
・メタノール200mLを加え、溶液をよく振とうした
・フラスコを5分間超音波処理した
・溶液を室温に戻した後、メタノールで容量を調整し、よく混合した
・溶液を室温で10分間放置して、溶解していない物質を沈殿させた
・各時点で、ストック試料溶液の上清5mLを100mLメスフラスコに入れ、希釈剤で容量を調整して、分析対象の試料を作製した
【0105】
希釈剤は、1000mlの水中に2.62gのリン酸二水素ナトリウムおよび11.50gのリン酸二ナトリウムを含む水溶液であり、移動相Aは0.1%H3PO4であり、移動相Bはアセトニトリルであった。使用したクロマトグラフィー条件は、以下の表10に従った。
【0106】
【0107】
説明を簡単にするために、本開示の方法の実施形態は、一連の行為として描写および記載している。しかしながら、本開示による行為は、様々な順序でおよび/または同時に、ならびに本明細書に提示および記載されていない他の行為とともに起こる可能性がある。さらに、開示された主題に従って方法を実施するために、説明されたすべての行為が必要とされるわけではない。加えて、当業者は、方法が、状態図またはイベント図を介して一連の相互に関連する状態として代替的に表すことができることを理解し、認識するであろう。
【0108】
前述の説明では、本発明を完全に理解できるようにするため、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなど、多くの特定の詳細が示されている。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態では任意の適切な方法で組み合わせることができる。「例」または「例示的」という用語は、本明細書では、例、実例、または例示として機能することを意味するために使用する。本明細書で「例」または「例示的」として記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という言葉の使用は、概念を具体的に提示することを意図としている。本出願で使用される場合、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包含的な「または」を意味することを意図している。つまり、特に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」は、自然な包含的順列のいずれかを意味することを意図している。つまり、もしXがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAおよびBの両方を含む場合、前述のいずれの場合も「XはAまたはBを含む」を満たす。本明細書全体を通して「実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」への参照は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0109】
本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して記載してきた。したがって、明細書および図面(もしあれば)は、限定的な意味ではなく例示的な意味であると見なされるべきである。本明細書に示されおよび記載されたものに加えて、本発明の様々な変形が、当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図する。
【国際調査報告】