(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(54)【発明の名称】ブレード冷却ガス/流体の貯蔵
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564536
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2020053473
(87)【国際公開番号】W WO2020222058
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブランズ・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バーカート・エレン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ディミートリアス・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】リ・トロイ・キュー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ギオン・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】オレアリー・アレクサンダー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・オルティス・ラファエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ソーニー・アムリタ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ショットマー・ローラ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ソウ・クリストファー・キュー
(72)【発明者】
【氏名】スーダー・ジェフリー・シー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ23
4C160JJ46
(57)【要約】
外科用器具は、本体と、シャフトアセンブリと、エンドエフェクタと、クランプアクチュエータと、ブレード冷却システムと、を含む。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波トランスデューサと連結する超音波ブレードと、を有する。クランプアームは、第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置へと選択的に移動するように構成され、それによって、クランプアームの移動を、それぞれ開放位置から閉鎖位置へと誘導する。冷却システムは、超音波ブレードに流体冷却材を送達し、それによって、クランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置に留まる間に超音波ブレードを冷却するように動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含む、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記本体に対して移動可能に連結され、第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(e)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置に留まる間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、前記エンドエフェクタに動作可能に接続されたノブを更に含み、前記ノブは、前記長手方向軸線の周囲で回転し、それによって、前記エンドエフェクタを前記長手方向軸線の周囲で回転させるように構成され、前記ブレード冷却システムは、前記ノブ内に流体貯留槽を含んで前記流体冷却剤をその内部に収容するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記ブレード冷却システムが、前記ノブ上に配置されて、前記流体貯留槽内へと前記流体冷却剤を導入するために前記流体貯留槽と流体連通するアクセスポートを更に含む、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記ブレード冷却システムが、前記流体貯留槽内に配置されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するためにその内部へ選択的に移動するように構成されたプランジャを更に含む、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記ブレード冷却システムが、前記プランジャに動作可能に連結されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するために前記プランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に含む、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記流体アクチュエータが前記本体上に配置されている、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記流体アクチュエータが、前記プランジャと動作可能に連結されている摺動可能なプッシュタブである、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記シャフトアセンブリが、
(i)内側チューブと、
(ii)外側チューブと、
(iii)前記内側チューブと前記外側チューブとの間の内部空間であって、前記内部空間は、前記流体貯留槽と流体連通し、前記超音波ブレードに向かって伝達するために前記流体貯留槽から排出された前記流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を更に含む、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ブレード冷却システムが、前記流体貯留槽を前記シャフトアセンブリの前記内部空間に流体接続する流体通路を更に含み、前記プランジャは、前記流体貯留槽内で流体冷却剤を圧縮し、それによって、前記流体通路を介して前記流体冷却剤を方向付けるように動作可能である、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ブレード冷却システムが、前記流体通路内に配置された一方向弁を更に含み、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記流体貯留槽から前記内部空間に流れることを可能にするように構成され、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間から前記流体貯留槽に向かって流れるのを阻止するように構成されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記ブレード冷却システムが、前記内側チューブと前記外側チューブとの間の前記内部空間内に配置された一方向流体弁を更に含み、前記一方向流体弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間を介して前記エンドエフェクタに向かって遠位に流れることを可能にするように構成され、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間を介してエンドエフェクタから離れる方向に近位に流れるのを阻止するように構成されている、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記ブレード冷却システムが、
(i)前記本体によって支持され、前記流体冷却剤を収容するように構成された流体貯留槽と、
(ii)前記本体内に配置された流体ブラダーであって、
前記圧縮性流体ブラダーが、第1の流体通路を介して前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を受容するように動作可能であり、
前記流体ブラダーが、第2の流体通路を介して前記超音波ブレードに流体冷却剤を提供するように動作可能である、流体ブラダーと、を更に含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、前記クランプアクチュエータは、前記流体ブラダーから前記流体冷却剤を排出するために、前記クランプアクチュエータが前記第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、前記流体ブラダーを圧縮するように構成されている、請求項12に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記流体ブラダーが、前記第1のアクチュエータ位置と前記第2のアクチュエータ位置のそれぞれにおいて非圧縮に留まる、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記第1の流体通路及び前記第2の流体通路のうちの少なくとも1つが一方向流体弁を含む、請求項12に記載の外科用器具。
【請求項16】
外科用器具であって、
(a)シャフトアセンブリであって、
(i)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管と、
(ii)前記シャフトアセンブリに動作可能に連結された回転ノブであって、前記シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、前記回転ノブが、前記シャフトアセンブリを前記長手方向軸線の周囲で回転させるように構成されている、回転ノブと、を含む、シャフトアセンブリと、
(b)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(c)第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(d)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置にある間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能であるブレード冷却システムであって、
(i)前記回転ノブ内の空洞によって画定される流体貯留槽と、
(ii)前記流体貯留槽内に配置されたプランジャと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【請求項17】
前記プランジャに動作可能に連結されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するために前記プランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に備える、請求項16に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記シャフトアセンブリが、
(i)内側チューブと、
(ii)外側チューブと、
(iii)前記内側チューブと前記外側チューブとの間の内部空間であって、前記内部空間は、前記流体貯留槽と流体連通し、前記超音波ブレードに向かって伝達するために前記流体貯留槽から排出された前記流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を更に備える、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含むシャフトアセンブリと、
(b)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(c)第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(d)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置に留まる間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能であるブレード冷却システムであって、
(i)流体冷却剤を貯蔵するように構成された流体貯留槽と、
(ii)第1の流体通路を介して前記流体貯留槽から流体冷却剤を受容するように構成された圧縮性流体ブラダーであって、前記流体ブラダーは、第2の流体通路を介して前記超音波ブレード上に前記流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、圧縮性流体ブラダーと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【請求項20】
前記クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、前記クランプアクチュエータは、前記流体ブラダーから前記流体冷却剤を排出するために、前記クランプアクチュエータが前記第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、前記流体ブラダーを圧縮するように構成されている、請求項19に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
種々の外科用器具が、組織を(例えば、組織細胞内のタンパク質を変性させることにより)切断及び/又は封止するために、超音波周波数で振動するブレード素子を有するエンドエフェクタを含む。これらの器具は、電力を超音波振動へと変換する1つ以上の圧電素子を含んでおり、これらの振動は、音響導波管に沿ってブレード素子へと伝達される。切断及び凝固の精度は、操作者の技術により、並びに電力レベル、ブレード端部の角度、組織牽引、及びブレード圧力を調節することによって、制御されてもよい。
【0002】
超音波外科用器具の例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられるが、これらはいずれもEthicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。このような装置及び関連する概念の更なる例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,322,055号、表題:「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」(1994年6月21日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,873,873号、表題:「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」(1999年2月23日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,980,510号、表題:「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」(1999年11月9日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,283,981号、表題:「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」(2001年9月4日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,309,400号、表題:「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」(2001年10月30日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,325,811号、表題:「Blades with Functional Balance Asymmetries for use with Ultrasonic Surgical Instruments」(2001年12月4日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,423,082号、表題:「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」(2002年7月23日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,773,444号、表題:「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」(2004年8月10日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,783,524号、表題:「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」(2004年8月31日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,057,498号、表題:「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」(2011年11月15日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,461,744号、表題:「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」(2013年6月11日発行);その開示が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第8,591,536号、表題:「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」(2013年11月26日発行)、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,623,027号、表題:「Ergonomic Surgical Instruments」(2014年1月7日発行)に、開示されている。
【0003】
超音波外科用器具の依然として更なる例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0079874号、表題:「Tissue Pad for Use with an Ultrasonic Surgical Instrument」(2006年4月13日公開)、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0191713号、表題:「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」(2007年8月16日公開);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0282333号、表題:「Ultrasonic Waveguide and Blade」(2007年12月6日公開)、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0200940号、表題:「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」(2008年8月21日公開);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,911,460号、表題:「Ultrasonic Surgical Instruments」(2014年12月16日発行)、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,023,071号、表題:「Ultrasonic Device for Fingertip Control」(2015年5月5日発行)に、開示されている。
【0004】
いくつかの超音波外科用器具としては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,381,058号、表題:「Recharge System for Medical Devices」(2016年7月5日発行);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2012/0116265号、表題:「Surgical Instrument with Charging Devices」(2012年5月10日公開);及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第61/410,603号、表題:「Energy-Based Surgical Instruments」(2010年11月5日出願)に記載されているものなどの、コードレストランスデューサが挙げられてもよい。
【0005】
いくつかの超音波手術器具は、関節運動シャフト部分を含み得る。このような超音波外科用器具の例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,393,037号、表題:「Surgical Instruments with Articulating Shafts」(2016年7月19日発行)、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,095,367号、表題:「Flexible Harmonic Waveguides/Blades for Surgical Instruments」(2015年8月4日発行)に、開示されている。
【0006】
加えて、いくつかの超音波外科用器具は、超音波ブレード冷却システムを含んでもよい。このような超音波外科用器具の例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0000499号、表題:「Features to Drive Fluid Toward an Ultrasonic Blade of a Surgical Instrument」(2019年1月3日公開);及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0143659号、表題:「Ultrasonic Surgical Instrument with Blade Cooling Through Retraction」(2016年5月26日公開)に記載されている。
【0007】
いくつかの外科用器具及びシステムが作製され使用されてきたが、本発明者らよりも前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を作製又は使用した者は存在しない、と考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【
図1】第1の例示的な超音波外科用器具を含む外科用システムの一例の線図を示す。
【
図2】第2の例示的な超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図3】は、
図2の超音波外科用器具のエンドエフェクタ及びシャフトアセンブリの斜視図を示す。
【
図4】ハンドルアセンブリ、シャフトアセンブリ、及びエンドエフェクタを有する第3の例示的な超音波外科用器具の斜視図を示す。
【
図5A】組織を圧縮するための、その中心線に沿ってかつ閉鎖位置にある
図4のエンドエフェクタの側断面図を示す。
【
図5B】エンドエフェクタが組織を受容又は解放するための開放位置にある、
図5Aと同様のエンドエフェクタの側断面図を示す。
【
図6A】より高い明瞭性のためにケーシングシュラウドが取り外され、シリンジによって流体が充填される流体貯留槽を有する、
図4のハンドルアセンブリの側立面図を示す。
【
図6B】
図6Aと類似しているが、流体で充填された流体貯留槽を示している、ハンドルアセンブリの側立面図を示す。
【
図6C】
図6Bと類似しているが、流体貯留槽から排出されている流体を示している、ハンドルアセンブリの側立面図を示す。
【
図7A】
図4のシャフトアセンブリの中心線に沿って取られた、一方向流体弁が閉鎖位置にある
図4のシャフトアセンブリの一方向流体弁の拡大側断面図を示す。
【
図7B】
図7Bと類似しているが、開放位置にある一方向流体弁を示している、シャフトアセンブリの一方向流体弁の拡大側断面図を示す。
【
図8】より高い明瞭性のためにケーシングシュラウドが取り外された、第4の例示的な超音波外科用器具の拡大側立面図を示す。
【
図9】
図8の超音波外科用器具の超音波ブレードを冷却するための例示的な方法を表すフローチャートを示す。
【
図10】
図9の超音波ブレードを冷却するための例示的な方法から得られる例示的なデータセットを示す線グラフを示す。
【
図11A】より高い明瞭性のためにケーシングシュラウドが取り外され、クランプアクチュエータが第1の位置にある、第5の例示的な超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図11B】
図11Aと類似しているが、第2の位置にあるクランプアクチュエータを示している、超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図11C】
図11Bと類似しているが、第3の位置にあるクランプアクチュエータを示している、超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図12A】ケーシングシュラウドが取り外され、クランプアクチュエータが第1の位置にある、第6の例示的な超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図12B】
図12Aと類似しているが、第2の位置にあるクランプアクチュエータを示している、超音波外科用器具の側立面図を示す。
【
図14】
図12Aの超音波外科用器具の超音波ブレードを冷却するための例示的な方法から得られる例示的なデータセットを示す、線グラフを示す。
【0009】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本技術の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の種々の方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点が、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0011】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も、更に理解されよう。それゆえに、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正及び変形形態は、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0012】
本開示の明瞭さのために、用語「近位」及び「遠位」は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を把持する操作者又はその他の操作者に対して本明細書で定義される。用語「近位」とは、操作者又はその他の操作者により近い要素の位置を意味し、用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ操作者又はその他の操作者からより離れた要素の位置を意味する。
【0013】
I. 例示的な超音波外科用システムの概要
図1は、外科システム(10)の一例の構成要素を図形的ブロック形態で示す。示されるように、システム(10)は、超音波発生器(12)と、第1の例示的な超音波外科用器具(20)と、を備える。以下で更に詳細に記載するように、器具(20)は、超音波振動エネルギーを使用して、実質的に同時に、組織を切開しかつ組織(例えば、血管など)を封止又は接合するように動作可能である。発生器(12)及び器具(20)は、ケーブル(14)を介して互いに連結されている。ケーブル(14)は、複数のワイヤを含んでもよく、発生器(12)から器具(20)への一方向の電気的通信、及び/又は発生器(12)と器具(20)との間の双方向の電気的通信を提供してもよい。ほんの一例として、ケーブル(14)は、外科用器具(20)への電力のための「熱」線、アース線、及び外科用器具(20)から超音波発生器(12)に信号を送信するための信号線を備えてもよく、シールドが3本のワイヤを覆っている。いくつかの変形形態では、別個の起動電圧に対して別個の「熱」線が使用される(例えば、第1の起動電圧に対して1本の「熱」線が使用され、第2の起動電圧に対して別の「熱」線が使用されるか、又はこれらのワイヤ間で要求される出力に比例した可変電圧が使用される、など)。当然のことながら、任意のその他の好適な数又は構成のワイヤが使用されてもよい。ケーブル(14)が単に省略され得るように、システム(10)のいくつかの変形形態が、発生器(12)を器具(20)内に組み込むことができることも理解されたい。
【0014】
ほんの一例として、発生器(12)は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)より販売されるGEN04、GEN11、又はGEN300を含んでもよい。追加的に又は代替的に、発生器(12)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,986,302号、表題:「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」(2015年3月24日発行)の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。あるいは、任意のその他の好適な発生器(12)を使用してもよい。以下で更に詳細に記載するように、発生器(12)は、電力を器具(20)に供給して超音波外科手術を行うように動作可能である。
【0015】
器具(20)は、外科手術中に操作者の片手(又は両手)で握られ、かつ当該操作者の片手(又は両手)で操作されるように構成されたハンドピース(22)を備える。例えば、いくつかの変形形態では、ハンドピース(22)は、操作者によって鉛筆のように握られてもよい。その他のいくつかの変形形態では、ハンドピース(22)は、操作者によってハサミのように握られ得るハサミ状把持部を含んでもよい。その他のいくつかの変形形態では、ハンドピース(22)は、操作者によってピストルのように握られ得るピストル形把持部を含んでもよい。当然のことながら、ハンドピース(22)がその他の任意の好適な握り方で握られるように構成されてもよい。更に、器具(20)のいくつかの変形形態は、器具(20)を(例えば、遠隔制御などを介して)動作させるように構成されたロボット外科システムに連結された本体で、ハンドピース(22)を代用することができる。本実施例では、ブレード(24)がハンドピース(22)から遠位に延在している。ハンドピース(22)は、超音波トランスデューサ(26)と、超音波トランスデューサ(26)をブレード(24)と連結させる超音波導波管(28)と、を含む。超音波トランスデューサ(26)は、ケーブル(14)を介して発生器(12)から電力を受け取る。超音波トランスデューサ(26)は、その圧電特性により、このような電力を超音波振動エネルギーへと変換するように動作可能である。
【0016】
超音波導波管(28)は、可撓性、半可撓性、剛性であってもよい、又は任意のその他の好適な性質を有してもよい。上記のように、超音波トランスデューサ(26)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)と一体的に連結されている。特に、超音波トランスデューサ(26)が超音波周波数で振動するように起動している場合、このような振動が超音波導波管(28)を介してブレード(24)へと伝達されて、ブレード(24)もまた超音波周波数で振動する。ブレード(24)が起動状態である(即ち、超音波的に振動している)場合、ブレード(24)は、組織を効果的に切断し、また組織を封止するように動作可能である。したがって、超音波トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)は、発生器(12)により電力供給された際に、外科手術を行うための超音波エネルギーを供給する音響アセンブリを共に形成する。ハンドピース(22)は、トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)によって形成される音響アセンブリの振動から操作者を実質的に隔離するように構成されている。
【0017】
いくつかの変形形態では、超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)に伝達される機械的振動を増幅してもよい。超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)に沿った長手方向振動の増大を制御するための機構、及び/又は超音波導波管(28)をシステム(10)の共振周波数と同調させるための特徴を更に有してもよい。例えば、超音波導波管(28)は、実質的に均一な断面などの任意の好適な断面寸法/構成を有してもよく、種々の部分において先細になっていてもよく、その全長に沿って先細になっていてもよく、又は任意のその他の好適な構成を有してもよい。超音波導波管(28)は、例えば、システムの波長の1/2の整数倍に実質的に等しい長さ(nλ/2)を有してもよい。超音波導波管(28)及びブレード(24)は、チタン合金(即ち、Ti-6Al-4V)、アルミニウム合金、サファイア、ステンレス鋼、又は任意のその他の音響的に適合した材料若しくは材料の組み合わせなどの、超音波エネルギーを効率的に伝搬する材料又は材料の組み合わせから構成された中実のコアシャフトから製作されてもよい。
【0018】
本実施例では、ブレード(24)の遠位端部は、組織による負荷が音響アセンブリに加えられていない場合に、好ましい共振周波数fooに音響アセンブリを同調させるために、導波管(28)を介して伝達される共振超音波振動に関連する波腹に対応する位置(即ち、音響波腹)に位置する。トランスデューサ(26)が通電される場合、ブレード(24)の遠位端部は、例えば、ピーク間で約10~500マイクロメートル、場合によっては、例えば、55.5kHzの所定の振動周波数foにおいて約20~約200マイクロメートルの範囲で、長手方向に移動するように構成されている。本実施例のトランスデューサ(26)が起動している場合、これらの機械的振動は、ブレード(24)に到達するように導波管(28)を介して伝達され、それによって共振超音波周波数でブレード(24)の振動をもたらす。したがって、ブレード(24)の超音波振動が、組織の切断及び隣接した組織細胞内のタンパク質の変性を同時に行い、それによって、比較的少ない熱拡散で凝固効果を提供してもよい。いくつかの変形形態では、組織を焼灼するために、電流もまた、ブレード(24)を介して提供されてもよい。
【0019】
ほんの一例として、超音波導波管(28)及びブレード(24)は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により、製品コードSNGHK及びSNGCBとして販売されている構成要素を含んでもよい。ほんの更なる例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,423,082号、表題:「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」(2002年7月23日発行)の教示に従って構成されてもよく、また動作可能であってもよい。別のあくまで例示的な例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,324,299号、表題:「Ultrasonic Scalpel Blade and Methods of Application」(1994年6月28日発行)の教示に従って構成されてもよく、また動作可能であってもよい。超音波導波管(28)及びブレード(24)のその他の好適な特性及び形態が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0020】
本実施例のハンドピース(22)はまた、制御選別器(30)及び作動スイッチ(32)も含み、これらはそれぞれ回路基板(34)と通信している。ほんの一例として、回路基板(34)は、従来のプリント回路基板、フレックス回路、リジッドフレックス回路を含んでよい、又は任意のその他の好適な構造を有してもよい。制御選別器(30)及び起動スイッチ(32)は、1つ以上のワイヤ、回路基板若しくはフレックス回路に形成された配線を介して、及び/又は任意のその他の好適な方法で、回路基板(34)と通信していてもよい。回路基板(34)は、ケーブル(14)と連結しており、これは次に発生器(12)内の制御回路(16)と連結している。起動スイッチ(32)は、超音波トランスデューサ(26)への電源を選択的に起動するように動作可能である。特に、スイッチ(32)が起動した場合、このような起動は、ケーブル(14)を介して適切な電力を超音波トランスデューサ(26)へと伝達する。ほんの一例として、起動スイッチ(32)は、本明細書で引用される種々の参考文献の教示のうちのいずれかに従って構成されてもよい。起動スイッチ(32)がとり得るその他の種々の形態が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0021】
本実施例では、外科システム(10)は、少なくとも2つの異なるレベル又は種類の超音波エネルギー(例えば、異なる周波数及び/又は振幅など)をブレード(24)において供給するように動作可能である。そのために、制御選別器(30)は、操作者が所望のレベル/振幅の超音波エネルギーを選択することができるように、動作可能である。ほんの一例として、制御選別器(30)は、本明細書で引用される種々の参考文献の教示のうちのいずれかに従って構成されてもよい。制御選別器(30)がとり得るその他の種々の形態が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。いくつかの変形形態では、操作者が制御選別器(30)によって選択を行った場合、操作者の選択は、ケーブル(14)を介して発生器(12)の制御回路(16)に戻して伝達され、これに従って、次回操作者が起動スイッチ(32)を作動させたときに、制御回路(16)が発生器(12)から伝達される電力を調節する。
【0022】
ブレード(24)において供給される超音波エネルギーのレベル/振幅は、発生器(12)からケーブル(14)を介して器具(20)に伝達される電力の特性の関数であってもよいことを理解されたい。したがって、発生器(12)の制御回路(16)は、制御選別器(30)を介して選択された超音波エネルギーのレベル/振幅又は種類に関連した特性を有する電力を(ケーブル(14)を介して)供給してもよい。したがって、発生器(12)は、制御選別器(30)を介して操作者によって行われる選択に基づいて、異なる種類又は程度の電力を超音波トランスデューサ(26)へと伝達するように、動作可能であってもよい。特に、またほんの一例として、発生器(12)は、印加される信号の電圧及び/又は電流を増大させて、音響アセンブリの長手方向振幅を増大させてもよい。あくまで例示的な例として、発生器(12)は、それぞれ約50マイクロメートル及び約90マイクロメートルの、ブレード(24)の振動共鳴振幅に対応し得る「レベル1」と「レベル5」との間の選択可能性を提供してもよい。制御回路(16)を構成し得る種々の方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。制御選別器(30)及び起動スイッチ(32)の代わりに、2つ以上の起動スイッチ(32)を使用してもよいこともまた理解されたい。いくつかのそのような変形形態では、ある1つの起動スイッチ(32)は、ある電力レベル/種類でブレード(24)を起動させるように動作可能である一方で、別の起動スイッチ(32)は、別の電力レベル/種類などでブレード(24)を起動させるように動作可能である。
【0023】
いくつかの代替変形例では、制御回路(16)はハンドピース(22)内に位置する。例えば、いくつかのこのような変形形態では、発生器(12)は1つの種類の電力のみ(例えば、利用可能な1つの電圧及び/又は電流のみ)をハンドピース(22)に伝達し、ハンドピース(22)内の制御回路(16)は、電力が超音波トランスデューサ(26)に到達する前に、制御選別器(30)を介して操作者によって行われる選択に従って電力(例えば、電力の電圧)を修正するように動作可能である。更に、発生器(12)は、外科システム(10)のその他の全ての構成要素と共にハンドピース(22)内に組み込まれてもよい。例えば、1つ以上の電池(図示せず)又はその他の携帯型電源がハンドピース(22)内に設けられてもよい。
図1に示される構成要素が再配置される、又はその他の方法で構成若しくは修正されてもよい更なるその他の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0024】
II. 例示的な超音波外科用器具の概要
以下の説明は、上で簡潔に説明される器具(20)の1つ以上の部分に組み込まれ得る種々の例示的な構成要素及び構成に関する。以下で説明する器具(100)の種々の実施例は、上記のように、外科用システム(10)内へと容易に組み込まれてもよいことを理解されたい。また、上記の器具(20)の種々の構成要素及び動作性を、以下に記載の器具(100)の例示的な変形形態へと容易に組み込んでよいことも理解されたい。上記及び下記の教示が組み合わされてもよい種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。また、以下の教示が、本明細書で引用される参考文献の種々の教示と容易に組み合わされてもよいことも理解されたい。
【0025】
そのために、
図2は、第2の例示的な超音波外科用器具(100)を示す。器具(100)の少なくとも一部は、以下の教示の少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能であり得る:米国特許第5,322,055号、米国特許第5,873,873号、米国特許第5,980,510号、米国特許第6,325,811号、米国特許第6,773,444号、米国特許第6,783,524号、米国特許第8,461,744号、米国特許第8,623,027号、米国特許出願公開第2006/0079874号、米国特許出願公開第2007/0191713号、米国特許出願公開第2007/0282333号、米国特許出願公開第2008/0200940号、米国特許第9,023,071号、米国特許第9,381,058号、米国特許出願公開第2012/0116265号、米国特許出願公開第2019/0000499号、米国特許出願公開第2016/0143659号、米国特許第9,393,037号、米国特許第9,095,367号、米国特許出願第61/410,603号、及び/又は
米国特許第10,172,636号。前述の特許、特許公開、及び特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載するように、また以下で更に詳細に記載するように、器具(100)は、実質的に同時に、組織を切断し、かつ組織(例えば、血管など)を封止又は溶接するように動作可能である。また、器具(100)が、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesとの種々の構造的及び機能的な類似性を有し得ることを理解されたい。更に、器具(100)は、本明細書で引用され、参照により本明細書に組み込まれるその他の参考文献のうちのいずれかにおいて教示される装置と、種々の構造的及び機能的類似性を有し得る。
【0026】
本明細書に引用される参考文献の教示と、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示と、器具(100)に関する以下の教示との間に何らかの重複が存在する範囲で、本明細書のいかなる記述も従来技術として認められたものであるとみなす意図はない。本明細書のいくつかの教示は、事実、本明細書に引用した参考文献、並びにHARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示の範囲を超えるであろう。
【0027】
本実施例の器具(100)は、ハンドルアセンブリ(120)を含む本体(122)と、シャフトアセンブリ(130)と、エンドエフェクタ(140)と、を備える。ハンドルアセンブリ(120)は、ピストル形把持部(124)と、一対のボタン(126)と、を更に含む。更に、ハンドルアセンブリ(120)は、トリガ、又はピストル形把持部(124)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動可能であるクランプアクチュエータ(128)を含み得る。しかし、鉛筆状把持部構成又はハサミ状把持部構成を含むが、これらに限定されない、種々のその他の好適な構成を用いてもよいことを理解されたい。エンドエフェクタ(140)は、超音波ブレード(160)と、枢動クランプアーム(144)と、を含む。クランプアーム(144)は、クランプアクチュエータ(128)に連結され、それによって、クランプアーム(144)は、ピストル形把持部(124)に向かうクランプアクチュエータ(128)の枢動に応答して、超音波ブレード(160)に向かって枢動可能であり、それによって、クランプアーム(144)は、解放されることによってピストル形把持部(124)から離れるようなクランプアクチュエータ(128)の枢動に応答して、超音波ブレード(160)から離れるように枢動可能である。クランプアーム(144)をクランプアクチュエータ(128)と連結させ得る種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0028】
超音波トランスデューサアセンブリ(112)は、ハンドルアセンブリ(120)の本体(122)から近位に延在する。トランスデューサアセンブリ(112)は、ケーブル(114)を介して発生器(116)に連結されている。トランスデューサアセンブリ(112)は、発生器(116)から電力を受け取り、圧電原理によりその電力を超音波振動へと変換する。発生器(116)は、電源と、トランスデューサアセンブリ(112)による超音波振動の生成に特に適した、トランスデューサアセンブリ(112)に電力プロファイルを提供するように構成された制御モジュールと、を備えてもよい。ほんの一例として、発生器(116)は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されているGEN 300を含んでもよい。追加的に又は代替的に、発生器(116)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,986,302号、表題:「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」(2015年3月24日発行)の教示の少なくとも一部に従って構築されてもよい。更に、発生器(116)の機能の少なくとも一部をハンドルアセンブリ(120)に組み込むことができ、また、ハンドルアセンブリ(120)は更に電池又はその他の搭載された電源を含むことでケーブル(114)を省略することができるということも、理解されたい。発生器(116)がとり得る更にその他の好適な形態、並びに発生器(116)が提供し得る種々の特徴及び動作性は、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0029】
図3を参照すると、本実施例のシャフトアセンブリ(130)は、外側チューブ(132)などの外側シースと、内側チューブ(176)と、を備える。内側チューブ(176)は、外側チューブ(132)内に摺動可能に配置されている。以下でより詳細に記載するように、内側チューブ(176)は、外側チューブ(132)に対して外側チューブ(132)内を長手方向に並進することにより、クランプアーム(144)をブレード(160)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように動作可能である。本実施例のシャフトアセンブリ(130)は、回転ノブ(139)を更に含む。回転ノブ(139)は、シャフトアセンブリ(130)とエンドエフェクタ(140)との全体を、シャフトアセンブリ(130)の長手方向軸線の周囲をハンドルアセンブリ(120)に対して回転させるように動作可能である。いくつかの変形例では、回転ノブ(139)は、シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)の角度位置を、シャフトアセンブリ(130)の長手軸の周りでハンドルアセンブリ(120)に対して選択的にロック固定するように動作可能である。例えば、回転ノブ(139)は、シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)がシャフトアセンブリ(130)の長手方向軸線の周囲でハンドルアセンブリ(120)に対して回転可能である第1の長手方向位置と、シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)がシャフトアセンブリ(130)の長手方向軸線の周囲でハンドルアセンブリ(120)に対して回転可能ではない第2の長手方向位置と、の間で、平行移動可能であってもよい。当然のことながら、シャフトアセンブリ(130)は、上記のもののいずれかに加えて又はその代わりに、種々のその他の構成要素、特徴及び動作性を有してもよい。ほんの一例として、シャフトアセンブリ(130)の少なくとも一部分は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第9,795,379号、表題:「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」(2017年10月24日出願)の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよい。シャフトアセンブリ(130)のその他の好適な構成が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0030】
図3において最も良く分かるように、本実施例のエンドエフェクタ(140)は、クランプアーム(144)及び超音波ブレード(160)を備え、超音波ブレード(160)は音響導波管(184)に連結されている。クランプアーム(144)は、クランプアーム(144)の下側に固着されてブレード(160)に面する主クランプパッド(146)及び副クランプパッド(図示せず)を含む。クランプアーム(144)は、ピン(142)を介して、外側チューブ(132)の遠位に突出している舌状部(143)に枢動可能に固定される。クランプアーム(144)は、クランプアーム(144)とブレード(160)との間に組織を選択的にクランプするために、ブレード(160)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動するように動作可能である。一対のアーム(156)が、クランプアーム(144)から横断方向に延在し、アーム(156)相互の間に横方向に延在する内側チューブ(176)の遠位部分(170)に固着される。内側チューブ(176)は、外側チューブ(132)内を外側チューブ(132)に対して長手方向に並進することにより、クランプアーム(144)をブレード(160)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように動作可能である。特に、内側チューブ(176)は、クランプアーム(144)が、ピストル形把持部(124)に向かうクランプアクチュエータ(128)の枢動に応じて、ブレード(160)に向かって枢動するように、また、クランプアーム(144)が、ピストル形把持部(124)から離れるクランプアクチュエータ(128)の枢動に応じて、ブレード(160)から離れて枢動するように、クランプアクチュエータ(128)に連結される。クランプアーム(144)は開放位置に向かって付勢されてもよく、それによって、(少なくとも場合によっては)操作者は、クランプアクチュエータ(128)の把持部を解放することによってクランプアーム(144)を効果的に開いてもよい。
【0031】
本実施例のブレード(160)は、特に組織がクランプパッド(146)とブレード(160)との間にクランプされた場合に、組織を効果的に切り開いて封止するために超音波周波数にて振動するように動作可能である。ブレード(160)は、トランスデューサアセンブリ(112)と音響導波管(184)とを含む音響ドライブトレーンの遠位端部に配置される。トランスデューサアセンブリ(112)は、剛性音響導波管(184)のホーン(図示せず)の近位に位置する、一組の圧電ディスク(図示せず)を含む。圧電ディスクは、電力を超音波振動に変換するように動作可能であり、その超音波振動は、次に、周知の構成及び技術に従って音響導波管(184)に沿ってブレード(160)まで伝達される。ほんの一例として、音響ドライブトレーンのこの部分は、本明細書に引用される種々の参考文献の種々の教示に従って構成されてもよい。
【0032】
本実施例では、ブレード(160)の遠位端部が、音響導波管(184)を介して伝達される共振超音波振動と関連する波腹に対応する位置にあることにより、音響アセンブリが組織の負荷を受けていない場合に音響アセンブリを好ましい共振周波数foに同調させる。変換器アセンブリ(112)が通電された場合、ブレード(160)の遠位端部は、例えば、ピーク間で約10~500マイクロメートル、場合によっては、例えば、55.5kHzの所定の振動周波数foで、約20~約200マイクロメートルの範囲で長手方向に移動するように構成されている。本実施例のトランスデューサアセンブリ(112)が活性化された場合、これらの機械的振動は、音響導波管(184)を通して伝達されてブレード(160)に到達し、それによって、共振超音波周波数でのブレード(160)の振動を提供する。したがって、ブレード(160)とクランプパッド(146)との間に組織が固定された場合、ブレード(160)の超音波振動が、組織の切断と、隣接した組織細胞内のタンパク質の変性とを同時に行ってもよく、それによって、比較的小さい熱拡散で凝固効果が提供される。いくつかの変形形態では、更に組織を焼灼するために、電流もまた、ブレード(160)及びクランプアーム(144)を介して提供されてもよい。音響伝達アセンブリ及びトランスデューサアセンブリ(112)のいくつかの構成について説明したが、音響伝達アセンブリ及びトランスデューサアセンブリ(112)の更にその他の好適な構成が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。同様に、エンドエフェクタ(140)のその他の好適な構成も、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0033】
III. ブレード冷却システムを備える、例示的な超音波外科用器具
場合によっては、器具(20、100)の1つ以上の領域は、外科手術における器具(20、100)の長時間の動作中、熱くなる場合がある。ほんの一例として、器具(20、100)のブレード(24、160)、クランプアーム(144)、及び/又は別の部分が、時間経過と共に最終的には温度上昇する場合がある。このような加熱は、摩擦及び/又はその他の要因によって引き起こされる場合がある。熱が器具(20、100)のある特定の構成要素(例えば、ブレード(24、160)又はクランプアーム(144)など)に最初に発生する限りにおいて、このような熱は、器具(20、100)のその他の部分へ徐々に伝達される場合がある。患者の結果を改善するために操作者の1つ以上の好みに従って、器具(20、100)の加熱された部分と組織とを接触させることを回避するために、このような加熱を低減する及び/又はその他の方法で管理することが望ましい場合がある。例えば、操作者が拡張鈍的切開及び/又は単純な組織把持等を実行するためにエンドエフェクタ(140)を使用する場合、操作者は、エンドエフェクタ(140)が比較的冷えた状態にあることを好む場合がある。加熱を低減すること、及び/又は器具(20、100)の大きさ若しくは動作性を実質的に増大させない方法で別途、加熱を管理することが望ましい場合もある。
【0034】
器具(20、100)内の熱を管理することができるあくまで例示的な1つの方法は、流体を使用して、ブレード(24、160)を冷却することである。例えば、冷却流体(例えば、生理食塩水等)が、ブレード(24、160)の近位端部に適用されてもよい。冷却流体が、次に、ブレード(24、160)の全長の残りに沿って遠位に伝達され、それによって、ブレード(24、160)を冷却してもよい。下記の超音波外科用器具(200、300、400、500)の種々の実施例は、それによって冷却流体がブレード(24、160)などのブレードにまで伝達され得る種々の構造及び技術を提供する。したがって、下記の、超音波外科用器具(200、300、400、500)に関連付けられたこのような冷却特徴部の1つ以上の部分は、したがって、所望に応じて、器具(20、100)内に全体的に又は部分的に組み込まれてもよい。ブレード(24、160)を冷却するように構成された特徴部の種々の実施例については、以下でより詳細に記載するが、その他の実施例についても、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0035】
A. 流体プランジャを有する例示的な超音波外科用器具
図4~7Bは、下記の相違を除いて、上記の器具(100)と実質的に類似して動作するように構成されている、ブレード冷却システム(241)を有する第3の例示的な超音波外科用器具(200)を示す。それゆえに、器具(200)は、下記の構成要素及び動作性を含むことに加えて、器具(20、100)と同じ構成要素及び動作性を含んでもよいことを理解されたい。本実施例の器具(200)は、ハンドルアセンブリ(220)を有する本体(222)と、シャフトアセンブリ(230)と、エンドエフェクタ(240)と、を備える。
【0036】
上記の器具(100)と同様に、本体(222)は、超音波トランスデューサアセンブリ(図示せず)を受容するように構成されている。本体(222)のハンドルアセンブリ(220)は、ピストル形把持部(224)と、一対のボタン(226)と、を含む。ハンドルアセンブリ(220)はまた、トリガ、又はピストル形把持部(224)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動可能であるクランプアクチュエータ(228)も含む。エンドエフェクタ(240)は、超音波ブレード(260)と、枢動クランプアーム(244)と、を含む。クランプアーム(244)はクランプアクチュエータ(228)に連結され、それによって、クランプアーム(244)は、第1のアクチュエータ位置(付勢された又は「ホーム」位置)から第2のアクチュエータ位置(ピストル形把持部(224)に向かってクランプされる)へと、クランプアクチュエータ(228)の枢動に応答して、超音波ブレード(260)に向かって枢動可能であり、またそれによって、クランプアクチュエータ(228)を第2のアクチュエータ位置から第1のアクチュエータ位置へと解放することなどによって、クランプアクチュエータ(228)がピストル形把持部(224)から離れるように枢動することに応答して、クランプアーム(244)が超音波ブレード(260)から離れるように枢動可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上の弾性部材を用いてクランプアーム(244)及び/又はクランプアクチュエータ(228)を開位置まで付勢する。
【0037】
図5Aを参照すると、本実施例のシャフトアセンブリ(230)は、外側シース、又は外側チューブ(232)、及び内側チューブ(234)を備える。内側チューブ(234)は、外側チューブ(232)内に摺動可能に配置されている。上記のシャフトアセンブリ(130)(
図3を参照)と同様に、内側チューブ(234)は、外側チューブ(232)に対して外側チューブ(232)内を長手方向に並進することにより、クランプアーム(244)をブレード(260)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように動作可能である。本実施例のエンドエフェクタ(240)は、クランプアーム(244)と、超音波ブレード(260)と、を備える。クランプアーム(244)は、クランプアーム(244)の下側に固定されてブレード(260)に面する主クランプパッド(246)と副クランプパッド(248)と、を含む。クランプアーム(244)は、ピン(図示せず)を介して、外側チューブ(232)の遠位に突出している舌状部(243)に枢動可能に固定される。クランプアーム(244)は、クランプアーム(244)とブレード(260)との間に組織を選択的にクランプするために、ブレード(260)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動するように動作可能である。
【0038】
図5A~5Bは、閉鎖位置(
図5A)と開放位置(
図5B)との間でのクランプアーム(244)の動作を示す。
図5Bに示すように、内側チューブ(234)が外側チューブ(232)に対して遠位位置にある場合、クランプアーム(244)は、開放位置にある。
図5Bに示すように、
内側チューブ(234)が中間位置まで近位に動かされると、
クランプアーム(244)は、ブレード(260)に向かって中間位置まで枢動する。例示的なエンドエフェクタ(240)及びシャフトアセンブリ(230)は、流体冷却剤を超音波ブレード(260)に提供するように構成されている。エンドエフェクタ(240)は、下記の相違点を除いて、上記のエンドエフェクタ(140)(
図3を参照)と実質的に類似して動作するように構成されている。それゆえに、エンドエフェクタ(240)は、エンドエフェクタ(140)(
図3を参照)と容易に置換されてもよいことを理解されたい。クランプアーム(244)が外側チューブ(232)及び内側チューブ(234)と連結され得る種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかとなるであろう。
【0039】
一実施例では、シャフトアセンブリ(230)は、外側チューブ(232)と内側チューブ(234)との間に配置されたチューブ(216)を更に備える。チューブ(216)は、流体貯留槽(例えば、
図7A~
図7Cに示されるような流体貯留槽(262))に流体連結され、以下でより詳細に記載されるように、チューブ(216)を介して流体貯留槽から超音波ブレード(260)に流体冷却剤を提供するように動作可能である。一例示的実施例では、チューブ(216)の近位端部が、大気がチューブ(216)内に引かれることを許容するが、それでも流体冷却剤がチューブ(216)の近位端部から漏れることを防止する一方向弁(218)によって閉鎖されることにより、チューブ(216)がそれ自体の流体貯留槽として機能し得る。本実施例の一方向弁(218)は、ダックビル弁として示されるが、一方向弁(218)は、本明細書の教示を考慮することにより当業者には明らかであるような任意の別の好適な構成を有してもよい。
【0040】
本実施例では、内側チューブ(234)は、内側チューブ(234)の遠位部分から延在する突起部(215)を含む。チューブ(216)が、内側チューブ(234)の突起部(215)に隣接して、シャフトアセンブリ(230)内部に配置されることにより、突起部(215)がチューブ(216)の外面を圧迫し、突起部(215)が内側チューブ(234)と共に並進する場合にチューブ(216)を変形させる。突起部(215)は、チューブ(216)を圧迫し、それによってチューブ(216)を変形させるが、突起部(215)は、突起部(215)がチューブ(216)を係合する時点において、チューブ(216)を完全に挟んで閉鎖するわけではない。その代わりに、突起部(215)は、突起部(215)がチューブを係合する領域に小さい間隙(217)を残すように構成されている。内側チューブ(234)が遠位に並進する場合、突起部(215)は、チューブ(216)に沿って遠位に摺動することにより、内側チューブ(234)の変形が遠位に並進する。この遠位並進は、流体冷却剤を内側チューブ(234)内で遠位に、そして一方向弁(218)を介して外へと付勢する。たとえ突起部(215)がチューブ(216)を係合する領域に小さい間隙(217)が依然としてあったとしても、流体冷却剤は、遠位に、そして一方向弁(218)を介して外へと移動してもよいことを理解されたい。その理由は、間隙(217)での制限が流体冷却剤の流動に与える抵抗よりも、一方向弁(218)がより小さい抵抗を与えるからである。しかし、内側チューブ(234)が近位に後退すると、流体冷却剤は、最終的に、間隙(217)を介して遠位に流れて、間隙(217)に対して遠位のチューブ(216)の領域を充填することにより、チューブ(216)を流体冷却剤の後続の分注のための状態に置く。
【0041】
代替的実施例では、シャフトアセンブリ(230)は、内側チューブ(234)の外側表面と外側チューブ(232)の内側表面との間に空洞(219)又は空隙を備える。この空洞(219)は、内側チューブ(234)及び外側チューブ(232)が互いに対して移動してクランプアーム(244)を作動させることを可能にするが、空洞(219)はまた、例えば、流体冷却剤(263)を近位端部の空洞(219)内へと挿入し、それを加圧することによって、流体冷却剤(263)を超音波ブレード(260)に向けて方向付けるために利用することができ、それによって、流体冷却剤(263)はシャフトアセンブリ(230)を介して遠位に移動して、超音波ブレード(260)又はその付近で出ることができる。本構成では、チューブ(216)は必要とされなくてもよい、あるいは、シャフトアセンブリ(230)の一部に沿って延在して、空洞(219)と流体接続してもよい。
【0042】
図6A~
図6Cは、ハンドルアセンブリ(220)の内部構成要素を示す。クランプアクチュエータ(228)は、クランプアクチュエータ(228)がピストル形把持部(224)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動するように操作可能であるように、本体(222)と枢動可能に連結される。クランプアクチュエータ(228)がリンク機構(229)を介してヨーク(290)と連結されることにより、クランプアクチュエータ(228)の回転は、ヨーク(229)の長手方向の並進を生じさせる。ヨーク(290)は、近位長手方向位置と遠位長手方向位置との間で、本体(222)内で長手方向に並進可能である。ヨーク(290)は、ヨーク(290)が長手方向の移動に拘束されるように、本体(222)内に形成されたレール(図示せず)によって支持される。クランプアクチュエータ(228)の近位部分がリンク機構(229)を介してヨーク(290)と連結されるので、ピストル形把持部(224)に向かうクランプアクチュエータ(228)の枢動が、本体(222)内でのヨーク(290)の近位長手方向の並進を生じさせることと、ピストル形把持部(224)から離れるクランプアクチュエータ(228)の枢動が、本体(222)内部でのヨーク(290)の遠位長手方向の並進を生じさせることと、を理解されたい。より具体的には、ピストル形把持部(224)から離れるクランプアクチュエータ(228)の枢動は、本体(222)内でのヨーク(290)の遠位長手方向の並進を生じさせ、それによって、内側チューブ(234)の遠位並進が生じ、それによって、クランプアーム(244)がブレード(260)から離れるような枢動が生じる。
【0043】
上記のように、シャフトアセンブリ(230)は、外側チューブ(232)と、内側チューブ(234)と、を含む(
図5を参照)。本実施例のシャフトアセンブリ(230)は、回転ノブ(231)を更に含む。回転ノブ(231)は、シャフトアセンブリ(230)とエンドエフェクタ(240)との全体を、シャフトアセンブリ(230)によって画定される長手方向軸線(261)の周囲で、ハンドルアセンブリ(220)に対して回転させるように動作可能である。ほんの一例として、回転ノブ(231)並びに関連する構成要素及び特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,206,705号、表題:「Features for Communication of Fluid through Shaft Assembly of Ultrasonic Surgical Instrument」(2019年2月19日発行)の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0044】
シャフトアセンブリ(230)の回転ノブ(231)は、外側チューブ(232)の周囲に回転可能に配置された回転可能ハウジング(236)を備える。一実施例では、回転ノブ(231)は、流体冷却剤(263)で充填され得る中空内部を画定し、それによって、流体冷却剤(263)のための流体貯留槽(262)として機能し得る。流体貯留槽(262)は、流体冷却剤で充填されて、流体冷却剤をその中に選択的に保持するように構成されている。回転ノブ(231)は、内側チューブ(234)と外側チューブ(232)との間の空間、並びに/又はチューブ(216)と類似のチューブなどの(
図5Aを参照)、流体貯留槽(262)と超音波ブレード(260)に向かう流体流路との間の、流体通路を画定する開口部(264)を介して、外側チューブ(232)と流体連結される。チューブ(216)(
図5を参照)が短縮される、あるいは省略されることにより、チューブ(216)(
図5を参照)は、シャフトアセンブリ(230)の全長に沿って延在する必要がない場合があることを理解されたい。
【0045】
流体冷却剤(263)を流体貯留槽(262)からシャフトアセンブリ(230)に沿って排出するために、回転ノブ(231)は、プランジャ(270)などのポンプを更に含む。プランジャ(270)は、操作者によって選択的に動作可能な流体アクチュエータ(274)に連結されたアーム(272)を含む。少なくとも一実施例では、
図6A~
図6Cに示されるように、流体アクチュエータ(274)は、ハンドルアセンブリ(220)上に位置する摺動可能なプッシュタブである。流体アクチュエータ(274)は、プランジャ(270)に動作可能に連結され、操作者がプッシュタブ(274)をシャフトアセンブリ(230)に向かって遠位に摺動させて、プランジャ(270)を回転ノブ(231)内で本体(222)から離れる方向に遠位に移動させ、それによって、流体冷却剤(263)を、開口部(264)を介して、かつシャフトアセンブリ(230)内で遠位に、回転ノブ(231)から排出することができる。一実施例では、開口部(264)は、一方向弁(図示せず)として動作可能な可撓性封止部材(図示せず)を含んで、プランジャ(270)が流体貯留槽(262)を介して遠位に移動する際に、流体貯留槽(262)内に十分な圧力が形成されると、流体冷却剤(263)が開口部(264)を通過することを可能にする。反対に、可撓性封止部材(図示せず)は、流体冷却剤(263)がシャフトアセンブリ(230)内へと排出されない場合に開口部(264)を封止し、流体冷却剤(263)がシャフトアセンブリ(230)から流体貯留槽(262)内へと逆流するのを阻止するように動作可能である。
【0046】
図6Aに示すように、流体貯留槽(262)に流体冷却剤(263)を充填するために、回転ノブ(231)は、操作者が流体冷却剤(263)を流体貯留槽(262)内へと挿入することを可能にするアクセスポート(266)を含む。流体冷却剤(263)を挿入する1つの方法は、シリンジ(268)の使用によるものである。一実施例では、流体貯留槽(262)は、アクセスポート(266)を介したアクセスを提供し、流体貯留槽(262)の内部への流体アクセスを提供する、その外部上の隔板(図示せず)を備えてもよい。流体冷却剤(263)で充填されたシリンジ(268)は隔板(図示せず)を貫通し、それによって、流体冷却剤(263)をシリンジ(268)から排出することによって流体冷却剤(263)を流体貯留槽(262)内へと挿入してもよい。あるいは、任意のその他の好適なアクセスポート及び/又は流体冷却剤挿入機構を利用して、流体貯留槽(262)に流体冷却剤(263)を充填してもよい。
【0047】
上記のように、プランジャ(270)は、開口部(264)を介して、かつエンドエフェクタ(240)に向かって流体冷却剤(263)を流体貯留槽(262)から押し出すように動作可能である(
図5Aを参照)。流体排出運動において、プランジャ(270)は、流体貯留槽(262)内で遠位に移動して圧力を印加し、それによって、流体冷却剤(263)を排出する。流体貯留槽(262)を再充填するためなどのプランジャ戻り動作では、空気などの交換媒体は、排出された流体冷却剤(263)を流体貯留槽(262)内で交換する。プランジャ(270)がエンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)から離れて近位に移動する際に、空気が流体貯留槽(262)内へと流れ込むことを可能にするために、アクセスポート(266)は、プランジャ(270)の移動によって減圧が生成される際に、空気が流体貯留槽(262)を通過して流体貯留槽(262)内へと通過することを可能にする孔として作用する。いくつかの代替的実施例では、アクセスポート(266)は、回転ノブ(231)の遠位端部(276)又はその付近に位置し得て、それによって、プランジャ(270)が近位方向に移動する際に、流体貯留槽(262)の遠位端部(276)から空気を再充填することが可能である。
【0048】
図6Bは、流体冷却剤(263)で充填された器具(200)の流体貯留槽(262)を示す。上記のように、回転ノブ(231)は、長手方向軸線(261)の周囲を回転することが可能であり、それによって、シャフトアセンブリ(230)とエンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)とを同時に回転させることができる。この回転能力は、流体貯留槽(262)が流体冷却剤(263)で充填される前、流体貯留槽(262)が流体冷却剤(263)で充填されている間、及び/又は流体貯留槽(262)から流体冷却剤(263)が排出されている間、動作可能なままである。回転ノブ(231)は、サイズを増大させ、それによって流体貯留槽(262)のサイズ及び流体容量を増大させることができることを理解されたい。
【0049】
図6Cは、プランジャ(270)が器具(200)の流体貯留槽(262)内で遠位に移動して、流体冷却剤(263)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって排出することを示す。具体的には、加圧流体冷却剤(263)は開口部(264)を介して駆動され、それによって、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)がクランプアーム(244)と共に組織をクランプするように動作される前、最中、又は後に、流体冷却剤(263)を超音波ブレード(260)に提供する。操作者は、プランジャ(270)を選択的に移動させ、それによって、流体アクチュエータ(274)を作動させることによって、任意の時点で流体冷却剤(263)を排出することができる。示される実施例では、操作者は、摺動可能なタブ(274)を遠位に移動させて、排出に影響を及ぼしてもよい。流体アクチュエータ(274)及びブレード冷却の動作は、クランプアクチュエータ(228)を介して、又は独立して、かつクランプアクチュエータ(228)の動作を必要とせずに、クランプアーム(244)の動作と同時に実行されてもよい。ブレードの冷却は、クランプアクチュエータ(228)の作動を必要とせずに任意の時点で達成されてもよいため、ブレード冷却に関して操作者にはより高い可撓性が提供される。例えば、操作者は、クランプアクチュエータ(228)を付勢した後に、特定の場合にブレード冷却を保留することを好む場合があり、操作者は、不規則な間隔でブレード冷却を好む場合があり、又は操作者は、任意の特定の処置の固有の状況に応じて、より少ない又はより多くの量でそのようにすることを好む場合がある。
【0050】
上記の例で記載したように、流体冷却剤(263)は、開口部(264)を介して流体貯留槽(262)から排出され、シャフトアセンブリ(230)の空洞(219)(
図5Aを参照)内で遠位に移動するように構成されている。本実施例では、操作者は、プランジャ(270)を予め配置された位置に遠位に移動させて、流体冷却剤(263)を空洞(219)内に排出し、したがって、使用中にクィッカブレード冷却のために器具(200)を準備することによって、ブレード冷却システム(241)に「呼び水」するように選択してもよい。したがって、空洞(219)(
図5Aを参照)は、シャフトアセンブリ(230)の遠位端部に、又はその近くに配置された一方向封止部を含んでもよく、これは、流体冷却剤(263)が空洞(219)(
図5Aを参照)から意図せずに漏れることを阻止するように動作可能であるが、一方で、器具(200)が使用中であり、かつ流体冷却剤(263)が空洞(219)(
図5Aを参照)から超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって出ることを選択的に可能にするように動作可能である。
【0051】
図7A~
図7Bは、空洞(219)内に配置されて、流体冷却剤(263)が超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって排出することを選択的に可能にする、例示的なワイパー封止部(221)などの一方向弁を示す。ワイパー封止部(221)の外側縁部(223)は、外側チューブ(232)の内側表面(225)に固定的に取り付けられるが、一方で、ワイパー封止部(221)の内側縁部(227)は、内側チューブ(234)の外側表面(229)と取り外し可能な流体封止部を形成し、それによって、流体圧力がプランジャ(270)(
図6Aを参照)によって適用される際に、冷却流体(263)がワイパー封止部(221)を選択的に遮断又は許容する。
図7Aは、空洞(219)内の流体冷却剤(263)を封止する第1の構成におけるワイパー封止部(221)を示す。
図7Bは、流体冷却剤(263)がワイパー封止部(221)を通過することを可能にする第2の構成におけるワイパー封止部(221)を示す。
図7Aの第1の構成では、ワイパー封止部(221)の内側縁部(227)は、シャフトアセンブリ(230)の空洞(219)内で近位に延在し、内側チューブ(234)と接触して、流体封止部を形成する。第2の構成では、ワイパー封止部(221)の内側縁部(227)は、流体圧力によって反転し、シャフトアセンブリ(230)の空洞(219)内で遠位に延在する。第2の構成では、ワイパー封止部(221)は、冷却のために流体冷却剤(263)が通過するための間隙(233)を形成するように誘導されてもよい。
【0052】
第1の実施例では、第1の構成から第2の構成へのワイパー封止部(221)の移行に影響を及ぼすように、流体貯留槽(262)内のプランジャ(270)の遠位方向への移動が空洞(219)内の流体冷却剤(263)を加圧して、流体封止部の強度を克服し、ワイパー封止部(221)を第2の構成へと押し込み、流体冷却剤(263)を解放する。第2の実施例では、クランプアーム(244)が閉鎖(クランプされた)位置にある間に空洞(219)内に誘導された圧力により、ワイパー封止部(221)は第1の構成(
図7Aに示す)に付勢されたままであり、クランプアクチュエータ(228)を解放してクランプアーム(244)をそのホーム位置に戻す際に、ワイパー封止部(221)は第2の構成(
図7Bに示す)に移行する。その後、操作者が流体アクチュエータ(274)を選択的に作動させると、流体封止部内に形成された間隙(233)を介して流体冷却剤(263)を放出する。本第2の実施例では、流体冷却剤(263)は、組織クランプ動作が実行されている間に、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって排出されることから阻止されるが、その一方で、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)がそのホーム(クランプ解除)位置へと解放されることを可能にする。
【0053】
B. 自動冷却送達を有する例示的な超音波外科用器具
図8は、下記の相違を除いて、上記の器具(100、200)と実質的に類似して動作するように構成されているブレード冷却システム(341)を有する第4の例示的な超音波外科用器具(300)を示す。したがって、器具(300)は、下記の.構成要素及び動作性を含むことに加えて、器具(100、200)と同じ構成要素及び動作性を含んでもよいことを理解されたい。本実施例の器具(300)は、本体(322)と、シャフトアセンブリ(330)と、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)と、を備える。上記の器具(100、200)と同様に、本体(322)は、超音波トランスデューサアセンブリ(図示せず)を受容するように構成されている。本体(322)はまた、ピストル形把持部(324)と一対のボタン(326)とを有するハンドルアセンブリ(320)も含む。ハンドルアセンブリ(320)は、ピストル形把持部(324)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動可能であるクランプアクチュエータ(328)を含む。器具(100、200)と類似して、器具(300)は、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を有し、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を枢動させる、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)を含む。クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、クランプアクチュエータ(328)に連結され、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(324)に向かうクランプアクチュエータ(328)の枢転に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって枢転可能であり、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(324)から離れるようなクランプアクチュエータ(328)の枢動に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)から離れるように枢動可能である。
【0054】
本実施例のシャフトアセンブリ(330)は、外側シース、又は外側管(332)、及び内側チューブ(234)(
図5Aを参照)を備える。本実施例の内側チューブ(234)(
図5Aを参照)は、内側チューブ(234)(
図5Aを参照)が外側チューブ(332)に対して外側チューブ(332)内で長手方向に並進して、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように、外側チューブ(332)内に摺動可能に配置される。加えて、本体(322)又はシャフトアセンブリ(330)のうちの少なくとも1つは、上記の回転ノブ(231)(
図6Aを参照)と類似の流体連通を提供するように構成された回転ノブ(331)を含むが、本実施例では、回転ノブ(331)は流体貯留槽(262)(
図6Aを参照)を備えていない。むしろ、本体(322)又はシャフトアセンブリ(330)のうちの少なくとも1つは、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を選択的に冷却するという要望を満たすことに関して、器具(200)と類似した問題に対処するブレード冷却システム(341)の種々の構成要素を含む。
【0055】
本実施例のブレード冷却システム(341)は、流体冷却剤(363)で充填され、回転ノブ(331)を介して送られるチューブ(342)によってシャフトアセンブリ(330)に選択的に送達されるシリンジ(340)などのポンプを含む。器具(200)と類似して、シャフトアセンブリ(330)は、外側チューブ(332)と内側チューブ(234)(
図7Aを参照)との間にあり、流体冷却剤(363)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に伝達するように動作可能な空洞(219)(
図7Aを参照)を含む。あるいは、チューブは、外側チューブ(332)と内側チューブ(234)(
図7Aを参照)との間のシャフトアセンブリ(330)を介して配置されて、冷却システム(341)から超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に流体冷却剤(363)を直接送達してもよい。ブレード冷却システム(341)は、電気配線(346)によって装置回路(図示せず)に電気的に接続されるリニアソレノイドアクチュエータなどのアクチュエータ(344)を更に含む。装置回路(図示せず)は、例えば、器具(10)(
図1を参照)の回路基板(34)(
図1を参照)と類似の構造及び/又は機能であってもよい。アクチュエータ(344)は、装置回路(図示せず)から命令を受信して、制御システムによって決定されるように、必要に応じて、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かってチューブ(342)を介した流体冷却剤(363)の放出を自動的に制御するように構成されている。代替ポンプなどの類似の装置及び機構が、流体冷却剤(363)を排出するためのシリンジ(340)の代わりに利用され得ることを理解されたい。
【0056】
器具(300)の例示的なブレード冷却システム(341)は、器具(300)の動作中にブレード冷却を選択的に作動させる必要がない。超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)が冷却を必要とする場合には操作者が認識できるにもかかわらず、特定の温度を超えて加熱された後に超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)が正確にはどれくらい加熱されたかを操作者が知ることは、場合によっては困難であり得る。これは、ブレードがクランプアーム(244)(
図5Aを参照)と接触する際に、ブレード温度が指数関数的に増加するので、特に困難な懸念であり得る。自動ブレード冷却送達を提供することによって、器具(300)は、操作者がブレード冷却システム(341)を制御している場合に生じ得る潜在的なブレード熱関連問題を抑制することができる。一実施例では、自動ブレード冷却は、操作者が、より遅い横切開等をもたらし得る超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)の不必要な過冷却を抑制し得る。代替的な実施例では、超音波ブレードを冷却することにより、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)上のパッドの溶け落ち又は周辺組織への損傷をもたらし得る。
【0057】
自動超音波ブレード冷却は、制御変数が流体冷却剤(363)の滴下速度であるブレード周波数の測定値に基づいて、又は流体送達を冷却する任意のその他の測定可能な方法に基づいて、動作可能である。したがって、
図8に示すように、シリンジ(340)は本体(322)内に保管され、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)の温度の感知された上昇に基づいて作動され得る。一実施例では、アクチュエータ(344)はまた、本体(322)内に配置されて、シリンジ(340)及び装置回路(図示せず)に連結され、流体冷却剤(363)の送達を抑制するために比例-積分-微分コントローラ(「PID」)によって選択的に制御されるが、一方で、クランプアクチュエータ(328)及びクランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、例えば、インピーダンス分光法を使用して接触する。別の実施例では、ブレード冷却システム(341)は、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)が開放(非作動)位置にある間に、流体冷却剤(363)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に送達することを可能にし、クランプアーム(
図5Aを参照)が閉鎖(作動)位置にある間に、流体冷却剤(363)の送達を不可能にする。更に別の実施例では、ブレード冷却システム(341)は、下記のように、特定のブレード温度条件に起因して、所望により、流体冷却剤(363)の超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)への排出を開始する。
【0058】
図9は、器具(300)(
図8を参照)の、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を冷却するための例示的な方法(348)及び/又は制御論理を表すフローチャートを示す。本実施例のこのような制御論理は、マイクロプロセッサ(図示せず)及びメモリ(図示せず)を有する制御モジュール(図示せず)上で実行される。工程(350)において、制御モジュール(図示せず)は、所与のブレード-トランスデューサ対の周波数-温度挙動を生じさせる例示的なルーチンを開始し、温度は、周波数の関数:温度=F(周波数)である。工程(352)において、制御モジュール(図示せず)は、超えると冷却が所望される温度閾値を決定する。工程(354)において、制御モジュール(図示せず)は、本明細書で「目標周波数」と称される、対応する周波数閾値を計算する。工程(356)において、制御モジュール(図示せず)は、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)の起動全体にわたって周波数を監視する。工程(358)において、制御モジュール(図示せず)は、目標周波数に到達したかどうかを決定する。目標周波数に到達していない場合、制御モジュール(図示せず)は工程(356)に戻る。目標周波数に到達した場合、制御モジュール(図示せず)は工程(360)に移動し、関数:U(t)=K*e(t)+K
I□
τe(τ)de+k
D(de(t)/dt)、式中、e=(周波数-目標周波数)における制御変数として、流体冷却剤(363)の滴下速度を使用して、周波数のPID制御を開始する。次に、工程(362)において、制御モジュール(図示せず)は、周波数が交差するとPID制御を終了し、したがって、工程(364)において動作が終了した場合に、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)が適切に冷却されたことを示して制御システムを終了してもよい、あるいは別の方法で連続的に工程(356)に戻り、本明細書に記載の方法を繰り返してもよい。
【0059】
図10は、
図9の例示的な制御論理法(348)の例示的実施例を示す。目標周波数(370)が決定されると、制御モジュール(図示せず)は、動作中に超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)の周波数を連続的に監視し、目標周波数に到達したかどうかを決定し、これは、周波数期間(372)を減少させることによって反映されるが、周波数が目標周波数(370)に近づくように継続的に減少される。目標周波数が交差すると、周波数(374)において、制御モジュール(図示せず)は、目標周波数が交差したと決定し、それによって、方法(348)の工程(360)に対応する周波数(376)における周波数のPID制御を開始する。周波数閾値が再び周波数(378)で交差されると、制御モジュール(図示せず)は、PID制御を終了し、超音波ブレード周波数(380)は、制御モジュール(図示せず)が再評価してPID制御を開始するまで、非制御を継続してもよい。
【0060】
C. 隔板ポンプを有する例示的な超音波外科用器具
図11A~
図11Cは、下記の相違を除いて、上記の器具(100、200、300)と実質的に類似して動作するように構成されているブレード冷却システム(441)を有する第5の例示的な超音波外科用器具(400)を示す。したがって、器具(400)は、下記の構成要素及び動作性を含むことに加えて、器具(100、200、300)と同じ構成要素及び動作性を含んでもよいことを理解されたい。本実施例の器具(400)は、本体(422)と、シャフトアセンブリ(430)と、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)と、を備える。上記の器具(100、200、300)と同様に、本体(422)は、超音波トランスデューサアセンブリ(図示せず)を受容するように構成されている。本体(422)はまた、ピストル形把持部(424)と一対のボタン(426)とを有するハンドルアセンブリ(420)も含む。ハンドルアセンブリ(420)は、ピストル形把持部(424)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動可能であるクランプアクチュエータ(428)を含む。器具(100、200、300)と類似して、器具(400)は、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を有し、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を枢動させる、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)を含む。クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、クランプアクチュエータ(428)に連結され、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(424)に向かうクランプアクチュエータ(428)の枢転に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって枢転可能であり、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(424)から離れるようなクランプアクチュエータ(428)の枢動に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)から離れるように枢動可能である。
【0061】
本実施例のシャフトアセンブリ(430)は、外側シース、又は外側管(432)、及び内側チューブ(234)(
図5Aを参照)を備える。本実施例の内側チューブ(234)(
図5Aを参照)は、内側チューブ(234)(
図5Aを参照)が外側チューブ(432)に対して外側チューブ(432)内で長手方向に並進して、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように、外側チューブ(432)内に摺動可能に配置される。加えて、本体(422)又はシャフトアセンブリ(430)のうちの少なくとも1つは、上記の回転ノブ(231)(
図6Aを参照)と類似の流体連通を提供するように構成された回転ノブ(431)を含むが、回転ノブ(431)は流体貯留槽(262)(
図6Aを参照)を備えていない。むしろ、本体(422)又はシャフトアセンブリ(430)のうちの少なくとも1つは、超音波ブレードを選択的に冷却するという要望を満たすことに関して、器具(200)と類似した問題に対処するブレード冷却システム(441)の複数の構成要素を含む。
【0062】
器具(400)のブレード冷却システム(441)は、流体冷却剤(463)を貯蔵するように構成された流体貯留槽(440)を含む。流体貯留槽(440)は本体(422)内に配置されて、アクセスポート(442)によって流体冷却剤(463)を挿入するためにアクセス可能である。あるいは、流体貯留槽(440)は、当業者には明らかであるような任意の好適な様式で、本体(422)と連結されてもよい、あるいはハンドルアセンブリ(420)内に配置されてもよい。流体冷却剤(463)を挿入する1つの方法は、シリンジ(268)(
図6Aを参照)などのシリンジの使用によるものである。一実施例では、流体貯留槽(440)は、アクセスポート(442)を介したアクセスを提供し、流体貯留槽(440)の内部への流体アクセスを提供する、その外部上の隔板(図示せず)を有する。流体冷却剤(463)で充填されたシリンジ(268)(
図6Aを参照)は隔板(図示せず)を貫通し、それによって、流体冷却剤(463)をシリンジ(268)(
図6Aを参照)から排出することによって流体冷却剤(463)を流体貯留槽(440)内へと挿入する。あるいは、任意のその他の好適なアクセスポート及び/又は流体冷却剤挿入機構を利用して、流体貯留槽(440)に流体冷却剤(463)を充填してもよい。
【0063】
器具(400)のブレード冷却システム(441)は、チューブ(446)を介して流体貯留槽(440)と流体接続する、流体ブラダー(444)などの可撓性の隔壁を有するポンプを更に含む。チューブ(446)は、流体冷却剤(463)が流体ブラダー(444)を充填することを可能にし、操作者によって作動されるまで流体ブラダー(444)内に留まることができる。流体冷却剤(463)が流体貯留槽(440)に戻るのを阻止するために、チューブ(446)は一方向流体弁(448)を含む。流体冷却剤(463)が流体ブラダー(444)内に移動すると、流体冷却剤(463)は、流体ブラダー(444)がクランプアクチュエータ(428)の突出アーム(449)によって圧縮されるまで流体ブラダー(444)内に留まり、それによって、流体冷却剤(463)を第2のチューブ(450)を介して超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって押し込む。より具体的には、流体冷却剤(463)は、回転ノブ(431)を介して送られ、シャフトアセンブリ(430)に流体接続するチューブ(450)によって、シャフトアセンブリ(430)に選択的に送達される。器具(200)と類似して、シャフトアセンブリ(430)は、外側チューブ(432)と内側チューブ(234)(
図7Aを参照)との間にあり、流体冷却剤(463)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に伝達するように動作可能な空洞(219)(
図7Aを参照)を含む。あるいは、チューブは、外側チューブ(432)と内側チューブ(234)(
図7Aを参照)との間のシャフトアセンブリ(430)を介して配置されて、冷却システム(441)から超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に流体冷却剤(463)を直接送達し得る。チューブ(446)の一方向流体弁(448)に類似して、チューブ(450)はまた、流体冷却剤(463)が流体ブラダー(444)に戻るのを阻止する一方向流体弁(452)も含む。
【0064】
器具(400)は、クランプアクチュエータ(428)を本体(422)から遠位に離れる方向に延在させることによって、器具(400)の動作中の任意の時点で、超音波ブレード冷却を開始する能力を操作者に提供し、それによって、ピン(454)が戻り止め(456)を克服して、クランプアクチュエータ(428)が本体(422)から離れる方向に延在することを可能にする。一実施例では、ピン(454)はクランプアクチュエータ(428)上に配置され、戻り止め(456)は本体(422)上に配置される。代替的実施例では、ピン(454)は本体(422)上に配置され、戻り止め(456)はクランプアクチュエータ(428)上に配置される。本戻り止めロック機構は、クランプアクチュエータ(428)の不必要な前方への延在に対する、したがって、不必要な超音波ブレード冷却に対する保護材を提供する。
【0065】
クランプアクチュエータ(428)を本体(422)から離れる方向に遠位に延在させることによって、突出アーム(449)は流体ブラダー(444)を圧縮し、それによって、流体冷却剤(463)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かってポンプ圧送する。器具(400)の使用を開始するために、操作者は、上記のように流体冷却剤(463)で流体貯留槽(440)を充填し、次に、クランプアクチュエータ(428)を本体(422)から離れる方向に遠位に延在させることによって、ブレード冷却システム(441)に「呼び水」し、流体冷却剤(463)が超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)の近くを出るまで、流体ブラダー(444)を圧縮してもよい。この時点で、チューブ(450)及びシャフトアセンブリ(430)が流体冷却剤(463)で充填される際に、器具(400)が操作するために準備される。操作中、操作者が超音波ブレード冷却を開始することを望む任意の時点で、操作者は、流体冷却剤(463)を排出するために、クランプアクチュエータ(428)を前方に延在させ得る。
【0066】
図11Aを参照すると、器具(400)のクランプアクチュエータ(428)は、静止/ホーム位置にある。本構成では、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)のクランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)に対して開放(非枢動)状態に留まり、流体ブラダー(444)は非圧縮状態に留まり、それによって、流体冷却剤(463)がチューブ(450)を介してシャフトアセンブリ(430)に向かって排出され、最終的には、冷却のために超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)に向かって排出されることを阻止する。
【0067】
図11Bは、作動(クランプされた)位置にあるクランプアクチュエータ(428)を有する器具(400)を示す。本構成では、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)のクランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)に向かって枢動され閉鎖されて組織をクランプし、流体ブラダー(444)は依然として非圧縮状態に留まり、それによって、流体冷却剤(463)がチューブ(450)を介してシャフトアセンブリ(430)に向かって排出され、最終的には、冷却のために超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)へと排出されることを阻止する。
【0068】
図11Cは、遠位に延在した位置にあるクランプアクチュエータ(428)を有する器具(400)を示す。本構成では、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)のクランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)に対して開放(非枢動)状態に留まり、ピン(454)は戻り止め(456)を克服してそれを超えて移動し、流体ブラダー(444)は圧縮状態にある。このような圧縮の間、流体ブラダー(444)は、冷却のために、流体冷却剤(463)をチューブ(450)を介してシャフトアセンブリ(430)に向けて、最終的には超音波ブレード(240)(
図5Aを参照)へと方向付ける。したがって、超音波ブレード冷却は、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)の動作に関係なく、任意の時点で達成されてもよい。
【0069】
D. バネ式押圧シリンジを有する例示的な超音波外科用器具
図12A、12B、及び13は、下記の相違を除いて、上記の器具(100、200、300、400)と実質的に類似して動作するように構成されているブレード冷却システム(541)を有する第6の例示的な超音波外科用器具(500)を示す。したがって、器具(500)は、下記の構成要素及び動作性を含むことに加えて、器具(100、200、300、400)と同じ構成要素及び動作性を含んでもよいことを理解されたい。本実施例の器具(500)は、本体(522)と、シャフトアセンブリ(530)と、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)と、を備える。上記の器具(100、200、300、400)と同様に、本体(522)は、超音波トランスデューサアセンブリ(図示せず)を受容するように構成されている。本体(522)はまた、ピストル形把持部(524)と一対のボタン(526)とを有するハンドルアセンブリ(520)も含む。ハンドルアセンブリ(520)は、ピストル形把持部(524)に向かって、かつそれから離れる方向に枢動可能であるクランプアクチュエータ(528)を含む。器具(100、200、300、400)と類似して、器具(500)は、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を有し、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を枢動させる、エンドエフェクタ(240)(
図5Aを参照)を含む。クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、クランプアクチュエータ(528)に連結され、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(524)に向かうクランプアクチュエータ(528)の枢転に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって枢転可能であり、それによって、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)は、ピストル形把持部(524)から離れるようなクランプアクチュエータ(528)の枢動に応答して、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)から離れるように枢動可能である。
【0070】
本実施例のシャフトアセンブリ(530)は、外側シース、又は外側管(532)、及び内側チューブ(234)(
図5Aを参照)を備える。本実施例の内側チューブ(234)(
図5Aを参照)は、内側チューブ(234)(
図5Aを参照)が外側チューブ(532)に対して外側チューブ(532)内で長手方向に並進して、クランプアーム(244)(
図5Aを参照)を超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に向かって、かつそれから離れる方向に選択的に枢動させるように、外側チューブ(532)内に摺動可能に配置される。加えて、本体(522)又はシャフトアセンブリ(530)のうちの少なくとも1つは、器具(200)と類似して、シャフトアセンブリ(530)をその長手方向軸線の周囲で回転させるように動作可能な回転ノブ(531)を含む。本体(522)又はシャフトアセンブリ(530)の一方又は両方は、超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)を選択的に冷却するという要望を満たすことに関して、器具(200)と類似した問題に対処するブレード冷却システム(541)の種々の構成要素を含む。
【0071】
器具(500)のブレード冷却システム(541)は、流体冷却剤(563)を収容するシリンジ(542)と、プランジャ(544)などのポンプと、ネジ付きプラグ(546)と、バネ式弁などの弁(548)と、送達ライン(550)と、バルブ(548)を作動させる戻り止め特徴部(554)を有するキャッチトリガ(552)と、を含む。一実施例では、弁(548)は、本体(522)内に配置され、本体(522)に連結されるねじりバネ(549)に連結することによってバネ式に装填される。ブレード冷却システム(541)は本体(522)内に設置され、それによって、シリンジ(542)が流体冷却剤(563)で予め充填され、シリンジ(542)が弁(548)及び送達ライン(550)と流体的に連結する位置へと挿入される。送達ライン(550)は、超音波ブレード冷却を可能にするために、シャフトアセンブリ(530)に送られる。例えば、送達ライン(550)は、回転ノブ(531)を通る経路指定によって、器具(200)と類似の超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)に送達するために、内側チューブ(234)(
図7Aを参照)と外側チューブ(532)との間で、流体冷却剤を空洞(219)(
図7Aを参照)内へと直接排出する。代替的実施例では、送達ライン(550)は、上記の器具(200)と類似して、内側チューブ(234)(
図7Aを参照)と外側チューブ(532)との間で空洞(219)(
図7Aを参照)を介して経路付けされ得る。
【0072】
シリンジ(542)は、流体冷却剤(563)、空気、又は流体冷却剤(563)と流体貯留槽(543)内の空気との組み合わせを含む。シリンジ(542)の流体貯留槽(543)は、弁(548)の各作動サイクル(回転)に関して、流体冷却剤(563)の液体変形物などの、約120滴(又は約6ミリリットル)の流体冷却剤(563)を、ブレード冷却のために、貯蔵し排出することができるように構成されている。一実施例では、各作動ごとに約4滴の流体冷却剤(563)などの約3滴~約5滴の流体冷却剤(563)が超音波ブレード(260)(
図5Aを参照)上に排出されるが、冷却のための任意の所望の量の冷却用流体冷却剤(563)が、本明細書で論じられるものなどの任意のこのような器具と共に使用されてもよいことが理解されるであろう。使用後、シリンジ(542)を滅菌し、流体冷却剤(563)で再充填し、器具(500)を利用して後の操作で再使用してもよい。
【0073】
力がシリンジ(542)に加えられ、それによって、弁(548)の回転の際に流体冷却剤(563)を送達ライン(550)へと排出する。本実施例では、シリンジ(548)のプランジャ(544)は、ネジ付きプラグ(546)がガイドチューブ(556)に螺入されて第1のベアリングプレート(558)を圧迫することによって、流体貯留槽(543)を加圧するための一定の力を受けるように構成されている。第1のベアリングプレート(558)は圧縮バネ(560)と接触するが、これにより、第2のベアリングプレート(562)に対する空気圧縮を維持し、第2のベアリングプレート(562)は、流体貯留槽(543)内の流体圧力を増加させるために、プランジャ(544)に一定の圧力を加える。ガイドチューブ(556)は、本体(522)に固定的に接地されて、ブレード冷却システム(541)のその他の構成要素の移動及び加圧を支持する。
【0074】
ネジ付きプラグは、キー(564)、例えば、アレンレンチキーを更に含むが、これにより、操作者が、流体貯留槽(543)内のプランジャ(560)上の圧縮バネ(560)によって加えられる力を増加又は減少させることを可能にする。より具体的には、ネジ付きプラグ(546)は、器具(500)の操作に先立って初期設定中にガイドチューブ(556)内へと螺入されるが、それによって、初期ばね(560)の圧縮がシリンジ(542)の流体貯留槽(543)内の流体圧力を上昇させて、弁(548)が作動すると流体冷却剤(563)を排出する。器具(500)の動作中、キャッチトリガ(552)及び戻り止め特徴部(554)は毎回、クランプアクチュエータ(528)が本体(522)に向かって枢動して弁(548)を回転させ、次に、流体冷却剤(563)が送達ライン(550)内へと排出されるように相互作用する。一実施例では、キャッチトリガ(552)は、クランプアクチュエータ(528)に連結され、戻り止め特徴部(554)は弁(548)に連結される。代替実施例では、キャッチトリガ(552)は弁(548)に連結されてもよく、戻り止め特徴部(554)はクランプアクチュエータ(548)に連結されてもよい。
【0075】
図12Aに示されるように、クランプアクチュエータ(528)が押し込まれ、それによって、トリガ(552)及び戻り止め特徴部(554)が接触せず、弁(542)が回転しないままである。
図12B~
図13に示されるように、クランプアクチュエータ(528)が押し込まれることから解放されてそのホーム位置に戻ると、キャッチトリガ(552)は瞬間的に戻り止め特徴部(554)に接触して弁(548)を回転させる。弁(548)のこの瞬間的な回転の間、弁(548)内に画定された流体チャネル(図示せず)は、加圧流体貯留槽(543)に流体接続され、流体冷却剤(563)は、キャッチトリガ(552)及び戻り止め特徴部(554)が解放されて、ねじりバネ(549)が弁(548)をその付勢され流体閉鎖された位置へと戻すまで、送達ライン(550)内へと排出される。
【0076】
図14は、クランプアクチュエータ位置(528)の作動の結果としての流体冷却剤(563)の排出の流れのグラフ表示を示す。上記し、
図12Aに示すように、クランプアクチュエータ(528)が作動/クランプされてクランプアーム(244)(
図5Aを参照)を方向付けて組織をクランプするプロセスにある間、第1の期間(570)中、流体冷却剤(563)は流れない(580)。第2の期間(572)中、クランプアクチュエータ(528)は完全に作動/クランプされる。クランプアクチュエータ(528)がその付勢された/クランプ解除された位置に解放される第3の期間(574)中、
図12Bによって示されるように、キャッチトリガ(552)は、戻り止め機構(554)と相互作用して弁(548)を回転させ、キャッチトリガ(552)及び戻り止め特徴部(554)が解放されるまで流体冷却剤(563)を瞬間的に排出(582)する。本ブレード冷却方法を、クランプアクチュエータ(528)が器具(500)の動作中に作動される度に繰り返す。
【0077】
IV. 例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出における任意の時点で提示され得るいずれの特許請求の適用範囲をも限定することを意図したものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、あくまでも例示的な目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、その他の多くの方式で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者らによって又は本発明者らの利益の承継者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。なんらかの特許請求が、本出願において、又は以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0078】
外科用器具であって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在し、超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含む、シャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、(ii)超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、(d)本体に対して移動可能に連結され、第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、クランプアクチュエータは、クランプアームに動作可能に連結され、それによって、クランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、クランプアームの移動を、開放位置から閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、(e) クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつクランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置に留まる間に、超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【実施例2】
【0079】
シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、エンドエフェクタに動作可能に接続されたノブを更に含み、ノブは、長手方向軸線の周囲で回転し、それによって、エンドエフェクタを長手方向軸線の周囲で回転させるように構成され、ブレード冷却システムは、ノブ内に流体貯留槽を含んで流体冷却剤をその内部に収容するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【実施例3】
【0080】
ブレード冷却システムが、ノブ上に配置されて、流体貯留槽内へと流体冷却剤を導入するために流体貯留槽と流体連通するアクセスポートを更に含む、実施例2に記載の外科用器具。
【実施例4】
【0081】
ブレード冷却システムが、流体貯留槽内に配置されて、流体貯留槽から流体冷却剤を排出するためにその内部へ選択的に移動するように構成されたプランジャを更に含む、実施例2~3のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例5】
【0082】
ブレード冷却システムが、プランジャに動作可能に連結されて、流体貯留槽から流体冷却剤を排出するためにプランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に含む、実施例2~4のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例6】
【0083】
流体アクチュエータが本体上に配置されている、実施例5に記載の外科用器具。
【実施例7】
【0084】
流体アクチュエータが、プランジャと動作可能に連結されている摺動可能なプッシュタブである、実施例5~6のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例8】
【0085】
シャフトアセンブリが、(i)内側チューブと、(ii)外側チューブと、(iii)内側チューブと外側チューブとの間の内部空間であって、内部空間は、流体貯留槽と流体連通し、超音波ブレードに向かって伝達するために流体貯留槽から排出された流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を含む、実施例2~7のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例9】
【0086】
ブレード冷却システムが、流体貯留槽をシャフトアセンブリの内部空間に流体接続する流体通路を更に含み、プランジャは、流体貯留槽内で流体冷却剤を圧縮し、それによって、流体通路を介して流体冷却剤を方向付けるように動作可能である、実施例8に記載の外科用器具。
【実施例10】
【0087】
ブレード冷却システムが、流体通路内に配置された一方向弁を更に含み、一方向弁は、流体冷却剤が流体貯留槽から内部空間に流れることを可能にするように構成され、一方向弁は、流体冷却剤が内部空間から流体貯留槽に向かって流れるのを阻止するように構成されている、実施例9に記載の外科用器具。
【実施例11】
【0088】
ブレード冷却システムが、内側チューブと外側チューブとの間の内部空間内に配置された一方向流体弁を更に含み、一方向流体弁は、流体冷却剤が内部空間を介してエンドエフェクタに向かって遠位に流れることを可能にするように構成され、一方向弁は、流体冷却剤が内部空間を介してエンドエフェクタから離れる方向に近位に流れるのを阻止するように構成されている、実施例8~11のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例12】
【0089】
ブレード冷却システムが、(i)本体によって支持され、流体冷却剤を収容するように構成された流体貯留槽と、(ii)本体内に配置された流体ブラダーであって、圧縮性流体ブラダーが、第1の流体通路を介して流体貯留槽から流体冷却剤を受容するように動作可能であり、流体ブラダーが、第2の流体通路を介して超音波ブレードに流体冷却剤を提供するように動作可能である、流体ブラダーと、を更に含む、実施例1に記載の外科用器具。
【実施例13】
【0090】
クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、クランプアクチュエータは、流体ブラダーから流体冷却剤を排出するために、クランプアクチュエータが第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、流体ブラダーを圧縮するように構成されている、実施例12に記載の外科用器具。
【実施例14】
【0091】
流体ブラダーが、第1のアクチュエータ位置と第2のアクチュエータ位置のそれぞれにおいて非圧縮に留まる、実施例12~13のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例15】
【0092】
第1の流体通路及び第2の流体通路のうちの少なくとも1つが一方向流体弁を含む、実施例12~14のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例16】
【0093】
外科用器具であって、(a)シャフトアセンブリであって、(i)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管と、(ii)シャフトアセンブリに動作可能に連結された回転ノブであって、シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、回転ノブが、シャフトアセンブリを長手方向軸線の周囲で回転させるように構成されている、回転ノブと、を含む、シャフトアセンブリと、(b)エンドエフェクタであって、(i)音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、(ii)超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、(c) 第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、クランプアクチュエータは、クランプアームに動作可能に連結され、それによって、クランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、クランプアームの移動を、開放位置から閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、(d)クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつクランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置にある間に、超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能なブレード冷却システムであって、(i)回転ノブ内の空洞によって画定された流体貯留槽と、(ii)流体貯留槽内に配置されたプランジャと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【実施例17】
【0094】
プランジャに動作可能に連結されて、流体貯留槽から流体冷却剤を排出するためにプランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に備える、実施例16に記載の外科用器具。
【実施例18】
【0095】
シャフトアセンブリが、(i)内側チューブと、(ii)外側チューブと、(iii)内側チューブと外側チューブとの間の内部空間であって、内部空間は、流体貯留槽と流体連通し、超音波ブレードに向かって伝達するために流体貯留槽から排出された流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を更に備え、実施例16~17のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例19】
【0096】
外科用器具であって、(a)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含むシャフトアセンブリと、(b)エンドエフェクタであって、(i)音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、(ii)超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、(c)第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、クランプアクチュエータは、クランプアームに動作可能に連結され、それによって、クランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、クランプアームの移動を、開放位置から閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、(d)クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつクランプアクチュエータが第1のアクチュエータ位置に留まる間に、超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能なブレード冷却システムであって、(i)流体冷却剤を貯蔵するように構成された流体貯留槽と、(ii)第1の流体通路を介して流体貯留槽から流体冷却剤を受容するように構成された圧縮性流体ブラダーであって、流体ブラダーは、第2の流体通路を介して超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、圧縮性流体ブラダーと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
【実施例20】
【0097】
クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、クランプアクチュエータは、流体ブラダーから流体冷却剤を排出するために、クランプアクチュエータが第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、流体ブラダーを圧縮するように構成されている、実施例19に記載の外科用器具。
【0098】
V. その他
いくつかの例示的な変形形態では、組織切断/封止中に超音波ブレード(24、160)を駆動するために使用されるのと同じ振動運動が、流体冷却剤をブレード(24、160)に沿って遠位に駆動させてもよい。更に別のあくまで例示的な例として、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,591,459号、表題:「Use of Biomarkers and Therapeutic Agents with Surgical Devices」(2013年11月26日発行)の教示のうちの少なくともいくつかに従って、流体が、ブレード(24、160)まで及び/又はそれに沿って伝達されてもよい。医療用流体の分注に関する米国特許第8,591,459号の教示は、流体冷却剤の伝達を提供することに容易に適用されてもよいことを理解されたい。本明細書の教示はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,206,705号、表題:「Features for Communication of Fluid through Shaft Assembly of Ultrasonic Surgical Instrument」(2019年2月19日発行)、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0143659号、表題:「Ultrasonic Surgical Instrument with Blade Cooling through Retraction」(2016年5月26日公開)、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,034,685号、表題:「Features to Apply Fluid to an Ultrasonic Blade of a Surgical Instrument」(2018年7月31日発行)の種々の教示と容易に組み合わされてもよいことも理解されたい。
【0099】
本明細書に記載される器具の変形形態のいずれも、上記のものに加えて、又はそれらの代わりに、種々のその他の特徴を含み得ることを理解されたい。ほんの一例として、本明細書に記載される器具のいずれも、本明細書に参照により組み込まれる種々の参考文献のいずれかにおいて開示される種々の特徴のうちの1つ以上もまた含んでもよい。本明細書の教示はまた、本明細書に引用されるその他の参考文献のいずれかに記載される器具のいずれにも容易に適用されてもよく、そのため、本明細書の教示は、本明細書に引用される参考文献のいずれかの教示と多くの方法で容易に組み合わされてもよいこともまた理解されたい。本明細書の教示が組み込まれてもよいその他の種類の器具が、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0100】
本明細書で言及する値の任意の範囲はこのような範囲の上下限を含むと読み取られるべきであることも理解されたい。例えば、「約1.0インチ~約1.5インチ」の範囲として表される範囲は、それらの上限と下限との間の値を含むことに加えて、約1.0インチ及び約1.5インチを含むように読み取られるべきである。
【0101】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、かつ必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0102】
上記の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途をも有することができる。ほんの一例として、本明細書の種々の教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれてもよい。同様に、本明細書の種々の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,783,524号、表題:「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」(2004年8月31日公開)の種々の教示と容易に組み合わされてもよいことを、当業者には理解されよう。
【0103】
上記の変形形態は、単回使用後に廃棄されるように設計されてよく、又はそれらは複数回使用されるように設計され得る。変形形態は、一方又はその両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてもよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含んでもよい。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定部分の洗浄及び/又は交換の際、装置のいくつかの変形形態は、再調整用の施設において、又は処置の直前に操作者によって、のいずれかで、その後の使用のために再組み立てされてもよい。装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための種々の技術を利用してもよいことが当業者には理解されよう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0104】
ほんの一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次に、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0105】
以上、本発明の種々の実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現してもよい。このような可能な修正のうちのいくつかについて述べたが、その他の修正が当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0106】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含む、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記本体に対して移動可能に連結され、第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(e)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置に留まる間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
(2) 前記シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、前記エンドエフェクタに動作可能に接続されたノブを更に含み、前記ノブは、前記長手方向軸線の周囲で回転し、それによって、前記エンドエフェクタを前記長手方向軸線の周囲で回転させるように構成され、前記ブレード冷却システムは、前記ノブ内に流体貯留槽を含んで前記流体冷却剤をその内部に収容するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記ブレード冷却システムが、前記ノブ上に配置されて、前記流体貯留槽内へと前記流体冷却剤を導入するために前記流体貯留槽と流体連通するアクセスポートを更に含む、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記ブレード冷却システムが、前記流体貯留槽内に配置されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するためにその内部へ選択的に移動するように構成されたプランジャを更に含む、実施態様2に記載の外科用器具。
(5) 前記ブレード冷却システムが、前記プランジャに動作可能に連結されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するために前記プランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に含む、実施態様4に記載の外科用器具。
【0107】
(6) 前記流体アクチュエータが前記本体上に配置されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記流体アクチュエータが、前記プランジャと動作可能に連結されている摺動可能なプッシュタブである、実施態様5に記載の外科用器具。
(8) 前記シャフトアセンブリが、
(i)内側チューブと、
(ii)外側チューブと、
(iii)前記内側チューブと前記外側チューブとの間の内部空間であって、前記内部空間は、前記流体貯留槽と流体連通し、前記超音波ブレードに向かって伝達するために前記流体貯留槽から排出された前記流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を更に含む、実施態様5に記載の外科用器具。
(9) 前記ブレード冷却システムが、前記流体貯留槽を前記シャフトアセンブリの前記内部空間に流体接続する流体通路を更に含み、前記プランジャは、前記流体貯留槽内で流体冷却剤を圧縮し、それによって、前記流体通路を介して前記流体冷却剤を方向付けるように動作可能である、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記ブレード冷却システムが、前記流体通路内に配置された一方向弁を更に含み、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記流体貯留槽から前記内部空間に流れることを可能にするように構成され、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間から前記流体貯留槽に向かって流れるのを阻止するように構成されている、実施態様9に記載の外科用器具。
【0108】
(11) 前記ブレード冷却システムが、前記内側チューブと前記外側チューブとの間の前記内部空間内に配置された一方向流体弁を更に含み、前記一方向流体弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間を介して前記エンドエフェクタに向かって遠位に流れることを可能にするように構成され、前記一方向弁は、前記流体冷却剤が前記内部空間を介してエンドエフェクタから離れる方向に近位に流れるのを阻止するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(12) 前記ブレード冷却システムが、
(i)前記本体によって支持され、前記流体冷却剤を収容するように構成された流体貯留槽と、
(ii)前記本体内に配置された流体ブラダーであって、
前記圧縮性流体ブラダーが、第1の流体通路を介して前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を受容するように動作可能であり、
前記流体ブラダーが、第2の流体通路を介して前記超音波ブレードに流体冷却剤を提供するように動作可能である、流体ブラダーと、を更に含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(13) 前記クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、前記クランプアクチュエータは、前記流体ブラダーから前記流体冷却剤を排出するために、前記クランプアクチュエータが前記第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、前記流体ブラダーを圧縮するように構成されている、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記流体ブラダーが、前記第1のアクチュエータ位置と前記第2のアクチュエータ位置のそれぞれにおいて非圧縮に留まる、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記第1の流体通路及び前記第2の流体通路のうちの少なくとも1つが一方向流体弁を含む、実施態様12に記載の外科用器具。
【0109】
(16) 外科用器具であって、
(a)シャフトアセンブリであって、
(i)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管と、
(ii)前記シャフトアセンブリに動作可能に連結された回転ノブであって、前記シャフトアセンブリが長手方向軸線を画定し、前記回転ノブが、前記シャフトアセンブリを前記長手方向軸線の周囲で回転させるように構成されている、回転ノブと、を含む、シャフトアセンブリと、
(b)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(c)第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(d)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置にある間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能であるブレード冷却システムであって、
(i)前記回転ノブ内の空洞によって画定される流体貯留槽と、
(ii)前記流体貯留槽内に配置されたプランジャと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
(17) 前記プランジャに動作可能に連結されて、前記流体貯留槽から前記流体冷却剤を排出するために前記プランジャを移動させるように構成された流体アクチュエータを更に備える、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 前記シャフトアセンブリが、
(i)内側チューブと、
(ii)外側チューブと、
(iii)前記内側チューブと前記外側チューブとの間の内部空間であって、前記内部空間は、前記流体貯留槽と流体連通し、前記超音波ブレードに向かって伝達するために前記流体貯留槽から排出された前記流体冷却剤を受容するように構成されている、内部空間と、を更に備える、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 外科用器具であって、
(a)超音波トランスデューサと連結するように構成された音響導波管を含むシャフトアセンブリと、
(b)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響通信する超音波ブレードと、
(ii)前記超音波ブレードに対して移動可能に連結され、組織を前記超音波ブレードに対して圧縮するために、開放位置から閉鎖位置に向かって移動するように構成されたクランプアームと、を含む、エンドエフェクタと、
(c)第1のアクチュエータ位置から第2のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように構成されたクランプアクチュエータであって、前記クランプアクチュエータは、前記クランプアームに動作可能に連結され、それによって、前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置から前記第2のアクチュエータ位置に向かってそれぞれ移動する際に、前記クランプアームの移動を、前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって方向付ける、クランプアクチュエータと、
(d)前記クランプアクチュエータに動作可能に連結され、かつ前記クランプアクチュエータが前記第1のアクチュエータ位置に留まる間に、前記超音波ブレード上に流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能であるブレード冷却システムであって、
(i)流体冷却剤を貯蔵するように構成された流体貯留槽と、
(ii)第1の流体通路を介して前記流体貯留槽から流体冷却剤を受容するように構成された圧縮性流体ブラダーであって、前記流体ブラダーは、第2の流体通路を介して前記超音波ブレード上に前記流体冷却剤を排出するように選択的に動作可能である、圧縮性流体ブラダーと、を備える、ブレード冷却システムと、を備える、外科用器具。
(20) 前記クランプアクチュエータが、第3のアクチュエータ位置に向かって選択的に移動するように更に構成され、前記クランプアクチュエータは、前記流体ブラダーから前記流体冷却剤を排出するために、前記クランプアクチュエータが前記第3のアクチュエータ位置に向かって移動する際に、前記流体ブラダーを圧縮するように構成されている、実施態様19に記載の外科用器具。
【国際調査報告】