(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(54)【発明の名称】調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G05G 1/30 20080401AFI20220628BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20220628BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20220628BHJP
G05G 1/60 20080401ALI20220628BHJP
B60K 26/04 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G05G1/30 E
G05G5/03 A
G05G1/38
G05G1/60
B60K26/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564505
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 GB2020051024
(87)【国際公開番号】W WO2020221991
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502407266
【氏名又は名称】ベントレー モーターズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100091649
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】オマハー,デグラン
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ゲイリー ステファン
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA05
3D037EB05
3D037EB16
3D037EB19
3D037EB25
3J070AA32
3J070BA03
3J070BA19
3J070BA51
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC71
3J070CE04
3J070DA01
3J070EA01
(57)【要約】
調整可能なスロットル・ペダルアセンブリは、踏み込んだ位置から離隔してレスト位置に向かう方向にバイスされた踏み込み可能なスロットル・ペダルと、スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するように動作可能な電磁ブレーキとを含む。電磁ブレーキは「ヴァーチャル・フットレスト」「ヴァーチャル・キックダウン・スイッチ」又は「ICE・フォース・インデント」として機能するように力を増加させ、車両が内燃機関(ICE)の始動を必要とするポイントで、力を増加させることができる。さらに、電磁ブレーキはドライバーの好みの力のフィードバックに適合するように、さまざまなカスタマイズ可能な「ペダル重量」設定を提供するように調整可能である。例えば、不連続なペダル重量設定を選択でき、電磁ブレーキにより提供される減速力を大きくして、よりファーム(硬め)の重量を提供し、あるいはペダル重量をカスタマイズ可能にし、特定のドライバーのために較正することもできる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏み込んだ位置から離れてレスト位置に向かう方向にバイアスされた踏み込み可能なスロットル・ペダルと、前記スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するように動作可能な電磁ブレーキとを含む、調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項2】
前記電磁ブレーキは、ヴァーチャル・フットレストとして機能するように、増加した力を提供する請求項1に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項3】
前記電磁ブレーキは、ヴァーチャル・キックダウン・スイッチとして機能するように、増加した力を提供し、特定の点において知覚可能な力の増加を提供し、その点で自動トランスミッションはダウンシフトする請求項1又は2に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項4】
ハイブリッドの車両で使用され、前記電磁ブレーキはICE・フォース・インデントを提供するように動作可能であり、車両が内燃機関(ICE)を始動する必要がある点での増加した力、又は前記車両が前記内燃機関を始動する必要がある以前の所定のペダル移動距離を提供する先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項5】
前記電磁ブレーキは、ドライバーの好みの力のフィードバックに適合するように、さまざまにカスタマイズ可能な「ペダル重量」設定を提供するように調整することができる先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項6】
不連続なペダル重量設定を選択可能であり、前記電磁ブレーキによって提供される減速力を大きくして、よりしっかりとした重量を提供する請求項5に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項7】
前記ペダルのカスタマイズ可能なペダル重量は、特定のドライバーのために較正される請求項5に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項8】
前記電磁ブレーキは、前記スロットル・ペダルに結合された回転可能な摩擦プレートと、マウントに結合された静的電磁石を含んでおり、前記電磁石に印加される電圧を上げると、前記摩擦プレートと前記マウントとの間の引力が大きくなり、よって前記スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力が大きくなる先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項9】
前記摩擦プレートは、一方向に回転するように一方向ベアリングにより取り付けられており、前記電磁ブレーキが踏み込み位置から離れる方向のバイアス力に影響しないようにする請求項8に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項10】
前記回転可能な摩擦プレートは、エアギャップにより前記静的電磁石から離隔している請求項8又は9に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項11】
前記電磁ブレーキは、前記電磁ブレーキが非アクティブのときに、前記ペダルの通常のバイアス力の2倍以下である所定の安全しきい値未満の最大限速力を有するように選択されている先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項12】
電磁干渉の影響を受けないようにしたペダル移動センサを含む先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項13】
入力信号を受信するように動作可能であり、前記入力信号に応じた出力信号を前記電磁ブレーキに出力するように動作可能であるコントローラを含む先行する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項14】
前記出力信号は、前記ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するように選択された出力電圧である請求項13に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項15】
前記入力信号は、前記ペダルの移動の点を決定し、必要なフィードバックを決定するために使用される前記ペダル移動センサからの入力;及び/又は所望のペダル重量の表示を意味し、より重いペダル重量に対して、より高い出力電圧が提供されるユーザが選択可能な入力を含んでおり;及び/又は前記コントローラは較正設定を実行することができ、結果をメモリに保存し、記憶された前記結果を出力電圧に応じた入力として利用する請求項13又は14に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項16】
前記ペダルを較正するために、信号に応答して較正シーケンスを入力すると、前記コントローラは前記電磁ブレーキに最大の抵抗力を加え;次に前記抵抗力を徐々に減らし、前記ペダルが動き始めるまで、前記ペダル移動センサを監視して、足の力のバランスを取って動きを抑えるために必要な最小の力を決定するようにし、前記コントローラはこの最小の力を使用してカスタマイズされたペダル重量設定を選択する請求項15に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項17】
回転軸を介して前記マウントに連結された振り子取付のスロットル・ペダルを含み;前記回転軸は前記スロットル・ペダルに回転不能だが、前記マウントに対し回転可能なように取り付けられており;且つ前記一方向ベアリングを介して前記摩擦プレートに取り付けられており;前記電磁ブレーキの前記電磁石はマウントに回転不能に取り付けられて、前記摩擦プレートは前記マウントに対し一方向に回転できるようになっており、ドライバーにより踏み込む力が前記スロットル・ペダルに加えられると、アクティブであれば、前記電磁ブレーキは抵抗力を加え、しかし前記踏み込み位置から離れる方向のバイアスの力の下で戻る場合に前記スロットル・ペダルに対し反対方向に回転するときには、前記電磁ブレーキは反動作用することはない請求項9又はこれに従属する何れかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項18】
フロアに取り付けられたスロットル・ペダル及び前記マウントにステップ・プレートをリンクするリンケージを含み;前記バイアス部材は、前記マウントと前記ステップ・プレートとの間に備えられて、前記ステップ・プレートに直接作用し、あるいは前記マウントと前記リンケージとの間に備えられて、前記リンケージに作用し、前記リンケージは前記回転軸に取り付けられて、前記マウント内で回転するようにし;回転可能な前記回転軸は前記一方向ベアリングを介して前記摩擦プレートに取り付けられており;前記電磁石は前記マウントに回転不能に取り付けられて、前記摩擦プレートは前記マウントに対し一方向に回転することは可能だが、ドライバーが前記スロットル・ペダルを踏み込んで力を加えると、アクティブのときには、前記電磁ブレーキが抵抗力を加え、しかし前記踏み込み位置から離れる方向のバイアスの力の下で戻る場合に前記スロットル・ペダルに対し反対方向に回転するときは、前記電磁ブレーキが反動作用しないようにしている請求項9又はこれに従属する請求項10-16に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項19】
前記ペダル移動センサは2つの部分を含み、一方の部分は前記マウントに取り付けられ、他方の部分は前記スロットル・ペダルに取り付けられて、前記2つの部分間の相対的な動きは、前記コントローラにより監視されて、前記ペダルの移動の大きさを決定する請求項12又はこれに従属するいずれかの請求項に記載の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリ。
【請求項20】
先行する何れかの請求項に記載のスロットル・ペダルアセンブリを含む車両。
【請求項21】
自動トランスミッションを有するハイブリッドの車両である請求項20に記載の車両。
【請求項22】
入力信号に応じて、入力信号を受信し、電磁ブレーキ制御信号を出力するように動作可能であり;前記電磁ブレーキ制御信号は、スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するために選択された出力電圧であるスロットル・ペダル・コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスロットル・ペダル、アクセル又はガスペダル(accelerator or gas pedal)としても知られている)に関し、排他的ではないが特に、本発明は自動車用の調整可能なスロットル・ペダルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
応答が不均一な(non-uniform response)スロットル・ペダルアセンブリが知られている。
【0003】
応答が不均一なスロットル・ペダルアセンブリの最も一般的な例は、自動変速機を備えた多くの車両(「AT車(automatic vehicles)」と呼ばれる)でよく知られている「キックダウン(kick-down)」レスポンスである。これらのシステムは、100%スロットル位置の後の(より強いレスポンス力での)フォース・インデント(force indent)を利用しており、圧したときにダウンシフトを生じ、加速がより大きくなる。これはドライバーには足で操作する非ラッチ型スイッチ(non-latching switch)として知覚され、スロットル・ペダルの下側で圧される別のスイッチ(レスポンス力を増加するスプリングを含む)によって提供されることもしばしばある。
【0004】
特定の条件下で増加した力を提供する他の変形が、本出願人による以前の特許出願で提案されている-WO2017/220981(特表2019-523165)は、「ヴァーチャル・フットレスト」装置を提案しており、その中で、スプリング付きケーシングを含む展開型エレメント(deployable element)は、スロットル・ペダルの下の位置に展開可能であり、クルーズ・コントロール・モードでフットレストとして機能するようにペダルを維持する。スプリングによって、エレメントが展開されている間でもスロットル・ペダルを踏み込むことはできるが、レスポンス力が増加しているため、フットレストとして機能できる。
【0005】
またボッシュ(RTM)は、「アクティブ・ペダル」を提案しており、これは穏やかな振動の形態で触覚信号を提供し、ハイブリッドトランスミッションを搭載した自動車の運転手に対し、内燃機関が電気モーターから引き継がれる際に警告するために、スロットル・ペダルの圧力を下げて、電気モードを維持できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改良されたスロットル・ペダルアセンブリを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、調整可能なスロットル・ペダルアセンブリが提供される。調整可能なスロットル・ペダルアセンブリは、踏み込んだ位置から離れてレスト位置に向かう方向にバイアスされた踏み込み可能なスロットル・ペダルと、スロットル・ペダルを踏み込むために必要な力を調整するように動作可能な電磁ブレーキとを含む。
【0008】
電磁ブレーキを装備すると、スロットル・ペダルに減速力が加わり、スロットル・ペダルを踏むのに必要な力が増加する。減速力は、形成された触覚フィードバック及び力/移動関係(force/travel relationship)に関して非常に広い用途があり得、その応答において瞬間的であり得る。このことは、上に説明したような多くの機能を提供するのに役立ち得る。重要なのは、電磁ブレーキが説明した機能の一つを提供する一方で、複数の機能をも提供できるために、部品点数/交換部品在庫を削減できることである。
【0009】
特に、電磁ブレーキは上に説明した「ヴァーチャル・フットレスト」として機能するように、増加した力を提供することができる。
【0010】
あるいは/さらに、AT車で使用するために、電磁ブレーキは、「ヴァーチャル・キックダウン・スイッチ」として機能するように増加した力を提供し得る。すなわち、特定の点で知覚可能な力の増加を提供し、その点で自動トランスミッションはシフトダウンする。
【0011】
あるいは/さらに、ハイブリッドの車両で使用するために、電磁ブレーキは、「ICE・フォース・インデント」、すなわち、車両が内燃機関(ICE)を始動する必要がある点での増加した力、又は車両が内燃機関を始動する必要がある以前の所定のペダル移動(pedal-travel)距離を提供することができる。
【0012】
あるいは/さらに、電磁ブレーキは、ドライバーの好みの力のフィードバックに適合するように、さまざまにカスタマイズ可能な「ペダル重量」設定を提供するように、すなわち全体的に(特定の点(例えばキックダウン、内燃機関の使用及び又は「ヴァーチャル・フットレスト」モードなど)で踏み込むのが困難になるかどうかに関係なく)、踏み込むことがより困難/容易になるように調整することができる。
【0013】
カスタマイズ可能な「ペダル重量」設定を提供する調整可能性は、例えばライト、ミディアム及びファーム(硬め(firm))のような不連続なペダル重量設定の間にあってもよく、電磁ブレーキによって提供されるより大きな減速力で、より硬い(より重い)重量を提供し、あるいは特定のドライバーのために較正することもできる。例えば、足/脚がより小さいドライバーは、より軽い重量(すなわちペダルを踏み込むのに必要な力がより少ない)を好むことがあり、足/脚がより大きいドライバーは、より重い重量(ペダルを踏み込むのに必要な力がより大きい)を好むことがあるだろう。
【0014】
電磁ブレーキは、スロットル・ペダルに結合された回転可能な摩擦プレート(friction plate)と、マウントに結合された静的電磁石(static electromagnet)を含んでいてもよく、これにより電磁石に印加される電圧を上げると、摩擦プレートとマウントとの間の引力が大きくなり、よってスロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力が大きくなる。あるいは、その逆に、摩擦プレートをマウントに結合し、電磁石をスロットル・ペダルに結合してもよく、電圧を上げると摩擦プレートとスロットル・ペダルとの間の引力が大きくなって、スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力が大きくなる。摩擦プレートは、磁性を有するが、磁石と接触した後は磁性を保持できない材料、例えば純鉄から形成されていてもよい。
【0015】
電磁ブレーキの一部、例えば摩擦プレートは、電磁ブレーキが踏み込み位置から離れる方向のバイアス力に作用しないように、一方向に回転可能に取り付けられていてもよい。取り付けは、摩擦プレートを取り付けることのできる「スプラグクラッチ(sprag clutch)」のような一方向連結を使用してもよい。この機能は、安全性の観点から有用である。スロットルを踏み込むのに必要な力を所望に応じて大きくできる一方、電磁ブレーキの状態に拘わらず、スロットル・ペダルを(踏み込んでいない)レスト位置に戻すバイアス力(例えばスプリング)は常に普通で十分であり、意図しない車両の加速を防止/制限し、ペダルを解放すれば車両は通常の方法で動作する(即ち普通に減速する)ことの保証を意味するからである。電磁クラッチの機能を追加すれば、その機能の挙動にはある程度の親しみと安心感が存在するだろう。
【0016】
回転可能な摩擦プレートは、エアギャップにより静的電磁石から離隔していてもよい。これにより、通電解除(de-energised)の間に、電磁ブレーキがペダルを踏み込むのに必要な力に影響するのを回避することができる。
【0017】
電磁ブレーキは、所定の安全しきい値未満の最大減速力(すなわちペダルの踏み込みに抗する力)を有するように、選択されていてもよい。この安全しきい値は、例えばブレーキが非アクティブのときのペダルの通常のバイアス力の5倍以下、3倍以下、又は2倍以下にすることができる。安全しきい値を設けることにより、ペダルを踏み込むのに必要な力が過度に強くなるのを回避することができる。例えばペダルが事実上ロックされてドライバーが踏むことができない強さ、あるいは例えば「ヴァーチャル・キックダウン・スイッチ」、「ヴァーチャル・フットレスト」及び/又は「ICE・フォース・インデント」により提供される「フォース・インデント」を圧することができない強さである。
【0018】
スロットル・ペダルアセンブリは、ペダル移動センサを含んでいてもよい。ペダル移動センサは、電磁干渉の影響を受けないようにすることができ、例えば光学センサであってもよく、あるいは電磁石が不正確な測定を引き起こさない十分な距離を電磁ブレーキの電磁石から離していてもよい。
【0019】
スロットル・ペダルアセンブリはコントローラを含んでいてもよい。コントローラはマウントに取り付けられていてもよく、他の何れかの車載コンピュータのモジュールであってもよい。これらの多くは最新の車両に見られる。
【0020】
コントローラは、電磁ブレーキに信号を出力するように動作可能であってもよい。出力信号は、ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するために選択された出力電圧とすることができる。
【0021】
コントローラは入力信号を受信して、入力信号に応じた出力電圧を選択するように動作可能であってもよい。
【0022】
入力信号はペダル移動センサからの入力を含んでいてもよい。これらの入力はペダルの移動の点を決定することができ、これを利用して上記の適切な「フォース・インデント」を提供するために必要なフィードバックを決定することができる。
【0023】
入力信号は、ユーザが選択可能な入力、例えば単純なボタンやタッチスクリーンなどのヒューマンマシンインタフェースにより提供されてもよく、所望のペダル重量の指標にもなり得る。これにより、より重いペダル重量に対して、より高い出力電圧が提供されることになる。
【0024】
あるいは・さらに、コントローラは較正設定を実行して、結果をメモリに保存し、記憶された結果を出力電圧に応じた入力として利用できるようにしてもよい。
【0025】
例えば、ペダルを較正するために、信号(例えばヒューマンマシンインタフェースからの)に応答して、較正シーケンスを入力すると、コントローラは電磁ブレーキに最大抵抗力(すなわち最大有効電圧)を加えることができ(そして任意に、ドライバーに彼/彼女の足をペダルに置き、さらに任意に、フットレストを使用しているかのようにリラックスするように指示し)、次にコントローラは抵抗力を徐々に減らし、ペダルが動き始めるまでペダル移動センサを監視して、足の力のバランスを取って動きを抑えるために必要な最小の力を決定するようにしている。コントローラは、この最小の力を使用して、カスタマイズされたペダル重量設定、すなわちペダルの踏み込みに対して印加する最適な力を選択することができる。
【0026】
出力電圧は、カスタマイズされたペダル重量設定に基づいており、他の入力(例えば「ヴァーチャル・キックダウン・スイッチ」、「ヴァーチャル・フットレスト」及び/又は「ICE・フォース・インデント」の操作に関するデータであって、それらの(又は他の)触覚応答を提供するために、必要に応じて大きくすることができるもの)に応じて可変であってもよい。
【0027】
最小の力は個人設定として、任意にシート設定のような他の設定と共に保存されていてもよく、任意に、例えばシートのメモリボタンを押すことにより特定されるドライバーの正しい較正を選択し、あるいは各自のキーにコード化するような方法で選択される。
【0028】
代案として、ペダルの重量は、シート位置に応じて設定することができる(コントローラがシートの位置を示す信号を受信する場合)。シート位置は一般にドライバーの身長と相関しており、これは通常、ドライバーの体重及び脚の大きさと相関する。従って、これは好適な抵抗力要求の大まかなゲージとして利用可能である(シート位置は、ドライバーが小さいほど抵抗力が低くなること、すなわち「より軽い」ペダルであることを示す)。もちろん、これは較正よりも精度が低く、選択可能な設定よりもドライバーの個人的な好みに合わない可能性がある。しかしながら、これにより望ましくない可能性のある「セットアップ」を行う必要が回避されるが、モデル範囲内の全ての車両に対して、主としてバイアス(例えばバイアススプリング)の力に基づいており、全くカスタマイズできない固定の力/移動関係を伴う、今日の自動車業界において一般的な「1つのサイズで全てに対応(one size fits all)」アプローチよりも、ドライバーに適合した重量を提供する。
【0029】
調整可能なスロットル・ペダルアセンブリが「ヴァーチャル・フットレスト」として機能するように、増加した力を提供する動作が可能である場合、コントローラは、ヴァーチャル・フットレスト・モードの選択を示す入力を受信すると、通常運転モードでの通常の力を超える第1の所定の力を加え、フットレスト位置に留まり、足を支え、ペダルがフットレスト位置を超えて(又はフットレスト位置を超えたしきい量を超えて)踏み込まれたことを示す入力を受信すると、徐々に、所定の期間にわたって、抵抗力を通常のレベルに減らすように動作可能であってもよい。これにより、力が直ちにスイッチオフになったり急激に減少した場合に、過度のスロットル・ペダルの移動を回避したり、ペダルの移動範囲全体に同じ抵抗力を加え続けた場合に、応答が不快に重くなるのを回避したりすることができる。もちろん、「通常」レベルは0であってもよく、ペダルの重量設定や、キックダウンあるいはICE・フォース・インデントのような他の要因に依存していてもよい。
【0030】
通常の動作に戻った後、コントローラがヴァーチャル・フットレストのキャンセルされたことを示す入力を受信しなかった場合に、レスト位置に達すると、コントローラは、第1の所定の力を再度加えて、再びフットレストとして作用させることができる。またコントローラは、ヴァーチャル・フットレスト・モードが非アクティブ化されたことを示す入力信号(例えばクルーズ・コントロール又は自動運転モードが非アクティブ化されたことを示す信号を含む)に応答して、所定の期間にわたって通常の抵抗力まで抵抗力を徐々に減らしてもよい。
【0031】
スロットル・ペダルアセンブリは、振り子取付の(pendulum-mounted)スロットル・ペダルを含んでいてもよい。すなわちスロットル・ペダルは、上部において、マウントの下のステップ・プレートに取り付けられていてもよい。
【0032】
このスロットル・ペダルは、例えば、ステップ・プレートから遠くにあるスロットル・ペダルの環状プレート部分等のプレート部分を通る回転軸を介してマウントに連結されていてもよい。回転軸は、スロットル・ペダルに対し回転不能だが、マウントに対し回転可能なように取り付けられていてもよい。回転可能な回転軸は、一方向ベアリングを介して摩擦プレートに取り付けられていてもよい。電磁石はマウントに回転不能に取り付けられていてもよい。これにより、摩擦プレートはマウントに対して一方向に回転することができる(ドライバーにより踏み込む力がスロットル・ペダルに加えられると、アクティブであれば、電磁ブレーキは抵抗力を加える)。しかしスロットル・ペダルに対して反対方向に回転するときには(踏み込み位置から離れる方向のバイアスの力の下で戻る場合)、電磁ブレーキは反動作用(affect recoil)することはない。
【0033】
振り子取付のスロットル・ペダルの代案として、スロットル・ペダルアセンブリは、フロアに取り付けられたスロットル・ペダル(すなわちマウントがステップ・プレートの下にあるように取り付けられたペダルであり、その下で、通常、正面から旋回可能である)を含んでいてもよい。
【0034】
このスロットル・ペダルアセンブリは、ステップ・プレートをマウントにリンクするリンケージを含んでいてもよい。バイアス部材は、マウントとステップ・プレートとの間に備えられて、ステップ・プレートに直接作用するようにしてもよく、あるいはマウントとリンケージとの間に備えられて、リンケージ(任意に複数の回転可能に取り付けられたリンクを含んでいてもよい)に作用するようにしてもよい。
【0035】
このリンケージは回転軸に取り付けられていてもよく、例えば回転軸に固定されたプレート(円形プレート等)に偏心して取り付けられていてもよい。回転軸はマウント内で回転してもよい。
【0036】
この回転軸は、スロットル・ペダルに対し回転不能だが、マウントに対して回転可能に取り付けられていてもよい。この回転可能な回転軸は、一方向ベアリングを介して、摩擦プレートに取り付けられていてもよい。電磁石は、マウントに回転不能に取り付けられていてもよい。これにより、摩擦プレートはマウントに対し一方向に回転することが可能だが(ドライバーがスロットル・ペダルを踏み込んで力を加えると、アクティブのときには、電磁ブレーキが抵抗力を加える)、スロットル・ペダルに対し反対方向に回転するときに(踏み込み位置から離れる方向のバイアスの力の下で戻る場合)、電磁ブレーキが反動作用しないようにしてもよい。
【0037】
ペダル移動センサは2つの部分を含み、一方の部分はマウントに取り付けられ、他方の部分はスロットル・ペダル、例えばプレート(すなわち振り子スロットル・ペダルのプレート部分、又はフロアに取り付けられたスロットル・ペダルのリンケージが取り付けられたプレート)に取り付けられていてもよい。よって2つの部分の間の相対的な動きは、コントローラにより監視されて、ペダル移動の大きさを決定することができる。
【0038】
また本発明は、いずれかの任意の機能又はそれらの組み合わせを任意に含む、本発明の第1の態様のスロットル・ペダルアセンブリを含む車両にも及ぶ。車両は自動車であってもよい。車両はハイブリッドの車両であってもよい。車両は自動トランスミッションを有していてもよい。あるいは車両はマニュアルトランスミッションを有していてもよい。
【0039】
本発明の第2の態様は、入力信号に応じて、入力信号を受信し、電磁ブレーキ制御信号を出力するように動作可能なスロットル・ペダル・コントローラを含む。電磁ブレーキ制御信号は、スロットル・ペダルを踏み込むのに必要な力を調整するために選択された出力電圧である。コントローラは上に定義したコントローラに関連して設定された任意の機能のいずれかを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、スロットル・ペダルアセンブリを含む車両を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態によるスロットル・ペダルアセンブリの概略側面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態によるスロットル・ペダルアセンブリの概略側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第3の実施形態によるスロットル・ペダルアセンブリの概略側面図を示す。
【
図8】
図8は、
図1-7のスロットル・ペダルアセンブリに備えられたコントローラ及びその入力/出力の線図を示す。
【
図9a】
図9aは、電磁石がアクティブ化されている状態での
図2及び
図3のスロットルアセンブリの、取付プレートと摩擦プレートとの間の接続の拡大概略断面図を示す。
【
図9b】
図9bは、電磁石が非アクティブ化されている状態での
図2及び
図3のスロットルアセンブリの、取付プレートと摩擦プレートとの間の接続の拡大概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明をより明確に理解するために、その1つ又は複数の実施形態を、一例としてのみ、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図1を参照すると、車両が示されている。この例においては、車両は自動トランスミッションを有するハイブリッドの車両1である。車両1はタッチスクリーン形態のヒューマンマシンインタフェース2を備えており、これはヴィジュアル出力装置としても、ドライバーからの入力信号を受信する入力装置としても機能できる。ヒューマンマシンインタフェース2は、車載コンピュータ3(もちろん、例えばハイブリッドの車両1の内燃機関及び電気モータなどの異なる態様(aspect)を制御する複数の制御ユニットでもよい)に作用可能に(operably)接続されている。ヒューマンマシンインタフェース2及び車載コンピュータ3はそれぞれ、メモリを搭載し、以下に説明する如く作用するようにプログラムされたCPUの形態で、コントローラ21に作用可能に接続されている。コントローラ21は、スロットル・ペダルアセンブリ4、22、41に設けられており、これは
図2乃至7を参照して以下に説明するスロットル・ペダルアセンブリ4、22、41のいずれか1つである。
【0043】
本発明の第1の実施の形態のスロットル・ペダルアセンブリ4は
図2及び3に示されている。このスロットル・ペダルアセンブリ4は、マウント6に吊り下げられ、且つ回転可能に取り付けられている振り子スロットル・ペダル5を含む。このマウントはさらに、既知の方法で車両1のボディに固定されている(
図1参照)。従来の如く、スロットル・ペダル5はその近位端(proximal end)に、ドライバーの足で踏み込まれるように配置されたステップ・プレート7を含む。スロットル・ペダル5の遠位端は、ほぼ環状のプレート部8に形成され、その中央開口部には、回転軸9が回転不能に取り付けられている。回転軸9はマウント6を通って延び、マウント6に対して回転するためのすべり軸受け10によって支持されている。
【0044】
圧縮スプリングの形態であるバイアス部材11は、ペダル5の一部(この場合プレート部8からの膨らみ)とマウント6の一部との間に延びており、スロットル・ペダル5にバイアスをかける。特に、ステップ・プレート7がレスト位置に向かう方向である。
【0045】
マウント6はU字型であり、上部のウエブ(web)によって接続された第1と第2のプレート状リム(limb)から形成されている(使用中は車両1の本体に固定されている)。回転軸9は、第1プレート状翼部(
図3においては右手側)を通って延びる。ペダル移動センサが備えられている。第1部分12は、例えば、位置を感知するように配置されたマウント6の第2リム(
図3においては左手側)の内面に設けられた光学センサ部より構成され、センサの第2部分13の位置を感知するように配置されている。これは例えばマーカー部であり、第1部分に対向するスロットル・ペダル5のプレート部8に配置されている。別案として、ホール効果センサ、例えばHella(登録商標)から入手可能なCIPOS(登録商標)センサを使用可能である。
【0046】
電磁ブレーキ14は回転軸9が延びるスロットル・ペダルアセンブリ4の側面に設けられている。電磁ブレーキ14は電磁石15及び摩擦プレート16により提供される。この実施の形態の電磁石15は環状であり、第1リムの外面(回転軸9及びすべり軸受け10の半径方向外側)に備えられている。摩擦プレート16も環状であり、電磁石15に対面して配置されているが、小さなエアギャップにより離隔されている。
【0047】
摩擦プレート16は、スロットル・ペダル5に回転不能に取り付けられた回転軸9に取り付けられている。摩擦プレート16は取付プレート17に取り付けられて、電磁石からの引力がない場合に、電磁石15が離れて(
図9bに示すように)、スプリングシム(spring shim)60(
図9a乃至9cに示す)が取付プレート17に対して摩擦プレート16を保持するようになっている。取付プレート17はさらに、スプラグクラッチ18の形態で、一方向ベアリングの外輪に回転不能に取り付けられている。スプラグクラッチ18の内輪は回転軸9に(回転不能に)取り付けられている。スプラグクラッチ18は、レスト位置に向かう第1方向19(バイアス部材11がスロットル・ペダル5にバイアスをかける)に、回転軸9(よってスロットル・ペダル5)が取付プレート17に対して自由に動くことが可能なように配置されている。一方、スプラグクラッチ18は、バイアスに抗して(ドライバーの足により)、スロットル・ペダル5が反対方向20に踏み込まれたときに、回転軸9と取付プレート17との間を係合するように配置されている。従って、スロットル・ペダル5が踏み込まれると、摩擦プレート16は電磁石15に対し回転するが、スロットル・ペダルがバイアスによってレスト位置に戻ると、摩擦プレート16は電磁石15に対し回転させられない。
【0048】
図9a乃至9cは、スプリングシム60を使用して摩擦プレート16を取付プレート17にどのように取り付けているかを示す。スプリングシム60は、3つの等距離の摩擦プレート取付点61(120°離れている)で摩擦プレート16に取り付けられ、3つの取付プレート取付点62で、摩擦プレート取付点の間(相互に120°)に等距離を空けて取り付けられて、電磁石15と取付プレート17との間に回転トルク伝達を提供する一方で、スプリングシム60の湾曲によって小さな半径方向の変位を可能にするために、シム60と摩擦プレート及び取付プレート取付点61、62は60°オフセットされるようになっている。電磁石15に通電されると(
図9aに示す)、スプリングシム60の弾性力に対抗する摩擦プレート16に引力を提供し、エアギャップを横切って取付プレート17から摩擦プレート16を引き離し、電磁石15に接触させる。摩擦プレート16は電磁力の強さに比例した力で電磁石に当接するようになっている。この摩擦プレート16と電磁石15との間の摩擦は、摩擦プレート16の回転に対抗し、これにより取付プレート17、よってペダル7が取り付けられた回転軸9の回転に対抗する。結果として、電磁石15に通電すると、ペダル5を踏み込むのに必要な力が大きくなり、電磁石15に印加される電圧が高くなるほど、引力が大きくなり、従ってペダル5の踏み込みを妨げる力に打ち勝つのに必要な力が大きくなる。
【0049】
スロットル・ペダルアセンブリ4はさらに、
図2及び3に概略的に示され、さまざまな入力に基づいて電磁石15の動作を制御するコントローラ21を含む。コントローラの一般的な動作は、スロットル・ペダルアセンブリ4の特定の形式に拘わらず同じなので、スロットル・ペダルアセンブリの2つの代替の実施の形態の説明に続いて、以下に説明することとする。
【0050】
本発明の第2の実施の形態のスロットル・ペダルアセンブリ22を
図4及び5に示す。スロットル・ペダルアセンブリ22は、フロアに取り付けられ、あるいはその前部(
図4の左手側)がマウント24に回転可能に取り付けられた「オルガンストップ(organ stop)」スロットル・ペダル23を含む。マウント24は、さらに、車両1のボディにいずれかの既知の方法で固定されている(
図1に示す)。従来のように、スロットル・ペダル23は、ドライバーの足によって踏み込まれる上向きで前向きの表面を備えたステップ・プレート25を含む。スロットル・ペダル23の下側はブラケット26を含んでおり、入力ロッド(input rod)の形態のリンケージ27の一端が回転可能に取り付けられている。リンケージ27の反対側の端は、ほぼ環状のプレートであるクランク28に回転可能に取り付けられている。クランク28の中央開口部には、マウント24を通って延びる回転軸29が回転不能に取り付けられている。回転軸29はマウント24に対して回転可能なようにすべり軸受け30によって支持されている。
【0051】
圧縮スプリングの形態であるバイアス部材31は、ペダル23の下側(この場合その表面のブラケット)と、マウント24の一部との間に延びており、スロットル・ペダル23及び特にステップ・プレート25に、レスト位置に向かう方向にバイアスをかける。
【0052】
マウント24は車両のフロアに連結するために平坦な基部を有し、そこからほぼ三角形状の本体が延びている。回転軸29は三角形状の本体を通って延びる。ペダル移動センサが備えられ、これも第1部分32を含む。この第1部分32は、マウント6のほぼ三角形状の本体の上部から、クランク28の上部(
図5の左手側)を超えて延びるフードの内面に設けられている。これは、クランク28の対向する表面上に、その上部に向かう方向に配置されたセンサの第2部分33の位置を検知するように配置されている。
【0053】
第1の実施の形態におけるように、電磁ブレーキ34は、スロットル・ペダルアセンブリ22の回転軸29が延びる側面に備えられている。電磁ブレーキ34は電磁石35及び摩擦プレート36により提供される。電磁石35は環状であり、三角形状の本体の反対側で、クランク28及びセンサ32、33が見られる側(回転軸29及びすべり軸受け30の半径方向外側)に備えられている。摩擦プレート36も環状であり、電磁石35に対面して配置されているが、小さなギャップにより離隔されている。
【0054】
摩擦プレート36は、スロットル・ペダル23に回転不能に取り付けられた回転軸29に取り付けられている。摩擦プレート36は、スプラグクラッチ38の形態で一方向ベアリングの外輪に回転不能に取り付けられた取付プレート37によって取り付けられている。(摩擦プレート36は、第1の実施形態と全く同じ方法で、スピニングシム(図示していない)によって取付プレート37に取り付けられている)スプラグクラッチ38の内面は、回転軸29に(回転不能に)取り付けられている。スプラグクラッチ38は、レスト位置に向かう第1方向39(スロットル・ペダル23にバイアス部材31がバイアスをかける)に、回転軸29(及びよってスロットル・ペダルアセンブリ22)が、取付プレート37に対して自由に動くことが可能なように配置されている。一方、スプラグクラッチ38は、バイアスに抗して(ドライバーの足により)、スロットル・ペダル5が反対方向20に踏み込まれたときに、回転軸29と取付プレート37との間を係合するように配置されている。従って、スロットル・ペダル23が踏み込まれると、摩擦プレート36は電磁石35に対し回転するが、スロットル・ペダルがバイアスによってレスト位置に戻ると、摩擦プレート36は電磁石35に対し回転させられない。
【0055】
電磁石35に通電されると、摩擦プレート36に引力を提供し、電磁石との摩擦結合を生じ、よってその回転に対抗する。結果として、電磁石35に通電すると、ペダル23を踏み込むのに必要な力が大きくなり、電磁石35に印加される電圧が高くなるほど、引力が大きくなり、従ってペダル23の踏み込みを妨げる力に打ち勝つのに必要な力が大きくなる。
【0056】
スロットル・ペダルアセンブリ22はさらに、
図4に概略的に示され、さまざまな入力に基づいて電磁石35の動作を制御するコントローラ21を含む。コントローラの一般的な動作は、スロットル・ペダルアセンブリ4の特定の形式に拘わらず同じなので、スロットル・ペダルアセンブリの第3の典型的な実施の形態の説明に続いて、以下に説明することとする。
【0057】
本発明の第3の実施の形態のスロットル・ペダルアセンブリ41を
図6及び7に示す。第2の実施の形態と同様に、このスロットル・ペダルアセンブリ41は、フロアに取り付けられ、あるいはその前部(
図4の左手側)がマウント43に回転可能に取り付けられた「オルガンストップ」スロットル・ペダル42を含む。多くの部品は第2の実施の形態と同じであり、同様の数字が同様の部品に使用される。マウント43は、車両1のボディにいずれかの既知の方法で固定されている(
図1に示す)。スロットル・ペダル42もドライバーの足によって踏み込まれる上向きで前向きの表面を備えたステップ・プレート44を含む。スロットル・ペダル42の下側はブラケット26を含んでおり、リンケージ46の一端が回転可能に取り付けられている。
【0058】
第2の実施の形態と第3の実施の形態との主たる相違は単純にリンケージにあり、この第3の実施の形態では一連の3本のリンク47、48、49を含む。第1リンク47は真っ直ぐであり、一端がブラケット45に回転可能に連結され、反対側の端で第2リンク48に回転可能に接続されている。第2リンク48は直角に曲がっており、前述のように一端で第1リンク47に回転可能に接続され、反対側の端で第3リンク49に回転可能に接続されており、両端の間の曲がり角でマウント43の上向き突出部に回転可能に取り付けられて、スロットル・ペダル42への下向きの圧力、及び第1リンク45の下向きの動きを第3リンク49の横方向の動きに変換している。第3リンク49の第2リンク48に接続されているのと反対側の端は、クランク28に回転可能に取り付けられている。これはほぼ環状のプレートであり、中央開口部には、マウント43を通って延びる回転軸29が回転不能に取り付けられている。回転軸29はマウント24に対して回転可能なようにすべり軸受け30によって支持されている。
【0059】
第2の実施の形態とは異なる第3の実施の形態の別の態様は、圧縮スプリングの形態のスロットル・ペダル5が、リンケージ46とマウント43との間、特に、マウント43の基部から延びる三角形状の本体と、第2リンクと第3リンクが接続された領域との間に延びて、スロットル・ペダル42、及び特にステップ・プレート44にレスト位置に向かう方向にバイアスをかけるようにしている。
【0060】
第2の実施の形態におけるように、スロットル・ペダル42は車両のフロアに取り付けるための平坦な基部を有し、そこからほぼ三角形状の本体が延びている。回転軸29は三角形状の本体を通って延びる。ペダル移動センサが備えられており、第1部分32も含んでいる。これは、スロットル・ペダル42のほぼ三角形状の本体の上部から、クランク28の上部(
図7の左手側)を超えて延びるフードの内面に設けられている。これは、クランク28の対向する表面上に、その上部に向かう方向に配置されたセンサの第2部分33の位置を感知するように配置されている。
【0061】
第2の実施の形態と全く同じように、電磁ブレーキ34は回転軸29が延びるスロットル・ペダルアセンブリ41の側面に設けられている。同様の数字が同様の部品を指すので、ここではこれ以上詳細に説明しない。上記の段落を参照するのみとする。
【0062】
説明した他のスロットル・ペダルアセンブリと同様、第3の実施の形態のスロットル・ペダルアセンブリ41はさまざまな入力に基づいて電磁石35の動作を制御する、
図6に概略的に示されるコントローラ21をさらに備えている。コントローラの一般的な動作は、スロットル・ペダルアセンブリ4の特定の形態に関係なく同じであり、以下に詳細に説明する。
【0063】
図1のハイブリッド電気自動車1、及びスロットル・ペダルアセンブリ4、22、41の第1から第3の実施の形態のいずれかにおけるコントローラ21の動作は、
図8を参照して説明する。
【0064】
コントローラ21はプロセッサ52及びメモリ53を備えるCPUであり、多くの入力を受信し、一定の出力、主として電磁ブレーキ制御信号を、可変出力電圧の形態で送信する。これはスロットル・ペダルアセンブリ4/22/41の電磁ブレーキ14/34に出力される。主な入力は、スロットル・ペダル位置センサの第1部分12/32からのスロットル・ペダル位置信号、ヒューマンマシンインタフェース2からのユーザ入力、及び車載コンピュータ3からのエンジン制御入力である。
【0065】
コントローラ21のプロセッサ52は、それがどのようにセットアップされているかに応じて、例えばそれが設置される車両の特性に応じてメーカーにより、異なる方法で動作するようにプログラム可能である。例えばコントローラが、AT車1ではなく、マニュアル車に設置されている場合、「キックダウン」機能を実行する必要はない。同様に、クルーズ・コントロール/オートパイロット等のない車両では、「ヴァーチャル・フットレスト」機能を実行する必要はなく、内燃機関のみを有する車両では「ICE・インデント」機能は必要ない。同様に、メーカーは交換部品在庫を減らすために全ての車両にスロットル・ペダルアセンブリ4、21、41を設置することを選択できるが、一定の車両(例えば最下層モデル(bottom of the range models))の特定の機能をオフにし、あるいはオプションとして機能をアクティブにしてもよい。これにより、例えばセットアップでは、ヒューマンマシンインタフェース2を介してなされた選択次第で、ペダル重量をカスタマイズ可能かどうか、あるいは設定の間の選択によって、シート位置に応じ、あるいはこれらそれぞれによって、ペダル重量を較正によりカスタマイズできるかを判断することができる。
【0066】
一つの実施の形態のこの説明のために、コントローラ21は、ヒューマンマシンインタフェース2を介してなされた選択に基づいて、カスタマイズ可能なペダル重量を有し、且つキックダウン、ヴァーチャル・フットレスト及びICEインデント機能を実行するように設定されている。
【0067】
カスタマイズ可能なペダル重量から始める場合、ヒューマンマシンインタフェース2は(タッチ)スクリーン上に選択可能な「設定」メニューを表示することができる。選択すると、例えばスクリーンの関連領域をタッチすることにより、選択可能な「ペダル重量」オプションが表示される。選択すると、「ペダル重量」オプションはペダル重量の3つの選択可能なオプションを表示する。「プリセット」「オートマチック」又は「較正」である。「プリセット」を選択すると、「ライト」「ミディアム」「ファーム」の3つのオプションが選択できる。
【0068】
ユーザが「ライト」を選択すると、対応する(すなわち「ライト」)ペダル重量信号がヒューマンマシンインタフェース2からコントローラ21に送信される。プロセッサ52は、この信号をペダルに追加の重量を加えてはならないことを意味すると解釈して、所望のペダル重量を計算し、よって電磁ブレーキに送られる電磁ブレーキ制御信号に追加の電圧が印加されずに、所望の重量に対応する。この「ライト」設定は、メモリ53に保存され、ヒューマンマシンインタフェースから受信した異なる設定により上書きされない限り使用される。
【0069】
ユーザが「ミディアム」を選択すると、対応するペダル重量信号がコントローラ21のプロセッサ52に送信され、メモリ53に保存される。その結果、スロットル・ペダルがどこに位置していても、コントローラは電磁ブレーキ信号として電磁ブレーキ14/34に追加の電圧を出力し、追加の「ミディアム」に対応する、ペダルを踏み込むのに必要な抵抗力を供給させる。「ミディアム」信号はメモリ53に保存され、上書きされるまで使用される。
【0070】
「ファーム」が選択された場合、コントローラ21はこの信号を受信して、より強い抵抗力に対応する追加の電圧を出力し、よってペダルを踏み込むのに必要な力がさらに増加する。この信号も上書きされるまで保存される。
【0071】
「プリセット」オプションでなく、ユーザが「自動」を選択した場合、コントローラはこの信号を受信し、車載コンピュータ3からのシート位置信号出力によりシート位置を判断する。前方は「最小」、後方は「最大」であり、位置をメモリに保存する。最大と最小の間の位置は、電磁ブレーキ信号に印加する追加の電圧の量に対応するようになっている。
【0072】
代わりに、ユーザが「較正」を選択した場合、ヒューマンマシンインタフェース2は較正信号をコントローラ21に送信し、コントローラ21は出力電圧を介して電磁ブレーキ14/34に最大抵抗力を加える。次にヒューマンマシンインタフェース2は、ドライバーに彼/彼女の足をペダルに置いて、フットレストを使用しているかのごとく足をリラックスするように指示を出力する。次に電磁ブレーキ14/34への出力電圧が徐々に低下していき、一方、同時にコントローラ52はペダルが動き始めたことが示されるまで、スロットル・ペダル位置センサ12/32を監視する。これにより、実際にペダルを押すことなく、ドライバーがどれだけの力を加えているかシステムに知らせる。次にこのドライバー固有データを使用して、最適なペダル重量設定を決定し、電磁ペダル触覚制御システムを採用する「キックダウン」、「アクティブペダル」「フットレスト」及びその他の機能の最適な力特性を設定する。ペダルが動き始めた点に対応する力に対応する追加電圧は、ペダル動作全体に追加することができる。ドライバー固有設定はメモリ53に保存され、コントローラ52がヒューマンマシンインタフェースに信号を出力して、ペダル重量が較正されたことの表示をディスプレイさせる。
【0073】
「追加」電圧は、上記のペダル重量オプションに関連して説明されていることに留意すべきである。この追加電圧は、ペダルの位置に拘わらず出力されている。この実施の形態においては、制御信号はさらに、追加電圧(ペダル重量に基づく)が追加される標準可変電圧を含む。標準可変電圧は、以下に説明するように、さらなる入力及び動作モードに基づいて変化する。
【0074】
通常運転モード(クルーズコントロール/自動運転等ではない)においては、車載コンピュータ3はセンサ12/32からスロットル・ペダル位置の表示を受け取り、それに応じて車両1への電力を制御する。スロットル・ペダルの、レスト位置に最も近い、移動の頂点において、車両はハイブリッドなので、十分なバッテリー電力があれば、電力がバッテリーにより供給され、車両はモーターにより推進される。これらの条件下で、ペダルの(レスト位置に向かって)戻る力は、単にバイアス部材11、31、51の力に、上記のペダル重量設定に基づくいずれかの追加電圧を加えた結果である。
【0075】
車載コンピュータ3は、バッテリに必要な電力を継続的に監視して、ユーザによってより多くの電力が要求された場合(スロットル・ペダルをさらに踏み込むことにより)、内燃機関をいつアクティブにする必要があるか評価する。これは環境及びシステムのパラメータの結果として、スロットル(よってペダル位置)の変化したときに生じ得る。従って、車載コンピュータ3は、ペダル位置が「E」モードで利用可能な最大スロットルに近いとき、例えば内燃機関の始動をトリガリングしてから5°になると、コントローラ21に信号を出力する。この「最大E電力(Max E Power)」信号を受信すると、コントローラは電磁ブレーキ出力信号を出力し、この位置及びそれ以降の標準可変電圧を増加させる(但し不快感を避けるために時間の経過と共に追加電圧を徐々に減少させる)。これにより「ICEインデント」が供給されてドライバーに表示し、彼/彼女が関連するスロットル位置を超えて押さない限りは、車両は通常より経済的な「E」モードのままでいることができる。
【0076】
内燃機関が始動するスロットル・ペダル位置(「ICEインデント」)を超えると、オートマチックギアボックスによって選択された所定のギアにおける100%ICEスロットルのポイントまで、電磁ブレーキ出力信号は通常を維持する(ペダル重量の追加電圧に基づく)。これは、スロットル・ペダル位置センサ12/32によって感知された固定位置に対応する、スロットル・ペダルの固定位置であり得る。コントローラ21のプロセッサ51はこの位置に到達したときを監視し、「キックダウン」機能を複製する(replicate)ために、このポイント(ペダルを踏み続けると自動ギアボックスがダウンシフトする)及びそれを超えてペダル移動の全範囲に達する。コントローラは電磁ブレーキ出力信号を変更し、標準可変電圧出力を増加させると、総出力電圧(ペダル重量設定に関連する追加電圧を含む)が増加するため、抵抗力とペダルを踏み込むのに必要な力が増加し、それによってキックダウン機能を複製し、これがアクセルを押し続けるとダウンシフトが発生してより加速されることをドライバーに警告する。
【0077】
最後に、もしも(例えばヒューマンマシンインタフェース2を介して)自動運転モード又はクルーズ・コントロール・モードが選択され、ドライバーが「ヴァーチャル・フットレスト」モードを選択すると、既存のクルーズ・コントロール機能の場合と同様に、スロットル・ペダルは、スロットル・ペダルとして完全に機能する必要がある。しかしながら、ヴァーチャル・フットレスト・モード信号を受け取ったコントローラ21は、「フットレスト」電磁ブレーキ信号として、実質的に増加した標準可変電圧を出力し、この電圧に加えてペダル重量設定からのいくらかの追加電圧がペダルの位置を保持して、足を支持するようになる。フットレスト機能を提供するために要求されるペダル力が増加するために、フットレスト・モード中に電磁ブレーキ14/34がペダル移動範囲全体にわたっておなじブレーキ力をかけ続けると、スロットル・ペダルは不快に重くなる。従って、コントローラ21のプロセッサ52は、スロットル・ペダル位置センサ12/32を監視し続け、フットレスト・モードの間に、予め決められたしきい値を超えるスロットル・ペダルの動きが検出された場合、ドライバーが車両を加速することを望んでいると推測し、この場合、フットレスト電磁ブレーキ信号及び対応する実質的に増加した標準可変電圧は、通常のペダル力/移動比への移行を提供するために、徐々にゼロに減少し、よってより快適なスロットル・ペダル機能を提供する。電磁ブレーキ力を単純にスイッチオフにしたり、過度に急に減少させると、スロットル・ペダルの移動が過剰になり、よって車両の加速が意図しないものとなる。フットレスト・モードは、クルーズ・コントロール/自動運転モードにリンクされており、フットレスト・モード、又は対応するクルーズ/自動運転モードが無効になるまで(ヒューマンマシンインタフェース2又は車載コンピュータ3からの信号として検出される)、「スイッチオン」のままになる。非アクティブ化が検出されない場合、コントローラ21がセンサ12/32からペダルがレスト位置に戻ったことを検出すると、増加した標準可変電圧が再度印加されて、ヴァーチャル・フットレストを再度アクティブ化する。
【0078】
上記の実施の形態は、単なる例として説明されている。添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変形が可能である。
【国際調査報告】