(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(54)【発明の名称】制御弁を備えた薬剤送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220628BHJP
A61M 5/36 20060101ALI20220628BHJP
A61M 5/19 20060101ALI20220628BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
A61M5/168 506
A61M5/36
A61M5/19
A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565050
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020031069
(87)【国際公開番号】W WO2020227111
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オダ、トッド
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】ベイール、ディラン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE14
4C066FF01
4C066HH12
4C066QQ14
4C066QQ78
(57)【要約】
弁と、弁を含む薬剤送達システムが、本明細書で説明される。弁は、弁本体及び弁要素を含む。弁本体は、第1の流れ経路、第2の流れ経路、及びカテーテル流れ経路を規定する。弁要素は、弁本体の内部に配設され、弁要素は、プライミング位置において第1の流れ経路及び第2の流れ経路間の流体連通を可能にするように構成され、分注位置において第1の流れ経路及びカテーテル流れ経路間の流体連通を可能にするように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流れ経路、第2の流れ経路、及びカテーテル流れ経路を規定する弁本体と、
前記弁本体の内部に配設される弁要素であって、前記弁要素が、プライミング位置において前記第1の流れ経路及び前記第2の流れ経路間の流体連通を可能にするように構成され、分注位置において前記第1の流れ経路及び前記カテーテル流れ経路間の流体連通を可能にするように構成される、弁要素と、
を含む弁。
【請求項2】
前記弁要素は、前記第1の流れ経路及び前記第2の流れ経路を第1の圧力まで加圧することによって、前記分注位置に作動される、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記弁要素は、前記弁本体の一部分を作動させることによって、前記分注位置に作動される、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記弁要素は、前記第1の流れ経路で圧力衝撃を受容することによって、前記分注位置に作動される、請求項1に記載の弁。
【請求項5】
前記弁要素は、前記第2の流れ経路で圧力衝撃を受容することによって、前記分注位置に作動される、請求項1に記載の弁。
【請求項6】
シリンジであって、
シリンジ空洞を規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ空洞の内部に配設され、前記シリンジ空洞に第1の室を規定する第1のプランジャと、
前記シリンジ空洞の内部に配設され、前記シリンジ空洞に第2の室を規定する第2のプランジャと、
を含むシリンジと、
弁であって、
前記第1の室と流体連通する第1の弁流れ経路と、前記第2の室と流体連通する第2の弁流れ経路と、カテーテルと流体連通するカテーテル流れ経路と、を規定する弁本体と、
前記弁本体の内部に配設される弁要素であって、前記弁要素が、プライミング位置において前記第1の室及び前記第2の室間の流体連通を可能にするように構成され、分注位置において前記第1の室及び前記カテーテル流れ経路間の流体連通を可能にするように構成される、弁要素と、
を含む弁と、
を含む、薬剤送達システム。
【請求項7】
前記シリンジ及び前記弁に結合される配管を更に含み、
前記配管は、第1の配管流れ経路及び第2の配管流れ経路を規定し、
前記第1の配管流れ経路は、前記第1の室及び前記第1の弁流れ経路間の流体連通を可能にし、
前記第2の配管流れ経路は、前記第2の室及び前記第2の弁流れ経路間の流体連通を可能にする、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
前記配管は、前記カテーテルよりも長い、請求項7に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
前記弁要素は、前記第1の室及び前記第2の室を第1の圧力まで加圧することによって、前記分注位置に作動される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
前記弁要素は、前記弁本体の一部分を作動させることによって、前記分注位置に作動される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
前記弁要素は、前記第1の室から圧力衝撃を受容することによって、前記分注位置に作動される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
前記弁要素は、前記第2の室から圧力衝撃を受容することによって、前記分注位置に作動される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
薬剤を送達するための方法であって、
薬剤流れ経路の中に塩水を導入することと、
弁要素を介して前記薬剤流れ経路から戻り流れ経路に塩水を方向付けすることと、
前記薬剤流れ経路の中に薬剤を導入することと、
前記薬剤流れ経路及びカテーテル間の流体連通を可能にするために前記弁要素を作動させることと、
前記薬剤流れ経路から前記カテーテルの中に薬剤を方向付けすることと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記薬剤流れ経路及び前記カテーテル間の流体連通を可能にするために、前記弁要素を作動させるために前記薬剤流れ経路及び前記戻り流れ経路を加圧することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤流れ経路及び前記カテーテル間の流体連通を可能にするために、前記弁要素を作動させるために弁本体の一部分を作動させることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤流れ経路及び前記カテーテル間の流体連通を可能にするために、前記弁要素を作動させるために前記薬剤流れ経路で圧力衝撃を提供することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記薬剤流れ経路及び前記カテーテル間の流体連通を可能にするために、前記弁要素を作動させるために前記戻り流れ経路で圧力衝撃を提供することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記薬剤流れ経路の内部で薬剤を前進させるために、前記薬剤流れ経路の中に塩水を導入することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
シリンジの第1の室から前記薬剤流れ経路の中に薬剤を導入することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記戻り流れ経路からシリンジの第2の室の中に塩水を導入することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して薬剤送達システムに関し、特に、弁に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置は、多くの場合、患者への医療流体(例えば、塩水溶液又は液体薬剤)の注入を含んでおり、一般に「IVセット」と呼ばれる可撓性配管及びフィッティングの配置を介して流体源に接続される静脈(IV)カテーテル、例えば、シリンジを使用する。或る種の構成のIVセットは、例えば、6フィートを超える延長された配管長さを有することがある。追加として、配管は、液体薬剤の注入前に塩水でプライミングされることがある。
【0003】
幾つかの用途では、IVカテーテルの使用中に、プライミング工程からの塩水は、液体薬剤が患者に送達される前に、患者に送達されることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示された主題は、弁に関する。或る種の実施例では、弁が開示され、弁は、第1の流れ経路、第2の流れ経路、及びカテーテル流れ経路を規定する弁本体と、弁本体の内部に配設される弁要素であって、弁要素が、プライミング位置において第1の流れ経路及び第2の流れ経路間の流体連通を可能にするように構成され、分注位置において第1の流れ経路及びカテーテル流れ経路間の流体連通を可能にするように構成される、弁要素と、を含む。
【0005】
或る種の実施例では、薬剤送達システムが開示され、薬剤送達システムは、シリンジであって、シリンジ空洞を規定するシリンジ本体と、シリンジ空洞の内部に配設され、シリンジ空洞に第1の室を規定する第1のプランジャと、シリンジ空洞の内部に配設され、シリンジ空洞に第2の室を規定する第2のプランジャと、を含むシリンジと、第1の室と流体連通する第1の弁流れ経路と、第2の室と流体連通する第2の弁流れ経路と、カテーテルと流体連通するカテーテル流れ経路と、を規定する弁本体と、弁本体の内部に配設される弁要素であって、弁要素が、プライミング位置において第1の室及び第2の室間の流体連通を可能にするように構成され、分注位置において第1の室及びカテーテル流れ経路間の流体連通を可能にするように構成される、弁要素と、を含む弁と、を含む。
【0006】
或る種の実施例では、薬剤を送達するための方法が開示され、方法は、薬剤流れ経路の中に塩水を導入することと、弁要素を介して薬剤流れ経路から戻り流れ経路に塩水を方向付けすることと、薬剤流れ経路の中に薬剤を導入することと、薬剤流れ経路及びカテーテル間の流体連通を可能にするために弁要素を作動させることと、薬剤流れ経路からカテーテルの中に薬剤を方向付けすることと、を含む。
【0007】
本技術の様々な構成は、本技術の様々な構成が例証によって示されて説明される開示から当業者に容易に明らかになるであろうことが理解される。当然のことながら、本技術は、他の異なった構成が可能であり、それの幾つかの詳細は、他の様々な観点で修正が可能であり、全てが本技術の範囲から逸脱しない。したがって、概要、図面及び詳細な説明は、本質的に例証であって、限定と考えるべきではない。
【0008】
添付する図面は、更なる理解を提供するために含められ、本明細書に組み込まれてその一部を構成しており、開示された実施例を例証し、説明と共に、開示された実施例の原理を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の様々な態様に従った薬剤送達システムの斜視図である。
【
図2】本開示の様々な態様に従った、プライミングトリガが移転された、
図1の薬剤送達システムの斜視図である。
【
図3】本開示の様々な態様に従った、シリンジが作動された、
図1の薬剤送達システムの斜視図である。
【
図4】本開示の様々な態様に従った、シリンジが作動された、
図1の薬剤送達システムの斜視図である。
【
図5】本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠された、シリンジの立面図である。
【
図6】本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてプライミングトリガが移転された、
図5のシリンジの立面図である。
【
図7】本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてプライミング機構が作動された、
図5のシリンジの立面図である。
【
図8】本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてシリンジが作動された、
図5のシリンジの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示された弁は、医療流体をプライミング及び分注するために流体を方向付けするための弁要素を組み込む。流体は、プライミング構成で第1の流れ経路から第2の流れ経路に、また、分注位置で第1の流れ経路からカテーテル流れ経路に、流れることができる。弁を通る流体の流れを制御することによって、薬剤は、余分な医療流体を分注せずに投与できる。
【0011】
下で記載される詳細な説明は、本技術の様々な構成の説明として意図され、本技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、本技術の完全な理解を提供する目的のために特定の詳細を含む。しかしながら、当業者に明らかであろうことは、本技術がこれらの特定の詳細なしで実施できるということである。幾つかの例では、よく知られた構造及び構成要素は、本技術の概念を不明瞭化するのを避ける目的でブロック図の形式で示される。同種の構成要素は、理解を容易にするために同一の要素番号でラベル付けされる。参照番号は、添え文字なしで同一の番号によって総称的に呼ばれながら、共通要素の別個の例を示すために添付された添え文字を有することがある。
【0012】
次の説明は、開示された弁を使用する医療流体の投与に向けられているが、理解されるべきは、この説明が単なる使用の実例であって、特許請求の範囲の範囲を限定しない、ということである。開示された弁の様々な態様は、医療流体の流れを制御するのが望ましい任意の用途で使用できる。
【0013】
開示された弁は、或る種の従来の薬剤送達システムに関して発見された幾つかの課題を克服する。或る種の従来の送達システムの1つの課題は、システムが塩水など過剰な医療流体を患者に送達する可能性があることである。過剰な医療流体が、医療流体の送達を遅延させることがあり、未熟児などの流体を制限された患者によって容認されないことがあるという理由で、従来の薬剤送達システムの使用は、望ましくない。
【0014】
それ故に、本開示に従って、提供することが有利なのは、本明細書で説明されるような弁であり、患者に過剰な医療流体を送達するのを排除又は実質上減少させる。開示された弁は、弁要素を提供して、医療流体を分注することを可能にし、同時に、患者に送達される過剰な流体を最少化させる。
【0015】
過剰な医療流体の送達を防止する弁の実例が、今から説明される。
【0016】
図1は、本開示の様々な態様に従った薬剤送達システム100の斜視図である。例証された実例では、薬剤送達システム100は、薬剤送達システム100をプライミングするために使用される塩水などの流体を過剰送達することなく、シリンジ130からカテーテル112を介して患者まで薬剤を送達する。
【0017】
幾つかの実施例では、2重内腔配管120の内部の薬剤流れ経路は、2重内腔配管120の薬剤流れ経路の内部の任意の空気又は捕捉ガスを移転するために塩水でプライミングできる。塩水は、シリンジ130の近位端部132から2重内腔配管120の薬剤流れ経路を通って弁110まで前進できる。
【0018】
2重内腔配管120の薬剤流れ経路からの塩水は、弁110の薬剤流れ経路111によって受容できる。プライミング構成では、弁要素113は、薬剤流れ経路111からの塩水が患者カテーテル112に進入するのを防止でき、代わりに、塩水を弁110の戻り流れ経路109に向けて方向付けでき、プライミングされた塩水が2重内腔配管120の戻り流れ経路を介してシリンジ130に戻されるのを可能にする。
【0019】
図2は、本開示の様々な態様に従った、プライミングトリガ180が移転された、
図1の薬剤送達システム100の斜視図である。例証された実例では、シリンジ130は、薬剤を2重内腔配管120の薬剤流れ経路の内部で前進させて、2重内腔配管120の薬剤流れ経路をプライミングする。有利には、薬剤流れ経路を薬剤でプライミングすることによって、薬剤は、患者に近位のカテーテル112を介して患者に送達でき、遅延がより少なく、2重内腔配管120の薬剤流れ経路をプライミングするために使用される塩水を送達することがない。
【0020】
薬剤を2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に導入するために、シリンジ130の内部の薬剤プランジャは、前進又は別な方法で退去でき、所定量の薬剤を2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に導入する。任意選択で、シリンジ130の薬剤プランジャは、所定量の薬剤を2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に分注するために、所望の量だけ前進又は退去するように構成でき、それは2重内腔配管120の薬剤流れ経路の容量に相当する。換言すると、シリンジ130の薬剤プランジャは、2重内腔配管120の薬剤流れ経路の容量を弁要素113まで満たすために前進でき、カテーテル112を介して投与用薬剤をプライミングする。
【0021】
幾つかの実施例では、2重内腔配管120の薬剤流れ経路への薬剤のプライミングは、自動化又は別な方法で単純化できる。例えば、薬剤プランジャは、薬剤を2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に導入するために、前進するように付勢できる。シリンジ130の内部のプライミング機構の付勢部材は、プライミングトリガ180を移転することによって解放できる。プライミングトリガ180を移転することによって、付勢部材は、薬剤プランジャを前進でき、薬剤送達システム100の内部の薬剤をプライミングする。任意選択で、薬剤プランジャのプライミング進行は、プライミング停止体182によって停止又は制限できる。プライミング中に薬剤プランジャの進行を制限することによって、所望の量の薬剤は、2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に、例えば、2重内腔配管120の薬剤流れ経路を満たすための十分な薬剤量を導入できる。
【0022】
例証されるように、薬剤が2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に導入されると、2重内腔配管120を通して予めプライミングされた塩水は、退去される。退去した塩水は、弁体113によって、弁110の戻り流れ経路109を通って2重内腔配管120の戻り流れ経路の中に方向付けされる。
【0023】
2重内腔配管120の戻り流れ経路からの医療流体は、シリンジ130の中に戻すことができる。塩水などの戻された医療流体は、シリンジ130の戻り又は塩水室の中に導入できる。
【0024】
図3は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ130が作動された、
図1の薬剤送達システム100の斜視図である。例証された実例では、シリンジ130は、カテーテル112を通して患者に薬剤を分注するために作動される。
【0025】
例証されるように、シリンジ130の遠位端部134は、シリンジ130の内部で薬剤プランジャを作動させるために、シリンジ130の近位端部132に向けて前進できる。シリンジ130を作動させることによって、薬剤プランジャは、前進でき、薬剤をシリンジ130から2重内腔配管120の薬剤流れ経路の中に送達する。幾つかの実施例では、シリンジ130は、患者への薬剤の流れを制御するためにシリンジポンプによって作動できる。
【0026】
動作中、弁110は、カテーテル112を介した患者への弁110の薬剤流れ経路111からの薬剤の流れを可能にするために作動される。幾つかの実施例では、弁要素113は、薬剤流れ経路111及びカテーテル112間の流体連通を可能にするために作動され、薬剤が患者に流れるのを可能にする。任意選択で、弁110は、患者の近位に配置でき、カテーテル112の長さを最小化し、患者に投与される塩水の量を減少させ、薬剤のための送達時間を減少させる。
【0027】
幾つかの実施例では、弁要素113の位置は、弁110を物理的に操作することによって、薬剤流れ経路111及び戻り流れ経路109間で流れを方向付けすること(プライミング位置)と、薬剤流れ経路111及びカテーテル112間で流れを方向付けすること(分注位置)と、の間で作動できる。例えば、弁110は、弁110を捻転、押圧、退去、又は別の方法で作動させることによって、弁要素113を作動させるために、作動又は操作できる。幾つかの実施例では、弁要素113は、薬剤流れ経路111及び/又は戻り流れ経路109の内部からの弁要素113によって受容される圧力信号又は衝撃によって作動できる。例えば、弁要素113は、薬剤流れ経路111及び/又は戻り流れ経路109で圧力衝撃を受容することによってプライミング位置から分注位置に作動できる。
【0028】
幾つかの実施例では、弁110は、アンチサイフォン弁にできる。任意選択で、弁110は、高い「クラッキング圧」を有することがあり、十分な圧力が弁要素113に適用される場合、弁要素113は、プライミング位置から分注位置に動くことができる。例えば、弁要素113は、薬剤流れ経路111及び戻り流れ経路109の両方で同等化された圧力を受容することによって、プライミング位置から分注位置に作動できる。シリンジ130は、適切な圧力信号を提供できる。
【0029】
図4は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ130が作動された、
図1の薬剤送達システム100の斜視図である。例証された実例では、シリンジ130は、2重内腔配管120の薬剤流れ経路を通して塩水を前進させて、カテーテル112を介して患者に残りの薬剤を前進させる。
【0030】
例証されるように、薬剤がシリンジ130から排出された後、薬剤は、2重内腔配管120の薬剤流れ経路の容積内に残存することがある。薬剤が患者に完全に送達されるのを確実にするために、シリンジ130は、塩水「プッシュ」を投与するために利用でき、シリンジ130の内部の薬剤が排出された後で2重内腔配管120の薬剤流れ経路を通して薬剤を前進させ続ける。任意選択で、塩水は、薬剤が患者に完全に投与されるまで、薬剤流れ経路を通して投与できる。
【0031】
図5は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠された、シリンジ230の立面図である。図では、同様の特徴部は、同様の参照番号を用いて参照されることがある。示された実例では、シリンジ230は、シリンジ230のシリンジポート229に結合された配管を通して薬剤及び/又は塩水を分注するために利用できる。例証されるように、シリンジ230は、その中に規定された室の薬剤及び/又は塩水を受容、貯蔵、及び/又は分注できる。
【0032】
例証されるように、シリンジ230の近位シリンジ部分231は、シリンジ空洞236に薬剤及び塩水などの医療流体を貯蔵できる。例証された実施例では、薬剤プランジャ240は、シリンジ空洞236の内部で可動であり、薬剤室242を近位シリンジ部分231の内部に規定する。任意選択で、薬剤室242の容量は、シリンジ230の近位端部232に対する薬剤プランジャ240の位置によって規定される。示された実例では、薬剤室242は、薬剤を貯蔵できる。
【0033】
幾つかの実施例では、薬剤室242は、シリンジ230のシリンジポート229と流体連通する。任意選択で、薬剤プランジャ240は、シリンジ空洞236の壁に対してシールするための1つ又は複数のシール244を含むことができ、意図しない流体の移行や混合を防止する。
【0034】
更に、薬剤プランジャ240は、薬剤プランジャ軸246によって移動できる。幾つかの実施例では、薬剤プランジャ240は、薬剤室242を拡張するために遠位に引かれて、シリンジポート229を通してより多くの薬剤又は医療流体を引くことができる。幾つかの実施例では、薬剤プランジャ240は、薬剤室242を収縮させるために近位に前進して、薬剤室242からシリンジポート229を通して薬剤又は医療流体を排出できる。
【0035】
例証された実施例では、塩水プランジャ250は、シリンジ空洞236の内部で可動であり、塩水室252を近位シリンジ部分231の内部に規定する。幾つかの実施例では、塩水プランジャ250及び薬剤プランジャ240は、協働して塩水室252をシリンジ空洞236の内部に規定する。任意選択で、塩水室252の容量は、薬剤プランジャ240及び塩水プランジャ250の位置によって規定される。示された実例では、塩水室252は、塩水又は他の医療流体を貯蔵できる。
【0036】
任意選択で、塩水プランジャ250は、シリンジ空洞236の壁に対してシールするための1つ又は複数のシール254を含むことができ、意図しない流体の移行又は混合を防止する。
【0037】
更に、塩水プランジャ250は、塩水プランジャ軸256によって移動できる。幾つかの実施例では、塩水プランジャ250は、塩水室252を拡張するために遠位に引かれて、より多くの塩水や医療流体を引くことができる。幾つかの実施例では、塩水プランジャ250は、塩水室252を収縮させるために近位に前進して、塩水室252から塩水又は医療流体を排出できる。
【0038】
先に説明されたように、患者、例えば、流体制限患者への薬剤の投与の間に、薬剤は、薬剤室242から分注でき、次いで、塩水は、塩水室252から分注されて、配管に残っている薬剤を前進できる。
【0039】
示された実例では、薬剤は、シリンジ空洞236の内部で薬剤プランジャ240を前進させることによって、シリンジ230から分注できる。その結果、薬剤は、シリンジ230からシリンジポート229を通して送達できる。
【0040】
幾つかの実施例では、シリンジ230は、薬剤プランジャ240の前進を自動化、制御、又は別の方法で単純化するためのプライミング機構又は作動機構270を含むことができ、IV配管の中への薬剤のプライミングを容易化する。任意選択で、作動機構270は、十分な量の薬剤を薬剤室242からIV配管の中に導入するように構成でき、患者への薬剤の投与の前に、IV系統を完全に充填又はプライミングする。
【0041】
例証された実施例では、作動機構270は、シリンジ空洞236の内部で薬剤プランジャ240を前進させるために、引張ばね274などの付勢部材を利用できる。
【0042】
任意選択で、引張ばね274は、引張ばね274の近位端部276で近位シリンジ部分231に結合でき、引張ばね274の遠位端部275で作動機構270に結合できる。幾つかの実施例では、作動機構270は、薬剤プランジャ軸246から延びるか又はそれに概ね結合される。更に、引張ばね274は、薬剤プランジャ軸246のまわりに配設できる。
【0043】
例証されるように、引張ばね274は、引張ばね274の解放時又は賦活時に薬剤プランジャ240の前進を容易にするために事前装荷又は付勢できる。示された実例では、引張ばね274は、静止長から伸長した緊張長さまで延長又は付勢できる。幾つかの実施例では、付勢部材は、静止長から短縮した圧縮長さまで圧縮できる。
【0044】
例証されるように、引張ばね274は、緊張ばね274を延ばす作動機構270を退縮させることによって事前装荷又は伸長できる。幾つかの実施例では、作動機構270は、定位置にロック又は保定でき、保持機構によるプライミングより前に薬剤プランジャ240が前進するのを防止する。例証された実施例では、保持機構は、プライミングトリガ280を含み、その軸282が延びて遠位シリンジ部分233を貫いて作動機構270の貫通穴272を貫いて、解放可能に作動機構270を遠位シリンジ部分233に結合する。プライミングトリガ280は、遠位シリンジ部分233のスロット284を通って延びることができる。
【0045】
任意選択で、引張ばね274に適用される張力は、遠位シリンジ部分233に対する作動機構270の位置を変更すること、及び、作動機構270の貫通孔272と整列されたスロット284を通してプライミングトリガ280を挿入すること、によって調節できる。
【0046】
図6は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてプライミングトリガ280が移転された、
図5のシリンジ230の立面図である。例証されるように、シリンジ230のプライミング機構は、プライミングトリガ280をシリンジ230から移転することによって賦活できる。
【0047】
プライミングトリガ280を移転することによって、引張ばね274は、収縮するのを可能にされ、薬剤プランジャ軸246を、それはそれで薬剤プランジャ240を、前進させる。薬剤プランジャ240を前進させることによって、薬剤室242の内部の薬剤は、IV配管を通って前進し、IV配管をプライミングできる。本明細書で説明されるように、薬剤プランジャ240は、プライミング工程中にIV配管容積に対応する所望の量又は所定の量だけ前進できる。
【0048】
図7は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてプライミング機構が作動された、
図5のシリンジ230の立面図である。例証された実施例では、薬剤プランジャ240は、更に作動して、薬剤室242に残っている任意の薬剤をIV配管の中に、そして患者に投与できる。幾つかの実施例では、薬剤プランジャ軸246は、薬剤プランジャ240を前進させるために作動できる。例えば、遠位シリンジ部分233の遠位端部234は、薬剤プランジャ240を前進させるために、近位端部232に向けて前進できる。幾つかの実施例では、近位シリンジ部分231の延長部238は、臨床医又はシリンジポンプが、近位シリンジ部分231に対して遠位シリンジ部分233を前進させるのを可能にできる。
【0049】
図8は、本開示の様々な態様に従った、シリンジ本体が隠されてシリンジが作動された、
図5のシリンジ230の立面図である。例証された実施例では、塩水プランジャ250は、塩水を塩水室252からIV配管の中に投与するために作動でき、IV配管に残っている任意の薬剤を患者に「プッシュ」又は送達する。幾つかの実施例では、塩水プランジャ軸256は、塩水プランジャ250を前進させるために作動できる。幾つかの実施例では、薬剤プランジャ240のための同じ作動方法は、塩水プランジャ250を作動させるために利用できる。
【0050】
例えば、遠位シリンジ部分233の遠位端部234は、塩水プランジャ250を前進させるために、近位端部232に向けて前進できる。幾つかの実施例では、近位シリンジ部分231の延長部238は、臨床医又はシリンジポンプが、近位シリンジ部分231に対して遠位シリンジ部分233を前進させるのを可能にできる。
【0051】
幾つかの実施例では、塩水室252からの塩水は、シリンジポート229を介してシリンジ230から出るために、薬剤室242を通って又はそのまわりに前進できる。
【0052】
本開示は、任意の当業者が本明細書で説明される様々な態様を実施するのを可能にするために提供される。本開示は、本技術の様々な実例を提供し、本技術は、これらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろうし、本明細書で規定される包括的な原理は、他の態様に適用されてもよい。
【0053】
単数の形の要素の参照は、特定的にそのような記述がない限り、「1つ及びただ1つ」を意味することを意図しておらず、寧ろ「1つ又は複数の」である。特定的に別段の記述がない限り、用語「幾つかの」は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性形及び中立の性(例えば、彼女の、それの)を含み、その逆もまた同様である。見出し及びサブ見出しは、有れば、便宜のためだけに使用され、本発明を限定しない。
【0054】
用語「例示的」は、「実例又は例証として役立つこと」を意味するために本明細書で使用される。「例示的」として本明細書で説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好適又は有利であると解釈されるべきではない。1つの態様では、本明細書で説明される様々な代替の構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられてもよい。
【0055】
「態様」などのフレーズは、そういった態様が本技術に必須であること又はそういった態様が本技術の全部の構成に適用されることを暗示しない。態様に関する開示は、全部の構成又は1つ若しくは複数の構成に適用されることがある。態様は、1つ又は複数の実例を提供することがある。態様などのフレーズは、1つ又は複数の態様を指すことがあり、その逆もまた同様である。「実施例」などのフレーズは、そういった実施例が本技術に必須であること又はそういった実施例が本技術の全部の構成に適用されることを暗示しない。実施例に関する開示は、全部の実施例又は1つ若しくは複数の実施例に適用されることがある。実施例は、1つ又は複数の実例を提供することがある。実施例などのフレーズは、1つ又は複数の実施例を指すことがあり、その逆もまた同様である。「構成」などのフレーズは、そういった構成が本技術に必須であること又はそういった構成が本技術の全部の構成に適用されることを暗示しない。構成に関する開示は、全部の構成又は1つ若しくは複数の構成に適用されることがある。構成は、1つ又は複数の実例を提供することがある。構成などのフレーズは、1つ又は複数の構成を指すことがあり、その逆もまた同様である。
【0056】
1つの態様では、別段の記述がない限り、全ての測定値、値、等級、位置、規模、サイズ、及び、次に続く特許請求の範囲を含めて本明細書に記載される他の仕様は、近似であり、厳しくはない。1つの態様では、それらは、それらが関係する機能と一致しそれらが属する当技術分野の慣例であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0057】
1つの態様では、用語「結合された」又は同種のものは、直接結合されていることを指すことがある。別の態様では、用語「結合された」又は同種のものは、間接結合されていることを指すことがある。
【0058】
「上」、「底」、「前」、「後」及び同種ものなどの用語は、本開示で使用される場合に、通常の重力座標系というよりも任意の座標系を指すと理解されるべきである。こうして、上面、底面、前面、及び後面は、重力座標系において上方、下方、斜方、又は水平に延びることがある。
【0059】
様々な項目は、異なって配置(例えば、異なった順序で配置、又は、異なった方法で区分)でき、全てが本技術の範囲から逸脱しない。当業者に知られているか又はもっと後で知られるようになる本開示の全体にわたって説明された様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的な同等物は、参照によって本明細書に明白に組み込まれ、また、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されたものは、そういった開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレーム要素は、要素がフレーズ「ミーンズ・フォー」を用いて明白に記載されない限り、又は、方法クレームのケースでは、要素がフレーズ「ステップ・フォー」を用いて記載されない限り、米国特許法第112条第6項の規定の下で解釈されるべきではない。更に、用語「含む」、「有する」又は同種のものが使用される限度で、そういった用語は、クレームの過渡的な単語として採用された時に解釈される「含む」と同様の用語「含む」の様式で包括的であることが意図される。
【0060】
本開示の題名、背景、概要、図面の簡単な説明、及び、要約は、ここに本開示に組み込まれ、また、本開示の例証的な実例として、制限的な説明としてではなく、提供される。それは、クレームの範囲又は意味を限定するためにそれらが使用されないであろうという理解の下で提出される。追加として、発明を実施するための形態では、理解できることは、説明が例証的な実例を提供すること、及び、様々な特徴が本開示を合理化する目的のために様々な実施例で一緒にグループ化されること、である。この開示の方法は、クレームされた主題が各クレームに明白に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。寧ろ、次のクレームが反映するので、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作の全ての特徴よりも少なく存する。次のクレームは、ここに発明を実施するための形態の中に組み込まれ、各クレームは、単独でクレームされた主題としてそれ自体で立っている。
【0061】
特許請求の範囲は、本明細書で説明された態様に限定されることを意図していないが、特許請求の範囲の言語と矛盾しない完全な範囲で一致し、全ての法的な同等物を包含することになる。それにもかかわらず、特許請求の範囲は、米国特許法第101条、102条又は103条の要件を充足しない主題を包含することを意図していないし、そういった方法で解釈されるべきでもない。
【国際調査報告】