IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケリー ルクセンブルク エス.アー.エール.エル.の特許一覧 ▶ ジョージ,ベンジャミンの特許一覧 ▶ ブラッドレイ,ジョセフ エム.の特許一覧 ▶ キャッシュ,ハワードの特許一覧 ▶ コッブ,ステファン ジー.の特許一覧 ▶ イマーム,ヌサイアの特許一覧 ▶ オシェイ,エイリーンの特許一覧

特表2022-530499胞子含有プロバイオティック液体組成物およびその調製方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】胞子含有プロバイオティック液体組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20220622BHJP
【FI】
A23L33/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563677
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2020061228
(87)【国際公開番号】W WO2020216794
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,589
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515228003
【氏名又は名称】ケリー ルクセンブルク エス.アー.エール.エル.
【氏名又は名称原語表記】Kerry Luxembourg S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】17 rue Antoine Jans Luxembourg L-1820 GRAND DUCHY OF LUXEMBOURG
(71)【出願人】
【識別番号】521466976
【氏名又は名称】ジョージ,ベンジャミン
(71)【出願人】
【識別番号】521466987
【氏名又は名称】ブラッドレイ,ジョセフ エム.
(71)【出願人】
【識別番号】521466998
【氏名又は名称】キャッシュ,ハワード
(71)【出願人】
【識別番号】521467009
【氏名又は名称】コッブ,ステファン ジー.
(71)【出願人】
【識別番号】521467010
【氏名又は名称】イマーム,ヌサイア
(71)【出願人】
【識別番号】521467021
【氏名又は名称】オシェイ,エイリーン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドレイ,ジョセフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】キャッシュ,ハワード
(72)【発明者】
【氏名】コッブ,ステファン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】イマーム,ヌサイア
(72)【発明者】
【氏名】オシェイ,エイリーン
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD08
4B018MD27
4B018MD33
4B018MD37
4B018MD85
4B018MF03
(57)【要約】
常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物を調製する方法が開示され、その方法は、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株からの胞子、糖類、および湿潤剤を含む液体スラリーを準備するステップ;ならびに液体スラリーを低温殺菌して栄養添加物を与えるステップを含む。栄養添加物は、約0.7未満の水分活性(Aw)を有することができる。栄養添加物は、約2.0から9.5のpHを有することができる。複数の胞子は、発芽していない状態のままであり得、低温殺菌後少なくとも2ヶ月間均一に懸濁したままであり得、常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物を与えることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物の調製のための方法であって、
少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株からの胞子、糖類、および湿潤剤を含む液体スラリーを準備するステップ;ならびに
液体スラリーを低温殺菌して栄養添加物を与えるステップ
を含み、
栄養添加物は、約0.7未満の水分活性(Aw)を含む;
栄養添加物は、約2.0から9.5のpHを含む;
複数の胞子は、発芽していない状態のままであり、低温殺菌後少なくとも2ヶ月間均一に懸濁したままであり、常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物を与える、
方法。
【請求項2】
少なくとも90%の胞子が、低温殺菌後少なくとも2ヶ月間発芽していない状態のままである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
栄養添加物が、1%(w/v)未満の栄養細菌細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも90%の胞子が、低温殺菌後に発芽能力を保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物の少なくとも90%の胞子が、発芽許容条件への曝露後に発芽する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
発芽許容条件が、少なくとも1Awおよび37℃で構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物の中の少なくとも90%の胞子が、哺乳動物による摂取の後に発芽する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株は、少なくとも1つのバチルス属(Bacillus)細菌株を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株が、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株、少なくとも1つの枯草菌(Bacillus subtilis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)細菌株、少なくとも1つのバチルス・インディカス(Bacillus indicus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)細菌株、または少なくとも1つのバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)細菌株を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株が、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも95%の胞子が、低温殺菌後に生存可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の胞子が、組成物の重量につき約5億CFU/gから1兆CFU/gの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの湿潤剤が、グリセリン、糖、塩、プロピレングリコール、またはガムの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
さらに、イヌリンを含まない少なくとも1つのレオロジー変性剤を含み、少なくとも1つのレオロジー変性剤が、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのレオロジー変性剤が、キサンタンガム、アラビアガム、ゲランガム、グアーガム、またはカラギーナンの少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
胞子含有プロバイオティック組成物であって、
少なくとも90%の胞子が、低温殺菌時間および温度で生存可能である少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株からの胞子を含むプロバイオティック材料;
糖類、および
少なくとも1つの湿潤剤を含む液体スラリー
を含み、
前記組成物が、約0.7未満の水分活性(Aw)および約5.0未満のpHを有する、
組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの湿潤剤が、グリセリン、糖、塩、プロピレングリコール、またはガムの少なくとも1つである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株が、少なくとも1つのバチルス属(Bacillus)細菌株を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株が、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株、少なくとも1つの枯草菌(Bacillus subtilis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)細菌株、少なくとも1つのバチルス・インディカス(Bacillus indicus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)細菌株、または少なくとも1つのバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)細菌株を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株が、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
複数の胞子が、組成物の重量につき約5億CFU/gから1兆CFU/gの量で組成物中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
さらに、イヌリンを含まない少なくとも1つのレオロジー変性剤を含み、少なくとも1つのレオロジー変性剤が、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つのレオロジー変性剤が、キサンタンガム、アラビアガム、ゲランガム、グアーガム、またはカラギーナンの少なくとも1つである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
食品、および
請求項16から23のいずれか一項に記載の胞子含有プロバイオティック組成物を含む、食品製品。
【請求項25】
液体飲料、および
請求項16から23のいずれか一項に記載の胞子含有プロバイオティック組成物を含む、
飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月23日に出願された米国仮出願第62/837,589号に対して、米国特許法第119条(e)基づき利益を主張し、その全内容が参照によって本明細書によりその全体に組み込まれている。
【0002】
胞子含有プロバイオティック組成物および方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
プロバイオティック微生物は、適切な量で消費される場合、宿主に対して健康への影響を与える可能性がある。今日、プロバイオティクスは、食品、食事代替品、栄養補助食品、栄養補給品、市販薬ならびに処方薬などの多様な分野における用途が見いだされている。プロバイオティック製品は、乳製品およびプロバイオティック強化食品を含む。製品は、一般的に、プロバイオティック活性を維持するために低温での貯蔵を必要とする。これらの製品におけるプロバイオティック微生物の増殖は、製品に対して不快な臭いを生じる可能性がある。
【0004】
多くのプロバイオティック製剤は、固形経口剤形として提供される。液体製剤は、食品および飲料の加工用途での適用を容易にすることができるが、今日まで、液体プロバイオティック製剤と関連する欠点、例えば、製剤の貯蔵寿命の安定性を維持しながら投与量の正確性を可能にする均一な懸濁液を達成するために、そのような製剤は存在しない。液体プロバイオティック製剤は、典型的には、基質として作用することができ、望ましくない代謝産物生産のリスクを高める可能性がある糖を含む。ガス生産プロバイオティクスは、結果として容器の膨張および不快な臭いおよび味の生産となる可能性がある。さらに、代謝産物生産は、結果として、プロバイオティック株の死およびプロバイオティックの低い生存数となる可能性がある。結果として、そのような液体プロバイオティック製剤は、低温条件(例えば、2℃から8℃)で貯蔵する必要があり、食品用途におけるそれらの使用を制限し、流通コストを増加させる可能性がある。
【0005】
健康補助食品として利用可能ないくらかの市販の液体プロバイオティック製剤がある。例えば、サノフィが製造販売している「エンテロゲルミナ」は、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)とは異なる種であるバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)の4株を精製水中、20億CFU/5mLの濃度で含む液体経口懸濁液である。「エンテロゲルミナ」は、下痢のある人に使用することを特に推奨される。「Bacilliq SC」は、また、Synergia Life Sciences Pvt.社が製造販売しており、コールドチェーン貯蔵を必要としない。Bacilliq SCは、異なるプロバイオティックス株、枯草菌(Bacillus subtilis)HU58およびバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)SC208、および糖を含む。
【0006】
加えて、従来のプロバイオティック組成物は、NCHコーポレーションによる米国特許出願公開第2015/0118203号において開示される(‘203刊行物)。‘203刊行物は、重力供給または非接触ポンプにより植物または動物による消費時点にプロバイオティック組成物を送達するためのシステムを開示する。プロバイオティック組成物は、1つまたは複数の胞子の形状での細菌の種、増粘剤、1つまたは複数の酸または酸の塩ならびに任意で水分活性低下剤を含む。
【0007】
そのプロバイオティック組成物の人間の消費については、‘203刊行物において考慮されない。さらに、‘203刊行物は、人間の消費を意図する食品への添加に関して、反復性、配合、および食品安全処理の欠如における欠点を有する。例えば、‘203刊行物は、製品の反復可能な生産に関する任意の処理情報を記載していない。これは、例えば、不充分に分散された、溶解されていない、または水和されていない原料をもたらす可能性があり、その結果、微生物の増殖または汚染の防止に適さない製剤をもたらす可能性がある。さらに、例えば、5-logの死滅ステップの欠如は、‘203刊行物のプロバイオティック組成物だけでなく、その組成物が投与される潜在的な食品にも固有のリスクを提示する。適切に定義された5-logの死滅ステップがないと、本発明の組成物に不活動状態を示す可能性がある微生物汚染のリスクは、水および食物源を含む最適な増殖因子を提示する食品に添加されると増大する。定義された死滅ステップがないことは、また、コーンシロップ、プレバイオティクス、および増粘剤を含む原料の使用を通じてバックグラウンドの汚染の機会を提示する。
【0008】
上で要約された技術的問題に照らして、本開示の目標の1つは、栄養プロバイオティック製剤および当業者により再現可能であり、従来技術ならびに従来の組成物および方法の欠点を回避し、安全で人間の消費に効果的である製品を保証する処理方法を提供することであった。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、周囲、冷蔵、および冷凍の貯蔵条件下で長期間にわたって細胞の生存能力を維持することができ、その後、食品および飲料製品に添加して安定性を維持することができる、胞子含有プロバイオティック組成物の改善された送達を提供する。
【0010】
したがって、特定の実施形態において、常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物を調製する方法は、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株からの胞子、糖類、および湿潤剤を含む液体スラリーを準備するステップ;ならびに液体スラリーを低温殺菌して栄養添加物を与えるステップを含み、栄養添加物は、約0.7未満の水分活性(Aw)を含む;栄養添加物は、約2.0から9.5のpHを含む;ならびに複数の胞子は、発芽していない状態のままであり、低温殺菌ステップ後少なくとも2ヶ月間均一に懸濁したままであり、常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物を与える。
【0011】
特定の実施形態において、少なくとも90、95、または99%の胞子は、低温殺菌ステップ後少なくとも2ヶ月間発芽していない状態のままである。特定の実施形態において、少なくとも90、95、99%の胞子は、発芽能力を維持している。特定の実施形態において、少なくとも90、95、99%の胞子は、発芽許容条件に曝露された後に発芽する。
【0012】
特定の実施形態において、少なくとも90%、95%、または99%の胞子は、哺乳動物による摂取の後に発芽する。特定の実施形態において、発芽許容条件は、少なくとも1Awおよび37℃で構成される。特定の実施形態において、少なくとも90%の胞子は、低温殺菌後に生存可能である。
【0013】
特定の実施形態において、栄養添加物は、1%(w/v)未満の栄養細菌細胞を含む。
【0014】
特定の実施形態において、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株は、少なくとも1つのバチルス属(Bacillus)細菌株を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株は、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株、少なくとも1つの枯草菌(Bacillus subtilis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)細菌株、少なくとも1つのバチルス・インディカス(Bacillus indicus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)細菌株、または少なくとも1つのバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)細菌株を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株は、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)を含む。
【0015】
特定の実施形態において、複数の胞子は、組成物の重量につき約5億CFU/gから1兆CFU/gの量で栄養添加物に存在する。
【0016】
特定の実施形態において、少なくとも1つの湿潤剤は、グリセリン、糖、塩、プロピレングリコール、またはガムの少なくとも1つである。
【0017】
特定の実施形態において、栄養添加物は、さらに、イヌリンを含まない少なくとも1つのレオロジー変性剤を含み、少なくとも1つのレオロジー変性剤は、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在する。特定の実施形態において、少なくとも1つのレオロジー変性剤は、キサンタンガム、アラビアガム、ゲランガム、グアーガム、またはカラギーナンの少なくとも1つである。
【0018】
本開示は、また、胞子含有プロバイオティック組成物も提供する。特定の実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、少なくとも90%の胞子が、低温殺菌時間および温度で生存可能である少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株からの複数の胞子を含むプロバイオティック材料;糖類、および少なくとも1つの湿潤剤、またはそれらの組み合わせを含む液体スラリーを含み、組成物は、約0.7未満の水分活性(Aw)および約5.0未満のpHを有する。
【0019】
本開示は、また、胞子含有プロバイオティック組成物を含む食品も提供する。
【0020】
本開示は、また、胞子含有プロバイオティック組成物を含む飲料も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本明細書に記載の組成物および方法は、既存のプロバイオティック製品の欠点および制限に対する解決策を提供する。一貫した微生物学的生存能力を送達するために低温殺菌された場合、特定の時間-温度、pH、および水分活性環境、ならびに食品および飲料製品に添加された場合のその後の活性を生き延びることができる胞子含有(非栄養)プロバイオティック組成物が提供される。例えば、胞子含有プロバイオティック組成物のプロバイオティック生存能力は、低温殺菌プロセス後の組成物の重量で約5億(500 million(M))コロニー形成単位(CFU)/グラム(g)から1兆(1 trillion(T))コロニー形成単位(CFU)/グラム(g)であり得る。
【0022】
本明細書に記載の胞子含有プロバイオティック組成物は、均一に懸濁し、分散された液体スラリーの形状であり得る。液体スラリーは、少なくとも食品または飲料製品(例えば、冷蔵食品もしくは飲料製品または冷凍食品もしくは飲料製品または常温保存可能な食品もしくは常温保存可能な飲料)に添加される前に、周囲の貯蔵条件で安定しているままであり得るように設計される。液体スラリー形状は、粉末形状と比較して、より容易で経済的に、例えば、より短い加工時間、より安価な生産、製造、および加工で食品または飲料に添加することができ、組成物全体に均一に濃縮することができる。本明細書において使用されるように、「食品」は、人間用食品、ペットフード(例えば、イヌ、ネコなどのコンパニオンアニマルによる消費のために設計された食品)、または動物用食品(例えば、家畜などの非コンパニオンアニマルによる消費のために設計された食品)を指す。本明細書において使用されるように、「飲料」は、人間用飲料、ペット用飲料(例えば、イヌ、ネコなどのコンパニオンアニマルによる消費のために設計された飲料)、または動物用飲料(例えば、家畜などの非コンパニオンアニマルによる消費のために設計された飲料)を指す。さらに、液体スラリーは、高温短時間(HTST)、高圧殺菌(HPP)などの低温殺菌方法に耐えるように設計される。いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、延長された貯蔵寿命を有することができる。例えば、延長された貯蔵寿命は、最大3ヶ月間、最大6ヶ月間、または食品もしくは飲料製品の最大貯蔵寿命であり得る。さらに、液体スラリーの組成構成は、結果として、任意の適切な液体送達システム(例えば、投与システム)を使用して液体スラリーを食品または飲料製品に添加することを可能にする粘度およびレオロジー特性となる。
【0023】
胞子含有プロバイオティック組成物は、一般に、プロバイオティック材料を含む。いくらかの実施形態において、組成物中に存在するプロバイオティック材料は、組成物の重量で約5%から70%、約30%から70%、約40%から60%、約40%から50%、約5%から30%、約5%から25%、または約5%から20%の量で存在することができる。他の実施形態において、プロバイオティック材料は、これらの述べられた値のいずれかの間の量で組成物中に存在することができる。
【0024】
プロバイオティック材料は、複数の胞子および以下で説明されるような少なくとも1つの賦形剤を含む。複数の胞子は、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株由来である。いくらかの実施形態において、組成物中に存在する複数の胞子は、組成物の重量で約5億(500 million(M))CFU/gから1兆(1 trillion(T))CFU/g、約10億(1 billion(B))CFU/gから1兆(1 trillion(T))CFU/g、約5億(500 million(M))CFU/gから50億(5 billion(B))CFU/g、または約5億(500 million(M))CFU/gから100億(10 billion(B))CFU/gの量であり得る。他の実施形態において、組成物中に存在する複数の胞子は、これらの述べられた値のいずれかの間の量であり得る。
【0025】
少なくとも1つの胞子形成細菌株は、任意の胞子形成細菌株(複数可)を含むことができる。いくらかの実施形態において、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株は、少なくとも1つのバチルス細菌株であり得る。適切な胞子形成細菌株の非限定的例は、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株、少なくとも1つの枯草菌(Bacillus subtilis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)細菌株、少なくとも1つのバチルス・インディカス(Bacillus indicus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細菌株、少なくとも1つのバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)細菌株、少なくとも1つのバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)細菌株、少なくとも1つのバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)細菌株、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0026】
いくらかの実施形態において、少なくとも1つの胞子形成プロバイオティック細菌株は、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株であり得る。例えば、少なくとも1つのバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)細菌株は、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)を含むことができる。バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30株のさらなる詳細は、米国特許第6,849,256号、第7,713,726号、および第8,277,799号において見出すことができ、それぞれが参照によって本明細書によりその全体に組み込まれている。
【0027】
胞子含有プロバイオティック組成物全体にわたる胞子分布の均質性は、安定であり得る。例えば、組成物は、実質的な沈降(例えば、胞子含有プロバイオティック組成物の体積による胞子の量の5%超)または相分離(例えば、胞子含有プロバイオティック組成物の体積による胞子の量の5%超)を受けない。この均質性は、単独または胞子含有プロバイオティック組成物の比重と組み合わせて、胞子含有プロバイオティック組成物の食品または飲料製品への再現性のある投与を容易にすることができる。いくらかの実施形態において、組成物の比重は、約1.0から1.5または約1.25から1.45であり得る。他の実施形態において、組成物の比重は、これらの述べられた値のいずれかの間であり得る。
【0028】
いくらかの実施形態において、プロバイオティック材料は、また、少なくとも1つの糖類を含むことができる。適切な糖類の非限定的例は、単糖類およびイヌリンまたはマルトデキストリン、ガラクトオリゴ糖類、フラクトオリゴ糖類などの多糖類を含む。例えば、イヌリンは、プロバイオティック材料の重量で約75%から95%、約80%から90%、または約75%から80%の量で存在することができる。そのような実施形態において、イヌリンは、レオロジー変性剤として機能することができる。
【0029】
他の実施形態において、プロバイオティック材料は、イヌリンを含まない。そのような実施形態において、イヌリンは、胞子含有プロバイオティック組成物に別々に添加することができる。本明細書において使用されるように、「添加されたイヌリン」は、プロバイオティック材料に含まれないが、胞子含有プロバイオティック組成物に別々に添加されているイヌリンを指すために使用される。例えば、いくらかの実施形態において、別々に添加されたイヌリンは、組成物の重量で約0.1%から30%、約0.1%から25%、または約0.1%から20%の量で存在することができる。そのような場合において、別々に添加されたイヌリンは、レオロジー変性剤として機能することができる。
【0030】
いくらかの実施形態において、プロバイオティック材料は、マルトデキストリンを含むことができる。そのような実施形態において、本明細書において「添加されたイヌリン」と呼ばれるイヌリンは、胞子含有プロバイオティック組成物に別々に添加することができる。例えば、いくらかの実施形態において、添加されたイヌリンは、組成物の重量で約0.1%から30%、約0.1%から25%、または約0.1%から20%の量で存在することができる。
【0031】
いくらかの実施形態において、プロバイオティック材料は、脱脂粉乳を含むことができる。そのような実施形態において、本明細書において「添加されたイヌリン」と呼ばれるイヌリンは、胞子含有プロバイオティック組成物に別々に添加することができる。例えば、いくらかの実施形態において、別々に添加されたイヌリンは、組成物の重量で約0%から30%、約0%から25%、または約0%から20%の量で存在することができる。
【0032】
プロバイオティック材料に加えて、胞子含有プロバイオティック組成物は、水を含むことができる。いくらかの実施形態において、水は、組成物の重量で約20%から60%、約20%から50%、または約20%から40%の量で存在する。
【0033】
さらに、胞子含有プロバイオティック組成物の胞子の休眠は、例えば、約0.95未満の水分活性(A)まで水分活性を最小化することにより維持することができる。すなわち、低水分活性は、胞子の発芽を阻害することができる。低水分活性は、また、一定期間、例えば、約3ヶ月まで、6ヶ月まで、またはその組成物(複数可)を含む食品または飲料製品の貯蔵寿命まで、組成物内の沈降または相分離を減少させる。結果として、胞子含有プロバイオティック組成物は、組成物を製品、例えば、食品または飲料製品に添加する前、均一に懸濁されたままであり得る。すなわち、従来の胞子含有プロバイオティック組成物、例えば、サノフィが製造販売しているエンテロゲルミナとは異なり、本胞子含有プロバイオティック組成物は、食品または飲料製品への添加の前に組成物を完全に混合する必要なしで、食品製品または飲料製品に添加することができる。したがって、本明細書に記載の胞子含有プロバイオティック組成物の利点は、長期間の均一な懸濁の維持である。
【0034】
さらに、低水分活性を介した胞子発芽の阻害は、他の利点をもたらすことができる。例えば、所望の使用の前、胞子は、長期間、組成物全体に均一に分散されたままであり得、それによって、貯蔵寿命を延長することができる。さらに、胞子含有プロバイオティック組成物の胞子は、環境因子に応答して発芽または増殖しないように、それらの耐性状態にとどまることができる。結果として、胞子は、高温短時間(HTST)、高圧低温殺菌(HPP)などの低温殺菌後も生存することができる。
【0035】
いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物の水分活性は、約0.001Aから約0.99Aであり得る。いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物の水分活性は、約0.95A以下、または約0.90A以下、または約0.85A以下、または約0.80A以下、または約0.75A以下、または約0.70A以下、または約0.65A以下、または約0.60A以下、または約0.55A以下、または約0.50A以下、または約0.45A以下、または約0.40A以下、または約0.35A以下、または約0.30A以下、または約0.25A以下、または約0.20A以下、または約0.15A以下、または約0.10A以下、または約0.05A以下、または約0.01A以下、または約0.005A以下、または約0.004A以下、または約0.003A以下、または約0.002A以下である。このパラメータは、少なくとも1つの湿潤剤の包含により達成することができる。例えば、いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、少なくとも1つの湿潤剤を含むことができる。本明細書において使用されるように、「湿潤剤」は、水を引き付けて保持する吸湿性物質である。少なくとも1つの湿潤剤は、グリセリンであり得る。グリセリンは、組成物の重量で約30%から75%、約30%から70%、約40%から75%、約50%から75%、約55%から65%、約50%から70%、約40%から60%、または約40%から50%の量であり得る。他の適切な湿潤剤の非限定的例は、糖類、例えば、ソルビトール(例えば、組成物の重量で約30%から70%)、塩類(例えば、組成物の重量で約30%から75%)、プロピレングリコール(例えば、組成物の重量で約30%から75%)、およびガム、例えば、キサンタンアカシアガム(例えば、組成物の重量で約10%から30%)を含むことができる。
【0036】
胞子含有プロバイオティック組成物は、イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない少なくとも1つのレオロジー変性剤を含むことができる。イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない、適切なレオロジー変性剤の非限定的例は、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、ゲランガムなどを含む。いくらかの実施形態において、イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない少なくとも1つのレオロジー変性剤は、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在する。例えば、いくらかの実施形態において、イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない少なくとも1つのレオロジー変性剤は、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在するキサンタンガムである。他の実施形態において、イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない少なくとも1つのレオロジー変性剤は、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在するアラビアガムである。他の実施形態において、イヌリンを含まない、および/または、イヌリンが添加されていない少なくとも1つのレオロジー変性剤は、組成物の重量で約0.01%から0.3%の量で存在するゲランガムである。
【0037】
いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、塩を含まない。他の実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、組成物の重量で約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.1%未満、約0.01%未満、約0.001%未満、または約0.0001%未満の量で存在する塩を含むことができる。塩の非限定的例は、食卓塩、例えば、NaCl、コーシャーソルト、ヨウ素添加塩、海塩、ヒマラヤ塩を含む。他の塩は、例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムの塩化物塩を含む。
【0038】
いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、4℃の温度で測定された、約25センチポイズ(cP)から2000センチポイズ(cP)の粘度を有することができる。例えば、4℃の温度で測定された胞子含有プロバイオティック組成物の粘度は、約5cPから100,000cP、約5cPから10,000cP、または約5cPから50,000cPであり得る。
【0039】
胞子含有プロバイオティック組成物は、また、追加の要素、例えば、天然香料(複数可)、保存料、酸味料など、またそれらの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、組成物の重量で約0%から2%の量で存在する少なくとも1つの天然香料を含むことができる。いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、組成物の重量で約0%から2%の量で存在する少なくとも1つの保存料を含むことができる。本明細書において使用されるように、「保存料」は、望ましくない微生物の増殖を阻害する原料を指す。適切な保存料の非限定的例は、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、およびプロピオン酸を含む。
【0040】
いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、組成物の重量で約0%から2%の量で存在する少なくとも1つの酸味料を含むことができる。本明細書において使用されるように、「酸味料」は、最終pH(例えば、約5未満)まで組成物のpHを下げる原料を指す。少なくとも1つの酸味料は、有機酸または鉱酸であり得る。適切な酸味料の非限定的例は、乳酸、酢酸、クエン酸、塩酸、リンゴ酸、およびリン酸を含む。少なくとも1つの酸味料の胞子含有プロバイオティック組成物への添加は、例えば、腐敗性微生物の増殖を阻害するように組成物のpHを変更することができる。いくらかの実施形態において、酸味料(例えば、乳酸)を含む胞子含有プロバイオティック組成物のpHは、4.6未満のpHを有することができる。例えば、いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、約2.0から5、約2.5から5、または約3.0から5のpHを有することができる。
【0041】
いくらかの実施形態において、胞子含有プロバイオティック組成物は、約2.0から9.5、約3.0から8.0、または約2.5から8.5のpHを有することができる。
【0042】
胞子含有プロバイオティック組成物は、任意の適切な方法を使用して生産することができる。例えば、いくらかの実施形態において、方法は、水およびグリセリンを一緒に混合して第1混合物を形成するステップ、少なくとも1つのレオロジー変性剤をプロバイオティック材料に(例えば、1:10の比で)添加して第2混合物を形成するステップ、ならびに、その後、第1および第2混合物を(例えば、高せん断下で)組み合わせて混合し、液体スラリーを形成するステップを含むことができる。方法は、また、少なくとも1つの酸味料、例えば、乳酸、または保存料、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、および/またはソルビン酸を添加するステップを含むことができる。方法は、また、少なくとも1つの酸味料または保存料の添加後、液体スラリーを高せん断下で均質化するステップを含むことができる。均質化後、液体スラリーは、(例えば、HPPまたはHTSTを介して)低温殺菌することができ、それによって、胞子含有プロバイオティック組成物を形成し、その後、(例えば、キャップ付きまたはなしの0.1~20Lの袋に)包装することができる。あるいは、少なくとも1つの酸味料または保存料の添加後、それによって、液体スラリーを高せん断下で均質化するステップは、その後に包装することができる胞子含有プロバイオティック組成物を生産する。いくらかの実施形態において、包装された胞子含有プロバイオティック組成物は、その後、(例えば、HPPを介して)低温殺菌することができる。
【0043】
包装された胞子含有プロバイオティック組成物は、例えば、混合、例えば、低もしくは高撹拌、または噴霧を介して、例えば、食品または飲料製品に添加することができる。いくらかの実施形態において、包装されたスラリーの食品または飲料製品への送達は、無菌条件下で実行することができる。
【0044】
胞子含有プロバイオティック液体スラリー組成物は、食品または飲料製品への添加物であり得る。食品または飲料製品は、冷蔵、冷凍、または常温保存可能であり得る。
【0045】
胞子含有プロバイオティック組成物および方法は、以下の非限定的例を用いてさらに理解することができる。
実施例
実施例1:胞子含有プロバイオティック組成物の調製
【0046】
以下で説明する代表的な手順を使用して、胞子含有プロバイオティック組成物の16の異なる試料を調製した。
【0047】
水をジャケット付きステンレス鋼混合容器内で40°Fから100°Fまで加熱または冷却する。水を高せん断溶解機速度20%~80%および側部掃引撹拌50%~100%で撹拌する。撹拌中、酸味料は、pHが4.0~4.6になるまで水に添加される。任意で、保存料が添加される。キサンタンガムおよび/またはアラビアガムおよび/またはゲランガムを胞子含有プロバイオティック粉末と約1:10の比で混合する。乾物を水/酸味料に加え、高せん断溶解機速度20%~80%および側部掃引撹拌50%~100%でブレンドし、液体スラリーを形成する。これを5分間混合する。撹拌中、40°F~100°Fでグリセリンを液体スラリーに添加する。液体スラリーを5~20分間、高せん断溶解機速度20%~80%および側部掃引撹拌50%~100%を使用して混合する。液体スラリーは、容器からインライン高せん断装置(例えば、IKA、Greerco、GEA、Niro Soaviホモジナイザ)に通して移される。その後、液体スラリーは、せん断装置から熱処理装置(例えば、プレートまたはキサゲ面熱交換器)に、そしてそれを通って移され、液体スラリーを160°F~200°Fの温度で15~45秒間加熱する。その後、インライン冷却熱交換器(プレートまたはキサゲ面)を介して、加熱された液体スラリーを50°F以下の温度まで冷却する。その後、冷却された液体スラリーは、0.1L~20Lのバッグインボックスなどの容器に包装される。
【0048】
試料1~8および9~16の組成構成を、それぞれ表1Aおよび1Bに示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2:胞子含有組成物の特徴づけ
【0052】
実施例1において調製されたような試料1~16をそれぞれ特徴づけた。表2は、実行された種々の分析および使用した方法を示す。表3Aは、試料1~8についてのこれらの分析の結果を示し、表3Bは、試料9~16についてのこれらの分析の結果を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
実施例3:比較試験-沈降
【0057】
液体組成物を2週間撹拌なしで貯蔵した。液体組成物を目視検査し、液体組成物の成分が沈降していなかったことが分かった。
実施例4:比較試験-水分活性および粘度
【0058】
エンテロゲルミナ試料(US2015/0118203)を水分活性および粘度について試験し、本明細書の試料と比較した。エンテロゲルミナ製品のAwは、1と等しかった。対照的に、本明細書の試料1~16のAwは、約0.6から約0.7である。
定義
【0059】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、(例えば、細胞培養、細菌学、分子遺伝学、および生化学において)当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有すると解釈される必要がある。
【0060】
値または範囲は、本明細書において、「約」および/または「約」とするある特定の値から/の別の特定の値として表すことができる。そのような値および範囲が表される場合、開示された他の実施形態は、述べられた特定の値および/またはその特定の値から/の別の特定の値を含む。同様に、値が先の「約」を使用することにより近似値として表される場合、本明細書において開示された多くの値があり、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。そこには多くの値が開示されており、各値が、値自体に加えて、その特定の値の「約」としても本明細書に開示されていることがさらに理解されるであろう。実施形態において、「約」は、例えば、述べられた値の10%以内、述べられた値の5%以内または述べられた値の2%以内を意味するために使用することができる。
【0061】
本明細書において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で明確に示されていない限り、複数形も同様に含めることが意図される。さらに、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、またはそれらの変形は、詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される範囲内で、そのような用語は、用語「含んでいる(comprising)と類似の様式で包括的であることが意図される。
【0062】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「または(or)」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、一般に、「および/または(and/or)」を含むその意味で使用される。
【0063】
本明細書において使用されるように、用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprise)」または「含まれる(comprised)」およびそれらの変形は、項目、組成物、装置、方法、プロセス、システムなどの定義または記載された要素に関して、包括的または自由であり、追加の要素を許可し、それによって、定義または記載された項目、組成物、装置、方法、プロセス、システムなどが、指定された要素-または必要に応じて同等の要素を含むこと-ならびに他の要素を含むことができ、さらに、定義された項目、組成物、装置、方法、プロセス、システムなどの範囲/定義に属することを示唆することを意味する。
【0064】
現在の教示を説明および定義する目的のために、別段の指示がない限り、用語「実質的に(substantially)」は、本明細書において、定量的な比較、値、測定、または他の表現のいずれかに起因する可能性のある固有の不確実性の程度を表すために使用されることに留意する。用語「実質的に(substantially)」は、また、問題の主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が、述べられた参照から変化することができる程度を表すために本明細書において利用される。
【0065】
本明細書において使用されるように、用語「発芽許容条件」は、胞子の発芽を可能にする環境的条件である。これらの環境的条件は、温度、栄養素、pHレベルなどを含む。
【0066】
本明細書において使用されるように、「常温保存可能」は、周囲、冷蔵または冷凍条件下で安定しており、消費に対して安全である組成物を指す。
【0067】
本明細書において、「栄養添加物」は、人間または動物の消費を目的とする固体および/または液体栄養添加物である。
【0068】
本明細書に記載の常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物が、売買される、販売される、流通される、貯蔵される方法などに制限はない。例えば、上の実施例は、胞子含有プロバイオティック組成物が、キャップ付きまたはなしのバッグおよびバッグインボックスなどの種々の形式で包装される実施形態を説明する。常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物は、食品および飲料用途の工業的加工のために、これらまたは類似の形式で流通させることができる。常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物は、また、栄養補助食品などの個人消費者の消費のために包装され、流通させることも可能である。これは、密封されたバイアル、液体サプリメントなどを含む、任意の周知の一回分および複数回分の包装を含むことができる。
【0069】
上記説明が、胞子形成プロバイオティック細菌株の使用および休眠を維持するための条件に焦点を当てる可能性があるが、常温保存可能な胞子含有プロバイオティック栄養添加物が、また、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)およびビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の種などの、(胞子とは別に、または胞子に加えて)カプセル化された(非胞子形成性)栄養プロバイオティックスを使用して調製することができることも理解されるであろう。
【0070】
当業者は、上述した実施形態に基づく本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲により示されるものを除いて、特に示され、説明されたものにより限定されない。本明細書において引用されるすべての刊行物および参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に明白に組み込まれる。参照により本明細書に組み込まれると言われている任意の特許、出版物、または情報の全部または一部は、組み込まれた材料が既存の定義、ステートメント、または本文書に記述されている他の開示材料と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。そのため、本明細書に明白に記述されている本開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する材料に優先する。
【国際調査報告】