(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】コーティングのための硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/00 20060101AFI20220622BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220622BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20220622BHJP
C09D 171/12 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C09D4/00
C08F290/06
C09D4/02
C09D171/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564538
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 US2020026498
(87)【国際公開番号】W WO2020222973
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライス ブライアン ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ターキン-タス エイレム
【テーマコード(参考)】
4J038
4J127
【Fターム(参考)】
4J038DF051
4J038DL151
4J038FA271
4J038GA01
4J038MA13
4J038NA14
4J038NA18
4J038PA17
4J127AA03
4J127BA041
4J127BA051
4J127BB031
4J127BB032
4J127BB092
4J127BB111
4J127BB151
4J127BB191
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC022
4J127BC131
4J127BD142
4J127BD231
4J127BD412
4J127BD452
4J127CB151
4J127CB281
4J127EA13
4J127FA08
(57)【要約】
紫外線-硬化性コーティング組成物は5~40重量パーセントの紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~95重量パーセントの紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3重量パーセントの光開始剤とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~40重量パーセントの紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、
60~95重量パーセントの紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、
0.01~3重量パーセントの紫外線により活性化される光開始剤と、
を含む、紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項2】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは下記構造を含み、
【化1】
式中、
Q
1およびQ
2の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
Q
3およびQ
4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-C
12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-C
12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
xおよびyは各々独立して0~30であり、
Zは水素、アリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであり、ただし、少なくとも1つのZがアリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであることを条件とし、
Lは下記式を有し、
【化2】
式中、
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
wは0または1であり、ならびに、
Yは、
【化3】
であり、
式中、
R
7の各事象は独立して、水素またはC
1-12ヒドロカルビルであり、
R
8およびR
9の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビルであり、またはR
8およびR
9は一緒に炭素原子と共にC
4-12シクロヒドロカルビレンを形成し、または、
Lは下記式を有し、
【化4】
式中、
Eは6~100であり、
Rの各事象は独立して、非置換もしくは置換C
1-13アルキル、C
1-13アルコキシ、C
3-6シクロアルキル、C
3-6シクロアルコキシ、C
6-14アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-13アリールアルキレン、またはC
7-13アルキルアリーレンであり、各pおよびqは独立して、0または1であり,
R
1は二価C
2-8脂肪族基であり、
Mの各事象は独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-8アルキルチオ、C
1-8アルキル、C
1-8アルコキシ、C
2-8アルケニル、C
2-8アルケニルオキシ、C
3-8シクロアルキル、C
3-8シクロアルコキシ、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-12アラルキル、C
7-12アラルコキシ、C
7-12アルキルアリール、またはC
7-12アルキルアリールオキシであり、ならびに、
各nは独立して、0、1、2、3、または4である、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項3】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、
少なくとも1つのアリル、ビニル、または(メタ)アクリレート末端基、
下記式のポリ(ポリフェニレンエーテル)ブロックであって、
【化5】
式中、
Z
1の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-C
12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、ならびに、
Z
2の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)である、ポリ(ポリフェニレンエーテル)ブロック、および、
下記式の繰り返し単位を含むポリシロキサンブロックであって、
ポリシロキサンブロックは下記構造を有する繰り返し単位を含み、
【化6】
式中、
R
3の各事象は独立して、C
1-12ヒドロカルビルまたはC
1-12ハロヒドロカルビルであり、前記ポリシロキサンブロックは、式(6)の末端単位をさらに含み、
【化7】
式中、
Yは水素、ハロゲン、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ヒドロカルビルオキシであり、
R
3の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ハロヒドロカルビルであり、
好ましくは、Yは水素、ハロゲン、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビルオキシであり、R
3の各事象は独立して、水素、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ハロヒドロカルビルであり、
より好ましくは、Yは水素、メチル、またはメトキシであり、各R
3はメチルである、ポリシロキサンブロック
を含む、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項4】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、下記式を有するポリシロキサンブロックを含み、
【化8】
式中、nは5~100、または10~80または10~60の平均値を有する、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項5】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、少なくとも1つの末端(メタ)アクリレート基、好ましくは2つの末端メタクリレート基を含む、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項6】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)は下記式を有し、
【化9】
式中、
Q
1およびQ
2の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-6ヒドロカルビルチオ、C
1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-6ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
Q
3およびQ
4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-C
6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-C
6ヒドロカルビルチオ、C
1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-6ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
xおよびyは各々独立して0~30であり、ならびに、
Lは下記式を有し、
【化10】
(3)
式中、
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-6ヒドロカルビルチオ、C
1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-6ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、
wは0または1であり、
R
10はメチルまたは水素であり、ならびに、
Yは、
【化11】
であり、式中、
R
7の各事象は独立して、水素またはC
1-6ヒドロカルビルであり、
R
8およびR
9の各事象は独立して、水素、C
1-6ヒドロカルビルである、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項7】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは下記式を有し、
【化12】
式中、
Q
5およびQ
6の各事象は独立して、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、またはモルホリノメチルであり、
aおよびbの各事象は独立して、0~20であり、ただし、aおよびbの合計は少なくとも2であることを条件とし、ならびに、
R
10の各事象はメチルまたは水素である、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項8】
前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準を使用して決定すると、500~7,000g/molの数平均分子量、および500~15,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項9】
前記紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、またはポリマーは(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項10】
前記硬化性モノマー、オリゴマーまたはポリマーは、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ポリエーテルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、またはそれらの組み合わせである、請求項9に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項11】
20~40重量パーセントの前記紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、
60~80重量パーセントの前記紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、
0.1~3重量パーセントの光開始剤と、
を含む、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項12】
20~40重量パーセントのメタ(アクリレート)で末端キャップされたポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、
60~80重量パーセントのジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、またはそれらの組み合わせと、
0.1~3重量パーセントの光開始剤と、
を含む、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物。
【請求項13】
120~200℃のガラス転移温度、
脱イオン水中25℃で24時間浸漬後に測定すると1重量パーセント以下の吸水、または、
それらの組み合わせ、
を有する、請求項1に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物の硬化生成物。
【請求項14】
基材を提供する工程、
前記基材を、請求項1~12のいずれか一項に記載の紫外線-硬化性コーティング組成物でコートし、被覆基材を提供する工程、および
コーティング組成物を紫外線で硬化する工程、
を含む、被覆基材を形成する方法。
【請求項15】
請求項13に記載の熱硬化組成物を含む物品であって、コーティングは層、封入剤、接着剤、シーラント、成型コーティング、プリプレグ、ケーシング、またはラミネートの形態である、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月30日に出願された米国出願第62/841182号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の恩典を主張する。
【0002】
この開示は硬化性コーティング組成物、特に、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含む硬化性コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
基材用コーティングは、最終用途適用に依って、高い耐熱性、高い衝撃強度、および低い吸湿を有するように要求される可能性がある。ポリ(ポリフェニレンエーテル)は一般に、良好な電気的特性、高い耐熱性、および耐湿性を有するが、衝撃強度が低い。改善された良好な靱性と共に、高いガラス転移温度および低い吸湿を有する、ポリ(ポリフェニレンエーテル)コーティング組成物が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなコーティング組成物は、紫外線硬化が可能であれば、より広範に多様な感熱基材のコーティングにおいてさらに有用となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
5~40重量パーセントの紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~95重量パーセントの共硬化性n紫外線反応性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3重量パーセントの光開始剤とを含む、紫外線-硬化性コーティング組成物が開示される。
【0006】
紫外線-硬化性コーティング組成物を形成する方法が開示される。
【0007】
紫外線-硬化性コーティング組成物の硬化生成物を含む熱硬化組成物もまた、開示される。
【0008】
物品をコーティング組成物でコートし、被覆物品(coated article)を形成する方法、およびコーティング組成物を含む物品もまた開示される。
【0009】
上記および他の特徴が下記図および詳細な説明により例示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含む硬化性コーティング組成物、特に紫外線(UV)-硬化性コーティング組成物、硬化性コーティング組成物を製造するためのプロセス、および硬化性コーティング組成物でコートされた物品が本明細書で開示される。組成物は、改善されたガラス転移温度、良好な靱性、および低い吸湿を含む望ましい特性を有し、基材をコートするためのより高性能な組成物が得られる。
【0011】
コーティング組成物はUV硬化性であり、以下で記載される紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、以下で記載される共硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、UV光開始剤とを含む。二官能性モノマーはUV硬化性である、すなわち、紫外線の光開始剤に対する作用により発生したフリーラジカルの存在下で反応性であるエチレン性不飽和末端官能基を含有する。共硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせもまた、UV硬化性である、すなわち、紫外線の光開始剤に対する作用により発生したフリーラジカルの存在下で反応性であるエチレン性不飽和末端官能基を含有する。本明細書では、「硬化性」および「硬化」は、UV硬化性コーティング組成物の成分間の重合および架橋反応の両方を示す。
【0012】
ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは式(1)の繰り返し構造単位を含み、
【化1】
(1)
式中、Z
1の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-C
12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、ならびにZ
2の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)である。
【0013】
式(1)における好ましい実施形態では、Z1の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C1-6ヒドロカルビルチオ、C1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC2-C7ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、ならびにZ2の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C1-6ヒドロカルビルチオ、C1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC2-7ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)である。
【0014】
より好ましい実施形態では、Z1の各事象は独立して、ハロゲン、または非置換もしくは置換一級C1-6ヒドロカルビルであり、ならびにZ2の各事象は独立して、水素、ハロゲン、または非置換もしくは置換一級C1-6ヒドロカルビルであり、この実施形態で、さらにいっそう好ましくは、Z1の各事象は同じであり、Z2の各事象は同じか、または異なっている。ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、典型的には、ヒドロキシ基に対してオルト位に配置された、アミノアルキル含有末端基(複数可)を有する単位を含むことができる。典型的には、2,6-ジメチルフェノール含有反応混合物(その中にはテトラメチルジフェノキノン副産物が存在する)から得られるテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)末端基も頻繁に存在する。よって、Z1およびZ2は各々独立して、水素、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、モルホリノメチルまたはそれらの組み合わせである可能性がある。好ましい態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル単位、2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンエーテル単位、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)単位を含む。
【0015】
ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは単官能性または二官能性とすることができる。いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは単官能性とすることができる。例えば、それは、オリゴマー鎖の一端にUV光-硬化性官能基を有する単官能性とすることができる。官能基は、例えば、ビニル、アリル、または(メタ)アクリレート基、好ましくはメタクリレート基とすることができる。または、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、オリゴマー鎖の両端にUV光-硬化性官能基を有する、二官能性とすることができる。官能基はビニル、アリル、または(メタ)アクリレート基、好ましくはメタクリレート基とすることができる。
【0016】
いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、式(2)の単官能性または二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含み、
【化2】
(2)
【0017】
式中、Q1およびQ2の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C1-12ヒドロカルビルチオ、C1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、Q3およびQ4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-C12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C1-C12ヒドロカルビルチオ、C1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、各Zは独立して、水素、アリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであり、ただし、少なくとも1つのZがアリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであることを条件とし、xおよびyは平均値を有し、各々独立して0~30、または0~20、好ましくは0~15、さらにより好ましくは0~10、さらにいっそう好ましくは0~8であり、ただし、xとyの合計は少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4であることを条件とする。
【0018】
さらに式(2)では、Lは、以下で記載される式(3)または式(4)を有する。Lは式(3)を有することができ、
【化3】
(3)
式中、R
3、R
4、R
5、およびR
6の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、wは0または1であり、ならびに、Yは、
【化4】
であり、
式中、R
7の各事象は独立して、水素またはC
1-12ヒドロカルビルであり、R
8およびR
9の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビルであり、またはR
8およびR
9は一緒に炭素原子と共にC
4-12シクロヒドロカルビレンを形成する。式(3)における好ましい態様では、R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-6一級もしくは二級ヒドロカルビルであり、ならびに、wは0または1である。
【0019】
別の態様では、式(3)におけるLは、式(4)を有し、
【化5】
(4)
式中、Eは6~100、または11~80、または11~60であり、ならびに、Rの各事象は独立して、非置換もしくは置換C
1-13アルキル、C
1-13アルコキシ、C
3-6シクロアルキル、C
3-6シクロアルコキシ、C
6-14アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-13アリールアルキレン、またはC
7-13アルキルアリーレンである。前記基は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれらの組み合わせで、完全にまたは部分的にハロゲン化することができる。式(4)ではさらに、各pおよびqは独立して、0または1であり、R
1は二価C
2-8脂肪族基であり、Mの各事象は独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-8アルキルチオ、C
1-8アルキル、C
1-8アルコキシ、C
2-8アルケニル、C
2-8アルケニルオキシ、C
3-8シクロアルキル、C
3-8シクロアルコキシ、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-12アラルキル、C
7-12アラルコキシ、C
7-12アルキルアリール、またはC
7-12アルキルアリールオキシであり、ここで、各nは独立して、0、1、2、3、または4である。好ましくは、式4では、Eは5~60であり、Rの各事象は独立して、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、またはC
6-14アリール、より好ましくはメチルであり、pおよびqは各々、1であり、R
1は二価C
2-8脂肪族基であり、Mはハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
6-10アリール、C
7-12アラルキル、またはC
7-12アルキルアリール、より好ましくはメチルまたはメトキシであり、ならびに各nは独立して、0、1、または2である。
【0020】
いくつかの態様では、Lは、式(4a)を有し、
【化6】
(4a)
式中、nは5~100、または10~80、または10~60の平均値を有する。
【0021】
一態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、式(2a)の二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含み、
【化7】
(2a)
式中、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4、L、xおよびyは、式(2)、(3)、または(4)で規定される通りであり、R
10はメチルまたは水素である。一態様では、Q
1、Q
2、Q
3、またはQ
4は水素、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、もしくはモルホリノメチル、またはそれらの組み合わせである。
【0022】
いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、式(2b)の二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含み、
【化8】
(2b)
式中、Q
5およびQ
6の各事象は独立して、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、またはモルホリノメチルであり、aおよびbの各事象は独立して、0~20であり、ただし、aおよびbの合計が少なくとも2であることを条件とし、ならびに、R
10の各事象は独立して、メチルまたは水素である。好ましくは式(2b)では、Q
5およびQ
6の各事象は独立して、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、またはモルホリノメチルであり、各R
10はメチルである。この型の好適なポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは市販されており、例えば、サビック(SABIC)製のノリル(NORYL) SA9000である。
【0023】
式(2)の二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、触媒金属イオンおよび触媒アミンリガンドを含む重合触媒、酸素、および溶媒の存在下での、少なくとも1つの一価フェノールの、任意で、少なくとも1つの二価または多価フェノールと組み合わせての酸化重合により調製されたヒドロキシル末端ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーの誘導体化により調製することができる。重合触媒は、触媒金属イオンおよび触媒アミンリガンドを混合することにより、その場で調製することができる。溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの態様では、溶媒はトルエンを含む。分子酸素は、例えば、精製形態で、または空気として提供することができる。Z基を提供するための、末端ヒドロキシル基の1つまたは両方の誘導体化は当技術分野で知られている方法によることができる。
【0024】
ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーはさらに、式(1)において以上で記載される単位、式(2)で記載される末端基Z、および式(5)の繰り返しシロキサン単位を有するアリールオキシ末端ポリシロキサンブロックを含むポリ(フェニレンエーテル)ブロックを含む、ブロックコポリマーとすることができ、
【化9】
(5)
式中、R
3の各事象は独立して、C
1-12ヒドロカルビルまたはC
1-12ハロヒドロカルビルであり、ならびに、ポリシロキサンブロックは、式(6)の末端単位をさらに含み、
【化10】
(6)
式中、Yは水素、ハロゲン、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ヒドロカルビルオキシであり、R
3の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ハロヒドロカルビルである。好ましくは、Yは水素、ハロゲン、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビルオキシであり、R
3の各事象は独立して、水素、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ハロヒドロカルビルである。さらにより好ましくは、Yは水素、メチル、またはメトキシであり、各R
3はメチルである。いくつかの態様では、ポリシロキサンブロックは、式(7)を有し、
【化11】
(7)
式中、nは5~80または10~60の平均値を有する。一態様では、ブロックコポリマーは、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)ブロック、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル-コ-2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンエーテル)ブロック、またはそれらの組み合わせ、平均して、10~100の、式(7)のシロキサン繰り返し単位を含む式のポリシロキサンブロック、および式(2)で記載される末端Z基、好ましくは(メタ)アクリレート基を含む。ヒドロキシル末端ブロックコポリマーの製造は、例えば、US8722837号において記載される。Z基を提供するための末端ヒドロキシル基の1つまたは両方の誘導体化は当技術分野で知られている方法によることができる。
【0025】
いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、組み込まれたジフェノキノン残基を本質的に含まない。文脈において、「本質的に含まない」は、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー分子の1重量パーセント(wt%)未満がジフェノキノンの残基を含むことを意味する。HayへのUS3306874号に記載されるように、一価フェノールの酸化重合によるポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーの合成では、所望のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーだけでなく、ジフェノキノンもまた副産物として得られる。例えば、一価フェノールが2,6-ジメチルフェノールである場合、3,3’,5,5’-テトラメチルジフェノキノンが生成される。典型的には、ジフェノキノンは、重合反応混合物を加熱することにより、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー中に「再平衡化」され(すなわち、ジフェノキノンは、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー構造に組み込まれ)、末端または内部ジフェノキノン残基を含むポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーが得られる。例えば、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーが2,6-ジメチルフェノールの酸化重合により調製され、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)および3,3’,5,5’-テトラメチルジフェノキノンが得られる場合、反応混合物の再平衡化により、組み込まれたジフェノキノンの末端および内部残基を有するポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーが生成され得る。しかしながら、そのような再平衡化は、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーの分子量を低減させる。したがって、より高い分子量のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーが所望の場合、ジフェノキノンをポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー鎖中に再平衡化するよりもむしろ、ジフェノキノンをポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーから分離することが望ましい可能性がある。そのような分離は、例えば、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーが不溶性で、ジフェノキノンが可溶性である溶媒または溶媒混合物中でのポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーの沈殿により、達成することができる。例えば、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーがトルエン中での2,6-ジメチルフェノールの酸化重合により調製され、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)および3,3’,5,5’-テトラメチルジフェノキノンを含むトルエン溶液が得られる場合、ジフェノキノンを本質的に含まないポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)は、1体積のトルエン溶液を1~4体積のメタノールまたはメタノール/水混合物と混合することにより得ることができる。または、酸化重合中に生成されたジフェノキノン副産物の量は最小に抑えることができ(例えば、10wt%未満の一価フェノールの存在下で、酸化重合を開始し、少なくとも95wt%の一価フェノールを少なくとも50分の過程にわたり添加することにより)、および/またはジフェノキノンのポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマー鎖中への再平衡化は最小に抑えることができる(例えば、酸化重合の終了後200分以下後に、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを単離することにより)。これらのアプローチはDelsmanらの国際特許出願公開第WO2009/104107 A1号において記載される。トルエン中でのジフェノキノンの温度依存性溶解度を使用する別のアプローチでは、ジフェノキノンおよびポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーを含むトルエン溶液は、25℃の温度に調整することができ、その温度では、ジフェノキノンは溶解しにくいが、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは可溶性であり、不溶性ジフェノキノンは固液分離(例えば、濾過)により除去することができる。
【0026】
本明細書で有用なポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーはより低い分子量のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーである。ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーはゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準を使用して決定すると、500~7,000グラム/モル(g/mol)の数平均分子量、および、500~15,000g/molの重量平均分子量を有することができる。いくつかの態様では、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準を使用して決定すると、数平均分子量は750~4,000g/molとすることができ、重量平均分子量は1,500~9,000g/molとすることができる。
【0027】
いくつかの態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは0.03~1デシリットル/グラムの固有粘度を有する。例えば、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは0.25~1デシリットル/グラム(dl/g)、または0.25~0.7dl/g、または0.35~0.55dl/g、0.35~0.50dl/gの固有粘度を有することができ、各々、25℃でクロロホルム中、ウベローデ粘度計を使用して測定した。他の態様では、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは、25℃でクロロホルム中、ウベローデ粘度計を使用して測定すると、0.03~0.13dl/g、または0.05~0.1dl/g、または0.1~0.15dl/gの固有粘度を有することができる。ポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーは、ウベローデ粘度計により25℃でクロロホルム中にて測定すると、少なくとも0.1dl/gの固有粘度を有することができる。いくつかの実施形態では、固有粘度は0.1~0.5dl/gである。
【0028】
UV光-硬化性コーティング組成物は、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと共硬化性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせをさらに含む。共硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせは直鎖または分枝鎖アルキル、環状、もしくは芳香族、または部分芳香族基を含むことができ、型および量は、所望の硬化度(重合または架橋)、コーティング組成物における所望の粘度、および硬化コーティングにおける所望の特性を提供するように選択される。
【0029】
オリゴマーまたはポリマー(メタ)アクリレート、例えばポリエステルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、およびポリウレタンアクリレートが存在し得る。
【0030】
一態様では、UV光-硬化性モノマーが使用される。これらとしては、UV光-硬化性コーティング組成物に組み込むことができるビニル、アリル、または(メタ)アクリレート含有UV光-硬化性モノマーが挙げられ、単、二、三、および四官能性以上のビニル、アリル、または(メタ)アクリレートが含まれ、その多くの具体例は当技術分野でよく知られている。モノマーは、直鎖または分枝鎖アルキル、環状、または部分芳香族とすることができる。
【0031】
UV光-硬化性モノマーは、1つのモノマー分子あたり1つ以上のアクリレートまたはメタクリレート部分を有する(メタ)アクリレートモノマーとすることができる。(メタ)アクリレートモノマーは単、二、三、四、または五官能性とすることができる。一態様では、二官能性モノマーが、硬化コーティングの所望の可撓性および接着を得るために使用される。(メタ)アクリレートモノマーは直鎖または分枝鎖アルキル、環状、または部分芳香族とすることができる。UV光-硬化性モノマーはまた、結局、基材上のコーティング組成物について所望の接着が得られるモノマーの組み合わせを含むことができ、この場合、コーティング組成物は硬化して、所望の特性を有する硬い、可撓性材料を形成することができる。
【0032】
有用な(メタ)アクリレートモノマーとしては、モノ(メタ)アクリレート、特に、置換または非置換C1-36ヒドロカルビル基の(メタ)アクリレートエステル、例えば2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、アルコキシル化ラウリルアクリレート、アルコキシル化フェノールアクリレート、アルコキシル化フェノールメタクリレート、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、エトキシル化ヒドロキシエチルメタクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールメタクリレート、エトキシル化ノニルフェニルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、オクチルデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレート、プロポキシル化アリルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、などが挙げられる。
【0033】
有用な多官能性(二、三、四または五官能性)(メタ)アクリレートとしては、C2-12炭化水素ジオールジ(メタ)アクリレート、例えば1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
【0034】
例えば、(メタ)アクリレートモノマーは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)とすることができ、単独、または別のモノマー、例えばトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、またはオクチル/デシルアクリレート(ODA)と組み合わせることができる。
【0035】
ある一定の態様では、UV光-硬化性モノマー、オリゴマー、またはポリマーは、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ポリエーテルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、またはそれらの組み合わせである。
【0036】
硬化性コーティング組成物は、時間と共に、周囲条件で硬化コーティングを提供することができるが、最適結果は、UV光により活性化されるフリーラジカル硬化剤の存在下で達成される。有用な光開始剤の性質については特別な制限はないが、ただし、それらはエネルギーの吸収によりラジカルを発生させることを条件とする。よって、硬化性コーティング組成物は光開始剤を含む。2部硬化、UV光および熱を提供するために、任意的な追加の型のフリーラジカル開始剤、例えば、熱活性化フリーラジカル開始剤が存在することができる。一般に、コーティング組成物がUV硬化される場合、光開始剤を使用することができる。
【0037】
光開始剤は、合理的な硬化速度で、コーティング組成物の早期ゲル化をひきおこさずに、UV光硬化を促進するのに有効な量で存在する。光開始剤としては、α-ヒドロキシケトン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ヒドロキシメチルフェニルプロパノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジ-sec-ブトキシアセトフェノン、ジエトキシ-フェニルアセトフェノン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-、4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0038】
UV光-硬化性コーティング組成物は、5~40wt%のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~95wt%の紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3wt%のUV光-活性化光開始剤とを含むことができ、各々が、硬化性組成物の総重量に基づいており、合計100wt%が提供される。別の態様では、UV光-硬化性コーティング組成物は、10~40wt%のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~90wt%の紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3wt%のUV光-活性化光開始剤とを含むことができ、各々が、硬化性組成物の総重量に基づいており、合計100wt%が提供される。別の態様では、UV光-硬化性コーティング組成物は、20~40wt%のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~80wt%の紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3wt%のUV光-活性化光開始剤とを含むことができ、各々が、硬化性組成物の総重量に基づいており、合計100wt%が提供される。さらに別の態様では、UV光-硬化性コーティング組成物は、25~35wt%のポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、55~75wt%の紫外線-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3wt%のUV光-活性化光開始剤とを含むことができ、各々が、硬化性組成物の総重量に基づいており、合計100wt%が提供される。
【0039】
硬化性コーティング組成物は、任意で、当技術分野で知られている1つ以上の添加物、例えば、安定剤、離型剤、潤滑剤、加工助剤、ドリップ抑制剤(drip retardant)、核形成剤、UVブロッカー、染料、顔料、抗酸化剤、帯電防止剤、発泡剤、鉱物油、金属不活性化剤、ブロッキング防止剤、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。存在する場合、そのような添加物は硬化性組成物の総重量に基づき10wt%以下、特定的には5wt%以下、より特定的には1wt%以下の総量で使用することができる。溶媒はコーティング組成物中に存在することができるが、好ましくは使用されない。
【0040】
被覆基材(coated substrate)を形成する方法は、基材を提供する工程、基材をUV光-硬化性コーティング組成物でコートし、被覆基材を提供する工程、および被覆基材をUV光に曝露させ、コーティング組成物を硬化させ、硬化コーティングを提供する工程を含む。基材の選択は重要ではなく、有機または無機、例えばポリマー、ガラス、セラミック、金属、または金属合金とすることができる。基材はコーティングに好適な任意の形状を有することができる。コーティングは、硬化コーティングの所望の厚さ、例えば0.01から10ミリメートルの硬化厚さを提供するのに有効な厚さで適用される。UV光の強度および曝露期間は、所望の硬化度を提供するように選択される。上記のように、UV光硬化の使用により、感熱基材の使用が可能になる。他方、熱開始剤が存在する場合、硬化コーティングは光硬化後に熱硬化に供することができる。
【0041】
ポリ(フェニレンエーテル)オリゴマー、硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせ、および光開始剤の型および相対量によって、硬化組成物のガラス転移温度は100~200℃、特定的には120~200℃、より特定的には120~170℃とすることができる。いくつかの態様では、ガラス転移温度は120~150℃である。
【0042】
硬化コーティングは良好な衝撃強度を示すことができる。いくつかの態様では、組成物は、ASTM D 4812-06にしたがい、23℃で、2フィートポンドのハンマーエネルギーを用いて測定すると、少なくとも400ジュール/メートル、特定的には400~600ジュール/メートル、より特定的には450~550ジュール/メートル、さらにより特定的には480~520ジュール/メートルのノッチなしアイゾット衝撃強度を示す。
【0043】
硬化コーティングは、脱イオン水中、25℃で24時間の浸漬後に測定すると、5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、または1wt%以下の吸水を示すことができる。
【0044】
硬化コーティングはまた、多くの有利な特性を同時に示すことができる。いくつかの態様では、硬化組成物は下記特性の少なくとも1つを示すことができる:120~200℃のガラス転移温度、脱イオン水中25℃で24時間浸漬後に測定すると、1wt%以下の水吸着。いくつかの態様では、硬化組成物は両方の特性を示すことができる。
【0045】
コーティング組成物は、多種多様の用途において、例えば、電気および電子物品のために、光ファイバ、医療装置、ならびに工業および建築用途のために有用である。コーティングは、部品の接着結合および組立て、部品マーキング、ガスケッチングおよびシーリング、ポッティング、マスキング、封入、合金ホイールのためおよびフード部下のコーティングで使用することができる。金属パネル、プラスチック、および金属パイプなどの工業および建築用途のためのコーティング、ならびにウッドプライマーが言及され得る。
【0046】
その少なくとも1つの表面が硬化コーティングでコートされている物品がさらに本明細書で開示される。コーティングは、層、封入剤、接着剤、シーラント、成型コーティング、プリプレグ、ケーシング、またはラミネートの形態とすることができる。物品は、エレクトロニクス、医療用途、工業用途、建築用途、自動車用途、遠隔通信、民生用途、などにおいて使用するための装置または装置の部品とすることができる。
【0047】
この開示は、非限定的である下記実施例によりさらに説明される。
【実施例】
【0048】
これらの実施例において使用される材料が表1に示される。
【0049】
【0050】
本実施例で使用されるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマーは、2,6-ジメチルフェノールおよびテトラメチルビスフェノールAから誘導された繰り返し単位を含み、ビニル末端基を有し、0.09dl/gの固有粘度および2,300グラム/モルの数平均分子量を有し、サビックからノリル 樹脂SA9000として入手可能である。
【0051】
比較例1(CE1)および実施例1~10(E1~E10)の配合および特性が表2に示される。
【0052】
【0053】
配合物を、PPEおよび光開始剤を個々のアクリレートに80℃で溶解することにより調製した。完全に溶解した後、溶液を2つのガラス板の間に適用し、UVランプ(100ワットの365nm長波長UVを特徴とする)下に10分間置いた。次いで、フィルムをガラス板から剥がし、クロロホルムに浸し、膨潤について試験した。フィルムがクロロホルム中で不溶性であった場合、これは3次元(3D)ネットワーク構造の形成を示した。
【0054】
実施例1、2、5、7、9、および10はクロロホルム中で不溶性であり、これらの組成物は3Dネットワーク構造を形成したことが示された。これは、反応混合物中に存在するより多くの量の光開始剤(0.2g)のためであった可能性がある。実施例9および10に関しては、硬化材料は少なくとも一部は可溶性であった。というのも、I-1およびI-2は単官能性であるからである。
【0055】
比較例1(CE1~CE5)および実施例11~14(E11~E14)の配合および特性が表3に示される。
【0056】
【0057】
開始剤の量を比較例(CE1~CE5)および実施例11~14(E11~E14)について一定に維持した。例えば、0.1gの開始剤を10gの樹脂について使用し、0.2g開始剤を20gの樹脂について使用した。比較例2~5では、PPE樹脂は存在しなかった。表3に示されるように、PPEが存在すると、示差走査熱量測定(DSC)により測定したTgは改善された。例えば、CE2とE11、CE3とE12、CE4とE13、およびCE5とE14の比較により、それぞれ、29、92、および53℃の増加が示された。CE4およびE14についてのTgはDSCにより測定できず、というのも、PPEはPA-4中で可溶性であったからである。
【0058】
この開示は、下記態様をさらに包含する。
【0059】
態様1:5~40wt%のUV光-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~95wt%のUV光-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.01~3wt%の紫外線により活性化される光開始剤とを含む、紫外線-硬化性コーティング組成物。
【0060】
態様2:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは下記式を有し、
【化12】
式中、Q
1およびQ
2の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、Q
3およびQ
4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-C
12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-C
12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、xおよびyは各々独立して0~30であり、Zは水素、アリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであり、ただし、少なくとも1つのZがアリル、ビニル、または(メタ)アクリレートであることを条件とし、Lは下記式を有し、
【化13】
式中、R
3、R
4、R
5、およびR
6の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、wは0または1であり、ならびに、Yは、
【化14】
であり、式中、R
7の各事象は独立して、水素またはC
1-12ヒドロカルビルであり、R
8およびR
9の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビルであり、またはR
8およびR
9は一緒に炭素原子と共にC
4-12シクロヒドロカルビレンを形成し、またはLは下記式を有し、
【化15】
式中、Eは6~100であり、Rの各事象は独立して、非置換もしくは置換C
1-13アルキル、C
1-13アルコキシ、C
3-6シクロアルキル、C
3-6シクロアルコキシ、C
6-14アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-13アリールアルキレン、またはC
7-13アルキルアリーレンであり、各pおよびqは独立して、0または1であり、R
1は二価C
2-8脂肪族基であり、Mの各事象は独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1-8アルキルチオ、C
1-8アルキル、C
1-8アルコキシ、C
2-8アルケニル、C
2-8アルケニルオキシ、C
3-8シクロアルキル、C
3-8シクロアルコキシ、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、C
7-12アラルキル、C
7-12アラルコキシ、C
7-12アルキルアリール、またはC
7-12アルキルアリールオキシであり、ならびに各nは独立して、0、1、2、3、または4である、組成物。
【0061】
態様3:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは少なくとも1つのアリル、ビニル、または(メタ)アクリレート末端基、下記式のポリ(ポリフェニレンエーテル)ブロックであって、
【化16】
式中、Z
1の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-C
12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、ならびにZ
2の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)である、ポリ(ポリフェニレンエーテル)ブロック、および下記式の繰り返し単位を含むポリシロキサンブロックであって、
【化17】
式中、R
3の各事象は独立して、C
1-12ヒドロカルビルまたはC
1-12ハロヒドロカルビルであるポリシロキサンブロックを含み、ポリシロキサンブロックは、式(6)の末端単位をさらに含み、
【化18】
式中、Yは水素、ハロゲン、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ヒドロカルビルオキシであり、R
3の各事象は独立して、水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-12ハロヒドロカルビルであり、好ましくは、Yは水素、ハロゲン、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビルオキシであり、R
3の各事象は独立して、水素、C
1-6ヒドロカルビル、またはC
1-6ハロヒドロカルビルであり、より好ましくは、Yは水素、メチル、またはメトキシであり、各R
3はメチルである、組成物。
【0062】
態様4:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、二官能性ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは下記式を有するポリシロキサンブロックを含み、
【化19】
式中、nは5~100、または10~80または10~60の平均値を有する組成物。
【0063】
態様5:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、ポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーは少なくとも1つの末端(メタ)アクリレート基、好ましくは2つの末端メタクリレート基を含む、組成物。
【0064】
態様6:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)は下記式を有し、
【化20】
式中、Q
1およびQ
2の各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、Q
3およびQ
4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-C
12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-C
12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、xおよびyは各々独立して0~30であり、ならびにLは下記式を有し、
【化21】
(3)
式中、R
3、R
4、R
5、およびR
6の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-6一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-6ヒドロカルビルチオ、C
1-6ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-6ハロヒドロカルビルオキシ(ここで、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、wは0または1であり、R
10はメチルまたは水素であり、ならびに、Yは、
【化22】
であり、式中、R
7の各事象は独立して、水素またはC
1-6ヒドロカルビルであり、R
8およびR
9の各事象は独立して、水素、C
1-6ヒドロカルビルであり、またはR
8およびR
9は一緒に、炭素原子と共にC
4-6シクロヒドロカルビレンを形成する、組成物。
【0065】
態様7:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)は、下記式を含み、
【化23】
式中、Q
5およびQ
6の各事象は独立して、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、またはモルホリノメチルであり、aおよびbの各事象は独立して、0~20であり、ただし、aおよびbの合計は少なくとも2であることを条件とし、ならびに、R
10の各事象は独立して、メチルまたは水素であり、好ましくは、Q
5およびQ
6の各事象は独立して、メチル、シクロヘキシル、フェニル、ジ-n-ブチルアミノメチル、またはモルホリノメチルであり、各R
10はメチルである組成物。
【0066】
態様8:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準を使用して決定すると、500~7,000g/molの数平均分子量、および500~15,000g/molの重量平均分子量を有する、組成物。
【0067】
態様9:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、UV光-硬化性モノマー、オリゴマー、またはポリマーは(メタ)アクリレートである組成物。
【0068】
態様10:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、硬化性モノマー、オリゴマー、またはポリマーはジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ポリエーテルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、またはそれらの組み合わせである組成物。
【0069】
態様11:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、20~40wt%の紫外線-硬化性ポリ(ポリフェニレンエーテル)と、60~80wt%のUV光-硬化性モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせと、0.1~3wt%の光開始剤とを含む、組成物。
【0070】
態様12:態様1の紫外線-硬化性コーティング組成物であって、20~40wt%のメタ(アクリレート)で末端キャップされたポリ(ポリフェニレンエーテル)オリゴマーと、60~80wt%の、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートの組み合わせと、0.1~3wt%の光開始剤とを含む、組成物。
【0071】
態様13:120~200℃のガラス転移温度、脱イオン水中25℃で24時間浸漬後に測定すると1wt%以下の吸水、またはそれらの組み合わせを有する、態様1の硬化性組成物の硬化生成物。
【0072】
態様14:被覆基材を形成する方法であって、基材を提供する工程、基材を態様1~12のいずれか一つの紫外線-硬化性コーティング組成物でコートし、被覆基材を提供する工程、および、コーティング組成物を紫外線で硬化する工程を含む方法。
【0073】
態様15:態様13の被覆基材を含み、コーティングは層、封入剤、接着剤、シーラント、成型コーティング、プリプレグ、ケーシング、またはラミネートの形態である物品。
【0074】
組成物、方法、および物品は、選択的に、本明細書で開示される任意の適切な材料、工程、または構成要素を含み、これから構成され、またはこれから本質的に構成され得る。組成物、方法、および物品は、加えて、またはその代わりに、組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に別段必要とされない、任意の材料(または種)、工程、または構成要素を欠く、または実質的に含まないように策定することができる。
【0075】
本明細書で開示される全ての範囲は終点を含み、終点は独立して、互いに組み合わせ可能である(例えば、「25wt%まで、または5wt%~20wt%」の範囲は、終点および「5wt%~25wt%」の範囲の中間値全てを含む)。「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金、反応生成物、などを含む。「第1の」、「第2の」などという用語は順序、量、または重要性を示さず、むしろ、1つの要素を別の要素と識別するために使用される。「1つの(a、an)」または「その(the)」という用語は量の制限を示さず、本明細書で別記されない限り、または、文脈により明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「または」は、別段の明確な規定がない限り、「および/または」を意味する。明細書を通して、「いくつかの態様」、「一態様」、などへの言及は、態様との関連で記載される特定の要素が、本明細書で記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様では存在しても、しなくてもよいことを意味する。加えて、記載される要素は様々な態様において任意の好適な様式で組み合わせることができることが理解されるべきである。「それらの組み合わせ」は、限定されておらず、列挙された構成要素または特性の少なくとも1つを、任意で、列挙されていない同様のまたは等価の構成要素または特性と共に含む任意の組み合わせを含む。
【0076】
本明細書で反対のことが特定されない限り、全ての試験標準は本出願の出願日、または、優先権が主張されている場合、試験標準が現れる最先の優先権出願の出願日の時点で効力のある最新の標準である。
【0077】
別に規定されない限り、本明細書で使用される技術および科学用語は、本出願が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。引用される全ての特許、特許出願、および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願内の用語が、組み込まれる参考文献内の用語と矛盾または対立する場合、本出願の用語が、組み込まれる参考文献の対立する用語に優先する。
【0078】
化合物は、標準命名法を用いて記載される。例えば、任意の示された基により置換されていないいずれの位置も、示された結合、または水素原子により満たされたその原子価を有すると理解される。2つの文字または記号間にないダッシュ(「-」)は、置換基のための結合点を示すために使用される。例えば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して結合される。「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレート基の両方を含む。
【0079】
本明細書では、「ヒドロカルビル」という用語は、それだけで使用されるか、または、別の用語の接頭辞、添え字、または断片として使用されるかに関係なく、炭素および水素のみを含有する残基を示す。残基は脂肪族もしくは芳香族、直鎖、環状、二環式、分枝、飽和、または不飽和とすることができる。それはまた、脂肪族、芳香族、直鎖、環状、二環式、分枝、飽和、および不飽和炭化水素部分の組み合わせを含有することができる。しかしながら、ヒドロカルビル残基が置換されたと記載される場合、それは、置換残基の炭素および水素メンバーに加えて任意で、ヘテロ原子を含有してもよい。よって、置換されたと特定的に記載される場合、ヒドロカルビル残基はまた、1つ以上のカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、などを含有することができ、または、ヒドロカルビル残基の骨格内にヘテロ原子を含有することができる。一例として、式(1)におけるZ1は、末端3,5-ジメチル-1,4-フェニル基の酸化重合触媒のジ-n-ブチルアミン成分との反応により形成されたジ-n-ブチルアミノメチル基とすることができる。
【0080】
「アルキル」という用語は、分枝もしくは直鎖、不飽和脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ならびにn-およびs-ヘキシルを意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖、一価炭化水素基を意味する(例えば、エテニル(-HC=CH2))。「アルコキシ」は、酸素を介して連結されるアルキル基(すなわち、アルキル-O-)、例えばメトキシ、エトキシ、およびsec-ブチルオキシ基を意味する。「アルキレン」は、直鎖もしくは分枝鎖、飽和、二価脂肪族炭化水素基を意味する(例えば、メチレン(-CH2-)または、プロピレン(-(CH2)3-))。「シクロアルキレン」は、二価環状アルキレン基、-CnH2n-xを意味し、式中、xは環化(複数可)にとって代わられる水素の数である。接頭辞「ハロ」は、1つ以上のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード置換基を含む基または化合物を意味する。異なるハロ基(例えば、ブロモおよびフルオロ)の組み合わせ、またはクロロ基のみが存在することができる。接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基がヘテロ原子である少なくとも1つの環員(例えば、1、2、または3つのヘテロ原子)を含むことを意味し、ヘテロ原子(複数可)は各々、独立してN、O、S、Si、またはPである。「置換された」は、化合物または基が、水素の代わりに、各々、独立して、C1-9アルコキシ、C1-9ハロアルコキシ、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、C1-6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6-12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)チオール(-SH)、チオシアノ(-SCN)、トシル(CH3C6H4SO2-)、C3-12シクロアルキル、C2-12アルケニル、C5-12シクロアルケニル、C6-12アリール、C7-13アリールアルキレン、C4-12ヘテロシクロアルキル、およびC3-12ヘテロアリールとすることができる少なくとも1つの(例えば、1、2、3、または4つの)置換基で置換されたことを意味し、ただし、置換された原子の標準原子価を超えないことを条件とする。基内で示される炭素原子の数はいずれの置換基も除外する。例えば、-CH2CH2CN基はニトリルで置換されたC2アルキル基である。
【0081】
特定の態様について記載してきたが、現在のところ、予期されない、または、予期され得ない代替、改変、変更、改善および実質的な等価物について、出願人または当業者は、思い着くことができる。したがって、出願された、補正される可能性のある添付の特許請求の範囲は、そのような代替、改変、変更、改善および実質的な等価物を全て包含することが意図される。
【国際調査報告】