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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】マルチ導体ロータリーコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20220622BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563655
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020030972
(87)【国際公開番号】W WO2020227074
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/842,841
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521466655
【氏名又は名称】ランパート プロダクツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RAMPART PRODUCTS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】カーター,ショーン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ジュポン,ミカエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベショーリー,エドワード ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB03
5E223AB17
5E223AB20
5E223AB72
5E223AC05
5E223BA12
5E223CA13
5E223GA06
5E223GA07
5E223GA18
5E223GA63
(57)【要約】
電気コネクタは、レセプタクルに接続するように配置され設計されたプラグを備える。プラグは、電気絶縁本体と、導電リングと、プラグ導電リングに接続された導電性部材とを含む。レセプタクルは電気絶縁性本体と、軸方向の内孔と半径方向内向きを向く環状溝とを有する導体リングと、レセプタクル導体リングに接続された導電性部材と、略環状の外形を有する導電性接点とを含み、前記環状溝内に受け入れられかつ接触する前記導電性接点の少なくとも一部と、前記環状溝内に受け入れられない前記導電性接点の少なくとも一部とを有する。プラグをレセプタクルが挿入され、プラグ及びレセプタクル導体リングが実質的に半径方向に並ぶと、導電性接触は弾性変形し、プラグ導体リングとレセプタクル導体リングとの間に電気的接触を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクル(40)に接続するように配置され設計されたプラグ(20)を含む電気コネクタ(10)であって、
前記プラグ(20)が、
プラグ絶縁本体(22);
外径を有するプラグ導体リング(30);及び
前記プラグ絶縁本体(22)内で前記プラグ導体リング(30)に接続されるとともに、前記プラグ絶縁本体(22)の端部から出ているプラグ導電性部材(W);を含み、
前記レセプタクル(40)が、
レセプタクル絶縁本体(42);
軸方向の内孔(50b)を有するレセプタクル導体リング(50);
前記レセプタクル導体リング(50)に接続され、前記レセプタクル絶縁本体(42)の端部から出ているレセプタクル導電性部材(W);及び
前記レセプタクル導体リング(50)に接触する導電性接点(100)であって、略環状の多角形形状の外形を有し、複数の丸みを帯びた角部(102c)によって接合された、軸方向の開口部を規定する複数の実質的に直線状のセグメント(102)を備えた導電性接点(100)であって、弛緩位置と弾性変形位置とを有する導電性接点(100);を含み、
前記弛緩位置では、前記導電性接点(100)は、前記プラグ導体リング(30)の外径よりも小さい弛緩した内接直径(102d)を有するものであり、
前記弾性変形位置では、前記導電性接点(100)は、前記プラグ導体リング(30)によって前記軸方向の内孔(50b)内で弾性変形され、前記プラグ導体リング(30)が前記導電性接点(100)に接触して、前記プラグ導体リング(30)と前記レセプタクル導体リング(50)との間で電気的接触が達成するものであり、
前記プラグ導体リング(30)が前記導電性接点(100)との接触から外れると、前記導電性接点(100)は前記弛緩位置に戻るものである電気コネクタ(10)。
【請求項2】
前記プラグ導体リング(30)は、複数のプラグ導体リング(30)のうちの1つであり、前記レセプタクル導体リング(50)は、複数のレセプタクル導体リング(50)のうちの1つであり、前記導電性接点(100)は、複数の導電性接点(100)のうちの1つであり、前記複数のプラグ導体リング(30)の数、前記複数のレセプタクル導体リング(50)の数、及び前記複数の導電性接点(100)の数は同一である請求項1に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項3】
前記レセプタクル導体リング(50)は、半径方向内向きを向く環状溝(51)を有し、前記導電性接点(100)の少なくとも一部は、前記環状溝(51)内にある請求項1に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項4】
前記導電性接点(100)の少なくとも一部は、前記環状溝(51)内にはない請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項5】
前記導電性接点(100)は不連続であり、前記環状溝(51)内に受け入れられる第1及び第2の端部(104f、104s)を有する請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項6】
前記第1及び第2の端部(104f、104s)のいかなる部分も、前記レセプタクル導体リング(50)の前記軸方向の内孔(50b)内にない請求項5に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項7】
前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)の少なくとも一部が前記環状溝(51)内にない請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項8】
前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)の各々の少なくとも一部が前記環状溝(51)内にない請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項9】
前記複数の丸みを帯びた角部(102c)の少なくとも一部が前記環状溝(51)内にある請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項10】
前記複数の丸みを帯びた角部(102c)の各々の少なくとも一部が前記環状溝(51)内にある、請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項11】
前記環状溝(51)が、前記内孔(50b)から溝基部(51b)に向かって半径方向外向きに延在する一対の側壁(51s)を有し、前記複数の丸みを帯びた角部(102c)の少なくとも一部が、前記溝基部(51b)に接触するものである請求項3の電気コネクタ(10)。
【請求項12】
前記環状溝(51)が、前記内孔(50b)から溝基部(51b)に向かって半径方向外向きに延在する一対の側壁(51s)を有し、前記複数の丸みを帯びた角部(102c)の各々の少なくとも一部が、前記溝基部(51b)に接触するものである請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項13】
前記環状溝(51)が、前記内孔(50b)から溝基部(51b)に向かって半径方向外向きに延在する一対の側壁(51s)を有し、前記一対の側壁(51s)間の軸方向の距離が溝幅を規定し、該溝幅は、前記導電性接点(100)が有する接触幅(102w)よりも約0.001~0.015広いものである請求項3に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項14】
前記プラグ(20)が前記レセプタクル(40)内に挿入され、前記プラグ及びレセプタクル導体リング(30及び50)が実質的に半径方向に並ぶと、前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)は、弾性変形して前記プラグ導体リング(30)との電気的接触を提供し、前記複数の丸みを帯びた角部(102c)は、前記レセプタクル導体リング(50)と電気的接触を提供するものである請求項1に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項15】
前記一対の側壁(51s)のうちの1つの半径方向の長さによって溝の深さが規定されるものであり、前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)及び前記複数の丸みを帯びた角部(102c)は、前記溝の深さよりも小さい接触厚さ(102t)を有するものである請求項11に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項16】
プラグ(20)及びレセプタクル(40)を含む電気コネクタ(10)であって、
前記プラグ(20)が、
プラグ絶縁本体(22);
プラグ導体リング(30);及び
前記プラグ絶縁本体(22)内で前記プラグ導体リング(30)に接続されるとともに、前記プラグ絶縁本体(22)の端部から出ているプラグ導電性部材(W);を含み、
前記レセプタクル(40)が、
レセプタクル絶縁本体(42);
軸方向の内孔(150b、250b)と、2つの位置で前記軸方向の内孔(150b、250b)と交差する横方向の開口部(154、254)とを有するレセプタクル導体リング(150、250);
前記レセプタクル導体リング(150、250)に接続され、前記レセプタクル絶縁本体(42)の端部から出ているレセプタクル導電性部材(W);及び
前記横方向の開口部(154、254)内に受け入れられ、弛緩位置及び弾性変形位置を有する導電性接点(152、252)を含み、
前記弛緩位置では、前記導電性接点(152、252)は直線状の部材であり、前記レセプタクル導体リング(150、250)の前記軸方向の内孔(150b、250b)内で横方向に延在するものであり、
前記弾性変形位置では、前記導電性接点(152、252)は、前記プラグ導体リング(30)によって前記軸方向の内孔(50b)内で弾性変形され、前記プラグ導体リング(30)が前記導電性接点(152、252)に接触して、前記プラグ導体リング(30)と前記レセプタクル導体リング(150、250)との間で電気的接触が達成するものであり、
前記プラグ導体リング(30)が前記導電性接点(152、252)との接触から外れると、前記導電性接点(152、252)は前記弛緩位置に戻るものである電気コネクタ(10)。
【請求項17】
前記横方向の開口部はスロット(154)であり、前記導電性接点(152)は可撓性ビームである請求項16に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項18】
前記横方向の開口部は横方向の孔(254)であり、前記導電性接点(252)は円形断面を有するものである請求項16に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項19】
前記導電性接点(252)は、前記レセプタクル導体リング(250)の前記横方向の孔(254)に圧入されるものである請求項18に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項20】
レセプタクル(40)に接続するように配置され設計されたプラグ(20)を含む電気コネクタ(10)であって、
前記プラグ(20)が、
プラグ絶縁本体(22);
プラグ導体リング(30);及び
前記プラグ絶縁本体(22)内で前記プラグ導体リング(30)に接続されるとともに、前記プラグ絶縁本体(22)の端部から出ているプラグ導電性部材(W);を含み、
前記レセプタクル(40)が、
レセプタクル絶縁本体(42);
軸方向の内孔(50b)と、半径方向内向きを向き軸方向の溝幅を持つ環状溝(51)とを有するレセプタクル導体リング(50);
前記レセプタクル導体リング(50)に接続され、前記レセプタクル絶縁本体(42)の端部から出ているレセプタクル導電性部材(W);及び
開口部を規定する略環状の外形を有し前記軸方向の溝幅よりも小さい軸方向の接触幅(102w)を持つ導電性接点(100)であって、少なくとも一部が前記環状溝(51)内に受け入れられて該環状溝(51)に接触し、少なくとも一部は前記環状溝(51)内に受け入れられない導電性接点(100);を含み、
前記プラグ(20)が前記レセプタクル(40)内に挿入され、前記プラグ導体リング(30)と前記レセプタクル導体リング(50)が実質的に半径方向に並ぶと、前記導電性接点(100)が弾性変形して前記プラグ導体リング(30)と前記レセプタクル導体リング(50)との間の電気的接触を提供するものである電気コネクタ(10)。
【請求項21】
前記導電性接点(100)は不連続であり、前記環状溝(51)内に受け入れられる第1及び第2の端部(104f、104s)を有し、前記第1及び第2の端部(104f、104s)のいずれの部分も、前記レセプタクル導体リング(50)の軸方向の内孔(50b)内にはない、請求項20に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項22】
前記導電性接点(100)は、複数の角部(102c)によって接合された複数の実質的に直線状のセグメント(102s)を備えたものであり、前記略環状の外形及び規定された前記開口部は、略多角形形状である請求項20の電気コネクタ(10)。
【請求項23】
前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)の少なくとも一部が前記環状溝(51)内にない、請求項22に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項24】
前記環状溝(51)が、前記内孔(50b)から溝基部(51b)に向かって半径方向外向きに延在する一対の側壁(51s)を有し、前記一対の側壁(51s)間の軸方向の距離が溝幅を規定し、該溝幅は、前記導電性接点(100)が有する接触幅(102w)よりも0.001~0.015広いものである請求項20に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項25】
前記導電性接点(100)は、複数の外向きの丸みを帯びた角部(102c)によって接合された複数の波状セグメント(102)を備える、請求項21に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項26】
前記プラグ(20)が前記レセプタクル(40)内に挿入され、前記プラグ導体リング(30)と前記レセプタクル導体リング(50)が実質的に半径方向に並ぶと、前記複数の実質的に直線状のセグメント(102)が弾性変形して前記プラグ導体リング(30)との電気的接触を提供し、前記複数の角部(102c)が前記レセプタクル導体リング(50)との電気的接触を提供する請求項22に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項27】
前記環状溝(51)が、前記内孔(50b)から溝基部(51b)に向かって半径方向外向きに延在する一対の側壁(51s)を有するものであり、
前記一対の側壁(51s)間の軸方向の距離が前記軸方向の溝幅を規定し、前記一対の側壁(51s)のうちの1つの半径方向の長さによって溝の深さが規定されるものであり、
前記複数の実質的に直線状のセグメント(102s)及び前記複数の角部(102c)は、前記溝の深さよりも小さい接触厚さ(102t)を有するものである請求項22に記載の電気コネクタ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にマルチ導体ロータリー電気コネクタに関するものであり、より具体的には、マルチ導体ロータリー電気コネクタの接点に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー電気コネクタは、典型的には、互いに係合し互いに対する回転が可能なオス組立体及びメス組立体を含む。オス組立体とメス組立体との結合は、ねじ部材の相対的な回転を伴うことがある。オス組立体とメス組立体とが互いに嵌合するときには、電気接点を維持しながら、2つの組立体間に相対回転が存在することが望ましい。
【0003】
オス組立体は、メス組立体内に着脱自在に着座するようになっている。オス組立体は典型的には外面上に少なくとも2つの離間した導体リングを有し、メス組立体は、オス組立体がメス組立体内に装着されたときにオス組立体の導体リングと並置されるように、対応する数の、内面上に離間された導体リングを有する。
【0004】
接点または導電性接点と呼ばれる部材が、並置された導体リングの間の環状空間内に配置されることが典型的であり、これにより、コネクタの構成/製造公差を許しつつオス及びメス組立体が嵌合されたときに、並置された導体リングの各対の間に電気的接続性の維持が確実となる。
【0005】
Greene、Tweed & Company of Kulpsville、PAによって使用される接点の1つのタイプは、多板ばね接点である。多板ばね接点は、メス組立体内に取り付けられている。金属板の「自由端」がメス組立体の後方を向くように薄い金属板が導体リングの周囲に軸方向に一様に間隔をあけて配置されており、薄い板ばねに通電するために、「自由端」の下にゴムOリングが配置されている。
【0006】
Oリング付勢された多板ばね接点の欠点は、薄い金属板が壊れやすく容易に破損することや、薄い金属板がラグなどで洗浄中に引っ掛かりやすいことで破損及び/または恒久的な損傷が引き起こされることや、導体断面積の制限電流容量が低いことや、Oリング付勢器が高温により圧縮を受けることや、漏れ経路が多く存在するために接点の周りでは規定の可塑的な成形が可能でないことや、軸方向にコンパクトではないことである。
【0007】
テキサス州、ヒューストンのWireline Technologies、Inc.に譲渡された、「取り外し可能かつ交換可能な接点を有するロータリーコネクタ」と題する米国特許7,052,297号には、ロータリーコネクタの斜め巻きコイルばね接点が開示されている。この7,052,297号の発明の目的は、交換可能性であり、ロータリーコネクタを大規模に分解することなく現場で容易かつ迅速に交換できる導電性接点を提供することにある。斜め巻きコイルばねは容易に交換されるが、特に、高温、高圧環境のような過酷な稼働環境や、多くの使用用途でロータリーコネクタが経験する振動力または周期的負荷にさらされる環境では、耐久性が非常に低くなる可能性/傾向がある。斜め巻きコイルばねは、使用中に亀裂が入ることがあり、コネクタを清掃するときにスナップして外れやすくなることがある。また、斜め巻きコイルばねは、カプラの接続または切断中に外れてしまうことや、嵌合コネクタに多少の不整合をもたらすコネクタの製造公差の存在により外れてしまうことがある。また、斜め巻きコイルばねは、ロータリーコネクタの嵌合中に半径方向に絞られると卵形になり軸方向にコンパクトではない。
【0008】
別の従来のロータリー電気コネクタには、ばね式ポゴピン接点を有するものがある。ポゴピンは、衝撃や振動の際に動かされるため、電気信号の問題や機械的な損傷を引き起こす可能性がある。ポゴピンは、コネクタ嵌合時にシヤリングを起こしやすく、恒久的な損傷を引き起こす。ばね式ポゴピン接点の他の欠点は、ポゴピンが交換できないこと、ポゴキャニスタの裏側への可塑的な侵入により接点の周囲に規定の可塑的な成形ができないこと、半径方向又は軸方向にコンパクトではないためにコネクタを小型化できないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、耐久性があり、激しい振動に耐えることができ、疲労破壊に耐性のあるロータリー電気コネクタが望ましい。また、多数の接続及び切断サイクルにわたって耐久性があるコネクタが望ましい。更には、小型であるロータリー電気コネクタが望ましい。更には、油田等のように高温、高圧(HTHP)の実施で作動するロータリー電気コネクタが望ましい。そこで、接点としては、高い耐久性、高い電流容量、非常に高い衝撃及び振動耐性、保守中及びロータリーコネクタの接続及び切断中の損傷の可能性がほとんどない、といった特性のうちの1つまたは複数の特性を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、メンテナンス中の損傷の可能性が極めて低いことに加えて、作動中の耐久性が高いプラグ及びレセプタクルを有するロータリーコネクタが提供される。接点が損傷することはまれであるが、接点は交換可能である。このロータリーコネクタは、耐衝撃性、耐振動性が非常に高いため、極端で困難な環境での使用に適している。また、好ましい実施形態では、高い電流容量を有するコネクタが提供される。ロータリーコネクタは半径方向及び軸方向にコンパクトであり、従って、より小型のコネクタが可能になっている。実施形態のうちの少なくともいくつかは、規定の成形アセンブリが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述の本発明の実施形態の態様、特徴、及び利点は図面を参照することによってより詳細に説明され、図面において、同様の参照番号は同じ基本機能を有する同様の要素を表す。
【0012】
図1】レセプタクルに挿入されたプラグを示す、本発明の好ましい実施形態によるロータリーコネクタの断面図である。
【0013】
図2図1のロータリーコネクタの部分斜視図であり、レセプタクルの一部を取り外した斜視図であり、レセプタクル内のプラグを部分的に示す図である。
【0014】
図3】本発明の好ましい実施形態による導電性接点の斜視図である。
【0015】
図4図3に示す接点の正面図である。
【0016】
図5】レセプタクル内の導体リングの溝に受け入れられる図3及び図4の接点の断面図であり、弛緩位置の接点を示す図である。
【0017】
図6図5と同様の断面図であり、変形位置にある接点を示し、プラグの導体リングは破線で示す図である。
【0018】
図7】本発明の別の実施形態による接点の斜視図である。
【0019】
図8図7に示す接点の正面図である。
【0020】
図9】本発明の別の実施形態による接点の斜視図である。
【0021】
図10図9に示す接点の正面図である。
【0022】
図11】接点が導体リングのスロットに挿入された接点を有するレセプタクル導体リングの別の実施形態の斜視図である。
【0023】
図12図11に示す導体リング及び接点の正面断面図である。
【0024】
図13】導体リングの穴に挿入された接点を有する導体リングの別の実施形態の斜視図である。
【0025】
図14図13に示す導体リング及び接点の正面断面図である。
【0026】
図15】ロータリーコネクタの別の実施形態の部分斜視図であり、レセプタクルの一部を取り外し、レセプタクル内に部分的にプラグを示し、プラグに電気伝導性接点を設置した斜視図である。
【0027】
図16】プラグ上に設置するための導電性接点の実施形態の正面図である。
【0028】
図17】プラグの導体リングの溝に受け入れられる図16の接点の断面図であり、弛緩位置の接点を示す図である。
【0029】
図18図17と同様の断面図であり、変形位置にある接点を示し、レセプタクルの導体リングが破線で示す図である。
【0030】
図19図12に類似した断面図であり、接点が変形位置にあるレセプタクル導体リングと、破線で示されたプラグ導体リングとを示す図である。
【0031】
図20図14に類似した断面図であり、接点が変形位置にあるレセプタクル導体リングと、破線で示されたプラグ導体リングとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に、1つまたは複数の実施形態の例示的な実施形態を以下に説明するが、開示されたアセンブリ、システム、及び方法は現在知られているかどうかにかかわらず、任意の数の技法を使用して実施することができることを理解されたい。本開示は、以下に記載される例示的な実施、図面、及び技術に決して限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲内で、それらの相当の全範囲と共に修正されてもよい。
【0033】
以下の用語の簡単な定義は、明細書全体に適用される。
【0034】
「一実施形態において(in one embodiment)」、「一実施形態による(according to one embodiment)」などの語句は一般に、語句に続く特定の特徴、構造、または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれてもよく、本発明の2つ以上の実施形態に含まれてもよいことを意味する(重要なことであるが、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない)。
【0035】
本明細書が何かを「例示的(examplary)」または「例(example)」として記載する場合、非排他的な例を指すことを理解されたい。
【0036】
用語「約(about)」または「およそ(approximately」などは、数字とともに使用される場合、当業者によって理解されるように、その特定の数、または、その特定の数に近い範囲を意味し得る。
【0037】
本明細書がコンポーネントまたは特徴「でもよい(may)」、「することができる(can)」、「することができる(could)」、「すべきである(should)」、「であろう(would)」、「好ましくは(preferably)」、「可能性がある(possibly)」、「典型的には(typically)」、「任意選択的に(optionally)」、「例えば(for example)」、「しばしば(often)」、または「可能性がある(might)」(または他のそのような言語)が含まれるか、または特性を有すると述べる場合、その特定のコンポーネントまたは特徴は、含まれる必要はなく、またはその特性を有する必要もない。そのような構成要素または特徴は、任意選択で、いくつかの実施形態に含まれてもよく、または除外されてもよい。
【0038】
本発明の実施形態は図面を参照して説明され、図面において、同様の数字は全体を通して同様の要素を反映する。本明細書で提示される説明で使用される用語は単に、本発明の特定の実施形態の詳細な説明と併せて利用されているので、限定的または限定的な方法で解釈されることを意図していない。さらに、本発明の実施形態はいくつかの新規な特徴を含むことができ、そのうちの1つだけが、その望ましい属性に単独で責任を負うものではなく、または本明細書に記載の本発明を実施するのに不可欠なものではない。
【0039】
図1では、主に符号10で表されるロータリーコネクタが、レセプタクル40内に完全に挿入されたプラグ20を有することが示されている。図1のロータリーコネクタ10は、8ピン、階段状のロータリーコネクタである。プラグ20がレセプタクル40内に着座しているときに、レセプタクル40の8つの導体リング50に並置され、かつ/または実質的に半径方向の整合状態にある、プラグ20の8つの導体リング30が存在する。対向する導体リング30、50の各対は、協働してロータリーコネクタ10を通して電気を伝導するように作用することが理解されるべきである。
【0040】
電気ワイヤ又は導電性部材Wは、プラグ20内の各導体リング30から引き回され、プラグ20の後部から出るか、又はプラグ20の後部の端子に接続する。同様に、電線または導電性部材Wは、レセプタクル40内の各導体リング50から引き回され、レセプタクル40の後部から出るか、またはレセプタクル40の後部の端子に接続する。分かりやすくするために、図1は、1つのプラグ導体リング30に接続された1つのワイヤWと、1つのレセプタクル導体リング50に接続された1つのワイヤWのみを示す。当技術分野でよく理解されるように、各導体リング30及び50は、プラグ20及びレセプタクル40の後部でそれぞれ挿入または出ていく別個のワイヤまたは導電性部材Wに接続される。
【0041】
導体リング30、50の対の数は、特定のロータリーコネクタ10に必要な電気信号または経路の数に依存することを理解されたい。従って、8対の導体リングが図1に示されているが、これは単に説明のためであり、本発明を限定するものではない。
【0042】
上述したように、図1に示すロータリーコネクタ10は、階段状のロータリーコネクタである。プラグ20は階段状の外径を有し、レセプタクル40は、階段状の内径を有する。これは、当業者には周知であり、ロータリーコネクタ10内に導体リング30、50の対がいくつか存在する場合にしばしば使用されることが理解されるべきである。本発明のプラグ20及びレセプタクル40は両方とも均一な直径を有することができ、または両方とも複数の段付き直径を有することができることを理解されたい。
【0043】
図1及び図2では、プラグ20は、ヘッド部24及びテール部26を有する絶縁本体22を含む。ヘッド部24はヘッド径24dを有し、テール部26はテール径26dを有する。テーパ状遷移部28は、ヘッド部24をテール部26に接合することが好ましい。テール径26dはヘッド径24dよりも大きい。ただし、プラグ絶縁本体22は、均一な直径であってもよいことが理解されるべきである。プラグ絶縁本体22は、好ましくは誘電体または非導電性材料からなる。そのような適切な材料の1つは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。プラグ絶縁本体22の前端27は、案内を提供するためにテーパ状又は丸みを帯びていることが好ましい。
【0044】
図1では、プラグ20の導体リング30は円形であり、滑らかな外面を有することが好ましい。図1は、ヘッド部24上に3つの導体リング30を示し、テール部26上に5つの導体リング30を示す。プラグ導体リング30の数は、特定のロータリーコネクタ10に必要な電気信号または経路の数に依存する。プラグ導体リング30は、プラグ20が成形アセンブリである場合には非導体リング、スペーサ、またはプラグ絶縁本体22の一部によって互いに分離される。プラグ20の実際の組み立ては、本発明にとって重要ではない。当業者は、プラグ20を組み立てる様々な方法に精通している。
【0045】
プラグ導体リング30は、好ましくは図1及び図2に示す実施形態において、プラグ絶縁本体22の隣接部分の対応する直径に実質的に等しいか又はそれよりも僅かに大きい外径を有する。ヘッド部24上のプラグ導体リング30は符号30hで示され、テール部26上のプラグ導体リング30は符号30tで示される。プラグ導体リング30は、例えばベリリウム銅のような導電性材料から作られる。
【0046】
レセプタクル40は好ましくは実質的に円筒形であり、レセプタクル40の前端部46で開口した孔44を有する絶縁本体42を含む。孔44は、プラグ20のヘッド部24及びテール部26のサイズ及び形状に対応するようにサイズが決められ、形状が決められている。レセプタクル40は、プラグ導体リング30の数に対応する多数の導体リング50を含む。ヘッド部24上のプラグ導体リング30hと並ぶように配置され且つ設計されたレセプタクル導体リング50は符号50hで示され、テール部26上のプラグ導体リング30tと並ぶように配置され且つ設計されたものは符号50tで示されている。レセプタクル導体リング50hは、ヘッド径24d及びヘッド部導体リング30hの外径よりも僅かに大きい内径を有する軸方向の円形の内孔50b(図5)を有することが好ましい。同様に、レセプタクル導体リング50tは、好ましくはテール径26dよりも僅かに大きい内径とテール部導体リング30tの外径とを有する軸方向の円形の内孔を有する。レセプタクル導体リング50は、例えばベリリウム銅のような導電性材料から作られる。
【0047】
図1及び図2に示す好ましい実施形態では、少なくとも部分的に導電性接点100を受け入れるために、好ましくは環状である半径方向内向きの溝51がレセプタクル導体リング50内に作られる。好ましくは、内向き溝51がレセプタクル導体リング50の内孔50bの半径方向外向きに凹んでいる。接点100は、図2の溝51に示されている。導電性接点100は、導電性材料から作られる。
【0048】
本発明のいくつかの実施態様において、導電性接点100は、開口部を規定する略環状の外形を有する。図3及び図4は、導電性接点100の好ましい設計を示す。図3及び図4は、弧状部分または丸みを帯びた角部または頂点102cと、ほぼ直線状のセグメント102sとを有するほぼ多角形の接点102を示す。図3及び図4に示すほぼ多角形形状の接点102は、ほぼ多角形形状の接点102内の開口部を規定する丸みを帯びた角部102cによって接合された6つのほぼ直線状のセグメント102を含む。好ましくは、ほぼ多角形の接点102は不連続であり、第1及び第2の端部104f及び104sをそれぞれ有する。図3及び図4に示される接点102は図2のレセプタクル40に示される接点100であるが、導電性接点100の他の実施形態を使用することもできる。好ましくは第1及び第2の端部104f、104sは接点102がレセプタクル40内に設置されるべきときに、丸みを帯びた角部102cに位置し、その結果、端部104f、104sは溝51内にあり、そこで何かに引っ掛かる可能性は低い。
【0049】
図5は、レセプタクル導体リング50の溝51内に受け入れられる六面多角形形状の接点102の断面図を示す。溝51は、好ましくは溝幅及び溝深さを規定する溝基部51bによって接合された一対の側壁51s(1つのみ図示)を有する。好ましくは、側壁51sが内孔50bから溝基部51bに向かって半径方向外向きに延び、側壁51sの間の軸方向の距離が溝幅を規定する。好ましくは、溝の幅が接触幅102wよりも約0.001~0.015広くなっている。溝の深さは、側壁51sの半径方向の長さによって規定される。
【0050】
図5の接点102は弛緩位置にあり、弛緩した内接直径102dを有する。弛緩位置にあるほぼ直線状のセグメント102sは、弛緩した内接直径102dを規定する。図5に示す接点102の場合、弛緩した内接直径102dは、対向するほぼ直線状のセグメント102間の最短距離である。概ね直線状のセグメント102sの少なくとも一部、典型的には中央部分は図5に示すように、弛緩位置において溝51の外側に配置される。別の言い方をすれば、弛緩した内接直径102dは、レセプタクル導体リング50の内径よりも小さい。弛緩した内接直径102dは、対応するプラグ導体リング30の外径よりも小さいことが好ましい。
【0051】
さらに図5では、プラグ20がレセプタクル40から切り離されているとき、及びプラグ20が並置されていないとき、又は接点102に接触していないとき、接点102は弛緩位置にある。略多角形形状の接点102の第1及び第2の端部104f及び104sは溝基部51bに隣接しており、好ましくは、溝基部51bに接触するエッジ部分を有している。好ましくは、丸みを帯びた角部102cの各々が弛緩位置にあるとき、溝基部51bと接触する。
【0052】
図6は、プラグ20とレセプタクル40とが完全に接合されるか、または一緒に結合され、接点102が弾性変形位置にある場合を表す。プラグ導体リング30の外面は、図6に破線で示されている。プラグ導体リング30の外径は、接点102の弛緩した内接直径102dよりも少なくともわずかに大きいことが好ましいので、並置されたプラグ導体リング30は接点102がわずかに円形になるように、直線状のセグメント102sをわずかに外側に曲げるように強制する。図6に示すように、弾性変形した直線状のセグメント102sは、プラグ導体リング30の外面とのかなりの表面積の接触を与える。さらに、接点102は同時に、溝基部51bとの実質的な接触を保持する。溝側壁51sに対向する接点102の側面の一部も、側壁51sのうちの少なくとも1つと接触する可能性が高いことも理解されるべきである。接点102は、プラグ20とレセプタクル40とが完全に嵌合したときに、対応するプラグ導体リング30とレセプタクル導体リング50との間で電気的接触が達成され維持されるように十分に弾性があり、プラグ20がレセプタクル40から切り離されるか又は取り外されると、接点102は溝51内に留まり、嵌合したプラグ導体リング30の外径よりも小さい内接直径102dを有するその弛緩位置に戻る。
【0053】
プラグ20とレセプタクル40との嵌合状態では、プラグ導体リング30が対応するレセプタクル導体リング50と半径方向又は実質的に半径方向に並んでいる。
【0054】
溝51のサイズ及び形状は、他の設計要因に加えて、使用される接点100のタイプに依存することが理解されるべきである。図3及び図4では、接点102は幅102w及び厚さ102tを有する。側壁51s間の距離によって規定される溝幅は、接触幅102wよりも僅かに広いことが好ましい。以下は、単に実施形態を例示するための例示的な目的のための、溝51及び接点102のいくつかの代表的な寸法である。この実施例では、接点102は0.060(インチ)の幅102w及び0.008の厚さ102tを有し、溝51は0.064の幅及び0.016~0.027の範囲の深さを様々な要因に応じて有する。好ましくは、接点102が溝51内にしっかりと配置され弾性を保つような寸法になっている。
【0055】
ロータリーコネクタの好ましい実施形態は、以下の利点を提供する:
運転中の高い耐久性とメンテナンス中の損傷の可能性が非常に低い;
ごくまれに損傷した場合には、接点を交換することができる;
高い電流容量;
非常に高い衝撃・振動耐性;
半径方向及び軸方向にコンパクトであり、従って、より小型のコネクタを可能にする
既定の成形アセンブリが可能である。
【0056】
図7~14は、導電性接点100の他の実施形態を示す。導電性接点100の以下の実施形態は、上記の利点のすべてまたはいくつかを含むことを理解されたい。
【0057】
図7及び図8に示す接点100は、丸みを帯びた角部または頂点112cを有し、主に符号112で表される、別のほぼ多角形の接点である。図7及び図8に示されたほぼ多角形の接点112は、4つのほぼ直線状のセグメント112sによって分離された丸みを帯びた角部112cを含む。好ましくは、ほぼ多角形の接点112は不連続であり、第1及び第2の端部114f及び114sをそれぞれ有する。好ましくは、第1及び第2の端部114f及び114sは、それらが内側に向いた溝51内に留まり、溝基部51bに接触するように配置される。
【0058】
図9及び図10は、複数の外向きの丸みを帯びた角部または頂点122cを有する概ねマーセル形状の接点122を示す。概ねマーセル形状の接点122は、概ね波状のセグメント122sによって分離された複数の外向きの丸みを帯びた角部122cを含む。好ましくは、概ねマーセル形状の接点122は不連続であり、第1及び第2の端部124f及び124sをそれぞれ有する。好ましくは、第1及び第2の端部124f及び124sは、それらが内向き溝51内に留まり溝基部51bに接触するように配置される。
【0059】
図11及び図12は、軸方向の内孔150bを有する別のレセプタクル導体リング150を示す。軸方向の内孔150bは、内向き溝を有する必要はなく、連続した軸方向の孔であってもよい。スロット154は導体リング150を横方向に延び、2箇所で内孔150bと交差する。可撓性ビームの形態の導電性接点152が図12に示されるように、スロット内及び内孔150bの一部内に挿入される。接点152は図11及び図12に示すように、接点152がレセプタクル導体リング150の内孔150b内を通過する実質的に直線状の部材である弛緩位置を有する。
【0060】
図19は、プラグ20とレセプタクル40とが完全に接合されるか、または一緒に結合され、接点152が弾性変形位置にある場合を表す。プラグ導体リング30の外面は、破線で示されている。プラグ導体リング30の外径は、プラグがレセプタクルと嵌合すると、嵌合したプラグ導体リング30が内孔150b内で接点152と接触し弾性変形するような寸法とされる。接点152はプラグ導体リング30によって変形されたときに電気的接触が達成され、さらにプラグから切断されたときには接点152がその弛緩した直線状態に戻るのに十分な弾性を有する。なお、接点152は、多角形または丸みを帯びた断面を有するものであってもよい。この場合、例えば絶縁体リング及び導体リングを積層することによってレセプタクル40が組み立てられているときには、接点152は交換可能である。
【0061】
図13及び図14は、図11及び図12に示すものと同様の別のレセプタクル導体リング250であって、軸方向の内孔250bを有する別のレセプタクル導体リング250を示す。軸方向の内孔250bは、内向き溝を有する必要なく、連続した軸方向の孔であってもよい。横方向の孔254は導体リング250を貫通して延在し、2箇所で軸方向の内孔250bと交差する。導電性接点252は図14に示すように、導体リング250内の横方向の孔254内及び軸方向の内孔250bの一部内に挿入される。接点252は、図14に示すように、接点252がレセプタクル導体リング250の軸方向の内孔250b内を通過する実質的に直線状の部材となる弛緩位置を有する。
【0062】
図20は、プラグ20とレセプタクル40とが完全に接合されるか、または一緒に結合され、接点252が弾性変形位置にある場合を表す。プラグ導体リング30の外面は、破線で示されている。プラグ導体リング30の外径は、プラグ20とレセプタクル40との嵌合時に、嵌合したプラグ導体リング30が内孔250b内で接点252に接触し弾性変形するような寸法とされる。接点252はプラグ導体リング30によって変形されたときに電気的接触が達成され、さらにプラグから切断されたときには接点252がその弛緩した直線状態に戻るのに十分な弾性を有する。好ましくは、接点252は円形断面を有する。接点252が導体リング250内に圧入される場合、この実施形態は、成形アセンブリ内で使用されてもよい。接点252が圧入されず、レセプタクルを分解できる場合、接点252は交換可能である。
【0063】
図15は、図1及び図2に示すロータリーコネクタ10と多くの点で類似している、主に符号10’で示されるロータリーコネクタの別の実施形態を示している。主な相違点は、ロータリーコネクタ10’が好ましくは外向き溝51’内でプラグ導体リング30’上に設置された導電性接点100’を有し、レセプタクル導体リング50’が平滑な内孔50b’を有することである。図示の接点102’は、図3及び図4の接点102と形状が類似している。接点102’は不連続であり、図16に示すように、ほぼ直線状のセグメント102s’の中央部分に第1及び第2の端部104f’及び104s’を有することが好ましい。
【0064】
図17は、プラグ導体リング30’の溝51’内に受け入れられる6面多角形形状の接点102’の断面図を示す。溝51’は、好ましくは溝幅及び溝深さを規定する溝基部51b’によって接合された一対の側壁51s’(1つのみ図示)を有する。接点102’は弛緩位置にあり、弛緩した内接直径102d’を有する。弛緩位置における丸みを帯びた角部102c’は、弛緩した内接直径102d’を規定する。図17に示す接点102’の場合、弛緩した内接直径102d’は、対向する丸みを帯びた角部102c’間の最長距離である。丸みを帯びた角部102c’の少なくとも一部、典型的には中央部分は図17に示すように、弛緩位置において溝51’の外側に配置される。弛緩した内接直径102d’は、レセプタクル導体リング50’の内径よりも大きいことが好ましい。弛緩した内接直径102d’は、対応するプラグ導体リング30’の外径よりも大きいことが好ましい。
【0065】
さらに図17では、プラグ20’がレセプタクル40’から切り離され、かつレセプタクル40’が並置されていないか、または接点102’に接触していないとき、接点102’は弛緩位置にある。ほぼ多角形の接点102’の第1及び第2の端部104f’及び104s’は好ましくは溝基部51b’に隣接し、好ましくは、溝基部51b’に接触するエッジ部分を有する。好ましくは、ほぼ直線状のセグメント102s’の各々の一部が弛緩位置にあるときに溝基部51b’と接触する。
【0066】
図18は、プラグ20’及びレセプタクル40’が完全に接合又は結合され、接点102’が弾性変形位置にあるときを表す。レセプタクル導体リング50’の内面は、破線で示されている。レセプタクル導体リング50’の内径は好ましくは接点102’の弛緩した内接直径102d’よりも少なくともわずかに小さいため、並置されたレセプタクル導体リング50’は接点102’を僅かに円形に強制する。図18に示すように、弾性変形接点102’はレセプタクル導体リング50’の内面とのかなりの表面積の接触を与え、同時に溝基部51b’との実質的な接触を保持する。溝側壁51s’に面する接触部102’の側面の一部も、側壁51s’のうちの少なくとも1つと接触する可能性が高いことも理解されるべきである。接点102’はプラグ20’とレセプタクル40’とが完全に嵌合したときに、対応するプラグ導体リング30’とレセプタクル導体リング50’との間で電気的接触が達成され維持されるように十分に弾性があり、プラグ20’がレセプタクル40’から切り離されるかまたは取り外されると、接点102’は溝51’内に留まり、嵌合したレセプタクル導体リング50’の内径よりも大きい内接直径102d’を有するその弛緩位置に戻る。
【0067】
上述の実施形態における導体リング内の溝は、接触の大きさ、形状及び種類に基づいて変化することが理解されるべきである。溝は、接触の各サイズに必要な力を作り出すように設計されている。
【0068】
図中の接点の断面形状は図示された形状(すなわち、長方形)に限定されず、円形を含むがこれに限定されない他の形状を含んでもよいことを理解されたい。
【0069】
隣接する接点間の絶縁体は、個別片またはユニット化成形システムであり得ることを理解されたい。加えて、システムは、嵌合ハウジング内の電気コネクタの任意の気密封止を可能にする。
【0070】
幅102wが0.06、厚さ102tが0.008、長さが0.17である、図3及び4に示される接点102を曲げて降伏させるために必要な力を解析すると、1.58ニュートンまたは0.355ポンドの力であった。本願の「背景技術」に記載された多重板ばね及び斜め巻きコイルばねの構成について比較のために調べてみると、以下に示されるように、上記の好ましい実施形態のものよりも著しく低い力で降伏するという結果が得られた。
【0071】
【0072】
本発明の前述の開示及び説明はその例示及び説明であり、本発明の精神から逸脱することなく、粒度、形状、及び材料、ならびに図示された構造の詳細の様々な変更を行うことができる。従って、本実施形態は単に例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は前記の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、従って、特許請求の範囲の同等性の意味及び範囲内に入るすべての変更は特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0073】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態の修正及び変更を当業者が行うことができることを理解されたい。全てのこのような改変及び改変は、包含されることが意図される。さらに、本明細書に引用された全ての刊行物は当業者のレベルを示しており、それぞれが参照により個々に組み込まれ、完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】