(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】機械的および磁気的接続部を有するウインドスクリーンワイパーブレードアダプタ
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
B60S1/40 300Z
B60S1/40 100B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564571
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020057702
(87)【国際公開番号】W WO2020221508
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】メディ、ベルハジ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、フィユー
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、イザベル
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD01
3D225AE29
(57)【要約】
ウインドスクリーンワイパーアームのタブ(4)を受容するように構成された機械的接続領域(3)と、少なくとも1つの永久磁石(7)を受容するように構成された磁気的接続領域(6)と、を備える、車両用ウインドスクリーンワイパーブレード用のアダプタ(1)。本発明によれば、ウインドスクリーンワイパーブレードは、このワイパーブレードがこの種のアダプタ(1)を備えることを特徴とし、車両用ワイピングシステムは、このワイピングシステムがこの種のウインドスクリーンワイパーブレードを備えることを特徴とする。本発明によれば、この種のウインドスクリーンワイパーブレードを取り付ける方法は、ウインドスクリーンワイパーアームの長手方向端部から出現するタブ(4)をアダプタ(1)の穴に挿入するステップと、ウインドスクリーンワイパーアームに対してウインドスクリーンワイパーブレードを旋回させるステップと、アダプタ(1)に固定された永久磁石(7)とウインドスクリーンワイパーアームとの間に磁気接続部を生成するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーアーム(5)のタブ(4)を受容するように構成された機械的接続領域(3)と、少なくとも1つの永久磁石(7)を受容しかつ前記ワイパーアーム(5)と相互作用するように構成された磁気的接続領域(6)と、を備える、車両ワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項2】
前記磁気的接続領域(6)が、前記永久磁石(7)を受容するように構成された受容領域(8)を備える、請求項1に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記受容領域(8)内で形状の相互作用によって前記アダプタ(1)に堅固に固定されるか、圧入されるか、接着接合されるか、またはオーバーモールドされた、前記永久磁石(7)を少なくとも備える、請求項2に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記永久磁石(7)を定位置に保持する少なくとも1つのつめ(9)を備える、請求項3に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記つめ(9)の下に前記永久磁石(7)を挿入するために引っ込み、前記永久磁石(7)を長手方向の定位置に保持する、少なくとも1つの可撓性舌状部(10)を備える、請求項4に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項6】
ヘッド(11)および本体(12)を備え、前記ヘッド(11)が前記本体(12)よりも幅広でありかつ高く、前記アダプタ(1)が、前記ワイパーアーム(5)のヨーク(14)の前記タブ(4)を受容するように構成された穴(13)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項7】
前記アダプタの本体(12)と前記永久磁石(7)との間に介在されるように構成された磁気シールド(22)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項8】
前記磁気シールド(22)が、前記磁気シールド(22)を前記アダプタ(1)に堅固に固定するために前記アダプタ(1)の少なくとも1つのつめ(9)と相互作用する少なくとも1つのループ(23)を備える、請求項7に記載のワイパーブレード(2)用のアダプタ(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアダプタ(1)を備える車両ワイピングシステム(25)のワイパーブレード(2)。
【請求項10】
ワイパーアーム(5)と、請求項9に記載のワイパーブレード(2)とを備える車両ワイピングシステム(25)。
【請求項11】
ワイパーアーム(5)上にワイパーブレード(2)を組み付ける方法であって、
前記ワイパーアーム(5)のヨーク(14)の長手方向端部から出現するタブ(4)をアダプタ(1)の穴(13)に挿入するステップと、
前記タブ(4)と前記アダプタ(1)との間の機械的接続領域(3)を通過するピボット軸線39を中心として前記ワイパーブレード(2)を前記ワイパーアーム(5)に対して旋回させるステップと、
前記ワイパーブレード(2)の前記アダプタに堅固に固定された永久磁石(7)と前記ワイパーアーム(5)との間に磁気接続部を生成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドスクリーンワイパーブレードアダプタ、かかるアダプタを装備したワイパーブレード(wiper blade)、かかるワイパーブレードを備えるワイピングシステム(wiping system)、およびかかるワイピングシステムを組み付ける方法に関する。
【0002】
本発明は、自動車両のガラス表面(glazed surfaces)を拭きかつ/または清掃する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、自動車両用のワイピングシステムは、往復角運動を行うように意図された少なくとも1つのワイパーアーム(wiper arm)を備え、ワイパーアームには、ワイパーゴムを備えるワイパーブレードが接続される。このワイパーゴムは、車両のガラス表面と接触し、ワイパーアームの往復角運動によって駆動されるものであり、悪天候の場合にまたは前記ガラス表面を洗浄するときに、車両の運転者にとって明瞭で遮るものがない眺めを確保するために、ガラス表面を拭きかつ/または清掃する。ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続を確実にするために、ワイピングシステムにはアダプタが装備され、アダプタは、一方ではワイパーブレードと相互作用し、他方ではワイパーアームの端部と相互作用する。
【0004】
この接続により、摩耗した場合にワイパーブレードを交換することが可能になる。ワイパーブレードをワイパーアーム上に組み付ける人間工学を改善するという利点を有する磁気コネクタを用いてそのような接続部を設けることが周知の慣例である。
【0005】
しかしながら、分解は最善ではない、というのは、分解するには、押しボタンを押して接続を解除するか、垂直並進運動により磁石を取り外すか、のどちらかをする必要があるからであり、磁石を取り外すのもまた、磁石を取り外すのに多大な労力が必要となり得るので、あまり人間工学的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この磁気接続システムの人間工学を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ワイパーアームのタブを受容するように構成された機械的接続領域と、少なくとも1つの永久磁石を受容しかつワイパーアームと相互作用するように構成された磁気的接続領域と、を備える、車両ワイパーブレード用のアダプタからなる。
【0008】
本発明によるアダプタは、本体およびヘッドを備える。機械的接続領域は、ワイパーアームの一端を挿入するために設けられ、この機械的接続領域は、アームの端部が挿入される穴と、アームの端部が当接支持しかつ旋回するヘッドの内壁と、を備える。
【0009】
アダプタは、ワイパーブレードをワイパーアームまで持っていくことにより、アダプタの磁気的接続領域で磁気接続によってワイパーアームに堅固に固定される。
【0010】
有利には、ワイパーブレードの分解は、この分解が機械的接続領域の周りを傾動することによって達成され、傾動するには、ワイパーアームから永久磁石を取り外すのに労力をそれほど必要としないので、人間工学的である。
【0011】
本発明の一態様によれば、磁気的接続領域は、永久磁石を受容するように構成された受容領域を備える。
【0012】
本実施形態によれば、受容領域は、永久磁石をアダプタの上壁の厚さに埋め込むように永久磁石が収容される空洞である。これにより、磁石がこの上壁から突き出て機械的干渉を引き起こすのが防止される。受容領域はまた、別個のスタッドによって縦方向および横方向に境界を定められ、永久磁石を収容するように意図された矩形領域であってもよい。これらの異なるタイプの受容領域の機能については、以下でより詳細に説明する。
【0013】
本発明の一態様によれば、アダプタは、受容領域内で形状の相互作用によってアダプタに堅固に固定されるか、圧入されるか、接着接合されるか、またはオーバーモールドされた永久磁石を少なくとも備える。
【0014】
永久磁石は、強い磁気を与えるために、理想的にはネオジム磁石である。永久磁石は、ワイピングシステムが動作しているときに影響している機械的力に耐えるくらい強い態様でアダプタに堅固に固定されなければならない。したがって、上述した様々な固定手段はすべて、この条件を満たすように示される。
【0015】
当然ながら、本発明の各実施態様の特定の必要性に応じて、永久磁石の他の組成物も考えられる。
【0016】
本発明の一態様によれば、アダプタは、永久磁石を定位置に保持する少なくとも1つのつめを備える。
【0017】
アダプタは、永久磁石受容領域の周りに配置された少なくとも1つのつめを含む。この場合のつめの形状は、永久磁石の厚さに対応する自由空間の範囲を定める働きをする。つめの先端は、永久磁石をその受容領域内に保つように永久磁石の上面に向かって湾曲している。したがって、永久磁石は、ワイピングシステムが動作しているときに運動を受けない。
【0018】
本発明の一態様によれば、アダプタは、つめの下に永久磁石を挿入するために引っ込み、永久磁石を長手方向の定位置に保持する、少なくとも1つの可撓性舌状部を備える。
【0019】
組立中、永久磁石は、つめの下で長手方向並進によって摺動される。つめは、磁石の横方向の移動を妨げ、永久磁石受容領域内の停止手段は、組立中の永久磁石の並進方向の長手方向の移動を妨げる。反対方向への長手方向の移動を妨げるために、アダプタは、その長手方向端部に可撓性舌状部を含む。この舌状部は、永久磁石がつめの下に並進挿入されるにつれてワイパーブレードに向かって屈曲する。永久磁石が挿入されると、可撓性舌状部は、この舌状部の初期位置に戻り、したがって、永久磁石の挿入方向とは反対の方向の長手方向の動きを妨げる。
【0020】
永久磁石を装備した磁気的接続領域は、ワイパーアームと相互作用するように構成される。
【0021】
別の実施形態では、永久磁石を装備した磁気的接続領域は、ワイパーアームのロッドと相互作用するように構成され、この種のロッドは、その端部にヨークが装備される。
【0022】
別の実施形態では、永久磁石を装備した磁気的接続領域は、ワイパーアームのヨークと相互作用するように構成され、この種のヨークは、ワイパーアームを構成するロッドに堅固に固定される。
【0023】
ロッドは、ロッドの機械的保持を確実にするために横断面で延びるU字形ヨーク内に圧着される。ロッドおよび/またはヨークは、アダプタの永久磁石との磁気接続を確実にするために金属製である。
【0024】
本発明の一態様によれば、アダプタは、ヘッドおよび本体であって、ヘッドが本体よりも幅広でありかつ高い、ヘッドおよび本体、ならびにワイパーアームのヨークのタブを受容するように構成された穴を備える。
【0025】
アダプタのヘッドと本体との間の寸法の差は、アーム/ブレード接続が行われるときに追加の停止手段を形成する。ヨークは、アダプタの2つの要素間の高さのこの差によって作られた肩部に押し付けられる。次に、穴は、ヨークの端部から出現するタブの挿入を可能にし、したがって、アームおよびブレードが接続されるときに機械的保持手段を作る。穴は、ヨークがヘッドと本体との間の境界に設けられた肩部に当接することを確実にしながらヨークを定位置に置くことを可能にするために、ヘッドおよび本体にまたがって配置される。
【0026】
アダプタは長手方向に延び、アームに対してアダプタを長手方向にロックするようにワイパーアームと相互作用するように構成された停止手段を形成する少なくとも1つの壁を含む。
【0027】
ワイパーアームとワイパーブレードとの間の接続が行われるときに、停止手段は長手方向の接続を維持する。そのとき、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続は、システムが動作しているときにワイパーアームの往復角運動によって引き起こされる遠心力に耐える。
【0028】
停止手段を形成する壁は、長手方向平面で延びる、アダプタの長手方向端部に設けられたL字形延長部によって支持される。
【0029】
この実施形態では、停止手段は、ワイパーアームのロッドおよび/またはヨークと相互作用し、その結果、ワイパーブレードの保持が最適になる。
【0030】
アダプタは、上壁および2つの側壁によって形成された、横断面で延びるU字形断面を有し、停止手段を形成する壁は、側壁の少なくとも一方から出現する突起部によって支持される。
【0031】
この実施形態では、停止手段は、アダプタの側壁上に配置される。停止手段は、側壁上に垂直に延びていて、アダプタ上に突起部を形成する。ヨークは、この実施形態では、アダプタの停止手段を受容するように意図された切込みを備える。この停止手段は、ワイパーブレードの長手方向の移動を妨げる。
【0032】
本発明の一態様によれば、アダプタは、アダプタの本体と永久磁石との間に介在されるように構成された磁気シールドを備える。
【0033】
永久磁石の下に磁気シールドを含むことが可能である。この磁気シールドは、磁気的接続領域から生じる磁気接続を強化するために、磁石の磁場をワイパーアームの方へ押しやるための、磁石の寸法以上の寸法を有する金属部品である。そのとき、磁気力は、ワイパーアームのヨークに向かって集中し、磁気力の増大した出力で、ワイパーアームとワイパーブレードとの間の磁気接続を改善する。
【0034】
本発明の一態様によれば、磁気シールドは、磁気シールドをアダプタに堅固に固定するためにアダプタの少なくとも1つのつめと相互作用する少なくとも1つのループを備える。
【0035】
磁気シールドは、磁気シールドの側壁上に少なくとも1つのループを含む。このループのサイズは、永久磁石を保持するつめをループに挿入できるようなものである。したがって、磁気シールドは、ループとつめとの間の相互作用によって装着される。磁気シールドの存在は、永久磁石の並進挿入のためにつめによって残された空間に決して侵入しない。
【0036】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのアダプタを備える車両ワイピングシステムのワイパーブレードを包含する。
【0037】
アダプタは、ワイパーブレードを支持するコネクタに旋回リンクによって直接接続される。したがって、そのようなアダプタを有するワイパーブレードは、ワイパーブレードに相補的でありかつ機械的および磁気的接続を可能にするワイパーアームを有する任意のタイプの車両に装着することができる。
【0038】
本発明はまた、ワイパーアームと、前述のワイパーブレードとを備える車両ワイピングシステムを包含する。
【0039】
ワイパーアームは、ヨーク内に圧着されたロッドを含む。ロッドは、ヨークとアームの端部との間の接続部を形成し、アームの端部は、ワイピングシステムの往復運動を作動させるための装置に直接接続される。ワイパーブレードは、上述のとおりであり、上述のアダプタを含む。
【0040】
本発明はまた、ワイパーアーム上にワイパーブレードを組み付けるための方法にも関し、この方法は、
ワイパーアームのヨークの長手方向端部から出現するタブをアダプタの穴に挿入するステップと、
タブとアダプタとの間の機械的接続領域を通過するピボット軸線を中心としてブレードをアームに対して旋回させるステップと、
ワイパーブレードのアダプタに堅固に固定された永久磁石とワイパーアームとの間に磁気接続部を生成するステップと
を含む。
【0041】
ヨークのタブはアダプタの穴に挿入される。ブレードの旋回運動のおかげで、タブは、アダプタの内壁と直接接触することにより機械的保持を確実にする。この接触領域は機械的接続領域に対応する。ブレードの旋回はまた、永久磁石を、永久磁石と相互作用するように意図されたワイパーアームの金属部分まで持っていく。これは、磁気的接続領域が生成されるまで行われる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図4】ワイパーアームのヨークおよびロッドの第1の実施形態を示す図である。
【
図5】アダプタとヨークとの間の接続部の断面図である。
【
図7】ワイパーアームのヨークおよびロッドの第2の実施形態を示す図である。
【
図8】第2の実施形態のためのアダプタとヨークとの間の接続部の全体図である。
【
図9a】任意の実施形態に適合可能な要素を有するアダプタの一代替設計を示す図である。
【
図9b】任意の実施形態に適合可能な要素を有するアダプタの別の代替設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、自動車両のワイピングシステム25の全体図である。ワイピングシステム25は、ワイパーブレード2およびワイパーアーム5を備える。ワイパーブレード2は、アダプタ1、コネクタ34、およびワイパーゴム24を含む。ワイパーゴム24は、車両のガラス表面と直接接触し、その表面を清掃するものである。コネクタ34は、ワイパーゴム24とアダプタ1との間の接続部を形成する。アダプタ1は、ワイパーアーム5のヨーク14によって大部分が隠され、下記により詳細に記述される。アダプタ1は、ヨーク14に直接接続され、したがって、ワイパーブレード2とワイパーアーム5との間の接続を確実にする。
【0044】
ワイパーブレード2の運動は、ワイパーアーム5によって引き起こされる。ワイパーアーム5は、駆動装置35と、ヨーク14と、ヨーク14内に圧着されたロッド27と、を備える。ヨーク14は、機械的接続領域および磁気的接続領域を介してアダプタ1に接続する要素である。ヨーク14はロッド27上に圧着され、この圧着は、ヨーク14とワイパーアーム5の残り部分との間の接続を提供する。駆動装置35は、ワイピングシステム25を回転させるためのモータに接続される一端を有する。
【0045】
アダプタ1は、第1の実施形態を用いて、
図2により詳細に示される。アダプタ1は、ヘッド11および本体12からなる。ヘッド11は、アダプタ1の長手方向端部に配置される。ヘッドは本体12よりも幅広でありかつ高いので、肩部16を作り出し、肩部の壁は、ヘッド11と本体12との間の幅および高さの差に対応する。ヘッド11および本体12にまたがって配置された穴13は、ヨークの一端を受容し、したがって機械的接続領域においてヨークとアダプタ1との間の機械的接触を作り出すように意図されている。
【0046】
本体12は、上壁19と、上壁19の両側に配置された2つの側壁20とを有するU字形部分18からなる。本体12はまた、本体の外面上に、分解図で示されている永久磁石7を受容するように意図された受容領域8を備える。永久磁石7は、受容領域8内で、形状の相互作用、圧入、接着接合、またはオーバーモールドによって堅固に固定される。この実施形態では、受容領域8は、永久磁石7の上面がアダプタ1の本体12の上面と実質的に位置合わせされるように永久磁石7がアダプタ1の本体12の表面の厚さに埋め込まれるような空洞である。
【0047】
ヘッド11の反対側では、本体12の端部は、長手方向平面で延びるL字形延長部17を含む。このL字形延長部17は、停止手段15を作り出す凹部37を有する。この停止手段15は、アダプタ1とヨーク14との間の接続を維持することにより、ワイピングシステム25の動作によって引き起こされる長手方向の動きを妨げるように意図されている。L字形延長部17は、ワイパーブレードのアームへの接続を改善するためにワイパーアームと相互作用するように上方に延びる2つの突出部36で終わる。
【0048】
図3は、
図2のアダプタと全く同じアダプタ1を示す。下から見た図は、アダプタ1の内壁28を示す。内壁28は、アダプタ1のヘッド11の内面上に形成された一連の円板部によって形成される。内壁28は穴13と並置される。内壁28において、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接触は、それぞれアダプタ1の内壁28およびヨークによって起こる。締結手段26が本体12の下に存在し、2つの側壁20の間を横方向に延びる。この締結手段26は、
図1に記載のアダプタ1とコネクタ34との間の接続を確実にする。
【0049】
アダプタは、ワイパーアームのヨーク14と相互作用するように設計される。このヨーク14は、
図4において下から示されている。ヨーク14は、横断面で延びるU字の形をしており、ロッド27上に圧着されるように構成される。
【0050】
タブ4がヨーク14の自由端に存在する。このタブ4は、アダプタのヘッドの内面上に形成された一連の円板部と相補的であるわずかに湾曲した形状を有する。このタブ4は、機械的接続領域において、アダプタとヨーク14との間の機械的接触に関与する。タブ4は、アダプタの穴に挿入され、機械的接続領域において内壁との直接接触を確立するように意図されている。
【0051】
ロッド27は金属製であり、ワイパーアームの残り部分との接続を可能にする。この実施形態では、ロッド27は、ヨーク14の圧着されていない部分において、アダプタと磁気的に相互作用する機能も有する。ロッド27の形状は、アダプタと相互作用するタイプによって異なる。
【0052】
ロッド27の一端は平坦である。ロッドの一端は、永久磁石と相互作用する相互作用部分33に対応する。したがって、磁気的接続領域は、アダプタの永久磁石とロッド27の相互作用部分33との間の接触領域である。
【0053】
ロッド27は、相互作用部分33とロッド27の残り部分との間に厚さの違いがあり、ロッド停止手段32を作り出す。ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続が行われると、ロッド停止手段32は、停止手段32がL字形延長部と受容領域との間に形成されたアダプタの凹部内に収容されるため、アダプタの停止手段15と直接接触する。この接触は、ワイピングシステムの動作によって引き起こされる遠心力に対する抵抗を増大させる。アダプタ停止手段とロッド停止手段32との間の接触は、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続を維持するのに役立つ。
【0054】
ロッド27は、ロッド停止手段32とヨーク14の圧着領域との間に配置された2つのくぼみ31を備える。くぼみ31は、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続が確立されたときに、くぼみがL字形延長部に面しているように、より具体的にはL字形延長部上の突出部にあるように配置される。
【0055】
図5は、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続部の縦断面図である。断面は、縦軸線および垂直軸線によって形成される断面平面に沿って見たものである。ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続方法を説明するために、ヨーク14も全体図で示されている。ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続を確立するためにいくつかのステップが必要である、すなわち、
-ヨーク14のタブ4は、アダプタ1の穴13に挿入される、
-ワイパーブレードの旋回運動は、一方では機械的接続領域3においてヨーク14のタブ4とアダプタ1の内壁28との間の機械的接触を確立するために、他方では磁気的接続領域6においてアダプタ1の永久磁石7と金属ロッド27の相互作用部分33との間の磁気的接触を確立するために、タブ4とアダプタ1との間の機械的接続領域3を通過するピボット軸線39を中心に行われる。
【0056】
図5は、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の2つの接続領域に焦点を合わせている。機械的接続領域3は、図の左側に配置される。これは、ヨーク14のタブ4とアダプタ1の内壁28との間の接触点である。タブ4を穴13に挿入した後、ワイパーブレード2の旋回運動は、機械的接続領域3においてタブ4の表面と内壁28の表面との間の直接接触を引き起こす。
【0057】
磁気的接続領域6は、永久磁石7とロッド27の相互作用部分33との間の接触点に配置され、点線で示されている。
【0058】
組立工程が完了すると、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続が終了する。ヨーク14は、ヨーク14の端部とアダプタ1のヘッド11の肩部16との間の接触により長手方向の定位置に保持される。ロッド停止手段32とアダプタ1の停止手段15との間に同じ機能が提供される。これらの2つの接触点は、
図5には示されていない。この長手方向の保持は、アダプタ1のL字形延長部17上の突出部とロッド27のくぼみ31との間の相互作用によって強化される。ロッド27のくぼみ31は、ロッド27内に形成された2つの空きスペースである。ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続が確立されると、アダプタ1のL字形延長部17上の突出部は、ロッド27のくぼみ31によって作られた空きスペースを埋め、それによって長手方向の接続の維持を強化する。
【0059】
ワイパーブレード2のアダプタ1およびワイパーアームのヨーク14の第2の実施形態も可能である。
【0060】
第2の実施形態のアダプタ1が
図6に示されている。このアダプタは、肩部16を作るように異なる幅および高さのヘッド11および本体12を備える。本体12は、やはり、上壁19および2つの側壁20を備える、横断面で延びるU字形部分18からなる。
【0061】
2つの実施形態の違いは、永久磁石7を受容するための領域、および、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の長手方向保持モードにある。永久磁石7を受容するための領域は、スタッド29によって縦方向および横方向に境界を定められた矩形領域である。この実施形態では、永久磁石7は、受容領域に接着接合される。スタッド29は、互いに分離しており、永久磁石7の周囲の境界を定める。永久磁石7は、永久磁石7の上面がアダプタ1の本体12の上面と実質的に位置合わせされるように、受容領域内に配置される。
【0062】
肩部16は、両方の実施形態に共通の唯一の停止手段である。この実施形態では、長手方向保持を強化するための停止手段は、側壁(複数可)20上に配置されて、側壁20上の少なくとも1つの側方突起部21の形をとる。側方突起部21は、後述するように、横方向に延出する平行六面体形状を有し、ヨークと相互作用する。
【0063】
第2の実施形態のヨーク14が
図7に示されている。第1の実施形態の場合のように、ヨークは、ヨークの長手方向自由端にタブ4を備える。タブ4の機能は、第1の実施形態で説明した機能と全く同じである。
【0064】
磁気接触は、ヨーク14の内壁上に配置され、点線で示されている接触部分38を介してヨーク14で直接確立される。
【0065】
ヨーク14の構造は、この実施形態では、ヨーク14の側壁の少なくとも一方上に存在する少なくとも1つの切込み30があるために異なる。切込み30は、接触部分38の高さで横方向に配置される。切込み30は、長手方向に平行な平面で延びるV字形であり、後述するようにアダプタの側壁上に配置された側方突起部と直接接触することにより相互作用する機能を有する。
【0066】
図8は、第2の実施形態のヨーク14とアダプタ1との間の接続部を示す。組立方法は、第1の実施形態と同じである。磁気的接続領域は、永久磁石7とヨーク14の接触部分38との間の接触点を特徴としており、点線で示されている。
【0067】
図8に見られる実施形態相互間の違いは、接続の長手方向保持に関する。組立が終了すると、長手方向保持が、アダプタの側方突起部21とヨーク14の切込み30との間の接触点によって確保される。したがって、側方突起部21は、切込み30の形をとるV字形状部に受容される。停止手段の構造は2つの実施形態で異なるが、機能は同じままである、すなわち、ワイパーアームの往復角運動によって引き起こされる遠心力に抗してワイパーブレードを長手方向に保持する。
【0068】
他の可能な実施形態では、側方突起部21が切込みのない単純な垂直縁部を有するのが実情であり得ることも明らかであろう。
【0069】
図9aおよび
図9bは、永久磁石7を受容するための領域内に実装する代替手段を示す。これらの変形形態は、上に提示した実施形態のいずれにも適用することができる。
【0070】
図9aおよび
図9bでは、永久磁石7を受容するための領域は、アダプタ1の本体12と永久磁石7との間に配置された磁気シールド22を備える。永久磁石7は、この場合は視認性のために先端を切り取られている。磁気シールド22は屈曲した金属板であり、この金属板は、そのような磁気シールドがない場合に通常はアダプタ1の方へ向けられるはずの磁束線を磁気的接続領域の方へ向け直す。これは、永久磁石7の磁気強度を高めるとともに、ワイパーブレードとワイパーアームとの間の接続が行われるときに永久磁石とヨークまたはロッドとの間の磁気接続を改善する。
【0071】
永久磁石7が接着接合またはオーバーモールドされる上記の実施形態とは異なり、
図9aおよび
図9bでは、永久磁石7は、形状の相互作用によって定位置に保持される。それにもかかわらず、永久磁石7は、永久磁石7の上面がアダプタ1の本体12の上面と実質的に位置合わせされるように常に配置される。
【0072】
磁気シールド22の位置を固定するために、磁気シールドには、少なくとも1つのループ23、有利には1辺あたり2つのループ23が装備される。ループ23は、磁気シールド22の両側に配置され、下方に湾曲している。
図9aでは、ループ23は、アダプタ1に対して横方向に延出する突出部41と相互作用する。したがって、突出部41は、突出部がループ23を通過できるようなサイズを有する。この配置は、磁気シールド22をアダプタ1に対して強固に固定することを可能にする。
【0073】
永久磁石7は、永久磁石7を受容するための領域の縦方向端部および横壁上に配置された隆起部42によって定位置に保持される。
図9bでは、アダプタ1は、永久磁石7を収容するための受容領域8内に形成され、アダプタ1と直接一体に作られた少なくとも1つのつめ9、有利には複数のつめ9を備える。つめ部9は、永久磁石7の厚さに対応する自由空間の範囲を定める。つめ9の先端は、永久磁石をその受容領域内に保持するように永久磁石7の上面に向かって面取りされ、したがって、接着接合やオーバーモールドなどの永久磁石7を取り付ける作業を回避する。つめ9の面取り部分と相互作用するために、永久磁石7には、この場合、つめ9と相互作用する部分に面取りした面40が設けられる。したがって、永久磁石7は、磁気シールド22とつめ9の面取り部分との間の長手方向並進43によって挿入される。
【0074】
しかしながら、図示されていない他の実施形態では、永久磁石7は、上述の実施形態にあるような機械的保持手段と組み合わせて、またはその代わりに、本体上のアダプタ1をオーバーモールドすることによって定位置に保持されることが可能である。この種の構成は、磁石に保護コーティングを塗布する必要なしに、腐食しやすい組成物で作られた磁石(例えば、いくつかのネオジム磁石)を保護するのに特に有利であろう。
【0075】
図9aと同様に、
図9bでは、磁気シールド22には、少なくとも1つのループ23、有利には3つのつめ9のための2つのループ23が装備され、つめ9はループ23に交互に挿入されるか、または挿入されない。ループ23は、磁気シールド22の両側に配置され、つめ9と相互作用するように下方に湾曲している。したがって、つめ9は、つめがループ23を通過できるようなサイズを有する。この配置は、磁気シールド22をアダプタ1に対して強固に固定することを可能にする。
【0076】
図9bでは、アダプタ1は、アダプタの後方長手方向端部に、すなわちヘッドが形成される端部の反対側に可撓性舌状部10を備える。この可撓性舌状部10は、つめ9の下に永久磁石7を長手方向並進43で挿入する間、引っ込む。永久磁石7が挿入されると、可撓性舌状部10は、復帰運動を行ってこの舌状部の初期位置に戻り、したがって、永久磁石7の挿入方向とは反対の方向の長手方向の動きを阻止する。
【国際調査報告】