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特表2022-530704CVD方式で形成されたSIC構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(54)【発明の名称】CVD方式で形成されたSIC構造体
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/42 20060101AFI20220623BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
C23C16/42
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576374
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 KR2020007850
(87)【国際公開番号】W WO2020256411
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074450
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518450083
【氏名又は名称】トーカイ カーボン コリア カンパニー.,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン チュル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ソン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
4K030BA27
4K030BA29
4K030BB03
4K030KA05
5F004AA16
5F004BA04
5F004BB23
5F004BB28
5F004BB29
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、CVD方式を用いて製造した半導体製造用部品に関し、本発明の一側に係るCVD方式で形成されたSiC構造体は、チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体において、プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向として定義するとき、前記第1方向の長さが前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含む、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項2】
前記結晶粒は、前記第1方向を基準にして-45°~+45°方向に最大の長さを有するように配列される、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項3】
前記結晶粒の第1方向の長さ/前記結晶粒の第2方向の長さ値(縦横比)は、1.2~20である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項4】
前記SiC構造体は、
前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、
前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面と、
を含む、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項5】
前記第1方向の平均強度は133Mpa~200Mpaであり、前記第2方向の平均強度は225Mpa~260Mpaである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項6】
前記第1方向の平均強度/前記第2方向の平均強度値は0.55~0.9である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項7】
前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~25Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~40Ωcmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項8】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は0.05~3.3である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項9】
前記第1方向の抵抗率は10Ωcm~20Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は21Ωcm~40Ωcmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項10】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.25~0.95である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項11】
前記第1方向の抵抗率は0.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は2.5Ωcm~25Ωcmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項12】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.04~0.99である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項13】
前記第1方向の抵抗率は1.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は0.8Ωcm~1.7Ωcmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項14】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.15~3.2である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項15】
前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~5.0×10-3Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~3.0×10-3Ωcmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項16】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.1~3.3である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項17】
前記SiC構造体の硬さは方向に関わらず、2800kg/mm~3300kg/mmである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項18】
前記第1方向の硬さ/前記第2方向の硬さ値は、0.85~1.15である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項19】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値はそれぞれ第1方向に0.7~2.1であり、第2方向に0.4~0.75である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項20】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値の、第1方向に対する値/第2方向に対する値は1.0~4.4である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項21】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、(111)結晶面の方向のピーク強度は、第1方向には3200~10000であり、第2方向には10500~17500である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項22】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、前記第1方向の(111)結晶面の方向のピーク強度/前記第2方向の(111)結晶面の方向のピーク強度値は0.2~0.95である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項23】
前記第1方向の熱膨張係数は4.0×10-6/℃~4.6×10-6/℃であり、前記第2方向の熱膨張係数は4.7×10-6/℃~5.4×10-6/℃である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項24】
前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は1.0未満である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項25】
前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は0.7以上1.0未満である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項26】
前記第1方向の熱伝導度は215W/mk~260W/mkであり、
前記第2方向の熱伝導度は280W/mk~350W/mkである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項27】
前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は1.0未満である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項28】
前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は0.65~1.0未満である、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項29】
前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、
前記SiC構造体は、第1面の少なくとも一部が支持部と接触する、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項30】
前記SiC構造体は、エッジリング、サセプタ、及びシャワーヘッドのうちの1つである、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項31】
前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、
第1面の面積の合計が第2面の面積の合計よりも広い、請求項1に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC素材を含む半導体製造用部品に関し、より詳しくは、SiC素材を含む乾式エッチング装置に利用可能な構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造場費に用いられる部品のうち、プラズマに露出される部品は単結晶及び柱状晶シリコンを用いている。500mm前後の製品である場合、単結晶シリコンを用いており、600mm以上の製品である場合、単結晶シリコンがないことから、結晶粒を大きく成長させた柱状晶シリコンを使用し、この場合にその純度は99.99999%(6N)程度である。
【0003】
最近、半導体工程の発展に伴って蒸着される層の個数が急激に増加し、多くの層を一回にエッチングし、エッチングされた形態を垂直にするために高いパワーを用いている。このように高いパワーを使用しているため、すでに使用していたシリコンは急激なエッチングが行われる問題が発生した。また、シリコン製品の消耗に所要される時間が減少することになり、装備内の頻繁な内部クリーニングの問題及び消耗された部品の取替えに多くの時間が費やされた。これは、生産量の損失につながるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、耐プラズマ素材としてSiCのような耐プラズマ特性の優れた素材を使用する方法が導入された。
【0005】
従来には、部品の使用時間の増加のために酸化物や窒化物、炭化物素材のうち耐プラズマの優れた素材の適用を推進したが、エッチング過程から出てくる成分及び工程ガスとの反応で発生するパーティクル(particle)が問題になり、多くの素材が適用されていない。CVD方式により製造されたSiCの場合、上記のようなパーティクル問題がなく、6Nレベルの超高純度素材を生産することができるため、既存のシリコン部品を代替している。
【0006】
最近では、CVD-SiCの素材特性に対する研究が引き続いており、結晶粒の配向によりプラズマに向かっている面の設計を異にし、製品の耐プラズマ特性を増大するための努力が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した問題を認識し、独自の物性を保持したSiC構造体を製造しようとする発明者の研究により導き出された結論に基づいたものである。
【0008】
本発明の目的は、従来におけるSiC素材の導入に汲々としたSiC構造体製造方式に新しい概念を導入し、特定の方向に結晶粒の配列され耐プラズマの特性が良くなるだけでなく、構造体の一部がプラズマによってエッチングされてもエッチング工程中にパーティクルが発生せずエッチングが行われる面に均一なエッチングを行うための構造体を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、XRD分析の上、結晶面の成長を制御して配列方向による物性を調整して、より優れた耐食性をもってエッチング設備に最適化されたSiC構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側に係るCVD方式で形成されたSiC構造体は、チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含む。
【0011】
一実施形態によると、前記結晶粒は、前記第1方向を基準にして-45°~+45°方向に最大の長さを有するように配列されることができる。
【0012】
一実施形態によると、前記結晶粒の第1方向の長さ/前記結晶粒の第2方向の長さ値(縦横比)は、1.2~20であってもよい。
【0013】
一実施形態によると、前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面とを含むことができる。
【0014】
一実施形態によると、前記第1方向の平均強度は133Mpa~200Mpaであり、前記第2方向の平均強度は225Mpa~260Mpaであってもよい。
【0015】
一実施形態によると、前記第1方向の平均強度/前記第2方向の平均強度値は0.55~0.9であってもよい。
【0016】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~25Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~40Ωcmであってもよい。
【0017】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は0.05~3.3であってもよい。
【0018】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率は10Ωcm~20Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は21Ωcm~40Ωcmであってもよい。
【0019】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.25~0.95であってもよい。
【0020】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率は0.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は2.5Ωcm~25Ωcmであってもよい。
【0021】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.04~0.99であってもよい。
【0022】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率は1.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は0.8Ωcm~1.7Ωcmであってもよい。
【0023】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.15~3.2であってもよい。
【0024】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~5.0×10-3Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~3.0×10-3Ωcmであってもよい。
【0025】
一実施形態によると、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.1~3.3であってもよい。
【0026】
一実施形態によると、前記SiC構造体の硬さは方向に関わらず、2800kg/mm~3300kg/mmであってもよい。
【0027】
一実施形態によると、前記第1方向の硬さ/前記第2方向の硬さ値は、0.85~1.15であってもよい。
【0028】
一実施形態によると、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値はそれぞれ第1方向に0.7~2.1であり、第2方向に0.4~0.75であってもよい。
【0029】
一実施形態によると、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値の、第1方向に対する値/第2方向に対する値は1.0~4.4であってもよい。
【0030】
一実施形態によると、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、(111)結晶面の方向のピーク強度は、第1方向には3200~10000であり、第2方向には10500~17500であってもよい。
【0031】
一実施形態によると、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、前記第1方向の(111)結晶面の方向のピーク強度/前記第2方向の(111)結晶面の方向のピーク強度値は0.2~0.95であってもよい。
【0032】
一実施形態によると、前記第1方向の熱膨張係数は4.0×10-6/℃~4.6×10-6/℃であり、前記第2方向の熱膨張係数は4.7×10-6/℃~5.4×10-6/℃であってもよい。
【0033】
一実施形態によると、前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は1.0未満であってもよい。
【0034】
一実施形態によると、前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は0.7以上1.0未満であってもよい。
【0035】
一実施形態によると、前記第1方向の熱伝導度は215W/mk~260W/mkであり、前記第2方向の熱伝導度は280W/mk~350W/mkであってもよい。
【0036】
一実施形態によると、前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は1.0未満であってもよい。
【0037】
一実施形態によると、前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は0.65~1.0未満であってもよい。
【0038】
一実施形態によると、前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、前記SiC構造体は、第1面の少なくとも一部が支持部と接触することができる。
【0039】
一実施形態によると、前記SiC構造体は、エッジリング、サセプタ、及びシャワーヘッドのうちの1つであってもよい。
【0040】
一実施形態によると、前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、第1面の面積の合計が第2面の面積の合計よりも広いものであってもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、耐プラズマ特性が改善されて取替えの周期が長くなるSiC構造体を製造することができる。また、本発明で提案するSiC構造体は、プラズマによるエッチング率が低いことからクラックやホールの発生頻度を低くし、チャンバ内を汚染させることで不良品製造の原因となる素材の飛散率を減らし得る。
【0042】
本発明の一実施形態に係るSiC構造体は、特定の方向に結晶粒が配列され、構造体の一部がプラズマによってエッチングされても均一な抵抗率を保持することができ、抵抗による電荷蓄積の形状が防止されることができ、エッチング工程のうちポリマーなどの異種素材の付着現像が改善される効果がある。
【0043】
また、目的にに応じて、特定方向の抵抗率が適切なレベルで制御されたSiC構造体を提供できる効果があり、また、XRD分析上、結晶面の制御を介して耐食性が増加し、エッチングの均一性が確保されたSiC構造体を提供できる効果がある。
【0044】
また、本発明の一実施形態によれば、特定方向への低い抵抗率値によってSiC構造体のプラズマ露出面への電荷蓄積を防止することができ、SiC構造体の帯電現像が改善されてエッチング工程のうちポリマーの付着現像を改善できるという効果を期待できる。
【0045】
また、本発明の一実施形態によれば、特定の方向への熱伝導度値及び熱膨張係数値を制御することで、チャンバ内で特定の方向への効率的な熱伝達の効率を向上させることができ、また、温度が上昇した状態で行われるエッチング工程過程においても正確な程度でプラズマエッチングの深さを調節することができる。
【0046】
本発明で提案する内容により、本発明で提案するSiC構造体を用いて半導体製造装置の部品を設計でき、該当部品の取替え周期が増加し、それから製造される半導体部品の品質が向上することにより高い品質の半導体デバイスをを製造できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体が装着される通常のプラズマチャンバ内の構造を概略的に示した断面図である。
図1B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例として、更なる通常のプラズマチャンバ内のエッジリングにウェハーが装着される構造を示した断面図である。
図1C】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例に該当するエッジリングにおいて定義される第1面及び第2面を表示した概略図である。
図2A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断した断面に含まれている結晶粒形態を概略的に示した断面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第2方向に切断した断面に含まれている結晶粒形態を概略的に示した断面図である。
図2C図2A及び図2Bに対応する本発明の一実施形態に係るSiC構造体のSEM写真である。
図2D図2A及び図2Bに対応する本発明の一実施形態に係るSiC構造体のSEM写真である。
図3A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図3B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図3C】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図3D】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図3E】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図3F】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断された断面において結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
図4】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において第1方向及び第2方向で測定した強度値分布を示すグラフである。
図5A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した抵抗率値分布(第2方向が30Ωcm内外の構造体、第2方向が10Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm以下の構造体)を示すグラフである。
図5B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した抵抗率値分布(第2方向が30Ωcm内外の構造体、第2方向が10Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm以下の構造体)を示すグラフである。
図5C】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した抵抗率値分布(第2方向が30Ωcm内外の構造体、第2方向が10Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm以下の構造体)を示すグラフである。
図5D】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した抵抗率値分布(第2方向が30Ωcm内外の構造体、第2方向が10Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm以下の構造体)を示すグラフである。
図6】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した硬さ値分布を示すグラフである。
図7】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定したXRD分析値のうち(111)結晶面の回折強度値の分布を示すグラフである。
図8A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向に強度を測定する概略的な方法が示されている図である。
図8B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向に強度を測定する概略的な方法が示されている図である。
図9A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向に抵抗率を測定する概略的な方法が示されている図である。
図9B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向に抵抗率を測定する概略的な方法が示されている図である。
図10A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向に硬さを測定する概略的な方法が示されている図である。
図10B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向に硬さを測定する概略的な方法が示されている図である。
図11A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向にXRD回折分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図11B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向にXRD回折分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図12A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向に熱膨張率分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図12B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向に熱膨張率分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図13A】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向に熱伝導度分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図13B】本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第2方向(図に熱伝導度分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
図14】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向の断面と第2方向単面の微細組織(結晶粒の構造)写真と、該当の微細組織がプラズマに露出された場合、エッチングされる形態を示すSEM写真である。
図15】本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向プラズマエッチング量と第2方向プラズマエッチング量を分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。以下で説明する実施形態は、実施形態に対して制限しようとするものではなく、これに対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解されなければならない。
【0049】
本明細書で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0050】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0051】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0052】
一般に、CVD方式で成長したSiC素材は、β-SiCのキュービックの構造を有していると知られているが、その結晶相は、シリコンに類似の閃亜鉛鉱型(zinc blende)の構造を有している。したがって、シリコンの結晶構造において結晶方向が(111)面をみると、単位面積当たり原子数が最も多く示されている。このように、CVD SiC素材も同じ(111)面の方向で最も多い原子数(coordinate number、3)を有する。
【0053】
単位体積当たり原子数が多くなることは、該当の面方向にプラズマに露出される場合、相対的に耐プラズマ特性(プラズマ対抗力)が増加することを意味する。したがって、同じ素材でも単位面積当たり原子数が多い方向に結晶面を配列することが、耐プラズマ素材において品質を向上させ得る重要な原理となる。CVD方式で成長されたSiC素材の場合、(111)方向の結晶粒が多い側がプラズマに多く露出される面として設計されることで、SiC構造体の表面が高い耐プラズマ特性を有するように設計することができる。
【0054】
また、CVD方式で成長したSiC素材において、耐プラズマ特性は、結晶粒の配向と均一な配列にも影響を受けるようになる。結晶粒のうち大きい結晶粒と相対的に小さい結晶粒が形成された場合を比較すれば、プラズマに露出されるとき、小さい結晶粒が形成された場合が先に結晶粒が離脱されたり又はエッチングされ、素材内に掘り込む形態のようにエッチングされる。さらに強いプラズマに露出されたり、プラズマにさらに長く露出される場合に大きい結晶粒も離脱するが、この場合にエッチングの厚さが急速に増加する現像が示される。したがって、結晶粒の配向及び大きさの分布は、SiC構造体のエッチング特性に影響を与える重要な要素となる。
【0055】
一方、SiC構造体において、プラズマが主に到達する特定の面を基準にしてSiC構造体の物性をデザインし、加工することが耐プラズマ特性を高める1つの要素になり得る。
【0056】
本発明において、SiC構造体でプラズマに最も多く露出される面をSiC構造体の第1面100aとして定義する。前記プラズマに最大露出される第1面に垂直な方向(プラズマがSiC構造体に近づく方向)を第1方向であると定義する。前記第1方向は、一例として、チャンバの高さ方向、エッジリングの高さ方向に該当する。ここで、もし、上記で想定された第1方向ではない他の方向にプラズマがSiC構造体として最も多く進入するように製品を設計する場合、プラズマが到達するやいなや、小さい結晶粒の離脱により急激なエッチングが生じ、均一でないエッチングが発生する恐れがある。また、ひどい場合は、大きい結晶粒までも離脱して飛散粒子による問題が発生する場合もある。
【0057】
このような素材で部品を製造する場合、どのような面をどのような配向に設計するかは、素材の耐プラズマ特性を強化する上で重要な問題である。
【0058】
本発明は、SiC構造体において、耐プラズマ特性に優れて取替え周期が長くなることで生産性が向上し、高品質の半導体製造用部品を安定的に生産できるエッジリング、シャワーヘッドなどのSiC構造体を提案するためのものである。本発明で提案するSiC構造体は、上部からのプラズマに露出される環境の乾式エッチング装置に適用される場合、エッチングされる量が少なくて飛散量が減少する長所がある。また、本発明のSiC構造体は、従来における構造体に比べて取替えの周期が長くなるなど、生産コストを節減すると同時に、優れた品質の半導体製造用部品を製造できるという利点がある。
【0059】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体が装着される通常のプラズマチャンバ内の構造を概略的に示した断面図であり、図1Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例として、更なる通常のプラズマチャンバ内のエッジリングにウェハーが装着される構造を示した断面図であり、図1Cは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例に該当するエッジリングにおいて定義される第1面100a及び第2面100bを表示した概略図である。
【0060】
図1Aを参照して本発明で提案するSiC構造体が用いられるプラズマチャンバについて確認することができ、図1B及び図1Cを参照して、一実施形態として提案するSiC構造体について第1方向及び第2方向、第1面及び第2面がどのように定義されるかを確認することができる。
【0061】
本発明で提案するSiC構造体の1つであるエッジリングは、具体的にはウェハーが載置される位置に応じて様々な形態に実現されることができるが、基本的に、図1Cに示すような平坦なリング型構造又は円筒状の構造をもって図1A及び図1Bに示すような形態に装着されてもよい。しかし、基本的にエッジリングは高さに比べて幅がさらに広い形態を有していることが一般的であるため、リング型構造と称することが好ましい。
【0062】
ここで、エッジリングの第1方向に測定される物性と第2方向に測定される物性との間には差が存在するよう、又は、その比率が適切なレベルに制御されるようSiC構造体を製造することができる。
【0063】
これは、プラズマが全ての方向に均等にSiC構造体をエッチングするものではないため、多い量のプラズマがアクセス、進入する方向には高レベルの物性を、相対的に少ない量のプラズマが接近する方向には比較的に低いレベルの物性を保持すれば良いためである。また、プラズマチャンバ内で構造的、熱的、電気的に優れた性能を効率よく実現できる物性を有するよう部品を設計することができる。
【0064】
素材開発において、要求するレベルの物性が達成できるように開発することは、数値で確認するよりも多くの努力及びコストが求められる。全方向に高いレベルの物性(強度、硬さ、結晶粒の大きさ、熱伝導度、熱膨張係数など)が実現できるように製造する場合に優れたSiC構造体を製造することができるものの、このような物性レベルを満足するためにSiC構造体を設計することは極めて高いコスト及び技術が求められる問題がある。
【0065】
本発明は、乾式エッチング装置に装着される場合、優れたレベルの耐プラズマ特性を保持しながらも工程生産性を高めてコストを節減できるSiC素材の蒸着方法に対する研究を行った結果に関する。
【0066】
下記では、本発明において設計したSiC構造体について詳説する。
【0067】
図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向に切断した断面(図2A)、及び第2方向に切断した断面(図2B)に含まれている結晶粒形態を概略的に示した断面図であり、図2C及び図2Dは、図2A及び図2Bに対応する本発明の一実施形態に係るSiC構造体のSEM写真である。
【0068】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、図2A図2Dを参考にして説明すると、前記SiC構造体の結晶粒は、第2方向よりも第1方向に切断した面で相対的に長い形態に形成されてもよい。このように特定の方向にさらに長く形成される結晶粒を含んでいる場合、欠陥やエッチングが発生するときに結晶粒の方向性による製品に有利な効果を設計して実現することができる。
【0069】
本発明の一側に係るCVD方式で形成されたSiC構造体は、チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体において、プラズマに最大露出されている面に垂直な方向を第1方向と定義し、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、前記第1方向の長さが前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含む。
【0070】
前記SiC構造体は、第1方向に相対的に長く形成された結晶粒の構造を含み、このような構造は、SEM、偏光学顕微鏡などを確認して肉眼で容易に確認することができる。
【0071】
一実施形態によれば、前記結晶粒は、前記第1方向を基準にして-45°~+45°方向に最大の長さを有するよう配列されたものであってもよい。前記結晶粒は、第1方向と完ぺきに一致する方向に全てが配列されたものではないが、結晶粒の長い長さが形成される方向は第1方向に近い方向であってもよく、一例として、第1方向を基準にして-30°~+30°内の角度で成長する結晶粒を含んでもよい。
【0072】
一実施形態によれば、前記結晶粒の第1方向の長さ/前記結晶粒の第2方向の長さ値(縦横比)は、1.2~20であってもよい。
【0073】
前記結晶粒の第1方向の大きさ/第2方向の大きさの比は、一例として2.5以上であってもよく、また、好ましくは、17.5以下であってもよい。前記の大きさの比は一例として、1.25以上であってもよく、9.0以下であってもよい。前記結晶粒は、第1方向の長さが長いほど、針状のような形態に実現されてもよい。
【0074】
前記SiC構造体は、結晶粒の第1方向の長さが第2方向の長さに比べて1.2倍ないし最大約20倍レベルであってもよい。一例として、前記の大きさは平均の大きさであってもよい。
【0075】
本発明で提案するSiC構造体に対して、20mm×10mm×5mmの大きさで試片を準備し、合計175個のポイントに対して結晶粒の第1方向及び第2方向の大きさをSEM装備を活用して500倍率を基準にして測定し、その結果を分析した。
【0076】
図3は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例として、SiC構造体の第1方向の断面において結晶粒の大きさを測定した過程を示すSEM写真である。
【0077】
図3A図3Fに示すように、本発明で結晶粒と称する部分は、SiC構造体の断面で微細顕微鏡の写真上において相対的に濃い色で示した部分である。図3A図3Fを参照して上述したように、第1方向を中心に結晶粒が配列されていることが確認できる。
【0078】
下記の表1-1、2は、上述したように、本発明のSiC構造体を用いて合計175回にわたって各方向に測定した結晶粒の大きさと比を測定した値である。
【0079】
【表1-1】
【表1-2】
【0080】
結晶粒の大きさ分析
一実施形態によれば、前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含む。
【0081】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、SiC構造体に対して1mm(縦)×2mm(横)×10mm(高さ)の大きさで試片を10個準備し、第1方向及び第2方向の強度値を測定してその結果を分析した。
【0082】
図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向(図8A)及び第2方向(図8B)に強度を測定する概略的な方法が示されている図である。
【0083】
万能材料分析器(UTM、メーカーUNITECH)を用いて測定し、試片はリング(Ring)素材を分析するために最大に小さく製造し、分析は3曲点の曲げ強度測定を基準にして測定した。
【0084】
子間距離は2mmに調整し、クロスヘッド速度05mm/min、span11mmにして測定し、その他の試片製造及び測定はKSL 1591の規定で測定した。測定時に測定しようとする第1面に垂直な方向、第2面に垂直な方向に直接力を加え、それぞれの強度値を測定した。
【0085】
下記の表2は、上述したように本発明のSiC構造体の一例として、SiC構造体を用いて10個の試片に対して第1方向及び第2方向で測定した強度の大きさとその比を測定した値である。
【0086】
【表2】
【0087】
強度分析
図4は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した強度値分布を示すグラフである。
【0088】
一実施形態によれば、前記第1方向の平均強度は133Mpa~200Mpaであり、前記第2方向の平均強度は225Mpa~260Mpaである。
【0089】
一実施形態によれば、前記第1方向の平均強度/前記第2方向の平均強度値は0.55~0.9であってもよい。
【0090】
前記SiC構造体の一例として、前記第1方向の平均強度に比べて第2方向の平均強度値がさらに高い特徴を有してもよい。これは、半導体工程で使用するSiC構造体の形状がほとんど第1方向に薄いことから、第2方向にて測定した強度が高いことにより、顧客工程中において運搬及び装着過程においてその運営が容易になる。
【0091】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、SiC構造体を製造し、それに対して20mm(横)×4mm(縦)×4mm(厚さ)の大きさで試片を第2方向に30Ωcm内外の構造体、10Ωcm内外の構造体、1Ωcm内外の構造体、及び1Ωcm未満の構造体を準備し、それぞれ40EA、60EA、30EA、20EAを備えて第1方向及び第2方向の抵抗率値をそれぞれ測定し、その値を分析した。抵抗測定器として、Nexon KOTRAのEC-80P、Ts7D、4-Probを用いて比抵抗を測定した。測定時に第1面及び第2面にそれぞれ4-Probを接触して抵抗率を測定した。4-Probは、探針の長さが最小のNSCPタイプを利用した。
【0092】
図5A図5Dは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向及び第2方向で測定した抵抗率値分布(第2方向が30Ωcm内外の構造体、第2方向が10Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm内外の構造体、第2方向が1Ωcm以下の構造体)を示すグラフである。
【0093】
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向(図9A)及び第2方向(図9B)に抵抗率を測定する概略的な方法が示されている図である。
【0094】
一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率は、3.0×10-3Ωcm~25Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~40Ωcmであってもよい。
【0095】
一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.05~3.3であってもよい。
【0096】
下記の表3は、上述したように本発明のSiC構造体を用いて合計40EAの試片を第1方向と第2方向で測定した抵抗率の大きさ及びその比を測定した値を示したものである。下記の表3は、第2方向の抵抗率が30Ωcm内外に形成されている本発明の実施形態に係るSiC構造体について分類した抵抗率の大きさデータである。抵抗率の値は、SiC構造体の用途に応じてドーパントを制御することで様々に変化させ得る。
【0097】
【表3】
【0098】
抵抗率の大きさ
上の表3は、上述したように本発明のSiC構造体を用いて合計40EAの試片を第1方向と第2方向に測定した抵抗率の大きさとその比を測定した値を提示したものである。下記の表3は、第2方向の抵抗率が30Ωcm内外に形成される本発明の一実施形態に係るSiC構造体に対して分類した抵抗率の大きさデータである。第2方向の抵抗率値はSiC構造体の用途に応じてドーパントを制御することによって多様に変化させることができる。
【0099】
前記表3の試験結果による本発明の一実施形態では、前記第1方向の抵抗率は10Ωcm~20Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は21Ωcm~40Ωcmであってもよい。
【0100】
前記表3の試験結果による本発明の一実施形態では、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.25~0.95であってもよい。
【0101】
下記の表4は、上述したのと同じ方法で更なる本発明のSiC構造体を用いて合計60EAの試片を第1方向と第2方向に測定した抵抗率の大きさとその比を測定した値を提示したものである。下記の表4は第2方向の抵抗率が10Ωcm内外に形成される本発明の一実施形態に係るSiC構造体に対して分類した抵抗率の大きさデータである。
【0102】
【表4】
【0103】
抵抗率の分析
前記表4の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率は0.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は2.5Ωcm~25Ωcmである。
【0104】
前記表4の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.04~0.99であってもよい。
【0105】
下記の表5は、上述したのと同じ方法で更なる本発明のSiC構造体を用いて合計30EAの試片を第1方向と第2方向で測定した抵抗率の大きさ及びその比を測定した値を提示したものである。下記の表5は、第2方向の抵抗率が1Ωcm内外に形成される本発明の一実施形態に係るSiC構造体に対して分類した抵抗率の大きさデータである。
【0106】
【表5】
【0107】
抵抗率の分析
前記表5の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率は1.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は0.8Ωcm~1.7Ωcmである。
【0108】
前記表5の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.15~3.2であってもよい。
【0109】
下記の表6は、上述したものと同じ方法で更なる本発明のSiC構造体を用いて合計20EAの試片を第1方向と第2方向に測定した抵抗率の大きさとその比を測定した値を提示したものである。下記の表6は、第2方向の抵抗率が1Ωcm未満で形成される本発明の一実施形態に係るSiC構造体に対して分類した抵抗率の大きさデータである。
【0110】
【表6】
【0111】
抵抗率の分析
前記表6の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~5.0×10-3Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~3.0×10-3Ωcmであってもよい。
【0112】
前記表6の試験結果に係る一実施形態によれば、前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.1~3.3であってもよい。
【0113】
SiC構造体は、必要とされる用途に応じて、原料ガス内にドーパントを添加してSiC素材の抵抗率を調節でき、それによって第2方向の抵抗率と第1方向の抵抗率をドーパントの添加量に応じて調節することができる。一例として、本発明の一実施形態に係るSiC構造体は、抵抗率を制御するために添加されるドーパントの濃度が1×1018atoms/cc以下であってもよい。
【0114】
結晶粒の配向は、特定方向への抵抗率を決定するためにも重要な役割を果たす。一例として、球状の結晶粒である場合、いかなる方向にも多くの界面が存在しているため、電子が結晶粒と結晶粒との間の欠陥などを介して移動することができる。但し、この場合にも複数のドーパントを添加して電子数が飽和されれば、トンネリング効果により複数の電子が結晶粒と結晶粒との間の界面を透過するように通過できる。したがって、ドーパントの濃度が1×1018atoms/cc以下であるSiC構造体において、特定の方向に長く形成された針状のような結晶構造を有すれば、境界面が多くないことによって電子は結晶に沿って移動することができる。
【0115】
前記SiC構造体の抵抗率が相対的に高い数値を示したり、又は低い数値を示す場合、それぞれに適用されるメカニズムは互いに異なるものと知られている。抵抗率が1.7Ωcmを超過する領域帯のSiC構造体は、自由電子の粒子内の移動速度が速くて第1方向の抵抗率が低くなるという効果がある一方、抵抗率が1.7Ωcm以下であるSiC構造体は、自由電子の粒界移動の速度が速くて第2方向の抵抗率が低くなるという効果がある。したがって、工程のうちSiC構造体の一部の表面の電荷蓄積を防止するために、チャンバの構造及び装備設計を考慮して電子の移動経路として好む方向を決定し、適切な抵抗率値を設計して利用することができる。
【0116】
一例によれば、第1方向の抵抗が相対的に小さいこともあるため、第1方向への電荷の移動が容易になる。そのため、第1方向に進入するプラズマが多い環境に本発明のSiC構造体が置かれる場合、SiC構造体の表面で電荷が蓄積される現像を防止することができる。したがって、SiC構造体表面の電荷蓄積によって発生するアーキング(arcing)問題を改善することができる。
【0117】
もし、プラズマが相対的に抵抗率値の高い第2方向にSiC構造体に大量進入する場合、SiC構造体の表面で高い電荷蓄積が生じ、工程中にアーキングの問題が発生し得る。これは、製造される部品の不良を引き起こす最も大きい原因になる。
【0118】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、4mm(横)×4mm(縦)×4mm(高さ)の大きさで試片を2個準備し、ビッカース硬さ器を用いてKS B0811基準に基づいて測定し、測定面が図10A及び図10Bに示すように、第1方向/第2方向に直接圧入して測定した。測定した後、下記の数式によって硬さ数を算出し、合計10個のポイントで第1方向及び第2方向のビッカース硬さ値を測定し、その結果を分析した。
【0119】
【数1】
【0120】
図6は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の一例として第1方向及び第2方向で測定した硬さ値分布を示すグラフである。
【0121】
図10A及び図10Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向(図10A)及び第2方向(図10B)で硬さを測定する概略的な方法が示されている図である。
【0122】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、第1方向と第2方向の硬さ値は他の物性指標に比べて略等しい値を示すことが確認される。
【0123】
下記の表7は、上述のように本発明のSiC構造体の一例として、2つの試片に対して、合計10個のポイントから第1方向及び第2方向で測定した硬さの大きさとその比を測定した値である。
【0124】
【表7】
【0125】
硬さ分析
一実施形態によれば、前記SiC構造体の硬さは方向に関わらず、2800kgf/mm~3300kgf/mmであってもよい。
【0126】
一実施形態によれば、前記第1方向の硬さ/前記第2方向の硬さ値は、0.85~1.15であってもよい。
【0127】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、4mm(横)×4mm(縦)×2mm(高さ)の大きさで試片を8個用意し、第1方向及び第2方向のXRD分析を行った。分析方法として、Regaku Dmax2000装置を用いて測定角度10~80°であり、Scan stepは0.05、Scan speed10、測定パワーは40KV、40mAで測定し、確保したグラフを分析した。
【0128】
図7は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において第1方向及び第2方向で測定したXRD分析値のうち(111)結晶面の回折強度値の分布を示すグラフである。
【0129】
図11A及び図11Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向(図11A)及び第2方向(図11B)にXRD回折分析を実施する概略的な方法が示されている図である。
【0130】
また、下記の表8は、上述したように本発明のSiC構造体の一例として、8個の試片に対して第1方向と第2方向にXRD分析を行った結果値である。
【0131】
【表8】
【0132】
XRDの分析
一実施形態によれば、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値は、それぞれ第1方向に0.7~2.1であり、第2方向に0.4~0.75であってもよい。
【0133】
一実施形態によれば、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値の、第1方向に対する値/第2方向に対する値は1.0~4.4であってもよい。
【0134】
一実施形態によれば、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、(111)結晶面の方向のピーク強度は第1方向には3200~10000であり、第2方向には10500~17500であってもよい。
【0135】
一実施形態によれば、XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、前記第1方向の(111)結晶面の方向のピーク強度/前記第2方向の(111)結晶面の方向のピーク強度値は、0.2~0.95であってもよい。
【0136】
SiC結晶相において(111)面から形成された結晶は、単位面積当たり原子個数の異なる(200)、(220)、(311)面に比べて多いため、物理的なプラズマ粒子の衝撃に円満に耐えることで、耐プラズマ特性に優れたSiC構造体を製造することができる。したがって、ピーク率において低い値を有し、高い(111)回折強度を有すれば、相対的に優れた耐プラズマ特性を有する製品となり、プラズマエッチング装備内で使用するにあたって使用時間を増加させることができる。
【0137】
一例により製造されたSiC構造体の場合、第1方向の(111)結晶面の方向のピーク強度に比べて、第2方向の(111)結晶面の方向のピーク強度が極めて高い値を実現することができる。ここで、SiC部品を製造するとき、プラズマが照射される方向(主エッチング方向)を前記第2方向に近い方向に設計する場合、製品の寿命を向上させる効果が期待できる。
【0138】
図14は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向の断面及び第2方向単面の微細組織(結晶粒の構造)写真と、該当の微細組織がプラズマに露出された場合にエッチングされる形態を示すSEM写真である。
【0139】
図14に示す第1方向の断面と第2方向の断面を同じ条件でプラズマに露出させた。一例として、SiC構造体がエッジリングである場合、第1方向に垂直な面である1面はエッチリンの上面であり、第2方向の垂直面な2面はエッジリの側面である。第1方向の断面はエッジリングの上面であってもよく、第2方向の断面はエッジリングの側面であってもよい。図13に示す右側の表面微細構造のSEM写真を通じてプラズマに露出される方向に応じてエッチングの程度が大きく異なることが確認される。
【0140】
前記の効果を考慮してみれば、(111)回折強度の高い第2方向は、より優れた耐プラズマ特性を有するものである。即ち、第2方向をプラズマに接する面として設計した場合、優れた耐プラズマ特性を有する製品を実現することができる。
【0141】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、温度を常温から1000℃まで昇温し、熱膨張係数を測定して熱膨張係数を確保した。TMA装備(NETZSC社のTMA402F1 Hyperion機種)を用いて測定した。4mm(横)×4mm(縦)×4mm(高さ)の大きさで第1方向及び第2方向により3つの試片を測定した。温度は常温から1000度に至るまで測定した後、500度~1000度で100度単位の測定値のみを算出して分析した(低温区間の誤差で低温区間は除いて測定)。
【0142】
図12A及び図12Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において第1方向(図2A)及び第2方向(図12B)に熱膨張率分析(後述する)を実施する概略的な方法を示している図である。
【0143】
プラズマチャンバ内で用いられるSiC構造体において、特定方向の熱膨張係数は精密なエッチング量を決定するために極めて重要な要素である。プラズマチャンバの内部は工程中に高温で温度が増加する。ここで、第1方向の熱膨張係数が第2方向の熱膨張係数に比べて相対的に大きい場合、最初の該当部品の高さを考慮して精密にセッティングしておいたチャンバ内のプラズマエッチング対象体(ウェハーなど)の高さに変動が生じることがある。これによって、プラズマソースからの距離が変更されてエッチング対象体のエッチング方向を精密に制御できず、結局、不良品が生じる問題がある。したがって、チャンバの設計に適用される部品に応じて、一部の実施形態の場合は第1方向の熱膨張係数が低いほど好ましく、不良品生産を減らして部品寿命がさらに長くなるという効果を期待できる。
【0144】
下記の表9は、上述したように本発明のSiC構造体の一例として、4mm(横)×4mm(縦)×4mm(厚さ)の大きさで製造された2つの試片に対して第1方向と第2方向で熱膨張係数分析を行った結果値である。
【0145】
【表9】
【0146】
膨張係数の分析
一実施形態によれば、前記第1方向の熱膨張係数は4.0×10-6/℃~4.6×10-6/℃であり、前記第2方向の熱膨張係数は4.7×10-6/℃~5.4×10-6/℃であってもよい。
【0147】
一実施形態によれば、前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は1.0未満であってもよい。
【0148】
上述したように、第1方向の熱膨張係数値が第2方向の熱膨張係数値よりも相対的に小さく設計することで、精密なエッチングに利用可能な部品として製造されることができる。
【0149】
一実施形態によれば、前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は0.7以上1.0未満であってもよい。
【0150】
図13A及び図13Bは、本発明の一実施形態に係るSiC構造体において、第1方向(図13A)及び第2方向(図13B)に熱伝導度分析を実施する概略的な方法を示した図である。
【0151】
本発明で提案するSiC構造体の一例として、4mm(横)×4mm(縦)×1mm(厚さ)の大きさで試片を2つ準備し、第1方向及び第2方向に熱伝導度を測定した。NETZSCH社のLFA 447NanoFlash装備を用いて、レーザ方式の測定方式により熱伝導度分析を行った。方向に応じて熱伝導度を測定するために、第1方向の測定時に第1面(第1方向に垂直な面)に測定器を接触し、反対側にレーザを走査して第1方向の熱伝導度を測定した。第2方向の測定についても同じ方式で温度伝導率を測定した。このような温度伝導率(mm/s))と比熱(Cp)、密度をそれぞれ0.67J/g/K、3.21g/cm値を基準にして次の計算式で計算し、熱伝導度を測定した。
【0152】
熱伝導度[W/mK]=熱換算度(mm/s)×比熱(J/g/K)×密度(g/cm
【0153】
下記の表10は、上述したように本発明のSiC構造体の一例として、8EAの試片に対して第1方向と第2方向に熱伝導度分析を行った結果値である。
【0154】
【表10】
【0155】
熱伝導度の分析
一実施形態によれば、前記第1方向の熱伝導度は215W/mk~260W/mkであり、前記第2方向の熱伝導度は280W/mk~350W/mkであってもよい。
【0156】
一実施形態によれば、前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は1.0未満であってもよい。
【0157】
一実施形態によれば、前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は0.65~1.0未満であってもよい。
【0158】
プラズマチャンバの内部は工程中に高温で温度が増加する。プラズマチャンバ内で用いられるSiC構造体において、特定方向の熱伝導度値は設備内の冷却ガス配置にも関わっている。ここで、SiC構造体は、支持部(静電チャックをはじめとする下部支持体、又はサセプタや上部電極板を支持する上部支持体)に垂直方向へのせられたり装着されて使用されるが、ここで、チャンバの構造により一部の支持部には冷却手段(冷却ガス通路などの設備)を備えることができる。
【0159】
この場合、チャンバ内の冷却手段の構造を考慮するとき、第1方向の熱伝導度が低いほど、SiC構造体の高さ方向への熱伝達が容易に行われず、ウェーハの温度均一性を確保することで製品の生産性を高めることができる。
【0160】
一実施形態によれば、前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、前記SiC構造体は、第1面(一例によれば、構造体の下部面)の少なくとも一部が支持部と接触するものである。
【0161】
一実施形態によれば、前記SiC構造体は、エッジリング、サセプタ及びシャワーヘッドのうちの1つであってもよい。
【0162】
本発明によるSiC構造体は、本発明の技術分野で適用される方法で製造することができ、例えば、CVDを用いて形成され、Siソースガス、Cソースガス、及び水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのような通常の運搬ガスなどを適用して形成されてもよい。例えば、前記CVDは、本発明の技術分野に適用される工程条件で実行され、例えば、SiC素材は、本発明の技術分野で用いられる蒸着装置を用いて製造されてもよい。
【0163】
一例として、本発明のSiC構造体は、CVD蒸着チャンバにおいて、SiソースガスとCソースガスが個別及び/又は同時的で噴射される導入口を介してターゲットに噴射されてもよく、1つ以上の導入口で前記SiソースガスとCソースガスが噴射されるように設計してもよい。
【0164】
一例として、SiC構造体は、Si及びC以外にも追加的なドーパントを含んで製造されてもよい。このときにも、本発明の技術分野で適用される方法で製造することができ、例えば、CVDを用いて形成され、Siソースガス、Cソースガス、及び水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのような通常の運搬ガスなどを適用して形成されてもよい。例えば、SiCの蒸着時に成長速度を調節してSiCコーティング膜の優先成長の結晶方向を変更して回折強度比(I)を変化させることができる。成長の速度調節により主成長の結晶方向と結晶粒の大きさを調節できる。成長速度の調節は、噴射速度の制御を通じて可能であり、炉内温度の調節を通じても可能である。その一方、成長速度を低くすれば、よりコンパクトなSiC層が生成されるため、強度及び硬さが増加する効果を期待することができる。
【0165】
本発明の一実施形態によれば、前記CVD方式で形成されたSiC構造体は、SiCを含むエッジリング、サセプタ、及びシャワーヘッドのように耐プラズマ特性が要求される半導体製造装置の部品であってもよい。
【0166】
図15は、本発明の一実施形態に係るSiC構造体の第1方向プラズマエッチング量と第2方向プラズマエッチング量を分析したグラフである。
【0167】
図15を参照して本発明で提案するSiC構造体を使用する場合、第1面と第2面でのプラズマに対するエッチングは、2面対比1面が14%内外に改善されたことが確認される。これは、結晶性の側面で111優先成長が、2面に比べて1面がより優れているためであり、したがって、エッチリンなどのSiC構造体の製造時に、プラズマを主に接する面を第1面にして製造することが、製品使用の寿命において有利である。
【0168】
一実施形態によれば、前記SiC構造体は、第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、第1面の面積の合計が第2面の面積の合計よりも広い。
【0169】
前記SiC構造体は、一例として、第1面の面積の合計が第2面の面積の合計の2倍以上であるエッジリングであってもよい。
【0170】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果が達成されることができる。
【0171】
したがって、他の実現、他の実施形態及び特許請求の範囲と均等のものなども後述する権利要求の範囲に属する。
図1A
図1B
図1C
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10A
図10B
図11A
図11B
図12a
図12b
図13A
図13B
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記結晶粒は、第1方向を基準にして-45°~+45°方向に最大の長さを有するように配列される、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項2】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記結晶粒の第1方向の長さ/前記結晶粒の第2方向の長さ値(縦横比)は、1.2~20である、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項3】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の平均強度/前記第2方向の平均強度値は0.55~0.9である、
CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項4】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の抵抗率は3.0×10 -3 Ωcm~25Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10 -3 Ωcm~40Ωcmである、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項5】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の抵抗率は10Ωcm~20Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は21Ωcm~40Ωcmである、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項6】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の抵抗率は0.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は2.5Ωcm~25Ωcmである、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項7】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は1.1~3.3である、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項8】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
前記第1方向の硬さ/前記第2方向の硬さ値は、0.85~1.15である、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項9】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値の、第1方向に対する値/第2方向に対する値は1.0~4.4である、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項10】
チャンバ内でプラズマに露出されるように用いられるSiC構造体であって、
プラズマに最大露出される面に垂直な方向を第1方向に、プラズマに最大露出される面に水平な方向を第2方向に定義するとき、
前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成された結晶粒の構造を含み、
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、前記第1方向の(111)結晶面の方向のピーク強度/前記第2方向の(111)結晶面の方向のピーク強度値は0.2~0.95である、CVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項11】
前記SiC構造体は、
前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、
前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面と、
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項12】
前記第1方向の平均強度は133Mpa~200Mpaであり、前記第2方向の平均強度は225Mpa~260Mpaである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項13】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.25~0.95である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項14】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、0.04~0.99である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項15】
前記第1方向の抵抗率は1.8Ωcm~3.0Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は0.8Ωcm~1.7Ωcmである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項16】
前記第1方向の抵抗率/前記第2方向の抵抗率値は、1.15~3.2である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項17】
前記第1方向の抵抗率は3.0×10-3Ωcm~5.0×10-3Ωcmであり、前記第2方向の抵抗率は1.4×10-3Ωcm~3.0×10-3Ωcmである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項18】
前記SiC構造体の硬さは方向に関わらず、2800kg/mm~3300kg/mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項19】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対する結晶面の方向のピーク強度に対して、[(200+220+311)]/(111)値はそれぞれ第1方向に0.7~2.1であり、第2方向に0.4~0.75である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項20】
XRD分析の前記第1方向及び前記第2方向に対するピーク強度に対して、(111)結晶面の方向のピーク強度は、第1方向には3200~10000であり、第2方向には10500~17500である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項21】
前記第1方向の熱膨張係数は4.0×10-6/℃~4.6×10-6/℃であり、前記第2方向の熱膨張係数は4.7×10-6/℃~5.4×10-6/℃である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項22】
前記第1方向の熱膨張係数/前記第2方向の熱膨張係数値は0.7以上1.0未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項23】
前記第1方向の熱伝導度は215W/mk~260W/mkであり、
前記第2方向の熱伝導度は280W/mk~350W/mkである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項24】
前記第1方向の熱伝導度/前記第2方向の熱伝導度値は0.65~1.0未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項25】
前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、
前記SiC構造体は、第1面の少なくとも一部が支持部と接触する、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項26】
前記SiC構造体は、エッジリング、サセプタ、及びシャワーヘッドのうちの1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【請求項27】
前記SiC構造体は、前記プラズマに最大露出され、前記第1方向に垂直な方向に展開される第1面と、前記第1面に垂直であり、前記第2方向に垂直な方向に展開される第2面を含み、
第1面の面積の合計が第2面の面積の合計よりも広い、請求項1~10のいずれか一項に記載のCVD方式で形成されたSiC構造体。
【国際調査報告】