(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(54)【発明の名称】CLEC9Aベースキメラタンパク質複合体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220624BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220624BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220624BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220624BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220624BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220624BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220624BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220624BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220624BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220624BHJP
C07K 14/56 20060101ALN20220624BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K38/16
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C07K14/56
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558521
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020025423
(87)【国際公開番号】W WO2020198662
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521437068
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518268352
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】デプラ,エリク
(72)【発明者】
【氏名】ザビュー,レンナート
(72)【発明者】
【氏名】タヴェルニエル,ジャン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA22
4C084CA53
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB42
4C085CC32
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA16
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、一部は、抗Clec9Aターゲティング部分、改変Fcドメイン、および改変ヒトIFNαを含むキメラタンパク質複合体ならびに治療薬としてのそれらの使用に関する。本発明は、キメラタンパク質複合体を含む医薬組成物および種々の疾患の治療でのそれらの使用にさらに関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラタンパク質複合体であって、
(i)C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(Clec9A)に特異的に結合するターゲティング部分、
(ii)改変ヒトIFNα2、および
(iii)改変Fcドメイン、
を含む、キメラタンパク質複合体。
【請求項2】
前記キメラタンパク質複合体が、ヘテロダイマーである、請求項1に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項3】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項2に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項4】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号1~4および43から選択されるアミノ酸配列および前記アミノ酸配列に対し10個未満の変異を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項5】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号1~4および43から選択されるアミノ酸配列および前記アミノ酸配列に対し5個未満の変異を有するポリペプチドを含む、請求項4に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項6】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号1~4および43から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項7】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項8】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む、請求項7に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項9】
前記キメラタンパク質複合体が、配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む、請求項8に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項10】
(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項11】
(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項10に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項12】
(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項11に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項13】
(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項14】
(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項13に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項15】
(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項14に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項16】
(i)配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項17】
(i)配列番号2と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項16に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項18】
(i)配列番号2と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項17に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項19】
(i)配列番号43と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項20】
(i)配列番号43と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項16に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項21】
(i)配列番号43と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
を含む、請求項17に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項22】
前記改変ヒトIFNα2が、配列番号9または10と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項23】
前記改変ヒトIFNα2が、配列番号9または10と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項22に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項24】
前記改変ヒトIFNα2が、配列番号9または10と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項23に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項25】
前記改変ヒトIFNα2が、配列番号9または10のアミノ酸配列に対し1~3個の変異を有する、請求項1~24のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項26】
前記改変ヒトIFNα2が、配列番号9または10を基準にしてR149A変異または配列番号9または10を基準にしてR33A、R144A、R144I、R144L、R144S、R144T、R144Y、A145D、A145G、A145H、A145K、A145Y、M148AおよびL153A変異の1つの変異、任意選択でA145Gを含む、請求項25に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項27】
組換え型の重鎖のみの抗体(VHH)を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項28】
VHHが、配列番号11または12の1つと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する、請求項27に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項29】
VHHが、配列番号11または12の1つと少なくとも98%同一のアミノ酸配列を有する、請求項28に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項30】
VHHが、配列番号11または12の1つと少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する、請求項29に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項31】
前記VHHが、配列番号11および12のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、請求項30に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項32】
前記改変Fcドメインが、1個または複数の次の変異:配列番号13~16のいずれか1つに対するP329G、K322Q、K322A、またはP331S、を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項33】
前記改変Fcドメインが、1個または複数の次の変異:ヒトIgG1 Fcに対するP329G、K322Q、K322A、またはP331S、を含む、請求項32に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項34】
前記改変Fcドメインが、配列番号13~16と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する、請求項32または33に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項35】
前記改変Fcドメインが、配列番号13~16と少なくとも93%同一のアミノ酸配列を有する、請求項32または33に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項36】
前記改変Fcドメインが、配列番号13~16と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する、請求項32または33に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項37】
癌を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項1~36のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記癌が、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群の1種または複数から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1~36のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項40】
癌を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項39に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項41】
前記癌が、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群の1種または複数から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~36のいずれか1項に記載の1個または複数のキメラタンパク質複合体、またはその成分をコードする組換え核酸組成物。
【請求項43】
請求項42に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項44】
前記キメラタンパク質複合体が、
図1または
図7で記載の配向および/または配置を有する、請求項1~36のいずれか1項に記載のキメラタンパク質複合体。
【請求項45】
多価のまたは二価のキメラタンパク質複合体であって、
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;
配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;
配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;
配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;
配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;または
配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド、
を含む、多価のまたは二価のキメラタンパク質複合体。
【請求項46】
癌を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項45に記載の多価のまたは二価のキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項47】
配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%、または100%同一である配列を有する少なくとも2個のポリペプチドを含むキメラタンパク質複合体。
【請求項48】
癌を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項47に記載のキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月26日に出願された米国特許仮出願第62/906,442号、および2019年3月28日に出願された米国特許仮出願第62/825,584号の利益および優先権を主張する。これら両仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、一部は、断片結晶化可能ドメイン(Fc)、ターゲティング部分としてClec9A VHH、およびシグナル伝達物質として改変インターフェロンα2(IFNα2)を含むキメラタンパク質複合体に関する。
これらのキメラタンパク質複合体の治療薬としての使用も開示される。
【0003】
配列表
本出願は、EFS-Webを経由してASCIIフォーマットで申請された配列表を含み、この配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年3月26日に作成された記ASCIIコピーは、ORN-063PC_ST25.txtと命名され、139,264バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
エフェクター機能を有する生物製剤は、多くの潜在的治療用途を有する生物製剤の一群である。いくつかの事例では、これらの生物製剤、例えば、サイトカインは、ヒトに投与されると全身毒性を呈する可能性のあるエフェクター機能をコードする。従って、ヒトにおけるこれらの生物製剤の耐容性および治療指数を最大化することは、ヒトまたは対象における全身毒性を低減するために重要である。
【0005】
多くの場合、これらの生物製剤は、これらが効果的であるために対象内のそれらの標的に高精度および制御された方式で送達される必要がある。従って、高い固有の安全性プロファイルを有する、対象内の標的に高精度で到達する能力を有する、および制御された方式で作用できる生体分子を設計することが必要である。
【0006】
このような生物製剤の1例は、ターゲティング要素(高精度でその標的を探索する能力を有する)に連結されたシグナル伝達物質(エフェクター機能を有する、例えば、サイトカイン)を有するキメラタンパク質である。これらの生物製剤では、シグナル伝達物質は野生型シグナル伝達物質または改変されたシグナル伝達物質(例えば、変異により)であり得る。改変されたシグナル伝達物質は通常、シグナル伝達物質のエフェクター機能がその標的(例えば、標的細胞上の抗原)へのターゲティング要素の結合時に回復され得る方式で、シグナル伝達物質の活性を減弱化させる(例えば、その受容体と相互作用/結合する能力を実質的に低減する)ように改変される。
【0007】
しかし、このようなキメラタンパク質は、特定の条件、例えば、大規模生産される能力、治療上有益な効果を誘発するために薬物を暴露する十分な時間を確保するインビボ半減期、急速な排出または限定された組織浸透性および限られた体内分布を回避するための適切なサイズ、ならびに機能の大きな低下のない適切な溶解度、安定性および貯蔵を保証する他の性質、が満たされる場合のみに、治療的使用に適用できる。重要なのは、全ての、または実質的にほとんどの上記性質が、エフェクター機能の条件付きターゲティングおよび改変シグナル伝達物質のその受容体との条件付き結合の維持の低下なしに、達成されなくてはならないことである。多くの場合、単一の連続ポリペプチド鎖をコードするまたはそれにより表されるキメラタンパク質を用いて全てのこれらの目的を達成するのは困難である。その生物製剤の耐容性および治療指数を維持するのと同時に、このような望ましい特性の生物製剤を得ることができるという必要性が当該技術分野で存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の技術は、そのエフェクター機能を選択標的へと高精度に、限られた交差反応性および限られた全身性有害事象で送達でき、同時に、例えば、所望のインビボ暴露時間(例えば、半減期)、サイズ(例えば、体内分布およびクリアランス特性のための)、ならびに商業生産のための大量生産および/または精製特性(例えば、適切な溶解度、安定性および貯蔵特性)を有する治療薬の製造を可能にする医薬品特性を付与する特徴ももたらす生物学的治療薬を含むキメラタンパク質複合体を提供する。
【0009】
一態様では、本発明は、ヘテロダイマータンパク質複合体およびその個々のポリペプチド鎖サブユニット(構成要素)に関し、タンパク質複合体は、C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(Clec9A)、改変ヒトIFNα2、および改変Fcドメインに特異的に結合するターゲティング部分を含む。
【0010】
ある態様では、本発明は、(i)C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(Clec9A)に特異的に結合するターゲティング部分、(ii)改変ヒトIFNα2、および(iii)改変Fcドメイン、を含むキメラタンパク質複合体に関する。
【0011】
一態様では、本発明は、キメラタンパク質複合体が、C型レクチンドメインファミリー9メンバーA(Clec9A)、改変ヒトIFNα2、および改変Fcドメインに特異的に結合するターゲティング部分を含む、キメラタンパク質複合体に関する。
【0012】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも95%の同一性、または配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも98%の同一性、または配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドを含む。 いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、任意選択で0、または1、または2、または3、または4、または5個の変異を有する、配列番号1~4および43のいずれか1つのポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のいずれか1つのポリペプチドを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも95%の同一性、または配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有する連続アミノ酸を組み込むポリペプチドを含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、癌を治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に本明細書で開示のキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む。本発明の別の態様は、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。別の態様では、本発明は、癌を治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に本明細書で開示の医薬組成物の有効量を投与することを含む。別の態様では、本発明は、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体の1個または複数のポリペプチドをコードする組換え核酸組成物に関する。別の態様では、本発明は、本明細書で開示の1個または複数のキメラタンパク質複合体をコードする核酸組成物を含む宿主細胞に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のキメラタンパク質複合体の種々の非限定的概略図の例を示す。いくつかの実施形態では、それぞれの概略図は、本発明の組成物である。ここで、「IFN」は、本明細書に記載のIFNα2を指し、「VHH」は、本明細書に記載の抗Clec9A VHHを指し、
【化1】
は、本明細書に記載の任意の「リンカー」であり、および片方が突出部を有し、他方が陥凹部を有する2つの長い平行長方形は、本明細書で記載のノブインホール変異を有するIgG1由来のヒトFcドメインであり、任意選択で、本明細書でまた記載されるエフェクターノックアウトおよび/または安定化変異を有する。配列番号が示されているが、これらは例示目的のみのためのものであり、例えば、本明細書に記載のR149A以外の別の変異が使用される場合には、それらは、変化する。
【
図2】マウスへの静脈内投与後のFc-AFNの血漿中濃度を示す。時点毎の3つの個別試料の平均値(+SEM)がプロットされている。
【
図3】マウスでの静脈内投与後のCLEC9A AFN(Fcを欠く構築物)の血漿中濃度を示す。時点毎の3つの個別試料の平均値(+SEM)がプロットされている。
【
図4A-D】対照細胞(HL116およびHEK293T)と比較した、CLEC9A-AFN Fc構築物のヒトCLEC9Aを発現する細胞(HL116-hClec9A)への特異的結合を示す。
【
図5】緩衝液または4種の異なるCLEC9A-AFN Fc構築物で治療後のヒト化マウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。時点毎の5匹の動物の平均値(+SEM)(mm
3単位)がプロットされている。
【
図6】緩衝液または漸増用量の単一CLEC9A-AFN Fc構築物で治療後のヒト化マウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。時点毎の5匹の動物の平均値(+SEM)(mm
3単位)がプロットされている。
【
図7】本発明により包含される種々の二価配向および/または配置を示す。二価性を達成するための第2のVHH部分は、網掛され、付着されたリンカーと一緒に図に記載の配列番号のNまたはC末端の延長を形成する。配列番号が示されているが、これらは例示目的のみのためのものであり、例えば、本明細書に記載のR149A以外の別の変異が使用される場合には、それらは、変化する。さらに、VHHは同一であってもよい。明確にするために、
図1の説明を参照されたい。
【
図8A】Clec9A-/CD141-およびClec9A+/CD141+PBMCにおけるIFNα2によるpSTAT1リン酸化の結果を示す。
【
図8B】Clec9A-/CD141-およびClec9A+/CD141+PBMCにおけるA145GまたはM148A変異を有するAFNによるpSTAT1リン酸化の結果を示す。
【
図9】緩衝液または2種の異なるCLEC9A-AFN Fc構築物の7.5ブタ用量で治療後のヒト化マウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。時点毎の6匹の動物の腫瘍サイズ(mm
3単位)の平均値(+SEM)がプロットされた。
【
図10A-C】IFNα2中にT106 O-グリコシル化のある(
図10A)およびない(
図10B)Clec9A標的化AFN、および非標的化バリアント(
図10C)で治療後のCLEC9A-/CD141-およびClec9A+/CD141+PBMCにおけるpSTAT1活性を示す。
【
図11】IFNα2のA145G変異を有するClec9A標的化AFN Fcの抗腫瘍活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様では、本発明は、キメラタンパク質複合体がC型レクチンドメインファミリー9メンバーA(Clec9A)、改変ヒトIFNα2、および改変Fcドメインに特異的に結合するターゲティング部分を含む、キメラタンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも95%同一性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも98%の同一性、または配列番号1~4および43のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のポリペプチドを含み、配列は選択配列に比べて10個未満の変異を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1~4および43のポリペプチドを含み、配列は選択配列に比べて5個未満の変異を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、Clec9Aに対する単一ドメイン抗体(VHH)(すなわち、R1CHCL50(opt4))、リンカー(すなわち、5*GGS)、およびLALA-KQ変異を有するFc hole Ridgway配列(すなわち、Fc hole Ridgway(LALA-KQ)、Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号1の配列の構築物は、次のように表される:バリエーション1 VHH-Fc R1CHCL50(opt4)-5*GGS-Fc hole Ridgway(LALA-KQ)。
【0018】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、Clec9Aに対する単一ドメイン抗体(VHH)(すなわち、R1CHCL50(opt4))、リンカー(すなわち、5*GGS)、およびLALA-KQ変異を有するFc hole Merchant配列(すなわち、Fc hole Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号2の構築物は、次のように表される:VHH-Fc:R1CHCL50(opt4)-5*GGS-Fc hole Merchant(LALA-KQ)。
【0019】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、Clec9Aに対する単一ドメイン抗体(VHH)(すなわち、3LEC89(opt4))、リンカー(すなわち、5*GGS)、およびLALA-KQ変異を有するFc hole Ridgway配列(すなわち、Fc hole Ridgway(LALA-KQ)、Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号3の構築物は、次のように表される: VHH-Fc:3LEC89(opt4)-5*GGS-Fc hole Ridgway(LALA-KQ)。
【0020】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、Clec9Aに対する単一ドメイン抗体(VHH)(すなわち、3LEC89(opt4))、リンカー(すなわち、5*GGS)、およびLALA-KQ変異を有するFc hole Merchant配列(すなわち、Fc hole Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号4の構築物は、次のように表される:VHH-Fc:3LEC89(opt4)-5*GGS-Fc hole Merchant(LALA-KQ)。
【0021】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号43のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、Clec9Aに対する単一ドメイン抗体(VHH)(すなわち、R1CHCL50(opt4))、リンカー(すなわち、5*GGS)、およびLALA-KQ変異を有し、C末端リシンを有しないFc hole Merchant配列(すなわち、Fc hole Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。
【0022】
本発明のキメラタンパク質複合体は、配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも98%、または配列番号5~8、29~36、または41~42のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドを含む。 いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号5~8、29~36、または41~42から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、配列は、選択配列に比べて、10個未満の変異を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号5~8、29~36、または41~42から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、配列は、選択配列に比べて、5個未満の変異を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、R149A変異を有する改変ヒトインターフェロンα2b(すなわち、huIFNa2B_R149A)、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Ridgway配列(すなわち、Fc knob Ridgway(LALA-KQ)、Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号5の配列の構築物は、次のように表される:バリエーション1 Fc-AFN:Fc knob Ridgway(LALA-KQ)-10*GGS-G-huIFNa2B_R149A。
【0024】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、R149AおよびT106E変異を有する改変ヒトインターフェロンα2b(すなわち、huIFNa2B_R149A_T106E)、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Ridgway配列(すなわち、Fc knob Ridgway(LALA-KQ)、Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号6の配列の構築物は、次のように表される:バリエーション2 Fc-AFN:Fc knob Ridgway(LALA-KQ)-10*GGS-G-huIFNa2B_R149A_T106E。
【0025】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、R149A変異を有する改変ヒトインターフェロンα2b(すなわち、huIFNa2B_R149A)、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Merchant配列(すなわち、Fc knob Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号7の配列の構築物は、次のように表される:バリエーション3 Fc-AFN:Fc knob Merchant(LALA-KQ)-10*GGS-G-huIFNa2B_R149A。
【0026】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、R149AおよびT106E変異を有する改変ヒトインターフェロンα2b(すなわち、huIFNa2B_R149A_T106E)、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Merchant配列(すなわち、Fc knob Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号8の配列の構築物は、次のように表される:バリエーション4 Fc-AFN:Fc knob Merchant(LALA-KQ)-10*GGS-G-huIFNa2B_R149A_T106E。
【0027】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号41のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、A145G変異を有する改変インターフェロンα2b、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Merchant配列(すなわち、Fc knob Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号41の配列の構築物は、次のように表される:Fc4’-IFNa2b_A145G。
【0028】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号42のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。この配列は、T106AおよびA145G変異を有する改変インターフェロンα2b、リンカー(すなわち、10*GGS-G)、およびLALA-KQ変異を有するFc knob Merchant配列(すなわち、Fc knob Merchant(LALA-KQ)、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681参照、この文献は、その全体が参照により組み込まれる)を含む。この配列番号42の配列の構築物は、次のように表される:Fc4’-IFNa2a_T106E_A145G。
【0029】
一実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。別の実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。別の実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。別の実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号1または3のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号5または6のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2または4のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号7または8のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号2と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号31または32のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、(i)配列番号43と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(ii)配列番号41または42のいずれか1つと少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明は、次記を含む、多価または二価キメラタンパク質複合体に関する:配列番号17のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号19のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;配列番号18のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;配列番号20のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号22のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド;配列番号21のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチドおよび配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%同一である配列を有するポリペプチド。いくつかの実施形態では、本発明は、癌を治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に本明細書で記載の多価または二価キメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%、または100%同一である配列を有する少なくとも2個のポリペプチドを含むキメラタンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、癌の治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に配列番号1~43のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも95%、または97%、または98%、または99%、または100%同一である配列を有する少なくとも2個のポリペプチドを含むキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、改変ヒトインターフェロンα2を含む。いくつかの実施形態では、改変IFNα2物質は、IFNα/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変IFNα2物質は、IFNα/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の改変ヒトインターフェロンα2は、配列番号9または10と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、改変ヒトIFNα2は、配列番号9または10と少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFNα2は、配列番号9または10のアミノ酸配列に対し、1~3個の変異を有する。一実施形態では、改変ヒトIFNα2は、配列番号9または10を基準にして、R149A変異を含む。一実施形態では、改変ヒトIFNα2は、配列番号9または10を基準にして、A145G変異を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体のターゲティング部分は、組換え型の重鎖のみの抗体(VHH)を含む。いくつかの実施形態では、VHHは、配列番号11または12の1つと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、VHHは、配列番号11または12の1つと少なくとも98%同一または配列番号11または12の1つと少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VHHは、配列番号11および12のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、2個のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、2個の同一のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、これらの二価モードは、
図7に示すように、向きが定められる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、2個のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、2個の同一でないターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、これらの二価モードは、
図7に示すように、向きが定められる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、Clec9AおよびPD-L1に対するターゲティング部分(限定されないが、VHH)を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、R149A変異が、IFNα2中に存在する。
【0050】
いくつかの実施形態では、R149A変異は、IFNα2に存在せず、代わりに、別の変異が存在する。例えば、この代わりの変異は、位置R33、R144、A145、M148、およびL153の1つにあり得る。いくつかの実施形態では、代わりの変異は、R33A、R144A、R144I、R144L、R144S、R144T、R144Y、A145D、A145G、A145H、A145K、A145Y、M148A、およびL153Aの1つである。明確にするために記すと、いくつかの実施形態では、本明細書でのR149Aへの何らかの言及は、R33A、R144A、R144I、R144L、R144S、R144T、R144Y、A145D、A145G、A145H、A145K、A145Y、M148A、およびL153Aの1つで置き換え可能である。いくつかの実施形態では、本明細書でのR149Aへの何らかの言及は、A145Gで置き換え可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体は、少なくとも1個のFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、改変Fcドメインを含み、改変Fcドメインは、1個または複数の次の変異を含む:配列番号13~16のいずれか1つに対する、P329G、K322Q、K322A、またはP331S。いくつかの実施形態では、改変Fcドメインは、1個または複数の次の変異を含む:IgG1 Fcに対する、P329G、K322Q、K322A、またはP331S。
【0052】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質複合体は、配列番号13~16と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する改変Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、改変Fcドメインは、配列番号13~16と少なくとも93%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、改変Fcドメインは、配列番号13~16と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0053】
別の態様では、本発明は、癌を治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に本明細書で開示のキメラタンパク質複合体の有効量を投与することを含む。方法は、次記の1種または複数から選択される癌の治療または予防に使用できる:基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群。
【0054】
本発明の別の態様は、本明細書で開示のキメラタンパク質複合体、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のキメラタンパク質複合体を含む医薬組成物に関する。
【0055】
本発明の別の態様は、癌を治療または予防するための方法に関し、方法は、それを必要としている患者に本明細書で開示の医薬組成物の有効量を投与することを含む。医薬組成物は、次記の1種または複数から選択される癌の治療または予防に使用できる:基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群。
【0056】
別の態様では、本発明は、本明細書で開示の1個または複数のキメラタンパク質複合体をコードする、例えば全キメラタンパク質複合体またはその構成成分ポリペプチドをコードする組換え核酸組成物に関する。別の態様では、本発明は、本明細書で開示の組換え核酸組成物複合体を含む宿主細胞に関する。
【0057】
定義
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」は、1つ(1種)または1つ(1種)を超える、を意味し得る。
さらに、参照数値表示に関連して使われる用語の「約」は、参照数値表示±参照数値表示の最大で10%を意味する。例えば、用語の「約50」は、45から55の範囲を対象とする。
【0058】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、目的の治療および/または予防効果を達成するのに十分な量、例えば、疾患もしくは障害または疾患または障害と関連する1つまたは複数の兆候または症状の予防または軽減をもたらす量を意味する。治療効果があるまたは予防適用の場合、対象に投与される組成物の量は、疾患の程度、タイプ、および重症度、ならびに総体的な健康、年齢、性別、体重および薬物耐性などの個体の特性に依存するであろう。当業者なら、これらおよび他の因子に基づいて適切な投与量を決定できるであろう。前記組成物はまた1種または複数の追加の治療化合物と組み合わせて投与できる。本明細書に記載される方法において、治療化合物は、疾患または障害の1種または複数の兆候または症状を有する対象に投与され得る。本明細書で使用される場合、物質または刺激の存在下で、このような調節の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、少なくとも最大約100%(約100%を含む)低減されるとき、何かが「低減されている」。当業者により理解されるように、いくつかの実施形態では、活性は低下し、かついくつかの下流の出力値は低下するが、他のものは増加し得る。
【0059】
逆に、物質または刺激の存在下で、このような物質または刺激の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、最大少なくとも約100%(約100%を含む)またはそれを超えて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増加する場合、活性は「高く」なる。
【0060】
including、containing、またはhavingなどの用語の同義語としてのオープンエンド用語の「含む(comprising)」を本明細書で使用して本発明を記載および請求するが、本発明、またはその実施形態は、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」などの代替用語を使って、代わりに記載することができる。
【0061】
治療効果の達成に必要な本明細書で記載の組成物の量は、特定目的のための従来の手順に従って経験的に決定されてよい。一般に、治療目的のために治療薬を投与する場合、治療薬は薬理学的有効量で投与される。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」、または「有効量」は、特に障害または疾患を治療するために、目的の生理的な効果を生み出すのに十分な量または目的の結果を達成することができる量を意味する。本明細書で使用される場合、有効量には、例えば、障害または疾患の症状の進展を遅らせる、障害または疾患の症状の経過を変える(例えば、疾患の症状の進展を遅らせる)、障害または疾患の1つまたは複数の症状または発症を減らすまたはなくする、および障害または疾患の症状を逆転させるのに十分な量を含めることが可能である。治療効果はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「治療方法」は、本明細書に記載の疾患または障害の治療のための組成物および/または本明細書に記載の疾患または障害の治療のための薬剤の製造での使用および/または複数使用のための組成物に等しく適用可能である。
【0063】
本明細書で使用される場合、Fcドメイン変異は、EU規則に従って番号が付けられる(Edelman et al.,PNAS 1969;63(1)78-85、参照によりその全体が組み込まれる)。本明細書で使用される場合、「LALA」変異という用語は、L234A変異およびL235A変異を有する二重変異体Fcドメインを指す。本明細書で使用される場合、「KQ」変異という用語は、K322Q変異を有する二重変異体Fcドメインを指す。
【0064】
ノブインホール変異体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621に記載のもの、すなわち、Y407T/T366Yである。
【0065】
あるいは、ノブインホール変異体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681に記載のもの、すなわち、S354C:T366W/Y349C:T366S:L368A:Y407Vである。
【0066】
特に断りのない限り、Fcは、ヒトIgG1由来である。
【0067】
配列
【化2】
他の配列は、本文中のどこかで同定される。
【0068】
実施例
いくつかの実施例では、ノブインホール技術の2個のバリアントが使用される:Ridgway(Ridgway et al.,Protein Engineering 1996;9:617-621に由来する)およびMerchant(Merchant et al.,Nature Biotechnology 1998;16:677-681に由来する)。
【0069】
Ridgway構築物中の「標準的」エフェクター変異は、LALA-PG(P329G)であり、これは本明細書で言及される。Merchant構築物中の「標準的」エフェクター変異は、LALA-KQ(K322Q)であり、これは本明細書で言及される。
【0070】
用語「AcTaferon(AFN)」、または「AcTakine」は必要に応じ、本明細書で記載のキメラタンパク質に言及するために本明細書で使用される(詳細は、キメラタンパク質のフォーマットに関する実施例で提供される)。
【0071】
実施例1:FcベースAcTaferon
CLEC9A特異的(CLEC9Aは高度に特異的なcDC1マーカーである)の半減期を増加させるために、AcTaferonヒトCLEC9A-VHH_huIFNa2融合タンパク質をFc融合体に変換した。このために、ヒトIgG1-Fcを20*GGSリンカーを介してAcTaferon(VHH 3LEC89-20*GGS-huIFNa2_R149)に融合した。第2バージョンでは、VHHとIFN部分の間にFcドメインを構築した。ヒトIgG1-Fcのエフェクター機能は、LALA-P329G変異を導入することにより低減される。
【0072】
哺乳動物細胞中での発現のための当該配列は次記の通りである:
【化3】
【0073】
構築物を、製造業者の説明書に従ってGeneArt(Thermo Fisher)により作製しExpiCHO発現系(Thermo Fisher)で一過的に発現させた。遺伝子導入後10日に、上清を集め、細胞を遠心分離により取り出した。組換えタンパク質を、製造業者の説明書に従いrProtein A Sepharose Fast Flow resin(GE Healthcare)を使って培地から精製した。意外にも、タンパク質は、70~170mg/Lで発現されたが、深刻な溶解度の問題を示し、それらは4℃で貯蔵される際に、または単回の凍結-解凍サイクル後に、1mg/ml未満の濃度でも、凝集および沈殿する傾向を示した。VHH 3LEC89がヒトPD-L1に特異的な関連のないVHH 2LIG99により置き換えられた場合、類似の観察がなされ、FcベースAcTakineフォーマットは製造性の不都合があることを示す。
【0074】
意外にも、溶解度の問題は、異なるタイプのFc構築物を設計することにより解決された。この新規フォーマットでは、ヘテロダイマーFc複合体が、ノブ・イントゥ・ホール変異Y407T/T366YまたはS354C:T366W/Y349C:T366S:L368A:Y407Vのいずれかを用いて、VHH-Fc融合をFc-IFN融合と組み合わせることにより生成される。追加のバリアントは、T106E変異によるhuIFNα2中のO-グリコシル化部位の任意のノックアウトを含む。合計8個の構築物を、2種の異なるVHH特異的ヒト化ヒトCLEC9Aをベースにして設計した。IgG1-Fcタンパク質のエフェクター機能を低減するために、変異LALA-K322Qを用いた。成熟タンパク質の配列は、配列番号1~8により表される。これは、
図1に示すように、ノブおよびホール構築物を組み合わせることにより生成できる合計で8個のFc複合体をもたらす。
【0075】
哺乳動物細胞中での発現のために、配列を、リーダー配列に連結し、構築物を、GeneArt(Thermo Fisher)により作製した。産生は、上述のようにExpiCHO細胞中で実施した。組換えタンパク質を、Hitrap Protein A HP(GE Healthcare)で上清から精製し、溶出したタンパク質を、中和後、G25カラム(GE Healthcare)で脱塩し、続いて最後の0.22μmの濾過を行った。タンパク質は、少なくとも10mg/mLの濃度で、4℃で、または繰り返される凍結/解凍サイクルの後に、可溶性のままであることを示した。
【0076】
実施例2:Fcを有するまたは有しないキメラのPK効果
R1CHCL50ベースFcタンパク質の4種の異なるバリアントを用いたマウスにおけるPK(薬物動態学)試験
合計9匹のマウスに、各構築物の1mg/kgを静脈内に投与した。K-EDTA血液を、3匹のマウスの第1群から5分、8時間および6日目に採取し、3匹のマウスの第2群から15分、1日および10日目に採取し、3匹のマウスの第3群から2時間、3日および14日目に採取した。未処理のCLEC9A-AFN Fc構築物の濃度をELISAで測定した。簡単に説明すると、MAXISORP Nunc Immuneプレート(Thermo Scientific)をPBS中0.5μg/mlの濃度の抗ヒトインターフェロンアルファmAb(クローンMMHA-13;PBL Assay Science)を用いて一晩コートした。プレートをPBS+0.05%ツイーン-20で4回洗浄後、PBS中の0.1%カゼインを用いて室温で少なくとも1時間ブロッキングした。その後、希釈試料および標準物質を、0.1%カゼイン含有PBS中、室温下で2時間インキュベートした。別の洗浄サイクル後、注文製作のウサギ抗VHH(PBS中0.1%中で1/20000に希釈)を室温で2時間インキュベートし、続けて、追加の洗浄サイクルおよびHRP標識ヤギ抗ウサギ(Jackson-111-035-144;0.1%カゼイン中1:5000に希釈)と共に室温で1時間のインキュベーションを行った。最後の洗浄サイクル後、KPL基質(5120-0047;SeraCare)を用いて製造業者の説明書に従ってペルオキシダーゼ活性を測定した。GraphPad Prismを使って、試料からの濃度を計算した。測定した濃度を
図2でプロットし、4種全ての構築物が、最後のサンプリング時点でRidgwayベースFc構築物の排出が幾分速いことを除いて、類似のPKプロファイルを有することを示す。終末相半減期は、Ridgway構築物について平均で約3日およびMerchant構築物について4.5日と推定された。
【0077】
Fc融合なしのCLEC9A AcTaferonを用いたマウスにおけるPK試験
別の試験で、マウスにおいてFcなしのAFN(3LEC89-20*GGS-huIFNa2_R149A-his6)のPKを評価した。このキメラは次記の配列を有する:
P-602配列
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRIFSVNAMGWYRQAPGKQRELVAAITNQGAPTYADSVKGRFTISRDNAGNTVYLQMNSLRPEDTAVYYCKAFTRGDDYWGQGTQVTVSSVDGGSGGSGGSGGSGGSGGSRSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSAAAMCDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMASFSLSTNLQESLRSKELEHHHHHH(配列番号25)。
【0078】
9匹のマウスに、3mg/kgの静脈内投与を実施した。K-EDTA血液を、3匹のマウスの第1群から5分、および1時間目に採取し、3匹のマウスの第2群から15分および3時間目に採取し、最後に、最後の群から8時間目に採取した。血漿試料中の濃度をFc融合タンパク質に対し記載のものと同じELISAを用いて測定した。測定した濃度(
図3)は、このタイプの分子の急速排出を示し、8時間の時点で、検出限界(0.12μg/ml)未満の濃度をもたらした。推定終末相半減期はわずかに2時間の範囲であり、FcベースAcTakineの優れた半減期特性を明確に示す。
【0079】
実施例3:構築物の結合およびインビボ効果
相対的結合親和性を測定するために、実施例2で示したものと同じ4分子を、HL116-hClec9A細胞上で段階希釈したCLEC9A-AFN Fc構築物とインキュベートした。結合特異性を評価するためにまた、親HL116細胞および親HEK293T細胞(両方とも、Clec9Aの検出可能な発現を欠いている)を同一の段階希釈したCLEC9A-AFN Fc構築物とインキュベートした。結合を、FITC標識抗ヒト二次Abとのその後のインキュベーションにより検出し、MACSQuant X instrument(Miltenyi Biotech)で測定し、FlowLogicソフトウェア(Miltenyi Biotech)を用いて分析した。
図4のデータは、FcベースAFNがHL116-hClec9A細胞に対し類似の結合EC50を有し、一方で結合は、Clec9Aを発現していない細胞株上では検出されなかったことを示す。
【0080】
FcベースAFNの有効性を評価するために、分子をヒト化マウスの腫瘍モデルで試験した。簡単に説明すると、新生児NSGマウス(1~2日齢)を、100cGyで亜致死量照射を行い、その後、1x10
5個のCD34+ヒト幹細胞(HLA-A2陽性臍帯血由来)を肝内に送達した。13週後、幹細胞移入マウスに25x10
5個のヒトRL濾胞性リンパ腫細胞(ATCC CRL-2261;IFNの直接抗増殖作用に感受性がない)を皮下に接種した。マウスを、腫瘍接種後10日目~19日目に、30μgのヒトFlt3Lタンパク質で毎日腹腔内治療した。緩衝液またはFc-AFN(8または75μg)を用いた毎週の静脈内注射を、触知できる腫瘍が認められた、腫瘍接種後の11日目に開始した(群当たりn=5匹のマウス)。腫瘍サイズ(ノギス測定値)、体重および体温を、毎日評価した。
図5および
図6のデータは、第2の治療後6日までの腫瘍増殖を示す。
図5は、全ての構築物が、8μgの低い投与量で、類似のレベルの腫瘍増殖抑制を誘導したことを示す。
図6は、増大する腫瘍増殖抑制をもたらすMerchant構築物についてのより高い投与量の結果を示す。体重および体温のデータは、緩衝液治療およびAFN治療間で何らかの大きな差異を示さず、全てのAFN治療が耐容性良好であったことを裏付けた。
【0081】
実施例4:二価および二重特異的バリアント
分子の標的化能力をさらに高めるために、追加のVHH部分を加え、その配置の非限定例が
図7に示される、構築物を得る。これらの新規構築物は、二価モードでCLEC9Aを標的とするか、または例えばCLEC9AおよびPD-L1の両方を共標的とする。一例として、以下の構築物は、CLEC9Aに対するR1CHCL50(opt4)VHHおよび/またはPD-L1およびhuIFNa2B_R149Aに対する2LIG99 VHHに基づく。R1CHCL50(opt4)を3LEC89(opt4)で置換することにより、類似のシリーズが生成できる。あるいは、huIFNa2B_R149Aを、huIFNa2B_R149A_T106Eで置換できる。最終的に、以下の例は、Fc部分をRidgwayベースノブ・イントゥ・ホール変異と交換することが可能であるMerchantベースノブ・イントゥ・ホール変異を含むFc部分に基づく。
新規構築物
【化4】
【0082】
哺乳動物細胞中での発現のために、配列を、リーダー配列に連結し、発現構築物を、GeneArt(Thermo Fisher)により作製した。産生を、上述のようにExpiCHO細胞で実施した。組換えタンパク質を、Hitrap Protein A HP(GE Healthcare)で上清から精製し、溶出タンパク質を、中和後、G25カラム(GE Healthcare)で脱塩し、続いて最後の0.22μmの濾過を行う。より具体的には、次の発現構築物を組み合わせてFcベースAcTaferonを生成する。
・配列番号17を含む構築物+配列番号7を含む構築物
・配列番号2を含む構築物+配列番号19を含む構築物
・配列番号18を含む構築物+配列番号7を含む構築物
・配列番号20を含む構築物+配列番号7を含む構築物
・配列番号2を含む構築物+配列番号22を含む構築物
・配列番号21を含む構築物+配列番号7を含む構築物
【0083】
実施例5:A145GおよびM148A AFN変異
この実施例では、AFN変異としてのIFNバリエーションA145GおよびM148Aの可能性(すなわち、生物活性の低下を生じるウォーヘッド(warhead)変異、これはウォーヘッドの標的化時に回復させ得る)を、評価した。
【0084】
変異を、ヘテロダイマーの「ノブインホール」Fc AFN状況で評価した。ここで、Clec9A VHH R1CHCL50配列は、フレキシブル20*GGSリンカーを介して、およびpcDNA3.4発現ベクター中で、L234A_L235A_K322Qエフェクター変異および「ホール」改変Y349C_T366S_L368A_Y407Vを含むヒトIgG1 Fc配列に融合された(下記の配列R1CHCL50-Fc3参照)。pcDNA3.4ベクター中にまたクローン化される、第2のAFNパートナーは、L234A_L235A_K322Qエフェクター変異および「ノブ」改変S354C_T366Wを含むヒトIgG1 Fc配列と、AFN変異A145GまたはM148AおよびO-グリコシル化変異T106Eを有するhIFNα2との間の融合から構成される(下記配列参照)。
【0085】
ヘテロダイマー「ノブインホール」AFNを産生するために、「ホール」および「ノブ」の両方のプラスミドの組み合わせを、製造業者の説明書に従いExpiCHO(商標)細胞(ThermoFisher)中に遺伝子導入した。遺伝子導入後7日に、組換えタンパク質を、Protein Aスピンプレート(ThermoFisher)を用いて精製し、定量し、SDS-PAGEを用いて純度試験した。
【0086】
得られたA145GおよびM148 AFNを、初代cDC1細胞(Clec9A発現、AFNの標的)中でSTAT1リン酸化について試験し、他のPBMC集団と比較した。簡単に説明すると、健康なドナーのバフィーコート由来のPBMCを、Lymphoprep(商標)(StemCell technologies)を用いた密度勾配遠心分離により単離した。細胞を、FACS緩衝液(2%FBS、PBS中1mMのEDTA)で2回洗浄し、抗Clec9Aおよび抗CD141 Ab(両方Miltenyi)で染色して、4℃で20分間cDC1集団を特定した。2回の洗浄後、細胞を、段階希釈の野生型IFNα2または両AFNを用いて、37℃で15分間刺激した。固定(10分間、37℃、Fix Buffer I;BD Biosciences)、透過処理(30分、氷上、Perm III Buffer I;BD Biosciences)および洗浄後に、細胞を、抗STAT1 pY701 Ab(BD Biosciences)で染色した。試料を、MACSQuant(登録商標)X instrument(Miltenyi Biotec)で取得し、FlowLogic(商標)ソフトウェア(Miltenyi Biotec)を用いて分析した。
図8A~Bのデータは、(i)Clec9A-/CD141-およびClec9A+/CD141+細胞は、野生型IFNα2野生型IFNα2に対し同等に感受性であること、および(ii)A145GおよびM148Aの両方の変異は、非cDC1 PBMC(Clec9A-/CD141-)中でほとんどのシグナル伝達を消滅させるが、Clec9A陽性細胞(Clec9A+/CD141+)への標的化は、このシグナル伝達を大幅に回復させること、を示す。これは、A145GまたはM148A変異の両方に対し少なくとも100倍のAFN効果をもたらし、AFNの設計に対するこれらの変異の潜在能力を示す。
【0087】
【0088】
実施例6:インビボでのA145GおよびM148A AFN変異
FcベースAFNの有効性を評価するために、分子を、ヒト化マウスの腫瘍モデルで試験した。簡単に説明すると、新生児NSGマウス(1~2日齢)を、100cGyで亜致死量照射し、その後、1x10
5個のCD34+ヒト幹細胞(HLA-A2陽性臍帯血由来)を肝内に送達した。幹細胞移入後13週に、マウスに、25x10
5個のヒトRL濾胞性リンパ腫細胞(ATCC CRL-2261;IFNの直接抗増殖作用に感受性でない)を皮下接種した。マウスを、腫瘍接種後9日目~22日目に、30μgのヒトFlt3Lタンパク質で腹腔内治療した。緩衝液または例5で記載のFc-AFN(7.5μg)構築物での毎週の静脈内注射を、触知できる腫瘍が認められた、腫瘍接種後の9日目に開始した(群当たりn=6匹のマウス)。腫瘍サイズ(ノギス測定値)、体重および体温を、毎日評価した。
図9のデータは、第3の治療後1週間までの腫瘍増殖を示し、両方の構築物が強力なレベルの腫瘍増殖抑制を誘導したことを実証する。体重および体温のデータは、緩衝液治療およびAFN治療間で何らかの大きな差異を示さず、全てのAFN治療が耐容性良好であったことを裏付けた。
【0089】
実施例7:A145GおよびM148A変異をベースにした追加のFc-AFN構築物
減弱化されたヒトインターフェロンアルファ2を有する、次の追加のFc構築物を生成した:
【化6】
【0090】
ヒトCLEC9A標的化AFNを生成するために、上記構築物A~Dのいずれかを、配列番号2または4のCLEC9A VHH-Fc融合体と組み合わせて、8個の新規構築物を得た。加えて、上記構築物E~Hのいずれかを、配列番号1または3のCLEC9A VHH-Fc融合体と組み合わせて、追加のセットの8個の新規構築物を得た。タンパク質を、実施例5で記載のように発現させ精製した。
【0091】
実施例8:T106上にO-グリコシル化有するまたは有しないA145G変異
この実験では、IFNα2中にT106 O-グリコシル化を有するまたは有しないClec9A標的化AFN(R1CHCL50-Fc3+Fc4-IFNa2_A145G対R1CHCL50-Fc3+Fc4-IFNa2_T106E_A145G)、および非標的化バリアント(Fc3+Fc4-IFNa2_A145G)を比較した。タンパク質を、実施例5で記載のように産生し、Protein Aクロマトグラフィーとそれに続くサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0092】
効力を評価するために、構築物を、実施例5で記載のように、ヒトPBMC中の初代cDC1(Clec9A+/CDC141+)および非cDC1(Clec9A-/CDC141-)集団におけるSTAT1リン酸化について試験した。
図10は、T106上にO-グリコシル化有するまたは有しないCLEC9A標的化構築物の特異性を示す。理由は、この構築物は、非cDC1細胞に比べてcDC1細胞中のIFNシグナル伝達の活性化において遙かにより強力であり、非標的化バリアントで治療したcDC1細胞に比べてcDC1細胞上で遙かにより強力であるためである。
【0093】
上述のヘテロダイマー、「ノブインホール」Fc AFN構築物の有効性を評価するために、それらを、ヒト化マウスの腫瘍モデルで試験した。簡単に説明すると、新生児NSGマウス(1~2日齢)を、100cGyで亜致死量照射し、その後、1x10
5個のCD34+ヒト幹細胞(HLA-A2陽性臍帯血由来)を肝内に送達した。幹細胞移入後13週に、マウスに、25x10
5個のヒトRL濾胞性リンパ腫細胞(ATCC CRL-2261;IFNの直接抗増殖作用に感受性でない)を皮下接種した。マウスを、腫瘍接種後7日目~17日目に、30μgのヒトFlt3Lタンパク質で腹腔内治療した。緩衝液またはFc-AFN(2.5μg)構築物による毎週の静脈内注射を、触知できる腫瘍が認められた、腫瘍接種後の9日目に開始した(群当たりn=5匹のマウス)。腫瘍サイズ(ノギス測定値)、体重および体温を、毎日評価した。
図11のデータは、第3の治療後1週間までの腫瘍増殖を示し、両方の標的化AFNが強力なレベルの腫瘍増殖を誘導し、一方で有意な効果は、非標的化バリアントでは観察されなかったことを示す。体重および体温のデータは、緩衝液治療およびAFN治療間で何らかの大きな差異を示さず、全てのAFN治療が耐容性良好であったことを裏付けた。
【0094】
【0095】
実施例9:Fc-AFN構築物
質量分析は、R1CHCL50-Fc3鎖中のC末端リシンK残基が、ほぼ全ての成熟タンパク質で切断されることを示した。従って、両方のFc-鎖でこのリシン残基が除去されたバリアントを、構築した。得られたタンパク質は、Fc’タンパク質と呼ばれる。一例として、IFNα2b中の残基A145がGに変異された、またはIFNα2a中の残基T106およびA145がそれぞれEおよびGに変異された、R1CHCL50-Fc3’とFc4’-AFN融合体のキメラタンパク質の組み合わせを、下記に示す。
【0096】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】