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特表2022-530484摩擦電流接合方法および摩擦電流接合装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】摩擦電流接合方法および摩擦電流接合装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/02 20060101AFI20220622BHJP
   B23K 11/34 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B23K11/02
B23K11/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563422
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2020061466
(87)【国際公開番号】W WO2020216903
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】102019110664.8
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521465647
【氏名又は名称】クーカ ドイチュラント ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】KUKA Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】Zugspitzstrasse 140, 86165 Augsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ヘアリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハーバーゼッツァー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ブアガー
(72)【発明者】
【氏名】アンディ ファム
(57)【要約】
本発明は、摩擦電流接合のための方法および装置に関し、摩擦電流接合装置(1)は、摩擦装置(7)、アプセット装置(8)、電源(16)およびプログラミング可能な制御装置(24)ならびに接合すべきワーク(2,3)のためのワーク収容部(14,15)を有している。摩擦電流接合装置(1)は、ワーク(2,3)を、まず接近段階(a)において互いに面した接合面(4,5)で接触させ、次いで擦り合わせ段階(b)において、押付け圧(p)を加えながら相互の相対運動により接合面(4,5)において互いに擦り合わせ、平坦化し、次いで摩擦を引き起こす相対運動を永続的に終了し、ワーク(2,3)をアプセット段階(c)において接触接続している接合面(4,5)において押付け圧(p)を加えながら、かつ電流(I)により導電加熱しながら押し合わせ、可塑化し、かつ接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のワーク(2,3)を、摩擦によって、かつ電流(I)、特に直流電流による導電加熱によって摩擦電流接合する方法であって、以下のプロセスステップ、すなわち
-前記ワーク(2,3)を、まず接近段階(a)において、1つの共通のプロセス軸線(10)に沿って運動させて、互いに面した、前記プロセス軸線(10)に対して横方向に位置調整された接合面(4,5)で接触させるプロセスステップと、
-前記ワーク(2,3)を、接触前に、または接触の開始と共に、前記プロセス軸線(10)に対して横方向に、または前記プロセス軸線(10)を中心として互いに対して運動させ、特に回転させるプロセスステップと、
-前記接触により開始する擦り合わせ段階(b)において、前記ワーク(2,3)を、押付け圧(p)を加えながら、相互の相対運動により前記接合面(4,5)において互いに対して擦り合わせ、かつ単に平坦化するプロセスステップと、
を有し、
-前記擦り合わせ段階(b)の終了時に、前記ワーク(2,3)の、摩擦を引き起こす前記相対運動を永続的に終了し、かつ
-前記ワーク(2,3)を、前記擦り合わせ段階(b)に直接に続くアプセット段階(c)において、接触接続している前記接合面(4,5)において、前記プロセス軸線(10)に沿って押付け圧(p)を加えながら、かつ電流(I)により即座にかつ持続的に導電加熱しながら押し合わせ、可塑化し、かつ接合するプロセスステップ
を有している、方法。
【請求項2】
前記ワーク(2,3)の、可塑化する加熱および接合を、押付け圧を加えながら、完全にまたは大部分で、前記アプセット段階(c)における導電加熱により引き起こす、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ワーク(2,3)に、前記擦り合わせ段階(b)において、電流(I)を流さないか、または短時間だけかつパルス状に流す、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ワーク(2,3)に、前記擦り合わせ段階(b)において、低い電流密度を加え、前記アプセット段階(c)において、著しく高められた電流密度を加える、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記ワーク(2,3)に、調整された一定の直流電流を流す、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ワーク(2,3)に、前記アプセット段階(c)において、30~50A/mmの電流密度を加える、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ワーク(2,3)に、前記擦り合わせ段階(b)の終了時にようやく、または好適には前記擦り合わせ段階(b)および摩擦を引き起こす相対運動の終了後に、電流(I)を流す、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ワーク(2,3)に、静止状態において前記電流(I)を流す、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ワーク(2,3)に、前記擦り合わせ段階(b)および前記アプセット段階(c)において、前記接合面(4,5)において実質的に同一の押付け圧(p)を加える、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ワーク(2,3)を、125MPa以下、特に100MPa以下の押付け圧(p)で押し合せる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ワーク(2,3)の、1つ以上の物理的なパラメータ、特に温度を、前記接合プロセス中に検出し、前記接合プロセス、特に電流(I)による前記導電加熱を、前記検出データに応じて制御または調整する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ワーク(2,3)を、前記接合前に電気的に予加熱し、かつ/または前記接合後に電気的に後加熱する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記摩擦電流接合装置(1)および場合によっては前記ワーク(2,3)を、好適には前記アプセット段階(c)の終了時に消磁する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記消磁を、導電加熱のための加熱電流に対して逆の極性を有する、場合によってはパルス化された消磁直流電流により行う、請求項13記載の方法。
【請求項15】
摩擦電流接合のための、かつ請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実施するための摩擦電流接合装置であって、該摩擦電流接合装置(1)が、摩擦装置(7)、アプセット装置(8)、電源(16)およびプログラミング可能な制御装置(24)ならびに接合すべき前記ワーク(2,3)のためのワーク収容部(14,15)を有している、摩擦電流接合装置において、
前記ワーク(2,3)を、まず接近段階(a)において、互いに面した、1つの共通のプロセス軸線(10)に対して横方向に位置調整された接合面(4,5)で、前記プロセス軸線(10)に沿って運動させて、かつ接触させ、
-次いで前記ワーク(2,3)を、擦り合わせ段階(b)において、押付け圧(p)を加えながら、相互の相対運動により前記接合面(4,5)において互いに対して擦り合わせ、かつ単に平坦化し、
-前記擦り合わせ段階(b)の終了時に、摩擦を引き起こす相対運動を永続的に終了し、
-前記ワーク(2,3)を、前記擦り合わせ段階(b)に続くアプセット段階(c)において、接触接続している前記接合面(4,5)において、前記プロセス軸線(10)に沿って押付け圧(p)を加えながら、かつ電流(I)により導電加熱しながら押し合わせ、可塑化し、接合するように、前記摩擦電流接合装置(1)が制御されていることを特徴とする、摩擦電流接合装置。
【請求項16】
前記電源(16)が、プログラミング可能であり、かつ制御可能かつ場合によっては調整可能に構成されており、前記ワーク(2,3)に、電流接続部(17,18)を介して導電接続されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記電源(16)が、プログラム制御された電気的なプロセス電流を正確に維持するための定電流調整を有する直流電流電源として構成されている、請求項15または16記載の装置。
【請求項18】
前記電源(16)が、制御可能または調整可能な電気的な変換器(26)および場合によっては電気的な変圧器(27)を有している、請求項15,16または17記載の方法。
【請求項19】
前記電流接続部(17,18)が、前記ワーク(2,3)に、かつ/または前記ワーク収容部(14,15)に配置されており、それぞれ1つ以上の、場合によっては送り可能な電極(28,28’,29,29’)を有している、請求項16から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
前記摩擦電流接合装置(1)が、好適には電気的な消磁装置(32)を有している、請求項15から19までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
電気的な消磁装置(32)が、前記電流(I)とは逆の極性を有する消磁直流電流を前記ワーク(2,3)に加え、
前記消磁装置(32)が、固有の変圧器(34)および固有の変換器(33)を有しているか、または固有の変圧器(34)および一次側の転換器(35)を有している、請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記アプセット装置(8)は、前記接合すべきワーク(2,3)を前記プロセス軸線(10)に沿って、当初の間隔を空けている装填位置を起点として、前記接合面(4,5)において相互に接触させ、制御可能かつ好適には調整可能な押付け力(F)を形成するように、構成されている、請求項15から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
前記摩擦装置(7)は、接触している前記ワーク(2,3)を互いに対して運動させ、特に前記プロセス軸線(10)を中心として回転させるように、構成されている、請求項15から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
前記摩擦装置(7)が、対応配置されたワーク収容部(14)のための好適には回転式の駆動装置(12)を備えた機械ヘッド(11)を有しており、別のワーク収容部(15)が、対向ホルダ(13)に配置されており、前記機械ヘッド(11)と前記対向ホルダ(13)とが、機械フレーム(9)において前記プロセス軸線(10)に沿って互いに対して走行可能に支承されている、請求項23記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上のワークを摩擦電流接合する摩擦電流接合方法および摩擦電流接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実地からは、2つ以上のワークを摩擦圧接により接合することが知られており、その際にワークの接合面を互いに接触させ、低い押付け圧を加えながら互いに対する相対運動によって短時間擦り合わせられる(angerieben)。著しく高められた押付け圧および継続的な相対運動を伴う後続の摩擦段階において、ワークは、その接触接続すべき接合面において摩擦熱により可塑化され、次いでアプセット(据込み)段階における高いアプセット圧により押し合わせられる。摩擦段階およびアプセット段階では、ワークの接合面間の接合ゾーンにおいて、可塑化された材料の側方への押し退けが、隆起部(バリ)を形成しながら行われる。この場合にさらにワーク短縮が生じる。従来の摩擦圧接法は、接合ゾーンにおける繊維変向および硬化をもたらしてしまう。
【0003】
独国実用新案第29922396号明細書は、互いに極めて異なる溶融挙動を有する、摩擦圧接すべき、クリティカルなワークのために設計されている、擦り合わせ段階(Anreibphase)および摩擦段階(Reibphase)を有するこのような摩擦圧接を教示している。付加的な加熱装置によって、摩擦溶融熱に対して付加的に、別の加熱エネルギを意図的に片側で作用させて、または片側で増幅して作用させて摩擦圧接すべきワークのうちの一方に導入し、これにより互いに異なる溶融挙動を補償し、溶融しにくいワークを付加的に加熱することができる。付加的な加熱装置は、好適には誘導加熱器であるが、高温空気、裸火またはワークのうちの一方に当接される抵抗加熱器等を用いた変更が可能である。
【0004】
実地からはさらに、摩擦圧接時に、溶接すべきワークを電気誘導式に予加熱するか、または接合された溶接部分を接合プロセス後に電気的に後加熱することが知られている。独国特許出願公開第102016217024号明細書および国際公開第2010/054627号は、摩擦段階中およびワークの摩擦を引き起こす相対運動中にワークを誘導加熱することを教示している。
【0005】
DE69313131T2は、接触箇所またはクランプ箇所における摩耗の形成と、電気加熱による相対運動時の摩耗の強化とを伴う、クランプ式に互いに内外に挿入され、挿入方向で互いに対して運動するワークの摩耗溶接に関する。この場合、摩耗した粒子の溶接により、強化された拡散結合を伴う摩耗結合部が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改善された接合技術を提示することにある。本発明は、この課題を、方法に関する独立請求項および装置に関する独立請求項に記載の特徴によって解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許請求される接合技術、つまり摩擦電流接合方法および摩擦電流接合装置は、様々な利点を有している。
【0008】
ワークは、請求項によれば、多段階のプロセスにおいて摩擦電流接合され、このプロセスは、接近段階と、続く擦り合わせ段階と、導電加熱(konduktiv. Erwaermung)を伴う、その直後のアプセット段階とに分類することができる。
【0009】
従来の摩擦圧接時に存在する、高い押付け圧を加えながら摩擦を引き起こす相対運動と、発生した摩擦熱による、ワークの深部に及ぶ可塑化を伴う付加的な摩擦段階とが省略される。その代わりに本発明では、ワークを導電加熱により加熱し、可塑化する。これにより、本発明では、従来の摩擦圧接機に機械的に強い負荷を加えていた、摩擦を引き起こす相対運動の停止時における高いモーメントピークも省略される。
【0010】
プロセスは、先行する校正から開始することができる。この校正では、ワークを位置検出およびゼロ点校正しながら接触させ、次いで距離測定しながら再び間隔を空けられる。次いで、接近段階が開始される。摩擦電流接合プロセスでは、好適には、接合された製造部分の所望の長さを調節するために、距離制御または距離調整が行われる。
【0011】
接合すべきワークは、接近段階では、互いに面した接合面で互いに接近し、接触させられる。この接近および接触は、1つの共通のプロセス軸線または機械軸線に沿って行うことができる。接合面は、プロセス軸線に対して横方向に、特に垂直方向に位置調整されている。この軸線は、好適には横方向に配置されており、主に水平方向の方向成分を有している。
【0012】
擦り合わせ段階では、接触接続している接合面は、押付け圧を加えられながら相互の相対運動によって単に擦り合わせられて、平坦化される。相互の相対運動は、プロセス軸線に対して横方向で行われる。このプロセスでは、接合面を平滑化し、相互に適合し、全面的に当て付けることができる。これは、改善された電流の流れにとって利点を有している。擦り合わせ段階において導入される摩擦エネルギおよび熱は、接触接続している接合面の平坦化にしか役立たない。擦り合わせ段階における摩擦エネルギおよび熱は、隣り合うワーク領域を可塑化して、溶融するためには不十分である。
【0013】
押付け圧は、上述のプロセス軸線に沿って作用することができる。摩擦を引き起こす相対運動は、好適にはプロセス軸線を中心とした回転運動であり、この回転運動は、連続的に、または振動式に行うことができる。擦り合わせ段階は、接合面の接触接続により開始する。ワークの相対運動は、ワークがまだ離れているときに接触接続する前に開始することができる。擦り合わせ段階では、接合面における形状不良、斜め切断、汚れ、油汚れ等を取り除くことができる。
【0014】
ワークはそれぞれ複数の接合面を有していてよい。擦り合わせにより、接触接続する全ての接合面を相互に適合させることができ、接合面は、続く接合のために平坦かつ全面的に当接することができる。これは、導電加熱による摩擦電流接合時の全ての接合面の均一な加熱のために有利である。
【0015】
擦り合わせ段階の終了時に、ワークまたは接触接続している接合面は静止する。摩擦を引き起こす相対運動の終了は好適には永続的であり、つまり摩擦を引き起こす相対運動は、直接に続くアプセット段階において再び開始されない。
【0016】
アプセット段階では、ワークまたは接触接続している接合面を、押付け圧を加え、かつ電流により導電加熱しながら押し合わせ、可塑化し、接合する。押付け圧は、プロセス軸線に沿って作用する。電流は、好適には調整された定電流である。直流電流の使用が好適である。電流密度は、有利にはたとえば30~50A/mmであってよい。
【0017】
ワークは、導電性の材料を有している。摩擦電流接合にとって特に適していて好適であるのは、鉄含有の金属、特に鋼または鉄含有の鋳造材料である。有利な適性は、金属性のチタン材料またはニッケルベース合金でも生じる。
【0018】
アプセット段階において、軸方向の押付け圧は、擦り合わせ段階と同一の大きさであるか、または好適には僅かに高めることができる。導電加熱は、アプセット段階の開始時に即座に存在し、アプセット段階にわたって継続する。
【0019】
電圧または電流は、1つの有利な構成では、摩擦を引き起こす相対運動の終了後にようやく、特にワークが静止して接触接続し、押付け圧を加えられている場合に提供される。押付け圧下でのワークの可塑化および接合は、主にアプセット段階における導電加熱によって行われる。接合のために必要となる熱は、実質的に導電加熱によって導入される。アプセット段階中に、ワークが摩擦を引き起こす相互の相対運動を実施しないと有利である。
【0020】
特許請求された摩擦電流接合技術は、接合技術および製造された接合部分の高い再現性および品質を提供する。常に同一のエネルギ量を変換し、接合プロセスのために利用することができる。関与する接合面を通って均一な電流が流れ、これらの接合面領域を均一に加熱することは、高度かつ均一な接合品質を提供する。接触接続している接合面と、隣接しているワーク領域とは、電流の熱により可塑化される。摩擦圧接時には通常である、接合面上の腐食、粗さ、潤滑膜等による加熱の変動を回避することができる。
【0021】
ワークの公知の誘導加熱では、導電加熱による本発明に係る摩擦電流接合時と同一の品質は達成されない。誘導加熱は、非効率的でもある。
【0022】
特許請求された摩擦電流接合技術は、別の接合技術に対してより少ないワーク短縮で実施することができ、接合部分または溶接部分のための寸法設定を改善してより正確に維持することを可能にする。摩擦電流接合時に、接合部分または溶接部分の長さ調整は、より容易かつより正確に行うことができる。
【0023】
さらに、接合時のワークの位置決め、特に回転位置決めのためにより小さな力およびモーメントが必要となる。位置決めは、擦り合わせ時に容易かつ正確に調節することができ、アプセットおよび導電加熱による続く接合時にもはや変更する必要はない。完成した接合部分または溶接部分におけるワークの場合によっては生じる位置設定、たとえば回転位置を正確に維持することができる。ワークの接合ゾーンにおけるバリ形成は、回避することができるか、または少なくとも摩擦圧接時に比べて著しく減少させることができる。
【0024】
摩擦電流接合時には、ワークの導電加熱により、接合ゾーンおよび別のワーク領域における温度をより改善してコントロールし、かつ制御し、場合によっては調整することができる。温度測定と併せて、金属の摩擦電流接合プロセスを、その温度に依存する変態挙動および相挙動ならびに関連するZTUグラフを使用して最適化することができる。所望の組織形成を、意図的、確実かつ再現可能に達成することができる。
【0025】
温度は、たとえばプロセス監視の目的で、直接または間接的に、たとえば電気抵抗Rを介して検出することがでる。電気抵抗Rは、たとえば低電流密度に関連して、擦り合わせプロセスの制御または調整のために使用することができる。サイクルタイム短縮、再現性、プロセス信頼性および品質確保にとって利点が生じる。
【0026】
特許請求された摩擦電流接合技術は、先行技術におけるプロセス時間よりも短縮したプロセス時間と、より好適なエネルギ使用とで実施することができる。接合すべきワークを電流により導電加熱することにより、ワークの均一、迅速かつ正確に制御可能な昇温を行うことができる。従来の摩擦圧接とは異なり、加熱または昇温は、接合ゾーンの狭い制限された範囲内だけでなく、電流が流れる隣接する別のワーク領域においても行われる。摩擦電流接合では、加熱ゾーンが著しく拡張されている。加熱は、ワークの接合面の横断面にわたって均一に行うことができる。これにより、従来の摩擦圧接時に通常であった接合ゾーンにおける接合部分の硬化を回避するか、または少なくとも減らすことができる。
【0027】
接合すべきワークの均一な導電加熱により、摩擦電流接合プロセスのためには、アプセット段階において、従来の摩擦圧接時よりも著しく小さな押付け圧で十分である。この押付け圧は、125MPa、特に100MPaであるか、またはたとえば鋼/鋼のワーク対に関して、従来の摩擦圧接時に通常である最大250MPaに比べて低い。特許請求された摩擦電流接合時に、擦り合わせ段階および場合によってはアプセット段階における軸方向の押付け圧は、たとえば20~40MPaであってよい。押付け圧は、ワークの接触接続している接合面の面積サイズあたりの押付け力として計算される。
【0028】
より低い押付け圧およびアプセット圧は、接合ゾーンにおけるワーク材料中の繊維変向を回避するか、または減らす。このためには、減じられた押付け圧での短い擦り合わせ時間も好適である。さらに、均質な組織形成が達成可能である。接合ゾーンの領域における強度、特に疲労強度の向上および増大にとっての利点および腐食防止にとっての利点も生じる。均質な組織は、腐食しにくい。さらに、丸まったバリおよびその腐食問題を回避することができる。
【0029】
特許請求された摩擦電流接合時には、従来の摩擦圧接では存在していた、高い押付け圧を加えてワークを摩擦加熱しながらワークを相対運動させる摩擦段階が省略されている。特許請求された摩擦電流接合技術は、著しく小さな力またはモーメントにより、かつより小さなエネルギ需要で実施することができる。イナーシャ式摩擦圧接のためのフライホイールは不要である。これは、一方では、摩擦電流接合装置の寸法を従来の摩擦圧接機に比べて小さくすることを可能にするか、または機械の寸法が変わらないままで、著しく大きなワークまたはより大きな接合面の接合を可能にする。
【0030】
特許請求された摩擦電流接合技術では、小さな押付け圧を有する擦り合わせ段階が、接触接続している接合面の平坦化に役立つ。この場合に、凹凸が除去され、接触面における有効な接触領域が増大し、均一にされる。これは、接触接続している接合面における全面的かつ均一な電流の流れにとって、かつ対応してワークの均一な加熱にとって有利である。擦り合わせのためには、上述の低い押付け圧と、極めて短い擦り合わせ時間とで十分である。短い擦り合わせ時間は、たとえば1秒以下であってよい。ワーク対および素材対に応じて、擦り合わせ時間は幾らか長くなることがある。
【0031】
擦り合わせ段階において、ワークに電流を流さないと有利である。代替的には、短時間だけ、かつパルス状に電流および小さな電流密度を加えることが可能である。接合面の凹凸の先端部に電流を集中させることにより、この凹凸の除去を容易にすることができる。導入される熱エネルギは、前者の場合には極めて少ない。これは、ワークの擦り合わせおよび相対運動のために必要となる駆動エネルギを少なく維持するために有利である。接合面における凹凸は、より容易かつより迅速に平滑にすることができ、接触接続している接合面において摩擦を増大させる接着現象が回避されるか、または少なくとも著しく減少する。
【0032】
接合ゾーンにおけるワークの可塑化と、接合結合部の形成とは、特許請求された摩擦電流接合技術では、実質的に、または専らアプセット段階において、かつ電流および導電加熱の作用下で行われる。可塑化と、導電加熱とは、擦り合わせ段階における上述の平坦化により均一であり、接合面の大きさ全体にわたって行うことができる。この加熱は、接合ゾーンにおいて局所的に発生するだけではなく、隣接するワーク領域の大きな軸方向の長さに及ぶ。
【0033】
ワークの接触接続している接合面において摩擦を引き起こす相対運動は、擦り合わせ段階後に終了させることができる。これにより、通常の摩擦圧接時に通常である比較的長い摩擦段階は不要である。後続のアプセットの段階は、摩擦を引き起こす相対運動の終了時に、または終了後に行うことができる。好適には、アプセット段階のさらなる経過中にも、ワークの摩擦を引き起こす相対運動は排除される。
【0034】
ワークに電流を流してワークを導電加熱することは、特にアプセット段階中に行われる。電圧または電流の流れを加えることは、擦り合わせ段階または摩擦を引き起こす相対運動の終了時または終了後に行うことができる。電流は、アプセット段階の終了時にオフにすることができ、同時に押付け圧も解消される。電流停止は、アプセット段階および押付け圧の終了前に行うこともできる。
【0035】
ワークは、擦り合わせ段階において、接触接続している接合面において互いに対して連続的に回転式および/または振動式に運動させることができる。回転運動は、接合面の平坦化および正確かつ定義可能な適合のために特に有利である。振動式の相対運動は、代替的または付加的に、並進的であってよい。さらに、接近運動および押付けならびにアプセット力が、摩擦電流接合装置のアプセット軸線または機械軸線に沿って行われると有利である。プロセス軸線は、アプセット軸線であってよい。
【0036】
電源と、接合すべきワークまたは接合すべきワークに結合された装置部分、特にワーク収容部への電流供給部とは、任意の適切な形式で構成されていてよい。アプセット段階におけるワークの導電加熱のための電流供給(Stromaufschaltung)は、ワークまたはワーク収容部の静止位置において行うことができる。この電流供給は、擦り合わせ段階においても、たとえば速度が低い場合に行うことができる。
【0037】
好適には回転しているワーク収容部のためには、たとえばジョーの形態の静止状態において送り可能な電極、または永久的な電気摺動接点、たとえばブラシが有利である。他方のワーク収容部は、電流供給部に永続的に導電接続されていてよい。電流供給部は、軸方向のワークの送りを補償するために、弾性的な線路を備えているか、または別の方法で追従可能に構成されていてよい。
【0038】
プログラム可能かつ制御および調整可能な電源が有利である。プログラム制御された電気的なプロセス電流を正確に維持するための定電流調整を有する直流電流用電源が特に有利である。
【0039】
さらに、電源または通電する部分のために中周波技術の構成要素が使用されていると有利である。たとえば1,000Hzを有するこのような中周波技術は、標準化されており、廉価である。また、労働安全性および電磁両立性、いわゆるEMCに関する利点も生じる。
【0040】
通電箇所、特に電極における電圧は低くてもよい。電圧は、たとえば5~30Vの範囲の直流電流であってよい。これは、事故防止および安全性の理由から有利である。
【0041】
摩擦電流接合装置および場合によってはワークにおいて生じる可能性のある磁化に対して、消磁装置が設けられていてよい。消磁装置は、様々な形式で構成されていてよく、かつ様々な形式で作用することができる。消磁装置は、たとえば、直流電流による導電加熱時に、逆の極性を有する、場合によってはパルス化された消磁電流を発生させることができる。消磁電流は、加熱電流よりも小さな電流強度を有しているが、この電流強度は、磁化された材料の保磁力を達成するために十分である。たとえば、1つまたは僅かな電流パルスによる消磁は、アプセット段階中に行うことができる。
【0042】
特許請求された摩擦電流接合技術に加え、必要に応じて、ワークを接合後に電気的に後加熱することも可能である。後加熱は、同様に導電加熱によって、代替的または付加的には誘導加熱によっても行うことができる。接合前の電気的な予加熱も同様に可能であるが、あまり望ましくない。
【0043】
特許請求された摩擦電流接合技術の特別な利点は、均質性と、均一な電流の流れと、導電加熱時に電流を流される接合面の均一な加熱とに関する。面積または直径にわたって均一な加熱は、強度および硬度の対応した均一性をもたらす。別の利点は、特に有利に摩擦電流接合することができる複数の接合面を備えたワークに関する。回転式の摩擦圧接では、加熱は運動に応じて不均一である。この不均一性は、内側の領域におけるよりも外側のワーク縁部において大きい。
【0044】
さらに、同一の導電性の材料または互いに異なる導電性の材料から成るワークを、有利な形式で摩擦電流接合することができる。これは、たとえば、様々な金属または別の同一もしくは互いに異なる材料の組み合わせ、たとえば、鋼と鉄含有の鋳造材料との組み合わせであってよい。導電加熱により、従来の摩擦圧接技術に比べて、多くのプロセス時間およびワーク材料が節減される。さらに、組織特性を著しく改善することができる。特別な利点は、接合面において種々異なる厚さを有するワーク、および特に比較的薄肉のパイプの摩擦電流接合時に生じる。
【0045】
特許請求された摩擦電流接合技術の別の利点は、接合ゾーンからの軸方向の熱放出の減少である。従来の摩擦圧接では、軸方向の温度勾配および熱放出が大きい。均一な導電加熱により、摩擦電流接合時に温度勾配および熱放出を著しく減らすことができる。特に金属製のワークの、強い温度勾配に伴う不都合な組織変化を、摩擦電流接合時には回避することができるか、または少なくとも著しく減らすことができる。
【0046】
摩擦電流接合では、均一な導電加熱により、ワークおよび形成された接合部分に十分に熱が導入され、これは安定的かつ制御可能な、かつ場合によっては特殊な材料要求、特に組織設定に適合可能な接合プロセスにとって有利である。さらに、接合ゾーンにおいて場合によっては生じるバリをより容易に、かつ品質的に改善して取り除くことができる。
【0047】
特許請求された摩擦電流接合技術により、難しいワーク材料、特にクロム含有および/またはマンガン含有の鋼等を、これらの材料が通常は溶接不能であるか、または溶接することが極めて困難である場合でさえも、確実かつ信頼性よく接合することができる。これは、特に、たとえば102Cr6などのクロム含有の鋼にとって云える。別のクリティカルな材料、たとえば、脆い材料、特に低温脆性の焼結材料あるいは鋳造材料ならびに熱的挙動の点で不均一かつ問題となる材料の組み合わせも同様に良好かつ高品質で摩擦電流接合することができる。軽金属同士も同様に摩擦電流接合される。
【0048】
別の特別な利点は、接合ゾーンにおける材料組織中の硬化の上述の回避または低減である。特許請求された摩擦電流接合により、接合部分において粘塑性かつ延性のある接合および結合領域が達成される。従来の摩擦圧接時の通常の脆化および延性損失とは異なり、クロム含有の鋼のようなクリティカルな材料でさえ、接合領域において曲げ弾性特性を示す。さらに、摩擦電流接合時の接合領域における材料組織が均一化により、内部のノッチ応力およびこの応力の結果生じる腐食敏感性が、回避されるか、または少なくとも著しく減少する。
【0049】
従属請求項には本発明の別の有利な実施形態が記載されている。
【0050】
本発明は図面において例示的かつ概略的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】摩擦電流接合装置を概略的に示す側面図である。
図2】2つのワークにおける接合プロセスの経過を1つのステップで示す図である。
図3】2つのワークにおける接合プロセスの経過を別の1つのステップで示す図である。
図4】2つのワークにおける接合プロセスの経過を別の1つのステップで示す図である。
図5】2つのワークにおける接合プロセスの経過を別の1つのステップで示す図である。
図6】押付け圧、相対的な運動速度および電流の経過を時間軸上に示す概略的なグラフである。
図7】電流供給部および電流供給部の部分を1つの視点で示す図である。
図8】電流供給部および電流供給部の部分を別の1つの視点で示す図である。
図9】電流供給部および電流供給部の部分を別の1つの視点で示す図である。
図10】電流供給部および電流供給部の部分を別の1つの視点で示す図である。
図11】1つのバリエーションの消磁装置を示す図である。
図12】別のバリエーションの消磁装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、2つ以上のワーク(2,3)を摩擦電流接合する摩擦電流接合方法および摩擦電流接合装置(1)に関する。本発明はさらに、特許請求された方法によってワーク(2,3)から製造された接合部分(6)に関する。
【0053】
ワーク(2,3)は、同一または互いに異なる導電性の材料から成っていてよい。ワーク(2,3)は、特に同一または互いに異なる金属から形成されていてよい。この金属は、たとえば鉄含有の鋼または鋳造材料、チタンまたはニッケルベースの合金等であってよい。特に、1つ以上のワーク(2,3)が、溶接においてクリティカルであるクロム含有かつ場合によってはマンガン含有の鋼、たとえば102Cr6から成っていてよい。
【0054】
ワーク(2,3)は、互いに異なって成形可能な形状および特に横断面形状を有していてよい。ワーク(2,3)は、中空体、特にパイプとして、または中実材料から形成されていてよい。ワーク(2,3)は、互いに面した接合面(4,5)、特に端面を有しており、これらの接合面(4,5)において、接合結合部が製造される。各ワーク(2,3)において、1つ以上の接合面(4,5)が配置されていてよい。細長いワーク形状が有利である。
【0055】
示された実施例では、2つのワーク(2,3)が互いに摩擦電流接合される。摩擦電流接合のために使用される摩擦電流接合装置(1)は、たとえば、いわゆるシングルヘッド機として構成されていてよい。代替的には、3つ以上のワーク(2,3)を1つのチャックにおいて同時にまたは相前後して接合することが可能である。このために、たとえばいわゆるダブルヘッド機または2つのシングルヘッド機を使用することもできる。図1では、ワーク(2,3)は、既に接合された状態で接合部分(6)として図示されている。
【0056】
図1に示した摩擦電流接合装置(1)は、摩擦装置(7)およびアプセット装置(8)ならびに機械フレーム(9)および電源(16)を有している。機械フレーム(9)は、たとえば機械ベッドとして形成されており、この機械ベッド上に、摩擦装置(7)とアプセット装置(8)とが配置されている。電源(16)は、機械フレーム(9)、特に機械ベッド内に、または機械ベッドに格納されていてよい。
【0057】
摩擦装置(7)によって、接合すべきワーク(2,3)を、以下に説明する方法で、押付け圧を加えながら、かつ摩擦接触させながら互いに対して運動させることができる。アプセット装置(8)により、ワーク(2,3)の相互の送りおよび接触接続を行うことができる。さらに、摩擦電流接合のために使用される押付け圧を、接触接続しているワーク(2,3)に加えることができる。上述の送りと、押付け力または押付け圧を加えることとは、好適には横方向、特に水平方向の軸線(10)に沿って行うことができる。この軸線(10)は、いわゆる機械軸線またはプロセス軸線あるいは接合軸線またはアプセット軸線であってよい。接合面(4,5)は、図示された実施例では、軸線(10)に対して垂直方向に位置調整されている。
【0058】
摩擦電流接合装置(1)は、それぞれ1つ以上の接合すべきワーク(2,3)を収容するためのワーク収容部(14,15)を有している。ワーク収容部(14,15)は、たとえば手動で、または機械的に操作または作動されるチャックとして構成されている。これは、特にいわゆるセンタチャックであってよい。
【0059】
アプセット装置(8)は、接合すべきワーク(2,3)を、図2に示されている、当初は間隔を空けている装填位置を起点として、接合面(4,5)において相互に接触させ、制御可能かつ好適には調整可能な押付け力(F)を形成する。この押付け力は、たとえば軸線(10)の方向で作用する。押付け力(F)の高さは、接合面(4,5)の面積サイズおよび接合面(4,5)に作用する押付け圧に応じて調整することができる。押付け圧は、本実施形態では約25MPaである。
【0060】
摩擦装置(7)により、接触しているワーク(2,3)を互いに対して運動させ、特に回転させる。
【0061】
相対運動時には、接合すべきワーク(2,3)の1つまたは複数を運動させる。図示の実施例では、左側のワーク(2)を、右側のワーク(3)に対して運動させる。ワーク(2)のためのワーク収容部(14)は可動であり、ワーク(3)のための別のワーク収容部(15)は固定的である。相対運動は、好適には中心軸線(10)を中心とした回転運動である。この中心軸線(10)は、たとえばワーク(2,3)の中心の長手方向軸線でもある。回転運動は、回転式または反転式もしくは振動式であってよい。この相対運動は、接触接続前に、または接触接続時に開始することができる。相対運動は、軸線(10)に対して横方向にも行うことができる。上述の横方向の位置調整は、直角および斜めの位置調整を含んでいる。
【0062】
摩擦装置(7)は、対応配置されたワーク収容部(14)のための駆動装置(12)を備えた機械ヘッド(11)を有している。この駆動装置(12)は、回転式の相対運動ではスピンドル駆動装置であってよく、このスピンドル駆動装置によって、ワーク収容部に相対回動不能に結合されたスピンドルが軸線(10)を中心として回転式に駆動される。機械ヘッド(11)は、機械フレーム(9)に固定的に、または可動に配置されていてよい。機械ヘッド(11)は、特に軸線(10)に沿って移動可能または走行可能に、かつ必要に応じてロック可能に機械フレーム(9)に支承されていてよい。
【0063】
別のワーク収容部(15)は対向ホルダ(13)に配置されており、対向ホルダ(13)は、同様に固定的に、または可動に、特に軸線(10)に沿って走行可能に、かつ必要に応じてロック可能に機械フレーム(9)に配置されていてよい。対向ホルダ(13)は、たとえばクランプ装置または差込み装置を備えたキャリッジとして構成されていてよい。
【0064】
示された実施例では、対向ホルダ(13)は、アプセット装置(8)により機械ヘッド(11)に向かって、かつ機械ヘッド(11)に保持されたワーク(2)に向かって送られる。この送りは、矢印によって表された線形の送り運動である。アプセット装置(8)は、この目的のためにアプセット駆動装置(19)を有している。アプセット駆動装置(19)は、たとえば図示の実施形態では、流体式、好適には液圧式のシリンダ、または電動モータもしくは液圧モータを備えたモータ式の駆動装置であってよい。アプセット駆動装置は、示された構成では押圧力(F)を発揮し、出力要素(20)、たとえばピストンロッドによりワーク収容部(15)ならびに対向ホルダ(13)を機械ヘッド(11)に向かって移動させる。アプセット駆動装置(19)は、この目的のために、少なくとも送り機能時に固定的に機械フレーム(9)に配置され、支持されている。アプセット力およびアプセット圧ならびに送りは、軸線(10)に沿って作用する。
【0065】
図示しない別の1つの実施形態では、アプセット駆動装置が機械ヘッド(12)に配置されていてよい。アプセット駆動装置は、たとえば引張力を発揮し、対向ホルダ(13)を軸線(10)に沿って機械ヘッド(11)に向かって引っ張ることができる。
【0066】
電源(16)が、ワーク(2,3)に電流接続部(17,18)を介して導電接続されている。電流接続部(17,18)は、任意の適切な形式で構成されていてよい。電流接続部(17,18)は、ワーク(2,3)に直接に、またはたとえばワーク収容部(14,15)を介して間接的に導電接続されているか、または導電接続されてよい。
【0067】
一方の電流接続部(18)は、たとえば対向ホルダ(13)の、導電性の、特に金属製のワーク収容部(15)に配置されている。この電流接続部(18)は、たとえば回動不能に配置されており、アプセット駆動装置(19)によって軸方向に運動させられる。他方の電流接続部(17)は、たとえば機械ヘッド(11)の、運動させられる同様に導電性の、特に金属製のワーク収容部(14)に配置されている。
【0068】
電流接続部(17,18)は、それぞれ1つ以上の電極(28,28’,29,29’)を有していてよい。これらの電極(28,28’,29,29’)は、互いに異なって構成されていてよい。運動させられるワーク収容部(14)に設けられた電流接続部(17)は、たとえばスリップリング伝達器等の形態の複数の電極(28)を有していてよい。これらの電極(28)は、軸線(10)を中心として回転し、かつ少なくとも部分的に円形であるワーク収容部(14)の周面に配置されている。電極(28)またはスリップリング伝達器は、電源(16)に、1つ以上の線路(30)を介して接続されており、かつワーク収容部(14)にスリップリング、ブラシ等を介して導電接続されている。
【0069】
対向ホルダ(13)のワーク収容部(15)に設けられた電流接続部(18)は、ワーク収容部(15)の、場合によっては可動の緊締要素に導電接続されていてよい。緊締要素は、たとえば電極(29)を形成することができる。電流接続部(18)は、1つ以上の線路(32)を介して電源(16)に接続されている。
【0070】
電源(16)は、任意の適切な形式で構成されていてよい。電源(16)は、プログラム可能な制御装置(24)を有している。電源(16)は、入力側で給電部、特にローカルな交流電流網に接続することができる。電源(16)は、出力側では電流接続部(17,18)を介してワーク(2,3)に電流、好適には直流電流を供給する。接触接続しているワーク(2,3)は、電流により軸線(10)の方向で通流され、導電加熱する。
【0071】
電源(16)は、プログラム可能かつ制御可能、好適には調整可能な電源、特に直流電源として構成されている。電源(16)は、制御されて供給される電流を一定に維持することができる定電流レギュレータを有している。電源(16)は、1つ以上の電流プログラムを介して制御することができる。電源は、たとえば約10Vの低い電圧で動作する。たとえば電源(16)は、たとえば1,000Hzの中周波技術で動作する。供給される電流は、100kA以上であってよい。供給電流は、接合面(4,5)の面積サイズに応じて調整される。電流密度は、たとえば、25~35A/mm以下であってよい。
【0072】
電源(16)は、制御可能または調整可能な1つ以上の電気変換器(26)を有していてよく、電気変換器(26)はたとえば、たとえば1,000Hzの周波数で好適には一定である交流電流を供給する。電源(16)は、場合によってはワーク(2,3)の近傍に配置することができる、1つ以上の電気変圧器(27)ならびにたとえば統合された整流器をさらに有していてよい。図1および図7は、この配置を示している。
【0073】
摩擦電流接合装置(1)は、1つ以上のワーク(2,3)または別の箇所における接合プロセスにおいて物理的なパラメータを検出するために検出装置(25)を有していてよい。検出装置(25)は、1つ以上の物理的なパラメータのための1つ以上のセンサを含んでいてよい。図示の実施形態では、検出装置(25)は、温度を、たとえば一方または両方のワーク(2,3)において直接に接合プロセス中に検出する。
【0074】
代替的または付加的に、電圧Uおよび電流強度Iをプロセス中に検出し、検出された電圧Uおよび電流強度Iに基づいて電気抵抗Rをプロセスパラメータとして導き出すことができる。また、抵抗Rは別の方法でも検出することができる。電気抵抗Rは、平均温度または与えられた熱量を直接に推論させる。これは、インプロセスのモニタリングのために使用することができる。他方では、擦り合わせ時に低い電流密度によって抵抗Rを発生させ、これにより擦り合わせの期間または終了を自動的に制御することができる。
【0075】
金属製のワークでは、材料の変態および相挙動ならびに組織形成は、温度の高さおよび場合によっては温度変化、特に冷却速度に依存する。導電熱によって生じる、接合すべきワークの昇温および特に冷却ならびに所望の位相および組織形成を、検出された温度と、温度の高さおよび経時的な変化を介して、目的に合わせて正確に制御し、必要に応じて調整することができる。温度検出のためのセンサ機器は、たとえば赤外線センサや熱画像カメラ等として、任意の適切な形式で構成されていてよい。
【0076】
単に概略的に図示された検出装置(25)は、1つ以上の別のセンサを有していてよい。これらのセンサは、たとえば、摩擦電流接合時のワーク短縮、対向ホルダ(13)等の距離を検出するための距離計であってよい。別のセンサは、たとえば、接合すべきワーク(2,3)の表面特性、ワーク(2,3)における加熱領域(22)の位置およびサイズ、接合面(4,5)への圧力、ワーク変形、特に接合ゾーン(21)におけるバリ(23)の形成等を検出することができる。
【0077】
図2から図5は、摩擦電流接合プロセスの例示的な経過を複数のステップで示している。図6には、簡単なグラフ内に、摩擦電流接合プロセス時に発生する、押付け圧(p)、電流(I)および相対運動の速度(v)、特に回転しているワーク収容部(14)の回転速度または回転数の経過が、時間(t)軸上に記載されている。さらに、接近段階(a)、擦り合わせ段階(b)およびアプセット段階(c)が示されている。段階移行は、IおよびIIで、かつアプセット段階(c)の終了がIIIで示されている。
【0078】
(p),(I)および(v)のために示したグラフは変化し得る。特に、電流(I)の大きさおよび経過は、ワーク(2,3)における温度および組織形成を意図的に制御し、場合によっては調整するために、変更することができる。これは、たとえば電流プログラムにより行うことができる。
【0079】
図2は、ワーク(2,3)がそれぞれのワーク収容部(14,15)内に導入されており、軸線(10)の方向で互いに間隔を空けている出発位置または装填位置を示している。次いで、ワーク(2,3)を、端面側の接合面(4,5)において接触させる。ワーク(3)は、アプセット装置(8)により軸線(10)に沿って送られ、ワーク接触時に押付け圧(F)が加えられる。図2には、いわゆる接近段階(a)が図示されている。接近段階の前に、冒頭で述べた校正段階を行うことができる。送り運動時に、距離測定が行われる。摩擦電流接合プロセスは、送りの距離制御または距離調整によって、かつこれに基づいて、ワーク短縮の長さ調整によって作動させることができる。
【0080】
この接触位置において、矢印により示される回転式の摩擦を引き起こす相対運動が開始される。図3は、この擦り合わせ段階(b)および擦り合わせ段階(b)の開始Iを示している。
【0081】
ワーク(2)は、スピンドル駆動装置(12)によって、固定された、または静止したワーク(3)に対して、軸線(10)を中心として回転させられる。その際に、図6に示すような当初は低い軸線方向の押付け圧(p)が作用する。回転運動は、ワーク(2,3)が接触している場合に、またはワークの接触前に開始することができる。
【0082】
図6は、先行する開始を示している。
【0083】
擦り合わせ段階(b)において、電源(16)は、たとえばスイッチオフされる。擦り合わせ時に、端面側の接合面(4,5)が摩擦接触において平坦化され、凹凸が除去され、接合面(4,5)が平坦にされ、互いに適合する。
【0084】
擦り合わせ段階(b)の期間は、極めて短い。この期間は、たとえば1秒以下である。擦り合わせ段階(b)では、接合面(4,5)が互いに接触接続する接合ゾーン(21)において僅かな熱が生じる。破線で示された加熱領域(22)は、軸線方向で見ると小さい。
【0085】
図6は、電源(16)がオンにされており、1つまたは複数の短時間の電流パルスを放出する擦り合わせ段階(b)におけるバリエーションを示している。このような電流パルスは、図6では破線で図示されている。
【0086】
図4および図5は、直接に続くアプセット段階(c)を示している。擦り合わせ段階(b)の終了時に、図4に示すように、ワーク(2,3)の相対運動が終了する。これは、破線の運動矢印によって示されている。ワーク(2,3)は、たとえば図5に示すように、アプセット段階(c)のさらなる経過時に、擦り合わせ段階(b)の終了時に占めている相対位置に留まっている。この位置固定された相対位置において、ワーク(2,3)は定義された回転位置で互いに対して位置決めされていてよい。
【0087】
制動段階中、または依然として接触接続しているワーク(2,3)の静止状態から、または静止状態後に、押付け力(F)と、接合面(4,5)に作用する押付け圧とは、同一のままであるか、または増大させられる。図6は、この挙動をIIの箇所または時点で示している。
【0088】
擦り合わせ段階(b)では、図6に示した押付け圧(p)は低く、たとえば約25MPaであった。アプセット段階(c)では、押付け圧(p)は実質的にこの値のままにされる。代替的には、押付け圧(p)は、前述の125MPa、または好適には100MPa、あるいはそれより少なく高めることができる。
【0089】
押付け圧(p)は、アプセット段階(c)中に一定に維持することができる。代替的に、押付け圧(p)は変化することができ、たとえば斜面状または段階状に増減するか、または一定または可変の平均値だけ増大することもできる。アプセット段階(c)は、擦り合わせ段階(b)よりも長く継続する。この期間は、たとえば1~4秒であってよい。
【0090】
図5は、アプセット段階(c)の最終期を示しており、このアプセット段階(c)では、ワーク(2,3)が接合されており、結合された接合部分(6)が形成され、この接合部分(6)は、接合ゾーン(21)において場合によっては環状のバリ(23)を有していてよい。さらに、図4および図5は、導電加熱時の加熱領域(22)の軸方向の増大および拡張を示している。
【0091】
アプセット段階(c)の開始II時に、図6において実線で示した電流(I)が、たとえばスイッチオンされて、導電加熱を引き起こす。擦り合わせ段階(b)における先行する電流パルスを有するバリエーションでは、電流(I)を、同様にアプセット段階(c)の開始II時に著しく高めることができる。
【0092】
電流(I)のスイッチオンは、たとえば相対運動の制動段階において、速度(v)が低下した場合または接触接続しているワーク(2,3)の静止状態で行うことができる。電流(I)は、静止状態で即座に、または場合によっては調節可能な時間遅延を伴ってスイッチオンすることができる。
【0093】
電流(I)は、アプセット段階(c)中、スイッチオンされたままである。電流(I)は、図6に示したアプセット段階(c)中、一定であってよい。代替的には、電流(I)は、変化することができる。変化は、斜面状や段階状に増減するか、または一定もしくは可変の平均値だけ増すように行われてよい。押付け圧(p)および電流(I)の経過の場合によっては生じる変化は、互いに適合することができる。
【0094】
電流(I)および場合によっては押付け圧(p)の経過における変化は、制御装置によって、検出装置(25)の信号または検出値に依存して制御し、場合によっては調整することができる。これにより、たとえば所望の組織形成を達成するために、たとえば導電加熱を材料、特に金属の変態挙動および相挙動に適合させることができる。
【0095】
押付け圧下におけるワーク(2,3)の可塑化を引き起こす加熱および接合は、完全に、または大部分がアプセット段階(c)における導電加熱によって生じる。
【0096】
アプセット段階(c)の終了III時に、アプセット装置(8)と電源(16)とがスイッチオフされる。電流(I)は、押付け圧(p)と同時に、または押付け圧より少し前にオフにすることができる。電流(I)は、アプセット段階(c)の期間の少なくとも大部分にわたってスイッチオンされたままである。アプセット段階(c)の期間は、押付け圧(p)の期間によって規定される。
【0097】
図5に示したアプセット段階(c)において接合されたワーク(2,3)または接合部分(6)は、ワーク収容部(14,15)の開放後に取り外すことができる。次いで、ワーク収容部(14)を、新たな装填のために、図2に示した出発位置または装填位置へと戻すことができる。
【0098】
上述の摩擦電流接合プロセスは、終了時および/または開始時に拡張することができる。開始時に、まだ接合されていないワーク(2,3)の電気的な予加熱を先行させることができる。この予加熱は、導電によって、または誘導によって行うことができる。
【0099】
終了時には、電気的な後加熱プロセスを後続させることができる。後加熱は、同様に導電によって、または誘導によって行うことができる。これに関して、図6のグラフには、電流(I)の延長されたスイッチオン期間が破線で示されている。
【0100】
図7は、図1に示した摩擦電流接合装置(1)に対する構造的な実施例を示している。摩擦電流接合装置(1)は、摩擦装置(7)、アプセット装置(8)、機械フレーム(9)および制御可能かつ場合によっては調整可能な電源(16)ならびに電流接続部(17,18)およびワーク収容部(14,15)内に保持されたワーク(2,3)に、導電加熱のために電流を流す電流供給部を備えている。図8には、電流接続部(17,18)および電流供給部が分離して図示されている。
【0101】
さらに図7は、消磁装置(32)を示しており、この消磁装置(32)により、摩擦電流接合装置(1)の電流を流された構成要素および場合によってはワーク(2,3)、特に接合部分(6)を消磁することができる。
【0102】
図7には、電源(16)が概略的に示されている。溶接電源(16)の変換器(26)は図示されていない。図7は、線路(30,31)を介して接続箇所(17,18)に接続されている変圧器(27)の配置を示している。変圧器(27)は、ワーク(2,3)の近傍に、かつたとえば上側に配置されている。変圧器(27)は、たとえばキャリッジ状の作動装置に接続することができ、必要に応じて取り外すことができる。
【0103】
変圧器(27)は、電流接続部(17,18)に上述の線路(30,31)を介して接続されている。線路(30,31)は、剛性または可撓性に構成されていてよい。変圧器(27)から電流接続部(18)への線路(31)は、たとえば可動であり、かつプロセス軸線または機械軸線(10)に沿った対向ホルダ(13)およびそのワーク収容部(15)との軸方向のアプセット運動に追従することができる。この線路(31)は、たとえば、円弧状に敷設され、冷却ジャケット内に取り囲まれた複数のフレキシブルな電源ケーブルの束として形成されている。変圧器(27)から電流接続部(17)へとガイドされる線路(30)は、剛性であり、たとえばバスバーの形態で構成されていてよい。この線路(30)は、代替的または付加的には可撓性であり、前述の種類の電力ケーブルの形態で構成されていてよい。
【0104】
図7では、電流接続部(17)と、機械ヘッド(11)に対応配置された運動されるワーク収容部(14)とに設けられた電極(28,28’)の2つのバリエーションが図面に図示されている。実際には、通常は単に1つのバリエーションが使用される。図8は、これらのバリエーションのうちの1つを分離した図に示している。
【0105】
図7は、一方ではスリップリング伝達器またはブラシ伝達器としての1つ以上の電極(28)の構成を示している。電極(28)は、必要に応じて、回転しているワーク収容部(14)に電流を伝達することができる。好適には複数の電極(28)が、ワーク収容部(14)の円筒状の周面に外側で分配されて配置されており、その外周面に接触接続している。ワーク収容部(14)内には、可撓性の線路片が存在していてよく、この線路片は、たとえば半径方向に可動の緊締ジョーに対する接続を形成する。電極(28)は、ワーク収容部(14)に設置するために運動可能であってよい。
【0106】
さらに図7および図8は、1つ以上の、好適には2つの電極(28’)を備えた電極バリエーションを示しており、これらの電極(28’)は、ワーク収容部(14)内に保持されたワーク(2)に直接に、好適にはワーク収容部(14)が静止した状態で送られ、導電式に接触させることができる。これらのジョー形の電極(28’)は、ワーク収容部(14)の前に配置されている。電極(28’)は、可撓性の線路(30)を介して変圧器(27)に接続されている。
【0107】
図9は、別の可能な電極バリエーションを示している。この場合、電極(28’)は、軸線方向で運動可能なジョーとして形成されており、ジョーは、作動装置(図示せず)を介して、プロセス軸線(10)の方向で軸方向にワーク収容部(14)に当接し、導電式に接触させることができる。この当接は、たとえば、軸線方向で前方から、または代替的には浮動式の送りで前後から行うことができる。
【0108】
電極またはジョー(28’)は、たとえば、エッジを形成されたリング区分として構成されており、ワーク収容部(14)の外側の端面側縁部および隣接する周方向領域に接触させることができる。この電極形状は、特にワーク収容部(14)およびワーク(2)の静止状態での通電に適している。
【0109】
図7および図8は、対向ホルダ(13)のワーク収容部(15)に設けられた電流接続部(18)を示している。ワーク収容部(15)は、たとえば、ワーク(3)に向かって送り可能である可動な複数の、特に2つのクランプジョーを含んでいる。クランプジョーは、電極(29)を形成し、可撓性の線路(31)に接続されている。
【0110】
これに対して、図10は、電流接続部(18)がワーク(3)に配置されており、ワーク(3)が、対向ホルダ(13)に設けられたワーク収容部(15)によって保持される、1つのバリエーションを示している。このために、ジョー形の1つ以上の、特に2つの電極(29’)が設けられており、これらの電極は、固有の作動駆動装置によりでワーク(3)に向かって送られ、導電式に接触させることができる。電極(29’)は、好適には可撓性の線路(31)を介して変圧器(27)に接続されている。
【0111】
消磁装置(32)は、様々な形式で構成されていてよい。直流電流による、接触接続しているワーク(2,3)の導電加熱の場合、逆極性を有する消磁電流を発生させる消磁装置(32)の電気的な構成が推奨される。消磁電流の電流強度は、負荷される部分を消磁するために必要となる保磁力を達成するために十分である。消磁電流は、1つまたは複数の電流パルスの形態で供給することができる。消磁は、アプセット段階(c)中、特にアプセット段階(c)の終了時に行うことができる。
【0112】
図11および図12は、このような電気的な消磁装置(32)の例示的な回路図である。
【0113】
図11に示すバリエーションでは、消磁装置(32)は、固有の変換器(33)と、固有の変圧器(34)とを有しており、変換器(33)および変圧器(34)は、線路を介して電流接続部(17,18)に接続され、直流電流を供給する。消磁装置(32)の極性は、変換器(26)および対応配置された変圧器(27)により引き起こされる導電加熱電流の極性とは逆である。電流接続部(17,18)は、ワークまたは接合部分(6)および/またはワーク収容部(14,15)に位置していてよい。変換器(33)は、電気網に接続されていてよい。変換器(33)は、独立して制御または調整されてよい。調整は、たとえば検出装置(図示せず)により可能であり、検出装置は、摩擦電流接合装置(1)の該当する構成要素および場合によってはワーク(2,3)または接合部分(6)の磁化度を検出する。
【0114】
図12は、唯一の変換器(26)しか必要としない別の実施形態を示しており、消磁装置(32)は、固有の変圧器(34)と、たとえば一次側の転換器(35)とを有している。転換器(35)を介して、変換器(26)が、導電加熱のために、変圧器(27)および電流接続部(17,18)に接続される。消磁のためには、転換器(35)が切り替わり、変換器(26)と、別の変圧器(34)および電流接続部(17,18)との、逆の極性を有する電気的な接続を確立する。
【0115】
図示しないバリエーションでは、転換器(35)が二次側に配置されていてよい。この場合、導電加熱のために設けられた変換器(26)と変圧器(27)で十分であり、二次側の転換器は、変圧器(27)と電流接続部(17,18)との間に配置されている。消磁のために、転換器は、接合部分(6)に伝達される直流電流の極性を転換する。
【0116】
さらに、図11および図12は、概略図において、統合された整流器を備えた変圧器(27,34)の例示的な構成を示している。整流器は、代替的には異なって構成され、配置されていてよい。
【0117】
別の図示しない構成バリエーションでは、消磁は、機械運動、特に振動によって、または熱処理によって、あるいは交流電流によって、または様々な方法の組み合わせによっても行うことができる。さらに、永久磁石の磁界等を一時的に加えるような、別の可能性も与えられている。
【0118】
図示されかつ説明された実施例の変更は、様々な方法で可能である。様々な実施例および挙げられたバリエーションの特徴は、互いに組み合わせることができ、特に交換することもできる。
【符号の説明】
【0119】
1 摩擦電流接合装置
2 ワーク
3 ワーク
4 接合面、端面
5 接合面、端面
6 接合部分、接合された部分、製造部分
7 摩擦装置
8 アプセット装置
9 機械フレーム
10 プロセス軸線、機械軸線
11 機械ヘッド
12 駆動装置、スピンドル駆動装置
13 対向ホルダ
14 ワーク収容部、チャック
15 ワーク収容部、チャック
16 電源
17 電流接続部
18 電流接続部
19 アプセット駆動装置、シリンダ
20 出力要素、ピストンロッド
21 接合ゾーン
22 加熱領域
23 バリ
24 制御装置
25 検出装置
26 変換器
27 変圧器
28 電極、スリップリング
28’ 電極、ジョー
29 電極
29’ 電極、ジョー
30 線路
31 線路
32 消磁装置
33 変換器
34 変圧器
35 転換器
p 押付け圧
v 速度
I 電流
a 接近段階
b 擦り合わせ段階
c アプセット段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】