(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】ストリップ組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60J 10/70 20160101AFI20220623BHJP
B60J 10/24 20160101ALI20220623BHJP
B60J 10/20 20160101ALI20220623BHJP
【FI】
B60J10/70
B60J10/24
B60J10/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576220
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 DE2020100831
(87)【国際公開番号】W WO2021069019
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019127378.1
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514159380
【氏名又は名称】エルカメット カンストストッフテクニーク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン、ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ハイン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイン、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ランデック、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】オルトミュラー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペリヒェット、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ティモ
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA03
3D201AA12
3D201BA01
3D201CB02
3D201DA34
3D201DA36
(57)【要約】
本発明は、空気入口パネルの装着リブを受け入れるためのラッチ凹部(103)を含む賦形プラスチックストリップ(101)を有し、更にラッチ凹部(103)に機械的に解放可能にラッチ可能な単一片の保護プラスチックストリップ(104)を有する帯状組立体(100)に関する。賦形プラスチックストリップ(101)は、プロセスにおいてラッチ凹部(103)の断面を変形させることなく、機械的に変形可能かつ荷重可能であることが望ましい。また、ラッチ凹部(103)又は賦形プラスチックストリップ(101)は、組立、輸送及び/又は保管中、実質的に損傷を受けないままであることが望ましい。従って、本発明は、第1及び第2のストリップ部(100a、100b)を提供し、賦形プラスチックストリップ(101)は、第1のストリップ部100(100a)内のみに延在するように構成され、保護プラスチックストリップ(104)は、両方のストリップ部(100a、100b)内に延在し、少なくとも賦形プラスチックストリップ(101)に沿った幾つかの部分においてラッチ凹部(103)内にラッチされるように構成される。その結果、保護プラスチックストリップ(104)は突出部分を有し、プロセスにおいてラッチ凹部(103)又は賦形プラスチックストリップ(101)に損傷を生じさせることなく、工具なしで取り外すことができる。同時に、保護プラスチックストリップ(104) は最終組立体の直前まで組立体を保護する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入口パネルの装着リブを受容するためのラッチ凹部(103)を含む賦形プラスチックストリップ(101)を有し、さらにラッチ凹部(103)において機械的にラッチ可能な単一片の保護プラスチックストリップ(104)を有するストリップ組立体(100)であって、
第1及び第2のストリップ部(100a、100b)が設けられ、且つ前記賦形プラスチックストリップ(101)が第1のストリップ部(100a)内のみに延在するように構成され、前記保護プラスチックストリップ(104)が、両方のストリップ部(100a、100b)内に延在し、賦形プラスチックストリップ(101)に沿って少なくともいくつかの部分においてでラッチ凹部(103)にラッチされるように構成されていることを特徴とするストリップ組立体(100)。
【請求項2】
ラッチ凹部(103’)を有する第2の賦形プラスチックストリップ(101’)が、第2のストリップ部(100b)内のみに延在するように設けられ、保護プラスチックストリップ(104)も、少なくとも一部分において、第2の賦形プラスチックストリップ(101’)のラッチ凹部(103’)内にラッチされることを特徴とする請求項1に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項3】
前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、フロントガラスの縁部に沿って係合するための係合面(102、102’)を含み、両面接着テープ(106、106’)は、前記接着テープの保護フィルム(105)によって覆われる第1の接着面及び第2の接着面を含み、前記両面接着テープ(106、106’)は、前記第1の接着面によって前記係合面(102、102’)に接着され、前記両面接着テープの保護フィルム(105)は、両方のストリップ部(100a、100b)内に延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項4】
前記賦形プラスチックストリップ(101)の端部は、前記賦形プラスチックストリップ(101)の長手方向の広がりを実質的に横切る所定の破断線又はパンチカット線(108)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項5】
前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)に沿って延在し、塑性変形可能であるコア(107、107’)を含み、前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、好ましくは、少なくとも一部分において、その長手方向の範囲に沿って弓形に湾曲していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)を有するフロントガラス(111)。
【請求項7】
請求項6に記載のフロントガラス(111)を有する車両。
【請求項8】
ストリップ組立体(100)を製造する方法であって、
空気入口パネルの装着リブとともに、少なくとも一部分においてラッチ凹部(103)において機械的に脱着可能にラッチされる保護ストリップストランド(104a)を受け入れるためのラッチ凹部(103)を有する賦形ストリップストランド(100d)を提供する工程を有し、
前記賦形ストリップストランド(100d)を加工領域(110)で2つの部分に分割し、前記保護ストリップストランド(104a)は、一体のままとする
方法。
【請求項9】
2つの部分に分割する前又はその後に、加工領域(110)を含むストランド部(100、100c、104)が、賦形ストリップストランド(100d)及び保護ストリップストランド(104a)から切断されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加工領域(110)に所定の破断線(108)を設けることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記加工領域(110)に材料(108)を貫通する切断部を設けることを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記材料(108)を貫通する切断は、賦形パンチングナイフによってなされることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
2つの区画に分割する際に、端部(101’)が賦形ストリップストランド(100d)から分離され、任意に除去されることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
賦形ストリップストランド(100d)が、フロントガラスの縁部に沿って係合するための係合面(102、102’)を含み、両面接着テープ(106、106’)が、接着テープの保護フィルム(105)によって覆われた第1の接着面及び第2の接着面を含み、2つの部分に分割される前に、接着テープ(106、106’)が第1の接着面によって係合面(102、102’)に接着され、2つの部分に分割される間、接着テープ(106、106’)は、接着テープの保護フィルム(105)が一体に残るように切断されることを特徴とする、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のストリップ部(100b)内に延在する保護プラスチックストリップ(104)の部分が把持手段として使用され、空気入口パネルの装着リブがラッチ凹部103にラッチされる前に、この把持手段を用いて保護プラスチックストリップ(104)がラッチ凹部(103)から除去されることを特徴とする請求項6に記載のフロントガラス(111)に空気入口パネルを装着するための方法。
【請求項16】
フロントガラスに取り付けるためのストリップ組立体(100)の使用であって、前記ストリップ組立体は、空気入口パネルの取り付けリブを受け入れるためのラッチ凹部(103)を含む、賦形プラスチックストリップ(101)を有し、さらに、前記ラッチ凹部(103)内に機械的に解放可能にラッチ可能な単一片の保護プラスチックストリップ(104)を有し、第1及び第2のストリップ部(100a、100b)が設けられ、前記賦形プラスチックストリップ(101)は、第1のストリップ部(100a)内のみに延在するように構成され、前記保護プラスチックストリップ(104)は、両方のストリップ部(100a、100b)内に延在し、前記賦形プラスチックストリップ(101)に沿って少なくとも一部分において前記ラッチ凹部(103)内にラッチされるように構成されるストリップ組立体(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ組立体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の空気入口パネルを車両のフロントガラスに取り付けるための賦形プラスチックストリップが知られている。このような賦形プラスチックストリップは、空気入口パネルの装着リブを受け入れるためのラッチ凹部を含み、ラッチ凹部は、摩擦嵌め合い及び/又は形状嵌め合いによって装着リブを受け入れるように構成されている。
【0003】
賦形プラスチックストリップの製造中、及び賦形プラスチックストリップのフロントガラスへの取り付け中に、賦形プラスチックストリップは、非常に高い機械的負荷を受け得る。このような荷重は、例えば、賦形プラスチックストリップを多種多様なフロントガラスの輪郭に適合させるための曲げ動作であるかもしれない。また、賦形プラスチックストリップがフロントガラス縁部に押圧されると、非常に高い力が賦形プラスチックストリップに沿って、特にラッチ凹部に沿って発生し得る。従って、ラッチ凹部内に機械的に解放可能にラッチ可能であり、かつ一旦ラッチされると、ラッチ凹部を保護する役割を果たす単一片の保護プラスチックストリップを設けることができる。
【0004】
さらに、賦形プラスチックストリップは、フロントガラスが設置される前に、特にフロントガラス製造業者の側において、フロントガラスに予め取り付けられることが多い。このようなフロントガラス組立体は、その脆性のため、通常、直立位置で輸送される。このこととの関連において、賦形プラスチックストリップは、把持エッジとして機能することができる。車両の窓ガラスの重量により、賦形プラスチックストリップ及び結果的にラッチ凹部が変形する可能性があり、その結果、空気入口パネルが所定の位置にラッチされると、問題及び/又は漏れが後に発生する。このこととの関連においても、保護プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップ及び/又はラッチ凹部の保護のために重要な役割を果たす。
【0005】
全体として、保護プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップの断面及び/又はラッチ凹部の幾何学的形状を、最も悪い外部条件下でさえ保護することを可能にし、その結果、空気入口パネルを、賦形プラスチックストリップのラッチ凹部内に常に、確実に、正確に、そして密閉するようにラッチすることができる。しかしながら、空気入口パネルをラッチ凹部にラッチする前に、ラッチ凹部から保護プラスチックストリップを取り外さなければならない。ここでの問題は、機械的に非常に安定したラッチ接続のために、保護プラスチックストリップが人間工学的ではなく、賦形プラスチックストリップのラッチ凹部から取り除くことが困難であることである。従って、保護プラスチックストリップを除去する操作にかかる時間にはばらつきがあり、長い間には作業者の手の筋肉が非常に疲れる。生産ラインのペースは最悪の持続時間に設定しなければならず、それが全体として組立作業の効率を損なう。更に、保護プラスチックストリップの脱着中に、例えば、ねじ回し、プライヤ等のような不適切な工具を使用する結果として、賦形プラスチックストリップ及び隣接する車両部品又は車両表面(例えば、車両の塗装作業)に損傷が生じることが一般的である。最後に、保護プラスチックストリップをくぼみから指の爪でこじ開けようとしているときなどに、作業を行う人がけがをする危険性がある。
【0006】
これに対処するために、EP 2 253 556 A1は、保護プラスチックストリップに沿った幾つかのセクション内に延在するとともに前記セクションを横断するように延在する把持タブであって、賦形プラスチックストリップのラッチ凹部内にラッチされている把持タブを有する保護プラスチックストリップを提供することを提案している。このような構造物は容易に裂けるから、特に手袋を着用している場合や、自動車製造で一般的な他の悪環境条件下、例えば、手に油が付着していたり汚れていたりする場合には、把持タブを把持する際に把持タブが滑って外れる危険がある。WO2014/041279A1においても同様のアプローチがなされている。特に、ラッチされた保護プラスチックストリップの引き抜きにワイヤ式の把持ループを使用する場合、必要とされる力の量によっては、ワイヤ型構造物が作業者の皮膚に食い込む可能性があるため、傷害の危険性が高い。加えて、両方のアプローチは、ストリップ組立体の製造において実質的に更に複雑さ及びコストを要し、取扱い(例えば、輸送、組立体、保管など)中にストリップ組立体全体が別の構成要素に引っ掛かり、保護プラスチックストリップが凹部から不注意かつ過早に除去されたり、組立体全体及び/又は隣接する構成要素を変形又は損傷させたりすることさえもあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 2 253 556 A1
【特許文献2】WO2014/041279A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、従来技術の上述された欠点を克服し、かつ、保護プラスチックストリップを工具なしでラッチ凹部から除去することを可能にする代替的なストリップ組立体に対する要求が存在する。さらに、ストリップ組立体は、できるだけ安価に製造可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、請求項1に定義されたストリップ組立体と、請求項8に定義されたストリップ組立体を製造する方法とが提供される。さらに、本発明のストリップ組立体を有するフロントガラスが推奨され、そのようなフロントガラスを有する車両が提供される。
【0010】
本発明のストリップ組立体を実現するために、好ましくはプラスチック材料の第1押出ストランド(賦形ストリップストランド、ストランド部)から実現される単一片の賦形プラスチックストリップが提供される。賦形プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップに沿って延在するラッチ凹部を含む。ストリップ組立体を実現するために、プラスチック材料の第2押出ストランド(保護ストリップストランド、ストランドセクション)から好ましくは実現される単一片の保護プラスチックストリップがさらに設けられる。賦形プラスチックストリップ及びラッチ凹部の断面は、好ましくは、互いに対応するように構成されており、これにより、摩擦的に且つ/又は形状嵌め合い的に取外し可能なラッチ接続を実現することができる。
【0011】
断面が賦形プラスチックストリップのラッチ凹部に実質的に対応する装着リブを有する空気入口パネルは、好ましくは、その除去のために必要とされるよりも少ない力で、ラッチ凹部内に装着することができる。これは、例えば、ラッチ凹部に沿って延在する可撓性及び/又は好ましくは共押出(すなわち、押出機の賦形ダイを出る前に同一又は異なるプラスチック材料の溶融物を合流させることによって)及び/又はラッチ凹部内のノーズをラッチすることによって作製される可撓性及び/又は突出プラスチックリップによって達成可能であり、そのショア硬度は、好ましくは、ラッチ凹部のショア硬度よりも小さくてもよい。
【0012】
本発明によれば、第1のストリップ部及び第2のストリップ部が提供され、賦形プラスチックストリップは、第1のストリップ部内のみに延在するように構成され、保護プラスチックストリップは、好ましくは、両方のストリップ部内にのみ延在し、好ましくは、賦形プラスチックストリップの好ましくは全長に沿った少なくとも幾つかの部分において、ラッチ凹部内にラッチされるように構成される。
【0013】
2つのストリップ部は、第2のストリップ部が第1のストリップ部の端部において直接開始するように、及び/又は第1のストリップ部の終端部が第2のストリップ部の始端と一致するように、互いに直接隣接するように構成することができる。第2のストリップ部は、第1のストリップ部の長手方向に連続する連続体として空間内に延在してもよいし、第1のストリップ部の長手方向に垂直な角度で空間内に延在してもよい。
【0014】
賦形プラスチックストリップの長さと比較して、保護プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップの長さよりも大きい長さを有するように実施することができ、その結果として生じる保護プラスチックストリップの余剰長さは、製造プロセスの技術的許容限界外にあり、かつ/又は賦形プラスチックストリップの長さの一部である。保護プラスチックストリップの余分な長さは、少なくとも、作業者が手で握ることができるような寸法にすることができる。余剰長さは、平均的な成人の指の厚さにほぼ等しくすることができ、その結果、保護プラスチックストリップは、例えば、人の人差し指と親指との間でクランプすることができ、したがって、握ることができる。保護プラスチックストリップの表面は、余剰長さを握るときに作業者の手が滑り落ちないように設計することができる。これは、例えば、保護プラスチックストリップに沿って延在する粗面仕上げによって、及び/又はゴム被覆によって達成されてもよい。
【0015】
握る間に生じる梃子作用のため、ラッチ凹部から保護プラスチックストリップを手動で除去するのに力が必要であるという問題を容易に克服することができる。更に、ストリップ組立体は、追加の構成要素及び/又は組立工程を伴わない好ましくは押し出された連続ストランドから作ることができる。
【0016】
有利な実施形態は、従属クレーム及び以下の説明の主題である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、一方において保護プラスチックストリップが所定の位置にラッチされるときに、ラッチ凹部の内壁及び/又はラッチ凹部の対向する縁部を互いに対して支持することを可能にする。これにより、ラッチ凹部の断面が、ラッチ凹部に沿ってストリップ組立体に作用する外力によって変形するのを防止する。従って、ストリップ組立体は、その製造中又は製造直後に、(例えば、変形によって)処理され、若しくは(例えば、フロントガラスの縁に押圧することによって)嵌め込まれるか、又は(例えば、フロントガラスの縁に予め装着されて)運搬される。
【0018】
また、本発明は、空気入口パネルが最終的にラッチ凹部に嵌め込まれる前に、保護プラスチックストリップを手動で、又は(部分的に)自動的に、そして可能な最小の時間で除去することを可能にする。従って、ラッチ凹部は、車両上の最終組立まで、考えられる任意の空間的位置又は配置において最適に保護される。保護プラスチックストリップの除去は、好ましくは、作業者が、例えば人差し指及び親指を用いて、第2のストリップ部の領域で保護プラスチックストリップを把持し、これをラッチ凹部から引き出すことによって、手作業で、工具なしで完全に達成される。これは全体的に人間工学を改善し、作業者の身体的負担を軽減する。なぜなら、これは手の筋肉疲労が少ないからである。作業者が指の爪で保護用プラスチックストリップを取り外す誘引がなくなり、又、鋭利な刃物を使用する必要がなくなったため、作業者が負傷する危険性はゼロになる。保護プラスチックストリップとラッチ凹部との間のストリップ組立体にねじ込まれるワイヤループ又は他のループのような補助的な把持手段の必要性は、完全に排除することができる。
【0019】
さらに、車体及び/又はラッチ凹部への組立ダメージは、可能な限り最善の方法で回避される。全体として、これは組立コストを削減し、潜在的な苦情を防止する。これにより、保護プラスチックストリップを引き抜く操作の持続時間が今やより良く計算できるので、ストリップ組立体及び車両の大量生産において大幅なコスト節約を達成することが可能になる。それに応じて、生産ラインのペースをプリセットすることができる。実際、ラッチ凹部から保護用プラスチックストリップを取り外すのに要する時間は、今や無視できる程度になっている。今や、例えばロボットによって容易に把持できる把持手段が、保護プラスチックストリップの部分的又は完全に自動化された除去のために利用可能である。
【0020】
ラッチ凹部を有する第2の賦形プラスチックストリップが、第2のストリップ部内のみに延在するように設けられ、保護プラスチックストリップも、少なくとも一部分において、この第2の賦形プラスチックストリップのラッチ凹部内にラッチされるのが有利である。これは、突出する保護プラスチックストリップの把持面を増加させ、第1の賦形プラスチックストリップのラッチ凹部から保護プラスチックストリップを除去する間、グリップを強化する。
【0021】
もし、賦形プラスチックストリップが、フロントガラスの縁に沿って係合するための係合面を含むなら、特に有用である。さらに好ましくは、第1の接着面と、好ましくは一体型の保護フィルムで覆われた第2の接着面とを含む両面型の接着テープが設けられている。接着テープは、第1の接着面によって係合面に接着されることが好ましく、接着テープの保護フィルムは、好ましくは、両方のストリップ部内に延在される。
【0022】
接着テープの保護フィルムは、賦形プラスチックストリップの長さよりも大きい長さを有するように実施することができ、その結果として生じる接着テープの保護フィルムの余剰長さは、製造プロセスの技術的許容限界の範囲外にあり、及び/又は賦形プラスチックストリップの長さの一部である。結果として生じる接着テープの保護フィルムの余剰長さは、少なくとも、作業者が手でつかむことができるように寸法決めされる。余剰長さは、平均的な成人の指の厚さにほぼ等しくすることができるので、例えば、人の人差し指と親指との間に接着テープの保護フィルムをクランプすることができ、したがって、握ることができる。余剰長さは、好ましくは、典型的な製造公差の限界内で、保護プラスチックストリップの余剰長さと実質的に同一である。接着テープの保護フィルムの表面は、余剰長さをつかむときに作業者の手が滑り落ちないように設計することができる。これは、例えば、粗面仕上げ及び/又はゴム被覆によって達成されてもよい。
【0023】
係合面は、例えば、賦形プラスチックストリップがフロントガラスの縁に適合され、かつ/又はその位置に配置されている間、組立作業を単純化することができる。係合面は、好ましくは、接着テープの保護フィルムが第2の接着面上にある限り、賦形プラスチックストリップがフロントガラスの縁に適合されている間、ガイドとして機能する。賦形プラスチックストリップが所望の形状をとると、接着テープの保護フィルムは、簡単かつ効率的に、かつ保護プラスチックストリップがラッチ凹部から取り除くことができるのと同じ利点で、係合面から取り除くことができる。賦形プラスチックストリップから保護プラスチックストリップを一緒に、また同時に、接着テープの保護フィルムと一緒に、すなわち、単一の操作で除去することさえ可能になる。しかし、まず接着テープの保護フィルムを剥がし、続いて賦形プラスチックストリップをフロントガラスの縁に取り付け、次いでラッチ凹部から保護プラスチックストリップを剥がすことが好ましい。
【0024】
賦形プラスチックストリップの一端に、所定の破断線、又は賦形プラスチックストリップの長手方向の広がりに対して実質的に横断方向のパンチカットラインが設けられていると有利である。賦形プラスチックストリップは、打ち抜きによって、指定されたストリップ部内に容易に位置決めでき、打ち抜き操作を生産プロセスに容易に統合できるので、経済的に実施できる。ストリップ組立体は、所定の破断線により、後ほど、例えば車両上での組立プロセスにおいて齎される。したがって、後者の場合には、保護プラスチックストリップは、始めのうちは、所定の破断線によって接続された2つの賦形プラスチックストリップの両方のラッチ凹部によって少なくとも部分的に包み込まれ、ガイドされ続けるので、ラッチ凹部に加えて、保護プラスチックストリップは損傷からも保護される。
【0025】
さらに、好ましくは、賦形プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップに沿って延在し、少なくとも一部の部分で塑性変形可能であるコアを含み、該賦形プラスチックストリップは、少なくとも一部分において弓形に湾曲され、好ましくは直線及び/又は斜めの湾曲によって、フロントガラスの縁に対応するように理想的に予め曲げられており、好ましくは、この湾曲は、スプリングバックの補償のために設けることもできる。これにより、賦形プラスチックストリップを取り付けようとするエッジに順応させ、粘着させ、装着することが容易になる。組立作業が高速化される。賦形ストリップのコアは、単一片として、又は複数片として実施することができ、更に、金属又はプラスチックによって実施することができる。このプラスチックは、コアを取り囲む賦形ストリップのプラスチック材料と、ショア硬度及び/又は使用される材料に関して異なる場合がある。賦形ストリップのコア及び賦形ストリップの周囲のプラスチック材料は、共押出プロセスで実現されてもよい。
【0026】
好ましくはフロントガラスに予め取り付けられた本発明のストリップ組立体を有するフロントガラスは、特にフロントガラス交換を専門とする供給業者にとって、予備部品事業に非常によく適合する。このような供給業者は、多種多様な製造業者からフロントガラスを供給され、時にはこれらのフロントガラスを一時的に保管しなければならない。この場合、予め取り付けられたストリップ組立体は、一方で、保管中、又は輸送中、および/又は組立中にフロントガラスの長辺を保護する。他方、まだラッチされている保護プラスチックストリップは、賦形プラスチックストリップのラッチ凹部が、保管中にストリップ組立体に作用するフロントガラスの自重によって押しつぶされるのを保護する。
【0027】
フロントガラスが車両に恒久的に固定されると、突出する保護プラスチックストリップは、ラッチ凹部から保護プラスチックストリップ全体を取り除くための把持手段として、設置者によって使用される。その後、取り付け者は、空気入口パネルの取り付けリブをラッチのくぼみにラッチで留めることができる。ラッチ凹部の上述の設計により、これは、組立が特に容易であり、しかもほとんど力を伴わずに容易に達成される。
【0028】
本発明の方法は、好ましくは押し出しプラスチック及び/又は3D印刷プラスチックを用いて実現され、製造プロセス中に既にラッチ接続によって互いに接続されている一体のストランドから、本発明のストリップ組立体を特にコスト効率良く、かつ効率良く製造することを可能にする。方法ステップの順序は、以下の説明又は請求項の順序によって規定されず、請求項に記載された教示の範囲内で変更することができる。
【0029】
本発明のストリップ組立体を製造するための本発明の方法は、少なくとも以下に列挙される工程を含む。
・空気入口パネルの取り付けリブを受け入れるためのラッチ凹部を有する賦形ストリップストランド、及び少なくとも幾つかの部分において前記ラッチ凹部に機械的に解放可能にラッチされる保護ストリップストランドを提供し、且つ
・賦形ストリップストランドを加工領域で2つの区分に分割し、保護ストリップストランドを1つの片に残す。
【0030】
本発明の方法を洗練した方法では、賦形ストリップストランドを2つの部分に分割する前又はその後に、加工領域を含むストランド部が、賦形ストリップストランド及び保護ストリップストランドから切断される。ストランド部は、好ましくは、賦形ストリップストランド及び保護ストリップストランドの端部部分によって形成されるか、又はこれを含む。ストランド部は、ストリップ組立体の基礎を形成する。
【0031】
本発明のストリップ組立体を参照してここに記載される加工領域において、2つの部分への分割においては、本発明のストリップ組立体を参照して記載される2つのストリップ部の間に境界又は遷移領域を作成する。
【0032】
2つの部分への分割は、ストランド部を得る前又はその後に行うことができ、これにより、柔軟性が増し、アプリケーション固有のカスタマイズが可能になる。2つの部分への分割は、材料を後に分割するための所定の破壊線を、ストランド部の成形に引き続いて、または遅れて形成することによって形成してもよい。この場合、分割は、製造後、および組立前又は組立中又は組立後にのみ可能である。その代りに、又は追加して、2つの部分への分割は、打抜き又は切断の手段によって達成されてもよく、打抜き又は切断は、製造プロセスにおいて容易に統合され、好ましくは自動化され得る。このようにして、材料を貫通する切断が行われ、それによって、端部が賦形ストリップストランドから切断され、この端部は、任意に、賦形ストリップストランド及び保護ストリップストランドから除去され得る。本発明の方法を参照してここで説明する端部は、本発明のストリップ組立体を参照して説明した第2の賦形プラスチックストリップに対応するか、又は第2の賦形プラスチックストリップを形成する。
【0033】
パンチングは、好ましくは、少なくとも一部分において、保護ストリップストランド、又は保護ストリップストランドから生じる保護プラスチックストリップを避けるように構成された賦形ナイフを用いて行われ、それによって保護ストリップストランドは単一片のままであるか、又は少なくとも完全には切断されない。賦形ナイフは、好ましくは、賦形ストリップストランドまたはストランドセクションまたは賦形プラスチックストリップの断面に対応するように構成され、好ましくは、保護ストリップストランドまたは保護プラスチックストリップの断面のための凹部を含む。更に、本発明の方法の利点は、本発明のストリップ組立体、及びこの関連において言及される実施例及び変形例を参照して上述した利点に対応する。したがって、本発明の方法に関してもこの先行説明を参照する。本発明のさらなる利点および実施形態は、図面の以下の詳細な説明および基礎となる図面から明らかになる。
【0034】
これよりも前及びこれよりも後に言及した特徴、並びに以下にコメントする図面における特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、指定された組み合わせだけでなく、ここでは明示されていない他の組み合わせも、個別に又は単独で使用することもできることが理解される。これは、種々の実施例において、単に完成度のために示され及び/又は説明されているが、本発明にとって必須ではない全ての特徴、すなわち、本発明の効果を達成するために絶対に必要でない特徴に特に当てはまる。
【0035】
以下、本発明は、以下の例示的な実施形態を参照して、図面において概略的な形で図示され、図面を参照して簡単に説明される。別段の規定がない限り、同様又は機能的に同等の特徴には同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】押し出し成形または3D印刷されたプラスチック素材のストランドを示す。
【
図2】本発明により処理された第1のストリップ組立体を示す。
【
図3】加工された
図2のストリップ組立体の端部を示す。
【
図4】本発明に従って加工された第2のストリップ組立体を示す。
【
図5】本発明によるストリップ組立体の断面を示す。
【
図6】本発明によるストリップ組立体を備えたフロントガラスを示す。
【
図7】
図5の断面の代替例である断面の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、押出し及び/又は3D印刷プロセスによって少なくとも1つのプラスチック材料から製造された単一片の賦形ストリップストランド100dを示す。賦形ストリップストランド100dは、好ましくは連続した係合面102及びラッチ凹部103を含む。ラッチ凹部103に対応するように構成された保護ストリップストランド104aは、ラッチ凹部103内に形状嵌め合い及び/又は摩擦挿入される。保護ストリップストランド104aは、プラスチック材料から、好ましくは押し出し又は3D印刷によって、一体に形成される。両面接着テープ(見えない)は、係合面102に接着される。係合面102に接着されていない両面接着テープの第2の接着側は、保護フィルム105で覆われている。賦形ストリップストランド100d及び保護ストリップストランド104aの端部は、ストリップ組立体100の基礎をなすストランド部100cを形成する。ストランド部は、打抜き操作及び/又は切断操作によって、賦形ストリップストランド100d及び保護ストリップストランド104aから切断されてもよい。
【0038】
一般に使用することができるプラスチックは、充填剤を有み、又は含まず、且つ/又は多種多様なショア硬度を有する熱可塑性プラスチック及び/又は熱硬化性プラスチックである。適切な材料としては、PE (ポリエチレン)、PP (ポリプロピレン)、PA6(ポリアミド6)、PA12(ポリアミド12)、PA6.6(ポリアミド6.6)、ABS (アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PVC (ポリ塩化ビニル)、PVC/ABS、SAN (スチレンアクリロニトリル)、PC (ポリカーボネート)、PMMA (ポリメチルメタクリレート)等が挙げられる。
【0039】
図2は、本発明に従って加工され、第1のストリップ部100aおよび第2のストリップ部100bを有するストリップ組立体100を形成した、
図1から既知のストランド部100cを示す。この実施形態では、そのラッチ凹部103および係合面102(その大部分は両面接着テープ106およびその保護フィルム105によって視界から隠されている)を含む賦形プラスチックストリップ101は、典型的な製造公差の範囲内で第1のストリップ部100a内にのみ延在する。この実施形態では、保護プラスチックストリップ104は、2つのストリップ部100a、100b内にのみ延在し、典型的な製造公差の範囲内で、好ましくは賦形プラスチックストリップ101の全長に沿って延在し、少なくとも幾つかの部分において、ラッチ凹部103内で、形状嵌め合い且つ脱着可能にラッチされる。
【0040】
ここに示される好ましい実施態様において、賦形プラスチックストリップ101は、第1のストリップ部100aの始端から終端まで一体且つ連続的に延在し、保護プラスチックストリップ104は、第1のストリップ部100aの始端から第2のストリップ部100bの終端まで一体且つ連続的に延在する。このように、保護プラスチックストリップ104は、2つのストリップ部100a及び100bの間の境界を一体且つ連続的に橋渡しする。第2のストリップ部100bの領域では、保護プラスチックストリップ104は、少なくとも一部分において、自在に、且つ/又はラッチ凹部の案内なしに延在する。従って、第2のストリップ部100bにおいては、保護プラスチックストリップ104は、少なくとも幾つかの部分において、ラッチ凹部及び/又は賦形プラスチックストリップのプラスチック材料によって囲まれない。保護プラスチックストリップ104は、好ましくは、賦形プラスチックストリップ101の一端を越えて突出してもよく、この突出した部分は、少なくとも、突出した部分が、好ましくは保護プラスチックストリップ104が賦形プラスチックストリップ101のラッチ凹部から手動で除去することができるグリップ部分として働くような方法で、製造プロセスの技術的許容限界を明らかに超えている。
【0041】
この実施形態の有利な改良(この図には示されていない)においては、前述の両面接着テープ106および/または接着テープの保護フィルム105は、第1のストリップ部100aの始端から第2のストリップ部100bの終端まで一体且つ連続的に延在する。両面接着テープ106及び/又は接着テープの保護フィルム105は、かくして、2つのストリップ部100a及び100bの間の遷移領域(又は境界)110を一体且つ連続的に橋渡しする。第2のストリップ部100bの領域では、両面接着テープ106及び/又は接着テープの保護フィルム105は、少なくとも一部の部分において係合面から離れて延びている。従って、第2のストリップ部100bにおいては、両面接着テープ106及び/又は接着テープの保護フィルム105は、少なくとも一部の部分において、係合面上に配置されない。両面接着テープ106及び/又は接着テープの保護フィルム105は、好ましくは、賦形プラスチックストリップ101の一端を越えて突出してもよく、この突出した部分は、少なくとも、突出した部分が、賦形プラスチックストリップ101に沿って両面接着テープの保護フィルム105を両面接着テープ106から除去することができるグリップ部分として働くように、製造プロセスの技術的許容限界を明らかに超えている。好ましくは、突出部は、両面接着テープ106も含まず、少なくとも一部の部分には、接着テープの保護フィルム105のみを含む。この場合、前述の両面接着テープ106は、第1のストリップ部100aの始端から第1のストリップ部100aの終端まで一体に連続して延在し、同時に、接着テープの保護フィルム105は、第1のストリップ部100aの始端から第2のストリップ部100bの終端まで一体に連続して延びている。また、第1のストリップ部100aの端部における賦形プラスチックストリップの材料中の不連続部108も示されている。
【0042】
図3は、
図2から既知のストリップ組立体100の突出した保護プラスチックストリップ104を斜視図で詳細に示す。また容易に見られるのは、賦形プラスチックストリップ101と、係合面102と、保護プラスチックストリップ104を有するラッチ凹部103と、両面接着テープ106と、両面接着テープの保護フィルム105と、好ましくは金属製である賦形ストリップのコア107とを有するストリップ部100aである。賦形ストリップのコア107は、付加的に設けられることが好ましく、例えば、アルミニウムを含み、図に示されるように、複数の片として実施され得る。ラッチ凹部103は、断面がほぼU字形であり、少なくとも一部の部分においてラッチ凹部103に沿って延在する2つの好ましくは対向するラッチフックを含む。保護プラスチックストリップ104は、断面がほぼT字型であり、保護プラスチックストリップ104が、少なくとも幾つかの部分において、ロックフックに係合嵌め合い的にラッチされ得るように構成される。
図3では、組立体がラッチ状態で示されている。賦形プラスチックストリップ101の端部断面を表す図示された断面積は、所定の破断線108、パンチカット108、又は材料108を貫通するカットによって実現されてもよい。
【0043】
図4は、
図1から既知のストランド部100cを、本発明に従って前加工され、第1のストリップ部100aおよび第2のストリップ部100bを有するストリップ組立体100を形成した中間製品として示す。ここに示す好ましい実施形態では、ラッチ凹部103(図では見えない)および係合面102(その大部分は両面接着テープ106およびその保護フィルム105によって視界から隠されている)を含む(第1の)賦形プラスチックストリップ101が示されている。第1の賦形プラスチックストリップ101は、製造公差の範囲内で第1のストリップ部100a内にのみ延在する。ラッチ凹部103’及び係合面102’(その大部分は両面接着テープ106’及びその保護フィルム105によって視界から隠されている)を含む、好ましくは同様に構成された第2賦形プラスチックストリップ101’は、製造公差の限界内で第2のストリップ部100b内にのみ延在する。接着テープ106、106’は、その保護フィルム105を含み、好ましくは、両賦形プラスチックストリップ101、101’に沿って、およびその上を覆う両方のストリップ部100a、100b内で、連続して、且つ一体に延在し、少なくとも一部の部分で、両方の賦形プラスチックストリップ101、101’の係合面102、102’に接合される。
【0044】
保護プラスチックストリップ104は、ストリップ部100a、100bの両方の内部に、賦形プラスチックストリップ100、100’の両方に亘って一体且つ連続的に延在し、少なくとも一部分において、賦形プラスチックストリップ100、100’のラッチ凹部103、103’に、形状嵌め合い的及び/又は摩擦的且つ着脱可能にラッチされる。
【0045】
ここに示す好ましい実施形態では、第1の賦形プラスチックストリップ101は、第1のストリップ部100aの始端から終端まで一体且つ連続的に延びている。第2の賦形プラスチックストリップ101’は、好ましくは、第2のストリップ部100bの最初から最後まで一体且つ連続して延在する。保護プラスチックストリップ104は、好ましくは、第1のストリップ部100aの始端から第2のストリップ部100bの終端まで一体且つ連続して延びている。全ての実施形態において、2つのストリップ部100a及び100bが合致する遷移領域110は、保護プラスチックストリップ104によって一体且つ連続的に橋渡しされる。
【0046】
しかしながら、ここに示される好ましい実施形態では、
図2から既知の組立体とは反対的に、保護プラスチックストリップ104は、第2のストリップ部100bの領域内に自在に延在しない。保護プラスチックストリップ104は、少なくとも一部分において、第2の賦形プラスチックストリップ101’のラッチ凹部103’によって囲まれている。ラッチ凹部103’を含む第2の賦形プラスチックストリップ101’と、保護プラスチックストリップ104とから構成され、ストリップ部100aの観点から、製造プロセスの技術的許容限界を明らかに外れているこの突出組立体は、明らかに製造プロセスの技術的許容限界の範囲外であり、それによって、賦形プラスチックストリップ101のラッチ凹部103に沿って保護プラスチックストリップ104を容易に手動で除去することができるグリップ部分として作用する。
【0047】
この実施形態の有利な改良において、前述の両面接着テープ106および/または接着テープの保護フィルム105は、第1のストリップ部100aの始端から第2のストリップ部100bの終端まで一体且つ連続的に延在する。両面接着テープ106、106’及び/又は接着テープの保護フィルム105は、かくして、2つのストリップ部100a及び100bの間の遷移領域110を一体且つ連続的に橋渡しする。両面接着テープ106、106’及び/又は接着テープの保護フィルム105は、従って、2つのストリップ部100a及び100bの間の境界を一体且つ連続的に橋渡しする。
図2およびその中に示された組立体を参照して言及された有利な改良とは対照的に、両面接着テープ106’および/または接着テープの保護フィルム105は、第2のストリップ部100bの領域内に自在に延在しない。したがって、両面接着テープ106’は、少なくとも一部分において賦形プラスチックストリップ101’の係合面102’に接着される。ラッチ凹部103’を含む第2の賦形プラスチックストリップ101’、及び保護プラスチックストリップ104並びに両面接着テープ106’及び接着テープの保護フィルム105から成るこの突出組立体は、ストリップ部100aの観点から、製造プロセスの技術的許容限界の範囲外であり、保護プラスチックストリップ104及び/又は接着テープの保護フィルム105が賦形プラスチックストリップ101のラッチ凹部103又は係合面102に沿って容易に手動で除去することができるグリップ部分として作用する。両面接着テープ106、106’は、好ましくは、2つのストリップ部100a、100bの間の遷移領域110において貫通してカットされ、その結果、接着テープの保護フィルム105のみが、1つの部分および2つの部分の接着テープが遷移領域110に当接して残る。遷移領域110は、所定の破断線108、パンチカット108または材料108を貫通するカットによって実現されてもよい。好ましくは、賦形ストリップのコア107、107’は、両側および遷移領域110に隣接して設けられてもよく、例えば、アルミニウムを含み、複数の片として実施され、及び/又は断面内の異なる位置に設けられてもよい。
【0048】
図5は、ストリップ組立体100の断面を示す。この断面は、
図2に示されるストリップ組立体100のストリップ断面100aの断面、および
図4に示されるストリップ組立体100のストリップ断面100aおよび100bの断面を記述する。
【0049】
詳細に示すのは、単一片の保護プラスチックストリップ104と、賦形プラスチックストリップ101、101’と、係合面102、102’の自由部分(free section)と、ラッチ凹部103、103’と、両面接着テープ106、106’と、接着テープの保護フィルム105と、賦形ストリップのコア107、107’である。賦形ストリップのコア107、107’は設けられているのが好ましく、例えば、アルミニウムを含み、さらに、図に示されるように、複数の片として実施されてもよい。ラッチ凹部103、103’は、断面がほぼU字形であり、少なくとも一部分において、ラッチ凹部103、103’に沿って延在する2つの好ましくは対向するラッチフックを含む。保護プラスチックストリップ104は、断面がほぼT字型であり、保護プラスチックストリップ104が、少なくとも幾つかの部分において、ロックフックと一緒に形状嵌め合いラッチされ得るように構成される。
図5では、ラッチされた状態が図示されている。
【0050】
図6は、
図2に示すような本発明のストリップ組立体100を備えたフロントガラスを示す。ストリップ組立体100の記載及び/又は請求の範囲に記載された実施形態のいずれかを代替的に使用することができる。この実施形態では、本発明のストリップ組立体100は、両面接着テープ106(フロントガラスの縁部によって視界から隠されている)によって、フロントガラスの下縁部に沿って、既に接着されている。この図において、保護プラスチックストリップ104は、保護プラスチックストリップ104を除去するための把持手段として右側に突出する。代替的に、保護プラスチックストリップ104は、保護プラスチックストリップ104を除去するための把持手段として、左側に突出してもよい。さらに代替的に、保護プラスチックストリップ104は、保護プラスチックストリップ104を除去するための把持手段として両側に突出してもよい。
【0051】
空気入口パネル(図示せず)を設置するために、最初に、フロントガラス111が、本発明のストリップ組立体100とともに、車体(図示せず)の開口部、例えば、自動車のAピラーのフロントガラスフランジに取り付けられる。次いで、本発明によれば、空気入口パネルの取り付けリブがラッチ凹部103にラッチされる前に、保護プラスチックストリップ104が賦形プラスチックストリップ101のラッチ凹部103から除去される(図中の保護プラスチックストリップ104によって視界から隠される)。
【0052】
また、少なくともフロントガラス111と、まだ取り付けられていない本発明のストリップ組立体100とを含む組立体キット(図示せず)を、予備部品事業のために提供することができる。
【0053】
図7は、ストリップ組立体100の断面の代替実施形態を示す。この部は、
図2に示すストリップ組立体100のストリップ部100aの断面、及び
図4に示すストリップ組立体100のストリップ部100a及び100bの断面、並びに
図1に示すストランド部100cの好ましい断面を記述する。
【0054】
両側にアンダーカットを有するほぼU字型のラッチ凹部103、103’に加えて、この実施形態は、好ましくはアンダーカットを伴わないほぼU字型のフロントガラス側取り付け溝109、109’も含み、この取り付け溝はフロントガラスの縁に沿って配置することができ、フロントガラス縁を両側に収容する。取り付け溝109、109’のフロントガラス側開口部は、ラッチ凹部103、103’の空気入口パネル側開口部に対してほぼ垂直である。フロントガラスの縁に沿ったアセンブリの接着取り付けのための両面接着テープを有する係合面は、ここでは、装着溝109、109’と分配されるか、またはそれと置き換えられることができる。この点以外においては本発明の他のすべての特徴もここで実現し、同じ参照番号を付す。さらに、説明を参照する。
【0055】
上述および/または図示の実施形態の全てにおいて、賦形プラスチック片101、101’は、異なる材料で作製されてもよい。特に、車体の開口部に沿って、及び/又は車両の窓ガラスに沿って延在する部分は、少なくとも幾つかの部分及び/又は領域において、賦形プラスチック片101、101’のショア硬度よりも低い、及び/又はラッチ凹部103、103’のショア硬度よりも低いショア硬度を有するプラスチック材料を用いて実現されることが好ましい。図示される実施形態は、好ましくは、共押出プロセスによって製造されてもよい。あるいは、3D印刷プロセスを使用するか、または両方の製造プロセスを同時に使用することも考えられる。ストリップアセンブリコンポーネントを連続ストランドとして一片に製造することを好ましく可能にする他のプロセスも適用可能であり、推奨される。
【符号の説明】
【0056】
100 ストリップ組立体
100a 第1のストリップ部
100b 第2のストリップ部
100c ストランド部
100d 賦形ストリップストランド
101 (第1)賦形プラスチックストリップ
101’ 賦形プラスチックストリップ(端部)
102、102’ 係合面
103、103’ ラッチ凹部
104 保護プラスチックストリップ
104a 保護ストリップストランド
105 接着テープの保護フィルム
106、106’ 接着テープ
107、107’ 賦形ストリップのコア
108 パンチカット、切断の所定の破断線
109、109’ 取付溝
110 境界/遷移領域(ストリップ部100aと100bの間の)、加工領域
111 フロントガラス
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入口パネルの装着リブを受容するためのラッチ凹部(103)を含む賦形プラスチックストリップ(101)を有し、さらにラッチ凹部(103)において機械的にラッチ可能な単一片の保護プラスチックストリップ(104)を有するストリップ組立体(100)であって、
第1及び第2のストリップ部(100a、100b)が設けられ、且つ前記賦形プラスチックストリップ(101)が第1のストリップ部(100a)内のみに
前記第1のストリップ部(100a)から始端から終端まで一体且つ連続的に延在するように構成され、前記保護プラスチックストリップ(104)が、両方のストリップ部(100a、100b)内
に前記第1のストリップ部(100a)の始端から第2のストリップ部(100b)の終端まで一体且つ連続的に延在し、賦形プラスチックストリップ(101)に沿って少なくともいくつかの部分においてでラッチ凹部(103)にラッチされるように構成されていることを特徴とするストリップ組立体(100)。
【請求項2】
ラッチ凹部(103’)を有する第2の賦形プラスチックストリップ(101’)が、第2のストリップ部(100b)内のみに延在するように設けられ、保護プラスチックストリップ(104)も、少なくとも一部分において、第2の賦形プラスチックストリップ(101’)のラッチ凹部(103’)内にラッチされることを特徴とする請求項1に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項3】
前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、フロントガラスの縁部に沿って係合するための係合面(102、102’)を含み、両面接着テープ(106、106’)は、前記接着テープの保護フィルム(105)によって覆われる第1の接着面及び第2の接着面を含み、前記両面接着テープ(106、106’)は、前記第1の接着面によって前記係合面(102、102’)に接着され、前記両面接着テープの保護フィルム(105)は、両方のストリップ部(100a、100b)内に延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項4】
前記賦形プラスチックストリップ(101)の端部は、前記賦形プラスチックストリップ(101)の長手方向の広がりを実質的に横切る所定の破断線
(108)又はパンチカット線(108)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項5】
前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)に沿って延在し、塑性変形可能であるコア(107、107’)を含み、前記賦形プラスチックストリップ(101、101’)は、好ましくは、少なくとも一部分において、その長手方向の範囲に沿って弓形に湾曲していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のストリップ組立体(100)を有するフロントガラス(111)。
【請求項7】
請求項6に記載のフロントガラス(111)を有する車両。
【請求項8】
ストリップ組立体(100)を製造する方法であって、
空気入口パネルの装着リブとともに、少なくとも一部分においてラッチ凹部(103)において機械的に脱着可能にラッチされる保護ストリップストランド(104a)を受け入れるためのラッチ凹部(103)を有する賦形ストリップストランド(100d)を提供する工程を
有するとともに、
前記賦形ストリップストランド(100d)を加工領域(110)で2つの部分に分割し、前記保護ストリップストランド(104a)は、一体のままとする
ことを特徴とする
方法。
【請求項9】
2つの部分に分割する前又はその後に、加工領域(110)を含むストランド部(100、100c、104)が、賦形ストリップストランド(100d)及び保護ストリップストランド(104a)から切断されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加工領域(110)に所定の破断線(108)を設けることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記加工領域(110)に材料(108)を貫通する切断部を設けることを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記材料(108)を貫通する切断は、賦形パンチングナイフによってなされることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
2つの区画に分割する際に、端部(101’)が賦形ストリップストランド(100d)から分離され、任意に除去されることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
賦形ストリップストランド(100d)が、フロントガラスの縁部に沿って係合するための係合面(102、102’)を含み、両面接着テープ(106、106’)が、接着テープの保護フィルム(105)によって覆われた第1の接着面及び第2の接着面を含み、2つの部分に分割される前に、接着テープ(106、106’)が第1の接着面によって係合面(102、102’)に接着され、2つの部分に分割される間、接着テープ(106、106’)は、接着テープの保護フィルム(105)が一体に残るように切断されることを特徴とする、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のストリップ部(100b)内に延在する保護プラスチックストリップ(104)の部分が把持手段として使用され、空気入口パネルの装着リブがラッチ凹部103にラッチされる前に、この把持手段を用いて保護プラスチックストリップ(104)がラッチ凹部(103)から除去されることを特徴とする請求項6に記載のフロントガラス(111)に空気入口パネルを装着するための方法。
【請求項16】
フロントガラスに取り付けるための
請求項1に記載のストリップ組立体(100)の
使用。
【国際調査報告】