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特表2022-530857ロボット支援による表面加工のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ロボット支援による表面加工のための装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 5/04 20060101AFI20220627BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20220627BHJP
   B24B 27/027 20060101ALI20220627BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20220627BHJP
   B24B 27/00 20060101ALN20220627BHJP
【FI】
B23Q5/04 510B
B25J17/02 G
B24B27/027
B24B41/04
B24B27/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561764
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020060818
(87)【国際公開番号】W WO2020212552
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102019110421.1
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515315521
【氏名又は名称】フェルロボティクス コンプライアント ロボット テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Ferrobotics Compliant Robot Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナデラー ロナルド
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
3C707
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB22
3C034CB08
3C034DD07
3C158AA04
3C158AA12
3C158AA16
3C158AA18
3C158CB03
3C707AS12
3C707BS12
3C707BT18
3C707HS27
3C707HT15
(57)【要約】
【課題】
ロボットが行う動作の精度に対する要求を緩和する。
【解決手段】
支持板(51)と、モータ(31)と、リニアアクチュエータ(2)と、リニアアクチュエータ(2)によって支持板(51)に結合された加工ヘッド(33;33a、33b)であって、回転可能な工具(32)を直接的又は間接的に駆動するためのドライブシャフトを有する加工ヘッド(33;33a、33b)と、モータ(31)のモータシャフト(310)と加工ヘッド(33;33a、33b)のドライブシャフトとを連結するフレキシブルシャフト(544)と、を有する装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板(51)と、
モータ(31)と、
リニアアクチュエータ(2)と、
前記リニアアクチュエータ(2)によって前記支持板(51)に結合された加工ヘッド(33;33a、33b)であって、回転可能な工具(32)を直接的又は間接的に駆動するためのドライブシャフトを有する加工ヘッド(33;33a、33b)と、
前記モータ(31)のモータシャフト(310)と前記加工ヘッド(33;33a、33b)の前記ドライブシャフトとを連結するフレキシブルシャフト(544)と、
を有する装置。
【請求項2】
前記加工ヘッド(33;33a、33b)の2軸方向の傾斜を可能にするように、前記加工ヘッド(33;33a、33b)と前記リニアアクチュエータ(2)とを機械的に連結するユニバーサルジョイント(60)をさらに有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータ(2)の一端に接続された支持構造体(52)をさらに有し、
前記リニアアクチュエータ(2)の他端は前記支持板(51)に接続されており、
前記ユニバーサルジョイント(60)がカルダンサスペンションを形成し、それによって前記加工ヘッド(33)が前記支持構造(52)に支持される請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ユニバーサルジョイント(60)が、前記加工ヘッド(33)の上側から間隔を空けて前記加工ヘッド(33)を貫通して延びる2つの傾斜軸(K、K)を中心に傾斜可能である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記支持構造体(52)が、ベース板と2つの対向する脚部(521、522)とを有し、
前記加工ヘッド(33)が前記カルダンサスペンションを介して2つの脚部(521、522)に取り付けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記支持構造体が、前記加工ヘッド(33)又は前記フレキシブルシャフト(544)が通過する開口部を有している請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記加工ヘッド(33)が、伝達装置(34)を有し、回転可能な前記工具(32)の回転軸(C)と前記ドライブシャフトの回転軸(B)とがオフセットしている請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ユニバーサルジョイント(60)を介して前記リニアアクチュエータ(2)の一端に接続された支持構造体(71)をさらに有し、
前記リニアアクチュエータ(2)の他端が前記支持板(51)に接続され、
1つ又は複数の加工ヘッド(33a、33b)が前記支持構造体(71)に取り付けられている請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ユニバーサルジョイント(60)が、2つの傾斜軸(K、K)を中心に傾斜可能で、前記傾斜軸(K、K)が、前記リニアアクチュエータ(2)の長手方向の軸(A)も通過する交点で交差している請求項8に記載の装置。
【請求項10】
2つ以上の加工ヘッド(33a、33b)が前記支持構造(71)に取り付けられており、前記加工ヘッド(33a、33b)が前記ユニバーサルジョイント(60)の周囲に配置されている請求項8又は請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記傾斜軸(K、K)は、前記加工ヘッドを通して延びる平面上にある請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記支持構造体に軸受(72)を介してシャフトが取り付けられており、前記シャフトは、フレキシブルシャフト(544)に接続され、伝達装置を介して前記加工ヘッド(33a、33b)のドライブシャフトを駆動する請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記伝達装置が、ベルトドライブ又はギアドライブである請求項12に記載の装置。
【請求項14】
回転可能な前記工具(32)の回転軸(C)は、前記モータシャフト(310)の回転軸(A´)と平行ではなく、特に、回転可能な前記工具(32)の前記回転軸(C)と前記モータシャフト(310)の前記回転軸(A´)との間の角がほぼ直角である請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記モータ(31)の前記モータシャフト(310)と前記加工ヘッド(33;33a、33b)の前記ドライブシャフトとが、前記フレキシブルシャフト(544)と伸縮シャフトとを介して互いに結合されている請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
支持板と、
モータと、
リニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータによって前記支持板に結合された加工ヘッドであって、回転可能な工具を直接的又は間接的に駆動するためのドライブシャフトを有する加工ヘッドと、
前記モータのモータシャフトと前記加工ヘッドの前記ドライブシャフトとを連結するフレキシブルシャフトと、
前記リニアアクチュエータの長手方向の軸も通過する交点で交差している2つの傾斜軸を中心として前記加工ヘッドが傾斜可能なように前記加工ヘッドと前記リニアアクチュエータとを機械的に結合するユニバーサルジョイントと、
前記リニアアクチュエータの一端に接続された支持構造体であって、前記リニアアクチュエータの他端は前記支持板に接続されており、前記加工ヘッド又は複数の加工ヘッドが取り付けられている支持構造体と、
を有する装置。
【請求項17】
支持板と、
モータと、
リニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータによって前記支持板に結合された加工ヘッドであって、回転可能な工具を直接的又は間接的に駆動するためのドライブシャフトを有する加工ヘッドと、
前記モータのモータシャフトと前記加工ヘッドの前記ドライブシャフトとを連結するフレキシブルシャフトと、
前記加工ヘッドの2軸方向の傾斜を可能にするように、前記加工ヘッドと前記リニアアクチュエータとを機械的に結合するユニバーサルジョイントと、
を有し、
前記ユニバーサルジョイントが、前記加工ヘッドの上側から間隔を空けて前記加工ヘッドを貫通して延びる2つの傾斜軸を中心とする傾斜を可能にする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット工学の分野に関するものであり、より詳細には、ワークピース表面のロボット支援加工のための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボット支援による表面加工では、研削機械や研磨機械などの工作機械(例えば、研削工具として回転する研削ディスクを用いた電動式の研削機械)を、産業用ロボットなどのマニピュレータが案内する。ここで、工作機械は、マニピュレータのTCP(Tool Center Point)と様々な方法で結合することができ、通常、マニピュレータは、機械の位置や姿勢を自由に調整し、工作機械をワークの表面に平行な軌道上で移動させることができる。産業用ロボットは通常、位置制御されており、目的の軌道に沿ってTCPを正確に動かすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 0237854 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボット支援による研削加工で良好な結果を得るためには、多くの使用で加工力(研削力)の制御が必要であるが、従来の産業用ロボットでは十分な精度での制御が困難な場合がある。産業用ロボットの大きくて重いアーム部分は、慣性が大きすぎて、コントローラ(閉ループコントローラ)では、処理力の変動に素早く反応することができない。この問題を解決するために、産業用ロボットに対してより小型(軽量)で、マニピュレータのTCPを工作機械に結合するアクチュエータをマニピュレータのTCPと工作機械の間に配置することができる。表面加工の際にリニアアクチュエータは加工力(工具とワークの接触力)のみを制御するのに対し、マニピュレータは工作機械とリニアアクチュエータを所望の軌道に沿って位置制御で移動させる。力制御により、リニアアクチュエータは、加工するワークの位置や形状の不正確さや、マニピュレータの軌道の不正確さを(一定の範囲内で)補正することができる。しかし、ロボットが研削ツールをワークの表面に接線方向に当てないと、加工結果に問題が生じることがある。
【0005】
本発明者は、ロボット支援による表面加工のための改良された装置と、それに対応するプロセスを開発し、特に、ロボットが行う動作の精度に対する要求を緩和することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、請求項1に記載の装置によって解決される。異なる実施形態とさらなる発展は、従属請求項の対象である。
【0007】
本発明の一実施形態は、ロボット支援による表面処理のための装置に関するものである。この実施形態の装置は、マニピュレータに取り付けるための支持板、モータ、リニアアクチュエータ、及び加工ヘッドを有する。加工ヘッドは、リニアアクチュエータによって支持板に結合されており、回転可能な工具を直接又は間接的に駆動するためのドライブシャフトを備えている。この装置は、さらに、モータのモータシャフトと加工ヘッドのドライブシャフトとを連結するフレキシブルシャフトを有しいている。支持板は必ずしもマニピュレータに取り付けられている必要はなく、例えばハウジングや三脚などの支持体の一部として固定されていても良い。
【0008】
また、本装置は、加工ヘッドの2軸傾斜を可能にするように加工ヘッドと、リニアアクチュエータとを機械的に結合するユニバーサルジョイントをさらに備えている。
【発明の効果】
【0009】
ロボットが行う動作の精度に対する要求を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】産業用ロボットに力制御のリニアアクチュエータで結合された研削機械を備えたロボット支援型の研削装置の模式図である。リニアアクチュエータは、産業用ロボットと研削盤を機械的に切り離す効果がある。
図2】工具機械の駆動側と工具側を機械的に切り離すリニアアクチュエータを内蔵した工作機械の実施形態を示した図である。
図3図2の装置の一部を示したもので、ユニバーサルジョイントも用いて加工ヘッド(研削ヘッドなど)がリニアアクチュエータに対して相対的に傾斜した状態を示している。
図4図3の装置の側面図である。
図5】加工ヘッドの回転軸がモータの回転軸に対して約90°傾いている他の実施形態を示している図である。
図6】加工ヘッドの回転軸がモータの回転軸に対して約90°傾いている他の実施形態を示している図である。
図7】複数の加工ヘッドを備えた他の実施形態を示す図である。
図8】複数の加工ヘッドを備えた他の実施形態を示す図である。
図9】装置がマニピュレータに搭載されていない他の実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示した例を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図は必ずしも縮尺通りではなく、本発明は図示された側面に限定されるものではない。むしろ、本発明の基礎となる原理を説明することに重点が置かれている。
【0012】
本発明の様々な実施形態を詳細に説明する前に、まず、ロボット支援による研削装置の一般的な例を説明する。また、ここで述べる概念は、他の種類の表面仕上げ(例えば、研磨)にも転用可能であり、研削に限定されないものである。以下では、回転する研削工具(研削ディスク)を備えた研削機械を例に挙げて、実施形態を説明する。しかし、ここで述べた概念はこれに限定されるものではなく、例えば、周回移動する工具(ベルト研削装置)や、振動するあるいは揺動する工具(振動研削装置)など、他の工作機械にも適用することができる。
【0013】
図1に示すように、この装置は、産業用ロボットなどのマニピュレータ1と、回転する研削工具とを備えた研削機械10(例えばオービタル研削機械)とから構成されている。そして研削機械10は、リニアアクチュエータ20を介してマニピュレータ1のいわゆる工具中心点TCP(Tool-Center-Point)に結合されている。厳密に言えば、TCPは点ではなくベクトルであり、例えば、3つの空間座標と3つの角度で記述することができる。ロボット工学では、構成空間の一般化座標(通常はロボットの6つの関節角度)がTCPの位置を表すために使用される。TCPの位置と方向は、「姿勢」とも呼ばれる。時間の関数としてのTCPの位置(方位を含む)は、研削工具の軌跡である動きを定義する。
【0014】
また、6自由度を有する産業用ロボットの場合、マニピュレータは、それぞれジョイント3a、3b、3cによって接続された4つのセグメント2a、2b、2c、2dから構成され得る。第1セグメント11は、通常、基礎10に固定的に連結されている(これは必ずしもそうでなくても良い)。ジョイントG11は、セグメント11とセグメント12とを連結している。ジョイントG11は、2軸的であってもよく、セグメント12が水平方向の回転軸(仰角)と垂直方向の回転軸(方位角)を中心に回転できるようにしてもよい。ジョイントG12は、セグメント13とセグメント12とを連結し、セグメント2cの位置に対してセグメント13の旋回運動を可能にする。ジョイントG13はセグメント14とセグメント14とを連結している。ジョイントG13は2軸的とすることができ、したがって(ジョイントG11と同様に)2方向への旋回運動を可能にする。TCPは、セグメント14に対して固定された相対位置を有しており、セグメント14は、通常、セグメント14の長手方向軸A(図1に点線で示されているように、この例では研削工具の回転軸にも対応してる)を中心としたセグメント14に配置されたエンドエフェクタ15の旋回運動を可能にする回転ジョイント(図示せず)を含んでいる。ジョイントの各軸には、アクチュエータ(例えば、電気モータ)が割り当てられ、これらのアクチュエータにより、それぞれのジョイントの軸を中心とした回転運動が引き起こされ得る。ジョイントのアクチュエータは、ロボット制御部4によってロボットプログラムに従って制御される。様々な産業用ロボット/マニピュレータとそれに関連した制御が知られており、ここではこれ以上の説明はしない。
【0015】
マニピュレータ1は、通常、位置制御されており、すなわち、ロボット制御部は、TCPの姿勢(位置及び向き)を決定し、TCPを予め定義された軌跡に沿って移動させることができる。図1において、TCPが配置されているセグメント14の長手方向の軸をAと表記している。アクチュエータ2がエンドストッパにある場合、TCPの姿勢は、研削機械10(及び研削ディスク11)の姿勢も規定する。最初に述べたように、アクチュエータ2は、研削加工中に工具とワーク5との間の接触力(加工力)を所望の値に設定する。マニピュレータ1による直接的な力の制御は、通常、研削用途にはあまりにも不正確である。それは、マニピュレータ1のセグメント11~14の高い質量慣性により、力のピークの迅速な補正(例えば、研削工具をワーク5上に配置するとき)が、従来のマニピュレータでは実質的に不可能であるからである。このため、ロボット制御部4は、マニピュレータ1のTCPの姿勢(位置及び向き)を制御し、力の制御はもっぱらアクチュエータ2が行うように構成されている。
【0016】
既に述べたように、研削加工の間、研削工具(研削ディスク32を有する研削機械3)とワーク5との間の接触力Fは、研削ディスク32とワーク5との間の(長手方向軸Aの方向の)接触力Fが所定の値に対応するように、リニアアクチュエータ2と力制御(これは、例えば、制御部4において実現することができる)とにより設定することができる。その際の接触力Fは、リニアアクチュエータ2がワークの表面を押すアクチュエータ力Fに対する反作用である。ワーク5と工具との間に接触がない場合、アクチュエータ2は、ワーク5への接触力の欠落によりエンドストッパ(アクチュエータ2に一体化されているため図示せず)へ移動し、所定の力でエンドストッパを押し付ける。この際、力制御は全体を通してアクティブである。したがって、この状況(非接触)では、アクチュエータ2の変位が最大になり、アクチュエータは終端に位置する。アクチュエータ2がエンドストッパを押す定義された力は、ワークピース表面との接触を可能な限り穏やかに可能にするために、非常に小さいか、または(理論的には)ゼロに調整されうる。
【0017】
マニピュレータ1の位置制御(これも制御部4で実現可能)は、アクチュエータ2の力制御とは完全に独立して実行され得る。アクチュエータ2は、研削機械3の位置決めのために用いられるのではなく、研削プロセス中に所望の接触力Fを設定および維持すること、ならびに工具32とワークピース5との間の接触を検出することのみに用いられる。この接触は、例えばアクチュエータが終端の位置から移動したことによって簡単に認識される(アクチュエータの変位aは終端の最大変位aMAXよりも小さい)。
【0018】
アクチュエータ2は、空気圧アクチュエータ、例えば複動式空気圧シリンダであってもよい。しかし、他の空気圧アクチュエータ、例えばベローズシリンダやエアマッスルなどを使用することも可能である。代替として、電動ダイレクトドライブ(ギアレス)も考えられる。なお、アクチュエータ2の作用方向と研削機械3の回転軸は、必ずしもマニピュレータ1のセグメント14の長手方向軸Aと一致しない。空気圧アクチュエータの場合、力の制御は、制御弁、制御装置(例えば、制御部4に実装されている)、および圧縮空気アキュムレータ又は圧縮機によって、それ自体公知の方法で実現することができる。重力(すなわち、研削機械3の重量力)を考慮するために垂直方向に対する傾きは重要であるので、アクチュエータ2は、傾きセンサを含むか、またはマニピュレータの関節角度からこの情報を導出し得る。検出された傾きは、力制御の際に考慮される。しかし、力制御の具体的な実装はそれ自体知られているので詳細な説明は省略する。
【0019】
研削機械3は、通常、研削ディスク32を駆動する電動モータを備えている。軌道研削機械―及び研削機械の他の種類においても―では、研削ディスク32は支持プレート(バッキングパッド)に取り付けられており、この支持プレートには電動モータのモータ軸が接続されている。電気モータとしては、非同期モータまたは同期モータが考えられる。同期モータには、負荷によって速度が変化しない(スリップ角度のみ)という利点があるが、非同期機械では、負荷が増加すると速度が低下する。モータへの負荷は、基本的に、接触力Fおよび研削ディスク32と加工されるワーク5の表面との間の摩擦に比例する。
【0020】
電気駆動の研削機械の代わりに、空気圧モータ(圧縮空気モータ)を備えた研削機械を使用することもできる。圧縮空気モータは通常、出力対重量比が低いため、圧縮空気で動作する研削機械は比較的コンパクトにすることができる。回転制御は、(例えば、制御部4によって電気的に制御される)圧力制御バルブ(追加的または代替的にスロットルによっても)によって簡単に可能であるが、同期および非同期モータには回転制御用の(例えば、制御部4によって電気的に制御される)周波数コンバータが必要である。ここで記載した概念は、さまざまな種類の研削機械、研磨機械、その他の表面加工をする機械で実現可能である。
【0021】
特に、電動モータを搭載した研削機械の場合、電動モータが重量のかなりの部分を占め得る。以下の例では、アクチュエータ2は、マニピュレータ1をワークから機械的に切り離すためだけでなく、研削機械のモータを、研削ディスクが取り付けられた作業ヘッドから機械的に切り離すためにも使用される。研削機械の場合、加工ヘッドのことを研削ヘッドと呼ぶ。さらに、以下のいくつかの実施形態では、ワークピースの表面に対する研削機械の不正確な位置決めを(一定の範囲内で)補正することができ、ロボットプログラムの作成に必要な労力を軽減することができる。
【0022】
図2に示す例によれば、工作機械3は、第1の支持板51と第2の支持板52とを有する。第1の支持板51は、マニピュレータ1に取り付けられるように、例えば、図1のマニピュレータ1のエンドエフェクタフランジ15に取り付けられるように構成されている。第2の支持板52には、後に詳述する研削ヘッド33が取り付けられている。作動中、研削ディスク32は、研削ヘッド33の回転可能な支持板35(バッキングパッド)に取り付けられ得る。2つの支持板51、52の間には、リニアアクチュエータ2が配置されている。リニアアクチュエータ2は、2つの支持板51と52の間で作用するので、2つの支持板51と52の間の距離aは、リニアアクチュエータ2の変位に依存することになる。通常の動作では、リニアアクチュエータ2は上述のように力制御で動作し、アクチュエータの力が2つの支持板51、52の間に作用するように構成されている。工具32が表面に接触していないときには、リニアアクチュエータ2は、目標アクチュエータ力でアクチュエータ2のエンドストッパ(図示せず)を押し付けている。アクチュエータ2は、空気圧式リニアアクチュエータとすることができ、例えば、複動式の空気圧シリンダを含む。しかし、他のアクチュエータを使用することも可能である。ここで、支持板51及び52は、必ずしも平板である必要はなく、任意の支持構造又はそのような支持構造の一部であってもよい。また、支持板51、52も、必ずしも1つの一体物ではなく、複数の部品で構成することができる。
【0023】
研削ヘッド33(グラインディングヘッド、サンディングヘッド)は、実質的に駆動部(モータ)のない研削機械とみなすことができる。研削ヘッド33は、研削ディスク32が配置された支持板35を直接又は間接的に駆動するドライブシャフト(回転軸C)を備えている。また、研削ヘッド33は、オービタルグラインダで一般的なように、支持板35を偏心回転させるギアを含んでいてもよい。研削ヘッドの例は、例えばEP 0237854 A2(特許文献1)(US 4759152に対応)の刊行物に示されているので、ここではこれ以上の説明はしない。
【0024】
本実施形態によれば、研削ヘッド33の支持ディスク35を駆動するためのモータ31(例えば、電動モータ)が第1の支持板51に取り付けられている。図2の例によれば、モータ31は、第1の支持板51に取り付けられ、モータシャフト310が第1の支持板51を貫通している。2つの支持プレート51と52の間の距離は、フレキシブルシャフト544と伸縮シャフト54によって「橋渡し」されており、その際、伸縮シャフト54は任意である。すなわち、モータシャフト310は、フレキシブルシャフト544を介して、研削ヘッド33のドライブシャフト(回転軸C)に連結され、ドライブシャフトを駆動する。また、フレキシブルシャフト544があまり大きく曲がらないように、モータシャフト310が伸縮シャフト54の一端に結合され(シャフトカップリング53a)、伸縮シャフト54の他端がフレキシブルシャフト544に結合され得る(シャフトカップリング53b)。フレキシブルシャフト544は、研削ヘッド33のドライブシャフト(回転軸C)を直接、または図2に示すように伝達装置34を介して駆動する。伝達装置34の入力シャフトは、図2のBで示された回転軸を持ってる。フレキシブルシャフト544は、可撓性があり(すなわち、シャフトの長手方向の軸が可変の曲率で湾曲している)、固定された2つ以上のシャフト部分が(カルダン)ジョイントで連結されている従来のカルダンシャフトとは異なる。
【0025】
伸縮シャフト54は、相対的に変位可能な2つのシャフト部(中空シャフト/スリーブ541、変位可能なシャフト543)から構成されている。2つのシャフト部のうち第1の部分は、モータ31のモータシャフト33に結合され(例えばシャフトカップリング53aにより)、2つのシャフト部のうち第2の部分は、フレキシブルシャフト544に結合される(例えばシャフトカップリング53bにより)。
【0026】
伸縮シャフト54の第2のシャフト543は、伸縮シャフト54の回転軸に沿って、第1のシャフト部(中空シャフト541)に対して相対的に変位可能である。このため、中空シャフト541(第1のシャフト部)は、第2のシャフト543を伸縮シャフト54の回転軸に沿って変位させることができるリニアガイド542を含み得る。前述のように、伸縮シャフト54は任意の構成である。伸縮シャフトを使用しない場合、用途によっては、伸縮シャフト54も使用する場合に比べて、フレキシブルシャフト544がより大きな曲げ応力を受けることがある。
【0027】
図2に示す例では、研削ヘッド33は、ユニバーサルジョイント60によって支持板52に取り付けられており、研削ヘッド33の(支持板52に対する)2軸方向の傾斜移動が可能となっている。第1の傾斜軸Kと第2の傾斜軸Kを中心に傾けることで、2軸の傾斜運動が可能になる。図3は、図2の装置の下部(ユニバーサルジョイント60を備えた支持板52と研削ヘッド33)を示しており、研削ヘッド33は傾斜軸Kを中心に傾いている。図4は、図2の装置の下部の側面図Xを示しており、図4(a)では、研削ヘッド33は通常の位置にあり、図4(b)では、研削ヘッド33は、傾斜軸Kを中心に傾斜している。ユニバーサルジョイントは、支持プレート52の2つの横方向の脚部521、522に支持され得る。カルダンサスペンション(gimbal suspension)としてのユニバーサルジョイントは、それ自体既知のものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、ここで、研削ヘッド33が傾くと、回転軸B、Cも傾いてしまう(図2参照)。しかし、この回転軸BおよびCの傾きは、フレキシブルシャフト544の対応する曲げによって補償される。また、ユニバーサルジョイント60の傾斜軸K、K(傾斜していない通常の状態)は、フレキシブルシャフトの下端が位置する平面よりも下側の平面にある。傾斜軸K、Kとフレキシブルシャフト544の下端との間の垂直方向の距離は、図2ではdVで示されている。さらに、フレキシブルシャフト544の下端は、回転軸Bと同軸で、研削工具の回転軸Cから水平方向に間隔が空いている(水平距離d)。一般に、ユニバーサルジョイント60は、傾斜軸K、Kができるだけ下になるように、研削ディスク32にできるだけ近づけて配置するのが望ましい。
【0029】
図5および図6に示す実施形態例では、研削ディスク32が、モータシャフト310(回転軸A´)と同軸ではない回転軸Cを中心に回転する研削装置を示している。図示の例では、モータシャフト310の回転軸A´は、研削ディスク32の回転軸Cが横たわる水平面に対して直角になっている。この場合、モータシャフト310と研削ヘッド33のドライブシャフト(回転軸C)とを連結するフレキシブルシャフト544は、約90°曲がっている。また、フレキシブルシャフト544の最大屈曲量を小さくするために、この場合、モータシャフト310とフレキシブルシャフト544との間に伸縮シャフトを配置することもできる(図2参照)。
【0030】
アクチュエータ2は、研削ヘッド33を上側の支持板51に結合する。研削ディスク32の回転軸Cと支持板51との間の距離aは、アクチュエータ2の変位に依存する。この場合、下側の支持板52(図2参照)は必要ない(研削ヘッド53の構成による)。図6は,アクチュエータ2が最大に変位した状態(距離a=aMAX)の装置を示しており,この状態でのアクチュエータの変位は,エンドストッパによって制限されている。図6は、例えば、研削ディスク32が表面に接触する場合のように、アクチュエータ2の変位が小さい(a<aMAX)装置を示している。なお、支持板51は、必ずしもマニピュレータに搭載する必要はなく、その場に固定支持することも可能である。この場合、例えばマニピュレータを用いて加工ツール32に対するワークの相対的な位置決めを行うことができる。この点については、図9の例が参照される。
【0031】
図7及び図8は、図2の例と同様に、2つの軸を中心に傾けることができる複数の研削ヘッド33a、33bを備えた実施形態のさらなる例を示している。図7に示す装置の上部(支持板51、モータ31、アクチュエータ2)は、図2および図6の例と同様であり、上述の説明が参照される。しかし、図7の装置は、単一の研削ヘッド33の代わりに、2つ以上の研削ヘッド33a、33bを備えたアセンブリ70を有している。アセンブリ70全体は、ユニバーサルジョイント60によって、アクチュエータ2に結合されている。図7に示す例では、ユニバーサルジョイント60の一端が支持板52に取り付けられており、この支持板52は、アクチュエータ2の下端に固く接続されている。ユニバーサルジョイント60の他端は、アセンブリ70のハウジング71に取り付けられている。また、本実施形態では、ユニバーサルジョイント60の傾斜軸の交点は、フレキシブルシャフト544の下端よりも垂直方向の距離dVの位置にあり、また、本実施形態では、ユニバーサルジョイント60をできるだけ下方に配置することが好ましい。図2の例とは異なり、複数の研削ヘッドがある場合には、研削ヘッドの間にユニバーサルジョイント60を配置することが可能であるため、ジョイントはよりシンプルなデザインにすることができ、図2のようなカルダンサスペンション(gimbal suspension)は必要ない。
【0032】
複数の研削ヘッド33a,33bは、回転可能な支持板35a又は35bがアセンブリ70のハウジング71の底部から突出するように、ハウジング71内に配置されている。本実施形態では、研削ヘッド33a、33bのドライブシャフトの回転軸をそれぞれC、Dとしている。研削ヘッド33aのドライブシャフトには滑車73aが取り付けられ、研削ヘッド33bのドライブシャフトには滑車73bが取り付けられている。特別の実施形態では、第3の研削ヘッド33cは(図7及び図8には示されていない)滑車73cを備えており、3つの研削ヘッドの回転軸はそれぞれ、アクチュエータ2の長手方向の軸Aに対して120°オフセットされている。なお、ベルトドライブの代わりに他の伝達装置(歯付きのギアなど)を使用することも可能である。機械的な動力を伝達するために、ここで説明した実施形態ではベルトドライブなどの伝達装置を使用している。この機械的な力の伝達が具体的にどのように行われるかは、特に重要ではない。
【0033】
アセンブリ70のハウジング71には、別のシャフト(回転軸B)が取り付けられており(図7、ベアリング72参照)、このシャフトは、フレキシブルシャフト544によってモータシャフト310に接続されている。回転軸Bを有するシャフトには別の滑車74が取り付けられており、ベルト75が滑車74(フレキシブルシャフト544を介してモータ31によって駆動される)と滑車73a,73b(場合によっては73c)とを接続しており、ベルトを介して全ての研削ヘッド33a、33b(場合によっては33c)のドライブシャフトが駆動されるようになっている。(図7に示すように、傾いていない通常の位置にある場合)アセンブリ70と上部の支持板51との間の垂直方向の距離aは、アクチュエータ2の変位に依存する。距離aの変化とアセンブリ70の傾きの両方は、フレキシブルシャフト544によって補償することができる。図8は、図7の装置においてアセンブリ70が傾斜した場合を示している。
【0034】
図9は、装置をマニピュレータに搭載せず、その場所に固定して使用する場合の別の実施形態を示している。この場合、マニピュレータを使ってワークピースを研削ディスクに対して相対的に配置することができる。図9によると、支持板51はその場所に固定されるように取り付けられている。この例では、支持板51は、任意の支持構造の一部とみなされてもよく(これはすべての実施形態に適用される)、任意の支持構造に取り付けられてもよい。支持構造としては、ハウジングや三脚などが考えられる。支持板51は、アクチュエータ2の一部と見なすこともできる(これもすべての実施形態に当てはまる)。図5の例と同様に、アクチュエータ2は、支持板51を加工ヘッド33(研削ヘッド)に直接または間接的に結合しており、最も単純なケースでは、研削ディスク32などの加工ツールが回転可能に取り付けられたシャフトを含んでいる。加工プロセスにおいて、ワークピース5は(例えばマニピュレータによって)位置決めされ、アクチュエータ2は上述のように接触力の制御を確実に行うか、またはワークピースとの接触がない場合には、定義された力(力制御によって設定される力)でエンドストッパを押し付ける。
【0035】
図9の実施形態では、モータ31も静止した位置に(例えばアクチュエータ2と同じ支持構造に)取り付けられており、研削ヘッド33に対する相対的な位置が変動するが、これは(ここで説明した他の実施形態と同様に)フレキシブルシャフト544を介して補償することができる。なお、カルダンサスペンション(gimbal suspension)やユニバーサルジョイントを用いて(少なくとも1つの)研削ヘッドをアクチュエータに傾斜可能に取り付けた上述の実施形態は、マニピュレータを用いてワークピースを位置決めする際に、静止した状態で操作することも可能である。
【0036】
以下では、ここで説明した実施形態のいくつかの側面を要約する、これは例示的なものに過ぎず、関連する技術的特徴の完全な要約ではない。本実施形態は、ロボットが表面の加工を支援する装置に関するものである。一般的な実施形態によると、装置は、装置をマニピュレータに取り付けるための支持板(例えば、図2図5及び図7、支持板51を参照)、モータ、リニアアクチュエータ、および(少なくとも)1つの加工ヘッド(例えば、図2図5、研削ヘッド33、又は図7、研削ヘッド33a、33bを参照)から構成されている。加工ヘッドは、リニアアクチュエータによって支持板に(直接または間接的に)結合されており、回転可能な工具を直接または間接的に駆動するためのドライブシャフト(例えば、図2の回転軸B、図5および図7の回転軸Cを参照)を備えている。この装置は、モータのモータシャフトと加工ヘッドのドライブシャフトを直接または間接的に(例えば、追加の伸縮シャフトを介して)結合するフレキシブルシャフトをさらに備えている。
【0037】
前述の通り、支持板は必ずしもマニピュレータに搭載されている必要はない。あるいは、加工されるワークピースは、マニピュレータによって配置することもでき、この場合、支持板は、例えば、ハウジング、三脚、または他の支持構造の一部などの場所に固定されている。モータはアクチュエータと同じ支持板に取り付けることができる。しかし、これは、フレキシブルシャフトを採用している場合は必要ではない。すでに述べたように、支持板は必ずしも平板である必要はなく、任意の支持構造であってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、ユニバーサルジョイントを使用して、(少なくとも1つの)加工ヘッドをリニアアクチュエータに機械的に結合しています。この場合、加工ヘッドの2軸の傾斜が可能になる。図2乃至図4の実施形態では、ユニバーサルジョイントをカルダンサスペンションで実現しているが、図7図8の実施形態では、単純なユニバーサルジョイント(カルダンジョイント)を使用している。用途によっては、ユニバーサルジョイントを単軸ジョイントに置き換えて、1つの傾斜軸でのみ傾斜できるようにすることも可能である。
【0039】
本件の実施形態によれば、装置は、リニアアクチュエータの一端に取り付けられた支持構造を有し、一方、リニアアクチュエータの他端は支持板に取り付けられている。前述のように、ユニバーサルジョイントは、カルダン式サスペンションを形成し、これにより加工ヘッドが支持構造体に取り付けられ得る。
最も単純なケースでは、支持構造は別の支持プレートとすることができる(例えば、図2乃至図4、横に設けられた脚部521、522を有するベース板52を参照)。支持構造には、加工ヘッドやフレキシブルシャフトを通すための開口部があってもよい(図3では、研削ディスク32が支持板52の下方で、フレキシブルシャフトが支持板52の上方で、それぞれ、研削ヘッド33に結合されている)。ユニバーサルジョイントの2つの傾斜軸は、加工ヘッドの上側から間隔を空けて(図2、距離dV)、加工ヘッドの中を通過している。これにより、傾斜軸がワークピースに比較的近くなるため、研削プロセス中に研削ヘッドが傾いてエッジが引っかかるのを防ぐことができる。図2の例では、研削ヘッドの2つの傾斜軸と1つの回転軸が1点で交差している。加工ヘッドは、伝達装置(図3、伝達装置34参照)を有し、回転可能な工具の回転軸とドライブシャフトの回転軸の軸方向がオフセット(図2、距離d参照)する。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の加工ヘッドが支持構造体に取り付けられ、支持構造体はユニバーサルジョイントを介してリニアアクチュエータに結合されている。これは、例えば、図7の実施形態では、支持構造がアセンブリ70のハウジング71によって形成されている場合である。ユニバーサルジョイントは、2つの傾斜軸での傾斜を可能にし、この2つの傾斜軸は、特定の実施形態によれば、アクチュエータの長手方向の軸も通過する交点で交差し得る。ユニバーサルジョイントはアセンブリのハウジング内に配置されており、複数の研削ヘッドはユニバーサルジョイントの周りに配置されている。例えば、3つの研削ヘッドをそれぞれユニバーサルジョイントの周りに120°(アクチュエータとジョイントの長手方向の軸に対して)オフセットさせて配置することができる。ユニバーサルジョイントの傾斜軸は、研削ヘッドを貫く平面上にあり、ワークピースの表面にできるだけ近い位置にある。
【0041】
支持構造(例えばハウジング71、図7参照)には、ベアリングによってシャフトが取り付けられており、このシャフトはフレキシブルシャフトに接続されているため、モータによって駆動することができる。このシャフトは、ベルトドライブなどの伝動装置を介して、研削ヘッドのドライブシャフトに接続されている。
【0042】
一般的に、フレキシブルシャフトによって、モータに対する研削ヘッドの相対的な位置が変動しても、モータを研削ヘッドに結合することができる。相対的な位置の変化は、フレキシブルシャフトによって補償することができる。モータ軸と研削ヘッドの回転軸は平行である必要はなく、約90°の角度を有することも可能である(図5参照)。フレキシブルシャフトの過度な屈曲を避けるために、フレキシブルシャフトは、伸縮シャフトと組み合わせることができる(図2参照)。
【符号の説明】
【0043】
2…リニアアクチュエータ
31…モータ
32…工具
33、33a、33b…加工ヘッド
34…伝達装置
51…支持板
52…支持構造体
60…ユニバーサルジョイント
71…支持構造体
72…軸受
310…モータシャフト
544…フレキシブルシャフト
A…長手方向の軸
A´…回転軸
B、C…回転軸
、K…傾斜軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】