(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】体内ガイドコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
A61M39/02 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564291
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020061625
(87)【国際公開番号】W WO2020221695
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102019110982.5
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521471154
【氏名又は名称】コーライフ オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ハーフェリヒ,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー-コッベ,クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】ハルダー,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066LL12
(57)【要約】
発明は生物の内部の医療デバイスに属するラインを案内するための体内ガイドコンポーネント(1)に関する。ガイドコンポーネント(1)は、ラインを受け入れ案内するためのラインチャネル(3)を備える本体(2)を有している。ガイドコンポーネント(1)を生物の身体内により容易に且つ組織への損傷を少なくして固定するために、発明によれば、本体(2)はその周囲に、生物の骨構造とのインターロッキング及び/又は摩擦接触のために設計された1つ又はそれ以上の接触面(4、4b)を有している。例えば、ガイドコンポーネント(1)は、生物の心臓へと続くラインをしっかりと保持し案内するために、肋間ガイドコンポーネント(1)として、生物の2つの肋骨弓の間にクランプされ得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の内部で医療デバイスのライン特に経皮的ラインを案内するための体内ガイドコンポーネント(1)であって、前記ラインを受け入れ案内するためのラインチャネル(3)付き基体(2)を有するガイドコンポーネント(1)において、前記基体(2)がその周囲に前記生物の骨構造への形状嵌め係合(form-fit engagement)及び/又は力嵌め係合(force-fit engagement)のために設計された1つ又はそれ以上の接触面(4、4a、4b)を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記基体(2)が前記生物の骨構造への形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合のために設計された少なくとも2つの互いに反対側の接触面(4、4a、4b)を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ガイドコンポーネント(1)が肋間ガイドコンポーネント(1)として設計されていて、前記基体(2)は前記生物の頭側肋骨への形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合のために提供されている頭側接触面(4a)を有し、前記基体(2)は前記生物の尾側肋骨への形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合のために提供されている尾側接触面(4b)を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ガイドコンポーネント(1)が複数のガイドコンポーネント要素(5a、5b)による数個の部分で形成され、特に2つのガイドコンポーネント要素(5a、5b)による2つの部分で形成されている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記多部構成ガイドコンポーネントの前記ガイドコンポーネント要素(5a、5b)が互いへの接続、特に解放可能な接続を作り出すための接続手段を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ガイドコンポーネント(1)の前記基体(2)が当該基体(2)の頭尾方向中心軸(7)周りに湾曲した基本形状を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ラインチャネル(3)が前記基体(2)の腹側表面(8)と前記基体(2)の背側表面(9)の間を走っている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ラインを受け入れ案内するための前記ラインチャネル(3)が前記基体(2)を貫く傾斜孔として設計されている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ラインチャネル(3)が部分的に断面くびれ部を有しているということ、及び/又は、前記ラインチャネル(3)の中へ前記基体(2)の固定構造が突き出ているということ、を特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記基体(2)が当該基体(2)と共に1つの部片に形成された少なくとも1つの締結構造(10)を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記基体(2)が少なくとも1つの締結開口部(11)を有している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記1つ又はそれ以上の接触面(4、4a、4b)が前記基体(2)の前記周囲を少なくとも部分的に走る溝(12)又は複数溝(12)として設計されている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記溝(12)又は前記複数溝(12)の溝底面(14)には、少なくとも1つの保持構造(15)、特に前記基体(2)と共に1つの部片に形成された少なくとも1つの保持構造(15)が配置されている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ラインチャネル(3)の直径が当該ラインチャネル(3)によって受け入れられることになる前記ラインの直径に対応している、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の体内ガイドコンポーネント(1)において、
前記ガイドコンポーネント(1)が生体適合性金属又は生体適合性プラスチックで作られている、ということを特徴とする体内ガイドコンポーネント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物の内部で医療デバイスのラインを案内するための体内ガイドコンポーネントに関する。本明細書では、ガイドコンポーネントは、ラインを受け入れ案内するためのラインチャネル付き基体を有している。
【背景技術】
【0002】
この類のガイドコンポーネントは、生物の身体の内部に位置付けられた医療デバイスのケーブル、ホース、チューブ、又は他のラインを案内、保持、及び固定するのに使用される。例えば、一部の植え込み式医療デバイスは、一般的には体外にて利用可能とされ定常的に身体上に装着される永久電源を必要とする。
【0003】
或る具体的な例として、ここでは植え込み式人工心臓システムについて述べてみよう。人工心臓と外部制御部/電源の間の接続は、ドライブラインとも呼ばれ、制御部から始まり皮膚を通って生物の身体の中へ経路づけられる。ドライブラインは、概して、電源ラインと、例えばセンサデータ及び計測データのやり取り又は制御コマンドのやり取りのためのデータライン又は制御ラインと、を収容している。
【0004】
ガイドコンポーネントは、特に経皮的ラインのために提供される。その様なラインは生物の皮膚を通って経路づけられる。その様な使用では、皮膚がラインへ接着し、好適にはガイドコンポーネントへも接着することができるように、ラインの出口点が皮膚によって包まれ、感染障壁を形成することが条件とされる。
【0005】
製造者らは、一般的に、皮膚への接着を促進しひいては密シールを形成するライン表面を選択する。但し、この目的のためにはラインへの引張応力があってはならず、というのもラインが動けばラインが皮膚へ接着できなくなるからである。ラインは、例えば絆創膏へ定着させたプラスチックの羽を使用して皮膚上に固定されることがある。留意すべきこととして、原理上は、ラインの経筋肉的及び/又は皮下的な通過は特に感染を招きやすい。
【0006】
米国特許第10,105,537B2号は、ペースメーカーケーブルのためのケーブル保持器を開示している。保持器は、生物の肋間領域即ち2本の肋骨の間の筋肉組織内又は筋肉組織上に、例えばねじ付け又は縫い付けによって固定される。保持器の目的は、ペースメーカーケーブルの望ましからざる位置変化を防ぐこと、及びペースメーカーケーブルをケーブルが貫通案内される筋肉から電気的に絶縁することである。
【0007】
米国特許第2006/0025826A1号は、テレスコピックラインを有する皮下植え込み式カルジオバータ-デフィブリレータを開示している。デバイスは、ラインが長さ補償とハウジングのより自由な位置決めを許容するために変位可能に配置されるガイドチャネル付きハウジングを有している。装着快適性を高めるために、ハウジングは患者の肋骨の間に肋骨と平行に肋間配置させることができる。この目的のために、ハウジングは細長く湾曲した設計を有し得る。
【0008】
米国特許第2018/0272122A1号は、肋間筋肉組織へ締結させることのできる植え込み式医療デバイスを開示している。この目的のために、デバイスは、筋肉組織の中へ挿入されそれによりデバイスをその所定の肋間位置に定着させる1つ又はそれ以上の細長いアンカー構造を有している。デバイスは、筋肉組織上に面一に配置させることができるように凸形状を有し得る。
【0009】
米国特許第2004/215303A1号は、生体医用植え込み式ラインの電気的接続のための接点を記載している。これらは、接続されるべき導体を例えばリング状に取り囲む生体適合性且つ電気伝導性接点接続である。
【0010】
米国特許第2011/009933A1号は、1つ又はそれ以上の電極ラインのためのガイドチャネルを有している植え込み式デバイスに係る植え込み式電気刺激システムに関している。
【0011】
米国特許第2011/004286A1号は、ラインを有する植え込み式心臓デバイスを提案しており、例えばパルスジェネレータ又はデフィブリレータとして設計された心臓デバイスは患者の胸郭又は腹壁に配置され、ラインが心臓へ経路づけられる。ラインへの引張応力を強めたり逃がしたりするために、例えば導体ワイヤのための4つの開口部を有する堅いラインチャネルが幾つかの部分に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第10,105,537B2号
【特許文献2】米国特許第2006/0025826A1号
【特許文献3】米国特許第2018/0272122A1号
【特許文献4】米国特許第2004/215303A1号
【特許文献5】米国特許第2011/009933A1号
【特許文献6】米国特許第2011/004286A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この背景に照らし、発明によって解決が図られる課題は、生物の身体の内部により容易に且つ組織にやさしいやり方で固定させることのできる改善されたガイドコンポーネントを利用可能にすることである。ガイドコンポーネントは、特に、経皮的ラインの案内にも適しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
課題は、問題の型式のガイドコンポーネントにおいて、ガイドコンポーネントの基体が、その周囲に、生物の骨構造への形状嵌め係合(form-fit engagement)及び/又は力嵌め係合(force-fit engagement)のために設計された1つ又はそれ以上の接触面を有しているガイドコンポーネントによって解決される。
【0015】
形状嵌め係合とは、ガイドコンポーネントと骨構造がそれらの形状のせいで互いから離れないようになった、ガイドコンポーネントと骨構造のインターロッキングを伴う接続を意味するものと理解される。ここでは、ガイドコンポーネントと骨構造は、言うなれば、それらが互いに支え合うように互いの「行く手に立ちふさがっている」わけである。
【0016】
力嵌め係合の場合には、ガイドコンポーネントと骨構造の間の相互的位置ずれは、それら2つの構成要素の間に作用する静止摩擦に因り防止される。静止摩擦が外力によって打ち負かされない限り、ガイドコンポーネントと骨構造は摩擦嵌めで互いへ接着している。
【0017】
こうして、基体は、一方ではその形状のおかげ、例えば幾つかの部分が骨構造と逆の輪郭又はアンダーカットを呈している形状のおかげで骨構造上に保持されることができ、また他方では、その表面のおかげ、例えば高い静止摩擦係数を有している表面のおかげで骨構造上に保持されることができるのである。当然ながら、形状嵌め係合と力嵌め係合の組合せも考えられる。
【0018】
形状嵌めは、例えば、肋骨の湾曲と協働的なガイドコンポーネントの少なくとも部分的に湾曲した形状によって利用可能になり得る。ガイドコンポーネントの頭側面と尾側面の対応するノッチが形状嵌めを改善し得る。
【0019】
発明によれば、基体の表面の少なくとも一部分を占める接触面が、骨構造への形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合のために設計されている。接触面は、更に、基体の周囲に周辺的に設けられていてもよいし、又は互いに間隔を空けた複数の個別の接触面へ分割されていてもよい。したがって、基体全体が骨構造にのしかかるように設計されることが必須というわけではない。
【0020】
骨構造は、生物の圧力耐性及び引張耐性のある器官であって生物の骨格の一部である器官を意味するものと理解される。これは、単一骨、又は複数骨、又は関節の様な骨接続部であるとしてもよい。骨構造は、好適には、肋骨構造、例えば生物の胸郭の肋骨構造であり、肋骨構造は、単一肋骨によって形成されていてもよく、又は複数の肋骨、具体的には2本の隣接する肋骨によって形成されていてもよい。
【0021】
問題のラインは、原理上は更に、剛性ではあるが具体的には可撓性か又は少なくとも部分的に可撓性のラインであり、即ち媒体を搬送するのに適しているか又は電源ライン及び/又はデータラインとして設計されているしなやかな及び/又は弾性の接続チャネルである。電源ライン又はデータラインの場合、これらは、例えば金属ワイヤの様な電気導体を収容し得るが、同じく光ファイバの様な光導体を収容していてもよい。媒体搬送ラインは、例えば空気の様なガス及びガス混合物或いは体液又は医療用溶液の様な液体を搬送する例えばホース、チューブ、又はカテーテルである。更には複数の導体がそれらを包囲するライン内に設けられていてもよく、例えばケーブル又はホースがその内部に経路づけられた電源ライン及びデータラインの様な複数の電気ラインを有していてもよい。
【0022】
ラインは、概して、人工心臓システムの制御ユニットとして、透析機械として、又は人工呼吸器として設計され得る医療デバイスへ接続されている。原理上は、生物の内部器官へラインを介して接続され得る広範に様々な医療デバイスが考えられる。これらは、生物の身体上に永久的に装着されるデバイスである必要はなく、定期的又は不定期的にラインへ付着されるだけのデバイスであってもよい。但し、ライン自体は関係する生物の内部に永久的に経路づけられていて単に一時的ではないのが望ましく、したがってガイドコンポーネントも長期使用向けを意図している。
【0023】
この出願では、生物は、本質的に、問題の型式の医療デバイスを用いた医学的治療が実施可能であるヒト又は動物としての生物を意味するものと理解される。
【0024】
発明によるガイドコンポーネントは、ガイドコンポーネントの実質的な三次元の広がりと形状を画定する基体を有している。基体は、原理上は、球、直方体、円柱、立方体、又は切頭ピラミッドの様な規則的又は対称的な基本形状を有し得る。但し、不規則的、多角形、及び非対称的な基本形状も同じく考えられる。発明の1つの実施形態では、ガイドコンポーネントは、台形の底面積を有していて、ガイドコンポーネントが設置状態にあるときに台形の狭いほうの辺が背側に向き付けられるようになっているのが望ましい。最後に、特に、基体の形状及び広がりは、体内の目的地点である部位の幾何学的特性に基づいており、発明により提供されるところの基体と生物の骨構造との接触部に関しては特にそうである。
【0025】
基体の基本形状に関係なく、基体はラインを受け入れ案内するためのラインチャネルを有している。最も単純な事例では、その様なラインチャネルは、円形ガイド断面を有するラインチャネルが形成されるように基体を貫く貫通孔として設計され得る。当然ながら、他のガイド断面を有するラインチャネル、例えば矩形又は半円形のガイド断面を有するラインチャネルも考えられる。ラインチャネルは、高度な案内安定性を確約するために、基体の内部を通り抜けているのが望ましい。但し、他の実施形態では、基体の周囲にラインチャネルを配置することも考えられ、例えば、ラインが基体から緩んでしまうのを防止する適切な溝又はガイドアイレットの形態をしたものが考えられる。
【0026】
本明細書での原文の冠詞「a」又は「an」の対訳である「或る」又は「一」は、たった1つを意味するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。ゆえに、原理上は、基体又はガイドコンポーネントには、複数の異なるラインを保持及び固定可能とするために複数のラインチャネルを設けることもできる。具体的には、例えば異なる直径を有する、複数の異なった設計のラインチャネルが設けられてもよい。
【0027】
基体を製造するのに、数多くの一次成形及び再成形製造方法が使用できるだろう。例えば、基体は、鋳造法又はプレス成形法によってとりわけ単純に製造されることもできるし、或いは付加製造法(例えば3Dプリンティング法)又はモールド成形法によって高度の個体性を持たせて製造されることもできる。所望の幾何学的要件を有するガイドコンポーネントを可能最少製造工程数で製造するために、基本形状を補完する構造、例えばラインチャネルを前もって製造方法に反映させておくことができる。
【0028】
発明によるガイドコンポーネントを用いると、ガイドコンポーネントを1つ又はそれ以上の骨構造に係合させることによって生物の身体内の意図された部位に素早く且つ容易に固定可能にする、例えばクランプ可能にする、ということが初めてなし得られる。ゆえに、ガイドコンポーネントを付着させるのに追加の接続手段、具体的にはねじ又は外科用の糸は必要ない。加えて、ガイドコンポーネントが必ずしも組織、皮膚、及び骨へねじ込まれ又は縫い付けられる必要がないため、組織、皮膚、及び骨への外傷が回避されるか又は少なくとも低減される。したがって、ガイドコンポーネントは、原理上は、低侵襲的なやり方で植え込み可能である。加えて、骨構造に係合するガイドコンポーネントは、比較的硬く動かない骨構造上に支持されるので、より安定したやり方で具体的にはより安定した位置に配置される。
【0029】
ガイドコンポーネントは、力嵌め係合及び/又は形状嵌め係合を用いて固定されるおかげで、比較的小さいサイズであり、したがって先行技術による解決策に比べるとガイドコンポーネントの植え込みには小さい組織切開しか必要ない。
【0030】
ガイドコンポーネントは、形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合を用いて骨構造にのしかかることによって皮膚の直下に位置決めされ、そこにしっかりと保持されることができるので、特に経皮的ラインの案内にも適している。
【0031】
或る特に好都合な実施形態では、基体は、形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合を用いて生物の骨構造にのしかかるように設計された互いに反対側に延びる少なくとも2つの接触面を有している。ゆえに、2つの接触面は、具体的には基体の異なる平面に又は異なる側に接触面が形成されるようなやり方で互いに離間されている。例えば、接触面は、基体の上側と下側に、及び/又は、基体の左側又は右側に、形成されていてもよい。ガイドコンポーネントが生物の身体の中へ挿入されるときの解剖学的方向の指示に関しては、接触面は、例えば、基体の頭側平面及び尾側平面に、及び/又は、基体の背側平面及び腹側平面に配置され得る。したがって、この実施形態は、原理上は、ガイドコンポーネントが生物の2つの互いに反対側の骨構造の間に固定できることを確約することを目指している。これは、例えば、骨構造間の力嵌めクランピングを促進する。この目的のため、例えば、2つの接触面間の距離は、係合のために提供される骨構造間の距離よりわずかに大きくなるように寸法設定されてもよく、そうすれば干渉嵌めがガイドコンポーネントの骨構造間力嵌め保持を促進する。分増は、接触面、例えば頭側接触面又は尾側接触面の湾曲設計によって現出させることもできる。当然ながら、接触面の形状は更に、原理上は、骨構造へのガイドコンポーネントの形状嵌めが得られるようなやり方で例えば係合のために提供される骨の逆の輪郭又はアンダーカットとして設計されてもよい。少なくとも2つの互いに反対側の接触面を有する実施形態は、生物の内部の意図された場所でのガイドコンポーネントの保持を改善する。加えて、それぞれに骨構造を割り当てられた複数の接触面がガイドコンポーネントの位置決め可能性をより明確に画定するので、位置決めがより容易になる。
【0032】
或る特に功利的な実施形態では、ガイドコンポーネントは肋間ガイドコンポーネントとして設計されており、その基体は、生物の頭側肋骨への形状嵌め係合及び/又は力嵌め形状のために提供されている頭側接触面を有し、また、その基体は生物の尾側肋骨への形状嵌め係合及び/又は力嵌め形状のために提供されている尾側接触面を有している。したがって、ガイドコンポーネントは、2本の隣接している又は互いに反対側の肋骨であって、そのうちの一方の肋骨は上側又は頭側の肋骨を形成し他方の肋骨は下側又は尾側の肋骨を形成する、2本の肋骨の間に位置決めされ得る、という規定がなされる。
【0033】
当然ながら、ガイドコンポーネントは、肋骨の全長に沿ってのしかかる必要があるわけではない。原理上は、ガイドコンポーネントはそれぞれの肋骨の一部にのしかかるという規定が代わりになされる。都合のよいことに、基体の頭側接触面及び尾側接触面は、ガイドコンポーネントが肋骨へ係合する領域の肋骨形状に適合されており、この目的のために、接触面は、例えば、肋骨弓の凸形状部にのしかかり形状嵌めを現出できるようになるために凹状設計である。ガイドコンポーネントの高さは、係合のために提供される肋骨部分を隔てる距離に対応している。代替的又は追加的に、隣接する肋骨部分へ十分なクランプ力を効かせることができるようになるためには、ガイドコンポーネントの軽度の干渉嵌めが功利的である。但し、生物の内部に強い押圧感又は異物感を生じさせないため、或いは、更には組織、骨構造、又はガイドコンポーネントを傷つけないために、及びガイドコンポーネント挿入時にあまり多くの労力を要しないためには、選定される分増はあまり高すぎないほうがよい。肋間ガイドコンポーネントとしての記載の実施形態の利点は、肋骨構造がガイドコンポーネントの接触面のための接触相手として特に適していることにある。肋骨構造は比較的に規則的であり、数対の肋骨がガイドコンポーネントのための接触相手として見込まれるので、ガイドコンポーネントの植え込み者は、ガイドコンポーネントをどの肋骨弓の間に及びどの位置に設置するべきかを比較的自由に且つ個別的に決定することができる。この実施形態は、更に、心臓に関係する医療用途にとっても好都合であり、というのもガイドコンポーネントは生物の胸郭内で心臓に近接してラインを保持するのに使用できるからである。結果として、ラインへ作用する圧縮力及び引張力は心臓に近接しているガイドコンポーネントによって引き受けられ、心臓上に位置づけられている医療デバイスの諸部分は機械的応力を免れる。
【0034】
生物の肋骨構造に適合させたガイドコンポーネントのこの実施形態は、更に、経皮的ラインに特に適しており、というのもガイドコンポーネントは皮膚を貫くラインの通り道のすぐ後ろの肋骨上に設置させることができ、それによりライン及び/又はガイドコンポーネントの接着性が増進されることになるからである。
【0035】
或る好都合な実施形態によれば、ガイドコンポーネントは、複数のガイドコンポーネント要素による数個の部分で形成される。ここではガイドコンポーネントが2つの部分に設計され、即ち2つのガイドコンポーネント要素から設計されるのが特に好ましい。具体的には、ガイドコンポーネントはここでは2つの半部で構成され得る。ガイドコンポーネントの分割平面は、例えばラインチャネルの平面に在る。したがって、ラインチャネルの部分はガイドコンポーネント要素それぞれに一体形成されていて、ガイドコンポーネント要素が合体されたときにしかラインチャネルが閉じられないようになっている。これにより、ラインをラインの終端から閉じたガイドコンポーネントに通してゆかなくても、生物の身体内に既に経路づけられたラインの周りに特にやさしくガイドコンポーネントを配置させることが可能になる。これにより、ラインが既に接着された状態であってもなおもガイドコンポーネントを植え込めるので、更にガイドコンポーネントを後付けできるという利点がもたらされる。実際にはラインがラインよりもはるかに幅広い断面のプラグを有していることもあるため、時にはラインをガイドコンポーネントに通すことすらできないこともある。ライン及びプラグを通過させることのでき得るより広いラインチャネルの提供は、ラインをラインチャネル内にしっかり保持し固定するということに関しては不利に働く。それとは反対に、本ガイドコンポーネントは数個の部分で構成され、特に分割平面がラインチャネルを通って走っているので、ラインチャネルはラインの断面又は直径に最適に適合され得る。
【0036】
多部構成ガイドコンポーネントのガイドコンポーネント要素が、互いへの接続、特に解放可能な接続を作り出すための接続手段を有しているなら好都合である。これらは、特に、ガイドコンポーネント要素へ直に形成されている接続手段、具体的にはガイドコンポーネント要素と共に1つの部片として形成されている接続手段であるのが望ましく、そうすれば、ねじの様な追加の別体の接続手段を用意しておく必要はなくなる。具体的にいうと、それらはプラグイン接続、ラッチ接続、又はクリップ接続を作り出すための接続手段である。例えば、一方のガイドコンポーネント要素がラッチ耳部を有し、もう一方のガイドコンポーネント要素がラッチ耳部をラッチ掛けさせることのできるラッチ開口部を有していてもよい。上述の接続手段を用いれば、素早く容易にしかもとりわけ工具無しに、ガイドコンポーネント要素を合体させることができ、同じく例えばガイドコンポーネントを交換するためにそれらを互いから離すこともできる。ガイドコンポーネント要素が、保持されるべきラインの周りに位置決めされたら、単にラッチ接続を閉じることによってそれらは互いへ接続されることができるので、ラインを組立済みのガイドコンポーネント要素のラインチャネルのその全長に亘って通過させる必要はなくなる。少なくとも1つの接続手段は、ガイドコンポーネントの腹側の平面又は表面上に配置されているのが望ましい。このやり方では、生物の腹側面から実施される植え込みの場合の、接続手段のより良好なアクセス性及び操作性が確約され得る。
【0037】
ガイドコンポーネントの基体は、基体の頭尾方向中心軸周りに湾曲した基本形状を有しているのが好都合である。ガイドコンポーネントの挿入状態では、したがって中心軸は頭側から尾側の方向に又はその逆に走る。湾曲は、具体的には、ガイドコンポーネントの接触面がのしかかる骨構造の湾曲に従う。例えば肋骨の場合、肋骨は水平方向に見てアーチ状に走っていて、ガイドコンポーネントは形状的にそれに従うことができる。こうして、湾曲した基本形状のおかげで、ガイドコンポーネントは、肋骨又は類似の骨構造のプロファイルにより良好に適合されるので、ガイドコンポーネントの保持がさらに改善される。ここで留意すべきこととして、水平方向の視野で見た肋骨の湾曲状プロファイルは、ガイドコンポーネントの例えば接触面の凹状輪郭によって反映される肋骨の湾曲状断面と同一視されてはならない。
【0038】
或る功利的な実施形態によれば、ラインチャネルは、基体の腹側表面と基体の背側表面の間を走っている。ゆえに、ラインは内部器官から腹側面又は背側面のヒトの皮膚に向かって最短経路で経路づけられる。そのうえ、この特徴は、ガイドコンポーネントが頭側骨構造と尾側骨構造の間に位置決めされる実施形態を支援するので、ガイドチャネルの入口又は出口が骨構造によって封鎖されることもなければ損なわれることもない。
【0039】
ラインを受け入れ案内するためのラインチャネルが、基体を貫く傾斜孔として設計されているなら好都合である。このやり方では、ガイドコンポーネントが身体の中へ挿入されたときに、ラインチャネルは厳密には垂直にも水平にも走っていない。その様な実施形態では、観察され得るラインの逸らせは特に少ないか又は皆無となり、意図される引張応力除去が最大化される。加えて、ラインチャネルの入口又は出口でのラインの引っ掛かり及び特にキンクが無いので、ラインがガイドコンポーネントを通って案内されてゆく間のラインへの損傷が防止される。このやり方では、ケーブルの破損及びケーブルのキンクは信頼性高く回避される。経皮的ラインの場合、これにより、更に、ラインの体外部分を皮膚に近接して経路づけられるようになる。ラインの体外部分及び同じく体内部分は湾曲しないか又はわずかに湾曲するだけであり、したがって出口部位には力がまったく及ばないか又はほんの少しの力しか及ばない。これは、ライン及び/又はガイドコンポーネントへの組織の速い癒合及び接着を促す。
【0040】
ラインチャネルは、部分的に断面くびれ部を有しているのが好都合である。代替的又は追加的に、基体の固定構造がラインチャネルの中へ突き出ている。この類の固定構造は、例えば、ノブ、材料先端部、横断ウェブ、又は類似の材料突出部によって形成され得る。このやり方では、ラインチャネル内でラインは的を絞ったやり方で又は必要に応じて及び必要なときに固定され、引張応力を免れる。これは、ラインの望ましからざる位置ずれを低減又は防止し、ラインの引張安定性を高める。
【0041】
基体は、基体と共に1つの部片に形成された少なくとも1つの締結構造を有しているのが望ましい。ガイドコンポーネントの固定をやり易くするために、締結構造は、具体的には、横表面つまりガイドコンポーネントの腹側表面又は背側表面に設けられることができる。締結構造は、例えば、ケーブルチャネルを周ってケーブルチャネルの周辺面に配置させることができる。その様な締結構造は、例えば、1つ又はそれ以上のアイレットの形態をしていてもよく、そうすれば、必要な場合に、ガイドコンポーネントを周囲の組織、例えば、筋肉、筋膜、皮膚、又は脂肪組織へ、或いは周囲の又は隣接する骨構造へも、追加的に縫い付け、ひいては固定することができる。クリップ要素又はばね要素の様な他の締結構造も考えられる。全体として、生物の身体内の意図される位置でのガイドコンポーネントの保持は締結構造によって改善され、また締結構造が基体と一体化されているという事実がガイドコンポーネントの製造を簡素化する。
【0042】
或る功利的な実施形態では、基体は、ラインチャネルの領域に腹側締結リムを有している。経皮的に案内されるラインの場合、締結リムは、密シールが可能になるように皮膚をガイドコンポーネントへ固定する働きをする。
【0043】
或る好都合な実施形態では、基体は少なくとも1つの締結開口部を有している。必要ならば、糸又はねじの様な締結手段が、追加的にガイドコンポーネントの基体を組織又は骨構造へ接続するため、例えばガイドコンポーネントを骨構造へねじ付けるために、望ましくは貫通孔であるその様な締結開口部に通されてもよい。その様な追加的な接続は、例えば、ライン又はガイドコンポーネントへの予想される機械的荷重が骨構造上のガイドコンポーネントの力嵌め係合及び/又は形状嵌め係合の限界力を一時的に超過する可能性のある場合で、したがってガイドコンポーネントの保持が追加的に支援されるべきである場合に有用である。
【0044】
本事例では、締結構造、保持構造、又は固定構造は、材料の付加を意味するものと理解され、一方、締結開口部は材料の陥凹を伴う。
【0045】
1つ又はそれ以上の接触面が、基体の周囲を少なくとも部分的に走っている(単数又は複数の)溝として設計されていれば功利的である。これは、原理的には、接触面の凹状実施形態に実質的に対応していて、問題の接触面の形状は対応する側壁を有する溝底面を画定している。その様な溝が、基体の全周囲に設けられてもよく、そうすればガイドコンポーネントの植え込み中のガイドコンポーネントのより自由な配向が可能になる。また一方、例えば2つの互いに反対側の接触面が溝として設計されることもできる。接触面を単数又は複数の溝とする設計は、ガイドコンポーネントの製造を簡素化し、その嵌りを改善し、ガイドコンポーネントの骨構造への押圧又はクランピングを容易にし、ガイドコンポーネントを位置決めする場合の個別的自由度を高める。単数又は複数の溝の特定の利点は、骨構造に位置している例えば血管などの脈管、一例として肋間動脈が挟まれることなく溝内に納まるので、骨構造における血液循環がガイドコンポーネントによって損なわれない、ということである。
【0046】
少なくとも1つの保持構造が、単数又は複数の溝の溝底面に配置され、具体的には基体と共に1つの部片として形成されているのが望ましい。この保持構造は、例えば、モールド成形されたノブ又は横木の形態であってもよい。ノブは、例えば、ピラミッド型又は円錐状の基本形状を有する尖ったノブとして設計され得る。この保持構造は、例えば保持構造が2つの接触相手間の表面相互作用を増加させ、ひいては存在する摩擦力を増加させるおかげで、ガイドコンポーネントを骨構造に対する位置ずれから追加的に守る。
【0047】
ガイドコンポーネントの表面は、例えば機械的又は化学的に粗面加工された表面の提供によって、可能最大粗さを、少なくとも接触面に、ただし好ましくはガイドコンポーネント全体に亘って有しているべきである。これはガイドコンポーネントのより良好な組み入れを可能にし、肋骨上の位置決め安定性を促進する。個々の表面の粗さ、例えば尾側接触面の粗さは、更に、尖り例えば円錐状又はピラミッド型の材料突起部という手段によって増加させることができる。粗さは、静止摩擦係数を増加させ、ひいてはガイドコンポーネントと隣接構造との実現可能な摩擦接続を高める。
【0048】
或る好都合な実施形態によれば、ラインチャネルの直径は、ラインチャネルによって受け入れられることになるラインの直径に対応している。関連して、ラインがラインチャネル内を面一に案内されることで、他にもあるが中でもとりわけラインチャネルの中への液体又は組織の入り込みが防止されるので、組織が挟まったり液体が蓄積したりすることはあり得ない。したがって、これにより更にガイドコンポーネントでの外傷及び炎症のリスクが低減する。加えて、ラインチャネル内へのラインの摩擦的受け入れが、ラインの位置が軸方向位置ずれに抗して固定されることを既に確約している。
【0049】
或る功利的な実施形態では、ガイドコンポーネントは、生体適合性材料、特に生体適合性の金属又はプラスチックから作られる。このやり方では、ガイドコンポーネントの高度の材料適合性が、ガイドコンポーネントの高度の安定性及び長寿命性と同時に実現される。
【0050】
発明は、例示としての実施形態に基づき、添付の概略的図面を参照しながら、以下により詳しく解説される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】組立状態の或る2部構成ガイドコンポーネントの背側平面図を示す。
【
図2】組立状態の2部構成ガイドコンポーネントの斜視背側図を示す。
【
図3】組立状態の2部構成ガイドコンポーネントの尾側図を示す。
【
図4】組立状態の2部構成ガイドコンポーネントの側面図を示す。
【
図5】組立状態の2部構成ガイドコンポーネントの更なる側面図を示す。
【
図6】ガイドコンポーネント要素が互いから分離された状態の2部構成ガイドコンポーネントの斜視背側図を示す。
【
図7】ガイドコンポーネント要素が互いから分離された状態の2部構成ガイドコンポーネントの斜視腹側図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、発明によるガイドコンポーネント1の多部構成実施形態、具体的には2部構成実施形態を示しており、ガイドコンポーネント1は解放可能に互いへ接続された2つのガイドコンポーネント要素5a、5bで構成されている。ガイドコンポーネント1は、生物の身体内で医療デバイスの1本又はそれ以上のライン(図示せず)を案内、保持、及び固定することを意図している。この目的のために、ガイドコンポーネント1は、生物の骨構造への形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合のために設計されている接触面4(他図に示す)を有している。これにより、ガイドコンポーネント1は、生物の身体内の意図された部位にて、1つ又はそれ以上の骨構造へ係合することによって、例えば骨をクランプできることによって、素早く且つ容易に固定されることが可能になる。図示のガイドコンポーネント1は、特に、生物の2つの隣接する又は互いに反対側の肋骨の間に肋間ガイドコンポーネント1として配置されることを意図している。ガイドコンポーネント1の植え込み状態に関し、
図1の視図は、ガイドコンポーネント1の背側図であり、つまり生物の背部の方を向いている視図である。図は、略矩形断面の基体2と、傾斜貫通孔として設計されていて実質的に基体2の中心を貫いて延びているラインチャネルと、を示している。傾斜孔のおかげで、確認できるラインの撓みはほとんど又は全く無く、したがって意図される引張応力除去は最大化される。加えて、ラインチャネル3の入口又は出口でのラインの引っ掛かり及び特にキンクが無いので、ガイドコンポーネント1を通って案内される間のラインへの損傷が防止される。図示の実施形態では、ラインチャネル3は、基体2の腹側表面8から基体2の背側表面9へ走っている。特に
図3に見ることができる様に、基体2の頭尾方向中心軸7が基体2を通って走り、その中心軸7周りに基体2はわずかに湾曲している。
図1は、更に、基体2と一体化されていて基体2の背側表面9に配置された合計8つのアイレットの形態をしている締結構造10を示しており、それらアイレットは、例えば、ガイドコンポーネント1が骨構造、皮膚構造、又は組織構造へ縫い付けられることを可能にする。それにより、必要な場合には、生物の身体内の意図された位置でのガイドコンポーネント1の追加の保持を実現することが可能になる。また、
図1は、例えば、ガイドコンポーネント1を生物の骨構造又は組織構造へねじ接続という手段によって固定できるようになるために、糸又はねじを通して案内することのできる合計4つの締結開口部11を基体2内に示している。それにより、必要な場合には、生物の身体内の意図された位置でのガイドコンポーネント1の追加の保持を実現することが可能になる。ガイドコンポーネント1は、その周囲の尾側接触面4bの領域にわずかな湾曲を有しており、湾曲は、ガイドコンポーネント1の軽度の干渉をもたらし、ガイドコンポーネント1の挿入状態では、隣接する骨構造へ作用する接触圧力を増加させる。
【0053】
図2は、ガイドコンポーネント1の斜視背側図を示している。基体2の背側表面9上に位置づけられている又は視認できるガイドコンポーネント1の構成部分は、
図1を参照して既に解説されている。
図2には、更に、ガイドコンポーネント1の植え込み状態で形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合を用いて基体2を生物の骨構造へのしかからせる接触面4が示されている。接触面4は背側表面9と腹側表面8の間のガイドコンポーネント1の周囲に凹状接触面4として配置されていることが分かる。凹状形状のおかげで、ガイドコンポーネント1は、肋骨の様な凸状の骨構造又は骨部分に特に適している。
図2の視図では、接触面4はガイドコンポーネント1の尾側接触面4bである。ガイドコンポーネント1が例えば2つの肋骨弓の間に挿入される場合、尾側接触面4bは、上側の肋骨弓の頭部の方を向いている頭側部分に横たわる。図示の実施形態では、接触面4は、更なる図に示されている溝側壁13と溝底面14を有するガイドコンポーネントの周囲の周辺溝12として設計されている。溝12として設計されている接触面4という手段によって、骨構造の血管の様な何れかの脈管は挟まれることなく受け入れられることができるので、骨構造における血液循環はガイドコンポーネント1によって損なわれない。溝12が全周的に形成されている、つまり途切れなく連続してガイドコンポーネント1の周囲形状を画定しているという事実のおかげで、ガイドコンポーネント1は骨構造上に比較的自由に位置決めされ、例えばわずかに傾いた位置に位置決めされることができ、又はガイドコンポーネント1が数個の骨によって取り囲まれ又は包囲される場所に位置決めされることができる。但し、原理上は、同じく、溝12を部分的にしか設けないこと又は数個の溝12を設けることも考えられる。
【0054】
図3は、2つのガイドコンポーネント要素5a、5bが組み立てられた状態での2部構成ガイドコンポーネント1の尾側図を示している。この視図は、ガイドコンポーネント1の植え込み状態で形状嵌め係合及び/又は力嵌め係合を用いて基体2を生物の骨構造に載せる接触面4を示している。接触面4は背側表面9と腹側表面8の間のガイドコンポーネント1の周囲に凹状接触面4として配置されていることが分かる。凹状形状のおかげで、ガイドコンポーネント1は、肋骨の様な凸状の骨構造又は骨部分に特に適している。
図3の視図では、接触面4はガイドコンポーネント1の尾側接触面4bである。ガイドコンポーネント1が例えば2つの肋骨弓の間に挿入される場合、この尾側接触面4bは上側の肋骨弓の頭部の方を向いている頭側部分に横たわる。図示の実施形態では、接触面4は、溝側壁13と溝底面14を有するガイドコンポーネント1の周囲の周辺溝12として設計されている。溝12として設計されている接触面4という手段によって、骨構造の血管の様な何れかの脈管は挟まれることなく受け入れられることができるので、骨構造における血液循環はガイドコンポーネント1によって損なわれない。溝12が全周的に形成されている、つまり途切れなく連続してガイドコンポーネント1の周囲形状を画定しているという事実のおかげで、ガイドコンポーネント1は骨構造上に比較的自由に位置決めされ、例えばわずかに傾いた位置に位置決めされることができ、又はガイドコンポーネント1が数個の骨によって取り囲まれ又は包囲される場所に位置決めされることができる。但し、原理上は、同じく、溝12を部分的にしか設けないこと又は数個の溝12を設けることも考えられる。尾側接触面4bには、溝の底14に保持構造15が形成されており、この保持構造15は、溝底面14から突き出ていて基体2と一体であるノブの形態をしている。これらは、保持構造15が接触面と骨構造の間の表面相互作用を高め、ひいては存在する摩擦力を増加させるという事実により、ガイドコンポーネント1を追加的に骨構造に対する位置ずれから守る。
【0055】
図4及び
図5は、それぞれ、2部構成ガイドコンポーネント1の側面図を示しており、それらの図でも同じく、溝側壁13と溝底面14を有する周囲溝12としての接触面4の設計が明らかである。接触面4は、絵の下側の尾側接触面4bへの移行部及び絵の上側の頭側接触面4aへの移行部を示している。
【0056】
図6及び
図7は、ガイドコンポーネント要素5a、5bが互いから分離された状態の2部構成ガイドコンポーネント1の背側図と腹側図を続けて示している。どちらの図も、2つのガイドコンポーネント要素5a、5bを接続するための接続手段、即ちガイドコンポーネント要素5aのラッチ耳部6aとガイドコンポーネント要素5bの対応するラッチ開口部6bの形態をしている接続要素を示している。ガイドコンポーネント1の組立状態では、ラッチ耳部6aはガイドコンポーネント要素5bのラッチ開口部6bに係合している。それらを差し込んで合わせる、即ちラッチ耳部6aをラッチ開口部6bに挿入しロックすることによって、2つのガイドコンポーネント要素5a、5bは信頼性高いやり方で但し解放可能なやり方で互いへ接続されることができる。ガイドコンポーネント要素5a、5bへ分離するための、ガイドコンポーネント1の分割平面が、ラインチャネル3を通って走っていることも分かる。したがって、ラインチャネル3の一方の部分は半円形断面のチャネルとして一方のガイドコンポーネント要素5a側に一体形成され、ラインチャネル3の他方の部分は半円形断面のチャネルとして他方のガイドコンポーネント要素5b側に一体形成されている。ラインチャネル3は、2つのガイドコンポーネント要素5a、5bを接ぎ合わせることによって閉じられる。このやり方では、生物の身体内に既に経路づけられたラインをガイドコンポーネント1のラインチャネル3によって包囲することができる。
【0057】
ラインチャネル3の壁には、ラインチャネル3の中へ突き出る固定構造16もある。固定構造16は、例えば、細長い材料突出部によって形成されている。このやり方では、ラインチャネル内でラインは的を絞ったやり方で又は必要に応じて及び必要なときに固定され、引張応力を免れる。これは、ラインの望ましからざる位置ずれを低減又は防止し、ラインの引張安定性を高める。
【0058】
ガイドコンポーネント1は、生体適合性であって、ゆえに生物の周囲の組織及び骨構造に極めて適合する金属又はプラスチックから作られているのが望ましい。ガイドコンポーネント1は、多大な労力無しに例えば骨構造へクランプさせることによって骨構造へ締結可能とするために、或る一定の基本的弾性を有することができる。また一方で、ガイドコンポーネント1は、ラインを信頼性高く保持することを確約するために十分な基本的安定性も有しているべきである。
【0059】
この出願で使用されている、頭側、尾側、腹側、及び背側の様な解剖学的方向の指示は、単に説明目的であり、発明の主題の空間的概念を推進するために提供されている。方向の指示は、発明によるガイドコンポーネントが1つの向き及び1つの位置でのみ生物の身体の中へ挿入され得るという意味で制約的であると理解されてはならない。したがって、原理上考えられることとして、例えば、ガイドコンポーネントの腹側の面と背側の面は入れ替え可能であり、同じく頭側の面と尾側の面も入れ替え可能である。同様に、ガイドコンポーネント1を例えば90度枢動させることによって、それまではガイドコンポーネントの側方接触面であったものが頭側接触面又は尾側接触面となることもあり得る。
【符号の説明】
【0060】
1 ガイドコンポーネント
2 基体
3 ラインチャネル
4 接触面
4a 頭側接触面
4b 尾側接触面
5a、5b ガイドコンポーネント要素
6a ラッチ耳部
6b ラッチ開口部
7 頭尾方向中心軸
8 腹側表面
9 背側表面
10 締結構造
11 締結開口部
12 周辺溝
13 溝側壁
14 溝底面
15 保持構造
16 固定構造
【国際調査報告】