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特表2022-531005音波生成及び能動的な騒音低減のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(54)【発明の名称】音波生成及び能動的な騒音低減のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20220628BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G10K11/178 130
H04R9/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565713
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 CA2020050554
(87)【国際公開番号】W WO2020223795
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】16/403,250
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/856,525
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】521478636
【氏名又は名称】ゼロサウンド システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ソボル,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ボグナー,ノーム ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】アパーリー,トーマス
【テーマコード(参考)】
5D012
5D061
【Fターム(参考)】
5D012AA00
5D061FF02
(57)【要約】
音波生成のための方法は、音波の特徴を検知することと、反転された音波を計算することと、磁石の陽極及び磁石の陰極を通り抜ける張った状態のワイヤを通して電流を流すことによってワイヤを振動させて、反転された音波を出すことと、を含む。音波生成のための装置は、音波の特徴を検知するように構成されたマイクロホンと、反転された音波を計算するように構成されたプロセッサと、電源と、プロセッサに連結された少なくとも一つのエミッタモジュールと、を含む。各エミッタモジュールは、一つ以上の磁石と、一つ以上の磁石の陽極と陰極との間を通る張った状態の、導電材料から作られたワイヤと、ワイヤを通る電流を供給してワイヤを振動させて、反転された音波を出すように構成された電源と、を含む。
【選択図】図15E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンの所定の周辺における一つ以上の特徴を検出するように構成された前記マイクロホンを使用することによって、音波の前記一つ以上の特徴を検知することと、
前記一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、前記マイクロホンに連結されたプロセッサを使用して、前記一つ以上の特徴に基づいて前記反転された音波を計算することと、
前記反転された音波に従い前記プロセッサによって選択された電流をワイヤを通して流すことによって前記ワイヤを振動させて、前記反転された音波を出すことと、を含み、
前記ワイヤが張った状態で膜に連結されており、
前記ワイヤが、第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石の間の中心線に略沿って延伸するように位置付けられており、前記磁石の各々が、前記長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり、前記第一の磁石と第三の磁石とが、N極が対向するように向きを合わせており、前記第二の磁石と第四の磁石とが、S極が対向するように向きを合わせており、前記第一及び第二の磁石が、第一のプレートに連結されており、前記第三及び第四の磁石が、第二のプレートに連結されており、それらの間に中心線を画定し、
前記第一のプレート及び前記第二のプレートが、各々、より平らな部材である、音波生成のための方法。
【請求項2】
検知が複数の位置において検知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の位置が第一の位置及び第二の位置を含み、計算が、さらに、前記第一の位置と前記第二の位置との間の距離、及び前記第一の位置及び前記第二の位置の各々において一定時間にわたって検出された前記一つ以上の特徴に基づいて、前記第一の位置と第二の位置との間の音声の速度をコンピュータ計算することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上の特徴が周波数及び振幅の一つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マイクロホンの所定の周辺において検出された音波の一つ以上の特徴を検出するように構成された前記マイクロホンと、
前記一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、前記マイクロホンに連結されたプロセッサと、
電源と、及び
それらの間に間隙を空けて平行面に配置されており、各プレートがより平らな部材である第一のプレート及び第二のプレートと、
前記第一のプレートと前記第二のプレートとの間の間隙に位置付けられた張った状態の膜と、
前記プロセッサに連結された少なくとも一つのエミッタモジュールと、を備えており、各エミッタモジュールが、
陽極及び陰極を各々が持つ第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石であって、前記磁石の各々が、前記長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり、前記第一の磁石と第三の磁石とが、N極が対向するように向きを合わせており、前記第二の磁石と第四の磁石とが、S極が対向するように向きを合わせており、前記第一及び第二の磁石が、前記第一のプレートに連結されており、前記第三及び第四の磁石が、前記第二のプレートに連結されており、前記4つの磁石の間に中心線を画定する、前記4個以上の磁石と、
導電材料から作られており、前記膜に連結されることによって張った状態であり、前記中心線に略沿って延伸するように位置付けされるワイヤと、
前記プロセッサによって選択された電流を前記ワイヤを通り抜けて供給して前記ワイヤを振動させることによって、前記反転された音波を出すように構成された前記電源と、を備えた、音波生成のための装置。
【請求項6】
前記ワイヤが前記膜の2枚のシートの間にラミネート加工された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ワイヤが、2つ以上の全長を有し、前記2つ以上の全長のうちの少なくとも一つの全長が前記中心線と略平行に位置付けられるように、ジグザグ配置に配置された、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第一のプレート及び前記第二のプレートのいずれか又は両方が穿孔された、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記4個以上の磁石が互いに平行に配置されており、前記第一のプレートに連結された前記磁石が、前記第二のプレートに連結された前記磁石と位置を合わせた、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記マイクロホンが前記ワイヤの1cm以内に位置付けられた、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのエミッタモジュールが第一のエミッタモジュール及び第二のエミッタモジュールを含み、前記第一のエミッタモジュールの前記ワイヤが、前記第二のエミッタモジュールの前記ワイヤと略平行であり、その1cm以内に位置付けられた、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つのエミッタモジュールが第一のエミッタモジュール及び第二のエミッタモジュールを含み、前記第一のエミッタモジュールの前記ワイヤが、前記第二のエミッタモジュールの前記ワイヤと略垂直である、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記マイクロホンから距離を空けた第二のマイクロホンをさらに含み、
前記プロセッサが、さらに、前記距離に基づいてかつ前記マイクロホン及び前記第二のマイクロホンによって一定時間にわたって検出された前記音波を比較することによって、前記マイクロホンと前記第二のマイクロホンとの間の音声の速度を計算するように構成されており、
前記一つ以上の特徴が前記音声の速度を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項14】
前記一つ以上の特徴が周波数及び振幅の一つ以上を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項15】
さらに、構造に関連して取り付けられた、請求項5に記載の装置。
【請求項16】
前記構造が壁、防水シート、スクリーン及びフェンスの一つ以上である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
さらに、フレームに取り付けられた、請求項5に記載の装置。
【請求項18】
前記フレームがウィンドウに取り付けるためのものである、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願の利益
本願は、2020年4月23に出願された米国出願16/856,525、及び2019年5月3に出願された米国出願16/403,250の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して音波生成のための装置及び方法に関し、特に面にわたる音波生成に関する。
【背景技術】
【0003】
不快な音声は、例えば、職場、家庭、図書館、自動車、屋外の車道、工事現場、及び工業的な区域を含む広範な場面において屡問題となる。
【0004】
大まかに言えば、単独で又は組み合わせて使用できる2つのタイプの騒音低減がある。第一のものは、受動的な騒音低減であり、一般に外部騒音から耳を防護することによって達成される。ヘッドフォンは、騒音が耳に到達することを防ぐ材料で防護することができる。部屋は、防音として当業界において既知の技術を使用して、部屋の外側からくる騒音の居住者の知覚を低減することができる。
【0005】
第二のタイプの騒音低減は、能動的な騒音低減(「ANR」)であり、望まない騒音を相殺する第二の音声を出すことによって騒音を低減する方法である。既知のアルゴリズムは、騒音の波形を解析し、騒音の位相をシフトする又は騒音の極性を反転させる信号を生成することが可能である。第一の音波が、周波数及び振幅共に等しい反転された(「逆位相」とも称される)音波と一致すると、第一の音波と第二の音波とは、互いを効果的に相殺する。同様に、第一の音波の周波数及び振幅のいずれかが第二の音波のそれとおおよそ一致したときに、第一の音波は、それに応じて低減又は増幅する。一般に、現在用いられている能動的な騒音低減は、ヘッドフォン及び補聴器に関するユーザの耳などの狭い範囲では効果的であるが、より広い分散した範囲では効果的ではない。補聴器におけるANRが、周波数を増幅するために聴覚障害者用に追加して使用される。ANRはヘッドフォンにも、音楽を再生するために追加して使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の広い態様に従い、音波生成のための方法が提供される。方法は、マイクロホンの所定の周辺における一つ以上の特徴を検出するように構成されたマイクロホンを使用することによって、音波の一つ以上の特徴を検知することと、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、マイクロホンに連結されたプロセッサを使用して、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算することと、反転された音波に従いプロセッサによって選択された電流をワイヤを通して流すことによってワイヤを振動させて、反転された音波を出すことと、を含む。ワイヤは張った状態で膜に連結されている。ワイヤは、第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石の間の中心線に略沿って延伸するように位置付けられる。磁石の各々は、長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり。第一の磁石と第三の磁石とは、N極が対向するように向きを合わせられる。第二の磁石と第四の磁石とは、S極が対向するように向きを合わせられる。第一及び第二の磁石は、第一のプレートに連結される。第三及び第四の磁石は、第二のプレートに連結され、磁石間に中心線を画定する。第一のプレート及び第二のプレートは、各々、より平らな部材である。
【0007】
本発明の別の広い態様に従い、音波生成のための装置が提供される。装置は、マイクロホンの所定の周辺において検出された音波の一つ以上の特徴を検出するように構成されたマイクロホンと、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、マイクロホンに連結されたプロセッサと、電源と、それらの間に間隙を空けて平行面に配置されており、各プレートがより平らな部材である第一のプレート及び第二のプレートと、第一のプレートと第二のプレートとの間の間隙に位置付けられた張った状態の膜と、プロセッサに連結された少なくとも一つのエミッタモジュールと、を備える。各エミッタモジュールは、陽極及び陰極を各々が持つ第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石を含む。磁石の各々は、長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり、。第一の磁石と第三の磁石とは、N極が対向するように向きを合わせられる。第二の磁石と第四の磁石とは、S極が対向するように向きを合わせられる。第一及び第二の磁石は、第一のプレートに連結される。第三及び第四の磁石は、第二のプレートに連結され、これらが4つの磁石の間に中心線を画定する。各エミッタモジュールは、導電材料から作られており、膜に連結されることによって張った状態であり、中心線に略沿って延伸するように位置付けられるワイヤと、プロセッサによって選択された電流をワイヤを通り抜けて供給してワイヤを振動させることによって、反転された音波を出すように構成された電源と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様が、本発明のさまざまな実施形態を例証として示し、記述する以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになることが理解される。認識されるように、本発明は、他の及び種々の実施形態を可能にし、そのいくつかの詳細は、すべて本発明内のさまざまな他の点において変更可能である。さらに、記述したさまざまな実施形態は、変更すべきところは変更して、本明細書に記述した他の実施形態と組み合わせることができる。従って、図面及び詳細な説明は、事実上例示であるとみなされ、限定的なものではない。
【0009】
図面を参照し、本発明のいくつかの態様を実施例として例証する。図面における詳細は制限的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】音波生成装置の概略図である。
図2】2つのエミッタモジュール及び2つのマイクロホンを持つ音波生成装置の概略図である。
図3】スクリーンに取り付けられた音波生成装置の正面図である。
図4】シート材料に取り付けられた音波生成装置の部分的切り欠き図である。
図5】2つの間隙を介した面において互いに垂直に走るワイヤ構成の斜視図である。
図6】面におけるワイヤ構成の平面図である。
図7】音波生成装置の概略図である。
図8】音波生成装置の上面図である。
図9】4つの磁石の配置によって生成された磁場の断面の概略図である。
図10a】膜、細長平面の磁石及びプレートを持つ音波生成装置の前面図である。
図10b】各々がそこに接続された3つの磁石を持つ2つのプレートの間に挟まれた膜に連結されたワイヤの断面の概略図である。
図10c】膜とプレートとの間において各プレートに固定された磁石を持つ2つのプレートの間に挟まれた膜の断面の概略図である。
図11】そこに連結されたワイヤを持つ膜の前面図である。
図12】スペーサを持つプレートの斜視図である。
図13】張り装置を持つ音波生成装置の斜視図である。
図14】張り装置を持つ音波生成装置の断面の概略図である。
図15】音波生成装置の前面図である。
図15a図15における線A-Aに沿う断面図である。
図15b図15aにおける領域Bの詳細図である。
図15c図15dにおける線C-Cに沿う断面図である。
図15d図15の音波生成装置の側面図である。
図15e図15の音波生成装置の分解図である。
図16】音波生成装置の試験環境の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に説明される詳細な説明は、本発明のさまざまな実施形態の記述として意図され、発明者によって検討された実施形態のみを示すことは意図しない。詳細な説明は、本発明の広範囲の理解を提供する目的のための特定の詳細を含む。しかしながら、これらの特定の詳細がなくても本発明を実践できることが当業者に明らかであろう。
【0012】
本明細書に記述した装置及び方法は、騒音低減の例示的な実施例を使用して論じられる。装置及び方法が、例えば消防を含む追加的な使用が可能であることが理解される。
【0013】
アルゴリズムは、波形を反転された音波形に処理することを可能にする。例えば、騒音を低減するヘッドフォンは、騒音を検出するマイクロホン、騒音を処理して反転した波形を計算するコンピュータ、及び反転した波形に対応する音声を出すスピーカを含むことができる。反転された騒音波形は、増幅させることができる。トランスデューサが、騒音との相殺的干渉を作り出す、騒音の振幅と釣り合う音波を作り出すことができる。そのような相殺的干渉は、リスナがより知覚しにくい騒音を作ることができる。この文書では、「騒音」と「音声」という用語を置き替え可能に使用できることが理解されるであろう。
【0014】
ヘッドフォンにおける能動的な騒音低減は、ヘッドフォンを装着している人のみの騒音を低減する。言い換えれば、ANRヘッドフォンは、面における一点の騒音を低減することを可能にする。騒音Nが発生している所の構造の反対側における領域A(図8)における騒音を能動的に低減できるように、ANRの性質を持つ壁又はフェンスなどの構造を設計することが望ましいことが認識される。この構造は、ヘッドフォンを装着する必要なく、部屋内の複数のリスナがANRからの利益を得られる。本発明は、従来技術におけるこの欠陥に対処する。本発明は、二次元平面及び三次元平面、すなわち、平らな面又は曲面にわたる面を含む面にわたるANRを可能にする。
【0015】
アルゴリズムは、本発明を使用中に遭遇する騒音のデータを観測又は収集することによる機械学習を使用することができる。アルゴリズムは、騒音を予測することによって、騒音を的確に低減する本発明の精度又は能力を向上させることができる。
【0016】
図面を参照し、一実施形態において、本発明は、音声を通して相殺することができる、フレーム910において張ったワイヤなどの導体410を持つ音波エミッタモジュール400を含む。音波エミッタ400は、張った導体410に磁力を加える磁石300を含む。電流が磁石300の両極の間を通っている張った導体410の中を流れるとき、導体410と垂直の周期的な力及び磁場が生成される。この周期的な力が導体410を振動させることによって音声を出す。i)電流力及びii)磁場のいずれか又は両方を変えることによって、振動している張った導体410が出す音波を変える。
【0017】
本発明は、さらに、ワイヤ410がそこに接続されている回路900を含む。本発明の一実施形態において、電気回路900は、さらに、トランスデューサ及び/又はプロセッサ500を含む。
【0018】
マイクロホン100などのトランスデューサが、第一の音波を検出し、それを電気信号に変換する。当業界において既知の他の単一又は複数の周波数測定モジュール及び波の振幅測定モジュールも、マイクロホンに加えて又はそれの代わりに使用することができる。
【0019】
プロセッサ500は、電気信号を受信し、第一の音波の波形を反転し、そして回路900に接続された電源800によってワイヤ410を通して送信できる電流を計算することができる。電流は、第一の音波の振幅、第一の音波の周波数、音声の速度、及びワイヤ410の材料組成を含み得る多くのファクタに基づいてプロセッサによって計算することができる。プロセッサは、メモリ、オペレーティングシステム、ソフトウェア、インストラクション、及びプロセッサを実行させるためのアルゴリズムを含むコンピュータ又はコンピュータコンポーネントに接続することができる。
【0020】
電源800は、バッテリ、グリッド電源及び/又はソーラーパネル、例えば、AC又はDCであってもよい。
【0021】
湿度及び温度などの沢山のファクタが音声の速度に影響を及ぼし得る。2つのマイクロホンを互いに近接近、例えば0.5cm~3cm離して設置し、一定時間、例えば1秒間に両方のマイクロホンにおいて検出された音波を比較することによって、既定の位置における音声の速度を測定することが可能である。マイクロホン200とマイクロホン100との間の音波速度は、マイクロホン間の距離を、マイクロホン200とマイクロホン100との間を音波が進行するのに費やす経過時間で割ることによって計算することができる。音声の速度は、ワイヤ410を通して流す電流を確定するときにプロセッサ500が取り込むことができる。例えば、計算された音声の速度を使用して、トランスデューサにおいて拾得されている音声と、エミッタモジュール400において生成されている音波との間の遅延期間を確定することができる。これにより軽減すべき音声が実際にモジュールに達するときに、計算された音声の速度によって操作されたものとして適切な反転信号を生成するようにエミッタモジュールを駆動させることができる。受信した音波と出された音波とを同期化させる別の方法は、i)エミッタの後方(つまり、エミッタから見て騒音の反対側)に単一のマイクロホンを位置付け、ii)マイクロホンを使用して騒音を検出し、iii)プロセッサを使用して反転信号を確定し、そしてiv)プロセッサを使用して出された信号を補正することによって、性能が向上する。そのような実施形態では、プロセッサは、例えば、機械学習手法を使用することができる。
【0022】
述べたように、エミッタモジュール400は、ワイヤ410及び磁石300を含む。ワイヤ410は、張った状態であり、磁石300の陽極310と陰極320との間を通る。特に、磁石300は、陽極310及び陰極320を有する。磁石300は、一つ以上の磁石であってもよい。例えば、一つの磁石300は、その陽極がワイヤの片側、その陰極がワイヤの反対側に位置するように向きを合わすことができる。別の実施形態では、第一の磁石の陰極がワイヤの片側、第二の磁石の陽極がワイヤの別の側に位置するように2つ以上の磁石300が使用される。ワイヤは、磁力がワイヤに作用するように陽極と陰極との間の間隙に位置付けられる。ワイヤは、張った状態でマウントに取り付けられてもよいし、各ワイヤに張る部材があってもよい。さまざまな張る方法、及び引き締めねじ、ばね、恒久的な撓み、又はその組み合わせなどのデバイスを用いて、ワイヤを張ることができる。
【0023】
図9図14を参照し、一実施形態において、音波生成のための装置は、細長の棒磁石300a~d及び膜420’におけるワイヤ410’、プレート330、並びに膜を張ることによってワイヤ410’を張るための張り装置を持つフレームを含む。図9を参照し、この実施形態では、第一、第二、第三及び第四の磁石がある。第一の磁石300aは、第二の磁石300bの脇、第三の磁石300cの真向かい、そして第四の磁石300dの対角線上に位置付けられる。第一及び第二の磁石は、第一の面において向きを合わせており、第三及び第四の磁石は、第二の面において向きを合わせている。第一の面と第二の面とは、それらの間に間隙を空けて互いに平行であり、第一の磁石と第三の磁石とが直線上に位置し、第二の磁石と第四の磁石とが直線上に位置する。言い換えれば、第一の磁石と第三の磁石とが互いに位置を合わせ、第二の磁石と第四の磁石とが互いに位置を合わせる。第一の磁石と第三の磁石とが同じ位置にある。第二の磁石と第四の磁石とが同じ位置にある。断面では、4つの磁石は長方形の形状に配置され、各磁石が長方形の角を占有することができる。第一の磁石と第三の磁石とは、N極が対向するように向きを合わせられる。第二の磁石と第四の磁石は、N極が対向するように向きを合わせられる。
【0024】
この配置は、磁場における荷電粒子において及ぼされる力を表すS極からN極までのベクトル線312によって例証するように、磁石によって作り出される磁場Bを均一にする。磁場は、磁石の配置によって画定された長方形形状の中央付近に位置し得る中心点301に集中する。中心点301は、荷電粒子における磁力が最も強いであろう所の磁場の大凡の位置である。中心点は、第一の磁石から第四の磁石に対角線上に引かれた第一の線301’と第二の磁石から第三の磁石に対角線上に引かれた第二の線301’’との2本の線の交差点に大凡位置し得る。そのような実施形態では、ワイヤ410’は、点301に又はその付近に設置することができる。磁場Bの力が最も強い所の中心点301付近のワイヤの設置は、磁石からワイヤへのエネルギの効率的な伝達を促進する。
【0025】
図10a~図10cを参照し、磁石の一つ以上が一つ以上のプレート330に接続することができる。磁石は、略細長平面の形状を有することができる。磁石は、それらの長軸xが互いに平行に延伸するようにプレート330に配置することができる。磁石は、極性方向に関して隣接する磁石が交互に入れ替わるように配置することができる。図10bを参照し、第一の磁石300a’は、第一のプレート330’の(膜420’に対向する)第一の側面330a’に接続されたS極を有することができる。第二の磁石300b’は、プレート330’の第一の側面330a’に接続されたN極を有することができる。第三の磁石300c’は、第一の側面330a’に接続されたS極を有することができる。磁石の対応する配置を持つ第二のプレート330’’を、磁石が互いに直線上に位置するように第一のプレートに接続することができる。第四の磁石300d’は、第二のプレート330’’の第一の側面330a’’に接続されたS極を有することができる。第五の磁石300e’は、第一の側面330a’’に接続されたN極を有することができる。第六の磁石300f’は、第一の側面330a’’に接続されたS極を有することができる。
【0026】
膜420に配列することができるワイヤは、プレート間に位置することができる。第一のプレート330’の第一の側面330a’は、膜’の第一の側面420aに対向することができる。第二のプレート330’’の第一の側面330a’’は、膜’の第二の側面420bに対向することができる。これによって膜は、2つのプレート330’と330’’との間に挟まれることができる。ワイヤは、磁石と位置をずらすように配置してもよい。ワイヤは、2つの磁石間に横方向に位置付けることができる。ワイヤは、2つ以上、例えば4つの磁石によって作り出された均一の及び/又は集中した磁場内にワイヤがあるように、点301’に位置付けることができる。
【0027】
各プレートは略平面の部材であってもよい。各プレートは穿孔することができる。プレートは、実質的に非磁性の材料から作ることができる。磁石は、例えば、接着剤、ねじ、ストラップ、ブラケット、又は他の構造若しくは機構の一つ以上によってプレートに接続することができる。
【0028】
ワイヤ410、410’を通って流れる電流がワイヤを振動させることによって音声を出す。電流は、出される音声がワイヤの周辺内の第一の音波の認識力を低減する、例えば、実質的に相殺するように、プロセッサ500によって選択される。マイクロホンは、ワイヤの1cm以内にあってもよい。マイクロホンは、望まない音声Nにより近いワイヤの側面に位置させることができる。
【0029】
本発明は、エミッタモジュール400が取り付けられるフレーム910を含むことができる。フレームは、そこに開口領域920を持つ面又は共に接続されてそれらの間に開口領域を持つ多角形を形成する剛性の細長部材などのフレームコンポーネントを含むことができる。エミッタモジュール400は、開口領域920にわたって張った状態で延伸するワイヤ410を持ってフレームに取り付けられる。一つ以上の磁石100、200が、フレーム内、上又はそれと一体に位置することができる。一つ以上の磁石は、磁石がワイヤ410と90度に位置付けられるように、フレームにわたって又はフレームの一部に設置することができる。各ワイヤは、ワイヤが磁石の極間を通ることができるような、そこに固定された一つ以上の磁石を有することができる。ワイヤ410は、フレームの端部を延伸することによって、音声が通ることができる開口にわたって延伸することができる。それ故、音声は、開口領域920、及びワイヤ410間、そしてそれを越えて通り抜ける。それ故、ワイヤ410は、音波の経路に真っすぐであり、音波が通るときにそれに作用することができる。フレームは、非導電性であってもよい。
【0030】
一実施形態において、回路900或いは単一プロセッサ500内に接続された複数のワイヤ410が存在してもよい。ワイヤは、平行に配置されてもよいし、グリッドパターンで配置されてもよい。ここで言う平行は、ワイヤ410が互いに略平行に並んで配置できることを意味する。平行は、必ずしも平行な回路網を意味しない。各ワイヤは、そこを通って流れる電流が同じであってもよいし、異なっていてもよい。図11を参照し、一実施形態において、回路は、一本のワイヤ410’’で構成される。ワイヤ410’’は、さまざまな全長412の同じワイヤ410’’が互いに平行であるようにジグザグであってもよい。ジグザグという用語は、ワイヤが、(i)距離Lだけ第一の方向に延伸し、(ii)略直角に屈曲し、(iii)距離Lよりも短い距離Dだけ第二の方向に延伸し、(iv)再度略直角に屈曲し、そして(v)距離Lだけ第一の方向と反対の第三の方向に延伸することによって、ワイヤの全長412を形成できることを含む。特に、第一の方向及び第三の方向に延伸するワイヤの一部が全長を構成する。これが単なる例示の配置であり、他の配置も、駆動されてそれが存在する場合に膜420’によって増幅される音声を作り出すことができるようなワイヤ412の同様の全長を作り出せることが認識されるであろう。
【0031】
グリッドパターンにおいて配置された場合には、ワイヤ410は、例えば、互いに対して90度の角度で向きを合わせて、使用中のワイヤ間の動揺を増大することができる。ワイヤは、一方向において導電性があり、第二の方向において非導電性材料によって接続されてもよい。例えば、導電性ワイヤが垂直に走り、非導電性材料が水平に走る(又は逆でもよい)ことによって、垂直な導電性ワイヤを互いに接続することができる。これにより本発明は、例えば、昆虫がそこを通り抜けることを防ぐ物的障壁として作用しつつ、片側から他の側への流体連絡を可能にするであろう。非導電性材料が導電性ワイヤに触れる場合には、非導電性材料は、それらの起こり得る導電性ワイヤとの接触がその音声を生成する振動を抑えないように延伸可能である。
【0032】
図5に示すように、別の実施形態では、2組のワイヤ410があってもよい。第一の組のワイヤ410が第一の方向に走り、第二の組のワイヤ410が第二の方向に走ることができる。第二の方向は、例えば、第一の方向と略90度であってもよい。例えば、第一の方向が垂直であってもよく、第二の方向が水平であってもよい。第一の組のワイヤが第一の面に沿って走り、第二の組のワイヤが第二の面に沿って走ってもよい。第一の面と第二の面とは、互いに略平行であってもよい。面は、ワイヤが振動したときに第一の組のいずれのワイヤも第二の組のいずれのワイヤに触れないように、間隙を介してもよい。
【0033】
明快にすると、一つの面(図6)において、又は略平行かつ間隙を介した2つの面(図5)において複数のワイヤ410が存在する場合には、ワイヤ410は、振動しているときに互いに物理的に接触しないように間隙を介することができる。ワイヤ間の距離は、振動の最大の幅Wを含むさまざまなファクタに基づいて選択することができる。隣接するワイヤがそれらの最大の振幅(或いは、最大の予想される振幅)において振動しているときに、ワイヤ間の間隙は、ワイヤが非常に自由に振動することを可能にする。これを可能にするワイヤ間の最小の間隙は、Wと等しい。例えば、ワイヤは最大1cm離して位置付けることができる。ワイヤは、通常、その内部又はその上にワイヤが取り付けられる表面などのいかなるものから、ワイヤが自由に振動することが可能になる少なくとも距離Wだけ離れる。マイクロホンは、ワイヤの一つ以上の付近、例えば1cm以内に位置付けることができる。一実施形態において、マイクロホン100は、ワイヤから1cm離れて位置付けられており、マイクロホン200は、ワイヤと第一のマイクロホンとの間、例えばワイヤから0.5cm離れて設置される。
【0034】
図7は、2つの間隙を介した導体グリッドシステム400A、400Bを持つ電子回路901を含む本発明の実施形態を描写する。グリッドシステムの各々は、複数の間隙を介した、略平行に向きを合わせられた、張った導体ワイヤを含み、各ワイヤはそれに結合した磁石300を持ち、駆動して音声を出すことが可能である。グリッドシステムは両方共、一つのマイクロホンの動作に応答して駆動できるが、この実施形態では、各グリッドシステム400A、400Bは、低減すべき音声を収集するための少なくとも一つのマイクロホンを有する。例えば、この実施形態では、マイクロホン100、200がグリッドシステム400Aを駆動し、マイクロホン101、201がグリッドシステム400Bを駆動する。この実施形態は、さらに、ワイファイモジュール700、プロセッサ500(オペレーティングシステム、メモリ、ソフトウェア、アルゴリズム、及びインストラクション600、周波発生器モジュール610、並びに波増幅器モジュール620を含むプロセッサ)、及び電源800を含む。
【0035】
ワイヤ410は各々、アルミニウム、銅、鋼鉄又は合金などの導電材料から作ることができる。ワイヤは、編まれていてもよいし、張って提供できる固体であってもよい。ワイヤの厚さは、約15~45ゲージ又は大凡25~35ゲージであってもよい。ワイヤは、直線でなくてもよいし、ばねであってもよい。ワイヤは電気的に絶縁することができる。ワイヤは非導電性のコーティングを有することができる。
【0036】
膜は、例えば、共に連結された2枚のシートなどのさまざまな構造を有することができる。図11を参照し、ワイヤは、例えば、膜の2枚のシート間にラミネート加工することによって膜420に連結することができる。膜は、ワイヤが出した音波を増幅することができる。膜は薄膜であってもよい。膜は、張力及び力に耐えるように選択された強度及び剛性のある材料から作ることができる。膜は、例えばポリエステル又はアルミニウムなどのさまざまな材料から作ることができる。膜は、一つ以上のプレート330に固定することができる。膜及びプレートは各々、例えば、一つ以上のピン334、ねじ又は同様のものを収容して、膜とプレートとを互いに固定する、それらの端に沿って位置付けられた穴を有することができる。図12を参照し、細長のより平らな部材などのスペーサ332を、膜と磁石及び/又はプレートとの間に位置付けて、ワイヤ及び膜を振動させるための間隙をそれらの間に作り出すことができる。スペーサは、平坦かつ幅狭のロッドであってもよい。スペーサは、任意の数の材料、例えば、木材又はプラスチックから作ることができる。スペーサのサイズは、ワイヤと磁石との間の間隙の大きさを調節するように選択することができる。スペーサは、膜における穴に対応できる穴、及び/又は一つ以上のピンを収容するためのプレートを有することができる。互いの一つ以上に接続できる又は互いの一つ以上と一体化できる一つ以上のスペーサがあってもよい。各スペーサは、プレートの端に沿って延伸することによって、プレートの周囲を線形に伸びる又は進むことができる。
【0037】
膜は張った状態であってもよい。膜はワイヤを張った状態にさせることができる。〔0021〕を含む本願の他の箇所に論じたように、ワイヤ及び/又は膜は、任意の数の様式で張ることができる。一実施形態において、張る構成要素、例えば、ロッド337を、膜に接続することができる。ねじ338などのピンが、張る構成要素を適所に保持することができる。
【0038】
ロッド337は、膜とプレート330との間に位置付けることができる。ロッドは、磁石とプレートの同じ面330aにあってもよい。ロッドは、膜の端にわたって略直線における略均等な力を膜に及ぼすように、膜の端420i付近の膜の第一の面420a内に押し進めることができる。ロッドの位置及びそこから供給される張力は、例えば、一つ以上のねじ338を使用して制御及び/又は調節することができる。図13図14を参照するように、ねじは、棒335を使用してそこを通る穴に位置を合わせることができる。棒は、ロッドに対してプレート330の反対の面330bに位置付けることができる。第二のロッド337’を、膜の第二の面420bに押し込むことができる。第二のロッドは第一のロッドと略平行であり、これにより2本のロッドが共に膜を張った状態にすることができる。そのようなやり方に使用される2本のロッドは、ロッドの対339と称することができる。別のロッド及び/又はロッドの対を、例えば、第一の端と平行に、別の端420iiに沿って位置付けて、膜を2つの端の間で張った状態にすることができる。
【0039】
さらなる実施形態
エミッタモジュール400及びフレーム910は共に、壁、フェンス、スクリーン又は防水シートなどの構造を構成することができる。
【0040】
図3を参照し、構造は、騒音を軽減するための一つ以上の張ったワイヤ410のエミッタ400が、スクリーンフレームの一側面から反対側の側面に、一方向に延伸する、例えばウィンドウスクリーンであってもよい。フレーム910は、非導電性材料のフレーム押出などから作られた細長部材であってもよい。そのようなスクリーンは、スクリーンの片側から反対側への流体連絡を可能にする。そのようなスクリーンは、例えば、取り外し可能に接続可能な留め具920’を用いたフレーム押出を使用して、ウィンドウ開口915に取り付けることができる。プロセッサ500及び電源800に連結された、その外側正面から短い距離(例えば、0.5~3cm)突き出るトランスデューサ100がさらにあってもよい。
【0041】
図4を参照し、別の実施形態では、エミッタモジュール400及びフレーム910は、材料のシート上若しくは内側、又は乾式壁、木材、繊維、金属、コンクリート若しくはガラスなどの2枚の材料のシート960などの被覆材料間の(図示するような)隙間に取り付けることができる。
【0042】
いずれかにかかわらず図3及び図4の実施形態では、各実施形態におけるエミッタモジュール400のワイヤ410は、張っており、駆動させて反転した波形を出させて、トランスデューサが拾得した騒音を相殺することができる。
【0043】
ワイヤ410は、据え付けられるフレーム910、スクリーンフレーム、被覆材料のための支持フレーム、又はシート材料で形成されたフレームであるフレームの両側の間で張ることができる。使用中、これらの実施形態では、構造付近の複数の地点(例えば、騒音Nが発生している所とは構造の反対側における領域A内の複数の地点)に位置する人は、ANRの利益を得ることができる。そのような構造は、進行している音波の経路において、防音などの受動的な騒音低減技術も実践することができる。別の実施形態では、回路900の一部又はすべては、構造の上若しくはその内部、又は構造の後方に製造されてもよい。フレームは非導電性であってもよい。
【0044】
構造におけるさまざまな位置に複数のマイクロホン(例えば、マイクロホン100及びマイクロホン200)があってもよい。前述したように、音声の速度の検出に追加して、複数のマイクロホンは、構造に沿う様々な位置における音声の差異を検出するという追加的な機能を果たすことができる。これは、構造に沿う音声が大いに変化し得る所の、道路沿いなどの比較的広い場所においてとりわけ利点となるであろう。各ワイヤ410を通って流れる電流を異ならせることによって、各ワイヤは、その周辺又は範囲における騒音をより的確に打ち消すことができる。複数のマイクロホンの一つ以上を、継続的に又はスケジュールに沿って監視することができる。
【0045】
複数のマイクロホンは、i)入ってくる音声波と出す(相殺する)音声波との同期化、及びii)広い領域にわたる相殺された音波の同期化を含むさまざまな目的を果たすことができる。前者に関連して、空気中の音波は、風、空気密度、温度、気圧及び湿度を含むいくつかのファクタによる影響を受け得る。入ってくる音波を相殺することが望まれるときには、所望の相殺が起こる時及び所を制御する注意力が求められる。信号が互いに逆位相ではない場合には、相殺の効果が小さくなる、又は所望されない音声の増幅が引き起こされることによって音声を増大することがある。エミッタ設計によって位置が解明される。互いに及びエミッタから物理的に正確な距離に位置する2つのマイクロホンを用いることによって、第一のマイクロホンにおける音声レベル及び時間、次に第二のレベルにおける音声レベル及び時間を測定することによって、音声の速度を確定することができる。この方法の使用では、時間で割った距離と速度が等しいとして音声の速度が計算され、現在の空気状態が測定されれば、この公式によってリアルタイムにおける空気密度、温度、気圧及び湿度が明らかとなる。風も音声の速度に影響を及ぼし、その方向はより遅い又はより速い速度を招き得る。風の影響による変化を軽減させるために、マイクロホンは、エミッタに近接近(1cm以内)させる必要がある。互いに及びエミッタにより近く位置付けされたマイクロホンは、音声の速度の測定における精度がより高く、エミッタにおいて入ってくる音波を相殺するためにプロセッサによって評価されると正確さ及び性能が向上する。後者に関連して、より広い領域における騒音相殺が所望される場合には、入ってくる音波を測定し、効果的な出される(相殺)信号をエミッタに提供するのに、一組のマイクロホンが適することがある。必要に応じて、入ってくる要求波を最もよく相殺するのに一組のマイクロホン又は多くの組のマイクロホンが必要とされるか否かを確定するために、その領域にわたる音声レベルの測定を行うことができる。プロセッサは、騒々しいトラックが交通遮音塀を通るなどの変化している状況を(一つ以上のマイクロホンの出力を使用して)計算可能である。この実施例では、エミッタは、幾多のより小さいエミッタ領域から成ることができ、各領域には少なくとも一つの組のマイクロホンが備えられており、効果的な相殺信号を個々のエミッタに提供するために各領域を独立して制御できる。故に、より広い領域における騒音相殺を実行するために、制限のない数のより小さいエミッタを組み立てることができる。
【0046】
マイクロホン100、200は、既定のマイクロホンの所定の周辺、例えば、任意の方向における1m以内又は既定の一つ以上の方向における1m以内における音声を検出するように調整することができる。例えば、マイクロホンに対して特定の方向からの騒音が予想される場合には、マイクロホンは、その方向における音声を収集するように調整することができる。反対に、マイクロホンは、ある特定の方向から発生している音声を相殺することを回避するために、そのような方向を無視するように調整することもできる。例えば、本発明が取り付けられる部屋の天井における既知の箇所に位置する煙感知器からくる音声を相殺することを回避することは有益であり得る。
【0047】
複数のマイクロホン100、200又は複数のエミッタ400を持つ実施形態では、プロセッサ500は、コンポーネントを同期化させるアルゴリズムを実行することができる。
【0048】
プロセッサ500は、プロセッサが他のデバイスと通信できるような有線又はワイファイネットワークなどのネットワークに接続することができる。これは、装置の遠隔制御、例えば、遠隔で電源を入れる及び切ることも可能にする。故に、回路900は、有線又は無線構成を含むことができる。
【0049】
一実施形態において、一つの電気回路を使用するよりも、さまざまなコンポーネントが、無線、例えばワイファイ又はブルートゥースを使用して通信することができる。つまり、同じ実施形態のマイクロホン100又は200、プロセッサ500、及びエミッタ400は、各々が自己の回路を有し、無線で通信することができる。
【0050】
実施例1
本発明の実施形態をSouthern Alberta Institute of Technologyにおける研究室において試験し、この段落に記述した方法及び材料を実践した。大凡20ゲージの張ったワイヤを、大凡0.6メートル離して2つの固定位置の間で接続した。2つの棒磁石を、ワイヤが磁石の両極の間を通るように、ワイヤの固定位置の一つの端部に取り付けた。これにより電流が印加されると電磁力が生じる。オーディオスピーカを信号発生器及び増幅器に接続し、箱内において音声を出すように位置付けた。箱は、ワイヤの真下0.5cm以内に位置する大凡10cmの(ギターの音声穴と同様の)音声穴を持つよう構成した。マイクロホンを、箱内側の音声を測定するように、箱の側壁を通して取り付けた。この特定の試験のセットアップを使用して、周囲音声を制御した。音波を出すようにスピーカを調整し、スピーカの音波と逆位相の音波を出すようにワイヤを調整すると、スピーカによって出される音声とワイヤによって出される音声とが互いに相殺されることが予想された。第一に、箱内で測定される146.8Hzの固定信号でスピーカを駆動し、次に、音声穴を通して出させた。第二に、146.8Hzの固定された逆位相信号でワイヤを駆動し、結果として同じ周波数においてワイヤを振動させた。第三に、146.8Hzの固定信号及び146.8Hzの固定された逆位相信号の両方を出させた。最後に、結果として、組み合わされた音声を測定した。50%超の音声低減が測定された。
【0051】
本発明は、幾他の用途があり得る。例えば、
(i)前述したような交通遮音塀。
(ii)水圧破砕設備を包囲する又は取り囲むように構成された、例えば、大凡20ft(6.1m)の高さ、大凡12ft(3.7m)の幅の一連の区域などの、大きいフェンス内に又はそれとして本発明が取り付けられる掘削(水圧破砕)現場などにおける産業的な騒音の防御。
(iii)例えば、圧縮機、ポンプ、エンジン、エアコン及び他の機械装置を含む設備を取り囲むことによって、それらによって生成される騒音を低減する。
(iv)本発明が壁又はパーティションに又はその内部、例えば、職場、病院又は家庭において使用されて、音声を低減する又は静かな部屋若しくは領域を作り出すことができる室内の騒音の防御。
(v)例えば、本発明を自動車の壁又は床面に取り付けることによる自動車騒音の低減。
(vi)例えば、本発明を航空機の壁、天井及び床面に取り付けることによる航空機騒音の低減。及び
(vii)音楽会場若しくはテントの壁又は防水シート、又はレストラン、バー及び大きい屋内ミーティングルームなどにおけるエンターテインメント領域。
【0052】
実施例2
本発明の実施形態をTangent Design Engineering Ltdによって試験し、この段落に記述し、図15図15eに例証した方法及び材料を実践した。この実施形態では、ワイヤ1410が膜1420においてラミネート加工されている。膜は2つのプレート1330a及び1330bの間に挟まれている。第一のマイクロホン1201が、プレート1330aと垂直かつプレート1330bから離れる第一の方向にプレート1330aから大凡50cmに位置付けられている。第二のマイクロホン1202が、第一の方向と反対の第二の方向にプレート1330bから大凡50cmに位置付けられている。各プレートは、膜に対向するプレートの側面に固定された細長の平面磁石1300を有する。両方のプレートが穿孔されている。磁石は互いに平行に配置されており、プレート1330aの磁石は、プレート1330bの磁石と位置を合わせている。ワイヤ1410は、全長を有し、各全長がプレート1330aの2つの隣り合う磁石とそれらと対応するプレート1330bの磁石との間に画定された中心線に沿って位置付けられるように、ジグザグ配置に配置されている。各々のプレートの各端に沿って、各プレートと膜との間にスペーサ1332がある。装置1000は、装置の周囲に沿って位置するプレート、スペーサ及び膜における対応する穴1970を通り抜けるボルト1960にねじ込まれるナット1950と、各ナットとプレートとの間に位置付けられたワッシャ1952とを共に用いて保持される。膜及びそこにラミネート加工されたワイヤは、各プレートのスペーサがそれらの間の膜と共に互いに対して押し進められる力によって張った状態で保持される。
【0053】
図16を参照し、装置1000を、騒音源スピーカ2100から第一の方向に大凡6インチ(15.24cm)に位置付けた。第一の試験マイクロホン2200を、騒音源スピーカから第一の方向に大凡40ft(12.19m)に位置付けた。第二の試験マイクロホン2210を、騒音源スピーカから第一の方向に大凡70ft(21.34m)に位置付けた。第三の試験スピーカ2202を、第一の方向と略垂直の第二の方向に第一の試験マイクロホン2200から大凡12ft(3.67m)に位置付けた。第四の試験スピーカ2204を、第一の方向と略反対の第三の方向に第一の試験マイクロホン2200から大凡12ft(3.67m)に位置付けた。第五の試験スピーカ2206を、第二の方向に第二の試験マイクロホン2210から大凡16ft(4.88m)に位置付けた。第六の試験スピーカ2208を、第三の方向に第二の試験マイクロホン2210から大凡16ft(4.88m)に位置付けた。第二の試験を、騒音源スピーカ2100から第一の方向に大凡13ftに位置付けられた装置1000と、同じ位置に留まる試験マイクロホンを用いて実施した。
【0054】
1kHzの正弦波を騒音源スピーカから出した。感知された音声の測定値を、試験スピーカの各々によって測定した。180°位相をシフトさせて、騒音源スピーカと同じ周波数の正弦波を装置に出させた。装置1000の作動後に試験スピーカにおいて大凡12.2dBの騒音の低減が観測された。
【0055】
条項
条項1。マイクロホンの所定の周辺における一つ以上の特徴を検出するように構成されたマイクロホンを使用することによって、音波の一つ以上の特徴を検知することと、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、マイクロホンに連結されたプロセッサを使用して、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算することと、反転された音波に従いプロセッサによって選択された電流をワイヤを通して流すことによってワイヤを振動させて、反転された音波を出すことと、を含み、ワイヤが張った状態で膜に連結されており、ワイヤが、第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石の間の中心線に略沿って延伸するように位置付けられており、磁石の各々が、長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり、第一の磁石と第三の磁石とが、N極が対向するように向きを合わせており、第二の磁石と第四の磁石とが、S極が対向するように向きを合わせており、第一及び第二の磁石が、第一のプレートに連結されており、第三及び第四の磁石が、第二のプレートに連結されており、これらが4つの磁石の間に中心線を画定し、第一のプレート及び第二のプレートが、各々、より平らな部材である、音波生成のための方法。
【0056】
条項2。検知が複数の位置において検知することを含む、条項1~18のいずれか一つ以上の方法。
【0057】
条項3。複数の位置が第一の位置及び第二の位置を含み、計算が、さらに、第一の位置と第二の位置との間の距離、及び第一の位置及び第二の位置の各々において一定時間にわたって検出された一つ以上の特徴に基づいて、第一の位置と第二の位置との間の音声の速度をコンピュータ計算することを含む、条項1~18のいずれか一つ以上の方法。
【0058】
条項4。一つ以上の特徴が周波数及び振幅の一つ以上を含む、条項1~18のいずれか一つ以上の方法。
【0059】
条項5。マイクロホンの所定の周辺において検出された音波の一つ以上の特徴を検出するように構成されたマイクロホンと、一つ以上の特徴に基づく反転された音波を計算するように構成された、マイクロホンに連結されたプロセッサと、電源と、及び、それらの間に間隙を空けて平行面に配置されており、各プレートがより平らな部材である第一のプレート及び第二のプレートと、第一のプレートと第二のプレートとの間の間隙に位置付けられた張った状態の膜と、プロセッサに連結された少なくとも一つのエミッタモジュールと、を備えており、各エミッタモジュールが、陽極及び陰極を各々が持つ第一、第二、第三及び第四の磁石を含む4個以上の磁石であって、磁石も各々が、長方形の形状の角を占有するように長方形の形状に配置されており、細長かつ平面であり、第一の磁石と第三の磁石とが、N極が対向するように向きを合わせており、第二の磁石と第四の磁石とが、S極が対向するように向きを合わせており、第一及び第二の磁石が第一のプレートに連結されており、第三及び第四の磁石が第二のプレートに連結されており、4つの磁石の間に中心線を画定する、4個以上の磁石と、導電材料から作られており、膜に連結されることによって張った状態であり、中心線に略沿って延伸するワイヤと、プロセッサによって選択された電流をワイヤを通り抜けて供給してワイヤを振動させることによって、反転された音波を出すように構成された電源と、を備えた、音波生成のための装置。
【0060】
条項6。ワイヤが膜の2枚のシートの間にラミネート加工された、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0061】
条項7。ワイヤが、2つ以上の全長を有し、2つ以上の全長のうちの少なくとも一つの全長が中心線と略平行に位置付けられるように、ジグザグ配置に配置された、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0062】
条項8。第一のプレート及び第二のプレートのいずれか又は両方が穿孔された、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0063】
条項9。4個以上の磁石が互いに平行に配置されており、第一のプレートに連結された磁石が、第二のプレートに連結された磁石と位置を合わせた、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0064】
条項10。マイクロホンがワイヤの1cm以内に位置付けられた、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0065】
条項11。少なくとも一つのエミッタモジュールが第一のエミッタモジュール及び第二のエミッタモジュールを含み、第一のエミッタモジュールのワイヤが、第二のエミッタモジュールのワイヤと略平行であり、その1cm以内に位置付けられた、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0066】
条項12。少なくとも一つのエミッタモジュールが第一のエミッタモジュール及び第二のエミッタモジュールを含み、第一のエミッタモジュールのワイヤが、第二のエミッタモジュールのワイヤと略垂直である、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0067】
条項13。マイクロホンから距離を空けた第二のマイクロホンをさらに含み、プロセッサが、さらに、距離に基づいてかつ前述のマイクロホン及び第二のマイクロホンによって一定時間にわたって検出された音波を比較することによって、前述のマイクロホンと第二のマイクロホンとの間の音声の速度を計算するように構成されており、一つ以上の特徴が音声の速度を含む、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0068】
条項14。一つ以上の特徴が周波数及び振幅の一つ以上を含む、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0069】
条項15。さらに、構造に関連して取り付けられた、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0070】
条項16。構造が壁、防水シート、スクリーン及びフェンスの一つ以上である、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0071】
条項17。さらに、フレームに取り付けられた、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0072】
条項18。フレームがウィンドウに取り付けるためのものである、条項1~18のいずれか一つ以上の装置。
【0073】
開示した実施形態の前の記述が、任意の当業者が本発明を作る又は使用することを可能にするように提供される。それらの実施形態におけるさまざまな変更が当業者に容易に明らかになり、本明細書に定義された一般的な原則は、本発明の本質又は範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用できる。故に、本発明は、本明細書に示した実施形態に限定されることは意図されず、特許請求の範囲と一致する完全な範囲として認められる。冠詞「a」又は「an」の使用などによる単一の構成要素としての言及は、そのように明確に記載されない限り、「一つ及び一つのみ」を意味するようには意図されず、むしろ「一つ以上」を意味する。当業者に現在既知の又は後に既知となる、開示の至るところに記述されたさまざまな実施形態の構成要素のすべての構造的及び機能的な均等物は、特許請求の範囲の構成要素に網羅されていると意図される。加えて、本明細書に開示されたいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明白に述べられているか否かにかかわらず、公共に献呈されることは意図されない。構成要素が成句「のための手段」又は「のためのステップ」を使用して明示的に述べられていない限り、特許請求の範囲に記載のない構成要素も、35USC112、第六段落の規定に基づき解釈されるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
【国際調査報告】