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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(54)【発明の名称】患者による投与計画の遵守の監視
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220628BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565043
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 GB2020051025
(87)【国際公開番号】W WO2020221992
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/841,966
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521478430
【氏名又は名称】クローズド ループ メディスン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOSED LOOP MEDICINE LTD
【住所又は居所原語表記】Babraham Research Campus,Babraham,Cambridge,CB22 3AT,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスミス ポール
(72)【発明者】
【氏名】サーテイン フェリシティ ケイト
(72)【発明者】
【氏名】コックス デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤディ ハキム アダム
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
本発明は、患者による投与計画の遵守を監視するためのコンピュータ実装方法であって、データ処理デバイスによって、患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、データ処理デバイスによって、メッセージを受信することであって、メッセージが、患者に投与された薬剤が中に格納されたパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、患者に投与された薬剤の量および患者への薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、を含む方法を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者による投与計画の遵守を監視するためのコンピュータ実装方法であって、方法は、
データ処理デバイスによって、前記患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、
前記データ処理デバイスによって、メッセージを受信することであって、前記メッセージが、
前記患者に投与された薬剤が中に格納されているパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、
少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、前記患者に投与された前記薬剤の量および前記患者への前記薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、を含み、
前記方法は、
前記データ処理デバイスによって、前記パッケージ一意識別子を使用して、前記患者に投与された前記薬剤を識別することと、
データベースに、前記薬剤の同一性と、前記患者記録に対する前記少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、前記患者記録を前記患者に関連付けられた前記投与計画を含む、格納することと、をさらに含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記データ処理デバイスによって、前記少なくとも1つの値のペアを前記投与計画と比較することと、
前記データ処理デバイスによって、および前記比較することに基づいて、前記患者が前記投与計画を遵守した程度を示す遵守スコアを計算することと、
前記データ処理デバイスによって、前記患者記録に対する前記遵守スコアを前記データベースに格納することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記データ処理デバイスによって、少なくとも1つの前記薬剤の前記同一性および少なくとも1つの値のペアに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供すること、をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記データ処理デバイスによって、前記薬剤の前記同一性、前記少なくとも1つの値のペア、および前記遵守スコアのうちの任意の組み合わせに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供すること、をさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記データ処理デバイスによって、前記患者によって感じられた環境を特徴付ける1つ以上の環境パラメータを受信することと、
前記データベースに、前記患者記録に対する前記1つ以上の環境パラメータを格納することと、
前記データ処理デバイスによって、前記1つ以上の環境パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供することと、をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記データ処理デバイスによって、前記患者の行動を示す行動データを受信することと、
前記患者記録に対する前記データベースに前記行動データを格納することと、
前記データ処理デバイスによって、少なくとも前記行動データに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供することと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記データ処理デバイスによって、前記患者に関連する生理学的データを受信することと、
前記患者記録に対する前記データベースに前記生理学的データを格納することと、
前記データ処理デバイスによって、少なくとも前記生理学的データに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供することと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記データ処理デバイスによって、前記パッケージの物理的状態に関連するパッケージデータを受信することと、
前記患者記録に対する前記データベースに前記パッケージデータを格納することと、
前記データ処理デバイスによって、少なくとも前記パッケージデータに基づいて、前記投与計画に推奨される修正を提供することと、をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記データ処理デバイスで、前記患者一意識別子および修正された投与計画を受信することと、
前記データ処理デバイスによって、前記患者記録に対する修正された投与計画を格納することと、をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記データ処理デバイスによって、前記推奨される修正に基づいて、修正された投与計画を生成することと、
前記データ処理デバイスによって、前記患者に関連付けられた前記記録に対する前記修正された投与計画を格納することと、をさらに含む、請求項3~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記データ処理デバイスによって、メッセージを第2のデータ処理デバイスに送信することであって、前記メッセージが前記修正された投与計画を含む、送信すること、をさらに含む、請求項9または請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記第2のデータ処理デバイスが、患者データ処理デバイスまたは医療提供者データ処理デバイスである、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記患者が、改善された投与計画を必要としている、請求項3~12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記改善された投与計画が、前記薬剤の量の減少である、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
第2のデータ処理デバイスが、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、音声起動コンピューティングシステム、ラップトップ、ゲームシステム、車両コンピューティングシステム、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ、スマートテレビ、モノのインターネットデバイス、薬剤調剤デバイス、および薬剤ポンプを含むデバイス、のうちのいずれか1つである、請求項11~14のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記パッケージが、カートン、ブリスターパック、ドセットボックス、ボトル、チューブ、注射器、充填済み注射器、カートリッジ、バイアルまたはキャニスターである、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記パッケージが、
前記薬剤が中に格納されている少なくとも1つのブリスターと、
前記ブリスターを横切る少なくとも1本の電線と、
前記ブリスターパックに埋め込まれ、前記少なくとも1本の電線に連結された埋め込みデータ処理デバイスと、
前記埋め込みデータ処理デバイスに連結された少なくとも1つのメモリモジュールと、
前記埋め込みデータ処理デバイスに連結された伝送機またはトランシーバと、
前記パッケージ一意識別子を符号化するためのメカニズムと、を含むブリスターパックであり、
前記方法は、
前記埋め込まれたデータ処理デバイスによって、前記少なくとも1本の電線の断線を検出することと、
前記少なくとも1つのメモリモジュールにおける前記埋め込まれたデータ処理デバイスによって、少なくとも前記少なくとも1本の電線が断線した時間および断線した前記少なくとも1本の電線によって通過された前記ブリスターに関連付けられたブリスター識別子を格納することと、をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記パッケージが、第1の量での前記薬剤を含む少なくとも1つのブリスターと、第2の量での前記薬剤を含む少なくとも1つのブリスターとを備える、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記パッケージが、前記薬剤を含む少なくとも1つのブリスターと、第2の異なる薬剤を含む少なくとも1つのブリスターとを備える、請求項17または請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのメモリモジュールにおける前記埋め込まれたデータ処理デバイスによって、以下のパラメータ、前記少なくとも1本の電線が断線した前記時間の前記ブリスターパックの物理的位置と、前記少なくとも1本の電線が断線した前記時間の前記ブリスターパックのローカル環境を特徴付ける少なくとも1つのパラメータとの任意の組み合わせを記録すること、をさらに含む、請求項17~19のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの値のペアが、前記少なくとも1つのメモリモジュールに格納されたデータに基づいている、請求項17~20のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記パッケージ一意識別子を符号化するためのメカニズムが、前記ブリスターパックに印刷された視覚的インジケーター、NFC可能な集積回路、およびブルートゥース可能な集積回路、のうちのいずれか1つ以上である、請求項17~21のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記伝送機またはトランシーバが、
ブルートゥース伝送機またはトランシーバ、
NFC伝送機またはトランシーバ、および
セルラーネットワークにわたって通信に適切な無線伝送機またはトランシーバ、のうちの1つである、請求項17~22のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記ブリスターパックが、少なくとも第1のブリスターと、第2のブリスターとを備え、前記第1のブリスターが、第1の量での前記薬剤を含む第1の錠剤を含み、前記第2のブリスターが、第2の異なる量での前記薬剤を含む第2の錠剤を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記ブリスターパックが、少なくとも第1のブリスターと、第2のブリスターとを備え、前記第1のブリスターが、前記薬剤を含む第1の錠剤を含み、前記第2のブリスターが、第2の異なる薬剤を含む第2の錠剤を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記ブリスターパックが、少なくとも第1のブリスターと、第2のブリスターと、第3のブリスターとを備え、前記第1のブリスターが、第1の量での前記薬剤を含む第1の錠剤を含み、前記第2のブリスターが、第2の異なる量での前記薬剤を含む第2の錠剤を含み、前記第3のブリスターが、第2の異なる薬剤を含む第3の錠剤を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記患者に調剤されているパッケージに対応する第2のパッケージ一意識別子を含むように更新されている前記患者記録のための要求を受信することと、
前記データ処理デバイスによって、前記患者記録に対する前記第2のパッケージ一意識別子を格納することと、をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記データ処理デバイスによって、薬剤を調剤する要求であって、前記患者一意識別子を含む前記要求を受信することと、
前記データ処理デバイスによって、前記患者一意識別子に対応する前記患者記録に格納されている前記投与計画に基づいて選択されたパッケージを調剤する命令であって、前記選択されたパッケージに対応する第2のパッケージ一意識別子を含む命令を伝送することと、
前記患者記録に対する前記第2のパッケージ一意識別子を格納することと、をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
前記患者が、臨床試験に登録され、前記患者一意識別子が、前記臨床試験への登録中に前記患者に割り当てられた、請求項1~28のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
データ処理デバイスによって実行されたときに、前記データ処理デバイスに以下の動作を実行させる、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、
患者一意識別子であって、前記患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にするものを受信することと、
メッセージを受信することであって、前記メッセージが、
前記患者に投与された薬剤が中に格納されているパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、
少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、前記患者に投与された前記薬剤の量および前記患者への前記薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、
前記パッケージ一意識別子を使用して、前記患者に投与された前記薬剤を識別することと、
データベースに、前記薬剤の同一性と、前記患者記録に対する前記少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、前記患者記録を前記患者に関連付けられた前記投与計画を含む、格納することと、を実行させる、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
データ処理デバイスによって実行されたときに、前記データ処理デバイスに請求項1~29のいずれか一項に記載の方法を実行させる、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
以下の動作を実行するように構成されているデータ処理デバイスであって、
前記患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、
メッセージを受信することであって、前記メッセージが、
前記患者に投与された薬剤が中に格納されているパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、
少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、前記患者に投与された前記薬剤の量および前記患者への前記薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、を含み、
前記パッケージ一意識別子を使用して、前記患者に投与された前記薬剤を識別することと、
データベースに、前記薬剤の同一性と、前記患者記録に対する前記少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、前記患者記録を前記患者に関連付けられた前記投与計画を含む、格納することと、を実行するように構成されているデータ処理デバイス。
【請求項33】
請求項1~29のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実行するように構成されているデータ処理デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在の医療行為は、患者が従うべき投与計画が設定された処方を生成することを含む。投与計画では、通常、薬剤、服用量ごとに投与される薬剤の量、および薬剤が投与されるべき頻度を指定する。多くの場合、患者は、薬剤を自己投与し、その場合には、開業医が、処方に対する患者の遵守を評価する上で、患者が彼らの行動を正しく報告することに依拠しなければならない。
【0002】
実際には、患者は、しばしば処方に正しく従わない。患者には、いくつかの可能性を挙げられるが、特定の機会に薬剤を使用する(administer)ことを忘れる、間違った量の薬剤を使用する、または処方と一致しない頻度で薬剤を使用する可能性がある。遵守が達成されている度合いに関する彼らの認識は、実際に達成されている遵守のレベルを現に反映していないかもしれないことから、患者はまた、治療計画への彼らの遵守を不正確に報告することが起こり得る。
【0003】
典型的な治療スケジュールは、数週間または数ヶ月続く可能性があり、すなわち、患者は、求められた場合に、処方から逸脱した特定の事例を思い出すことができない可能性がある。したがって、現在、開業医は、患者が進行状況を確認するために開業医を再訪するときに、患者が処方に従って薬剤を使用した(has administered)と想定しなければならない。これは、開業医によって出される将来の処方が、実際の薬剤の使用ではなく、想定される薬剤の使用に基づいていることを意味する。これは、2回目以降の治療コースで最適ではない処方につながる可能性があるため、望ましくない。
【0004】
例えば、処方に誤って従ってしまい薬剤の使用量が少なかった患者は、期待されるよりも薬剤に対する反応が低いことを示し得ることから、彼らが処方に正しく従っていた場合にその患者が必要とするよりも高い薬剤の投与量を指定する新しい処方につながってしまう。
【0005】
必要とされるのは、患者が処方を遵守した度合いを決定するための技術であり、その活動は、本明細書では「遵守の評価」または同様のものと呼ばれ得る。技術は、それが煩わしくなるのを避けるために、患者にとって有利に単純かつ容易に使用できるであろう。技術はまた、好ましくは客観的であり、患者の遵守の主観的評価に依存しないであろう。技術はまた、好ましくは、投与計画に関する新しい洞察を得るために、および/または適合された患者固有の投与計画を提供するために、患者個体群に関連して収集されたデータにデータ分析技術を適用することを可能にする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、投与計画に対する患者の遵守を監視するための手段を提供する。患者に関連付けられた一意識別子を含む患者記録は、提供され、記録は、患者の登録またはオンボーディング(onboarding)プロセスの一部として患者記録データベースに作成される。患者記録はまた、患者に関連付けられた投与計画を含む。
【0007】
投与計画に従った治療コースの開始時に、投与計画による投与のための1つ以上の薬剤を含むパッケージは、患者に調剤される。患者が1つ以上の薬剤を使用する(administers)たびに、患者データ処理デバイスは、1つ以上の薬剤の使用(administration)を「投与事象」として記録する。患者データ処理デバイスは、クラウドベースのサーバーなどの別のデータ処理デバイスにメッセージを伝送し、メッセージは、患者に投与された薬剤の量および患者への薬剤の量の投与の時間などを含む、投与事象についての詳細を含む。この情報は、患者記録に対してデータ処理デバイスによって格納され、それによって、患者の遵守の客観的な記録を生成する。この記録は、できれば適切なアクセス資格情報を提供することで、医療専門家によってアクセスされることができる。記録された遵守は、データ処理デバイスが投与計画の修正のための推奨事項を生成するために使用されることができる。いくつかのシナリオでは、データ処理デバイスは、推奨される修正に基づいて患者記録に格納された投与計画を更新することができ、その結果、患者は、修正された投与計画に従ってその後投薬される。
【0008】
第1の態様では、本発明は、患者による投与計画の遵守を監視するためのコンピュータ実装方法であって、方法が、データ処理デバイスによって、患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、データ処理デバイスによって、メッセージを受信することであって、メッセージが、患者に投与された薬剤が中に格納されたパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、患者に投与された薬剤の量および患者への薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、を含み、方法が、データ処理デバイスによって、パッケージ一意識別子を使用して、患者に投与された薬剤を識別することと、データベースに、薬剤の同一性と、患者記録に対する少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、患者記録を患者に関連付けられた投与計画を含む、格納することと、をさらに含む方法を提供する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、データ処理デバイスによって実行されたときに、データ処理デバイスに以下の動作を実行させる、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、メッセージを受信することであって、メッセージが、患者に投与された薬剤が中に格納されているパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、患者に投与された薬剤の量および患者への薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、パッケージ一意識別子を使用して、患者に投与された薬剤を識別することと、データベースに、薬剤の同一性と、患者記録に対する少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、患者記録を患者に関連付けられた投与計画を含む、格納することと、を実行させる、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、以下の動作を実行するように構成されているデータ処理デバイスであって、患者が一意に識別され、患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信することと、メッセージを受信することであって、メッセージが、患者に投与された薬剤が中に格納されているパッケージを一意に識別されることを可能にするパッケージ一意識別子と、少なくとも1つの値のペアであって、値の各ペアが、投与事象に対応し、患者に投与された薬剤の量および患者への薬剤の量の投与の時間を示す、少なくとも1つの値のペアと、を含む、受信することと、を含み、パッケージ一意識別子を使用して、患者に投与された薬剤を識別することと、データベースに、薬剤の同一性と、患者記録に対する少なくとも1つの値のペアとを格納することであって、患者記録を患者に関連付けられた投与計画を含む、格納することと、を実行するように構成されているデータ処理デバイスを提供する。
【0011】
本発明の任意の特徴は、添付の従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明の重要な部分は、パッケージを一意に識別する関連付けられたパッケージ一意識別子を有するパッケージである。パッケージに関連付けられた一意識別子は、所与のパッケージを他のすべてのパッケージから区別されることを可能にする。パッケージ一意識別子は、バッチ識別子とは異なることを理解することが重要であり、後者は、パッケージのグループを識別する、例えば、ともに製造および/または出荷され得るが、パッケージ一意識別子は、特定のパッケージを一意に識別する。したがって、パッケージは、パッケージ一意識別子および(異なる)バッチ一意識別子の両方を有し得る。
【0013】
パッケージ一意識別子はまた、パッケージに埋め込まれた、もしくはパッケージに貼り付けられたNFCチップ、および/またはパッケージに印刷されたQRコードもしくはバーコードなどのような、視覚的識別子の組み合わせを含むがこれらに限定されない多くの形式を取ることができる。パッケージ一意識別子は、好ましくは、患者データ処理デバイスなどの適切に装備されたデータ処理デバイスによって読み取り可能であり、かつ、人間が読み取り可能であり得る。
【0014】
本明細書で論じられるパッケージは、カートン、ブリスターパック、ドセット(dosette)ボックス、ボトル、チューブ、注射器、充填済み注射器、カートリッジ、バイアルまたはキャニスターを含む多くの形式をとることができる。
【0015】
本発明はまた、患者データ処理デバイスを提供する。ユーザは、患者への薬剤の投与の各例示をキャプチャするために、携帯電話、ラップトップ、タブレット、または他のそのようなデバイスなどの患者データ処理デバイスを使用する。ユーザは、患者、または薬剤の使用(administration)を支援する人などである可能性がある。薬剤は、上記で論じたパッケージ一意識別子を使用して識別される。この情報は、以下で論じられるように、患者記録にアクセスするデータ処理デバイスに伝送され、そこで患者記録に対して格納される。
【0016】
パッケージ一意識別子は、例えば、それ自体が当技術分野で知られているタイプのユーザインターフェースを有するデータ処理デバイスにインストールされた適切に構成されたソフトウェアアプリケーションを介して、またはウェブブラウザアプリケーションによって描写されたウェブフォームを介して、患者データ処理デバイスに手動で入力されることができる。代替的に、患者データ処理デバイスは、パッケージ一意識別子を自動的に受信するように構成されることができ、例えば、患者データ処理デバイスのNFCリーダーを使用してパッケージに埋め込まれたNFCチップを読み取るか、患者データ処理デバイスのカメラを使用してQRコードまたはバーコードをスキャンする。パッケージ一意識別子を受信するための他のメカニズムは、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。ここでは、図6およびそれに付随する記載も参照する。
【0017】
各患者には、患者一意識別子が提供される。これは、特定の患者を一意に識別することを可能にする任意の識別子である。一意識別子は、人間が読める形式と機械が読める形式にすることも、機械が読める形式のみにすることもできる。一意識別子は、オンボーディングまたは登録プロセスの一部として患者に割り当てられることができ、このプロセスでは、名前、住所などの患者の詳細を収集し、患者のために一意識別子を生成する。一意識別子は、政府機関などの外部機関によって患者に割り当てられ得る。英国の医療システムのコンテキストでの外部機関の例は、国民保健サービス(National Health Service)、NHSであり、患者一意識別子は、NHS番号である。適切な患者一意識別子は、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。一意識別子は、臨床試験への登録プロセスの一部として患者に割り当てられ得る。
【0018】
各患者はまた、関連される患者記録を有する。患者記録は、患者についての情報を含む電子記録であり、その情報は、少なくとも一意識別子を含む。患者に関連する任意の情報はまた、患者名、患者の住所、患者の年齢、患者の病歴、開業医および/または患者のためのケアを提供するための医療機関の名前および/または住所などの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、患者記録に格納されることができる。
【0019】
患者記録は、クラウドベースのサーバーなどのデータ処理デバイスからアクセス可能な患者記録データベースに格納されることができる。患者一意識別子は、患者記録および/またはそこに含まれる任意の情報を回収するために、患者記録データベースの照会で使用されることができる。
【0020】
データ処理デバイスは、1つ以上の通信チャネルを介して患者データ処理デバイスに通信可能に連結されている。通信チャネルは、インターネットなどの公衆ネットワークにわたるデータ伝送、セルラーネットワークにわたる伝送、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、計算デバイス間の通信を可能にするための任意の適切なメカニズムの形態をとることができる。他の適切な通信チャネルは、本開示の利益を有する当業者によって容易に識別されるであろう。
【0021】
患者データ処理デバイスは、1つ以上の通信チャネルにわたって、上で論じられたタイプの患者一意識別子をデータ処理デバイスに伝送するように構成されている。患者データ処理デバイスは、前述の登録またはオンボーディングプロセス中に患者から患者一意識別子を取得し得、ここで、患者は、患者アカウントを作成するために本発明を実装するプラットフォームに登録することが要求され得、続いて、パスワードおよび/または生体識別子などの認証資格情報を使用する患者アカウントにログインする。
【0022】
認証が成功すると、患者一意識別子は、例えば、遠隔地から回収して患者データ処理デバイスのローカルメモリストアにキャッシュすることによって、または患者によって患者データ処理デバイス、例えば、「患者識別子」、「ユーザ名」などのラベルが付いたフィールドに直接入力されたデータを格納することによって、患者データ処理デバイスで利用可能にされ得る。サービスに人を登録し、続いてサービスにログインする際にその人を識別するためのそのような技術の多くの変形は、それ自体が当技術分野で知られており、したがって、ここでは詳細に記載されない。そのような変形は、本発明の実装では使用されることができる。
【0023】
患者データ処理デバイスはまた、投与事象の検出時にデータ処理デバイスにメッセージを伝送するように構成されている。本明細書で使用される場合、投与事象は、患者への薬剤の投与を指す。
【0024】
いくつかの治療計画は、患者が複数の異なる薬剤を使用する(administer)ことを要求することが理解されよう。そのような場合、各薬剤の使用(administration)は、投与された各薬剤に関して1つのメッセージが生成されるように、別個の投与事象として扱われることができる。代替的に、複数の薬剤の使用(administration)は、単一の投与事象として扱われることができる。各薬剤が別個の形態では、例えば、第1の薬剤を含むカプセルおよび第2の薬剤を含む別個のカプセルで投与される状況では、各薬剤の使用(administration)を別個の投与事象として扱うことが好ましい場合がある。これは、個々の薬剤の遵守が監視されることを可能にする。2つ以上の薬剤を含む溶液など、複数の薬剤が混合形態で投与される状況では、複数の薬剤の使用(administration)を単一の投与事象として扱うことが好ましい場合がある。これは、このシナリオでは、患者にとって構成薬剤の1つだけを個別に使用する(administer)ことが不可能であるため、各薬剤の使用(administration)を個別に追跡しようとする価値がほとんどないことによる。
【0025】
薬剤を含む2つ以上の個別のアイテムの使用(administration)、例えば、同じ薬剤を含む2つ以上のカプセルの服用は、患者がこの事象中に単一の薬剤しか使用しなかった(administered)という事実のために、単一の投与事象として扱うことができる。
【0026】
患者データ処理デバイスは、上で論じられた方法でパッケージ一意識別子を受信し、1つ以上の通信チャネルにわたってパッケージ一意識別子をデータ処理デバイスに伝送するように構成されている。パッケージ一意識別子は、投与事象の検出時に生成されるメッセージの一部として伝送される。
【0027】
メッセージはまた、投与事象に対応する値のペアを含む。値のペアは、投与事象中に患者に投与された薬剤の量と、その薬剤の量が患者に投与された時間とを含む。
【0028】
メッセージは、値のペアが特定の投与事象に対応するように構造化されている。例えば、メッセージは、次のフィールドを含み得る。
1)メッセージが投与事象メッセージであることを示す「タイプ」フィールド
2)適切な単位(例えば、ミリグラム、mg)で投与された薬剤の量を指定する、または投与された薬剤の量が決定されることができるデータを含む「量」フィールド
3)薬剤が投与された、日付および時間の両方を含めることができる時間(例えば、UTC形式など)を指定する「時間」フィールド
4)パッケージ一意識別子を含む「パッケージID」フィールド
【0029】
このリストが例示的であり、網羅的ではないため、他のフィールドがメッセージに存在し得ることが理解されよう。上で所与された各フィールドの名前はまた、純粋に例示的なものであり、したがって、逸脱する可能性がある。ここで、「フィールド」は、構造化された方法でデータを格納するための機械可読メカニズムとして理解されるべきである。したがって、メッセージの例示的な実装は、上記の項目1)~4)によって要求されるような情報の提供を援助する構造を有するXML形式トファイルを含む伝送である。変形例は、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。
【0030】
上記に加えて、患者データ処理デバイスは、以下のデータの任意の組み合わせを収集し、このデータをデータ処理デバイスに伝送するように構成され得る。
a)薬剤を投与することの時間に患者にローカルに環境を特徴付ける1つ以上の環境パラメータ。環境パラメータは、例えば、患者データ処理デバイスのカメラによって測定されるような、周囲光レベル、例えば、患者データ処理デバイスのGPSセンサによって測定されるような、場所、例えば、患者データ処理デバイスの温度計によって測定されるような、温度、例えば、患者データ処理デバイスの気圧計によって測定されるような、圧力、例えば、患者データ処理デバイスのマイクロフォンによって測定されるような、周囲音レベル、例えば、患者データ処理デバイスの磁力計によって測定されるような、周囲磁場強さ、および/または、例えば、患者データ処理デバイスの水分センサによって測定されるような、周囲湿気レベル、のうちのいずれか1つ以上を含むが、これらには限定されない。環境パラメータは、薬剤を使用する(administering)時間に患者によって経験され(experienced)得るものであり、および/またはそれらは、投与事象の前の期間にわたって患者によって経験された履歴に関する環境パラメータであり得る。
b)患者の行動を示す行動データ。行動データは、患者の運動レベルを示すデータ、例えば、患者データ処理デバイスの加速度計によって生成された加速度計データ、それ自体が当技術分野で知られているタイプの睡眠品質データ、おそらく患者データ処理デバイスを使用して、患者によって記入された質問票からの結果などの直接的患者フィードバック、例えば、患者データ処理デバイスへの手動入力のような、患者が報告した痛みレベル、および、例えば、患者データ処理デバイスへの手動入力のような、患者が報告したストレスレベル、のうちのいずれか1つ以上を含むことができるが、これらには限定されない。
c)患者に関連する生理学的データ。生理学的データは、血圧、バイオマーカーレベル、血糖値、呼吸数、心拍数、皮膚水分レベル、皮膚pH値、および、体温、のうちのいずれか1つ以上を含むことができるが、これらには限定されない。当業者は、測定され、データ処理デバイスに提供されることができる、代替の生理学的パラメータを容易に識別するであろう。いくつかの場合には、生理学的データは、患者データ処理デバイスによって直接測定され得、他の場合には、患者データ処理デバイスは、生理学的データを患者データ処理デバイスに伝送する別個の生理学的パラメータ測定デバイスと通信し得る。
d)パッケージの履歴に関連する履歴(Historic)パッケージデータ。これは、パッケージの過去の場所、パッケージの現在の場所、および/またはパッケージの物理的状態のうちの1つ以上を含むことができる。履歴(Historic)パッケージデータは、パッケージに埋め込まれた加速度計によって提供され得、この加速度計は、パッケージが受けた加速度を示すデータを収集する。このタイプのパッケージデータは、一部の薬剤、特に生物学的療法に関連する薬剤の有効性が、使用(administration)前に薬剤が攪拌または移動されている程度に依存すると考えられるという洞察に基づいて収集されている。いくつかの場合には、過度の動き、特に激しい動きは、生物学的活性に重要なタンパク質に損傷を与え、その効果を低下させ得る。他の場合では、使用(administration)前に薬剤を攪拌するか、さもなければ移動させることは、例えば、均一な混合物が使用(administration)の直前に好ましい懸濁液の場合のように、有益であり得る。したがって、パッケージの履歴の(Historic)動きに関連するデータは、薬剤の有効性を監視するのに役立つことが期待される。パッケージの過去および/または現在の位置は、パッケージに埋め込まれた位置センサ、例えば、GPSセンサによって収集されることができる。パッケージの場所は、パッケージの履歴に関する洞察を得るために、他の関連する場所情報と関連付けられることができる。例えば、パッケージ場所の履歴の考察は、パッケージが制御された環境、例えば、刑務所にあることを明らかにし得る。別の例として、パッケージの場所の履歴の考察は、薬剤がパッケージから除去された時間に、パッケージが患者データ処理デバイスから離れた場所にあったことを明らかになし得る。このようにして、場所履歴は、患者への薬剤の投与のさらなる理解を得るために、使用され得る。
【0031】
いくつかのシナリオでは、2つ以上の投与事象についてデータ処理デバイスに通知する必要があることが理解されよう。例えば、患者データ処理デバイスは、データ処理デバイスにデータを伝送するためにセルラーネットワークまたはWiFIネットワークに依存している可能性があり、2つ以上の投与事象が発生した期間中、そのようなネットワークへの接続を取得できなかった可能性がある。そのような場合、データ処理デバイスは、上で論じられたタイプの値の複数のペアを含む、上で論じられたようなメッセージを伝送し得、各値のペアが、特定の投与事象に対応する。
【0032】
暗号化されたチャネルは、患者の機密情報が伝送されている場合、および/または制御コマンドが患者データ処理デバイスによって受信されている場合に使用されることが好ましい。SSHチャネルなどのパブリックネットワークにわたって暗号化されたチャネルを確立するための技術は、それ自体が知られているため、ここでは詳細に論じられない。
【0033】
メッセージは、患者データ処理デバイスによって、1つ以上のチャネルにわたってデータ処理デバイスに伝送される。データ処理デバイスは、メッセージを受信し、患者に投与された薬剤を識別するために、そこに含まれるパッケージ一意識別子を使用するように構成されている。データ処理デバイスは、例えば、パッケージ一意識別子を使用してデータベースを照会することができ、照会の結果は、パッケージ一意識別子に対応するパッケージ内に含まれる薬剤の識別を含む。
【0034】
データ処理デバイスは、薬剤の同一性、および患者記録に対する少なくとも1つの値のペアを格納するように構成されている。したがって、患者記録が1つ以上のデータポイントを含み、各データポイントが薬剤量および対応する投与時間を含むことが理解されよう。
【0035】
患者記録は、投与計画の遵守を評価するために、医療専門家および/またはデータ処理デバイスによって使用されることができる。患者が投与計画を遵守した程度を示す、遵守スコアが、生成され得る。遵守スコアは、データ処理デバイスによって患者記録に対して格納され得る。
【0036】
データ処理デバイスはまた、薬物の同一性、患者記録に格納された最後の値のペア、遵守スコア、および/または上で論じられた項目A)からD)で論じられた追加データのいずれか、のうちの少なくとも1つに基づいて投与計画に推奨される修正を提供するように構成されることができる。
【0037】
推奨事項は、薬剤の投与量の推奨される増加、薬剤の投与量の推奨される減少であって、減少には、薬剤の投与を完全に停止することを含み得る減少、第2の薬剤を組み込むために投与計画を適応させるための推奨事項、非薬剤療法、例えば、認知行動療法、運動、食事の変更などを組み込むために投与計画を適応させるための推奨事項、および/または投与計画の一部として現在処方されている薬剤を第2の異なる薬剤と交換するための推奨事項、を含むことができる。このリストは、網羅的ではなく、他の適切な推奨事項は、本開示の利益を有する当業者に明らかになるであろう。
【0038】
データ処理デバイスは、推奨事項を生成するために1つ以上の機械学習アルゴリズムを使用する機械学習コンポーネントを含むか、そうでなければそれを利用し得る。1つ以上の機械学習アルゴリズムは、少なくとも部分的に、本明細書で論じられるタイプの複数の患者記録を使用して訓練され得る。
【0039】
データ処理デバイスは、推奨される修正に基づいて修正された投与計画を生成するように構成され得る。データ処理デバイスは、患者記録に対して修正された投与計画を格納するようにさらに構成され得る。好ましくは、次の時間に患者が処方の繰り返しを要求するとき、患者記録は、照会され、処方は、修正された投与計画に基づいて提供される。したがって、患者の治療は、期待されるまたは想起される投与事象とは対照的に、実際の薬剤投与事象に関連するデータに基づく時間にわたって調整される。したがって、治療計画の適応における改善は、期待され得る。
【0040】
データ処理デバイスは、メッセージを第2のデータ処理デバイスに伝送するように構成されることができ、メッセージは、修正された投与計画を含む。これは、修正された投与計画に基づく次の処方を容易にし得る。第2のデータ処理デバイスは、患者データ処理デバイスまたは医療提供者データ処理デバイス、例えば、薬局、病院、または他のそのような医療機関に配置されたコンピュータであることができる。
【0041】
第2のデータ処理デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、音声起動コンピューティングシステム、ラップトップ、ゲームシステム、車両コンピューティングシステム、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ、スマートテレビ、モノのインターネットデバイス、薬剤調剤デバイス、および薬剤ポンプを含むデバイス、のうちのいずれか1つであることができる。
【0042】
第2のデータ処理デバイスは、修正された投与計画が、医療専門家または患者のいずれかの部分で動作を必要とせずに直接適用されるように、患者への薬剤の調剤を直接制御するデバイス、例えば、薬剤調剤デバイスまたは薬剤ポンプであり得る。
【0043】
患者に投与される薬剤の量は、患者によって手動で患者データ処理デバイスに入力されることができる。代替的に、患者データ処理デバイスは、薬剤の量を自動的に取得するように構成されることができる。少なくとも次の技術は、この自動決定を行うために適切である。
【0044】
第1の技術では、患者データ処理デバイスは、投与事象を示すパッケージの変更を識別するために、薬剤が調剤されているパッケージをスキャンするように構成されている。患者データ処理デバイスは、患者によって投与されている薬剤の量を計算するために、パッケージ内のこの変更を使用することができる。
【0045】
スキャンは、患者データ処理デバイスがカメラなどの画像化コンポーネントを使用してパッケージの1つ以上の画像を撮影する光学スキャンを含むことができる。患者データ処理デバイスは、1つ以上の画像をパッケージの前の画像と比較するように構成されることができる。光学スキャンは、投与事象の後に実行される。
【0046】
前の画像は、投与事象の前に患者データ処理デバイスによってキャプチャされたパッケージの画像であることができるか、または前の画像は、患者が所有しているパッケージと同一のパッケージのストック画像であることができる。後者の場合、ストック画像は、パッケージ一意識別子に基づいて患者データ処理デバイスによって回収され得、例えば、パッケージ一意識別子を使用してストック画像のデータベースを照会し、応答としてストック画像またはストック画像へのポインタを受信する。
【0047】
比較は、パッケージの前の画像と1つ以上の画像との間の変更を識別することが可能である1つ以上の画像処理アルゴリズムの適用を含むことができる。例えば、パッケージがブリスターパックである場合では、1つ以上の画像処理アルゴリズムは、投与事象中に開けられているブリスターパックの1つ以上のブリスターを識別することができ得る。任意の形式の機械学習を組み込んだ画像処理技術は、使用され得る。1つ以上の開けられたブリスターの識別は、患者データ処理デバイスが、投与されているカプセルを識別することを可能にする。所与のパッケージについて、各カプセル内の薬剤の量は、事前に知られており、この情報は、患者データ処理デバイスが、投与事象中に投与された薬剤の量を計算することを可能にするために、例えば、パッケージ一意識別子に基づいて、患者データ処理デバイスによって回収されることができる。
【0048】
直前の段落で記載された技術は、ドセットボックスまたはカートンのような、カプセル、錠剤などにアクセスを得るために開けられた複数の個別のサブユニットを有する他のパッケージタイプに適用されることができる。
【0049】
パッケージの高品質の画像を取得するために、患者データ処理デバイスのユーザ(通常、これに限定されないが、患者)は、画像を撮影している間、画面上のユーティリティによって指示され得る。画面上のユーティリティは、パッケージの全範囲が画像にキャプチャされるように、ユーザがパッケージの端に位置合わせするように指示されるフレームまたは他のそのような位置特定メカニズムを含み得る。ここで、「良質」画像は、薬剤量を少なくとも良好な信頼水準に決定されることができるように、1つ以上のアルゴリズムによって成功のうちに処理される可能性が高い画像を意味すると理解される。
【0050】
いくつかの状況では、患者データ処理デバイスは、ローカル処理リソースに限られ得る。これらおよび他の場合では、患者データ処理デバイスは、メッセージ内の1つ以上の画像を伝送するように構成されることができる。そのようなシナリオでは、データ処理デバイスは、患者に投与される薬剤の量を計算するために、上で論じられたような1つ以上のアルゴリズムに従って1つ以上の画像を処理するように構成されることができる。これらの状況では、データ処理デバイスへの1つ以上の画像の伝送は、患者に投与された薬剤の量を示す値を提供する例であると理解されている。
【0051】
第2の技術では、データ処理デバイスは、少なくともパッケージの重量の変化を計算するように構成されている計量デバイスに通信可能に連結されている。患者データ処理デバイスは、投与事象の前後にパッケージを計量するように患者に指示し得、投与事象前のパッケージの重量に対応する第1の重量値および投与事象後のパッケージの重量に対応する第2の重量値を計量デバイスから受信し得る。これから、重量の変化は、計算されることができる。
【0052】
この技術は、ボトル、チューブ、バイアル、キャニスターなどのパッケージに調剤されている薬剤に特に適切である。重量の変化は、当業者によって困難なく決定されることができるのに相応しい式を使用して、患者データ処理デバイスによって投与される薬剤の量に変換されることができる。薬物を含む溶液の密度、溶液の濃度などのような情報は、パッケージ一意識別子を使用してデータベースを照会することによって、この計算で必要に応じて回収されることができる。
【0053】
患者データ処理デバイスは、データ処理デバイスが、その後、体重の変化を使用して投与される薬剤の量を決定するように、体重の変化をデータ処理デバイスに伝送するように構成されることができる。この場合、体重の変化は、患者に投与された薬剤の量を示す値を構成すると理解される。
【0054】
第3の技術では、パッケージ自体は、薬剤の既知の量を構成し得る。このようなパッケージの例は、注射器、事前に充填された注射器、およびカートリッジを含む。これらの場合では、投与される薬剤の量は、パッケージによって含まれる薬剤の量が事前にわかっており、パッケージの内容物全体が1回の投与事象で患者に投与されるため、パッケージ一意識別子を使用して直接決定されることができる。
【0055】
この場合では、パッケージ一意識別子は、データベース内のパッケージによって含まれる薬剤の量を探索するためにパッケージ一意識別子を使用するように構成されるデータ処理デバイスを有する、投与された薬剤の量に対応する値として患者データ処理デバイスによって伝送され得る。代替的に、患者データ処理デバイスは、この探索を実行し、結果を患者に投与された薬剤の量を示す値としてデータ処理デバイスに伝送するように構成され得る。
【0056】
上で記載の第1~第3の技術はすべて、既知の方法に従って製造されたパッケージがこれらの技術で使用されることができるという意味で、修正されていないパッケージに関して使用するのに適切であることが理解されよう。
【0057】
現在好まれている第4の技術では、パッケージ自体は、投与事象中に薬剤の抽出を検出するためのメカニズムを有して提供される「スマートパッケージ」である。ここでは、図6を参照する。メカニズムは、パッケージからの薬剤の回収が1つ以上の電線を通過する電気信号への変化を引き起こすように、パッケージの表面(単数)または表面(複数)にわたって物理的に配置される1つ以上の電線の形態をとることができる。
【0058】
信号の変化は、統合パッケージデータ処理デバイスまたは患者データ処理デバイスのいずれかによって検出されることができ、どちらのデバイスも、薬剤がパッケージから抽出されていることを確実に識別することを可能にする。「信号の変化」という用語は、電流がもはやそれに沿って流れることができないような少なくとも1本の電線の断線で発生するような、無視できるまたはゼロレベルへの信号の低下、並びに、例えば、複数のワイヤのいくつかが切断されることによって引き起こされるような信号の大きさの減少を包含すると理解される。
【0059】
パッケージが、各々が薬剤の投与量を収容する複数の区画を含む、例えば、複数の個別のカプセルまたは錠剤を含むブリスターパックの場合では、1つ以上の電線は、パッケージデータ処理デバイスまたは患者データ処理デバイスが、どの区画が開けられているかを決定することができるように、パッケージの1つ以上の表面を横切って配置されている。これは、パッケージデータ処理デバイスまたは患者データ処理デバイスが、投与された薬剤の量を直接決定されることができるように、投与事象中に投与されている錠剤またはカプセルを識別することを可能にする。
【0060】
パッケージはまた、パッケージに埋め込まれ、1つ以上の電線に連結されたパッケージデータ処理デバイスを備える。パッケージデータ処理デバイスは、少なくとも1つの値のペア、特に少なくとも患者に投与される薬剤の量を提供するように構成されている。パッケージはまた、薬剤がパッケージから抽出された時間が記録されることができるように時間を追跡することが可能であるタイミング回路を備え得る。パッケージからの薬剤の抽出の時間は、通常、抽出と使用(administration)の間の時間が無視できる(例えば、数秒または数十秒)ので、薬剤の投与の時間とみなされ得る。
【0061】
パッケージデータ処理デバイスは、この情報を患者データ処理デバイスに伝送するために、少なくとも患者データ処理デバイスと通信するように構成されている。
【0062】
パッケージデータ処理デバイスは、例えば、NFCアンテナ、ブルートゥース(Bluetooth,商標)アンテナ、好ましくはブルートゥース低エネルギーアンテナおよび/またはセルラーネットワークにわたって通信するための無線周波数アンテナなどのアンテナに連結されたマイクロプロセッサであることができる。
【0063】
パッケージは、マイクロプロセッサに連結され、開けられた区画の識別および区画が開けられた時間を含む1つ以上のデータ項目を格納するように構成された埋め込みメモリユニットを含み得る。パッケージは、メモリユニットに格納され得る、動きデータを収集するように構成された1つ以上の埋め込まれた加速度計を含み得る。この動きデータは、アイテムD)に関して上で論じられたように、パッケージの動き履歴を確立するために使用されることができる。
【0064】
患者データ処理デバイスは、患者が薬剤を使用(administering)することを支援するための「拡張現実」性能を提供するように構成され得る。拡張現実性能は、患者データ処理デバイスのディスプレイ上のオーバーレイを含み得、このオーバーレイは、特定の投与事象では患者が使用(administer)すべき特定の1つまたは複数の薬剤を何らかの方法で示す。
【0065】
例えば、ブリスターパックの場合では、オーバーレイは、視覚要素、例えば、この特定の投与事象で患者が開けるべき1つ以上の個別のブリスターを識別するにように視覚要素が配置されている患者データ処理デバイスのディスプレイ上に表示される、ボックス、フレーム、矢印などを含み得る。患者データ処理デバイスは、視覚要素に加えて、またはその代わりに、補助テキストを表示するように構成され得、補助テキストは、現在の投与事象に関連して患者に命令する。補助テキストに対応する可聴命令は、補助テキスト自体に加えて、またはその代わりに、提供され得る。例示的補助テキストは、次のように、「赤い区画から1錠、および青い区画から1錠を服用してください。」である。リンク、例えば、ハイパーリンクは、患者データ処理デバイスのディスプレイに表示され得、必要に応じてさらなる情報を含むリソース、例えば、ウェブページに患者を指揮する。
【0066】
補助テキスト、可聴命令および/または視覚要素は、患者に対して現在有効な投与計画に基づいて、患者データ処理デバイスによって生成され得る。これは、次のプロセスであって、患者データ処理デバイスによって、要求が患者一意識別子を含む、現在の投与計画の要求をデータ処理デバイスに送信することと、患者データ処理デバイスによって、応答が現在の投与計画を含む、データ処理デバイスからの応答を受信することと、受信された現在の投与計画に基づいて、視覚的要素、補助テキストラベル、および可聴命令のうちの1以上を生成することと、任意の組み合わせであって、患者に投与するための1つ以上の個別の薬物を示す方法で、患者データ処理デバイスのディスプレイ上に視覚要素を表示すること、患者データ処理デバイスのディスプレイ上に補助テキストラベルを表示すること、および/または患者データ処理デバイスのスピーカーを使用して可聴命令を再生すること、の組み合わせ、のプロセスによって患者記録から回収され得る。可聴命令を生成するための適切なテキスト読み上げ技術は、それ自体が当技術分野で知られている。
【0067】
データ処理デバイスは、次のプロセスであって、データ処理デバイスによって、要求が患者一意識別子を含む、患者データ処理デバイスからの現在の投与計画の要求を受信することと、データベースでは、患者一意識別子に対応する患者記録を識別することと、患者記録から現在の投与計画を回収することと、データ処理デバイスによって、現在の投与計画を患者データ処理デバイスに伝送することと、のプロセスに従って現在の投与計画の要求を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】本発明の実施形態による、本明細書に記載の任意の方法を実施するための適切なシステムを示す。
図2】本発明の実施形態による、図1のシステムの1つ以上のコンポーネントによって実行されることができる、投与事象に関連するデータを格納するための方法を示す。
図3】本発明の実施形態による例示的な患者記録を示す。
図4】本発明の実施形態による、図1のシステムの1つ以上のコンポーネントによって実行されることができる、投与計画の推奨される修正を提供するための方法を示す。
図5】本発明の実施形態による、図1のシステムの1つ以上のコンポーネントによって実行されることができる、投与計画による薬剤を含むパッケージを調剤するための方法を示す。
図6】本発明の実施形態による例示的な薬剤含有パッケージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明を詳細に記載する前に、以下の定義は、本明細書の理解を補助するために提供されている。
【0070】
「備える」という用語およびその変形は、これらの用語が記載および特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を有しない。そのような用語は、述べられたステップもしくは要素またはステップもしくは要素のグループを含むことを意味するが、他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素のグループを除外しないことを意味すると理解される。
【0071】
「からなる」という用語は、「からなる」という句に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という句は、リストされた要素が必修または必須であり、他の要素がその特定の機能のために存在しない可能性があることを示す。
【0072】
「クラウド」、または同等に「クラウドベース」という用語は、必要に応じてタスクを実行するために呼び出されることができる1つ以上の構成可能なコンピューティングリソースへの参照であると理解されるべきである。コンピューティングリソースは、ユーザまたはユーザに関連付けられたデータ処理デバイスから遠隔的に配置され、インターネットおよび/またはセルラーネットワークなどのネットワークにわたってアクセス可能である。
【0073】
「機械可読」または「機械理解可能(intelligible)」という用語は、データ処理デバイスによって処理可能な形式で格納されているデータを指すと理解される。処理は、ディスプレイデバイス上の機械可読データ構造に格納された1つ以上のデータ項目を識別および表示することと、機械可読データ構造に格納された1つ以上のデータ項目を抽出し、当該データ項目に対して1つ以上の計算を実行することと、のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0074】
本明細書で使用される場合、「時間」という用語は、時間(hour)、秒、および分の尺度に加えて、日付を識別するデータエントリーを包含するものとして理解されるべきである。したがって、2019年1月1日、08:43:22(年月日、時:分:秒)は、本明細書で使用される「時間」の定義に含まれると理解される。この情報を符号化するための適切な機械可読形式の例は、それ自体が当技術分野で知られている協定世界時、UTCである。
【0075】
本発明による任意のコンピュータ実装方法を実行するための適切なシステム100は、図1に示されている。システム100は、この明細書で前に論じられたように、患者記録を格納するデータベース110に通信可能に連結されたデータ処理デバイス105を含む。データベース110は、格納媒体、例えば、クラウドベースの格納媒体に格納されている。
【0076】
データ処理デバイス105は、少なくとも1つのプロセッサを備え、本明細書に記載された任意の方法、またはその1つ以上のステップを実行するように構成されている。データ処理デバイス105は、非一時的なコンピュータ可読格納媒体に格納された1つ以上のプログラム命令により作動するように構成されている。データ処理デバイス105は、1つ以上の機械学習タスクを実行するように構成され得る。機械学習タスクは、データベース110に格納された患者記録からのデータを使用してモデルをトレーニングすること、および/またはデータベース110に格納された患者記録からのデータなどの入力を分類するために訓練されたモデルを使用することの任意の組み合わせを含む。
【0077】
データ処理デバイス105は、患者データ処理デバイス115からデータを受信することと、データベース110に格納するための患者記録を生成することと、データベース110に格納された患者記録を修正または他の方法で更新することと、情報および/またはコマンドを患者デバイス115および/または臨床医データ処理デバイス130などに伝送することと、を含む他のタスクを実行するように構成されることができる。データ処理デバイス105は、患者デバイス115および臨床医データ処理デバイス130の一方または両方にアクセス可能なウェブサイトまたはポータルをホストするクラウドベースのウェブサーバーを含み得る。
【0078】
システム100はまた、患者データ処理デバイス115を備える。本実施形態では、患者データ処理デバイス115は、スマートフォンであり、任意選択でセンサ120を備える。しかしながら、本発明は、この点に限定されず、患者データ処理デバイス115は、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、音声起動コンピューティングシステム、ラップトップ、ゲームシステム、車両コンピューティングシステム、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ、スマートテレビ、モノのインターネットデバイス、薬剤調剤デバイス、および薬剤ポンプを含むデバイス、を含むがこれらに限定されない他の多くの形態をとることができる。
【0079】
患者データ処理デバイス115は、ネットワーク125を介してデータ処理デバイス105に通信可能に連結されている。図示の実施形態では、ネットワーク125は、インターネットであるが、本発明は、この点で限定されず、ネットワーク125は、セルラーネットワーク、またはインターネットとセルラーネットワークの組み合わせなど、患者デバイス115とデータ処理デバイス105との間の通信を可能にする任意のネットワークであることができる。
【0080】
患者データ処理デバイス115は、本明細書で論じられるように、患者および/または患者の身近な環境に関連するデータを収集し、当該収集されたデータの少なくとも一部を本明細書で論じられるタイプのメッセージの形態でデータ処理デバイス105に伝送するように構成されている。
【0081】
患者データ処理デバイス115は、カメラなどの光センサ、温度センサ、マイクなどの音響センサ、加速度計、空気圧センサ、空中微粒子センサ、全地球測位センサ、湿度センサ、電界センサ、磁界センサ、水分センサ、空気品質センサおよびガイガー(Geiger)カウンター、および/または、患者および/または患者の身近な環境の特性を決定することが可能である任意の他のそのようなセンサ、のうちの任意の組み合わせであることができる、センサ120を使用してデータを収集し得る。
【0082】
代替的に、センサ120は、患者データ処理デバイス115から省略されることができる。その場合では、患者および/または患者の身近な環境に関する情報は、患者データ処理デバイス115のヒューマンインターフェースデバイスを使用する手動データエントリーおよび図6に関連して本明細書に開示されるタイプの「スマート」パッケージからのそのようなデータの受信を含む他のメカニズムを介して取得されることができる。
【0083】
システム100が、患者データ処理デバイス115と同様の2つ以上の患者データ処理デバイスを含み得ることが理解されよう。単一の患者がデータを収集し、それをシステム100に供給ために、1つ以上の患者データ処理デバイスを使用し得ることが企図される。
【0084】
患者データ処理デバイス115は、患者データ処理デバイス(図示せず)に関連付けられた格納媒体上にインストールされた1つ以上のアプリケーション、センサ120を介したデータ取得を制御するように、および/または患者が薬剤投与事象および/またはそれらの身近な環境に関連するデータを提供するのを支援するように構成された1つ以上のアプリケーションを有し得る。
【0085】
システム100は、任意選択で、ネットワーク125を介してデータ処理デバイス105に通信可能に連結された臨床医データ処理デバイス130を含む。臨床医データ処理デバイス130は、患者データ処理デバイス115とほぼ同様であり、同様の機能のセットを提供する。具体的には、臨床医データ処理デバイス130は、投与事象および/または患者によって感じられた環境に関連するデータを照合して、データ処理デバイス105に伝送することを可能にする。臨床医データ処理デバイス130は、医師の手術などの使用中の臨床医の敷地内、薬局または他の医療機関、例えば、病院に物理的に配置されることが企図される。臨床医データ処理デバイス130は、センサ120のような1つ以上のセンサを含み得、および/またはセンサ120のような1つ以上の別個のセンサを制御するように構成され得、これらのセンサは、投与事象および/または患者によって感じられた環境に関する情報を収集することが可能である。
【0086】
臨床医のデータ処理デバイス130は、通常、適切なデータセキュリティクリアランスを有する医学的に訓練された人によって使用され、その結果、患者デバイス115を介するよりも高度な機能が利用可能であり得ることも企図される。例えば、臨床医データ処理デバイス130は、患者の病歴にアクセスし、患者の処方を生成し、患者の投与計画を修正し、投薬剤を注文するなどすることができ得る。機能へのアクセスは、データ処理デバイス105によって実施されるセキュリティポリシーによって制御され得る。
【0087】
システム100が、患者データ処理デバイス115を完全に省略でき、その場合、データ処理デバイス105へのデータのすべての報告が、臨床医データ処理デバイス130によって処理されることが企図される。この構成は、患者が患者データ処理デバイス115を介してデータ処理デバイス105にデータを提供することができない状況、例えば、患者が病状のために無能力である状況では、特に有用性を見出し得る。そのような実施形態では、患者データ処理デバイス115に関連して本明細書に記載されるすべての機能は、代わりに、臨床医データ処理デバイス130によって実行される。
【0088】
図2は、本発明の実施形態による、データ処理デバイス105によって実行されることができる、患者記録に新しいエントリーを追加するために適切な方法を示す。
【0089】
ステップ200では、データ処理デバイス105は、患者が一意に識別され、投与計画を含む患者記録に関連付けられることを可能にする患者一意識別子を受信する。患者一意識別子は、前で論じられた形式を取り、ネットワーク125を介して患者データ処理デバイス115から受信され得る。データがデータ処理デバイス115によって収集される場合、例えば、上記の項目A)からD)のいずれか1つ以上により、このデータは、項目A)からD)で論じられたセンサのいずれか1つ以上の形態をとるセンサ120によって収集され得る。
【0090】
患者一意識別子を使用して患者記録を識別できない場合では、データ処理デバイス105は、患者にオンボーディングまたは登録プロセスを行わせ、その結果、当該患者の患者記録を作成する命令を患者データ処理デバイス115に伝送するように構成されることができる。このプロセスの後、データ処理デバイス105は、ステップ200を繰り返し、新しく作成された記録を識別することができる。
【0091】
ステップ205では、データ処理デバイス105は、パッケージ一意識別子を含むメッセージと、患者に投与された薬剤の量および薬剤の投与の時間を示す少なくとも1つの値のペアとを受信する。メッセージおよび値は、上で論じられたような形式を取り、患者データ処理デバイス115から受信され得る。
【0092】
患者に投与される薬剤の量を示す値が、第1の技術に関して上で論じられた画像分析などの追加の処理が要求される形式で提供される場合では、データ処理デバイス105は、データ処理デバイス105が患者に投与された薬剤の量を計算するという最終結果を有する、そのような追加の処理を実行するように構成されることができる。
【0093】
ステップ210では、データ処理デバイス105は、パッケージ一意識別子を使用して、患者に投与された薬剤を識別する。これは、パッケージ内に含まれる薬剤が、例えば、データベース110が探索されるのを可能にするために、システムに登録されたすべてのパッケージに対応するパッケージ一意識別子のリストを含むデータベースを照会するデータ処理デバイス105、を含み得る。2つの例示的なデータベースエントリーは、薬剤Xの10錠を含む一意識別子「パッケージ1」の第1のパッケージと、薬剤Yを含む100mlの懸濁液を含む一意識別子「パッケージ2」の第2のパッケージとについて以下に示される。
【0094】
【表1】
【0095】
上に示された形式が純粋に例示的なものであり、本発明の範囲から逸脱することなく、このフォーマットからの大幅な逸脱を行うことができることが理解されよう。
【0096】
この時点で、パッケージ一意識別子が個々のパッケージに対応し、同時に製造および/または出荷されるパッケージのバッチには対応しないことを繰り返す価値がある。これは、同じバッチからの2つの異なるパッケージに異なるパッケージ一意識別子が割り当てられた、以下の第2の例示的データベースエントリーに示されている。
【0097】
【表2】
【0098】
パッケージ一意識別子は、バッチレベルではなく、パッケージレベルでのパッケージの追跡を可能にする。これは、システム100が、バッチレベルでではなく、個々のカプセル、錠剤、ボトルなどのレベルで、どの薬剤が患者に投与されているかを正確に決定することを許可する。理論に拘束されることなく、これは、患者に実際に投与される薬剤の特定の実例の履歴を、従来技術では不可能な方法で決定されることができるので、患者の遵守の改善された決定をもたらすと考えられる。
【0099】
ステップ215では、データ処理デバイス105は、ステップ210で決定された薬剤の同一性、薬剤の使用(administration)の時間、およびステップ205で受信されたメッセージに提供されるか、さもなければ導出された患者に投与された薬剤の量を、患者に関連付けられた記録に対してデータベース100に格納する。任意選択で、ステップ215は、患者記録に対して以下の、患者によって感じられた環境を特徴付ける1つ以上の環境パラメータ、患者の行動を示す行動データ、患者に関連する生理学的データ、および/または患者に関連付けられたパッケージの物理的状態に関連するパッケージデータ、の任意の組み合わせを格納することを含むことができる。ここでは、項目A)からD)に関する上記の議論も参照する。
【0100】
任意選択のステップ220では、データ処理デバイス105は、患者が投与計画を遵守した程度を示す遵守スコアを計算するために、患者記録に格納された少なくとも1つの値のペアを、患者記録にも格納された投与計画と比較する。比較は、投与計画の詳細に従って変化し、当業者は、当該詳細に従って比較を実行するようにデータ処理デバイス105を構成することができるであろう。
【0101】
例えば、データ処理デバイス105は、患者に投与された薬剤の量を投与計画によって禁止された量と比較し、これらの2つのパラメータ間の類似性に基づいて遵守スコアを割り当て得る。複数の時間値を含む別の例では、データ処理デバイス105は、時間値から使用(administration)の頻度を決定し、これを投与計画で指定された頻度と比較し、これらの2つのパラメータ間の類似性に基づいて遵守スコアを割り当て得る。多くの修正は、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。
【0102】
任意選択のステップ220のさらなる部分として、データ処理デバイス105は、患者記録に対してデータベース100に遵守スコアを格納することができる。
【0103】
実施形態による例示的な患者記録300は、図3に示されている。患者記録300は、患者一意識別子305(「患者1」)と、それぞれがパッケージ一意識別子、患者に投与された薬剤の量、および使用(administration)の時間を含む複数のエントリー310とを含む。他のデータはまた、エントリー310、例えば、ステップ210に関して前に論じられた方法でパッケージ一意識別子から決定可能であるように投与される薬剤の識別に含めることができる。エントリー310は、ステップ215の格納プロセスの一部として個体群化されることができる。
【0104】
患者記録300はまた、患者に関連付けられた投与計画を含む投与計画セクション315を含む。現在の投与計画のみを患者記録300に格納することが可能であるが、好ましい形式では、患者記録300は、投与計画履歴を含む。投与計画履歴は、経時的に行われている患者一意識別子305によって識別された患者のための投与計画に対する改訂をキャプチャする。任意選択で、開始時間および終了時間は、投与計画の各反復に対して記録されることができ、開始時間は、投与計画が有効になった時間を示し、終了時間は、投与計画が有効でなくなった時間を示す。ここで、「有効」とは、開始と終了時間の間のある時点で調剤要求が受信された場合に、患者が投与計画に従って投薬されることを意味すると理解される。終了時間として入力されたデータの存在がないこと、例えば、「ヌル(null)」を示す実体は、対応する投与計画が現在有効であることを示すことができる。これは純粋に例示的なものであり、空白のエントリーなどの他の適切な代替案は、当業者には明らかであろう。
【0105】
患者の投与計画の改訂は、以下の図4に関して上で論じられたプロセスに従って、データ処理デバイス105によって推奨され、任意選択で適用されることもできる。
【0106】
患者記録300は、読者によってすぐに理解することが可能になる方法で図示されていることが理解されよう。実際には、患者記録300は、リレーショナルデータベース内の1つ以上のテーブルなど、図示された患者記録300から著しく異なる形態をとり得る。したがって、本発明のコンテキストにおいて重要であるのは、記録が提示される形式ではなく、患者記録のデータ内容であることが理解される。
【0107】
理論によって拘束されることなく、本発明によって生成され、1つ以上の患者記録の形式でキャプチャされたデータ構造であって、当該1人以上の患者への実際の投与事象に対応するデータと組み合わせて、1つ以上の患者にわたる個々のパッケージを記録するデータ構造が、患者応答において現在認識されていないパターンを検出することを可能にし得ると考えられている。結果として得られる洞察は、患者の投与計画および/または薬剤投与技術に対する推奨される修正が可能になり得、推奨される修正は、個々の患者に、または患者の全個体群のサブセットに合わせて適合されている。したがって、本明細書に記載され、患者記録300などの患者記録の形態で提示されるデータ構造は、いわゆる「個別化医療」フレームワークを有利に援助する。
【0108】
さらに、複数の患者記録が、上記の洞察を自動的に識別できるように、機械学習アルゴリズムによる分析に特に適したデータ構造を形成することが想定される。データベース110は、本明細書に記載のタイプの複数の患者記録を含むトレーニングデータセットのための収蔵庫(repository)として機能することができ、その上でモデルが、個々の患者の投与計画に対する提案された修正を生成するために、トレーニングされることができる。
【0109】
本発明のこの態様に関連して、図4は、投与計画に対する推奨される修正を生成し、任意選択で、推奨事項に基づいて投与計画を修正するための適切な方法を示す。
【0110】
ステップ400では、データ処理デバイス105は、患者によって使用された(administered)少なくとも1つの薬剤の同一性、患者記録に格納された少なくとも1つの値のペア、および/または患者記録に格納されている遵守スコアに基づいて、特定の患者記録に格納された投与計画に推奨される修正を提供する。
【0111】
推奨される修正を提供することは、患者記録に格納されたデータの任意の組み合わせを、データ処理デバイス105にアクセス可能な推奨事項モジュールに入力することを含み得る。推奨事項モジュールは、患者記録からデータを受信し、当該データに基づいて、投与計画に対する推奨される修正を生成するように構成されたアルゴリズムを含む。
【0112】
推奨事項モジュールは、1つ以上の機械学習技術によってトレーニングされたモデルの形式をとり得る。モデルを訓練するために使用されるデータは、複数の患者記録を含み得る。追加データは、モデルをトレーニングするために使用され得、ここで、追加データは、項目A)からD)に関連して上で論じられたデータの任意の組み合わせの形式を取る。上記の項目A)からD)に関連して論じられた任意のデータは、追加的または代替的に、投与計画に対する推奨される修正の提供ではステップ400で使用され得る。
【0113】
上の項目A)からD)で論じられた任意のデータを含めることが、患者の投与計画の修正を推奨するときに、患者の環境、ライフスタイル、生理学的反応、および/またはパッケージ履歴を考慮に入れることを可能にすることが理解されよう。これは、本明細書に開示される患者記録によって可能になり、予測モデルのトレーニングとトレーニングされた予測モデルへの入力として機能することの両方の患者データの豊富な収蔵庫として機能する。したがって、本明細書に開示される患者記録は、医療への「適合された」または「個別化された」アプローチを提供するのに特によく適していると考えられる。
【0114】
任意選択のステップ405では、データ処理デバイス105は、患者記録に対してステップ400で推奨されるように、修正された投与計画を格納する。図3に図示される例示的な患者記録を参照すると、修正された投与計画を格納することは、以下のステップ、現在有効な投与計画の終了時間を入力することと、投与計画セクション315に新しいエントリーを追加することと、投与計画(例えば、医療専門家によって提供される)の記載を入力することと、投与計画セクション315への新しいエントリーが作成された時間と等しい新しいエントリーの開始時間を入力することと、を含み得る。
【0115】
ステップ405を実行することが、将来の患者の投与事象が更新された投与計画により得るように、患者の投与計画を自動的に更新する効果を有することが理解されよう。
【0116】
修正された投与計画は、修正された投与計画が元の投与計画よりも何らかのやり方で優れているとみなされるという意味で、改善された投与計画であることができる。改善の例は、副作用の減少、患者の健康または状態の改善、治療の有効性の改善、薬剤の提供のコストの減少などを含む。他のそのような改善は、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。
【0117】
改善された投与計画の特定の例は、患者に投与される薬剤の量の減少であり得る。これは、治療の有効性における対応する低下をほとんどまたはまったく伴わない可能性がある。
【0118】
図5は、本発明の一実施形態によるパッケージを調剤する方法を示す。この方法は、臨床医のデータ処理デバイス130によって実行されると記載されている。
【0119】
ステップ500では、臨床医データ処理デバイス130は、患者一意識別子を受信する。これは、患者一意識別子を手動でエントリーすることによって受信することができ、または臨床医データ処理デバイス130によるQRコード(商標)またはバーコードのスキャン、臨床医データ処理デバイス130によるRFIDタグの読み取りなどの自動化メカニズムによって受信され得る。患者一意識別子を受信するための他の適切なメカニズムは、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。
【0120】
ステップ505では、臨床医データ処理デバイス130は、患者一意識別子に対応する患者記録に格納された投与計画のための要求をデータ処理デバイス105に伝送し、その要求は、患者一意識別子を含む。
【0121】
ステップ510では、臨床医データ処理デバイス130は、データ処理デバイス105から応答を受信し、応答は、ステップ505で伝送された患者一意識別子に対応する患者記録に基づいて、データ処理デバイス105によって生成された薬剤の識別子を少なくとも含む。任意選択で、応答はまた、臨床医データ処理デバイス130が正しい患者に関連付けられた投与計画を受信されたことをチェックすることを可能にするために、患者記録から回収された患者一意識別子を含む。
【0122】
ステップ515では、臨床医データ処理デバイス130は、ステップ510で受信された薬剤の識別子に従って、パッケージの調剤を引き起こす。臨床医データ処理デバイス130は、薬剤識別子を検査し、当該薬剤を含むパッケージを識別することによって、適切なパッケージを識別し得る。
【0123】
パッケージの調剤を引き起こすことは、手動または自動化調剤を含むことができる。
【0124】
手動調剤の場合、ステップ515は、臨床医データ処理デバイス130のディスプレイ上に、少なくとも調剤される薬剤の表示(例えば、薬剤のパッケージの画像および/または名前)およびパッケージ一意識別子をエントリーするために構成されたパッケージ識別子フィールドを含むグラフィカルユーザインターフェースを表示することと、店舗から薬剤を含むパッケージを回収すること、すなわち、ディスプレイ上に表示されている画像および/または名前に一致するパッケージを回収することと、当該パッケージを調剤することと、調剤されたパッケージに対応するパッケージ一意識別子を受信することと、を含むことができる。パッケージ一意識別子は、手動のデータエントリー(例えば、臨床医データ処理デバイス130のキーボードを使用してタイプされる)によって供与され得るか、または自動化された方法、例えば、バーコード、QRコード、RFIDチップ、または、調剤されるパッケージで提供される機械可読データ符号化技術の形式をユーザがスキャンすることで供与され得、ここで、少なくともパッケージ一意識別子は、使用される機械可読データ符号化技術のいずれかによって符号化されている。この場合でのユーザが、医療専門家、例えば、薬剤師または医師である可能性が高いことが理解されよう。
【0125】
自動化調剤の場合では、ステップ515は、調剤命令を調剤デバイスに伝送することであって、調剤命令が、調剤される薬剤の識別子を含む、伝送することと、調剤デバイスから応答を受信することであって、応答が、調剤デバイスによって調剤されるパッケージに対応するパッケージ一意識別子を含む、受信することと、を含むことができる。調剤デバイスは、例えば、コンピュータ制御された薬剤キャビネット、ロッカー、または1つ以上の薬剤パッケージを保持する他のそのような「スマート」装置であることができる。代替的に、調剤デバイスは、処方がパッケージ一意識別子に対応する特定の薬剤パッケージと引き換えられることができるように、パッケージ一意識別子を含む処方を印刷するように構成されているプリンタなどのデバイスであることができる。この調剤方法は、繰り返し処方の調剤など、医療専門家の直接の関与が必要とされない状況に特に適し得る。調剤デバイスは、例えば、パッケージ一意識別子に対応するパッケージを調剤させるように操作することによって、それ自体がパッケージを直接調剤し得る。
【0126】
ステップ520では、臨床医データ処理デバイス130は、ステップ515で調剤されたパッケージに対応するパッケージ一意識別子を含むように更新される患者記録の要求を伝送する。要求は、データ処理デバイス105に伝送される。
【0127】
ステップ525では、臨床医データ処理デバイス130は、患者記録がデータ処理デバイス105によって更新されているという確認メッセージをデータ処理デバイス105から受信する。
【0128】
図5のプロセスが、患者が彼らの患者記録に関連付けられた最新の投与計画に対応するパッケージを受信することを有利に確実にすることが理解されよう。これは、パッケージが、ステップ510でデータ処理デバイス105によって提供される投与計画に基づいて調剤されるためであり、この投与計画は、患者記録に関連して格納された現在の投与計画である。これは、本明細書に記載されているように患者記録によって実現され得る別の利点である。
【0129】
図5に示されるプロセスへのさらなる修正はまた、企図される。この修正では、ステップ500~510は、上で論じられたように進行する。しかしながら、調剤は、ステップ515で次のいずれかのやり方で発生する。
方法1(手動調剤):臨床医データ処理デバイス130のディスプレイ上に、少なくとも調剤される薬剤の表示(例えば、薬剤のパッケージの画像および/または名前)を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示すること、および店舗から薬剤を含むパッケージを回収すること、すなわち、ディスプレイ上に表示されている画像および/または名前に一致するパッケージを回収することと、当該パッケージを調剤すること。
方法2(自動化調剤):調剤命令を調剤デバイスに伝送することであって、調剤命令が、調剤される薬剤の識別子を含む、伝送すること、パッケージを調剤すること、および調剤デバイスから応答を受信することであって、応答が、薬物を含むパッケージが成功のうちに調剤されていることを示す、受信すること。
【0130】
どちらの場合も、ここでの違いは、パッケージ一意識別子が調剤中に決定されていないことである。代わりに、パッケージ一意識別子の決定は、患者データ処理デバイス115がステップ515で調剤されたパッケージをスキャンするように修正される、ステップ520の修正された形式で発生し、対応するパッケージ一意識別子を取得し、パッケージ一意識別子をデータ処理デバイス105に伝送する。ステップ525は、患者記録がデータ処理デバイス105によって更新されているという確認を、患者データ処理デバイス115が受信するように、対応して修正される。
【0131】
別の修正として、所与の医療機関(例えば、特定の薬局または病院)でのパッケージの現在の在庫が、データ処理デバイス105に事前に知られることができることも企図される。このシナリオでは、ステップ505は、患者データ処理デバイス115または臨床医データ処理デバイス130のいずれかが、データ処理デバイス105によって現在医療機関の店舗に保持されていることが知られているパッケージに対応するパッケージ識別子を含み、患者記録に格納されている現在の投与計画を満たすための正しい形式の薬剤を含む応答メッセージを受信するように修正される。次いで、パッケージ一意識別子に対応するパッケージは、手動または自動のいずれかで患者に調剤され、調剤が成功のうちに発生されたことの確認が、患者データ処理デバイス115または臨床医データ処理デバイス130のいずれかによってデータ処理デバイス105に伝送される。次いで、データ処理デバイス105は、パッケージ一意識別子に対応するパッケージが対応する患者に調剤されていることを示すために、患者記録を更新することができる。データ処理デバイス105はまた、調剤されたパッケージが当該場所の医療機関の店舗にもはや保持されていないことを示すために、医療機関の在庫情報を保持するデータベースを更新することができる。
【0132】
図6は、本発明に関連して使用され得るパッケージ600の例示的な実施形態を示す。パッケージ600は、投与事象を検出し、関連情報を患者データ処理デバイス115に報告することができる「スマート」パッケージの例である。
【0133】
パッケージ600は、ブリスターパックの形態を取り、その背面から図示されている。ブリスターパックの裏面が、ブリスターを含む側であり、プリスターに格納されている薬剤カプセルを除去可能なカバーを通して押し出すために、ブリスターに力が適用されたときに破損する除去可能なカバー(通常は、ホイル)を含む側の反対側であると理解されている。
【0134】
パッケージは、マイクロプロセッサ605の形式での埋め込まれたデータ処理デバイスと、アンテナ610の形式での伝送機またはトランシーバと、複数のブリスター615a~615dとを含む。4つのブリスターが示されているが、1つのブリスターを含む任意の数のブリスターがパッケージ600に存在できることが理解されよう。マイクロプロセッサ605およびアンテナ610は、それ自体が当技術分野で知られている。
【0135】
パッケージ自体の構造は、以下で詳細に論じられるような電子コンポーネントを除いて、それ自体が当技術分野で知られている。したがって、パッケージ600のこれらの態様上のさらなる情報は、明快さおよび簡潔さのために、ここでは省略されている。
【0136】
マイクロプロセッサ605は、図6の線によって表されるそれぞれの電線を介して、アンテナ610およびブリスター615a~615dのそれぞれに電気的に連結されている。図示の実施形態では、アンテナ610および電線は、パッケージ600の背面に配置された導電性トレースで形成されている。代替的に、パッケージ600の裏面に破損し易いワイヤを形成するのに適切な他の技術は、例えば、ワイヤを除去可能なカバーおよび/またはパッケージ自体の構造内に埋め込んで使用されることができる。ブリスターを横切る各ワイヤは、両端でマイクロプロセッサ605に連結する別個の電気回路を備える。
【0137】
マイクロプロセッサ605は、患者データ処理デバイス115または臨床医データ処理デバイス130などの外部デバイスとの通信を可能にするために、アンテナ610を制御するように構成されている。アンテナ610は、NFCアンテナ、ブルートゥースアンテナ、好ましくはブルートゥース低エネルギー(BLE)アンテナ、またはセルラーネットワークにわたって通信に適切な無線伝送機またはトランシーバ、例えば、SIMカードおよび無線周波数トランシーバであることができる。
【0138】
マイクロプロセッサ605は、時間を追跡するように構成されたタイミング回路(図示せず)に連結され、またはそれを含み得る。これは、例えば、それ自体が当技術分野で知られているクロックチップまたはクロック集積回路であり得、この回路は、マイクロプロセッサ605による要求に応じて現在時間(例えば、UTC時間)を提供するように構成されている。
【0139】
マイクロプロセッサ605は、アンテナ610を介してデータが伝送される前にデータを格納するように構成されたメモリモジュールを含む。メモリモジュールは、当該デバイスがアンテナ610の通信範囲内にもたらされたときに、別のデバイス、例えば、患者データ処理デバイス115への伝送のために利用可能であるように、パッケージ600に対応するパッケージ一意識別子を格納し得る。代替的に、パッケージ一意識別子は、非電子形式、例えば、バーコード、QRコード、またはパッケージ600の表面に形成された他のそのような視覚的表示で提供され得る。
【0140】
メモリモジュールは、ログファイルを格納するように構成されている。ログファイルは、各ブリスターを一意に識別するブリスター一意識別子のセットと、各ブリスターのステータスとを備える。ステータスは、ブリスターの開いたまたは閉じた状態を示す。所与のブリスターの状態は、電気信号が当該ブリスターに対応するそれぞれの回路を介して成功のうちに伝送されることができるか否かに基づいて、マイクロプロセッサ605によって決定される。ログは、各ステータスに関連付けられたタイムスタンプを含み、各タイムスタンプは、それぞれのブリスターの現在記録されているステータスが最後に決定された時間を示す。
【0141】
電池などの電源(図示せず)は、パッケージ600に含まれることができる。代替的に、パッケージ600は、別のデバイス、例えば、患者データ処理デバイス115または臨床医データ処理デバイス130によって生成された電磁場に存在するときに、誘導効果を使用して電力を生成することが可能である誘導電源(図示せず)を使用して電力が供与される受動デバイスであり得る。
【0142】
各ブリスターは、それぞれの薬剤カプセルへのアクセスを得るために、パッケージ600の前面からユーザによって除去されることができる除去可能な部分を含む。典型的には、除去は、典型的にはホイルである除去可能な層を通してブリスターの内容物に力を加えるために、パッケージ600の裏面のブリスターに圧力を適用することによって達成される。図6からわかるように、それぞれのワイヤは、各除去可能な部分の範囲を横断する。
【0143】
図6に示されるように、ブリスター615a~615cは、未開封であり、したがって、各々は、この例示的な場合では薬剤カプセルである医薬剤組成物を含む。ブリスター615a~615cの各々1つずつを横切るワイヤは、それらが容易に電流を運ぶように切断されていない。
【0144】
しかしながら、ブリスター615dは、開けられ、カプセルは、除去されている。ブリスター615dを開ける動作は、関連付けられた除去可能な部分の一部または全部をパッケージ600から簡単にはがされることを引き起こす。これは次に、ブリスター615dに関連付けられた回路がもはや電気を通さないように、除去可能な部分を横切るワイヤを切断する。
【0145】
マイクロプロセッサ605は、それぞれのブリスターに対応する各電気回路に沿って信号を伝送するように構成されている。図6に示される構成では、ブリスター615a~615cに関連付けられた信号は、マイクロプロセッサ605によって受信される。各信号の受信は、これらのブリスターの除去可能な部分が無傷であることを示し、これは次に、それぞれの薬剤カプセルがまだ使用されて(administered)いないことを示す。しかしながら、ブリスター615dの除去可能な部分の除去は、信号がマイクロプロセッサ605によってブリスター615dに関して受信されないように、このブリスターに関連付けられたワイヤを切断する。このようにして、マイクロプロセッサ605は、ブリスター615dに元々格納されたカプセルが使用されて(administered)いることを識別することができる。
【0146】
マイクロプロセッサ605は、それぞれのブリスター回路各々に沿って信号を伝送することを試み、伝送の試みが失敗する任意の回路を識別するように構成されることができる。伝送の試みは、定期的に、例えば、1分に1回行われることができ、またはそれらは、アンテナ610によって患者データ処理デバイス115の検出に応答して行われることができる。
【0147】
失敗した伝送試行の発見時に、マイクロプロセッサ605は、伝送試行が失敗した時間をログにログ取りするように構成することができ、この時間は、壊れた回路に関連付けられたブリスター内に含まれる薬剤カプセルが開けられた時間と密接に相関するか、またはほぼ等しいと理解される。ログ取りされた時間は、当該デバイスがアンテナ610の通信範囲内にあるときに、アンテナ610を介して別のデバイスに伝送されることができる。
【0148】
パッケージ600は、追加的または代替的に、パッケージ600の環境に関連する1つ以上のパラメータを決定するように構成された、1つ以上のセンサ(図示せず)を含むことができる。適切なセンサの一例は、マイクロプロセッサ605に連結された加速度計である。パッケージ600によって受けられた動きを示す加速度計からのデータは、患者データ処理デバイス115などの外部デバイスに伝送するために、パッケージ内に埋め込まれたメモリに格納され得る。
【0149】
他のセンサは、温度センサ、光レベルセンサ、位置センサ(例えば、GPSセンサ)、水分センサ、音計、および当業者に知られた他の任意のセンサを含む。任意のこれらのセンサからのデータは、アンテナ610の範囲内にあるときに、患者データ処理デバイス115などのデバイスに伝送するためにメモリに格納されることができる。
【0150】
マイクロプロセッサ605は、ログファイルに以下のパラメータ、少なくとも1本の電線が断線した時間のブリスターパックの物理的位置と、少なくとも1本の電線が断線した時間のブリスターパックのローカル環境を特徴付ける少なくとも1つのパラメータとの任意の組み合わせを記録するように構成され得る。
【0151】
ブリスター615a~615c内に含まれる薬剤カプセルの各々は、薬剤カプセル各々が同じ量の特定の薬剤を含むという意味で同一であり得る。代替的に、ブリスターのうちの1つ、例えば、ブリスター615aは、第1の量の薬剤を含む薬剤カプセルを含み得、ブリスターのうちの異なる1つ、例えば、ブリスター615bは、第2の異なる量の薬剤を含む薬剤カプセルを含み得る。さらなる代替として、ブリスターうちの1つ、例えば、ブリスター615aは、第1の薬剤を含む薬剤カプセルを含み得、ブリスターのうちの異なる1つ、例えば、ブリスター615bは、第2の異なる薬剤を含む薬剤カプセルを含み得る。2つ以上の薬剤が単一のブリスターパックに2つ以上の投与量レベルで提供されるように、組み合わせは、可能である。これらの概念が拡張されることができ、例えば、3つ以上の異なる薬剤が単一のパッケージに提供されることができ、および/または単一の薬剤の3つ以上の異なる投薬量を単一のパッケージに提供されることができることが理解されよう。
【0152】
直前の段落に記載されたのと同じ薬剤の異なる投与量を含むブリスターパックは、投与計画が所与のパッケージの期待される寿命よりも短いタイムスケールにわたって調整されることが期待される、すなわち、それらの投与計画が修正される前に患者がパッケージを終了することが期待されないであろう場合では、有利に使用され得る。異なる投与量により、2つ以上の薬剤カプセルの同時投与を可能にすることで、単一の投与事象で送達される薬剤の総量を微調整できる。例えば、5mg形式と2mg形式の両方で所与の薬剤を含むカプセルを提供することは、単一の投与事象で投与される薬剤の総量が2mgの増分で調整されることを可能にするが、投与事象ごとに投与されるのに個々のカプセルの過剰な数を要求しない。
【0153】
2つ以上のタイプの薬剤カプセルを含むブリスターパックは、投与計画が2つ以上の薬剤の組み合わせの投与を要求する状況で特定の有用性を見出す。この場合では、および単一の薬剤の異なる投与量が存在する場合でも、患者データ処理デバイス115は、例えば、患者または他の人に画面上の命令、例えば、「1つの赤い丸薬および1つの黄色の丸薬を使用して(administer)ください」を提供することによって、および/または拡張現実の使用によって、例えば、患者データ処理デバイス115のディスプレイ上のブリスターパックの画像上に、投与されるべきカプセルを示すオーバーレイを提供することによって、患者記録に格納されている現在の投与計画に基づいて投与する適切なカプセルの識別を支援し得る。
【0154】
本明細書に記載の任意の方法、またはその一部が、コンピュータ可読命令によって符号化され、非一時的コンピュータ可読媒体に格納されることができることが理解されよう。したがって、上で記載された本発明の任意の部分は、非一時的コンピュータ可読媒体に格納された適切な命令を実行するコンピュータによって実装されることができる。したがって、そのような命令を格納するコンピュータ可読媒体はまた、本発明の範囲内である。
【0155】
前述の議論は、本発明による実施形態を開示する。理解されるように、本明細書に開示されるアプローチ、方法、技術、材料、デバイスなどは、当技術分野の技術者によって理解されるように、追加の実施形態で具体化され得、このような変形を包含し、含むことが本出願の意図である。したがって、本開示は、例示的なものであり、以下の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】