(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】ダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60G 21/055 20060101AFI20220623BHJP
B60G 17/015 20060101ALI20220623BHJP
F16F 1/14 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B60G21/055
B60G17/015 Z
F16F1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565136
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020061765
(87)【国際公開番号】W WO2020225029
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019111488.8
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596179058
【氏名又は名称】ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】Mubea-Platz 1, D-57439 Attendorn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュリュルカンプ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュティヒリング
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ホーフリヒター
【テーマコード(参考)】
3D301
3J059
【Fターム(参考)】
3D301AA04
3D301AB02
3D301CA01
3D301DA11
3D301DA12
3D301DA66
3D301DA70
3D301DA77
3D301DB18
3D301DB35
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3D301EA04
3D301EA21
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3D301EB22
3D301EB34
3D301EB38
3D301EC01
3D301EC06
3D301EC37
3J059BA36
3J059BD04
3J059GA02
(57)【要約】
本発明は、ローリング運動を安定させるためのダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリであって、スタビライザアセンブリは、少なくとも2つの異なるばね特性で動作可能であり、車両の車輪にそれぞれ結合される第1および第2のスタビライザ半体を備え、第1および第2のスタビライザ半体は、ばね要素によって長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転することができるように結合されており、それによって、スタビライザは、第1のばね特性で動作可能であり、第1および第2のスタビライザ半体は、液圧式のアクチュエータによって長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転することができるように液圧的に結合することができ、それによって、スタビライザは、少なくとも1つの第2のばね特性を使用して動作可能である、スタビライザアセンブリに関する。アクチュエータは、作動媒体が充填されかつ流体案内接続部によって互いに接続される少なくとも2つの作業室を備え、アクチュエータは、スタビライザ半体の回転運動を、2つの作業室の間に配置された中間要素の並進運動に変換することができ、これによって、一方の作業室から他方の作業室への作動媒体の体積流を生成することができるように構成された伝動ユニットを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリング運動を安定させるためのダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリであって、前記スタビライザアセンブリは、少なくとも2つの異なるばね特性で動作可能であり、
- 前記車両の車輪にそれぞれ結合される第1および第2のスタビライザ半体(1,2)を備え、
- 前記第1および前記第2のスタビライザ半体(1,2)は、ばね要素(3,30)によって長手方向軸線(A)を中心として互いに相対的に回転可能となるように結合されており、それによって、前記スタビライザアセンブリは、第1のばね特性で動作可能であり、
- 前記第1および前記第2のスタビライザ半体(1,2)は、液圧式のアクチュエータによって前記長手方向軸線(A)を中心として互いに相対的に回転可能となるように液圧的に結合可能であり、それによって、前記スタビライザアセンブリは、少なくとも1つの第2のばね特性で動作可能であり、
- 前記アクチュエータは、作動媒体が充填されかつ流体案内接続部(8,80)によって互いに接続される少なくとも2つの作業室(6,7,60,70)を備える、
スタビライザアセンブリにおいて、
前記アクチュエータは、前記スタビライザ半体(1,2)の回転運動が、前記2つの作業室(6,7)の間に配置された中間要素(5,50)の並進運動に変換可能となり、これによって、一方の前記作業室(6,7,60,70)から他方の前記作業室(6,7,60,70)への前記作動媒体の体積流が発生可能となるように構成された伝動ユニット(4,40)を備えることを特徴とする、スタビライザアセンブリ。
【請求項2】
前記作業室(6,7,60,70)の前記流体案内接続部は、周波数感知性の弁を備え、前記弁により、前記流体案内接続部(8,80)の通路断面が、前記スタビライザアセンブリの振動周波数に応じて変更可能であり、前記スタビライザアセンブリは、可変のばね特性で動作可能である、請求項1記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項3】
前記流体案内接続部(8,80)の通路断面積を変更する作動要素(9)が、開いているか、閉じているか、または部分的に閉じるようになっており、それによって、前記スタビライザアセンブリは、1つ以上の更なるばね特性で動作可能である、請求項1または2記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項4】
前記作動要素(9)は、非通電状態で閉じている、請求項3記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項5】
前記ばね要素(3,30)は、前記スタビライザ半体(1,2)の少なくとも一方に連結されたトーションばね(30)であり、両方のスタビライザ半体(1,2)は、ロッド要素(10)によって互いに結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項6】
前記ばね要素(3,30)は、前記2つのスタビライザ半体(1,2)を連結するトーションバーばね(3)である、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の、ダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリを動作させるための方法であって、
- 前記車両のローリング運動を検出するステップと、
第1のダンパー基準値を検出するステップと、次いで、
前記液圧式のアクチュエータによって前記ローリング運動が減衰されるように、前記ダンパー基準値に応じて、前記2つの作業室(6,7,60,70)の前記流体案内接続部(8,80)を形成するステップと、
で進行する、方法。
【請求項8】
液圧的減衰作用を、前記流体案内接続部(8)の、請求項2記載の周波数感知性の弁によって、前記スタビライザ半体(1,2)の振動周波数に応じて行い、前記スタビライザアセンブリを前記可変のばね特性で動作させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記液圧式のアクチュエータが、第2のダンパー基準値を検出すると作動しなくなることで、前記作業室(6,7,60,70)の間の前記流体案内接続部(8)を遮断し、前記ローリング運動を前記ばね要素(3,30)によって減衰する、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記ダンパー基準値を運転モードおよび/または更なる境界条件に応じて調整する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、走行後に二列の轍を残すダブルトラック式の車両(two-track vehicle)のスタビライザアセンブリ、および独立請求項7記載の、このようなスタビライザアセンブリを動作させるための方法に関する。先行技術に関しては、例えば、独国特許出願公開第102006051682号明細書および独国特許出願公開第102014018732号明細書を参照されたい。
【0002】
例えば、凹凸のある道路条件の場合や、ダブルトラック式の車両が旋回している場合に、車両の車輪に作用する様々な路面励起により、車両の望ましくないローリング運動および/またはピッチング動作が生じる可能性がある。このことは、運転安全性、運転動特性、および快適性に悪影響を及ぼし、これらを変化させる場合がある。これらのローリング運動および/またはピッチング動作を低減または減衰させるために、車両の一方または両方の車軸に、いわゆるスタビライザ、すなわち特別なサスペンションシステムを設置することが、先行技術から知られている。ここでは、異なる3種類のスタビライザを区別する。いわゆるパッシブスタビライザは、トーションバーの原理に従って動作する。一体型トーションバーが、車両の車軸構造と平行に配置され、車輪サスペンションに両端が取り付けられる。車輪の様々な垂直運動が、このトーションバースタビライザの弾性変形または回転によって補償される。しかし、パッシブスタビライザは、吸収した運動エネルギーを一時的にしか蓄積できず、再び放出してしまう。システムによって吸収された反力は、この場合制御できず、運転状況に応じて発生する相対的な運動を生ぜしめる。パッシブスタビライザは、その寸法および材料特性の観点から、所定のばね定数に設定されているので、特定の大きさのねじり力しか吸収できず、対応する反力を発生させる場合がある。これは、快適性、すなわち所望の柔らかいサスペンションと、運転動特性および安全性、すなわち所望の硬いサスペンションとの間の相反を生み出す。この理由から、パッシブスタビライザは基本的に、特にオンロードとオフロードの両方での使用を目的とした車両には、限られた範囲でしか適さない。
【0003】
上述したパッシブスタビライザに加えて、2つの部分で通常構成される、いわゆるアクティブスタビライザもある。各スタビライザ半体の一方の端部が、車両の車輪または車輪サスペンションに連結される。そして、2つのスタビライザ半体は通常、好適なアクチュエータによって互いに連結され、アクチュエータは、好適な制御システムによって2つのスタビライザ半体を互いに相対的に能動的に回転させる。パッシブスタビライザとは対照的に、アクティブスタビライザは、必要に応じて車体とシャーシとの間に力およびトルクを導入し、所望の移動距離を生成することができる。これらの力は、もはや車体運動の結果ではなく、横加速度やローリング角などの任意の変数の関数となる。例えば旋回時には、特定のローリング抵抗トルクを加え、スタビライザを能動的に回転させることにより、ローリング角を低減させ、車体を水平位置にすることができる。車両が直進しているときの結合解除では、車両の車軸に垂直モーメントが加えられないので、倣い効果(copying effect)が低減され、運転快適性を大幅に向上させることができる。したがって、前述した快適性と運転動特性との間の相反は、アクティブスタビライザによって解決することができる。しかし、このようなアクティブシステムは、外部エネルギー(ポンプ装置、モータなど)に依存しており、追加のコスト、重量、設置スペースの問題が生じる。
【0004】
加えて、ポンプ装置が設けられず、1つ以上のセミアクティブアクチュエータ、例えば旋回モータの作業室が、能動的に制御される弁を介して互いに接続される、いわゆるセミアクティブスタビライザも先行技術から知られている。ここで、作業室の間の体積流は、弁によって制御される。作業室の間で体積流を発生させるために、アクチュエータの運動、例えば旋回モータのロータの動作が必要であり、これにより、望ましくない車両の動作に対抗するための力がシャーシシステムに蓄積されるので、セミアクティブシャーシシステムの制御は、望ましくない車両の動作に応答して行われる。よって、弁を制御するためのエネルギーのみが必要とされる。しかし、アクティブスタビライザとは対照的に、セミアクティブスタビライザでは、力が能動的に加えられることがなく、代わりに、弁位置に応じて(すなわち、2つの特性曲線の間で切り換えることにより)、もっぱら車両のローリング運動および/またはピッチング運動に応じて、緩衝効果が生成される。上述した独国特許出願公開第102006051682号明細書には、例えば、特にローリングを安定させるための、車両の切換可能なスタビライザアセンブリが記載されている。前記スタビライザアセンブリは、車両の車輪にそれぞれ結合される第1および第2のスタビライザ半体を備え、第1および第2のスタビライザ半体は、液圧式のセミアクティブアクチュエータによって長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転することができるように結合される。ここで、アクチュエータは、作動媒体が充填された少なくとも2つの作業室を有し、少なくとも2つの作業室の間に少なくとも1つの流体案内接続部を含み、その通路断面積は可変である。アクチュエータの作業室自体は、弾性的に変形可能ではない。代わりに、アクチュエータの少なくとも2つの作業室および/またはアクチュエータの少なくとも2つの更なる作業室には、ばね要素が配置され、ばね要素は、アクチュエータのロータとステータとの間に支持される。
【0005】
しかし、この先行技術には、作動媒体の体積流がばね要素のたわみによって大きく制限されるという欠点がある。さらに、スタビライザアセンブリの低コストかつ低労力のシーリングシステムを確保するのが困難である。
【0006】
独国特許出願公開第102014018732号明細書は、周波数感知性のハイパス弁によって液圧室が互いに流体接続される車両のスタビライザを示している。
【0007】
本発明の目的は、最適化された複雑でないシーリングシステムならびに作動媒体の体積流に関して最適化された車両スタビライザを提供することである。
【0008】
この目的の解決手段は、請求項1の特徴を備える、ダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリ、および独立請求項7記載の、このようなスタビライザアセンブリを動作させる方法によって実現される。有利な構成および更なる発展は、従属請求項の主題である。
【0009】
少なくとも2つのばね特性で動作可能であるか、またはそれらの間で切り換えることができる、特にローリングを安定させるための、車両のスタビライザアセンブリを提案する。
【0010】
スタビライザアセンブリは、車両の車輪にそれぞれ結合される第1および第2のスタビライザ半体を備える。
【0011】
スタビライザ半体は、ばね要素によって長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転することができるようにそれぞれ結合される。ばね要素とのこの結合により、スタビライザアセンブリが動作可能である第1のばね特性が得られる。この構成では、ばね定数または第1のばね特性はそれぞれ、ばね要素のばね剛性によって調整可能である。
【0012】
ばね要素は、好ましくは、2つのスタビライザ半体を連結するトーションバーばねとして構成される。このトーションバーばねは、例えば、ゴムロッドとして構成することができる。よって、トーションバーばねは、スタビライザ半体のねじれ運動を緩衝し、または減衰させ得るねじりばねとして使用される。代替的に、ばね要素は、スタビライザ半体の少なくとも一方に連結されるねじりばねであり、2つのスタビライザ半体がロッド要素を介して互いに結合されることが可能である。このロッド要素は、ねじりばねとしては構成されず、(実質的に)弾力性のない剛性ロッドとして構成される。この場合に、ねじりばねは、例えば、2つのスタビライザ半体の一方に配置されたコイルばねであってもよく、コイルばねは、そのばね軸線が車輪の回転軸線と少なくともほぼ平行になるように配置される。このようにして、コイルばねは、2つのスタビライザ半体同士の回転運動を減衰させまたは回転運動を緩衝することができる。
【0013】
さらに、スタビライザアセンブリは、2つのスタビライザ半体を、長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転させることができるように、液圧的に結合することができる液圧式の(例えばセミアクティブ)アクチュエータを備える。
【0014】
ここで、アクチュエータは、作動媒体が充填され流体案内接続部によって互いに接続された少なくとも2つの作業室を含む。アクチュエータが作動すると、作業室の間に作動媒体の流体流が生じる。流体案内接続部を通る作動媒体の体積流は、減衰効果を実現することができる。液圧式のアクチュエータは、2つの作業室の間の流体案内接続部が形成されるとアクティブ(動作可能)になる。
【0015】
液圧式のアクチュエータが動作すると、スタビライザアセンブリは、少なくとも1つの第2のばね特性で動作する。ばね要素または液圧式のアクチュエータのいずれが緩衝作用または減衰を実現するかに応じて、ばね特性は、ダンパ特性と呼ばれる場合もある。
【0016】
液圧式のアクチュエータは、好ましくは、電気的または機械的に駆動されるモータではなく、(場合によっては、作動要素の設定または開放を除いて)外部エネルギーを必要とせず、それでもシステムに純粋に受動的な変化をもたらす装置である。
【0017】
特定の状況では、ばね要素によってもたらされる減衰または緩衝作用ではもはや十分ではない、ローリング運動のより高いレベルでの減衰または緩衝作用が必要となる。これらの状況では、流体案内接続部が形成され、すなわち、液圧式のアクチュエータが作動し、スタビライザアセンブリが少なくとも第2のばね特性(またはいくつかの更なるばね特性)で動作することが好ましい。
【0018】
(アクチュエータの好ましい構成を表す)用語「セミアクティブ」は、本発明の意味では、外部エネルギーの供給が、通路断面積の変更のためにのみ、または作業室の間の前記流体案内接続部の好ましい能動的な開閉のためにのみ、それぞれ必要であることを意味する。すでに上述したアクティブスタビライザとは対照的に、回転力または減衰力を導入するために外部エネルギーの供給は必要とされない。
【0019】
さらに、アクチュエータが、スタビライザ半体の回転運動を、2つの作業室の間に配置された中間要素の並進運動に変換することができ、これにより、流体案内接続部によって2つの作業室の間に作動媒体の体積流を発生させることができるように構成された伝動ユニットを含むことが規定される。
【0020】
この伝動ユニットは特に、いわゆる回転-並進変換器を含む。後者は、好ましくは形状接続(interlocking fit)によってスタビライザ半体に結合される。
【0021】
アクチュエータが作動する場合(すなわち、2つの作業室の流体案内接続部を通る液圧流が存在する場合)、スタビライザ半体の回転運動を、前記伝動ユニット、特に前記回転-並進変換器によって、2つの作業室の間に配置された、または2つの作業室を互いに隔てる中間要素の並進運動に変換することができる。
【0022】
アクチュエータが作動する場合に、伝動ユニットのピッチまたは回転-並進変換器の噛み合い部のピッチによって、作動媒体の体積流を調整することができる。このような伝動ユニットまたは回転-並進変換器を含む、このようなスタビライザアセンブリの例示的な構成を、図および図の関連する説明から得ることができる。
【0023】
作動媒体の体積流がばね要素のたわみによって制限される先行技術とは対照的に、本発明は、作動媒体の体積流を著しく可変的であって制限されないようにして、ひいては、減衰力を最適化することを保証することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、流体案内接続部(または2つの作業室の別の流体案内接続部)が、いわゆる周波数感知性の弁を含むことが規定される。このような場合に、流体案内接続部は、流体案内接続部を能動的に開閉するための能動的に制御可能な作動要素(または弁)を必ずしも含む必要がない。これは、周波数感知性の弁のみで、(外部からの制御またはエネルギー供給なしで)振動の周波数に依存した減衰が可能になるためである。よって、(能動的に制御可能な作動要素なしに)周波数感知性の弁を使用する場合に、アクチュエータは、作動および動作のために外部エネルギーの供給を必要としない純粋に受動的な構成を表す。したがって、流体案内接続部は、スタビライザ半体の振動周波数のみに依存して、開いたり、閉じたり、部分的に開いたりする。
【0025】
このような周波数感知性の作動要素は、ローリング運動によるスタビライザアセンブリまたは2つのスタビライザ半体の振動周波数に応じて、流体案内接続部の通路断面積を変更することができる周波数感知性の減衰効果をもたらすことができる。
【0026】
周波数感知性の弁は、作動媒体の振動周波数を検知し、特定の周波数範囲で自動的に開閉することができる。この目的のために、流体室の周波数感知性の弁によって提供される減衰力は、好ましくは、車両の動作周波数またはスタビライザの運動の動作周波数に関して、高い周波数(特に2~5Hzよりも高い範囲の周波数)で小さな減衰力が実現され、低い周波数(特に2~5Hzよりも低い範囲の周波数)で大きな減衰力が実現されるように構成される。
【0027】
好ましくは、作業室の間の流体案内接続部は、管路またはチャネルの形態で構成される。
【0028】
アクチュエータが作動すると、作業室の間の流体案内接続部は、好ましくは開かれる。
【0029】
本発明のさらに有利な実施形態では、また周波数感知性の弁の代替として、またはそれに付加して、アクチュエータに関連付けられ、接続部の通路断面積を変更する作動要素(例えば、弁)が制御ユニットに接続される。本発明の特に好ましい構成では、前記制御ユニットは、開/閉ループ制御ユニットとして構成される。
【0030】
ここで、好ましくは、作業室の間に流体案内接続部が(少なくとも部分的に)形成されるように作動要素を切り換えることにより、アクチュエータが作動させることが規定される。アクチュエータは、作業室の間の流体案内接続部が遮断されたときに、すなわち、好ましい作動要素が流体案内接続部を遮断するように切り換えられた場合に、作動しなくなる。上述した好ましい周波数感知性の弁とは対照的に、好ましい作動要素は、様々な位置(例えば、開位置および閉位置)に切り換えるために、外部エネルギーの供給または通電を必要とする。このような作動要素を使用する場合に、アクチュエータはもはや単なるパッシブではなく、すでに上述したセミアクティブアクチュエータの形態で構成される。
【0031】
作動要素は、流体案内接続部を完全に切り離したり、完全に開いたり、接続部の完全な切り離しまたは遮断を引き起こさずに、その通路断面積を単に縮小させたりすることができる。中間要素の並進運動中に流体案内接続部に流入する作動媒体の速度に応じて、接続部を部分的にのみ閉じることにより、異なる絞り効果ひいては追加の減衰効果を同時に実現することができる。
【0032】
例えば作動要素による通路断面積の変更は、好ましくは、ここでは能動的な制御によって実現される。(好ましくは前記制御ユニットによる)この能動的な制御以外には、好ましい切換可能な安定化機能を実行するために、更なる外部エネルギーの供給は必要とされない。非通電状態では、作動要素は、好ましくは閉じた状態にあり、アクチュエータは作動しない。このとき、作業室の間に流体案内接続は発生せず、液圧式のアクチュエータは作動せず、ひいては液圧的減衰作用は発生しない。
【0033】
すでに知られているように、作業室の流体案内接続部を形成するために、作動要素、特に弁を使用することが好ましい。作動要素は、すでに述べた好ましい周波数感知性の弁に代替的または付加的のいずれかで配置することができる。
【0034】
請求項1から6までのいずれか1項に従って構成されたスタビライザアセンブリを動作させるための方法も提案される。第1のステップでは、車両のローリング運動が、例えば、車両内の好適なセンサによって検出される。
【0035】
続いて、いわゆるダンパー基準値が計算または決定される。ダンパー基準値とは、どのばね特性において、それぞれの状況(すなわちタイミング)でスタビライザアセンブリを動作させるべきかを示す基準値である。例えば、ダンパー基準値は、第1のばね特性(すなわち、流体案内接続部が遮断された状態ひいてはアクチュエータが作動しない状態)でのスタビライザアセンブリの運転、または第2のばね特性(すなわち、流体案内接続部が形成された状態ひいてはアクチュエータが作動する状態)でのスタビライザアセンブリの運転のいずれかを意味することができる。第1のダンパー基準値は、ここでは、スタビライザアセンブリが第2のばね特性で動作することを意味する。第2のダンパー基準値は、スタビライザアセンブリが第1のばね特性で動作することを意味する。
【0036】
このダンパー基準値は、好ましくは、特定の境界条件に応じて設定または計算される。よって、アクチュエータは、好ましくはこれらの特定の境界条件に応じて作動したり、作動しなかったりする。言い換えれば、流体案内接続部は、前記境界条件に応じて、または特定の運転モードに応じて、形成されたり、遮断されたりする。よって、好ましくは、これらの特定の境界条件に応じて、前記作動要素(好ましくは弁を表す)が、開いたり、閉じたり、または部分的に閉じたりすることが規定される。
【0037】
可能な境界条件は、例えば、車両の横加速度、車輪の高さレベル、操舵角、ローリング角、ナビゲーションシステムの情報などであってもよい。さらに、特に、車両の運転者によって適応させられた、または運転状況に自動的に適応する運転モードが、このような境界条件を表す。
【0038】
例えば、常に変化する操舵角に基づいてカーブの多い運転を検出すると、制御ユニットは、第2のダンパー基準値を設定し、流体案内接続部を遮断する(ひいてはアクチュエータを作動させない)ことができる。したがって、2つの作業室の間に流体流が存在しない。さらに、車両の運転者自身が、作動ユニットによっていわゆるスポーツモードを作動させ、よって、より正確な路面フィードバックおよびより現実的な運転体験を望むことが可能である。それゆえに、スポーツモード(など)のこのような運転モードの作動が検出された場合に、好ましくは、第2のダンパー基準値が設定され、アクチュエータが作動しなくなり、スタビライザアセンブリが、ばね要素によって規定される第1のばね特性で動作することが規定される。
【0039】
作業室の間の流体案内接続部が、例えば、閉鎖ユニットまたは閉鎖弁によって遮断された場合に、2つの作業室は、もはや作動媒体によって自由に連通することができず、作業室の間に流体流が存在せず、2つのスタビライザ半体が最大限に結合される。スタビライザアセンブリは、ばね要素によって決定される第1のばね特性で動作する。トーションバーばねがばね要素として使用される場合に、パッシブスタビライザが形成される。後者は、トーションバーの原理による従来の一体型スタビライザの荷重-変位特性を有する。この最大限の結合状態では、スタビライザは、最も硬いまたは最も剛性の高い効果を示す。
【0040】
一方、ナビゲーションシステムからの情報により、車両がしばらくの間、(例えば、長い高速道路の移動で)主に直進するように動作することが分かる場合に、第1のダンパー基準値を設定し、流体案内接続部を形成し、よって、アクチュエータを作動させることができる。
【0041】
このような場合にも、運転者自身が、作動要素を作動させて、いわゆる快適モードなどの運転モードを作動させることにより、車両の特定の快適性の希望を指定することが可能である。さらに、このような快適モードの作動を検出すると、第1のダンパー基準値が設定され、アクチュエータが作動し、スタビライザアセンブリが、アクチュエータの液圧的減衰作用によって予め決定される第2のばね特性で動作することが好ましい。
【0042】
さらに、好ましくは、調整された第1のダンパー基準値での(すなわち、アクチュエータが作動させられた状態での)液圧的減衰作用は、スタビライザ半体の振動周波数に応じて周波数感知性の弁によって行われることが可能である。作動要素または弁は、作業室の流体案内接続部が形成されるように切り換えられる。流体案内接続部の通路断面積は、外部エネルギーの供給なしに、周波数に応じて周波数感知性の弁によって調整される。このような状況では、スタビライザアセンブリは、言及された可変のばね特性でまたはばね特性曲線に従って動作する。減衰能力の観点から見ると、アクチュエータの振動周波数またはスタビライザ半体同士の振動周波数に応じて、第1のばね特性(すなわち、弁が完全に開いている状態)と第2のばね特性(すなわち、弁が完全に閉じている状態)との間の範囲、またはそれらの間の値でスタビライザアセンブリを動作させることが可能である。
【0043】
例として、それぞれの作業室に充填される作動媒体または上述した流体として、油または作動流体を使用することができる。
【0044】
このようにして、セミアクティブな実施形態または周波数感知性の弁を使用する際にはパッシブな実施形態により、わずかなエネルギーしか(または全く)必要とせず、それにもかかわらず、少なくとも2つのばね特性(または特性曲線にしたがってさえも)で動作できる、(例えば切換可能な)スタビライザアセンブリを有利に提供することができる。さらに、先行技術とは対照的に、本発明による伝動ユニットは、より可変的であって制限されない作動媒体の体積流を、液圧的減衰作用中に可能にし、よって、液圧的減衰作用を最適化する。加えて、本発明によるスタビライザアセンブリは、複雑性と設計の面で最適化されたシーリングシステムを提供することを可能にする。よって、先行技術から知られているような複雑なシーリングシステムの代わりに、この場合には、従来の標準的なシーリングシステムのみが必要とされる。
【0045】
これらの特徴および更なる特徴は、特許請求の範囲および説明のみからではなく、図面からも明らかであり、個々の特徴は、それぞれの場合に単独で、または複数の場合に本発明のある実施形態のサブコンビネーションの形で実現することができ、ここで保護が主張される、有利な実施形態だけでなく、単独で保護することが可能な実施形態を表すことができる。
【0046】
以下では、2つの例示的な実施形態を利用して、本発明をさらに説明する。より詳細に説明される全ての特徴が、本発明にとって必須となる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】ダブルトラック式の車両の、本発明によるスタビライザアセンブリの第1の例示的な実施形態を、スタビライザアセンブリの長手方向軸線を通る断面図において、流体案内接続部の閉位置で示す図である。
【
図2】ダブルトラック式の車両の、本発明によるスタビライザアセンブリの第1の例示的な実施形態を、スタビライザアセンブリの長手方向軸線を通る断面図において、この接続部の開位置で示す図である。
【
図3】本発明によるスタビライザアセンブリの第2の例示的な実施形態を、スタビライザアセンブリの長手方向軸線を通る断面図において示す図である。
【0048】
図1は、ダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリの長手方向軸線を通る断面図において、スタビライザアセンブリの第1の実施形態を示す。ここで、スタビライザアセンブリは、車両の車輪(図示せず)にそれぞれ連結される第1および第2のスタビライザ半体1,2を備える。2つのスタビライザ半体1,2は、長手方向軸線Aを中心として互いに相対的に回転することができるように、トーションバーばねとして構成されたゴムロッド3によって結合される。車両のローリング運動時に、2つのスタビライザ半体1,2は、互いに相対的に回転し、ローリング運動がゴムロッド3によって緩衝または減衰される。スタビライザアセンブリは、ゴムロッド3のばね剛性に応じて、ゴムロッド3による第1のばね特性で動作する。通常、このようなトーションバー(パッシブスタビライザとしても知られている)をばね要素として用いる場合の緩衝効果または減衰は比較的小さく、すなわち、路面フィードバックひいてはローリング運動もあまり減衰されず、したがって、車両乗員にとって(アクティブスタビライザアセンブリを用いる場合よりも)感知されやすく、直接的なものとなる。
【0049】
さらに、2つのスタビライザ半体1,2を、液圧式のアクチュエータによって長手方向軸線Aを中心として互いに相対的に回転させることができるように結合することが可能である。この液圧式のアクチュエータは、2つのスタビライザ半体1,2の間に配置され、各スタビライザ半体1,2に形状接続によって結合された回転-並進変換器4を備える。回転-並進変換器4は、スタビライザ半体1,2の(長手方向軸線Aを中心とする)回転運動を、アクチュエータの中間要素5の長手方向軸線Aに沿った並進運動に変換する。中間要素5は、作動媒体で満たされ流体案内接続部8によって互いに接続された2つの作業室6,7の間に配置され、それらを互いに切り離す。流体案内接続部8の通路断面積は、弁9によって能動的に変更することができる。ここでは図示されていない制御ユニットによって、弁9は、特に開ループ式または閉ループ式に能動的に制御することができる。また、制御ユニットが、特に開ループ式または閉ループ式に弁9を閉じたり開いたりすることによって、アクチュエータを制御することが規定される。弁9が開いている場合に、アクチュエータは作動し、スタビライザは、アクチュエータの液圧的減衰作用によって決定される少なくとも1つの第2のばね特性で動作する。第2のばね特性は、第1の荷重-たわみ曲線よりも高い減衰レベルを有する。
【0050】
2つのスタビライザ半体6,7の最大回転角度は、回転-並進変換器4の歯のピッチひいては中間要素5の並進運動特性に依存する。中間要素5のこの並進運動と、それに伴う作業室6,7内の作動媒体の圧縮を利用して、弁が開いているときのスタビライザの力-変位特性やばね定数を調整することができる。
【0051】
図1では弁9が閉じているので、2つの作業室6,7の間で作動媒体の交換が行われない。2つのスタビライザ半体1,2は、互いに最大限に結合されており、よって、スタビライザは従来のトーションバーのように作用する。スタビライザは、従来の一体型スタビライザの力-変位特性を有しており、この場合に、そのばね定数は、ゴムロッド3によって決定される。
図1には、弁9を閉じた状態でのスタビライザアセンブリの力伝達経路が破線L1で示されている。
【0052】
図2は、
図1のスタビライザアセンブリを示しているが、弁9が開位置にある点が異なっている。車両にローリング運動が発生すると、流体案内接続部8を通して2つの作業室6,7の間で液圧的交換が行われる。荷重に応じて、一方のスタビライザ半体1は、作業室6,7の一方から他方への作動媒体の流出により、他方のスタビライザ半体2に対して回転する。生じるねじり剛性の度合いは、回転-並進変換器4の歯のピッチと、それに伴う作業室6,7に流入する作動媒体の体積流とによって決定される。弁9が開いているときに、スタビライザは、より柔らかく設定され、すなわち、2つのスタビライザ半体1,2は、弁9が閉じているときよりも容易に互いに相対的に回転することができる。弁9が開いているときのスタビライザの所望の力-変位特性を実現するために、回転-並進変換器の幾何学的形状(特にその歯の幾何学的形状)が相応に構成される。
【0053】
弁9が開いている状態でのスタビライザアセンブリを通る力伝達経路または力の流れは、
図2に破線L2で示されている。
【0054】
すでに説明したように、弁9の代わりに、または弁9に加えて、2つのスタビライザ半体6,7の振動周波数に応じて減衰作用が設定されるように、流体案内接続部8に周波数感知性の弁を設けることもできる。
【0055】
弁9の代替として周波数感知性の弁(のみ)を使用して流体案内接続部8の通路断面を変更する場合に、液圧式のアクチュエータまたは周波数感知性の弁の能動的な制御または能動的な作動もしくは通電は必要とされない。液圧式のアクチュエータは、純粋に受動的に、すなわち、アクチュエータを作動または動作させるための外部エネルギーを必要とせずに、動作する。このようにして、外部エネルギーの供給なしに、可変のばね特性でまたは可変特性曲線に従ってスタビライザアセンブリを動作させることも可能である。
【0056】
図3は、本発明によるスタビライザアセンブリの第2の実施形態を示す。第2の実施形態と
図1および
図2に示した最初に述べた実施形態との違いは、幾何学的な構成にある。しかし、機能的な構成は、第1の例示的な実施形態と同じである。
図3のばね要素は、1つのスタビライザ半体1に回転不可に結合されたコイルばね30として構成される。コイルばね30は、長手方向軸線またはばね軸線がスタビライザアセンブリの長手方向軸線Aと平行になるように、またはこれらが一致するように、ここでは配置される。2つのスタビライザ半体1,2はまた、単一の剛性ロッド10によって互いに連結される。ロッド10は、ここではばね要素として構成されていない。
【0057】
この場合にも、アクチュエータは、スタビライザ半体1,2の回転運動を2つの作業室60,70の間での中間要素50の並進運動に変換する回転-並進変換器40を含む。この場合にも、2つの作業室60,70は、流体案内接続部80を介して互いに接続することができる。ここでも、流体案内接続部80に弁90が配置され、弁によって、スタビライザアセンブリを第1のばね特性から第2のばね特性に切り換えることが可能である。
【0058】
弁90が閉じている場合に、スタビライザアセンブリのばね力または減衰は、第1の例示的な実施形態とは対照的に、コイルばね30のばね剛性に主に依存する。弁90が開いている場合に、状況は、第1の実施形態の弁9が開いている場合と同じ状況となる。
【0059】
もちろん、この第2の実施形態では、可変のばね特性を確保するために、弁90の代替として、または弁90に付加して、周波数感知性の弁を配置することも可能である。
【0060】
両方の実施形態では、弁9,90に加えて、スタビライザアセンブリの言及したまたは別の流体案内接続部8,80に周波数感知性の弁を設けることも可能である。
【0061】
さらに、好ましくは、両方の例示的な実施形態では、スタビライザアセンブリの第1および第2のばね特性の間の切換、すなわち弁9,90の切換が、外部の境界条件または設定された運転モードに依存することが規定される。これらの境界条件の詳細については、上記の説明で述べた。
【0062】
このようにして、切換可能なセミアクティブスタビライザアセンブリを、外部ポンプ装置もモータも必要としない簡単な方法で提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 スタビライザ半体
2 スタビライザ半体
3 ゴムロッド
4 回転-並進変換器
5 中間要素
6 作業室
7 作業室
8 流体案内接続部
9 弁
10 ロッド
30 コイルばね
40 回転-並進変換器
50 中間要素
60 作業室
70 作業室
80 流体案内接続部
90 弁
A 長手方向軸線
L1 力伝達経路
L2 力伝達経路
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリング運動を安定させるためのダブルトラック式の車両の
ためのスタビライザアセンブリであって、前記スタビライザアセンブリは、少なくとも2つの異なるばね特性で動作可能であり、
- 前記車両の車輪にそれぞれ結合
することができる第1および第2のスタビライザ半体(1,2)を備え、
- 前記第1および前記第2のスタビライザ半体(1,2)は、ばね要素(3,30)によって長手方向軸線(A)を中心として互いに相対的に回転可能となるように結合されており、それによって、前記スタビライザアセンブリは、第1のばね特性で動作可能であり、
- 前記第1および前記第2のスタビライザ半体(1,2)は、液圧式のアクチュエータによって前記長手方向軸線(A)を中心として互いに相対的に回転可能となるように液圧的に結合可能であり、それによって、前記スタビライザアセンブリは、少なくとも1つの第2のばね特性で動作可能であり、
- 前記アクチュエータは、作動媒体が充填されかつ流体案内接続部(8,80)によって互いに接続される少なくとも2つの作業室(6,7,60,70)を備える、
スタビライザアセンブリにおいて、
前記アクチュエータは、前記スタビライザ半体(1,2)の回転運動が、前記2つの作業室(6,7)の間に配置された中間要素(5,50)の並進運動に変換可能となり、これによって、一方の前記作業室(6,7,60,70)から他方の前記作業室(6,7,60,70)への前記作動媒体の体積流が発生可能となるように構成された伝動ユニット(4,40)を備えることを特徴とする、スタビライザアセンブリ。
【請求項2】
前記作業室(6,7,60,70)の前記流体案内接続部は、周波数感知性の弁を備え、前記弁により、前記流体案内接続部(8,80)の通路断面が、前記スタビライザアセンブリの振動周波数に応じて変更可能であり、前記スタビライザアセンブリは、可変のばね特性で動作可能である、請求項1記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項3】
前記流体案内接続部(8,80)の通路断面積を変更する作動要素(9)が、開いているか、閉じているか、または部分的に閉じるようになっており、それによって、前記スタビライザアセンブリは、1つ以上の更なるばね特性で動作可能である、請求項1または2記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項4】
前記作動要素(9)は、非通電状態で閉じている、請求項3記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項5】
前記ばね要素(3,30)は、前記スタビライザ半体(1,2)の少なくとも一方に連結されたトーションばね(30)であり、両方のスタビライザ半体(1,2)は、ロッド要素(10)によって互いに結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項6】
前記ばね要素(3,30)は、前記2つのスタビライザ半体(1,2)を連結するトーションバーばね(3)である、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタビライザアセンブリ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の、ダブルトラック式の車両のスタビライザアセンブリを動作させるための方法であって、
- 前記車両のローリング運動を検出するステップと、
第1のダンパー基準値を検出するステップと、次いで、
前記液圧式のアクチュエータによって前記ローリング運動が減衰されるように、前記ダンパー基準値に応じて、前記2つの作業室(6,7,60,70)の前記流体案内接続部(8,80)を形成するステップと、
で進行する、方法。
【請求項8】
液圧的減衰作用を、前記流体案内接続部(8)の、請求項2記載の周波数感知性の弁によって、前記スタビライザ半体(1,2)の振動周波数に応じて行い、前記スタビライザアセンブリを前記可変のばね特性で動作させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記液圧式のアクチュエータが、第2のダンパー基準値を検出すると作動しなくなることで、前記作業室(6,7,60,70)の間の前記流体案内接続部(8)を遮断し、前記ローリング運動を前記ばね要素(3,30)によって減衰する、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記ダンパー基準値を運転モードおよび/または更なる境界条件に応じて調整する、請求項
7から9までのいずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】