(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20220624BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20220624BHJP
H04R 1/24 20060101ALI20220624BHJP
H04R 1/32 20060101ALI20220624BHJP
G10K 11/175 20060101ALI20220624BHJP
H04R 3/14 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
H04R1/02 103Z
H04R1/10 104A
H04R1/10 104Z
H04R1/10 104E
H04R1/24 Z
H04R1/32 310Z
G10K11/175
H04R3/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564592
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020070542
(87)【国際公開番号】W WO2020220735
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】201910364346.2
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888762.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888067.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】付 峻江
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 冰岩
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D005
5D018
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
5D005BA12
5D005BA13
5D005BB12
5D005BE02
5D018AB20
5D018AF16
5D061FF01
5D220AA14
5D220DD03
(57)【要約】
本開示は、眼鏡に関する。眼鏡は、フレーム、1つまたは複数のレンズ、および1つまたは複数のテンプルを備え得る。眼鏡は、少なくとも1つの低周波音響ドライバ、少なくとも1つの高周波音響ドライバ、およびコントローラをさらに備え得る。少なくとも1つの低周波音響ドライバは、少なくとも2つの第1の誘導穴から音を出力するように構成され得る。少なくとも1つの高周波音響ドライバは、少なくとも2つの第2の誘導穴から音を出力するように構成され得る。コントローラは、低周波音響ドライバに第1の周波数範囲の音を出力するように指示し、高周波音響ドライバに第2の周波数範囲の音を出力するように指示するように構成され得る。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲の1つまたは複数の周波数よりも高い1つまたは複数の周波数を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム、1つまたは複数のレンズ、および1つまたは複数のテンプルを備えた眼鏡であって、前記眼鏡が、
少なくとも2つの第1の誘導穴から音を出力するように構成された少なくとも1つの低周波音響ドライバと、
少なくとも2つの第2の誘導穴から音を出力するように構成された少なくとも1つの高周波音響ドライバと、
前記低周波音響ドライバに第1の周波数範囲の音を出力するように指示し、前記高周波音響ドライバに第2の周波数範囲の音を出力するように指示するように構成されたコントローラであって、前記第2の周波数範囲が、前記第1の周波数範囲の1つまたは複数の周波数よりも高い1つまたは複数の周波数を含む、コントローラとをさらに備える、眼鏡。
【請求項2】
前記2つの第1の誘導穴の間が第1の距離であり、前記2つの第2の誘導穴の間が第2の距離であり、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
前記第1の距離が20ミリメートル~40ミリメートルの範囲内にあり、前記第2の距離が3ミリメートル~7ミリメートルの範囲内にある、請求項2に記載の眼鏡。
【請求項4】
前記第1の距離が前記第2の距離の少なくとも2倍である、請求項2に記載の眼鏡。
【請求項5】
前記第1の周波数範囲が650Hzより低い周波数を含み、前記第2の周波数範囲が1000Hzより高い周波数を含む、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項6】
前記第1の周波数範囲が前記第2の周波数範囲と重複する、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項7】
前記コントローラが、オーディオソース信号を分割して、前記第1の周波数範囲に対応する低周波信号と前記第2の周波数範囲に対応する高周波信号とを生成するように構成された電子分周モジュールを含み、前記低周波信号が、前記音を生成するために前記少なくとも1つの低周波音響ドライバを駆動し、前記高周波信号が、前記音を生成するために前記少なくとも1つの高周波音響ドライバを駆動する、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項8】
前記電子分周モジュールが、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、またはデジタルフィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の眼鏡。
【請求項9】
前記少なくとも1つの低周波音響ドライバが第1の変換器を含み、
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバが第2の変換器を含み、
前記第1の変換器および前記第2の変換器が異なる周波数応答特性を有する、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記第1の変換器が低周波スピーカを含み、前記第2の変換器が高周波スピーカを含む、請求項9に記載の眼鏡。
【請求項11】
前記少なくとも1つの低周波音響ドライバと前記少なくとも2つの第1の誘導穴との間に少なくとも2つの第1の音響経路が形成されていて、
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバと前記少なくとも2つの第2の誘導穴との間に少なくとも2つの第2の音響経路が形成されていて、
前記少なくとも2つの第1の音響経路と前記少なくとも2つの第2の音響経路とは、異なる周波数選択特性を有する、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項12】
前記少なくとも2つの第1の音響経路のそれぞれが音響抵抗材を含み、前記音響抵抗材の音響インピーダンスが5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲内にある、請求項11に記載の眼鏡。
【請求項13】
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバと前記少なくとも1つの低周波音響ドライバとを支持し、ユーザが前記眼鏡をかけているときに前記少なくとも2つの第2の誘導穴を前記少なくとも2つの第1の誘導穴よりも前記ユーザの耳に近づけるように構成された支持構造体をさらに備える請求項1に記載の眼鏡。
【請求項14】
前記少なくとも2つの第2の誘導穴が前記少なくとも2つの第1の誘導穴よりも前記ユーザの耳に近い、請求項13に記載の眼鏡。
【請求項15】
前記少なくとも2つの第1の誘導穴および前記少なくとも2つの第2の誘導穴が前記支持構造体上に配置されている、請求項13に記載の眼鏡。
【請求項16】
前記支持構造体が第1のハウジングを含み、前記低周波音響ドライバが前記第1のハウジングによってカプセル化されており、前記第1のハウジングが前記低周波音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバを画定する、請求項13に記載の眼鏡。
【請求項17】
前記低周波音響ドライバの前記前部チャンバが前記少なくとも2つの第1の誘導穴のうちの1つに音響的に結合されており、前記後部チャンバが前記少なくとも2つの第1の誘導穴のうちの他の第1の誘導穴に音響的に結合されている、請求項16に記載の眼鏡。
【請求項18】
前記支持構造体が第2のハウジングを含み、前記高周波音響ドライバが前記第2のハウジングによってカプセル化されており、前記第2のハウジングが前記高周波音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバを画定する、請求項13に記載の眼鏡。
【請求項19】
前記高周波音響ドライバの前記前部チャンバが前記少なくとも2つの第2の誘導穴のうちの1つに音響的に結合されており、前記高周波音響ドライバの前記後部チャンバが前記少なくとも2つの第2の誘導穴のうちの他の第2の誘導穴に音響的に結合されている、請求項18に記載の眼鏡。
【請求項20】
前記少なくとも2つの第1の誘導穴から出力される前記音が逆位相を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月30日に出願された中国特許出願番号201910364346.2、2019年9月19日に出願された中国特許出願番号201910888762.2、および2019年9月19日に出願された中国特許出願番号201910888067.6の優先権を主張し、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、スマート装置、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
音響出力技術の発展に伴い、音響出力装置が広く使用されてきた。開放型両耳音響出力装置は、特定の範囲内の音の伝導を促進する携帯型オーディオ出力装置である。従来のインイヤーおよびオーバーイヤーヘッドフォンと比較して、開放型両耳音響出力装置は、外耳道を塞がず、覆わないという特徴を備えている場合があり、それによりユーザは音楽を聴きながら周囲環境の音情報を取得できるため、ユーザの安全性と快適性を向上させる。開放型構造を採用しているため、開放型両耳音響出力装置の音漏れは、従来のヘッドフォンよりも深刻な場合がある。さらに、音声および通信技術の開発に伴い、一部の音響出力装置には音声受信機能も備わっている場合がある。しかしながら、従来の音響出力装置は、音を受信するために単一のマイクロフォンを含み得る。音を受信する過程で、外部ノイズもマイクロフォンによって記録される可能性があり、それによって音響出力装置の音を受信する性能に影響を与える。したがって、音響出力装置を提供することにより、聴取音量を上げ、音響出力装置の音漏れを低減し、音響出力装置の受音性能を向上させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/220720号
【特許文献2】国際公開第2020/220721号
【特許文献3】国際公開第2020/220722号
【特許文献4】国際公開第2020/220723号
【特許文献5】国際公開第2020/051786号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、眼鏡が提供される。眼鏡は、フレーム、1つまたは複数のレンズ、および1つまたは複数のテンプルを備え得る。眼鏡は、少なくとも1つの低周波音響ドライバ、少なくとも1つの高周波音響ドライバ、およびコントローラをさらに備え得る。少なくとも1つの低周波音響ドライバは、少なくとも2つの第1の誘導穴から音を出力するように構成され得る。少なくとも1つの高周波音響ドライバは、少なくとも2つの第2の誘導穴から音を出力するように構成され得る。コントローラは、低周波音響ドライバに第1の周波数範囲の音を出力するように指示し、高周波音響ドライバに第2の周波数範囲の音を出力するように指示するように構成され得る。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲の1つまたは複数の周波数よりも高い1つまたは複数の周波数を含み得る。
【0006】
本開示は、例示的な実施形態に関してさらに説明される。これらの例示的な実施形態は、図面を参照して詳細に説明されている。これらの実施形態は、非限定的な例示的な実施形態であり、同様の参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって同様の構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的な二重点音源を示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、周波数を有する二重点音源および単一点音源の漏れ音の変化を示す概略図である。
【
図3】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源の距離による近距離場音の音量および遠距離場漏れの音量の変化を示すグラフである。
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源の距離による近距離場音の音量および遠距離場漏れの音量の変化を示すグラフである。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【
図6】
図6A~
図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による音出力の例示的な処理を示す概略図である。
【
図7】
図7A~
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【
図8】
図8A~
図8Cは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響経路を示す概略図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、2組の二重点音源の複合作用下での音漏れを示す例示的なグラフである。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による2つの点音源および聴取位置を示す概略図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、異なる距離を有する二重点音源の聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による、遠距離場における二重点音源の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源の間に配置された例示的なバッフルを示す概略図である。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による、耳介が二重点音源における2つの点音源の間に配置されたときの、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態による、耳介が二重点音源における2つの点音源の間に配置されたときの、漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態による、音響出力装置の二重点音源における2つの点音源が耳介の両側に配置されたときの、正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間のバッフルがある場合とない場合との、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図19】本開示のいくつかの実施形態による、周波数300Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量と漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
【
図20】本開示のいくつかの実施形態による、周波数1000Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量と漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
【
図21】本開示のいくつかの実施形態による、周波数5000Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
【
図22】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが1cmである場合の、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図23】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが2cmである場合の、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図24】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における点音源の距離dが4cmであるときの聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図25】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが1cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図26】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが2cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図27】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが4cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図28】本開示のいくつかの実施形態による聴取位置を示す概略図である。
【
図29】本開示のいくつかの実施形態による、近距離場の異なる聴取位置でバッフルのない二重点音源によって生成される聴取音の音量を周波数とともに示すグラフである。
【
図30】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルのない二重点音源の近距離場における異なる聴取位置での聴取音の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図31】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルを備えた二重点音源の近距離場における異なる聴取位置での聴取音の音量を周波数とともに示すグラフである。
【
図32】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルを備えた二重点音源の異なる聴取位置での正規化されたパラメータを周波数とともに示すグラフである。
【
図33】本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源およびバッフルを示す図である。
【
図34】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの、近距離場における音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図35】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの、遠距離場における漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図36】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
【
図37】本開示のいくつかの実施形態による、別の例示的な音響出力装置を示す構造図である。
【
図38】本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡を示す概略図である。
【
図39】本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡のテンプルの断面図を示す概略図である。
【
図40】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な眼鏡のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
【
図41】本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡のテンプルの断面図を示す概略図である。
【
図42】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な眼鏡のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
【
図43】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な眼鏡のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
【
図44】本開示のいくつかの実施形態によるマイクロフォンノイズ低減システムを示す概略図である。
【
図45】
図45A~
図45Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的なマイクロフォンノイズ低減システムを示す概略図である。
【
図46】
図46A~
図46Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のマイクロフォンの例示的な周波数応答および第2のマイクロフォンの例示的な周波数応答を示す概略図である。
【
図47】本開示のいくつかの実施形態による例示的なサブバンドノイズ抑制サブユニットを示す概略図である。
【
図48】本開示のいくつかの実施形態による位相変調信号を示す概略図である。
【
図52】
図52Aは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡のテンプルを示す概略図である。
図52Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡を示す概略図である。
【
図53】本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡を示す概略図である。
【
図54】本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡を示す概略図である。
【
図55】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置の構成要素を示す概略図である。
【
図56】本開示のいくつかの実施形態による、音響出力装置の構成要素の接続を示す概略図である。
【
図57】本開示のいくつかの実施形態による例示的な電源を示す概略図である。
【
図58】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な音響出力装置の音声制御システムを示す概略図である。
【
図59】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォンの断面図である。
【
図60】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォンの音生成構造を示す概略図である。
【
図61】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォンのバッフルの断面図である。
【
図62】本開示のいくつかの実施形態による誘導穴の位置を示す概略図である。
【
図63】
図63A~
図63Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のスピーカユニットの例示的な周波数応答および第2のスピーカユニットの例示的な周波数応答を示す概略図である。
【
図64】本開示のいくつかの実施形態による例示的な開放型両耳ヘッドフォンを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態に関連する技術的解決策を説明するために、実施形態の説明で参照される図面の簡単な紹介を以下に提供する。明らかに、以下に説明する図面は、本開示のいくつかの実施例または実施形態にすぎない。当業者は、さらなる創造的な努力なしに、これらの図面に従って他の同様のシナリオに本開示を適用することができる。これらの例示された実施形態の目的は、出願を実施するために当業者にのみ提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。ロケールから明らかであるか、特に明記されていない限り、同様の参照番号は、図面のいくつかのビュー全体で同様の構造または操作を表す。
【0009】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用されるように、一般性を失うことなく、「スピーカ装置」、「スピーカ」、または「ヘッドフォン」の説明は、本開示におけるスピーカ関連技術を説明するときに使用される。この説明は、スピーカ用途の形式にすぎない。当業者にとって、「スピーカ装置」、「スピーカ」、または「イヤフォン」は、「プレーヤ」、「補聴器」などの他の同様の単語に置き換えられ得る。実際、本開示における様々な実装は、他の非スピーカ形式の補聴器に容易に適用され得る。例えば、当業者の場合、スピーカ装置の基本原理を理解した後、スピーカ装置を実装するための特定の方法およびステップの形式および詳細で、特に、原理から逸脱することなくスピーカ装置が補聴器として機能することを可能にするために、スピーカ装置に周囲音のピックアップおよび処理機能を追加する、複数の変形および修正を行うことができる。例えば、マイクロフォンなどの音声送信機は、ユーザ/装着者の周囲音を拾い上げ、特定のアルゴリズムを使用して音を処理し、処理された音(または生成された電気信号)をユーザ/装着者に送信することができる。すなわち、スピーカ装置は、変更され得、周囲の音を拾う機能を有し得る。周囲の音は処理され、スピーカ装置を介してユーザ/装着者に送信され、それによって補聴器の機能を実装することができる。例えば、上記のアルゴリズムは、ノイズキャンセルアルゴリズム、自動ゲイン制御アルゴリズム、音響フィードバック抑制アルゴリズム、広い動的範囲圧縮アルゴリズム、能動環境認識アルゴリズム、能動ノイズ低減アルゴリズム、方向処理アルゴリズム、耳鳴処理アルゴリズム、マルチチャネル広域ダイナミックレンジ圧縮アルゴリズム、能動ハウリング抑制アルゴリズム、音量制御アルゴリズムなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0010】
本開示は、音響出力装置を提供する。ユーザが音響出力装置を装着するとき、音響出力装置は、少なくともユーザの頭の片側に、ユーザの耳の近くに配置され得るが、ユーザの耳を塞いではならない。音響出力装置は、ユーザの頭(例えば、眼鏡、ヘッドバンドなどとして設計された開口型イヤフォン)、またはユーザの首または肩の領域などのユーザの体の他の部分に装着することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも2セットの音響ドライバを含み得る。少なくとも2セットの音響ドライバは、少なくとも1セットの高周波音響ドライバおよび少なくとも1セットの低周波音響ドライバを含み得る。音響ドライバの2つのセットのそれぞれは、特定の周波数範囲で音を生成し、音響ドライバの2つのセットとそれぞれ音響的に結合された少なくとも2つの誘導穴を通して音を外側に伝播するように構成され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも1セットの音響ドライバを含み得、少なくとも1セットの音響ドライバによって生成された音は、少なくとも1セットの音響ドライバと音響的に結合された少なくとも2つの誘導穴を通って外側に伝播され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置はバッフルを含み得、少なくとも2つの誘導穴は、バッフルの2つの側にそれぞれ配置され得る。いくつかの実施形態では、ユーザが音響出力装置を装着したときに、少なくとも2つの誘導穴をユーザの耳介の両側に配置することができる。この場合、耳介は、少なくとも2つの誘導穴を分離するためのバッフルと見なすことができ、少なくとも2つの誘導穴は、ユーザの外耳道への異なる音響経路に対応し得る。
【0012】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な二重点音源を示す概略図である。音響出力装置の誘導穴の設定が音響出力装置の出力音に及ぼす影響をさらに説明するために、音が誘導穴から外側に伝播することを考慮すると、音響出力装置の誘導穴は、本開示における音響出力のための音源と見なされ得る。
【0013】
説明および例示の目的のためだけに、音響出力装置の各誘導穴のサイズが比較的小さい場合、各誘導穴は点音源と見なすことができる。いくつかの実施形態では、音を出力するために音響出力装置上に配置された任意の誘導穴は、音響出力装置の単一点音源と見なすことができる。単一点音源によって生成される音場pの音圧は、次式(1)で表すことができる。
【数1】
ここで、ωは角周波数、p
0は空気密度、rは対象点と音源の間の距離、Q
0は音源の音量速度、kは波数を表す。点音源の音場の音圧は、対象点から点音源までの距離に反比例することがわかる。なお、本開示では、音を出力するための誘導穴を点音源と見なし、実際の用途では誘導穴の形状や大きさを制限しない原理と効果の一例にすぎないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、比較的大きな面積を有する誘導穴は、面音源と見なされ得、音を外側に伝播するように構成され得る。いくつかの実施形態では、点音源はまた、振動面、音響放射面などの他の構造によって実現され得る。当業者にとって、創造的な活動を支払うことなく、誘導穴、振動面、および音放射面などの構造によって生成される音は、同じ音伝播特性および同じ数学的記述を有し得る、本開示で論じられる空間スケールにおける点音源と見なされ得ることが知られ得る。さらに、当業者にとって、創造的な活動を支払うことなく、音響ドライバによって生成された音が、本開示に示される少なくとも2つの誘導穴を通って外側に伝播され得る場合に達成される音響効果は、少なくとも1セットの音響ドライバによって生成された音が少なくとも1つの音放射面を通って外側に伝播され得るなど、上記の他の音響構造によって達成され得ることが知られ得る。他の音響構造は、実際のニーズに応じて選択、調整、および/または組み合わせることができ、同じ音響出力効果を達成することができる。面音源などの構造によって音を外側に伝播する原理は、ここでは繰り返さない点音源によって音を外側に伝播する原理と同様であり得る。
【0014】
上記のように、本開示で開示される音響出力装置の同じ音響ドライバに対応する少なくとも2つの誘導穴を使用して、二重点音源を構築し、それにより、音響出力装置によって周囲環境に放射される音を低減することができる。便宜上、音響出力装置によって周囲環境に放射される音は、その音が環境内の他の人に聞こえ得るため、遠距離場漏れ音と呼ばれ得る。音響出力装置が音響出力装置を装着しているユーザの耳に放射する音は、音響出力装置がユーザに近いため、近距離場音と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、2つの誘導穴(すなわち、二重点音源)によって出力される音は、特定の位相差を有し得る。本明細書で使用される場合、点音源(例えば、誘導穴)によって出力される音の位相は、点音源の位相とも呼ばれ得る。二重点音源における2つの点音源の位置と位相差が一定の条件を満たす場合、音響出力装置は、近距離場(例えば、ユーザの耳の聴取位置)と遠距離場とで異なる音効果を示し得る。例えば、2つの誘導穴に対応する点音源の位相が逆である場合、すなわち、2つの点音源間の位相差の絶対値が180度である場合、遠距離場漏れは、音波の逆位相キャンセルの原理に従って低減され得る。音響出力装置の音響出力効果の改善に関する詳細な説明は、2019年12月31日に出願された国際出願第PCT/CN2019/130884号(特許文献1)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
図1に示すように、二重点音源によって生成される音場の音圧pは、以下の式(2)によって表すことができる。
【数2】
ここで、A
1およびA
2はそれぞれ二重点音源における2つの点音源の強度を表し、φ
1およびφ
2はそれぞれ二重点音源における2つの点音源の位相を表し、r
1およびr
2は、以下の式(3)で表すことができる。
【数3】
ここで、rは、空間内の任意の対象点と、二重点音源における2つの点音源の中心位置との間の距離を示し、θは、対象点と二重点音源の中心位置とを結ぶ線と、点音源と二重点音源が配置されている位置とを結ぶ線(つまり、二重点音源における2つの点音源を結ぶ線)との間の角度を示し、dは、二重点音源における2つの点音源間の距離を表す。
【0016】
式(3)によれば、音場内の対象点の音圧は、各点音源の強度、2つの点音源間の距離、2つの点音源の位相、および対象点と二重点音源との間の距離に関係し得る。
【0017】
音誘導穴を設定することで、出力性能の異なる二重点音源を形成することができる。この場合、近距離場音の音量が増加され得、遠距離場音の漏れ音の音量が低下され得る。例えば、音響ドライバは、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側からそれぞれ音が伝わり得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの前側は、音を伝達するための前部チャンバを含み得る。前部チャンバは、音誘導穴と音響的に結合され得る。振動ダイアフラムの前側から伝達された音は、前部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、さらに外側に伝達され得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの後側には、音を伝達するための後部チャンバを設けることができる。後部チャンバは、別の音誘導穴と音響的に結合することができ、振動ダイアフラムの後側から伝達された音は、後部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、外側に伝播することができる。なお、振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側がそれぞれ逆位相の音を発生し得る。いくつかの実施形態では、前部チャンバおよび後部チャンバの構造は、異なる音誘導穴で音響ドライバによって出力される音が特定の条件を満たすことができるように特別に設定され得る。例えば、前部チャンバおよび後部チャンバの長さは、特定の位相関係(例えば、逆位相)を有する音が2つの音誘導穴から出力され得るように特別に設計され得る。その結果、音響出力装置の近距離場での音量が小さく、遠距離場での音漏れの問題が効果的に解決され得る。
【0018】
特定の条件下では、単一点音源と比較して、二重点音源の遠距離場音の音量が周波数とともに増加し得る。換言すれば、遠距離場における二重点音源の漏れ低減能力は、周波数が増加するにつれて低下し得る。さらなる説明のために、周波数を伴う遠距離場漏れの曲線が、
図2に関連して説明され得る。
【0019】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源および単一点音源の漏れ音の変化を周波数とともに示す概略図である。
図2の二重点音源における2つの点音源間の距離は一定であり得、二重点音源は、同じ(または実質的に同じ)振幅および逆位相を有し得る。点線は、異なる周波数での単一点音源の漏れ音の音量の変化を表している。実線は、異なる周波数での二重点音源の漏れ音の音量の変化を表している。横軸は音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)である。縦軸は、漏れ音の音量を評価するために正規化パラメータαを採用している。パラメータαは、以下の式(4)で表すことができる。
【数4】
ここで、P
farは、遠距離場における音響出力装置の音圧(つまり、遠距離場音漏れの音圧)を表す。P
earは、ユーザの耳の周りの音圧(つまり、近距離場音の音圧)を表す。αの値が大きいほど、近距離場音に比べて遠距離場漏れ音が大きくなり得る。これは、遠距離場音漏れを低減するための音響出力装置の能力が悪い可能性があることを示し得る。
【0020】
図2に示すように、周波数が6000Hz未満の場合、二重点音源によって生成される遠距離場漏れ音は、単一点音源によって生成される遠距離場漏れ音よりも小さい可能性があり、周波数が高くなると、遠距離場漏れ音が大きくなり得る。周波数が10000Hzに近い場合(例えば、約8000Hz以上)、二重点音源によって生成される遠距離場漏れ音は、単一点音源によって生成される遠距離場漏れ音よりも大きくなり得る。いくつかの実施形態では、二重点音源と単一点音源の変動曲線の交点に対応する周波数を、二重点音源が音漏れを低減できる上限周波数として決定することができる。
【0021】
説明のために、周波数が比較的小さい場合(例えば、100Hzから1000Hzの範囲内)、二重点音源の音漏れを低減する能力は、比較的強い場合がある(すなわち、αの値が、-80デシベル(dB)未満と小さい場合がある)。このような周波数帯域では、最適化の目標として、聴取音の音量の増分を決定することができる。周波数が比較的高い場合(例えば、1000Hzから8000Hzの範囲)、二重点音源の音漏れを低減する能力は比較的弱い場合がある(つまり、αの値が、-80dB超と大きい場合がある)。このような周波数帯域では、音漏れの減少が最適化の目標として決定され得る。
【0022】
図2を参照すると、周波数の分周点は、音漏れを低減する際の二重点音源の能力の変動傾向に基づいて決定することができる。二重点音源のパラメータは、音響出力装置の音漏れを低減するために、分周点に応じて調整することができる。例えば、特定の値(例えば、-60dB、-70dB、-80dB、-90dBなど)を有するαに対応する周波数が、分周点として使用され得る。二重点音源のパラメータは、周波数帯域を分周点より下に設定して近距離場音の音量を改善し、周波数帯域を分周点より上に設定して遠距離場音漏れを低減することによって決定できる。いくつかの実施形態では、比較的高い音の周波数を有する高周波帯域(例えば、高周波音響ドライバによる音出力)および比較的低い音の周波数を有する低周波帯域(例えば、低周波音響ドライバによる音出力)は、分周点に基づいて決定され得る。分周点に関するより多くの説明は、本開示の他の場所(例えば、
図4およびその関連する説明)で見出され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、音漏れの測定および計算は、実際の条件に従って調整され得る。例えば、半径40cmの二重点音源を中心とする球面上の複数点の音圧の振幅の平均値を音漏れの値として決定することができる。近距離場の聴取位置と点音源との間の距離は、遠距離場音漏れを測定するための点音源と球面との間の距離よりも短くてもよい。任意選択で、半径rに対する近距離場の聴取位置と二重点音源の中心との間の距離の比は、0.3、0.2、0.15、または0.1未満であり得る。別の例として、遠距離場位置の1つまたは複数の点を音漏れを測定するための位置と見なすことができ、その位置の音量を音漏れの値と見なすことができる。別の例として、二重点音源の中心を円の中心として使用することができ、遠距離場の特定の空間角に従って均等にサンプリングされた2つ以上の点の音圧振幅を平均することができ、平均値は、音漏れの値と見なすことができる。これらの測定および計算方法は、本明細書に限定されない実際の条件に従って当業者によって調整され得る。
【0024】
図2によれば、高周波帯域(例えば、分周点に従って決定される比較的高い周波数帯域)において、二重点音源は、音漏れを低減する比較的弱い能力を有し得、低周波帯域(例えば、分周点に従って決定される比較的低い周波数帯域)では、二重点音源は、音漏れを低減する比較的強力な能力を有し得ると結論付けることができる。特定の音の周波数では、二重点放射源における2つの点音源の振幅、位相差などが異なる場合があり、二重点放射源における2つの点音源の音漏れ低減能力が異なる場合があり、聴取音の音量と漏れ音の音量との差が異なり得る。より良い説明のために、2つの点音源間の距離の関数としての遠距離場漏れの曲線が、
図3Aおよび
図3Bを参照して説明され得る。
【0025】
図3Aおよび
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源の距離による近距離場音の音量および遠距離場漏れの音量の変化を示すグラフである。
図3Bは、
図3Aのグラフに対して正規化を実行することによって生成されたグラフである。
図3Aに示すように、実線は、二重点音源における2つの点音源間の距離による二重点音源の聴取音の変動曲線を表し、点線は、二重点音源における2つの点音源間の距離による二重点音源の漏れ音の変動曲線を表す。横軸は、二重点音源における2つの点音源間の距離dの、基準距離d0に対する距離比d/d0を表す。縦軸は音量を表す(単位はdBである)。距離比d/d0は、二重点音源における2つの点音源間の距離の変化を反映し得る。いくつかの実施形態では、基準距離d0は、特定の範囲内で決定され得る。例えば、d0は、2.5ミリメートルから10ミリメートルの範囲の特定の値であり得る。単なる例として、d0は5ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、基準距離d0は、聴取位置に基づいて決定され得る。例えば、二重点音源における2つの点音源のうち、聴取位置から最も近い点音源までの距離を基準距離d0と見なすことができる。基準距離d0は、本明細書に限定されない実際の条件に従って、他の任意の適切な値として決定され得ることを理解されたい。単なる例として、
図3Aにおいて、d0は、二重点音源における2つの点音源間の距離の変化の基準値として5ミリメートルであり得る。
【0026】
音の周波数が一定の場合、二重点音源における2つの点音源間の距離が大きくなると、二重点音源の聴取音の音量と漏れ音の音量が大きくなり得る。距離比d/d0が比閾値未満の場合、二重点音源における2つの点音源間の距離が大きくなると、聴取音の音量の増分が漏れ音の音量の増分より大きくなり得る。つまり、聴取音の音量の増分は、漏れ音の音量の増分よりも大幅であり得る。例えば、
図3Aに示すように、距離比d/d0が2の場合、聴取音の音量と漏れ音の音量との差は約20dBであり得る。距離比d/d0が4の場合、聴取音の音量と漏れ音の音量の差は約25dBになり得る。いくつかの実施形態では、距離比d/d0が比閾値に達すると、聴取音の音量と漏れ音の音量の比が最大値に達することがあり、二重点音源における2つの点音源の距離がさらに大きくなると、聴取音の音量の曲線と漏れ音の音量の曲線が徐々に平行になり得る。すなわち、聴取音の音量の増分と漏れ音の音量の増分は同じ(または実質的に同じ)であり得る。例えば、
図3Bに示すように、距離比d/d0が5、6、または7である場合、聴取音の音量と漏れ音の音量との差は同じ(または実質的に同じ)であり得、これは約25dBになり得る。すなわち、聴取音の音量の増分は、漏れ音の音量の増分と同じであり得る。いくつかの実施形態では、二重点音源の距離比d/d0の比閾値は、0~7、0.5~4.5、1~4などの範囲にあり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、比閾値は、
図3Aの二重点音源の聴取音の音量と漏れ音の音量との間の差の変化に基づいて決定され得る。例えば、聴取音の音量と漏れ音の音量との最大差に達したときの、聴取音の音量と漏れ音の音量との比を、比閾値として決定することができる。
図3Bに示されるように、距離比d/d0が比閾値(例えば4)よりも小さい場合、二重点音源における2つの点音源間の距離が増加するにつれて、聴取音の正規化された曲線が上昇傾向(例えば、正規化された曲線の傾きが0より大きい)を示し得る。すなわち、聴取音の音量の増分は、漏れ音の音量の増分よりも大きくなり得る。距離比d/d0が比閾値よりも大きい場合、二重点音源における2つの点音源間の距離が大きくなるにつれて、聴取音の正規化曲線の傾きが徐々に0に近づき得る。聴取音の正規化された曲線は、漏れ音の正規化された曲線と平行であり得る。すなわち、二重点音源における2つの点音源間の距離が大きくなるにつれて、聴取音の音量の増分は、漏れ音の音量の増分よりも大きくならない場合がある。
【0028】
上記の説明に基づいて、聴取位置が一定であり、二重点音源のパラメータを特定の手段で調整することができる場合、それによって近距離場音の音量を大幅に増加させ、遠距離場漏れの音量をわずかに増加させることができる(つまり、近距離場音の音量の増分が遠距離場漏れの音量の増分よりも大きい)ことがわかる。例えば、2つ以上の二重点音源(例えば、高周波二重点音源と低周波二重点音源)を配置することができ、それぞれの二重点音源における2つの点音源間の距離は、特定の手段によって調整することができ、高周波二重点音源における2つの点音源間の距離は、低周波二重点音源における2つの点音源間の距離よりも小さくすることができる。低周波二重点音源は音漏れが少ない可能性があり(つまり、低周波二重点音源は音漏れを低減する比較的強力な能力を有し得る)、高周波二重点音源は比較的大きな音漏れを有し得る(すなわち、高周波二重点音源は音漏れを減らすための比較的弱い能力を有し得る)。高周波帯域の二重点音源における2つの点音源間の距離が比較的小さい場合、聴取音の音量は漏れ音の音量よりも大幅に大きくなり得、それによって音漏れが減少する。
【0029】
本開示の実施形態では、距離は、音響ドライバの各セットに対応する2つの誘導穴の間にあり得、距離は、音響出力装置によってユーザの耳に伝達される近距離場音の音量、および音響出力装置によって環境に伝達される遠距離場漏れの音量に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバに対応する誘導穴間の距離が、低周波音響ドライバに対応する誘導穴間の距離よりも小さい場合、聴取音の音量および漏れ音を低減することにより、音響出力装置のユーザの近くにいる他の人に音が聞こえないようにすることができる。上記の説明によれば、音響出力装置は、比較的静かな環境においてさえ、開放型両耳イヤフォンとして効果的に使用され得る。
【0030】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図4に示すように、音響出力装置100は、電子分周ユニット110、音響ドライバ140、音響ドライバ150、音響経路145、音響経路155、少なくとも2つの第1の音誘導穴147、および少なくとも2つの第2の音誘導穴157を備え得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、コントローラ(図には示されていない)をさらに備え得る。コントローラの一部としての電子分周ユニット110は、異なる音響ドライバに入力される電気信号を生成するように構成され得る。音響出力装置100内の異なる構成要素間の接続は、有線または無線であり得る。例えば、電子分周ユニット110は、有線伝送方式または無線伝送方式を介して、音響ドライバ140および/または音響ドライバ150に信号を送信することができる。
【0031】
電子分周ユニット110は、ソース信号の周波数を分割することができる。ソース信号は、音響出力装置100に統合された1つまたは複数の音源装置(例えば、オーディオデータを格納するメモリ)から来てもよい。ソース信号はまた、音響出力装置100が有線または無線手段によって受信したオーディオ信号であり得る。いくつかの実施形態では、電子分周ユニット110は、入力ソース信号を、異なる周波数を含む2つ以上の分周信号に分解することができる。例えば、電子分周ユニット110は、ソース信号を、高周波音を伴う第1の分周信号(または分周信号1)と、低周波音を伴う第2の分周信号(または分周信号2)に分解することができる。便宜上、高周波音を伴う分周信号を高周波信号と呼び、低周波音を伴う分周信号を直接低周波信号と呼ぶことができる。低周波信号は、第1の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指し得る。高周波信号は、第2の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指し得る。
【0032】
例示の目的で、本開示のいくつかの実施形態に記載されている低周波信号は、比較的低い周波数を有する第1の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指し得、高周波信号は、比較的高い周波数を有する第2の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指し得る。第1の周波数範囲および第2の周波数範囲は、重複する周波数範囲を含み得るか、または含まなくてもよく、第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲の周波数よりも高い周波数を含み得る。単なる例として、第1の周波数範囲は、第1の周波数閾値より低い周波数を含み得、第2の周波数範囲は、第2の周波数閾値より高い周波数を含み得る。第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値よりも低いか、第2の周波数閾値に等しいか、または第2の周波数閾値よりも高くてもよい。例えば、第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値よりも小さくてもよく(例えば、第1の周波数閾値は600Hzであり得、第2の周波数閾値は700Hzであり得る)、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複がないことを示し得る。別の例として、第1の周波数閾値は、第2の周波数に等しくあり得る(例えば、第1の周波数閾値および第2の周波数閾値の両方が、650Hzまたは他の周波数値であり得る)。さらに別の例として、第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値よりも大きくてもよく、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複があることを示し得る。この場合、第1の周波数閾値と第2の周波数閾値との間の差は、第3の周波数閾値を超えてはならない。第3の周波数閾値は、例えば、20Hz、50Hz、100Hz、150Hz、200Hzなどの値であり得るか、または第1の周波数閾値および/または第2の周波数閾値に関連した値(例えば、第1の周波数閾値の5%、10%、15%など)であり得る。第3の周波数閾値は、実際のニーズに従ってユーザによって決定される値であり得るが、これは本明細書では限定されない。第1の周波数閾値および第2の周波数閾値は、本明細書で限定される異なる状況に従って決定され得ることを理解されたい。
【0033】
いくつかの実施形態では、電子分周ユニット110は、分周器115、信号プロセッサ120、および信号プロセッサ130を含み得る。分周器115を使用して、ソース信号を、異なる周波数成分を含む2つ以上の分周信号、例えば、高周波音成分を有する分周信号1および低周波音成分を有する分周信号2に分解することができる。いくつかの実施形態では、分周器115は、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、デジタルフィルタ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含むがこれらに限定されない、信号分解機能を実施することができる電子装置であり得る。いくつかの実施形態では、分周器115は、1つまたは複数の分周点に基づいて音源信号を分割することができる。分周点は、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲を区別する信号周波数を指す。例えば、第1の周波数範囲および第2の周波数範囲が重複する周波数範囲を含む場合、分周点は、重複する周波数範囲内の特徴点(例えば、低周波数境界点、高周波数境界点、重複する周波数範囲の中心周波数点など)であり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、周波数と音響出力装置の音漏れとの間の関係(例えば、
図2、
図3A、または
図3Bに示される曲線)に従って決定され得る。例えば、音響出力装置の漏れ音は周波数の変化に伴って変化し得ることを考慮して、ある条件を満たす漏れ音の音量に対応する周波数点、例えば、
図2に示す1000Hz、を分周点として選択することができる。周波数による漏れ音の変化に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図2およびその関連する説明を参照されたい。いくつかの代替の実施形態では、ユーザは、分周点として特定の周波数を直接決定することができる。例えば、人間の耳に聞こえる音の周波数範囲が20Hz~20kHzであることを考慮すると、ユーザはこの範囲の周波数点を分周点として選択し得る。単なる例として、分周点は、600Hz、800Hz、1000Hz、1200Hzなどであり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、音響ドライバの性能に従って決定され得る。例えば、低周波音響ドライバと高周波音響ドライバが異なる周波数応答曲線を有し得ることを考慮すると、分周点は、低周波音響ドライバの上限周波数の1/2を超え、および高周波音響ドライバの下限周波数の2倍未満の周波数範囲で決定され得る。別の例として、分周点は、低周波音響ドライバの上限周波数の3分の1より上で、高周波音響ドライバの下限周波数の1.5倍未満の周波数範囲で決定され得る。いくつかの実施形態では、重複する周波数範囲において、点音源間の位置関係は、近距離場および遠距離場において音響出力装置によって生成される音量に影響を及ぼし得る。近距離場と遠距離場の音響出力装置によって生成される音量に対する点音源間の位置関係の影響に関する詳細な説明は、2019年12月31日に提出された国際出願第PCT/CN2019/130886号(特許文献2)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
信号プロセッサ120および130は、後続の音出力の要件を満たすために、それぞれ分周信号を処理することができる。いくつかの実施形態では、信号プロセッサ120または130は、1つまたは複数の信号処理ユニットを含み得る。例えば、信号プロセッサは、増幅器、振幅変調器、位相変調器、遅延器、または動的利得コントローラなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。単なる例として、信号プロセッサ120および/または信号プロセッサ130による音声信号の処理は、音声信号のいくつかの周波数に対応する振幅を調整することを含み得る。具体的には、第1の周波数範囲が第2の周波数範囲と重複する周波数範囲を有する場合、信号プロセッサ120および130は、重複する周波数範囲の周波数に対応する音声信号の強度を調整する(例えば、重複する周波数範囲の周波数に対応する信号の振幅を低減する)ことができ、これにより、複数の音声信号の重ね合わせによる後続の出力音の重複する周波数範囲の過剰な音量を回避する。
【0035】
処理動作が信号プロセッサ120または信号プロセッサ130によって実行された後、分周信号は、それぞれ音響ドライバ140および150に送信され得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ140に送信される音声信号は、比較的低い周波数範囲(例えば、第1の周波数範囲)を含む音声信号であり得、音響ドライバ140は、低周波音響ドライバと呼ばれることもある。音響ドライバ150に送信される音声信号は、比較的高い周波数範囲(例えば、第2の周波数範囲)を含む音声信号であり得、音響ドライバ150は、高周波音響ドライバと呼ばれることもある。音響ドライバ140および音響ドライバ150は、音声信号をそれぞれ低周波音および高周波音に変換し、次いで、変換された音を外側に伝播することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ140は、少なくとも2つの第1の音誘導穴(例えば、2つの第1の音誘導穴147)に音響的に結合され得る(例えば、2つの音響経路145を介して2つの第1の音誘導穴147にそれぞれ接続される)。次に、音響ドライバ140は、少なくとも2つの第1の音誘導穴を通して音を伝播することができる。音響ドライバ150は、少なくとも2つの第2の音誘導穴(例えば、2つの第2の音誘導穴157)に音響的に結合され得る(例えば、2つの音響経路155を介して2つの第2の音誘導穴157にそれぞれ接続される)。次に、音響ドライバ150は、少なくとも2つの第2の音誘導穴を通して音を伝播することができる。音誘導穴のそれぞれ(例えば、少なくとも2つの第1の音誘導穴または少なくとも2つの第2の音誘導穴)は、特定の開口部を備えた音響出力装置上に形成され、音が通過することを可能にする比較的小さな穴であり得る。音誘導穴の形状は、円形、楕円形、正方形、台形、丸みを帯びた四辺形、三角形、不規則な形状等、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。さらに、音響ドライバ140または150に結合された音誘導穴の数は2つに限定されなくてもよく、これは、実際の必要性、例えば、3、4、6などに基づいて決定され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、音響出力装置100の遠距離場漏れを低減するために、音響ドライバ140を使用して、それぞれ、少なくとも2つの第1の音誘導穴で等しい(またはほぼ等しい)振幅および逆の(またはほぼ逆の)位相を有する低周波音を生成することができる。音響ドライバ150を使用して、少なくとも2つの第2の音誘導穴で、それぞれ等しい(またはほぼ等しい)振幅および逆の(またはほぼ逆の)位相を有する高周波音を生成することができる。このようにして、音響干渉キャンセルの原理に従って、低周波音(または高周波音)の遠距離場漏れを低減することができる。いくつかの実施形態では、
図2、
図3A、および
図3Bによれば、低周波音の波長が高周波音の波長よりも長いことをさらに考慮し、近距離場(例えば、ユーザの耳の位置)での音の干渉キャンセルを減少するために、2つの第1の音誘導穴の間の距離、および2つの第2の音誘導穴の間の距離は、異なる値に設定され得る。例えば、2つの第1の誘導穴の間に第1の距離があり、2つの第2の誘導穴の間に第2の距離があると仮定すると、第1の距離は、第2の距離より長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離および第2の距離は任意の値であり得る。単なる例として、第1の距離は、40ミリメートル以下であり得、例えば、第1の距離は、20ミリメートル~40ミリメートルの範囲であり得る。第2の距離は12ミリメートル以下であってよく、第1の距離は第2の距離より長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は、12ミリメートル以上であり得、第2の距離は、例えば、3ミリメートル~7ミリメートルの範囲で、7mm以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の距離は30ミリメートルであり得、第2の距離は5ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、第1の距離は、第2の距離の少なくとも2倍、3倍、5倍などであり得る。
【0038】
図4に示されるように、音響ドライバ140は、変換器143を含み得る。変換器143は、音響経路145を介して第1の音誘導穴147に音を伝達することができる。音響ドライバ150は、変換器153を含み得る。変換器153は、音響経路155を介して第2の音誘導穴157に音を伝達することができる。いくつかの実施形態では、変換器(例えば、変換器143または変換器153)は、限定されないが、ガス伝導性音響出力装置の変換器、骨伝導性音響出力装置の変換器、水力音響変換器、超音波変換器などを含み得る。いくつかの実施形態では、変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、または磁気拘束型など、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(例えば、低周波音響ドライバ140、高周波音響ドライバ150)は、異なる特性または数を有する変換器を含み得る。例えば、低周波音響ドライバ140および高周波音響ドライバ150のそれぞれは、異なる周波数応答特性を有する変換器(例えば、低周波スピーカユニットおよび高周波スピーカユニット)を含み得る。別の例として、低周波音響ドライバ140は、2つの変換器(例えば、2つの低周波スピーカユニット)を含み得、高周波音響ドライバ150は、2つの変換器153(例えば、2つの高周波スピーカユニット)を含み得る。
【0040】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置100は、変換器分周、音響経路分周などの他の手段によって、異なる周波数範囲を有する音を生成することができる。音響出力装置100が変換器または音響経路を使用して音を分割する場合、電子分周ユニット110(点線のボックス内の部分)を省略して、音声信号を音響ドライバ140および音響ドライバ150に伝達してもよい。
【0041】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置100は、信号分周を達成するために変換器を使用することができ、音響ドライバ140および音響ドライバ150は、入力音源信号をそれぞれ低周波音および高周波音に変換することができる。具体的には、変換器143(低周波スピーカなど)を介して、低周波音響ドライバ140は、音声信号を低周波成分を有する低周波音に変換することができる。低周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路に沿って、少なくとも2つの第1の音誘導穴147に伝達され得る。次に、低周波音は、第1の音誘導穴147を通って外側に伝播され得る。変換器153(高周波スピーカなど)を介して、高周波音響ドライバ150は、音声信号を高周波成分を有する高周波音に変換することができる。高周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路に沿って、少なくとも2つの第2の音誘導穴157に伝達され得る。次に、高周波音は、第2の音誘導穴157を通って外側に伝播され得る。
【0042】
いくつかの代替の実施形態では、変換器と音誘導穴とを接続する音響経路(例えば、音響経路145および音響経路155)は、伝達される音の性質に影響を及ぼし得る。例えば、音響経路は、送信された音の位相をある程度減衰または変化させ得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、または調整ネットワークなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路はまた、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例えば、音響インピーダンスは、5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲にあり得る。音響抵抗材には、プラスチック、繊維、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料またはメッシュ材料、多孔質材料、粒子状材料、ポリマー材料など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。異なる音響インピーダンスで音響経路を設定することにより、変換器の音響出力を音響的にフィルタリングすることができ、その結果、異なる音響経路を介して出力される音は、異なる周波数成分を有し得る。
【0043】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置100は、信号分周を達成するために音響経路を利用することができる。具体的には、ソース信号を特定の音響ドライバに入力し、高周波数成分と低周波数成分を含む音に変換することができる。音声信号は、異なる周波数選択特性を有する音響経路に沿って伝播することができる。例えば、音声信号は、ローパス特性を備えた音響経路に沿って、対応する音誘導穴に伝播されて、低周波音を生成することができる。この過程で、高周波音はローパス特性を持つ音響経路によって吸収または減衰され得る。同様に、音声信号は、ハイパス特性を備えた音響経路に沿って対応する音誘導穴に伝播されて、高周波音を生成することができる。この過程で、低周波音は、ハイパス特性を備えた音響経路によって吸収または減衰され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、コントローラ(図には示されていない)を備え得る。コントローラは、低周波音響ドライバ140に第1の周波数範囲の音(すなわち、低周波音)を出力させ、高周波音響ドライバ150に第2の周波数範囲の音(すなわち、高周波音)を出力させることができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置100はまた、支持構造体を含み得る。支持構造体は、音響ドライバ(高周波音響ドライバ150、低周波音響ドライバ140など)を支持するために使用され得、その結果、音響ドライバに対応する音誘導穴は、ユーザの耳から離れて配置される。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバ150と音響的に結合された音誘導穴は、ユーザの耳の予想される位置(例えば、耳道入口)の近くに配置され得、一方、低周波音響ドライバ140と音響的に結合された音誘導穴は、予想される位置からさらに離れて配置され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、支持構造体を使用して、音響ドライバをパッケージ化することができる。パッケージ化された音響ドライバの支持構造体は、プラスチック、金属、テープなどの様々な材料で作られたハウジングであり得る。ハウジングは、音響ドライバをカプセル化し、音響ドライバに対応する前部チャンバおよび後部チャンバを形成し得る。前部チャンバは、少なくとも2つの音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。後部チャンバは、少なくとも2つの音誘導穴のうちの他方に音響的に結合され得る。例えば、低周波音響ドライバ140の前部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴147のうちの一方に音響的に結合され得る。低周波音響ドライバ140の後部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴147のうちの他方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ150の前部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴157のうちの一方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ150の後部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴157のうちの他方に音響的に結合され得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴(例えば、第1の音誘導穴147および第2の音誘導穴157)は、ハウジング上に配置され得る。
【0046】
音響出力装置100の上記の説明は、単なる一例にすぎない。当業者は、音響ドライバの構造、量などを調整および変更することができ、これは、本開示に限定されない。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、任意の数の音響ドライバ構造を備え得る。例えば、音響出力装置100は、2セットの高周波音響ドライバ150および2セットの低周波音響ドライバ140、または1セットの高周波音響ドライバ150および2セットの低周波音響ドライバ140を備えていてもよく、これらの高周波/低周波数ドライバを使用して、特定の周波数範囲の音を生成することができる。別の例として、音響ドライバ140および/または音響ドライバ150は、追加の信号プロセッサを含み得る。信号プロセッサは、信号プロセッサ120または信号プロセッサ130と同じまたは異なる構造構成要素を有し得る。
【0047】
図4に示されている音響出力装置およびそのモジュールは、様々な方法で実装され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システムおよびモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせによって実装され得る。ハードウェアは、専用のロジックで実装され得る。ソフトウェアは、適切な命令実行システム、例えば、マイクロプロセッサまたは専用の設計ハードウェアによって実行され得るストレージに格納され得る。上記の方法およびシステムは、コンピュータで実行可能な命令によって実装され、および/またはプロセッサの制御コードに埋め込まれ得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、制御コードは、ディスク、CD、またはDVD-ROMなどの媒体、読み取り専用メモリ(例えば、ファームウェア)などのプログラム可能なメモリ装置、または光または電気信号キャリアのようなデータキャリアによって提供され得る。本開示のシステムおよびモジュールは、超大規模集積回路内のプログラマブルハードウェア装置内のハードウェア回路、ゲートアレイチップ、論理チップまたはトランジスタなどの半導体、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、またはプログラマブルロジック装置によっても実装され得る。本開示におけるシステムおよびモジュールはまた、様々なプロセッサによって実行されるソフトウェアによって、さらにはハードウェアおよびソフトウェア(例えば、ファームウェア)の組み合わせによっても実装され得る。
【0048】
音響出力装置100およびその構成要素の上記の説明は、説明の便宜のためだけであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。例えば、信号プロセッサ120または信号プロセッサ130は、電子分周ユニット110から独立した部分であり得る。これらの変更は、本開示の範囲内に含まれ得る。
【0049】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。説明の目的で、異なる音誘導穴と結合された同じ変換器によって形成された外側に伝播する音を例として説明することができる。
図5では、各変換器は、前側および後側を有し得、対応する前部チャンバ(すなわち、第1の音響経路)および後部チャンバ(すなわち、第2の音響経路)は、変換器のそれぞれ前側または後側に存在し得る。いくつかの実施形態では、前部チャンバおよび後部チャンバは、変換器が対称的に負荷され得るように、同じまたは実質的に同じ同等の音響インピーダンスを有し得る。変換器の対称的な負荷により、異なる音誘導穴(上述したように、同じ振幅および逆位相を有する「2つの点音源」など)で振幅および位相の関係を満たす音源を形成することができ、その結果、高周波および/または低周波で特定の音場が形成され得る(例えば、近距離場音が増強され、遠距離場漏れが抑制され得る)。
【0050】
図5に示されるように、音響ドライバ(例えば、音響ドライバ140または150)は、変換器、ならびに変換器に接続された音響経路および音誘導穴を含み得る。音響出力装置300の実際の適用シナリオをより明確に説明するために、説明のために、ユーザの耳Eの位置も
図5に示され得る。
図5の図(a)は、音響ドライバ140の適用シナリオを示している。音響ドライバ140は、変換器143を含み得、変換器143は、音響経路145を介して2つの第1の音誘導穴147と結合され得る。
図5の図(b)は、音響ドライバ150の適用シナリオを示している。音響ドライバ150は、変換器153を含み得、変換器153は、音響経路155を介して2つの第2の音誘導穴157と結合され得る。
【0051】
変換器143または153は、電気信号の駆動下で振動することができ、その振動は、等しい振幅および逆位相(180度の反転)を有する音を生成することができる。変換器の型には、空気伝導スピーカ、骨伝導スピーカ、水中音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、磁気拘束型等、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、変換器143または153は、電気信号によって駆動されると振動し得る振動ダイアフラムを含み得、振動ダイアフラムの前側および後側は、順相音および逆相音を同時に出力し得る。
図5では、「+」および「-」を使用して、異なる位相の音を例示することができ、「+」は順相音を表し、「-」は逆相音を表し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、変換器は、ハウジング(例えば、支持構造体)によってカプセル化され得、ハウジングの内部は、変換器の前側および後側にそれぞれ接続された音響チャネルを備え、それにより、音響経路を形成し得る。例えば、変換器143の前部空洞は、第1の音響経路(すなわち、音響経路145の前半)を介して2つの第1の音誘導穴147のうちの1つに結合され得、変換器143の後部空洞は、第2の音響経路(すなわち、音響経路145の後半)を介して、2つの第1の音誘導穴147の他の音誘導穴に音響的に結合され得る。変換器143から出力される順相音および逆相音は、それぞれ、2つの第1の音誘導穴147から出力され得る。別の例として、変換器153の前部空洞は、第3の音響経路(すなわち、音響経路155の前半)を介して2つの音誘導穴157のうちの1つに結合され得、変換器153の後部空洞は、第4の音響経路(すなわち、音響経路155の後半)を介して、2つの第2の音誘導穴157の別の音誘導穴に結合され得る。変換器153から出力される順相音および逆相音は、それぞれ、2つの第2の音誘導穴157から出力され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、音響経路は、送信される音の性質に影響を及ぼし得る。例えば、音響経路は、伝達される音の位相をある程度減衰または変化させ得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネットワークなどの1つ、またはそれらの任意の組み合わせから構成され得る。いくつかの実施形態では、音響経路はまた、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例えば、音響インピーダンスは、5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、音響抵抗材は、プラスチック、テキスタイル、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料、メッシュ材料などのうちの1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバによって伝達される音が乱される(または外乱によって引き起こされる同じ変化)ことを防ぐために、音響ドライバに対応する前部チャンバおよび後部チャンバは、ほぼ同じ等価音響インピーダンスを有するように設定され得る。例えば、同じ音響抵抗材、同じサイズまたは形状の音誘導穴などを使用することができる。
【0054】
低周波音響ドライバの2つの第1の音誘導穴147の間の距離は、d1(すなわち、第1の距離)として表すことができる。高周波音響ドライバの2つの第2の音誘導穴157の間の距離は、d2(すなわち、第2の距離)として表すことができる。低周波音響ドライバと高周波音響ドライバに対応する音誘導穴の距離を設定することで、低周波帯域でのより大きな音出力と、高周波帯域でのより強化された音漏れ低減能力とが達成され得る。例えば、2つの第1の音誘導穴147の間の距離は、2つの第2の音誘導穴157の間の距離よりも大きい(すなわち、d1>d2)。
【0055】
いくつかの実施形態では、変換器143および変換器153は、音響出力装置のハウジング内に一緒に収容され得、ハウジングの構造内に隔離されて配置され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、音響出力装置300は、高周波音響ドライバおよび低周波音響ドライバの複数のセットを含み得る。例えば、音響出力装置300は、左耳および/または右耳に同時に音を出力するための高周波音響ドライバのグループおよび低周波音響ドライバのグループを含み得る。別の例として、音響出力装置は、高周波音響ドライバの2つのグループおよび低周波音響ドライバの2つのグループを含み得、高周波音響ドライバの1つのグループおよび低周波音響ドライバの1つのグループを使用してユーザの左耳に音を出力し、他の高周波音響ドライバと低周波音響ドライバのセットを使用して、ユーザの右耳に音を出力することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバおよび低周波音響ドライバは、異なる電力を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバは、第1の電力を有するように構成され得、高周波音響ドライバは、第2の電力を有するように構成され得、第1の電力は、第2の電力より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の電力および第2の電力は任意の値であり得る。
【0058】
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による音出力の処理を示す概略図である。
図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による音出力のための別の処理を示す概略図である。
【0059】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、2つ以上の変換器を介して同じ周波数範囲の音を生成することができ、音は、異なる音誘導穴を通って外側に伝播し得る。いくつかの実施形態では、異なる変換器は、それぞれ同じまたは異なるコントローラによって制御され得、特定の位相および振幅条件を満たす音(例えば、同じ振幅であるが逆位相の音、異なる振幅および逆位相の音など)を生成し得る。例えば、コントローラは、音響ドライバの2つの低周波変換器に入力される電気信号を同じ振幅および逆位相にすることができる。このようにして、音が形成されると、2つの低周波変換器が同じ振幅で位相が逆の低周波音を出力し得る。
【0060】
具体的には、音響ドライバ内の2つの変換器(低周波音響ドライバ140および高周波音響ドライバ150など)は、音響出力装置内に並べて配置することができ、そのうちの1つは、順相音の出力に使用することができ、その他は逆相音を出力するために使用することができる。
図6Aに示されるように、右側の音響ドライバ140は、2つの変換器143、2つの音響経路145、および2つの第1の音誘導穴147を含み得る。左側の音響ドライバ150は、2つの変換器153、2つの音響経路155、および2つの第2の音誘導穴157を含み得る。2つの変換器143は、逆位相を有する電気信号によって駆動されて、逆位相(180度の反転)を有する一組の低周波音を生成することができる。2つの変換器143のうちの一方は、順相音(下に配置された変換器など)を出力し得、他方は、逆音(上に配置された変換器など)を出力し得る。位相が逆の2組の低周波音は、それぞれ2つの音響経路145に沿って2つの第1の音誘導穴147に伝達され、2つの第1の音誘導穴147を通って外側に伝播する。同様に、逆位相の電気信号によって駆動される2つの変換器153は、逆位相(180度反転)の高周波音のセットを生成することができる。2つの変換器153のうちの一方は、順相高周波音(下に配置された変換器など)を出力し得、他方は、逆相高周波音(上に配置された変換器など)を出力し得る。逆位相の高周波音は、それぞれ2つの音響経路155に沿って2つの第2の音誘導穴157に伝達され、2つの第2の音誘導穴157を通って外側に伝播する。
【0061】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ内の2つの変換器(例えば、低周波音響ドライバ140および高周波音響ドライバ150)は、同じ直線に沿って互いに比較的近くに配置され得、それらのうちの一方は、順相音を出力するために使用され、他方は逆音を出力するために使用され得る。
図6Bに示されるように、左側は音響ドライバ140であり得、右側は音響ドライバ150であり得る。音響ドライバ140の2つの変換器143は、それぞれ、コントローラの制御下で、等しい振幅および逆位相の低周波音のセットを生成することができる。変換器の1つは、通常の低周波音を出力し、通常の低周波音を第1の音響経路に沿って第1の音誘導穴に送信することができる。他の変換器は、逆相低周波音を出力し、逆相低周波音を第2の音響経路に沿って別の第1の音誘導穴に送信することができる。音響ドライバ150の2つの変換器153は、それぞれ、コントローラの制御下で、等しい振幅および逆位相の高周波音を生成することができる。変換器の1つは、順相高周波音を出力し、順相高周波音を第3の音響経路に沿って第2の音誘導穴に送信することができる。他の変換器は、逆相高周波音を出力し、逆相高周波音を第4の音響経路に沿って別の第2の音誘導穴に送信することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、変換器143および/または変換器153は、様々な適切な型のものであり得る。例えば、変換器143および変換器153は、低周波数での高感度、低周波数の大きな潜水深さ、および小さな歪みの特性を有し得る動的コイルスピーカであり得る。別の例として、変換器143および変換器153は、小さいサイズ、高い感度、および広い高周波範囲の特徴を有し得る可動鉄スピーカであり得る。別の例として、変換器143および153は、空気伝導スピーカ、または骨伝導スピーカであり得る。別の例として、変換器143および変換器153は、平衡電機子スピーカであり得る。いくつかの実施形態では、変換器143および変換器153は、異なる型の変換器であり得る。例えば、変換器143は、可動鉄スピーカであり得、変換器153は、可動コイルスピーカであり得る。別の例として、変換器1043は、可動コイルスピーカであり得、変換器1053は、可動鉄スピーカであり得る。
【0063】
図6Aおよび
図6Bでは、音響ドライバ140の2つの点音源間の距離はd
1であり得、音響ドライバ150の2つの点音源間の距離はd
2であり得、d
1はd
2より大きくてもよい。
図6Bに示されるように、聴取位置(すなわち、ユーザが音響出力装置を装着したときの外耳道の位置)は、2つの点音源のセットのライン上に配置され得る。いくつかの代替の実施形態では、聴取位置は、任意の適切な位置であり得る。例えば、聴取位置は、2つの点音源の中心点を中心とする円上に配置され得る。別の例として、聴取位置は、2つのセットの2つの点音源接続の同じ側、または2つのセットの2つの点音源を接続する線の真ん中にあり得る。
【0064】
図6Aおよび
図6Bに示される音響出力装置の簡略化された構造は、単なる例としてであり得、これは、本開示の限定ではない可能性があることを理解されたい。いくつかの実施形態では、音響出力装置400および/または500は、支持構造体、コントローラ、信号プロセッサなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0065】
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置を示す概略図である。
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による別の音響出力装置を示す概略図である。
【0066】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(例えば、音響ドライバ140または150)は、狭帯域スピーカの複数のグループを含み得る。
図7Aに示されるように、音響出力装置は、狭帯域スピーカユニットの複数のグループおよび信号処理ユニットを含み得る。ユーザの左側または右側に、音響出力装置は、それぞれn個のグループを含み得、合計数は2*n個の狭帯域スピーカユニットである。狭帯域スピーカユニットの各グループは、異なる周波数応答曲線を有し得、各グループの周波数応答は、相補的であり得、集合的に可聴取音周波数帯域をカバーし得る。本明細書の狭帯域スピーカは、低周波音響ドライバおよび高周波音響ドライバよりも狭い周波数応答範囲を有する音響ドライバであり得る。
図7Aに示されるユーザの左側に配置されたスピーカユニットを例として取り上げると、A1~AnおよびB1~Bnは、それぞれ、2つの点音源のn個のグループを形成する。同じ電気信号が入力である場合、各2つの点音源は異なる周波数範囲の音を生成し得る。各2つの点音源の距離dnを設定することにより、各周波数帯の近距離場音と遠距離場音を調整することができる。例えば、近距離場音の音量を上げ、遠距離場漏れの音量を下げるために、高周波数の2つの点音源間の距離を低周波数の2つの点音源の距離よりも小さくすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、信号処理ユニットは、イコライザ(EQ)処理ユニット、およびデジタル信号プロセッサ(DSP)処理ユニットを含み得る。信号処理ユニットは、信号等化および他の一般的なデジタル信号処理アルゴリズム(振幅変調および等変調など)を実装するために使用され得る。処理された信号は、対応する音響ドライバ(例えば、狭帯域スピーカ)構造に接続されることによって音を出力することができる。いくつかの実施形態では、狭帯域スピーカは、動的可動コイルスピーカまたは可動鉄スピーカであり得る。いくつかの実施形態では、狭帯域スピーカは、平衡電機子スピーカであり得る。2つの点音源は、2つの平衡電機子スピーカを使用して構築することができ、2つのスピーカからの音出力は、逆位相であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(音響ドライバ140または150など)は、フルバンドスピーカの複数のグループを含み得る。
図7Bに示されるように、音響出力装置は、複数のセットのフルバンドスピーカユニットおよび信号処理ユニットを含み得る。音響出力装置は、ユーザの左側または右側に、それぞれ、合計2×n個のフルバンドスピーカユニットを備えたn個のグループを含み得る。各フルバンドスピーカユニットは、同じまたは類似の周波数応答曲線を有し、広い周波数範囲をカバーし得る。
【0069】
図7Bに示されるようにユーザの左側に配置されたスピーカユニットを例として取り上げると、A1~AnおよびB1~Bnは、それぞれ、n個の二重点音源を形成する。
図7Aとの違いは、
図7Bの信号処理ユニットは、音源信号の分周のためのフィルタの少なくとも1つのセットを含み得、異なる周波数範囲に対応する電気信号は、フルバンドスピーカの各グループに入力され得ることである。このようにして、スピーカユニットの各グループ(二重点音源と同様)は、異なる周波数範囲の音を個別に生成できる。
【0070】
図8Aは、本開示のいくつかの実施形態による音響経路を示す概略図である。
図8Bは、本開示のいくつかの実施形態による別の音響経路を示す概略図である。
図8Cは、本開示のいくつかの実施形態によるさらなる音響経路を示す概略図である。
【0071】
上記のように、対応する音響フィルタリングネットワークは、音響管、音響空洞、および音響経路における音響抵抗などの構造を設定して、音の分周を達成することによって構築することができる。
図8A~
図8Cは、音響経路を使用した音声信号の分周の概略構造図を示している。
図8A~
図8Cは、音声信号を分割するために音響経路を使用するときの音響経路を設定する例であり得、本開示の制限ではない可能性があることに留意されたい。
【0072】
図8Aに示されるように、音響経路は、直列に接続された管腔構造の1つまたは複数のグループから構成され得、音響抵抗材は、フィルタリング効果を達成するために構造全体の音響インピーダンスを調整するために管腔内に提供され得る。いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタリングまたはローパスフィルタリングは、音の分周を達成するために管腔内の構造および音響抵抗材のサイズを調整することによって、音に対して実行され得る。
図8Bに示すように、1組以上の共振空洞(例えば、ヘルムホルツ空洞)を有する構造を音響経路分岐上に構築することができ、フィルタリング効果は、各構造のサイズおよび音響抵抗材を調整することによって達成され得る。
図8Cに示されるように、管腔と共振空洞(例えば、ヘルムホルツ空洞)構造との組み合わせは、音響経路で構築され得、フィルタリング効果は、各構造のサイズおよび音響抵抗材を調整することによって達成され得る。
【0073】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、2組の二重点音源の複合作用下での音漏れを示す例示的なグラフである。
図9は、2組の二重点音源(例えば、高周波二重点音源の組と低周波二重点音源の組)の複合作用下での音響出力装置(例えば、音響出力装置100、音響出力装置400、音響出力装置500、音響出力装置600など)の音漏れの曲線を示している。2組の二重点音源の分周点は約700Hzであり得る。
【0074】
正規化パラメータαを使用して、漏れ音の音量を評価できる(αの計算については、式(4)を参照されたい)。
図9に示すように、単一点音源の場合と比較して、二重点音源は、音漏れを低減する比較的強力な能力を有し得る。また、二重点音源が1組しかない音響出力装置と比較して、2組の二重点音源は、高周波音と低周波音とを別々に出力することができる。低周波二重点音源間の距離は、高周波二重点音源の距離よりも大きくなり得る。低周波数域では、二重点音源における2つの点音源間の距離(d
1)を大きくすることで、近距離場音の音量の増分が遠距離場漏れの音量の増分よりも大きくなり得、低周波帯域で近距離場音出力の音量が大きくなり得る。同時に、低周波数域では、二重点音源の音漏れは元々比較的小さくてもよい。2つの点音源間の距離を大きくした後でも、わずかに大きくなった音漏れは低レベルを維持し得る。高周波域では、二重点音源における2つの点音源間の距離(d2)を比較的小さく設定することにより、高周波音漏れ低減のカットオフ周波数が低すぎるという問題と音声帯域音漏れの低減が狭すぎることは克服され得る。低周波帯域の二重点音源における2つの点音源間の距離d
1と高周波帯域の二重点音源における2つの点音源間の距離d
2を設定することにより、本開示の実施形態で提供される音響出力装置は、単一点音源および一組の二重点音源よりも強い音漏れ抑制能力を得ることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、実際の回路のフィルタ特性、変換器の周波数特性、および音響チャネルの周波数特性などの要因の影響を受けて、音響出力装置の実際の低周波音および高周波音が
図9に示したものから異なり得る。さらに、低周波音と高周波音は、分周点の近くの周波数帯域で特定のクロスオーバー(エイリアス)を有し得、音響出力装置の全体的な音漏れの減少が
図9に示すように分周点で変化を持たない原因になる。代わりに、
図9の細い実線で示されているように、分周点の近くの周波数帯域に勾配と遷移が存在し得る。これらの違いは、本開示の実施形態によって提供される音響出力装置の全体的な漏れ低減効果に影響を及ぼさない可能性があることを理解されたい。
図4から
図9および関連する説明によれば、本開示によって提供される音響出力装置は、少なくとも1つの高周波二重点音源および少なくとも1つの低周波二重点音源を設定することによって、より良い音出力効果を実現するべく、異なる周波数帯域で音を出力するために使用され得る。さらに、異なる距離で異なる組の二重点音源を設定することにより、音響出力装置は、高周波帯域での音漏れを低減し、開放型音響出力装置の要件を満たす比較的強力な能力を有し得る。
【0076】
本開示の別の態様では、別の音響出力装置を提供することができる。音響出力装置は、少なくとも1セットの音響ドライバを含み得、少なくとも1セットの音響ドライバによって生成された音は、少なくとも1セットの音響ドライバと音響的に結合された少なくとも2つの誘導穴を通って外側に伝播し得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置はバッフルを含み得、少なくとも2つの誘導穴は、バッフルの両側にそれぞれ分布され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの誘導穴は、ユーザの耳介の両側に配置され得る。この場合、耳介は、少なくとも2つの誘導穴を分離するためのバッフルとして機能し得、少なくとも2つの誘導穴は、ユーザの外耳道への異なる音響経路を有し得る。二重点音源とバッフルに関する詳細な説明は、2019年12月31日に出願された国際出願第PCT/CN2019/130921号(特許文献3)および国際出願第PCT/CN2019/130942号(特許文献4)に記載されており、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図10に示されるように、音響出力装置1000は、支持構造体1010および支持構造体1010内に配置され得る音響ドライバ1020を含み得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置1000は、例えば、支持構造体1010を介して、ユーザの体(例えば、ユーザの頭、首、上半身など)に装着することができる。支持構造体1010および音響ドライバ1020は、ユーザの外耳道に近接していてもよく、ユーザの外耳道を塞がない。ユーザの耳は開いた状態になり得る。ユーザは、音響出力装置1000からの音出力および外部ソースからの音を聞くことができる。例えば、音響出力装置1000は、ユーザの耳の周りまたは部分的に配置され得、空気伝導様式または骨伝導様式を介して音を伝達し得る。
【0078】
支持構造体1010は、1つまたは複数の音響ドライバ1020を支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、支持構造体1010は、内部中空を備えた密閉シェル構造を含むことができ、1つまたは複数の音響ドライバ1020は、支持構造体1010内に配置され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置1000は、眼鏡、ヘッドセット、ディスプレイ装置、AR/VRヘルメットなどのような製品と組み合わせることができる。この場合、支持構造体1010は、吊り下げ方式またはクランプ方式によるユーザの耳の近くに固定され得る。いくつかの実施形態では、支持構造体1010はフックを含んでいてもよく、フックの形状は耳介の形状と一致していてもよく、音響出力装置1000は、フックを通してユーザの耳に独立して装着され得る。ユーザの耳に独立して装着される音響出力装置1000は、有線または無線の方法(例えば、ブルートゥース(登録商標))で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話、または他のモバイル装置)と通信することができる。例えば、左耳に装着された、および/または右耳に装着された音響出力装置1000は、無線方式を介して信号源と直接通信することができる。別の例として、左耳および/または右耳に装着された音響出力装置1000は、第1の出力部分および第2の出力部分を含み得る。第1の出力部分は信号源と通信することができ、第2の出力部分は無線方式を介して第1の出力部分に接続することができる。音は、1つまたは複数の同期信号によって制御される第1の出力部分および第2の出力部分によって同期的に出力され得る。ワイヤレス方式には、ブルートゥース(登録商標)、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク、近距離通信など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態では、支持構造体1010は、シェル構造を含み得、支持構造体1010の形状は、ユーザの耳の形状と一致し得る。支持構造体1010の形状は、円形環、楕円形、(規則的または不規則な)多角形、U字形、V字形、半円などを含み得、支持構造体1010は、ユーザの耳に直接固定され得る。いくつかの実施形態では、支持構造体1010はまた、1つまたは複数の固定部品を含み得る。固定部品は、耳フック、ヘッドビーム、弾性バンドなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、これらは、音響出力装置1000をユーザに固定し、音響出力装置1000が落下するのを防ぐために使用され得る。単なる例として、弾性バンドは、ユーザの頭の周りに装着され得るヘッドバンドを含み得る。別の例として、弾性バンドは、ユーザの首/肩の周りに装着することができるネックバンドを含み得る。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、連続バンドを含み、弾性的に伸ばされて、ユーザの頭に装着され得る。この場合、弾性バンドはまた、ユーザの頭に圧力を加えることができ、それにより、音響出力装置1000を頭の特定の位置に固定させることができる。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、不連続バンドを含み得る。例えば、弾性バンドは、剛性部分および可撓性部分を含み得る。剛性部分は、剛性材料(例えば、プラスチック、金属など)で作製され得、剛性部分は、物理的接続(例えば、スナップ接続、ねじ接続など)を介して音響出力装置1000の支持構造体1010に固定され得る。可撓性部分は、弾性材料(例えば、布、複合材料、ネオプレンなど)でできていてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、ユーザが音響出力装置1000を装着するとき、支持構造体1010は、耳介の上または下に配置され得る。支持構造体1010はまた、音を伝達するように構成され得る音誘導穴1011および音誘導穴1012を含み得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴1011および音誘導穴1012は、それぞれ、ユーザの耳介の2つの側面に配置され得る。音響ドライバ1020は、音誘導穴1011および/または音誘導穴1012を通して音を出力することができる。
【0081】
音響ドライバ1020は、電気信号を受信し、電気信号を音声信号に変換して出力することができるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ある形式の音響ドライバ1020は、音響ドライバ1020の周波数に応じて、低周波数を有する音響ドライバ、高周波数を有する音響ドライバ、全周波数を有する音響ドライバなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ1020は、音響ドライバ1020の原理に応じて、可動コイル音響ドライバ、可動鉄音響ドライバ、圧電音響ドライバ、静電音響ドライバ、磁歪音響ドライバを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ1020は、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側からそれぞれ音が伝わり得る。いくつかの実施形態では、前部チャンバ1013は、音を伝達するように構成され得る支持構造体1010内の振動ダイアフラムの前側に配置され得る。前部チャンバ1013は、音誘導穴1011と音響的に結合され得る。振動ダイアフラムの前側から伝達される音は、音誘導穴1011から前部チャンバ1013を通って伝達され得る。後部チャンバ1014は、音を伝達するように構成され得る支持構造体1010内の振動ダイアフラムの後側に配置され得る。後部チャンバ1014は、音誘導穴1012と音響的に結合され得る。振動ダイアフラムの後側から伝達される音は、音誘導穴1012から後部チャンバ1014を通って伝達され得る。なお、振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側が同時に逆位相の音を発生し得る。前部チャンバ1013および後部チャンバ1014をそれぞれ通過した後、音は、音誘導穴1011および音誘導穴1012から外側に伝達され得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ1020によって出力され、音誘導穴1011および音誘導穴1012を介して伝達され得る音は、前部チャンバ1013および後部チャンバ1014の少なくとも1つの構造を設定することによって特定の要件を満たすことができる。例えば、音誘導穴1011および音誘導穴1012は、前部チャンバ1013および後部チャンバ1014のうちの少なくとも1つの長さを設計することによって、特定の位相関係(例えば、逆位相)を有する音のセットを送信することができ、それにより、音響出力装置1000の近距離場の音量を増加させ、音響出力装置1000の音漏れを回避し、音響出力装置1000の性能を効果的に改善する。
【0083】
いくつかの代替の実施形態では、音響ドライバ1020は、複数の振動ダイアフラム(例えば、2つの振動ダイアフラム)を含み得る。複数の振動ダイアフラムが振動して、それぞれ音を発生させることができる。各音は、支持構造体内の振動ダイアフラムの1つに接続されたチャンバを通過して伝達され得、対応する音誘導穴から出力され得る。複数の振動ダイアフラムは、同じコントローラまたは異なるコントローラによって制御することができる。複数の振動ダイアフラムは、特定の位相および/または振幅の要件を満たす音(例えば、同じ振幅および逆位相を有する音、異なる振幅および逆位相を有する音など)を生成することができる。
【0084】
上記(例えば、
図3A、
図3Bおよびそれらの関連する説明)のように、音の周波数が一定である場合、二重点音源における2つの点音源間の距離が増加するにつれて、二重点音源に対応する聴取音の音量および漏れ音の音量が増加し得る。より明確な説明のために、聴取音の音量、漏れ音の音量、および2つの点音源の距離dの間の関係は、
図11から
図13に従ってさらに説明され得る。
【0085】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による2つの点音源および聴取位置を示す概略図である。
図11に示すように、点音源a
1と点音源a
2を聴取位置の同じ側に配置することができ、点音源a
1を聴取位置に近づけることができる。点音源a
1と点音源a
2は、同じ振幅で逆位相の音を出力することができる。
【0086】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、異なる距離を有する二重点音源の聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。横軸は、二重点音源から出力される音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)である。縦軸は音量を表し、単位はデシベル(dB)である。
図12に示すように、点音源a
1と点音源a
2との間の距離が徐々に大きくなると(例えば、dから10dまで)、聴取位置での音量を徐々に大きくすることができる。点音源a
1と点音源a
2との距離が大きくなると、聴取位置に到達する2つの音の音圧振幅の差(すなわち音圧差)が大きくなり、音響経路の差が増加し得、それによって聴取位置での音のキャンセルが減少し、音量が増加し得る。音のキャンセルが存在するため、聴取位置での音量は、中低周波数(例:1000Hz未満)の2つの点音源と同じ強度の1点音源で生成される音量よりも小さい場合がある。高周波(例えば、10000Hzに近い)の場合、音の波長を短くすることができ、音を増強するための条件を形成することができ、2つの点音源によって生成される聴取位置での音量を、単一点音源によって生成される聴取位置での音量よりも大きく上げることができる。本明細書で使用される場合、音圧振幅(すなわち、音圧)は、空気の振動を通じて音によって生成される圧力を指す。
【0087】
いくつかの実施形態では、聴取位置での音量は、二重点音源の点音源(例えば、点音源a
1と点音源a
2)間の距離を増加させることによって増加させることができる。距離が長くなると、二重点音源の消音が弱くなり、遠距離場での音漏れが大きくなり得る。説明のために、
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、遠距離場における二重点音源の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。横軸は音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)であり、縦軸は漏れ音の音量を評価するために正規化されたパラメータαを使用し、単位はデシベル(dB)である。
図13に示すように、単一点音源の遠距離場の正規化されたパラメータαを基準として、二重点音源における2つの点音源間の距離がdから10dに増加すると、遠距離場の正規化されたパラメータαは徐々に増加し得、音漏れが徐々に増加し得ることを示している。正規化されたパラメータαに関する詳細な説明は、式(4)および関連する説明に記載されている。
【0088】
いくつかの実施形態では、音響出力装置にバッフルを追加することは、音響出力装置の出力効果を改善するために有益であり得、例えば、近距離場での聴取位置の音の強さを増加させ、遠距離場での音漏れを低減する。説明のために、
図14は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源の間に配置された例示的なバッフルを示す概略図である。
図14に示すように、バッフルが点音源a
1と点音源a
2との間に配置されている場合、点音源a
2の音場はバッフルをバイパスして、近距離場における聴取位置での点音源a
1の音波と干渉することができ、これにより、点音源a
2と聴取位置の間の音響経路の長さが長くなり得る。点音源a
1と点音源a
2の振幅が同じであるとすると、聴取位置での点音源a
1および点音源a
2の音波の振幅差は、バッフルのない場合よりも大きくなり得、聴取位置での2つの音のキャンセルを減らし、聴取位置での音量を上げる。遠距離場では、点音源a
1と点音源a
2によって生成される音波は、比較的広い空間でバッフルを迂回しない可能性があり、音波が干渉し得る(バッフルがない場合のように)。遠距離場での音漏れは、バッフルなしの場合と比較して大幅に増加しない場合がある。したがって、点音源a
1と点音源a
2の間に配置されたバッフルは、近距離場の聴取位置での音量を大幅に増加させ、遠距離場での漏れ音の音量を大幅に増加させない場合がある。
【0089】
本開示では、二重点音源における2つの点音源が耳介の両側に配置されている場合、耳介はバッフルとして機能することができ、したがって、耳介は、便宜上、バッフルと呼ばれることもある。単なる例として、耳介の存在により、近距離場の音は、距離D1(モード1とも呼ばれる)の二重点音源によって生成され得る。遠距離場の音は、距離D2(モード2とも呼ばれる)で、D1>D2の二重点音源によって生成され得る。
図15は、本開示のいくつかの実施形態による、ユーザの耳介が二重点音源における2つの点音源の間に配置されたときの、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図15に示すように、低周波数(例えば、1000Hz未満の周波数)の場合、近距離場音の音量(つまり、ユーザの耳に聞こえる音)は、モード2の近距離場音の音量よりも大きく、単一点音源の近距離場音の音量に近い場合がある、二重点音源が耳介の両側にある場合のモード1の場合と同じまたは同様であり得る。周波数が高くなると(例えば、2000Hz~7000Hz)、モード1の近距離場で、耳介の両側にある二重点音源における2つの点音源によって生成される音の音量が単一点音源で生成される音の音量よりも大きくなり得る。耳介が二重点音源における2つの点音源の間に位置する場合、音源から耳に伝達される近距離場の音の音量が効果的に増加し得ることを理解されたい。
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、耳介が二重点音源における2つの点音源の間に配置されたときの、漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図16に示すように、周波数が高くなると、遠距離場での音漏れが大きくなり得る。二重点音源が耳介の両側にある場合、二重点音源によって生成される遠距離場漏れの音漏れは、モード1の遠距離場の音漏れおよび/または単一点音源によって生成される遠距離場漏れの音漏れよりも小さい場合がある、モード2の遠距離場の音漏れと同じ(または実質的に同じ)であり得る。したがって、耳介が二重点音源における2つの点音源の間に位置する場合、音源から遠距離場に伝達される音を効果的に低減することができ、すなわち、音源から周囲への音漏れを効果的に減らすことができる。
図17は、本開示のいくつかの実施形態による、音響出力装置の二重点音源における2つの点音源が耳介の両側に配置されたときの正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図17に示すように、周波数が10000Hz未満の場合、二重点音源における2つの点音源が耳介の両側に分布している場合の正規化されたパラメータは、モード1(二重点音源における2つの点音源間にバッフルが配置されておらず、2つの点音源間の距離がD
1)、モード2(二重点音源における2つの点音源間にバッフルが配置されておらず、2つの点音源間の距離がD
2)、または単一点音源の正規化されたパラメータよりも小さい場合があり、このことは、二重点音源における2つの点音源が耳介の両側に配置されている場合、音響出力装置は、音漏れを低減するためのより優れた機能を備え得ることを示し得る。二重点音源における2つの点音源または2つの音誘導穴との間にバッフルがある場合とない場合との音響出力装置100の音響出力への影響をさらに説明するために、異なる条件下での近距離場における聴取位置での音の音量および/または遠距離場漏れにおける音漏れの音量を以下に説明することができる。
【0090】
図18は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間のバッフルがある場合とない場合の、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図18に示すように、バッフルが音響出力装置の二重点音源における2つの点音源(すなわち、2つの音誘導穴)の間に配置されている場合、二重点音源における2つの点音源間の距離は、近距離場で点音源を大きくすることができ、近距離場における聴取位置での音の音量は、比較的距離の長い二重点音源で発生するのと同等であり、それにより、バッフルのない場合と比較して近距離場での音量を大きくすることができる。遠距離場では、二重点音源によって生成される音波の干渉はバッフルの影響をあまり受けない可能性があり、音漏れは、比較的小さい二重点音源の組によって生成されると見なすことができ、距離、および音漏れはバッフルの有無にかかわらず大幅に変更されなくてもよい。2つの音誘導穴(二重点音源)の間に配置されたバッフルは、音漏れを減らして音響出力装置のパフォーマンスを向上させ、近距離場での音の音量を上げて、音響出力装置で音響の役割を果たす構成要素の必要性を低減し、音響出力装置の電気的損失を減らし、音響出力装置の動作時間を延長する。
【0091】
図19は、本開示のいくつかの実施形態による、周波数300Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
図20は、本開示のいくつかの実施形態による、周波数1000Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
図19および
図20に示すように、近距離場では、周波数が300Hzまたは1000Hzの場合、二重点音源の距離dが大きくなると、二重点音源における2つの点音源の間にバッフルを配置したときに聞こえる音の音量は、二重点音源における2つの点音源の間にバッフルが配置されていない場合に聞こえる音の音量よりも大きくなる。この場合、二重点音源における2つの点音源の間に配置されたバッフルは、周波数が300Hzまたは1000Hzのときに、近距離場で聞こえる音の音量を効果的に増加させ得る。遠距離場では、バッフルが二重点音源における2つの点音源の間に配置されたときの漏れ音の音量は、バッフルが二重点音源における2つの点音源の間に配置されていないときの漏れ音の音量と同等(または実質的に同等)であり、これは、周波数は300Hzまたは1000Hzの場合、二重点音源における2つの点音源の間に配置されたバッフルが遠距離場の音漏れに影響を与えない可能性があることを示し得る。
【0092】
図21は、本開示のいくつかの実施形態による、周波数5000Hzにおける、バッフルがある場合とない場合の、二重点音源における2つの点音源間の距離とともに、聴取音の音量および漏れ音の音量の変化を示すグラフである。
図21に示すように、近距離場では、周波数が5000Hzの場合、二重点音源の距離dが大きくなると、二重点音源における2つの点音源の間にバッフルを配置したときに聞こえる音の音量は、二重点音源における2つの点音源の間にバッフルが配置されていない場合に聞こえる音の音量よりも大きくなる。遠距離場では、二重点音源の漏れ音の音量は、二重点音源における2つの点音源の間にバッフルが配置される場合と配置されていない場合とで、距離dの関数として変動し得る。全体として、バッフルが二重点音源における2つの点音源の間に配置されているかどうかは、遠距離場での音漏れにほとんど影響を与えない可能性がある。
【0093】
図22は、本開示のいくつかの実施形態による二重点音源における2つの点音源間の距離dが1cmであるときの、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図23は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが2cmである場合の、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図24は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが4cmであるときの、聴取音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図25は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが1cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図26は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが2cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図27は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の距離dが4cmである場合の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図22から
図24に示されるように、音誘導穴間の距離dが異なる場合(例:1cm、2cm、4cm)、特定の周波数で、近距離場(例えばユーザの耳など)の聴取位置で、耳介の両側に配置され得る2つの音誘導穴によって生成される音の音量(すなわち、
図22~
図24に示される「バッフルなし」の場合)は、耳介の両側に配置されていない可能性のある2つの音誘導穴によって生成される音の音量よりも大きくなり得る。特定の周波数は、10000Hz、5000Hz、または1000Hz未満であり得る。
【0094】
図25から
図27に示すように、特定の周波数で、遠距離場(例えば、耳から離れた位置)の音誘導穴間の様々な距離d(例えば、1cm、2cm、4cmなど)において、耳介の両側に配置され得る2つの音誘導穴によって生成される漏れ音の量は、耳介の両側に配置されないことがあり得る2つの音誘導穴によって生成されるものよりも小さい場合がある。なお、2つの音誘導穴または二重点音源間の距離が大きくなると、遠距離場のある位置での音の干渉キャンセルが弱くなり、遠距離場での音漏れが増加し、音漏れを低減する能力が低下し得る。2つの音誘導穴または2つの点音源との間の距離dは、距離閾値を超えてはならない。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の間の距離dは、近距離場の音量を増加させ、遠距離場の音漏れを低減するために、20cm、12cm、10cm、6cmなど未満に設定され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置のサイズおよび音誘導穴の構造的要件を考慮して、2つの音誘導穴の間の距離dは、1cm以上12cm以下、1cm以上10cm以下、1cm以上8cm以下、1cm以上6cm以下、1cm以上3cm以下などに設定され得る。
【0095】
上記の説明は、単に説明の便宜のためであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、音響出力装置の形態および詳細の様々な修正および変更を行うことができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、複数の音誘導穴がバッフルの2つの側面に設定され得る。バッフルの2つの側面のそれぞれに配置された複数の音誘導穴の数は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、バッフルの片側に配置された音誘導穴の数は2つであり得、反対側に配置された音誘導穴の数は2つまたは3つであり得る。これらの修正および変更は、依然として本開示の保護範囲内にあり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、二重点音源における2つの点音源間の特定の距離について、二重点音源に対する聴取位置の相対位置は、近距離場の音の音量および遠距離場での音漏れに影響を及ぼし得る。音響出力装置の音響出力性能を改善するために、いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも2つの音誘導穴を含み得る。少なくとも2つの音誘導穴は、ユーザの耳介の前側および/または後側にそれぞれ配置され得る2つの音誘導穴を含み得る。いくつかの実施形態では、耳介の後側に配置された音誘導穴から伝播された音は、耳介を迂回してユーザの耳管に到達し、耳介の前側に配置された音誘導穴との間の音響経路(すなわち、音誘導穴から耳道入口までの音響距離)は、耳介の後側に配置された音誘導穴と耳との間の音響経路よりも短くてもよい。
図28は、本開示のいくつかの実施形態による聴取位置を示す概略図である。聴取出力に対する聴取位置の影響をさらに説明するために、
図28に示すように、4つの聴取位置(すなわち、聴取位置1、聴取位置2、聴取位置3、および聴取位置4)を選択することができ、これは聴取位置の効果と基準を説明するために使用できる。聴取位置1、聴取位置2、聴取位置3のそれぞれと点音源a
1との間の距離は等しくてもよく、r
1で表すことができる。聴取位置4と点音源a
1との間の距離は、r
2で表すことができ、r
2<r
1である。点音源a
1と点音源a
2は、逆位相の音を発生させることができる。
【0097】
図29は、本開示のいくつかの実施形態による、近距離場の異なる聴取位置でバッフルのない二重点音源によって生成される聴取音の音量を周波数とともに示すグラフである。
図30は、
図29に基づいて式(4)を参照して得られた異なる聴取位置での正規化されたパラメータを周波数とともに示すグラフである。
図29、
図30に示すように、点音源a
1から聴取位置1までの音響経路と点音源a
2から聴取位置1までの音響経路との差が比較的小さいため、聴取位置1で二重点音源によって生成される音の干渉は、聴取位置1での聴取音の音量を、他の聴取位置での聴取音の音量よりも比較的小さくするように減少させ得る。聴取位置2の場合、聴取位置1と比較して、聴取位置2と点音源a
1との間の距離は、聴取位置1と点音源a
1との間の距離と同じであり得、すなわち点音源a
1から聴取位置2までの音響経路は、点音源a
1から聴取位置までの音響経路と同じであり得る。聴取位置2と点音源a
2との間の距離は、聴取位置1と点音源a
2との間の距離よりも長く、点音源a
2から聴取位置2までの音響経路は、点音源a
2から聴取位置1までの音響経路よりも長くなり得る。点音源a
1で発生する音と点音源a
2で発生する音との振幅差は、聴取位置2で大きくなり得る。したがって、聴取位置2で干渉された後、二重点音源から送信される音の音量は、聴取位置1での音量よりも大きくなり得る。半径r
1の弧上の複数の位置の中で、点音源a
1から聴取位置3までの音響経路と、点音源a
2から聴取位置3までの音響経路との差が他の音響経路より長くなり得る。聴取位置1および聴取位置2と比較して、聴取位置3での聴取音の音量は、他の聴取位置よりも大きくなり得る。聴取位置4の場合、聴取位置4と点音源a
1との間の距離は比較的短くてもよく、聴取位置4で点音源a
1によって生成される音の音振幅は、他の聴取位置で点音源a
1によって生成される音の音振幅よりも大きくなり得、聴取位置4での聴取音の音量は、他の聴取位置での聴取音の他の音量よりも大きくなり得る。最後に、近距離場の聴取位置での聴取音の音量は、二重点音源の聴取位置および/または相対位置が変更されたときに変更され得る。聴取位置(例、聴取位置3)が二重点音源における2つの点音源間の線上にあり、二重点音源の同じ側にある場合、聴取位置での二重点音源における2つの点音源の音響経路差が最大になり得る(音響経路の差は、二重点音源における2つの点音源間の距離dであり得る)。この場合(つまり、耳介がバッフルとして使用されていない場合)、聴取位置で聞こえる音の音量は、他の位置での音量よりも大きくなり得る。式(4)によれば、遠距離場での音漏れは一定であり、聴取位置に対応する正規化されたパラメータは比較的小さく、音漏れを低減する能力は比較的強い可能性がある。さらに、聴取位置(例えば、聴取位置4)と点音源A
1との間の距離r
1を減少させることができ、それにより、聴取位置での聴取音の音量を増加させ、音漏れパラメータを減少させ、音漏れを低減する能力を改善する。
【0098】
図31は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルを備えた二重点音源(
図28に示される)の近距離場における異なる聴取位置での聴取音の音量を周波数とともに示すグラフである。
図32は、
図31に基づいて式(4)を参照して得られた異なる聴取位置での正規化されたパラメータを周波数とともに示すグラフである。
図31および
図32に示すように、バッフルがない場合と比較して、二重点音源の2つの点音源の間にバッフルを配置すると、聴取位置1の二重点音源から発生する聴取音の音量を大きくすることができる。聴取位置1での聴取音の音量は、聴取位置2および/または聴取位置3での音量よりも大きくてもよい。バッフルが二重点音源における2つの点音源の間に配置されている場合、点音源a
2から聴取位置1への音響経路が増加し得、したがって、二重点音源における2つの点音源と聴取位置1との間の音響経路差を大きくすることができる。聴取位置1で二重点音源が発する音の振幅差が大きくなり得、音の干渉キャンセルが形成されない場合があり、それにより、聴取位置1で発生する聴取音の音量が大きくなる。聴取位置4では、聴取位置4と点音源a
1との間の距離を小さくすることができ、聴取位置での点音源a
1の音の振幅を比較的大きくすることができる。聴取位置4での聴取音の音量は、他の聴取位置(すなわち、聴取位置1、聴取位置2、および/または聴取位置3)でのそれよりも大きくてもよい。聴取位置2および聴取位置3の場合、点音源a
2から聴取位置までの音響経路に対するバッフルの影響は明らかではない可能性があり、聴取位置2および聴取位置3での聴取音の音量の増加は、バッフルの近くに位置する聴取位置1および聴取位置4での聴取音の音量の増加よりも小さい場合がある。
【0099】
遠距離場の漏れ音の音量は変わらない場合があり、近距離場の聴取位置での聴取音の音量は、聴取位置が変化すると変化し得る。この場合、式(4)によれば、音響出力装置の正規化されたパラメータは、異なる聴取位置で異なり得る。具体的には、聴取音の音量が比較的大きい聴取位置(例えば、聴取位置1および/または聴取位置4)は、小さな正規化されたパラメータおよび音漏れを低減するための強力な能力に対応し得る。聴取音の音量が小さい聴取位置(例えば、聴取位置2および聴取位置3)は、大きな正規化されたパラメータおよび音漏れを低減するための弱い能力に対応し得る。
【0100】
音響出力装置の実際の適用シナリオによれば、ユーザの耳介がバッフルとして機能し得る。この場合、音響出力装置の2つの音誘導穴は、耳介の前側および後側にそれぞれ配置され得、外耳道は、聴取位置として2つの音誘導穴の間に配置され得る。いくつかの実施形態では、耳介の前側の音誘導穴と外耳道との間の距離は、音響出力装置の2つの音誘導穴の位置を調整することによって、耳介の後側の音誘導穴と外耳道との間の距離よりも小さくなり得る。この場合、耳介の前側の音誘導穴が外耳道に近いため、音響出力装置は外耳道で比較的大きな音の振幅を生成し得る。耳介の後側にある音誘導穴によって形成される音の振幅は、外耳道では小さくなり、外耳道にある2つの音誘導穴からの音の干渉キャンセルを回避し、それによって外耳道で聞こえる音の比較的大きな音量を確保することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、音響出力装置が装着されたときに耳介と接触し得る1つまたは複数の接触点(例えば、耳の形状に一致する支持構造体上の「変曲点」)を含み得る。接触点は、2つの音誘導穴を接続する線上、または2つの音誘導穴を接続する線の片側に配置することができる。そして、耳介の前側に配置された音誘導穴と接触点との間の距離と、耳介の後側に配置された音誘導穴と接触点との間の距離との比は、0.05~20、0.1~10、0.2~5、0.4~2.5などになり得る。
【0101】
図33は、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源およびバッフル(例えば、耳介)を示す図である。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の間に配置されたバッフルの位置は、音響出力装置の音響出力に影響を及ぼし得る。単なる例として、
図33に示されるように、バッフルは、点音源a
1と点音源a
2との間に配置され得、聴取位置は、点音源a
1と点音源a
2とを結ぶ線上に配置され得る。さらに、聴取位置は、点音源a
1とバッフルとの間に位置することができる。点音源a
1とバッフルとの間の距離はLであり得る。点音源a
1と点音源a
2との間の距離はdであり得る。点音源a
1と聴取音との距離はL
1であり得る。聴取位置とバッフルとの間の距離はL
2であり得る。距離L
1が一定の場合、バッフルの動きにより、L対dの比が変化し、聴取位置での聴取音の音量および/または遠距離場での音漏れの音量が得られる。
【0102】
図34は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの、近距離場における音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図35は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの、遠距離場における漏れ音の音量の変化を周波数とともに示すグラフである。
図36は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図34~
図36に示すように、バッフルの位置を二重点音源の2つの点音源間で変更した場合、遠距離場の音漏れは変化しないか、遠距離場の音漏れの変化が音の閾値未満になり得る。点音源a
1と点音源a
2の距離dが一定の場合、Lを小さくすると、聴取位置の音量を大きくしたり、正規化されたパラメータを小さくしたり、音漏れを低減する能力を増加したりすることができる。Lが大きくなると、聴取位置の音量が大きくなり、正規化されたパラメータが大きくなり、音漏れを低減する能力が低下し得る。Lが比較的小さい場合、聴取位置はバッフルに近い可能性があり、点音源a
2から聴取位置への音波の音響経路は、バッフルの存在下で増加し得る。この場合、点音源a
1から聴取位置までの音響経路と点音源a
2から聴取位置までの音響経路との間の音響経路の差が大きくなり、音の干渉キャンセルが減少することがある。バッフルがあると、聴取位置の音量が大きくなり得る。Lが比較的大きい場合、聴取位置はバッフルから遠く離れていてもよい。バッフルは、音響経路の違いに影響を与えない(またはほとんど影響を与えない)場合がある。バッフルを追加しても、聴取位置の音量は変わらない場合がある。
【0103】
上記のように、音響出力装置の音誘導穴の位置を調整することにより、ユーザの耳介は、ユーザが音響出力装置を装着したときに音誘導穴を分離するためのバッフルとして機能し得る。この場合、音響出力装置の構造を簡略化することができ、音響出力装置の出力効果をさらに改善することができる。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の位置は、耳介の前側の音誘導穴と耳介(または耳介と接触するための音響出力装置上の接触点)との間の距離の、2つの音誘導穴間の距離に対する比が、ユーザが音響出力装置を装着している場合、0.5、0.3、0.1など以下になり得るように決定され得る。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の間の距離に対する耳介の前側の音誘導穴と耳介との間の距離の比は、0.05以上であり得る。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴と耳介の高さとの間の距離の比は、0.2以上であり得る。いくつかの実施形態では、比は4以下であり得る。いくつかの実施形態では、耳介の高さは、矢状面に垂直な方向の耳介の長さを指し得る。
【0104】
音響ドライバから音響出力装置の音誘導穴までの音響経路は、近距離場での音量および遠距離場での音漏れに影響を与え得ることに注意する必要がある。音響経路は、音響出力装置の振動ダイアフラムと音誘導穴との間のチャンバの長さを調整することによって変更することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバは、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムの前側と後側は、それぞれ前部チャンバと後部チャンバを通る2つの音誘導穴に結合することができる。振動ダイアフラムから2つの音誘導穴のそれぞれへの音響経路は異なり得る。いくつかの実施形態では、振動ダイアフラムから2つの音誘導穴のうちの1つへの音響経路と、振動ダイアフラムから2つの音誘導穴の別のものへの音響経路との比は、0.5~2、0.6~1.5、0.8~1.2などであり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴が逆位相で音を伝達する場合、音の振幅を調整して、音響出力装置の出力性能を改善することができる。具体的には、2つの音誘導穴のそれぞれによって伝達される音の振幅は、音誘導穴と音響ドライバとの間の音響経路のインピーダンスを調整することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、音波が媒体内を伝達されるときに音波が克服する抵抗を指し得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音の振幅を調整するために、減衰材(例えば、調整ネット、調整綿など)で満たされていてもいなくてもよい。例えば、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネット、調整綿など、またはそれらの任意の組み合わせを音響経路に配置して、音響抵抗を調整し、それにより、音響経路のインピーダンスを変化させることができる。別の例として、2つの音誘導穴のそれぞれの穴サイズを調整して、音響経路の音響抵抗を変更することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ(例えば、音響ドライバの振動ダイアフラム)と2つの音誘導穴との間の音響インピーダンスの比は、0.5~2、0.8~1.2などであり得る。
【0106】
上記の説明は、単に説明を目的としたものであり、本開示を限定することを意図するものではないことに留意されたい。例えば、聴取位置は、二重点音源を接続する線上にない場合があるが、二重点音源を接続する線の上、下、または延長方向にある場合もある。別の例として、点音源と耳介との間の距離を測定する方法、および耳介の高さを測定する方法も、異なる条件に従って調整することができる。これらの同様の変更はすべて、本開示の保護範囲内にあり得る。
【0107】
図37は、本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な音響出力装置を示す構造図である。
【0108】
人間の耳の場合、聞こえる音の周波数帯域は中低周波帯域にあり得る。中低周波帯域での音響出力装置の最適化の目標は、聴取音の音量を上げることであり得る。聴取位置が固定されている場合、二重点音源のパラメータを調整して、聴取音の音量を上げ、漏れ音の音量を上げないようにすることができる(例えば、聴取音の音量の増加は漏れ音の音量の増加よりも大きくなり得る)。高周波帯域では、二重点音源の音漏れが大幅に減少しない場合がある。高周波帯域では、音響出力装置の最適化の目標は、音漏れを減らすことであり得る。異なる周波数の二重点音源のパラメータを調整することにより、音漏れをさらに低減し、漏れ低減周波数帯域を拡大することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置1000は、音響ドライバ1030を含み得る。音響ドライバ1030は、2つの第2の音誘導穴を通して音を出力することができる。音響ドライバ1030、第2の音誘導穴、およびそれらの間の構造に関するさらなる説明は、音響ドライバ1020および/または第1の音誘導穴およびそれらの関連する説明を参照して説明することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ1030および音響ドライバ1020は、それぞれ、異なる周波数で音を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置1000は、音響ドライバ1020に第1の周波数範囲内の音を出力させ、音響ドライバ1030に第2の周波数範囲内の音を出力させるように構成されたコントローラを含み得る。第2の周波数範囲内の各周波数は、第1の周波数範囲内の各周波数よりも高くてもよい。例えば、第1の周波数範囲は100Hzから1000Hzであり得、第2の周波数範囲は1000Hzから10000Hzであり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ1020は低周波スピーカであり得、音響ドライバ1030は中高周波スピーカであり得る。低周波スピーカと中高周波スピーカの周波数応答特性が異なるため、音響ドライバ1020と音響ドライバ1030によって出力される音の周波数帯域が異なり得る。高周波帯域と低周波帯域は、低周波スピーカと中高周波スピーカとを使用して分割することができるため、低周波数を有する二重点音源および中高周波数を有する二重点音源は、近距離出力で音を出力したり、遠距離での音漏れを低減したりするように構成できる。例えば、低周波音を出力するための二重点音源は、音響ドライバ1020が、
図1に示される音誘導穴1011および音誘導穴1012を介して低周波音を出力するときに形成され得る。低周波数の二重点音源を耳介の両側に配置して、近距離場近くの耳で聞こえる音量を上げることができる。音響ドライバ1030が2つの第2の音誘導穴を通して中高周波音を出力する場合、中高周波音を出力するための二重点音源を形成することができる。中高周波数の音漏れは、2つの第2の音誘導穴の間の距離を調整することによって低減することができる。中高周波数の二重点音源は、耳介の両側、または耳介の同じ側に配置することができる。あるいは、音響ドライバ1020は、音誘導穴1011および音誘導穴1012を介して全周波数音を出力するための二重点音源を提供して、近距離場音の音量を増加させることができる。
【0110】
さらに、2つの第2の音誘導穴との間の距離d
2は、音誘導穴1011と音誘導穴1012との間の距離d
1よりも小さくてもよく、すなわち、d
1は、d
2よりも大きくてもよい。説明のために、
図9に示すように、2組の二重点音源は、単一点音源および1組の二重点音源よりも強い音漏れ低減能力を有し得、2組の二重点音源は、低周波二重点音源の1組および高周波二重点音源の1組を含み得、ならびに二重点音源の各組の2つの点音源間の距離は異なり得る。
【0111】
音響出力装置の音誘導穴は、耳介の両側に配置された
図37に示される音響ドライバ1720に対応する2つの音誘導穴1011および1012に限定されず、音響ドライバ1030に対応する2つの音誘導穴は、耳介の前側に配置することができることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、音響ドライバ1030に対応する2つの第2の音誘導穴は、耳介の同じ側(例えば、耳介の後側、上側、または下側)に配置され得る。別の例として、音響ドライバ1030に対応する2つの第2の音誘導穴は、耳介の2つの側面に配置され得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴1011および音誘導穴1012および/または2つの第2の音誘導穴が耳介の同じ側に配置される場合、バッフルは、音誘導穴1011と音誘導穴1012との間に配置され得、および/または2つの第2の音誘導穴は、近距離場での音の音量をさらに増加させ、遠距離場での音漏れを低減する。さらに別の例として、音響ドライバ1020に対応する2つの音誘導穴は、耳介の同じ側(例えば、耳介の前側、後側、上側、下側など)に配置され得る。
【0112】
実際の用途では、音響出力装置は、眼鏡、イヤフォン、ブレスレット、ヘルメット、時計、衣類、バックパックなどの異なる用途形態を含み得る。説明のために、本開示における音響出力装置の例として、眼鏡および音出力機能を備えたイヤフォンを説明することができる。眼鏡には、近視眼鏡、スポーツ眼鏡、遠視眼鏡、読書用眼鏡、老眼鏡、防砂眼鏡、サングラス、紫外線防止眼鏡、溶接眼鏡、防赤外線眼鏡、仮想現実(VR)眼鏡、拡張現実(AR)眼鏡、混合現実(MR)眼鏡、媒介現実眼鏡など、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。イヤフォンには、開放型両耳イヤフォンが含まれ得る。
【0113】
図38は、本開示のいくつかの実施形態による眼鏡3800を示す概略図である。
図38に示されるように、眼鏡3800は、1つまたは複数の音響出力装置3810、1つまたは複数のフレーム3820、1つまたは複数の眼鏡脚3830、1つまたは複数のレンズ3840、通信ユニット3850、電源ユニット3860、および制御ユニット3870を備え得る。
【0114】
音響出力装置3810は、音を出力するように構成され得る。音は、音声ファイル(例えば、音楽、録音など)、リアルタイム通話、放送、プロンプト音などを含み得る。例えば、ユーザは、音響出力装置3810を介してオーディオを再生または放送することができる。別の例として、ユーザは、音響出力装置3810を介して外部装置とリアルタイムで電話をかけることができる(この場合、眼鏡3800はまた、マイクロフォンを含み得る)。さらに別の例として、音響出力装置3810は、ユーザの操作または眼鏡3800または眼鏡3800の1つまたは複数の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、電源ユニット3860、または制御ユニット3870)の状態に従ってプロンプト音を出力することができる。音響出力装置3810に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、音響出力装置100、音響出力装置300、音響出力装置400、音響出力装置500、音響出力装置600、音響出力装置1000などと、
図1から
図37までのそれらの説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、音響出力装置3810は、テンプル3830の内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置3810は、テンプル3830の左テンプルおよび右テンプルにそれぞれ配置された第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2を含み得る。第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2は、通信ユニット3850を介して有線または無線の方法(例えば、ブルートゥース(登録商標))で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話、または他のモバイル装置)と通信することができる。例えば、第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2は、通信ユニット3850を介して信号源と通信することができる。別の例として、第1の出力装置3810-1は、通信ユニット3850を介して信号源と通信され得、第2の出力装置3810-2は、通信ユニット3850を介して第1の出力装置3810-1と無線で接続され得るか、フレーム3820およびテンプル3830内の1つまたは複数のワイヤを介して、第1の出力装置3810-1に接続することができる。第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2のオーディオ出力は、1つまたは複数の同期信号を介して同期させることができる。いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置3810は、フレーム3820またはレンズ3840の内部に配置され得る。いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置3810は、眼鏡3800から独立していて、眼鏡3800と取り外し可能に接続され得る(例えば、プラグ接続、スナップ接続、ねじ接続などを介して)。
【0115】
いくつかの実施形態では、テンプル3830の各テンプルは、音響出力装置3810を搭載し得る。例えば、テンプル3830は、中空の内部を有する密閉されたハウジング構造を含み得、テンプル3830の各テンプルの内部は、それぞれ、複数の第1の出力装置3810-1または第2の出力装置3810-2を搭載し得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置3810は、テンプル3830の一部に配置され得る。例えば、音響出力装置3810は、ヘッド(例えば、レンズ3840に近い部分)、テール(例えば、レンズ3840から離れた部分)、テンプル3830の中間部分など、またはそれらの任意の組み合わせに配置され得る。別の例として、複数の音響出力装置3810の一部は、テンプル3830のヘッドに配置され得、別の部分は、テンプル3830のテールに配置され得る。
【0116】
眼鏡3800または眼鏡3800の構成要素(例えば、音響出力装置3810、電源ユニット3860、および制御ユニット3870)は、互いに、または通信ユニット3850を介して外部装置(例えば、別の眼鏡、信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話、または他のモバイル装置)と通信し得る。例えば、眼鏡3800は、通信ユニット3850を介して(例えば、ブルートゥース(登録商標)接続方式を介して)外部携帯電話と通信して、電話のダイヤルおよび/または受信、オーディオの再生などの機能を実現することができる。他の例として、眼鏡3800は、音声共有動作を実現するために、通信ユニット3850を介して他の眼鏡と通信することができる。いくつかの実施形態では、眼鏡3800と他の眼鏡との間の通信は、無線通信を含み得る。無線通信には、ブルートゥース(登録商標)、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク、近距離通信など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、通信ユニット3850が外部装置と通信するとき、外部装置は、眼鏡3800の情報(例えば、位置情報、電力情報など)を取得し、眼鏡3800を制御して、音声の再生、電話の発信などのようなその機能を実施することができる。いくつかの実施形態では、通信ユニット3850は、眼鏡3800の任意の位置に配置することができる。例えば、通信ユニット3850は、フレーム3820、テンプル3830、またはレンズ3840の内部に配置され得る。別の例として、通信ユニット3850は、音響出力装置3810、電源ユニット3860、または制御ユニット3870に統合され得る。
【0117】
フレーム3820は、レンズ3840を支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フレーム3820の形状は、円形状、長方形形状、楕円形状、多角形(正多角形または不規則)形状などを含み得る。いくつかの実施形態では、フレーム3820は、レンズ3840に適合する形状を含み得る。例えば、レンズ3840が長方形である場合、フレーム3820も長方形であり得る。別の例として、レンズ3840が楕円形である場合、フレーム3820は楕円形であり得る。いくつかの実施形態では、フレーム3820の材料は、金属および/または非金属を含み得る。金属は、純金属(すなわち、金属元素)、合金、金属被覆、金属メッキなどを含み得る。純金属には、鉄、銅、アルミニウム、チタン、銀、金などが含まれ得る。合金には、ステンレス鋼、銅合金、ニッケルクロム合金、マンガンニッケル合金、ニッケル銅合金、ニッケルチタン合金、チタン合金などが含まれ得る。金属メッキには、金メッキ、チタンメッキ、ロジウムメッキ、パラジウムメッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキなどが含まれ得る。非金属には、プラスチック、繊維(例えば、酢酸塩、ニトロセルロース、ナイロン)、ポリマー材料(例えば、プラスチックチタン、エポキシ樹脂)、木材、動物の殻、動物の角などが含まれ得る。プラスチックは、熱可塑性、熱硬化性プラスチック、ハイブリッドプラスチックなどを含み得る。いくつかの実施形態では、テンプル3830の材料は、フレーム3820の材料と同じであり得る。例えば、テンプル3830の材料およびフレーム3820の材料は、両方ともプラスチックチタンであり得る。いくつかの代替の実施形態では、テンプル3830の材料は、フレーム3820の材料とは異なり得る。例えば、テンプル3830の材料はプラスチックであり得、フレーム3820の材料は金属であり得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、ブリッジ3821をさらに含み得る。ブリッジ3821は、左右のフレーム3820と左右のレンズ3840を接続することができる。ブリッジ3821は、左右のフレーム3820と一体的に形成され得るか、またはフレーム3820の左フレームと右フレームとの間に物理的に接続され得る。ブリッジ3821の材料は、フレーム3820の材料と同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、1つまたは複数の鼻パッド3822をさらに含み得る。鼻パッド3822は、ユーザが眼鏡3800を装着したときに眼鏡3800を支持および安定化するように構成され得る。鼻パッド3822の左鼻パッドおよび右鼻パッドは、左および右レンズフレーム3820と一体的に形成され得るか、またはフレーム3820の左および右フレームにそれぞれ物理的に接続され得る。鼻パッド3822の材料は、フレーム3820の材料と同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、フレーム3820は、1つまたは複数の杭頭3823をさらに含み得る。杭頭3823は、フレーム3820とテンプル3830との間の接合部であり得る。フレーム3820は、杭頭3823を介してテンプル3830に物理的に接続することができる。物理的接続には、ヒンジ接続、スナップ接続、ねじ接続、溶接接続などが含まれ得る。例えば、フレーム3820のフレームとテンプル3830のテンプルを接続するように構成されたヒンジ3880の一端は、杭頭3823に固定され得、ヒンジ3880の他端は、テンプル3830に固定され得る。杭頭3823の左杭頭および右杭頭は、フレーム3820の左フレームおよび右フレームと一体的に形成するか、またはフレーム3820の左フレームおよび右フレームにそれぞれ物理的に接続することができる。杭頭3823の材料は、フレーム3820の材料と同じであっても異なっていてもよい。ヒンジ3880の材料は、純金属、合金、金属被覆、金属メッキ(例えば、金属メッキステンレス鋼)などを含み得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、レンズ3840の形状は、円形状、長方形形状、楕円形、多角形(規則的または不規則)形状などを含み得る。いくつかの実施形態では、レンズ3840は、近視レンズ、前双眼鏡レンズ、サングラスレンズ(例えば、濃い眼鏡)、平面レンズ、アンチブルーレンズ、偏光レンズなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。レンズ3840の材料は、天然材料、光学ガラス、光学樹脂などを含み得る。いくつかの実施形態では、レンズ3840は、引っかき傷防止および飛散防止性能を有し得る。いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、拡張現実(AR)眼鏡または仮想現実(VR)眼鏡として使用することができる。この場合、レンズ3840の光透過率および/またはヘイズ度は自動的に調整され得、眼鏡3800は、レンズ3840の近くのミニ投影装置を呼び出すことができる。例えば、ARモードでは、レンズ3840の光透過率を低下させることができ、投影される画像またはビデオは、ミニ投影装置を通してユーザの視線方向にレンズ3840の外側に投影され得る。別の例として、VRモードでは、レンズ3840のヘイズ度を増加させることができ、投影される画像またはビデオは、ミニ投影装置を介してレンズ3840の内部に投影され得る。
【0120】
電源ユニット3860は、眼鏡3800の他の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、または制御ユニット3870)に電力を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源3860の充電モードは、無線充電モード、有線充電モード、磁気充電モードなどを含み得る。ワイヤレス充電モードは、電磁誘導ワイヤレス充電モード、磁気共鳴ワイヤレス充電モード、電波ワイヤレス充電モード、ソーラー充電モードなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、電源ユニット3860は、乾電池、鉛蓄電池、リチウム電池、太陽電池など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、電源ユニット3860は、テンプル3830の内部に配置することができる。例えば、電源ユニット3860は、テンプル3830の左テンプルまたは右テンプルの内部に配置され得、テンプル3830の第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2に電力を供給し得る。別の例として、電源ユニット3860は、テンプル3830の左テンプルおよび右テンプルの内側に配置され得、第1の出力装置3810-1および第2の出力装置3810-2にそれぞれ電力を供給し得る。電源ユニット3860は、電源ユニット3860がレンズ3840に近いテンプル3830の位置に配置されているという
図38に示される場合に限定されないことに留意されたい。例えば、電源ユニット3860は、レンズ3840から離れたテンプル3830の位置に配置され得る。別の例として、電源ユニット3860は、フレーム3820またはレンズ3840の内部に配置され得る。さらに別の例として、電源ユニット3860は、音響出力装置3810、通信ユニット3850、制御ユニット3870などに統合され得る。
【0121】
制御ユニット3870は、眼鏡3800の1つまたは複数の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、電源ユニット3860など)の動作状態を制御するように構成され得る。例えば、制御ユニット3870は、音響出力装置3810を制御してオンまたはオフにすることができる。別の例として、制御ユニット3870は、ユーザの指示に従って、音響出力装置3810によって出力されたオーディオを切り替えることができ、例えば、オーディオの再生、指定されたカテゴリ(例えば、クラシックカテゴリ、ポップカテゴリ)のプレイリスト内の曲の再生、または特定の歌手(例えば、マイケルジャクソン、ジェイチョウなど)の曲を再生し、音響出力装置3810などによって出力される音の音量を調整する。いくつかの実施形態では、制御ユニット3870は、直接または通信ユニット3850を介して眼鏡3800の構成要素と通信することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット3870は、眼鏡3800の構成要素の状態を自動的に検出するか、または眼鏡3800の構成要素によって報告された状態情報を自動的に受信することができる。状態または状態情報によれば、制御ユニット3870は、眼鏡3800の構成要素を制御することができる。例えば、制御ユニット3870は、電源3860の電気量を自動的に検出することができ、電源3860の電気量が臨界値(例えば、20%)よりも低い場合、制御ユニット3870は、充電プロンプト音(例えば、「ローバッテリ」、「電源オフ」)を出力するための音響出力装置3810を制御することができる。別の例として、制御ユニット3870は、通信ユニット3850が外部装置(例えば、ユーザの携帯電話)に接続されているかどうかを(例えば、ブルートゥース(登録商標)方式を介して)自動的に検出することができる。通信ユニット3850が外部装置に接続されていない場合、制御ユニット3870は、通信ユニット3850を制御して外部装置を接続し、音響出力装置3810を制御して、接続が成功したときにプロンプト音(例えば、「ブルートゥース(登録商標)」接続済み」)を出力することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット3870は、眼鏡3800と通信する外部装置を制御するようにさらに構成され得る。例えば、制御ユニット3870は、通信ユニット3850を介して、眼鏡3800に関連付けられた携帯電話のスマートアシスタント(例えば、SIRI(商標))を制御することができる。さらに、ユーザの指示(例えば、音声指示、タッピング指示など)に従って、制御ユニット3870は、通信ユニット3850を介して携帯電話のスマートアシスタントをウェイクアップし、携帯電話を制御して、天気のチェック、ナビゲーションの開始、音声制御再生などのようなスマートアシスタントを介した操作を実行することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット3870は、テンプル3830、フレーム3820、またはレンズ3840の任意の位置に配置され得る。いくつかの代替の実施形態では、制御ユニット3870は、音響出力装置3810、通信ユニット3850、または電源ユニット3860に統合され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、音響受信装置(図示せず)を含み得る。音響受信装置は、ユーザの音声指示、通話などの外部音を受信するように構成され得る。音響受信装置は、マイクロフォン、ボイス管などを含み得る。音響受信装置は、テンプル3830、フレーム3820、またはレンズ3840の任意の位置に配置することができる。いくつかの代替の実施形態では、音響受信装置は、音響出力装置3810、通信ユニット3850、電源ユニット3860、または制御ユニット3870に統合され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、1つまたは複数の検出ユニット(図示せず)をさらに含み得る。検出ユニットは、眼鏡3800および眼鏡3800の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、または電源3860)の動作状態を自動的に検出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御ユニット3870は、検出ユニットによって検出された状態情報(例えば、ラップされているかどうか、配置または装着状態、傾斜角、電気量など)に基づいて、眼鏡3800および眼鏡3800の構成要素を制御し得る。例えば、検出ユニットが眼鏡3800が取り外された状態にあることを検出すると、制御ユニット3870は、事前設定された時間(例えば、15秒)の後に眼鏡3800の構成要素(例えば、音響出力装置3810)をオフにすることができる。別の例として、検出ユニットが、眼鏡3800のテンプル3830の1つが定期的に(例えば、急速に連続して2ビート)ラップされていることを検出すると、制御ユニット3870は、音響出力装置3810を自動的に一時停止して音を出力することができる。さらに別の例として、電源ユニット3860の電力が不十分であることを検出すると、制御ユニット3870は、音響出力装置3810を制御して、眼鏡を充電する必要があるというプロンプト音を出力することができる。検出ユニットは、テンプル3830、フレーム3820、またはレンズ3840の任意の位置に配置することができる。検出ユニットは、検出器、センサ、ジャイロスコープなどを含み得る。検出器は、電池検出器、重量検出器、赤外線検出器、機械的検出器など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。センサは、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、変位センサ、流量センサ、液面センサ、力センサ、速度センサ、トルクセンサなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ジャイロスコープは、眼鏡3800の配置方向を検出するように構成され得る。例えば、ジャイロスコープが、眼鏡3800の底部が上向きに配置されていることを検出すると、制御ユニット3870は、事前設定された時間(例えば、20秒)後に電源ユニット3860をオフにすることができる。ジャイロスコープはまた、直接または通信ユニット3850を介して、外部装置(例えば、携帯電話)のジャイロスコープと通信することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は制御スイッチ(図示せず)を含み得る。制御スイッチは、眼鏡3800および眼鏡3800の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、または電源ユニット3860)を直接制御するように構成され得る。制御スイッチの形状と動作モードは、いくつかの例として説明されているにすぎない。ユーザは、制御スイッチの1つまたは複数のボタンで操作を実行することによって、眼鏡3800または眼鏡3800の構成要素を制御することができる。操作は、同時押下、連続複数連続押下、単一の短時間押下、単一の長時間押下、タッチ、スライドなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、ユーザは、制御ボタンを長時間押下することによって、音響出力装置3810をオンまたはオフにすることができる。別の例として、ユーザは、制御スイッチを長時間押下することによって、眼鏡3800と外部装置との間の通信(例えば、ブルートゥース(登録商標)接続)を接続または切断することができる。さらに別の例として、ユーザは、異なる時間に制御スイッチをクリックすることによって、電話に応答または電話を切る、音声を再生または一時停止する、音声を切り替える(例えば、次の音声を再生する、または前の音声を再生する)ことができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、制御スイッチ内の1つまたは複数のボタンで操作を実行することによって、眼鏡3800と通信する(または関連付けられる)外部装置を制御することができる。動作は、同時押下、順次複数連続押下、単一の短時間押下、単一の長時間押下、タッチ、スライドなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、ユーザが制御スイッチを押下すると、制御スイッチは、携帯電話のスマートアシスタントを直接または通信ユニット3850を介してウェイクアップすることができる。別の例として、制御スイッチが押下されたことを検出ユニットが検出すると、制御ユニット3870は、携帯電話のスマートアシスタントをウェイクアップすることができる。制御スイッチは、物理的ボタン、光学的ボタン、電子的ボタンなどを含み得る。制御スイッチは、テンプル3830、フレーム3820、またはレンズ3840の任意の位置に配置することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、1つまたは複数のインジケータライト(図示せず)を含み得る。インジケータライトは、眼鏡3800の構成要素(例えば、音響出力装置3810、通信ユニット3850、または電源ユニット3860)の動作状態を示すように構成され得る。インジケータライトは、1つまたは複数の色の光を発し、および/または異なる時間に点滅して、音響出力装置3810の異なる状態(例えば、オン、オフ、音量、電力、トーン、音声速度など)を示すことができる。例えば、音響出力装置3810がオンになっているとき、インジケータライトの少なくとも1つは緑色の光を発し得、音響出力装置3810がオフになっているとき、インジケータライトの少なくとも1つは赤色の光を発し得る。別の例として、音響出力装置3810がオンの場合、少なくとも1つのインジケータライトが3回点滅し得、音響出力装置3810がオフの場合、少なくとも1つのインジケータライトが1回点滅し得る。インジケータライトはまた、通信ユニット3850の接続状態を示すために、1つまたは複数の色の光を発し、および/または異なる時間に点滅することができる。例えば、通信ユニット3850が外部装置に正常に接続されている場合、インジケータライトの少なくとも1つが緑色のライトを発し得、通信ユニット3850が外部装置から切断されている場合、インジケータライトの少なくとも1つが赤色発光し得る。別の例として、通信ユニット3850が外部装置から切断されている場合、インジケータライトの少なくとも1つが点滅し続けてもよい。インジケータライトは、電源3860の電気量を示すために、1つまたは複数の色で発光し、および/または異なる時間に点滅することができる。例えば、電源3860に電力が不足している場合、インジケータライトの少なくとも1つが赤色光を発することがある。別の例として、電源3860に電力が不足している場合、インジケータライトの少なくとも1つが点滅し続けてもよい。インジケータライトは、テンプル3830、フレーム3820、またはレンズ3840の任意の位置に配置することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、測位ユニット(図示せず)を含み得る。測位ユニットは、眼鏡3800のリアルタイムの位置情報を取得するように構成され得る。例示的な位置情報は、経度データ、緯度データ、位置情報、周囲環境情報など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。測位ユニットは、全地球測位システム(GPS)、全地球航法衛星システム(GLONASS)、北斗航法システム(COMPASS)、ガリレオ測位システム、準天頂衛星システム(QZSS)、およびワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi(登録商標))測位技術など、またはそれらの任意の組み合わせを介して眼鏡3800を測位する。いくつかの実施形態では、眼鏡3800と通信する外部装置は、眼鏡3800の位置情報を取得することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、IPX1、IPX2、IPX3、IPX4、IPX5、IPX6、IPX7、IPX8などの防水等級を有し得る。いくつかの実施形態では、眼鏡3800は、IP1、IP2、IP3、IP4、IP5、IP6などの防塵等級を有し得る。
【0128】
上記の説明は、単に説明の便宜のためであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、眼鏡3800の形状および詳細の様々な修正および変更を行うことができることを理解されたい。例えば、眼鏡3800は、ノイズ低減ユニットなどの他のユニットをさらに含み得る。ノイズ低減ユニットは、音響出力装置3810によって出力される音のノイズを低減するように構成され得る。これらの変更は、本開示の保護範囲内にある。
【0129】
図39は、本開示のいくつかの実施形態による、眼鏡3800のテンプルの断面図を示す概略図である。
図39に示されるように、テンプル3830は、空洞3910を含み得る。音響出力装置3810は、空洞3910内に配置することができる。音響出力装置3810は、音響経路3920と、音響経路3920内に配置された音響ドライバ3930とを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920は、様々な形状のシェル構造を含み得る。音響経路3920の形状は、円形環、長方形、楕円形、(規則的または不規則な)多角形、U字形、V字形、半円などを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920は、テンプル3830の一部であり得るか、またはテンプル3830に物理的に(例えば、スナップ接続、ねじ接続などを介して)接続され得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920は、誘導管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネットなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。音響出力装置3810に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4、
図5、
図6A~
図6B、
図7A~
図7B、
図10、および
図37、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0130】
いくつかの実施形態では、音響経路3920は、特定のサイズの誘導管を含み得る。サイズは、管半径、長さ、アスペクト比などのような1つまたは複数のパラメータによって示すことができる。いくつかの実施形態では、音響経路3920の管半径は、変更されないままであるか、または音響経路3920の長さに沿って変更され得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920の管半径は、5.0ミリメートル、4.5ミリメートル、4.0ミリメートル、3.5ミリメートル、3.0ミリメートル、2.5ミリメートル、2.0ミリメートル、1.5ミリメートル、1.0ミリメートル、0.5ミリメートルなど以上であり得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920の管半径は、9.0ミリメートル、8.5ミリメートル、8.0ミリメートル、7.5ミリメートル、7.0ミリメートル、6.5ミリメートル、6.0ミリメートル、5.5ミリメートル以下であり得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920の長さは、500ミリメートル、450ミリメートル、400ミリメートル、350ミリメートル、300ミリメートル、250ミリメートル、200ミリメートル、150ミリメートル、100ミリメートル、50ミリメートル、30ミリメートル、10ミリメートルなど以下であり得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920のアスペクト比(半径に対する長さ)は、200、150、100、50など以下であり得る。音響経路3920に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出され得る。例えば、
図4、
図5、
図6A~
図6B、および
図8A~
図8C、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0131】
音響経路3920は、音を伝達するための1つまたは複数の誘導穴3940(例えば、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2)を含み得、音響ドライバ3930は、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2を介して音を出力し得る。いくつかの実施形態では、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2は、それぞれ、テンプル3830の表面3950上に配置され、外部環境と直接通信され得る。この場合、音響出力装置3810に音を出力するための誘導穴3940をテンプル3830上に配置することができる。ユーザが眼鏡3800を装着するとき、誘導穴3940は外耳道に近接していても閉塞してはならず、ユーザの耳は開いたままである。ユーザは、音響出力装置3810によって出力された音を聞くだけでなく、外部環境の音も得ることができる。いくつかの実施形態では、誘導穴3940の形状は、円、円形環、長方形、楕円形、(規則的または不規則な)多角形、U字形、V字形、半円などを含み得る。誘導穴3940-1の形状は、誘導穴3940-2の形状と同じであっても異なっていてもよい。単なる例として、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2は円形であり得る。誘導穴の1つは円形であってもよく、他の誘導穴は楕円形であってもよい。いくつかの実施形態では、誘導穴3940は、特定のサイズを有し得る。誘導穴3940-1のサイズは、誘導穴3940-2のサイズと同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、誘導穴は音源と呼ばれることがある(ただし、音響ドライバ3930は、実際には、物理学の観点から音を出力することができる)。誘導穴3940は、点音源(または単一点音源)と見なすことができる。同じ音響ドライバ3930に対応する一対の誘導穴3940(例えば、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2)は、二重点音源と見なすことができる。いくつかの実施形態では、各誘導穴の面積は、2cm2、1.5cm2、1.2cm2、1cm2、0.8cm2、0.5cm2、0.3cm2、0.2cm2、0.1cm2、0.05cm2など以下であり得る。いくつかの実施形態では、いくつかの誘導穴の面積は、0.3cm2以下であり得、いくつかの誘導穴の一部の面積は、0.3cm2以上であり得る。いくつかの実施形態では、いくつかの誘導穴の面積は、0.2cm2以下であり得、いくつかの誘導穴の面積は、0.2cm2以上であり得る。いくつかの実施形態では、いくつかの誘導穴の面積は、0.1cm2以下であり得、いくつかの誘導穴の面積は、0.3cm2以上であり得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、音響経路3920は、1つまたは複数の音響ドライバ3930を搭載することができる。音響ドライバ3930は、音響経路3920の内側に配置することができる。音響ドライバ3930は、電気信号を受信し、電気信号を音声信号に変換して出力することができる構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、周波数に従って、音響ドライバ3930の形式は、低周波音響ドライバ、高周波音響ドライバ、全周波数音響ドライバ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、原理によれば、音響ドライバ3930は、可動コイルドライバ、可動鉄ドライバ、圧電ドライバ、静電ドライバ、磁歪ドライバなどを含み得る。音響ドライバ3930に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4、
図5、
図6A~
図6B、
図10、および
図37、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0133】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ3930は、変換器を含み得る。変換器は、電気信号の駆動下で振動を生成するように構成することができ、振動は、同じ振幅、同じ周波数、および逆位相(180度反転)の音を生成することができる。変換器の型は、空気伝導性スピーカ、骨伝導性スピーカ、水力音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、磁歪型等、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。音誘導穴3940に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4、
図5、および
図6A~
図6B、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0134】
いくつかの実施形態では、変換器は、振動ダイアフラムを含み得る。電気信号で駆動すると振動ダイアフラムが振動し、振動ダイアフラムの前側と後側が同時に正相音と逆相音を出力し得る。いくつかの実施形態では、音を伝達するための前部チャンバ(すなわち、音響経路3920の前半分)が、音響経路3920の振動ダイアフラムの前側に提供され得る。前部チャンバは誘導穴3940-1と音響的に結合することができ、振動ダイアフラムの前側からの音は誘導穴3940-1から前部チャンバを通して出力することができる。音響経路3920の振動ダイアフラムの後側に、音を伝達するための後部チャンバ(すなわち、音響経路3920の後半部)を設けることができる。後部チャンバは誘導穴3940-2と音響的に結合することができ、振動ダイアフラムの後側からの音は誘導穴3940-2から後部チャンバを通して出力することができる。なお、振動ダイアフラムが振動しているときは、振動ダイアフラムの前側と後側が同時に逆位相の音を発生し得る。音がそれぞれ前部チャンバおよび後部チャンバを通過するとき、音は、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2から外側に伝播することができる。いくつかの実施形態では、前部チャンバおよび後部チャンバの構造は、音響ドライバ3930によって音誘導穴3940-1および音誘導穴3940-2で出力される音が特定の条件を満たすことができるように設計され得る。例えば、前部チャンバおよび後部チャンバの長さは、特定の位相関係(例えば、逆位相)を有する音が誘導穴3940-1および誘導穴3940-2から出力され得るように構成され得るように設計され得る(図において、「+」および「-」は、異なる位相を有する音を表すように構成され得る)。したがって、眼鏡の近距離場での低音量が改善され、遠距離場での音漏れが効果的に低減され得る。二重点音源の音漏れ低減に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図2およびその関連する説明を参照されたい。
【0135】
いくつかの実施形態では、音を伝達するための複数の前部チャンバが、音響経路3920の振動ダイアフラムの前側に提供され得、複数の前部チャンバのそれぞれは、前部チャンバに対応する誘導穴3940-1に結合され得る。音響経路3920の振動ダイアフラムの後側に、音を伝達するための複数の後部チャンバを設けることができる。複数の後部チャンバのそれぞれは、後部チャンバに対応する誘導穴3940-2と結合することができる。例えば、音響経路3920は、振動ダイアフラムの前側の横に2つの前部チャンバを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側で生成された音は、2つの前部チャンバを介して、それぞれ対応する2つの誘導穴3940-1に伝達され得る。振動ダイアフラムの前側に対応する2つの誘導穴3940-1および振動ダイアフラムの後部チャンバに対応する1つの誘導穴3940-2は、3点音源を形成することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ3930は、複数の振動ダイアフラム(例えば、2つの振動ダイアフラム)を含み得る。複数の振動ダイアフラムのそれぞれは、振動して音を生成することができ、音は、音響経路3920内の振動ダイアフラムに接続された異なるチャンバを通過し、対応する誘導穴3940から出力され得る。複数の振動ダイアフラムは、同じまたは異なるコントローラによって制御され得、特定の位相および振幅を満たす音を生成することができる(例えば、同じ振幅であるが逆位相の音、異なる振幅および逆位相の音など)。振動ダイアフラムに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図1、
図5、および
図10、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0137】
いくつかの実施形態では、複数の振動ダイアフラムによって生成された音は、異なる周波数成分を有する2つ以上の音に分解され得る。例えば、音は、高周波成分を有する音と低周波成分を有する音とに分解され得る。異なる周波数成分を有する音は、対応する誘導穴3940に伝達され得る。例えば、高周波成分を含む音は、誘導穴3940-1および3940-2に伝達され、誘導穴3940-1および3940-2を通って外側に伝播され得、低周波成分を有する音は、誘導穴3940-3および3940-4(図示せず)に伝達され、誘導穴3940-3および3940-4を介して外側に伝播し得る。分周に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図2、
図4、および
図8A~
図8C、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0138】
いくつかの実施形態では、音響経路3920は、音響ドライバ3930による音出力を調整するための調整ネットおよび/または調整綿を含み得る。いくつかの実施形態では、各誘導穴3940は、眼鏡3800のテンプル3830内の構成要素を保護するために、透音性防塵ネットおよび/または防水ネットを含み得る。防塵ネットおよび/または防水ネットは、高密度ネットカバー材料のものであり得る。これらの変更は、本開示の保護範囲に含まれ得る。
【0139】
図40は、本開示のいくつかの実施形態による、眼鏡3800のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
図40に示すように、音響出力装置3810の誘導穴3940-1および誘導穴3940-2は、テンプル3830の下側3831に配置することができる。誘導穴3940-1は、眼鏡がユーザによって装着されるとき、テンプル3830上およびユーザの耳介の後側に配置され得る。誘導穴3940-2は、眼鏡がユーザによって装着されるとき、テンプル3830上およびユーザの耳介の前側に配置され得る。音響出力装置3810の誘導穴3940-1および誘導穴3940-2がそれぞれ耳介の両側に配置されている場合、耳介はバッフルとして機能し得る。この場合、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2は、それぞれ、
図40の点音源A1および点音源A2と見なすことができ、耳介は、
図40のバッフルと同等であり得る。聴取位置A0は耳穴の位置であり得る。
【0140】
音響出力装置3810の誘導穴3940(例えば、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2)は、
図40に示される分布に限定されないことに留意されたい。例えば、誘導穴3940-1は、眼鏡がユーザによって装着されるとき、ユーザの耳介の前側、およびテンプル3830の上側3834、内側3832、または外側3833に配置され得る。誘導穴3940-2は、眼鏡がユーザによって装着されるとき、ユーザの耳介の後側および上側3834、内側3832、またはテンプル3830の外側3833に配置され得る。いくつかの実施形態では、誘導穴3940-1および3940-2が、ユーザの耳介の前側、および眼鏡がユーザによって装着されたときのテンプル3830の表面3950に配置される場合、耳介は、バッフルとして作用しなくてもよい。一実施形態では、バッフルは、誘導穴3940-1と3940-2との間に配置され得る。バッフルは、テンプル3830の内部またはテンプル3830の外面に配置することができる。バッフルに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図14、
図18~
図21、および
図29~
図36、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0141】
いくつかの実施形態では、眼鏡がユーザによって装着されたときの、ユーザの耳介の両側およびテンプル3830上の誘導穴3940-1または3940-2の数は、
図40に示されるものに限定されなくてもよく、誘導穴3940-1または3940-2の数は、1以外の任意の整数にすることができる。誘導穴3940-1の数は、誘導穴3940-2の数と同じであっても異なっていてもよい。例えば、ユーザの耳介の前側およびテンプル3830上の誘導穴3940-2の数は2つであり得、ユーザの耳介の後側およびテンプル3830上の誘導穴3940-1の数は2つか3つでもよい。これらの変更は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0142】
図41は、本開示のいくつかの実施形態による眼鏡3800のテンプルの断面図を示す概略図である。
図41に示されるように、音響出力装置3810は、音響ドライバ4130を含み得る。音響ドライバ4130は、2つの対応する誘導穴4140(例えば、誘導穴4140-1および誘導穴4140-2)から音を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ4130および音響ドライバ3930は、それぞれ、異なる周波数で音を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置3810は、コントローラ(図示せず)をさらに含み得、コントローラは、音響ドライバ3930に第1の周波数範囲で音を出力させ、音響ドライバ4130に第2の周波数範囲の音を出力させるように構成され得る。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲の周波数よりも高い周波数を含み得る。例えば、第1の周波数範囲は100Hzから1000Hzであり得、第2の周波数範囲は1000Hzから10000Hzであり得る。いくつかの代替の実施形態では、コントローラは、音響ドライバ3930に複数の周波数範囲(例えば、低周波数範囲、低および中周波数範囲、中および高周波数範囲、高周波数範囲など)の音を出力させるように構成され得る。コントローラに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4、
図6A~
図6B、および
図37、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0143】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ3930は、低周波音響ドライバであり得、音響ドライバ4130は、高周波音響ドライバであり得る。例えば、音響ドライバ3930は、低周波スピーカ(例えば、可動コイルドライバ)であり得、音響ドライバ4130は、高周波スピーカ(例えば、可動鉄ドライバ)であり得る。低周波スピーカと高周波スピーカの周波数応答特性が異なるため、出力音の周波数帯域(または範囲)が異なり得る。音の高周波帯域と低周波帯域は、低周波スピーカと高周波スピーカを使用して分割することができる。低周波二重点音源と高周波二重点音源は、近距離場の音の音量を改善し、遠距離場音漏れを減らすように構成することができる。例えば、音響ドライバ3930は、低周波帯域で音を出力するように構成され得る誘導穴3940-1および誘導穴3940-2を介して低周波音を出力するための二重点音源を提供することができる。低周波二重点音源は、耳介に近く、近距離場の近く(例えば、ユーザの耳の近くの位置)の音量を上げるように構成され得る。音響ドライバ4130は、高周波帯域で音を出力するように構成され得る誘導穴4140-1および誘導穴4140-2を介して高周波音を出力するための二重点音源を提供することができる。低周波二重点音源と高周波二重点音源の構造、および低周波二重点音源と高周波二重点音源の位置に関する詳細な説明は、本開示の他の場所に見出され得る。例えば、
図42およびその関連する説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、音響ドライバ4130は、誘導穴4140-1および誘導穴4140-2を通して全周波数音を出力するための二重点音源を提供し得、それにより、近距離場音の音量をさらに増加させる。いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置3810は、複数の周波数帯域(例えば、低周波帯域、中および低周波帯域、中および高周波帯域、高周波帯域など)で音を生成するための複数の音響ドライバ3930を含み得る。
【0144】
人間の耳の場合、可聴音の周波数帯域は低周波帯域に集中し得、低周波帯域では、二重点音源が強力な音漏れ低減効果を発揮し得るので、低周波帯域での最適化の目標は、聴取音の音量を上げることであり得る。高周波域では、二重点音源の音漏れ低減効果が比較的弱い場合がある。高周波帯域では、最適化の目標は音漏れを減らすことであり得る。いくつかの実施形態では、聴取音の音量を増加させ、漏れ音の音量を減少させ(例えば、聴取音の音量の増分が漏れ音の音量の増分よりも大きい)、および漏れ低減の周波数帯域を拡張する効果は、音響出力装置3810のパラメータ(例えば、誘導穴間の距離、出力音の周波数帯域、音響経路3920における前部チャンバと後部チャンバとの間の距離、および音響経路4120、およびダイアフラムの前部および後部における音響インピーダンス)を調整することによって達成することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ3930は、中低周波帯域で音を出力する中低周波スピーカであり得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ4130は、中高周波帯域で音を出力する中高周波スピーカであり得る。これらの変更は、本開示の保護範囲内にある。
【0146】
図42は、本開示のいくつかの実施形態による、眼鏡のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
図41および
図42に示すように、音響出力装置3810内の音響ドライバ4130に対応する誘導穴4140(例えば、音誘導穴4140-1および音誘導穴4140-2)をテンプル3830の側面3831の下側に配置することができる。説明のために、以下の説明は、音響ドライバ4130が高周波音響ドライバであり、音響ドライバ3930が低周波音響ドライバであると仮定して説明されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。いくつかの実施形態では、2組の誘導穴3940と4140との間の距離を制御して、近距離場音の音量を増加させ、高周波音の漏れを低減することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ4130に対応する誘導穴4140-1と誘導穴4140-2との間の距離d
2は、音響ドライバ3930に対応する誘導穴3940-1と誘導穴3940-2との間の距離d
1よりも小さくてもよく、すなわち、d
1は、d
2よりも大きくてもよい。低周波帯域では、比較的大きな距離d
1は、音響出力装置3810による比較的大きな音量出力に対応し得る。同時に、距離d
1が比較的大きいと、音漏れがわずかに増加し、低周波帯域での音漏れが非常に小さくなり、わずかに増加した後、漏れ音が低レベルに保たれ得る。高周波帯域では、距離d
2が比較的小さいと、高周波音漏れ低減のカットオフ周波数が比較的低く、音漏れ低減の周波数帯域が比較的狭いという問題を克服し得る。他方、比較的短い距離d
2は、高周波帯域での音響出力装置の音漏れ低減性能を改善し、開放型両耳音響出力装置のニーズを満たすことができる。音漏れを低減するための、二重点音源における2つの点音源間の距離の調整に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図9および
図12~
図13、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0147】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ3930に対応する誘導穴3940-1および誘導穴3940-2によって出力される音の周波数帯域は、音響ドライバ4130に対応する誘導穴4140-1および誘導穴4140-2によって出力される音の周波数帯域と重複してもよい。この実施形態では、音響ドライバ3930に対応する誘導穴3940による音出力の位相(誘導穴の位相とも呼ばれる)は、音響ドライバ4130に対応する誘導穴4140による音出力の位相と同じであっても異なっていてもよい。誘導穴3940の位相が誘導穴4140の位相と異なる場合、眼鏡の音漏れ低減を改善することができる。いくつかの実施形態では、誘導穴3940-1および誘導穴3940-2によって出力される音の周波数帯域が、誘導穴4140-1および誘導穴4140-2によって出力される音の周波数帯域と重複する場合、また、誘導穴3940の位相は誘導穴4140の位相とは異なり、d
1/d
2は、1~1.5、1~1.4、1~1.3、1~1.2、1~1.1などに設定することができる。周波数帯域の重複に関するさらなる説明は、本開示の他の場所で見出すことができる。例えば、
図4およびその関連する説明を参照されたい。
【0148】
いくつかの実施形態では、音漏れは、誘導穴に対応する前部チャンバおよび後部チャンバの長さを制御することによって低減され得る。例えば、誘導穴3940-2に対応する後部チャンバの長さは、誘導穴3940-1に対応する前部チャンバの長さとは異なっていてもよく、誘導穴4140-2に対応する後部チャンバの長さは、誘導穴4140-1に対応する前部チャンバの長さと同じであり得、誘導穴(例えば、誘導穴3940および誘導穴4140)によって出力される2つの音の間の位相差は、180°であり得る。この実施形態では、誘導穴3940-2に対応する後部チャンバの長さと誘導穴3940-1に対応する前部チャンバの長さの比は、0.5~2、0.6~1.5、0.8~1.2であり得る。音漏れを低減するための前部チャンバおよび後部チャンバの長さの調整に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図34~
図36およびその関連する説明を参照されたい。
【0149】
いくつかの実施形態では、音漏れは、ダイアフラムの前部および後部で音響インピーダンスを制御することによって低減され得る。いくつかの実施形態では、誘導穴3940-2に対応する音響経路(例えば、前部チャンバ)の音響インピーダンスは、誘導穴3940に対応する音響経路(例えば、後部チャンバ)の音響インピーダンスとは異なっていてもよく、音響出力装置3810内の-1、および誘導穴4140-2に対応する音響経路(例えば、前部チャンバ)の音響インピーダンスは、誘導穴4140-1に対応する音響経路(例えば、後部チャンバ)の音響インピーダンスとは異なり得る。いくつかの実施形態では、誘導穴3940-2に対応する音響経路(例えば、前部チャンバ)の音響インピーダンスは、誘導穴3940-1に対応する音響経路(例えば、後部チャンバ)の音響インピーダンスとは異なっていてもよく、誘導穴4140-2に対応する音響経路(例えば、前部チャンバ)の音響インピーダンスは、誘導穴4140-1に対応する音響経路(後部チャンバ)の音響インピーダンスと同じであり得る。一実施形態では、誘導穴3940-2に対応する音響経路の音響インピーダンスと誘導穴3940-1に対応する音響経路の音響インピーダンスとの比(音響インピーダンス比とも呼ばれる)または誘導穴3940-1に対応する音響経路の音響インピーダンスと誘導穴3940-2に対応する音響経路の音響インピーダンスとの比(音響インピーダンス比とも呼ばれる)は、0.5~2、0.6~1.9、0.7~1.8、0.8~1.7、0.8~1.6、0.8~1.5、0.8~1.4、0.8~1.3、0.8~1.2、0.85~1.15、0.9~1.1、0.95~1.05、0.95~1などであり得る。いくつかの実施形態では、音響経路3920および4120の音響インピーダンスは、音響経路3920および音響経路4120において音響抵抗材(例えば、調整ネットおよび/または調整綿など)を使用することによって調整することができる。いくつかの代替の実施形態では、調整ネットは、誘導穴3940および誘導穴4140のための防水層、防塵ネットなどとして構成され得る。音響インピーダンスに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図34~
図36およびその関連する説明を参照されたい。
【0150】
いくつかの実施形態では、低周波帯域の音の音量をさらに改善するために、音響ドライバ3930は、単一点音源であり得る1つの誘導穴4140のみを有し得る。これらの変更は、本開示の保護範囲内にある。
【0151】
図43は、本開示のいくつかの実施形態による、眼鏡3800のテンプル上の誘導穴を示す概略図である。
図43に示されるように、音響出力装置3810の音響ドライバ3930に対応する誘導穴3940-1および誘導穴3940-2は、眼鏡がユーザに装着されている場合、ユーザの耳介の前側およびテンプル3830上に配置され得る。音響出力装置3810の誘導穴3940および誘導穴4140の分布は、
図39~
図43に示される状況に限定されなくてもよいことに留意されたい。例えば、誘導穴3940-1、誘導穴3940-2、誘導穴4140-1、および誘導穴4140-2のそれぞれまたはいずれか1つは、テンプル3830の比較的下側3831または上側3834に配置され得る。別の例として、誘導穴3940-1、誘導穴3940-2、誘導穴4140-1、および誘導穴4140-2のそれぞれまたはいずれか1つを、テンプル3830の内側3832または外側3833に配置することができる。さらに別の例として、ユーザが眼鏡をかけているとき、誘導穴3940-1、誘導穴3940-2、誘導穴4140-1、および誘導穴4140-2のそれぞれまたはいずれか1つを、ユーザの耳介の前側のテンプル3830の任意の位置に配置することができる。さらに別の例として、ユーザが眼鏡をかけているとき、誘導穴3940-1、誘導穴3940-2、誘導穴4140-1、および誘導穴4140-2のそれぞれまたはいずれか1つを、ユーザの耳介の後側のテンプル3830の任意の位置に配置することができる。いくつかの代替の実施形態では、誘導穴3940-1、誘導穴3940-2、誘導穴4140-1、および誘導穴4140-2のそれぞれまたはいずれか1つを、フレーム3820またはレンズ3840上に配置することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、音響出力装置3810は、3つ以上の音響ドライバを含み得る。3つ以上の音響ドライバのそれぞれは、3つ以上の誘導穴に対応することができ、3つ以上の誘導穴のそれぞれは、眼鏡3800の任意の位置に配置することができる。これらの変更は、本開示の保護範囲内にある。
【0153】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、集音機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、マイクロフォンノイズ低減システムを介して音響出力装置の集音性能を改善することができる。本開示のいくつかの実施形態では、音出力機能およびマイクロフォンノイズ低減システムを備えた眼鏡を例として説明することができる。眼鏡は、音響出力装置(例えば、音響出力装置100、音響出力装置300、音響出力装置400、音響出力装置500、音響出力装置600等)およびマイクロフォンノイズ低減システム(例えば、マイクロフォンノイズ低減システム4400、マイクロフォンノイズ低減システム4500A、またはマイクロフォンノイズ低減システム4500B))を含む装置と見なすことができ、または眼鏡は、本開示において限定されない可能性があるマイクロフォンノイズ低減システムを含む音響出力装置として使用され得ることを理解されたい。
【0154】
図44は、本開示のいくつかの実施形態によるマイクロフォンノイズ低減システムを示す概略図である。マイクロフォンノイズ低減システム4400は、マイクロフォン集音中に必要とされないノイズを低減または排除するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ノイズは、ユーザがオーディオ装置を装着したときに存在する背景音、または集める必要のない音(例えば、交通騒音、風切り音、水音、外部音声など)を含み得る。マイクロフォンノイズ低減システム4400は、様々な分野および/または装置、例えば、ヘッドセット、スマート装置(例えば、VR眼鏡、眼鏡)、マフラー、いびき防止装置など、またはそれらの任意の組み合わせに適用することができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォンノイズ低減システム4400は、ノイズ低減信号(例えば、ノイズの位相と反対の位相を有する信号)を生成することによって音声のノイズを低減するように構成された能動ノイズ低減システムであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンノイズ低減システム4400は、異なる位置にある2つのマイクロフォンアレイによって収集された音声信号に対して差を実行することによってノイズを低減するように構成された受動ノイズ低減システムであり得る。
【0155】
図44に示されるように、マイクロフォンノイズ低減システム4400は、マイクロフォンアレイ4410、ノイズ低減装置4420、および合成装置4430を含み得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンノイズ低減システム4400の2つまたは複数の構成要素は、互いに接続および/または通信され得る。例えば、ノイズ低減装置4420は、マイクロフォンアレイ4410内の各マイクロフォンと電気的および/または無線的に接続され得る。本明細書で使用される場合、2つの構成要素間の接続は、無線接続、有線接続、またはデータ送信および/またはデータ収集に使用することができる任意の他の通信接続を含み得る。ワイヤレス接続には、ブルートゥース(登録商標)リンク、Wi-Fi(登録商標)リンク、WiMaxリンク、WLANリンク、ジグビーリンク、モバイルネットワークリンク(例えば、3G、4G、5Gなど)など、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。有線接続には、同軸ケーブル接続、通信ケーブル(例えば、通信ケーブル)接続、可撓性ケーブル接続、スパイラルケーブル接続、非金属被覆ケーブル接続、金属被覆ケーブル接続、多芯ケーブル接続、ツイストペアケーブル接続、リボンケーブル接続、シールドケーブル接続、ツインストランドケーブル接続、光ファイバ接続、ケーブル接続、光ケーブル接続、電話線接続など、または任意のものそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0156】
マイクロフォンアレイ4410は、少なくとも1つの低周波マイクロフォンおよび少なくとも1つの高周波マイクロフォンを含み得る。少なくとも1つの低周波マイクロフォンは、低周波音声信号を収集するように構成され得る。少なくとも1つの高周波マイクロフォンは、高周波音声信号を収集するように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波マイクロフォンおよび少なくとも1つの高周波マイクロフォンを1つの装置に統合することができる。例えば、少なくとも1つの低周波マイクロフォンおよび/または少なくとも1つの高周波マイクロフォンを統合し、直線、環などの形態のマイクロフォン装置として配置して、集中型マイクロフォンアレイを形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波マイクロフォンおよび/または少なくとも1つの高周波マイクロフォンをオーディオ装置に分散させて、分散型マイクロフォンアレイを形成することができる。例えば、少なくとも1つの低周波マイクロフォンおよび/または少なくとも1つの高周波マイクロフォンは、オーディオ装置の任意の位置に配置され得、オーディオ装置上のマイクロフォンは、無線で接続され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410内の各マイクロフォンは、音声信号(例えば、対象音声およびノイズを含む音声信号)を検出し、検出された音声信号を少なくとも2つのサブバンド音声信号に処理するように構成され得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410内の各マイクロフォンは、フィルタに対応することができ、音声信号は、フィルタを介して少なくとも2つのサブバンド音声信号を生成するように処理され得る。本明細書で使用される場合、音声信号は、特定の周波数帯域を有するオーディオ信号であり得る。生成されたサブバンド音声信号は、音声信号の周波数帯域よりも狭い周波数帯域を有し得、サブバンド音声信号の周波数帯域は、音声信号の周波数帯域内にあり得る。例えば、音声信号は、10Hzから30kHzの範囲の周波数帯域を有し得る。サブバンド音声信号の周波数帯域は、音声信号の周波数帯域よりも狭く、音声信号の周波数帯域内であり得る100Hzから200Hzであり得る。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号の周波数帯域の組み合わせは、音声信号の周波数帯域をカバーすることができる。追加的または代替的に、サブバンド音声信号の少なくとも2つは、異なる周波数帯域を有し得る。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号のそれぞれは、他のサブバンド音声信号の周波数帯域とは異なる特徴的な周波数帯域を有し得る。異なるサブバンド音声信号は、同じ周波数帯域幅または異なる周波数帯域幅を有し得る。サブバンド音声信号では、中心周波数が互いに隣接している2つのサブバンド音声信号は、周波数領域で互いに隣接していると見なすことができる。隣接するサブバンド音声信号の一対の周波数帯域に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図46Aおよび
図46B、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0158】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410によって生成される信号は、デジタル信号、アナログ信号など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410内の各マイクロフォンは、低い動作電流、比較的安定した性能、および高い音声品質を有し得るMEMS(微小電気機械システム)マイクロフォンであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410内のマイクロフォンのいくつかまたはすべては、他の形式のマイクロフォンであり得るが、これは、ここで限定されなくてもよい。
【0159】
ノイズ低減装置4420は、マイクロフォンアレイ4410によって収集されたサブバンド音声信号に対してノイズ低減処理を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ノイズ低減装置4420は、音声ノイズ低減を実現するために、収集されたサブバンド音声信号に対してノイズ推定、適応フィルタリング、音声強調などを実行することができる。具体的には、ノイズ低減装置4420は、ノイズ推定アルゴリズムに従ってサブバンドノイズ信号を生成し、サブバンドノイズ信号に従ってサブバンドノイズ補正信号を生成し、サブバンド音声信号とサブバンドノイズ補正信号に基づいて対象サブバンド音声信号を生成することができ、それにより、サブバンド音声信号のノイズを低減する。サブバンドノイズ補正信号は、サブバンドノイズ信号の位相と逆の位相を有し得るアナログ信号、デジタル信号などを含み得る。いくつかの実施形態では、ノイズ推定アルゴリズムは、時間再帰的平均ノイズ推定アルゴリズム、最小追跡ノイズ推定アルゴリズムなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4410は、少なくとも一対の低周波マイクロフォンおよび少なくとも一対の高周波マイクロフォンを含み得る。低周波マイクロフォンおよび/または高周波マイクロフォンの各対は、同じ周波数帯域のサブバンド音声信号に対応し得る。ノイズ低減装置4420は、主音源(例えば、人間の口)に近い、マイクロフォンの各対のマイクロフォンによって収集された音声信号をサブバンド音声信号と見なし、主音源から遠く離れたマイクロフォンの対の別のマイクロフォンによって収集された音声信号をサブバンドノイズ信号として見なすことができる。ノイズ低減装置4420は、サブバンド音声信号とサブバンドノイズ信号との差分動作を実行することにより、サブバンド音声信号のノイズを低減することができる。ノイズ低減装置4420およびサブバンドノイズ信号に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図45A、
図47、および
図48、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0160】
合成装置4430は、対象サブバンド音声信号を組み合わせて対象信号を生成するように構成することができる。合成装置4430は、少なくとも2つの信号を組み合わせることができる任意の構成要素を含み得る。例えば、合成装置4430は、分周多重技術などの信号結合技術に従って、混合信号(すなわち、対象信号)を生成することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンノイズ低減システム4400は、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得る。上記のマイクロフォンノイズ低減システム4400の1つまたは複数の構成要素は省略されてもよい。単なる例として、残留ノイズ低減装置をノイズ低減装置4420に追加することができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォンノイズ低減システム4400の2つ以上の構成要素は、単一の構成要素に統合され得る。単なる例として、マイクロフォンノイズ低減システム4400において、合成装置4430は、ノイズ低減装置4420に統合され得る。これらの変更は、依然として本開示の範囲内にある。
【0162】
図45Aは、本開示のいくつかの実施形態による例示的なマイクロフォンノイズ低減システム4500Aを示す概略図である。
図45Aに示されるように、マイクロフォンノイズ低減システム4500Aは、マイクロフォンアレイ4510a、ノイズ低減装置4520a、および合成装置4530aを含み得る。マイクロフォンアレイ4510aは、少なくとも2つのマイクロフォン(例えば、マイクロフォン4512a-1、マイクロフォン4512a-2、…、マイクロフォン4512a-n)を含み得る。マイクロフォン4512の数は、サブバンド音声信号の数と等しくてもよい。サブバンド音声信号の数(すなわち、n)は、音声信号Sの周波数帯域および生成されたサブバンド音声信号の周波数帯域に関連し得る。例えば、特定の数のマイクロフォン4512を使用することができ、サブバンド音声信号の周波数帯域の組み合わせは、音声信号の周波数帯域をカバーすることができる。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号内の隣接するサブバンド音声信号の任意の対の周波数帯域は、重複してはならない。
【0163】
マイクロフォン4512は、音声信号Sに対して異なる周波数応答を有し得、音声信号Sを処理することによってサブバンド音声信号を生成するように構成され得る。例えば、マイクロフォン4512a-1が、20Hzから3kHzであり得、フルバンド音声信号S(例えば、2Hzから30kHzの周波数を有する)は、サブバンド音声信号を生成するためにマイクロフォン4512a-1によって処理され得、周波数帯域範囲は、サブバンド音声信号は20Hz~3kHzであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ4510aによって生成されるサブバンド音声信号は、デジタル信号、アナログ信号など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、マイクロフォン4512の少なくとも1つは、音響チャネル要素および感音要素を含み得る。音響チャネル要素は、音声信号S(例えば、対象音声信号、ノイズ信号)が感音要素に送信され得る経路を形成し得る。例えば、音響チャネル要素は、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の管など、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。感音要素は、音響チャネル要素から送信された音声信号S(例えば、元の音声、音響チャネル要素によって処理された音声)を電気信号に変換することができる。例えば、感音要素は、ダイアフラム、基板、カンチレバーなどを含み得る。ダイアフラムは、ダイアフラムの表面上の音声信号によって引き起こされる音圧変化をダイアフラムの機械的振動に変換するように構成され得る。感音要素は、プラスチック、金属、圧電材料などの1つまたは複数の材料、またはそれらの任意の組み合わせで作ることができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、マイクロフォン4512の少なくとも1つの周波数応答は、マイクロフォン4512の少なくとも1つの音響チャネル要素の音響構造に関連付けられ得る。例えば、マイクロフォン4512a-1の音響チャネル要素は、音がマイクロフォン4512a-1の感音要素に到達する前に音を処理することができる特定の音響構造を有し得る。いくつかの実施形態では、音響チャネル要素の音響構造は、特定の音響インピーダンスを有し得、したがって、音響チャネル要素は、音声をフィルタリングし、サブバンド音声信号を生成するためのフィルタとして使用され得る。マイクロフォン4512の感音要素は、サブバンド音声信号をサブバンド音声電気信号に変換することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、音響構造の音響インピーダンスは、音声の周波数帯域に従って配置され得る。いくつかの実施形態では、主にチャンバを含む音響構造は、ハイパスフィルタとして構成され得、主に管を含む音響構造は、ローパスフィルタとして構成され得る。単なる例として、音響チャネル要素は、チャンバおよび管構造を有し得る。チャンバと管の構造は、音響容量と音響品質の直列の組み合わせであり、インダクタ-コンデンサ(LC)共振回路を形成し得る。チャンバ内に音響抵抗材を使用すると、抵抗-インダクタ-コンデンサ(RLC)直列ループが形成され、RLC直列ループの音響インピーダンスは次式(5)で表される。
【数5】
ここで、Zは音響インピーダンスを表し、ωはチャンバと管構造の角周波数を表し、jは単位虚数を表し、M
aは音響品質を表し、C
aは音響容量を表し、R
aはRLCシリーズループの音響抵抗を表す。チャンバと管の構造は、バンドパスフィルタ(バンドパスフィルタF1とも呼ばれる)として使用できる。バンドパスフィルタF1の帯域幅は、音響抵抗R
aを調整することによって調整することができる。バンドパスフィルタF1の中心周波数は、音響品質M
aおよび/または音響容量C
aを調整することによって調整することができる。例えば、バンドパスフィルタF1の中心周波数は、次式(6)で表すことができる。
【数6】
【0167】
いくつかの実施形態では、マイクロフォン4512aの少なくとも1つの周波数応答は、マイクロフォンの感音要素の1つまたは複数の物理的特性(例えば、材料、構造)に関連付けられ得る。特定の物理的特性を備えた感音要素は、オーディオの特定の周波数帯域に敏感であり得る。例えば、感音要素の1つまたは複数の要素の機械的振動は、感音要素の電気的パラメータの変化を引き起こし得る。感音要素は、音声信号の特定の周波数帯域に敏感であり得る。音声信号の周波数帯域は、感音要素の電気的パラメータの対応する変化を引き起こす可能性がある。言い換えれば、マイクロフォン4512の少なくとも1つは、音声信号Sのサブバンド信号を処理するためのフィルタとして使用され得る。いくつかの実施形態では、音声は、音響チャネル要素によってフィルタリングされずに(または実質的にフィルタリングされずに)感音要素に送信される。感音要素の物理的特性を調整することができ、感音要素は、音声をフィルタリングし、フィルタリングされた音声を1つまたは複数のサブバンド音声電気信号に変換するためのフィルタとして使用することができる。
【0168】
単なる例として、感音要素は、バンドパスフィルタ(バンドパスフィルタF2とも呼ばれる)として構成され得るダイアフラムを含み得る。バンドパスフィルタF2の中心周波数は、次式(7)で表すことができる。
【数7】
ここで、M
mはダイアフラムの質量を表し、K
mはダイアフラムの弾性係数を表す。いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタF2の帯域幅は、ダイアフラムの減衰(R
m)を調整することによって調整することができる。バンドパスフィルタF2の中心周波数は、ダイアフラムの質量M
mおよび/またはダイアフラムの弾性係数K
mを調整することによって調整することができる。
【0169】
上記のように、マイクロフォン4512のうちの少なくとも1つの音響チャネル要素または感音要素は、フィルタとして使用され得る。マイクロフォン4512の少なくとも1つの周波数応答は、音響チャネル要素のパラメータ(例えば、Ra、Maおよび/またはCa)または感音要素のパラメータ(例えば、Kmおよび/またはRm)を調整することによって調整され得る。いくつかの実施形態では、音響チャネル要素と感音要素との組み合わせをフィルタとして使用することができる。音響チャネル要素と感音要素のパラメータを調整することにより、音響チャネル要素と感音要素との組み合わせの周波数応答をそれに応じて調整することができる。バンドパスフィルタとして使用される音響チャネル要素および/または感音要素に関する詳細な説明は、例えば、2018年9月12日に出願された国際出願第PCT/CN2018/105161号(特許文献5)に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
ノイズ低減装置4520aは、少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522(例えば、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-1、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-2、…、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-n)を含み得る。サブバンドノイズ低減ユニット4522のそれぞれは、マイクロフォン4512の1つに対応し得る。少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522aは、サブバンド音声信号のノイズに基づいてサブバンドノイズ補正信号を生成し、サブバンド音声信号のノイズを低減し、対象サブバンド音声信号を生成するように構成され得る。例えば、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(iおよびnは1より大きい任意の整数であり、iはn以下である)は、マイクロフォン4512a-iからサブバンド音声信号Siを受信することができ、サブバンドノイズ補正信号Ciを生成し、それによりサブバンド音声信号Siのノイズを低減する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522aのうちの少なくとも1つは、サブバンドノイズ推定サブユニット(
図45Aには示されていない)およびサブバンドノイズ抑制サブユニット(
図45Aには示されていない)を含み得る。サブバンドノイズ推定サブユニットは、サブバンド音声信号のノイズを推定するように構成することができる。サブバンドノイズ抑制サブユニットは、サブバンドノイズ推定サブユニットからサブバンド音声信号のノイズを受信し、サブバンドノイズ補正信号を生成し、それによってサブバンド音声信号のサブバンドノイズ信号を低減するように構成することができる。
【0171】
いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号は、マイクロフォン4512の1つから、並列送信機を介して少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522aの1つに送信され得る。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号は、デジタル信号を送信するための特定の通信プロトコルに従って、並列送信機を介して送信され得る。例示的な通信プロトコルには、Audio Engineering Society(AES3)、European Broadcasting Union(AES/EBU)、European Broadcasting Union(EBU)、Automatic Data Accumulator and Propagation(ADAT)、Inter-IC Sound(I2S)、Time-division Multiplexing(TDM)、Musical Instrument Digital Interface(MIDI)、CobraNet、Ethernet Audio/Video Patch Cord(Ethernet AVB)、Dante、International Telecommunication Union(ITU)-T G.728、ITU-T G.711、ITU-T G.722、ITU-T G.722.1、ITU-T G.722.1 Advanced Audio Coding(Annex C、AAC)-LDなど、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。デジタル信号は、Compact Disc(CD)、WAVE、Audio Interchange File Format(AIFF)、Moving Picture Experts Group(MPEG)-1、MPEG-2、MPEG-3、MPEG-4、Musical Instrument Digital Interface(MIDI)、Windows Media Audio(WMA)、RealAudio、Transform-domain Weighted Nterleave Vector Quantization(VQF)、Adaptive Multi-rate(AMR)、APE、Free Lossless Audio Codec(FLAC)、Advanced Audio Coding(AAC)など、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な方法で送信できる。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号は、例えば、分周多重化技術を使用して単一チャネル信号に処理され得、単一チャネル信号は、少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522aのうちの少なくとも1つに送信され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-iは、サブバンドノイズ信号N
iを推定し、サブバンドノイズ信号N
iに対して位相変調および/または振幅変調を実行して、サブバンドノイズ補正信号N
i’を生成することができる。いくつかの実施形態では、位相変調および振幅変調は、サブバンドノイズ信号N
iに対して順次または同時に実行され得る。例えば、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-iは、サブバンドノイズ信号N
iに対して位相変調を実行して位相変調信号を生成し、位相変調信号に対して振幅変調を実行してサブバンドノイズ補正信号N
i’を生成することができるサブバンドノイズ信号N
iの位相変調は、サブバンドノイズ信号N
iの位相の反転を含み得る。いくつかの実施形態では、ノイズの位相は、ノイズの伝播中に、マイクロフォン4512a-iの位置からサブバンドノイズ低減ユニット4522a-iの位置にシフトすることができる。サブバンドノイズ信号N
iの位相変調はまた、サブバンドノイズ信号N
iの伝播中のサブバンドノイズ信号N
iの位相シフトを補償することを含み得る。具体的には、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-iは、サブバンドノイズ信号N
iに対して振幅変調を実行して振幅変調信号を生成し、振幅変調信号に対して位相変調を実行してサブバンドノイズ補正信号N
i’を生成することができる。サブバンドノイズ低減ユニット4522a-iに関する詳細な説明は、本開示の他の場所に記載され得る。例えば、
図47および
図48、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。
【0173】
いくつかの実施形態では、ノイズ低減装置4520aは、同じ構成を有する2セットのマイクロフォン(例えば、2つのマイクロフォンアレイ4510a)を使用して、デュアルマイクロフォンノイズ低減の原理に従ってノイズ低減を実行することができる。マイクロフォンの各セットは、異なる周波数帯域を有する複数のサブバンド音声信号に対応するマイクロフォンを含み得る。説明のために、同じ構成の2つのマイクロフォンのセットのうちの1つは、第1のマイクロフォンセットと呼ばれ得、他方のマイクロフォンのセットは、第2のマイクロフォンセットと呼ばれ得る。第1のマイクロフォンセットと主音源(例えば、人間の口)との間の距離は、第2のマイクロフォンセットと主音源との間の距離よりも近い場合がある。第1のマイクロフォンセットの各マイクロフォンは、第2のマイクロフォンのマイクロフォンに1対1で対応することができる。例えば、20Hz~3kHzの周波数帯域を備えた第1のマイクロフォンセットの第1のマイクロフォンは、20Hz~3kHzの周波数帯域を備えた第2のマイクロフォンセットの第2のマイクロフォンに対応し得る。第1のマイクロフォンセットの第1のマイクロフォンによって収集された信号は、サブバンド音声信号と見なされ得、第2のマイクロフォンセットの第2のマイクロフォンによって収集された信号は、サブバンドノイズ信号と見なされ得る。ノイズ低減装置4520aは、サブバンド音声信号およびサブバンドノイズ信号に従って、対象サブバンド音声信号を生成することができる。2つのマイクロフォンアレイを使用してノイズ低減を実行することに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図46Aまたは
図46Bおよびそれらの関連する説明を参照されたい。
【0174】
合成装置4530aは、1つまたは複数の対象サブバンド音声信号を組み合わせて、対象信号S’を生成するように構成することができる。
【0175】
マイクロフォンアレイ4510aおよび/またはノイズ低減装置4520aの説明は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示を意図することができることに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。本明細書に記載の例示的な実施形態の特徴、構造、方法、および他の特徴を様々な方法で組み合わせて、追加のおよび/または代替の例示的な実施形態を得ることができる。例えば、マイクロフォンアレイ4510aおよび/またはノイズ低減装置4520aは、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得る。別の例として、マイクロフォンアレイ4510aおよび/またはノイズ低減装置4520aの1つまたは複数の構成要素を省略してもよい。さらに別の例として、マイクロフォンアレイ4510aおよび/またはノイズ低減装置4520aの2つ以上の構成要素を単一の構成要素に統合することができる。
【0176】
図45Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的なマイクロフォンノイズ低減システムを示す概略図である。
図45Bに示されるように、マイクロフォンノイズ低減システム4500Bは、マイクロフォンアレイ4510b、ノイズ低減装置4520b、および合成装置4530bを含み得る。マイクロフォンアレイ4510bは、少なくとも2つのマイクロフォン4512(例えば、マイクロフォン4512b-1、マイクロフォン4512b-2、…、マイクロフォン4512b-n)および少なくとも2つのフィルタ4514(例えば、フィルタ4514b-1、フィルタ4514b-2、…、フィルタ4514b-n)を含み得る。マイクロフォン4512の数、フィルタ4514の数、およびサブバンド音声信号の数は等しくてもよい。少なくとも2つのマイクロフォン4512は、同じ構成を有し得る。言い換えれば、マイクロフォン4512のそれぞれは、音声信号Sに対して同じ周波数応答を有することができる。マイクロフォン4512のマイクロフォンが音声信号Sを受信すると、マイクロフォンは、音声信号Sを、マイクロフォンに対応するフィルタ4514の1つに送信することができ、サブバンド音声信号は、フィルタ4514のうちの1つを介して生成され得る。マイクロフォン4512のそれぞれに対応するフィルタ4514は、音声信号Sに対して異なる周波数応答を有し得る。いくつかの実施形態では、フィルタ4514の少なくとも1つは、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、デジタルフィルタなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0177】
ノイズ低減装置4520bは、少なくとも2つのサブバンドノイズ低減ユニット4522(例えば、サブバンドノイズ低減ユニット4522b-1、サブバンドノイズ低減ユニット4522b-2、…、サブバンドノイズ低減ユニット4522b-n)を含み得る。サブバンドノイズ低減ユニット4522のそれぞれは、フィルタ4514のフィルタ(またはマイクロフォン4512のマイクロフォン)に対応し得る。ノイズ低減装置4520bおよび合成装置4530bに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図45Aおよびその関連する説明を参照されたい。
【0178】
図46Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のマイクロフォンの例示的な周波数応答4610および第2のマイクロフォンの例示的な周波数応答4620を示す概略図である。
図46Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のマイクロフォンの周波数応答4610および第2のマイクロフォンの別の例示的な周波数応答4630を示す概略図である。第1のマイクロフォンは、音声信号を処理して第1のサブバンド音声信号を生成するように構成され得る。第2のマイクロフォンは、音声信号を処理して第2のサブバンド音声信号を生成するように構成され得る。サブバンド音声信号では、第2のサブバンド音声信号は、周波数領域で第1のサブバンド音声信号に隣接し得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンおよび第2のマイクロフォンの周波数応答は、同じ周波数帯域幅を有し得る。例えば、
図46Aに示されるように、第1のマイクロフォンの周波数応答4610は、低い半電力点f1、高い半電力点f2、および中心周波数f3を有し得る。本明細書で使用される場合、周波数応答の半電力点は、特定の電力抑制(例えば、3dB)を伴う周波数点を指す。周波数応答4610の周波数帯域幅は、高い半電力点f2と低い半電力点f1との間の差に等しくてもよい。第2のマイクロフォンの周波数応答4620は、低い半電力点f2、高い半電力点f4、および中心周波数f5を有し得る。周波数応答4620の周波数帯域幅は、高い半電力点f4と低い半電力点f2との間の差に等しくてもよい。第1のマイクロフォンの周波数帯域幅は、第2のマイクロフォンの周波数帯域幅に等しくてもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンの周波数応答および第2のマイクロフォンの周波数応答は、異なる周波数帯域幅を有し得る。例えば、
図46Bに示されるように、第2のマイクロフォンの周波数応答4630は、低い半電力点f2、高い半電力点f7(f4よりも大きい)、および中心周波数f6を有し得る。第2のマイクロフォンの周波数応答4630の周波数帯域幅は、高い半電力点f7と低い半電力点f2との間の差、および高い半電力点f7と低い半電力点f2との間の差に等しくてもよい(すなわち、第2のマイクロフォンの周波数応答4630の周波数帯域幅は、第1のマイクロフォンの周波数応答4610の周波数帯域幅よりも大きくてもよい。したがって、元の音声信号の周波数帯域をカバーするサブバンド音声信号を生成するために、マイクロフォンアレイ4510aに比較的少数のマイクロフォンが必要とされ得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンの周波数応答および第2のマイクロフォンの周波数応答は、周波数点で交差し得る。第1のマイクロフォンの周波数応答と第2のマイクロフォンの周波数応答との交点は、第1の周波数応答と第2の周波数応答との間に重複する範囲が存在することを示し得る。理想的な場合には、第1のマイクロフォンの周波数応答と第2のマイクロフォンの周波数応答に重複する範囲がない場合がある。第1のマイクロフォンの周波数応答および重複する範囲を有する第2のマイクロフォンの周波数応答は、第1のサブバンド音声信号と第2のサブバンド音声信号との間に干渉範囲を引き起こし、第1のサブバンド音声信号と第2のサブバンド音声信号の品質に影響を及ぼし得る。例えば、重複範囲が大きいほど、干渉範囲が大きくなる可能性があり、第1のサブバンド音声信号および第2のサブバンド音声信号の品質が低くなり得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンの周波数応答が交差する周波数点は、第1のマイクロフォンの周波数応答の半電力点および/または第2のマイクロフォンの周波数応答の半電力点に近くてもよい。
図46Aに示されるように、周波数応答4610および周波数応答4620は、周波数応答4620の低い半電力点であり得る周波数応答4610の高い半電力点f2で交差する。周波数点と半電力点との間の電力レベル差が閾値(例えば、2dB)より大きくない場合、周波数点は半電力点に近いと見なされ得ることに留意されたい。この場合、第1のマイクロフォンの周波数応答および第2のマイクロフォンの周波数応答は、エネルギー損失または繰り返しが比較的少ない可能性があり、その結果、第1のマイクロフォンの周波数応答と第2のマイクロフォンの周波数応答との間の範囲が重複し得る。ほんの一例として、半電力点が-3dBで閾値が-2dBの場合、第1のマイクロフォンの周波数応答と第2のマイクロフォンの周波数応答が-5dBを超えるおよび/または-1dB未満の電力レベルの周波数点で交差する場合、重複範囲は比較的小さいと見なすことができる。いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンの周波数応答の中心周波数および/または帯域幅、ならびに第2のマイクロフォンの中心周波数および/または周波数応答の帯域幅は、第1のマイクロフォンの周波数応答と第2のマイクロフォンの周波数応答との間で、比較的狭いまたは必要な重複範囲を生成するように調整され得、それにより、第1のサブバンド音声信号の周波数帯域と第2のサブバンド音声信号の周波数帯域との間の重複を回避する。
【0183】
図46Aおよび
図46Bの実施形態の説明は、例示を意図するものであり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。本明細書に記載の例示的な実施形態の特徴、構造、方法、および他の特徴を様々な方法で組み合わせて、追加のおよび/または代替の例示的な実施形態を得ることができる。例えば、第1のマイクロフォンの周波数応答および/または第2のマイクロフォンの周波数応答の1つまたは複数のパラメータ(例えば、周波数帯域幅、高い半電力点、低い半電力点、および/または中心周波数)は、実際のニーズに基づいて決定され得る。
【0184】
図47は、本開示のいくつかの実施形態による例示的なサブバンドノイズ抑制サブユニット4700を示す概略図である。サブバンドノイズ抑制サブユニット4700は、サブバンドノイズ推定サブユニットからA
tN’
i(n)サブバンドノイズ信号N
i(n)を受信し、サブバンドノイズ補正信号を生成するように構成され得、それにより、サブバンドノイズ信号N
i(n)の周波数を変調し、サブバンドノイズ信号N
i(n)の振幅を低減する。A
tは、低減されるノイズに関連する振幅抑制係数を指す。
【0185】
図47に示されるように、サブバンドノイズ抑制サブユニット4700は、位相変調器4710および振幅変調器4720を含み得る。位相変調器4710は、サブバンドノイズ信号N
i(n)を受信し、サブバンドノイズ信号N
i(n)の位相を反転することによって位相変調信号N’
i(n)を生成するように構成され得る。例えば、
図48に示されるように、位相変調信号N’
i(n)は、サブバンドノイズ信号N
i(n)の位相を反転することによって生成され得る。いくつかの実施形態では、ノイズの位相は、ノイズがマイクロフォン(例えば、マイクロフォン4512a-i)の位置からサブバンドノイズ低減ユニット(例えば、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-i)の位置に伝播される間にシフトされ得る。いくつかの実施形態では、ノイズの位相シフトは無視され得る。例えば、ノイズがマイクロフォンの位置からサブバンドノイズ低減ユニット(またはその一部)の位置に伝播する間に、ノイズが平面波の形で一方向に伝播する場合、およびノイズ伝播中の位相シフトが閾値未満である場合、ノイズの位相はシフトされていないと見なすことができ、位相変調信号N’
i(n)が生成されるときに無視することができる。ノイズの位相シフトが閾値よりも大きい場合、ノイズの位相がシフトしていると見なすことができる。いくつかの実施形態では、サブバンドノイズの位相シフトが無視できる場合、位相変調器4710は、サブバンドノイズ信号N
i(n)に対して位相反転を実行することによって位相変調信号N’
i(n)を生成することができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、サブバンドノイズの位相シフトが無視できない場合、位相変調器4710は、位相変調器4710が位相変調信号N’
i(n)を生成するときに、サブバンドノイズの位相シフトを考慮し得る。例えば、サブバンドノイズ信号N
i(n)の位相は、伝播処理において位相シフトΔφを有し得る。位相シフトΔφは、以下の式(8)に従って決定できる。
【数8】
ここで、f
0はサブバンドノイズ信号N
i(n)の中心周波数を表し、cは音速を表す。ノイズが近距離場信号である場合、Δdは、音源からマイクロフォン4512a-iまでの距離と、音源からサブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(またはその一部)までの距離との間の差を表す。ノイズが遠距離場信号である場合、Δdはdcosθに等しくてもよい。ここで、dはマイクロフォン4512a-iとサブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(またはその一部)との間の距離を表し、θは音源とマイクロフォン4512a-iとの間の角度、または音源とサブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(またはその一部)との間の角度を表す。
【0187】
位相シフトΔφを補償するために、位相変調器4710は、サブバンドノイズ信号N
i(n)に対して位相反転および位相補償を実行して、位相変調信号N’
i(n)を生成することができる。いくつかの実施形態では、位相変調器4710は、オールパスフィルタを含み得る。オールパスフィルタの関数は、|H(w)|として表すことができる。ここで、wは角周波数を表す。理想的な場合、オールパスフィルタの振幅応答は1に等しく、オールパスフィルタの位相応答は位相シフトΔφに等しくなる。オールパスフィルタは、位相補償を実行するために、サブバンドノイズ信号N
i(n)をΔTだけ遅らせることができる。いくつかの実施形態では、ΔTは、以下の式(9)に従って決定され得る。
【数9】
【0188】
この場合、位相変調器4710は、サブバンドノイズ信号Ni(n)に対して位相反転および位相補償を実行して、位相変調信号N’i(n)を生成することができる。
【0189】
振幅変調器4720は、位相変調信号N’i(n)を受信し、位相変調信号N’i(n)を変調することによって対象変調信号AtN’i(n)を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ノイズは、マイクロフォン4512a-iの位置からサブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(またはその一部)の位置へのノイズの伝播中に抑制され得る。振幅抑制係数Atは、伝播中のノイズの振幅抑制を測定するために決定できる。振幅抑制係数Atは、例えば、音声伝送用の音響チャネル要素の材料および/または構造、サブバンドノイズ低減ユニット4522a-i(またはその一部)に対するマイクロフォン4512a-iの位置など、またはそれらの任意の組み合わせを含む、1つまたは複数の要因に関連付けることができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、振幅抑制係数A
tは、
図44に示されるようにマイクロフォンノイズ低減システム4400の初期設定であり得るか、または実際のまたはシミュレートされた実験に基づいて事前に決定され得る。例えば、振幅抑制係数A
tは、マイクロフォン4512a-iの近くのオーディオ信号の振幅(例えば、オーディオ信号がオーディオ放送装置に入る前)を、オーディオ信号がサブバンドノイズ低減ユニット4522a-iの位置に送信された後の振幅と比較することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、ノイズの振幅抑制は無視され得る。例えば、ノイズの伝播中の振幅抑制が閾値未満である、および/または振幅抑制係数A
tが1に等しい(または実質的に等しい)場合、サブバンドノイズ補正信号(すなわち、サブバンドノイズ信号N
i(n)の対象変調信号A
tN’
i(n)として、位相変調信号N’
i(n)を指定することができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、サブバンドノイズ抑制サブユニット4700は、サブバンド音声信号発生器(
図47には示されていない)を含み得る。サブバンド音声信号発生器は、サブバンドノイズ補正信号A
tN’
i(n)およびサブバンド音声信号S
i(n)に従って、対象サブバンド音声信号C
i(n)を生成し、
図44に示すように、サブバンド音声信号を合成装置4430に送信することができる。合成装置4430は、以下の式(10)に従って、少なくとも2つの対象サブバンド音声信号を1つの対象信号S(n)に組み合わせることができる。
【数10】
【0192】
図47および
図48および
図46Bの実施形態の説明は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示を意図することができることに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。本明細書に記載の例示的な実施形態の特徴、構造、方法、および他の特徴を様々な方法で組み合わせて、追加のおよび/または代替の例示的な実施形態を得ることができる。例えば、サブバンドノイズ抑制サブユニット4700は、信号合成ユニットなどの1つまたは複数の追加の構成要素を含み得る。別の例として、振幅変調器4720などのサブバンドノイズ抑制サブユニット4700内の1つまたは複数の構成要素を省略してもよい。
【0193】
図49Aおよび
図49Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡4900を示す概略図である。眼鏡4900は、フレーム4910、1つまたは複数のテンプル4920(例えば、テンプル4920-1およびテンプル4920-2)、および1つまたは複数のレンズ4930(例えば、レンズ4930-1およびレンズ4930-2)を含み得る。フレーム4910およびテンプル4920は、一緒に眼鏡支持体と呼ばれ得る。フレーム4910は、レンズ4930を支持するように構成され得る。ブリッジ4912は、フレーム4910の中央に配置することができる。ブリッジ4912は、ユーザが眼鏡4900を装着するときに、ユーザの鼻のブリッジに配置することができる。テンプル4920は、ユーザが眼鏡4900を装着するときにユーザの耳に配置することができる。テンプル4920は、フレーム4910を支持するためにブリッジ4912と協力することができる。いくつかの実施形態では、フレーム4910およびテンプル4920は、接続ユニット4940を介して接続され得、テンプル4920は、折り畳まれ得る。いくつかの実施形態では、フレーム4910は、テンプル4920に取り外し可能に接続され得る。接続ユニット4940は、スナップ接続ユニット、プラグ接続ユニット、ヒンジ接続ユニットなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、フレーム4910およびテンプル4920は、接続ユニット4940を介して接続されなくてもよい。言い換えれば、眼鏡支持体(例えば、フレーム4910およびテンプル4920)は、一体的に形成され得る。
【0194】
レンズ4930の形式は様々であり得るが、本明細書に限定されなくてもよい。例えば、レンズ4930は、
図38のレンズ3840と同じまたは類似していてもよい。
【0195】
テンプル4920の少なくとも1つ(例えば、テンプル4920-2)は、フレーム4910に接続された前端4922と、フレーム4910から離れた後端とを含み得る。その第1の端部が前端4922と一体的に形成され得るフック形状構造、フレーム4910から離れたフック形状構造の第2の端部4924は、下向きに曲げられ得る。フック形状の構造は、ユーザが眼鏡4900を装着するときに、ユーザの耳の後端4924に引っ掛けることができる。いくつかの実施形態では、眼鏡4900の材料を節約し、ユーザの装着快適性を改善するために、第2の端部4924の断面積は、第1の端部4922の断面積よりも小さくてもよく、すなわち、第2の端部4924は第1の端部4922より薄くてもよい。いくつかの実施形態では、固定化ユニット(例えば、
図52Aの固定化ユニット5260)は、テンプル4920のうちの少なくとも1つの中心に配置され得る。固定化ユニットは、眼鏡4900をユーザの耳に固定化するように構成することができ、緩めるのが容易ではない場合がある。
【0196】
いくつかの実施形態では、テンプル4920および/またはフレーム4910は、金属材料(例えば、銅、アルミニウム、チタン、金など)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金など)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロンなど)、繊維材料(例えば、酢酸繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維など)、またはそれらの任意の組み合わせでできていてもよい。フレーム4910の材料とテンプル4920の材料は同じであっても異なっていてもよい。例えば、フレーム4910はプラスチック材料でできていて、テンプル4920は金属材料でできていてもよい。別の例として、フレーム4910はプラスチック材料でできていてもよく、テンプル4920は金属およびプラスチック材料でできていてもよい。いくつかの実施形態では、保護カバーをテンプル4920-1および/またはテンプル4920-2に配置することができる。保護カバーは、ユーザにソフトな感触を提供するために、ソフトシリカゲル、ゴムなどの特定の弾性を有する柔らかい材料で作ることができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、
図49Bに示されるように、フレーム4910の対称中心と、テンプル4920-1の第2の端部とテンプル4920-2の第2の端部とを結ぶ線の中心点との間の垂直距離h1は、8センチメートル~0センチメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、垂直距離h1は、8.5センチメートル~19センチメートル、9センチメートル~18センチメートル、9.5センチメートル~17センチメートル、10センチメートル、16センチメートル、10.5センチメートル~15センチメートル、11センチメートル~14センチメートル、11.5センチメートル~13センチメートルであり得る。
図49Bに示されるように、テンプル4920-1とテンプル4920-2に対応する接続ユニットの中心点間の距離h2は、7センチメートル~17センチメートル、7.5センチメートル~16センチメートル、8センチメートル~15センチメートル、8.5センチメートル~14センチメートル、9センチメートル~13センチメートル、9.5センチメートル~12センチメートル、10センチメートル~11センチメートルなどであり得る。
【0198】
眼鏡支持体(例えば、フレーム4910および/またはテンプル4920)は、中空構造を含み得る。音響出力装置(例えば、音響出力装置100、音響出力装置300、音響出力装置400、音響出力装置500、音響出力装置600など)、マイクロフォンノイズ低減システム(例えば、マイクロフォンノイズ低減システム4400、マイクロフォンノイズ低減システム4500A、マイクロフォンノイズ低減システム4500Bなど)、回路基板、バッテリスロットなどを中空構造内に配置することができる。
【0199】
音響出力装置は、音をユーザに出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも1セットの低周波音響ドライバおよび少なくとも1セットの高周波音響ドライバを含み得る。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバに対応する誘導穴間の距離が、低周波音響ドライバに対応する誘導穴間の距離よりも小さい場合、ユーザの耳に聞こえる音量を大きくし、音漏れを小さくし、それにより、音響出力装置のユーザの近くにいる人に音が聞こえることを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも1セットの音響ドライバを含み得る。例えば、
図52Aに示されるように、音響ドライバの少なくとも1セットは、音響ドライバ5240および音響ドライバ5250を含み得る。テンプル5200Aは、それぞれ音響ドライバ5240および音響ドライバ5250と協働する音穴5245および音穴5255を含み得る。音響ドライバ5250および音穴5255は、テンプル5200Aの後端5224に配置することができる。音穴5245および音穴5255は、二重点音源(すなわち、二重点音源)と見なす(またはほぼ見なす)ことができる。一般に、二重点音源の間に配置されたバッフルは、近距離場音の音量を増加させ、遠距離場漏れの音量を大幅に増加させないため、ユーザの聴取体験が向上する。テンプル5200Aを備えた眼鏡4900がユーザによって装着されるとき、音穴5245は耳の前側にあり得、音穴5255は耳の後ろ側にあり得る。ユーザの耳介は、音穴5245と音穴5255との間のバッフルと見なすことができる。耳介は、音穴5245と音穴5255との間の距離を増加させることができる。眼鏡が音声を再生しているとき、バッフルは近距離場音の音量を大幅に増加させ、それによってユーザの聴取体験を向上させ得る。音響出力装置に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図1から
図37およびその関連する説明を参照されたい。
【0200】
マイクロフォンノイズ低減システムは、マイクロフォンアレイ、ノイズ低減装置、合成装置などを含み得る。マイクロフォンアレイの各マイクロフォンは、サブバンド音声信号を収集するように構成され得る。ノイズ低減装置は、収集されたサブバンド音声信号のサブバンドノイズ信号に従って、サブバンドノイズ信号の1つと反対の位相を有する位相変調信号を生成するように構成され得、それにより、サブバンド音声信号のノイズを低減する。収集されたサブバンド音声信号に対応するノイズ除去されたサブバンド音声信号は、対象音声信号を生成するために合成される合成装置に送信され得る。マイクロフォンノイズ低減システムに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図44、
図45A、および/または
図45B、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイは、テンプル4920またはフレーム4910のうちの少なくとも1つに配置され得る。マイクロフォンアレイの配置に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図50A、
図50B、
図51A、および
図51B、ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、眼鏡4900内のノイズ低減装置および合成装置の位置は、本明細書に限定されない実際の必要性に従って配置され得る。例えば、ノイズ低減装置および合成装置は、回路基板上に一緒に統合され得る。別の例として、ノイズ低減装置および合成装置は、それぞれ、テンプル4920またはフレーム4910のうちの少なくとも1つに配置され得る。いくつかの実施形態では、ブルートゥース(登録商標)ユニットを回路基板に統合することができる。バッテリスロットは、回路基板に電力を供給するように構成され得るバッテリを取り付けるように構成され得る。統合されたブルートゥース(登録商標)ユニットを介して、眼鏡4900は、電話をかけるおよび/または応答する、音楽を聞くなどの機能を実現することができる。
【0201】
図50Aおよび
図50Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的なテンプルの概略図である。
図50Aおよび
図50Bに示されるように、テンプル4920のうちの1つ(例えば、テンプル4920-1および/またはテンプル4920-2)は、中空構造であり得る。中空構造は、マイクロフォンアレイ5010(例えば、マイクロフォンノイズ低減システム4400内のマイクロフォンアレイ4410)、回路基板5020、バッテリスロット5030、および音響出力装置5040を収容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、中空構造は、ノイズ低減装置および合成装置(本明細書には示されていない)を含み得る。
図50Bに示すように、マイクロフォンアレイ5010と一致する音入口5015(または音を入力するための音穴)、および音響出力装置5040と一致する音出口5045(または音を出力するための音穴)は、テンプル4920の1つの表面に配置されている。マイクロフォンアレイ5010、回路基板5020、バッテリスロット5030、音響ドライバ5040、および他の構成要素の位置は、実際の必要に応じて中空構造内で調整され得るが、これは、
図50Aに示されているのと同じではない可能性があることに留意されたい。例えば、バッテリスロット5030の位置と回路基板5020の位置を交換することができる。別の例として、マイクロフォンアレイ5010は、テンプル4920のうちの1つの後端5024に配置され得る。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイは、フレーム4910(例えば、ブリッジ4912)内に配置され得る。
【0202】
図51Aおよび
図51Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡4900の概略図である。
図51Aおよび
図51Bに示されるように、マイクロフォンアレイ5110は、フレーム4910の中央のブリッジ4912に配置され得る。音入口5115は、ブリッジ4912の表面に配置することができ、これは、マイクロフォンアレイ5110と一致させることができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、ユーザが眼鏡4900を装着すると、
図50Aに示されるようなマイクロフォンアレイ5010またはマイクロフォンアレイ5110の中心点とユーザの口の中心点(すなわち、主音源)との間の距離Dは、2センチメートル~20センチメートルであり得る(例えば、
図51A)。いくつかの実施形態では、距離Dは、2.5センチメートル~18センチメートル、3センチメートル~16センチメートル、3.5センチメートル~14センチメートル、4センチメートル~12センチメートル、4.5センチメートル~10センチメートル、5センチメートル~8センチメートル、5.5センチメートル~7.5センチメートル、6センチメートル~7センチメートルなどであり得る。
【0204】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ5010は、少なくとも1対の低周波マイクロフォンおよび少なくとも1対の高周波マイクロフォンを含み得る。マイクロフォンの各対の構成は同じでもかまわない。つまり、一対の低周波マイクロフォンの構成は同じであり得、一対の高周波マイクロフォンの構成は同じであり得る。マイクロフォンの各対は、同じ周波数帯域のサブバンド音声信号に対応し得る。つまり、一対の低周波マイクロフォンに対応するサブバンド音声信号は、同じ周波数帯域を有し得、一対の高周波マイクロフォンに対応するサブバンド音声信号は、同じ周波数帯域を有し得る。マイクロフォンの各対のマイクロフォン間の距離は同じであり得る。すなわち、低周波マイクロフォンの各対のマイクロフォン間の距離は、高周波マイクロフォンの各対のマイクロフォン間の距離に等しくてもよい。説明のために、主音源に近いマイクロフォンの各対のマイクロフォンを第1のマイクロフォンと見なすことができ、主音源から離れたマイクロフォンの各対のマイクロフォンを第2のマイクロフォンと見なすことができる。
図52Aは、本開示のいくつかの実施形態による眼鏡の例示的なテンプル5200を示す概略図である。
図52Aに示されるように、テンプル5200Aの中空構造は、互いに対応する2組のマイクロフォンを含み得る。すなわち、マイクロフォンアレイは、2つのマイクロフォンセット(例えば、第1のマイクロフォンセット5212および第2のマイクロフォンセット5214)を含み得、2つのマイクロフォンセットは、互いに対応し得る。第1のマイクロフォンセット5212および第2のマイクロフォンセット5214のそれぞれは、異なる周波数帯域を有する複数のサブバンド音声信号に対応するマイクロフォンを含み得る。第1のマイクロフォンセット5212のマイクロフォンは、第2のマイクロフォンセット5214のマイクロフォンに1対1で対応することができる。第1のマイクロフォンセット5212内のマイクロフォンおよび第2のマイクロフォンセット5214内の対応するマイクロフォンは、同じ周波数帯域を有するサブバンド音声信号に対応し得る。例えば、第1のマイクロフォンセット5212および/または第2のマイクロフォンセット5214内の各マイクロフォンは、音声信号をサブバンド音声信号に分解することができる。音声信号は、第1のマイクロフォンセット5212の第1のマイクロフォンおよび第2のマイクロフォンセット5214の対応する第2のマイクロフォンによって処理され得、同じ周波数帯域を有するサブバンド音声信号は、第1のマイクロフォンおよび対応する第2のマイクロフォンによって生成され得る。
【0205】
第1のマイクロフォンセット5212と主音源(例えば、人間の口)との間の距離は、第2のマイクロフォンセット5214と主音源との間の距離よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンセット5212および第2のマイクロフォンセット5214は、特定の方法でテンプル5200Aに分配され得、主音源は、第2のマイクロフォンセット5214から第1のマイクロフォンセット5214を指す方向にあり得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォン5212-iおよび第1のマイクロフォン5212-iに対応する第2のマイクロフォン5214-iについて、主音源と第1のマイクロフォン5212-iとの間の距離および/または主音源と第2のマイクロフォン5214-iとの間の距離は、ユーザがテンプル5200Aで眼鏡をかけている場合、環境内の他の音源(例えば、ノイズ源)と第1のマイクロフォン5212-iとの間の距離、および/または他の音源と第2のマイクロフォン5214-iとの間の距離よりも小さくてもよく、主音源は、第1のマイク5212-iと第2のマイク5214-iの近距離場音源と見なすことができる。近距離場音源の場合、マイクロフォンによって受信される音の音量は、近距離場音源とマイクロフォンとの間の距離に関連付けられ得る。第1のマイクロフォン5212-iは、第2のマイクロフォン5214-iよりも主音源に近接し得、オーディオ信号は、第1のマイクロフォン5212-iによって処理されて、比較的大きなサブバンド音声信号VJ1を生成し得る。第2のマイクロフォン5214-iは、第1のマイクロフォン5212-iよりも主音源から比較的遠く離れていてもよく、オーディオ信号は、第2のマイクロフォン5214-iによって処理されて、比較的小さいサブバンド音声信号VJ2を生成し得、VJ1はVJ2よりも大きい。
【0207】
いくつかの実施形態では、環境内のノイズ源は、第1のマイクロフォン5212-iおよび第2のマイクロフォン5214-iから比較的遠く離れていてもよく、ノイズ源は、第1のマイクロフォン5212-iと第2のマイク5214-iの遠距離場音源と見なすことができる。遠距離場音源の場合、ノイズはマイクロフォンセットによって処理され、サブバンドノイズ信号を生成するために使用される。生成されたサブバンドノイズ信号の値は、等しくても(または実質的に等しくても)よい、すなわち、VY1≒VY2である。
【0208】
第1のマイクロフォン5212-iは、受信された音声信号を処理し、以下の式(11)によって表され得る全音声信号を生成することができる。
【数11】
【0209】
第2のマイクロフォン5214-iは、受信された音声信号を処理し、以下の式(12)によって表され得る全音声信号を生成することができる。
【数12】
【0210】
受信音声信号のノイズを除去するために、第1のマイクロフォン5212-iによって生成された全音声信号と、第2のマイクロフォン5214-iによって生成された全音声信号との間で差分動作を実行することができる。差分動作は、以下の式(13)で表すことができる。
【数13】
【0211】
さらに、主音源によって送信され、第1のマイクロフォン5212-iおよび/または第2のマイクロフォン5214-iによって実際に受信される実際のサブバンド音声信号(すなわち、VJ1またはVJ2)は、式(13)に基づいて決定されるサブバンド音声信号の動作、第1のマイクロフォン5212-iと主音源との間の距離、および第2のマイクロフォン5214-iと主音源との間の距離の差の結果に従って決定され得る。いくつかの実施形態では、サブバンド音声信号の差の結果は、差の結果が増強および増幅された後、さらなる処理のために合成装置(図示せず)に入力され得、対象信号が生成され得る。対象信号は、音響ドライバ5240および/または音響ドライバ5250を介してユーザにブロードキャストすることができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンセット5212および/または第2のマイクロフォンセット5214は、テンプル5200Aおよび/またはフレーム5270(
図52Aおよび
図52Bに示されるように)上に配置され得る。生成されたサブバンド音声信号の品質を改善するために、式(13)に従って決定されたサブバンド音声信号の差の結果は、比較的大きい、すなわち、V
J1≫V
J2であり得る。いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンセット5212の設置位置は、主音源に比較的近くあり得、第2のマイクロフォンセット5214の設置位置は、主音源から比較的遠く離れていてもよい。いくつかの実施形態では、バッフルなどは、2つのマイクロフォンアレイの間に配置され得る。例えば、第1のマイクロフォンセット5212は、テンプル5200Aの前端5222に配置され得、第2のマイクロフォンセット5214は、テンプルの後端5224に配置され得る。ユーザがテンプル5200Aで眼鏡をかけるとき、耳介は、第1のマイクロフォンセット5212と第2のマイクロフォンセット5214との間の距離を増加させ得、耳介は、第1のマイクロフォンセット5212と第2のマイクロフォンセット5214との間のバッフルと見なされ得る。いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンセット5212と主音源との間の距離は、
図50Aに示されるマイクロフォンアレイ5010または
図51Aに示されるマイクロフォンアレイ5110と主音源との間の距離と同じであり得る。いくつかの実施形態では、第1のマイクロフォンセット5212と第2のマイクロフォンセット5214との間の距離d(
図52Aまたは
図52Bに示される)は、0.2センチメートル、0.4センチメートル、0.6センチメートル、0.8センチメートル、1センチメートル、2センチメートル、3センチメートル、4センチメートル、5センチメートル、6センチメートル、7センチメートル、8センチメートル、9センチメートル、10センチメートル、11センチメートル、12センチメートル、13センチメートル、14センチメートル、15センチメートル、17センチメートル、19センチメートル、20センチメートルなど以上であり得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ内のマイクロフォンの各対のマイクロフォン間の距離は異なっていてもよい。低周波マイクロフォン間の距離は、高周波マイクロフォン間の距離よりも大きくなり得る。
図53は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡5300を示す概略図である。
図53に示されるように、眼鏡5300内のマイクロフォンアレイは、少なくとも一対の低周波マイクロフォン(例えば、低周波マイクロフォン5310および低周波マイクロフォン5320)および少なくとも一対の高周波マイクロフォン(例えば、高周波マイクロフォン5330および高周波マイクロフォン5340)を含み得る。低周波マイクロフォン5310と低周波マイクロフォン5320との間の距離は、高周波マイクロフォン5330と高周波マイクロフォン5340との間の距離よりも大きくてもよい。異なる周波数に対して異なる距離のマイクロフォンを決定することができ、それにより、眼鏡5300の音声受信性能を改善する。具体的には、遠距離場音源の位置が一定の場合、低周波音の周波数が比較的低く、低周波音の周期が比較的長くなることがある。低周波マイクロフォン5310と低周波マイクロフォン5320との間の距離を大きくすると、近距離場音の受信効果が改善され、遠距離場での低周波ノイズが増加しない場合がある(低周波マイクロフォン5310と低周波マイクロフォン5320との間の距離によって引き起こされる位相シフトが、期間の比較的小さな部分のみを占め得るため)。高周波音の場合、周波数は比較的高くてもよく、周期は比較的短くてもよい。高周波マイクロフォン5330と高周波マイクロフォン5340との間の距離が減少するにつれて、高周波マイクロフォン5330と高周波マイクロフォン5340とによって収集される遠距離場高周波ノイズの位相差は、徐々に減少し得、それにより、長距離の高周波ノイズを排除する。高周波マイクロフォン間の距離は、低周波マイクロフォン間の距離よりも小さく設定することができ、ノイズを低減するために異なる操作を実行することができ、遠距離場ノイズ(例えば、遠距離場ノイズは、遠距離場低周波ノイズおよび遠距離場高周波ノイズを含み得る)は、排除またはほぼ排除され得る。
図53の低周波マイクロフォン5310、低周波マイクロフォン5320、高周波マイクロフォン5330、および高周波マイクロフォン5340の位置は単なる例示であり得、各マイクロフォンは眼鏡5300の適切な位置に配置される。例えば、低周波マイクロフォン5310および低周波マイクロフォン5320をフレーム内に配置することができ、高周波マイクロフォン5330および高周波マイクロフォン5340をテンプル内に配置することができる。別の例として、低周波マイクロフォン5310をフレーム内に配置することができ、低周波マイクロフォン5320、高周波マイクロフォン5330、および高周波マイクロフォン5340をテンプル内に配置することができる。いくつかの実施形態では、低周波マイクロフォン5310と低周波マイクロフォン5320との間の距離d
lの範囲は、0.8センチメートル~20センチメートル、1センチメートル~18センチメートル、1.2センチメートル~16センチメートル、1.4センチメートル~14センチメートル、1.6センチメートル~12センチメートル、1.8センチメートル~10センチメートル、2センチメートル~8センチメートル、2.2センチメートル~6センチメートル、2.4センチメートル~4センチメートル、2.6センチメートル~3.8センチメートル、2.2センチメートル~6センチメートル、2.4センチメートル~4センチメートル、2.6センチメートル~3.8センチ、2.8センチ~3.6センチ、3センチなどであり得る。いくつかの実施形態では、高周波マイクロフォン5330と高周波マイクロフォン5340との間の距離d
hの範囲は、1ミリメートル~12ミリメートル、1.2ミリメートル~11ミリメートル、1.2ミリメートル~10ミリメートル、1.4ミリメートル~9ミリメートル、1.6ミリメートル~8ミリメートル、1.8ミリメートル~7.5ミリメートル、2ミリメートル~7ミリメートル、2.5ミリメートル~6.5ミリメートル、3ミリメートル~6ミリメートル、3.5ミリメートル~5.5ミリメートル、4ミリメートル~5.3ミリメートル、5ミリメートルなどであり得る。いくつかの実施形態では、人間の声の場合、人間の声の周波数帯域は、主に中低周波帯域に集中し得る。低周波マイクロフォン5310は、高周波マイクロフォン5330よりも主音源に近くなるように配置することができ、それにより、ピックアップされた中低周波帯域信号の強度を改善する。低周波マイクロフォン5310と主音源との間の距離は、マイクロフォンアレイ5010と主音源との間の距離と同じであり得るが、本明細書では繰り返されない。
【0214】
眼鏡(例えば、眼鏡4900、眼鏡5200B、眼鏡5300など)および/またはテンプル(例えば、テンプル4920、テンプル5200Aなど)に関する説明が意図され得ることに留意されたい。例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。システムの原理を理解した後、当業者は、原理から逸脱することなく、方法およびシステムの適用分野に形態および詳細に様々な変更および修正を加えることができることを理解されたい。しかしながら、変更および修正は、本開示の範囲から逸脱しない場合がある。例えば、レンズ4930は、眼鏡4900から省略され得る。別の例として、眼鏡4900は1つのレンズを含み得る。安定化ユニット5260は、テンプル5200Aと一体的に形成され得るか、またはテンプル5200A上に取り外し可能に配置され得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、眼鏡(例えば、眼鏡4900、眼鏡5200B、眼鏡5300など)のマイクロフォンノイズ低減システムは、音穴を通して眼鏡をかけているユーザの音声信号を拾い上げ、音声信号を処理し、対象信号を生成し、対象信号を、眼鏡が通信される可能性のある対象物または装置に送信することができる。眼鏡内の音響出力装置は、物体または眼鏡と通信する装置によって送信されたオーディオ信号を受信し、オーディオ信号を音声信号に変換し、音穴を通して眼鏡をかけているユーザにオーディオ信号を出力することができる。いくつかの実施形態では、眼鏡は、受信された音声信号に従って制御命令を生成し、眼鏡の1つまたは複数の機能を制御することができる。例えば、眼鏡は、異なる光束で光を通過させるように、少なくとも1つのレンズの透過率を調整するために、受信された音声に従って制御命令を生成することができる。いくつかの実施形態では、眼鏡は、受信した指示に従って光透過率および/またはヘイズ度を自動的に調整し、ミニプロジェクション装置(図示せず)を呼び出すかまたはオフにして、通常モード、VRモード、ARモード等の間の自由な切り替えを実現することができる。例えば、眼鏡がARモードへの切り替えの指示を受けた後、レンズの透過率を低下させるように制御し、ミニプロジェクション装置を呼び出すことにより、AR画像またはビデオをユーザの目の前に投影することができる。別の例として、眼鏡がVRモードに切り替えるように指示を受けると、レンズのヘイズ度が100%近くまで上昇するように制御され、ミニプロジェクション装置を呼び出すことによって、VR画像またはビデオがレンズの内側に投影され得る。
【0216】
本開示のいくつかの実施形態で説明される音響出力装置(例えば、眼鏡4900、眼鏡5200B、眼鏡5300)は、異なる周波数応答を有するマイクロフォンを使用し得、それにより、様々な周波数帯域を有する音声信号に対するマイクロフォンアレイの感度を改善し得、全周波数帯域の音声信号に対する眼鏡の周波数応答曲線の安定性を改善し、音響出力装置の音声受信性能を改善する。眼鏡を使用する場合、サブバンドノイズ低減技術を採用することができ、それによって音声信号のノイズを低減する。さらに、眼鏡はサブバンドの音漏れ低減技術を使用することができ、それによって眼鏡の音漏れを低減し、ユーザ体験を向上させる。
【0217】
図54は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な眼鏡5400を示す概略図である。
図54に示されるように、眼鏡5400は、フレームおよび1つまたは複数のレンズ5440を含み得る。フレームは、テンプル5410、テンプル5420、レンズフレーム5430、およびブリッジ5450を含み得る。テンプル5410およびテンプル5420は、レンズフレーム5430およびレンズ5440を支持し、眼鏡5400をユーザの顔に固定するように構成され得る。レンズフレーム5430は、レンズ5440を支持するように構成され得る。ブリッジ5450は、眼鏡5400をユーザの鼻に固定するように構成することができる。
【0218】
異なる機能を実施するように構成された複数の構成要素を眼鏡5400内に配置することができる。複数の構成要素は、電源、音響ドライバ、マイクロフォン、ブルートゥース(登録商標)ユニット、およびコントローラを含み得る。電源は、電力を供給するように構成することができる。音響ドライバは、音を生成するように構成することができる。マイクロフォンは、外部音を検出するように構成することができる。Bluetoothユニットは、他の装置を接続するように構成できる。コントローラは、他の構成要素の動作を制御するように構成できる。いくつかの実施形態では、テンプル5410および/またはテンプル5420は、複数の構成要素を収容するように構成された中空構造を含み得る。
【0219】
複数の穴形状の構造を眼鏡5400上に配置することができる。例えば、
図54に示されるように、誘導穴5411は、ユーザの顔から離れた、テンプル5410および/またはテンプル5420の側面に配置され得る。誘導穴5411は、眼鏡5400の内部に配置され、音響ドライバによって生成された音を出力するように構成された1つまたは複数の音響ドライバに接続することができる。いくつかの実施形態では、誘導穴5411は、ユーザの耳に近接し得るテンプル5410および/またはテンプル5420の位置、例えば、テンプル5410および/またはレンズフレーム5430から離れているテンプル5420の後端上の位置、テンプル5410および/またはテンプル5420の屈曲部分の位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、眼鏡5400は、眼鏡5400の電源を充電するように構成された電源インターフェース5412を含み得る。電源インターフェース5412は、テンプル5410および/またはテンプル5420のユーザの顔に面する側に配置することができる。例示的な電源インターフェースは、ドック充電インターフェース、直流(DC)充電インターフェース、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)充電インターフェース、雷充電インターフェース、ワイヤレス充電インターフェースなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、眼鏡5400は、外部音(例えば、ユーザの声、環境音など)を眼鏡5400のマイクロフォンに送信するように構成された1つまたは複数の音入口5413を含み得る。音入口5413は、ユーザの声を容易に取得できる眼鏡5400の位置、例えば、ユーザの口に近いテンプル5410および/または5420の位置、ユーザの口の近くのレンズフレーム5430の下側、ブリッジ5450など、またはそれらの任意の組み合わせに配置することができる。いくつかの実施形態では、眼鏡5400上の複数の穴のような構造の形状、サイズ、数などは、実際の必要性に基づいて決定され得る。例えば、複数の穴状構造のそれぞれの形状は、正方形、長方形、三角形、多角形、円、楕円、不規則な形状などを含み得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のボタンを眼鏡5400上に配置して、ユーザと眼鏡5400との間の相互作用を実現することもできる。
図54に示すように、1つまたは複数のボタンは、電源ボタン5421、音調整ボタン5422、再生制御ボタン5423、ブルートゥース(登録商標)ボタン5424など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。電源ボタン5421は、電源オンボタン、電源オフボタン、電源スリープボタンなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。音調整ボタン5422は、音量を上げるボタン、音量を下げるボタンなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。再生制御ボタン5423は、再生ボタン、一時停止再生ボタン、再開再生ボタン、再生呼び出しボタン、電話を切る呼び出しボタン、保留呼び出しボタンなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ブルートゥース(登録商標)ボタン5424は、ブルートゥース(登録商標)接続ボタン、ブルートゥース(登録商標)オフボタン、接続対象物選択ボタンなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のボタンは、眼鏡5400の複数の構成要素上に配置され得る。例えば、電源ボタンは、テンプル5410、テンプル5420、またはレンズフレーム5430上に配置され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のボタンは、1つまたは複数の制御装置に配置され得る。眼鏡5400は、有線または無線の方法で1つまたは複数の制御装置に接続することができる。1つまたは複数の制御装置は、ユーザによって入力された命令を眼鏡5400に送信することができ、それによって、眼鏡5400の複数の構成要素の動作を制御する。
【0221】
いくつかの実施形態では、眼鏡5400は、眼鏡5400の1つまたは複数の構成要素に関連する情報を示すための1つまたは複数のインジケータを含むことができる。例えば、インジケータは、電源状態、ブルートゥース(登録商標)接続状態、再生状態など、またはそれらの任意の組み合わせを示すように構成され得る。いくつかの実施形態では、インジケータは、異なる状態(例えば、異なる色、異なる時間など)を使用して、眼鏡5400の1つまたは複数の構成要素の関連情報を示すことができる。一例として、電源インジケータライトが赤色の場合、電源が電力不足の状態にあることを示し得る。電源インジケータが緑色の場合、電源が電力飽和状態にあることを示し得る。別の例として、Bluetoothインジケータライトが断続的に点滅し得、これは、Bluetoothが接続していることを示し得る。Bluetoothインジケータライトが青色になり得、これは、Bluetooth接続が成功したことを示し得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、テンプル5410および/またはテンプル5420は、保護カバーを含み得る。保護カバーは、ユーザにより良い感触を提供するために、シリカゲル、ゴムなどの特定の弾性を備えた柔らかい材料でできていてもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、フレームは、一体的に形成され得るか、または挿入接続、スナップ接続など、またはそれらの任意の組み合わせを介して組み立てられ得る。いくつかの実施形態では、フレームの材料は、鋼、合金、プラスチック、および単一または複合材料を含み得る。鋼材料は、ステンレス鋼、炭素鋼などを含み得る。合金は、アルミニウム合金、クロム-モリブデン鋼、スカンジウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、マグネシウム-リチウム合金、ニッケル合金など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。プラスチックには、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリビニル塩化物(PVC)、ポリエチレン、ブローナイロンなどが含まれる。単一または複合材料には、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維またはアラミド繊維、または他の強化材料、他の有機物および/または様々な形式のガラス繊維強化プラスチックなどから構成されるガラス繊維強化不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂マトリックスなどの無機材料の複合物が含まれ得る。
【0224】
図54の眼鏡5400の説明は、例示を意図するものであり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。例えば、眼鏡5400は、環境情報を収集するように構成された1つまたは複数のカメラを含み得る(例えば、ユーザの前のシーンをキャプチャする)。別の例として、眼鏡5400は、画像(例えば、眼鏡5400を通してユーザによって見られる画像)を表示画面に投影するための1つまたは複数のプロジェクタを含み得る。
【0225】
図55は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な音響出力装置5500の1つまたは複数の構成要素を示す概略図である。
図55に示されるように、音響出力装置5500は、イヤフォンコア5510、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520、ボタンモジュール5530、電源モジュール5540、コントローラ5550、補助機能モジュール5560、および可撓性回路基板モジュール5570を含み得る。
【0226】
イヤフォンコア5510は、音声情報を含む信号を音声信号に変換するように構成することができる。音声情報には、ビデオ、特定のデータ形式の音声ファイル、または音声に変換できるデータまたはファイルが含まれ得る。音声情報を含む信号は、電気信号、光信号、磁気信号、機械的信号など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。信号の変換処理中に、複数の形式のエネルギーが共存して変換され得る。例えば、電気信号は、イヤフォンコア5510を介して機械的振動に直接変換されて、音を生成することができる。別の例として、音声情報を光信号に含めることができ、イヤフォンコア5510は、光信号を振動信号に変換する処理を実行することができる。イヤフォンコア5510の作業処理中に存在し、変換され得る他の形式のエネルギーは、熱エネルギー、磁場エネルギーなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、イヤフォンコア5510は、1つまたは複数の音響ドライバを含み得る。音響ドライバは、電気信号を再生される音に変換するように構成することができる。例えば、イヤフォンコア5510は、少なくとも2セットの音響ドライバを含み得、少なくとも2セットの音響ドライバは、少なくとも1セットの高周波音響ドライバおよび少なくとも1セットの低周波音響ドライバを含み得る。音響ドライバの少なくとも2セットのそれぞれは、特定の周波数範囲で音を生成し、音響ドライバのセットに音響的に結合された少なくとも2つの誘導穴を通して音を外側に伝播するように構成され得る。別の例として、イヤフォンコア5510は、少なくとも1セットの音響ドライバを含み得、少なくとも1セットの音響ドライバによって生成された音は、少なくとも1セットの音響ドライバに音響的に結合された少なくとも2つの誘導穴を通って外側に伝播され得る。任意選択で、少なくとも2つの誘導穴は、バッフルの2つの側面(例えば、ユーザの耳介)にそれぞれ分散され得、少なくとも2つの誘導穴は、ユーザの外耳道への異なる音響経路を有し得る。音響ドライバに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4から
図6Bおよびその関連する説明を参照されたい。
【0228】
ブルートゥース(登録商標)モジュール5520は、音響出力装置5500を他の端末装置に接続するように構成され得る。例えば、音響出力装置200は、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520を介して携帯電話と接続することができる。携帯電話の情報(例えば、歌、録音など)は、ブルートゥース(登録商標)プロトコルに基づいてブルートゥース(登録商標)モジュール5520に送信され得る。ブルートゥース(登録商標)モジュール5520は、携帯電話の情報を受信および処理し、処理された情報を、さらなる処理のために音響出力装置5500の他の構成要素に送信することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置5500に接続された端末装置は、スマートホーム装置、ウェアラブル装置、モバイル装置、仮想現実装置、拡張現実装置など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、スマートホーム装置は、スマート照明装置、スマート電気装置の制御装置、スマート監視装置、スマートテレビ、スマートカメラ、トランシーバなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ウェアラブル装置は、ブレスレット、ヘルメット、時計、衣類、バックパックなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、モバイル装置は、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ゲーム装置、ナビゲーション装置、販売時点管理(POS)装置、車両上のオーディオホストなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、仮想現実装置および/または拡張現実装置は、仮想現実ヘルメット、仮想現実眼鏡、拡張現実ヘルメット、拡張現実眼鏡など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0229】
ブルートゥース(登録商標)モジュール5520は、無線プロトコルに基づく通信中に2.4GHz産業科学医療(ISM)周波数帯域で通信を実行することができる。ISM周波数帯域は、個別のライセンスなしで自由に使用できる。いくつかの実施形態では、ISM帯域の上下の周波数範囲において、他の装置との干渉を防ぐために、2MHzのガード帯域および3.5MHzのガード帯域をそれぞれ設定することができる。いくつかの実施形態では、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520が他の装置と通信するとき、周波数ホッピング方式を使用することができ、例えば、周波数を1秒間に1600回ホッピングすることができる。
【0230】
装置と接続するために、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520は、装置の固有の情報を受信することができ、これは、装置からの受信信号強度インジケータ(RSSI)を含み得る。一意の情報には、カットオフアクセス制御(MAC)アドレスのブロッキング一意識別子(OUI)、Bluetooth(登録商標)アドレス(BD_ADDR)、装置の形式、装置の名前など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。接続が確立されると、情報および/または信号は、ブルートゥース(登録商標)送信プロトコルに従って送信され得る。例示的なブルートゥース(登録商標)送信プロトコルは、論理リンク制御および適応プロトコル(L2CAP)、無線周波数通信(RFCOMM)、サービス検索プロトコル(SDP)などを含み得る。
【0231】
ボタンモジュール5530は、音響出力装置5500を制御し、ユーザと音響出力装置5500との間の相互作用を実現するように構成され得る。ユーザは、ボタンモジュール5530を介して音響出力装置5500に命令を送信して、音響出力装置5500の動作を制御することができる。いくつかの実施形態では、ボタンモジュール5530は、電源ボタン、再生制御ボタン、音調整ボタン、電話制御ボタン、録音ボタン、ノイズ低減ボタン、ブルートゥース(登録商標)ボタン、戻りボタン、またはそれらの任意の組み合わせなどを含み得る。電源ボタンは、電源240を制御して、オン、オフ、スリープなど、またはそれらの任意の組み合わせを制御するように構成することができる。再生制御ボタンは、イヤフォンコア5510内の音の再生、例えば、再生情報、再生情報の一時停止、再生情報の継続、前の項目の再生、次の項目の再生、再生モードの選択(例えば、スポーツモード、ワークモード、エンターテインメントモード、ステレオモード、フォークモード、ロックモード、ヘビーバスモードなど)、再生環境の選択(例えば、屋内、屋外など)など、またはそれらの任意の組み合わせを制御するように構成され得る。音調整ボタンは、例えば、音の音量を上げる、音の音量を下げるなど、イヤフォンコア5510によって再生される音を制御するように構成することができる。電話制御ボタンは、通話の応答、拒否、電話を切る、ダイヤルバック、保留、保存などを制御するように構成することができる。録音ボタンは、音声情報を録音および保存するように構成することができる。ノイズ低減ボタンは、ノイズ低減の程度を選択するように構成することができる。例えば、ユーザは、手動でノイズ低減のレベルまたは程度を選択することができ、または音響出力装置5500は、検出された環境音またはユーザによって選択された再生モードに従って、ノイズ低減のレベルまたは程度を自動的に選択することができる。ブルートゥース(登録商標)ボタンは、ブルートゥース(登録商標)をオンにする、ブルートゥース(登録商標)をオフにする、ブルートゥース(登録商標)マッチングを実行する、ブルートゥース(登録商標)接続を実行する、接続装置などを選択する、またはそれらの任意の組み合わせを構成することができる。戻るボタンは、前のメニュー、インターフェースなどに戻るように構成することができる。
【0232】
いくつかの実施形態では、ボタンモジュール5530は、物理的ボタン、仮想ボタンなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、ボタンモジュール5530が物理的ボタンである場合、ボタンは、音響出力装置(例えば、眼鏡5400)のハウジングの外側に配置され得る。ユーザが音響出力装置を装着しているとき、ボタンは人間の皮膚に接触していない可能性があり、ユーザのボタンの操作を容易にするために外側に露出し得る。いくつかの実施形態では、ボタンモジュール5530の各ボタンの端面は、その機能に対応する識別を含み得る。いくつかの実施形態では、識別は、テキスト(例えば、中国語および英語)、記号(例えば、音量を上げるボタンは「+」でマークされ、音量を下げるボタンは「-」でマークされ得る)を含み得る。いくつかの実施形態では、ロゴは、レーザ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、レーザ充填、熱昇華、中空テキストなどによってボタン上に配置され得る。いくつかの実施形態では、ボタン上のロゴは、ボタンの境界の周りのハウジングの周辺表面に配置することができ、これは、識別として役立ち得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置にインストールされた制御プログラムは、対話型機能を備えたタッチスクリーン上に仮想ボタンを生成することができる。ユーザは、仮想ボタンを使用して、音響出力装置の機能、音量、ファイルなどを選択できる。さらに、音響出力装置は、タッチスクリーンおよび物理的ボタンの両方を含み得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、ボタンモジュール5530は、ユーザの異なる操作に基づいて異なる対話型機能を実装することができる。例えば、ユーザがボタン(物理ボタンまたは仮想ボタン)を1回クリックすると、例えば、音楽の一時停止/開始、録音などが実現し得る。別の例として、ユーザがボタンを2回すばやくクリックすると、電話に出ることが実現し得る。さらに別の例として、ユーザがボタンを定期的にクリックして(例えば、毎秒1回タップする、合計2回タップする)、記録機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、ユーザの操作は、クリック、スライド、スクロールなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、ボタンの表面上でユーザの指が上下にスライドすると、音量アップ/ダウン機能が実現し得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、ボタンモジュール5530に対応する機能は、ユーザによってカスタマイズされ得る。例えば、ユーザは、ボタンモジュール5530がアプリケーションソフトウェアの設定を通じて実施することができる機能を調整することができる。さらに、ユーザは、動作モード(例えば、クリックの数、スライドジェスチャ)を設定して、アプリケーションソフトウェアを介して特定の機能を達成することができる。例えば、応答呼び出し機能に対応する操作命令を1クリックから2クリックに設定したり、スイッチに対応する操作命令を2クリックから3クリックに次/前のソング機能に設定したりする。動作モードは、ユーザ定義の方法でユーザの動作習慣に基づいて決定することができ、それにより、動作エラーをある程度低減し、ユーザ体験を改善する。
【0235】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、ボタンモジュール5530を介して外部装置に接続され得る。例えば、音響出力装置は、無線接続を制御するためのボタン(例えば、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520を制御するためのボタン)を介して携帯電話に接続され得る。任意選択で、接続が確立された後、ユーザは、外部装置(例えば、携帯電話)を介して音響出力装置を直接操作して、1つまたは複数の機能を実装することができる。
【0236】
電源モジュール5540は、音響出力装置5500の他の構成要素に電気エネルギーを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源モジュール5540は、可撓性回路基板、電池などを含み得る。可撓性回路基板は、電池および音響出力装置の他の構成要素(例えば、イヤフォンコア5510)を接続して、他の構成要素の動作のための電気エネルギーを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源モジュール5540は、その状態情報をコントローラ5550に送信し、対応する動作を実行するようにコントローラ5550から命令を受信することができる。電源モジュール5540の状態情報は、オン/オフ状態、残り電力、残り電力の使用時間、充電時間など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0237】
コントローラ5550は、音響出力装置5500の1つまたは複数の構成要素の情報に従って、電源モジュール5540を制御するための命令を生成することができる。例えば、コントローラ5550は、電源モジュール5540を制御してイヤフォンコア5510に音を生成するための電力を供給するための制御命令を生成することができる。別の例として、音響出力装置5500が特定の期間内に入力情報を受信しない場合、コントローラ5550は、電源モジュール5540を制御してスリープ状態(すなわち、待機モードまたは準備モード)に入るように制御命令を生成することができる。いくつかの実施形態では、電源モジュール5540の電池は、蓄電池、乾電池、リチウム電池、ダニエル電池、燃料電池など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0238】
単なる例として、コントローラ5550は、例えば「歌を再生する」などの補助機能モジュール5560からユーザの音声信号を受信することができる。音声信号を処理することにより、コントローラ5550は、音声信号に関連する制御命令を生成することができ、例えば、イヤフォンコア5510を制御して、記憶装置(または他の装置)から再生される歌の情報を取得し、イヤフォンコア5510などの振動を制御するための電気信号を生成する。
【0239】
いくつかの実施形態では、コントローラ5550は、1つまたは複数の電子分周モジュールを含み得る。1つまたは複数の電子分周モジュールは、音源信号に対して分周処理を実行することができる。音源信号は、音響出力装置に統合された1つまたは複数の音源装置(例えば、オーディオデータを格納するためのメモリ)から取得することができる。音源信号は、有線または無線の方法で音響出力装置によって受信されたオーディオ信号(例えば、補助機能モジュール5560から受信されたオーディオ信号)を含み得る。いくつかの実施形態では、電子分周モジュールは、入力音源信号を、異なる周波数成分を含む2つ以上の分周信号に分解することができる。例えば、電子分周モジュールは、音源信号を、高周波成分を有する第1の分周信号と、低周波数成分を有する第2の分周信号とに分解することができる。電子分周モジュールによって処理された信号は、有線または無線の方法でイヤフォンコア5510の音響ドライバに送信され得る。電子分周モジュールに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4およびその関連する説明を参照されたい。
【0240】
いくつかの実施形態では、コントローラ5550は、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理装置(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブルロジック装置(PLD)、コントローラ、マイクロ・コントローラ・ユニット、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、マイクロプロセッサなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0241】
補助機能モジュール5560は、補助信号を受信し、補助機能を実行するように構成され得る。補助機能モジュール5560は、1つまたは複数のマイクロフォン、インジケータ、センサ、ディスプレイなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、補助信号は、補助機能モジュール5560の状態(例えば、開状態、閉状態、スリープ状態、接続状態など)信号、ユーザ操作に従って生成された信号(例えば、ボタンを介したユーザの入力、ユーザの音声入力などに応じて生成される入出力信号、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、補助機能モジュール5560は、受信された補助信号を、処理のために有線または無線の方法で音響出力装置5500の他の構成要素に送信することができる。
【0242】
センサは、音響出力装置5500に関連する情報を検出するように構成され得る。例えば、センサは、ユーザの指紋を検出し、検出された指紋をコントローラ5550に送信するように構成され得る。コントローラ5550は、受信された指紋を、音響出力装置5500に事前に記憶された参照指紋と照合することができる。マッチングが成功した場合、コントローラ5550は、音響出力装置5500をオンにする命令を生成することができ、命令は、音響出力装置5500をオンにする動作を実行するために、音響出力装置5500の各構成要素に送信され得る。別の例として、センサは、音響出力装置5500の位置を検出するように構成され得る。音響出力装置5500がユーザの顔から離れていることをセンサが検出すると、センサは検出された情報をコントローラ5550に送信し、コントローラ5550は、音響出力装置5500の再生を一時停止または閉じるように命令を生成することができる。いくつかの実施形態では、センサは、測距センサ(例えば、赤外線測距センサ、レーザ測距センサなど)、速度センサ、ジャイロスコープ、加速度計、位置決めセンサ、変位センサ、圧力センサ、ガスセンサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、指紋センサ、画像センサ、虹彩センサ(例えば、カメラなど)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0243】
可撓性回路基板モジュール5570は、音響出力装置5500の異なる構成要素を接続するように構成され得る。可撓性回路基板モジュール5570は、可撓性回路基板(FPC)を含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板モジュール5570は、1つまたは複数のボンディングパッドおよび/または1つまたは複数の可撓性ワイヤを含み得る。1つまたは複数のボンディングパッドは、音響出力装置200または他のボンディングパッドの1つまたは複数の構成要素を接続するように構成され得る。音響出力装置200などの構成要素とボンディングパッド、ボンディングパッドと別のボンディングパッドとを接続するために、1つまたは複数の可撓性ワイヤを構成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板モジュール5570は、1つまたは複数の可撓性回路基板を含み得る。単なる例として、可撓性回路基板モジュール5570は、第1の可撓性回路基板および第2の可撓性回路基板を含み得る。第1の可撓性回路基板は、2つ以上のマイクロフォン、イヤフォンコア5510、およびコントローラ5550を接続するように構成され得る。第2の可撓性回路基板は、2つ以上の電源モジュール5540、イヤフォンコア5510、コントローラ5550などを接続するように構成され得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板モジュール5570は、1つまたは複数の領域を含む一体構造を含み得る。例えば、可撓性回路基板モジュール5570は、第1の領域および第2の領域を含み得る。第1の領域は、可撓性回路基板モジュール5570上のボンディングパッドおよび音響出力装置200の他の構成要素を接続するための可撓性ワイヤを含み得る。第2の領域は、1つまたは複数のボンディングパッドを含み得る。いくつかの実施形態では、電源モジュール5540および/または補助機能モジュール5560は、可撓性回路基板モジュール5570上に配置され得、可撓性回路基板モジュール5570上の可撓性ワイヤを介して可撓性回路基板モジュール5570(例えば、可撓性回路基板モジュール5570のボンディングパッド)に接続され得る。可撓性回路基板ユニットに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図56および
図57、ならびにそれらの説明を参照されたい。
【0244】
いくつかの実施形態では、イヤフォンコア5510、ブルートゥース(登録商標)モジュール5520、ボタンモジュール5530、電源モジュール5540、コントローラ5550、補助機能モジュール5560、および可撓性回路基板モジュール5570のうちの1つまたは複数が、眼鏡5400のフレームに配置され得る。具体的には、1つまたは複数の電子部品を、テンプル5410および/またはテンプル5420の中空構造内に配置することができる。テンプル5410および/またはテンプル5420に配置された電子部品は、有線または無線の方法で接続および/または通信することができる。有線方式は、金属ケーブル、光ケーブル、ハイブリッドケーブルなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。無線方式は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee(登録商標)、近距離無線通信(NFC)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0245】
図55の音響出力装置5500の説明は、例示を意図するものであり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。例えば、音響出力装置5500は、音声認識機能、画像認識機能、動き認識機能など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。この場合、音響出力装置5500は、ユーザの声や動きなどを認識することにより、対応する機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、認識される行動は、ユーザのまばたきの数(または数)および/または頻度、ユーザの頭のうなずきおよび/または揺れの数、方向および/または頻度、ならびに数、方向、頻度、およびユーザの手の動きの形式を含み得る。例えば、ユーザは、まばたきの数および/または周波数を介して音響出力装置5500と対話することができる。具体的には、ユーザは、音響出力装置5500の音声再生機能をオンにするために連続して2回まばたきしてもよいし、音響出力装置5500のブルートゥース(登録商標)機能をオフにするために3回まばたきするなどしてもよい。他の例として、ユーザは、うなずきの数、方向、および/または頻度を通じて、音響出力装置5500との相互作用を実現することができる。具体的には、ユーザは、一度うなずいて電話に出てもよいし、頭を一度振って電話を拒否するか音楽の再生をオフにしてもよい。さらに別の例として、ユーザは、ジェスチャなどを介して音響出力装置5500と対話することができる。具体的には、ユーザは、手のひらを伸ばすことによって音響出力装置5500を開くか、拳を握ることによって音響出力装置を閉じるか、または「はさみ」ジェスチャを拡張して写真を撮る。これらの変更および修正は、依然として本開示の保護範囲内にある。
【0246】
図56は、本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置の構成要素の接続を示す概略図である。説明のために、いくつかの例示的な構成要素の接続のみが
図56に示されている。
図56に示されるように、可撓性回路基板モジュール5570は、1つまたは複数の第1のボンディングパッド(すなわち、第1のボンディングパッド5572-1、5572-2、5572-3、5572-4、5572-5、5572-6)、1つまたは複数の第2のボンディングパッド(すなわち、第2のボンディングパッド5574-1、5574-2、5574-3、5574-4)、および1つまたは複数のワイヤを含み得る。可撓性回路基板モジュール5570内の少なくとも1つの第1のボンディングパッドは、それぞれ、有線の方法で少なくとも1つの第2のボンディングパッドに接続され得る。例えば、第1のボンディングパッド5572-1および第2のボンディングパッド5574-1は、可撓性ワイヤを介して接続され得、第1のボンディングパッド5572-2および第2のボンディングパッド5574-2は、可撓性ワイヤを介して接続され得、第1のボンディングパッド5572-5および第2のボンディングパッド5574-3は、可撓性ワイヤを介して接続され得、第1のボンディングパッド5572-5および第2のボンディングパッド5574-3は、可撓性ワイヤを介して接続され得、第1のボンディングパッド5572-6と第2のボンディングパッド5574-4は、可撓性ワイヤを介して接続され得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、音響出力装置5500の構成要素の少なくとも一部のそれぞれは、1つまたは複数のボンディングパッドで接続され得る。例えば、イヤフォンコア5510は、それぞれワイヤ5512-1およびワイヤ5512-2を介して、第1のボンディングパッド5572-1および第1のボンディングパッド5572-2と電気的に接続され得る。補助機能モジュール5560は、それぞれワイヤ5562-1およびワイヤ5562-2を介して、第1のボンディングパッド5572-5および第1のボンディングパッド5572-6に接続することができる。コントローラ5550は、ワイヤ5552-1を介して第2のボンディングパッド5574-1に接続され得、ワイヤ5552-2を介して第2のボンディングパッド5574-2に接続され得、ワイヤ5552-3を介して第1のボンディングパッド5574-3に接続され得、ワイヤ5552-4を介して第1のボンディングパッド5572-4に接続され得、ワイヤ5552-5を介して第2のボンディングパッド5574-3に接続され得、および/またはワイヤ5552-6を介して第2のパッド5574-4に接続され得る。電源モジュール5540は、ワイヤ5542-1を介して第1のボンディングパッド5574-3に接続され得、ワイヤ5542-2を介して第1のボンディングパッド5572-4に接続され得る。ワイヤは、可撓性ワイヤまたは外部ワイヤを含み得る。外部ワイヤは、オーディオ信号ワイヤ、補助信号ワイヤなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。オーディオ信号ワイヤは、イヤフォンコア5510に接続され、音声信号をイヤフォンコア5510に送信するワイヤを含み得る。補助信号線は、補助機能モジュール5560に接続され、補助機能モジュール5560で信号送信を実行する線を含み得る。例えば、ワイヤ5512-1およびワイヤ5512-2は、音声信号ワイヤを含み得る。別の例として、ワイヤ5562-1およびワイヤ5562-2は、補助信号ワイヤを含み得る。さらに別の例として、ワイヤ5552-1からワイヤ5552-6へのワイヤは、オーディオ信号ワイヤおよび/または補助信号ワイヤを含み得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置5500は、ワイヤおよび/または可撓性リードを配置するための1つまたは複数の埋め込み溝を含み得る。
【0248】
一例として、音響出力装置(例えば、眼鏡5400)のユーザは、ボタンを押すことによって、信号(例えば、音楽を再生するための信号)を音響出力装置に送信することができる。信号は、ワイヤ5562-1および/またはワイヤ5562-2を介して、可撓性回路基板モジュール5570の第1のボンディングパッド5572-5および/または第1のボンディングパッド5572-6に送信され得、次いで、可撓性リードを介してボンディングパッド5574-3および/または第2のボンディングパッド5574-4に送信され得る。信号は、第2のボンディングパッド5574-3および/または第2のボンディングパッド5574-4に接続されたワイヤ5552-5および/またはワイヤ5552-6を介してコントローラ5550に送信され得る。コントローラ5550は、受信信号を分析および処理し、処理された信号に従って対応する命令を生成することができる。コントローラ5550によって生成された命令は、ワイヤ5552-1から5552-6の1つまたは複数のワイヤを介して可撓性回路基板モジュール5570に送信され得る。コントローラ5550によって生成された命令は、ワイヤ5512-1および/または可撓性回路基板モジュール5570に接続されたワイヤ5512-2を介してイヤフォンコア5510に送信され得、音楽を再生するようにイヤフォンコア5510を制御する。コントローラ5550によって生成された命令は、ワイヤ5542-1および/または可撓性回路基板モジュール5570に接続されたワイヤ5542-2を介して電源モジュール5540に送信され得、電源モジュール5540は、音楽を再生するために必要なパワーを備えた他の構成要素を提供するように制御され得る。可撓性回路基板モジュール5570の接続は、音響出力装置5500の異なる構成要素間のリード方法を単純化し、ワイヤおよび/または可撓性リードの相互影響を低減し、音響出力装置5500のワイヤおよび可撓性リードによって占められるスペースを節約し得る。
【0249】
図57は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な電源5700を示す概略図である。
図57に示されるように、電源5700は、電池5710および可撓性回路基板5720を含み得る。いくつかの実施形態では、電池5710および可撓性回路基板5720は、音響出力装置(例えば、眼鏡5400のテンプル5410またはテンプル5420)のハウジング内に配置され得る。
【0250】
電池5710は、本体領域5712およびシーリング領域5714を含み得る。いくつかの実施形態では、シーリング領域5714は、可撓性回路基板5720と本体領域5712との間に配置され得、可撓性回路基板5720および本体領域5712と接続され得る。シーリング領域5714と可撓性回路基板5720との間の接続、およびシーリング領域5714と本体領域5712との間の接続は、固定接続および/または可動接続を含み得る。いくつかの実施形態では、シーリング領域5714および本体領域5712はタイル張りされてもよく、シーリング領域5714の厚さは、本体領域5712の厚さ以下であり得、したがって、シーリング領域5714の少なくとも1つの側面、およびシーリング領域5714の少なくとも1つの側面に隣接する本体領域5712の表面との間に階段状構造が形成され得る。いくつかの実施形態では、電池5710は、正極および負極を含み得る。正極および負極は、それぞれ、音響出力装置の他の構成要素と直接接続され得るか、または間接的に(例えば、可撓性回路基板5720を介して)接続され得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板5720は、第1の基板5721および第2の基板5722を含み得る。第1の基板5721は、1つまたは複数の第1のボンディングパッド、1つまたは複数の第2のボンディングパッド、および可撓性ワイヤを含み得る。第1のボンディングパッドは、第3のボンディングパッドセット5723-1、第3のボンディングパッドセット5723-2、第3のボンディングパッドセット5723-3、および第3のボンディングパッドセット5723-4を含み得る。各第3のボンディングパッドセットは、1つまたは複数の第4のボンディングパッド、例えば、2つの第4のボンディングパッドを含み得る。第2のボンディングパッドは、第2のボンディングパッド5725-1および第2のボンディングパッド5725-2を含み得る。第1のボンディングパッドの第3のボンディングパッドセットの各セットの1つまたは複数の第4のボンディングパッドは、音響出力装置の2つまたは複数の構成要素を接続することができる。例えば、第3のボンディングパッドセット5723-1の第4のボンディングパッドは、外部ワイヤを介してイヤフォンコア(例えば、イヤフォンコア5510)に接続され得、第4のボンディングパッドは、第1の基板5721上に配置された可撓性ワイヤを介して第3のボンディングパッドセット5723-1の別の第4のボンディングパッドに接続され得、第3のボンディングパッドセット5723-1の他の第4のボンディングパッドは、1つまたは複数の外部ワイヤを介してコントローラ(例えば、コントローラ5550)に接続され得、それにより、イヤフォンコアとコントローラを接続することにより、イヤフォンコアとコントローラ間の通信を実現する。別の例として、第3のボンディングパッドセット5723-2の第4のボンディングパッドは、外部ワイヤを介してブルートゥース(登録商標)モジュール5520と接続され得、第3のボンディングパッドセット5723-2の第4のボンディングパッドは、可撓性ワイヤを介して第3のボンディングパッドセット5723-2の他の第4のボンディングパッドと接続され得、および/または第3のボンディングパッドセット5723-2の別の第4のボンディングパッドは、外部ワイヤを介してイヤフォンコア5510に接続され得、それにより、イヤフォンコア5510をブルートゥース(登録商標)モジュール5520に接続し得、したがって、音響出力装置は、ブルートゥース(登録商標)接続を介してオーディオ情報を再生することができる。1つまたは複数の第2のボンディングパッド(例えば、第2のボンディングパッド5725-1、第2のボンディングパッド2725-2)は、音響出力装置の1つまたは複数の構成要素を電池5710に接続するように構成され得る。例えば、第2のボンディングパッド5725-1および/または第2のボンディングパッド5725-2は、1つまたは複数の外部ワイヤを介してイヤフォンコアと接続され得、および/または第2のボンディングパッド5725-1および/または第2のボンディングパッド5725-2は、第2の基板5722上に配置された可撓性ワイヤを介して電池5710と接続され得、それにより、イヤフォンコアと電池5710とを接続する。
【0252】
第1のボンディングパッド5723および第2のボンディングパッド5725は、様々な方法で配置することができる。例えば、すべてのボンディングパッドは、直線に沿って間隔を置いて配置することも、他の形状に間隔を置いて配置することもできる。いくつかの実施形態では、第1のボンディングパッド5723の1つまたは複数のセットは、
図57の矢印Aによって示されるように、第1の基板5721の長さ方向に沿って間隔を置いて配置され得る。1つまたは複数の第1のボンディングパッド5723にセットされた各第3のボンディングパッドの1つまたは複数の第4のボンディングパッドは、
図57の矢印Bによって示されるように、第1の基板5721の幅方向に沿って配置され得、第1の基板5721の幅方向に沿って間隔を置いてずらして配置され得る。1つまたは複数の第2のボンディングパッド5725は、第1の基板5721の中央領域に配置することができる。1つまたは複数の第2のボンディングパッド5725は、第1の基板5721の長さ方向に沿って配置することができる。この場合、第1のボンディングパッド5723の2つの隣接するセット間のフラッシュ間隔スペースの形成を回避することができ、それにより、第1の基板5721の強度の分布均一性を改善し、第1のボンディングパッド5723の2つの隣接するセット間の曲げを低減し、および第1の基板5721が曲げによって破損する可能性を低減し、第1の基板5721を保護する。さらに、ボンディングパッド間の距離を短くすることができるため、はんだ付けが容易になり、異なるボンディングパッド間の短絡が減少する。
【0253】
いくつかの実施形態では、第2の基板5722は、第1の基板5721上のボンディングパッドと電池5710とを接続するように構成された1つまたは複数の可撓性ワイヤ422を含み得る。例えば、第2の基板5722は、2つの可撓性ワイヤを含み得る。2つの可撓性ワイヤのそれぞれの一端は、電池5710の正極および負極の1つに接続され得、2つの可撓性リードのそれぞれの他端は、第1の基板5721上のボンディングパッドの1つに接続され得る。電池5710の正および負の電極を導くために追加のボンディングパッドを配置する必要はなく、それによってボンディングパッドの数(または数)を減らし、電源5700の構造および処理を単純化する。可撓性ワイヤのみが第1の基板5721上に配置され得るため、いくつかの実施形態では、第2の基板5722は、特定の条件に従って曲げられ得る。例えば、第1の基板5721の一端は、第2の基板5722を曲げることによって電池5710に固定することができ、それにより、電源5700のかさを減らし、音響出力装置のハウジングのスペースを節約し、スペース利用を改善する。別の例として、第2の基板5722を折り畳むことにより、第1の基板5721を電池5710の側面に取り付けることができ、第2の基板5722および電池5710を積み重ねることができ、それによって電源5700が占めるスペースを大幅に減らすことができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板5720は全体であり得、第1の基板5721および第2の基板5722は、一体型可撓性回路基板5720の2つの領域であり得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路基板5720は、2つの独立した部分に分割され得る。例えば、第1の基板5721および第2の基板5722は、2つの独立した基板であり得る。いくつかの実施形態では、可撓性プリント基板5720は、電池5710の本体領域5712および/またはシーリング領域5714によって形成される空間に配置することができ、可撓性回路基板5720のために別個の空間を提供する必要はなく、それにより、電源5700のスペース利用を改善する。
【0255】
いくつかの実施形態では、電源5700は、ハード回路基板5716をさらに含み得る。ハード回路基板5716は、シーリング領域5714に配置することができる。電池5710の正極および負極は、ハード回路基板5716上に配置することができる。あるいは、保護回路をハード回路基板5716上に配置して、電池5710を過負荷から保護することができる。第1の基板5721から離れた第2の基板5722の端部は、ハード回路基板5716に固定的に接続され得、第2の基板5722上の可撓性ワイヤは、電池5710の正および負の電極に接続され得る。いくつかの実施形態では、第2の基板5722およびハード回路基板5716は、電源5700の製造中に一緒に押し付けられ得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、第1の基板5721および第2の基板5722の形状は、実際の条件に従って決定され得る。第1の基板5721および第2の基板5722のそれぞれの形状は、正方形、長方形、三角形、多角形、円、楕円、不規則な形状などを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の基板5722の形状は、電池5710のシーリング領域5714の形状と一致し得る。例えば、シーリング領域5714および第2の基板5722の形状は両方とも長方形であり得、第1の基板5721の形状も長方形であり得る。さらに、第1の基板5721は、第2の基板5722の長さ方向に沿って第2の基板5722の一端に配置することができ、第1の基板5721の長さ方向(すなわち、矢印Aで示される方向)は第2の基板5722の長さ方向(すなわち、矢印Bによって示される方向)に垂直であり得る。具体的には、第2の基板5722は、第1の基板5721の長さ方向の中間領域に接続することができ、第1の基板5721および第2の基板5722は、T字型構造を形成することができる。
【0257】
音響出力装置の電源5700の電池5710および可撓性回路基板5720の説明は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示を意図することができることに留意されたい。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。例えば、音響出力装置は、音声制御ユニット、マイクロフォンユニットなどのような補助機能ユニットを含み得る。そのような修正および変更は、依然として本開示の保護範囲内にある。
【0258】
いくつかの実施形態では、音響出力装置(例えば、眼鏡5400)は、音声制御システムを備え得る。音声制御システムは、補助機能ユニット(例えば、補助機能モジュール5560)の一部として構成され得るか、または独立したユニットとして音響出力装置に統合され得る。
図58に示されるように、いくつかの実施形態では、音声制御システム5800は、受信モジュール5802、処理モジュール5804、認識モジュール5806、および制御モジュール5808を含み得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、受信モジュール5802は、音声制御命令を受信し、音声制御命令を処理モジュール5804に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、受信モジュール5802は、1つまたは複数のマイクロフォンを含み得る。いくつかの実施形態では、受信モジュール5802がユーザによって発行された音声制御命令を受信するとき、例えば、受信モジュール5802が「再生開始」の音声制御命令を受信するとき、音声制御命令は、処理モジュール5804に送信され得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、処理モジュール5804は、受信モジュール5802と通信され得、音声制御命令に従って命令信号を生成し、命令信号を認識モジュール5806に送信し得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、処理モジュール5804が、通信接続を介して受信モジュール5802からユーザによって発行された音声制御命令を受信するとき、処理モジュール5804は、音声制御命令に従って命令信号を生成することができる。
【0262】
いくつかの実施形態では、認識モジュール5806は、処理モジュール5804および制御モジュール5808と通信され得、命令信号がプリセット信号と一致するかどうかを決定し、一致結果を制御モジュール5808に送信するように構成される。
【0263】
いくつかの実施形態では、認識モジュール5806が、命令信号がプリセット信号と一致すると決定した場合、認識モジュール5806は、一致結果を制御モジュール5808に送信することができる。制御モジュール5808は、命令信号に従って音響出力装置の動作を制御することができる。例えば、受信モジュール5802が「再生開始」の音声制御命令を受信し、認識モジュール5806が、音声制御命令に対応する命令信号がプリセット信号と一致すると判断した場合、制御モジュール5808は、音声制御命令を自動的に実行することができ、つまり、直ちにオーディオデータの再生を開始する。命令信号がプリセット信号と一致しない場合、制御モジュール5808は制御命令を実行しなくてもよい。
【0264】
いくつかの実施形態では、音声制御システムは、記憶モジュールを含み得、記憶モジュールは、受信モジュール5802、処理モジュール5804、および/または認識モジュール5806と通信され得る。受信モジュール5802は、プリセット音声制御命令を受信し、プリセット音声制御命令を処理モジュール5804に送信することができる。処理モジュール5804は、プリセット音声制御命令に従ってプリセット信号を生成し、プリセット信号を記憶モジュールに送信することができる。認識モジュール5806が、受信モジュール5802によって受信された命令信号をプリセット信号と一致させる必要がある場合、記憶モジュールは、プリセット信号を認識モジュール5806に送信することができる。
【0265】
いくつかの実施形態では、処理モジュール5804は、音声制御命令に含まれる環境音を除去するようにさらに構成され得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、処理モジュール5804は、音声制御命令に対してノイズ除去操作を実行することができる。本明細書で使用する場合、ノイズ除去操作は、音声制御命令に含まれる環境音を除去または低減するために実行される操作を指す。例えば、複雑な環境にあるとき、受信モジュール5802は、音声制御命令を受信し、音声制御命令を処理モジュール5804に送信することができる。処理モジュール5804が音声制御命令に従って命令信号を生成する前に、音声制御命令は、環境音が認識モジュール5806の認識動作に影響を与えることを回避するために、処理モジュール5804によってノイズ除去され得る。別の例として、受信モジュール5802が、屋外道路にいるユーザによって発行された音声制御命令を受信するとき、音声制御命令は、車両の運転音、口笛の音などのノイズの多い環境音を含み得る。処理モジュール302は、音声制御命令に対してノイズ除去操作を実行して、音声制御命令に対する環境音の影響を低減することができる。
【0267】
音声制御システムの説明は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示を意図することができることに留意されたい。例えば、受信モジュールと処理モジュールは独立したモジュールである場合もあれば、受信モジュールと処理モジュールが単一のモジュールに統合されている場合もある。そのような修正および変更は、依然として本開示の保護範囲内にある。
【0268】
いくつかの実施形態では、本開示のいくつかの実施形態における音響出力装置(例えば、眼鏡5400)は、ワイヤ間の相互効果を低減し、ワイヤの配線方法を単純化することによって音響出力装置の音質を改善し得る。いくつかの実施形態では、本開示のいくつかの実施形態における音響出力装置は、ブルートゥース(登録商標)技術と組み合わせて、ワイヤ間の相互効果を低減し、それによって、音響出力装置の持ち運び、操作、および/または使用の利便性を改善することができる。
【0269】
図59は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォン5900の断面図である。
図60は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォンの音発生構造6000を示す概略図である。いくつかの実施形態では、音発生構造6000は、開放型両耳イヤフォン5900の音発生構造5905の例示的な実施形態であり得る。
図61は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な開放型両耳イヤフォンのバッフル6100の断面図である。いくつかの実施形態では、
図61のバッフル6100の断面図は、C-C部分に沿った開放型両耳イヤフォン5900のバッフルの断面図の例示的な実施形態であり得る。
図59、
図60、および
図61に示されるように、開放型両耳イヤフォン5900は、ハウジング5910、少なくとも1つのマイクロフォン5920、1つまたは複数の音響ドライバ5930、および音響ドライバ5930に対応する少なくとも1つの誘導管(例えば、誘導管1、誘導管2、誘導管3、誘導管4など)、バッフル5950、回路基板5960、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970、および電源モジュール5980を含み得る。いくつかの実施形態では、開放型両耳イヤフォン5900は、電子分周ユニット(図には示されていない。電子分周ユニット110を参照されたい)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、電子分周ユニット、音響ドライバ5930、および誘導管は、集合的に音響出力装置と呼ばれ得る。音響出力装置に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図1から
図37(例えば、音響出力装置100、音響出力装置300、音響出力装置400、音響出力装置500、音響出力装置600、音響出力装置1000など)およびその関連する説明を参照されたい。
【0270】
いくつかの実施形態では、電子分周ユニットは、ハウジング5910内に配置され得る。例示的な電子分周ユニットは、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、デジタルフィルタなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、異なる周波数応答特性を有する音響ドライバ5930(例えば、低周波数変換器、中間周波数変換器、および/または高周波変換器)を配置することができ、異なる周波数応答を有する変換器は、異なる周波数成分を含む音を出力し得る。いくつかの実施形態では、オーディオ信号の分周処理もまた、音響経路で実施され得る。例えば、音響ドライバ5930は、全帯域音を生成することができ、音響ドライバ5930によって出力される音は、異なる音響インピーダンスを有する音響経路で音響的にフィルタリングされ得、異なる音響経路を介して出力される音は、異なる周波数成分を有し得る。音響経路に基づく分周に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図4、
図7A~
図8Cおよびそれらの関連する説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、オーディオ信号の分周処理は、上記の2つ以上の方法によって実施され得る。
【0271】
音響ドライバ5930によって生成された異なる周波数成分を有する音声信号は、誘導管を通って異なる誘導穴5942(例えば、誘導穴5942-1、誘導穴5942-2、誘導穴5942-3、誘導穴5942-4など)からユーザに出力され得る。誘導管は、音が開放型両耳イヤフォン5900内を伝播することができる音響経路の例示的な実施形態にすぎないことに留意されたい。当業者は、他の音響経路(例えば、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネットなど、またはそれらの任意の組み合わせ)または他の方法を使用して、本明細書に限定されなくてもよい開放型両耳イヤフォン5900に音を伝播させることができる。
【0272】
いくつかの実施形態では、オーディオ信号が処理された後に生成される分周信号は、オーディオ信号の周波数帯域よりも狭い周波数帯域を有し得る。分周信号の周波数帯域は、オーディオ信号の周波数帯域内にあり得る。例えば、オーディオ信号の周波数帯域は、10Hzから30kHzであり得る。分周信号の周波数帯域は、100Hzから200Hzであり得、これは、オーディオ信号の周波数帯域よりも狭く、オーディオ信号の周波数帯域内であり得る。いくつかの実施形態では、分周信号の周波数帯域の組み合わせは、オーディオ信号の周波数帯域をカバーすることができる。追加的または代替的に、分周信号の周波数帯域の組み合わせは、オーディオ信号の周波数帯域を部分的にカバーすることができる。いくつかの実施形態では、分周信号のうちの少なくとも2つは、異なる周波数帯域を有し得る。本明細書で使用される場合、異なる周波数帯域は、異なる周波数帯域中心値および/または異なる周波数帯域幅を有する2つの周波数帯域を指し得る。任意選択で、各分周信号は、他の分周信号の周波数帯域とは異なる特徴的な周波数帯域を有することができる。すなわち、分周信号の周波数帯域は、他の分周信号の周波数帯域と重複してはならない。異なる分周信号は、同じ周波数帯域幅または異なる周波数帯域幅を有し得る。いくつかの実施形態では、周波数領域における2つの隣接する分周信号の周波数帯域間の重複を回避することができ、それにより、出力音の品質を改善することができる。生成された分周信号の中で、中心周波数が近い2つの分周信号は、周波数領域で互いに隣接していると見なすことができる。隣接する分周信号の一対の周波数帯域に関する詳細な説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、63Aと63Bおよびそれらの関連する説明を参照されたい。いくつかの実施形態では、開放型両耳イヤフォン5900によって実際に出力される低周波音および高周波音は、実際の回路のフィルタリング特性、変換器の周波数特性、音響経路の周波数特性などの様々な要因によって影響を受け得、低周波音と高周波音は、分周点付近の周波数帯で一定の重複(例えば、異形部分)を有し得る。重複は、開放型両耳イヤフォン5900の全体的な音漏れ低減効果に影響を与えない可能性があることを理解されたい。
【0273】
ハウジング5910は、開放型両耳イヤフォン5900の外部構造であり得る。ハウジング5910の形状は、装着形式(例えば、耳フックイヤフォン、ヘッドバンドイヤフォンなど)および使用要件に従って決定され得、本明細書では限定されない。
【0274】
ハウジング5910は、中空構造を含み得る。マイクロフォン5920、音響ドライバ5930、誘導管、バッフル5950、回路基板5960、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970、電源モジュール5980などは、中空構造内に配置することができる。
図59および
図60に示されるように、マイクロフォン5920および音響ドライバ5930は、ハウジング5910の前端に配置され得る。回路基板5960は、ハウジング5910の中央部分に配置することができる。ブルートゥース(登録商標)モジュール5970および電源モジュール5980は、ハウジング5910の後端に配置することができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、マイクロフォン5920、音響ドライバ5930、誘導管、バッフル5950、回路基板5960、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970、および電源モジュール5980は、本明細書に限定されないハウジング5910の任意の適切な位置に配置され得る。例えば、音響ドライバ5930-1、マイクロフォン5920、回路基板5960などは、ハウジング5910の前端に配置され得、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970は、ハウジング5910の中央部分に配置され得、音響ドライバ5930-2、バッテリモジュール5980は、ハウジング5910の後端に配置することができる。別の例として、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970および電源モジュール5980は、ハウジング5910の前端に配置され得、マイクロフォン5920および回路基板5960は、ハウジング5910の中央部分に配置され得、音響ドライバ5930-1および音響ドライバ5930-2は、ハウジング5910の後端に配置することができ、誘導穴は、誘導管を介してハウジング5910の前端に配置することができる。ハウジング5910内のマイクロフォン5920、音響ドライバ5930、誘導管、バッフル5950、回路基板5960、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970、および電源モジュール5980の位置は、開放型両耳イヤフォン5900の実際の要件に基づいて決定され、図面内の構成要素の特定の位置は、説明のみを目的としており、本開示の保護範囲を制限するものではないことに留意されたい。
図61に示すように、音響ドライバ5930-1および音響ドライバ5930-2は、バッフル5950によって分離することができる。
【0276】
いくつかの実施形態では、ハウジング5910は一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング5910は、プラグ方式、スナップ方式などを介して組み立てることができる。いくつかの実施形態では、ハウジング5910は、金属(例えば、銅、アルミニウム、チタン、金など)、合金(例えば、アルミニウム合金、チタン合金など)、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロンなど)、繊維(例えば、酢酸繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維など)でできていてもよい。いくつかの実施形態では、保護カバーは、ハウジング5910の外側に配置され得る。保護カバーは、ユーザにより良い触覚を提供するために、軟質シリカゲル、ゴムなどの特定の弾性を有する軟質材料でできていてもよい。
【0277】
ハウジング5910の表面は、1つまたは複数の誘導穴、例えば、第1の誘導穴5942-1、第2の誘導穴5942-2、第3の誘導穴5942-3、および第4の誘導穴5942-4を含み得る。開放型両耳イヤフォン5900は、誘導穴を介して空気を介してユーザに音を伝達することができる。音響ドライバ5930は、分周信号(例えば、電気信号)を音声信号に変換し、誘導穴に対応する誘導管を介して音響ドライバに対応する誘導穴に音声信号を送信することができる。誘導穴を介して音声信号をユーザに送信する。開放型両耳イヤフォン5900によって出力される音に対するハウジング5910の誘導穴の効果を説明するために、開放型両耳イヤフォン5900の誘導穴は、本開示では、音が誘導穴から伝播していると見なすことができることを考慮して、音を出力するための音源と見なすことができる(実際には、音源は依然として音響出力装置であり得る)。説明の便宜および例示の目的のために、開放型両耳イヤフォン5900の誘導穴が比較的小さいサイズである場合、各誘導穴は、点音源と見なす(またはほぼ見なす)ことができる。
【0278】
マイクロフォン5920は、外部音声信号(例えば、ユーザの音声信号)を受信し、受信した音声信号を電気信号に変換するように構成することができる。マイクロフォン5920によって受信された音声信号は、音声信号(または分周信号)を生成するために処理され得る。音声信号の処理は、フィルタリング、ノイズ除去、増幅、平滑化、および/または分周など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。オーディオ信号は、開放型両耳イヤフォン5900の他の構成要素(例えば、ブルートゥース(登録商標)アセンブリ、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi(登録商標))アセンブリなど)を介して開放型両耳イヤフォン5900と通信される対象物または装置に送信され得る。
【0279】
音響ドライバ5930は、入力電気信号を音声信号に変換し、音声信号を出力するように構成することができる。変換技術は、振動して音を生成する技術を含み得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、音響ドライバ5930の異なる周波数応答のために、受信されたオーディオ信号を分周信号に処理し、分周信号を異なる周波数帯域を有する音声信号に変換し、開放型両耳イヤフォン5900を装着しているユーザに音声信号を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、異なる周波数帯域を有する分周信号を直接受信し、受信した分周信号を音声信号に変換し、開放型両耳イヤフォン5900を装着するユーザに音声信号を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、少なくとも2つのスピーカユニット(または変換器)を含み得る。例えば、2つのスピーカユニットのみが、
図59、
図60、および
図61に示されている(すなわち、第1のスピーカユニット5930-1および第2のスピーカユニット5930-2)。第1のスピーカユニット5930-1は低周波信号に対応し得、第2のスピーカユニット5930-2は高周波信号に対応し得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、空気伝導性スピーカ、骨伝導性スピーカ、水力音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、可動コイルスピーカ、可動鉄スピーカ、圧電スピーカ、静電スピーカ、磁気拘束スピーカ、平衡型アーマチュアスピーカなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、スピーカユニットは、同じ周波数応答特性を有し得る。いくつかの実施形態では、スピーカユニットは、異なる周波数応答特性を有し得る。
【0280】
特定の分周信号に対応する特定のスピーカユニットは、特定のスピーカユニットに入力される分周信号の周波数帯域が、特定の分周信号の周波数帯域と同じであり得ること、特定のスピーカユニットが特定の音声信号を生成し得ること、または特定のスピーカユニットによって処理および送信された特定の音声信号が、後に誘導穴を介して送信される特定の分周信号の周波数帯域と同じであり得ることを示し得ることに留意されたい。
【0281】
各スピーカユニットは、音を振動および生成し、音声信号を出力する技術を使用して、入力電気信号(例えば、異なる分周信号)を音声信号に変換するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各スピーカユニットは、2つの誘導穴に対応し得る。各スピーカユニットは、逆位相で同じ強度の音声信号のセットを出力することができ、これらはそれぞれ、誘導管および対応する2つの誘導穴5942を介してユーザに送信することができる。例えば、スピーカユニットは、電気信号によって駆動されて振動を発生させることができる振動ダイアフラムを含み得、振動ダイアフラムの前側および後側は、正相音および逆相音を同時に出力することができる。いくつかの実施形態では、誘導穴の位置を設定することにより、正相音および逆相音は、聴取位置で同じまたは類似の位相を有し得、聴取位置(すなわち、人間の耳の耳穴の中心位置)で重ね合わされ得る。さらに、遠距離場の正相音と逆相音とは、異なる位相(例えば、周囲環境の共通の漏れ点)を有し、遠距離場でキャンセルされ、それによって、近距離場での音量を改善し、遠距離場での音漏れを低減する。いくつかの実施形態では、同じスピーカユニットに対応する誘導穴は、二重点音源と呼ばれ得る。例えば、スピーカユニット5930-1に対応する第1の誘導穴5942-1および第2の誘導穴5942-2は、二重点音源と呼ばれ得、および/または第3の誘導穴5942-2およびスピーカユニット5930-2に対応する第4の誘導穴5942-3は、二重点音源と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、二重点音源の誘導穴から送信される分周信号の周波数帯域および振幅は、それぞれ同じであり得、その位相は異なり得る(例えば、位相が反対であり得る)。いくつかの実施形態では、二重点音源の誘導穴から送信される分周信号の周波数帯域は同じであり得、位相は同じであり得る。いくつかの実施形態では、スピーカユニットは、1つの単一の誘導穴に対応し得る。すなわち、スピーカユニットは、単一点音源に対応し得る。言い換えれば、スピーカユニットは、1つの分周信号のみを出力することができる。例えば、誘導穴5942-2に面するスピーカユニット5930-1の側面は、密封され得る。二重点音源は、2つのスピーカユニット(つまり、2つの単一点音源)で構成できる。例えば、2つの平衡電機子スピーカは、高周波二重点音源(すなわち、高周波信号に対応する二重点音源)を構築するように構成され得る。いくつかの実施形態では、二重点音源の各組内の各点音源に対応する分周信号の周波数、位相、振幅、および他のパラメータを個別に調整することができる。例えば、二重点音源の各組内の各点音源の周波数は同じであり得、位相は同じであっても異なっていてもよい。別の例として、二重点音源の各組内の各点音源の周波数は同じであり得、振幅は同じであっても異なっていてもよい。
【0282】
いくつかの実施形態では、スピーカユニットに対応する分周信号の周波数帯域が高いほど、スピーカユニットに対応する2つの誘導穴の間の距離は短くなり得る。例えば、第1のスピーカユニット5930-1は、低周波信号を出力するように構成され得、第2のスピーカユニット5930-2は、高周波信号を出力するように構成され得る。第1のスピーカユニット5930-1に対応する第1の誘導穴5942-1と第2の誘導穴5942-2との間の距離は、第2のスピーカユニット5930-2に対応する第3の誘導穴5942-3と第4の誘導穴5942-4との間の距離よりも大きくてもよい。このようにスピーカユニットに対応する誘導穴の距離を設定することにより、開放型両耳イヤフォン5900の音漏れを低減することができる。二重点音源における2つの点音源間の距離が一定の場合、可聴周波数の増加に伴い、二重点音源から発生する漏れ音が増加し、可聴周波数の増分とともに漏れ音が減少し得るためと考えられる。可聴周波数が一定値を超える場合、二重点音源の漏れ音が単一点音源の漏れ音より大きくなる場合があり、特定の値が二重点音源が音漏れを低減し得る上限周波数になり得る。距離、二重点音源、および音漏れの上限周波数に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図2および
図3ならびにそれらの関連する説明を参照されたい。分周信号が異なる場合、距離の異なる点音源を複数組の二重点音源に設定することにより、単一点音源よりも強力な漏れ低減能力を得ることができる。例えば、オーディオ信号は、低周波帯域、中周波数帯域、および高周波帯域などの3つの周波数帯域に分割され得る。低周波二重点音源、中周波二重点音源、および高周波二重点音源は、各二重点音源の2つの点音源間に異なる距離を設定することによって生成することができる。低周波二重点音源は、高周波二重点音源および中周波二重点音源よりも比較的大きな距離を有していてもよく、中周波二重点音源は、低周波二重点音源と高周波二重点音源との中間の距離を有していてもよく、高周波二重点音源は、低周波二重点音源および中周波二重点音源よりも比較的小さい距離を有していてもよい。低周波帯域では、音源間の距離を大きくすると、音の音量の増分が漏れ音の音量の増分よりも大きくなるため、低周波帯域では比較的音量の大きい音が出力され得る。低周波帯域での二重点音源の音漏れは比較的小さいため、音源間の距離を大きくすると、音漏れがわずかに増加し、比較的低いレベルに保たれ得る。高周波帯域では、音源間の距離を小さくすることにより、高周波漏れ低減の比較的低い上限周波数を改善し、漏れ低減の比較的狭い可聴周波数範囲を拡大することができる。開放型両耳イヤフォン5900は、より高い周波数帯域で比較的強い音漏れ低減効果を有し得、これは、開放型両耳の要件を満たし得る。
【0283】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ5930は、第1のスピーカユニット5930-1および第2のスピーカユニット5930-2を含み得、第1のスピーカユニット5930-1は、低周波信号に対応し得、第2のスピーカユニットは、5930-2は高周波信号に対応し得る。いくつかの実施形態では、低周波数と高周波数との間の分周点は、600Hzから1.2kHzの間であり得る。いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1は、誘導穴5942-1および誘導穴5942-2に対応し得、第2のスピーカユニット5930-2は、誘導穴5942-3および誘導穴5942-4に対応し得る。誘導穴5942-1と誘導穴5942-2との間の距離dl、および誘導穴5942-3と誘導穴5942-4との間の距離dhは様々であり得る。単なる例として、dlは40ミリメートル以下、例えば20ミリメートルから40ミリメートルの範囲であってもよく、dhは12ミリメートル以下であってもよく、dlはdhより大きい。いくつかの実施形態では、dlは12ミリメートル以上であり得、dhは7ミリメートル以下であり得、例えば、3ミリメートル~7ミリメートルの範囲である。いくつかの実施形態では、dlは30ミリメートルであり得、dhは5ミリメートルであり得る。別の例として、dlはdhの少なくとも2倍であり得る。いくつかの実施形態では、dlは、dhの少なくとも3倍であり得る。いくつかの実施形態では、dlは、dhの少なくとも5倍であり得る。いくつかの実施形態では、dl/dhの範囲は、2~10、2.5~9.5、3~9、3.5~8.5、4~8、4.5~7.5、5~7、5.5~6.5、6などであり得る。
【0284】
いくつかの実施形態では、二重点音源の各組は、近耳点音源および遠耳点音源を含み得る。例えば、ユーザが開放型両耳イヤフォン5900を装着する場合、第1の誘導穴5942-1は、第2の誘導穴5942-2よりも耳穴に近く、第3の誘導穴5942-3は、第4の誘導穴5942-4よりも耳穴に近くてもよく、したがって、第1の誘導穴5942-1および第3の誘導穴5942-3は、近耳点音源と呼ばれ得、第2の誘導穴5942-2および第4の誘導穴5942-4は、遠耳点音源と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、第1の誘導穴5942-1と第3の誘導穴5942-3との間の距離Lは、20ミリメートル、18ミリメートル、16ミリメートル、14ミリメートル、12ミリメートル、10ミリメートル、9ミリメートル、8ミリメートル、7ミリメートル、6ミリメートル、5ミリメートル、4ミリメートル、3ミリメートル、2ミリメートル、1ミリメートル以下であり得る。いくつかの実施形態では、距離Lはゼロに等しくてもよい。距離Lが0に等しい場合、二重点音源の各組の近耳点音源は、1つの誘導穴に組み合わされ、ユーザの耳穴に音を伝達するための主誘導穴として構成され得る。例えば、第1の誘導穴5942-1および第3の誘導穴5942-3は、1つの誘導穴(例えば、
図62の誘導穴5942-5)に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの誘導穴の少なくとも一部がユーザの耳に面していてもよい。この場合、誘導穴からの音は、(
図62に示されるように)ユーザの耳穴に伝達され得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、誘導穴の形状は、ストリップ形状、円、楕円、正方形、台形、丸みを帯びた四辺形、三角形、不規則な形状など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、誘導穴の形状は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1の誘導穴5942-1の形状および第3の誘導穴5942-3の形状は円形であり得、第2の誘導穴5942-2の形状および第4の誘導穴5942-4の形状は楕円形であり得る。別の例として、第1の誘導穴5942-1の形状は帯状であり得、第2の誘導穴5942-2の形状は楕円形であり得、第3の誘導穴5942-3の形状は円形であり得、第4の誘導穴5942-4の形状は三角形であり得る。さらに別の例として、第1の誘導穴5942-1、第2の誘導穴5942-2、第3の誘導穴5942-3、および第4の誘導穴5942-4の形状は、すべてストリップ形状であり得る。
【0286】
いくつかの実施形態では、異なるスピーカユニットに対応する誘導穴の開口またはサイズは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、誘導穴のサイズが異なる場合、対応する音および/または漏れ音の音量が異なり得る。いくつかの実施形態では、近距離から遠距離への開口比(すなわち、耳から遠く離れた誘導穴、すなわち、遠耳点音源の開口に対する耳の近くの誘導穴すなわち、近耳の点音源の開口の比)を設定することによって、二重点音源は、比較的強力な漏れ低減能力を得ることができる。いくつかの実施形態では、二重点音源に対応する分周信号の周波数帯域が高いほど、近距離から遠距離への開口比を小さくすることができる。二重点音源に対応する分周信号の周波数帯域が高くなると、近耳点音源の開口と遠耳点音源の開口が徐々に同じになり得る。例えば、低周波信号に対応する二重点音源の場合、近耳点音源の開口は、遠耳点音源の開口よりも大きくてもよい。高周波信号に対応する二重点音源の場合、近耳点音源の開口は遠耳点音源の開口と同じであっても類似していてもよい。
【0287】
いくつかの実施形態では、低周波信号に対応する二重点音源の近距離から遠距離への開口比は、1、5、10、15、20、25、30など以上であり得る。いくつかの実施形態では、高周波信号に対応する二重点音源の近距離から遠距離への開口比は、10、8、6、4、3、2など以下であり得る。いくつかの実施形態では、近距離から遠距離への開口比は1に等しい場合がある。
【0288】
いくつかの実施形態では、異なる誘導穴の位置を調整することによって、ユーザは、異なる聴取効果を得ることができる。誘導穴の位置および聴取位置に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる(例えば、
図28およびその関連する説明)。いくつかの実施形態では、ユーザが開放型両耳イヤフォン5900を装着するとき、二重点音源の各組の近耳点音源の中心点とユーザの耳穴6210の中心点との間の距離D
nは、10センチメートル、9センチメートル、8センチメートル、7センチメートル、6センチメートル、5センチメートル、4センチメートル、3センチメートル、2.5センチメートル、2センチメートル、1.5センチメートル、1センチメートル、0.5センチメートル、0.4センチメートル、0.3センチメートル、0.2センチメートル、0.1センチメートル以下などであり得、それによってユーザの聴取体験を向上させる。
【0289】
いくつかの実施形態では、開放型両耳イヤフォン5900は、低周波スピーカユニットおよび高周波スピーカユニットを含み得、低周波スピーカユニットに対応する近耳誘導穴は、近耳誘導穴と組み合わせることができる。高周波スピーカユニットに対応し、1つの誘導穴に収められている。例えば、
図62に示されるように、第1の誘導穴5942-1および第3の誘導穴5942-3は、誘導穴5942-5に組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、誘導穴5942-5の一端は、端面5912上に配置され得、誘導穴5942-5の他端は、端面5914上に配置され得る。ユーザが開放型両耳イヤフォン5900を装着すると、第1の誘導穴5942-1と第3の誘導穴5942-3(つまり、近耳点音源)がユーザの耳穴に面し、比較的大きな音量でユーザに音(つまり、聴取音)が聞こえ得る。いくつかの実施形態では、第2の誘導穴5942-2は、端面5912上に配置され得る。第4の誘導穴5942-4は、端面5916上に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の誘導穴5942-1、第2の誘導穴5942-2、第3の誘導穴5942-3、および第4の誘導穴5942-4はすべて、端面5912(または端面5916)に配置することができる。いくつかの実施形態では、第3の誘導穴5942-3は、端面5912上に配置され得、第4の誘導穴5942-4は、端面5912と反対の表面上に配置され得る。いくつかの実施形態では、
図59に示されるように、第1の誘導穴5942-1および第2の誘導穴5942-2は、ハウジング5910の前端の任意の位置(例えば、端面5912、端面5914、端面5916等)に配置され得、第3の誘導穴5942-3および第4の誘導穴5942-4は、ハウジング5910の後端の任意の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の誘導穴5942-1および第3の誘導穴5942-3は、ハウジング5910の前端に配置され得、第2の誘導穴5942-2および第4の誘導穴5942-4は、ハウジング5910の後端に配置され得る。いくつかの実施形態では、ユーザが開放型両耳イヤフォン5900を装着するとき、誘導穴5942-5の中心点と誘導穴5942-5の中心点に近い耳穴の中心点との間の距離Dは、10センチメートル、9センチメートル、8センチメートル、7センチメートル、6センチメートル、5センチメートル、4センチメートル、3センチメートル、2.5センチメートル、2センチメートル、1.5センチメートル、1センチメートル、0.5センチメートル、0.4センチメートル、0.3センチメートル、0.2センチメートル、0.1センチメートル以下などであり得る。
【0290】
いくつかの実施形態では、バッフルは、二重点音源における2つの点音源の間に配置され得、遠距離場音漏れの音量が大幅に増加しないという条件下で、近距離場音の音量が著しく増加され得、それによってユーザの聴取体験を向上させる。二重点音源における2つの点音源間のバッフルに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、
図11から
図34およびその関連する説明を参照されたい。
【0291】
いくつかの実施形態では、低周波二重点音源は、近耳点に配置された誘導穴(すなわち、近耳誘導穴または近耳点音源)、およびハウジング5910の後端に配置され得る遠耳点に配置された誘導穴(すなわち、遠耳誘導穴または遠耳点音源)を含み得る。ユーザが開放型両耳イヤフォン5900を装着すると、近耳点音源と遠耳点音源がユーザの耳介によって分離され得る。この場合、耳介はバッフルとして機能し、それによって近距離場音の音量を大幅に増加させ、ユーザの聴取体験を向上させることができる。
【0292】
いくつかの実施形態では、誘導管内の媒体の内部摩擦または粘性力が音の伝播に影響を及ぼし、誘導管の直径が小さすぎない場合があり、そうでない場合、音の損失を引き起こし、出力音量を低下させ得る。ただし、誘導管の直径が大きすぎる場合、送信音が特定の周波数よりも大きい場合、誘導管内に高次の波が発生することがある。高次波の発生を回避するために、誘導管の直径を合理的に決定することができる。いくつかの実施形態では、誘導管の直径は、0.5ミリメートル~10ミリメートル、0.5ミリメートル~9ミリメートル、0.7ミリメートル~8ミリメートル、0.9ミリメートル~7.5ミリメートル、1ミリメートル~7ミリメートル、1.5ミリメートル~6.5ミリメートル、2ミリメートル~6ミリメートル、2.5ミリメートル~5.5ミリメートル、3ミリメートル~5ミリメートル、3.5ミリメートル~4.5ミリメートル、3.7ミリメートル~4.2ミリメートルなどであり得る。
【0293】
いくつかの実施形態では、誘導管の放射インピーダンスとノズル(誘導穴とも呼ばれる)の放射インピーダンスは、互いに相互作用することがあり、これにより、特定の周波数の音がガイド内に定在波を形成することがある。管、および1つまたは複数の山/谷は、出力音の1つまたは複数の周波数で形成され得、それにより、出力音の品質に影響を与える。一般に、誘導管の長さが長いほど、1つまたは複数の山/谷を形成する頻度が低くなり、1つまたは複数の山/谷の数が多くなり得る。いくつかの実施形態では、誘導管の長さは、300ミリメートルを超えてはならない。いくつかの実施形態では、誘導管の長さは、250ミリメートル、200ミリメートル、150ミリメートル、100ミリメートル、50ミリメートル、30ミリメートル、20ミリメートル、10ミリメートルなどを超えてはならない。いくつかの実施形態では、インピーダンス整合層は、1つまたは複数の山/谷の影響を減らすために誘導穴に配置する。いくつかの実施形態では、誘導管の長さ対直径の比(すなわち、長さ対直径の比)は、誘導管で生成される音に影響を及ぼし得る。長さから直径までの効果は、ローパスフィルタリングの効果および減衰の効果と同じまたは類似している可能性があり、これにより音量が減衰する可能性があり、高周波音の音量の減衰は、低周波音の音量の減衰よりも大きくなる。減衰が聴取音に影響を与えることを回避するために、いくつかの実施形態では、誘導管の長さ対直径の比は、200、180、160、150、130、110、80、50、30、10など以下であり得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、各誘導管のパラメータ(例えば、長さ、直径、長さ対直径の比など)は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1の誘導管5940-1の長さは5ミリメートルであり得、第2の誘導管5940-2の長さは30ミリメートルであり得る。別の例として、第1の誘導管5940-1および第3の誘導管5940-3の長さは、両方とも5ミリメートルであり得る。
【0295】
いくつかの実施形態では、点音源に対応する分周信号の位相は異なっていてもよく、聴取音と漏れ音の音量は異なっていてもよい。したがって、点音源の位相を調整することで、様々な出力効果を実現できる。いくつかの実施形態では、開放型両耳イヤフォン5900の遠距離場漏れ音を低減するために、音響ドライバ5930-1は、同じ(または実質的に同じ)振幅および逆の(または実質的に逆の)位相を有する低周波音を生成し得、それぞれ第1の誘導穴5942-1および第2の誘導穴5942-2、ならびに音響ドライバ5930-2は、それぞれ、第1の誘導穴5942-3と第2の誘導穴5942-4において、同じ(または実質的に同じ)振幅および逆の(または実質的に逆の)位相を有する高周波音を生成することができる。いくつかの実施形態では、二重点音源に対応する分周信号の周波数帯域が高いほど、分周信号間の位相差が大きくなり得る。例えば、2つのスピーカユニットを含む二重点音源において、低周波信号に対応する二重点音源の場合、二重点音源から送信される低周波信号間の位相差は、0°に等しく(または実質的に等しく)なるように調整することができる。高周波信号に対応する二重点音源の場合、二重点音源から送信される高周波信号間の位相差は、180°に等しく(または実質的に等しく)なるように調整することができる。いくつかの実施形態では、二重点音源の位相を調整することができ、近距離場位置(または耳穴の中心点)の二重点音源によって生成される音の位相差は、0°に等しく(または実質的に等しく)てもよく、遠距離場位置の音の間の位相差は、180°に等しく(または実質的に等しく)てもよい。いくつかの実施形態では、二重点音源における2つの点音源によって出力される音の位相差は、5°、10°、20°、50°、70°、90°、100°、120°、130°、150°、170°、175°、180°などに等しくてもよい。
【0296】
回路基板5960は、様々な機能を実現するために1つまたは複数の構成要素を統合するように構成され得る。例えば、分周処理ユニットを回路基板に統合して、オーディオ信号の分周機能を実現することができる。別の例として、信号処理ユニットを回路基板に統合して、オーディオ信号の位相および/または振幅を調整することができる。ブルートゥース(登録商標)モジュール5970は、開放型両耳イヤフォン5900を外部装置と通信するように構成され得る。例えば、開放型両耳イヤフォン5900は、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970を介して外部オーディオ装置と通信することができる。いくつかの実施形態では、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970は、回路基板5960に統合され得る。電源モジュール5980は、開放型両耳イヤフォン5900の1つまたは複数の構成要素に電力を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源モジュール5980は、蓄電池、乾電池、リチウム電池、ダニエル電池、燃料電池などを含み得る。開放型両耳イヤフォン5900の回路基板5960、ブルートゥース(登録商標)ユニット5970、および電源モジュール5980などの他の構成要素は、本明細書では繰り返されない従来技術の一般的なイヤフォンの設定を参照することができる。
【0297】
開放型両耳イヤフォン5900の説明は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示を意図することができることに留意されたい。例えば、開放型両耳イヤフォン5900は、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得、上記の開放型両耳イヤフォン5900の1つまたは複数の構成要素は省略され得る。単なる例として、フィードバックマイクロフォンを開放型両耳イヤフォン5900に追加することができる。フィードバックマイクロフォンは、残留ノイズ(例えば、回路電流ノイズ)を低減するように構成することができる。別の例として、バッフル5950は省略され得る。さらに別の例として、1つまたは複数のボタン(例えば、音量を上げるボタン、音量を下げるボタン、電源ボタン、ブルートゥース(登録商標)スイッチボタンなど)をハウジング5910上に配置することができる。さらに別の例として、開放型両耳イヤフォン5900は、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970を介してユーザ端末に接続され得る。ユーザ端末は、制御インターフェースを表示することができ、ユーザは、制御インターフェースを介して、例えば、音量を増減するなどの制御命令を発行することができる。制御信号は、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970によって受信され、開放型両耳イヤフォン5900の制御を実現することができる。いくつかの実施形態では、ブルートゥース(登録商標)モジュール5970は省略され得る。開放型両耳イヤフォン5900は、データケーブルを介して外部装置と通信することができる。
【0298】
図63Aは、本開示のいくつかの実施形態による、
図59に示されるような、第1のスピーカユニット5930-1の例示的な周波数応答6310および第2のスピーカユニット5930-2の例示的な周波数応答6320を示す概略図である。
図63Bは、本開示のいくつかの実施形態による、
図59に示されるような、第1のスピーカユニット5930-1の例示的な周波数応答6310および第2のスピーカユニット5930-2の別の例示的な周波数応答6330を示す概略図である。第1のスピーカユニット5930-1は、オーディオ信号を処理して第1の分周信号を生成するように構成され得る。第2のスピーカユニット5930-2は、オーディオ信号を処理して第2の分周信号を生成するように構成され得る。分周信号では、第2の分周信号は、周波数領域で第1の分周信号に隣接していてもよい。
【0299】
いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答および第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答は、同じ周波数帯域幅を有し得る。例えば、
図63Aに示されるように、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答6310は、低い半電力点f1、高い半電力点f2、および中心周波数f3を有し得る。本明細書で使用される場合、特定の周波数応答の半電力点は、特定の電力抑制(例えば、3dB)を伴う周波数点を指す場合がある。周波数応答6310の周波数帯域幅は、高い半電力点f2と低い半電力点f1との間の差に等しくてもよい。第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答6320は、低い半電力点f2、高い半電力点f4、および中心周波数f5を有し得る。周波数応答6320の周波数帯域幅は、高い半電力点f4と低い半電力点f2との間の差に等しくてもよい。第1のスピーカユニット5930-1の周波数帯域幅は、第2のスピーカユニット5930-2の周波数帯域幅と等しくてもよい。
【0300】
いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答および第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答は、異なる周波数帯域幅を有し得る。例えば、
図63Bに示されるように、第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答6330は、低い半電力点f2、高い半電力点f7(これはf4より大きい)、および中心周波数f6を有し得る。第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答6330の周波数帯域幅は、高い半電力点f7と低い半電力点f2との間の差に等しくてもよく、その差(すなわち、第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答6330の周波数帯域幅)は、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答6310の周波数帯域幅よりも大きくてもよい。
【0301】
いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答および第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答は、特定の周波数点で交差し得る。周波数応答の交点は、第1の周波数応答と第2の周波数応答が重複していることを示し得る。理想的な場合には、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答は、第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答と重複しなくてもよい。実際には、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答は、第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答と重複する可能性があり、これにより、第1の分周信号と第2の分周信号との間に干渉範囲が生じ得、第1の分周信号と第2の分周信号の品質に影響を与える。例えば、重複する範囲が大きいほど、干渉範囲が大きくなる可能性があり、第1の分周信号および第2の分周信号の品質が低くなり得る。
【0302】
いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答と第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答が交差する特定の周波数点は、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答の半電力点5930-1および/または第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答の半電力点に近くてもよい。
図63Aを例として取り上げると、周波数応答6310および周波数応答6320は、周波数応答6310の高い半電力点f2で交差し、高い半電力点f2は、周波数応答6320の低い半電力点であり得る。本明細書で使用されるように、周波数点と半電力点との間の電力レベル差が閾値(例えば、2dB)より大きくない場合、周波数点は、半電力点に近いと見なされ得る。この場合、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答と第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答との間に比較的小さなエネルギー損失または繰り返しが形成され得、これにより、第1のスピーカユニット5930-1および第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答の重複範囲が引き起こされる。単なる例として、半電力点が-3dBで、閾値が-2dBであると仮定すると、周波数応答が-5dBより大きいおよび/または-1dBより小さい電力レベルの周波数点で交差する場合、重複範囲は比較的小さいと見なされ得る。いくつかの実施形態では、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答の中心周波数および/または帯域幅、ならびに第2のスピーカユニット5930-2の中心周波数および/または周波数応答の帯域幅は、第1のスピーカユニット5930-1の周波数応答と第2のスピーカユニット5930-2の周波数応答との間の比較的狭いまたは必要な重複範囲を生成するように調整され得、これにより、第1の分周信号の周波数帯域と第2の分周信号の周波数帯域との間の重複を回避する。
【0303】
図64は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な開放型両耳ヘッドフォン6400を示す概略図である。
図64に示されるように、開放型両耳ヘッドフォン6400は、ヘッドバンドヘッドフォンと呼ばれ得る。開放型両耳ヘッドフォン6400は、開放型両耳イヤフォン5900と同様の構成を有し得る。例えば、開放型両耳ヘッドフォン6400は、ハウジング6410、マイクロフォン、1つまたは複数の音響ドライバ(例えば、1つまたは複数のスピーカユニット)、音響ドライバに対応する1つまたは複数の誘導管、バッフル、回路基板、ブルートゥース(登録商標)モジュール、および電源モジュールを含み得る。ハウジング6410は、音響ドライバに対応する第1の誘導穴6420-1、第2の誘導穴6420-2、第3の誘導穴6420-3、および第4の誘導穴6420-4を含み得る。
図64に示すように、開放型両耳ヘッドフォン6400の第1の誘導穴6420-1および第2の誘導穴6420-2は、低周波スピーカユニットに対応し得、第3の誘導穴6420-3および第4の誘導穴6420-4は、高周波スピーカユニットに対応し得る。いくつかの実施形態では、第1の誘導穴6420-1は、開放型両耳ヘッドフォン6400の端面6414に配置され得、第2の誘導穴6420-2は、開放型両耳ヘッドフォン6400の端面6412に配置され、ハウジング6410の上部、ならびに第3の誘導穴6420-3および第4の誘導穴6420-4は両方とも、端面6412上に配置され、ハウジング6410の左端および/または右端の中央部分に配置され得る。開放型両耳ヘッドフォン6400のより多くの説明は、開放型両耳イヤフォン5900の説明と組み合わせることができ、本明細書では繰り返さないことができる。例えば、ユーザが開放型両耳ヘッドフォン6400を装着する場合、第1の誘導穴6420-1の中心点と、第1の誘導穴6420-1の中心点に近いユーザの耳穴の中心点との間の距離は、開放型両耳イヤフォン5900の誘導穴5942-5の中心点と、誘導穴5942-5の中心点に近いユーザの耳穴の中心点との間の距離と同じであるようになり得る。別の例として、開放型両耳イヤフォン6400の第1の誘導穴6420-1、第2の誘導穴6420-2、第3の誘導穴6420-3、および第4の誘導穴6420-4の形状および/またはサイズは、開放型両耳イヤフォン5900の第1誘導穴5942-1、第2誘導穴5942-2、第3誘導穴5942-3、第4誘導穴5942-4とそれぞれ同じであり得る。
【0304】
原理が他の開放型両耳ヘッドフォンに適用されることに限定されない、本開示のいくつかの実施形態による開放型両耳イヤフォンを説明するための例として、耳フックイヤフォンを取り上げることができることに留意されたい。本開示で開示される開放型両耳ヘッドフォンの音響ドライバ、誘導管、および誘導穴の位置は、単なる例であり得、本開示の範囲を限定するものではない。様々な置換、修正、および変更は、当業者には明らかであり得る。例えば、開放型両耳イヤフォン5900は、3つのスピーカユニットを含み得、3つのスピーカユニットは、低周波帯域の音声信号、中周波数帯域の音声信号、および高周波帯域の音声信号(すなわち、低周波スピーカユニット、中周波スピーカユニット、および高周波スピーカユニット)にそれぞれ対応し得る。低周波スピーカユニット、対応する誘導管、および対応する誘導穴は、ハウジングの前端に配置することができ、中周波数スピーカユニット、対応する誘導管、および対応する誘導穴は、ハウジングの中央部分に配置することができ、高周波スピーカユニット、対応する誘導管、および対応する誘導穴は、ハウジングの後端に配置することができる。別の例として、低周波スピーカユニット、中周波スピーカユニット、および高周波スピーカユニットは、ハウジングの後端に配置され得、誘導穴は、スピーカユニットに対応する誘導管を通してハウジングの前端に配置され得る。さらに別の例として、開放型両耳ヘッドフォン6400の高周波スピーカユニットおよび/または低周波スピーカユニットは、4つの誘導管および4つの誘導穴に対応し得る。4つの誘導穴は、ユーザの左耳および右耳のための低周波二重点音源として、ハウジング6410の左側および右側に対に配置され得る。
【0305】
本開示の実施形態の有益な効果には、以下が含まれ得るが、これらに限定されない。(1)高周波二重点音源と低周波二重点音源を設定することにより、異なる周波数帯域の音を出力することができ、それにより出力音の品質が向上し、(2)距離の異なる二重点音源における2つの点音源を設定することにより、音響出力装置の漏れ低減性能を向上させることができ、それにより開放型両耳音響出力装置の要件を満たすことができ、(3)バッフルは、二重点音源における2つの点音源から聴取音位置までの音響経路の長さの差を大きくするように設定されているため、近距離場での聴取音の音量が大きくなり、遠距離場での漏れ音の音量が低減され、開放型両耳音響出力装置の出力音の品質が向上し、(4)音響出力装置と耳穴の開放型カップリングを実現することにより、耳の難聴を回避し、従来のイヤフォンを長時間装着することによる安全上の問題を回避し、(5)音響出力装置は、様々な観点、例えば、音声受信効果を改善するために使用されるマイクロフォンノイズ低減システム、音響出力装置の配線を簡素化し、ワイヤ間の相互干渉を低減するために使用されるFPC、音響出力装置などの携帯性と操作性を改善するために使用されるブルートゥース(登録商標)技術およびボタン技術など、またはそれらの任意の組み合わせから、様々な製品形態(眼鏡、イヤフォン、ヘッドフォンなど)に最適化される。異なる実施形態は、異なる有益な効果を有し得ることに留意されたい。異なる実施形態において、可能な有益な効果は、上記の有益な効果のいずれか1つまたは組み合わせ、または任意の他の有益な効果であり得る。
【符号の説明】
【0306】
100 音響出力装置
110 電子分周ユニット
115 分周器
120 信号プロセッサ
130 信号プロセッサ
140 音響ドライバ
143 変換器
145 音響経路
147 第1の音誘導穴
150 音響ドライバ
153 変換器
155 音響経路
157 第2の音誘導穴
200 音響出力装置
240 電源
300 音響出力装置
302 処理モジュール
400 音響出力装置
422 可撓性ワイヤ
500 音響出力装置
600 音響出力装置
1000 音響出力装置
1010 支持構造体
1011 音誘導穴
1012 音誘導穴
1013 前部チャンバ
1014 後部チャンバ
1020 音響ドライバ
1030 音響ドライバ
1043 変換器
1053 変換器
1720 音響ドライバ
2725 ボンディングパッド
3800 眼鏡
3810 音響出力装置
3820 フレーム
3821 ブリッジ
3822 鼻パッド
3823 杭頭
3830 テンプル
3831 下側
3831 側面
3832 内側
3833 外側
3834 上側
3840 レンズ
3850 通信ユニット
3860 電源ユニット/電源
3870 制御ユニット
3880 ヒンジ
3910 空洞
3920 音響経路
3930 音響ドライバ
3940 音誘導穴
3950 表面
4120 音響経路
4130 音響ドライバ
4140 音誘導穴
4400 マイクロフォンノイズ低減システム
4410 マイクロフォンアレイ
4420 ノイズ低減装置
4430 合成装置
4500A マイクロフォンノイズ低減システム
4500B マイクロフォンノイズ低減システム
4510a マイクロフォンアレイ
4510b マイクロフォンアレイ
4512 マイクロフォン
4512a マイクロフォン
4512b マイクロフォン
4514 フィルタ
4514b フィルタ
4520a ノイズ低減装置
4520b ノイズ低減装置
4522 サブバンドノイズ低減ユニット
4522a サブバンドノイズ低減ユニット
4522b サブバンドノイズ低減ユニット
4530a 合成装置
4530b 合成装置
4610 周波数応答
4620 周波数応答
4630 周波数応答
4700 サブバンドノイズ抑制サブユニット
4710 位相変調器
4720 振幅変調器
4900 眼鏡
4910 フレーム
4912 ブリッジ
4920 テンプル
4922 前端/第1の端部
4924 後端/第2の端部
4930 レンズ
4940 接続ユニット
5010 マイクロフォンアレイ
5015 音入口
5020 回路基板
5024 後端
5030 バッテリスロット
5040 音響出力装置
5045 音出口
5110 マイクロフォンアレイ
5115 音入口
5200 テンプル
5200A テンプル
5200B 眼鏡
5212 マイクロフォンセット/第1のマイクロフォン
5214 マイクロフォンセット/第2のマイクロフォン
5222 前端
5224 後端
5240 音響ドライバ
5245 音穴
5250 音響ドライバ
5255 音穴
5260 安定化ユニット/固定化ユニット
5270 フレーム
5300 眼鏡
5310 低周波マイクロフォン
5320 低周波マイクロフォン
5330 高周波マイクロフォン
5340 高周波マイクロフォン
5400 眼鏡
5410 テンプル
5411 誘導穴
5412 電源インターフェース
5413 音入口
5420 テンプル
5421 電源ボタン
5422 音調整ボタン
5423 再生制御ボタン
5430 レンズフレーム
5440 レンズ
5450 ブリッジ
5500 音響出力装置
5510 イヤフォンコア
5512 ワイヤ
5530 ボタンモジュール
5540 電源モジュール
5542 ワイヤ
5550 コントローラ
5552 ワイヤ
5560 補助機能モジュール
5562 ワイヤ
5570 可撓性回路基板モジュール
5572 ボンディングパッド
5574 ボンディングパッド
5700 電源
5710 電池
5712 本体領域
5714 シーリング領域
5716 ハード回路基板
5720 可撓性回路基板
5721 第1の基板
5722 第2の基板
5723 第1のボンディングパッド
5725 第2のボンディングパッド
5800 音声制御システム
5802 受信モジュール
5804 処理モジュール
5806 認識モジュール
5808 制御モジュール
5900 開放型両耳イヤフォン
5905 音発生構造
5910 ハウジング
5912 端面
5914 端面
5916 端面
5920 マイクロフォン
5930 音響ドライバ
5940 誘導管
5942 誘導穴
5950 バッフル
5960 回路基板
5980 電源モジュール
6000 音発生構造
6100 バッフル
6210 耳穴
6310 周波数応答
6320 周波数応答
6330 周波数応答
6400 開放型両耳ヘッドフォン
6410 ハウジング
6412 端面
6414 端面
6420 誘導穴
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム、1つまたは複数のレンズ、および1つまたは複数のテンプルを備えた眼鏡であって、前記眼鏡が、
少なくとも2つの第1の誘導穴から音を出力するように構成された少なくとも1つの低周波音響ドライバと、
少なくとも2つの第2の誘導穴から音を出力するように構成された少なくとも1つの高周波音響ドライバと、
前記低周波音響ドライバに第1の周波数範囲の音を出力するように指示し、前記高周波音響ドライバに第2の周波数範囲の音を出力するように指示するように構成されたコントローラであって、前記第2の周波数範囲が、前記第1の周波数範囲の1つまたは複数の周波数よりも高い1つまたは複数の周波数を含む、コントローラとをさらに備える、眼鏡。
【請求項2】
前記2つの第1の誘導穴の間が第1の距離であり、前記2つの第2の誘導穴の間が第2の距離であり、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
前記第1の距離が20ミリメートル~40ミリメートルの範囲内にあり、前記第2の距離が3ミリメートル~7ミリメートルの範囲内にある、請求項2に記載の眼鏡。
【請求項4】
前記第1の距離が前記第2の距離の少なくとも2倍である、請求項2に記載の眼鏡。
【請求項5】
前記第1の周波数範囲が650Hzより低い周波数を含み、前記第2の周波数範囲が1000Hzより高い周波数を含む、請求項1
から4のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項6】
前記第1の周波数範囲が前記第2の周波数範囲と重複する、請求項1
から5のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項7】
前記コントローラが、オーディオソース信号を分割して、前記第1の周波数範囲に対応する低周波信号と前記第2の周波数範囲に対応する高周波信号とを生成するように構成された電子分周モジュールを含み、前記低周波信号が、前記音を生成するために前記少なくとも1つの低周波音響ドライバを駆動し、前記高周波信号が、前記音を生成するために前記少なくとも1つの高周波音響ドライバを駆動する、請求項1
から6のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項8】
前記少なくとも1つの低周波音響ドライバが第1の変換器を含み、
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバが第2の変換器を含み、
前記第1の変換器および前記第2の変換器が異なる周波数応答特性を有する、請求項1
から7のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項9】
前記少なくとも1つの低周波音響ドライバと前記少なくとも2つの第1の誘導穴との間に少なくとも2つの第1の音響経路が形成されていて、
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバと前記少なくとも2つの第2の誘導穴との間に少なくとも2つの第2の音響経路が形成されていて、
前記少なくとも2つの第1の音響経路と前記少なくとも2つの第2の音響経路とは、異なる周波数選択特性を有する、請求項1
から8のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記少なくとも2つの第1の音響経路のそれぞれが音響抵抗材を含み、前記音響抵抗材の音響インピーダンスが5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲内にある、請求項
9に記載の眼鏡。
【請求項11】
前記少なくとも1つの高周波音響ドライバと前記少なくとも1つの低周波音響ドライバとを支持し、ユーザが前記眼鏡をかけているときに前記少なくとも2つの第2の誘導穴を前記少なくとも2つの第1の誘導穴よりも前記ユーザの耳に近づけるように構成された支持構造体をさらに備える請求項1
から10のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項12】
前記少なくとも2つの第2の誘導穴が前記少なくとも2つの第1の誘導穴よりも前記ユーザの耳に近い、請求項
11に記載の眼鏡。
【請求項13】
前記支持構造体が第1のハウジングを含み、前記低周波音響ドライバが前記第1のハウジングによってカプセル化されており、前記第1のハウジングが前記低周波音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバを画定
し、
前記低周波音響ドライバの前記前部チャンバが前記少なくとも2つの第1の誘導穴のうちの1つに音響的に結合されており、前記後部チャンバが前記少なくとも2つの第1の誘導穴のうちの他の第1の誘導穴に音響的に結合されている、請求項
11に記載の眼鏡。
【請求項14】
前記支持構造体が第2のハウジングを含み、前記高周波音響ドライバが前記第2のハウジングによってカプセル化されており、前記第2のハウジングが前記高周波音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバを画定
し、
前記高周波音響ドライバの前記前部チャンバが前記少なくとも2つの第2の誘導穴のうちの1つに音響的に結合されており、前記高周波音響ドライバの前記後部チャンバが前記少なくとも2つの第2の誘導穴のうちの他の第2の誘導穴に音響的に結合されている、請求項
11に記載の眼鏡。
【請求項15】
前記少なくとも2つの第1の誘導穴から出力される前記音が逆位相を有する、請求項1から
14のいずれか一項に記載の眼鏡。
【国際調査報告】