(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】積載貨物を手動で輸送するための外骨格タイプの非電動物理支援デバイス
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511132
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020062098
(87)【国際公開番号】W WO2020225114
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521480503
【氏名又は名称】エフエム・フランス・エスアーエス
(71)【出願人】
【識別番号】521481692
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・テクノロジー・ドゥ・コンピエーニュ
(71)【出願人】
【識別番号】519208029
【氏名又は名称】セントレ ナシオナル ドゥ ラ レシェルシェ サイエンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ベン・マンスール,ハリール
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HT04
3C707HT40
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK24
3C707XK42
3C707XK85
(57)【要約】
本発明は、使用の際に積載貨物を手動で持ち上げ輸送するユーザの上肢(5)への負荷を軽くするために、ユーザ(2)が着用するように設計された外骨格タイプの非ロボット/非電動物理支援デバイス(1)であって、少なくとも、ユーザ(2)の腰/尻(3)の周りを通過することが可能なヒップ・ベルト(10)、および積載貨物持上/輸送支援手段(20)を備えており、デバイスがユーザ(2)によって着用され、使用される場合、積載貨物持上/輸送支援手段(10)は、積載貨物の持上/輸送によって生じた垂直負荷をヒップ・ベルト(10)にのみ伝達し、ユーザ(2)の背中(2)、上肢(5)、肩(6)および首(7)への負荷を和らげる部材(21)を備えているデバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用の際に積載貨物(C)を手動で持ち上げ輸送するユーザの上肢(5)への負荷を軽くするために、前記ユーザ(2)が着用するように設計された外骨格タイプの非電動物理支援デバイス(1)であって、特に、前記ユーザ(2)の腰/尻(3)の周りを通過することが可能なヒップ・ベルト(10)、および積載貨物持上/輸送支援手段(20)を備えており、前記デバイス(1)は前記ユーザ(2)によって着用され、使用され、前記積載貨物持上/輸送支援手段(20)は、前記ユーザ(2)によって持ち上げられた/輸送された積載貨物(C)によって生じた垂直負荷をヒップ・ベルト(10)にのみ伝達し、前記ユーザの背中(4)、上肢(5)、肩(6)および首(7)への負荷を和らげる部材(21)を備えており、負荷を伝達する部材(21)は、前記ユーザまたは前記ユーザの腕に接触することなく、前記ユーザ(5)の前記肩(6)の上を通過する2つの横分岐(26)に分割された単一の中心柱(22)を備えた剛性背面支持部によって構成されており、前記横分岐(26)は前記中心柱(22)に対して垂直に直立させられ、前記ユーザ(5)の前記首(7)のいずれか側で前に突出されている、非電動物理支援デバイス(1)。
【請求項2】
前記ユーザ(2)によって着用され、使用されるデバイスであって、前記2つの横分岐(26)は、約2から20センチ、好ましくは実質的に5から15センチの間の距離Dだけ前記ユーザ(2)の前記肩(6)から垂直に離れている、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記横分岐(26)は、中心柱(22)に対する高さおよび/または回転が調節可能である、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記中心柱(22)は、少なくとも上部(25)で高さが調節可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
負荷を伝達する前記部材(21)はさらに、少なくとも前記中心柱(22)の前記横分岐(26)に沿って配置される、長さを変更する手動拡張可能/収縮可能な流線形手段(30)を備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記流線形手段(30)は、ワイヤ、ケーブル、コードまたはストラップである、請求項5に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
負荷を伝達する前記部材(21)の前記横分岐(26)は、中空管から構成され、前記流線形手段(30)によって少なくとも部分的に通過される、請求項5~6のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記流線形手段(30)はそれぞれ、摩擦を少なくする手段(37)を備えたガイドを通過する、請求項5~7のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
摩擦を少なくする前記手段(37)は、前記横分岐(26)の前記中空管の内側を局所的に覆うテフロン(登録商標)でできた内部コーティングによって構成されている、請求項7および8に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
各流線形手段(30)は、前記中心柱(22)に係合されたワインダ/アンワインダ(31)に接続され、使用の際、前記流線形手段(30)が長さを変更するために自動的に拡張/収縮することを可能にする、請求項5~9のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記流線形手段(30)はそれぞれ、自由端部に、スリーブ・タイプの手動把持手段(32)を備えている、請求項5~10のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記流線形手段(30)の長さを塞ぐ/解放するために前記ユーザ(2)によって脱係合可能な手動ブレーキ(35)をハンドル(32)の少なくとも1つの近くに備えている、請求項11に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記中心柱(22)は、その下肢(9)に対する前記ユーザ(2)の前記背中(4)の傾斜に沿うために、前記ヒップ・ベルト(10)との接続(12)の近くの区間にヒンジ・ピン(24)を備えている、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項14】
弾性戻り要素は、前記ヒップ・ベルト(10)を前記中心柱(22)の下部(23)に接続させる、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項15】
前記中心柱(22)は、少なくとも1つの背面クッション(40)を備えている、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項16】
前記ユーザ(2)による輸送のための肩ストラップ(50)をさらに備えている、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
前記ユーザ(2)によって着用され、使用される前記デバイスであって、さらに、前記ヒップ・ベルト(10)を前記ユーザ(2)の前記下肢(9)に接続させる拡張可能弾性手段(60)を備えている、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載貨物を手動で輸送するための外骨格タイプの非ロボット/非電動物理支援デバイスに関する。具体的には、本発明は、処理倉庫内で注文準備者によるパッケージの輸送に適用する。
【背景技術】
【0002】
処理倉庫内で働く操作者は、かなりの制約および時々困難な労働条件にさらされる。というのは、多少は人間工学にかないその形態に適応した動作をしているものの、程度の差こそあれ長い距離、程度の差こそあれ重い積載貨物を一日中にわたって持ち上げ、輸送しているからである。
【0003】
これらの労働条件を改善し、積載貨物を持ち上げ、輸送し、降ろす際の動作中のユーザへの負荷を軽くするために、多くの支援デバイスが数十年にわたって作り出されてきた。これらのデバイスの中で、特にシリンダを利用する、様々な機械的手段またはロボット手段を使用する一連の外骨格全体がある。
【0004】
これらの物理支援デバイスまたはこれらの物理支援ロボットは、特に、FR3046038A1、FR3046052A1、FR3065387A1、FR2993811A1、またはEP3189945B1号特許公報に記載されている。Corfor(登録商標)などのより単純なシステムはまた、膝およびふくらはぎの下で肩を接続させる弾性ストラップを使用することによって支援を可能にする。
【0005】
これらのデバイス全ては、高い重量、人間工学性の欠如およびユーザの形態への低適合性、複雑かつ脆弱な設計、(電動システム用に、および/またはシリンダによる支援で)低い自律性、ほとんど実用的でない使用(自分で装着するのに時間が必要である)、流動性および動作の自由の欠如、肩および背中へのパッケージの重量の伝達、胸郭の圧迫、低効率および高コストなどの様々な欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、全体的に革新的な方法でこれらの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、第1の態様によると、本発明は、使用の際に積載貨物を手動で持ち上げ輸送するユーザの上肢への負荷を軽くするために、ユーザが着用するように設計された外骨格タイプの非電動物理支援デバイスに関する。このデバイスは、特に、ユーザの腰/尻周りを通過することが可能なヒップ・ベルト、および積載貨物持上/輸送支援手段を備えており、ユーザによって着用され、使用される。積載貨物持上/輸送支援手段は、ユーザによって持ち上げられた/輸送された積載貨物によって生じた垂直負荷をヒップ・ベルトにのみ伝達し、ユーザの背中、上肢、肩および首への負荷を和らげる部材を備えており、負荷を伝達する部材は、ユーザまたはユーザの腕に接触することなく、ユーザの肩の上を通過する2つの横分岐に分割された単一の中心柱を備えた剛性背面支持部によって構成されており、横分岐は中心柱に対して垂直に直立させられ、ユーザの首のいずれか側で前に突出されていることを特徴とする。
【0008】
この解決法により、シリンダなどの電動またはロボット手段のない、本発明による支援デバイスを着用したユーザが、これにより適合された、尻および骨盤上への重量の伝達により、背中および上肢へ極めて少ない重量のみを感じるだけで、数キロ、さらには数十キロの貨物負荷を手で持ち上げ輸送することが可能になる。
【0009】
したがって、製造および操作するには大きいおよび/または複雑である、重いロボット/電動デバイスを介して支援が行われないだけでなく、持ち上げられた積載貨物は、その重量がユーザの肩または背中によって支持されることなく軽く思われる。
【0010】
既存の解決法に反して、このデバイスは、上肢および背中でのパッケージの重量によって生成される力を減少させることによって、産業環境内で積載貨物の輸送を支援することを可能にする。しかし、これらの力は作業停止の50%の要因である。このデバイスはしたがって、MSDの出現をさらに防ぎながら、生産性レベルを維持することを可能にする。
【0011】
最後に、ユーザの脊柱に実質的に一列にされ、それぞれその肩の上を通過する2つの横分岐に分割された単一の中心柱を使用することにより、特に首、頭および腕で、デバイスによって邪魔にされる危険なしで自然および流体移動を行うことが可能になる。
【0012】
ユーザの身体(肩、胴)の前に延びない(または、極めて少しだけ延びる)横分岐を構造に設けることにより、極めて小さい寸法および極めてよく均衡がとれた(左右および前後の)極めて軽いデバイスを得ることが可能になる。
【0013】
また、デバイスは、ユーザの上腕および/または肘および/または前腕に接触せず/これらを支持せず、ここでまた、使用の際の極めて大きな移動性および可撓性が可能になり、使用の際の不快感および/または痛みを防ぐ。
【0014】
本発明は、個別にまたはあらゆる技術的に可能な組み合わせにより考えられる、これ以降に開示する実施形態および代替形態により実施される。
【0015】
2つの横分岐は、約2から20センチの間、好ましくは実質的に5から15センチの間の距離だけユーザの肩から垂直に離れており、一方では、ユーザが分岐と接触することなく腕をいくらか高く持ち上げることを可能にし、もう一方では、分岐の分離により肩または首への負荷のいかなる伝達も防ぐ。
【0016】
横分岐は、中心柱に対して高さおよび/または回転が調節可能であり、使用の異なる形態または方法に適合することが可能になる。
【0017】
中心柱は、異なるユーザ寸法に適合するように、少なくとも上部で高さが調節可能であり、使用の快適性を向上させる。
【0018】
負荷を伝達する部材はさらに、その長さを変更する手動拡張可能/収縮可能な流線形手段を備えており、流線形手段は少なくとも柱の横分岐に沿って配置され、ユーザが運ばれる積載貨物をできるだけ最良に操作し、その持ち上げ/輸送支援を管理することが可能になる。
【0019】
流線形手段は、ワイヤ、ケーブル、コードまたはストラップであり、設計および使用が容易な簡単な解決法を形成する。
【0020】
負荷を伝達する部材の横分岐は、中空管から構成され、流線形手段によって少なくとも部分的に通過され、デバイスを小型、軽量および使用に実用的にするために、実施される手段全ての完全一体化(流線形手段のマスキング)を可能にする。
【0021】
流線形手段はそれぞれ、摩擦を減らす手段を備えたガイドを通過し、積載貨物の持ち上げおよび輸送中の流体および効果的移動、およびこの効果のために使用される手段の摩耗の減少を保証する。
【0022】
摩擦を減らす手段は、横分岐の中空管の内側を局所的に覆うテフロン(登録商標)でできた内部コーティングによって構成されている。
【0023】
各流線形手段は、中心柱に係合され、使用の際に、長さを変更するために流線形手段が自動的に拡張/収縮することを可能にするワインダ/アンワインダに接続され、ユーザの形態(腕)による積載貨物持ち上げおよび輸送動作の最適化を可能にする。というのは、流線形手段は、手/腕/肩の独自の移動を流体的および迅速安定的に伴うからである。
【0024】
流線形手段はそれぞれ、ユーザの手がデバイスの使用中に流線形手段に安定的に接続されているように、スリーブ・タイプの手動把持手段を自由端部に備えている。
【0025】
デバイスは、流線形手段の長さを塞ぐ/解放するために、ユーザによって脱係合可能な手動ブレーキをハンドルの少なくとも1つの近くに備えており、積載貨物持ち上げおよび輸送動作を容易にする。というのは、オペレータは、そうしたい場合に、流線形手段を塞ぐことによってデバイスにより与えられる支援を極めて簡単および直感的に制御するからである。
【0026】
中心柱は、その下肢に対してユーザの背中の傾きに沿うために、ヒップ・ベルトへの接続部に近い区間にヒンジ・ピンを備えており、特に、比較的低く位置決めされた積載貨物を持ち上げ/降ろすための、ユーザの大きな動作自由度が可能になる。
【0027】
弾性戻り要素は、ヒップ・ベルトを中心柱の下部に接続させ、特に、直線位置まで前に向かって湾曲された位置から通過しなければならない場合に、ユーザへの追加の支援を得る。
【0028】
中心柱は、少なくとも背面クッションを備えており、デバイスの使用の快適性を向上させる。
【0029】
デバイスはまた、ユーザによる輸送のための肩ストラップを備えており、取扱動作のために使用されている場合に、ユーザの背中にデバイスを十分維持するのが可能になる。
【0030】
デバイスはさらに、特に、スクワット位置から起立位置まで通過する場合に支援するために、ヒップ・ベルトをユーザの膝に接続する拡張可能弾性手段を備えている。
【0031】
本発明の他の利点、目的および特徴は、添付の図面に関し、説明する目的であり、限定する方法ではなく与えられた以下の説明により分かる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ユーザによって着用された、本発明によるデバイスの斜視等角後面図である。
【
図9】第1の位置のデバイスのブレーキの詳細図である。
【
図10】ブレーキが第2の位置にある、
図9と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1乃至
図10は、パッケージなどの積載貨物Cを持ち上げ輸送する場合に、その上肢5上の使用の際の負荷を和らげるために、運搬倉庫内のユーザ2、例えば注文準備者または取扱者によって着用されるように設計された外骨格タイプの非ロボット/非電動物理支援デバイス1を示している。図示したようなユーザ2は、尻3、背中4、上肢5、肩6、首7、頭8および下肢9を備えている。
【0034】
この物理支援デバイス1は主に、本発明によると、積載貨物持ち上げ/輸送支援手段20がその後部に締め付けられたヒップ・ベルト10を備えている。
【0035】
より正確には、ヒップ・ベルト10は、ユーザ2の腰/尻3の周りに締め付けられることを意図している。これに対して、積載貨物持ち上げ/輸送支援手段20を支持することを意図した調節可能ストラップ11および後部プレート12を備えている。
【0036】
積載貨物輸送支援手段20は、ヒップ・ベルト10から垂直に起立した剛性背面支持体21によって構成される負荷を伝達する部材を備えている。
【0037】
より正確には、剛性背面支持体21は、プレート12に締め付けられた第1の小さい下部23、中間ヒンジ24、およびユーザの背中4に沿って延びる第2の大きな上部25に分割される中心柱(または、マスト/ポール)22を備えている。中間ヒンジ24は、特に中心柱22を、もたれるまたは起立する場合に、背中4と下肢9の間で形成される角度を適応させることによって、ユーザ2の動作にしたがうことによって傾斜させることを可能にする。
【0038】
中心柱22の上部25は、ユーザ2の首7のいずれか側で上部25から移動する2つの横分岐26によって延長させる(例えば、
図8を参照)。
【0039】
有利には、2つの分岐26は、湾曲27を有し、接触することなくユーザ2の肩の上を通過する。典型的には、背面支持体21の横分岐26は、数センチから数十センチの間、好ましくは約2から20センチの間、有利には実質的に5から15センチの間の距離Dに使用の際に配置されている。これらの分岐はまた、移動の際に妨げないように、ユーザ2の首7および頭8から十分に離れている。
【0040】
横分岐26は、使用の異なる形態および/または好ましい方法に適合するために、中心柱22の上部25の周りの高さおよび回転において調節することができる(一部ユーザは、分岐26は肩6から、および/または首7、および/または頭8から多少離れていることを好むことがある)。中心柱22の上部25はまた、高さが調節可能である。
【0041】
横分岐26は、使用についてこれ以下説明する長さを変更するための手動拡張可能/収縮可能な流線形手段30を受けることを可能にするために、中空管から構成されている。背面支持体21を形成する全ての部分は、デバイスの重量を減少させるように中空にすることができる。背面支持体の中空管は、例えば、鋼鉄、炭素繊維、または合成材料でできている。
【0042】
長さを変更するための手動拡張可能/収縮可能な流線形手段30は、この場合、横分岐26の中空管の内側に配置された2本のケーブルによって構成され、その後、ガイドを形成し、有利にはこの目的で、テフロン(登録商標)の層などの摩擦を減らす手段37と一列にされる。
【0043】
各ケーブル30は、中心柱22、特に上部25に係合された共通ボックス内に取り付けられたワインダ/アンワインダ31に接続される。これらの2つのワインダ31は、使用の際、流線形手段30を拡張/収縮させて長さを変更することを可能にする。加えて、各ケーブル30は、その自由端に、ユーザ2の腰回りで着用され、パッケージCを運びながらケーブル30を長くする/短くすることを可能にすることを意図したスリーブ32を備えている。
【0044】
各ワインダ31は、「ペット鎖/真空クリーナ・ケーブル・ワインダ」タイプであり、螺旋状ばねシステムとして存在し、ユーザ2がスリーブ32を引き寄せた場合に、拡張に対抗するように考えられた、ケーブル30上の連続牽引力を作り出すことを可能にする。
【0045】
デバイス1はさらに、ワインダ31に直接作用することによって、ケーブル30を塞ぐ/解放するために、ユーザ2によって取り外し可能な手動ブレーキ35をスリーブ32の1つの近くに備えている。
【0046】
弾性戻り要素(図示せず)は、ユーザ2の傾斜位置から直線位置までの通過を容易にするために、中心柱22の下部23にヒップ・ベルト10を接続させる。
【0047】
中心柱22の中間部25はさらに、デバイス1の着用をユーザ2により快適なようにすることを意図したクッション40を備えている。有利には、このクッション40は、腰部中空の近くで、ワインダ31より低く配置されている。
【0048】
デバイス1はまた、その輸送を容易にし、使用中の移動または落下を防ぐために、肩ストラップ50を備えている。
【0049】
最後に、デバイス1は、脚を曲げた位置から脚を伸ばした位置まで(ユーザ2がパッケージを掴むためにスクワットし、輸送するまたは棚に置くために起立する場合)通過するのを容易にするように、ヒップ・ベルト10をユーザ2の下肢9、例えば膝に接続させる拡張可能弾性手段60を備えている。
【0050】
本発明によりデバイス1を使用することは、特に簡単である。
【0051】
調節可能ストラップ50を使用してユーザ2の背中に着用され、ヒップ・ベルト10が尻3周りで締め付けられ調節されると、スリーブ32を手首周りに装着し、ブレーキ35を把持した後に、ユーザ2が2本の手でパッケージCを掴むには十分である。
【0052】
手およびスリーブ32を介してパッケージCに間接的に接続されているので、ユーザ2の腕5および肩6の移動は、ケーブル30が長くなるまたは短くなることが一定して伴う。したがって、ユーザ2が(胴を折り曲げることなく立ったままでいることによって)パッケージを持ち上げるために、肩で腕を曲げる場合、ケーブル30はワインダ31によって加えられる牽引力により短くされる。逆に、ユーザ2が(例えば、床に置かれたパッケージを掴むために)腕を伸ばす場合、ケーブル30はワインダ31によって加えられる牽引力に対抗して自動的に延ばされる。
【0053】
通常の使用位置では、ブレーキ35は停止され(
図9)、すなわちワインダ31、したがって、ユーザ2の腕5の移動に、およびこれらの動作により(長くなる/短くなることに)完全にしたがう、ケーブル30の長さを遮らない。
【0054】
ユーザ2が、輸送に適切な床からの距離でパッケージを正しく掴んだと感じると、解放することによって(
図10)ブレーキ35を手動でブロックし、ケーブル30が長くなるまたは短くなることを止める効果がある。というのは、ワインダ31がその位置でブロックされるからである。
【0055】
この位置で、ユーザ2は腕5および肩6で重量を支える必要なく、床の上を摺動する/落下するのを防ぐために手でパッケージCを保持すればよいだけであり、ケーブル30はパッケージCの重量に関連付けられたこの力を吸収する。この力は次に、剛性背面支持体21によって構成される負荷を伝達するための手段を介して、横分岐26の中空管の上、および柱22に接続されたワインダ31上に、その後、ヒップ・ベルト10上に伝達される。
【0056】
背面支持体21の横分岐26がユーザ2の肩6、首7および上肢5に接触しないので(特に、
図8を参照)、パッケージCの重量は身体のこれらの部分に留まることができない。というのは、ケーブル30が、剛性分岐26、ワインダ31および柱22と共同して、中継を吸収するからである。しかし、横分岐26およびワインダ31と同様にヒップ・ベルト10に締め付けられると、上に記載した力の伝達の鎖のおかげでパッケージの重量全てを支持することが実際では最もある。ユーザ2の脊柱はまた、求められない。というのは、力が通過しないからである。ユーザ2の肩および脊柱は、デバイス1の極めて小さい部分を支持するだけである(その重量の多くはヒップ・ベルト10によって支持される)。
【0057】
ユーザ2はしたがって、手、腕または肩で重量を支持しなければならないことなく、パッケージCを輸送することができる。摺動または落下するのを防ぎ、ケーブル30が支持体に対して正しく教示されたままであることを保証するために、手でパッケージCを単に保持しなければならない。ユーザ2の手首に十分取り付けられているので、スリーブ32はその動作を妨げない。
【0058】
パッケージCが所望の位置に配置されると、ユーザ2はワインダ31を解除するために作用することによって、ブレーキ35を解放しなければならないだけである。
【0059】
この物理支援デバイス1はしたがって、積載貨物Cを運ぶ際の支援を有し、したがって、労働者の健康の悪化を生じさせ、会社を不利にする作業停止を引き起こす、筋骨格障害の危険を防ぐツールを構成する。
【0060】
提案された解決法は、提案する異なる調節器具(中心柱22、ヒップ・ベルト10のストラップ、ストラップ50、分岐26)により多くのユーザ2の形態に適合させることができる。積載貨物運搬作業中に、ユーザの上肢5、肩6および背中4への負荷を軽減することが可能である。力を少なくすることにより、ヒップ・ベルト10上の重量の伝達によって、腕および背中での身体上への負荷を軽減する。背面支持体はまた、姿勢に関するユーザの意識を改善する。現在の形態では、この支援プロトタイプの重量は約1キロであり、数秒で着用する。したがって、使用するのに極めて軽く、非常に直感的である一体の機器である。
【0061】
腰部領域での直接のパッケージCの重量の伝達は、上肢および背中での筋力を蓄えることを可能にする、パッケージの持ち上げ力のてこの原理を少なくすることを可能にする。
【0062】
本明細書で提示したデバイスはしたがって、以下の点および利点によって既存の解決法と区別される。
- 肩および背中によって支持される追加の重量がないこと
- 胸郭での圧迫がないこと
- モータおよびピストンがないこと
- デバイスによって加えられる移動がないこと
- 骨盤の重量の直接的伝達
- 結合応力がないこと
- 手にとって、あらゆる大きいおよび不快な器具がないこと
【0063】
実際、本発明の目的の詳細な説明は例示的目的であり、限定するものではなく、技術的等価物はまた本発明の範囲であることを理解されたい。
【0064】
したがって、ケーブルはストラップ、コードまたはワイヤと交換可能である。
【0065】
分岐の形態は、ユーザの肩/首/頭に関して加えられた距離的制約に適合する限り変更可能である。
【0066】
ユーザ2の形態にデバイス1を適合させるために、その他の調節を行うことができる。
【国際調査報告】