IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レゾナント インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】分割ラダー弾性波フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/64 20060101AFI20220623BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20220623BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20220623BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20220623BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20220623BHJP
   H03H 9/70 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/25 Z
H03H9/72
H03H9/17 F
H03H9/54
H03H9/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572446
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020038233
(87)【国際公開番号】W WO2020263659
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/865,798
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/727,304
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326649
【氏名又は名称】レゾナント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RESONANT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】マクヒュー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ-シップトン グレゴリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ギャレット
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097AA01
5J097AA21
5J097AA24
5J097AA29
5J097BB02
5J097BB11
5J097EE08
5J097FF01
5J097FF04
5J097GG02
5J097GG03
5J097GG04
5J097HA03
5J097JJ09
5J097KK04
5J097KK09
5J108AA07
5J108BB01
5J108BB08
(57)【要約】
本発明は、フィルタ装置およびフィルタ装置の製造方法に関する。フィルタ装置は、第一のチップ及び第二のチップを含む。第一のチップは、第一の材料積層を有し、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む。第二のチップは、第二の材料積層を有し、ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む。第一の材料積層と第二の材料積層とは異なる。第一のチップ及び第二のチップは、1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは異なる、フィルタ装置。
【請求項2】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記第一のチップ及び前記第二のチップは、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記第一の材料積層は第一の圧電要素を含み、
前記第二の材料積層は、第二の圧電要素を含み、
前記第一の圧電要素と前記第二の圧電要素とは、材料、厚さ、及び前記材料の結晶軸の配向のうちの少なくとも1つが異なる、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、非接合SAW(表面弾性波)共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
圧電プレートの材料と、
前記圧電プレートの厚さと、
前記圧電プレートの結晶軸の配向と、
前記圧電プレートの上に形成された導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成された誘電体層の材料と、
前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の誘電体層の材料と、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の前記誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、浮動ダイヤフラム共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の誘電体層の材料と、
前記ベースと前記圧電との間の前記誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の材料と、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、ソリッドマウントダイヤフラム共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間に配置される音響ブラッグ反射器内の層の数と、各層の材料及び厚さと、
前記ベースと前記圧電との間の誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、フィルムバルク音響共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電要素との間に配置された下側導体パターンの材料と、
前記下側導体パターンの厚さと、
前記圧電要素の材料と、
前記圧電要素の厚さと、
前記圧電要素の結晶軸の配向と、
前記圧電要素の上に形成された上側導体パターンの材料と、
前記上側導体パターンの厚さと、
前記上側導体パターンの上に形成された誘電体層の材料と、
前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、ソリッドマウントフィルムバルク音響共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと下側導体パターンとの間に配置された音響ブラッグ反射器の層の数、各層の材料及び厚さと、
前記音響ブラッグ反射器と圧電要素との間に配置された前記下側導体パターンの材料と、
前記下側導体パターンの厚さと、
前記圧電要素の材料と、
前記圧電要素の厚さと、
前記圧電要素の結晶軸の配向と、
前記圧電要素の上に形成された上側導体パターンの材料と、
前記上側導体パターンの厚さと、
前記上側導体パターンの上に形成された誘電体層の材料と、
前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記第一の材料積層は、46度Yカットタンタル酸リチウム圧電ウェーハを含み、
前記第二の材料積層は、42度Yカットタンタル酸リチウム圧電ウェーハを含む、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記1つ以上の直列共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記1つ以上のシャント共振器は、非接合SAW共振器である、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
送信ラダーフィルタ回路及び受信ラダーフィルタ回路を含むデュプレクサであって、
第一の材料積層を有する第一のチップであって、前記送信ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記受信ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備え、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは異なる、デュプレクサ。
【請求項14】
前記第一のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路と前記受信ラダーフィルタ回路の両方の直列共振器を含み、
前記第二のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路と前記受信ラダーフィルタ回路の両方のシャント共振器を含む、
請求項13に記載のデュプレクサ。
【請求項15】
前記第一のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路及び前記受信ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路及び前記受信ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項14に記載のデュプレクサ。
【請求項16】
前記第一のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路の直列共振器を含み、
前記第二のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路のシャント共振器及び前記受信ラダーフィルタ回路の全ての共振器を含む、
請求項13に記載のデュプレクサ。
【請求項17】
前記送信ラダーフィルタ回路の前記直列共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記送信ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器及び前記受信フィルタ回路の全ての共振器は、非接合SAW共振器である、請求項16に記載のデュプレクサ。
【請求項18】
フィルタ装置の製造方法であって、
第一の材料積層を有する第一のチップを製造するステップであって、前記第一のチップがラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、ステップと、
第二の材料積層を有する第二のチップを製造するステップであって、前記第二のチップがラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、ステップと、
を含み、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは異なる、フィルタ装置の製造方法。
【請求項19】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項18に記載のフィルタ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第一のチップ及び前記第二のチップを、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けるステップ
をさらに含む、請求項18に記載のフィルタ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第一の材料積層は第一の圧電要素を含み、
前記第二の材料積層は、第二の圧電要素を含み、
前記第一の圧電要素と前記第二の圧電要素とは、材料、厚さ、及び前記材料の結晶軸の配向のうちの少なくとも1つが異なる、請求項18に記載のフィルタ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波共振器を使用する無線周波数フィルタに関し、具体的には、通信機器に使用するためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)フィルタは、いくつかの周波数を通過させ、他の周波数を停止させるように構成された2ポートデバイスであり、「通過」は、比較的低い挿入損失で送信することを意味し、「停止」は、ブロックするか、又は実質的に減衰することを意味する。フィルタを通過する周波数の範囲は、フィルタの「通過帯域」と呼ばれる。このようなフィルタを通過しない周波数の範囲は、フィルタの「阻止帯域」と呼ばれる。典型的なRFフィルタは、少なくとも1つの通過帯域及び少なくとも1つの阻止帯域を有する。通過帯域又は阻止帯域に対する特定の要件は、特定の用途に依存する。例えば、「通過帯域」は、フィルタの挿入損失が1dB、2dB、又は3dBのような定義された値よりも小さい周波数範囲として定義することができる。「阻止帯域」は、フィルタの挿入損失が、用途に応じて、20dB、30dB、40dB、又はそれ以上などの定義された値よりも大きい周波数範囲として定義することができる。
【0003】
RFフィルタは、情報が無線リンクを介して送信される通信システムにおいて使用される。例えば、RFフィルタは、基地局、移動電話及び計算装置、衛星トランシーバ及び地上局、IoT(Internet of Things)デバイス、ラップトップコンピュータ及びタブレット、固定小数点無線リンク、並びに他の通信システムのRFフロントエンドに見出すことができる。RFフィルタは、レーダや電子情報戦システムにも使用されている。
【0004】
RFフィルタは、通常、特定の用途ごとに、挿入損失、除去、分離、パワー処理、直線性、サイズ及びコストなどの性能パラメータ間の最善の妥協を達成するために、多くの設計上のトレードオフを必要とする。特定の設計及び製造方法と機能強化は、これらの要件の1つ又は複数に同時にメリットをもたらすことができる。
【0005】
無線システムにおけるRFフィルタの性能が向上すれば、システム性能に広い影響を及ぼし得る。RFフィルタの改善を活用して、セルサイズの拡大、バッテリ寿命の延長、データレートの向上、ネットワーク容量の拡大、コストの削減、セキュリティの強化、信頼性の向上などのシステム性能の改善を提供することができる。これらの改善は、例えば、RFモジュール、RFトランシーバ、モバイル又は固定サブシステム、又はネットワークレベルにおいて、個別でも、組み合わせても、無線システムの多くのレベルで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】弾性波共振器を組み込んだ例示的なRFラダーフィルタ回路の模式図である。
図1B】弾性波共振器を組み込んだRFラダーフィルタ回路の代替的な実装の模式図である。
図2A】第一の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図2B】第二の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図3A】第三の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図3B】第四の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図4A】第五の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図4B】第六の弾性波共振器の簡略化された概略断面図である。
図5】従来のラダーフィルタの簡略化された概略平面図である。
図6】バンドパスフィルタの分割ラダー実装(split ladder implementation)の簡略化された概略平面図である。
図7図6の例示的なバンドパスフィルタの分割ラダー実装の簡略化された概略断面図である。
図8】例示的なバンドパスフィルタの2つの実装のS12を比較するチャートである。
図9】例示的なバンドパスフィルタの分割ラダー実装のS12のチャートである。
図10A】2チップデュプレクサの簡略化された概略平面図である。
図10B】デュプレクサの分割ラダー実装の簡略化された概略平面図である。
図11】デュプレクサの別の分割ラダー実装の簡略化された概略平面図である。
図12】分割ラダーフィルタ装置を製造する方法のフローチャートである。
【0007】
この説明を通して、図面に表される要素には、3桁の参照符号が割り当てられる。その下2桁は要素に固有であり、その上1桁又は上2桁は、要素が最初に導入される図面番号である。図面に関連して説明されていない要素は、同じ参照符号を有する前述の要素と同じ特性及び機能を有すると推定されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、通常「ラダー」構成と呼ばれる構成で配置されているX1~X6とラベル付けされた、6つの弾性波共振器を組み込んだ例示的なRFフィルタ回路100の簡略化された概略回路図を示す。この構成のラダーフィルタは、通信装置のバンドパスフィルタに一般的に使用されている。フィルタ回路100は、例えば、通信装置に組み込むための送信フィルタ又は受信フィルタとすることができる。フィルタ回路100は、2ポートネットワークであり、各ポートの1つの端末は、典型的には、信号グランドに接続される。フィルタ回路100は、第一のポート(ポート1)と第二のポート(ポート2)との間に直列に接続された3つの直列共振器(X1、X3、及びX5)を含む。いずれかのポートがフィルタへの入力となり、もう一方のポートが出力となり得る。フィルタ回路100は、3つのシャント共振器(X2、X4、及びX6)を含む。各シャント共振器は、接地と、隣接する直列共振器の接合部又は入力ポート若しくは出力ポートのいずれかとの間に接続される。図1Aの模式図は、簡略化されており、共振器を相互接続する導体に固有のインダクタンスのような受動部品は図示されていない。6つの弾性波共振器の使用(3つの直列共振器及び3つのシャント共振器)の使用は、例示的なものである。バンドパスフィルタ回路は、6つ超又は未満の共振器(3つ超又は未満の直列共振器及び3つ超又は未満のシャント共振器)を含むことができる。
【0009】
図1Bは、代替的なRFフィルタ回路150の簡略化された概略回路図を示す。フィルタ回路150は、2ポートネットワークであり、各ポートにおける信号は平衡化され、すなわち、各ポートの2つの端末における信号は、名目上、振幅が等しく、位相が180度離れている。この特許の目的のために、RFフィルタ回路150は、ラダーフィルタとみなされる。共振器X1a、X1b、X3a、X3b、X5a、及びX5bは直列共振器と考えられ、共振器X2、X4、及びX6はシャント共振器と考えられる。ラダーフィルタ回路150は、一般的には使用されず、この特許における後続の例の全ては、図1Aのラダーフィルタ構成を想定している。
【0010】
各弾性波共振器X1~X6は、バルク弾性波(BAW)共振器、フィルムバルク弾性波(FBAW)共振器、表面弾性波(SAW)共振器、温度補償表面弾性波(TC-SAW)共振器、接合ウェーハ音響共振器、米国特許出願第16/230,443号に記載の横方向励起フィルムバルク音響共振器(XBAR)、米国特許出願第16/438,141号に記載のソリッドマウント横方向励起フィルムバルク音響共振器(solidly-mounted transversely-excited film bulk acoustic resonator)(SM-XBAR)、又は何らかの他のタイプの弾性波共振器であってもよい。弾性波共振器の電流フィルタでは、典型的には、同じタイプの共振器である。
【0011】
各弾性波共振器は、共振周波数では非常に高いアドミタンスを示し、共振周波数よりも高い反共振周波数では非常に低いアドミタンスを示す。簡単に言えば、各共振器は、その共振周波数ではほぼ短絡であり、反共振周波数では開回路である。これにより、バンドパスフィルタ回路100,150のポート1とポート2との間の伝送は、シャント共振器の共振周波数及び直列共振器の反共振周波数において非常に低い。典型的なラダー帯域通過フィルタでは、シャント共振器の共振周波数は、通過帯域以下の周波数で阻止帯域を作り出すためにフィルタ通過帯域の下端よりも小さい。シャント共振器の反共振周波数は、典型的には、フィルタの通過帯域内に入る。逆に、直列共振器の反共振周波数は、通過帯域の上端よりも大きく、通過帯域以上の周波数で阻止帯域を作り出す。直列共振器の共振周波数は、典型的には、フィルタの通過帯域内に入る。いくつかの設計では、1つ以上のシャント共振器は、通過帯域の上端よりも高い共振周波数を有することができる。
【0012】
弾性波共振器を含むバンドパスフィルタ回路100及び150のようなフィルタ装置は、従来、基板上に堆積された材料、基板に接合された材料、又は基板上に形成された材料の複数の層を用いて実現される。基板及び材料層のシーケンスは、通常、弾性波共振器及びフィルタ装置を形成するために使用される「積層」と呼ばれる。この特許では、「材料積層」という用語は、基板上に形成された物質層の規則正しいシーケンスを意味し、基板は材料積層の一部と見なされる。用語「要素」は、基板又は材料積層内の層のうちの1つを意味する。材料積層内の少なくとも1つの要素(すなわち、基板又は層のいずれか)は、石英、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ケイ酸ランタンガリウム、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウムなどの圧電材料である。圧電材料が単結晶の場合、X、Y、及びZの結晶軸の配向は既知であり、一貫している。1つ以上の導体層及び/又は誘電体層などの材料積層内の1つ以上の層は、材料積層の全ての要素が弾性波装置上の全ての点に存在するわけではないように、フォトリソグラフィ法を使用してパターン化することができる。
【0013】
図2Aは、第一の例示的な弾性波共振器200の概略断面図である。第一の弾性波共振器200は、本明細書では、(図2Bとともに説明される「接合ウェーハ共振器」とは対照的に)、「非接合SAW共振器」と称される。「非接合SAW共振器」は、より厚いベース又は基板に接合されない圧電プレート205上に形成される導体パターン210によって特徴付けられる。この用語は、温度補償型及び非温度補償型SAW共振器の両方を包含する。導体パターン210は、単結晶圧電材料のプレート205の表面上に形成されたインターデジタルトランスデューサ(IDT)を含む。寸法pは、IDTのフィンガのピッチ、すなわち、導体間の間隔である。寸法λ=2pは、圧電プレート205の表面を横切って伝播する音波の波長である。複数の非接合SAW共振器200を組み合わせてフィルタ装置を形成する場合、様々な共振器の共振周波数は、各共振器のピッチを選択することによって設定される。寸法hは、導体パターンの厚さである。厚さtd1を有する誘電体層215は、導体パターンの導体の上に堆積されても、導体の間に堆積されてもよい。誘電体層215は、例えば、電極パターン及び圧電プレート205の表面をシールして保護するための薄いパッシベーション層であってもよい。TC-SAW共振器において、誘電体層215は、共振器の周波数の温度係数を低減するために使用される、例えばSiO2の比較的厚い層であってもよい。
【0014】
第一の例示的な弾性波共振器200のような非接合SAW共振器用の材料積層は、圧電プレート205、導体パターン210、及び誘電体層215を含む。圧電プレート205は、圧電材料の材料タイプ、厚さ、及び結晶軸の配向によって規定される。導体パターン210は、厚さh及び材料によって規定され、材料は、例えば、アルミニウム、銅、金、モリブデン、タングステン、これらの合金及び組み合わせであってもよい。誘電体層215は、厚さtd1と、例えば、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素とすることができる材料とによって規定される。複数の非接合SAW共振器200がフィルタ装置に組み込まれる場合、材料積層は、図2Aには示されていない追加の層を含むことができる。例えば、フィルタ装置は、一般に、共振器を相互接続する導体の導電率を高くするために第二の金属層を含み、外部回路カードとフィルタとを相互接続してバンプを形成するために、追加の誘電体層及び/又は厚い金若しくは半田の第三の金属層を含むことができる。
【0015】
図2Bは、第二の例示的な弾性波共振器220の概略断面図である。第二の弾性波共振器220は、本明細書では「接合ウェーハ共振器」と称される。「接合ウェーハ共振器」は、非圧電ベース230に接合された単結晶圧電材料の薄いウェーハ又はプレート225によって特徴付けられる。単結晶圧電材料の薄いウェーハ又はプレート225は、非圧電ベース230に直接的に接合されても、あるいは1つ以上の中間誘電体層240によって間接的に接合されてもよい。第二の弾性波共振器220は、例えば、接合ウェーハSAW共振器、IHP(Incredibly High Performance)SAW共振器、又は板波共振器であってもよい。第二の弾性波共振器220は、単結晶圧電材料の薄いウェーハ225の表面に形成されたIDTを含む導体パターン235を含む。導体パターンの厚さは、寸法hである(図2A参照)。寸法tpは、圧電材料のウェーハ225の厚さである。寸法pは、IDTのフィンガのピッチ、すなわち、導体間の間隔である。寸法λ=2pは、圧電ウェーハ225の表面を横切って、又はその内部を伝搬する音波の波長である。複数の接合ウェーハ共振器220を組み合わせてフィルタ装置を形成する場合、様々な共振器の共振周波数は、各共振器のIDTピッチを選択することによって設定される。厚さtd1(図2A参照)の誘電体層245は、前述のように、導体パターンの導体の上に堆積されても、導体の間に堆積されてもよい。厚さtd2を有する第二の誘電体層240をウェーハ225とベース230との間に配置することができる。場合によっては、2つの誘電体層をウェーハ225とベース230との間に配置することができる。
【0016】
第二の例示的な弾性波共振器220のような接合ウェーハ共振器のための材料積層は、ベース230、1つ又は複数の下位誘電体層(underlying dielectric layer)240(存在する場合)、圧電ウェーハ225、導体パターン235、及び誘電体層245を含む。ベース230は、材料及び厚さによって規定される。下位誘電体層240は、各層の材料タイプ及び厚さtd2によって規定される。圧電ウェーハ225は、圧電材料の材料タイプ、厚さtp、及び結晶軸の配向によって規定される。導体パターン235は、厚さh(図2A参照)及び材料によって規定される。誘電体層245は、厚さtd1及び材料によって規定される。複数の接合ウェーハ共振器220をフィルタに組み込む場合、材料積層は、前述したように、追加の層を含むことができる。
【0017】
図3Aは、第三の例示的な弾性波共振器300の概略断面図である。第三の弾性波共振器300は、本明細書では、「浮動ダイヤフラム共振器」と称される。浮動ダイヤフラム共振器は、非圧電ベース315内に形成された空洞330の上に浮動する単結晶圧電材料の薄いダイヤフラム335によって特徴付けられる。第三の弾性波共振器300は、例えば、米国特許出願第16/230,443号に記載されているXBAR共振器、又は何らかの他のタイプの音響共振器であってもよい。第三の弾性波共振器300は、単結晶圧電材料の薄いウェーハ310の表面に形成されたIDTを含む導体パターン305を含み、この単結晶圧電材料は、非圧電ベース315に取り付けられるか、又は接合される。第三の弾性波共振器が板波共振器の場合、導体パターンはブラッグ反射器(図3Aには図示せず)を含んでもよい。1つ又は複数の誘電体層320が、ウェーハ310とベース315との間に存在してもよい。空洞330は、ベース315および誘電体層320内に形成され、空洞が存在する場合、その結果、ウェーハ310の一部分が、空洞330にまたがるダイヤフラム335を形成する。IDTのフィンガは、ダイヤフラム335上に配置される。誘電体層325は、導体パターン305のフィンガの上に堆積されても、フィンガの間に堆積されてもよい。
【0018】
第三の例示的な弾性波共振器300のような浮動ダイヤフラム共振器のための材料積層は、ベース315、1つ又は複数の下位誘電体層320(存在する場合)、圧電ウェーハ310、導体パターン305、及び誘電体層325を含む。ベース315は、材料及び厚さによって規定される。下位誘電体層320は、各層の材料タイプ及び厚さtd2によって規定される。圧電ウェーハ310は、圧電材料の材料タイプ、厚さtp、及び結晶軸の配向によって規定される。導体パターン305は、その厚さ及び材料によって規定される。誘電体層325は、厚さtd1及び材料によって規定される。複数の弾性波共振器300をフィルタに組み込む場合、材料積層は、前述のように、追加の層を含んでもよい。
【0019】
図3Bは、第四の例示的な弾性波共振器350の概略断面図である。第四の弾性波共振器350は、本明細書では、「ソリッドマウント膜共振器」と称される。ソリッドマウント膜共振器は、非圧電ベース365によって支持された単結晶圧電材料の薄膜360の表面上に形成されたIDTを含む導体パターン355によって特徴付けられ、音響ブラッグ反射器370は、膜360とベース365との間にサンドイッチされる。音響ブラッグ反射器370は、高い音響インピーダンスを有する第一の材料と低い音響インピーダンスを有する第二の材料との間で交互に並ぶ複数の層を含む。音響ブラッグ反射器370は、膜360とともに生成される音波を反射し、閉じ込めるように構成される。誘電体層375は、導体パターン355のフィンガの上に堆積されても、フィンガの間に堆積されてもよい。
【0020】
ソリッドマウント膜共振器350のための材料積層は、ベース365、音響ブラッグ反射器370、圧電膜360、導体パターン355、及び誘電体層375を含む。ベース365は、材料及び厚さによって規定される。音響ブラッグ反射器370は、第一及び第二の材料タイプ、層の数、及び各層の厚さによって規定される。圧電膜360は、材料タイプ、厚さtp、及び圧電材料の結晶軸の配向によって規定される。導体パターン355は、その厚さ及び材料によって規定される。誘電体層375は、厚さtd1及び材料によって規定される。複数のソリッドマウント膜共振器をフィルタ装置に組み込む場合、材料積層は、前述のように、追加の層を含むことができる。
【0021】
図4Aは、第五の例示的な弾性波共振器400の概略断面図である。第五の弾性波共振器400は、フィルムバルク音響共振器(FBAR)である。第五の弾性波共振器400は、上側導体(upper conductor)420と下側導体(lower conductor)415との間にそれぞれサンドイッチされた単結晶圧電材料の薄いウェーハ又はフィルム405を含む。このサンドイッチは、非圧電ベース410によって支持されている。空洞425は、サンドイッチ415/405/420の一部分が空洞425にまたがるダイヤフラムを形成するように、ベース410に形成される。
【0022】
FBAR400用の材料積層は、ベース410、下側導体層415、圧電ウェーハ又はフィルム405、及び上側導体層420を含む。ベース410は、材料及び厚さによって規定される。下側導体層415は、材料タイプ及び厚さによって規定される。圧電ウェーハ又は圧電フィルム405は、圧電材料の材料タイプ、厚さ、及び結晶軸の配向によって規定される。上側導体層420は、その厚さ及び材料によって規定される。複数のFBAR400をフィルタに組み込む場合、材料積層は、前述のように、追加の層を含むことができる。
【0023】
図4Bは、第六の例示的な弾性波共振器450の概略断面図である。第六の弾性波共振器は、本明細書では、「ソリッドマウントフィルムバルク音響共振器」(SM-FBAR)と称される。第六の弾性波共振器450は、それぞれ、上側導体470と下側導体465との間にサンドイッチされた単結晶圧電材料の薄いウェーハ又はフィルム455を含む。このサンドイッチは、非圧電ベース460によって支持される。音響ブラッグ反射器475は、サンドイッチ470/455/465とベース460との間にサンドイッチされる。音響ブラッグ反射器475は、高い音響インピーダンスを有する第一の材料と低い音響インピーダンスを有する第二の材料との間で交互に並ぶ複数の層を含む。音響ブラッグ反射器475は、サンドイッチ470/455/465で生成される音波を反射し、閉じ込めるように構成される。
【0024】
SM-FBAR450用の材料積層は、ベース460、音響ブラッグ反射器475、下側導体層465、圧電ウェーハ又はフィルム455、及び上側導体層470を含む。ベース460は、材料及び厚さによって規定される。音響ブラッグ反射器475は、第一及び第二の材料タイプ、層の数、及び各層の厚さによって規定される。下側導体層465は、材料タイプ及び厚さによって規定される。圧電ウェーハ又はフィルム455は、圧電材料の材料タイプ、厚さ、及び結晶軸の配向によって規定される。上側導体層470は、その厚さ及び材料によって規定される。複数のSM-FBAR450をフィルタに組み込む場合、材料積層は、前述のように、追加の層を含むことができる。
【0025】
図2A図4Bに示す音響共振器は、音響共振器のタイプの全てを包含するリストではない。他の材料積層を有する他のタイプの音響共振器がフィルタに使用されてもよい。さらに、図2A図4Bの断面図は、必ずしも、それぞれの材料積層内の全ての層を示すわけではない。例えば、他の層間の接着を促進するため、他の層間の化学的相互作用を防止するため、又は他の層を不動態化して保護するために、追加の層が存在してもよい。
【0026】
図5は、バンドパスフィルタ500の従来の実装の例示的な概略平面図であり、図のバンドパスフィルタ回路100と同様の模式図を有する。フィルタ500では、6つの弾性波共振器X1~X6が全て共通のチップ510上に形成されている。弾性波共振器X1~X6の全ては、非接合SAW共振器、接合ウェーハ共振器、浮動ダイヤフラム共振器、ソリッドマウント膜共振器、FBAR、SM-FBAR、又は何らかの他のタイプの弾性波共振器であってもよい。弾性波共振器X1~X6は全て、典型的には、同じタイプの共振器である。図の準備を容易にするために、共振器X1~X6は全て、図5において同じサイズである。これは、実際のフィルタの場合には、ほとんど確実に当てはまらない。
【0027】
弾性波共振器X1~X6は、基板510上に形成された導体530などの導体によって相互接続される。フィルタ500は、パッド520などのパッドによって、フィルタの外部のシステムに電気的に接続される。各パッドは、例えば、回路基板(図示せず)と接続するために、半田又は金バンプであってもよいし、あるいはそれとインターフェイスしてもよい。パッド及びバンプは、電気的接続を確立することに加え、典型的には、フィルタ500から熱を除去する主要な手段である。
【0028】
複数の弾性波共振器を同じチップ上に形成する場合、製造プロセス及び材料積層は、複数の共振器の全てに対して本質的に同じである。特に、材料積層内の圧電要素(すなわち、圧電材料のプレート、ウェーハ、又はフィルム)は、全ての共振器について同じである。しかしながら、シャント共振器及び直列共振器に対する要件は、以下の表に要約されるように、典型的には異なる。
【表1】
【0029】
フィルタ内の全ての共振器に対して最適である材料積層か、又は十分でさえある材料積層を選択することは不可能なことがある。
【0030】
図6は、分割ラダーフィルタ600の例示的な概略平面図であり、これは、図1Aのラダーフィルタ回路100と同じ概略図を有する。図5に示す従来のフィルタ500とは対照的に、分割ラダーフィルタ600の直列共振器X1、X3、X5は、第一のチップ610上に製造され、分割ラダーフィルタ600のシャント共振器X2、X4、X6は、第二のチップ640上に製造される。各チップ610、640内で、弾性波共振器は、それぞれのチップ上に形成された導体630などの導体によって相互接続される。チップ610、640は、パッド620などのパッドによって、互いに、またフィルタの外部のシステムに電気的に接続される。各パッドは、例えば、回路カード(図示せず)と接続するために、半田又は金バンプであってもよいし、あるいはそれとインターフェイスしてもよい。
【0031】
第一のチップ610上の直列共振器と第二のチップ640上のシャント共振器との間の電気的接続650は、太い破線として示される。接続650は、例えば、第一のチップ及び第二のチップが取り付けられる回路カード上の導体から作られる。この文脈において、「回路カード」という用語は、第一及び第二のチップを互いに接続し、バンドパスフィルタ600の外部のシステムに接続するための導体を含む本質的に平面の構造を意味する。回路カードは、例えば、単層又は多層プリント配線板、低温同時焼成セラミック(LTCC)カード、又は何らかの他のタイプの回路カードとすることができる。回路カード上のトレースの抵抗は非常に低いため、トレース内での損失は無視することができる。直列共振器とシャント共振器との間の電気的接続650のインダクタンスは、弾性波共振器の設計において補償することができる。場合によっては、電気的接続650のインダクタンスを利用して、フィルタの性能を向上させることができ、例えば、1つ以上のシャント共振器の共振周波数を下げて、フィルタ帯域幅を広げることができる。
【0032】
例示的な分割ラダーフィルタ600では、直列共振器の全てが第一のチップ上にあり、シャント共振器の全てが第二のチップ上にある。しかしながら、実際には、そうとは限らない。いくつかのフィルタでは、第一のチップは、直列共振器の全てより少ない個数しか含まないことがあり、及び/又は第二のチップは、シャント共振器の全てよりも少ない個数しか含まないことがある。
【0033】
図7は、分割ラダーフィルタ700の概略断面図であり、これは、分割ラダーフィルタ600であってもよい。分割ラダーフィルタ700は、第一のチップ710及び第二のチップ740を含み、両チップは、回路カード770に取り付けられ、それによって相互接続される。この例では、第一のチップ710及び第二のチップ740は、回路カード770に「フリップチップ」実装されている。第一のチップ710及び第二のチップ740と回路カード770との間の電気的接続は、半田又はバンプ720などの金バンプによって行われる。第一のチップ710と第二のチップ740との間の電気的接続は、回路カード770上又はその内部の導体、例えば、導体750によって形成される。第一のチップ710及び第二のチップ740は、他の何らかの方法で、回路カード770上に実装及び/又は接続されてもよい。
【0034】
分割ラダーフィルタ600及び700のような分割ラダーフィルタの利点は、直列共振器及びシャント共振器に対して異なる材料積層を使用できることである。第一の材料積層は、直列共振器の一部又は全部を含む第一のチップに使用されてもよく、第二の材料積層は、シャント共振器の一部又は全部を含む第二のチップに使用されてもよい。第一の材料積層と第二の材料積層は、異なっていてもよい。これによって、直列共振器及びシャント共振器のための第一及び第二の材料積層の別々の最適化が可能になる。
【0035】
2つの材料積層は、それらが積層内の少なくとも1つの要素の少なくとも1つの態様において異なる場合、異なると考えられる。材料積層間の差は、例えば、要素のシーケンス、あるいはスタック内の少なくとも1つの要素についての異なる材料タイプ、厚さ、又は他のパラメータとすることができる。一般に、第一の材料積層は、第一の圧電要素を含み、第二の材料積層は、第二の圧電要素を含む。第二の圧電要素を含み、第二の圧電要素は、材料、厚さ、及び材料の結晶軸の配向のうちの少なくとも1つが第一の圧電要素とは異なる。
【0036】
分割ラダーフィルタ600/700が、図2Aに示すように、非接合SAW共振器を組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、圧電プレート205の材料タイプ、厚さ、及び結晶軸の配向、導体パターン210の材料及び/又は厚さh、並びに誘電体層215の厚さtd1及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0037】
分割ラダーフィルタ600/700が、図2Bに示すように、接合ウェーハ共振器を組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、ベース230の材料及び厚さ、下位誘電体層240の数(存在する場合)、各層の材料及び厚さtd2、圧電ウェーハ225の材料タイプ、厚さtp及び結晶軸の配向、導体パターン235の厚さh及び材料、並びに誘電体層245の厚さtd1及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0038】
分割ラダーフィルタ600/700が、図3Aに示すように、浮動ダイヤフラム共振器を組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、ベース315の材料及び厚さ、下位誘電体層320の数(存在する場合)、各層の材料及び厚さtd2、圧電ウェーハ310の材料タイプ、厚さtp及び結晶軸の配向、導体パターン305の厚さh及び材料、並びに誘電体層325の厚さtd1及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0039】
分割ラダーフィルタ600/700が、図3Bに示すように、ソリッドマウント膜共振器を組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、ベース365の材料及び厚さ、音響ブラッグ反射器370内の層の数、各層の材料及び厚さ、圧電ウェーハ360の材料タイプ、厚さtp、及び結晶軸の配向、導体パターン365の厚さh及び材料、並びに誘電体層375の厚さtd1及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0040】
分割ラダーフィルタ600/700が図4Aに示すように、FBARを組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、ベース410の材料及び厚さ、下側導体415の材料及び厚さ、圧電ウェーハ405の材料タイプ、厚さtp及び結晶軸の配向、並びに上側導体420の厚さ及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0041】
分割ラダーフィルタ600/700が図4Bに示すようにSM-FBARを組み込む場合、第一の材料積層と第二の材料積層とは、以下の特性、すなわち、ベース460の材料及び厚さ、音響ブラッグ反射器475内の層の数、各層の材料及び厚さ、下側導体465の材料及び厚さ、圧電ウェーハ455の材料タイプ、厚さtp及び結晶軸の配向、並びに上側導体470の厚さ及び材料のうちの1つ以上が異なっていてもよい。
【0042】
分割ラダーフィルタの第一の材料積層と第二の材料積層との間の差異は、必ずしも前の6つの段落で識別されるわけではない。第一の材料積層と第二の材料積層とは、本明細書で識別されるパラメータに加えて、又はその代わりに、1つ以上のパラメータが異なっていてもよい。共振器の種類は、図2A図4Bに示される種類に限定されない。また、直列共振器とシャント共振器とは、同じ種類の共振器である必要はない。
【実施例
【0043】
(実施例1)
携帯装置に使用するためのフィルタで望まれている特性は、広範囲の温度にわたるフィルタ通過帯域の安定性である。少なくとも部分的にその目的を達成する技術は、熱膨張係数が低く、熱伝導率が高いシリコン基板のようなベースに接合された圧電材料の薄いウェーハを用いて、接合ウェーハ共振器でフィルタを製造することである。接合ウェーハSAWフィルタは、非接合SAW共振器を使用するフィルタと比べると、所与の電力入力に対して温度上昇が低く、通過帯域周波数の温度に対する感度が低くなる。
【0044】
接合ウェーハのSAW共振器の欠点は、圧電材料内に、あるいはシリコンウェーハ又は他のベースの中へと、伝搬することができるスプリアス音響モードが存在することである。接合ウェーハ共振器を用いた帯域フィルタの設計の鍵となる要素は、スプリアスモードがフィルタ通過帯域から離れた周波数で生じることを保証することである。接合ウェーハSAW共振器のための断面構造及び材料積層は、図2Bの共振器250に類似している。
【0045】
図8は、シリコンベースに接合されたタンタル酸リチウム(LT)ウェーハを使用して製造された2つの接合ウェーハSAWフィルタに対するS12の大きさのグラフ800である。S12は、フィルタの第一のポートと第二のポートとの間の伝送である。一点鎖線810は、42度YカットLTウェーハ上に製造されたフィルタに対するS12のプロットである。破線820は、46度YカットLTウェーハ上に製造されたフィルタに対するS12のプロットである。太線830は、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)バンド2送信フィルタに対する要件(1850MHz~1910MHzの伝送帯域にわたって2dB未満の挿入損失)を規定する。
【0046】
フィルタが42度LT(一点鎖線810)上に製造されるとき、スプリアスモードは、フィルタ内の直列共振器の反共振周波数の周囲の周波数で発生する。これらのスプリアスモードによって、1902MHz~1915MHzの間で、フィルタ通過帯域の上端付近のS12が減少する(それに対応して挿入損失が増加する)。フィルタが46度LT(破線820)上に製造される場合、スプリアスモードは、シャント共振器の共振周波数の周囲の周波数で発生する。これらのスプリアスモードによって、1845MHz~1855MHzの間で、S12が減少する(それに対応して挿入損失が増加する)。これらのフィルタはいずれも、LTEバンド2の伝送帯域にわたって2dB未満の挿入損失という要件を満たしていない。
【0047】
図9は、2つのチップ上に製造された分割ラダーLTEバンド2送信フィルタに対するS12の大きさ(曲線910)のグラフ900で、それぞれがシリコンベースに接合されたタンタル酸リチウム(LT)ウェーハを有する。第一のチップは、46度LT上に製造された直列共振器を含む。第二のチップは、42度LT上に製造されたシャント共振器を含む。第一のチップと第二のチップとのための材料積層は、少なくともそれぞれのLTウェーハの結晶軸の配向によって異なり、また他の方法で異なる場合がある。
【0048】
直列共振器に46度LTを使用することにより、曲線810で明瞭であったスプリアスモードによる通過帯域の上端での損失が回避される。シャント共振器に42度LTを使用することにより、曲線820で明瞭であったスプリアスモードによる通過帯域の下端での損失が回避される。図9に示すように、分割ラダーフィルタは、図8に示す従来型(すなわち単一チップ型)ラダーフィルタのいずれかの性能とは対照的に、LTEバンド2送信フィルタ挿入損失要件(太線930)を満たす。
【0049】
(実施例2)
ほとんどの弾性波共振器では、温度を上げると、共振周波数と反共振周波数との両方が低い周波数にシフトする。シャント共振器の共振周波数を下げると、フィルタ通過帯域の下端と実際の周波数帯域の下端との間のマージンが増加する。したがって、シャント共振器に対する温度の影響は小さいことがある。逆に、直列共振器の反共振周波数を下げると、フィルタ通過帯域の上端と実際の周波数帯域の上端との間のマージンが減少する。この効果は、直列共振器における電力散逸の増大を伴うことがある。このように、接合ウェーハ共振器のメリット(周波数の温度係数が低く、熱伝導率が高く温度上昇を抑えられる)は、シャント共振器よりも直列共振器の方が大きい。接合ウェーハ直列共振器を有する第一のチップと、非接合SAWシャント共振器を有する第二のチップとを含む分割ラダーフィルタは、接合ウェーハ直列共振器を使用することのメリットを維持しながら、先の実施例1よりも低コストになる。
【0050】
(実施例3)
携帯通信装置によって使用される周波数帯域の多くは「周波数分割複信」(FDD)帯域である。すなわち、装置から送信され、装置によって受信される信号に使用される信号には、個別の周波数範囲又は帯域が使用される。デュプレクサは、送信周波数帯域を受信周波数帯域から分離するためのフィルタサブシステムである。典型的には、デュプレクサは、送信機からの送信信号を受信し、フィルタ処理された送信信号をアンテナに送出する送信フィルタと、アンテナからの受信信号を受信し、フィルタ処理された受信信号を受信機に送出する受信フィルタとを含む。
【0051】
デュプレクサは、送信フィルタ及び受信フィルタの両方に対して同じ材料積層を使用して、共通チップ上の2つのフィルタとして実装されてもよい。あるいは、デュプレクサ1000は、図10Aに示されるように、別個のチップ上の送信フィルタ及び受信フィルタを用いて実装されてもよい。第一のチップ1010は送信フィルタを含み、第二のチップ1020は受信フィルタを含む。チップ1010、1020上のパッドは、前述のように回路カードに接続される。「Tx」とラベル付けされたパッドは、送信機からの入力である。「Rx」とラベル付けされたパッドは、受信機への出力である。「A」とラベル付けされたパッドは、アンテナに接続される。「G」とラベル付けされたパッドは、接地に接続される。図10Aは、特定のデュプレクサ設計ではなく、2チップデュプレクサの概念を示す。準備を容易にするために、第一のチップ1010上の送信フィルタは、図5に示すフィルタと同じであり、第二のチップ1020上の受信フィルタは、図5のフィルタの鏡像である。
【0052】
異なるチップ上に送信フィルタ及び受信フィルタを有するデュプレクサを実装することにより、2つのフィルタの材料積層を異なるものにすることができる。2チップ実装は、送信及び受信周波数帯域が広く分離されている周波数分割デュプレックス帯域に適している。例えば、LTEバンド4は、送信帯域(1710MHz~1755MHz)と受信帯域(2110MHz~2155MHz)の間に400MHzの間隔がある。異なるチップ上に送信フィルタ及び受信フィルタを有するLTEバンド4デュプレクサを実装することにより、2つのフィルタの材料積層をそれぞれの周波数範囲に対して最適化することができる。
【0053】
図10Bは、送信フィルタ及び受信フィルタを含む分割ラダーデュプレクサ1050の例示的な概略平面図であり、そのそれぞれは、図1のバンドパスフィルタ回路100と同じ概略図を有する。送信フィルタは、直列共振器XT1、XT3、及びXT5と、シャント共振器XT2、XT4、及びXT6とを含む。受信フィルタは、直列共振器XR1、XR3、及びXR5と、シャント共振器XR2、XR4、及びXR6とを含む。図10Aに示す2チップデュプレクサ1000とは対照的に、送信フィルタ及び受信フィルタの両方の直列共振器XT1、XT3、XT5、XR1、XR3、XR5は、第一のチップ1060上に製造される。送信フィルタ及び受信フィルタの両方のシャント共振器XT2、XT4、XT6、XR2、XR4、XR6は、第二のチップ1070上に製造される。チップ1060、1070は、パッドによって、及び前述の回路カードとして、互いに、及びフィルタの外部のシステムに、電気的に接続される。各パッドは、例えば、回路カード(図示せず)上で接続するために、半田又は金バンプであってもよいし、あるいはそれとインターフェイスしてもよい。第一のチップ1060上の直列共振器と第二のチップ1070上のシャント共振器との間の電気的接続650は、太い破線として示される。接続650は、例えば、第一のチップ1060及び第二のチップ1070が取り付けられる回路カード上の導体から作られる。
【0054】
送信フィルタは、例えば、図8及び図9に関連して説明したLTEバンド2送信スプリットラダーフィルタであってもよい。受信フィルタは、1930MHz~1990MHzの通過帯域を有する分割ラダーフィルタに類似してもよい。
【0055】
(実施例4)
図11は、送信フィルタ及び受信フィルタを含む別の分割ラダーデュプレクサ1100の例示的な概略平面図であり、そのそれぞれは、図1のバンドパスフィルタ回路100と同じ概略図を有する。送信フィルタは、直列共振器XT1、XT3、及びXT5と、シャント共振器XT2、XT4、及びXT6とを含む。受信フィルタは、直列共振器XR1、XR3、及びXR5と、シャント共振器XR2、XR4、及びXR6とを含む。送信フィルタの直列共振器XT1、XT3、XT5は、第一のチップ1060上に製造される。送信フィルタのシャント共振器XT2、XT4、XT6及び受信フィルタの共振器XR1、XR2、XR3、XR4、XR5、XR6の全ては、第二のチップ1070上に製造される。チップ1060、1070は、パッドによって、及び前述の回路カードとして、互いに、及びフィルタの外部のシステムに、電気的に接続される。
【0056】
第一のチップ1160上の送信フィルタの直列共振器XT1、XT3、XT5は、第二のチップ1120上の共振器と比較して、高い電力散逸を有する。したがって、第一のチップは、共振器からの効率的な熱除去を提供する材料積層を有することがある。送信フィルタの直列共振器XT1、XT3、XT5は、例えば、接合ウェーハ共振器又はソリッドマウント膜共振器であってもよい。熱除去がそれほど重要でない第二のチップは、異なる種類の共振器を使用して製造することができる。第二のチップ上の共振器は、例えば、非接合SAW共振器であってもよい。
【0057】
(方法の説明)
図12は、分割ラダーフィルタ装置を製造する方法1200のフローチャートであり、分割ラダーフィルタ装置は、分割ラダーフィルタ装置600、700、又は1050であってもよい。方法1200は、1210で開始し、1290で完成したフィルタ装置で終了する。
【0058】
1220において、第一の材料積層を使用して第一のチップを製造する。第一のチップは、フィルタ装置の直列共振器のうちの1つ、一部、又は全部を含む。第一のチップは、ステップ1220の各繰り返しの間に、第一のチップの複数のコピーが生成されるように、第一の大きなマルチチップウェーハの一部分であってもよい。この場合、1220でのアクションの一部として、個々のチップをウェーハから切り出し、試験することができる。
【0059】
1230において、第二のチップを、第一の材料積層とは異なる第二の材料積層を使用して製造する。第二のチップは、フィルタ装置のシャント共振器のうちの1つ、一部、又は全部を含む。第二のチップは、ステップ1230の各繰り返しの間に、第二のチップの複数のコピーが生成されるように、第二の大きなマルチチップウェーハの一部分であってもよい。この場合、1230でのアクションの一部として、個々のチップをウェーハから切り出し、試験することができる。
【0060】
1240で、回路カードを製造する。回路カードは、例えば、プリント配線板、又はLTCCカード若しくは何らかの他の形態の回路カードであってもよい。回路カードは、第一のチップ上の直列共振器と第二のチップ上のシャント共振器との間に、少なくとも1つの電気的接続を形成するための1つ以上の導体を含むことができる。回路は、ステップ1240の各繰り返しの間に、回路カードの複数のコピーが生成されるように、大きな基板の一部分であってもよい。この場合、1240でのアクションの一部として、個々の回路カードを基板から切り出し、試験することができる。あるいは、1250において、チップが回路カードに取り付けられた後、又は1260において、装置がパッケージングされた後に、個々の回路カードを基板から切り出すこともできる。
【0061】
1250において、個々の第一及び第二のチップが、既知のプロセスを使用して回路カード(より大きな基板の一部分であってもなくてもよい)に組み立てられる。例えば、第一及び第二のチップは、半田又は金バンプ又はボールを用いて回路カードに「フリップチップ」実装され、チップと回路カードとの間に電気的、機械的、及び熱的接続を行うことができる。第一及び第二のチップは、他の何らかの方法で回路カードに組み立てることができる。
【0062】
フィルタ装置は、1260で完成する。1260でフィルタ装置を完成させるステップには、パッケージング及び試験を含む。1260でフィルタ装置を完成するステップには、パッケージングの前又は後に、より大きな基板から個々の回路カード/チップアセンブリを切り出すことを含んでもよい。
【0063】
この説明を通して、示される実施形態及び実施例は、開示又は特許請求される装置及び手順に対する限定ではなく、例示として考慮されるべきである。本明細書で提示される例の多くは、方法動作又はシステム要素の特定の組み合わせを含むが、これらの動作及びこれらの要素は、同じ目的を達成するために、他の方法で組み合わせることができることを理解されたい。フローチャートに関して、追加のステップがあっても、ステップの数がより少なくてもよく、示されるステップは、本明細書に記載される方法を達成するために組み合わされてもよく、又はさらに洗練されてもよい。一実施形態に関連してのみ議論される行為、要素、及び特徴は、他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図されない。
【0064】
本明細書で使用される場合、「複数」は、2つ以上を意味する。本明細書で使用される場合、アイテムの「セット」は、そのようなアイテムのうちの1つ以上を含むことができる。本明細書で使用される場合、記載された説明又は特許請求の範囲のいずれにおいても、用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、「携える(carrying)」、「有する(having)」、「含まれる(containing)」、「関与する(involving)」などは、制約のないこと、つまり、含むが、これらに限定されないことを意味するものと理解されるべきである。「からなる(consisting of)」及び「から実質的になる(consisting essentially of)」の移行句のみがそれぞれ、限定又は半限定の移行句であるものとする。請求項要素を修飾するための請求項における「第一」、「第二」、「第三」などの序数詞の使用は、それ自体で、1つの請求項要素の、別の請求項要素に対する優先順位、優位性、若しくは順序、又は方法の動作が実行される時間的順序を暗示するものではなく、単に、請求項要素を区別するために、ある名称を有する1つの請求項要素を、(ただし、序数詞を使用するために)同じ名称を有する別の要素から区別するためのラベルとして使用されるに過ぎない本明細書で使用されるように、「及び/又は」は、列挙されたアイテムが代替物であることを意味するが、代替物は、列挙されたアイテムの任意の組み合わせも含む。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって、
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、非接合SAW(表面弾性波)共振器であって、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
圧電プレートの材料と、
前記圧電プレートの厚さと、
前記圧電プレートの結晶軸の配向と、
前記圧電プレートの上に形成された導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成された誘電体層の材料と、
前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、フィルタ装置。
【請求項2】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記第一のチップ及び前記第二のチップは、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の誘電体層の材料と、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の前記誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、フィルタ装置。
【請求項5】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、浮動ダイヤフラム共振器であり、各浮動ダイヤフラム共振器は、
圧電ウェーハ、ベースに形成された空洞の上に浮動するダイヤフラムを形成する前記圧電ウェーハの一部分と、
前記圧電ウェーハの表面に形成されたインターデジタルトランスデューサ(IDT)であって、前記ダイヤフラムに配置された前記IDTのフィンガがインターリーブされた、IDTを備え、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間の誘電体層の材料と、
前記ベースと前記圧電との間の前記誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の材料と、
のうちの1つ以上が異なる、フィルタ装置。
【請求項6】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって
前記1つ以上の直列共振器及び前記1つ以上のシャント共振器は、ソリッドマウント共振器であり、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは、
ベースの材料と、
前記ベースの厚さと、
前記ベースと圧電ウェーハとの間に配置される音響ブラッグ反射器内の層の数と、各層の材料及び厚さと、
前記ベースと前記圧電との間の誘電体層の厚さと、
前記圧電ウェーハの材料と、
前記圧電ウェーハの厚さと、
前記圧電ウェーハの結晶軸の配向と、
前記圧電ウェーハの上に形成される導体パターンの材料と、
前記導体パターンの厚さと、
前記導体パターンの上に形成される誘電体層の材料と、
前記導体パターンの上に形成される前記誘電体層の厚さと、
のうちの1つ以上が異なる、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
記第一の材料積層は、46度Yカットタンタル酸リチウム圧電ウェーハを含み、
前記第二の材料積層は、42度Yカットタンタル酸リチウム圧電ウェーハを含む、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
第一の材料積層を有する第一のチップであって、ラダーフィルタ回路の1つ以上の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記ラダーフィルタ回路の1つ以上のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備える、フィルタ装置であって
前記1つ以上の直列共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記1つ以上のシャント共振器は、非接合SAW共振器である
ィルタ装置。
【請求項9】
送信ラダーフィルタ回路及び受信ラダーフィルタ回路を含むデュプレクサであって、
第一の材料積層を有する第一のチップであって、前記送信ラダーフィルタ回路及び前記受信ラダーフィルタ回路の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記受信ラダーフィルタ回路及び前記送信ラダーフィルタ回路のシャント共振器を含む、第二のチップと、
を備え、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは異なる、デュプレクサ。
【請求項10】
前記第一のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路及び前記受信ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記送信ラダーフィルタ回路及び前記受信ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項に記載のデュプレクサ。
【請求項11】
送信ラダーフィルタ回路及び受信ラダーフィルタ回路を含むデュプレクサであって、
第一の材料積層を有する第一のチップであって、前記送信ラダーフィルタ回路の直列共振器を含む、第一のチップと、
第二の材料積層を有する第二のチップであって、前記送信ラダーフィルタ回路のシャント共振器及び前記受信ラダーフィルタ回路の全ての共振器を含む、第二のチップと、
を備え、
前記第一の材料積層と前記第二の材料積層とは異なる、デュプレクサ。
【請求項12】
前記送信ラダーフィルタ回路の前記直列共振器は、接合ウェーハ共振器であり、
前記送信ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器及び前記受信フィルタ回路の全ての共振器は、非接合SAW共振器である、請求項11に記載のデュプレクサ。
【請求項13】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項5に記載のフィルタ装置
【請求項14】
前記第一のチップ及び前記第二のチップは、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる、請求項5に記載のフィルタ装置
【請求項15】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項6に記載のフィルタ装置
【請求項16】
前記第一のチップ及び前記第二のチップは、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる、請求項6に記載のフィルタ装置
【請求項17】
前記第一のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記直列共振器の全てを含み、
前記第二のチップは、前記ラダーフィルタ回路の前記シャント共振器の全てを含む、
請求項7に記載のフィルタ装置
【請求項18】
前記第一のチップ及び前記第二のチップは、前記1つ以上の直列共振器のうちの1つの直列共振器と前記1つ以上のシャント共振器のうちの1つのシャント共振器との間に電気的接続を形成するための少なくとも1つの導体を含む回路カードに取り付けられる、請求項7に記載のフィルタ装置
【国際調査報告】