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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(54)【発明の名称】多軸操作制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20220624BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20220624BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20220624BHJP
【FI】
G06F3/0338 412
H01H25/04 C
A63F13/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511131
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020054670
(87)【国際公開番号】W WO2020224821
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】U1900078
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(31)【優先権主張番号】19462002.7
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521480581
【氏名又は名称】9 アクシス ケイエフティー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスナス、ロビン
【テーマコード(参考)】
5B087
5G031
【Fターム(参考)】
5B087AB02
5B087BC02
5B087BC13
5B087BC16
5B087BC34
5B087DD05
5G031AS33H
5G031GS12
(57)【要約】
多軸操作制御装置10は、ハウジング11と、ハウジング11上に配置された少なくとも1つの親指機構と、センサ信号を処理し、上記センサ信号に基づいて、操作制御信号を生成し、プロセッサ装置に送信するための電子回路とを備える。各親指機構は、ユーザの親指を保持するための親指固定ユニット50と、上記親指固定ユニット50をハウジング11に接続する親指リンケージとを含み、更に、親指固定ユニット50の3方向への独立した動きを検出し、センサ信号を提供するためのセンサユニットを含む。親指リンケージは、固定ユニット50が第1の軸X及び上記第1の軸に垂直な第2の軸Yの周りを旋回することを可能にする第1の結合機構と、少なくとも1つの親指機構について、親指固定ユニット50が、上記第1及び第2の軸に垂直であり、親指機構の長手方向軸と合致する第3の軸Zに沿って移動することを可能にする第2の結合機構とを含む。少なくとも1つの親指機構のそれぞれのセンサユニットは、第1及び第2の軸X、Yの周りの親指固定ユニット50の回転を検出するために、上記第1の結合機構に配置された二軸位置感知ユニットを含む。少なくとも1つの親指機構のセンサユニットは、第3の軸Zに沿った親指固定ユニット50の変位を検出するために、上記第2の結合機構に配置された単軸位置感知ユニットを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ハウジング(11、13)と、
- 前記ハウジング(11、13)上に配置された少なくとも1つの親指機構であって、各々の前記親指機構は、ユーザの親指を保持するための親指固定ユニット(50)と、前記親指固定ユニット(50)を前記ハウジング(11、13)に接続する親指リンケージと、を含み、前記親指固定ユニット(50)の3方向への独立した動きを検出し、センサ信号を提供するためのセンサユニットを更に含む、親指機構と、
- 前記センサ信号を処理し、前記センサ信号に基づいて、操作制御信号を生成し、プロセッサ装置に送信するための電子回路と、を備え、
前記親指リンケージは、前記固定ユニット(50)が第1の軸(X)及び前記第1の軸に垂直な第2の軸(Y)の周りを旋回することを可能にする第1の結合機構を含み、少なくとも1つの親指機構については、前記親指固定ユニット(50)が、前記第1及び第2の軸に垂直であり、親指機構の長手方向軸と合致する第3の軸(Z)に沿って移動することを可能にする第2の結合機構を含み、
前記少なくとも1つの親指機構のそれぞれの前記センサユニットは、前記第1及び第2の軸(X、Y)の周りの前記親指固定ユニット(50)の前記回転を検出するために、前記第1の結合機構に配置された二軸位置感知ユニットを備え、
少なくとも1つの親指機構の前記センサユニットは、前記第3の軸(Z)に沿った前記親指固定ユニット(50)の変位を検出するために、前記第2の結合機構に配置された単軸位置感知ユニットを更に備えている、
多軸操作制御装置(10、100)。
【請求項2】
前記親指リンケージの前記第2の結合機構は、
- 前記装置(10、100)の前記ハウジング(11、13)に固定されたハウジング(52)と、
- 一端で前記ハウジング(52)に取り付けられた戻りばね(54)と、
- 傾斜要素(58)に枢動可能に結合され、前記戻りばね(54)の他端と係合し、前記ハウジング(52)に堅固に取り付けられた支持体(55)に対して移動可能に寄りかかる位置決め要素(56)であって、前記傾斜要素(58)は、前記ハウジング(52)に枢動可能に結合されている、位置決め要素(56)と、
を含む、請求項1に記載の多軸操作制御装置(10、100)。
【請求項3】
前記親指リンケージの前記第2の結合機構の前記単軸位置感知ユニットは、
- 前記傾斜要素(58)に固定されたホールセンサ(62)と、
- 前記ホールセンサ(62)の両側に固定的に配置された2つの永久磁石(60)と、
を含む、請求項1又は2に記載の多軸操作制御装置(10、100)。
【請求項4】
前記ハウジング(11)は、
- 第1及び第2のハンドル部材(12、14)と、
- 前記第1及び第2のハンドル部材(12、14)を接続するリンケージ(16)であって、前記リンケージは、その第1の端部で前記ハンドル部材(12、14)の一方に移動可能に結合され、その第2の端部で、他方の前記ハンドル部材(12、14)に回転可能に結合されたシャフト(30)を含む、リンケージと、を備え、
前記シャフト(30)は、第2の軸(Y)及び前記第2の軸に垂直な第3の軸(Z)の周りを旋回し、前記第2及び第3の軸に垂直である第1の軸(X)に沿って延在するその長手方向軸の周りを回転するように適合されており、
前記ハウジング(11)の前記センサユニットは、
- 前記シャフト(30)の前記第2及び第3の軸(Y、Z)の周りの角変位を検出するために、前記シャフト(30)の前記第1の端部に配置された二軸位置感知ユニットと、
- 前記シャフト(30)の前記第2の端部に配置され、前記第1の軸(X)に沿って延在するその長手方向軸の周りの前記シャフト(30)の回転角を検出するための単軸位置感知ユニットと、
を更に含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項5】
前記ハウジング(11)の前記リンケージは、
- 前記第2及び第3の軸(Y、Z)の周りの角変位の後、前記シャフト(30)の前記第1の端部をアイドル位置に戻す力を提供するための第1のばねベースの戻り機構と、
- 前記第1の軸(X)に沿って延在するその長手方向軸の周りの回転後に前記シャフト(30)の前記第2の端部を、アイドル位置に戻す力を提供するための第2のばねベースの戻り機構と、
を更に含む、請求項4に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項6】
前記ハウジング(11)の前記センサユニットの前記二軸位置感知ユニットは、
- 前記シャフト(30)の前記第1の端部に固定された永久磁石(32)と、
- 前記シャフト(30)の前記第1の端部に隣接して固定的に配置された二軸ホールセンサ(34)と、
を含む、請求項4に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項7】
前記ハウジング(11)の前記センサユニットの前記単軸位置感知ユニットは、
- 前記シャフト(30)の前記第2の端部に取り付けられた単軸ホールセンサ(48)と、
- 前記単軸ホールセンサ(48)の両側に固定的に配置された2つの永久磁石(47a、47b)と、
を含む、請求項4に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項8】
前記第1のばねベースの戻り機構は、前記シャフト(30)のくぼみ内に配置されたばね(35)であって、前記永久磁石(32)を担持するピストン(31)に寄りかかるばね(35)を含み、前記ピストン(31)は、前記シャフト(30)の前記くぼみ内で移動可能に案内される、請求項5に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項9】
前記第2のばねベースの戻り機構は、
- 前記シャフト(30)に形成された横方向カム(41)と、
- 前記第2のハンドル部材(14)に固定され、前記横方向カム(41)と係合するシート(42)に枢動可能に取り付けられたインサート(45)と、
- 前記第2のハンドル部材(14)に枢動可能に結合され、前記インサート(45)と係合する可動部材(46)と、
- 一方の端で前記第2のハンドル部材(14)に固定され、もう一方の端で前記可動部材(45)と係合するばね(44)と、
を含む、請求項5に記載の多軸操作制御装置(10)。
【請求項10】
前記ハウジング(13)は一体品として形成されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の多軸操作制御装置(100)。
【請求項11】
前記ハウジング(13)内に、前記ハウジング(13)の3方向の動きを検出し、センサ信号を提供するためのセンサユニットを更に備えている、請求項10に記載の多軸操作制御装置(100)。
【請求項12】
前記ハウジング(13)の前記センサユニットは、三軸デジタルジャイロスコープを含む、請求項11に記載の多軸操作制御装置(100)。
【請求項13】
それぞれの方向への少なくとも1つの結合機構の回転又は変位を機械的に遮断するための少なくとも1つの停止部材を更に備えている、請求項1から12までのいずれか一項に記載の多軸操作制御装置(10、100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子操作制御装置に関する。より具体的には、本発明は、物理的又は仮想的環境で同時に操作される1つ又は複数のオブジェクトの動きの多軸制御を提供する両手操作制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な型式の操作制御装置が知られている。例えば、マウス又はジョイスティックを使用して、コンピュータ環境でグラフィックオブジェクトを操作することができる。両手用ゲーム・パッド・コントローラは、ビデオゲームやシミュレーションアプリケーションの様々な動きを制御するためにも広く使用されている。これらの装置は、片手ごとに最大2つの自由度の動きの機械的制御を含むように設計されているが、操作制御装置のハウジングに取り付けられたプッシュボタン又はトリガを操作することにより、追加の操作制御を提供できる。
【0003】
ビデオゲームは絶えず進化しているため、ゲーム内のアバターを操作したり、ゲームの仕組みを実行したりするには、益々多くの追加の入力制御が必要になる。市販の標準ビデオ・ゲーム・コントローラでは、この問題は、ゲームパッドのハウジングに追加のプッシュボタンを実装することで解決される。しかし、上記の装置でボタン入力の数が増えると、ゲームの制御及び習得が困難になる。更に、最も用途の広い指である親指は、可動域の入力の可能性の全範囲まで使用されていない。
【0004】
一人称視点アプリケーションでほぼ独占的に使用されている仮想現実環境用に特別に設計されたコントローラがある。手に装着するこれらの装置により、ユーザの動きを完全な6つの自由度でデジタル入力に置き換えることができる。ただし、前述の装置は、制御操作のための入力を実行するために、ユーザの腕の全可動域と広い操作領域を必要とする。これらの装置の操作には、ユーザによる大量のエネルギー入力が必要であるため、これらのコントローラは、最小限の操作スペースと指と手首の使用のみを必要とする最小限の労力の装置操作には適していない。
【0005】
米国特許第6,664,946号は、二軸関節運動を可能にする両手コンピュータ入力装置を記載している。この装置はビデオゲームプレーヤに便利な使用法を提供するが、それでも2つの軸に沿った機械的操作制御のみが可能であり、入力をニュートラルゼロ信号のアイドル位置に戻すリセット機構がない。更なる操作制御操作は、装置のハウジングに配置された複数の制御ボタンを使用して実行することができる。プッシュボタンを使用して制御を操作することは、あまり便利ではなく、困難である。
【0006】
従って、複雑なアクションでボタン入力に依存することなく、同期された方法で入力制御を作成するために、ユーザの親指の指と手首を巻き込むことによって手の解剖学的構造を最大限に活用することにより、より直感的で、より現実的で、最小限の労力の操作を提供する両手操作制御装置が必要である。
【0007】
このような装置を使用することにより、ユーザは複数のオブジェクトを同時に操作することができる。例えば、デジタルゲームのアバターが仮想空間内を移動できる一方で、ゲームのアバターの左右の手足も、装置の機械的入力で同時に操作することができる。別の実例は、電子外科装置の複数の物理的要素を単一の装置ユーザが同時に操作できる実世界の環境である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,664,946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、両手、特にユーザの2つの親指及び手首によって最小限の労力で便利に操作することができる操作制御装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、最大9自由度によって、物理的又は仮想的環境において1つ又は複数のオブジェクトの動きを同時に制御することができる両手操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、ハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの親指機構であって、各々の親指機構は、ユーザの親指を保持するための親指固定ユニットと、上記親指固定ユニットをハウジングに接続する親指リンケージと、を含み、親指固定ユニットの3方向への独立した動きを検出し、センサ信号を提供するためのセンサユニット、を更に含む、親指機構と、を備えた多軸操作制御装置を提供することによって達成される。装置は、上記センサ信号を処理し、上記センサ信号に基づいて、操作制御信号を生成し、プロセッサ装置に送信するための電子回路を更に備える。親指リンケージは、固定ユニットが第1の軸及び上記第1の軸に垂直な第2の軸の周りを旋回することを可能にする第1の結合機構を含み、少なくとも1つの親指機構については、親指固定ユニットが、上記第1及び第2の軸に垂直であり、親指機構の長手方向軸と合致する第3の軸に沿って移動することを可能にする第2の結合機構を含む。それぞれの親指機構のセンサユニットは、第1及び第2の軸の周りの親指固定ユニットの変位を検出するために、上記第1の結合機構に配置された二軸位置感知ユニットを備え、少なくとも1つの親指機構のセンサユニットは、第3の軸に沿った親指固定ユニットの変位を検出するために、上記第2の結合機構に配置された単軸位置感知ユニットを更に備える。
【0012】
操作制御装置の様々な実施例は、従属請求項によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の態様による斜視図での操作制御装置の例示的な実施例である。
図2A】アイドル位置及びヨー位置での上面平面図における図1の操作制御装置を示している。
図2B】アイドル位置及びロール位置での正面立面図における図1の操作制御装置を示している。
図2C】アイドル位置及びピッチ位置での側面図での図1の操作制御装置を示している。
図3A】アイドル位置での断面図における操作制御装置のリンケージの例示的な二軸結合機構を示している。
図3B】ヨー位置での断面図における操作制御装置のリンケージの例示的な二軸結合機構を示している。
図4A】本発明による装置の例示的な実施例における正面図の二軸ホール・センサ・ユニットを示している。
図4B図4Aのセンサユニットを示す側面図である。
図4C図4Aのセンサユニットを示す上面図である。
図4D図4Aのセンサユニットを示す斜視図である。
図4E】本発明の第1の態様による、操作制御装置のハンドル部材に取り付けられたときの図4Aのセンサユニットを示している。
図5A】本発明の第1の態様による、操作制御装置のリンケージの例示的な単軸結合機構を示している。
図5B】本発明の第1の態様による、操作制御装置のリンケージの例示的な単軸結合機構を示している。
図6A】本発明による操作制御装置で使用することができる親指固定ユニットの単軸結合機構の動作を概略的に示している。
図6B】本発明による操作制御装置で使用することができる親指固定ユニットの単軸結合機構の動作を概略的に示している。
図6C】本発明による操作制御装置で使用することができる親指固定ユニットの単軸結合機構の動作を概略的に示している。
図7】本発明による操作制御装置の親指固定ユニットの単軸結合機構の例示的な実施例の分解図である。
図8図7の単軸結合機構を示す断面図である。
図9】本発明による操作制御装置の例示的な実施例の親指固定ユニットの連結部分を示す斜視図である。
図10】本発明による操作制御装置の例示的な実施例の親指固定ユニットの連結部分を示す斜視図である。
図11A】本発明の第1の態様による操作制御装置の内部構造を示す上斜視図である。
図11B】本発明の第1の態様による操作制御装置の内部構造を示す下斜視図である。
図11C】本発明の第1の態様による、操作制御装置の2つのハンドル部材を組み立てるステップを示している。
図12】本発明の第2の態様による操作制御装置の例示的な実施例を示す概略図である。
図13】本発明の第3の態様による操作制御装置の例示的な実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、操作制御装置10の一実施例は、2つの部品、即ち、それぞれ第1及び第2のハンドル部材12及び14から形成されたハウジング11を備えている。ハンドル部材12及び14は、ユーザの手に収まるような大きさであり、3つの軸に沿って互いに対して移動可能である。ハンドル部材12及び14は、概して16に示されているリンケージによって接続されている。リンケージ16により、第2のハンドル部材14が、概して矢印21によって示されるヨー方向(Z軸の周り)で第1のハンドル部材12に対して関節運動することが可能になる。また、リンケージ16により、第2のハンドル部材14が、一般に矢印22によって示されるロール方向(Y軸の周り)に旋回することが可能になる。また、リンケージ16により、第2のハンドル部材14が、一般に矢印23によって示されるピッチ方向(X軸の周り)に旋回することが可能になる。この動き及びリンケージ22は、本明細書の後半でより詳細に説明される。更に、操作制御装置10は、第1のハンドル部材12に対する第2のハンドル部材14の角度位置を感知する角度位置センサを含む。
【0015】
図2Aは、ヨー位置(上)及びアイドル位置(下)での上面平面図における操作制御装置10を示し、第2のハンドル部材14は、Z軸の周り又はXY平面内で第1のハンドル部材12に対して回転される。図2Bは、ロール位置(上)及びアイドル位置(下)での正面立面図における操作制御装置10を示し、第2のハンドル部材14は、Y軸の周り又はXZ平面内で第1のハンドル部材12に対して回転される。図2Cは、ピッチ位置(上)及びアイドル位置(下)での側面図における操作制御装置10を示し、第2のハンドル部材14は、X軸の周り又はYZ平面内で第1のハンドル部材12に対して回転される。
【0016】
図3A及び図3Bは、それぞれ、アイドル位置及びヨー位置での断面図におけるリンケージ16の例示的な結合機構を示している。第2のハンドル部材14は、第1のハンドル部材12に侵入する中空シャフト30を備えていてもよい。シャフト30の外端において、ピストン31は、可動構成でシャフト30内に配置され得る。図3Aに示されるアイドル状態では、ピストン31は、シャフト30のくぼみの内側に配置された負荷ばね35によって、カウンタピース33の前面に寄りかかるように強制される。
【0017】
この例示的な結合機構では、2つのハンドル部材12、14間の角変位の検出は、ホールセンサを含む位置センサユニットを使用して実行される。ピストン31の外端で、永久磁石32をピストン31に固定することができる。シャフト30の上記外端に隣接して、ホールセンサ34が、カウンタピース33のすぐ後ろの第2のハンドル部材14の内側に配置されている。
【0018】
図3Bに示されるように、第1及び第2のハンドル部材12、14が互いに対して回転する場合、ピストン31が負荷されたばね35の力に抗してシャフト30のくぼみにある程度押し込まれている間、シャフト30は、カウンタピース33に対して角度的に変位する。このようにして、ばね35はより高い程度に圧縮され、第2のハンドル部材14に対する第1のハンドル部材12の回転は、圧縮されたばね35を介して戻り力を生成する。この戻り力により、二軸位置感知ユニットは特定のゼロ位置を有し、累積的な位置決め誤差を排除し、その結果、非常に正確な操作が可能になる。
【0019】
第1及び第2のハンドル部材12、14の間の相対角変位において、ホールセンサ34は、2つのハンドル部材12、14の間の相対回転の角度に比例するセンサ信号を生成する。
【0020】
装置10の一実施例では、ホールセンサ34は、Y軸及びZ軸の両方の周りのハンドル部材12、14の相対回転を感知するように適合された二軸センサであり得る。図4Aは、二軸ホール・センサ・ユニットの正面図をより詳細に示し、図4Bは、同センサユニットの側面図を示し、図4Cは、センサユニットの上面図を示し、図4Dは、センサユニットの斜視図を示している。図4Eは、入力装置10の第2のハンドル部材14に取り付けられた二軸ホール・センサ・ユニットを備えた関節機構の斜視図である。
【0021】
本明細書で説明される例示的な結合機構は、位置センサとしてホールセンサを使用するが、第1のハンドル部材と第2のハンドル部材12、14との間の相対角変位を感知するために、光学センサ、電気機械センサなどの他の型式の位置センサも操作制御装置10で使用できることを当業者は理解されたい。
【0022】
図5A及び図5Bは、2つのハンドル部材12、14が、図3A及び図3Bに示される位置感知ユニットで使用されるシャフト30の長手方向軸に平行であるX軸に沿って互いに対して回転することを可能にする例示的な結合機構を示す。この例示的な結合機構では、単軸位置感知は、第2のハンドル部材14に固定された2つの永久磁石47a、47bを備えた単軸ホール・センサ・ユニットを使用して実行される。シャフト30は旋回可能な方法で第2のハンドル部材14のシート42に係合される。シート42に隣接するシャフト30の端部において、ホールセンサ48がシャフト30に取り付けられている。ピッチング動作の結果としてシャフト30がシート42に対して旋回すると、ホールセンサ48は、シャフト30の角変位に比例するセンサ信号を生成し、従って、センサ信号は、第2のハンドル部材14に対するX軸の周りの第1のハンドル部材12の回転角にも比例する。
【0023】
単軸ホール・センサ・ユニットでは、戻りばね44を使用して、ピッチング動作時にハンドル部材12、14をそれらの初期位置に強制的に戻すことができる。この戻り効果により、単軸位置感知ユニットにも特定のゼロ位置があり、累積的な位置決め誤差を排除した結果、非常に正確な操作が可能になる。
【0024】
シャフト30が旋回すると、その横方向カム41は、インサート45をシート42内でも旋回させるように強制し、このインサート45は、アイドル状態で無負荷である戻りばね44の力に抗して可動部材46を上方に押す。可動部材46は、第2のハンドル部材14に枢動可能に結合されている。
【0025】
上記の関節機構は、ハウジングの2つのハンドル部材が3つの軸の周りで互いに独立して回転することができるので、3つの自由度による制御の可能性を提供する。装置のアイドル位置では、ハンドル部材の関節の3つの軸が互いに垂直であることが好ましいが、当業者は、軸がまた、装置のアイドル位置において互いの間の他の角度を規定し得ることを理解されるべきである。
【0026】
当業者は、1つ又は2つの軸に沿った互いに対するハンドル部材の回転を遮断することによって、ハウジングの2つのハンドル部材間のリンケージが3自由度未満、例えば2自由度又は1自由度のみを有するように制限され得ることも理解されるべきである。機械的停止部材をリンケージの結合機構内で使用して、一方のハンドル部材が任意の軸に沿って他方のハンドル部材に対して旋回することを防ぐことができる。
【0027】
一実施例では、操作制御装置は、少なくとも1つの親指機構、好ましくは1つ又は2つの親指機構を更に備える。1つ又は複数の親指機構は、装置のハウジングの上側に配置されている。各親指機構は、ユーザの親指の特定の動きを通じて操作制御に最大3つの追加の自由度を提供するように構成され得る。その結果、操作制御装置に2つの親指機構が含まれている場合、1つ又は複数の物理オブジェクト又は仮想オブジェクトの動きを同時に最大9自由度で制御するように適合される。
【0028】
操作制御装置が2つの親指機構を含むいくつかの実施例では、親指機構の1つは、z方向に沿ったその変位がブロックされている間、x及びy方向に2自由度のみを有するように構成され得る。この構成では、最大8自由度で、1つ又は複数の物理オブジェクト又は仮想オブジェクトの動きを同時に制御するように適合されているため、装置をより簡単に操作できる。
【0029】
一実施例では、図13に概略的に示されているように、操作制御装置10は、1つの親指機構のみを含み得る。この場合、単一の親指機構は、装置10のハウジング11の上側、第1又は第2のハンドル部材12、14のいずれかに配置され得る。単一の親指機構は、操作制御に3つの自由度を提供するように構成されている。結果として、操作制御装置10のこの実施例は、最大6自由度によって、1つ又は複数の物理オブジェクト又は仮想オブジェクトの動きを同時に制御するように適合されている。
【0030】
親指機構は、X軸とY軸の周りのピボット動作とZ軸に沿ったプッシュプル動作を含む三軸操作を可能にし得る。図1及び他の図に示されるように、各親指機構は、ユーザの親指を受け入れるための親指固定ユニット50を備える。親指固定ユニット50は、親指をその中に便利に挿入し、安定して保持するように設計された閉リング又は開リングであり得る。親指機構の構造と動作については、図6図10を参照して説明する。
【0031】
図6Aから図6Cは、Z軸に沿った親指固定ユニットの動きを可能にする例示的な単軸結合機構の動作を概略的に示している。この例示的な単軸結合機構では、ハウジング52を使用して、ばね54を保持し、機構の位置決め要素56に支持体55を提供する。支持体55は、ハウジング52に堅固に取り付けられている。位置決め要素56は、その一端でばね54に固定され、傾斜要素58に枢動可能に結合される。傾斜要素58はまた、旋回可能な方法でハウジング52に結合されている。機構の初期アイドル状態を図6aに示す。この状態では、ばねが取り外されている。
【0032】
図6Bには、単軸結合機構の下部位置が示されている。この位置では、傾斜要素の作動部分(即ち、図6A図6Cのその右側)が押し下げられるので、位置決め要素56は、ばね54を圧縮することにより、支持体55によって旋回され、次いで、位置決め要素56を介して傾斜要素58に戻り力が及ぼされる。
【0033】
図6Cは、単軸結合機構の上部位置を示している。この位置では、単軸結合要素の作動部分が引き上げられるので、位置決め要素56は、ばね54を拡張しながら支持体55によって旋回され、次いで、位置決め要素56を介して傾斜要素58に戻り力が及ぼされる。
【0034】
ばね54によって加えられる戻り力のために、親指機構の単軸位置感知ユニットは、特定のゼロ位置を有し、これにより、累積的な位置決め誤差が排除され、その結果、非常に正確な操作が可能になる。親指の動きは解剖学的理由により上方向と下方向で異なる力を必要とするため、ばね54の戻り力は反対方向で異なり得ることに留意されたい。
【0035】
いくつかの実施例では、親指固定ユニットの単軸結合機構は、そのアイドル位置から一方向にのみ、即ち上向き又は下向きにのみ変位を可能にするように構成され得る。この目的のために、アイドル状態(図6A)における位置決め要素56の上方又は下方への動きは、それぞれのロック要素(図示せず)によって遮断され得る。従って、傾斜要素58は、上方向(図6Cに示されるように)又は下方向(図6Bに示されるように)のいずれかに移動することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの親指機構の単軸結合機構の構造及び動作は、図6A図6Cに示されているものとは異なり得る。例えば、単軸結合機構は、ばね54の代わりに、又はばね54に加えて、磁気要素を含み得る。他の結合機構もまた考えられ得る。
【0037】
図7は、本発明による操作制御装置の一実施例における単軸結合機構の分解図であり、図8は、同じ単軸結合機構を断面図で示している。これらの図では、図6及び図7と同じ参照番号を使用して要素を示している。
【0038】
図9は、本発明による操作制御装置の例示的な実施例における親指固定ユニットの連結部分を示しており、単軸ホール・センサ・ユニットは、Z軸に沿った親指固定ユニットの動きを検出するための位置感知ユニットとして、親指固定ユニットの単軸結合機構に統合されている。単軸ホール・センサ・ユニットは、ハンドル部材12、14のハウジング内に取り付けられている。センサユニットは、傾斜要素58の両側に2つの永久磁石60を備え、ホールセンサ62は、2つの磁石60の間の傾斜要素58に固定されている。傾斜要素58が押し下げられるか又は引き上げられるとき、その上に取り付けられたホールセンサ62は、傾斜素子58の変位に比例するセンサ信号を生成し、従って、センサ信号はまた、それぞれハンドル部材12、14に対するZ軸に沿った親指固定ユニット50の垂直変位に比例する。
【0039】
本明細書に記載の親指固定ユニットの例示的な単軸結合機構は、位置センサとして単軸ホールセンサを採用しているが、当業者は、光学センサ、電気機械センサなどの他の型式の位置センサもまた、第1及び第2のハンドル部材12、14に関して親指固定ユニットの線形変位を感知するための操作制御装置10において使用され得ることを理解されたい。
【0040】
当業者は、操作制御装置の適用分野に応じて、親指固定ユニットの単軸結合機構が、例えば、そのゼロ位置より下の移動範囲内(戻りばねが除荷される場所)、又は停止部材によるそのゼロ位置より上の移動範囲内のみのような、限られた経路に沿ってのみ動作するように構成され得ることを理解されたい。装置の特定の実施例では、親指固定ユニットの垂直方向の動きを完全に遮断することができ、それにより、親指固定ユニットの利用可能な自由度の数を減らすことができる。
【0041】
親指機構の二軸旋回動作は、単軸結合機構の作動部分に固定された従来のアナログ位置センサユニット64によって検出することができる。一実施例では、親指固定ユニット50は、ハンドル部材12内の親指機構全体の構造要素を示す図10に示されるように、アナログ位置センサユニット64から上方に突出するステムに固定され得る。
【0042】
いずれかの軸に沿って装置のハウジングに対して停止部材を介してユニットの枢動を機械的にブロックすることによって、親指固定ユニットの二軸結合機構もまた1自由度に制限され得ることが当業者によって理解されるべきである。
【0043】
図11A及び図11Bは、例示の目的で、本発明の一実施例による操作制御装置10の内部構造を、それぞれ上斜視図及び下斜視図で示している。これらの図では、例示的な結合機構に関連して上記の様々な部品の配置が示されている。装置の部品を識別するために、前の図と同じ参照番号がここで使用される。
【0044】
図11Cは、本発明の第1の態様による、操作制御装置10の2つのハンドル部材12、14を下から斜視図で組み立てるステップを示している。最初に、2つのハンドル部材12、14は、別々の形態で利用可能であり、両方とも、以前にその中に取り付けられた多くの部品を備えている。第1のステップでは、可動部材46は、ハンドル部材12内に旋回可能な方法で挿入及び固定される。次に、インサート45を備えたシート42が部材12に取り付けられ、続いてシャフト30がシート45に押し込まれ、シャフト30は既に他のハンドル部材14に取り付けられている。最後に、戻り止めピン80がシャフト30の端部に挿入され、上記端部はシート45内で枢動可能に案内される。
【0045】
更なる態様では、本発明はまた、それぞれが最大3自由度の多軸制御を提供する2つの親指機構を備えた一体型ハウジングを含む操作制御装置に関する。第2の態様の操作制御装置の例示的な実施例は、図12に概略的に示されている。
【0046】
図12に示されるように、操作制御装置100は、第1の態様の装置に関して上で紹介されたものと同様又は同じ両手設計を備えた一体型ハウジング13を有する。この場合、操作制御装置100は、操作のための2つの親指機構を備えているが、中央リンケージを有さない。
【0047】
2つの親指機構のうちの少なくとも1つ、好ましくはそれらの両方は、親指固定ユニット50を3つの独立した方向に動かすことを可能にするように構成され、従って最大3自由度による操作制御を提供する。親指操作機構の構造及び動作は、図6から図10を参照して上で説明したものと同じであり得る。この装置100は、装置のハウジング13の構成が単純化されているため、より使いやすい場合がある。操作制御装置100のこの実施例は、最大6つの自由度を提供するが、装置の適用分野によっては、親指固定ユニット50の結合機構は、限定された構成を提供するために1つ又は複数の方向で機械的にブロックされ得、親指機構の少なくとも1つは、z軸の動きを可能にすべきであるという制限がある。
【0048】
一実施例では、上記のように2つの親指機構を備えている装置100の一体型ハウジング13に、三軸デジタル・ジャイロスコープ・ユニットを統合することができる。
【0049】
従来のデジタルジャイロスコープを含み得るデジタル・ジャイロスコープ・ユニットは、3つの直交する方向での装置100のハウジング13の傾斜を感知し、従って、操作制御装置100のハウジング13の空間角運動を示すセンサ信号を生成するように適合されている。
【0050】
本発明による操作制御装置は、センサ信号を処理し、上記センサ信号に基づいて、操作制御信号を生成し、コンピュータ、ドローン、手術操作ツールなどのプロセッサ装置に送信するための従来の電子回路を更に備えている。制御信号は、有線又は無線の方法で操作制御装置から送信することができる。操作制御装置は、装置の電子回路及びセンサを操作するためのバッテリ又は他の電源を更に含み得る。操作制御装置がワイヤを介してプロセッサ装置に取り付けられている場合、操作制御装置の電源は、制御装置によってワイヤを介して提供され得るので、操作制御装置内に電池は必要ない。
【0051】
本明細書に記載の操作制御装置の使用は、コンピュータゲーム又は他のコンピュータアプリケーションの制御に限定されないことに留意されたい。本発明による操作制御装置は、医療手術、ドローン制御、及び、物理的環境又は仮想的環境のいずれかで9自由度で1つ又は複数のオブジェクトを操作する必要がある他の多くの分野においても操作ツールとして等しく使用することができる。
【0052】
本発明による操作制御装置はまた、追加の制御オプションのためのボタン又はトリガなどの、装置のハウジング上の1つ又は複数の従来の入力制御を備えていてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】