(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】分析アプリケーション環境におけるカスタマイゼーションのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220629BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551956
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 US2020031572
(87)【国際公開番号】W WO2020227345
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,バラジ
(72)【発明者】
【氏名】ベディン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】バーマ,サウラブ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタ,アナンス
(72)【発明者】
【氏名】クッチカット,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アナンタムルティ,パバン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
5L049BB05
(57)【要約】
実施の形態によると、本明細書において、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションに対するサポートを提供するシステムおよび方法を説明する。分析アプリケーション環境が提供するELT(抽出、格納、ロード)プロセスまたはその他のデータパイプライン/処理は、分析アプリケーションスキーマおよび/または顧客(テナント)に対応付けられた顧客スキーマに従って動作して、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信することができる。意味層は、意味モデルを拡張するためにカスタム意味拡張機能を利用することを可能にし、プレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供する。ユーザが意味モデルを拡張またはカスタマイズするためのカスタム意味拡張機能を使用する際、拡張ウィザードまたは開発環境は、ユーザにブランチおよびステップの定義を案内する。その後、拡張またはカスタマイズされた意味モデルは、本番環境に起用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析アプリケーション環境において拡張性およびカスタマイゼーションを提供するシステムであって、
複数のテナントによるデータを格納するためのデータウェアハウスへの分析アプリケーション環境によるアクセスを与える、1つ以上のプロセッサを含むコンピュータを備え、
前記複数のテナントの各テナントは、顧客テナンシと、データウェアハウスインスタンスにデータを追加する際に用いられる顧客スキーマとに対応付けられており、
前記システムは、分析アプリケーションスキーマおよび/またはテナントに対応付けられた前記顧客スキーマに従って、抽出、変換、ロードプロセス、またはその他のデータパイプラインもしくは処理を実行し、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを前記テナントのエンタープライズソフトウェアアプリケーションまたはデータ環境から受信し、前記システムは、さらに、
パッケージ化された意味モデルを拡張するため、およびプレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供するためのカスタム意味拡張機能の利用を可能にする意味層を備える、システム。
【請求項2】
拡張ウィザードによって、ユーザが前記意味モデルを拡張またはカスタマイズするためにカスタマイゼーションブランチを編集または作成することが可能になり、ブランチの選択によって、前記ユーザには、使用する前記意味モデルのインスタンスであって、特定のカスタマイゼーションまたは拡張機能を組み込む前記意味モデルのインスタンスが与えられ、前記カスタマイゼーションまたは前記拡張機能は、その後、本番環境に起用され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、複数のユーザが分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張することをサポートし、当該カスタマイズまたは拡張することは、複数のユーザの各々が1つ以上のカスタム意味拡張機能を用いて前記意味モデルのインスタンス作りに取り組んで、拡張機能またはカスタマイゼーションとして前記意味モデルに修正を行うことを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のユーザが開発したカスタマイゼーションまたは拡張機能を、その後、本番環境に起用することができる、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記分析アプリケーション環境は、クラウド環境内で提供される、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
分析アプリケーション環境において拡張性およびカスタマイゼーションを提供する方法であって、
1つ以上のプロセッサを備えるコンピュータにおいて、複数のテナントによるデータを格納するためのデータウェアハウスへの分析アプリケーション環境によるアクセスを与える分析アプリケーション環境を提供するステップを含み、
前記複数のテナントの各テナントは、顧客テナンシと、データウェアハウスインスタンスにデータを追加する際に用いられる顧客スキーマとに対応付けられており、
前記システムは、分析アプリケーションスキーマおよび/またはテナントに対応付けられた前記顧客スキーマに従って、抽出、変換、ロードプロセス、またはその他のデータパイプラインもしくは処理を実行し、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを前記テナントのエンタープライズソフトウェアアプリケーションまたはデータ環境から受信し、前記方法は、さらに、
パッケージ化された意味モデルを拡張するため、およびプレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供するためのカスタム意味拡張機能の利用を可能にする意味層を提供するステップを含む、方法。
【請求項7】
拡張ウィザードによって、ユーザが前記意味モデルを拡張またはカスタマイズするためにカスタマイゼーションブランチを編集または作成することが可能になり、ブランチの選択によって、前記ユーザには、使用する前記意味モデルのインスタンスであって、特定のカスタマイゼーションまたは拡張機能を組み込む前記意味モデルのインスタンスが与えられ、前記カスタマイゼーションまたは前記拡張機能は、その後、本番環境に起用され得る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記システムは、複数のユーザが分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張することをサポートし、当該カスタマイズまたは拡張することは、複数のユーザの各々が1つ以上のカスタム意味拡張機能を用いて前記意味モデルのインスタンス作りに取り組んで、拡張機能またはカスタマイゼーションとして前記意味モデルに修正を行うことを含む、請求項6~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のユーザが開発したカスタマイゼーションまたは拡張機能を、その後、本番環境に起用することができる、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記分析アプリケーション環境は、クラウド環境内で提供される、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
命令を有する非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサを備えるコンピュータによって読み出されて実行されると、前記コンピュータに方法を実行させ、前記方法は、
1つ以上のプロセッサを備えるコンピュータにおいて、複数のテナントによるデータを格納するためのデータウェアハウスへの分析アプリケーション環境によるアクセスを与える分析アプリケーション環境を提供するステップを含み、
前記複数のテナントの各テナントは、顧客テナンシと、データウェアハウスインスタンスにデータを追加する際に用いられる顧客スキーマとに対応付けられており、
前記システムは、分析アプリケーションスキーマおよび/またはテナントに対応付けられた前記顧客スキーマに従って、抽出、変換、ロードプロセス、またはその他のデータパイプラインもしくは処理を実行し、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを前記テナントのエンタープライズソフトウェアアプリケーションまたはデータ環境から受信し、前記方法は、さらに、
パッケージ化された意味モデルを拡張するための、およびプレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供するためのカスタム意味拡張機能の利用を可能にする意味層を提供するステップを含む、方法。
【請求項12】
拡張ウィザードによって、ユーザが前記意味モデルを拡張またはカスタマイズするためにカスタマイゼーションブランチを編集または作成することが可能になり、ブランチの選択によって、前記ユーザには、使用する前記意味モデルのインスタンスであって、特定のカスタマイゼーションまたは拡張機能を組み込む前記意味モデルのインスタンスが与えられ、前記カスタマイゼーションまたは前記拡張機能は、その後、本番環境に起用され得る、請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記システムは、複数のユーザが分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張することをサポートし、当該カスタマイズまたは拡張することは、複数のユーザの各々が1つ以上のカスタム意味拡張機能を用いて前記意味モデルのインスタンス作りに取り組んで、拡張機能またはカスタマイゼーションとして前記意味モデルに修正を行うことを含む、請求項11~12のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記複数のユーザが開発したカスタマイゼーションまたは拡張機能を、その後、本番環境に起用することができる、請求項11~13のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
前記分析アプリケーション環境は、クラウド環境内で提供される、請求項11~14のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
本特許文献の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。特許文献または特許開示は、米国特許庁の特許ファイルおよび記録に公開されているため、著作権者は、何人によるその複製に対しても異議はないが、そうでない場合には、例外なくすべての著作権を保有する。
【0002】
優先権主張
本願は、2019年5月6日に出願され、「SYSTEM AND METHOD FOR CUSTOMIZATION IN AN APPLICATION ANALYTICS ENVIRONMENT(アプリケーション分析環境におけるカスタマイゼーションのためのシステムおよび方法)」と題された米国仮出願第62/844,004号に基づく優先権の利益を主張し、当該出願を、引用により本明細書に援用する。
【0003】
技術分野
本明細書において説明する実施の形態は、コンピュータデータアナリティクス、およびビジネスインテリジェンスデータをコンピュータを利用して提供する方法に関し、特に、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションに対するサポートを提供するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
一般に説明すると、組織内では、データアナリティクスによって、大量のデータから結論またはその他の情報を導き出すために、当該データのコンピュータベースの調査または解析が可能になり、ビジネスインテリジェンスツールによって、戦略的な経営判断を行うことを可能にする形式で企業データを記述した情報が組織のビジネスユーザに提供される。
【0005】
組織のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境(たとえば、Oracle Fusion Applications環境もしくはその他の種類のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境など)と関連して、または、SaaS(Software-As-A-Service)もしくはクラウド環境(たとえば、Oracle Analytics CloudもしくはOracle Cloud Infrastructure環境、もしくはその他の種類のクラウド環境など)と関連してデータアナリティクスの利用を活用するソフトウェアアプリケーションを開発することに対する関心が高まっている。
【0006】
しかしながら、データアナリティクス環境の異なる顧客は、データアナリティクスもしくはビジネスインテリジェンスデータを提供するまたはソフトウェア分析アプリケーションを開発するために、自身のデータをどのように分類、集計、または変換するかについての要求がそれぞれ異なるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
実施の形態によると、本明細書において、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションに対するサポートを提供するシステムおよび方法を説明する。分析アプリケーション環境が提供するELT(抽出、格納、ロード)プロセスまたはその他のデータパイプライン/処理は、分析アプリケーションスキーマおよび/または顧客(テナント)に対応付けられた顧客スキーマに従って動作して、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信することができる。意味層は、意味モデルを拡張するためにカスタム意味拡張機能を利用することを可能にし、プレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供する。ユーザが意味モデルを拡張またはカスタマイズするためのカスタム意味拡張機能を使用する際、拡張ウィザードまたは開発環境は、ユーザにブランチおよびステップの定義を案内する。その後、拡張またはカスタマイズされた意味モデルは、本番環境に起用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムを示す図である。
【
図2】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図3】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図4】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図5】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図6】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図7】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図8】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図9】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【
図10】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供する方法のフローチャートを示す図である。
【
図11】実施の形態に係る、拡張性およびカスタマイゼーションを可能にする分析アプリケーション環境を示す図である。
【
図12】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【
図13】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【
図14】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【
図15】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートを示す図である。
【
図16】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートをさらに示す図である。
【
図17】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートをさらに示す図である。
【
図18】実施の形態に係る、分析アプリケーション環境においてカスタム意味拡張機能を起用する様子を示す図である。
【
図19】実施の形態に係る、セルフサービスデータモデルを示す図である。
【
図20】実施の形態に係る、キュレートされたデータモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
上述したように、組織内では、データアナリティクスによって、大量のデータから結論またはその他の情報を導き出すために、当該データのコンピュータベースの調査または解析が可能になり、ビジネスインテリジェンスツールによって、戦略的な経営判断を行うことを可能にする形式で企業データを記述した情報が組織のビジネスユーザに提供される。
【0010】
組織のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境(たとえば、Oracle Fusion Applications環境もしくはその他の種類のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境など)と関連して、または、SaaS(Software-As-A-Service)もしくはクラウド環境(たとえば、Oracle Analytics CloudもしくはOracle Cloud インフラストラクチャ環境、もしくはその他の種類のクラウド環境など)と関連してデータアナリティクスの利用を活用するソフトウェアアプリケーションを開発することに対する関心が高まっている。
【0011】
実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、組織のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境、または、Software-As-A-Serviceもしくはその他の種類のクラウド環境に関連するデータアナリティクスを可能にし、コンピュータによって実行可能なソフトウェア分析アプリケーションの開発をサポートする。
【0012】
実施の形態によると、たとえば、抽出、変換、ロードプロセスなど、データパイプライン/処理は、特定のアナリティクスユースケースまたはベストプラクティスに対処するようになされた分析アプリケーションスキーマに従って動作して、データウェアハウスインスタンスにロードするためのデータを顧客の(テナントの)エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信することができる。
【0013】
実施の形態によると、各顧客(テナント)を顧客テナンシおよび顧客スキーマにさらに対応付けることができる。データパイプライン/処理は、エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信したデータを、分析アプリケーションスキーマと顧客スキーマとの組合せによって定義されるようにデータウェアハウスインスタンスおよびデータベーステーブルに追加する。
【0014】
実施の形態によると、記載のシステムおよび方法の技術的利点として、分析アプリケーション環境(クラウド)テナンシ内に保持されるシステム規模のアプリケーションスキーマもしくはデータモデルまたは共有分析アプリケーションスキーマもしくはデータモデルを顧客テナンシ内で保持されるテナント固有顧客スキーマと合わせて利用することによって、エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信した実データ(実テーブル)を、自動的または周期的(たとえば、毎時/毎日/毎週、またはそれ以外の基準)に各顧客の(テナントの)データウェアハウスインスタンスまたはデータベーステーブルに追加するまたは当該実データ(実テーブル)に対応付けることが可能になり、特定のアナリティクスユースケースのベストプラクティスを反映できることを含む。このようなアナリティクスユースケースとして、ERP(Enterprise Resource Planning)、HCM(Human Capital Management)、CX(Customer Experience)、SCM(Supply Chain Management)、EPM(Enterprise Performance Management)、またはその他の種類のアナリティクスユースケースを挙げることができる。次に、データが追加されたデータウェアハウスインスタンスまたはデータベーステーブルを利用して、コンピュータによって実行可能なソフトウェア分析アプリケーションを作成する、または、当該データに対応付けられたデータアナリティクスまたはその他の情報を判断することができる。
【0015】
実施の形態によると、たとえば、ODI(Oracle Data Integrator)環境などのデータ統合コンポーネントまたはその他の種類のデータ統合コンポーネントが保持するデータパイプライン/処理、たとえば、ETL(抽出、変換、ロード)プロセスまたはELT(抽出、ロード、変換)プロセスなどに、コンピュータによって実行可能なソフトウェア分析アプリケーションを対応付けることができる。
【0016】
実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、たとえば、ADW(Oracle Autonomous Data Warehouse)、ADWC(Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud)などのデータウェアハウス環境もしくはコンポーネント、または、大量のデータを格納するようになされたその他の種類のデータウェアハウス環境もしくはコンポーネントとともに動作できる。データウェアハウス環境またはコンポーネントには、たとえば、Oracle Fusion Applicationsなどのエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境、またはその他の種類のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から入手したスタースキーマを介してデータが追加することができる。分析アプリケーション環境の各顧客(テナント)が使用できるようにされたデータは、たとえば、ADWCテナンシにおいてプロビジョニングされ得る。ADWCテナンシは、共有インフラストラクチャのその他の機能へのアクセスを与えつつ、その顧客(テナント)にのみ対応付けられ、その顧客(テナント)のみがアクセス可能である。
【0017】
たとえば、実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、共通の変換マップまたはリポジトリを提供する共有データパイプライン/処理インフラストラクチャに連結されたデータパイプライン/処理層を含み得る。データパイプライン/処理層は、Oracle Fusion Applications環境から抽出された、ADWCテナンシ内のデータウェアハウスインスタンスにロードされるデータを顧客(テナント)が取り入れることを可能にし、複数のデータウェアハウススキーマ、データ抽出スキーマおよび対象スキーマ、およびデータパイプライン/処理ステージの監視など、機能のサポートを含む。
【0018】
はじめに
実施の形態によると、たとえば、ADW(Oracle Autonomous Data Warehouse)、ADWC(Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud)などのデータウェアハウス環境もしくはコンポーネント、または、大量のデータを格納するようになされたその他の種類のデータウェアハウス環境もしくはコンポーネントは、1つ以上の業務アプリケーションが収集したデータを格納するための中央リポジトリを提供することができる。
【0019】
たとえば、実施の形態によると、データウェアハウス環境またはコンポーネントは、OLAP(Online Analytical Processing)または複数の異なるソースのデータから業務関連データを生成するその他の技術を採用する多次元データベースとして提供され得る。組織は、1つ以上の垂直業務アプリケーションおよび/または水平業務アプリケーションからこのような業務関連データを抽出し、その組織に対応付けられたデータウェアハウスインスタンスに抽出データを注入することができる。
【0020】
水平業務アプリケーションとして、上述したような、ERP、HCM、CX、SCM、およびEPMなどを挙げることができ、様々な企業組織間で広い範囲の機能を提供することができる。
【0021】
垂直業務アプリケーションは、一般に、水平業務アプリケーションよりも範囲が狭いが、規定の範囲または業界内の上下方向の一連のデータへのアクセスを与える。垂直業務アプリケーションとして、特定の組織内で使用するための医療用ソフトウェア、または銀行業務ソフトウェアなどを挙げることができる。
【0022】
SaaSまたはクラウド指向商品として、たとえばOracle Fusion Applicationsなど、企業ソフトウェアプロダクトまたはコンポーネントをソフトウェアベンダーが提供することが増えているが、たとえば、Oracle ADWCなど、その他の企業ソフトウェアプロダクトまたはコンポーネントを、SaaS、PaaS(Platform-as-a-Service)、またはハイブリッドサブスクリプションのうちの1つ以上として提供することができる。従来のビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーションおよびプロセスの企業ユーザは、一般に、水平業務アプリケーションおよび垂直業務アプリケーションからデータを抽出して、抽出データをデータウェアハウスに入れるタスク、つまり、多くの時間とリソースの両方を必要とし得るプロセスに直面する。
【0023】
実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、たとえば、OBIA(Oracle Business Intelligence Applications)環境、または顧客(テナント)自身によってまたは複数のサードパーティエンティティから入手される大量のデータを調べるようになされたその他の種類のBIコンポーネントなど、BIコンポーネントとともに使用するための、コンピュータによって実行可能なソフトウェア分析アプリケーションを顧客(テナント)開発できるようにする。
【0024】
たとえば、実施の形態によると、データウェアハウスコンポーネントを含むSaaSの業務の生産性ソフトウェアプロダクトスイートとともに用いた場合、分析アプリケーション環境は、スイートの業務生産性ソフトウェアアプリケーションからのデータをデータウェアハウスコンポーネントに追加するために利用することができる。定義済みのデータ統合フローによって、業務生産性ソフトウェアアプリケーションとデータウェアハウスとの間のデータのETLプロセスという、サービスのユーザによってこれまで手作業で行われていたであろうプロセスを自動化することができる。
【0025】
別の例として、実施の形態によると、SaaS製品スイートの様々な業務生産性ソフトウェアアプリケーション間で入手された統合データを格納するためのデータベーススキーマで、分析アプリケーション環境を予め構成することができる。このような予め構成されたデータベーススキーマを用いて、提供されたデータウェアハウスをユーザが手作業で設計、調整、およびモデル化しないで済みつつ、SaaS製品スイートで提供される生産性ソフトウェアアプリケーションおよび対応するトランザクションデータベース全体を均一にすることができる。
【0026】
別の例として、実施の形態によると、分析アプリケーション環境を利用して、データウェアハウスインスタンスのレポートインターフェースに、様々な業務生産性ソフトウェアアプリケーションに関連する業務関連データオブジェクトを記述した関連メタデータを予め追加して、たとえば、定義済みのダッシュボード、重要業績評価指標(KPI)、またはその他の種類のレポートを含めることができる。
【0027】
分析アプリケーション環境
図1は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムを示す図である。
【0028】
図1に示すように、実施の形態によると、分析アプリケーション環境100は、コンピュータハードウェア(たとえば、プロセッサ、メモリ)101を有し、コントロールプレーン102およびデータプレーン104として動作する1つ以上のソフトウェアコンポーネントを備え、データウェアハウスまたはデータウェアハウスインスタンス160へのアクセスを与えるコンピュータシステムによって提供され得るまたは当該コンピュータシステムにおいて動作し得る。
【0029】
実施の形態によると、
図1に示され、様々なその他の実施の形態に関してさらに説明されるコンポーネントおよびプロセスは、コンピュータシステムまたはその他の種類の処理装置によって実行可能なソフトウェアまたはプログラムコードとして提供することができる。
【0030】
たとえば、実施の形態によると、本明細書において説明するコンポーネントおよびプロセスは、クラウドコンピューティングシステム、またはその他の適切にプログラムされたコンピュータシステムによって提供することができる。
【0031】
実施の形態によると、コントロールプレーンは、たとえば、Oracle Analytics CloudもしくはOracle Cloud Infrastructure環境、またはその他の種類のクラウド環境など、SaaSまたはクラウド環境に関連して提供されるクラウドまたはその他のソフトウェアプロダクトを制御するよう動作する。
【0032】
たとえば、実施の形態によると、顧客(テナント)20および/またはプロビジョニングコンポーネント111を有するクラウド環境の制御の下、コントロールプレーンは、デバイスハードウェア12と、管理アプリケーション14と、ユーザインターフェース16とを有するクライアントコンピュータデバイス10によるアクセスを可能にするコンソールインターフェース110を含み得る。
【0033】
実施の形態によると、コンソールインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)および/もしくはコマンドラインインターフェース(CLI)もしくはその他のインターフェースを操作する顧客(テナント)によるアクセスを可能にすることができ、ならびに/またはSaaSもしくはクラウド環境のプロバイダおよびその顧客(テナント)が使用するためのインターフェースを含み得る。
【0034】
たとえば、実施の形態によると、コンソールインターフェースは、顧客が顧客のSaaS環境内で使用するためのサービスをプロビジョニングできるようにするインターフェース、および顧客がプロビジョニングされたそれらのサービスを構成できるようにするインターフェースを提供することができる。
【0035】
実施の形態によると、プロビジョニングコンポーネントは、プロビジョニングコマンドが指定するサービスをプロビジョニングするための様々な機能を含み得る。
【0036】
たとえば、実施の形態によると、業務生産性ソフトウェアアプリケーションのスイートのうちの1つ以上をそれらのソフトウェアアプリケーションとともに使用するためのデータウェアハウスインスタンスとあわせて購入するために、顧客(テナント)がコンソールインターフェースを介してプロビジョニングコンポーネントにアクセスして当該プロビジョニングコンポーネントを利用することができる。
【0037】
実施の形態によると、顧客(テナント)は、データウェアハウス内の顧客スキーマ164のプロビジョニングを要求できる。また、顧客は、必須属性(たとえば、ログイン認証情報)およびオプション属性(たとえば、サイズ、または速度)を含む、データウェアハウスインスタンスに対応付けられた複数の属性をコンソールインターフェースを介して供給し得る。その後、データウェアハウスの顧客スキーマを含む要求されたデータウェアハウスインスタンスをプロビジョニングコンポーネントがプロビジョニングして、顧客が供給する適切な情報をデータウェアハウスインスタンスに追加し得る。
【0038】
また、実施の形態によると、プロビジョニングコンポーネントは、たとえば特定の顧客(テナント)についてのETLプロセス実行の要求頻度を変更または更新することによって、データウェアハウスインスタンス、および/またはデータプレーンにおいて動作するETLプロセスを更新または編集するために利用することができる。
【0039】
また、実施の形態によると、プロビジョニングコンポーネントは、以下にさらに説明するが、プロビジョニングAPI(Application Programming Interface)112と、複数のワーカー115と、メータリングマネージャ116と、データプレーンAPI118とを備え得る。SaaS環境内でサービスをプロビジョニングするまたはプロビジョニングされたサービスの構成を変更するためのコマンド、命令、またはその他の入力がコンソールインターフェースにおいて受信された場合、コンソールインターフェースは、たとえばAPI呼び出しを行うことによってプロビジョニングAPIと通信できる。
【0040】
実施の形態によると、データプレーンAPIは、データプレーンと通信できる。
たとえば、実施の形態によると、データプレーンが提供するサービスのプロビジョニングおよび構成の変更を、データプレーンAPIを介してデータプレーンに通信することができる。
【0041】
実施の形態によると、メータリングマネージャは、サービスと、コントロールプレーンを通してプロビジョニングされたサービスの使用状況とを測る様々な機能を含み得る。
【0042】
たとえば、実施の形態によると、メータリングマネージャは、特定の顧客(テナント)について、請求のために、コントロールプレーンを介してプロビジョニングされたプロセッサの使用状況を時間の経過とともに記録することができる。同様に、メータリングマネージャは、SaaS環境の顧客が使用するためにパーティション分割されたデータウェアハウスの記憶空間の量を、請求のために記録することができる。
【0043】
実施の形態によると、データプレーンは、データパイプライン/処理層120と、データ変換層134とを含み得る。データパイプライン/処理層120およびデータ変換層134は、共に、たとえば、顧客の(テナントの)SaaS環境においてプロビジョニングされる業務生産性ソフトウェアアプリケーションなど、組織のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境からの運用データまたは取引データを処理する。データパイプライン/処理は、SaaS環境においてプロビジョニングされる業務アプリケーションおよびデータベースから取引データを抽出し、その後変換データをデータウェアハウスにロードする様々な機能を含み得る。
【0044】
実施の形態によると、データ変換層は、SaaS環境においてプロビジョニングされた業務アプリケーションおよび対応するトランザクションデータベースから受信した取引データを、分析アプリケーション環境が理解するモデルフォーマットに変換するためにシステムが利用するデータモデル、たとえば、ナレッジモデル(KM)またはその他の種類のデータモデルなどを含み得る。モデルフォーマットは、データウェアハウスに格納するのに適した任意のデータフォーマットで提供することができる。
【0045】
実施の形態によると、データプレーンが提供するデータパイプライン/処理は、以下にさらに説明するが、監視コンポーネント122と、データステージングコンポーネント124と、データ品質コンポーネント126と、データ投影コンポーネント128とを備え得る。
【0046】
実施の形態によると、データ変換層は、以下にさらに説明するが、ディメンション作成コンポーネント136と、ファクト作成コンポーネント138と、アグリゲート作成コンポーネント140とを備え得る。また、データプレーンは、データ/構成ユーザインターフェース130と、マッピング/構成データベース132とを備え得る。
【0047】
実施の形態によると、データウェアハウスは、デフォルト分析アプリケーションスキーマ(本明細書では、いくつかの実施の形態に従って、分析ウェアハウススキーマと称する)162と、システムの顧客(テナント)ごとに上述したような顧客スキーマとを含み得る。
【0048】
実施の形態によると、データプレーンは、ETL(抽出、変換、ロード)操作を実行する役割を担う。ETL操作は、たとえばSaaS環境において提供される業務生産性ソフトウェアアプリケーションおよび対応するトランザクションデータベースなど、組織のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から取引データを抽出する操作、抽出データをモデルフォーマットに変換する操作、および変換データをデータウェアハウスの顧客スキーマにロードする操作を含む。
【0049】
たとえば、実施の形態によると、環境の各顧客(テナント)は、データウェアハウス内の自身の顧客テナンシに対応付けられ得る。顧客テナンシは、自身の顧客スキーマに対応付けられており、分析アプリケーションスキーマへの読み取り専用アクセスが与えられた状態で追加提供され得る。分析アプリケーションスキーマは、周期的またはその他の基準でデータパイプライン/処理、たとえば、ETLプロセスによって更新することができる。
【0050】
実施の形態によると、複数のテナントをサポートするために、システムは、複数のデータウェアハウスまたは複数のデータウェアハウスインスタンスの使用を可能にすることができる。
【0051】
たとえば、実施の形態によると、第1テナントの第1ウェアハウス顧客テナンシは、第1データベースインスタンス、第1ステージング領域、および複数のデータウェアハウスまたは複数のデータウェアハウスインスタンスのうちの第1データウェアハウスインスタンスから構成され得、第2テナントの第2顧客テナンシは、第2データベースインスタンス、第2ステージング領域、および複数のデータウェアハウスまたは複数のデータウェアハウスインスタンスのうちの第2データウェアハウスインスタンスから構成され得る。
【0052】
実施の形態によると、データパイプライン/処理は、たとえば、SaaS環境においてプロビジョニングされる業務生産性ソフトウェアアプリケーションおよび対応するトランザクションデータベース106など、エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から取引データを一定間隔(たとえば、毎時/毎日/毎週)で抽出するようにスケジューリングされ得る。
【0053】
実施の形態によると、抽出プロセス108が取引データを抽出することができ、抽出すると、データパイプライン/処理がデータステージング領域に抽出データを挿入することができる。データステージング領域は、抽出データの一時的なステージング領域として機能できる。データ品質コンポーネントおよびデータ保護コンポーネントを用いて、抽出データの完全性を確保することができる。
【0054】
たとえば、実施の形態によると、データ品質コンポーネントは、データステージング領域に抽出データが一時的に保持されている間にこのデータの検証を行うことができる。
【0055】
実施の形態によると、抽出プロセスが抽出を完了すると、データ変換層を用いて、データウェアハウスの顧客スキーマにロードするために抽出データをモデルフォーマットに変更する変換処理を開始できる。
【0056】
上述したように、実施の形態によると、データパイプライン/処理は、データ変換層と組み合わせて動作してデータをモデルフォーマットに変換することができる。マッピング/構成データベースは、データ変換が使用するデータモデルを定義するメタデータおよびデータマッピングを格納し得る。データ/構成ユーザインターフェース(UI)は、マッピング/構成データベースへのアクセスおよび変更を容易にすることができる。
【0057】
実施の形態によると、マッピング/構成データベースにおいて定義されたデータモデルに基づいて、監視コンポーネントは、変換されるいくつかの異なるデータセットの依存関係を判断することができる。判断した依存関係に基づいて、監視コンポーネントは、いくつかの異なるデータセットのうちどれを最初にモデルフォーマットに変換すべきかを決定できる。
【0058】
たとえば、実施の形態によると、第1のモデルデータセットがその他のモデルデータセットへの依存関係がなく、第2のモデルデータセットが第1のモデルデータセットへの依存関係がある場合、監視コンポーネントは、第2のデータセットよりも先に第1のデータセットを変換して、第2のデータセットの第1のデータセットへの依存関係に対応できる。
【0059】
実施の形態によると、データ変換層は、たとえば上述したようなデータモデルに従って、データウェアハウスの顧客スキーマにロードするのに適したフォーマットに抽出データを変換できる。変換の間、データ変換は、ディメンションの作成、ファクトの作成、およびアグリゲートの作成を適宜行うことができる。ディメンションの作成は、データウェアハウスインスタンスにロードするためのディメンションまたはフィールドを作成するステップを含み得る。
【0060】
たとえば、実施の形態によると、ディメンションは、たとえば、「名前」、「アドレス」または「年齢」など、いくつかのデータのカテゴリを含み得る。ファクトの作成は、データが取り得る値または「測定」できる値の作成を含む。ファクトは、データウェアハウスインスタンスにある適切なディメンションに対応付けられる。アグリゲートの作成は、データウェアハウスインスタンスの顧客スキーマ164にある既存データへの変換データの集計を演算するデータマッピングの作成を含む。
【0061】
実施の形態によると、(データモデルによって定義されるように)変換が行われると、データパイプライン/処理は、ソースデータを読み出し、変換処理を適用して、このデータをデータウェアハウスインスタンスに送ることができる。
【0062】
実施の形態によると、データ変換を規則で表すことができ、変換が行われると、直ちにステージング領域で値が保持され得る。ステージング領域では、データ品質コンポーネントおよびデータ投影コンポーネントが、データウェアハウスインスタンスにある顧客スキーマにアップロードされる前に変換データの完全性を検証し得る。たとえば複数の計算インスタンスまたは複数の仮想マシンにおいて抽出、変換、ロードプロセスが実行されると、監視が行われ得る。また、抽出、変換、ロードプロセスの間、依存関係を保持することができ、データパイプライン/処理は、このような順序の決定に対処することができる。
【0063】
実施の形態によると、抽出データの変換後、データパイプライン/処理は、ウェアハウスロードプロシージャ150を実行して、変換データをデータウェアハウスの顧客スキーマインスタンスにロードできる。変換データを顧客スキーマにロードするステップに続いて、変換データを解析して様々な追加のビジネスインテリジェンスプロセスにおいて利用することができる。
【0064】
水平統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションおよび垂直統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションは、一般に、リアルタイムでのデータ収集を対象とする。これは、水平統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションおよび垂直統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションが一般に日々のワークフローのために利用されているおり、トランザクションデータベースにデータを格納するためである。つまり、一般に、最新データのみがこのようなデータベースに格納される。
【0065】
たとえば、HCMアプリケーションは、従業員が事業所を異動する場合に従業員に対応付けられたレコードを更新するかもしれないが、このようなHCMアプリケーションは、一般に、会社での在職期間中に従業員が働いた各事業所のレコードを保持していない。このように、会社内での従業員の移動を判断しようとするBI関連のクエリは、このようなクエリを完了させるための十分なレコードをトランザクションデータベース内に持っていない。
【0066】
実施の形態によると、水平統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションおよび垂直統合型ビジネスソフトウェアアプリケーションが生成した現在のデータに加えて、過去データもBIアプリケーションが容易に理解できる状況で格納することによって、上記技術を用いてデータが追加されたデータウェアハウスインスタンスは、たとえば、業務生産性/アナリティクス製品スイートによってまたは顧客が選択したSQLツールによって提供されるインターフェースを利用して、BIアプリケーションがこのようなクエリを処理するためのリソースを提供する。
【0067】
データパイプラインプロセス
図2は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0068】
図2に示すように、実施の形態によると、上述したデータパイプラインプロセスを利用して、たとえば顧客の(テナントの)エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境(106)からデータを入手、カスタムデータ109の場合、1つ以上の顧客固有のアプリケーション107から当該データを入手し、データウェアハウスインスタンスにロードできる。いくつかの例では、データウェアハウスインスタンスは、データを格納するためのオブジェクトストレージ105の使用を含む。
【0069】
実施の形態によると、データパイプライン/処理は、顧客(テナント)ごとに、分析アプリケーションスキーマを、たとえばスタースキーマとして保持する。分析アプリケーションスキーマは、たとえば、HCM(Human Capital Management)アナリティクスまたはERP(Enterprise Resource Planning)アナリティクスなど、特定のアナリティクスユースケースのベストプラクティスに従って、システムによって周期的またはその他の基準で更新される。
【0070】
実施の形態によると、顧客(テナント)ごとに、システムは、分析アプリケーション環境(クラウド)テナンシ114内に当該システムが保持および更新する分析アプリケーションスキーマを利用して、その顧客のエンタープライズアプリケーション環境内および顧客テナンシ117内のデータの解析に基づいて顧客のデータウェアハウスインスタンスに予めデータを追加する。このように、システムが保持する分析アプリケーションスキーマによって、データパイプライン/処理によって顧客の環境からデータを「ライブ」で検索し、顧客のデータウェアハウスインスタンスにロードすることが可能になる。
【0071】
また、実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、環境の顧客ごとに、顧客が容易に内容を変更できる顧客スキーマを提供する。顧客スキーマにより、顧客は、自身のデータウェアハウスインスタンス内のデータを補ったり利用したりできるようになる。分析アプリケーション環境の顧客ごとに、結果として得られるデータウェアハウスインスタンスは、データベースとして動作する。このデータベースのコンテンツの一部は顧客によって制御され、一部は分析アプリケーション環境(システム)に制御されており、HCMアナリティクスまたはERPアナリティクスなど、様々なアナリティクスユースケースに対処するためにエンタープライズアプリケーション環境から検索された適切なデータがデータベースに予め追加されていると思われる場合を含む。
【0072】
たとえば、実施の形態によると、データウェアハウス(たとえば、Oracle Autonomous Data Warehouse、ADWC)は、分析アプリケーションスキーマを含み、エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から入手した顧客スキーマを顧客/テナントごとに含み得る。データウェアハウステナンシ(たとえば、ADWCテナンシ)においてプロビジョニングされたデータは、そのテナントのみがアクセス可能であるが、同時に、様々な機能、たとえば、ETL関連の機能または共有分析アプリケーション環境のその他の機能へのアクセスを可能にする。
【0073】
実施の形態によると、複数の顧客/テナントをサポートするために、システムは、複数のデータウェアハウスインスタンスの使用を可能にする。たとえば、第1顧客テナンシは、第1データベースインスタンス、第1ステージング領域、および第1データウェアハウスインスタンスから構成され得、第2顧客テナンシは、第2データベースインスタンス、第2ステージング領域、および第2データウェアハウスインスタンスから構成され得る。
【0074】
実施の形態によると、特定の顧客/テナントごとに、そのデータを抽出すると、データパイプライン/処理が、テナントのデータステージング領域に抽出データを挿入することができる。データステージング領域は、抽出データの一時的なステージング領域として機能できる。データ品質コンポーネントおよびデータ保護コンポーネントを使用して、たとえばデータステージング領域に抽出データが一時的に保持されている間にこのデータの検証を行うことによって抽出データの完全性を確保することができる。抽出プロセスが抽出を完了すると、データ変換層を用いて、データウェアハウスの顧客スキーマにロードするために抽出データをモデルフォーマットに変更する変換処理を開始できる。
【0075】
抽出、変換、ロード/パブリッシュ
図3は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0076】
図3に示すように、実施の形態によると、上述したデータパイプラインプロセスを利用して、たとえば顧客の(テナントの)エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境からデータを抽出、カスタムデータの場合、1つ以上の顧客固有のアプリケーションから当該データを入手し、このデータをデータウェアハウスインスタンスにロードするまたはデータウェアハウスにあるこのデータをリフレッシュする処理は、一般に、1つ以上の計算インスタンス(複数可)170によって実行される抽出サービス163、変換サービス165、およびロード/パブリッシュサービス167のうちの1つ以上を含む、ETPサービス160またはプロセスによって実行される大きく3つのステージを伴う。
【0077】
抽出:実施の形態によると、抽出するビューオブジェクトのリストが、たとえばReST呼び出しによってOracleBICC(Oracle BI Cloud Connector)コンポーネントに提出され得る。抽出されたファイルは、OSS(Oracle Storage Service)コンポーネントなど、データを格納するためのオブジェクトストレージコンポーネントにアップロードされ得る。
【0078】
変換:実施の形態によると、変換処理は、オブジェクトストレージコンポーネント(たとえば、OSS)からデータファイルを取り、ADWCデータベースなど、対象データウェアハウスにデータファイルをロードしている間、ビジネスロジックを適用する。対象データウェアハウスは、データパイプライン/処理の内部に存在し、顧客(テナント)からは見えない。
【0079】
ロード/パブリッシュ:実施の形態によると、ロード/パブリッシュサービスまたはプロセスは、たとえば、ADWCデータベースまたはウェアハウスからデータを取り、それを顧客(テナント)がアクセス可能なデータウェアハウスインスタンスにパブリッシュする。
【0080】
複数の顧客(テナント)
図4は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0081】
実施の形態に係るシステムの複数のテナント(顧客)との動作を示した
図4に示すように、上述したデータパイプラインプロセスを利用して、たとえば複数の顧客の(テナントの)エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境の各々からデータを入手して、データウェアハウスインスタンスにロードすることができる。
【0082】
実施の形態によると、データパイプライン/処理は、複数の顧客(テナント)の各々、たとえば、顧客A180、顧客B182ごとに、特定のアナリティクスユースケースのベストプラクティスに従ってシステムが周期的またはその他の基準で更新する分析アプリケーションスキーマを保持する。
【0083】
実施の形態によると、複数の顧客(たとえば、顧客A、B)ごとに、システムは、当該システムが保持および更新する分析アプリケーションスキーマ162A、162Bを利用して、その顧客のエンタープライズアプリケーション環境106A、106B内および各顧客のテナンシ(たとえば、顧客Aテナンシ181、顧客Bテナンシ183)内のデータの解析に基づいて、データパイプライン/処理によって顧客の環境からデータを検索して顧客のデータウェアハウスインスタンス160A、160Bにロードできるよう、顧客のデータウェアハウスインスタンスに予めデータを追加する。
【0084】
また、実施の形態によると、分析アプリケーション環境は、環境の複数の顧客の各々について、顧客スキーマ(たとえば、顧客Aスキーマ164A、顧客Bスキーマ164B)を提供する。顧客スキーマにより、顧客は、自身のデータウェアハウスインスタンス内のデータを補ったり利用したりできるようになる。
【0085】
上述したように、実施の形態によると、分析アプリケーション環境の複数の顧客の各々について、結果として得られるデータウェアハウスインスタンスは、データベースとして動作する。このデータベースのコンテンツの一部は顧客によって制御され、一部は分析アプリケーション環境(システム)に制御されており、様々なアナリティクスユースケースに対処するためにエンタープライズアプリケーション環境から検索された適切なデータがデータベースに予め追加されていると思われる場合を含む。特定の顧客に関する抽出プロセス108A、108Bを完了すると、データ変換層を用いて、データウェアハウスの顧客スキーマにロードするために抽出データをモデルフォーマットに変更する変換処理を開始できる。
【0086】
アクティベーションプラン
図5は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0087】
実施の形態によると、特定の機能領域の顧客のデータパイプライン/処理サービスの動作を制御してその顧客の(テナントの)特定のニーズに対処するために、アクティベーションプラン186を利用できる。
【0088】
たとえば、実施の形態によると、アクティベーションプランは、特定の順序で特定の時刻に特定の期間内に実行される複数の抽出サービス/ステップ、変換サービス/ステップ、および格納(パブリッシュ)サービス/ステップを規定できる。
【0089】
実施の形態によると、各顧客は、自身のアクティベーションプラン(複数可)に対応付けられ得る。たとえば、第1の顧客Aのアクティベーションプランは、その顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション環境(たとえば、Fusion Applications環境)から検索するテーブルを決定したり、またはサービスおよびそれらのプロセスをどのように逐次実行するかを決定したりすることができ、第2の顧客Bのアクティベーションプランは、同様に、その顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション環境から検索するテーブルを決定したり、サービスおよびそれらのプロセスをどのように逐次実行するかを決定したりすることができる。
【0090】
実施の形態によると、アクティベーションプランは、マッピング/構成データベースに格納することができ、顧客がデータ/構成UIを介してカスタマイズすることができる。各顧客は、複数のアクティベーションプランを持つことができる。様々な顧客のETLプロセスを実行する計算インスタンス/サービス(仮想マシン)は、アクティベーションプランに従って、アクティベーションプランを使用するために特定のサービス専用にされた後、その他のサービスおよびアクティベーションプランによる使用のためにリリースされ得る。
【0091】
実施の形態によると、一定時間に渡って記録された過去のパフォーマンスデータの判断に基づいて、システムは、たとえば特定のテナントに対応付けられた1つ以上の機能領域についてのアクティベーションプラン、または複数のテナントに対応付けられた一連のアクティベーションプラン全体の実行を最適化して、これらのテナントのVMおよびSLA(Servive Level Agreement)の利用に対処できる。このような過去データは、ロード量およびロード時間の統計データを含み得る。
【0092】
たとえば、実施の形態によると、過去データは、抽出サイズ、抽出数、抽出時間、ウェアハウスのサイズ、変換時間、パブリッシュ(ロード)時間、ビューオブジェクト抽出サイズ、ビューオブジェクト抽出レコード数、ビューオブジェクト抽出時間、ウェアハウステーブル数、テーブルの処理済みレコード数、ウェアハウステーブル変換時間、パブリッシュテーブル数、およびパブリッシュ時間を含み得る。たとえば逐次実行または並列実行する様々なタスクを編成して1つのアクティベーションプランを最小時間で実行することを達成するために、このような過去データを利用して現在および将来のアクティベーションプランを予想および計画することができる。これに加えて、集められた過去データを利用して、1つのテナントの複数のアクティベーションプラン全体を最適化することができる。いくつかの実施の形態では、過去データに基づいたアクティベーションプラン(すなわち、ETLなど、特定の順序で実行されるジョブ)の最適化は、自動で行うことができる。
【0093】
ETLプロセスフロー
図6は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0094】
図6に示すように、実施の形態によると、(たとえば、Oracle)管理テナンシ内のデータ構成/管理/ETL//ステータスサービス190によって制御される、各顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション環境(たとえば、Fusion Applications環境)からのデータの流れを可能にする。この例では、データの流れは、BICCコンポーネント、ストレージクラウドサービス192、たとえば、OSSを通り、そこからデータウェアハウスインスタンスまでのデータの流れを含む。
【0095】
上述したように、実施の形態によると、データのフローは、ストレージクラウドサービスからデータを取って内部の対象データウェアハウス(たとえば、ADWCデータベース)194にロードする1つ以上のサービス(たとえば、ETLリポジトリ193で説明したような上述した抽出サービス、変換サービスを含む)によって管理され得る。対象データウェアハウスは、データパイプライン/処理の内部に存在し、顧客からは見えない。
【0096】
実施の形態によると、データは、複数のステージにおいて、データウェアハウスに移動され、その後データベーステーブル変更ログ195に移動される。ロード/パブリッシュサービスは、顧客データを、データベーステーブル変更ログ195から、顧客に対応付けられた、当該顧客がアクセス可能な、その顧客テナンシ内の対象データウェアハウスインスタンスにロードすることができる。
【0097】
ETLのステージ
図7は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0098】
実施の形態によると、エンタープライズアプリケーションからデータを抽出して変換し、データウェアハウスインスタンスにロードするステップは、複数のステージを伴う。各ステージは、いくつかの逐次ジョブまたは並列ジョブを有し得、顧客ごとに異なるステージング領域196、198を含む、異なる空間/ハードウェア上で動作する。
【0099】
分析アプリケーション環境メトリクス
図8は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0100】
図8に示すように、実施の形態によると、メータリングマネージャは、サービスと、コントロールプレーンを通してプロビジョニングされたサービスの使用状況とを測る機能を含み、プロビジョニングされたメトリクス142を提供できる。
【0101】
たとえば、メータリングマネージャは、特定の顧客(テナント)について、請求のために、コントロールプレーンを介してプロビジョニングされたプロセッサの使用状況を時間の経過とともに記録することができる。同様に、メータリングマネージャは、SaaS環境の顧客が使用するためにパーティション分割されたデータウェアハウスの記憶空間の量を、請求のために記録することができる。
【0102】
分析アプリケーション環境のカスタマイズ
図9は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供するシステムをさらに示す図である。
【0103】
図9に示すように、実施の形態によると、たとえば上述したデータパイプラインプロセスを利用して顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から入手できるデータに加えて、いくつかの例ではデータを格納するためのオブジェクトストレージを用いることを含む上述したようなデータパイプラインプロセス、および/またはカスタムETLプロセス144もしくは顧客視点で変更可能なその他のプロセスのいずれかを利用して、1つ以上の顧客固有のアプリケーション107A、107Bから入手される1つ以上の追加のカスタムデータ109A、109Bを抽出して変換し、データウェアハウスインスタンスにロードすることができる。データウェアハウスインスタンスにデータがロードされると、顧客は、顧客スキーマおよびソフトウェア分析アプリケーションスキーマの両方のテーブルを組み合わせたビジネスデータベースビューを作成できるようになり、たとえば、業務生産性/アナリティクス製品スイートによってまたは顧客が選択したSQLツールによって提供されるインターフェースを利用して、データウェアハウスインスタンスを照会できるようになる。
【0104】
分析アプリケーション環境の方法
図10は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境を提供する方法のフローチャートを示す図である。
【0105】
図10に示すように、実施の形態によると、ステップ200において、分析アプリケーション環境が、複数のテナントによるデータを格納するためのデータウェアハウスへのアクセスを与える。データウェアハウスは、分析アプリケーションスキーマに対応付けられている。
【0106】
ステップ202では、複数のテナントの各テナントを、顧客テナンシと、データウェアハウスインスタンスにデータを追加する際にテナントが使用する顧客スキーマとに対応付ける。
【0107】
ステップ204では、データウェアハウスのインスタンスに、エンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境から受信したデータを追加する。分析アプリケーション環境の特定のテナントに対応付けられ、特定のテナントがアクセス可能なデータウェアハウスインスタンスにおいて、当該特定のテナントに対応付けられた分析アプリケーションスキーマおよび顧客スキーマに従って、特定のテナントに対応付けられたデータがプロビジョニングされる。
【0108】
ハイブリッドSaaS/PaaSモデル
データアナリティクス環境の異なる顧客は、データアナリティクスもしくはビジネスインテリジェンスデータを提供するまたはソフトウェア分析アプリケーションを開発するために、自身のデータをどのように分類、集計、または変換するかについての要求がそれぞれ異なるであろう。
【0109】
実施の形態によると、このような異なる要求をサポートするために、システムは、意味層を含むことができる。意味層は、意味データモデル(意味モデル)を拡張するためのカスタム意味拡張機能、およびプレゼンテーション層にカスタムコンテンツを提供するためのカスタム意味拡張機能の利用を可能にする。ユーザが意味モデルを拡張またはカスタマイズするためのカスタム意味拡張機能を使用する際、拡張ウィザードまたは開発環境は、ユーザにブランチおよびステップの定義を案内する。その後、拡張またはカスタマイズされた意味モデルは、本番環境に起用される。
【0110】
様々な実施の形態によると、説明した手法の技術的利点として、他の種類のデータソースに対するサポートを含む。たとえば、ユーザは、第1のベンダーの製品から入手したERPデータと、第2の異なるベンダーの製品から入手したHCMデータとの組合せに基づいて、または、規制要件がそれぞれ異なる複数のデータソースから受信したデータの組合せに基づいてデータアナリティクスを実行できる。ユーザ定義された拡張機能またはカスタマイゼーションは、基盤となるシステムに対して行われるパッチ、アップデート、またはその他の変更に持ちこたえることができる。
【0111】
図11は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをサポートするシステムを示す図である。
【0112】
実施の形態によると、意味層は、顧客のデータの意味モデルを定義するデータを含み得る。これは、ユーザがそのデータを理解するまたはアクセスすることを一般的に理解されているビジネス用語を用いて支援するのに有用である。意味層は、物理データモデルまたはデータプレーンにマッピングする物理層と、計算が定義され得るマッピング層または変換層として動作する論理層と、コンテンツとしてのデータにユーザがアクセスすることを可能にするプレゼンテーション層とを含み得る。
【0113】
図11に示すように、実施の形態によると、意味層230は、パッケージ化された(すぐに使える最初の)意味モデル232を含み得る。意味モデル232を用いて、パッケージ化されたコンテンツ234が提供され得る。たとえば、システムは、上述したETLプロセスまたはその他のデータパイプライン/処理を利用して、顧客のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境からのデータをデータウェアハウスインスタンスにロードすることができる。次に、パッケージ化された意味モデルを用いて、パッケージ化されたコンテンツをプレゼンテーション層に提供できる。
【0114】
また、実施の形態によると、意味層を1つ以上の意味拡張機能236に対応付けることができる。意味拡張機能236は、パッケージ化された意味モデルを拡張したり、プレゼンテーション層240にカスタムコンテンツ238を提供したりするために用いられ得る。
【0115】
実施の形態によると、プレゼンテーション層は、たとえば、ソフトウェア分析アプリケーション、ユーザインターフェース、ダッシュボード、重要業績評価指標(KPI)242、または、たとえばOracle Analytics CloudもしくはOracle Analytics for Applicationsなどの製品によって提供され得るその他の種類のレポートまたはインターフェースを利用した、データコンテンツへのアクセスを可能にすることができる。
【0116】
ブランチおよびステップ
図12は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【0117】
図12に示すように、実施の形態によると、ユーザは、1つ以上のカスタム意味拡張機能を用いて、意味モデル250を拡張またはカスタマイズできる。その後、意味モデル250は、カスタムコンテンツをプレゼンテーション層に提供するためにシステムによって使用され得る。
【0118】
たとえば実施の形態によると、ユーザは、デバイスハードウェア254とユーザインターフェース256とを有するクライアント(コンピュータ)デバイス252を利用して、ユーザにカスタマイゼーションおよびカスタム意味拡張機能の利用を案内する拡張ウィザード258もしくはソフトウェア開発コンポーネントとやり取りするまたは拡張ウィザード258もしくはソフトウェア開発コンポーネントを操作することができる。
【0119】
実施の形態によると、ユーザは、意味モデルを拡張またはカスタマイズするために新しいカスタマイゼーションブランチ260を編集または作成することができる。ブランチの選択によって、ユーザには、使用する意味モデルのインスタンスであって、特定のカスタマイゼーションまたは拡張を組み込む意味モデルのインスタンスが与えられる。各ブランチは、最小ワークユニットとして動作し、カスタマイゼーションタイプおよび対応する拡張機能に対応付けられた1つ以上のカスタマイゼーションステップを含み得る。拡張ウィザードは、データを意識したウィザードであり得、ブランチがカスタマイズされると基盤となるデータのプレビューを提供することができる。たとえば、ユーザがカスタマイズする特定のブランチを指定すると、拡張ウィザードは、ユーザが確認するための例示的なデータのテーブルを提示し、その後、ユーザに、たとえば、当該データとともに用いるための定義または集計操作をカスタマイズすることを案内することができる。異なる種類のブランチを異なる拡張ウィザードに対応付けることができる。
【0120】
図13は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【0121】
図13に示すように、実施の形態によると、拡張ウィザードは、ユーザに、1つ以上のカスタマイゼーションステップ(262)、カスタマイゼーションタイプの選択(263)、および適切な拡張ウィザードの完了/記入(264)を編集/追加するための操作261を案内することができる。各ステップでは、拡張ウィザードは、確認または完了するための1つ以上のウィザード画面をユーザに提示し得る。これらの画面は、拡張機能の種類によって異なる場合がある。ステップが無事完了すると、ユーザは、ブランチに対するカスタマイゼーションをテストしたり、さらにステップを追加したり、変更を適用したりすることができる(265)。次に、カスタマイズされたブランチを(メイン)意味モデルにマージさせることができる(266)。
【0122】
図14は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境における拡張性およびカスタマイゼーションをさらに示す図である。
【0123】
図14に示すように、実施の形態によると、システムは、意味モデルに対する変更を、たとえばRPD(Oracle BI Repository)ファイルもしくはその他の種類のファイルもしくはメタデータとして公開(267)および/または起用(268)することができる。
【0124】
マルチユーザー開発環境
通常の企業組織内では、ソフトウェア分析アプリケーションを開発するまたはデータアナリティクスもしくはビジネスインテリジェンスデータを作成する役割を担っている多くのユーザがいる。これをサポートするために、実施の形態によると、システムは、複数のユーザが同時に働いて意味モデルに対する拡張機能またはカスタマイゼーションを開発することを可能にし、この時の変更は、最終的に(メイン)意味モデルにマージされる。
【0125】
図15は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートを示す図である。
【0126】
図15に示すように、実施の形態によると、複数のユーザA~Dの各々は、上述したような1つ以上のカスタム意味拡張機能を用いて意味モデルのインスタンス作りに取り組んで、拡張機能またはカスタマイゼーションとして意味モデルに修正284~288を行うことができる。
【0127】
実施の形態によると、各ユーザは、カスタマイゼーションを終了すると、(メイン)意味モデルにマージさせることができる。たとえば、第1ユーザAは、リージョンディメンションの追加(ステップ1)、コストセンターディメンションの拡張(ステップ2)、テリトリー階層の定義(ステップ3)、および交通費計算の追加(ステップ4)を含む、財務アプリケーションの総勘定元帳(GL)収益性のカスタマイズに関する新しいブランチを作成するとよいであろう。次に、ユーザAのカスタマイゼーションを適用して(メイン)意味モデルにマージさせることができる。
【0128】
図16は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートをさらに示す図である。
【0129】
図16に示すように、実施の形態によると、第2ユーザBは、テリトリーディメンションの追加(ステップ1)および開始量の計算の追加(ステップ2)を含む、GLの詳細なトランザクションのカスタマイズに関する新しいブランチを作成するとよく、第3ユーザCは、ロケーションディメンションの追加(ステップ1)、手許現金の計算の追加(ステップ2)、およびGL集計サブジェクトエリアの作成(ステップ3)を含む、GLバランスシートのカスタマイズに関する新しいブランチを作成するとよいであろう。ユーザBおよびCの各々が提供するカスタマイゼーションも同様に、適用して(メイン)意味モデルにマージさせることができる。
【0130】
図17は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境をカスタマイズまたは拡張する際の複数のユーザに対するサポートをさらに示す図である。
【0131】
図17に示すように、実施の形態によると、システムは、意味モデルに対するIDの変更にはブランチを作成し直す必要があるかどうかを判断すること、または、意味モデルが本番環境に起用できる状態であるかどうかを判断することを含む、異なるバージョンの意味モデルをサポートすることができる。
【0132】
たとえば、上記ユーザの各々は、最初のバージョン(v1.0)の意味モデルに対するカスタマイゼーションを開発するが、第4ユーザDは、たとえば戦略的サプライヤーディメンションの追加(ステップ1)またはリージョンディメンションの拡張(ステップ2)を含む、新しいバージョン(v1.1)の意味モデルのための新しいブランチ作りに取り組み始めるとよいであろう。また、システムは、特定のバージョンの意味モデルに対する変更が、たとえばユーザBが提供するカスタマイゼーションなど、特定のセットのカスタマイゼーションのブランチを作成し直すことを必要とするかどうかを判断することができる。
【0133】
本番環境への起用
実施の形態によると、システムは、レポート(たとえば、収益の定義の変更)を作成する際に利用される意味モデルに対する定義の変更を制御して、ビジネスインテリジェンスデータが必ず正確に作成されるようにすることができる。
【0134】
たとえば、実施の形態によると、システムは、意味モデルの拡張機能を、最初は開発環境/テスト環境でのみ許可し、制御により管理者がカスタマイズされたブランチを確認してこれらのカスタマイゼーションを本番環境に起用できるようになるまで、本番環境では禁止することを徹底させることができる。
【0135】
図18は、実施の形態に係る、分析アプリケーション環境においてカスタム意味拡張機能を起用する様子を示す図である。
【0136】
図18に示すように、実施の形態によると、管理者は、管理者インターフェース290を有するクライアント(コンピュータ)デバイスを用いて、ユーザが開発した意味モデルに対するカスタマイゼーションのへの本番環境への起用を制御できる。この制御は、たとえば、複数のユーザが開発したブランチを確認すること、およびどの変更を起用するかの優先順位を組み合わせるまたは決定することを含む。
【0137】
説明した手法の利点は、ユーザ定義された拡張機能またはカスタマイゼーションが、基盤となるシステムに対して行われるパッチ、アップデート、またはその他の変更に持ちこたえることができることを含む。意味モデルの変えることができない側面にパッチまたはアップデートが適用された場合、意味拡張機能として提供されていたカスタマイゼーションは、維持される。パッチまたはアップデートに続いて、システムは、拡張機能を自動的に再実行することができる。意味モデルに対して行われた基盤となる変更により拡張機能が失敗した場合、管理者は、当該変更を評価して、可能な修正について説明を行うことができる。潜在的な競合については、丁寧に対処することができ、すべての拡張機能を完全に適用することができないと思われる場合、管理者には、適宜通知することができる。
【0138】
データ層の拡張性およびカスタマイゼーション
実施の形態によると、上述したETLまたはその他のデータパイプライン/処理を用いて顧客の環境から入手したデータに加えて、さらなる拡張性およびカスタマイゼーションの機会を与える様々なデータモデル/シナリオを用いて顧客データをデータウェアハウスインスタンスにロードすることができる。
【0139】
図19は、実施の形態に係る、セルフサービスデータモデルを示す図である。
図19に示すように、実施の形態によると、セルフサービスデータモデル/シナリオは、システムが提供するETLプロセスまたはその他のデータパイプライン/処理を用いて顧客が外部データまたはカスタムデータをカスタムデータセット292としてロードすることを可能にする。システムは、寸法適合性(dimensional conformance)を提供する。顧客は、システムによってデータが追加された1つ以上の「ライブ」データセットを定義し、「ライブ」データセットと外部のデータセットとを結合して、問い合わせ可能な結合データセットを作成することができる。このシナリオでは、顧客の責任として、一般的に、データセットを手動でリフレッシュすることと、データセットのセキュリティを強化することとを含む。
【0140】
図20は、実施の形態に係る、キュレートされたデータモデルを示す図である。
図20に示すように、実施の形態によると、キュレートされたデータモデル/シナリオは、集中または管理アナリティクス環境を提供し、システムが提供するETLプロセスまたはその他のデータパイプライン/処理は、変えることができない分析アプリケーションスキーマに顧客データを公開し、顧客は、カスタムETL(144)、またはその他のデータパイプライン/処理を用いて、外部データまたはカスタムデータを顧客スキーマにオンボーディングする。顧客は、システム管理されたカスタムテーブルを結合したビジネスデータベースビューを作成し、顧客が選択したツールを用いて結合データを問い合わせることができる。このシナリオでは、顧客の責任として、一般的に、カスタムETLプロセスまたはその他のデータパイプライン/処理を用いてデータを顧客スキーマにロードしてリフレッシュすることを含む。
【0141】
キュレートされたセルフサービスデータモデル/シナリオの上記例は、一例である。様々な実施の形態によると、システムは、その他の種類のデータモデル/シナリオをサポートすることができる。
【0142】
様々な実施の形態によると、本明細書における教示は、本開示の教示に従ってプログラムされた1つ以上のプロセッサ、メモリ、および/またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む、1つ以上の従来の汎用または専用のデジタルコンピュータ、コンピューティングデバイス、機械、またはマイクロプロセッサによって好都合に実現されてもよい。当業者であるプログラマーは、ソフトウェア技術を身につけた者に明らかなように、本開示の教示に基づいて、適切なソフトウェアコーディングを容易に用意できる。
【0143】
いくつかの実施の形態において、本発明は、命令を格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)であるコンピュータプログラムプロダクトを含む。コンピュータプログラムプロダクトを使用して、本教示のいずれの処理も実行できるようにコンピュータをプログラムすることができる。たとえば、このような記憶媒体は、ハードディスクドライブ、ハードディスク、固定ディスク、またはその他の電気機械式データ記憶装置、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、DVD、CD-ROM、マイクロドライブ、および光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリデバイス、磁気カードもしくは光カード、ナノシステム、または命令ならびに/もしくはデータを一時的に格納するのに適したその他の種類の記憶媒体もしくはバイスを含み得るが、これらに限定されない。
【0144】
上記の説明は、例示および説明のために提供されている。これは、包括的であったり、開示した厳密な形態に保護範囲を限定したりすることを意図していない。多くの変更および変形が当業者に明らかになるであろう。
【0145】
たとえば、本明細書において提供した例のうちのいくつかでは、たとえば、Oracle Fusion Applications環境などのエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境との分析アプリケーション環境の動作、または、たとえば、Oracle Analytics CloudまたはOracle Cloud Infrastructure環境など、SaaS(Software-As-A-Service)またはクラウド環境のコンテキスト内での分析アプリケーション環境の動作を例示したが、様々な実施の形態によると、本明細書に記載のシステムおよび方法は、その他の種類のエンタープライズソフトウェアアプリケーション/データ環境、クラウド環境、クラウドサービス、クラウドコンピューティング、またはその他のコンピューティング環境とともに用いることができる。
【0146】
本教示の原理およびその実際の適用例を最もよく説明するために実施の形態を選んで説明した。これにより、様々な実施の形態、およびこれらに加えて考えられる特定の用途に適した様々な変更例を当業者が理解することが可能になる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって示される。
【国際調査報告】