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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】接続装置を有する駆動モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20220629BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K15/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529462
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020062056
(87)【国際公開番号】W WO2020221870
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102019111335.0
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バルター、ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ゴース、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】バルト、フォルカー
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604QA08
5H604QB03
5H604QB14
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP15
5H615SS04
5H615SS09
5H615SS10
5H615SS16
5H615SS19
(57)【要約】
本発明は、吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータに関し、駆動モータ(20,120)は、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)により回転軸(D)を中心として回転可能にステータに、またはステータ(80)に関して支承されたモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)とを有し、駆動モータ(20,120)は励起コイル構造(86)に通電をするための通電装置(206,306)へ駆動モータを電気的に接続するための接続装置(100)を有し、接続装置(100)は、ステータ(80)に取り付けるための本体(103)と、本体(103)から屹立する収容アーム(108)とを有し、これらの間に励起コイル構造(86)の励起コイル(87)の少なくとも1つの電気的なコイル導体(88)のための導体収容部(107)が形成され、接続装置(100)は通電装置(206,306)と結合するための接続導線(15)を電気的に接続するための接続コンタクト領域(101)を有する。収容アーム(108)と本体(103)が導電性の2つの結合領域(118,119)によって相互に結合されて、導体収容部(107)を環状に取り囲む収容アイレット(119A)を構成し、それにより導体収容部(107)は閉じた状態を有し、溶接電流が本体(103)と収容アーム(108)との間で電気的な結合領域(118,119)を介して導体収容部(107)のそばを流れることができることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータであって、前記駆動モータ(20,120)は、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)により回転軸(D)を中心として回転可能に前記ステータに、または前記ステータ(80)に関して支承されたモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)とを有し、前記駆動モータ(20,120)は前記励起コイル構造(86)に通電をするための通電装置(206,306)へ前記駆動モータを電気的に接続するための接続装置(100)を有し、前記接続装置(100)は、前記ステータ(80)に取り付けるための本体(103)と、前記本体(103)から屹立する収容アーム(108)とを有し、これらの間に前記励起コイル構造(86)の励起コイル(87)の少なくとも1つの電気的なコイル導体(88)のための導体収容部(107)が形成され、前記接続装置(100)は前記通電装置(206,306)と結合するための接続導線(15)を電気的に接続するための接続コンタクト領域(101)を有する、駆動モータにおいて、前記収容アーム(108)と前記本体(103)が導電性の2つの結合領域(118,119)によって相互に結合されて、前記導体収容部(107)を環状に取り囲む収容アイレット(119A)を構成し、それにより前記導体収容部(107)は閉じた状態を有し、溶接電流が前記本体(103)と前記収容アーム(108)との間で電気的な結合領域(118,119)を介して前記導体収容部(107)のそばを流れることができることを特徴とする駆動モータ。
【請求項2】
前記収容アーム(108)は、前記導体収容部(107)が開いた状態を有していて少なくとも1つのコイル導体(88)を挿入するために1つの側で開いている、前記本体(103)から間隔をおく位置から、前記導体収容部(107)が閉じた状態を有する、前記本体(103)へと向かって位置調節された位置へと位置調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の駆動モータ。
【請求項3】
前記収容アーム(108)の自由端は、特に前記収容アーム(108)の端面または狭小面は、電気的な前記結合領域(119)のうちの1つを形成するために、溶接電流の通電前および通電時に前記本体(103)と接触コンタクトすることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動モータ。
【請求項4】
前記収容アーム(108)は一方または両方の電気的な前記結合領域(118,119)で特に電気溶接により前記本体(103)と溶接されることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項5】
前記収容アーム(108)は結合区域(109)により前記本体(103)と固定的に結合され、または一体的であることを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項6】
前記結合区域(109)は電気的な前記結合領域(118)のうちの1つを構成することを特徴とする、請求項5に記載の駆動モータ。
【請求項7】
前記結合区域(109)は円弧状または湾曲した形状を有し、および/またはV字型もしくはU字型であり、および/または前記導体収容部(107)の収容窪みもしくは底面を構成することを特徴とする、請求項5または6に記載の駆動モータ。
【請求項8】
前記収容アーム(108)は、前記導体収容部(107)が閉じた状態にあるときに前記導体収容部(107)の領域で、少なくとも1つのコイル導体(88)を収容するのに適した間隔をおいて、特に平行間隔をおいて、前記本体(103)の前面(114)に向かい合うアーム区域(110)を有することを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項9】
前記アーム区域(110)は、前記導体収容部(107)が開いた状態にあるとき、前記導体収容部(107)が閉じた状態にあるときよりも大きい角度で前記本体(103)の前記前面(114)から間隔をおくことを特徴とする、請求項8に記載の駆動モータ。
【請求項10】
前記収容アーム(108)は、前記アーム区域(110)から前記本体(103)の前記前面(114)の方向へ前記アーム区域(110)から屹立する閉止脚部(111)を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の駆動モータ。
【請求項11】
前記アーム区域(110)は前記導体収容部(107)が閉じた状態にあるときに前記本体(103)の前記前面(114)と実質的に平行に延び、および/または前記導体収容部(107)は前記アーム区域(110)の領域に、複数のコイル導体(88)を連続配置で前記アーム区域(110)の長手方向と平行に収容するための長尺形態を有することを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項12】
前記本体(103)は前記ステータ(80)の差込収容部(96)へ差し込むための少なくとも1つの差込突起(104)を有することを特徴とする、請求項1から11のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記差込突起(104)は前記本体(103)および/または前記収容アーム(108)の前に側方で突出し、および/または前記本体(103)から互いに反対の側でそれぞれ1つの差込突起(104)が屹立することを特徴とする、請求項12に記載の駆動モータ。
【請求項14】
少なくとも1つの前記差込突起(104)は前記本体(103)から屹立する自由端領域に、前記ステータ(80)の差込収容部(96)へ、特に噛合部へ形状接合式に係合するための少なくとも1つの形状接合輪郭(105)を有することを特徴とする、請求項12または13に記載の駆動モータ。
【請求項15】
少なくとも1つの前記差込突起(104)は前記導体収容部(107)を区切っている前記本体(103)の区域に配置され、および/または少なくとも1つの前記差込突起(104)の自由端領域と前記本体(103)とは互いに平行に互いに間隔をおく平面に位置することを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項16】
前記本体(103)と前記収容アーム(108)との間の電気的な前記結合領域(118,119)のうちの少なくとも1つに、前記結合領域(118,119)で前記導体収容部(107)の内面に対して、特に底面に対して、間隔をおいて少なくとも1つのコイル導体(88)を支持するための支持輪郭(99)が配置され、それにより少なくとも1つの前記コイル導体(88)が溶接電流の通電中に前記結合領域(118,119)と接触コンタクトしないことを特徴とする、請求項1から15のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項17】
前記支持輪郭は前記接続装置(100)とは別個のコンポーネントに、特に前記ステータ(80)または組立装置(250)に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の駆動モータ。
【請求項18】
前記本体(103)と前記収容アーム(108)との間の電気的な前記結合領域(118,119)は前記ステータ(80)の2つの支持輪郭(99)の間に、特に前記ステータ(80)の電気絶縁性の支持体(90)にある2つの支持輪郭の間に、配置され、前記支持輪郭は少なくとも1つのコイル導体(88)を特に窪み状の前記結合領域(118,119)に対して間隔をおいて支持することを特徴とする、請求項1から17のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項19】
前記接続装置(100)は前記導体収容部(107)の領域に長尺状の載置面(107A)ならびにこれに対して角度をなす側方の狭小面(107B)を有し、前記載置面(107A)と前記狭小面(107B)との間に、前記載置面(107A)および前記狭小面(107B)に対して傾斜する斜面(107C)が少なくとも1つのコイル導体(88)の支持のために配置されることを特徴とする、請求項1から18のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項20】
吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータ(20,120)の電気的接続装置100)を組み立てる方法であって、前記駆動モータは、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)により回転軸(D)を中心として回転可能に前記ステータに、または前記ステータ(80)に関して支承されたモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)とを有し、前記駆動モータは前記励起コイル構造(86)に通電をするための通電装置(206,306)へ前記駆動モータを電気的に接続するための接続装置(100)を有し、前記接続装置(100)は、前記ステータ(80)に取り付けるための本体(103)と、前記本体(103)から屹立する収容アーム(108)とを有し、これらの間に前記励起コイル構造(86)の励起コイル(87)の少なくとも1つの電気的なコイル導体(88)のための導体収容部(107)が形成され、前記接続装置(100)は前記通電装置(206,306)と結合するための接続導線(15)を電気的に接続するための接続コンタクト領域(101)を有する、方法において、
少なくとも1つのコイル導体(88)が前記導体収容部(107)へ挿入され、
導電性の2つの結合領域(118,119)を形成しながら前記収容アーム(108)と前記本体(103)とが結合され、それにより前記収容アーム(108)と前記本体(103)とが前記導体収容部(107)を環状に取り囲む収容アイレット(119A)を形成し、前記導体収容部(107)は閉じた状態を有し、
前記本体(103)と結合アームに溶接電極が当て付けられ、電気的な前記結合領域(118,119)を介して前記導体収容部(107)のそばを通って前記本体(103)と前記収容アーム(108)との間を流れる溶接電流が通電されることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記導体収容部(107)が開いた状態を有していてコイル導体(88)の挿入のために1つの側で開いている、前記本体(103)から間隔をおく位置から、前記導体収容部(107)が閉じた状態を有する、前記本体(103)に向かって位置調節された位置へと、特に少なくとも1つの溶接電極を用いて前記収容アーム(108)が位置調節され、特に曲げられることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
特に少なくとも1つの溶接電極を用いて前記本体(103)の方向へ前記収容アーム(108)の端部領域が部分的に変形されて、前記収容アーム(108)の自由端が、特に前記収容アーム(108)の端面または狭小面が、電気的な前記結合領域(118,119)のうちの1つを形成するために、溶接電流の通電前および通電時に前記本体(103)と接触コンタクトするようにされることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器具のための、または手動工作機械もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータに関し、駆動モータは、励起コイル構造を有するステータと、軸受構造により回転軸を中心として回転可能にステータに、またはステータに関して支承されたモータシャフトを有するロータとを有し、駆動モータは励起コイル構造に通電をするための通電装置へ駆動モータを電気的に接続するための接続装置を有し、接続装置は、ステータに取り付けるための本体と、本体から屹立する収容アームとを有し、これらの間に励起コイル構造の励起コイルの少なくとも1つの電気的なコイル導体のための導体収容部が形成され、接続装置は通電装置と結合するための接続導線を電気的に接続するための接続コンタクト領域を有する。さらに本発明は、このような種類の駆動モータのこのような種類の電気的な接続装置を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような種類の接続装置は、ターミナルと呼ぶこともできる。電気的な接続導線がターミナルにたとえば差し込まれ、または溶着され、そのような方式で励起コイルを通電装置と電気的に結合する。
【0003】
典型的には、接続導線との結合のための役目を果たすプレート状の本体から、収容アームが斜めに角度をなして屹立しており、それにより導体収容部は、1つのコイル導体または複数のコイル導体を導体収容部へ挿入するために側方で開いている。収容アームと本体との間に湾曲した底面領域が存在し、その上にコイル導体が載置される。引き続いて収容アームが本体に向かって動かされ、たとえば曲げられる。最後に溶接電極を通じて溶接電流が接続装置に導入され、この溶接電流が特に底面領域を通って流れ、そこで著しい加熱を生じるように作用し、それにより、たとえばコイル導体の保護塗料が溶融して、コイル導体と接続装置との間で電気的な結合が成立する。
【発明の概要】
【0004】
しかし、導体収容部の底面の領域での高い熱は、少なからぬケースにおいて、コイル導体が駆動モータの作動時に破断する程度にまでそこで変化することにつながる。
【0005】
したがって本発明の課題は、改善された接続装置を提供することにある。
【0006】
この課題を解決するために、冒頭に述べた種類の駆動モータにおいて、収容アームと本体が導電性の2つの結合領域によって相互に結合されて、導体収容部を環状に取り囲む収容アイレットを構成し、それにより導体収容部は閉じた状態を有し、溶接電流が本体と収容アームとの間で電気的な結合領域を介して導体収容部のそばを流れることができることが意図される。
【0007】
収容アイレットは導体収容部の周りで環状に閉じられており、それにより、溶接電流が導体収容部の周りを流れ、もしくは流れることができる。
【0008】
収容アームと本体は、少なくとも1つのコイル導体を収容するために、導体収容部を環状に取り囲む収容アイレットを形成し、この収容アイレットは導電性の2つの結合領域を本体と収容アームとの間に有し、これらの間に導体収容部が配置される。
【0009】
ここでの基本思想は、電流がたとえば移行領域や結合区域などの電気的な結合区域を介して本体と収容アームとの間で流れるのではなく、第2の結合領域を介して流れるので、導体収容部がそれぞれの結合領域の間でいわば溶接電流により貫流されるというものである。さらに第2の電気的な結合区域は、溶接電流が接続装置を部分的に高い程度に加熱するのではなく、2つの接続区域が利用されて、熱分布がいっそう好都合になるように作用する。それにより、たとえばコイル導体がさほど熱くならず、したがってさほど悪影響を受けることがない。
【0010】
課題を解決するために、吸引器具のための、または手動工作機械もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータを電流供給装置へ電気的に接続するための接続装置も適しており、駆動モータは、励起コイル構造を有するステータと、軸受構造により回転軸を中心として回転可能にステータに、またはステータに関して支承されたモータシャフトを有するロータとを有し、接続装置は、ステータに取り付けるための本体と、励起コイル構造の励起コイルの少なくとも1つの電気的なコイル導体のための導体収容部とを有し、導体収容部は本体と収容アームとの間に形成され、接続装置は駆動モータに電流供給をするための接続導線の電気的な接続のための接続コンタクト領域を有する。収容アームと本体が導電性の2つの結合領域によって相互に結合されて、導体収容部を環状に取り囲む収容アイレットを構成し、それにより導体収容部は閉じた状態を有し、溶接電流が本体と収容アームとの間で電気的な結合領域を介して導体収容部のそばを流れることができることが意図される。
【0011】
冒頭に述べた種類の方法は、課題を解決するために次のことを意図する:
-少なくとも1つのコイル導体が導体収容部へ挿入され、
-導電性の2つの結合領域を形成しながら収容アームと本体とが結合され、それにより収容アームと本体とが導体収容部を環状に取り囲む収容アイレットを形成し、導体収容部は閉じた状態を有し、
-本体と結合アームに溶接電極が当て付けられ、電気的な結合領域を介して導体収容部のそばを通って本体と収容アームとの間を流れる溶接電流が通電される。
【0012】
特にこの方法は、導体収容部が開いた状態を有していてコイル導体の挿入のために1つの側で開いている、本体から間隔をおく位置から、導体収容部が閉じた状態を有する、本体に向かって位置調節された位置へと、特に少なくとも1つの溶接電極を用いて収容アームが位置調節されること、特に曲げられることを含んでいると好ましい。すなわち収容アームは、当初は本体から離れるように位置調節されており、それにより、少なくとも1つのコイル導体を導体収容部へ容易に挿入可能である。その後、収容アームが本体へと向かって動かされ、すなわち導体収容部が閉じられる。このような位置調節または曲げのために、たとえば押込みダイなどの、溶接電極とは別個の曲げ装置を利用することができる。しかしながら、溶接電極が同時に位置調節装置または曲げ装置を提供すると好ましい。
【0013】
ここで付言しておくと、溶接電極のうちの少なくとも1つはその自由端に先端部を有するか、または細くなって終わっているのが好ましく、それにより、接続装置を担持するステータと、特にステータの支持体と、接続装置との間の中間スペースへと案内可能である。この溶接電極は、接続装置を、特にその本体を、定置に支持する溶接電極であるのが好ましい。この溶接電極に向かい合う溶接電極が、溶接アームを本体に向かって位置調節するための役目を果たす。
【0014】
収容アイレットの領域における接続装置の材料は、すなわちたとえば本体および本体から屹立する収容アームの材料は、金属材料、特に軟質の金属材料、たとえば銅、アルミニウムなどであるのが好ましい。収容アイレットの領域における接続装置の材料の硬度は、たとえば2.5から3のモース硬度に相当し、または、100gの試験力のもとでの77~99のビッカース硬度(VHN)に相当する。
【0015】
収容アームは、いわば本体との電気的なコンタクトのために、ないし電気的な結合領域を成立させるために、たとえば閉止脚部が収容アームのアーム区域から本体の方向へ突出することによって、機械的に準備または構成されることが意図されていてよい。あるいは、たとえば(1つまたは複数の)閉止電極あるいは押込みダイが収容アームを加工し、特に変形させることも可能である。少なくとも1つの溶接電極を用いての、本体の方向への収容アームの端部領域の部分的な変形が意図されて、収容アームの自由端が、特に収容アームの端面または狭小面が、電気的な結合領域のうちの1つを形成するために、溶接電流の通電前および通電時に本体と接触コンタクトするようになっているのが好ましい。たとえば溶接電極または押込みダイは、収容アームの変形によって閉止脚部を形成することができる。
【0016】
収容アームは、導体収容部が開いた状態を有していて少なくとも1つのコイル導体を挿入するために1つの側で開いている、本体から間隔をおく位置から、導体収容部が閉じた状態を有する、本体へと向かって位置調節された位置へと位置調節可能であるのが好ましい。たとえば収容アームは、導体収容部が開いた状態にあるときに本体の前に突き出すフック状突起を形成する。すなわち、導体収容部は開いた状態にあるときに挿入開口部を有する。たとえば収容アームは、導体収容部が開いた位置にあるとき、本体からV字型に屹立する。
【0017】
収容アームの自由端は、特に収容アームの端面または狭小面は、電気的な結合領域のうちの1つを形成するために、溶接電流の通電前および通電時に本体と接触コンタクトすることが意図されるのが好ましい。この接触コンタクトは、たとえば収容アームと本体に当接する溶接電極が収容アームの自由端に接触コンタクトし、本体と電気的にコンタクトしたまま保たれることによって維持される。他ならぬ接触コンタクト領域では、接続装置が溶接電流で負荷されたとき、当初はまだ自由端である収容アームの端部を本体とともに溶融または溶接する熱が発生する。
【0018】
収容アームが一方または両方の電気的な結合領域で、特に電気溶接により、本体と溶接されることが可能であるのが好ましい。しかしながら収容アームが、電気的な結合領域のうちの1つでのみ、すなわち当初はまだ自由端である端部領域でのみ、本体と溶接されると好ましい。あるいは収容アームは、本体とは当初は別個であるコンポーネントであってもよく、これが結合領域で本体と溶接される。たとえば収容アームは、ロックストライカーのような形式で構成されていてよい。
【0019】
上述したように、収容アームと本体が互いに別個の2つのコンポーネントであることが可能である。しかしながら、収容アームが結合区域によって本体と固定的に結合されているか、または一体的であると好ましい。
【0020】
結合区域は、たとえば電気的な結合領域のうちの1つを形成することができる。結合区域を介して、溶接電流が本体から収容アームへと流れることができる。
【0021】
結合区域は、特に円弧状または湾曲した形状を有する。
【0022】
たとえば結合領域は、導体収容部の収容窪みまたは底面を形成する。
【0023】
結合区域がV字型またはU字型であることが可能である。
【0024】
収容アームは、たとえば長尺状の形態を有することができる。あるいは収容アームは、円弧状、U字型、またはV字型の形状を有することもできる。
【0025】
収容アームは、導体収容部が閉じた状態にあるときに導体収容部の領域で、少なくとも1つのコイル導体を収容するのに適した間隔をおいて、特に平行間隔をおいて、本体の前面に向かい合うアーム区域を有していると好ましい。アーム区域は、たとえば結合区域を介して本体と結合される。アーム区域と本体は導体収容部の領域で、長尺形態を有するのが好ましい。たとえば本体とアーム区域との間の平行間隔部に、コイル導体の連続配置またはスタック、すなわち少なくとも2つのコイル導体が収容されていてよい。
【0026】
アーム区域は、導体収容部が開いた状態にあるとき、導体収容部が閉じた状態にあるときよりも大きい角度で本体の前面から屹立することが意図されるのが好ましい。たとえばアーム区域は、開いた状態のときには傾斜角をもって本体から屹立し、閉じた状態のときには本体の前面に対して平行に延びる。
【0027】
収容アームは、アーム区域から本体の前面の方向へとアーム区域から屹立する閉止脚部を有していると好ましい。閉止脚部は、アーム区域から角度をなして屹立する。閉止脚部は、たとえばアーム区域から直角に屹立する。しかしながらアーム区域からの閉止脚部の傾斜は、導体収容部から離れていくように意図されるのが好ましい。
【0028】
閉止脚部の長さ、およびアーム区域に対するその角度位置は、閉止脚部と結合区域が設けられている長手方向端部領域でアーム区域が、導体収容部が閉じた状態にあるとき、本体の前面に対して同一の間隔またはほぼ同一の間隔を有するように構成されるのが好ましい。
【0029】
いずれの場合にも、導体収容部が閉じた状態にあるとき、アーム区域が本体の前面に対して実質的に平行に延びるのが好ましい。
【0030】
さらに、導体収容部はアーム区域の領域で、アーム区域の長手方向に対して平行に連続配置で複数のコイル導体を収容するための長尺形態を有することが意図されるのが好ましい。
【0031】
差込組立が好ましい。特に本体は、ステータの差込収容部へ差し込むための少なくとも1つの差込突起を有することが意図される。
【0032】
差込突起は、たとえば導体収容部の長手方向に対して平行に延びることができる。たとえば、接続コンタクト領域と差込突起とが、本体の互いに反対側の長手方向端部領域に設けられることが可能である。
【0033】
しかしながら少なくとも1つの差込突起が、本体および/または収容アームの前へ側方で突出すると好ましい。たとえば差込突起は、本体の前に側方で突出する側方脚部を形成する。それに対して収容アームは、本体の前に前面で突出する前側の脚部を形成するのが好ましい。
【0034】
本体から互いに向かい合う側で、それぞれ差込突起が屹立することが意図されるのが好ましい。差込突起と接続コンタクト領域は、たとえばT字型のコンフィグレーションを形成することができる。
【0035】
少なくとも1つの差込突起が、本体から屹立する自由端領域に、ステータの差込収容部へ形状接合式に係合するための少なくとも1つの形状接合輪郭、特に噛合部を有していると好ましい。あるいは形状接合輪郭は、たとえば逆鉤、面取りされた区域などを有することもできる。接続装置を通って溶接電流が流れると、これが加熱され、それにより差込収容部の領域でステータの材料が、好ましくはプラスチック材料が柔らかくなり、少なくとも1つの形状接合輪郭と溶接される。当然ながら、少なくとも1つの形状接合輪郭が、ステータの差込収容部に切り込んで、そこで接続装置の保持のために作用する1つまたは複数のエッジを有することも可能である。
【0036】
少なくとも1つの差込突起は、導体収容部を区切っている本体の区域に配置されることが意図されるのが好都合である。このコンフィグレーションでは、差込突起は導体収容部の領域で接続装置の保持のために作用する。たとえば、それによってすでに述べたT字型の形態が生じる。
【0037】
さらに、少なくとも1つの差込突起の自由端と本体とが、互いに平行かつ互いに間隔をおく平面に位置していると好ましい。差込突起と本体は、たとえば段部によって互いに結合される。
【0038】
特に、少なくとも1つの差込突起と本体との間に段部が存在していると好ましい。
【0039】
本体と収容アームとの間の電気的な結合領域のうちの少なくとも1つに、結合領域で導体収容部の内面に対して、特に底面に対して、間隔をおいて少なくとも1つのコイル導体を支持するための支持輪郭が配置されることが意図されるのが好ましく、それにより、少なくとも1つのコイル導体が溶接電流の通電中に結合領域と接触コンタクトすることがない。少なくとも1つの支持輪郭は、好ましくは複数の支持輪郭は、溶接電流により生成される熱によって結合領域から少なくとも1つのコイル導体に影響が及ぼされず、もしくはわずかな程度にしか及ぼされないようにするために作用する。
【0040】
原則として、少なくとも1つの支持輪郭が接続装置の構成要素を形成することが可能である。たとえば本体に支持輪郭が配置されていてよく、たとえば、凹部が配置されていてよく、コイル導体が本体と収容アームとの間の結合領域に対して間隔をおいてこれに支持される。接続装置が支持輪郭を提供する場合、支持輪郭と結合領域との間に熱的な絶縁部が存在していると好ましい。たとえば接続装置の支持輪郭を提供する、プラスチックなどからなる支持体が本体に配置されていてよい。
【0041】
支持輪郭は、接続装置とは別個のコンポーネントに、特にステータまたは組立装置に配置されることが意図されるのが好ましい。特に、ステータの積層薄板を担持および/または外装するステータの支持体が、たとえばステータのプラスチック支持体が、支持輪郭を提供すると好ましい。支持輪郭が駆動モータの構成要素を形成するのでなく、組立装置に配置されることも可能である。組立装置は、たとえば少なくとも1つのコイル導体を溶接プロセス中に支持して、導体収容部と並んで電気的な結合領域に対して間隔をおいて保持する支持突起を有することができる。溶接プロセスが完了すると、支持は必要なくなる。
【0042】
そのとき、コイル導体がたとえば接続装置の材料とすでに部分的に溶接されていてよく、それにより導体収容部に対して定置に保持される。
【0043】
2つの支持輪郭の間への接続装置の配置が好ましい。
【0044】
本体と収容アームとの間の電気的な結合領域は、ステータの2つの支持輪郭の間に、特にステータの電気絶縁性の支持体にある2つの支持輪郭の間に、配置されることが意図されるのが好ましく、これらの支持輪郭は少なくとも1つのコイル導体を、特に窪み状の結合領域に対して間隔をおいて支持する。たとえばステータの支持体に支持肩部が設けられていてよく、その上に少なくとも1つのコイル導体が載置される。
【0045】
コイル導体を機械的に保全するために、さらに別の方策が意図されていてよいのが好ましい。たとえば接続装置が導体収容部の領域に、長尺状の載置面ならびにこれに対して角度をなす側方の狭小面を有していると好ましく、載置面と狭小面との間に、載置面および狭小面に対して傾斜する斜面が少なくとも1つのコイル導体の支持のために配置される。載置面は、たとえば導体収容部の底面に設けられていてよい。ただし載置面という概念は、コイル導体が載置面の上に載置され、もしくは載置されなければならないと理解されるべきではなく、コイル導体は、たとえばすでに述べた1つまたは複数の支持輪郭によって、この載置面対して間隔をおいて保持される。
【0046】
接続装置の接続コンタクト領域は、たとえば通電装置との結合のために設けられる接続導体に差し込むための差込突起または差込収容部を含む。さらに接続コンタクト領域は、接続導体をはんだ付けするためのはんだ付け面および/または穴を有するのが好ましい。
【0047】
ロータに配置される磁石構造は、磁石、特に永久磁石を含む。
【0048】
たとえば、磁化された、またはロータの積層薄板で磁化されるのに適した、磁石の磁気体は、アルミニウム-ニッケル-コバルト、ビスマノールすなわちビスマスマンガンと鉄の合金、フェライト、たとえば硬磁性フェライトであってたとえばバリウム、ストロンチウムをベースとするもの、ネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)であって好ましくはジスプロシウムの添加物を含むもの、サマリウム-コバルト(SmCo)であって好ましくは20~25%の鉄成分を含むもの、たとえばSmCos、Srri2Coi7、Sm(Co,Cu,Fe,Zr)などからなる。希土類磁石またはプラスチックマグネットも可能である。さらに、AlNiCo合金、PtCo合金、CuNiFeおよびCuNiCo合金、FeCoCr合金、マルテンサイト鋼、またはMnAlC合金が磁石体に適している。
【0049】
駆動モータは、ブラシレスモータまたは電子整流モータであるのが好ましい。特に、駆動モータのそれぞれのステータが永久磁石を有するか、または永久磁石によって励起されると好ましい。
【0050】
ロータおよび/またはステータの積層薄板は、積層された電気鉄板または変圧器鉄板からなるのが好ましい。
【0051】
駆動モータのステータは、特にポリアミドなどのプラスチックからなる支持体を含むのが好都合である。支持体は、たとえばステータの積層薄板への注型および/または押出被覆によって製作される。支持体が、積層薄板に差し込まれる1つまたは複数の差込体または差込支持体を含むことも可能である。たとえば積層薄板の一方または両方の端面に、このような種類の差込支持体が差し込まれていてよい。支持体は、ロータ収容部領域で、および/または積層薄板の一方または両方の端面の領域で、積層薄板を覆うのが好ましい。支持体には、励起コイル構造のコイル導体を収容するための支持部、支持突起、アングルヘッドなどが設けられるのが好ましい。さらに支持体は、接続導線を接続するための電気的な接続コンタクトまたは接続装置を有するのが好ましく、これによって駆動モータを通電装置と結合可能であり、または結合される。
【0052】
次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、2つの電気的な駆動モータと、これらの駆動モータを有する手動工作機械とのシステムを示す斜視外観図である。
図2図2は、図1のシステムの駆動モータのうちの一方を示す側面図である。
図3図3は、図2の切断線A-Aに沿ったシステムの断面図である。
図4図4は、図1のシステムの他方の駆動モータを、図2に準ずる切断線A-Aにほぼ沿って示す断面図である。
図5図5は、図4の駆動モータの絶縁スリーブを示す外観図である。
図6図6は、図4の駆動モータのロータを示す外観図である。
図7図7は、製造時における図6のロータを、図6の切断線B-Bにほぼ沿って示す断面図である。
図8図8は、図7にほぼ準ずる図であるが、ここではモータシャフトがロータ積層薄板へ全面的に差し込まれている。
図9図9は、図8の詳細部分D1を示す図である。
図10図10は、図1の部分D2にほぼ準じて図1のステータを示す斜視外観図である。
図11図11は、接続装置を明示するために図10のステータを切断線C-Cに沿って示す断面図である。
図12図12は、接続装置が側方で開いた状態を示す。
図13図13は、接続装置が側方で閉じた状態を示す。
図14図14は、図12の接続装置を示す外観図である。
図15図15は、図13の接続装置を示す外観図である。
図16図16は、図10から14に接続装置の組立と加工を、図10にほぼ準じて溶接プライヤーとともに斜視外観図で明示するための斜視外観図である。
図17図17は、切断線D-Dにほぼ沿って図16の構造を示す断面図である。
図18図18は、図17に準ずる図面であるが、溶接プライヤーアームが相互に動いている。
図19図19は、図1のステータの部分D3を溝蓋とともに示す図である。
図20図20は、溝蓋を示す斜視外観図である。
図21図21は、ステータ溝への図17の溝蓋の組付け中における図19の詳細部分D4を示す図である。
図22図22は詳細部分D4であるが、溝蓋がさらにステータ溝の中へ位置調節されている。
図23図23は、溝蓋の組付けが完了した詳細部分D4である。
図23B図23Bは、図23の図面にほぼ準ずる、溝蓋と溝の別案の実施形態を示す図である。
図24図24は、図19の溝蓋を製作するため、および図21から23のステータにこれを組み付けるための組立装置を示す模式図である。
図25図25は、前述のモータのロータの区域を図6の部分D5にほぼ準じて示す斜視外観図である。
図26図26は、前図のロータのバランス調整をするためのバランス調整装置を示す模式図である。
図27図27は、前図のロータを磁化装置とともに示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、駆動モータ20が作業用工具の工具収容部301をたとえば直接的に、または図面には見えていない伝動装置を介して駆動する手動工作機械300、たとえば鋸機械を含むシステム図を示している。工具収容部301に、たとえば切断工具、鋸工具などの作業用工具302を配置可能であり、または配置されている。駆動モータ20は工作機械300のハウジング303に収容されており、スイッチ304によってオンおよびオフすることができる。スイッチ304により、駆動モータ20の回転数も調整可能であるのが好ましい。
【0055】
手動工作機械300に電気的な電流供給をする役目を果たすのが、エネルギー供給網EVに接続をするための接続ケーブル305である。エネルギー供給網EVは、たとえば110V交流電圧、230V交流電圧などの供給電圧P1を提供する。手動工作機械300は、スイッチ304と駆動モータ20との間に介在する通電装置306を有することができる。
【0056】
駆動モータ20は、吸引器具400を作動させるためにも意図されていてよく、特に、吸引器具400の吸引タービンを駆動するためにも意図されていてよい。吸引器具400は駆動モータ20を有しており、たとえば接続ケーブル405によってエネルギー供給網EVに接続可能である。
【0057】
いずれの場合にも電圧P1は、手動工作機械200のエネルギー蓄積器205を提供する電圧P2よりも明らかに高く、たとえば少なくとも4倍から5倍だけ高い。電圧P2は、たとえば14V、18Vなどの直流電圧である。
【0058】
手動工作機械200は、たとえば電動ドライバー、ドリル機械などである。手動工作機械200のハウジング203には、低いほうの電圧P2に適した駆動モータ120が収容されている。駆動モータ120は、エネルギー蓄積器205によって電気エネルギーの供給を受ける通電装置206から通電を受ける。駆動モータ120は、たとえばドリル工具やドライバー工具などの作業用工具202のための工具収容部201を直接的に、または伝動装置208を介して駆動する。通電装置206は、スイッチ204によってスイッチオン可能、スイッチオフ可能、および/または駆動モータ120の回転数の調整のために構成される。
【0059】
駆動モータ20,120は、部分的に同一または類似のコンポーネントを有する。
【0060】
たとえば駆動モータ20,120では、選択的に使用可能なモータシャフト30および130がそれぞれ軸受区域31,32を有していて、これらの間に保持区域33が設けられる。軸受区域32は、工具収容部201または301を駆動する役目を果たすアウトプット区域34の横にある。アウトプット区域34にはたとえば歯車が配置されていてよく、または配置可能であってよい。別案として、モータシャフト130には図示するように噛合部35が存在する。保持区域33は、平坦な、すなわち形状接合輪郭形成部を有さないそれぞれの区域37の間に延びる形状接合輪郭形成部36を有するのが好ましい。
【0061】
形状接合輪郭形成部36は、たとえばモータシャフト30の長軸Lに対して平行に延びる溝および/または突起36Aを含む。
【0062】
あるいは波形溝、ハニカム状の構造などが形状接合輪郭形成部36として設けられていてもよい。
【0063】
モータシャフト130の形状接合輪郭形成部136は、たとえば長軸Lに対して斜めに傾いた形状接合突起136Aを含む。ただし形状接合突起136Aは、たとえば5度から15度の低い傾斜を有しており、それにより、形状接合突起136Aは長軸Lに対して実質的に平行に延びる。
【0064】
形状接合輪郭形成部36,136は、たとえば形状接合輪郭36B,136Bを構成する。
【0065】
アウトプット区域34は、ファンインペラを駆動するために意図されていてよい。たとえば、たとえば噛合部35と軸受区域32との間に配置されるファンインペラ保持部38がモータシャフト130に設けられる。
【0066】
モータシャフト30または130は、ロータ40,140の積層薄板41または141と回転不能に結合可能である。積層薄板41,141は、長軸Lに対して横向きに並んで配置された薄板43を連続構造で有しており、たとえば、それ自体周知の種類の電気鉄板や変圧器鉄板を有している。
【0067】
積層薄板41,141は、それぞれ異なる直径を有するシャフト通過開口部42,142を有している。シャフト通過開口部42は、シャフト通過開口部142よりも大きい直径を有している。シャフト通過開口部42には、モータシャフト30または130を絶縁スリーブ60を用いて挿入することができ、それに対して、シャフト通過開口部142にはモータシャフト30または130を直接挿入することができ、すなわち、絶縁スリーブやこれに類する他の物体が必要ない。
【0068】
絶縁スリーブ60は絶縁体60Aを構成し、これによって積層薄板41が、それぞれこれを担持するモータシャフト30または130から電気的に絶縁される。
【0069】
積層薄板41および141には磁石構造50が配置されている。積層薄板41または141は、磁石構造50の磁石50のための保持収容部45を有している。たとえば4つの保持収容部45およびこれに付属する磁石51が設けられ、それにより、ロータ40,140は全部で4つの磁極を形成することになる。磁石51は、たとえば永久磁石である。
【0070】
磁石51は、たとえばプレート状の形態を有する。磁石51は、たとえば磁気プレートまたはプレート体56である。保持収容部45はそれに応じてプレート状の、すなわち平坦で長方形の立体的なプレート体または磁気プレートの収容に適しており、相応の内側円周輪郭を有する。
【0071】
保持収容部45と磁石51は、モータシャフト30,130の長軸Lに対して平行に、ないしはモータ20,120の回転軸Dに対して平行に延びている。
【0072】
さらに、特に積層薄板41,141としてのロータ40は、モータシャフト30,130の長軸Lに対して平行に延びてロータ40,140の端面44で開いている空気通路46により貫通されており、それにより、積層薄板41,141を空気により貫流可能である。
【0073】
シャフト通過開口部42,142は、実質的に円形の内側円周輪郭を有しているが、回り止め輪郭47、特に回り止め収容部47Aをさらに追加的に有するのが好ましい。回り止め輪郭47は、たとえば回転軸Dまたは長軸と平行に延びる長手方向溝47Bである。
【0074】
両方のモータシャフト30,130を、それぞれ積層薄板41,141に挿入することができる。
【0075】
シャフト通過開口部142が他方の積層薄板41のシャフト通過開口部42よりも小さい直径を有している積層薄板141では、それぞれのモータシャフト30,130をシャフト通過開口部142へ直接挿入することができ、たとえば押し込むことができる。
【0076】
シャフト通過開口部42の内側円周を区切る、またはその中へ突出する、薄板43の狭小面または端面はモータシャフト30,130と爪固定されるのが好ましく、それにより、モータシャフトが力方向で回転軸Dまたは長軸Lに対して平行に、積層薄板141の中でスライド不能に収容される。積層薄板141および好ましくは金属からなるモータシャフト30,130の導電性は、積層薄板141とモータシャフト30,130との間の直接的なコンタクトにもかかわらず可能であり、それは、ロータ140が駆動モータ120との使用のために、およびそれに伴って低いほうの電圧P2用として意図されるからである。
【0077】
それに対してロータ40では絶縁措置が講じられており、それにより、モータシャフト30,130および付属の積層薄板41の導電性にもかかわらず、電気的な安全性が与えられる。
【0078】
すなわちロータシャフト30,130は、絶縁スリーブ60を用いて積層薄板41に収容される。絶縁スリーブ60は、シャフト通過開口部42の中に収容される区域で、いわばモータシャフト30,130の保護外套または外側の被覆を構成する。
【0079】
絶縁スリーブ60はその長手方向端部61,62の間に、積層薄板41とモータシャフト30,130との間でサンドイッチ状に配置されてこれを積層薄板41に対して電気的に絶縁する管状区域63を有している。
【0080】
管状区域63は、長手方向端部61から長手方向端部62へと延びる、モータシャフト30,130を挿通するための差込収容部64を有している。差込収容部64は、長手方向端部61の領域に差込開口部64Aを有していて、これを通してモータシャフト30を差込収容部64の中へ差込可能である。モータシャフト30は、出口開口部64Bのところで差込収容部64から外に出る。
【0081】
差込収容部64は長手方向端部61の領域に、すなわち長手方向端部領域61Aでは、小さい直径W2およびそれに伴って小さい内側断面WQ2が存在する長手方向端部62の領域よりも、すなわち長手方向端部領域62Aよりも、大きい直径W1およびそれに伴って大きい内側断面WQ1を有している。たとえばモータシャフト30,130の直径は、長手方向端部61,62の領域ではおよそ10mmである。それに対して直径W2は、モータシャフト30,130が差込収容部64へ差し込まれる前には、約0.2mmから0.3mmだけ直径W1よりも小さい。すなわちモータシャフト30,130が、図7に示すように、長手方向端部61から長手方向端部62へと差込軸Sに沿って絶縁スリーブ60に差し込まれるとき、当初は容易に、もしくは差込軸Sに関して横方向クリアランスをもって、長手方向端部61のところで差込開口部64Aに入り込み、そこに差込収容部64は直径W1を有している。直径W1は、差込収容部64へ差し込むために意図される長手方向の自由端におけるモータシャフト30,130の直径よりも若干大きいのが好ましい。差込開口部64の領域は、モータシャフト30,130が絶縁スリーブ60もしくは回転軸Dに関してセンタリングされるセンタリング区域を構成する。たとえばモータシャフト30は、直径W1の領域と直径W2の領域にいずれも同一の外側断面または外径を有する。
【0082】
その代替または補足として、たとえばモータシャフト30が、差込収容部64の長手方向端部61,62に割り当てられた第1の外側断面AQ1および第2の外側断面AQ2を有することも可能であり、第1の外側断面AQ1は第2の外側断面AQ2よりも小さい。モータシャフト30のこの実施形態では、直径W1およびW2が、およびそれに伴って差込収容部64の内側断面が、長手方向端部61および62の領域で同一であるか、またはほぼ等しいことも可能である。
【0083】
差込収容部64は長手方向端部61,62の間で、直径W1から直径W2へと連続的に狭くなっていくのが好ましい。あるいは、直径W1と直径W2との間に少なくとも1つの段部が存在することも可能であろう。差込収容部64は、長手方向端部61から長手方向端部62へと狭くなっていく差込テーパ部を有するのが好ましい。
【0084】
長手方向端部61には、差込収容部64へのモータシャフト30,130の差込プロセス容易にするために、挿入斜面65、たとえば挿入テーパ部が存在するのが好ましい
モータシャフト30,130が差込軸Sに沿って差込収容部64の中へ差し込まれるとき、モータシャフト長手方向端部62の方向へ次第に進んでいき、長手方向端部62に向かって狭くなっていく管状区域63をいわば広げていく。
【0085】
組立は次のように行われる:
まず、絶縁スリーブ60が積層薄板41シャフト通過開口部42に差し込まれる。
【0086】
シャフト通過開口部42の差込断面または内側断面が、絶縁スリーブ60の差込のために意図される長さ全体にわたって等しいか、またはほぼ等しいことが意図されるのが好ましい。
【0087】
あるいはシャフト通過開口部42が、絶縁スリーブ60の差込のために意図される長手方向端部領域41Aで、この長手方向端部領域と反対側の長手方向端部領域41Bよりも大きい内側断面を有することも可能である。
【0088】
そしてモータシャフト30,130が、差込収容部64に差し込まれる。このようにモータシャフト30,130は、差込軸Sに沿って差込収容部64へ差し込まれるときに、管状区域64の径方向の外側円周を、シャフト通過開口部42の径方向の内側円周の方向に押圧する。薄板43は、シャフト通過開口部42のほうを向く狭小面をもって、円周壁66に歯状に食い込むのが好ましい。
【0089】
差込収容部64は積層薄板41の手前の領域まで狭い直径W2を有しており、それによりモータシャフト30,130は、差込収容部64の当該領域に達したときに、管状区域63の円周壁66を差込軸Sに関して径方向外側に向かって拡張し、そのようにして、管ないし管状区域63をいわば伸長させる。それにより、積層薄板41の端面44に係合ないし後方係合する、段部67を有する形状接合部分75が円周壁63の外側円周に形成される。すなわち段部63は、モータシャフト30,130を差込収容部64へ差込可能である差込方向と逆向きの力方向をもって、絶縁スリーブ60を積層薄板41で保持する。
【0090】
絶縁スリーブ63は、他方の長手方向端部領域すなわち長手方向端部61に、差込軸Sまたは長軸Lに関して径方向外側に向かって管状区域63の前に突出するフランジ体68を有している。
【0091】
フランジ体68は差込軸Sに関して長手方向ストッパ68Aを構成し、たとえば積層薄板41の端面44に長手方向端部61の領域で支持される。フランジ体68は、たとえばその径方向の外側円周から差込収容部の64の方向へと延びる、すなわち径方向内側に差込軸Sへと延びる、補強リブ69を有する。補強リブ69は、たとえば積層薄板41と反対を向くほうのフランジ体68の端面71に配置される。
【0092】
さらに差込開口部64Aには、モータシャフト30,130のための支持ストッパ70が設けられており、モータシャフト30,130の支持ストッパ39が、たとえば段部が、差込軸Sと平行な力方向をもってこれに突き当たることができる。支持ストッパ70は、たとえば絶縁スリーブ60の端面71と差込収容部との間の段部によって構成される。
【0093】
絶縁スリーブ60は長手方向端部62の領域で、または出口開口部64Bで、長手方向端部61の領域よりも小さい外側円周または直径を有するのが好ましい。たとえば長手方向端部62には、積層薄板41シャフトの通過開口部42への絶縁スリーブ60の差込を容易にする挿入斜面72が設けられる。長手方向端部62は、たとえば差込突起として構成される。
【0094】
絶縁スリーブ60は長手方向端部62のところで、絶縁区域76を形成する管状区域73をもって積層薄板41端面44の前に突出するのが好ましく、それにより、そこで一方におけるモータシャフト30,130と他方における薄板43との間で電気絶縁が与えられる。
【0095】
それに対して他方の長手方向端部61では、いわば側方でシャフト通過開口部42の前に突出する、または突き出すフランジ体68が電気的な絶縁のために作用し、同じく絶縁区域76を構成する。このようにフランジ体68の領域でも管状区域73でも、電圧P1に関する電気的絶縁のために好適である、たとえばおよそ8mmから10mmの電気的な絶縁距離、たとえばクリアランス・沿面距離がもたらされる。
【0096】
絶縁スリーブ60の径方向外側円周には、特に管状区域63の長手方向長さ全体にわたって、積層薄板41の回り止め輪郭47に係合するための回り止め輪郭74が配置されるのが好ましい。回り止め輪郭74は、たとえば差込軸Sないし回転軸Dに対して平行に延びる回り止め突起74Aとして、特に長手方向突起または長手方向リブ74Bとして構成される。
【0097】
絶縁スリーブ60は、モータシャフト30,130と積層薄板41との間にクランプ嵌めまたはプレス嵌めで収容される。それによって摩擦接合が具体化される。
【0098】
さらに、回り止め輪郭47,74によって形状接合がさらに存在し、それによって絶縁スリーブ60が回転軸Dに関して、および/またはこれに対して横向きに、積層薄板41に形状接合式に保持される。
【0099】
モータシャフト30,130の形状接合輪郭形成部36,136は管状区域63の内側円周に歯状に係合し、それにより、モータシャフト30,130もその回転軸Dもしくは長軸Lに関して回り止めされて、および/または回転軸Dもしくは長軸Lに関してスライド固定されて、絶縁スリーブ60の中に収容される。形状接合輪郭形成部36,136は、対応形状接合輪郭形成部を管状区域36の内側円周で構成するのが好ましく、すなわち、たとえば管状区域63の内側円周を可塑的に変形させ、それにより、形状接合輪郭形成部36,136がこの対応形状接合輪郭部と形状接合式に係合する。対応形状接合輪郭形成部の可塑的な変形または型押は、たとえば絶縁スリーブ60へモータシャフト30,130が差し込まれるときに生成または形成される。
【0100】
すなわち絶縁スリーブ60は、追加の方策なしに積層薄板141へ直接差し込むことができるモータシャフト30,130を、積層薄板41とともに容易に利用可能にすることも可能にする。さまざまに異なるモータシャフトを設計する必要がない。幾何学的にはモータシャフト30,130は、積層薄板41または141との結合のために意図される保持区域33のところで同一である。たとえば、それぞれの保持区域33の長さと直径は同一である。ただし、積層薄板41または141のそのつど最善の保持のために、それぞれ異なる表面および/または表面輪郭形成部が、モータシャフト30,130の保持区域33の領域に設けられることも可能である。
【0101】
シャフト通過開口部42または142には、突出する受け部突起43Aが絶縁スリーブ60の管状区域63の径方向の外側円周に、またはモータシャフト30,130の保持区域33の径方向の外側円周に、食い込むのが好ましい。絶縁スリーブ60にはたとえば形状接合部分75Aが構成され、すなわち、図5に模式的に示すようにたとえば形状接合収容部75Bが構成され、これに受け部突起43Aが係合する。管状区域63の径方向の外側円周は、たとえばモータシャフト30により、差込軸Sまたは回転軸Dに関して径方向外側に向かって押し除けられ、その際に受け部突起43Aが管状区域63に食い込んで、これに好ましくは爪固定される。
【0102】
受け部突起43Aは、たとえばシャフト通過開口部42または142のほうを向いている薄板43の端面に設けられる。それぞれの受け部突起43Aの間には、特に受け部突起43Aの各グループの間には、回転軸Dに関して、たとえば角度間隔および/または長手方向間隔などの間隔が存在するのが好ましい。受け部突起43Aは、絶縁スリーブ60をシャフト通過開口部42の中で、またはモータシャフト30,130をシャフト通過開口部142の中で、回転軸Dに対して平行に、および/または回転軸Dに関して円周方向に保持する。回転軸Dを中心とする角度間隔をおきながら、複数の受け部突起43Aが設けられるのが好ましい。絶縁スリーブ60は、その中に差し込まれるモータシャフト30によって径方向外側に向かって押し除けられ、その結果、受け部突起43Aが絶縁スリーブ60の外側円周または外套または円周壁66に食い込み、特に爪状に食い込む。
【0103】
駆動モータ20,120のロータ40,140は、励起コイル構造86を有するステータ80とともに使用することができる。励起コイル構造86は、さまざまに構成される励起コイル87、たとえば多い巻線または少ない巻線を備えた、あるいはさまざまに異なる導体断面等を備えた励起コイル87を有することができ、それは、励起コイル87を通って流れるさまざまに異なる電圧P1およびP2および/または電流の電流強さに対応するためである。
【0104】
ステータ80は、通過開口部として構成された、ロータ40,140のためのロータ収容部82を備える積層薄板81を有している。ロータ収容部82の中にロータ40,140が回転可能に収容され、このとき積層薄板81と積層薄板41,141との間には、それ自体周知の方式で細いエアギャップが存在する。
【0105】
積層薄板81は、プレート平面が駆動モータ20,120の回転軸Dに対して横向きに延びる薄板83、たとえば電気鉄板または変圧器鉄板を有している。それぞれのモータシャフト30,130が積層薄板81の端面84,85の前に突出し、そこで軸受構造24Aの軸受24,25に回転可能に支承される。
【0106】
軸受24,25は、ステータ80を端面側で閉止する軸受カバー21,22により軸受収容部23で保持される。
【0107】
軸受24,25は、軸受カバー21,22の軸受収容部23に挿入されていてよく、特に圧入されていてよい。あるいは、軸受24,25が軸受カバー21,22の材料で押出被覆または注型されることも可能である。
【0108】
たとえば軸受カバー21,22は積層薄板41と、または積層薄板41を担持する支持体90と、固定的に結合され、たとえばねじ止めされ、接着され、または好ましくは溶接される。
【0109】
軸受カバー21,22ならびに支持体90はプラスチックから、特に熱可塑性プラスチックからなるのが好ましい。軸受カバー21,22ならびに支持体90について同一のプラスチック、たとえば同一の熱可塑性プラスチックが使用されるのが好ましい。
【0110】
たとえば支持体90は、積層薄板81が注型される注型法で製作される。
【0111】
支持体90は、軸受カバー21,22のための軸受カバー収容部91を有している。軸受カバー収容部91の中に、たとえば軸受カバー21,22の円周壁26を、たとえばその端面をもって差込可能である。
【0112】
軸受カバー21は、モータシャフト30,130のアウトプット区域34の近いほうに配置されている。軸受カバー22は、これから離れた領域に配置されている。軸受カバー21,22は、互いに反対方向を向く長手方向端部領域で積層薄板81を閉止する。軸受カバー21は積層薄板41,141の端面の前に、軸受カバー22よりも離れていないところで突出する。軸受カバー21は、フランジ体68のための収容スペース21Aを有している。
【0113】
軸受24は軸受25よりも、潜在的に電流を通す積層薄板41、81の近くにある。
【0114】
軸受24と軸受25は、軸受区域31およびそれに伴ってモータシャフト30,130と導電結合されているため、励起コイル構造86からモータシャフト30,130へ電圧がフラッシオーバするという危険がそれ自体としては存する。
【0115】
しかし電気絶縁性のフランジ体68によって十分な電気絶縁距離が与えられるので、そのような危険が存しなくなる。
【0116】
それに対して軸受25は回転軸Dに関して、積層薄板41、81の端面に対してさらに大きい長手方向距離を有しており、その結果、たとえば軸受25の領域での励起コイル構造86からモータシャフト30,130への電気的なフラッシオーバの危険がここでも生じない。さらに、軸受カバー22の方向で積層薄板41の前に突出する、絶縁スリーブ60の電気絶縁性の管状区域73が十分な電気絶縁のために作用する。
【0117】
励起コイル87のコイル導体88は積層薄板81の中で、たとえば回転軸Dに対して平行に配置される、またはこれに対して傾いて配置される、溝89を通過して延びている。溝89は、ロータ収容部82の内側円周82Aに向かって開いた挿入開口部89Dを有している。溝89は、それぞれの端面84,85の間に延びている。挿入開口部89Dを通してコイル導体88を溝89へ挿入し、たとえば積層薄板81のコイルヘッドまたはコイルハンマーの周りに巻き付けることができる。
【0118】
それぞれの溝89の間にある、ステータ80のロータ収容部82のほうを向いている積層薄板81の区域は内張り92で覆われており、たとえばプラスチックで押出被覆されているが、溝89が当初は開いているので、コイル導体88をその中に挿入することができる。
【0119】
励起コイル87はさらにステータ80の端面84のところで、いわばコイルヘッドを構成する支持突起93に巻き付けられている。
【0120】
これと反対側の端面85には支持突起94が設けられており、これも同じく励起コイルのコイル導体を巻き付けるために適しているが、いくつかの実施形態では巻き付けがなされない。
【0121】
端面85は、いわば駆動モータ20,120の接続側となる。そこに接続装置100が設けられていて、たとえば通電装置206,306との電気的な結合のために接続導線15をこれに接続可能であり、または接続される。接続導線15は、通電装置206,306に差し込むためのコネクタを有している。接続装置100をターミナルと呼ぶこともできる。
【0122】
接続導線15は、たとえば接続装置100に差し込まれていてよく、あるいはこれと直接はんだ付けされていてもよい。接続装置100は、たとえば接触突起として構成された接続コンタクト領域101を有していて、接続導線と結合された接続コネクタをこれに差し込むことができる。さらに接続コンタクト領域101には穴102が設けられていて、たとえば接続導線15の接続導体がこれに挿通されて接続装置100とはんだ付けされ、またはその他の方式で電気的に結合されていてよい。たとえば、このような種類の接続導体を接続装置100と溶接することも容易に可能であろう。
【0123】
接続装置100は、差込組立によって支持体90に配置可能である。支持体90は、接続装置100のためのホルダ95を有している。ホルダ95は差込収容部96を含んでいて、これに接続装置を差込可能である。差込収容部96は、支持体90の端面85の前に突出するそれぞれの収容突起97の間に設けられている。たとえば収容突起97は互いに向かい合う溝98を有していて、その中に、接続装置100の前に側方で突き出す差込突起104を、たとえばさねはぎ継ぎのような形式で差込可能である。
【0124】
差込突起104は、それぞれの接続装100の本体103の前に側方で突出する。差込突起103は、接続コンタクト領域101の長手方向に対して横向きに本体103の前へ突出する。差込突起104と接続コンタクト領域101は、全体としてほぼT字型のコンフィグレーションを構成する。たとえば本体104はいわば基体脚部を構成し、ここから差込突起104が側方脚部のような形式で側方に突出する。ただし、差込突起104と本体103の基本平面は相違している。本体103と差込突起104との間に、たとえばS字型の、または互いに反対方向を向く湾曲または底面区域を有する移行区域106が設けられている。すなわち、このように差込突起104は本体103の裏面115の前に突出する。
【0125】
差込突起104は本体103の前に突出する自由端領域に、特に噛合部105A、逆鉤などの形状接合輪郭105を有していて、これによって差込収容部96との形状接合式の保持が可能である。差込突起104は、形状接合輪郭105を用いて、いわば支持体90の差込収容部96に爪固定することができるのが好ましい。特に、あとでまた説明する接続装置100の加熱時における差込収容部96の領域での、特に溝98の領域での支持体90の溶融は、一方における差込突起104と、特にその形状接合輪郭105と、他方における支持体90の材料との間の形状接合式の結合が差込収容部96の領域で、特に溝98の領域で成立することにつながる。
【0126】
噛合部105Aはたとえば交差部を有し、すなわち、たとえば歯105Bが差込突起104の主平面に対して横向きにその前に突出する。
【0127】
接続装置100は、コイル導体88のそれぞれ接続されるべき区域を収容するための導体収容部107を有している。導体収容部107は、一方における本体103の前面114と、他方における、結合区域109によって本体103と結合された、接続装置100の収容アーム108との間に構成されている。特に、本体103、結合区域109、および収容アーム108が一体的であると好ましい。本体103の側方脚部または差込突起104も、これと一体的であるのが好ましい。導体収容部107のほうを向いている結合区域109の内面は、導体収容部107の収容区域または収容窪み116Aを構成する。
【0128】
導体収容部107は、収容窪み116Aの領域に、載置面107Aならびにこれに対して角度をなす狭小面107Bを有している。狭小面107Bと広い載置面107Aとの間に、載置面107Aおよび狭小面107Bに対して斜めに傾いた斜面107Cが、少なくとも1つのコイル導体88を支持するために配置されている。斜面107Cは、たとえば面取部、湾曲面または円弧状の面などであってよい。いずれの場合にも斜面107Cは、コイル導体88が鋭利なエッジの上に載ることを防止する。
【0129】
接続装置100は、まず最初に基本材料から打ち抜かれ、次いで相応の成形によって、上に説明した形態にされる打抜き・曲げ部品として構成されるのが好ましい。
【0130】
導体収容部107へのコイル導体88の組付および/または取付および/または電気コンタクトは、次のように行われる:
当初は導体収容部107が開いており、すなわちそれは、収容アーム108がまだ本体103から大きく屹立していることによる。たとえば図12および14を参照。このときにコイル導体88が導体収容部107の底面116まで、すなわち結合区域109の内側円周まで、到達することができる。たとえば図12を参照。ただし、このようなコンフィグレーションはどちらかというと望ましくなく、したがって追加の支持方策によって、たとえば組立装置250の支持部251によって、導体収容部107の底面116から離れた位置でコイル導体88が保持される。
【0131】
しかしながらこのコンフィグレーションは、支持体90が支持輪郭99を有していて、その上でコイル導体88が組付時に、ないしは接続装置100の閉止時に、支持されるように行われるのが好ましい。図10および11を参照。すなわちコイル導体88が支持輪郭99の上に載置され、それにより底面116と接触しない。支持輪郭99は、たとえば溝98と反対を向くほうの収容突起97の外面に設けられる。たとえば支持輪郭99は、それぞれの収容突起97と、収容突起97が屹立している支持体90の部分との間の段部として構成される。
【0132】
底面116から引き上げられたコイル導体88の位置は、以後の閉止操作と溶接操作にとって好ましい。このような位置が特に好ましいのは、たとえばコイル導体88Bのように(図11)、断面積の小さいコイル導体が使用される場合である。このようなコイル導体88Bは、収容アーム108が本体103に向かって動かされ、それによりその自由端113をもって本体103の前面114に当接しているときでさえ、あとで説明する溶接プロセスで明らかに加熱される底面116に対して間隔を有することができる。
【0133】
コイル導体88Bは、たとえば励起コイル構造86Bの励起コイル87Bの構成要素をなす。
【0134】
収容アーム108は、結合区域109と反対を向くほうの端部領域に、収容アーム108の中央のアーム区域110から角度をなして屹立する閉止脚部111を有している。たとえば、中央のアーム区域110と閉止脚部111との間に湾曲区域または結合区域112が設けられる。閉止脚部111は、中央のアーム区域110から本体103の前面114の方向へと突出し、それによりその自由端113が、導体収容部107が閉じた状態のときに前面114に接触し、それに対して、中央のアーム区域110と本体103の前面114との間には、導体収容部107を定義する間隔が存在する。
【0135】
接続装置100を閉止して溶接するための役目を果たすのは、組立装置250の溶接プライヤー252である。溶接プライヤー252はプライヤーアーム253,255を有していて、接続装置100とのコンタクトのために意図されるこれらの自由端領域に、支持面254,256が設けられている。接続装置100との係合のために意図されるプライヤーアーム253,255の自由端領域は鋭利に終わっており、すなわち先端部257を形成する。特に、接続装置100の裏面115に支持面254をもって支持されるように作用するプライヤーアーム253では、このような尖った細いプライヤーアーム253の構成が好ましい。
【0136】
プライヤーアーム253,254はV字型に配置されており、それぞれの先端部257が互いに反対の側で接続装置100に作用して(図16参照)、これを閉止し、引き続いて溶接する。
【0137】
プライヤーアーム253,255の長軸L1,L2は、特に20°から40°の角度Wで延びるのが好ましい。それによって特にプライヤーアーム253の先端部257が、軸受カバー22と接続装置100の裏面115との間の中間スペースに達し、そこで、その支持面254をもって本体103を支持することができる。
【0138】
プライヤーアーム254は、導体収容部107が閉止されるように、収容アーム108に対して作用する。たとえばプライヤーアーム255の支持面256が湾曲区域112に当接する。支持面254が支持面256に向かって動いたとき、支持面254,256が互いに平行に、または実質的に平行に向き、このことは送り運動VSとして図面に示されている。すなわちプライヤーアーム253は定置のままであり、接続装置100に裏面側で支持されるのに対して、プライヤーアーム255は収容部108を本体103の方向へ位置調節する。そして、その閉止脚部111の自由端113が、接続装置100の本体103の前面114とコンタクトする。そして導体収容部107がこのように閉止され、収容アイレット119Aが形成される。
【0139】
溶接プライヤーまたはその他の同種のフライス加工装置が収容アーム108を、閉止脚部111がたとえばまだ形成されていない当初の長尺状の真っすぐな形状から、たとえば模式的に図示しているプライヤーアーム255の変形輪郭259を用いて、閉止脚部111を有する収容アーム108へと成形されることも可能である。
【0140】
その後にプライヤーアーム253,255が通電装置258によって通電され、それは、プライヤーアーム253,255がそれぞれ異なる電位を有し、そのようにして接続装置100を通る電流を生成することによる。
【0141】
溶接電流ISはいわば環状に閉じられた接続装置100を通って流れ、すなわち、導体収容部107を閉止している接続装置100の部分を通って流れ、すなわち、導体収容部107の領域における本体103ならびに収容アーム108を通って流れる。このとき溶接電流ISは結合領域118および119を介して流れ、すなわち、一方では結合区域109を介して流れ、他方では、閉止脚部111の自由端113と本体103の前面114との間のコンタクト領域117を介しても流れる。コンタクト領域117でも底面116の領域でも高い熱が発生するが、それがコイル導体88または88Bを損傷することはない。これらのコイル導体が底面116に対して、あるいはさらに上側のコンタクト領域117に対しても、間隔を有しているからである。それにもかかわらず接続装置100は導体収容部107の領域で、コイル導体88の塗料またはその他の絶縁部が溶融して、コイル導体が接続装置100の表面と電気的にコンタクトする程度にまで高温になる。
【0142】
すなわち、このように接続装置100がいわば機械式に閉止され、引き続いて、導体収容部107に収容されているコイル導体88と溶接される。この組立は、一方ではコイル導体88にとって保全的であり、他方では確実であり、耐久性も恒久的に高くなる。それはすなわち、コイル導体88が前述したプレス工程と溶接工程によって機械的には若干変化し得るものの、たとえば駆動モータ20,120の作動時に破断する程度まで脆弱化されることはなく、もしくは、その断面ジオメトリーに関して改変されないからである。
【0143】
励起コイル87が溝89へ挿入されると、これが溝蓋180によって閉止される。
【0144】
溝蓋180は形材体181を有している。溝蓋180は、プラスチックおよび/または電気絶縁性の材料からなるのが好ましい。形材体181は、たとえばプラスチック部品またはプラスチック壁体として構成される。
【0145】
形材体181は、それぞれの溝89のためのいわば閉止壁をなす壁体182を構成する。
【0146】
溝蓋180または形材体181は長尺形態を有しており、溝蓋180が溝89に組み付けられたときに、溝89の長軸L9と平行に延びる長軸L8に沿って延びる。
【0147】
溝蓋180の長手方向の狭小面すなわち長手方向面195は、長軸L8に沿って延びている。それぞれの長手方向面195は、長軸L8に対して横向きに横方向間隔Qを有している。
【0148】
溝蓋180の長手方向端部領域183は、積層薄板81の前に支持体90まで突出するのが好ましく、それにより、溝89の長さ全体にわたって電気絶縁が与えられる。そこでの一方または両方の軸受カバー21または22へのたとえば接着、溶接、またはその他の同種の取付が好ましい。
【0149】
溝蓋181は、長軸L8に対して横向きに溝88を全面的に覆う壁区域184を有している。壁区域184は横断面で見て、すなわち長軸L8に対して横向きに、ほぼU字型または円弧状であり、その横方向端部領域で、すなわち長軸L8に対して横向きに、溝89の形状接合収容部89Bに係合するために意図される形状接合突起186を構成する。溝蓋180は長軸L8に対して横向きに、長軸L8に対して横向きにもっとも遠くまで突出する溝蓋180の区域を構成する、および/または互いに向かい合う、2つの形状接合収容部186を有している。形状接合突起186と形状接合収容部89Bは、同時に溝89の長軸をなす長軸L8に対して横向きに溝蓋180を溝89の中で保持する形状接合輪郭185,89Aを構成する。
【0150】
壁区域184は、それぞれの形状接合輪郭185の間で水槽状の形態を構成し、すなわち底面187を有している。底面187は、たとえばそれぞれの溝89の中への湾入しており、すなわちその中に入るように延びている。当然ながら、壁区域184が回転軸Dに関して径方向外側に向かって突出するのでなく、径方向内側に向かって突出する逆のコンフィグレーションも可能であろう。ただし、そこでは場合によりロータ40,140が邪魔になることがある。
【0151】
壁区域184から側方脚部188が離れていくように延びている。それぞれの側方脚部188は互いに近づくように傾いており、すなわち、壁区域184から離れているその自由端領域が互いに近づくように傾いている。このように、側方脚部188と壁区域184は側方脚部188への移行領域で、側面図で見てV字型の形状接合輪郭185すなわち形状接合突起186を構成する。
【0152】
溝蓋180の組付けは次のように行われる:
溝蓋180を、たとえば端面84または85のうちの1つからそれぞれの溝89へ、すなわち回転軸Dに対して平行に延びる差込軸に沿って差し込むことも、それ自体としては可能である。しかしながら、形状接合輪郭185が長軸L8に対して横向きに互いに近づくように可動であり、それにより、それぞれの形状接合輪郭185の間の横方向間隔Qを縮小可能であり、それにより、溝蓋180を溝89の側方エッジ89Cのそばを通して溝89の中へスライドさせることができる。これに関して図21から23を参照。このとき壁区域184はその丸められた外面189をもって、すなわちこの意味で押除け輪郭189Aを構成する底面187と反対を向く側で、側方エッジ89Cのそばを通って摺動し、このとき壁区域184は曲げ柔軟性をもって撓み、すなわちその意味で曲げ柔軟性のある区域194を構成する。その際に、側方脚部188と形状接合輪郭185が横方向間隔Qを狭めるように互いに近づくように動いて、最終的に、このような差込運動SBの最後に溝蓋180を溝89に係止し、すなわち、形状接合輪郭185が形状接合輪郭89Aと係合する。
【0153】
そして溝蓋180が溝89の中で、すなわち長軸L8に対して横向きに互いに直交する2つの方向で、形状接合式に収容される。
【0154】
ロータ収容部82と反対を向くほうの形状接合収容部89Bの面が、後方係合輪郭89Eを構成する。ロータ82のほうを向いている形状接合収容部89Bの面が、支持輪郭89Fを構成する。
【0155】
後方係合輪郭89Eおよび/または支持輪郭89Fは平面状であるのが好ましい。
【0156】
後方係合輪郭89Eおよび/または支持輪郭89Fは、溝蓋180をその長軸L8全体にわたって支持するのが好ましい。
【0157】
側方脚部188は、後方係合輪郭89Eに支持される後方係合面188Aを有している。側方脚部188に隣接している壁区域184の区域は、支持輪郭89Fに支持される支持面188Bを有しており、またはこのような支持面を構成する。このように後方係合輪郭89Aは、ロータ収容部82の内部空間の方向または回転軸Dの方向で溝蓋180を支持するとともに、支持輪郭89Fをこれと反対方向で、すなわち回転軸Dもしくはそれぞれの溝89の底面に関して径方向外側に向かう方向で、支持する。
【0158】
このような設計手法の利点は、たとえば溝蓋180が組み付けられるときに、支持体90が溝89の長手方向端部領域で、径方向内側に向かってロータ収容部82の方向へ若干突出し得ることによってももたらされるすなわちこの場合、その長手方向端部領域183を、支持体90の突出する区域のロータ収容部82の方向で後方係合させることができる。
【0159】
さらに、後方係合面188Aと後方係合輪郭89E、ならびに支持面188Bと支持輪郭89Fが平面状に互いに当接し、それにより、溝89のシールシートまたは蓋が具体化され、および/または溝蓋180が溝89を密接に閉止する。
【0160】
溝蓋180は、溝89を封止するためのシール機能を有するのが好ましいが、励起コイル構造86の励起コイル87のための支持機能は有さない。むしろ後方係合輪郭89Eと後方係合面188Aの傾斜は、溝89から外に出るように溝蓋180が力付勢されたとき、または回転軸Dに関して径方向内側に向かって力付勢されたとき、溝蓋180の変形または狭隘化を惹起し、そのようにして、溝89からの取外しを簡易化または可能にする取外し斜面のようにさえ作用する。
【0161】
模式的にのみ示されている、図23Bに示す別案の実施例は、たとえば溝89の代替として構成される溝489を意図しており、その中に溝蓋480が挿入される。溝蓋480はその長手方向の狭小面に、溝489の形状接合突起489Bと係合する形状接合収容部486を有している。それぞれの形状接合突起489Bは互いに向かい合う。形状接合収容部486と形状接合突起489Bは互いに相補的であり、たとえばV字型である。
【0162】
ロータ収容部82と反対を向くほうの形状接合突起489Bの面は、後方係合輪郭489Eを構成する。ロータ収容部82のほうを向いている形状接合突起489Bの面は、支持輪郭489Fを構成する。後方係合輪郭489Eおよび/または支持輪郭489Fは平面状であるのが好ましい。後方係合輪郭489Eおよび/または支持輪郭489Fは、溝蓋480をその長軸L8全体にわたって支持するのが好ましい。溝蓋480の長辺または形状接合収容部486は、後方係合輪郭489Eに支持される後方係合面488Aを有している。形状接合収容部486は支持面488Bをさらに有し、または、支持輪郭489Fに支持されるこのような支持面を構成する。
【0163】
ステータ80の機械的な構造は、両方の電圧レベルP1およびP2について好ましくは全面的に、または部分的に同一である。特に、ロータ40,140のためのロータ収容部82は同一であり、すなわち、たとえば等しい直径を有する。溝89の構成も、すなわちたとえばその形状接合輪郭89Aおよび/または幅および/または深さも同一である。励起コイル構造86が電圧P1または電圧P2のいずれについて構成および/または配置されるかに関わりなく、溝蓋180をステータ80で使用可能であり、または使用されるのも好ましい。
【0164】
それにより、大筋での同一部品原理を具体化可能である。
【0165】
溝蓋180を単独の形材部品として提供することが可能であり、すなわち、図20に示す長尺状の形態をすでに有するとともに溝89の長さに合わせた長さを有することが可能である。
【0166】
しかしながら1つの好ましい実施形態は、溝蓋180がロール材料190から得られることを意図する。ロール材料190は、たとえば巻取材191として準備される。巻取材191はたとえば巻取材支持体273に、特に相応の保持フレームに、回転可能に収納されている。繰出し装置274がロール材料190を巻取材191から繰り出す。
【0167】
巻取材191から繰り出されたロール材料190の区域192が、たとえば1つまたは複数のローラを有するローラ構造275を、特に方向転換ローラまたはガイドローラを通過する。
【0168】
ローラ構造275の下流側に平滑化装置276が設けられており、そこで区域192が平滑化され、それにより、当初は巻取材191で丸くなっていた形態が長く伸びた形態へと移行する。平滑化装置276は、たとえば少なくとも1つのプレス機構277、特に互いに向かい合うプレス機構277、および/または加熱体279を有する加熱装置278を含んでおり、それにより、図20に示すように、区域192のロール材料190を長く伸びた形態にする。すなわち、このようにロール材料190が平滑化装置276によって直線状に長く引き伸ばされた形状になる。
【0169】
平滑化装置276の後に切断装置280が続いていて、これにより、所望の溝蓋180に相当する長さが、すなわちたとえば積層薄板81または支持体90の長さに相当する長さが、区域192からそれぞれ切断される。切断装置280は、たとえば切断機構281、特にカッター、刃、鋸機構などを有している。
【0170】
ここで付言しておくと、積層薄板181ないしステータ80に代えて別の、すなわちこれよりも短い、または長いステータに、組立装置270を用いて溝蓋を付与することもできる。すなわち必要に応じてそのつど好適な溝蓋180が製造され、その長さは、装備されるべきステータの長さに合わせて適合化される。すなわち切断機構280は、たとえば切断カッターは、区域192からそれぞれ溝蓋180を切断し、次いで、これが保持機構271により把持されて、ステータ80に挿入される。
【0171】
保持機構271は、たとえばグリッパは、保持アーム272を含んでいて、これが形材体181ないし溝蓋180をその長手方向端部領域183で把持して、差込運動SBによって溝89に挿入することができる。保持機構271が吸引装置またはこれと同種の保持部材を有し、これが溝蓋180を底面187の領域で吸着して、差込運動SBを生成する力成分をもって溝89に差し込むことも容易に可能であろう。
【0172】
すなわち差込、接合、プレスなどによってモータ20,120の主要コンポーネントを、すなわちたとえば接続装置100や、溝蓋180を用いた溝89の蓋などを製造できることがわかる。
【0173】
以下に説明する磁石51の磁化も、このような組立コンセプトに準拠する。
【0174】
すなわち磁石51は、ロータ40,140ないし積層薄板41,141への組付けのときに、当初はまだ磁化されていない。つまりそれぞれの磁石体56の磁化可能な材料51Aは、それ自体としてまだ磁性のない磁石体52が保持収容部45のうちの1つへの差込工程またはプレス工程の枠内で差し込まれ、もしくは押し込まれるとき、当初は磁性を有していない。磁化可能な材料51Aは、たとえばネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)であって好ましくはジスプロシウムの添加物を含むもの、またはサマリウム-コバルト(SmCo)である。
【0175】
保持収容部45に、たとえばそれぞれの磁石体52の狭小面54を支持する支持突起48が設けられている。狭小面54は、磁石50がロータ40,140に組み付けられた状態にあるとき、回転軸Dに対して平行に延びる。磁石体52または磁石51が、それぞれの支持突起48の間にクランプされるのが好ましい。
【0176】
それぞれの狭小面54の間に、狭小面54に比べて広い面積の平坦面53が延びている。平坦面53の法線方向は、回転軸Dに対して径方向であるのが好ましい。
【0177】
積層薄板41,141は、磁石体52を保持するための保持突起49を有している。保持突起49はたとえば平坦面53に向かって突出し、その自由端領域をもって平坦面53に当接する。保持突起49が磁石体52といわば爪固定され、および/または受け部突起を形成すると好ましい。
【0178】
積層薄板41,141の薄板43は、回転軸Dに対して事前設定された角度位置に切欠き59Aを有する薄板43を含んでいる。切欠き59Aは、回転軸Dに関して径方向に、それぞれの保持収容部45の平坦面のうちの1つから離れるように、たとえば径方向内側に向かって回転軸Dへと延びるのが好ましい。切欠き59Aが回転軸Dに対して平行に軸線上で前後して配置されていると、すなわち相互に一直線上に並んでいると好ましい。いくつかの薄板43は、切欠きに突入する保持突起59を有している。さらに保持突起59は、それぞれの保持収容部45の差込断面に突入し、それにより、保持収容部45に磁石体52が差し込まれたときに磁石体52と係合し、磁石体52により、磁石体52が保持収容部45へ差し込まれる差込方向SRに屈曲される。その際に保持突起59を、隣接する1つまたは複数の薄板43の切欠き59Aの中へと押し除けることができる。そして、薄板43の狭小面の幅を有しているそれぞれの保持突起59の端面が、斜めに傾いたまま磁石体52の平坦面53に支持されて、保持収容部45から磁石体52が差込方向SRと逆向きに引き出されるのを防止する。
【0179】
磁石体52または磁石51は、保持収容部45の中にクランプ嵌めで収容されるのが好ましい。当然ながら、接着、溶接、またはこれと同種のその他の組付けも十分に可能であろう。すなわち磁化可能な材料51Aがそれぞれの積層薄板41,141に、まだ磁化されていない状態で差し込まれる。
【0180】
次いで、ロータ40,140がバランス調整装置285を用いてバランス調整される。そのときモータシャフト30,130は、および場合により絶縁スリーブ60は、すでに組み付けられている。すなわち、このようにロータ40,140をモータシャフト30,130によりその回転軸Dを中心としてモータ286を用いて回転させることができる。測定装置287が、たとえばロータ40,140のアンバランスを確認する。
【0181】
そして、まだ残っているアンバランスが取り除かれ、それは、たとえば材料削減装置288を用いて、たとえば研削装置、フライス加工装置などを用いて、少なくとも1つのバランス調整部分55が製作されることによる。その際に、たとえばバランス調整が必要な場所で、積層薄板41,141の材料が剥離され、切り屑、金属粉などが発生する。しかしそれは問題ではない。積層薄板41,141材料が加工されるときに、磁石体52がまだ磁化されていないからである。薄板43の剥離によって発生する切り屑、金属粉などが積層薄板41,141へ磁気的に付着することがないので、容易に除去可能である。すなわち駆動モータ20,120のその後の動作のときに、たとえば軸受24または25を損傷させかねない金属屑や粉が存在することがない。
【0182】
積層薄板41,141が回転軸Dに関して径方向で可能な限り大きい材料厚みまたは厚さを有している積層薄板41,141の領域に、すなわち特に磁石51に関して径方向外側に、バランス調整部分55が設けられると好ましい。すなわち、たとえばバランス調整部分の製作に不都合な領域でアンバランスUが生じているときには、アンバランスUが力ベクトルUxおよびUyに分解され、これらに応じて材料削減装置288によってたとえばバランス調整部分55xおよび55yが積層薄板41,141の径方向外側に製作される、ベクトル式のバランス調整が好ましい。バランス調整部分55xおよび55yは、たとえばアンバランスUに対して角度間隔をおいてそのすぐ隣に配置されている保持収容部55の、積層薄板41,141の径方向外側にある。
【0183】
ロータ40,140では、端面44にバランス調整体やバランス調整ウェイトは必要ない。それにより、たとえば空気通路46の流入開口部と流出開口部が、バランス調整ウェイトバランス調整体で塞がれることがない。さらに空気は磁石51の横を通って流れることもでき、すなわち、保持収容部45に設けられる、もしくは保持収容部45により提供される、空気通路46Aを通って流れることができる。空気通路46Aの流入開口部流出開口部も、バランス調整体やバランス調整ウェイトによって塞がれることがない。
【0184】
たとえば吹付け装置、ブラシ装置、および/または吸塵器などの洗浄装置289、が、材料削減装置288による材料剥離のときに発生する金属粒子をロータ40,140から、特にそれぞれの積層薄板41,141から、磁石体52が磁性を有さない限りにおいて容易に除去することができる。たとえば洗浄装置289は、切り屑などをバランス調整部分55の領域から除去するエアジェットLUを生成する。
【0185】
ロータ40,140がバランス調整されると磁化装置290によって磁化され、すなわち、特に磁石体52が磁気的に活性化される。磁化装置290は、たとえば磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dを有する。
【0186】
たとえば磁化装置290は、磁石51が磁化ヘッド291に正しい角度で正確に向かい合うようにモータシャフト30,130を位置決めする、特に回転させる、位置決め装置292を含む。
【0187】
ロータ40,140は、それぞれ1つの磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dが、それぞれ隣接する磁石51の間に配置されるように、機械的なコーディング57により磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dに関して位置決めされるのが好ましい。
【0188】
たとえば回り止め輪郭74がコーディング57としての役目を果たし、これがたとえば磁化装置290のストッパ293に、特に回転ストッパに突き当たり、それによりロータ40,140が磁化ヘッド291に関して正しい回転角で配置される。ストッパ293は、バランス調整装置285との関連で図示している。あるいは、たとえば磁化装置290の対応するストッパが係合することができる、および/または光学式検出可能である空気通路46など、これ以外のロータ40のコンポーネントもコーディング57としての役目を果たすことができる。たとえば磁化装置290のカメラやその他の同種の光学センサによって、ロータ40,140の回転角位置の光学式の検出が可能であるのも好ましい。
【0189】
磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dが磁界MFA,MFB,MFC,MFDを生成し、これが回転軸Dに関して角度間隔をおいて並んで配置された磁石体52または磁石51を貫通し、それによってこれが恒久的に磁化されて、N極NおよびS極Sとして図示する磁極を形成する。磁界MFA,MFB,MFC,MFDは、それぞれの磁束方向に応じて、矢印の付いた破線の力線で図面に示されている。
【0190】
ロータ40,140の磁石51が磁化されると、ロータ40,140がステータ80に組み付けられる。
【0191】
たとえば回転軸Dに対して平行に2つまたはそれ以上の磁石体52または磁石51を連続配置するなど、磁石51のための保持収容部45に複数の磁石体52または磁石51を配置可能であることは自明である。そのようなケースでも、それぞれの磁石体52がすでに保持収容部45に収容されていれば、その磁化が容易に可能である。
【0192】
磁化装置290による磁化にあたっては、積層薄板41,141の薄板43が磁気伝導性であるのも好ましく、それにより薄板が、磁化装置290の磁界292を最適に、磁石体52を貫通するように案内することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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【国際調査報告】