(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-04
(54)【発明の名称】医療用眼科機装置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20220627BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20220627BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220627BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20220627BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61F9/007 130F
A61F9/007 130H
A61F9/007 200C
A61B1/06 531
A61B1/00 621
A61B1/12 522
A61B1/00 714
A61B1/00 715
A61B3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560964
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-11
(86)【国際出願番号】 IL2020050483
(87)【国際公開番号】W WO2020222238
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521449669
【氏名又は名称】スカウトカム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SCOUTCAM Ltd.
【住所又は居所原語表記】7A Omer Industrial Park, 8496500 Omer ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】フォールケス、 リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ゴブリン、 アミル
(72)【発明者】
【氏名】ドルーガッチ、エカテリーナ
【テーマコード(参考)】
4C161
4C316
【Fターム(参考)】
4C161AA26
4C161CC06
4C161DD04
4C161FF12
4C161FF30
4C161FF35
4C161FF42
4C161FF43
4C161HH04
4C161HH05
4C161LL02
4C161QQ02
4C161QQ06
4C316AA08
4C316AA11
4C316AB16
4C316FC12
4C316FY10
(57)【要約】
眼内の「水圧切開」細胞の処置に適した流体のジェットを生成するために、ポンプユニットからの流れを受け取るように適合された平坦なカニューレ状先端部を有するハンドピースを備えるツールである。本発明の一実施形態によれば、ツールは少なくとも1つのカメラを有する視覚化プローブを含み、少なくとも1つのカメラのセンサは、眼内からの撮像のために眼に挿入されるツールの先端部に遠位に配置される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカメラを有する内視鏡を備える医療用眼科装置であって、前記少なくとも1つのカメラの前記センサは、前記内視鏡の先端部に遠位に配置され、眼内からの撮像のために眼に挿入される、医療用眼科装置。
【請求項2】
前記装置の前記本体は(白内障手術およびMIGS中に)前記角膜の周りに形成された切開部を通して挿入される程度に十分小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置の本体は、硝子体切除手術で使用されるトロカールを通して挿入される程度に十分小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置の直径は、必要とされる切開のサイズを制限することにより、創傷治癒時間、関連する疼痛、および感染の危険性を減少させる外科的技術を使用する、最小侵襲性外科手術を可能にするように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置の直径が約1.8mm以下で請求項4に記載の装置。
【請求項6】
照明源が前記装置に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記照明源が、前記装置の遠位に(すなわち、先端部に)または近位に(すなわち、ハンドピース内に)配置することができる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記遠位の照明源は、1つ以上のLEDである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
光が、光ファイバおよび/または光ガイドを介して内視鏡の遠位端に到達する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
水晶体乳化ツールが前記装置に一体化されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
水晶体乳化ツールの断面が円形または楕円形である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
直視下で水晶体細胞を除去するためのツールをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
直視下で水晶体細胞を除去するためのツールが、潅注ツール、吸引ツール、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記潅注および吸引は、同心円、すなわち、1つは内側円に、1つは外側円に一体化されているか、または、隣接しているが同じ先端部に配置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記潅注ポートの形状は、前記圧力を制御するように成形される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記カメラは前記眼の水晶体嚢を瘢痕化させることを可能にするために、オリーブ先端部潅注カニューレに一体化されている、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記カメラは、鉗子および鋏ツールに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記カメラがビデオカメラである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記カメラがカニューレに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
レーザ装置が前記装置に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
外部照明電源が、装置/カメラの向きに従って照明を提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
チューブまたは内視鏡の先端部が透明なポリマー材料で作られ、照明のための光ガイドとして使用することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記光の波長を変化させることができる、請求項6に記載の装置。
【請求項24】
眼内の細胞を水圧切開するのに適した流体のジェットを生成するために、ポンプユニットから流れを受け取るように適合された平坦なカニューレ状先端部を有するハンドピースを備えた、ツール。
【請求項25】
前記噴射に等しい速度で流体を吸引するために、外部吸引ユニットに接続されるように構成されたチャネルをさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項26】
前記受け入れられた連続流は、前記ハンドピースの前記平坦化されたカニューレ状先端部に到達する前に制御される、請求項24に記載のツール。
【請求項27】
前記流れは前記平坦化されたカニューレ状先端部への流れの変化を可能にするために、制御ユニットから受信される入力に従って、処理ユニットによって制御され、前記流れの体積は速度に影響を及ぼす前記平坦化されたカニューレ状先端部の開口(複数可)に応じて変化することができる、請求項26に記載のツール。
【請求項28】
前記流れは、可変レートでパルス化することが可能である、請求項27に記載のツール。
【請求項29】
前記ハンドピースは、ボタンの押し下げおよび解放の際に前記流れを閉塞するように設計され、それによって、前記圧力が閉塞の背後に形成されるにつれて、より低い流量またはより速い流量で連続的な流れをもたらす、請求項24に記載のツール。
【請求項30】
前記平坦化されたカニューレ状先端部は取り外し可能であり、したがって、様々な先端部が、前記平坦化された先端部を狭めることによって、より高速の薄い切開流を達成することを可能にする、請求項24に記載のツール。
【請求項31】
前記スリットの開口は直線状であっても湾曲していてもよい、請求項30に記載のツール。
【請求項32】
前記先端部が曲げ可能である、請求項24に記載のツール。
【請求項33】
再設計されたフェーコチップは、吸引ではなく排出モードを有する低レベル超音波を可能にする、請求項24に記載のツール。
【請求項34】
水晶体細胞または他の物質を取り除くために高周波脈動を発生させる手段をさらに含む、請求項24に記載のツール。
【請求項35】
前記高周波脈動は、前記ポンピングユニットによって、または前記ハンドピース内の急速ボール弁によって生成される、請求項34に記載のツール。
【請求項36】
前記高速ボールバルブは、より速く、より遅い脈動を可能にするように引張荷重が付与される、請求項34記載のツール。
【請求項37】
前記ハンドピースの前記カニューレ挿入された先端部は、前記先端部の後ろに湾曲した表面を備え、前記湾曲した表面は膨張した水晶体嚢上での前記水圧切開によってほぐされた後に、細胞を前進させる、請求項24に記載のツール。
【請求項38】
ハンドピース内の圧力で開くボール弁システムは、同じハンドピースを通る連続流またはパルス流を選択するために、流れ方向スイッチで制御されるか、またはこの流れ能力を有する別個のハンドピースである、請求項24に記載のツール。
【請求項39】
前記平坦化されたカニューレ状先端部は、前記流れと吸引とを分離するバイマニュアル先端部である、請求項24に記載のツール。
【請求項40】
前記平坦化されたカニューレ状先端部はより柔らかい先端部からの擦過および水圧切開を可能にするために、シリコーンまたは他の柔らかい合成材料から作製される、請求項24に記載のツール。
【請求項41】
前記先端部の後ろに、前記膨張した水晶体嚢から細胞を手動で取り除くための湾曲したまたは直線状のバンドをさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項42】
前記先端部の後ろに、ほぐされた細胞を手動で取り除くように成形されたシリコーンまたは他の軟質材料要素をさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項43】
前記先端部は前記切開部の下での操作を可能にするために回転可能である、請求項24に記載のツール。
【請求項44】
可変流量を可能にするために、潅流および吸引モードと共にバイマニュアルモードを使用してもよく、ここで、該バイマニュアルモードは、整合流出流を伴って前記先端部へ流れを動力供給するための陽圧ポンプを使用することによって、前記バイマニュアルモードの効果を強化するために再設計されたフェーコマシンから制御される、請求項24に記載のツール。
【請求項45】
前記ハンドピースは、表面積を増加させるために平坦化された、前記先端部の一部上の粗面化された領域を含む、請求項24に記載のツール。
【請求項46】
前記先端部が、柔軟な可撓性材料で作られ、または硬質プラスチックまたは金属材料で作られた、請求項24に記載のツール。
【請求項47】
前記先端部は、約0.5mmから1.8mmの幅で変化し、前記先端部の開口は、約0.05mmから1mmである、請求項24に記載のツール。
【請求項48】
前記先端部が、眼から流体を除去するためのスリーブを含む、請求項24に記載のツール。
【請求項49】
デブリを除去し、切開部の下の水晶体嚢から皮質または細胞を吸引する能力を高めるために使用され得る別個の吸引先端部をさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項50】
前記ハンドピースが、接着する細胞の層のより良好な可視性を提供するための可視化プローブを含む、請求項24に記載のツール。
【請求項51】
前記視覚化プローブは、前記放出角度から前記水晶体嚢を視覚化するビデオカメラを含む、請求項50に記載のツール。
【請求項52】
光源は染色された細胞の反射/吸収を引き起こすために、白色または有彩色であってもよく、光源は、ハンドピース内に一体化されてもよく、および/または照明は外部源から提供されてもよい、請求項50に記載のツール。
【請求項53】
前記水圧切開ツールは、潅注および吸引が協働することを可能にするために、バイモーダル配置を可能にするように構成される、請求項24に記載のツール。
【請求項54】
前記先端部は、圧力を提供するために上昇されたI/Aツール、フェーコチップ、シリンジ、またはIVフロー装置を含む任意の排出ツール上に配置され得る、請求項24に記載のツール。
【請求項55】
照明、染色物質、またはそれらの組合せからなる群から選択される染色手段を含む、細胞同定目的のための染色手段をさらに含む、請求項24に記載のツール。
【請求項56】
流体の流入と流出をバランスさせ、水晶体細胞材料、皮質または他の破片/残留物を除去し、水晶体嚢を固定し、掻き取り、軟質掻き取りリッジの後ろで水晶体嚢を掻き取るための小さな穴を有する半平坦面をさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項57】
水晶体嚢の捕捉を回避するために、スクレーピング要素から離れた上側のバキュームポートの一方の側の背後に吸引を有する両面スクレーピングツールをさらに備える、請求項24に記載のツール。
【請求項58】
視覚化プローブからの先端部の視界を可能にし、それによって虹彩に起因する視界外のタスクを実行することを可能にするために、把持ツールまたは切断ツールが取り付けられるアタッチメントをさらに備える、請求項50に記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療ツールの分野に関する。より詳細には、本発明は、様々なヒトおよび/または動物の医療/外科処置に適した診断、治療および外科装置に有用な医療用眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化は、特に眼のような複雑な器官において、手術のような精密な医療処置(すなわち、高解像度)をうまく実行するための鍵となり得る。さらに、人体内部の可視化は、医師が様々な疾患の正確な診断を行うことを可能にし、治療薬を送達し、および/または身体内部で最小限の侵襲性外科手術を行うことを可能にする。また、可視化は、必要な切開のサイズを制限し、そのために創傷治癒時間、関連する疼痛および感染のリスクを減少させ、さらには縫合の必要性を減少または回避する外科技術を可能にするために不可欠なツールであることがよく知られている。
【0003】
白内障手術は、世界中で最も一般的に行われている手技の1つである。米国だけで400万を超える処置が実施されており、世界中の視力喪失の主要な原因の1つである。現代の技術によって白内障を除去するために、1970年代にツールが開発され、過去40年にわたって進化し、水晶体乳化装置と呼ばれている。このツールは、角膜の2.5mmポケット切開を通して眼に侵入することができ、超音波を使用して白内障材料を破壊し、次いでこれらを眼から吸引する。白内障は、水晶体嚢と呼ばれる非常に薄い膜の内側で、眼球内で支えられている。それは、少なくとも5.5mmの円形の切開線で開かれる。水晶体は、水晶体嚢縁の下に水を注入して白内障の周りを流れるようにすることによって、若干分離される。レンズは、典型的には中央を通る溝を作り、次にレンズを半分又は四分の一に分割することによって除去される。次いで、これらを、第2の器具を使用して、1.0~1.5mmのより小さい側部の切開を通して分離する。水晶体核または水晶体の高密度部分が除去されると、より小さいノズル付き器具が使用され、これは、吸引を使用して、白内障のより柔らかい部分を繊細な水晶体嚢から剥ぎ取る。水晶体嚢の表面に存在するこれらの細胞は付着性であり、水晶体嚢を侵害することなく完全に除去することが困難である。この理由から、細胞は通常減少されるが、完全には除去されない。点眼の影響下の眼の瞳孔は6~10mm拡張し、レンズは、典型的には12~13mmのサイズである。そのため、虹彩の下に存在するレンズ材料は、視覚化するのが容易ではない。外科医は、吸引ツールを用いて虹彩の下に到達することができるが、水晶体嚢がバキュームチップ内に捕捉されるようになり、損傷を受けたり、裂けたりする可能性があるため、この操作は危険である。水晶体嚢が透明に見えると、「バッグ」をゲルコール粘弾性で満たし、6mmのインプラントを2.5mmの切開を通して眼の中に押し出す。この時点で、I/Aツールを再び使用してゲルを除去するが、これはゲルが手術後の最初の24時間で溶解する際に眼圧の上昇を引き起こすからである。ゲルは透明であり、可視化するのは非常に困難である。ゲルは、水晶体の後部に付着し、水晶体嚢の周辺部分に、および角膜の内側面に対して保持される。水晶体上皮複合細胞またはLECと呼ばれる保持された水晶体細胞は、掻き取りツールまたはオリーブ型チップと呼ばれる丸い粗面化ボールを使用して、ある程度の努力で対処することができる。このような努力にもかかわらず、手術の最初の数カ月から数年にわたって、半数以上の眼に続発性白内障が形成される。
【0004】
グレアおよび最良視力の喪失を引き起こすこの問題に対処するために、イスラエルではYAGレーザと呼ばれるレーザが開発された。それは、インプラントの後ろの水晶体嚢および水晶体嚢を開く破壊的レーザであり、細胞は眼の後ろに浮遊する。IOL(眼内レンズ)は、水晶体嚢内に達する11mmの「アーム」によって固定されているので、通常、所定の位置に留まり、この処置が行われると、視力は通常改善するが、患者の硝子体内には、浮遊する「浮遊物」または破片が存在することとなる。網膜剥離や黄斑と呼ばれる視力中心部の腫れの割合は低くなる。硝子体が目の前に入るので、IOLは容易に交換することができない。近代において、我々は患者に二焦点視力を与えることができるIOLを開発した。これらのIOLは、ハロー及びグレアを引き起こす可能性があるため、全ての患者がこれに耐えられるわけではない。これは、視力障害として知られるものにおけるレンズ交換の主要な原因である。臨床上の問題は、患者が水晶体細胞とこのタイプのIOLを有する場合、水晶体嚢の治療や交換で視力が改善するか否かを知るのが難しいことである。水晶体嚢が治療される場合、IOLの交換は非常に困難になり、硝子体切除術と呼ばれる硝子体の除去を必要とする。これにより、偏心したIOLまたは網膜の腫脹のリスクがさらに増大する。
【0005】
平坦化カニューレを使用し、水晶体嚢を水で強力に洗浄することにより、保持される細胞の割合を減少させ得ることが注目されている。虹彩の下の視野外にある細胞は、同様に処置することができない。本発明の目的は、マイクロビデオカメラを用いて眼内の視認性を改善し、これらの細胞および粘弾性体の視覚化およびその後のパワー洗浄を可能にするように特に設計された装置を用いて、これに対処することである。
【0006】
緑内障は神経変性による神経線維の喪失である。眼圧の上昇によって眼球後部の視神経が圧迫されると、神経線維が損傷を受ける。繊維は「締め付けられる」と考えられており、アポトーシスまたはプログラム細胞死として知られる相に入る。これは、世界中の失明の主要な原因であり、白内障の発症と平行して、発症傾向は年齢とともに増加する。眼圧上昇の原因は、眼の流出系の減少および圧力を上昇させる水性流体の滞留である。目薬およびレーザを使用することができ、重篤な場合には、結膜下の眼から流体を通過させるために開口部を作ることができる。過去15年間、小柱網と呼ばれる、流出組織をバイパスするための装置が開発されてきた。これは最小浸潤性緑内障手術またはMIGSと呼ばれる。様々な変形があるが、一般に、白内障手術時に、装置がこの網目構造を通って配置されるか、又は網目構造が剥ぎ取られて、静脈コレクタ内へ房水が自由に通過できるようにする。この操作を実行することは、顕微鏡から直接見下ろしながら眼の角度を見ることができないので、困難である。そのために、プリズムを使用しなければならず、また、患者の頭部をスコープから45度離れるように回転させ、次いで顕微鏡を45度傾斜させなければならない。ゲルは、角膜上に置かれ、角度のビューが捕捉される。挿入器具はプリズムの下に置かれ、眼と装置を横切って進められる切開を通して、剥離が試みられる。この組織は表面上の圧力で静脈に接続されるので、しばしば、血液は眼の中に流れ戻り、角度の視野を閉塞する。これは、粘弾性で除去されなければならず、別の試みがなされる。頭または顕微鏡を傾ける必要なしに、また、水を噴射し、噴霧システムが血液を除去することで、意図されたターゲットの視野を明るくすることができるので、角度の直接な視野を提供することが、このツールの意図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述したような効率的な医療処置を実行するための1つのツール、ならびに顕微鏡による視認性が不透明度、虹彩、血液によって制限される多くの他の処置を用いて外科的技術を進歩させ、発生し得る合併症を低減することである。カメラ、色を含む、光源、レーザ源、掻き取りツール、脈動、吸引、超音波、ならびにガスおよび/または薬物の注入を含む潅注(流入および流出)、のうちの1つまたは複数をこのツールに組み込むことができる。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、白内障除去後の水晶体嚢からの細胞および粘弾性体の「パワー洗浄」と、虹彩の背後に隠れているか、または単に顕微鏡角度からは見えないが、コラーゲンである嚢から覆われた脂質である細胞を蛍光発光させるために色によって時々増強されたカメラの角度から容易に見える、さらなる除去された細胞の除去の効力および安全性を改善するために、嚢を伸延する能力とを組み合わせることである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、組織面を開き、血液および残屑を除去し、吸引ツールによって通常見逃される隙間に捕捉された残留粘弾性物質を除去するために使用することができる、眼の手術における生理食塩水の制御され、標的化された噴射を使用することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、小柱網、毛様体溝、シュレム管、毛様体および虹彩下領域の視覚化を提供して、微小浸潤性緑内障手術を補助することである。カメラ装置は、潜在的に、顕微鏡から見えない組織を視覚化するためのプリズムのような煩雑なツールを減少させることができる。インプラント(ステント)、シャント、または任意の他の装置を可能にするための光学視覚の組み合わせは、送達および配置される眼圧を減少させるか、またはシャントを送達することを可能にする。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、直視下で薬物を正確に送達することができる医療用眼科装置を提供することである。これは、内部での直接観察下で安全に達成することができる。針の挿入は、針を使用する助手から行われてもよい。薬剤を溶解するポンプまたは医療装置を長期間にわたってクリッピングまたは固定することを、このビデオ装置を用いて容易に達成することができる。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、緑内障で使用するために、網膜の裂けを修復して血管を焼灼するために、直視下でレーザ出力を送達することができる医療用眼科装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、前眼房および後眼房を開放し、内部流で安定化させることで処置を標準化することを可能とし、眼の手術における処置の成功率を改善することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、白内障手術、緑内障手術および硝子体切除術、涙管開口、眼の外傷および腫瘍手術を可能にすることである。
【0015】
本発明の他の目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0016】
第1の態様における本発明は、眼内の細胞を「水圧切開」するのに適した流体のジェットを生成するために、ポンプユニットから流れを受け取るように適合された平坦なカニューレ状先端部を有するハンドピースを備えるツールである。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、切開部の下で皮質または細胞を水晶体嚢から吸引するか、または隙間に捕捉された残留粘弾性体などの他の破片/残留物を除去するように適合される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、水圧切開マイクロカメラツールである。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、噴射に適した速度で流体を吸引するために外部吸引ユニットに接続されるよう構成されたチャネルをさらに備える。
【0020】
ツールの実施形態では、受け入れられた流れは、ハンドピースの平坦化されたカニューレ状先端部に到達する前に制御される。
【0021】
ツールの実施形態において、流れは平坦化カニューレ状先端部への流れの変動を可能にするための制御ユニットから受け取った入力に従い、処理ユニットによって制御され、流れの体積は、速度に影響を及ぼす平坦化カニューレ状先端部の開口に応じて変化し得る。制御ユニットは、手動操作ユニット(例えば、足ペダル)、自動化/自律制御ユニット(例えば、人工知能を含み得る)、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0022】
ツールの実施形態では、流れは、制御ユニットによって調節可能な(例えば、足ペダルに加えられる圧力によって)可変レートで脈動することができる。この実施形態の別の例として、様々なセンサが、機械学習、人工知能(AI)、およびプログラマブルソフトウェアと組み合わせて、前記水圧切開内視鏡ツールの流れを自律的に制御し、変更することができる。プログラム設定のデータベースは、ソフトウェアパッケージに格納されてもよく、これはユーザが特定の外科手術手順の種々の段階にそれぞれ適切にユーザの好みをパーソナライズすることを可能にする。
【0023】
ツールの実施形態において、ハンドピースは、任意の他の適切な要素(例えば、弁または作動ボタン)の押し下げおよび解放時に流れを制御するように設計され、それによって、閉塞後方に圧力が蓄積されるにつれて、より低い流量での連続的な流れまたはより速い流れを導く。
【0024】
ツールの実施形態では、平坦化カニューレ状先端部が交換可能である。したがって、平坦化された先端部のより高い速度の薄い切開流を狭めることによって、様々な先端部を達成することを可能にし、それによって、外科医がそれらの技術または処置のために最良に機能するスリット幅および広がりを使用することを可能にする。
【0025】
ツールの実施形態では、スリットの開口部は、直線状または湾曲状、細長い形状または狭い形状であってもよい。
【0026】
ツールの実施形態では、再設計されたフェーコチップは、吸引ではなく排出モードまたはその両方で、低レベル超音波を可能にすることができる。
【0027】
ツールは、表面、特に水晶体細胞に付着した物質を取り除くために、高周波脈動を発生させる手段をさらに含む。
【0028】
ツールの実施形態では、高周波脈動がポンピングユニットによって、またはハンドピース内の高速ボールバルブによって生成される。
【0029】
ツールの実施形態では、高速ボールバルブに張力が負荷され、より速く、より遅い脈動を可能にする。
【0030】
ツールの実施形態では、ハンドピースのカニューレ状先端部は、膨張した水晶体嚢上の水圧切開によって細胞がほぐされた後に、それらの細胞を押し出してばらばらにするために、先端部の後ろに湾曲した表面軟質ストリップを備える。
【0031】
ツールの実施形態では、ハンドピース内の圧力で開くボールバルブシステムを、単純な流れ方向スイッチで制御して、同じハンドピースを通る連続流または脈動流を選択することができ、またはこの連続的な能力を有する別個のハンドピースとすることができる。
【0032】
ツールの実施形態では、平坦化カニューレ状先端部は、流れと吸引の分離を伴うバイマニュアル先端部である。
【0033】
ツールの実施形態では、平坦化カニューレ状先端部は、より柔らかい先端部からの擦過ならびに水圧切開を可能にするために、シリコーンまたは他の柔らかい合成材料から作製される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、膨張した水晶体嚢から細胞を手動で取り除くために、先端部の後ろに湾曲状または直線状のバンドをさらに備える。
【0035】
ツールの実施形態では、先端部は、切開部の下での圧搾を可能にするように回転されてもよい。
【0036】
ツールの実施形態では、可変流量を可能にするために、潅流および吸引モードとともにバイマニュアルモードの構成を使用してもよい。この場合、バイマニュアルモードは整合流出流で先端部に流動を動力供給するための陽圧ポンプを使用することによって、再設計されたチップマシンから制御されて、バイマニュアルモードの効果を強化する。
【0037】
ツールの実施形態では、ハンドピースは、先端部の背後の粗面化された領域を備える。この領域は、表面積を増加させるために平坦化されてもよい。
【0038】
ツールの実施形態では、先端部は、柔軟な可撓性材料で作られてもよく、あるいは、硬質プラスチックまたは金属材料で作られてもよい。
【0039】
ツールの実施形態では、先端部は、約0.5mmから1.8mmの幅で変化してもよく、先端部の開口は約0.05mmから1mmである。
【0040】
ツールの実施形態では、先端部は、流体が注入される速度で眼から流体を除去するためのスリーブを備える。これは、現在のI/Aツールとは逆である。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、残渣を除去し、切開部の下の水晶体嚢から皮質または細胞を吸引する能力を高めるために使用することができる別個の吸引チップをさらに備える。
【0042】
ツールの実施形態では、ハンドピースは、接着する細胞層のより良好な可視性を提供するために、可視化プローブを備える。
【0043】
ツールの実施形態では、視覚化プローブは、放出角度から水晶体嚢を視覚化するビデオカメラを含む。
【0044】
ツールの実施形態において、光源は、染色された細胞および染色されていない細胞の反射/吸収を引き起こすために、白色または有色であり得る。ここで、光源は、ハンドピース内に一体化されても良く、および/または照明は外部源から提供され得る。
【0045】
ツールの実施形態では、水圧切開ツールは、吸引および推進が協働することを可能にするために、バイモデル配置を可能にするように構成される。先端部は、このバイモデル配置を可能にするために潅注吸引装置上に配置されてもよい。このモードでは、カメラと排出ノズルは一方のハンドピースにあり、照明と吸引は他方のハンドピースにある。当業者には理解されるように、これらの機能の任意の組合せを具体化することができ、例えば、カメラおよび照明を一方のハンドピース上に配置することができ、排出ノズルおよび吸引を他方のハンドピース上に配置することができる。
【0046】
ツールの実施形態では、カメラは、潅注および吸引を実行し、次いで、水圧切開吸引に切り替えることを可能にするバイモデルであるように設計されたI/A装置の先端部に組み込まれてもよい。この形態では、外科医の経験および必要性に基づいて、それらが最良に利用されるときに、同じ器具を使用することができる。
【0047】
ツールの実施形態では、先端部は、I/Aツール、フェーコチップ、シリンジ、または圧力を提供するために上昇されたIVフロー装置を含む任意の排出ツール上に配置されてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、細胞同定目的のための染色手段をさらに含む。染色手段は、照明、染色物質、またはそれらの組合せからなる群から選択される。蛍光は多くの染色によって増強され得る。自己蛍光は、水晶体嚢コラーゲンから脂質細胞壁レンズ細胞を区別するために注目され得る。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、流体の流入と流出をバランスさせ、水晶体細胞材料を除去し、水晶体嚢を固定し、掻き落とし、柔らかい掻き落とし隆起の後ろで水晶体嚢を掻き落とすための小さな穴を有する半平坦面をさらに備える。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、カメラのシャフトは、変形可能なプラスチック、金属、ポリアミド、または関節片から構成されてもよく、これらは例えば45~180度の方向転換を可能にするように曲げられ、または回転されてもよく、プローブが眼の反対側から眼に再び入ることなく、切開部の下の領域を可視化し、処置することを可能にする。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、カメラ先端部は、眼から引き出すことなく回転しながら任意の画角を達成するために短縮され得る横弦またはワイヤを有する、ゴム、シリコーン、ヒドロゲルなどの可撓性材料で構成されてもよい。チューブは、90~180度回転することができる1つ以上の関節「エルボー」を有することができる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、水晶体嚢の捕捉を回避するために、スクレーピング要素から離れた上側に、バキュームポート(例えば、バキュームポートはスリット形状、穴、またはより大きな開口部の形態であり得る)の一方の側の後ろに吸引力を有する両面スクレーピングツール(例えば、約0.1~0.3mmである)をさらに備える。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、ツールは、視覚化プローブから先端部を見ることができるように把持ツールまたは切削ツールを取り付けることができるアタッチメントをさらに含み、それによって虹彩による視野外のタスクを実行することができる。これらはバイマニュアル(bimanual)でよい。
【0054】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つのカメラを有するカメラ付きの医療用眼科装置であり、少なくとも1つのカメラのセンサは、眼内からの撮像のために眼に挿入されるように、前記カメラの先端部に遠位に配置される。
【0055】
医療用眼科装置の実施形態では、装置のサイズは、その使用目的のために調整される。一次切開を通して、特定の技術のために、より大きな装置が使用され得る。装置のサイズは、要求される用途によって設定される。より大きなチップは、特定の処置に必要とされるより高い解像度を提供することができ、通常の解像度の場合は、より小さな切開を通して複数の利点を得ることができる。
【0056】
医療用眼科装置の実施形態では、装置の本体は、硝子体切除手術で使用されるトロカールを通して挿入されるのに十分な程度、小さい。
【0057】
医療用眼科装置の実施形態では、前記装置の直径は、必要とされる切開のサイズを制限し、その結果、創傷治癒時間、関連する疼痛、および感染の危険性を減少させる外科的技術を使用する最小侵襲性外科手術を可能にするように、適合される。3mm未満の切開サイズは、手術の終わりに水密シールを提供するように適切に構築された場合に示されており、縫合糸の必要性を低減またはなくす。したがって、3mm以下の切開を通して適用され得る医療装置は、安全性と最小限の屈折変化とを提供する。全てのこれらの実施形態は、外科的な目標および必要性に基づいて、完全な機能性を提供するように設計され得る。
【0058】
医療用眼科装置の実施形態では、前記装置の直径は約1.8mm未満である。しかし、より大きなチップを持つカメラのより大きなバージョンは、3.0mm以下で十分であろう。
【0059】
医療用眼科装置の実施形態では、照明源は、前記装置に組み込まれる。
【0060】
医療用眼科装置の実施形態では、照明源を、装置の遠位に(すなわち、先端部に)または近位に(すなわち、ハンドピース内に)配置することができる。
【0061】
医療用眼科装置の実施形態では、遠位照明源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)である。
【0062】
医療用眼科装置の実施形態では、光は、光ファイバおよび/または光ガイドを介して内視鏡の遠位端に到達する。
【0063】
医療用眼科装置の実施形態では、水晶体乳化ツールは、前記装置に一体化される。カメラをフェーコチップに取り付けて、有効であると決定された先端部からの内部視野を可能にすることができる。
【0064】
本発明の実施形態によれば、医療用眼科装置は、直視下で水晶体細胞を除去するためのツールをさらに備える。例えば、これは、血液の場合、角膜の膨潤または染色から角膜の視界が損なわれる場合に使用され得る。
【0065】
医療用眼科装置の実施形態では、直視下で水晶体細胞を除去するためのツールは、潅注ツール、吸引ツール、またはそれらの組み合わせである。
【0066】
医療用眼科装置の実施形態では、潅注および吸引は、同心円に(すなわち、1つは内側円に、1つは外側円に)一体化されるか、または、それらは隣接しているが同じ先端部に配置される。例えば、これらは、外科医の目標および経験によって決定されるように、排出またはバキュームが切り替えられることを可能にするように、切り替え可能であってもよい。
【0067】
医療用眼科装置の実施形態では、潅注ポートの形状は、圧力を制御するように成形される。
【0068】
医療用眼科装置の実施形態では、カメラは、鉗子およびはさみツールに取り付けられる。
【0069】
医療用眼科装置の実施形態では、カメラは、水の放出を提供するために手動で操作されるカニューレに取り付けられる。
【0070】
医療用眼科装置の実施形態では、レーザ装置は、前記多目的眼手術装置に組み込まれる。
【0071】
医療用眼科装置の実施形態では、外部照明電源は、装置/カメラの向きに従って照明を提供するように適合される。
【0072】
医療用眼科装置の実施形態では、管または内視鏡の先端部は、透明なポリマー材料で作られ、したがって、照明源によって生成される光ガイドとして使用することができる。
【0073】
医療用眼科装置の実施形態では、光の波長を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態による、水圧切開カメラツールのヘッドセクションの斜視図を概略的に示す。
【
図1B】本発明の一実施形態による、
図1Aの水圧切開カメラツールのヘッド部分の上面図を概略的に示す図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の一実施形態による、
図1Aの水圧切開カメラツールのヘッドセクションの側面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による、水圧切開カメラツールのヘッドセクションの斜視図を概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは本発明の一実施形態による、装置の遠位端に配置された照明源(例えば、複数のLED、キセノンアークランプなど)を有する医療用眼科装置の側面図を概 略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態による、遠位ハンドピース上に配置された光ファイバの位置を示す、照明源を有する医療用眼科装置の側面図を概略的に示す。
【
図3C】本発明の一実施形態による、
図3Aの医療用眼科装置の先端部の断面図を概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態による、カメラおよびLEDを有する医療用眼科装置の先端部の側面図を概略的に示す。
【
図4B】本発明の一実施形態による、
図4Aの医療用眼科装置の先端部の断面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による、一実施形態における同じPCB上にカメラおよびLEDを有する医療用眼科装置の先端部の側面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による、カメラおよびその背後にLEDを有する医療用眼科装置の先端部の側面図を概略的に示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による、レーザ、カメラ、および照明を備える医療用眼科装置の断面を概略的に示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による医療用眼科装置のオリーブ型チップ(先端部)を概略的に示す。
【
図9】
図9は、バイマニュアルモードを概略的に示す。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態による、再使用可能なハンドピースを有する使い捨て先端部を概略的に示す。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態による、潅注またはバキュームのための開口部を備える医療用眼科装置の遠位先端部を概略的に示す。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態による、
図11の医療用眼科装置の潅注チューブの断面を概略的に示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態による、潅注またはバキュームのための開口部を示す遠位端の断面を概略的に示す。
【
図14】
図14は、本発明の別の実施形態による、潅注および装置の先端部に配置されたカメラセンサを備える医療用眼科装置を概略的に示す。
【
図15A】
図15Aは、本発明の一実施形態による、複数のLEDと、ハンドピースの近位端に配置されたカメラとを有する医療用眼科装置を概略的に示す。
【
図15B】
図15Bは、本発明の一実施形態による、複数のLEDと、ハンドピースの近位端に配置されたカメラとを有する医療用眼科装置を概略的に示す。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態による、医療用眼科装置のハンドピースの近位端に配置されたカメラおよび複数のLEDの別の構成の断面図を概略的に示す。
【
図17】
図17は本発明の一実施形態による、人間の眼内の光プローブと平行して動作するカメラと潅注プローブとの組み合わせを概略的に示す。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態による、様々な構成要素を有する医療用眼科装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
一態様では、本明細書に記載される発明は、外科医に対してポンプユニットからの連続/脈動流を与え、流体の流れからの力を制御することによって、カニューレアプローチの機能性を拡張する。水圧切開ツール(その実施形態のいずれか1つにおいて)は、本明細書では単に「ツール」と呼ばれる。
【0076】
図1A~
図1Cは、本発明の一実施形態による、水圧切開ツール10のヘッドセクションを概略的に示す。水圧切開ツール10のヘッドセクションは、1つ以上のバキュームポート11と、柔軟で可撓性のあるスクラビング要素12と、ツール10の遠位端に配置されたカメラ13とを備える。この実施形態では、ツール10は、ハンドピースとして使用するのに適した細長い本体を有する。この実施形態では、バキュームポート11は、水晶体嚢の捕捉を回避するために、要素12から離れた上側に配置される。これらの図では、バキュームポート11が穴の形態で提供されるが、スリット形状または吸引に適した他の形態の開口部など、他の形態のバキュームポートまたはポートを使用することができる。
【0077】
図2は、本発明の別の実施形態による、水圧切開カメラツール20のヘッドセクションの斜視図を示す。水圧切開カメラツール20のヘッドセクションは、水噴出ポート21と、柔軟で可撓性のあるスクラビング要素22と、ツール20の遠位端に配置されたカメラ23とを備える。この実施形態では、ツール20はまた、細長い本体を有する。これにより、ツール20をハンドピースとして使用することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、(例えば、
図1A~
図1Cに数字12で示され、
図2に数字22で示される)柔らかく可撓性のあるスクラビング要素は任意選択であり、したがって、水圧切開カメラツールは、そのような要素を含まなくてもよい。
【0078】
本発明の一実施形態では(例えば、
図2のポート21に関して示される)ツールの水噴射ポートを通る流体の流量は、前記ツールの幅および角度によって制御することができる。さらに、水流は、外科医の要求に従って、パルス状または連続的であり得る。流れは、例えば、白内障除去ユニットまたは硝子体切除ユニットのいずれかからのポンプによって導かれてもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、ツールはまた、それ自体の水源またはポンプユニットを有する可能性がある。流体フロー先端部の出口ポート(例えば、水噴出ポート21)の形状および断面は、様々であり得る。眼の手術中に、流出液が速すぎるか、またはその断面が狭すぎる場合、流出液は、眼の水晶体嚢を裂いて貫通することがある。さらに、脈動率と1回の脈動当たりの流量は、流出物の速度と同様に、流出物の幅と高さに関連して動的効果を持つ。脈動率が速い場合、流出物の衝撃波は、水晶体嚢を裂いて貫通する可能性がある。本発明の一実施形態によれば、これらの制限は、水晶体嚢損傷の可能性を制限するために、装置ソフトウェアフローソフトウェアに設定される。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、基部および側部で湾曲している任意の柔軟な可撓性材料(例えば、シリコーン)の柔軟なスクレイピングツール(例えば、それぞれ
図1A~1Cおよび
図2の要素12および22など)をツールに組み込んで、水晶体嚢に強く付着している細胞をほぐすことができ、その後、スクレイピングツールの逆の塗装動作で細胞を拭き取ることができる。本発明の一実施形態によれば、ツールは、ヘッドセクションの先端部の後ろに湾曲または直線セクションを含み、教示された水晶体嚢に対する穏やかな動きを可能にして、細胞を機械的に除去するか、または細胞をほぐし、次いで先端部によって掃引されるようにすることができる。
【0080】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つのカメラ(例えば、ビデオカメラ)を有する視覚化プローブを備える医療用眼科装置に関し、少なくとも1つのカメラのセンサは眼内からの撮像のために眼に挿入されるツールの先端部に遠位に配置される。
【0081】
デジタルビデオカメラ全般、特に内視鏡装置に使用するように設計されたものに関連する文献で使用されている用語の標準化は、はなはだ十分ではない。ここで、特に言及しない限り、以下の用語を用いる:
【0082】
用語「活性領域」、「画素/s領域」、および「画素のアレイ」は、入射光を電子に変換する感光素子、例えばフォトダイオードのアレイの受光面を意味するものとして、交換可能に使用される。
【0083】
「センサ」、「チップ」、「固体撮像素子」及び「撮像素子」という用語は、活性領域、入射光をフォトダイオードに集中させるマイクロレンズのアレイ、フィルタのアレイ、カラーセンサの場合、及び活性領域が作成されるシリコン基板を指すために、互換的に使用される。CMOSプロセスによって製造されるセンサーの場合、これらの用語は、シリコン上のアレイと一緒に実装されるフォトダイオードの出力信号を処理するように適合された電子機器も含むことができる。
【0084】
用語「固体撮像装置」または簡単に言えば、本明細書で使用される「SSI」は、信号を同じシリコン上または追加の層として処理する付加的な機能を生成するための付加的な電子回路を含む、任意の適切な固体撮像装置(例えば、CMOSまたはCCD)を示す。
【0085】
「カメラヘッド」という用語は、単一のパッケージ内に封入された活性領域上に光を集束させるために必要なSSIおよび関連する光学系を指す。
【0086】
用語「ビデオカメラ」、「カメラ」及び「マイクロカメラ」は、カメラヘッド単体を指すと共に、カメラヘッド及び追加の電子ドライバ(ある場合)を指すために、交換可能に使用される。
【0087】
「カメラ」という用語は、もっぱらビデオカメラを指す。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、小型化は、高品質の画像を得ることを可能にし(単なる例として、カメラの画像センサに関して少なくとも30kピクセルの品質を提供する際に)、一方、装置の本体は(例えば、白内障手術およびMIGS中に)角膜の周りに形成された切開を通して挿入されるのに十分に小さい。本発明のいくつかの実施形態によれば、単なる例として、装置の外径は約1.8mm以下であり、それによって、最小侵襲手術の実施を可能にする(すなわち、必要とされる切開のサイズを制限し、したがって、創傷治癒時間、関連する疼痛、および感染のリスクを低減する外科的技術を可能にする)。装置の外径は、装置が備える要素/構成要素の寸法に従って変化させることができる。例えば、カメラの解像度は、カメラの外径に影響を与える可能性があり、したがって、高解像度カメラは、より低い解像度のカメラよりも大きな直径を有する可能性がある。3mm未満の切開サイズは、良好にセルフシールし、無視できる程度の屈折誤差を引き起こし、そのため、外科医の仕事および必要性に応じて、より大きなカメラを、ツールのすべての機能、すなわち、照明および水圧切開および描写に容易に適応させることができる。本発明は、顕微手術処置のための1つのツール内のいくつかの構成要素を小型化することを可能にするように、光学視覚化手段を備えた手術装置に関する。また、必要に応じて、機能をバイマニュアルモードで分割する際に使用することもできる。
【0089】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載される全ての特徴は、手術が1つの切開のみを通して行われる1つのツールに組み込まれ得る。
【0090】
本出願の文脈において、「有効直径」という用語は、プローブの形状にかかわらず、プローブの最終直径を指す。ほとんどの場合、プローブの最終形状は円形であるが、SSIが典型的には正方形または長方形の構成を有するという事実にもかかわらず、任意の他の形状が可能である。したがって、有効直径は、プローブの最も長い断面寸法に等しくなり得る。したがって、例えば、正方形の断面を有するプローブの場合、有効直径は正方形の対角線に等しくなり、必要な変更を加えて、長方形、楕円形、または完成していない楕円形にも同じ議論が適用される。
【0091】
本発明の一実施形態によれば、可視化プローブは、SSIによって生成される信号を合成するために必要とされる電子回路(またはドライバ)を備える。ほとんどの場合、SSIとしてCCDよりもCMOSを使用することの利点は、画像またはデジタル処理の他の特徴、例えば、相関二重サンプリング(CDS)、A/D、利得などを生成するために必要とされるいくつかの重要な特徴を具体化するいくつかの電子回路を実装することが容易かつ可能であるという事実である。これらの回路は、1 つのパッケージのトランジスタで実装されるピクセルから構築される純粋なセンサで設計に追加される。これらのピクセルの実装は、ピクセル当たり2個のトランジスタ、または3、4、5、6個以上に基づくことができ、あるいは、共有トランジスタまたは他の設計、例えば、2T2Sもしくは4T4S、またはピクセルを実施するより高次の共有トランジスタを使用することによって行うことができる。明らかに、これらの回路はパッケージの寸法を拡張し、より多くのパッドを追加する。さらに、より高いクロックレートを持つ信号を使用する場合は、アンプまたはレギュレータを含むドライバ、ノイズ低減のための少数のコンデンサ、および信号を一致させるためのいくつかの抵抗を使用することが好ましい。そのような電子回路(ドライバ)は、パッケージまたはシリコン内に空間を追加し、したがって、ほとんどの場合、パッケージされたCMOSの外部に、またはシリコン構造内の追加の層として実装される。
【0092】
CMOSが1.0mmよりも小さい対角線を有する場合、ドライバは、例えば、相関二重サンプル(CDS)ユニットまたはパッケージ化されたCMOSセンサ自体に実装され、最近はドライバまたは画像処理ユニットに外部的にシフトされた、画像を生成するために必要な他の特徴のような、画像処理特徴を含んでもよい。このような場合、CMOSセンサーは、信号を供給し、CMOSから生の信号をポンプアウトするために必要とされる最小限の回路の実装のみを含むであろう。さらに、ドライバには、CMOSを起動し、信号をビデオ処理ユニットに送出するために必要なクロック信号に合わせるために必要な最小限のコンポーネントが含まれており、これにより、生の信号を処理し、ビデオ信号に変換するために必要なすべての回路およびコンポーネントが含まれている。
【0093】
このようにして、CMOSセンサーは、ほとんど純粋な撮像装置として機能し、光子を電子に変換し、そのサイズは最小である。ドライバーはまた、最小数のコンポーネント(1つまたは2つ、時には数がゼロになることもある)を備えているため、これにより、新しくいッケージ化されたCMOSビデオカメラの全体的寸法が最小限に抑えられることが保証される。克服すべきさらなる問題は、CMOS設計と、CMOSを活性化し、信号をビデオ処理ユニットに送出するために信号を供給する役割を担うケーブル(すべてのワイヤを含む)とに関連するパッドの数である。一般的な慣行では、これらのサービスを提供するためにいくつかのワイヤがある。
【0094】
撮像装置の面積を最小限に縮小するためのいくつかの技術的解決策が、米国特許第8,803,960号に記載されている。例えば、対角線が1.0mmより小さい固体撮像装置では、それほど多くのパッドのための十分なスペースがないので、この問題を克服するためには最小限のパッド数(理想的には1つのパッド)を設定する必要がある。同じパッドを使用していくつかの信号を多重化することによって、SSI全体に対して4つのパッドのみ、時には3つのパッドを使用することが可能である。撮像装置の面積を最小限に抑えるもう一つの方法は、電圧法の代わりに電流法を用いることによって、撮像装置の出力ビデオ信号のメソドロジーを変えることである。これはまた、外部ドライバが整合段回路を含むべきであることを指示する。このような方法を使用することによる利点には、増幅に関連するノイズのより良いフィルタリングと、ビデオ信号の低下を補償するためにビデオプロセッサによって制御されるレギュレータを使用することによって、より長い距離にわたってビデオ信号を伝送する能力とが含まれる。SSIの寸法を縮小することができる方法の別の例は、2つの機能、すなわち、画像を取得し、画像を伝送する機能を有する構成要素をシリコン上に設けることである。上記の技術的な還元の解決策に加えて、PCBの有無にかかわらず、CMOSチップのコンパクトな構成が、国際公開第2005/002210号パンフレットおよび国際公開第2005/115221号パンフレットに詳細に開示されている。したがって、これらのアセンブリの製造方法は、簡潔のために、本明細書では詳細には説明しない。
【0095】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。本明細書では、本発明のいくつかの実施形態が例示のみを目的として記載される。当業者であれば、以下の説明から、本明細書に記載された本発明の原理から逸脱することなく、本明細書に示された構造の代替的な実施形態を使用することができることを容易に理解するであろう。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、視覚化プローブは、医療用眼科装置に組み込まれたカメラを含む。これらのツールへの光ファイバアタッチメントは、ツールの有用性、有効性、および機能性の範囲を広げることができる。いくつかの実施形態では、例えば、
図3Aおよび3Bに示されるように、除去するレンズ細胞を視覚化するために、様々な色および強度の光を送達するために、光ファイバーまたはLEDが使用され得る。
図3Aは、本発明の一実施形態による、装置30の遠位端に隣接して配置された照明源31(例えば、複数のLED、キセノンアークランプなど)を有する医療用眼科装置30を概略的に示す。例えば、照明源31が1つまたは複数のLEDである場合、符号32は、装置30の近位端に接続された電源または照明制御モジュールからの配線を示す。
図3Bは、本発明の一実施形態による、LEDおよび光ファイバを備える照明源を有する医療用眼科装置30を概略的に示す。
図3Bのこの実施形態では、装置30は、LEDと光ファイバ34との間を結合するための要素33を含む。
図3Cは、本発明の一実施形態による、カメラのセンサ35を取り囲む4つのLED31の配置を示す、
図3Aの医療用眼科装置の先端部の断面図を概略的に示す。
図7は、本発明の一実施形態による、レーザファイバ71と、カメラ72と、照明源73とを備えた医療用眼科装置の先端部70の断面図を概略的に示す。
図8は、本発明の一実施形態による医療用眼科装置のオリーブ型チップ(先端部)80を概略的に示す。
【0097】
本発明の別の実施形態では、光源は、(1)ツール上の遠位に、すなわち、直接照明、または(2)遠位端への光ガイドを含む先端部の本体内に、または(3)光を標的領域に導く光ファイバを有するツールの外側本体上に、または(4)顕微鏡、キセノンランプ、キセノンランプ/LED、または眼の外側に配置された他の照明源および光学束からの外部光を介して、または(5)カメラと平行に眼に挿入されたエンドイルミネータなどの追加の照明を使用して、配置することができる。異なる光波長下で照射された細胞は異なるように染色され、従って、照射は同定目的のために重要である。例えば、細胞は、皮質クリーンアップの終わりに青色または他の色で染色され得る。次に、青色光源を備えた水圧切開ツールを使用して、接着細胞を照射し、別個のツールを使用して水圧切開、掻き取り、または吸引によってそれらを除去することができる。本発明の実施形態によれば、他の染色手段も使用することができる。例えば、ツールは、トリパンブルー0.1%、ゲンチアンバイオレット0.001%、インドシアニングリーン0.5%(ICG)などの染色材料との混合を可能にすることができる。例えば、染色材料を混合し、生理食塩水と一緒に噴射することができる。流出液は、染色化合物の混合を可能にすることができる。嚢コラーゲン不透明度を減少させるように設計された化合物は、全ての細胞層が除去された後に適用され得る。接着細胞の現在の交絡問題(current confounding issue)を排除することによって、コラーゲンの自然経過、およびどのようにして誘導されて透明のままであり得るかが、より良く理解される。
【0098】
本発明の別の実施形態では、レーザは、例えば、距離の測定、レーザ切断、光線療法、レーザ眼手術、光アブレーションなどの様々な光学的処置を実行するためにツールに組み込まれる。さらに、レーザ光の波長は、タスクの特定の要件に対して変化させることができる。低エネルギーレーザー光は、化合物を染色する必要なく、接着細胞を同定するのに有用であり得る。
【0099】
本発明の別の実施形態では、超音波ツールは、水晶体乳化装置に組み込まれる。
【0100】
光源は外部に設けることができるので、ツールは外部に接続された任意の光源と互換性がある。例えば、
図3Aおよび
図3Bを参照されたい。器具の先端部の角度で細胞を見る能力は、外科医が上記の顕微鏡から現在見えない眼の領域における細胞除去の仕事を完了することを可能にする。LEDの交差照明およびビデオ観察と組み合わされた色光ファイバは、ツールが実行可能なタスクにとって重要である。ビデオカメラの角度と配置は制限されない。典型的には、ビデオカメラは、1.0mmサイズ(または1.0mm未満)であってもよく、バイモーダルシステムのバキューム部分または排出構成要素またはその両方を組み込んでもよい。本ユニットは0.2mm以上のバキューム用スリット開口部を有する場合があり、1.8mm幅とすることができる。
図3A~
図8は、カメラおよび光源の位置決めに利用可能な種々のオプションを示す図である。すなわち、光源は、光ガイドおよび/または光ファイバによって外部に導波され得るか、または先端部自体(すなわち、内部)上に遠位側に集積され得る。例えば、
図4Aおよび
図4Bは、本発明の一実施形態による、照明源41およびカメラ42が医療用眼科装置の先端部40に配置される構成を示す。この構成では、照明源41はカメラ42の上部に配置される。
図5は、本発明の一実施形態による、一実施形態における同じPCB 53上にカメラ52およびLED 51を有する医療用眼科装置の先端部50の側面図を概略的に示す。
図6は、本発明の一実施形態による、カメラ61およびその背後にLED 62を有する医療用眼科装置の先端部60の側面図を概略的に示す。
【0101】
光源自体は、顕微鏡光、白熱電球、手術室の光、発光ダイオード(LED)、蛍光電球、キセノンアークランプなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。これらは個別にまたは組み合わせて使用することができる。本発明の一実施形態によれば、光源は、装置に平行に挿入されるように適合された光プローブの形態である。異なるタイプの光源を利用可能にすることは、外科的処置が処置特有の照明を必要とすることが多いため、重要である。更に、光照射は、光ガイド及び光ファイバー(
図3A及び
図3B参照)によって容易となる。さらに、光源の色は、白色光のみに限定されず、ユーザが処置を行うことを助ける任意の色および/または波長を含むことができる。本発明の一実施形態によれば、取り外し可能/交換可能な遠位端は、異なる波長を有する1つ以上のLEDを含んでもよい。例えば、色は、RGBのLEDが使用される場合、ソフトウェアによって管理することができる。
【0102】
本発明の一実施形態では、ツールを通る流体の流量を、前記ツールの幅および角度によって制御することができる。さらに、水流は、外科医の要求に従って、パルス状または連続的であり得る。流れは、白内障除去ユニットまたは硝子体切除ユニットのいずれかからのポンプによって導かれてもよい。流れはまた、それ自体の供給源を有する可能性がある。流体流動先端部の出口ポートの形状および断面は、変化させることができる。眼の手術中、流出液が速すぎるか、またはその断面が狭すぎると、水晶体嚢を裂いて貫通することがある。さらに、脈動率と1回の脈動当たりの流量は、流出物の速度と同様に、流出物の幅と高さに関連して動的効果を持つ。脈動率が速い場合、流出物の衝撃波は水晶体嚢を裂いて貫通することがある。これらのエネルギーの限界は、外科医がこれらの限界を超えることを防止するために、ポンプのソフトウェアに設定される。流体が遠位端に配置された光ファイバおよび/またはカメラの間を通過し、開口が流れ方向および圧力を画定する、本発明の実施形態の例については、
図11~
図13を参照されたい。
【0103】
本発明の別の実施形態では、基部および側部で湾曲した任意の柔軟な可撓性材料(例えば、シリコーン)の柔軟なスクレイピングツールを装置に組み込んで、水晶体嚢に強く付着した細胞をほぐすことができ、その後、スクレイピングツールの逆方向の塗布動作で拭き取ることができる。この装置は、先端部の後ろに湾曲状または直線状の部分を含みんでもよい。これにより、水晶体嚢に対して穏やかな動きを可能にし、細胞を機械的に除去するか、または細胞をほぐし、次いで、先端部によって掃引する。
【0104】
本発明の別の実施形態では、先端部は、必要に応じて、水晶体嚢下の角度付けを可能にするように角度付けられてもよく、外側スリーブへの、または外側スリーブからの流入を可能にするようにスリーブ化されてもよい。先端部を通過する流体は、抵抗/流量に比例する速度で流れる。流量が一定のままである場合、抵抗は圧力を増加させ、次に、流体をより速い速度で噴出させる。一般に、本発明の目的は、水晶体嚢に対して流れるときに抵抗に遭遇する、平坦なまたはわずかに湾曲した流体平面を作り出すことである。抵抗は、接着性細胞であり、前房および後房の房水中に残存する粘弾性体である。したがって、先端部の形状は、このツールの概念に不可欠である。
【0105】
本発明の別の実施形態では、装置の排出部分が、バイマニュアルバージョンにおいて、吸引または戻り部分から分離されてもよい。このようにして、排出部分のサイズは、サイドポートにおけるようなより小さな切開部または追加の切開部を通して排出部分が配置されることを可能にするように、縮小されてもよい。この実施形態の説明については、
図9を参照されたい、ここでは、バイマニュアルモードがカメラと共に使用され、洗浄ツール91は第2の切開を介して眼90に挿入される。一方、吸引ツール92は第1の切開を介して眼90に挿入されている。
【0106】
本発明の別の実施形態では、ユニットの吸引部分が、光源、ビデオカメラ、または、染色化合物を水晶体嚢上に配置するための注入ユニットを組み込んでもよい。染色材料は、残留粘弾性と同様に、水晶体細胞を視覚化するために使用され得る。装置上での有彩色光の使用は、残留細胞の視認性を向上させる。このツールは、虹彩の背後に視界を提供するので、上の顕微鏡から見えない処置を実行するための把持ツールまたは切削ツールを置くためのアタッチメントを備えることができる。
【0107】
別の実施形態では、カメラが、洗浄および吸引を使用するツールに一体化される。カメラおよび照明は、洗浄ツールのみに一体化されてもよい(白内障手術のためのバイマニュアル方法)。単なる例として、潅注チャネルは、任意の断面形状(例えば、数本の小さな管、または外側チューブの構成要素間の自由空間内)を有し、少なくとも0.3mmとすることができる。例えば、外径は約1.5mmとすることができる。ツールはまた、一次および/または二次切開を通して挿入され得る。外科手術の便宜のために、先端部は、永久的(再使用可能)であっても、取り外し可能(使い捨て)であってもよい。再使用可能なハンドピース101を有する使い捨て先端部102の説明については、
図10を参照されたい。
【0108】
図11に、本発明の一実施形態による、潅注またはバキュームのための開口部112が設けられた医療用眼科装置110を概略的に示す。医療用眼科装置110は、カメラ111と、洗浄またはバキュームのための開口112と、照明源113とを備える。
図12は、本発明の一実施形態による、潅注チューブ114を示す医療用眼科装置110の先端部の断面を概略的に示す。この実施形態では、水は、潅漑チューブ114を通って流れ、開口112を介して排出される。
図13は、本発明の別の実施形態による、先端部の中心に位置するカメラ132の周りに配置された、潅注またはバキュームのための開口部131を示す、医療用眼科装置の遠位端の断面を概略的に示す。
【0109】
図14は、本発明の別の実施形態による医療用眼科装置140を概略的に示す。装置140は、洗浄ポート142と、カメラセンサ(図示せず)が配置される先端部141とを備える。流量は、装置のハンドピースの本体144上に配置された流量コントローラ143を介して、制御することができる。この実施形態では、装置140が、ケーブル145を介して装置140に電気的に接続された操作ユニット(図示せず)を介して制御され、給電される。
【0110】
図15A~
図15Bは、本発明の一実施形態による、複数のLED152と、ハンドピースの近位端に配置されたカメラ151とを有する医療用眼科装置150を概略的に示す。
図16は、ハンドピースの近位端に位置するカメラ161及び複数のLED162の別の配置の断面図を概略的に示す。
【0111】
本発明の別の実施形態では、先端部が、流体の広がりを下向きまたは上向きの方向に押し出すように、角度を付けられてもよい。それは、付着している残屑および水晶体細胞を「剥離」しながら、膜の表面に対して角度を付けて、水晶体嚢に最小の張力をかけることができる。したがって、先端部のギャップおよび幅は、装置の機能および安全性にとって非常に重要である。先端部の幅およびギャップはいくつかのバリエーションを有し、ユーザは、自分の経験および目標に最も適した先端部を選択することができる。単なる例として、先端部は、幅が0.5mm~2.5mmであってもよい。単なる例として、ギャップは約0.05mm~1mmの範囲で変化することができ、湾曲した又は直線状の形状を含むことができる。先端部はまた、流体のジェットの背後の表面から細胞をほぐすことを可能にするために、粗面化された下面を有する可能性がある。このようにして、水晶体嚢は粗くされた領域の前面で平らにされて、水晶体嚢が転がるかまたは折り畳まれ、次いで引っ掛かり、引き裂かれる危険性を低減し得る。粗面化された領域はまた、広げられ、後続の水圧切開カニューレの前に、広げられた表面領域が取り除かれるか緩められることを可能にする。このようにして、デリケートな水晶体嚢を突く危険性が低減される。
【0112】
本発明の別の実施形態では、先端部の材料は、優しい切削を可能にするために、軟質ポリマー要素と組み合わされた金属であってもよい。
【0113】
さらに、先端部は、ピエゾ素子、2つのチューブ、すなわち外側剛性チューブと、事前形成された半剛性または可撓性の内側チューブとを使用する、内側の取り外し可能な金属ワイヤによって、る調節可能な剛性を有するようにしてもよい。この方法により、先端部を回してカメラからの可変な視界を提供し、流れを導くことができる。
【0114】
本発明は、直視下で水晶体断片を除去する処置を可能にする。これは、構成要素の以下の組合せを用いて行うことができるが、このリストのみに限定されない。潅注を伴うカメラ、吸引を伴うカメラ、潅注および吸引を伴うカメラ、カメラおよび水晶体超音波プローブ、正確な回転および位置を可能にするカメラおよび特徴。
【0115】
本発明は緑内障手術を可能にする。カメラは、毛様溝および虹彩下腔の可視化を提供することができるので、ゴニオスコープを使用する必要性がなくなる。この使用において、カメラは、治療装置に取り付けることができ、また、第2の切開部を通して挿入される診断観察装置とすることができる。カメラはまた、ステント送達ツール、シャント送達ツール、またはシャント自体などの治療装置と平行に配置することもできる。本発明のいくつかの実施形態によれば、カメラは、インプラント送達ツールに一体化することができる。
【0116】
本発明は、眼の前部が不透明(例えば、不透明な角膜)である場合に、眼に挿入されたカメラが可視化ツールとして働くことができる硝子体切除処置を可能にする。この実施形態では、カメラは、手術に使用されるトロカールを通過するのに十分小さく、縫合糸の位置決めや、眼内異物の除去を補助することができる。前方処置に対しては、湾曲した先端部を使用することができ、硝子体網膜処置では真っ直ぐな先端部を使用することができる。
【0117】
シリコーンのような可撓性材料で作ることができる湾曲したバンドを、射出ゾーンの背後に配置することができる。これは、流出液の前で、平らにされている組織をストロークするために使用され得る。先端部の背後の湾曲ゾーンは、必要とされるタスクに対する外科医の好みに基づいて、硬質材料であってもよい。
【0118】
湾曲した先端部は、水晶体嚢の後方湾曲に沿わせることができる。水圧切開のための先端部の理想的な角度は、効果的に平行であってもよく、または(単なる例示のためであるが)5~25度以上の角度が付けられてもよい。これは外部器具に角度を付けることによって達成されてもよい。または(例えば、シリコーン)または粗い(例えば、ダイヤモンド)、または粗い合成もしくは金属表面のいずれか、またはスクレイピング要素を有する先端部に組み込まれてもよい。
【0119】
典型的には、水の流入は、装置の側面を通る流出によって、または「バイマニュアル」技術によって整合される。バイマニュアルモードでは、2 つのツールを使用して、洗浄と吸引を行う。バイマニュアルモードでは、2つの別個のツールが2つの別個の切開部に挿入され、同時に動作する。本発明の一実施形態によれば、ツールは、同じツール上の隣接するチャネルを介して、すなわち、2つの別個のツールを必要とせずに、潅注および吸引の両方を含むことができる。この実施形態では、潅注吸引装置の動作は、先端部からの流出と、器具の側面に沿った戻り流とによって逆転される。先端部はまた、引っかかり、引き裂かれる危険性がより少ない、膨張した水晶体嚢に対して作用するためのツールとして使用されてもよい。粘弾性体はIOLの後方および前方から、ならびに虹彩溝および角膜のドーム内に完全に放出され得る。
【0120】
本発明の別の実施形態では、バイマニュアルアプローチと同様に、水の流入および流出も、同じツールを介して制御することができる。このアプローチにおいて、潅注および吸引は、a)2つの平行なチューブ、またはb)同軸方法によって実施され得る。2つの平行チューブの方法は、チューブ入口および出口を、プローブの遠位端上の任意の場所、例えば、互いに隣り合う、または遠く離れた場所に配置することができる、という利点を有する。一方、同軸方法は、プローブ自体に沿ってだけでなくプローブの遠位端においても体積空間を節約することにより、小型化を助ける。同軸方法は、中心管が潅注し、外側管が吸引する、またはその逆の、同心管を含む。両方の方法は、第2の切開部を通る第2のツールを必要とせずに、小型化され、単一のツールに一体化されるという利点を有する。
【0121】
先端部は、側部ポートまたは第2の切開部から流れを導くことによって、サブ切開クリアランスのために使用されてもよい。眼からの細胞の除去率が完全に近くなるほど、回復段階で予想される影響はより少なくなる。
【0122】
レンズ粒子、皮質および粘弾性材料は、しばしば虹彩の下に隠れている。吸引ツールでこれらに到達すると、水晶体嚢に損傷を与え、小帯の裂開または水晶体嚢の破裂をもたらす可能性がある。強力洗浄対吸引の優れた利点は、安全性と効率性にある。染色および照明は、除去を可視化し確実なものとする。レンズ材料の残渣は、細胞の薄い層であっても、特に核材料は慢性または急性の炎症をもたらし、これは回復の遅れまたは黄斑腫脹または嚢胞様黄斑浮腫を引き起こし得る。そのため、白内障除去を完了したこれらの細胞を完全に除去することにより、術後の転帰が良好になることが予測される。
【0123】
本発明の一実施形態では、装置は、鉗子またはさみのような、カメラ以外のアタッチメントを備えることができ、外科医が直接的な視覚化の下でタスクを実行することを可能にする。これは、水晶体嚢テンションリングまたは二次IOLでの縫合、および水晶体嚢付着部からのIOLの解放を含むことができる。水噴出システムは圧力を維持し、これらの処置のいくつかにおいて粘弾性体の必要性をなくせるであろう。眼内レンズは、小帯水晶体嚢連結部の水晶体嚢支持領域に突出するアームまたは触覚部によって、中心に置かれる。IOLがこのゾーンにどのように着座しているかは、現在のところ視覚化されていない。触覚によれば、直接観察下でそれらを適切かつ最も強力な位置に最適に位置するように調整することができる。さらに、折り重なった水晶体嚢の組織面を分離することができるようにIOLを除去しなければならない場合、触覚は、はるかに安全で制御された処置を容易にする。一部の症例では、毛様体小帯が弱く、毛様体付着部から裂けることになる。これらの場合、リングを水晶体嚢内に配置して、傷ついた袋の周りの応力を均等にすることができる。支持を必要とするリングおよび領域を直接視覚化することは、これらの場合の使用を最適化するであろう。同時に、縫合糸を強膜に取り付けるために、縫合糸を配置するか、または触覚「弾性」を付着させなければならない。直接観察下では、この手順は再び最適化される。両手が必要とされる場合、外科医が両手を使用して縫合または結紮を行う間、装置は、関心領域を見るための位置に安定化され得る。
【0124】
本発明の一実施形態では、装置の先端部からの流体投射が必要とされる流体の体積がより少なく、水晶体嚢から水晶体細胞を安全に水圧切開することを可能にするように成形することができる。これは、フットペダルを介して、またはハンドピース自体から制御することができる。ツールのそのような実施形態の一例が
図15に示されており、ここでは、種々のボタン、レバーおよびバルブがツールに一体化されて示され、本明細書に記載される流量および他のパラメータを制御する。流量は、タスクの要件に基づいて、かつ外科医の裁量で調整されてもよい。流れは、タスクの要件に従って、および外科医の裁量で、パルス状であっても連続的であってもよい。したがって、パルスの周波数および強度は、外科医によっても設定することができる。単なる例示のためであるが、脈動の周波数は、1秒あたり1パルスの低いレートであってもよく、または1秒あたり10パルス以上の速いレートであってもよい。さらに、流体流量および脈動数は、独立して変化させることができる。流量および脈拍数を変化させることによって、装置は、経験および対向する組織の差に適応する。脈動レートは、異なる方法によって制御することができる。ポンプは、そのポンプの動きを妨げる可能性があり、バルブは、流動ラインコースまたはハンドピース自体のいずれかを塞ぐ可能性がある。このような方法は、流体の流れの技術分野の当業者によって十分に理解されており、上記の例は限定的なものではない。
【0125】
図17は、2つの装置を同時に使用することを示す本発明の別の実施形態を示す。
図17は、人間の眼170内の、光プローブ172と並行して作動するカメラと潅注プローブ171の組み合わせを概略的に示す。典型的には、3mm未満の1~2つの切開(通常、「一次」切開および「二次」切開と呼ばれる)が手術中に眼に形成される。本明細書に記載の装置は、切開部を封止し、手術中に眼内に圧力を保持することができるように適合される。2つの切開は、2つの別個の装置が手術中に同時に使用されることを可能にする。単なる例示の目的のために、2つの装置は、多くの異なる特徴の組合せであり得る。第1のツールは、1つの切開部に挿入されたカメラおよび潅注ツールを組み込むことができ、第2のツールは、照明プローブを組み込むことができる。眼科手術の専門家はこのようなアプローチにおける有用性を理解し、そして両方のツールのための特徴の他の組合せを考案することができる。例えば、(任意の波長の)光照射、レーザー、潅水、スクレイピング要素、カメラ及びその他は、いずれのツールにも任意の組合せで一体化することができる。本発明の特有の小型化された特徴は、そのような特徴の組合せを可能にし、眼科手術の専門家が最適に操作するために必要な柔軟性を供与する。
【0126】
図18は、医療用眼科装置の小型化能力、ならびに異なる構成要素/ユニットを実証する、本発明の実施形態を示す。ハンドピース1は、適当なコネクタ2を介して、内視鏡ユニット3及びビデオコントローラ4に接続されている。内視鏡ユニット3はいくつかの特徴、すなわち、白色光バランスおよび光強度コントローラ、撮影フォトスチルおよび/またはライブビデオ記録を含むが、これらに限定されない。さらに、潅注調節および制御は、このユニットを介して提供されても良いし、または別個ユニットに含まれても良い。前記内視鏡ユニットは、HDMI(登録商標)、DVI、コンポジット、S-ビデオ及びUSBのような全ての電気的接続に適合するが、このリストのみに限定されない。この実施形態では、プローブは、プローブユニットの遠位端で一体化された様々な構成要素からなる。この実施形態では、光学バレル5は、2つ以上のレンズから構築され、特定の用途に従って照明の任意の態様(例えば、強度、周波数/波長、時間的光断続、波形など)を制御するために、任意の数のフィルタおよび/またはコーティングを含むことができる。センサハウジング6および光学バレル5は、特定の手順の光学的要件に従って、一体化されてもよいし、分離されてもよい。センサ7は、ウェハベース、すなわち、カメラ、センサ、及び光学バレルが一体化/アセンブリ化されることができ、又は、光学部品がセンサ自体から分離され、集束レンズがそれらの表面間の距離を変えることによって調整される、より多くの従来の方法を使用することができる。1つまたは複数のLED8は、プリント回路基板9上のプローブ装置の遠位端部に一体化されている。光源は、外部光源ユニットからプローブの遠位端までの光ファイバによって提供することもできる。LEDは、その表面および光学バレルの遠位表面が同一平面上に配置され、容積空間をさらに節約して小型化を図ることができる。LED8は、センサ6と同じPCB上に配置することもできる。さらに、カメラは照明なしで動作することもでき、このようなオプションは、高解像度精密手術のための装置をさらに小型化するために重要であり得る。本明細書に記載される照明特徴を伴わないオプションでは、プローブは、省スペースおよびその後の小型化により、はるかに小さなスケールでカメラを用いて動作することができる。あるいは、同じ切開要件からより高い解像度を与えるために、より大きなチップを使用することができる。ケーブル18は、機能構成要素の多くが配置されているプローブの遠位端からハンドピース及び外部測定ユニットまで、装置全体にわたって全ての特徴部を接続する。ケーブルの代わりに、フレキシブルな設計のPCBを実装することができる。PCBは90度の角度に曲げることができ、別の選択肢では、2つのPCBを使用することができる。前記ケーブル18は、内視鏡ユニット3内のビデオコントローラ4に接続されている。さらに、小型ビデオコントローラをハンドピース自体に配置し、装置に統合することができる。
【0127】
本発明の一実施形態によれば、プローブの先端部は、切開部の下を見るために、および関心領域の左または右のゾーンでの回転によって、プローブをU字形に曲げることができるように曲げることができる。この実施形態では、プローブ支持体は、金属またはポリアミドのような適合性材料から作製される。
【0128】
プローブは、横方向にコードを引っ張ってプローブの先端部を1つまたは2つの方向に回転させることを可能にするための横方向支持コードを有していてもよい。プローブが、円回転であり、先端部を曲げる能力があれば、必要な任意の方向にプローブを向けることができる。眼内の最小限の屈曲と回転の空間が比較的小さいため、必要な任意の方向を指すように先端部を向けることができる。
【0129】
完全な対物レンズの光学設計は、いくつかのパラメータ、例えば、視野(FOV)、被写界深度(DOF)、画素寸法、センサの有効面積、および固体センサカメラヘッド全体の機械的軸と比較したその光軸の向きを考慮する。この説明を簡単にするために、これらの2つの軸が一致すると仮定し、それらが一致しない場合、機械部品および/またはアセンブリのシフトを考慮しなければならず、または非球面レンズの場合、レンズ用の型はこのシフトを考慮に入れることができる。その他のパラメータもデザインに影響する。たとえば、歪みのレベルやF値などである。歪みが高すぎる場合には「魚眼」効果が現れ、F値が高すぎる場合には明るい画像を得るためにより多くの照明が必要とされる。ソフトウェア駆動による拡大は、関心領域の拡大を可能にすることができる。ビデオプローブの代わりにOCTを使用することは、必要であると考えられる場合に、組織平面を通るビューを与えるために、装置と共に使用され得る。
【0130】
本発明の一実施形態では、プローブは、医療用眼科装置に取り付け可能である。したがって、この実施形態によれば、再使用可能ですなわち、滅菌され、後続の手順で使用され得る医療用眼科装置を提供することが可能である。一方、可視化プローブは、使い捨てであっても良い。これは、本発明による可視化プローブの実施形態を製造するために本明細書に記載の方法を使用することによって、低コストで可能になる。例としては、フェーコチップや、白内障を切断するため、または移植片を操作するため、あるいはMIGS挿入器に取り付けるために使用されるサイドポートプローブが挙げられる。
【0131】
別の態様では、本発明は、例えば約1.8ミリメートル以下の外径を有する撮像装置を有する可視化プローブを収容するのに適したソケットまたはチャネルを備える医療用眼科装置を対象とする。このような装置では、ソケットは、プローブによって生成された信号を受信し、それらを表示装置に送信するように構成された信号転送コネクタを備えてもよい。
【0132】
上記で使用された「医療用眼科装置」という用語は、人間または動物の眼に対して積極的に外科手術を行うために使用される装置だけでなく、診断目的のみに使用される装置、および治療および/または薬物の送達に使用される装置も指す。動物または人体の眼に導入される任意の装置は、本明細書全体を通して医療装置の定義に含まれる。このような医療用眼科用装置は、以下より選択される。例えば、内視鏡;はさみ;メス;腹腔鏡;治療処置のために、またはこれらのチューブ(またはパイプ)を通して他の装置を挿入および抽出する際に眼を保護するために使用される、可撓性、半可撓性、半剛性、または単一チューブ腔もしくは複数チューブ腔のチューブ(またはパイプ);バネ;ロッド;組織を接近させ、切断し、そして密封するために使用される装置;物体を燃焼させ、凝固させ、または他の方法で破壊するための装置;物体または物質を供給し、誘導し、排出し、または送達するための装置;ガイドワイヤ、鉗子、モニタリングおよび/または診断装置;無線インビボ装置など。
【0133】
本発明はさらに、医療用眼科装置と上述の視覚化プローブとの組合せを包含する。例えば、固体撮像装置は、医療用眼科装置の表面に取り付けられた可視化プローブの遠位端に配置することができる。
【0134】
本発明の目的はすなわち、非常に小さいサイズの可視化プローブおよびそれらを含む医療用眼科装置を製造することであり、本明細書中上記に記載される技術を利用することによって達成された。
【0135】
当業者には明らかなように、上記の説明および実施例はすべて、例示の目的で提供されたものであり、本発明をいかなる形でも限定することを意図したものではない。本発明のプローブは、多くの異なる外科用ツールを作製するために使用することができる。そして多くのこのような異なるツールを作製することができる。これらのツールは、本発明に従って、プローブを受容するように適合されたソケットを備え、種々のツールおよびそれらを使用する手順に従って、適切かつ便利な種々の位置において、プローブを受容するように適合されたソケットを備える。したがって、本発明は、それらの形状、プローブの位置、およびそれらの意図される使用に限定されることなく、医療装置、特に医療眼科装置の新しい世代のためのドアを開く。また、ハウジングなしでプローブを「取り付ける」こと、またはツール内にハウジングを既に含むプローブを取り付けることも可能である。
【国際調査報告】