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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ポスト碍子及び直流送電装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/20 20060101AFI20220627BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220627BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01B17/20 Z
H02G7/00
H02G1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549161
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020120849
(87)【国際公開番号】W WO2021196562
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010256071.3
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521364890
【氏名又は名称】ステイト グリッド コーポレーション オブ チャイナ
【氏名又は名称原語表記】STATE GRID CORPORATION OF CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】521364904
【氏名又は名称】シノマ アドバンスド マテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINOMA ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】521364915
【氏名又は名称】ノース チャイナ エレクトリック パワー ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】NORTH CHINA ELECTRIC POWER UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】521364926
【氏名又は名称】シノマ ジァンシィー インシュレーター アンド エレクトリシティ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINOMA JIANGXI INSULATOR AND ELECTRICITY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ルー リーチェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファーチャン
(72)【発明者】
【氏名】チー ボー
(72)【発明者】
【氏名】チョン ツィーイー
(72)【発明者】
【氏名】リー チェンロン
(72)【発明者】
【氏名】グオ ツィージュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ヤンシア
【テーマコード(参考)】
5G331
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G331AA05
5G331CA01
5G331CA04
5G331DA01
5G352AD03
5G367AB03
(57)【要約】
ポスト碍子は、対向する第1の端部と第2の端部を有する絶縁ポストと、前記絶縁ポストの第1の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される高圧側均圧環と、前記絶縁ポストの第2の端部に接続され、かつ前記接地側均圧環と絶縁される接地側均圧環と、前記絶縁ポストの外表面に設けられ、前記絶縁ポストと絶縁され、前記電荷制御リングが表面電荷を蓄積するように構成される電荷制御リングと有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の端部と第2の端部を有する絶縁ポストと、
前記絶縁ポストの第1の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される高圧側均圧環と、
前記絶縁ポストの第2の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される接地側均圧環と、
前記絶縁ポストの外表面に設けられ、前記絶縁ポストと絶縁され、表面電荷を蓄積するように構成される電荷制御リングと、を有するポスト碍子。
【請求項2】
前記電荷制御リングは、その表面電荷蓄積能力が前記絶縁ポストの表面電荷蓄積能力より強くなるように構成される、請求項1に記載のポスト碍子。
【請求項3】
前記絶縁ポストの軸方向に沿った、前記電荷制御リングと前記高圧側均圧環との間の距離は、前記電荷制御リングと前記接地側均圧環との間の距離よりも大きい、請求項1~2のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項4】
前記電荷制御リングの材料は、イオンドープにより改質された窒化ケイ素、イオンドープにより改質されたアルミナ、イオンドープにより改質されたジルコニア及び表面改質されたエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項5】
前記絶縁ポストの軸方向に沿った、前記電荷制御リングの寸法は約20mm~30mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項6】
前記絶縁ポストの径方向に沿った、前記電荷制御リングの寸法は約5mm~10mmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項7】
前記電荷制御リングは、前記絶縁ポストと同軸の環状突起である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項8】
前記電荷制御リングの表面粗さは、前記絶縁ポストの表面粗さよりも小さい、請求項1~7のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項9】
前記高圧側均圧環の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記接地側均圧環の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項10】
前記絶縁ポストの材料は、エポキシ樹脂及びセラミックのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のポスト碍子。
【請求項11】
内部に閉鎖空間を有する金属ケースと、
金属ケースの閉鎖空間内に設けられる高電圧電流伝導ロッドと、
少なくとも1つの、請求項1~10のいずれ1項に記載のポスト碍子であって、高圧側均圧環が前記高電圧電流伝導ロッドに接続され、接地側均圧環が前記金属ケースに接続されるポスト碍子と、
閉鎖空間内に充填された絶縁ガスと、を備える直流送電装置。
【請求項12】
前記絶縁ガスは、六フッ化硫黄ガス、又は六フッ化硫黄ガスと窒素ガスとの混合ガスを含む、請求項11に記載の直流送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年04月02日に出願された、出願番号が202010256071.3である中国特許出願を基礎とする優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電力装置分野に関し、特にポスト碍子及び直流送電装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、電気エネルギーの長距離、大容量伝送は、直流送電技術、特に超高圧直流送電技術によって実現されることが多い。従来、電気エネルギーの長距離伝送を実現するために、ガス絶縁金属閉鎖送電線(GIL)などのような直流送電装置がよく使用される。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本開示の実施例は、ポスト碍子を提供する。該ポスト碍子は、絶縁ポスト、高圧側均圧環、接地側均圧環及び電荷制御リングを有する。絶縁ポストは、対向する第1の端部と第2の端部を有する。高圧側均圧環は、前記絶縁ポストの第1の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される。接地側均圧環は、前記絶縁ポストの第2の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される。前記電荷制御リングは、前記絶縁ポストの外表面に設けられ、前記電荷制御リングは前記絶縁ポストと絶縁され、前記電荷制御リングは、表面電荷を蓄積するように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記電荷制御リングは、前記絶縁ポストより表面電荷蓄積能力が強くなるように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングと高圧側均圧環との間の距離は、電荷制御リングと接地側均圧環との間の距離よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングの材料は、イオンドープにより改質された窒化ケイ素、イオンドープにより改質されたアルミナ、イオンドープにより改質されたジルコニア及び表面改質されたエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングの寸法は約20mm~約30mmである。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングの寸法は約5mm~約10mmである。
【0010】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングは、絶縁ポストと同軸の環状突起である。
【0011】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングの表面粗さは、絶縁ポストの表面粗さよりも小さい。
【0012】
いくつかの実施形態では、高圧側均圧環の材料は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金及び銅合金のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、接地側均圧環の材料は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金及び銅合金のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、絶縁ポストの材料は、エポキシ樹脂及びセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
別の態様において、本開示の実施例は、直流送電装置を提供する。該直流送電装置は、内部に密閉空間を有する金属ケースと、金属ケースの密閉空間内に設けられる高電圧電流伝導ロッド(high-voltage current-conducting rod)と、少なくとも1つの上述したポスト碍子であって、その高圧側均圧環が高電圧電流伝導ロッドに接続され、接地側均圧環が前記金属ケースに接続されるポスト碍子と、前記密閉空間内に充填された絶縁ガスと、を備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ガスは、六フッ化硫黄ガス、又は六フッ化硫黄ガスと窒素ガスとの混合ガスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本開示における技術案をより明確に説明するために、本開示のいくつかの実施形態において必要とされる図面を概略に紹介する。勿論、以下に説明される図面は、あくまで本開示の実施例の一部であり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。また、これらの図面は、概略図とみなされてもよく、本開示の実施形態に係る製品の実際の寸法、方法の実際のプロセス、信号の実際のタイミングなどを限定するものではない。
【0017】
図1】本開示のいくつか実施例に係わる超高圧直流送電装置の構成図である。
図2】従来の技術の超高圧直流送電用のポスト碍子の構造図である。
図3】本開示のいくつかの実施例に係わるポスト碍子の立体図である。
図4】本開示のいくつかの実施例に係わる図3のポスト碍子のA-A’方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術案を、明確かつ完全に説明するが、勿論、ここに説明される実施例は、あくまで本開示の実施例の一部であり、本開示の全ての実施例ではない。本開示の実施例に基づいて、当業者が格別の創意がなく容易に想到できる他の全ての実施例は、本開示の権利範囲に属するものとする。
【0019】
本明細書において、別途説明されていない限り、用語「有する/含む(comprise/include)」又はその任意の他の変形形態は、例えば、三人称単数「有する/含む(comprises/includes)」及び現在分詞「有する/含む(comprising/including)」、開放的、包含的な意味と解釈される、即ち、「~を含むが、これに限定されない」を意味している。また、用語「一実施形態(one embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「例示的な実施形態(exemplary embodiments)」、「一例(example)」、「特定の一例(specific example)」又は「いくつかの例(some examples)」などは、その実施形態又は実施例に関連する特定の特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態又は一例に含まれることを意味している。上述の意図的な表示は、必ずしも同じ実施形態又は同じ例を示すものではない。また、上述の特定の特徴、構造、材料又は特点は、任意の適切な方法で、任意の1つ又は複数の実施形態又は例に含まれてもよい。
【0020】
以下、用語「第1の」、「第2の」などのような関連用語は、説明するために使用されるものであり、相対的な重要性を明示か又は暗示するものとして、又は示される技術的特徴の数を示すものとして理解されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と限定された特徴は、1つ又は複数のその特徴を含むことを明示又は暗示し得る。本開示の実施例の説明において、別途説明されていない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0021】
いくつかの実施例を説明する際に、「接続」とその派生表現は使用されることがある。例えば、いくつかの実施例を説明するとき、「接続」という用語は、2つ以上の構成要素が互いに直接物理的又は電気的に接触することを示すために使用される。勿論、これら2つ以上の構成要素は、他の要素を介して接続されてもよい。ここに開示される実施例は、必ずしも本明細書の内容に限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」と同じ意味を有し、それぞれ以下のA、B及びCの組み合わせ:Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、並びにA、BとCの組み合わせを含む。
【0023】
「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、並びにAとBの組み合わせの3つの組み合わせを含む。
【0024】
本明細書で使用されるように、「約」又は「近似」は、記載された値及び特定の値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含み、前記許容可能な偏差範囲は、当業者によって検討される測定及び特定量の測定に関連する誤差(すなわち、測定システムの制限性)を考慮して決定される。
【0025】
直流送電装置は、一般的に、金属ケースと、金属ケース内に密封される絶縁ガスと、絶縁支持体としてのポスト碍子と、を備える。絶縁支持体は、直流送電装置のコア構成要素の1つであり、その性能が直流送電装置の動作及び電気エネルギー伝送の確実性を決定する。
【0026】
超高圧直流送電装置は、生産、輸送、据付、動作などの過程において、その内部には金属、不純物などの粒子状物質が存在する可能性がある。これらの粒子状物質の自由運動は、絶縁ガスの絶縁強度を急激に低下させ、ひいてはポスト碍子表面の電場歪を引き起こし、ポスト碍子表面の電荷の運動を加速させて、ポスト碍子表面の絶縁機能を破壊し、ポスト碍子全体の絶縁不良を招く恐れがある。
【0027】
本開示のいくつかの実施例は、例えば超高圧直流送電装置などのような直流送電装置を提供する。例示的に、該超高圧直流送電装置は、壁通し碍管又はガス絶縁金属閉鎖送電線である。
【0028】
図1に示すように、該直流送電装置は、高電圧電流伝導ロッド101と、金属ケース102と、絶縁ガス103と、少なくとも1つのポスト碍子104と、を備える。金属ケース102の内部は閉鎖空間であり、かつ金属ケース102は接地される。高電圧電流伝導ロッド101は、金属ケース102の閉鎖空間内に設けられ、かつ電流を伝送するように構成される。ポスト碍子104の一端は高電圧電流伝導ロッド101に接続され、他の一端は金属ケース102の内側表面に接続される。ポスト碍子104は、絶縁支持体として、高電圧電流伝導ロッド101を支え、かつ高電圧電流伝導ロッド101を金属ケース102と絶縁させるように構成される。絶縁ガス103は、金属ケース102の閉鎖空間内に充填される。該絶縁ガス103は、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガス、又は六フッ化硫黄ガスと窒素ガスとの混合ガスである。
【0029】
図3図4に示すように、いくつかの実施例では、該ポスト碍子104は、高圧側均圧環301と、絶縁ポスト302と、電荷制御リング303と、接地側均圧環304とを有する。
【0030】
図4に示すように、高圧側均圧環301、電荷制御リング303及び接地側均圧環304は、いずれも絶縁ポスト302を囲むように構成されてもよい。
【0031】
図3図4に示すように、絶縁ポスト302は、対向する第1の端部と第2の端部を有する。高圧側均圧環301は、絶縁ポスト302の第1の端部に接続され、かつ絶縁ポスト302は、高圧側均圧環301と絶縁される。接地側均圧環304は、絶縁ポスト302の第2の端部に接続され、かつ絶縁ポスト302は、接地側均圧環304と絶縁される。
【0032】
例示的に、高圧側均圧環301は、第1の均圧環及び第1の均圧環に固定し接続される第1の固定具を有し、該第1の固定具は、第1の均圧環の中心に絶縁ポスト302の第1の端部と嵌合する第1の凹溝を有し、高圧側均圧環301は、この第1の凹溝によって絶縁ポスト302の第1の端部に外嵌され、接地側均圧環304は、第2の均圧環及び第2の均圧環に固定し接続される第2の固定具を有し、該第2の固定具は、第2の均圧環の中心に絶縁ポスト302の第2の端部に嵌合する第2の凹溝を有し、接地側均圧環304は、この第2の凹溝によって絶縁ポスト302の第2の端部に外嵌される。また、例示的に、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、それぞれリブとボルトによって絶縁ポスト302の第1の端部と第2の端部に固定される。ここで、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は絶縁ポスト302に外嵌され、ボルト固定によるボルト接続部の受力の不均一や電場の不均一を回避することができる。
【0033】
高圧側均圧環301は、超高圧直流送電装置の高電圧電流伝導ロッド101と電気的に接続される。高圧側均圧環301は、高圧側均圧環301の所在する絶縁ポスト302の高圧側の電場を均一に分布するように構成される。接地側均圧環304は、超高圧直流送電装置の金属ケース102と電気的に接続される。接地側均圧環304は、接地側均圧環304の所在する絶縁ポスト302の接地側の電場を均一に分布するように構成される。高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、電界分布の不均一による、絶縁ポスト302の一部放電を防止し、絶縁ポスト302を保護することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、両方とも金属材料を含む。例示的に、高圧側均圧環301の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含む。接地側均圧環304の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
図3における高圧側均圧環301と接地側均圧環304の形状及び幾何学的寸法は、例示的なものであり、本開示の実施例を限定するものではない。高圧側均圧環301と接地側均圧環304が絶縁ポスト302と相互に嵌合し、高圧側と接地側の電界を均一に分布することができる限り、これに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、絶縁ポスト302の材料は、エポキシ樹脂及びセラミックのうちの少なくとも1つを含む。例示的に、絶縁ポスト302の材料は、セラミック又はセラミック改質材料であり、又は絶縁ポスト302の材料はエポキシ樹脂をベースとする絶縁材料である。また、図3の絶縁ポスト302の形状と幾何学的寸法は、例示的なものであり、絶縁ポスト302を限定するものではない。
【0037】
図3図4に示すように、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302の外表面に設けられ、かつ電荷制御リング303は絶縁ポスト302と絶縁される。例示的に、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302と同軸の環状部品、例えば環状凸部であり、絶縁ポスト302の外表面に外嵌される。電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積するように構成される。
【0038】
なお、絶縁ポスト302は、中実体であってもよく、中空体であってもよく、本開示はこれに限定されない。ここで、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302の外表面に外嵌される。
【0039】
電荷制御リング303の機能は、運行条件の直流電界では、その表面には粒子状物質(例えば、金属又は不純物)を引き付ける表面電荷が蓄積され、かつ表面電荷が電荷制御リング303の表面に電界を形成し、粒子状物質が電荷制御リング303に近づくとき、電界が放電して、より高いエネルギーを生成し、粒子状物質を相変化(例えば、液化又は昇華など)又は化学変化させ、それによって、粒子状物質を除去する。
【0040】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力は、絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強い。ここで、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強いことは、同じ条件下で、電荷制御リング303は、絶縁性支柱302よりも表面に電荷を蓄積し易いことを意味する。例えば、電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積し易い材料で作られる。
【0041】
電荷制御リング303の表面に蓄積される表面電荷は、高電圧側の電荷と異極性又は同極性の表面電荷を含む。電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強いため、運行条件の直流電界では、電荷制御リング303が蓄積する表面電荷の数は、絶縁ポスト302が蓄積する表面電荷より多くなる。電荷制御リング303が蓄積する表面電荷は、電界を形成し、この電界は、超高圧直流送電装置内の粒子状物質を引き付けることができ、かつ電荷制御リング303の表面に蓄積する表面電荷の量が多ければ多いほど、形成される電界の電界強度が大きくなる。電荷制御リング303の表面電界の電界強度が電荷制御リング303の表面の絶縁強度を超えると、電荷制御リング303は、沿面放電及び/又は対地放電を起こされる。こうすると、沿面放電及び/又は対地放電は、より高いエネルギーを生成することができ、該エネルギーが粒子状物質を相変化(例えば液化又は昇華など)させ、それゆえに金属、不純物などの粒子状物質を除去することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷によって形成される電場は、電荷制御リング303と接地側均圧環304との間で放電し、粒子状物質を相変化させる。
【0043】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷によって形成される電場は、電荷制御リング303と金属ケース102との間で放電し、粒子状物質を相変化させる。
【0044】
図2に示すように、従来の技術では、ポスト碍子104は、高圧側均圧環201と、絶縁ポスト202と、接地側均圧環203とを有する。絶縁ポスト202の両端は、それぞれ高圧側均圧環201と接地側均圧環203に接続され、かつ絶縁ポスト202は、高圧側均圧環201と接地側均圧環203と絶縁される。従来の技術では、ポスト碍子104は、電荷制御リングを備えなく、直流送電装置に適用される場合、直流送電装置内のポスト碍子に近い位置に粒子トラップを設けて粒子状物質を収集する必要がある。一方、金属や不純物などの粒子状物質は、捕まえる前にポスト碍子104の絶縁性能に不可逆的な破壊をもたらした可能性がある。もう一方、粒子トラップが金属、不純物などの粒子状物質を大量に閉じ込めた場合にも、粒子状物質がぶつかりあい、微粒子が粒子トラップから逃げ出す恐れがある。また、超高圧直流送電装置において、高電圧電流伝導ロッド101は、直流超高圧電気エネルギーのキャリアとして、使用中に熱が発生し、この熱により高電圧電流伝導ロッド101、金属ケース102、及び外部環境の温度勾配が生じ、超高圧直流送電装置内に循環気流が形成され、この気流が金属、不純物などの粒子状物質を粒子トラップから吹き飛ばす可能性がある。したがって、従来の技術における粒子トラップの使用方法は、粒子状物質を収集するものだけであり、粒子状物質を完全かつ効果的に拘束し除去し、また支柱絶縁子に対する粒子状物質の潜在的なリスクを排除することができない。
【0045】
本開示のいくつかの実施例によって提供されるポスト碍子104は、絶縁ポスト302の表面に電荷制御リング303が設けられ、一方、電荷制御リング303は、運行条件の直流電場で、その表面に大量の表面電荷を蓄積して電界を形成し得る。したがって、直流送電装置内に金属や不純物などの粒子状物質がある場合、これらの粒子状物質は、静電誘導により電荷制御リング303に近寄るように引き付けられる。一方、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁性支柱302の表面電荷蓄積能力より強く、電荷制御リング303は、絶縁性支柱302よりも表面に多くの表面電荷を蓄積することができるので、絶縁性支柱303の表面と絶縁性支柱302の表面の両方に表面電荷が蓄積されるとき、電荷制御リング303表面の法線電界成分が大きく、粒子状物質を引き付けしやすくなる。また、電荷制御リング303の表面に蓄積された大量の表面電荷により、強い電界が生成され、この電界の電界強度が電荷制御リング303の表面の絶縁強度を超えると、沿面放電及び/又は対地放電が発生する可能性があるが、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の絶縁が依然として維持される。沿面放電及び/又は対地放電によるエネルギーにより、金属や不純物等の粒状物が液化、昇華等の相変化を起こし、さらに金属や不純物等の粒状物が周囲の絶縁ガス(例えばSF6)と反応して、最終的には、金属や不純物等の粒状物が複合体を形成し、高圧側均圧環301、接地側均圧環304、又は金属ケース102等の、絶縁性能に影響を与えない位置に堆積することになる。したがって、粒子状物質によるポスト碍子への潜在的なリスクを排除することができる。
【0046】
このように、本発明のいくつかの実施例によって提供されるポスト碍子104は、電荷制御リング303を用いて金属や不純物等の粒子状物質を除去し、該ポスト碍子104が直流送電装置に適用される場合、粒子状物質を捕集するための粒子トラップを設ける必要がなくなり、従来の粒子トラップを設けることによって発生しうる不都合を回避することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、図3図4図3のポスト碍子104のA-A‘方向に沿った断面図)に示すように、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の距離は、電荷制御リング303と接地側均圧環304との間の距離よりも大きい。ここで、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の距離とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303において最も高圧側均圧環301に近い位置と、高圧側均圧環301において最も電荷制御リング303に近い位置との間の距離を指す。電荷制御リング303と接地側均圧環304との間の距離とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303において最も接地側均圧環304に近い位置と、接地側均圧環304において最も電荷制御リング303に近い位置との間の距離を指す。
【0048】
電界の有限要素計算解析によると、電荷制御リング303と絶縁ポスト302の接地側均圧環304との距離が比較的近い(すなわち、電荷制御リング303と接地側均圧環304との距離が電荷制御リング303と高圧側均圧環301との距離よりも小さい)場合、電荷制御リング303が表面電荷を蓄積すると、その表面電荷が高圧側の電界分布に与える影響は、接地側の電界分布に与える影響よりも小さくなり、電荷制御リング303の表面に蓄積された表面電荷による電界が絶縁ポスト302表面の絶縁特性に影響を及ぼすことを回避できる。また、電荷制御リング303と絶縁ポスト302の接地側均圧環304との距離が比較的近い(すなわち、電荷制御リング303と接地側均圧環304との距離が電荷制御リング303と高圧側均圧環301との距離よりも小さい)場合、電荷制御リング303の表面電荷が電界を形成する際に、その電界が接地側均圧環304に近いため、電界放電時に、金属や異物等の粒状物を接地側均圧環304又は金属ケース102に直接堆積させ、高圧側均圧環301に影響を及ぼすことなく、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の絶縁を依然として維持することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の材料は、イオンドープにより改質された窒化ケイ素、イオンドープにより改質されたアルミナ、イオンドープにより改質されたジルコニア及び表面改質されたエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む。例示的に、本発明の実施例における電荷制御リング303の材料として、イオンドープにより改質された窒化ケイ素又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナ又はその複合材料、イオンドープにより改質されたジルコニア又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナセラミック、及び表面改質されたエポキシ樹脂等のうちの少なくとも1つを用いてもよい。
【0050】
なお、イオンドープにより改質された窒化ケイ素又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナ又はその複合材料、イオンドープにより改質されたジルコニア又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナセラミック、及び表面改質されたエポキシ樹脂等は、いずれも表面電荷を蓄積しやすく、表面放電に耐える材料である。したがって、電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積しやすいため、電界を形成し、粒子状物質を除去することができる。また、これらの材料は表面放電に耐えることができるので、粒子状物質を除去すると同時に、表面放電が電荷制御リング303の絶縁特性に影響を及ばない。
【0051】
いくつかの実施例では、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303の寸法は約20mm~約30mm、例えば、20mm、22mm又は24mm、26mm、28mm又は30mmである。ここで、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303の寸法とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿って電荷制御リング303において互いに最も離れた2つの位置の間の距離を指す。例示的に、図3図4に示すように、電荷制御リング303は環状であり、その外表面は連続的な円弧面であり、電荷制御リング303の縦断面(絶縁ポスト302の軸方向に平行な断面)は円弧状(図4のBが示す位置)であると、電荷制御リング303は絶縁ポスト302の軸方向に沿った寸法とは、円弧状の2つの端点(図4のC及びDが示す位置)が絶縁ポスト302の軸方向に沿う距離を指す。
【0052】
いくつかの実施例では、絶縁ポスト302の径方向に沿った、電荷制御リング303の寸法は約5mm~約10mm、例えば、5mm、7mm又は9mmである。ここで、絶縁ポスト302の径方向に沿った、電荷制御リング303の寸法とは、絶縁ポスト302の径方向に沿って、電荷制御リング303の外表面において、絶縁ポスト302の表面から距離が最も遠い位置と絶縁ポスト302の表面との間の距離を指す。例示的に、図3図4に示すように、電荷制御リング303は環状であり、その外表面は連続的な円弧面であり、電荷制御リング303の縦断面(絶縁ポスト302の軸方向に平行な断面)は円弧状(図4のBが示す位置)であると、電荷制御リング303は絶縁ポスト302の径方向に沿った寸法とは、絶縁ポスト302の径方向に沿った、円弧状において絶縁ポスト302の表面から最も遠い位置と絶縁ポスト302の表面との間の距離を指す。
【0053】
電荷制御リング303の絶縁ポスト302の軸方向又は径方向に沿う寸法が大きすぎると、絶縁ポスト302の表面の絶縁特性に影響を与える可能性があるので、電荷制御リング303の寸法は上述範囲に控えることが好ましい。
【0054】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面粗さは、第1の閾値より小さい。物体の表面粗さが大きいほど表面電荷が蓄積されにくくなるため、電荷制御リング303の表面粗さは第1の閾値よりも小さくされる必要がある。ここで、第1の閾値の値は、管理者が電荷制御リング303の材料及び自身の経験に応じて取る値であり得る。表面粗さとは、表面加工によって電荷制御リング303の外表面に形成された、間隔が小さい山と谷の微視的な幾何学的特徴を指す。
【0055】
いくつかの実施形態では、電荷制御リング303の表面粗さは、絶縁ポスト302よりも小さい。それゆえに電荷制御リング303の表面に蓄積される表面電荷の数は、絶縁ポスト302の表面に蓄積される表面電荷より多くてもよい。電荷制御リング303上の表面電荷は、電荷制御リング303の表面に電界を形成し、この電界が粒子状物質に放電して粒子状物質を除去することで、絶縁ポスト302に影響を与えることを回避することができる。
【0056】
上述は、本開示の具体的な実施形態であり、本開示の保護範囲はこれに限定されず、当業者が、本発明に開示された技術的範囲内で容易に想到できる変形又は置換は、本開示の保護範囲に含まれるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の記載に準拠するものとする。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年04月02日に出願された、出願番号が202010256071.3である中国特許出願を基礎とする優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電力装置分野に関し、特にポスト碍子及び直流送電装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、電気エネルギーの長距離、大容量伝送は、直流送電技術、特に超高圧直流送電技術によって実現されることが多い。従来、電気エネルギーの長距離伝送を実現するために、ガス絶縁金属閉鎖送電線(GIL)などのような直流送電装置がよく使用される。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本開示の実施例は、ポスト碍子を提供する。該ポスト碍子は、絶縁ポスト、高圧側均圧環、接地側均圧環及び電荷制御リングを有する。絶縁ポストは、対向する第1の端部と第2の端部を有する。高圧側均圧環は、前記絶縁ポストの第1の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される。接地側均圧環は、前記絶縁ポストの第2の端部に接続され、かつ前記絶縁ポストと絶縁される。前記電荷制御リングは、前記絶縁ポストの外表面に設けられ、前記電荷制御リングは前記絶縁ポストと絶縁され、前記電荷制御リングは、表面電荷を蓄積するように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記電荷制御リングは、前記絶縁ポストより表面電荷蓄積能力が強くなるように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングと高圧側均圧環との間の距離は、電荷制御リングと接地側均圧環との間の距離よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングの材料は、イオンドープにより改質された窒化ケイ素、イオンドープにより改質されたアルミナ、イオンドープにより改質されたジルコニア及び表面改質されたエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングの寸法は約20mm~約30mmである。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ポストの軸方向に沿った、電荷制御リングの寸法は約5mm~約10mmである。
【0010】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングは、絶縁ポストと同軸の環状突起である。
【0011】
いくつかの実施形態では、電荷制御リングの表面粗さは、絶縁ポストの表面粗さよりも小さい。
【0012】
いくつかの実施形態では、高圧側均圧環の材料は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金及び銅合金のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、接地側均圧環の材料は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金及び銅合金のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、絶縁ポストの材料は、エポキシ樹脂及びセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
別の態様において、本開示の実施例は、直流送電装置を提供する。該直流送電装置は、内部に密閉空間を有する金属ケースと、金属ケースの密閉空間内に設けられる高電圧電流伝導ロッド(high-voltage current-conducting rod)と、少なくとも1つの上述したポスト碍子であって、その高圧側均圧環が高電圧電流伝導ロッドに接続され、接地側均圧環が前記金属ケースに接続されるポスト碍子と、前記密閉空間内に充填された絶縁ガスと、を備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記絶縁ガスは、六フッ化硫黄ガス、又は六フッ化硫黄ガスと窒素ガスとの混合ガスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本開示における技術案をより明確に説明するために、本開示のいくつかの実施形態において必要とされる図面を概略に紹介する。勿論、以下に説明される図面は、あくまで本開示の実施例の一部であり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。また、これらの図面は、概略図とみなされてもよく、本開示の実施形態に係る製品の実際の寸法、方法の実際のプロセス、信号の実際のタイミングなどを限定するものではない。
【0017】
図1】本開示のいくつか実施例に係わる超高圧直流送電装置の構成図である。
図2】従来の技術の超高圧直流送電用のポスト碍子の構造図である。
図3】本開示のいくつかの実施例に係わるポスト碍子の立体図である。
図4】本開示のいくつかの実施例に係わる図3のポスト碍子のA-A’方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術案を、明確かつ完全に説明するが、勿論、ここに説明される実施例は、あくまで本開示の実施例の一部であり、本開示の全ての実施例ではない。本開示の実施例に基づいて、当業者が格別の創意がなく容易に想到できる他の全ての実施例は、本開示の権利範囲に属するものとする。
【0019】
本明細書において、別途説明されていない限り、用語「有する/含む(comprise/include)」又はその任意の他の変形形態は、例えば、三人称単数「有する/含む(comprises/includes)」及び現在分詞「有する/含む(comprising/including)」、開放的、包含的な意味と解釈される、即ち、「~を含むが、これに限定されない」を意味している。また、用語「一実施形態(one embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「例示的な実施形態(exemplary embodiments)」、「一例(example)」、「特定の一例(specific example)」又は「いくつかの例(some examples)」などは、その実施形態又は実施例に関連する特定の特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態又は一例に含まれることを意味している。上述の意図的な表示は、必ずしも同じ実施形態又は同じ例を示すものではない。また、上述の特定の特徴、構造、材料又は特点は、任意の適切な方法で、任意の1つ又は複数の実施形態又は例に含まれてもよい。
【0020】
以下、用語「第1の」、「第2の」などのような関連用語は、説明するために使用されるものであり、相対的な重要性を明示か又は暗示するものとして、又は示される技術的特徴の数を示すものとして理解されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と限定された特徴は、1つ又は複数のその特徴を含むことを明示又は暗示し得る。本開示の実施例の説明において、別途説明されていない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0021】
いくつかの実施例を説明する際に、「接続」とその派生表現は使用されることがある。例えば、いくつかの実施例を説明するとき、「接続」という用語は、2つ以上の構成要素が互いに直接物理的又は電気的に接触することを示すために使用される。勿論、これら2つ以上の構成要素は、他の要素を介して接続されてもよい。ここに開示される実施例は、必ずしも本明細書の内容に限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」と同じ意味を有し、それぞれ以下のA、B及びCの組み合わせ:Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、並びにA、BとCの組み合わせを含む。
【0023】
「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、並びにAとBの組み合わせの3つの組み合わせを含む。
【0024】
本明細書で使用されるように、「約」又は「近似」は、記載された値及び特定の値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含み、前記許容可能な偏差範囲は、当業者によって検討される測定及び特定量の測定に関連する誤差(すなわち、測定システムの制限性)を考慮して決定される。
【0025】
直流送電装置は、一般的に、金属ケースと、金属ケース内に密封される絶縁ガスと、絶縁支持体としてのポスト碍子と、を備える。絶縁支持体は、直流送電装置のコア構成要素の1つであり、その性能が直流送電装置の動作及び電気エネルギー伝送の確実性を決定する。
【0026】
超高圧直流送電装置は、生産、輸送、据付、動作などの過程において、その内部には金属、不純物などの粒子状物質が存在する可能性がある。これらの粒子状物質の自由運動は、絶縁ガスの絶縁強度を急激に低下させ、ひいてはポスト碍子表面の電場歪を引き起こし、ポスト碍子表面の電荷の運動を加速させて、ポスト碍子表面の絶縁機能を破壊し、ポスト碍子全体の絶縁不良を招く恐れがある。
【0027】
本開示のいくつかの実施例は、例えば超高圧直流送電装置などのような直流送電装置を提供する。例示的に、該超高圧直流送電装置は、壁通し碍管又はガス絶縁金属閉鎖送電線である。
【0028】
図1に示すように、該直流送電装置は、高電圧電流伝導ロッド101と、金属ケース102と、絶縁ガス103と、少なくとも1つのポスト碍子104と、を備える。金属ケース102の内部は閉鎖空間であり、かつ金属ケース102は接地される。高電圧電流伝導ロッド101は、金属ケース102の閉鎖空間内に設けられ、かつ電流を伝送するように構成される。ポスト碍子104の一端は高電圧電流伝導ロッド101に接続され、他の一端は金属ケース102の内側表面に接続される。ポスト碍子104は、絶縁支持体として、高電圧電流伝導ロッド101を支え、かつ高電圧電流伝導ロッド101を金属ケース102と絶縁させるように構成される。絶縁ガス103は、金属ケース102の閉鎖空間内に充填される。該絶縁ガス103は、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガス、又は六フッ化硫黄ガスと窒素ガスとの混合ガスである。
【0029】
図3図4に示すように、いくつかの実施例では、該ポスト碍子104は、高圧側均圧環301と、絶縁ポスト302と、電荷制御リング303と、接地側均圧環304とを有する。
【0030】
図4に示すように、高圧側均圧環301、電荷制御リング303及び接地側均圧環304は、いずれも絶縁ポスト302を囲むように構成されてもよい。
【0031】
図3図4に示すように、絶縁ポスト302は、対向する第1の端部と第2の端部を有する。高圧側均圧環301は、絶縁ポスト302の第1の端部に接続され、かつ絶縁ポスト302は、高圧側均圧環301と絶縁される。接地側均圧環304は、絶縁ポスト302の第2の端部に接続され、かつ絶縁ポスト302は、接地側均圧環304と絶縁される。
【0032】
例示的に、高圧側均圧環301は、第1の均圧環及び第1の均圧環に固定し接続される第1の固定具を有し、該第1の固定具は、第1の均圧環の中心に絶縁ポスト302の第1の端部と嵌合する第1の凹溝を有し、高圧側均圧環301は、この第1の凹溝によって絶縁ポスト302の第1の端部に外嵌され、接地側均圧環304は、第2の均圧環及び第2の均圧環に固定し接続される第2の固定具を有し、該第2の固定具は、第2の均圧環の中心に絶縁ポスト302の第2の端部に嵌合する第2の凹溝を有し、接地側均圧環304は、この第2の凹溝によって絶縁ポスト302の第2の端部に外嵌される。また、例示的に、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、それぞれリブとボルトによって絶縁ポスト302の第1の端部と第2の端部に固定される。ここで、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は絶縁ポスト302に外嵌され、力の不均一や電場の不均一を回避することができる。
【0033】
高圧側均圧環301は、超高圧直流送電装置の高電圧電流伝導ロッド101と電気的に接続される。高圧側均圧環301は、高圧側均圧環301の所在する絶縁ポスト302の高圧側の電場を均一に分布するように構成される。接地側均圧環304は、超高圧直流送電装置の金属ケース102と電気的に接続される。接地側均圧環304は、接地側均圧環304の所在する絶縁ポスト302の接地側の電場を均一に分布するように構成される。高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、電界分布の不均一による、絶縁ポスト302の一部放電を防止し、絶縁ポスト302を保護することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、高圧側均圧環301と接地側均圧環304は、両方とも金属材料を含む。例示的に、高圧側均圧環301の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含む。接地側均圧環304の材料は、銅、アルミニウム、銅合金及びアルミニウム合金のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
図3における高圧側均圧環301と接地側均圧環304の形状及び幾何学的寸法は、例示的なものであり、本開示の実施例を限定するものではない。高圧側均圧環301と接地側均圧環304が絶縁ポスト302と相互に嵌合し、高圧側と接地側の電界を均一に分布することができる限り、これに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、絶縁ポスト302の材料は、エポキシ樹脂及びセラミックのうちの少なくとも1つを含む。例示的に、絶縁ポスト302の材料は、セラミック又はセラミック改質材料であり、又は絶縁ポスト302の材料はエポキシ樹脂をベースとする絶縁材料である。また、図3の絶縁ポスト302の形状と幾何学的寸法は、例示的なものであり、絶縁ポスト302を限定するものではない。
【0037】
図3図4に示すように、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302の外表面に設けられ、かつ電荷制御リング303は絶縁ポスト302と絶縁される。例示的に、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302と同軸の環状部品、例えば環状凸部であり、絶縁ポスト302の外表面に外嵌される。電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積するように構成される。
【0038】
なお、絶縁ポスト302は、中実体であってもよく、中空体であってもよく、本開示はこれに限定されない。ここで、電荷制御リング303は、絶縁ポスト302の外表面に外嵌される。
【0039】
電荷制御リング303の機能は、運行条件の直流電界では、その表面には粒子状物質(例えば、金属又は不純物)を引き付ける表面電荷が蓄積され、かつ表面電荷が電荷制御リング303の表面に電界を形成し、粒子状物質が電荷制御リング303に近づくとき、電界が放電して、より高いエネルギーを生成し、粒子状物質を相変化(例えば、液化又は昇華など)又は化学変化させ、それによって、粒子状物質を除去する。
【0040】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力は、絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強い。ここで、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強いことは、同じ条件下で、電荷制御リング303は、絶縁性支柱302よりも表面に電荷を蓄積し易いことを意味する。例えば、電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積し易い材料で作られる。
【0041】
電荷制御リング303の表面に蓄積される表面電荷は、高電圧側の電荷と異極性又は同極性の表面電荷を含む。電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁ポスト302の表面電荷蓄積能力よりも強いため、運行条件の直流電界では、電荷制御リング303が蓄積する表面電荷の数は、絶縁ポスト302が蓄積する表面電荷より多くなる。電荷制御リング303が蓄積する表面電荷は、電界を形成し、この電界は、超高圧直流送電装置内の粒子状物質を引き付けることができ、かつ電荷制御リング303の表面に蓄積する表面電荷の量が多ければ多いほど、形成される電界の電界強度が大きくなる。電荷制御リング303の表面電界の電界強度が電荷制御リング303の表面の絶縁強度を超えると、電荷制御リング303は、沿面放電及び/又は対地放電を起こされる。こうすると、沿面放電及び/又は対地放電は、より高いエネルギーを生成することができ、該エネルギーが粒子状物質を相変化(例えば液化又は昇華など)させ、それゆえに金属、不純物などの粒子状物質を除去することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷によって形成される電場は、電荷制御リング303と接地側均圧環304との間で放電し、粒子状物質を相変化させる。
【0043】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面電荷によって形成される電場は、電荷制御リング303と金属ケース102との間で放電し、粒子状物質を相変化させる。
【0044】
図2に示すように、従来の技術では、ポスト碍子401は、高圧側均圧環201と、絶縁ポスト202と、接地側均圧環203とを有する。絶縁ポスト202の両端は、それぞれ高圧側均圧環201と接地側均圧環203に接続され、かつ絶縁ポスト202は、高圧側均圧環201と接地側均圧環203と絶縁される。従来の技術では、ポスト碍子401は、電荷制御リングを備えなく、直流送電装置に適用される場合、直流送電装置内のポスト碍子に近い位置に粒子トラップを設けて粒子状物質を収集する必要がある。一方、金属や不純物などの粒子状物質は、捕まえる前にポスト碍子401の絶縁性能に不可逆的な破壊をもたらした可能性がある。もう一方、粒子トラップが金属、不純物などの粒子状物質を大量に閉じ込めた場合にも、粒子状物質がぶつかりあい、微粒子が粒子トラップから逃げ出す恐れがある。また、超高圧直流送電装置において、高電圧電流伝導ロッド101は、直流超高圧電気エネルギーのキャリアとして、使用中に熱が発生し、この熱により高電圧電流伝導ロッド101、金属ケース102、及び外部環境の温度勾配が生じ、超高圧直流送電装置内に循環気流が形成され、この気流が金属、不純物などの粒子状物質を粒子トラップから吹き飛ばす可能性がある。したがって、従来の技術における粒子トラップの使用方法は、粒子状物質を収集するものだけであり、粒子状物質を完全かつ効果的に拘束し除去し、また支柱絶縁子に対する粒子状物質の潜在的なリスクを排除することができない。
【0045】
本開示のいくつかの実施例によって提供されるポスト碍子104は、絶縁ポスト302の表面に電荷制御リング303が設けられ、一方、電荷制御リング303は、運行条件の直流電場で、その表面に大量の表面電荷を蓄積して電界を形成し得る。したがって、直流送電装置内に金属や不純物などの粒子状物質がある場合、これらの粒子状物質は、静電誘導により電荷制御リング303に近寄るように引き付けられる。一方、電荷制御リング303の表面電荷蓄積能力が絶縁性支柱302の表面電荷蓄積能力より強く、電荷制御リング303は、絶縁性支柱302よりも表面に多くの表面電荷を蓄積することができるので、絶縁性支柱303の表面と絶縁性支柱302の表面の両方に表面電荷が蓄積されるとき、電荷制御リング303表面の法線電界成分が大きく、粒子状物質を引き付けしやすくなる。また、電荷制御リング303の表面に蓄積された大量の表面電荷により、強い電界が生成され、この電界の電界強度が電荷制御リング303の表面の絶縁強度を超えると、沿面放電及び/又は対地放電が発生する可能性があるが、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の絶縁が依然として維持される。沿面放電及び/又は対地放電によるエネルギーにより、金属や不純物等の粒状物が液化、昇華等の相変化を起こし、さらに金属や不純物等の粒状物が周囲の絶縁ガス(例えばSF6)と反応して、最終的には、金属や不純物等の粒状物が複合体を形成し、高圧側均圧環301、接地側均圧環304、又は金属ケース102等の、絶縁性能に影響を与えない位置に堆積することになる。したがって、粒子状物質によるポスト碍子への潜在的なリスクを排除することができる。
【0046】
このように、本発明のいくつかの実施例によって提供されるポスト碍子104は、電荷制御リング303を用いて金属や不純物等の粒子状物質を除去し、該ポスト碍子104が直流送電装置に適用される場合、粒子状物質を捕集するための粒子トラップを設ける必要がなくなり、従来の粒子トラップを設けることによって発生しうる不都合を回避することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、図3図4図3のポスト碍子104のA-A’方向に沿った断面図)に示すように、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の距離は、電荷制御リング303と接地側均圧環304との間の距離よりも大きい。ここで、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の距離とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303において最も高圧側均圧環301に近い位置と、高圧側均圧環301において最も電荷制御リング303に近い位置との間の距離を指す。電荷制御リング303と接地側均圧環304との間の距離とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303において最も接地側均圧環304に近い位置と、接地側均圧環304において最も電荷制御リング303に近い位置との間の距離を指す。
【0048】
電界の有限要素計算解析によると、電荷制御リング303と絶縁ポスト302の接地側均圧環304との距離が比較的近い(すなわち、電荷制御リング303と接地側均圧環304との距離が電荷制御リング303と高圧側均圧環301との距離よりも小さい)場合、電荷制御リング303が表面電荷を蓄積すると、その表面電荷が高圧側の電界分布に与える影響は、接地側の電界分布に与える影響よりも小さくなり、電荷制御リング303の表面に蓄積された表面電荷による電界が絶縁ポスト302表面の絶縁特性に影響を及ぼすことを回避できる。また、電荷制御リング303と絶縁ポスト302の接地側均圧環304との距離が比較的近い(すなわち、電荷制御リング303と接地側均圧環304との距離が電荷制御リング303と高圧側均圧環301との距離よりも小さい)場合、電荷制御リング303の表面電荷が電界を形成する際に、その電界が接地側均圧環304に近いため、電界放電時に、金属や異物等の粒状物を接地側均圧環304又は金属ケース102に直接堆積させ、高圧側均圧環301に影響を及ぼすことなく、電荷制御リング303と高圧側均圧環301との間の絶縁を依然として維持することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の材料は、イオンドープにより改質された窒化ケイ素、イオンドープにより改質されたアルミナ、イオンドープにより改質されたジルコニア及び表面改質されたエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む。例示的に、本発明の実施例における電荷制御リング303の材料として、イオンドープにより改質された窒化ケイ素又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナ又はその複合材料、イオンドープにより改質されたジルコニア又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナセラミック、及び表面改質されたエポキシ樹脂等のうちの少なくとも1つを用いてもよい。
【0050】
なお、イオンドープにより改質された窒化ケイ素又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナ又はその複合材料、イオンドープにより改質されたジルコニア又はその複合材料、イオンドープにより改質されたアルミナセラミック、及び表面改質されたエポキシ樹脂等は、いずれも表面電荷を蓄積しやすく、表面放電に耐える材料である。したがって、電荷制御リング303は、表面電荷を蓄積しやすいため、電界を形成し、粒子状物質を除去することができる。また、これらの材料は表面放電に耐えることができるので、粒子状物質を除去すると同時に、表面放電が電荷制御リング303の絶縁特性に影響を及ばない。
【0051】
いくつかの実施例では、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303の寸法は約20mm~約30mm、例えば、20mm、22mm又は24mm、26mm、28mm又は30mmである。ここで、絶縁ポスト302の軸方向に沿った、電荷制御リング303の寸法とは、絶縁ポスト302の軸方向に沿って電荷制御リング303において互いに最も離れた2つの位置の間の距離を指す。例示的に、図3図4に示すように、電荷制御リング303は環状であり、その外表面は連続的な円弧面であり、電荷制御リング303の縦断面(絶縁ポスト302の軸方向に平行な断面)は円弧状(図4のBが示す位置)であると、電荷制御リング303は絶縁ポスト302の軸方向に沿った寸法とは、円弧状の2つの端点(図4のC及びDが示す位置)が絶縁ポスト302の軸方向に沿う距離を指す。
【0052】
いくつかの実施例では、絶縁ポスト302の径方向に沿った、電荷制御リング303の寸法は約5mm~約10mm、例えば、5mm、7mm又は9mmである。ここで、絶縁ポスト302の径方向に沿った、電荷制御リング303の寸法とは、絶縁ポスト302の径方向に沿って、電荷制御リング303の外表面において、絶縁ポスト302の表面から距離が最も遠い位置と絶縁ポスト302の表面との間の距離を指す。例示的に、図3図4に示すように、電荷制御リング303は環状であり、その外表面は連続的な円弧面であり、電荷制御リング303の縦断面(絶縁ポスト302の軸方向に平行な断面)は円弧状(図4のBが示す位置)であると、電荷制御リング303は絶縁ポスト302の径方向に沿った寸法とは、絶縁ポスト302の径方向に沿った、円弧状において絶縁ポスト302の表面から最も遠い位置と絶縁ポスト302の表面との間の距離を指す。
【0053】
電荷制御リング303の絶縁ポスト302の軸方向又は径方向に沿う寸法が大きすぎると、絶縁ポスト302の表面の絶縁特性に影響を与える可能性があるので、電荷制御リング303の寸法は上述範囲に控えることが好ましい。
【0054】
いくつかの実施例では、電荷制御リング303の表面粗さは、第1の閾値より小さい。物体の表面粗さが大きいほど表面電荷が蓄積されにくくなるため、電荷制御リング303の表面粗さは第1の閾値よりも小さくされる必要がある。ここで、第1の閾値の値は、管理者が電荷制御リング303の材料及び自身の経験に応じて取る値であり得る。表面粗さとは、表面加工によって電荷制御リング303の外表面に形成された、間隔が小さい山と谷の微視的な幾何学的特徴を指す。
【0055】
いくつかの実施形態では、電荷制御リング303の表面粗さは、絶縁ポスト302よりも小さい。それゆえに電荷制御リング303の表面に蓄積される表面電荷の数は、絶縁ポスト302の表面に蓄積される表面電荷より多くてもよい。電荷制御リング303上の表面電荷は、電荷制御リング303の表面に電界を形成し、この電界が粒子状物質に放電して粒子状物質を除去することで、絶縁ポスト302に影響を与えることを回避することができる。
【0056】
上述は、本開示の具体的な実施形態であり、本開示の保護範囲はこれに限定されず、当業者が、本発明に開示された技術的範囲内で容易に想到できる変形又は置換は、本開示の保護範囲に含まれるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の記載に準拠するものとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】