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特表2022-530631リニアモータおよびリニアモータを含むワイヤーボンディング装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】リニアモータおよびリニアモータを含むワイヤーボンディング装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564087
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-11
(86)【国際出願番号】 US2020028479
(87)【国際公開番号】W WO2020223030
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,039
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506395943
【氏名又は名称】クリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】パリッシュ、ジェシー、エス.
(72)【発明者】
【氏名】クティリ、グレゴリー、ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB19
5H641GG02
5H641GG04
5H641GG08
5H641HH03
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 リニアモータが提供される。このリニアモータは、(i)磁気レールと、(ii)前記磁気レールに連結された第1の複数の永久磁石と、(iii)前記磁気レールに連結され、前記第1の複数の永久磁石の下方に配置された第2の複数の永久磁石とを含む可動磁石アセンブリとを含む。前記リニアモータはまた、前記可動磁石アセンブリの上方に配置された第1のコイルアセンブリを含む。前記第1のコイルアセンブリは、その歯間に第1のスロットを有する第1の複数の歯を含む。前記第1のコイルアセンブリはまた、前記第1のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第1の複数のコイルを含む。前記リニアモータはまた、前記可動磁石アセンブリの下方に配置された第2のコイルアセンブリを含む。前記第2のコイルアセンブリは、その歯間に第2のスロットを有する第2の複数の歯を含む。前記第2のコイルアセンブリはまた、前記第2のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第2の複数のコイルを含む。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアモータであって、
(i)磁気レールと、(ii)前記磁気レールに連結された第1の複数の永久磁石と、(iii)前記磁気レールに連結され、前記第1の複数の永久磁石の下方に配置された第2の複数の永久磁石とを含む可動磁石アセンブリと、
前記可動磁石アセンブリの上方に配置された第1のコイルアセンブリであって、
その歯間に第1のスロットを有する第1の複数の歯と、
前記第1のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第1の複数のコイルと
を含むものである、前記第1のコイルアセンブリと、
前記可動磁石アセンブリの下方に配置された第2のコイルアセンブリであって、
その歯間に第2のスロットを有する第2の複数の歯と、
前記第2のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第2の複数のコイルと
を含むものである、前記第2のコイルアセンブリと
を有する、リニアモータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記第1のコイルアセンブリは、前記第1の複数の歯の各々を画成する複数の積層体を含み、前記第2のコイルアセンブリは、前記第2の複数の歯の各々を画成する複数の積層体を含むものである、リニアモータ。
【請求項3】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記第1の複数の永久磁石の各々は、前記磁気レールに関連して、対応する前記第2の複数の永久磁石のうちの1つの真上に配置されて磁石の対を形成するものである、リニアモータ。
【請求項4】
請求項3記載のリニアモータにおいて、各磁石の対の間に磁気吸引力が存在するものである、リニアモータ。
【請求項5】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記第1の複数の永久磁石および前記第2の複数の永久磁石の各々は、接着剤および締結部材の少なくとも1によって接続されるものである、リニアモータ。
【請求項6】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記磁気レールは非磁性材料で形成されているものである、リニアモータ。
【請求項7】
請求項6記載のリニアモータにおいて、前記非磁性材料はアルミニウムを含むものである、リニアモータ。
【請求項8】
請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記第1の複数の永久磁石の各々の露出面は第1の距離を置いて前記第1のコイルアセンブリに隣接して位置決めされているものであり、
前記第2の複数の永久磁石の各々の露出面は第2の距離を置いて前記第2のコイルアセンブリに隣接して位置決めされているものであり、
前記第1の距離は、前記第2の距離と実質的に等しいものである、
リニアモータ。
【請求項9】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記磁気レールは複数のタブ部を画定し、前記第1の複数の永久磁石および前記第2の複数の永久磁石の各々は、前記複数のタブ部のうちの対応する1つのタブ部と嵌合するように構成された段差部を含むものである、リニアモータ。
【請求項10】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記第1のコイルアセンブリおよび前記第2のコイルアセンブリは、結合コイルアセンブリとして互いに連結されるものである、リニアモータ。
【請求項11】
請求項10記載のリニアモータにおいて、前記可動磁石アセンブリが水平軸に沿って移動することにより、前記結合コイルアセンブリが前記水平軸に沿って移動するものである、リニアモータ。
【請求項12】
請求項10記載のリニアモータにおいて、さらに、
前記結合コイルアセンブリと当該リニアモータの下部構造との間に配置された少なくとも1つのダンパー要素および少なくとも1つのばね要素を有するものである、リニアモータ。
【請求項13】
請求項10記載のリニアモータにおいて、さらに、
前記結合コイルアセンブリに関する位置情報を提供する位置エンコーダシステムを有するものである、リニアモータ。
【請求項14】
請求項13記載のリニアモータにおいて、前記位置エンコーダシステムは、光学式エンコーダシステムおよび磁気式エンコーダシステムからなる群から選択されるものである、リニアモータ。
【請求項15】
請求項10記載のリニアモータにおいて、さらに、位置エンコーダシステムを有し、この位置エンコーダシステムは、
(i)前記結合コイルアセンブリに連結された目盛り部と、
(ii)前記目盛り部を撮像する光学部であって、当該リニアモータにおいて前記結合コイルアセンブリとともに移動しない別の部分に連結されるものである、前記光学部と
を含むものである、リニアモータ。
【請求項16】
請求項13記載のリニアモータにおいて、当該リニアモータは三相モータであり、前記位置エンコーダシステムによって提供される位置情報は当該リニアモータの転流角を制御するために使用されるものである、リニアモータ。
【請求項17】
ワイヤーボンディングシステムであって、ボンディングツールを保持するボンドヘッドアセンブリと、
前記ボンドヘッドアセンブリを第1の水平軸に沿って駆動するリニアモータシステムであって、
(a)(i)磁気レールと、(ii)前記磁気レールに連結された第1の複数の永久磁石と、(iii)前記磁気レールに連結され、前記第1の複数の永久磁石の下方に配置された第2の複数の永久磁石とを含む可動磁石アセンブリと、
(b)前記可動磁石アセンブリの上方に配置された第1のコイルアセンブリであって、その歯間に第1のスロットを有する第1の複数の歯と、前記第1のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第1の複数のコイルとを含むものである、前記第1のコイルアセンブリと、
(c)前記可動磁石アセンブリの下方に配置された第2のコイルアセンブリであって、その歯間に第2のスロットを有する第2の複数の歯と、前記第2のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第2の複数のコイルとを含むものである、前記第2のコイルアセンブリと
を有する、前記リニアモータシステムと
を有する、ワイヤーボンディングシステム。
【請求項18】
請求項17記載のワイヤーボンディングシステムにおいて、さらに、
前記ボンドヘッドアセンブリを第2の水平軸に沿って駆動する別の前記リニアモータシステムを有し、前記第2の水平軸は第1の水平軸に対して実質的に垂直である、ワイヤーボンディングシステム。
【請求項19】
請求項18記載のワイヤーボンディングシステムにおいて、さらに、
前記リニアモータシステムを前記別のリニアモータシステムから分離する分離要素を有するものである、ワイヤーボンディングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月29日付で出願した米国特許仮出願第62/840,039号に対して利益を主張するものであり、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、リニアモータシステムに関し、具体的には可動磁石アセンブリを含む改良されたリニアモータに関する。
【背景技術】
【0003】
リニアモータは当該技術分野で周知であり、様々な産業で利用されている。例えばリニアモータシステムは、様々な軸に沿った高速直線運動を提供するためにワイヤーボンディング装置で利用される。例えばリニアモータは、特定のワイヤーボンディング装置において、x軸およびy軸に沿った精密高速運動を提供するために利用される。リニアモータシステムの例を示す例示的な特許は、ワンに付与された(「LINEAR MOTOR WITH REDUCED COGGING(コギングを減少させるリニアモータ)」と題する米国特許第7,825,549号、大石に付与された(「LINEAR DC BRUSHLESS MOTOR(リニアDCブラシレスモータ)」と題する米国特許第4,912,746号、ワーブルに付与された(「PERMANENT-MAGNET SYNCHRONOUS MOTOR(永久磁石同期型モータ)」と題する米国特許第5,642,013号、およびワーブルに付与された(「PERMANENT-MAGNET LINEAR SYNCHRONOUS MOTOR(永久磁石リニア同期型モータ)」と題する米国特許第5,910,691号を含む。
【0004】
モータの騒音低減、振動低減、速度、駆動力、効率性、正確性、およびコストなどの点において、リニアモータの動作の改良が常に注目されている。したがって、改良されたリニアモータを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な1実施形態によれば、リニアモータが提供される。このリニアモータは、(i)磁気レールと、(ii)前記磁気レールに連結された第1の複数の永久磁石と、(iii)前記磁気レールに連結され、前記第1の複数の永久磁石の下方に配置された第2の複数の永久磁石とを含む可動磁石アセンブリとを含む。前記リニアモータはまた、前記可動磁石アセンブリの上方に配置された第1のコイルアセンブリを含む。前記第1のコイルアセンブリは、その歯間に第1のスロットを有する第1の複数の歯を含む。前記第1のコイルアセンブリはまた、前記第1のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第1の複数のコイルを含む。前記リニアモータはまた、前記可動磁石アセンブリの下方に配置された第2のコイルアセンブリを含む。前記第2のコイルアセンブリは、その歯間に第2のスロットを有する第2の複数の歯を含む。前記第2のコイルアセンブリはまた、前記第2のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第2の複数のコイルを含む。
【0006】
本発明の例示的な別の1実施形態によれば、ワイヤーボンディングシステムが提供される。前記ワイヤーボンディングシステムは、ボンディングツールを保持するボンドヘッドアセンブリと、前記ボンドヘッドアセンブリを第1の水平軸に沿って駆動するリニアモータシステムとを含む。前記リニアモータシステムは、(i)磁気レールと、(ii)前記磁気レールに連結された第1の複数の永久磁石と、(iii)前記磁気レールに連結され、前記第1の複数の永久磁石の下方に配置された第2の複数の永久磁石とを有する可動磁石アセンブリを含む。前記リニアモータシステムはまた、前記可動磁石アセンブリの上方に配置された第1のコイルアセンブリを含む。前記第1のコイルアセンブリは、その歯間に第1のスロットを有する第1の複数の歯を含む。前記第1のコイルアセンブリはまた、前記第1のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第1の複数のコイルとを含む。前記リニアモータシステムはまた、前記可動磁石アセンブリの下方に配置された第2のコイルアセンブリを含む。前記第2のコイルアセンブリは、その歯間に第2のスロットを有する第2の複数の歯を含む。前記第2のコイルアセンブリは、前記第2のスロットの少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置された第2の複数のコイルとを含む。
【0007】
進歩性のある本リニアモータを取り入れた(ワイヤーボンディング装置以外の)その他の装置が本発明の範囲内であると考えられる。そのような装置の例には、ダイアタッチ装置、フリップチップボンディング装置、熱圧着式ボンディング装置、ピックアンドプレース装置、およびその他の半導体パッケージ装置が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに一読することにより最も良く理解される。一般的な方法に従い、図面の種々の構成要素は原寸に比例したものではない。むしろ、種々の構成要素の寸法は、明確化のため、任意に拡張または縮小されている。本図面には以下の図面が含まれる。
図1A図1Aは、本発明の例示的な1実施形態によるリニアモータの断面図である。
図1B図1Bは、図1Aのリニアモータの組み合わせ側部断面図である。
図1C図1Cは、図1Aの一部分の詳細図である。
図2A図2Aは、本発明の別の例示的な1実施形態による別のリニアモータの断面図である。
図2B図2Bは、図2Aのリニアモータの組み合わせ側部断面図である。
図3A図3Aは、本発明の別の例示的な1実施形態によるさらに別のリニアモータの断面図である。
図3B図3Bは、図3Aのリニアモータの組み合わせ側部断面図である
図4A図4Aは、本発明の別の例示的な1実施形態によるさらに別のリニアモータの断面図である。
図4B図4Bは、図4Aのリニアモータの組み合わせ側部断面図である
図5A図5Aは、本発明の例示的な1実施形態による可動磁石アセンブリの断面図である。
図5B図5Bは、図5Aの一部分の詳細図である。
図5C図5Cは、図5Aの可動磁石アセンブリの斜視断面図である。
図5D図5Dは、図5Cの一部分の詳細図である。
図5E図5Eは、図5Aの可動磁石アセンブリの平面図である。
図6図6は、本発明の例示的な1実施形態による別のリニアモータの断面図である。
図7図7は、本発明の例示的な1実施形態によるさらに別のリニアモータの断面図である。
図8図8は、本発明の例示的な1実施形態による、図7のリニアモータを含むワイヤーボンディング装置の断面ブロック図である。
図9A図9A~9Cは、本発明の例示的な1実施形態による、図8のワイヤーボンディング装置の様々な断面ブロック図である。
図9B図9A~9Cは、本発明の例示的な1実施形態による、図8のワイヤーボンディング装置の様々な断面ブロック図である。
図9C図9A~9Cは、本発明の例示的な1実施形態による、図8のワイヤーボンディング装置の様々な断面ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用する「リニアモータ」、「リニアモータシステム」、および「直線運動システム」という用語は同義語であると考えられる。例えば、図1A~1C、2A~2B、3A~3B、および4A~4Bはそれぞれ、リニアモータ100a、100b、100c、および100dを示す。また、図6はリニアモータシステム600を示し、図7は直線運動システムを示すが各システムは、本発明の範囲内で同様に「リニアモータ」と考えられる。
【0010】
本明細書で使用する「磁気レール(magnet track)」という用語は、複数の永久磁石を保持する、リニアモータ内の複数の構造体のうちの任意の構造体を指すことを意図しており、この複数の永久磁石がリニアモータのコイルアセンブリと磁気的に相互作用するように配置されることで、磁気レールおよびコイルアセンブリのうちの少なくとも1つに好適な直線運動が起こる。したがって、上記磁気レールは、例えば永久磁石のいかなる特定の配置または分離間隔によって限定されることを意図するものではなく、また永久磁石のいかなる特定の支持構造によって限定されることを意図するものでもない。
【0011】
図1Aは、リニアモータ100aの断面である。リニアモータ100aは、可動磁石アセンブリ102と、第1のコイルアセンブリ104a1と、第2のコイルアセンブリ104a2とを含む。当業者であれば理解するように、(例えば、電気接続部など)の特定のコンポーネントは簡略化のため省略している。可動磁石アセンブリ102は、(i)磁気レール102aと、(ii)磁気レール102aに連結された第1の複数の永久磁石102b1、102b2...102b21、102b22と、(iii)磁気レール102aに連結され、第1の複数の永久磁石102b1、102b2...102b21、102b22の下方に配置された第2の複数の永久磁石102c1、102c2...102c21、102c22とを含む。図1Aに示すように、複数の永久磁石は、一方がもう一方の真上に位置するように磁石の対として配置される。例えば、永久磁石102b1が永久磁石102c1の真上に配置されることで、永久磁石102b1および102c1は「1対の磁石」を形成する。本発明の例示的な態様によれば、磁石の各対の間には磁気吸引力が存在する。
【0012】
磁気レール102a(および本特許出願において記載するその他の任意の磁気レール)は、非磁性材料(例えば、アルミニウム、またはアルミニウム合金などのアルミニウムを含む材料)で形成されてもよい。別の例示的な非磁性材料は、炭素繊維、ベリリウム、およびその他多くの材料を含む。
【0013】
第1の複数の永久磁石102b1、102b2...102b22、および第2の複数の永久磁石102c1、102c2...102c22の各々は、接着剤、締結部材など、複数の技法のうちの任意の技法によって(直接または間接的に)磁気レール102aに接続される。磁気レール102aは、リニアモータ100aによって所望の軸に沿って移動される別の構造体に接続するための連結部102dを含む。例えば、連結部102dは、ボンドヘッドアセンブリをy軸に沿って移動させるためにワイヤーボンディング装置のy軸用スライド部に接続される(例えば、図8を参照)。
【0014】
リニアモータ100aはまた、可動磁石アセンブリ102の上方に配置された第1のコイルアセンブリ104a1(固定子104a1とも言う。)を含む。第1のコイルアセンブリ104a1は第1の複数の歯を含み、この第1の複数の歯の間には第1のスロット105a1が設けられている。第1の複数の歯は、第1のコイルアセンブリ104a1の各端部に設けられた端部の歯104a1aと、2つの端部の歯104a1aの間に配置された複数の歯104a1bとを含む。第1のコイルアセンブリ104a1はまた、第1のスロット105a1の少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置されたコイル106を含む。図1A(また、図1Bでより明確に)示すように、各スロット105a1は2つの隣接したコイル106の一部分を受け入れる(但し、端部の歯104a1aに隣接した端部スロットは1つのコイル106一部分のみを受け入れる。)。リニアモータ100aは、可動磁石アセンブリ102の下方に配置された第2のコイルアセンブリ104a2(固定子104a2とも言う。)も含む。第2のコイルアセンブリ104a2は第2の複数の歯を含み、この第2の複数の歯の間には第2のスロット105a2が設けられている。第2の複数の歯は、第2のコイルアセンブリ104a2の各端部に設けられた端部の歯104a2aと、2つの端部の歯104a2aの間に配置された複数の歯104a2bとを含む。第2のコイルアセンブリ104a2はまた、第2のスロット105a2の少なくとも一部分に少なくとも部分的に配置されたコイル106を含む。図1A(また、図1Bでより明確に)示すように、各スロット105a2は2つの隣接したコイル106の一部分を受け入れる(但し、端部の歯104a2aに隣接した端部スロットは1つのコイル106一部分のみを受け入れる。)。
【0015】
第1のコイルアセンブリ104a1および第2のコイルアセンブリ104a2の各々は、当業者であれば公知であるように、互いに積層された複数の積層体を含み、この積層された複数の積層体によって第1の複数の歯104a1a、104a1bおよび第2の複数の歯104a2a、104a2bがそれぞれ画成される。
【0016】
図1Cに示すように、第1の複数の永久磁石102b1、102b2...102b22の各々の露出面は第1の距離d1を置いて第1のコイルアセンブリ104a1に隣接して位置決めされ、第2の複数の永久磁石102c1、102c2...102c22の各々の露出面は第2の距離d2を置いて第2のコイルアセンブリ104a2に隣接して位置決めされている。前記第1の距離d1は実質的に前記第2の距離d2と同じである。
【0017】
図1A~1Cに関連して上記で説明した特徴は、可能な限りにおいて、本明細書に記載する本発明の追加の実施形態(および本発明の範囲内の別の実施形態)にも適用可能である。したがって、以下に説明する実施形態に関し、簡略化のため特定の細部については省略し、また、特定の参照番号については本発明の様々な例示的な実施形態において同一の番号を用いる。
【0018】
図1A~1Cは、歯104a1a、104a1b、104a2a、および104a2bを有する第1のコイルアセンブリ104a1および第2のコイルアセンブリ104a2を示す。端部の歯104a1a、104a2aは、米国特許第7,825,549において開示されている形状を有する。歯104a1b、104a2bは、各歯の端部がその本体部よりも幅広である「T」字状の形態を有する(図1Aを参照。「T」字形状のため、隣接した歯の間の間隙104a1cおよび104a2cは、端部においてより小さくなる)。当然のことながら、このような歯の設計は本質的に例示的なものであり、本発明はそのような形態に限定されるものではない。
【0019】
図2A~2Bは、上記で図1A~1Bに関連して説明したリニアモータ100aに近似するリニアモータ100bを示す。リニアモータ100bは、図1A~1Bの磁石アセンブリ102と同一の磁石アセンブリ102を含む。このリニアモータはまた、図1A~1Bの第1のコイルアセンブリ104a1および第2のコイルアセンブリ104a2と近似する、(歯104b1a、104b1bを含む)第1のコイルアセンブリ104b1と、(歯104b2a、104b2bを含む)第2のコイルアセンブリ104b2と含む。図2A~2Bでは、歯104b1bおよび104b2bは前述した「T」字状の形態を有さないことが1つの相違点である。むしろ、歯104b1bおよび104b2bは、全長に沿って同一の幅(若しくは実質的に同一の幅)を有するものであり、これによってコイル106の位置決めが比較的容易となる。
【0020】
図3A~3Bは、上記で図1A~1Bに関連して説明したリニアモータ100aに近似するリニアモータ100cを示す。リニアモータ100cは、図1A~1Bの磁石アセンブリ102と同一の磁石アセンブリ102を含む。このリニアモータはまた、図1A~1Bの第1のコイルアセンブリ104a1および第2のコイルアセンブリ104a2と近似する、(歯104c1a、104c1bを含む)第1のコイルアセンブリ104c1および(歯104c2a、104c2bを含む)第2のコイルアセンブリ104c2も含む。しかしながら、図3A~3Bでは、各スロットに1つのコイル106のみが提供されている(明確化のため図3Bを参照)。したがって、図1A~1Bでは12個のコイル106が提供されているのに対し、図3A~3Bで示す例では6個のコイル106が提供されている。
【0021】
図4A~4Bは、上記で図1A~1Bに関連して説明したリニアモータ100aに近似するリニアモータ100dを示す。リニアモータ100dは、図1A~1Bの磁石アセンブリ102と同一の磁石アセンブリ102を含む。このリニアモータはまた、図1A~1Bの第1のコイルアセンブリ104a1および第2のコイルアセンブリ104a2と近似する、(歯104d1a、104d1bを含む)第1のコイルアセンブリ104d1および(歯104d2a、104d2bを含む)第2のコイルアセンブリ104d2も含む。しかしながら、図3A~3Bと同様に、図4A~4Bでは、各スロットに1つのコイル106のみが提供されている(明確化のため図4Bを参照)。したがって、図1A~1Bでは12個のコイル106が提供されているのに対し、図4A~4Bで示す例では6個のコイル106が提供されている。もう一つの相違点は、図4A~4Bでは、歯104d1bおよび104d2bは、上記で図1A~1Bに関連して説明した「T」字状の形態を有さないことである。むしろ、歯104d1bおよび104d2bは、全長に沿って同一の幅(若しくは実質的に同一の幅)を有するものであり、これによってコイル106の位置決めが比較的容易となる。
【0022】
図5A~5Eは磁石アセンブリ102の様々な詳細を示す。図5Aは、図1A~1C、2A~2B、3A~3B、および4A~4Bに示す磁石アセンブリ102の断面図であり、当該磁石アセンブリの運動方向(本出願で示す例ではy軸に沿った運動)が示されている。図5B図5Aの一部分の詳細図であり、磁石アセンブリの特定の特徴部分を明確に示している。具体的には、図5Bは、磁気レール102aは複数のタブ部102eを画定することを示している。図5Bに示すように、第1の複数の永久磁石102b1、102b2...102b22、および第2の複数の永久磁石102c1、102c2...102c22の各々は、複数のタブ部102eのうちの対応する1つと嵌合するように構成された段差部「ST」を含む。図5C~5Dは、磁石アセンブリ102の追加的な斜視断面図を提供する。図5Eは、(図5A~5Dのような断面図ではなく)磁石アセンブリ102の平面図を示す。図5Eでは、磁石アセンブリ102の接続部102fが明示されている。接続部102fは、所定タイプの軸受アセンブリ(図6の軸受606および軸受ブロック604を参照)と係合して、可動磁石アセンブリ102の運動を支援するために使用される。例えば、軸受アセンブリは、直動軸受レールと係合する直動軸受ブロックであってもよい。当然のことながら、別のタイプの軸受アセンブリが考えられる。
【0023】
本発明の特定の観点によれば、可動磁石アセンブリ102の(第1および第2の複数の永久磁石の双方を含む)複数の永久磁石を保持する基板(すなわち、磁気レール)の設計が重要となる。磁石と対応する固定子との間(すなわち、第1の複数の永久磁石と第1のコイルアセンブリとの間、および第2の複数の永久磁石と第2のコイルアセンブリとの間)に被覆物または膜を設けずに磁石が保持されると特に有利である。被覆物または膜を含まない場合、磁石と対応する固定子との間の電気的間隙および機械的間隙が実質的に減少し、さらにリニアモータの不必要な質量が低減される。追加的に、このような基板(すなわち、磁気レール)では、明らかに磁束経路に対する干渉が起こらない。
【0024】
さらに、(第1のコイルアセンブリと第2のコイルアセンブリとを含む)双対固定子(dual stator)の設計を伴なった、(一方が他方の上方に配置された複数の対称磁石の対を含む)可動磁石アセンブリ102の設計により、好適に各固定子に対して実質的に一定の等磁力が発生し、また各固定子に対して実質的に等しくかつ反対の磁気吸引力が生じる。その結果、可動磁石アセンブリ102および当該アセンブリに関連する軸受に対する負荷は最小限(実質的に正味ゼロ)となる。
【0025】
図6は、追加のコンポーネントを有するリニアモータシステム600を示す。リニアモータシステム600は図2A~2Bのリニアモータ100bを含むが、(例えば、本発明の範囲内でリニアモータ100a、100c、100d、またはその他任意のリニアモータなど)本発明の範囲内でその他任意のリニアモータをリニアモータシステム600に含むことができることを理解されたい。リニアモータシステム600は、ハウジング部602a、602b、および602cを含む。ハウジング部602a、602b、および602cは、集合的に共通のハウジングの一部であり、この共通ハウジング(common housing)により、(直接または間接的に)第1のコイルアセンブリ104b1が第2のコイルアセンブリ104b2に連結されて結合コイルアセンブリ(combined coil assembly)が提供される。例えば、第1のコイルアセンブリ104b1および第2のコイルアセンブリ104b2は、特に、接着剤、締結部材、その組み合わせなどの技法によって共通ハウジングに固定されてもよい。第1のコイルアセンブリ104b1および第2のコイルアセンブリ104b2の共通ハウジングは、任意所望の形態であってもよいことを理解されたい(例えば、単一材料、複数の異なる材料、および図示するような3つの異なるハウジング部ではない形態など)。また図6は、軸受ブロック604によって支持された軸受606を示す(ここでは、軸受ブロック604は結合コイルアセンブリの一部と考えられる)。リニアモータシステム600の動作によって、可動磁石アセンブリ102は、軸受606上を当該軸受に沿って移動しながらY軸に沿って移動する。
【0026】
図7は、図6のリニアモータシステム600を含む直線運動システム700を示す。図7図2A~2Bのリニアモータ100bを含むリニアモータシステム600を示すが、(例えば、本発明の範囲内でリニアモータ100a、100c、100d、またはその他任意のリニアモータなど)本発明の範囲内でその他任意のリニアモータをリニアモータシステム600に含むことができることを理解されたい。直線運動システム700の動作中、可動磁石アセンブリ102が水平軸(図7のY軸)に沿って移動することにより、(ハウジング部602a、602b、および602cと、第1のコイルアセンブリ104b1と、第2のコイルアセンブリ104b2とを含む)結合コイルアセンブリが同様に水平軸に沿って所定量移動する。図7のブロック図では、この運動は軸受702eによって提供される。具体的には、直線運動システム700は、下部構造702aと、側部ブロック部702bと、ダンパー702cと、ばね702dと、軸受702eとを含む。軸受702eは、下部構造702aによって支持される。ばね702dおよびダンパー702cは、(ハウジング部602a、602b、および602cと、結合コイルアセンブリとを含む)共通ハウジングと側部ブロック部702bとの間に提供されている。ばね702dの支援によって、可動磁石アセンブリ102の運動後に、(第1のコイルアセンブリ104b1および第2のコイルアセンブリ104b2からなる結合コイルアセンブリを含む)共通ハウジングは再度中心位置に移動される。ダンパー702cは、可動磁石アセンブリ102の運動に伴って直線運動システム700の安定性を制御することを支援する。
【0027】
図7はまた、(第1のコイルアセンブリ104b1と、第2のコイルアセンブリ104b2とを含む)結合コイルアセンブリに関する位置情報を提供する位置エンコーダシステム702fを示す。(要素702f1と702f2とを含む)位置エンコーダシステム702fは、(例えば、光学式エンコーダシステム、磁気式エンコーダシステムなどの)様々なタイプの位置エンコーダシステムのうち任意の位置エンコーダシステムであってもよい。図7に示す位置エンコーダシステム702fは、可変型位置エンコーダシステムと考えられる。例えば、光学式エンコーダシステムでは、目盛り部702f1は、(直接または間接的に)結合コイルアセンブリに連結されて提供され、光学部702f2は目盛り部を撮像するために提供される。このような実施形態では、光学部702f2は、結合コイルアセンブリとともに移動しない直線運動システム700の別の部分(例えば、下部構造702a)に(直接または間接的に)連結される。別の実施形態では、要素702f1および702f2は磁気式エンコーダシステムの一部であってもよい。
【0028】
いずれにしても、リニアモータ100bが三相モータである場合、位置エンコーダシステム702fによって提供される位置情報がリニアモータ100bの転流角を制御するために利用されるので、位置エンコーダシステム702fを含めると特に有利である。
【0029】
図8は、図7の直線運動システム700を含むワイヤーボンディングシステム800を示す。ワイヤーボンディングシステム800は、ワイヤーボンディングツール806を保持するボンドヘッドアセンブリ804と、y軸用スライド部802と、(y軸用スライド部802を支持する)軸受ブロック810と、軸受812とを有する。当業者であれば理解するように、y軸用スライド部802に軸受ブロック810を組み込んもよい(すなわし、y軸用スライド部802は直接軸受812上に保持される)。y軸に沿った可動磁石アセンブリ102の運動により、ボンドヘッドアセンブリ804にそれに対応する運動が生じる。また、ワイヤーボンディングシステム800は、y軸用スライド部802と、軸受812とともに軸受ブロック810とを備える直線運動システム700'を含む。図8ではブロックとして示されているが、直線運動システム700'は、直線運動システム700と同一のシステム等、本発明の範囲内の直線運動システムであることを理解されたい。直線運動システム700'によって、ワイヤーボンディングシステム800のx軸に沿ったボンドヘッドアセンブリ804の直線運動が提供される(ここで、x軸はy軸に対して実質的に垂直である)。またワイヤーボンディングシステム800は、直線運動システム700の動作を直線運動システム700'の動作から分離する分離要素808を含む。これにより、直線運動システム700の動作は直線運動システム700'の動作から分離される。
【0030】
図9A~9Cは、ワイヤーボンディングシステム800のx軸に沿ったリニアモータ100bの動作を示す。図9Aでは、(ボンドヘッドアセンブリ804に保持された)ワイヤーボンディングツール806は、図における右側(「前方」)へ移動され、その結果、(左側ばね要素702dの圧縮で示されているように)共通ハウジングは反対方向に移動される。図9Bでは、ワイヤーボンディングツール806は中央位置にあることが示されている。図9Cでは、(ボンドヘッドアセンブリ804に保持された)ワイヤーボンディングツール806は、図における左側(「後方」)へ移動され、その結果、(右側ばね要素702dの圧縮で示されているように)共通ハウジングは反対方向に移動される。
【0031】
本発明のリニアモータは様々な技術分野に適用できる。例示的な使用用途はワイヤーボンディング装置であり、その場合本発明によるリニアモータをx軸またはy軸、若しくは双方の軸に沿った直線運動を提供するのに使用できる。具体的には、例えばこのようなリニアモータは、ボンドヘッドアセンブリのx軸またはy軸、若しくは双方の軸に沿ったワイヤーボンディング装置の直線運動を提供するのに使用できる。当然のことながら、本発明のリニアモータはその他の様々な技術分野に使用できる。
【0032】
本発明の特定の実施形態(図8を参照)では、x軸直線運動システム700'によって保持されるy軸用スライド部が示されているが、このような実施形態は本質的に例示的なものである。本発明の範囲内の別の実施形態においては、x軸用スライド部はy軸直線運動システムによって保持されてもよい。
【0033】
本発明の態様を6個のコイルおよび12個のコイルを含むリニアモータに関連して示したが、本発明はそのような態様に限定されるものではない。当該態様は例であり、必要に応じて本発明の範囲内で任意数のコイルを提供することができる。
【0034】
本発明を(端部の歯と、端部の歯の間にある中間歯とを含む)例示的な歯の設計に関連して示したが、これらの歯の設計は全て本質的に例示的なものであり、必要に応じて本発明の範囲内でその他の任意の歯の設計を採用することができる。
【0035】
本明細書において特定の実施形態と関連して本発明を記載および図示したが、本発明は本明細書で示した詳細に限定されるものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で、本発明から逸脱することなく、詳細において種々の変更が可能である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】