(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】水鉄砲
(51)【国際特許分類】
F41B 9/00 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
F41B9/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575071
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021060249
(87)【国際公開番号】W WO2021214063
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549338
【氏名又は名称】スパイラ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レスマン マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ショーバー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター セバスチャン
(57)【要約】
圧力タンク10と、ノズル20と、管60と、バルブ導管38を有するバルブ30とを備える水鉄砲1は、圧力タンク10が管60の入口61に接続される出口を備え、管60がバルブ導管38の入口ポート31に接続される出口65を備え、バルブ導管38の出口ポートがノズル20と流体連通するとき、射程が増大する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧力タンク(10)と、ノズル(20)と、管(60)と、バルブ導管(38)を有するバルブ(30)とを備える水鉄砲(1)であって、
前記圧力タンク(10)は、前記管(60)の入口(61)に接続される出口を備えることと、
前記管(60)は、前記バルブ導管(38)の入口ポート(31)に接続される出口(65)を備えることと、
前記バルブ導管(38)の出口ポートはノズル(20)と流体連通することと、
を特徴とする、水鉄砲。
【請求項2】
前記バルブ導管(38)は、前記入口ポート(31)と前記出口ポートとの間にバルブシート(32)を備えることと、
可動のバルブステム(35)はバルブプラグ(36)を備え、前記バルブステム(35)は、
第1縦軸(2)を画定し、
前記バルブプラグ(36)が前記バルブシートを閉鎖する閉鎖位置と、前記バルブプラグ(36)が前記バルブシート(32)を介する液体の流れを可能にするために後退する開放位置とを備えることと、
前記管(60)は管壁(67)を備え、前記管壁(67)はリニア軸受(68)を形成することと、
前記リニア軸受(68)は、
前記バルブステム(35)を前記管壁(67)に対して可動に支持し、前記バルブステム(35)の縦軸(2)に沿った移動を可能にし、
封止を成すように前記バルブステム(35)に取り付けられ、
前記バルブステム(35)が前記管壁(67)を貫通して延在する貫通孔を画定することと、を特徴とする、
請求項1に記載の水鉄砲(1)。
【請求項3】
前記管(60)は第1領域(63)と第2領域(64)とを備え、
前記第1領域(63)は第1の連続的に湾曲する中立面(62)を有し、前記第2領域は第2の連続的に湾曲する中立面(66)を有し、2つの曲率は互いに異なる符号を有することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の水鉄砲(1)。
【請求項4】
前記リニア軸受(68)が画定する前記貫通孔は、前記管壁(67)の一領域に設けられ、前記一領域は、前記管(60)の前記中立面の前記曲率の符号が変化する箇所の近傍に位置し、前記近傍は、前記管(60)の長さの25%と定義されることを特徴とする、
請求項2に従属する請求項3に記載の水鉄砲(1)。
【請求項5】
前記管(60)の長さに沿った前記管(60)の断面の正味面積は、前記管の断面の平均面積の15%以内で一定であり、前記バルブステム(35)の断面積は、前記管(60)の断面の前記正味面積に寄与しないことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項6】
前記水鉄砲(1)は、バルブ駆動部(40)によって可動に支持され、開始位置から中間位置を経て終端位置まで、前記ステム(35)が画定する前記縦軸(2)に対して少なくとも実質的に平行に、つまり、平行から±15°の範囲内で、移動させられるように構成されるボディ(45)をさらに備え、
前記ボディと前記バルブステムとは、位置選択型カップリングを介して結合され、
前記位置選択型カップリングは、前記ボディが前記開始位置から前記終端位置に移動する間、前記ボディ(45)が前記中間位置に位置するときに、前記ボディ(45)を前記バルブステム(35)と選択的に結合するように構成されることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項7】
前記ボディ(45)は、前記開始位置に向かってバネによって付勢されることを特徴とする、
請求項6に記載の水鉄砲。
【請求項8】
前記バルブ駆動部(40)は、前記ボディ(45)を駆動するように構成される、
請求項6又は請求項7に記載の水鉄砲。
【請求項9】
前記ボディ(45)が少なくとも前記終端位置に位置するときに、前記バルブステム(35)には、前記ボディ(45)に対する前記開放位置に向けたバネによる負荷が掛かることを特徴とする、
請求項6~8のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項10】
前記ボディ(45)が少なくとも前記終端位置に位置するときに、前記ボディ(45)には、前記開始位置に向けたバネによる負荷が掛かることを特徴とする、
請求項6~9のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項11】
前記バルブ駆動部が停止しているとき、
前記開始位置における前記ボディ(45)の前記終端位置へ向かう運動に抗する付勢力は、前記閉鎖位置における前記バルブステムの前記開放位置へ向かう付勢力よりも大きいことと、
前記開始位置に位置する前記ボディは、少なくとも間接的に前記バルブステム(34)に当接し、前記バルブステムを前記閉鎖位置へと押すこととを特徴とする、
請求項7~10のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項12】
前記バルブ(30)は、前記バルブステム(35)を前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるように、及び/又は、前記開放位置から前記閉鎖位置へと戻すように構成されるバルブ駆動部(40)を備えることを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項13】
前記位置選択型カップリングは、
可動に支持されるフォロア(50)と、
前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合するリニア軸受であって、前記ボディ(45)及び前記フォロア(50)の互いに対する前記縦軸(2)に平行な移動を可能にするリニア軸受と、
前記フォロア(50)又は前記ボディ(45)の一面によって画定される当接部(54,55)であって、前記ボディ(45)が前記開始位置から前記中間位置へ移動するとき、及び/又は、前記ボディの前記終端位置から前記ボディの前記開始位置へと移動するときに、前記ボディ(45)の前記フォロア(50)に対する軸方向移動を制限するように構成される当接部(54,55)と、を備えることと、
前記フォロア(50)は前記バルブステム(35)に取り付けられている、又は、前記バルブステム(35)と一体的に形成されていることと、を特徴とする、
請求項6~12のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項14】
前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合する前記リニア軸受は、
前記縦軸(2)と平行に延びる長さを有する少なくとも1つのスロット(53)であって、前記フォロア(50)に一体化されている、又は、前記フォロア(50)に取り付けられている少なくとも1つのスロット(53)と、
前記スロット(53)内に可動に係合する、前記ボディ(45)の少なくとも1つの突出部と、を備えることを特徴とする、
請求項13に記載の水鉄砲。
【請求項15】
前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合する前記リニア軸受は、
前記縦軸(2)と平行に延びる長さを有する少なくとも1つのスロット(53)であって、前記ボディ(45)と一体化されている、又は、前記ボディ(45)に取り付けられている少なくとも1つのスロット(53)と、
前記スロット(53)内に可動に係合する、前記フォロア(50)の少なくとも1つの突出部と、を備えることを特徴とする、
請求項13又は請求項14に記載の水鉄砲。
【請求項16】
前記ボディ(45)の質量は、少なくとも前記バルブステム(35)の質量と前記フォロア(50)の質量との合計と同じ大きさであることを特徴とする、
請求項6~15のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項17】
前記水鉄砲は、
補給開口と、
低圧端と高圧端とを有するポンプとをさらに備え、
前記低圧端は前記補給開口又は貯水槽と流体連通し、
前記高圧端は、ダクトを介して前記管の側壁に設けられた開口に接続されることを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、水の弾丸のような印象を与える短い噴射水を発射する水鉄砲に関する。当該水鉄砲は、少なくとも1つの圧力タンクと、少なくとも1つのノズルと、少なくとも1つの管と、バルブ導管を有する少なくとも1つのバルブとを備える。
[関連技術の説明]
近年、例えば国際公開第2018/215646号に記載のように、短い噴射水を発射する玩具の水鉄砲が提案されている。こうした短い噴射は、水の弾丸を撃っているかのような印象を与える。この効果を得るために、国際公開第2018/215646号は、水を袋状タンク内に圧力下で収容することを提案している。袋状タンクは、管を介して層化ユニットへ放出され、層化ユニットからノズルへと放出される水を加圧する。バルブは、袋状タンクとノズルとの間の接続部を短時間で開閉することを可能にする。バルブは、バルブプラグ用のバルブシートを有する。バルブプラグは可動に支持されたバルブステムによって制御される。電気制御された複雑な作動機構によってバルブステムを前後に作動させることにより、約50msという短い開放時間の間バルブの開放を可能にする。
【0002】
米国特許出願公開第2003/0034358号明細書は、例えば玩具の水鉄砲で使用するための、加圧された液体を供給する装置を提案している。この装置は、加圧された液体の供給源への接続部と、スナップアクション式ボールバルブを有するバネ制御されたスナップアクション式ボールバルブアセンブリと、入口及び出口と、接続部からバルブアセンブリの入口まで流体連通する導管と、バルブアセンブリの出口と流体連通するノズルとを備える。バルブアセンブリに接続されたアクチュエータは、スナップアクション式ボールバルブを閉鎖位置から開放位置へ、また、開放位置から閉鎖位置へと作動させ、それにより乱流やその他の圧力を低下させる悪影響を最小限に抑えて水を放出する。
【0003】
米国特許出願公開第2003/0151880号明細書は、比較的離れた位置にいる有害な相手に一時的に電気ショックを与え、それにより当該相手の犯罪行為を未然に防ぐ必要を説いている。これに対応する課題を解決するため、米国特許出願公開第2003/0151880号明細書では、銃又は水鉄砲の形状をした容器を備える電気ショック装置を提案している。当該ショック装置の容器には、後方部に導電性の液体で満たされたタンクが設けられ、前方上部にはこの導電性の液体を発射するためのノズルが設けられている。タンクに隣接して超高圧放電回路が配置され、当該回路は、液体がノズルを通過して、当該相手と超高圧放電回路とを接続しているときに、ノズルに対して一時的な超高圧放電を行うように構成される。空気タンクは、供給ライン中の液体を加圧し、それにより供給パイプを介して導電性液体をノズルへと送るように構成される。供給ラインとノズルとの間には、プランジャを収容するバルブハウジングが設けられる。プランジャは閉鎖位置から開放位置へと移動させられるように構成され、開放位置に移動させられるとバルブシートを開放することによって導電性液体の流れを制御するように構成される。プランジャの後方端部は、バルブハウジングを通って延在するバルブステムのノズル対向端部に取り付けられる。ステムは閉鎖方向に付勢され、トリガを引くことによって操作される。ショック装置の操作には、発射された水流が有害な相手と超高圧回路とを電気的に接続するのに十分な最短時間の間、バルブを開放することが求められる。
[発明の概要]
本発明は、玩具の水鉄砲にとって、先行技術の提案は複雑であり、それゆえに製造コストが高くなるという所見に基づく。しかしながら、高い製造コストは玩具の水鉄砲の大量生産を法外なものにしてしまう。さらに、達成される射程は未だ短い。
【0004】
本発明により解決される課題は、水の弾丸のような印象を与え得ると同時に所定の水タンク圧でより長い射程を実現する、非常に短い噴射水を発射することが可能な玩具の水鉄砲の製造を容易にすることである。
【0005】
課題の解決法は独立請求項に記載される。従属請求項は、本発明のさらなる改良に関する。
言語表現の区別を明らかにするために、本明細書における「接続される」という表現は一要素から別の要素への液体の流れを可能にする接続を指す。接続は、対応する液体ポート又は液体結合部を機械的に結合することによって得ることができる。それに対して、本明細書における「結合する」という表現は、機械的な装着又はそれ以外の機械的な相互作用を指す。したがって、本明細書では、2つの要素間における液体の流れを可能にする流体接続と、力又はトルクを伝達する2つの要素の結合とを区別する。接続が要素同士の結合なくして成立し得ないことを知りつつ、上記の区別をそれぞれ「接続する」又は「結合する」という動詞の使用によって表現するものであるが、それぞれの表現を使用することにより、どちらの特徴に焦点を当てている記載であるかが明示されることとなる。
【0006】
さらに、例によって、本明細書における単数の不定冠詞は「少なくとも1つの」と同義である。その後の、同一表現に対して種々の定冠詞を用いた場合は、「前記少なくとも1つの」と同義である。
【0007】
当該水鉄砲は、少なくとも圧力タンク(「タンク」と略称する。)と、環境に水の弾丸を放出するためのノズルと、圧力タンクを、タンクからノズルへの水流を制御するバルブのバルブ導管と接続する管とを備える。圧力タンクは、管の入口に接続(好ましくは直接接続)される出口を備え、管は、バルブ導管の入口ポートに接続(好ましくは直接接続)される出口を備える。バルブ導管の出口ポートは、ノズルと(好ましくは直接)流体連通する。このように部品数が少ないことでコストが削減され、同時に流れ抵抗も低減される。先行技術で提案されているような層化手段は、好ましくは省略されるため、それに付随する流路における圧力低下を回避することができる。したがって、射程も増大する。
【0008】
例によって、上述の部品はハウジングに収容されてもよい。好ましくは、上述の部品は少なくとも部分的にハウジングと一体化されてもよい。水鉄砲は、少なくとも1つの電池と、例えば任意のバルブ駆動部を制御することによってバルブを制御するように構成されたトリガと、補給口と、水又は気体(例えば空気)をタンク内へ送り込むためのポンプと、当業者にとって既知の他の部品とをさらに備えてもよい。
【0009】
例えば、国際公開第2018/215646号に記載のように、圧力タンクは袋状タンクでもよい。別の代替案では、圧力タンクはガス圧源と(断続的に、又は連続的に)流体連通するように設けられ、タンク内の水を加圧してもよい。ガス圧源は、ガスカートリッジ及び/又はガスコンプレッサでもあり得る。典型的なガスコンプレッサは、手動エアポンプ又はモータ駆動エアポンプである。なお、空気は任意の気体又は気体の混合物の一例に過ぎない。例えば、二酸化炭素カートリッジは適正なコストで市販されており、ガス圧源として利用することも可能である。
【0010】
好ましくは、水鉄砲はバルブ導管をさらに備える。バルブ導管は、管の出口に(好ましくは直接)接続されてよい。バルブ導管は、バルブ導管の入口ポートと出口ポートとの間にバルブシートを備えてもよい。例えば、出口ポートは同時にノズルを形成してもよい。
【0011】
バルブプラグ(「プラグ」と略称する)を有する可動のバルブステム(「ステム」と略称する)は、第1縦軸を画定してもよい。ステムは、可動に支持されることで、第1縦軸と平行に移動可能であってもよい。バルブプラグはステムと一体に形成されてもよく、又は、ステムに取り付けられてもよい。好ましくは、プラグはステムのノズル対向端部を画定する。ステムは(ひいてはプラグも)、好ましくは、バルブプラグがバルブシートを閉鎖する閉鎖位置と、バルブプラグが後退してバルブシートを開放し、バルブシートを介する液体の流れ、ひいてはタンクからバルブ導管を介して管を通りノズルへと達する液体の流れを可能にする開放位置とを備えてもよい。バルブステムの閉鎖位置から開放位置への移動によってバルブが開放される。同様に、バルブステムの開放位置から閉鎖位置への移動によってバルブが閉鎖される。これら2つの位置の間をバルブステムが移動する時間は、移動の方向に応じて開放時間又は閉鎖時間と呼ばれる。曖昧さを避けるために言及するが、バルブステムの開放位置は必ずしも終端位置ではなく、バルブシートから離間する方向へステムを更に後退させても、バルブを通過する水の流れ抵抗に影響が及ばない位置のことを指す。開放時間及び閉鎖時間は、短い噴射水の持つ水の弾丸の印象を強めるために、短時間であるべきである。
【0012】
好ましくは、バルブ導管の入口ポート及び出口ポートは(第2)縦軸を中心とする。当該第2縦軸は、好ましくは第1縦軸と同一であり、バルブステムによって画定される。好適な実施例では、管の出口、バルブステム、バルブ導管の入口ポート、バルブシートによって画定される開口、及びバルブの出口ポートは、単一の軸上に整列する。上述の構成によって、圧力タンク内の所定の圧力における射程が増大する。
【0013】
開放位置において、好ましくは、プラグ及びステムはバルブシートに囲まれる面から完全に除去され、そうすることでノズル上流におけるあらゆる圧力低下をさらに抑制する。この構成もまた、射程を増大させる。
【0014】
すでに示唆されているように、管は管壁を有する。管壁は、縦方向に延在する内腔を囲むことで、タンクから管の出口を介してバルブの入口ポートへと流れる水などの液体の流路を提供する。好ましくは、管壁はリニア軸受を提供する。リニア軸受はステムを可動に支持してもよい。管がステムを可動に支持するリニア軸受けを形成する一方で、ステムの一部は管の内部へと延在してもよく、ステムの別の一部は管の外側へと延在してもよい。つまり、任意のリニア軸受は、バルブステムを管壁に対して可動に支持し、それにより第1縦軸に沿ったステムの移動を可能にしてもよい。これは特に費用効率に優れており、管の内腔内でステムを支持する軸受けを配置する必要を無くす。その結果、流れ抵抗をさらに低減でき、ひいては水鉄砲の射程が増大される。
【0015】
特に好ましくは、リニア軸受は封止を成すようにバルブステムに取り付けられる。例えば、リニア軸受は滑り軸受でもよい。滑り軸受は、ステムの表面を囲み、ステムの表面と封止を成すように接触する滑り軸受面を備えてもよい。軸受面は環状の面でもよく、ステムは、少なくともその環状の面を通って摺動する部分に、好ましくは筒形の、好ましくは円筒形の輪郭を有する部位を備える。したがって、この実施例では、環状の面とステムの当該部位の輪郭とは、互いを補完するものであってもよい。曖昧さを回避する目的でのみ言及するが、ここでは、Bronstein,Semendyayev,Musiol & Muehlig in Handbook of Mathematics,Springer Berlin Heidelberg,2007,第5版,第3.3.4.章における筒形の面の定義を参照している。各筒形は円形の方向及び非円形の方向の湾曲を有してもよく、したがってそれに対応した各断面を有してもよい。
【0016】
明らかなように、リニア軸受は管内の貫通孔を画定してもよい。ステムは貫通孔を通って延在してもよく、ひいては管壁を貫通して延在してもよい。ステムは貫通孔を塞いでもよい。上述の構成により組み立てがさらに簡易になり、射程が増大する。というのは、バルブ駆動部は水が収容される内腔(タンク、管、バルブ導管)の外側に設けられるステムの一部に配置及び結合されてもよいためである。
【0017】
特に好ましくは、管は少なくとも2つの領域、つまり第1領域と第2領域とを有する。第1領域は、第1の連続的に湾曲する中立面を有してもよい。言い換えれば、第1領域は、好ましくは第1の方向に連続的に湾曲してもよい。同様に、第2領域も連続的に湾曲する中立面を有してもよく、第2領域は、好ましくは第2の方向に連続的に湾曲する(第2の方向は、第1の方向とは異なる方向である)。この2つの(つまり第1及び第2の)曲率は、好ましくは互いに異なる符号を有し、2つの領域の交差点における曲率の変化は、好ましくは連続的である。つまり、交差点における曲率は好ましくはゼロである。こうして、管は非常に低い流れ抵抗を有してもよく、その結果、射程を増大する一方で、同時に管の入口及び出口の開口を、横方向オフセットを有しつつも少なくともほぼ平行(つまり、平行から±15°の範囲内、好ましくは±7,5°、±5°、又は±2.5°の範囲内)とすることを可能にする。これにより、バルブ駆動部を管又はバルブ導管の外側に配置するスペースを設けつつも、同時にタンクから管を通って流れる液体の運動量を維持することを可能にする。これらの湾曲部は、水鉄砲の組み立てを簡素化すると同時に、水鉄砲の射程を増大する。
【0018】
第1及び第2湾曲部は、好ましくはそれぞれ±45°以下、より好ましくは±30°以下、さらに好ましくは±20°以下の弧であって、好ましくは±10°以上、又は±15°以上の弧を画定してもよい(2つの弧は反対の曲率を有するため、それぞれの弧の絶対値に照らしてそれ以上及びそれ以下とする)。絶対値が小さいほど、液体の流れ方向が変わることによる圧力低下が抑制されるという利点があるが、それぞれの接続部を通る水の流れ方向に直交する横方向オフセットに応じた管の中立面の長さが長くなるという欠点もある。管が長いほど流れ抵抗が大きくなることに加え、「水の弾丸」を放出する際、より多くの液体量ひいてはより多くの質量を、同じ時間内で、タンク内の圧力によって、または、タンク内の圧力に抗して、加速し、減速する必要がある。上述したような均衡のとれた曲率の選択により、さらに射程が増大される。
【0019】
例えば、リニア軸受けにより画定される貫通孔は、管壁の一領域に設けられてもよく、この領域は管の第1及び第2中立面の曲率の符号が変化する地点の近傍に位置する。この近傍とは、管の長さの25%以下、好ましくは管の長さの12.5%離れた位置を含むと考えられる。この選択は、水鉄砲の寸法の低減を可能にし、製造コストの削減にさらに寄与する。また、ステムは管の出口の(少なくとも実質的に)中央に位置してもよく、それにより管の出口において比較的均一な流れを可能にし、これもまた射程の増大に寄与する。
【0020】
管の長さに沿った管の断面の正味面積が、管の断面の平均面積の少なくとも15%以内(好ましくは少なくとも±10%、±7,5%、±5%、又は±2.5%の範囲内)で一定であれば、射程はさらに増大でき、このときバルブステムの断面積は、管各部分の断面積に寄与しない。つまり、好ましくは、ステムが中を通って延在する部分における管の内径は、ステムが延在しない部分の内径と比較して増大される。好ましくは、ステムによる(正味)断面積の低減分はこのように説明される。乱流を防ぐため、好ましくは、管の直径の増加は連続的である。すでに明らかなように、所定の位置における管の断面の正味面積は、出口に向かう水の流れが通過可能な断面積である。したがって、管の幾何学的断面積から管の内部設備の断面積を差し引いて、所定の位置における正味断面積を計算する。例によって、管における位置は、横断面から管の端部までの距離によって表すことができる。横断面は、好ましくは、少なくとも実質的に、所定の位置における平均の液体流れ方向に直交する。
【0021】
任意には、バルブはバルブ駆動部を備えてもよい。バルブ駆動部は、バルブステムをその閉鎖位置からその開放位置へと移動させるように、及び/又は、その開放位置からその閉鎖位置へと戻すように構成されてもよい。
【0022】
水鉄砲は、例えばプランジャなどのボディをさらに備えてもよい。ボディは、好ましくは任意のバルブ駆動部などによって可動に支持され、開始位置から第1中間位置を経て終端位置まで、ステムの縦軸に対して少なくとも実質的に平行に(平行から±15°の範囲内で)移動させられるように構成されてもよい。
【0023】
例えば、ボディは手動で駆動されてもよく、又は、例えば電池又は別の電源と少なくとも1つのスイッチを介して接続された(明らかに、ここでは水の流れではなく電気の流れに言及する)ソレノイドなどによって、電磁的に駆動されてもよい。こうして、ソレノイド及びボディはソレノイド駆動部を構成してもよい。また、別の種類の駆動を使用してもよい。最も簡易なものでは、駆動は単にトリガーレバーをバルブステムと(例えば単に)機械的に結合する。
【0024】
一実施例では、バルブステムは、少なくとも開放位置に位置するときにその閉鎖位置に向けてバネで付勢されてもよい。その結果、ステムが開放位置に到達すると、対応する弾性部材(「バネ」と略称する)によって、ステムの運動エネルギーが蓄えられる。これは水鉄砲のエネルギー消費を低減するだけでなく、閉鎖時間のさらなる短縮にも寄与する。特に好ましくは、バルブ駆動部が停止している場合、開始位置に位置するボディが終端位置に向かう運動に対して有する付勢力は、開放位置に位置するバルブステムが閉鎖位置に向けて有する付勢力よりも大きく、また、開始位置に位置するボディは少なくとも間接的にバルブステムに当接して、バルブステムを閉鎖位置へと押す。
【0025】
バルブ駆動部は、好ましくはステム、管の入口、バルブの入口ポート、バルブシート、及びバルブの出口ポートと整列し、管の外側に、管の第1領域に隣接して配置される。これにより、流れ抵抗が低減し、非常に小型の水鉄砲が実現可能となる。したがって、これらの構成は、製造コストを削減する一方で射程の増大に寄与する。
【0026】
例えば、ボディとバルブステムとは位置選択型カップリングを介して結合され、位置選択型カップリングは、ボディが開始位置から終端位置に移動する間、ボディが第1中間位置に位置するときに、ボディをバルブステムに選択的に結合するように構成される。こうして、位置選択型カップリングは、バルブを開放する第1段階で、ステムを随伴させるのに先立ち、ボディの加速を可能にする。この第1段階では、ボディはその開始位置から第1中間位置まで移動する。この第1段階の間に、ステム及びプラグの質量によってボディの加速が遅くなることはない。中間位置でカップリングが働き、ボディが得た運動量は突如、部分的にステムへと移される。このときステムはまだ閉鎖位置に位置し、続いて開放位置に向けて低減された時間で移動する。したがって、バルブは非常に短い時間で開放され、その結果噴射水が放出される。バルブの閉鎖も同様に(つまりこの逆の方法で)達成されてもよい。つまり、先ずボディが終端位置から第2中間位置へ移動するときに速度(ひいては運動量)を得て、第2中間位置に到達すると選択型カップリングが働き、ボディが突如、その運動量の一部をステムへと移し、結果としてステムが開放位置から閉鎖位置に向けて加速される。したがって、選択型カップリングは閉鎖時間の短縮に寄与する。両方法ともに短く適切に形成された噴射水の達成に寄与し、弾丸の様な印象及び射程を増大させる。
【0027】
開放時間及び閉鎖時間は、ボディの質量が、少なくともバルブステムの質量と任意のフォロアの質量との合計と同程度、好ましくは2倍、3倍、4倍、又はそれ以上であれば、さらに短縮することができる。
【0028】
好ましくは、ボディは開始位置に向かってバネによって付勢され、それによりバルブは通常は閉鎖されている。バルブ駆動部のエネルギー消費は低く保たれる。
好ましくは、位置選択型カップリングは可動に支持されたフォロアを備える。フォロアは少なくとも部分的にボディの一部分の中及び/又は上に延在してもよい。例えば、フォロアはボディの一部分がその中に延在するスリーブであってもよい。別の実施例では、フォロアはスリーブを備える。フォロア及びボディは、リニア軸受によって互いに取り付けられてもよい。例えば、フォロア(及び/又はボディ)は、少なくとも1つのスロットを備え、スロットはステムの第1縦軸と平行に延びる長さを有してもよい。ボディ(及び/又はフォロア)の突出部は、スロット内に可動に係合されてもよく、それによってフォロアに対するボディの移動を第1縦軸に平行な方向への移動に制限してもよい。例えば、(例えばボディの)突出部は、例えばボディに取り付けられた、又は、例えばボディによって一体に形成されたスタッドであってもよい。スロットは、実質的にボディ用のガイドレールを提供する。もちろん、既に括弧書きで示したとおり、スロットはボディに形成されてもよく、フォロアはその突出部によってボディのスロット内に可動に係合してもよい。
【0029】
好ましくは、第1及び第2当接部は、フォロアに対するボディの相対移動距離を制限してもよい。より明確には、例えばボディは、ボディの突出部がフォロアの当接部に接触する(又はその逆)まで、フォロアと相対的に移動してもよい。上述した実施例を参照すると、ボディは例えば、突出部が第1当接部に当接するまで、スロットに沿って終端位置に向かって並進移動するようにバルブ駆動部によって加速されてもよい。これにより第1中間位置が規定され、フォロアはボディからの運動量の移動により(ほぼ)即座に加速する。したがって、ボディが開始位置から第1中間位置へと移動するとき、突出部はフォロアと相対的にスロット内を移動してもよい(ガイドレールがフォロアに取り付けられている、又はフォロアと一体化していると想定する)。第1中間位置では、ボディは第1当接部に当接し、それによって、ボディがその終端位置に向かってさらに移動するときにフォロアを随伴させる。
【0030】
フォロアをステムに取り付ける、又はステムと一体化させることによって、選択型カップリングはボディをステムに、ひいてはプランジャに結合させる。これは非常に安価でありながら確実な位置選択型カップリングである。繰り返しになるが、突出部及びガイドレールの位置は技術的教示を変更することなく交換することができる。
【0031】
任意の第1及び第2当接部は、スロットの縦方向の延伸を限定するスロットの端部面により設けられてもよい。しかしながら、それらは、必ずしもスロットの端面として定義されなくてもよい。フォロアとの相対的なボディの第1縦方向の移動を制限するフォロア(又はボディそれぞれ)の任意の部分が、第1又は第2当接部を提供できる。
【0032】
バルブ駆動部は、例えばソレノイドを備えてもよく、ボディは、例えば常磁性体を備えてもよい。この場合、バルブを開く(及び/又は閉じる)ため、ソレノイドに電圧U0がかけられてもよい。電磁力によってボディが開始位置から終端位置まで加速されるが、初めはフォロアを随伴させず、ひいてはステムも随伴させない。一定時間tentrain後に位置選択型カップリングが係合し、ボディはステムの開放位置に向けてステムを随伴させる。好ましくは、時間tentrainにおいてソレノイドを流れる電流I(t,U0)は、所定の電圧U0でソレノイドを流れる最大電流Imax(U0)の90%以上(より好ましくは95%,98%,又は99%)である。まとめると、次式のとおりである。
【0033】
【0034】
この条件は、コイルの誘導性を増大又は低減させることによって得ることができる。誘導性を増大させると、電流の増加を緩やかに(つまり強化時間を長く)し、誘導性を低減させると、ソレノイドを流れる電流が所定の電流に達するまでの増加時間が短くなる。この構成により、バルブの開放及び/又は閉鎖時間をさらに低減させ、水の弾丸の形成を向上させる。
【0035】
水鉄砲は、例えば電動ポンプなどの、低圧端と高圧端とを有するポンプを備えてもよい。低圧端及び高圧端は、それぞれポンプの入口及び出口であるが、管の入口及び出口と言語表現を区別するため、ここではポンプの低圧端及び高圧端と呼ぶ。低圧端は、好ましくは水鉄砲の補給開口又は貯水槽と流体連通している。高圧端は、好ましくは、例えば袋状タンクなどの圧力タンクと流体連通している。
【0036】
好適な実施例では、高圧端はダクトを介して管の側壁の開口に接続される。例えば、管はダクトに接続されるように構成されたコネクタを備えてもよい。これにより、管及び管の入口を介して圧力タンクを補充することができる。驚くことに、実験では、管の側壁の開口の直径が管の直径の15%以下、好ましくは10%以下、又はそれ以下(例えば7.5%,5%など)である場合、管の側壁の開口に起因する水鉄砲の射程の大きな低減はない。同時に、具体的には圧力タンクが袋状タンクであるとき、製造コストが低減される。なぜなら、比較的固い側壁にダクトを取り付けるほうが、タンクが補充されるたびに拡張する弾性の袋にダクトを取り付けるよりもはるかに簡単だからである。
【0037】
本発明を玩具の水鉄砲に関して説明したが、本発明は水鉄砲に限られない。射程にわたって別の液体が撒かれるようにしてもよい。別の液体の例としては、薬剤又は除草剤が広く知られている。本明細書の全体にわたって、本発明の技術的教示を変えることなく、「水」という単語は「液体」という単語と置き換えることができる(例えば「水鉄砲」が「液体鉄砲」となるなど、複合名詞も同様)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下において、図面を参照して、実施形態により、包括的な発明概念を制限することなく、例として、本発明を記載する。
【
図2】
図2は玩具の水鉄砲の前方部分を示す図である。
【
図3】
図3は玩具の水鉄砲の位置選択型カップリングの斜視図である。
【
図4】
図4は玩具の水鉄砲の位置選択型カップリングの分解図である。
【
図5】
図5は位置選択型カップリングの側面図である。
【
図6】
図6は
図5に示す位置選択型カップリングの平面A-Aに沿った縦断面図である。
【
図7】
図7は位置選択型カップリングのフォロアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に、水鉄砲1の断面図を示す。水鉄砲は、ハウジング5と、例えば、トリガアセンブリ6、コントローラ(簡略化のため省略)、及び電池8などの、水鉄砲1のサポート部品とを備える。水鉄砲は圧力タンク10を備える。圧力タンク10は、本実施例では袋状タンクであるが、別のタンクも同様に使用できる。タンク10は加圧された液体を貯蔵するように構成され、管60の入口61に接続された出口を有する。
【0040】
例えば、タンクは、補給口90及びチェックバルブ91を介してポンプ92で液体を吸い上げることによって満たされてもよい。ポンプ92は液体を加圧し、パイプを介してタンクの袋に充填する。
【0041】
タンク10の出口及び管60の入口61は、平面Eを画定する。平面Eは、タンク10と管60との接続部において、水の流れる方向に直交する。本実施例における好ましい任意の実施形態では、タンク10の出口は管の入口61と直接接続される。つまり、間接的な接続も可能である。
【0042】
管60は、バルブ30のバルブ導管38の入口31に接続される出口65を有する。平面Dは、管60とバルブ30との接続部において、水の流れる方向に直交する。
バルブ導管38は、環境に液体を噴出させるためのノズル20を提供する。ここでも、図示された直接接続が好ましいが、間接的な接続も同様に用いてよい。
【0043】
図2に示す水鉄砲1の前方部分拡大図においてより分かり易く記載されているとおり、管60は管壁67を備える。管壁67は、湾曲して第1領域63及び第2領域64を形成してもよい。これらの曲率は、当該領域63及び64それぞれの第1中立面62及び第2中立面66に注目すると特に明らかであり、中立面62及び66は点線で表示されている。これらの湾曲の方向は互いに異なってもよく、すなわち、これらの曲率は互いに異なる符号を有してもよい。例えば、第1領域が上方に湾曲し、後続の領域が下方に湾曲することで、実質的に管60の前方端面と後方端面(
図1,2の平面D及び平面Eを参照)を平行(平行から±15°の範囲内又は±7.5°の範囲内)に画定してもよい。
【0044】
これらの湾曲は、多くの利点を有する。例えば、これらの湾曲は、管の入口61に出口65に対する横方向オフセットを持たせ、一方で、それと同時に入口61を出口65に対して平行であるように保つ。このオフセットにより、ステム35はノズル20と整列することが可能となり(軸2参照)、一方でステムの一部は管60の外側に配置される。さらに、入口61を通る流れと出口62を通る流れは、少なくとも実質的に互いに平行であり、バルブシート32を通る流れとノズル20を通る流れとも平行であり、それにより射程の増大に寄与する。横方向にオフセットされるとは、各接続部の中心が、少なくとも実質的に平行である平面E及び平面Dにより定義される方向にずれていることを意味し、つまり、入口61から出口65への水流の平均の方向に対して直交するようにずれていることを意味する。言い換えれば、管60を流れる水は、管の入口61において、管の出口65における運動量と少なくとも実質的に(絶対値及び方向において)同じ運動量を有してもよい。液体は、管の出口65からバルブ導管38に進入してもよい。
【0045】
バルブ導管38はバルブシート32を提供してもよく、バルブシート32はバルブプラグ36によって閉鎖されてもよい。バルブプラグ36は、第1縦軸2に沿って延在するバルブステム35のノズル対向端部に取り付けられてもよい。バルブステム35は、例えば管壁67によって形成されるリニア滑り軸受68によって可動に支持されてもよい。リニア軸受68は、好ましくは管壁67と一体的に形成され、好ましくは管壁67に囲まれる内腔の外側に形成される。滑り軸受68は、バルブステム35が縦軸2と平行に、管60に対して、ひいてはバルブシート32に対して移動することを可能にしてもよい。
図1,2では、いわゆる閉鎖位置にあるバルブステムを示しており、つまり、バルブは、バルブシート32が画定する通路を塞ぐプラグ36によって閉鎖されている。任意でOリング又は別のタイプのガスケットを用いて、滑り軸受68の滑り軸受面とステム35の周辺補完面との間の可動間隙を封止してもよい(
図2参照)。
【0046】
バルブステム35は、例えば位置選択型カップリングによってバルブ駆動部40に結合されてもよい。駆動部の作動によってバルブステム35を後退させ、バルブ30を開放してもよい。図示のとおり、バルブ駆動部40は、例えばボディ45と電磁石48とを備え(
図1参照)、例えば電池8などの電源に接続されるとボディ45を引き付けるように構成されるリニア駆動部であってもよい。
【0047】
図3から
図6により詳細に記載されているように、ボディ45は位置選択型カップリングの一部を形成してもよい。位置選択型カップリングのフォロアは、
図7から
図9により詳細に記載する。位置選択型カップリングは、ステム35をボディに結合する。つまり、ボディ45の位置に応じて、ボディ45はフォロア50を随伴させる。フォロア50は、例えば
図2に示すように取り付け部材52などによって、恒久的にステム35に結合されてもよい。
【0048】
図3から
図9に示すように、フォロア50はスリーブであってもよく、又は、フォロア50の少なくとも一部はスリーブの形状を有してもよい。ボディ45はフォロア50に対して可動に支持されてもよい。フォロア50は、第1縦軸2に対して少なくとも実質的に平行(平行から±15°,±7.5°,±5°,±2.5°以下の範囲内)に延在する少なくとも1つのスロット53を備えてもよい。
図4及び
図9から分かるように、実施例のフォロア50はスロット53を2つ備え、スロット53はそれぞれ、ボディ45に取り付けられた突出部用のガイドレール53を画定する。本実施例のように、少なくとも1つの突出部は、少なくともボディ45の一部分を貫通して第1縦軸2に対して少なくとも実質的に垂直(垂直から±15°,±7.5°,±5°,±2.5°以下の範囲内)に延在するロッド46の端部によって提供されてもよい。
図3及び
図5から明らかなように、ロッド46の端部、つまりボディ45の突出部は、スロット内においてボディ45がフォロア50と相対的に移動することを可能にする。スロット53は、それぞれ閉塞端部54を備えてもよく、閉塞端部54は第1当接部54を形成し、フォロア50に対するボディの相対運動を制限する。フォロア50は第2当接部55を備えてもよい。図示のとおり、第2当接部55は、フォロア50の底部51におけるボディ45に面する面によって形成されてもよい。代替的に又は付加的に、スロット53の閉塞端部によって1つ又は複数の第2当接部55が形成されてもよい。
【0049】
ボディ45がバルブ駆動部40によって第1縦軸2と平行にバルブシート32から離間するように加速されると、ボディ45は
図1から
図3、5、及び6に示す開始位置から、突出部(ロッド46参照)が第1当接部54に接触するまで、軸2と平行に自由に移動してもよい。ここで運動量の一部はフォロア50に、ひいてはステム35にも移され、その一方でボディ45は駆動部40によってバルブシート32から離間する方向に押し進められ続ける。こうして、バルブ駆動部40は、ボディ45がその終端位置に到達するまで、ボディ45、フォロア50、ステム35及びそのプラグ36を加速する。
【0050】
バルブ駆動部40が停止されると、ボディ45をバルブシート32に向けて付勢する戻しバネ59は、ボディ45をバルブシート32に向けて、つまりボディの開始位置に向けて加速する(開始位置は
図1,2,3,5,及び6に記載)。この移動の第1の部分の間、突出部(ロッド46参照)はスロット53内を滑り得るため、ボディ45はフォロア50を随伴させない。ボディ45が第2当接部55に当接する第2中間位置に到達するとすぐに状況が変わり、
図1及び2に示すようにボディ45がその開始位置に到達してバルブステム35がその閉鎖位置に到達するまで、ボディ45は突如フォロアを、ひいてはバルブステム45をバルブシート32に向けて随伴させる。
【0051】
任意のダンパスプリング49をフォロア50とボディ45との間に設け、フォロア50をバルブシート32に向けて付勢させてもよい。
[参照符号一覧]
1 水鉄砲
2 縦軸
5 ハウジング
6 トリガアセンブリ
8 電池
10 貯水槽/圧力タンク
20 ノズル
30 バルブ(通常は閉鎖)
31 入口ポート
32 バルブシート(「シート」)
35 バルブステム(「ステム」)
36 バルブプラグ(「プラグ」)
38 バルブ導管
40 バルブ駆動部
45 ボディ/プランジャ
46 ロッド(ボディの突出部を形成する)
48 電磁石
49 ダンパスプリング
50 フォロア
51 底部
52 取り付け部材
53 ガイドレール(縦スロット)
54 第1当接部
55 第2当接部
59 付勢バネ
60 接続管
61 入口
62 第1中立面
63 第1領域
64 第2領域
65 出口
66 第2中立面
67 管壁
68 リニア軸受
90 補給口
91 チェックバルブ
92 ポンプ
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
一実施例では、バルブステムは、少なくとも開放位置に位置するときにその閉鎖位置に向けてバネで付勢されてもよい。その結果、ステムが開放位置に到達すると、対応する弾性部材(「バネ」と略称する)によって、ステムの運動エネルギーが蓄えられる。これは水鉄砲のエネルギー消費を低減するだけでなく、閉鎖時間のさらなる短縮にも寄与する。特に好ましくは、バルブ駆動部が停止している場合、開始位置に位置するボディが終端位置に向かう運動に対して有する付勢力は、閉鎖位置に位置するバルブステムが開放位置に向けて有する付勢力よりも大きく、また、開始位置に位置するボディは少なくとも間接的にバルブステムに当接して、バルブステムを閉鎖位置へと押す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧力タンク(10)と、ノズル(20)と、管(60)と、バルブ導管(38)を有するバルブ(30)とを備える水鉄砲(1)であって、
前記圧力タンク(10)は、前記管(60)の入口(61)に接続される出口を備
え、
前記管(60)は、前記バルブ導管(38)の入口ポート(31)に接続される出口(65)を備
え、
前記バルブ導管(38)の出口ポートはノズル(20)と流体連通
し、
前記バルブ(30)は、バルブステム(35)を閉鎖位置から開放位置へと移動させるように、及び/又は、前記開放位置から前記閉鎖位置へと戻すように構成されるバルブ駆動部(40)を備え、
前記バルブ駆動部(40)は、前記バルブ駆動部(40)によって可動に支持され、開始位置から中間位置を経て終端位置まで、前記バルブステム(35)が画定する縦軸(2)に対して少なくとも実質的に平行に、つまり、平行から±15°の範囲内で、移動させられるように構成されるボディ(45)を駆動し、前記ボディと前記バルブステムとは、位置選択型カップリングを介して結合され、前記位置選択型カップリングは、前記ボディが前記開始位置から前記終端位置に移動する間、前記ボディ(45)が前記中間位置に位置するときに、前記ボディ(45)を前記バルブステム(35)と選択的に結合するように構成されることと、
前記位置選択型カップリングは、可動に支持されるフォロア(50)を備えることと、
リニア軸受が前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合し、前記ボディ(45)及び前記フォロア(50)の互いに対する前記縦軸(2)に平行な移動を可能にすることと、
前記フォロア(50)又は前記ボディ(45)の一面によって画定される当接部(54,55)は、前記ボディ(45)が前記開始位置から前記中間位置へ移動するとき、及び/又は、前記ボディの前記終端位置から前記ボディの前記開始位置へと移動するときに、前記ボディ(45)の前記フォロア(50)に対する軸方向移動を制限するように構成されることと、
前記フォロア(50)は前記バルブステム(35)に取り付けられている、又は、前記バルブステム(35)と一体的に形成されていることと、
を特徴とする、水鉄砲。
【請求項2】
前記バルブ導管(38)は、前記入口ポート(31)と前記出口ポートとの間にバルブシート(32)を備えることと、
可動の
前記バルブステム(35)はバルブプラグ(36)を備え、前記バルブステム(35)は、
第1縦軸(2)を画定し、
前記バルブプラグ(36)が前記バルブシートを閉鎖する閉鎖位置と、前記バルブプラグ(36)が前記バルブシート(32)を介する液体の流れを可能にするために後退する開放位置とを備えることと、
前記管(60)は管壁(67)を備え、前記管壁(67)はリニア軸受(68)を形成することと、
前記リニア軸受(68)は、
前記バルブステム(35)を前記管壁(67)に対して可動に支持し、前記バルブステム(35)の縦軸(2)に沿った移動を可能にし、
封止を成すように前記バルブステム(35)に取り付けられ、
前記バルブステム(35)が前記管壁(67)を貫通して延在する貫通孔を画定することと、を特徴とする、
請求項1に記載の水鉄砲(1)。
【請求項3】
前記管(60)は第1領域(63)と第2領域(64)とを備え、
前記第1領域(63)は第1の連続的に湾曲する中立面(62)を有し、前記第2領域は第2の連続的に湾曲する中立面(66)を有し、2つの曲率は互いに異なる符号を有することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の水鉄砲(1)。
【請求項4】
前記リニア軸受(68)が画定する前記貫通孔は、前記管壁(67)の一領域に設けられ、前記一領域は、前記管(60)の前記中立面の前記曲率の符号が変化する箇所の近傍に位置し、前記近傍は、前記管(60)の長さの25%と定義されることを特徴とする、
請求項2に従属する請求項3に記載の水鉄砲(1)。
【請求項5】
前記管(60)の長さに沿った前記管(60)の断面の正味面積は、前記管の断面の平均面積の15%以内で一定であり、前記バルブステム(35)の断面積は、前記管(60)の断面の前記正味面積に寄与しないことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項6】
前記ボディ(45)は、前記開始位置に向かってバネによって付勢されることを特徴とする、
請求項
1~5のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項7】
前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合する前記リニア軸受は、
前記縦軸(2)と平行に延びる長さを有する少なくとも1つのスロット(53)であって、前記フォロア(50)に一体化されている、又は、前記フォロア(50)に取り付けられている少なくとも1つのスロット(53)と、
前記スロット(53)内に可動に係合する、前記ボディ(45)の少なくとも1つの突出部と、を備えることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項8】
前記ボディ(45)と前記フォロア(50)とを可動に結合する前記リニア軸受は、
前記縦軸(2)と平行に延びる長さを有する少なくとも1つのスロット(53)であって、前記ボディ(45)と一体化されている、又は、前記ボディ(45)に取り付けられている少なくとも1つのスロット(53)と、
前記スロット(53)内に可動に係合する、前記フォロア(50)の少なくとも1つの突出部と、を備えることを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項9】
前記ボディ(45)が少なくとも前記終端位置に位置するときに、前記バルブステム(35)には、前記ボディ(45)に対する前記開放位置に向けたバネによる負荷が掛かることを特徴とする、
請求項
1~8のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項10】
前記ボディ(45)が少なくとも前記終端位置に位置するときに、前記ボディ(45)には、前記開始位置に向けたバネによる負荷が掛かることを特徴とする、
請求項
1~9のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項11】
前記バルブ駆動部が停止しているとき、
前記開始位置における前記ボディ(45)の前記終端位置へ向かう運動に抗する付勢力は、前記閉鎖位置における前記バルブステムの前記開放位置へ向かう付勢力よりも大きいことと、
前記開始位置に位置する前記ボディは、少なくとも間接的に前記バルブステム(3
5)に当接し、前記バルブステムを前記閉鎖位置へと押すこととを特徴とする、
請求項
9又は請求項10に記載の水鉄砲。
【請求項12】
前記ボディ(45)の質量は、少なくとも前記バルブステム(35)の質量と前記フォロア(50)の質量との合計と同じ大きさであることを特徴とする、
請求項
1~
11のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【請求項13】
前記水鉄砲は、
補給開口と、
低圧端と高圧端とを有するポンプとをさらに備え、
前記低圧端は前記補給開口又は貯水槽と流体連通し、
前記高圧端は、ダクトを介して前記管の側壁に設けられた開口に接続されることを特徴とする、
請求項1~1
2のいずれか一項に記載の水鉄砲。
【国際調査報告】