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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】エッチング組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20220623BHJP
   C23F 1/28 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H01L21/306 F
C23F1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564839
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020029536
(87)【国際公開番号】W WO2020223106
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/841,305
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クニール、エミル エー.
【テーマコード(参考)】
4K057
5F043
【Fターム(参考)】
4K057WA13
4K057WB01
4K057WE11
4K057WE30
4K057WF06
4K057WF10
4K057WN01
5F043AA26
5F043BB18
5F043BB28
5F043DD07
5F043DD10
5F043EE05
(57)【要約】
本開示は、例えば、酸化コバルト副生成物を実質的に形成することなく、半導体基板からコバルト(Co)を選択的に除去するために有用である、エッチング組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)式(I):R-O-N-Rの化合物、前記式(I)においては、R、R及びRのそれぞれが、独立に、H又はC-Cのアルキルである;
2)少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸;
3)少なくとも1つのレベリング剤;及び
4)水、
を含む、エッチング組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約0から約7のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、ヒドロキシルアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、前記組成物の約0.01重量%~約10重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸が、アクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、フマル酸、10-ウンデセン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、2-ペンテン酸、2-メチル-4-ペンテン酸、2-オクテン酸、又は3-(2-フリル)アクリル酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸が、前記組成物の約0.01重量%~約3重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのレベリング剤が、含硫黄ポリマー又は含窒素ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのレベリング剤が、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-cо-ホルムアルデヒド)、ポリアミノアミド、又はポリアルカノールアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのレベリング剤が、前記組成物の約0.01重量%~約3重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記水が、前記組成物の約50重量%~約99重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのCoエッチング促進剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのCoエッチング促進剤が、カルボン酸又はアミノ酸からなる群から選択される酸を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのCoエッチング促進剤が、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、グリシン、グリコール酸、マロン酸、乳酸、又はジエチレントリアミンペンタ酢酸を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのCoエッチング促進剤が、前記組成物の約0.01重量%~約3重量%の量である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つのpH調整剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つのpH調整剤が、塩基又は酸を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記塩基が、金属イオンを含まず、第四級アンモニウム水酸化物又はアルキル水酸化物ではなく、前記酸が、飽和カルボン酸又はハロゲン化水素ではない、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つのpH調整剤が、前記組成物の約0.01重量%~約6重量%の量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性エステル、及び水溶性エーテルからなる群から選択される有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記有機溶媒が、前記組成物の約0.5重量%~約30重量%の量である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
Coフィーチャを含む半導体基板を、請求項1に記載の組成物と接触させ、前記Coフィーチャの少なくとも一部を除去することを含む、方法。
【請求項22】
前記接触工程の後、リンス溶媒で前記半導体基板をリンスすることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記リンス工程の後、前記半導体基板を乾燥することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記半導体基板において酸化コバルト水酸化物層を実質的に形成しない、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
半導体デバイスである、請求項21に記載の方法によって形成された物品。
【請求項26】
前記半導体デバイスが、集積回路である、請求項25に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2019年5月1日に出願された米国特許仮出願第62/841,305号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、エッチング組成物及びエッチング組成物を使用する方法に関する。特に、本開示は、エッチングされた基板にパッシブ層を実質的に形成することなく、コバルト(Co)を選択的にエッチングできるエッチング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業では、マイクロ電子デバイス、シリコンチップ、液晶ディスプレイ、MEMS(マイクロ電気機械システム)、プリント配線板等における電子回路及び電子部品の寸法の減少並びに密度の上昇が急速に進んでいる。これらの中の集積回路は階層化又は積層され、各回路層間における絶縁層の厚さが減少し続け、フィーチャサイズ(feature sizes)はますます小さくなっている。前記フィーチャサイズが縮小するにつれ、パターンはより小さくなり、デバイスの性能パラメーターは、より厳しく堅固になってきた。その結果、従来は許容可能だった様々な問題が、前記フィーチャサイズの縮小によって、もはや許容できなくなるか、又はますます問題となってきた。
【0004】
先進的な集積回路の製造において、密度の上昇に関連する問題を最小限に抑えるために、及び性能を最適化するために、高k絶縁体及び低k絶縁体の両方、並びに組み合わされたバリア層材料が用いられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コバルト(Co)は、半導体デバイス、液晶ディスプレイ、MEMS(マイクロ電気機械システム)、プリント配線板等に用いられ、貴金属、アルミニウム(Al)及び銅(Cu)配線のグラウンド層並びにキャップ層として用いられる。半導体デバイスでは、これは、メタルコンタクト、インターコネクト、トレンチフィル又はキャップ層として用いられ得る。これらの用途のためのデバイスの構築では、Coをエッチングする必要がある場合が多い。Coの様々な種類の用途及びデバイス環境では、Coがエッチングされるのと同時に、他の層は接触しているか又は露出している。これらの他の材料(例えば、金属導電体、誘電体及びハードマーク(hard marks))の存在下におけるCoの高選択的なエッチングは、デバイス歩留まり及び長寿命にとって必須である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、半導体デバイスにおいて酸化コバルト副生成物(例えば、(例えばCo又はCoOx層上の)パッシブなCoOx水酸化物層、又は過剰量のCoOx)を実質的に形成することなく、特定のエッチング組成物がCoを選択的にエッチングすることができ、これによって均一性が改善され、並びに残留CoOx水酸化物(CoOx-OH)を少量含むか残留CoOx水酸化物(CoOx-OH)を含まない、効率的なCoエッチングが可能になるという予測できない発見に基づくものである。
【0007】
1つの態様では、本開示は、1)式(I):R-O-N-Rの化合物、式(I)においては、R、R及びRのそれぞれが、独立に、H又はC-Cのアルキルである;2)少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸;3)少なくとも1つのレベリング剤;及び4)水を含む、エッチング組成物を特徴とする。
【0008】
他の態様では、本開示は、Coフィーチャを含む半導体基板を本開示に記載のエッチング組成物と接触させ、Coフィーチャの少なくとも一部を除去することを含む方法を特徴とする。
【0009】
さらに他の態様では、本開示は、前記の方法によって形成される物品であることを特徴とし、前記物品は半導体デバイス(例えば、集積回路)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示で定義するように、特に断りのない限り、表されるすべてのパーセントは、組成物の総重量に対する重量パーセントであるとして理解されるべきである。特に断りのない限り、周囲温度は摂氏約16度から約27度(℃)の間であると定義される。
【0011】
本開示で定義するように、「水溶性」物質(例えば、水溶性アルコール、ケトン、エステル、エーテル等)は、25℃の水中において少なくとも0.5重量%(例えば、少なくとも1重量%又は少なくとも5重量%)の溶解度を有する物質を意味する。
【0012】
本開示において、互変異性化とは、一重及び隣接する二重結合のスイッチを伴う水素原子又はプロトンの形式的な移動として定義される。トリアゾール化合物の記載、説明又は請求項は、トリアゾール環系における互変異性化のための活性化エネルギーが低いことから、トリアゾール化合物の互変異性体をも含む。
【0013】
一般に、本開示は、1)式(I):R-O-N-Rの化合物、式(I)においては、R、R及びRのそれぞれが、独立に、H又はC-Cのアルキルである;2)少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸;3)少なくとも1つのレベリング剤;及び4)水を含む(例えば、を含む(Comprises)、から実質的に構成される(consists essentially of)、あるいは、から構成される(consists of))、エッチング組成物(例えば、Coを選択的に除去又はエッチングするためのエッチング組成物)を特徴とする。
【0014】
本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の式(I):R-O-N-Rの化合物を含むことができ、式(I)においては、R、R及びRのそれぞれは、独立に、H又はC-Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、又はt-ブチル)である。好適な式(I)の化合物の例としては、ヒドロキシルアミン、N-tert-ブチル-ヒドロキシルアミン、及びN,O-ジメチルヒドロキシルアミンが挙げられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの式(I)の化合物は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.7重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約0.9重量%、又は少なくとも約1重量%)から、最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約6重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約2重量%、最大で約1重量%、又は最大で約0.8重量%)であることができる。理論に拘束されることを望まないが、前記式(I)の化合物は、エッチングプロセスの間にCoと中間体を形成し、半導体基板上のCoの除去を促進及び向上することができると考えられる。
【0016】
一般に、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の不飽和C-C12カルボン酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記不飽和C-C12カルボン酸は、1つ又は複数(例えば、2つ、又は3つ)の炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合、及び/又は、1つ又は複数(例えば、2つ、又は3つ)のカルボン酸基を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記不飽和カルボン酸は、非芳香族及び/又は非環状(例えば、環構造を有さない)であることができる。いくつかの実施形態では、前記不飽和カルボン酸は、カルボキシル基中の酸素原子に加えて、1つ又は複数のヘテロ原子(例えば、N,O,又はS)を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記不飽和カルボン酸は、式(II):R-(COOH)の酸であることができ、式(II)において、nは1、2、又は3、並びにRはC-C11のアルケニル又はC-C11のアルキニルであり、前記アルケニル又はアルキニルは、C-Cのアルキル、アリール(例えば、フェニル)、又はヘテロアリール(例えば、フリル)で任意に置換されている。例えば、前記不飽和カルボン酸は、アクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、trans-2-ヘキセン酸、フマル酸、10-ウンデセン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、2-ペンテン酸、2-メチル-4-ペンテン酸、2-オクテン酸、及び3-(2-フリル)アクリル酸を含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの不飽和C-C12カルボン酸は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.5重量%)から、最大で約3重量%(例えば、最大で約2.5重量%、最大で約2重量%、最大で約1.5重量%、最大で約1重量%、最大で約0.8重量%、又は最大で約0.5重量%)であることができる。理論に拘束されることを望まないが、前記不飽和カルボン酸は、CoOx層上における二次的なパッシブCoOx水酸化物層の形成、あるいは半導体基板における過剰量のCoOxの形成を低減又は防止することができると考えられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つのレベリング剤を含むことができる。本開示で使用されるように、「レベリング剤」の用語は、実質的に平面の金属層を提供できる有機化合物を意味する。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのレベリング剤は、例えば、含硫黄ポリマー又は含窒素ポリマー等のポリマーを含むことができる。レベリング剤の例としては、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-cо-ホルムアルデヒド)、ポリアミノアミド、又はポリアルカノールアミンが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのレベリング剤は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.5重量%)から、最大で約3重量%(例えば、最大で約2.5重量%、最大で約2重量%、最大で約1.5重量%、最大で約1重量%、最大で約0.8重量%、又は最大で約0.5重量%)であることができる。理論に拘束されることを望まないが、前記レベリング剤は、半導体基板上に実質的に平面の金属層を形成することができると考えられる。
【0020】
一般に、本開示のエッチング組成物は、溶媒として水を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記水は、脱イオン水及び超純水であることができ、有機汚染物質を含まず、約4~約7メガオーム又は少なくとも約17メガオームの最小低効率を有することができる。いくつかの実施形態では、前記水は、エッチング組成物の、少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%)から、最大で約99重量%(例えば、最大で約98重量%、最大で約97重量%、最大で約95重量%、最大で約90重量%、最大で約85重量%、最大で約80重量%、最大で約75重量%、又は最大で約70重量%)の量であることができる。理論に拘束されることを望まないが、水の量が組成物の99重量%より多い場合、Coエッチング速度に悪影響を与え、エッチングプロセスでのCo除去を低減すると考えられる。一方で、理論に拘束されることを望まないが、本開示のエッチング組成物は、他のすべての成分の可溶化を維持し、エッチング性能の低減を避けるために、一定レベルの水(例えば、少なくとも約50重量%)を含むべきであると考えられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)のCoエッチング促進剤を任意にさらに含むことができる。前記Coエッチング促進剤は、カルボン酸又はアミノ酸(例えば、モノ-、バイ-、トリ-、及びポリカルボン酸基を含むもの)からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、前記Coエッチング促進剤は、水溶性カルボン酸又は水溶性アミノ酸を含むことができる。好適なCoエッチング促進剤の例としては、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、グリシン、グリコール酸、マロン酸、乳酸、及びジエチレントリアミンペンタ酢酸を挙げることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記Coエッチング促進剤は、エッチング組成物の、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.5重量%)から、最大で約3重量%(例えば、最大で約2.5重量%、最大で約2重量%、最大で約1.5重量%、最大で約1重量%、最大で約0.8重量%、又は最大で約0.5重量%)の量である。理論に拘束されることを望まないが、前記Coエッチング促進剤は、半導体基板からのCoのエッチング又は除去を促進できると考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の有機溶媒を任意にさらに含むことができる。前記有機溶媒は、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性エステル、及び水溶性エーテルからなる群から選択することができる。
【0024】
水溶性アルコール類には、アルカンジオール(アルキレングリコールを含むが、これには限定されない)、グリコール、アルコキシアルコール(グリコールモノエーテルを含むが、これには限定されない)、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、及び環構造を有する低分子量アルコールが含まれるが、これらには限定されない。
【0025】
水溶性アルカンジオールの例としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ピナコール、及びアルキレングリコールが挙げられるが、これらには限定されない。
【0026】
水溶性アルキレングリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールが挙げられるが、これらには限定されない。
【0027】
水溶性アルコキシアルコールの例としては、3-メトキシ―3-メチル―1-ブタノール、3-メトキシ―1-ブタノール、1-メトキシ―2-ブタノール、及び水溶性グリコールモノエーテルが挙げられるが、これらには限定されない。
【0028】
水溶性グリコールモノエーテルの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ―2-プロパノール、2-メトキシ-1-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、2-エトキシ―1-プロパノール、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられるが、これらには限定されない。
【0029】
水溶性飽和脂肪族一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2‐ペンタノール、t-ペンチルアルコール、及び1-ヘキサノールが挙げられるが、これらには限定されない。
【0030】
水溶性不飽和非芳香族一価アルコールの例としては、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、2‐ブテニルアルコール、3-ブテニルアルコール、及び4-ペンテン-2-オールが挙げられるが、これらには限定されない。
【0031】
水溶性の環構造を有する低分子量アルコールの例としては、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、及び1,3-シクロペンタンジオールが挙げられるが、これらには限定されない。
【0032】
水溶性ケトンの例としては、アセトン、プロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、2-ブタノン、5-ヘキサンジオン、1,4-シクロヘキサンジオン、3-ヒドロキシアセトフェノン、1,3-シクロヘキサンジオン、及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらには限定されない。
【0033】
水溶性エステルの例としては、酢酸エチル、グリコールモノエステル(例えば、エチレングリコールモノアセテート、及びジエチレングリコールモノアセテート)、及びグルコールモノエーテルモノエステル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの有機溶媒は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約0.5重量%(例えば、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約8重量%、又は少なくとも約10重量%)から、最大で約30重量%(例えば、最大で約25重量%、最大で約20重量%、最大で約18重量%、最大で約16重量%、最大で約15重量%、最大で約14重量%、最大で約12重量%、又は最大で約10重量%)であることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、例えば、酸又は塩基である、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)のpH調整剤を任意にさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、前記pH調整剤は、金属イオンを含まない塩基であることができる。好適な、金属イオンを含まない塩基には、第四級アンモニウム水酸化物(例えば、TMAH等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物)、アンモニウム水酸化物、アミン(アルカノールアミンを含む)、アミジン(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN))、及びグアニジン塩(例えば、炭酸グアニジン)が含まれる。いくつかの実施形態では、前記塩基は、第四級アンモニウム水酸化物(例えば、TMAH等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物)ではない。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記pH調整剤は、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸)等の有機酸であることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、pH調整剤が有機酸である場合、前記有機酸は前述の不飽和カルボン酸、あるいは1つ又は複数(例えば、2つ、3つ、又は4つ)のカルボキシル基を含む飽和カルボン酸(例えば、クエン酸、シュウ酸、又は酢酸)ではない。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、ハロゲン化水素ではない。
【0038】
一般に、本開示のエッチング組成物におけるpH調整剤は、エッチング組成物のpHを所望の値に調整するのに十分な量であることができる。いくつかの実施形態では、前記pH調整剤は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約2重量%)から、最大で約6重量%(例えば、最大で約5.5重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約3重量%、最大で約2重量%、又は最大で約1重量%)であることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも約0(例えば、少なくとも約0.2、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.8、少なくとも約1、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約2.5、又は少なくとも約3)、及び/又は最大で約7(例えば、最大で約6.5、最大で約6、最大で約5.5、最大で約5、最大で約4.5、最大で約4、最大で約3.5、又は最大で約3)のpHを有することができる。理論に拘束されることを望まないが、7より高いpHを有するエッチング組成物は、十分なCoエッチング速度を有さないと考えられる。さらに、0より低いpHを有するエッチング組成物では、過剰なCoエッチングが引き起こされ、組成物中の特定の成分(例えば、金属腐食防止剤)の働きが阻害され、あるいは強力な酸性により組成物中の特定の成分が分解されると考えられる。
【0040】
加えて、いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意成分として、追加の腐食防止剤、界面活性剤、追加の有機溶媒、殺生物剤、及び消泡剤等の添加物を含んでもよい。好適な消泡剤の例としては、ポリシロキサン消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、及びグリシジルエーテルでキャップされたアセチレンジオールエトキシレート(例えば、参照により本開示に取り込まれる米国特許第6,717,019号に記載されたもの)が挙げられる。好適な界面活性剤の例としては、カチオン性、アニオン性、非イオン性、又は両性であってもよい。
【0041】
例えば、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の金属腐食防止剤を含むことができる。腐食防止剤の例としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、及びテトラゾール化合物等の置換又は非置換のアゾール化合物が挙げられる。トリアゾール化合物は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換トリアゾール、及び置換ベンゾトリアゾールを含むことができる。トリアゾール化合物の例としては、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、あるいはC-Cアルキル基(例えば、5-メチルトリアゾール)、アミノ基、チオール基、メルカプト基、イミノ基、カルボキシ基、及びニトロ基等の置換基で置換されたトリアゾールが挙げられるが、これらには限定されない。具体例としては、トリルトリアゾール、5-メチル-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの金属腐食防止剤は、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されたベンゾトリアゾールを含むことができる。例としては、ベンゾトリアゾール、5-アミノベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、5‐フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール(ハロ=F,Cl,Br,又はI)(例えば、5‐クロロベンゾトリアゾール、4-クロロベンゾトリアゾール、5-ブロモベンゾトリアゾール、4-ブロモベンゾトリアゾール、5-フルオロベンゾトリアゾール、及び4-フルオロベンゾトリアゾール)、ナフトトリアゾール、トリルトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、4-ニトロベンゾトリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、4-メチルベンゾトリアゾール、4-エチルベンゾトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、4-プロピルベンゾトリアゾール、5-プロピルベンゾトリアゾール、4-イソプロピルベンゾトリアゾール、5-イソプロピルベンゾトリアゾール、4-n-ブチルベンゾトリアゾール、5-n-ブチルベンゾトリアゾール、4-イソブチルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾール、4-ペンチルベンゾトリアゾール、5-ペンチルベンゾトリアゾール、4-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-メトキシベンゾトリアゾール、5-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-ベンゾトリアゾール、5-t-ブチルベンゾトリアゾール、5-(1’、1’-ジメチルプロピル)-ベンゾトリアゾール、5‐(1’、1’、3’-トリメチルブチル)ベンゾトリアゾール、5-n-オクチルベンゾトリアゾール、及び5-(1’、1’、3’、3’-テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0043】
イミダゾール化合物の例としては、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2‐フェニル-4-アルキルイミダゾール、2-メチル-4(5)-ニトロイミダゾール、5-メチル-4-ニトロイミダゾール、4-イミダゾールメタノールハイドロクロライド、及び2-メルカプト-1-メチルイミダゾール等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0044】
テトラゾール化合物の例としては、1-H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、5,5’-ビス-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチルテトラゾール、1-メチル-5-メルカプトテトラゾール、1-カルボキシメチル-5-メルカプトテトラゾール等が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの金属腐食防止剤は、エッチング組成物の総重量の、少なくとも約50ppm又は約0.005重量%(例えば、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.5重量%)から、最大で約3重量%(例えば、最大で約2.5重量%、最大で約2重量%、最大で約1.5重量%、最大で約1重量%、最大で約0.8重量%、又は最大で約0.5重量%)であることができる。
【0046】
一般に、本開示のエッチング組成物は、比較的高いCo/誘電体材料(例えば、SiN、ポリシリコン、高k誘電体、AlOx,SiOx,又はSiCO)エッチング選択率(つまり、誘電体材料のエッチング速度に対するCoエッチング速度の高い比)を有することができる。いくつかの実施形態では、エッチング組成物は、少なくとも約2(例えば、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、又は少なくとも約50)、及び/又は最大で約500(例えば、最大で約100)のCo/誘電体材料のエッチング選択率を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、1つ又は複数の添加剤成分を、複数の場合は任意の組み合わせで、特に除外してもよい。このような成分は、有機溶媒、pH調整剤、ポリマー(例えば、カチオン性ポリマー、又はアニオン性ポリマー)、脱酸素剤、第四級アンモニウム塩(第四級アンモニウム水酸化物を含む)、アミン、アルカリ性塩基(例えば、NaOH、KOH、及びLiOH)、消泡剤以外の界面活性剤、消泡剤、含フッ素化合物、酸化剤(例えば、過酸化物、過酸化水素、無機酸化剤(例えば、硝酸鉄、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、及び硝酸)、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、過酸化尿素水素、及び過酸(例えば、過酢酸))、研磨剤(例えば、カチオン性研磨、又はアニオン性研磨剤)、ケイ酸塩、ヒドロキシカルボン酸(例えば、2つより多いヒドロキシル基を含むもの)、カルボン酸及びポリカルボン酸(例えば、アミノ基を含むもの、又は含まないもの)、シラン(例えば、アルコキシシラン)、環状化合物(例えば、アゾール(ジアゾール、トリアゾール、又はテトラゾール等)、トリアジン、及び置換又は非置換のナフタレンあるいは置換又は非置換のビフェニルエーテル等の少なくとも2つの環を含む環状化合物)、緩衝剤、非アゾール系腐食防止剤、アゾール(例えば、ジアゾール、トリアゾール、又はテトラゾール)、及び塩(例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、ハロゲン化物塩(例えば、塩化物塩)、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、並びに、金属ハロゲン化物、カリウム塩(例えば、硝酸カリウム、ナトリウム塩、及び銀塩等の金属塩)からなる群から選択される。
【0048】
本開示のエッチング組成物は、成分を単に混合することによって調製することができ、又はキット内で2つの組成物を調合することによって調製することができる。キット内の第一組成物は、1つ又は複数の前記成分を含む水溶液であることができる。キット内の第二組成物は、2つの組成物の調合によって本開示の所望のエッチング組成物が得られるように、本開示のエッチング組成物の残りの成分を濃縮形態における所定の比で含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つのCoフィーチャ(例えば、Co膜又はCo層)を含む半導体基板をエッチングし、Coフィーチャの少なくとも一部を除去する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、前記Coフィーチャは、Co充填ビア又はCo充填トレンチであることができる。いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は100%)のCoフィーチャ(例えば、ビア又はトレンチに充填したCo)を除去できる。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記少なくとも1つのCoフィーチャを含む半導体基板を本開示のエッチング組成物と接触させ、前記Coフィーチャの少なくとも一部を除去することを含むことができる。前記方法は、前記接触工程の後、リンス溶媒で前記半導体基板をリンスすること、及び/又は、前記リンス工程の後、前記半導体基板を乾燥することをさらに含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示に記載された前記方法の利点は、前記エッチング組成物に曝される半導体基板におけるCoOx層上にコバルト水酸化物(CoOx水酸化物、又はCoOx-OH)層を実質的に形成しないことである。例えば、前記方法は、約5Å超(例えば、約3Å超、又は約1Å超)のCoOx水酸化物層を半導体基板上に形成しない。理論に拘束されることを望まないが、前記CoOx-OH層は、暗色であることができ、不均一なエッチングを引き起こす可能性がある様々な厚さの不均一多孔性酸化物であることができると考えられる。したがって、このような二次酸化物層は、通常のCo/CoO金属表面において一般に望ましくない。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示に記載された前記方法の他の利点は、前記方法により、Coを選択的に均一に除去すること、及び/又は、目的とする深さ又は厚さにまでCoをエッチングすることが可能になることを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、エッチング後に粗さのないCo表面を提供することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記エッチング方法は:
(A)Coフィーチャを含む半導体基板を提供する工程;
(B)前記半導体基板を本開示に記載のエッチング組成物と接触させる工程;
(C)前記半導体基板を1つ又は複数の好適なリンス溶媒でリンスする工程;並びに
(D)任意に、前記半導体基板を乾燥する工程(例えば、前記リンス溶媒を除去し、前記半導体基板の完全性を損なわない、好適ないずれかの手段による)、
を含む。
【0054】
本開示に記載の半導体基板(例えば、ウェハ)は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAs等の第III族-V族化合物、又はこれらのいずれかの組み合わせから構築される。前記半導体基板は、相互接続フィーチャ(例えば、金属線及び誘電体材料)等の露出した集積回路構造を追加で含んでもよい。相互接続フィーチャに用いられる金属及び金属合金としては、アルミニウム、銅との合金化アルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステンが挙げられるが、これらには限定されない。前記半導体基板は、層間誘電体、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタン、及び炭素ドープ酸化ケイ素の層を含んでもよい。
【0055】
半導体基板と前記エッチング組成物との接触は、いかなる適切な方法で行われてもよく、例えば、前記エッチング組成物をタンクに入れ、前記エッチング組成物中に前記半導体基板を浸漬させること及び/又は沈めること、前記エッチング組成物を前記半導体基板上にスプレーすること、前記エッチング組成物を前記半導体基板上に流すこと、あるいはこれらのいずれかの組み合わせ等である。
【0056】
本開示のエッチング組成物は、約85℃までの温度(例えば、約20℃から約80℃まで、約55℃から約65℃まで、又は約60℃から約65℃まで)で効果的に用いられることができる。Coのエッチング速度は、この範囲内で温度と共に増加し、したがって、より高い温度での前記プロセスは、より短い時間で行われることができる。逆に、より低い温度でのエッチングは、典型的には、より長いエッチング時間を必要とする。
【0057】
エッチング時間は、特定のエッチング法、厚さ、及び用いられる温度に応じて、広範囲にわたって様々であることができる。浸漬バッチタイプのプロセスでエッチングを行う場合、好適な時間範囲は、例えば、最大で約10分間(例えば、約1分間から約7分間、約1分間から約5分間、又は約2分間から約4分間)である。単一ウェハプロセスのエッチング時間は、約30秒間から約5分間(例えば、約30秒間から約4分間、約1分間から約3分間、又は約1分間から約2分間)の範囲であることができる。サイクルプロセス(例えば、ウェハをエッチングし、リンスし、及び乾燥することを最大16サイクル)におけるエッチング時間は、1サイクル当たり約10秒間から約2分間の範囲であることができる。
【0058】
本開示のエッチング組成物のエッチング能力をさらに向上させるために、機械的撹拌手段を用いることができる。好適な撹拌手段の例としては、前記基板上での前記エッチング組成物の循環、前記基板上での前記エッチング組成物の流動又はスプレー、並びに前記エッチングプロセス中における超音波撹拌又はメガソニック撹拌が挙げられる。地表面に対する前記半導体基板の配向は、いかなる角度であってもよい。水平又は垂直配向が好ましい。
【0059】
前記エッチングに続いて、前記半導体基板を、好適なリンス溶媒により、撹拌手段を用いて、又は用いずに、約5秒間から最大で約5分間にわたってリンスすることができる。様々なリンス溶媒を用いる複数のリンス工程を用いることができる。好適なリンス溶媒の例としては、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリドン、ガンマ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらには限定されない。代わりに、又は追加として、pH>8の水性リンス剤(例えば、希釈水酸化アンモニウム水溶液等)を用いることができる。リンス溶媒の例としては、希釈水酸化アンモニウム水溶液、DI水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらには限定されない。前記リンス溶媒は、本開示に記載のエッチング組成物の付与に用いられる手段に類似の手段を用いて付与することができる。前記エッチング組成物は、前記リンス工程の開始前に前記半導体基板から除去してもよく、あるいは前記リンス工程の開始時に依然として前記半導体基板と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、前記リンス工程で用いられる温度は、16℃と27℃との間である。
【0060】
任意に、前記半導体基板は、前記リンス工程の後に乾燥される。本技術分野で公知であるいかなる適切な乾燥手段が用いられてもよい。好適な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、前記半導体基板にわたる乾燥ガスの流動、ホットプレート又は赤外線ランプ等の加熱手段を用いた前記半導体基板の加熱、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥、あるいはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いられる具体的な方法に応じて異なるが、典型的には、30秒間から最大で数分間のオーダーである。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示に記載のエッチング方法は、前述した方法によって得られる前記半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップ等の集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【0062】
本開示は、以下の例を参照してより詳細に説明されるが、これらは説明のためのものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0063】
列挙したパーセントはいずれも、特に断りのない限り、重量基準(重量%)である。試験では、特に断りのない限り、1/2インチの撹拌バーによる325rpmでの制御撹拌を行った。
【0064】
一般手順1
配合物の調合
エッチング組成物のサンプルを、算出した量の溶媒に配合物の残りの成分を撹拌しながら添加することによって調製した。均一な溶液が得られた後、任意の添加剤を用いる場合は、添加した。
【0065】
一般手順2
材料及び方法
ブランケット試験片(Blanket test coupons)は、一般手順3に記載の手順に従って、一般手順1により調製した試験溶液においてエッチング及び材料適合性を評価した。
【0066】
膜におけるブランケット膜エッチング速度の測定は、市販の未パターン化200mm径ウェハを評価のための1.0×1.0インチの試験片にダイシングしたものを用いて行った。試験に用いた前記ブランケット膜材料は、シリコン基板上に堆積された厚さ約2000ÅのCo膜であった。
【0067】
前記ブランケット膜試験片は、処理前及び処理後の厚さについて測定し、ブランケット膜のエッチング速度を特定した。前記Co膜の厚さは、CDE RESMAP4点プローブを用いて、処理前及び処理後に測定した。
【0068】
前記CoOx-OH層は、Woolamエリプソメーターを用いて、以下のように測定した。まず、固有のCoOx層を有するCo膜を、数種類の前洗浄したCo膜を用いてエリプリメトリモデルに基づき測定し、厚さ約10Åを有するCoOx層が不透明なCo金属層上にのみ検出されることを確認した。次に、前記10ÅのCoOx層における前記CoOx-OH層の厚さを測定するためのリプリメトリモデルを確立するため、前記CoOx層を第一層として用いた。前記CoOx層及び前記CoOx-OH層の存在は、XPSで確認した。
【0069】
一般手順3
ビーカー試験によるエッチング評価
全てのブランケット膜エッチング試験は、100gのサンプル溶液を入れた125mLのPTFEボトルを600mLガラスビーカー水浴に入れ、325rpmで連続的に撹拌しながら50℃で行い、蒸発による損失を最小限に抑えるために加熱中はPTFEボトルキャップシールを使用した。1つの側が前記サンプル溶液に曝されたブランケット誘電体膜を有するブランケット試験片はすべて、ダイヤモンドスクライバによって、ビーカースケール試験用の0.5×0.5インチの正方形試験片サイズにダイシングした。個々の試験片は、各々、長さ4インチのプラスチック製ロッキングピンセットクリップ(locking plastic tweezers clip)を一つ用いて所定の位置に固定した。一方のエッジ部を前記ロッキングピンセットクリップで固定した前記試験片を、125mLのPTFEボトル中に吊り下げ、100gのサンプル溶液中に浸漬し、同時に、前記溶液を、50℃において325rpmで連続撹拌した。前記PTFEボトルは、試験片処理時間の短い間のみ大気に開放し、加熱又は処理時間の遅延のいずれの間も前記ボトルキャップで再度封をした。
【0070】
前記試験片は、処理時間(例えば、2分から10分)が経過するまで、静止状態の前記クリップを用いて、各々の試験について全く同じ位置で撹拌溶液中に固定した。前記試験溶液における処理時間が経過した後、前記試験片を125mLのPTFEボトルから直ちに取り出し、DI水で10秒間のリンスを2回行った。最後のDIリンス工程の後、すべての試験片に対して、手持ち型の窒素ガスブロワーを使用して、フィルターした窒素ガスによるブローオフ工程を行い、これによって、微量に残ったDI水がすべて強制的に除去され、試験測定用の最終乾燥サンプルを得た。
【0071】
例1
配合物例1~9(FE-1~FE-9)及び比較配合物例1(CFE-1)は、一般手順1に従って作製し、一般手順2及び3に従って評価した。前記配合物及び試験結果を表1にまとめる。
【0072】
【表1】
【0073】
表1に示すように、配合物FE-1、FE-2、FE-5、FE-8及びFE-9は、比較的高いCoエッチング速度を示し、前記Co金属膜上で鏡面を生じ、並びにパッシブCoOx-OH層にならなかった。対照的に、配合物CF-1は高いCoエッチング速度を示したものの、前記Co金属膜はエリプリメトリで読み取れない程に損傷され又は破壊された。
【0074】
本発明をその特定の実施形態を参照して詳細に記載してきたが、改変及び変更は、記載及び請求される本発明の趣旨及び範囲の中にあると理解される。
【国際調査報告】