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特表2022-531069コンピューティングデバイスのための冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】コンピューティングデバイスのための冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220629BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20220629BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220629BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
F28D1/06
H05K7/20 N
G06F1/20 A
G06F1/20 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555066
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 ES2019070172
(87)【国際公開番号】W WO2020183038
(87)【国際公開日】2020-09-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521412478
【氏名又は名称】スブメル・テクノロジーズ・エセエレ
【氏名又は名称原語表記】SUBMER TECHNOLOGIES,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】モンテス・モンテセリン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】バルス・ソレル,ポル
(72)【発明者】
【氏名】ポペ・パラシン,ダニエル・エスティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ブリコジェ・サンチョ,ヨルディ
(72)【発明者】
【氏名】ジネル・グティエレス,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ベサレス・マタス,ホアン
【テーマコード(参考)】
3L103
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
3L103AA31
5E322AA09
5E322DA01
5E322DA02
5F136CB01
5F136CB06
5F136CB11
5F136CB13
5F136CB21
5F136DA41
(57)【要約】
浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システムは、―少なくとも一つの出口から少なくとも一つの入口へその中を通って流れる冷却流体を収容する冷却浴槽であって、冷却される少なくとも一つのコンピューティングデバイスの少なくとも第一の部分をその中に挿入することを可能にするように設計され、配設され、前記コンピューティングデバイスが、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬される、冷却浴槽、及び―前記少なくとも一つの出口から流れ出る冷却流体を捕集し、冷却し、ひとたび冷却したならば、前記少なくとも一つの出口に通して前記冷却浴槽の中へ戻すように設計された少なくとも一つの冷却ユニットを含み、
前記少なくとも一つの冷却ユニットが、前記冷却浴槽に挿入されて、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬され、そこから取り出されるように設計されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
―少なくとも一つの出口(18)から少なくとも一つの入口(19)へその中を通って流れる冷却流体を収容する冷却浴槽(3)であって、冷却される少なくとも一つのコンピューティングデバイス(6)の少なくとも第一の部分をその中に挿入することを可能にするように設計され、配設され、前記コンピューティングデバイスが、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬される、冷却浴槽(3)、及び
―前記少なくとも一つの出口(19)から流れ出る冷却流体を捕集し、冷却し、ひとたび冷却したならば、前記少なくとも一つの出口(18)に通して前記冷却浴槽(3)の中へ戻すように設計された少なくとも一つの冷却ユニット(5)
を含み、
前記少なくとも一つの冷却ユニット(5)が、前記冷却浴槽(3)に挿入されて、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬され、そこから取り出されるように設計されていることを特徴とする、浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システム(1)。
【請求項2】
少なくとも一つの冷却ユニット(5)が、冷却ユニット(5)が冷却浴槽(3)に挿入されたとき、少なくとも、冷却浴槽(3)の内壁から内向きに突出する支持部材(20)によって支持されるように設計され、配設された突出部(21)を有するケーシング(7)を含む、請求項1記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記支持部材(20)が、冷却浴槽(3)の前記内壁に沿って縦方向に延びる支持部材である、請求項2記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記ケーシング(7)が、互いから流体的に切り離されている第一のコンパートメント(7a)及び第二のコンパートメント(7b)を有し、
前記第一のコンパートメント(7a)が、冷却浴槽(3)中の少なくとも一つの出口(18)から出る冷却流体が前記第一のコンパートメント(7a)に入ることを可能にするための入口(19)を有する、請求項2又は3記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記第一のコンパートメント(7a)が流体ポンプ(11)を収容し、
流体ポンプ(11)が、第一のコンパートメント(7a)の前記入口(19)を通って入った冷却流体中に浸漬され、前記冷却流体を熱交換器(24)の第一の回路の入口へポンピングするように設計され、配設されており、
熱交換器(24)が、前記第二のコンパートメント(7b)に収容され、前記第一の回路を通って流れる冷却流体を冷却するように設計されている、請求項4記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記第一のコンパートメント(7a)が第一のサブコンパートメント(7a1)及び第二のサブコンパートメント(7a2)を有し、
前記第一のサブコンパートメント(7a1)が、冷却流体が前記第一のサブコンパートメントに入ることを可能にするための前記入口(19)を有し、
前記熱交換器(24)の前記第一の回路が、第二のサブコンパートメント(7a2)中に配設された冷却流体出口(40)を有する、請求項5記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記第一のサブコンパートメント(7a1)及び第二のサブコンパートメント(7a2)がスルーホール(29)を介して互いと連通し、
スルーホール(29)が、流体ポンプ(11)の一部分が第一のサブコンパートメント(7a1)から第二のサブコンパートメント(7a2)の中へ通過して、流体ポンプ(11)の一部分が第二のサブコンパートメント(7a2)に収容されることを可能にするように設計され、配設されている、請求項6記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記スルーホール(29)が可動パーツ(28)を有し、可動パーツ(28)が、
―前記パーツが、スルーホール(29)を通過した流体ポンプ(11)の一部分を支持し、前記可動パーツ(28)が、流体ポンプ(11)の下部とともに第二のサブコンパートメント(7a2)内に配置されるところの動作位置と、
―前記パーツがスルーホール(29)を覆うところの、流体ポンプ(11)を担持しないとき適合可能である閉塞位置と
の間で動くように配設されている、請求項7記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記スルーホール(29)がガスケットをその内周に有し、
ガスケットが、可動パーツ(28)が閉塞位置にあるとき前記パーツと接触しているとき、又は可動パーツ(28)が動作位置にあるとき流体ポンプ(11)の外周と接触しているとき、冷却流体が第一のサブコンパートメント(7a1)と第二のサブコンパートメント(7a2)との間を流れるのを阻止する、請求項8記載のシステム(1)。
【請求項10】
第二のサブコンパートメント(7a2)がデフレクタ(31)を含み、
デフレクタが、出口(40)から入る冷却流体を、第二のサブコンパートメント(7a2)内に配設された流体ポンプ(11)の一部分に向けて誘導して、冷却流体が流体ポンプ(11)の前記一部分の外側と熱的に接触して同流体ポンプを冷却するように配設されている、請求項7~9のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記流体ポンプ(11)が、第一のサブコンパートメント(7a1)に収容され、前記第一のサブコンパートメント(7a1)を収容する冷却流体のための吸い込み口を含む流体ポンプ(11)の上部と、第二のサブコンパートメント(7a2)に収容されている、冷却される流体ポンプ(11)の下部とを含む、請求項7~10のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項12】
第一のコンパートメント(7a)の前記入口(19)が、ひとたび冷却ユニット(5)が冷却浴槽(3)に挿入されたならば冷却流体が前記入口(19)の中へオーバフローするように配置されている、ケーシング(7)の上部領域に配置されている、請求項4~11のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記冷却浴槽(3)が、互いから流体的に切り離されている第一のサブタンク(3a)及び第二のサブタンク(3b)を有し、
前記第一のサブタンク(3a)が、前記第二のサブタンク(3b)内に配置され、少なくとも前記少なくとも一つの冷却ユニット(5)及び少なくとも前記コンピューティングデバイス(6)の少なくとも前記第一の部分を受けるように設計されている、請求項1~12のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記第一のサブタンク(3a)が、前記第二のサブタンク(3b)に接合され、第二のサブタンク(3b)の容積よりも小さい体積を有して、前記第一のサブタンク(3a)と前記第二のサブタンク(3b)との間に分離容積(14)を形成している、請求項13記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記分離容積(14)が、流体漏れをそこへ抜くための、前記ケーシング(7)の前記第二のコンパートメント(7b)の漏れ開口部と流体連通して、それにより、そのような流体漏れが第一のサブタンク(3a)に入るのを阻止する、請求項14記載のシステム(1)。
【請求項16】
少なくとも前記少なくとも一つのコンピューティングデバイス(6)を浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ動かすように設計され、配設された運搬手段を含む、請求項1記載のシステム(1)。
【請求項17】
前記運搬手段が、少なくとも一つの冷却ユニット(5)を浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ動かすように設計され、配設されている、請求項16記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記冷却浴槽(3)が、前記槽の少なくとも一つの周壁の少なくとも一つの外側面上に縦方向に配設された運搬ガイド(13)を含み、
前記運搬手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)の位置まで前記ガイドに沿って両方向の縦方向移動を可能にするための、前記運搬ガイド(13)に誘導的に結合された可動コンベヤ(12)を含む、請求項16又は17記載のシステム(1)。
【請求項19】
前記可動コンベヤ(12)が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを、前記縦方向に直交するZ方向に上下に動かして、同デバイス又はユニットを前記浸漬位置から前記メンテナンス位置へ、また前記メンテナンス位置から前記浸漬位置へ動かすように設計された昇降手段を含む、請求項18記載のシステム(1)。
【請求項20】
前記昇降手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に取り外し可能に接続可能であり、その前記昇降運動を実施するための駆動手段に動作的に接続されているケーブルを含む、請求項19記載のシステム(1)。
【請求項21】
前記昇降手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に配設された接合要素(39)に取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを上下に動かすように設計されている、請求項19又は20記載のシステム(1)。
【請求項22】
前記接合要素(39)が、コンピューティングデバイス(6)を冷却浴槽(3)に取り外し可能に接合するように設計されている、請求項21記載のシステム(1)。
【請求項23】
前記接合要素(39)が、コンピューティングデバイス(6)を冷却浴槽(3)に取り外し可能に接合するように設計されている保定要素(41)を含む、請求項22記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に冷却浴槽中に浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティングデバイスが浸漬されるところの冷却流体を使用して前記デバイスを冷却するための冷却浴槽を含む、コンピューティングデバイスのための冷却システムが従来技術において公知である。さらに、これらの冷却システムは、浴槽内に配設されて冷却流体と接触する熱交換器及び流体ポンプを有する。
【0003】
特許文献CN108323118は、二つの別々のスペース:電子デバイスのための第一のスペースならびに熱交換器及び流体ポンプを収容する第二のスペースを有する冷却浴槽を記載している。二つのスペースは同じ冷却流体を共用する。これは、冷却浴槽中の第二のスペース内に配設されたコンポーネントに対してメンテナンス作業を実施することを可能にするためには前記スペースから冷却流体を完全に抜く必要があるという欠点を抱えている。
【0004】
さらに、特許文献CN108323118は、槽の第二のスペース中の冷却流体が槽の第一のスペースから冷却浴槽の上部に配設された流体入口を通って槽の第二のスペースへ流れることができる方法を記載している。その結果、ひとたび冷却流体が槽の第一のスペース中のコンピューティングデバイスを冷却したならば、前記冷却流体は、冷却される第二のスペースに流れる。前記のように、槽中の第二のスペースは熱交換器及び流体ポンプを含み、槽の第一のスペースの下部に位置する流体出口を介して槽の第一のスペースと連通する、冷却流体のための吸い込み口があり、それにより、ひとたび冷却流体が冷却されたならば、冷却流体が槽の第二のスペースから槽の第一のスペースに流れることを可能にする。
【0005】
熱交換器が槽の第二のスペース内に冷却流体と接触する状態で配置されるという事実は、冷却流体の冷媒流体が漏れるならば結果的に冷却槽に流れ込むという欠点を示す。
【0006】
したがって、冷却槽から冷却流体を抜くことなく、ユーザが熱交換器及び流体ポンプに対してメンテナンス作業を容易かつ簡単に実施することを可能にする冷却システムを得る必要性が明らかに存在する。さらに、漏れが起こった場合、この冷却システムは、冷却流体の冷媒流体が、冷却流体を収容する冷却浴の槽に流れ込むのを阻止しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記欠点を解消し、下記の利点を提供する、コンピューティングデバイスのための冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、第一の局面にしたがって、本発明は、
―少なくとも一つの出口から少なくとも一つの入口へその中を通って流れる冷却流体を収容する冷却浴槽であって、冷却されるコンピューティングデバイスの少なくとも第一の部分をその中に挿入することを可能にするように設計され、配設され、前記コンピューティングデバイスが、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬される、冷却浴槽、及び
―少なくとも一つの出口から流れ出る冷却流体を捕集し、冷却し、ひとたび冷却したならば、冷却流体を、少なくとも一つの出口に通して冷却浴槽の中へ戻すように設計された少なくとも一つの冷却ユニット
を含む、浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システムを提供する。
【0009】
本発明の冷却システムは、少なくとも一つの冷却ユニットが、冷却浴槽に、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬された状態で挿入され、そこから取り出されるように設計されていることを特徴とする。
【0010】
本発明にしたがって、冷却システムのユーザは、冷却浴槽から冷却流体を抜くことなく、冷却ユニットを挿入して、及び/又は冷却浴槽から取り出して、前記ユニットのコンポーネントに対するメンテナンス作業を実施することができる。さらに、欠陥のある冷却ユニットのメンテナンス中、ユーザは、その冷却ユニットを別の冷却ユニットと容易に交換して、冷却浴槽が作動し続けることを可能にすることができる。
【0011】
一つの実施形態にしたがって、冷却ユニットは、冷却ユニットが冷却浴槽に挿入されたとき、少なくとも、冷却浴槽の内壁から内向きに突出する支持部材によって支持されるように設計され、配設された突出部を有するケーシングを含む。
【0012】
したがって、冷却ユニットのケーシングからの突出部は、冷却浴槽の内壁の支持部材よりも上に配置されて、冷却ユニットの容易な挿入及び/又は冷却浴槽の中からの取り出しを可能にする。さらに、突出部及び支持部材は、冷却ユニットが簡単かつ容易に支持されることを可能にする。
【0013】
ケーシングは、横軸を中心に実質的に対称であり、冷却浴槽の内部区分の周に嵌まる。好都合に、このケーシングは、冷却浴槽の対向する二つの壁の支持部材よりも上でケーシングの対向する側に配設された二つの実質的に対称な突出部を有する。
【0014】
好ましくは、支持部材は、浴槽の前記内壁に沿って縦方向に延びる支持部材である。
【0015】
支持部材は冷却浴槽の内壁に沿って縦方向に延びるため、冷却ユニットは、ユーザの要求に応じて、冷却浴槽の内側に沿って任意の位置に配置することができる。たとえば、冷却浴槽が輸送されるとき、冷却ユニットを槽の中心部分に配置すると、アセンブリの重心が前記中心部分に来るようにすることができる。
【0016】
好都合に、冷却浴槽の内壁の支持部材は外向きに突出する。
【0017】
代替実施形態にしたがって、支持部材はまた、冷却浴槽に挿入され、そこから取り出されるように設計されている、冷却されるコンピューティングデバイスからの突出部を支持するためにも使用される。
【0018】
一つの実施形態にしたがって、ケーシングは、互いから流体的に切り離されている第一のコンパートメント及び第二のコンパートメントを有し、第一のコンパートメントは、冷却浴槽中の少なくとも一つの出口から出る冷却流体が前記第一のコンパートメントに入ることを可能にするための入口を有する。
【0019】
したがって、ケーシングの第一のコンパートメントは、コンピューティングデバイスを冷却したのち冷却流体の温度がひとたび上昇したならば前記流体を受けるように設計されている。さらに、この第一のコンパートメントは、冷却流体を、ひとたびその温度が低下したならば、コンピューティングデバイスを冷却するための冷却浴槽へ運ぶ。したがって、冷却流体は冷却浴槽内に留まって、その中で一定の量を維持する。
【0020】
一つの実施形態にしたがって、冷却流体は、冷却浴槽の底部に対して平行に配設された分配壁を介して前記槽の下部を通って冷却浴槽に入る。これが、冷却流体が蓄積するところの分配容積を増す。冷却流体は、分配壁中のオリフィスを通って槽に入り、コンピューティングデバイスに向けて運ばれる。この分配壁は、冷却された冷却流体が前記分配容積に入ることを可能にする、冷却ユニットのドレン弁に動作的に接続された少なくとも一つの機構を有する。
【0021】
好ましくは、第一のコンパートメントは流体ポンプを収容し、流体ポンプは、第一のコンパートメントの入口を通って入った冷却流体中に浸漬され、前記冷却流体を熱交換器の第一の回路の入口へポンピングするように設計され、配設されており、熱交換器は、前記第二のコンパートメントに収容され、第一の回路を通って流れる冷却流体を冷却するように設計されている。
【0022】
次いで、流体ポンプは、第一のコンパートメント中の冷却流体を、熱交換器の第二の回路を通って流れる冷媒流体によって冷却される熱交換器の第一の回路へポンピングする。
【0023】
任意選択で、第一のコンパートメントは、流体ポンプの一つが故障した場合に起動されるように設計された一つよりも多い流体ポンプを収容することができる。これが、流体ポンプの一つが故障した場合でも冷却システムが作動し続けることを可能にする。
【0024】
好ましくは、冷却流体中に浸漬された流体ポンプのモータは、ケーシングの第一のコンパートメントの下部に配置されている。
【0025】
また、好ましくは、熱交換器の第二の回路を通って流れる冷媒流体は、冷却流体の温度よりも低い温度の水である。それでもなお、同じ物理的特性を有し、冷却流体が冷却されることを可能にする別のタイプの流体を本発明に使用することもできる。
【0026】
一つの実施形態にしたがって、第一のコンパートメントは第一のサブコンパートメント及び第二のサブコンパートメントを有し、第一のサブコンパートメントは、その中への冷却流体の進入を可能にするための入口を有し、熱交換器の第一の回路は、第二のサブコンパートメント中に配設された少なくとも一つの冷却流体出口を有する。
【0027】
これが、熱交換器から来る冷却流体が、出口から出て冷却浴槽へ流れる前に、好ましくは冷却ユニットのケーシングの下部に位置する第二のサブコンパートメントを通って流れることを可能にする。
【0028】
好ましくは、第一及び第二のサブコンパートメントはスルーホールを介して互いと連通し、スルーホールは、流体ポンプの一部分が第一のサブコンパートメントから第二のサブコンパートメントの中へ通過して、流体ポンプの一部分が第二のサブコンパートメントに収容されることを可能にするように設計され、配設されている。
【0029】
これは、第一及び第二のサブコンパートメントが連絡して流体ポンプの通過を可能にし、前記ポンプの一部分が第一のサブコンパートメントに収容され、別の部分が第二のサブコンパートメントに収容されるようになることを意味する。
【0030】
好都合に、スルーホールは可動パーツを有し、可動パーツは、
―前記パーツが、スルーホールを通過した流体ポンプの一部分を支持し、前記可動パーツが、流体ポンプの下部とともに第二のサブコンパートメント内に配置されるところの動作位置と、
―前記パーツがスルーホールを覆うところの、流体ポンプを担持しないとき適合可能である閉塞位置と
の間で動くように配設されている。
【0031】
したがって、可動パーツは、流体ポンプの一部分が第二のサブコンパートメントの中へ通過して冷却されることを可能にする。前記流体ポンプがたとえばメンテナンスのために取り出されるとき、可動パーツは、スルーホールを通って第二のサブコンパートメント中の流体が第一のサブコンパートメントに流れ込む、又は第一のサブコンパートメント中の流体が第二のサブコンパートメントに流れ込むのを阻止するように動く。
【0032】
同じく好都合に、スルーホールはガスケットをその内周に有し、ガスケットは、可動パーツが閉塞位置にあるとき前記パーツと接触しているとき、又は可動パーツが動作位置にあるとき流体ポンプの外周と接触しているとき、冷却流体が第一のサブコンパートメントと第二のサブコンパートメントとの間を流れるのを阻止する。
【0033】
したがって、ガスケットは、可動パーツが閉塞位置にあるときでも前記可動パーツと接触したままであるため、冷却流体が第二のサブコンパートメントから第一のサブコンパートメントに流れる、又は第一のサブコンパートメントから第二のサブコンパートメントに流れるのを阻止する。さらに、可動パーツが動作位置にあるとき、ガスケットの外周は流体ポンプの外周と接触して、流体が第二のサブコンパートメントから第一のサブコンパートメントに流れる、又は第一のサブコンパートメントから第二のサブコンパートメントに流れるのを阻止する。
【0034】
好ましくは、第二のサブコンパートメントはデフレクタを含み、デフレクタは、出口から入る冷却流体を、第二のサブコンパートメント内に配設された流体ポンプの一部分に向けて誘導して、冷却流体が流体ポンプの一部分の外側と熱的に接触して同流体ポンプを冷却するように配設されている。
【0035】
したがって、デフレクタは、出口から来る冷却流体が、指示される第二のサブコンパートメント内に配置された流体ポンプの一部分を冷却することを可能にする。
【0036】
好都合に、流体ポンプは、第一のサブコンパートメントに収容され、第一のサブコンパートメント中の冷却流体のための吸い込み口を含む流体ポンプの上部と、第二のサブコンパートメントに収容されている、冷却される流体ポンプの下部とを含む。
【0037】
次いで、熱交換器から来る冷却流体は、第一のサブコンパートメント中の流体ポンプの下部を冷却したのち、出口から流れ出て冷却浴槽に至る。
【0038】
一つの実施形態にしたがって、流体ポンプの下部は、第二のサブコンパートメント中に位置する、その中の冷却流体によって冷却されるモータを含む。
【0039】
好ましくは、第一のコンパートメントの入口は、ひとたび冷却ユニットが冷却浴槽に挿入されたならば冷却流体が前記入口の中へオーバフローするように配置されている、ケーシングの上部領域に配置されている。
【0040】
したがって、冷却システムが使用中であるとき、冷却浴槽から来る冷却流体は、ケーシングの上部領域に配置された入口を通って冷却ユニットに入る。冷却流体は、冷却浴槽内に配設されたオーバフロー壁をオーバフローしてこの位置及び冷却ユニットの入口に達する。
【0041】
一つの実施形態にしたがって、冷却浴槽は、互いから流体的に切り離されている第一のサブタンク及び第二のサブタンクを有し、前記第一のサブタンクは、前記第二のサブタンク内に配置され、少なくとも前記少なくとも一つの冷却ユニット及び少なくとも前記コンピューティングデバイスの少なくとも前記第一の部分を受けるように設計されている。
【0042】
好ましくは、第一のサブタンクは、第二のサブタンクに接合され、第二のサブタンクの容積よりも小さい体積を有し、それにより、第一のサブタンクと第二のサブタンクとの間に分離容積を形成している。
【0043】
このように、冷却浴槽は二つのサブタンクへと分割され、二つのサブタンクの間には分離容積がある。第一のサブタンクは、コンピューティングデバイス及び冷却ユニットが浸漬されるところの冷却流体を収容する。第二のサブタンクは、冷却浴槽のための外部ケーシングとして働く。二つのサブタンクの間の分離容積は、第一のサブタンクから流体的に切り離され、それにより、第一の冷却浴サブタンク内の冷却流体のための断熱部として働く。
【0044】
任意選択で、サブタンク間の分離容積は、冷却流体によって第一のサブタンク中に蓄積された熱の、冷却浴槽の外への伝達を減らすための断熱材、たとえばロックウール又はグラスウールを含む。
【0045】
一つの実施形態にしたがって、分離容積は、流体漏れをそこへ抜くための、ケーシングの第二のコンパートメントの漏れ開口部と流体連通して、それにより、そのような流体漏れが第一のサブタンクに入るのを阻止する。
【0046】
したがって、漏れ開口部は、流体漏れが第一のサブタンクに流れ込むことを保証し、それにより、流体漏れがコンピューティングデバイスと接触し、損傷を引き起こすのを阻止する。さらに、冷却流体が流体漏れによって希釈されることはない(希釈されるならば、冷却システムの誤作動が生じるおそれがある)。あるいはまた、流体漏れは、冷却浴槽の外と連通する漏れ開口部を通して冷却浴槽の外へ抜かれる。
【0047】
流体漏れは、熱交換器の第二の回路からの冷媒流体であることもできる。好ましくは、冷媒流体は、冷却流体の温度よりも低い温度の水である。それでもなお、同じ物理的特性を有し、冷却流体が冷却されることを可能にする別のタイプの流体を本発明に使用することもできる。
【0048】
一つの実施形態にしたがって、冷却システムは、少なくとも一つのコンピューティングデバイス又は一つの冷却ユニットを浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ動かすように設計され、配設された運搬手段を有する。
【0049】
したがって、冷却システムは、たとえばメンテナンス又は交換のためにユーザがコンピューティングデバイス又は冷却ユニットを挿入し、冷却浴槽の中から取り出すことを支援するための運搬手段を有する。
【0050】
好ましくは、冷却浴槽は、前記槽の少なくとも一つの周壁の少なくとも一つの外側面上に縦方向に配設された運搬ガイドを含み、運搬手段は、動かされるコンピューティングデバイス又は冷却ユニットの位置まで前記ガイドに沿って両センスの縦方向移動を可能にするための、運搬ガイドに誘導的に結合された可動コンベヤを含む。
【0051】
これらの運搬ガイドは、可動コンベヤが、コンピューティングデバイス又は運搬ユニットを動かすために同デバイス又はユニットの上方に配置されることを可能にする。さらに、運搬ガイドは、コンピューティングデバイス又は冷却ユニットがメンテナンス位置にあるときそれらを動かすために可動コンベヤが縦方向に両センスに動くことを可能にする。
【0052】
一つの実施形態にしたがって、運搬ガイドは、冷却システムの所望の位置に依存して、可動コンベヤをユーザにとってもっとも適当な冷却浴槽の壁に誘導的に結合することができるよう、冷却浴槽の対向する壁に配設される。
【0053】
任意選択で、運搬ガイドは、複数の冷却システムが一列に配設されているとき、これらの運搬ガイドが、隣接する冷却システムの運搬ガイドに動作的に接続されて、一つの可動コンベヤを、一列に配設された複数の冷却システムのために使用することができるように配設されている。
【0054】
一つの実施形態にしたがって、冷却浴槽は、前記槽の少なくとも二つの相互に垂直な面上に運搬ガイドを有して、前記可動コンベヤが、90°方向転換することによって両方の運搬ガイドに沿って動くことができるようになっている。
【0055】
好ましくは、可動コンベヤは、動かされるコンピューティングデバイス又は冷却ユニットに取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを、前記縦方向に直交するZ方向に上下に動かして、同デバイス又はユニットを浸漬位置から前記メンテナンス位置へ、また前記メンテナンス位置から浸漬位置へ運ぶように設計された昇降手段を含む。好都合に、昇降手段は、動かされるコンピューティングデバイス又は冷却ユニットに取り外し可能に接続可能であり、その前記昇降運動を実施するための前記駆動手段に動作的に接続されているケーブルを含む。あるいはまた、この上昇手段は、動かされるコンピューティングデバイス又は冷却ユニットを活動的に動かしてその前記上昇又は下降運動を実施するための剛性要素を含む。
【0056】
これは、可動コンベヤがコンピューティングデバイス又は冷却ユニットを浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ、ユーザにとって容易かつ簡単に動かすことを可能にする。
【0057】
任意選択で、昇降手段は、動かされるコンピューティングデバイス又は冷却ユニットに配設された接合要素に取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを上下に動かすように設計されている。
【0058】
一つの実施形態にしたがって、昇降手段は、コンピューティングデバイスを冷却浴槽に取り外し可能に接合するように設計された保定要素を含む。好ましくは、保定要素は、昇降手段が前記接合要素に接合されるとき、保定要素が、コンピューティングデバイスが冷却浴槽の一部分から切り離される位置にあるように設計されている。それでもなお、昇降手段が前記接合要素に接合されていないとき、保定要素は、コンピューティングデバイスが冷却浴槽の一部分に結合する位置にある。
【0059】
このように、昇降手段は、コンピューティングデバイスの容易な挿入及び取り出しを可能にし、他方で、冷却浴槽が動かされるときでも、コンピューティングデバイスが冷却浴槽内で自由に動くことができないことを保証する。
【0060】
添付図面は実施形態を示し、前記の理解を支援するための非限定的な例として提供される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】冷却システムの実施形態の斜視図である。
図2】冷却システムが冷却浴槽内にコンピューティングデバイス及び冷却ユニットを有する、図1に示す冷却システムの実施形態の切欠き斜視図である。
図3図1に示す冷却システムの実施形態の切欠き立面図である。
図4図1に示す冷却システムの実施形態の冷却ユニットの切欠き斜視図である。明確に示すために、ケーシングの第二のコンパートメントの壁は示されていない。
図5図1に示す冷却システムの実施形態の冷却ユニットの切欠き斜視図である。
図6図1に示す冷却システムの実施形態のケーシングの第二のコンパートメントの領域の詳細図である。
図7】第一のサブコンパートメントのドレン弁が開いている、図1に示す冷却システムの実施形態のケーシングの第二のサブコンパートメントの詳細図である。
図8】第一のサブコンパートメントのドレン弁が閉じている、図1に示す冷却システムの実施形態のケーシングの第二のサブコンパートメントの詳細図である。
図9】両可動パーツが閉塞位置にある、図1に示す冷却システムの実施形態のケーシングの第二のサブコンパートメントの詳細図である。
図10】一方の可動パーツが閉塞位置と動作位置との間の中間位置にあり、他方の可動パーツが閉塞位置にある、図1に示す冷却システムの実施形態のケーシングの第二のサブコンパートメントの詳細図である。
図11】冷却浴槽のディストリビュータから切り離された冷却ユニットを示す、図1に示す冷却システムの実施形態の冷却浴槽の下部領域の詳細図である。
図12】冷却浴槽のディストリビュータに接続された冷却ユニットを示す、図1に示す冷却システムの実施形態の冷却浴槽の下部領域の詳細図である。
図13】冷却流体オーバフローダクトを示す、図1に示す冷却システムの実施形態の冷却浴槽の上部領域の詳細図である。
図14】コンピューティングデバイス及び冷却ユニット中に配設された接合要素を示す、図1に示す冷却システムの実施形態の詳細図である。
図15a】コンピューティングデバイスが冷却浴槽の一部分から切り離される位置における保定要素の詳細図である。
図15b】コンピューティングデバイスが冷却浴槽の一部分に結合される位置における保定要素の詳細図である。
図16】運搬手段を含む、第二の実施形態の冷却システムの斜視図である。
図17】複数の冷却システムが一列に配設されている、図16に示す冷却システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下、図1~17を参照しながら、本発明のコンピューティングデバイス6のための冷却システム1の二つの好ましい実施形態を説明する。
【0063】
第一の好ましい実施形態は図1~15を参照する。この第一の実施形態において、冷却システム1は、コンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5の昇降を可能にする可動コンベヤ12を結合するための運搬ガイド13を含まない。
【0064】
第二の好ましい実施形態は図16及び17を参照する。この第二の実施形態において、冷却システム1は、コンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5の昇降を可能にする可動コンベヤ12を結合するための運搬ガイド13を含む。さらに、図17に示すように、四つの冷却システム1が一列に配設されて、運搬ガイド13が、可動コンベヤ12を前記ガイドに沿って動かして、一つの可動コンベヤ12が四つの冷却システム1のコンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5を昇降することができるように配設されている。
【0065】
以下に説明する冷却システム1の実施形態は、冷却浴槽3内に配設された冷却ユニット5及びコンピューティングデバイス6を含む。しかし、この冷却システム1は、ユーザの要求に依存して、一つよりも多い冷却ユニット5及び一つよりも多いコンピューティングデバイス6を含むこともできる。さらに、これらの実施形態に使用される冷却流体は誘電性流体である。しかし、誘電性流体の物理的特性に類似する物理的特性を有する他のタイプの流体を使用することもできる。記載される実施形態に使用される冷却流体の冷媒流体は水である。しかし、水の物理的特性に類似する物理的特性を有する他のタイプの流体を使用することもできる。そのうえ、記載される実施形態において、冷却ユニット5は二つの流体ポンプ11を含み、その一方は、主流体ポンプ11が故障した場合に作動することができる。しかし、冷却ユニット5は、正しい動作のために単一の流体ポンプを含むこともできる。
【0066】
図1に示す第一の好ましい実施形態において、冷却システム1は、実質的に平行六面体形状を有し、冷却浴槽3を含み、その上部には、ユーザがコンピューティングデバイス6及び冷却ユニット5にアクセスすることを許すための蓋2が設けられている。蓋2は、ユーザが、蓋2の周に配設された二つの取っ手4を使用して蓋2を回動させて冷却浴槽3の中にアクセスすることを許すために、冷却浴槽3の縦方向外壁の一つに関節接合されている。さらに、蓋2は、無許可ユーザが槽3の中にアクセスするのを阻止するためのロック10を有する。さらに、蓋2は、コンピューティングデバイス6、冷却ユニット5及び冷却流体を冷却システム1の外側からの損傷及び危険から保護するために配設されている(図1を参照)。
【0067】
冷却浴槽3は、たとえば、コンピューティングデバイス6又はコンピューティングデバイス6に電力を提供するための電源の間の通信を可能にするための電気ケーブルを収容するための、その縦方向外壁に配設された二つのチャンバ8を有する。これらのチャンバ8は、無許可ユーザがチャンバ8の中にアクセスするのを阻止するためのロック9を有する(図1を参照)。
【0068】
図2に示すように、冷却浴槽3は、冷却ユニット5及びコンピューティングデバイスが冷却流体中に浸漬されるところの第一のサブタンク3aと、第一のサブタンク3aの外側に配設された第二のサブタンク3bとを有する。第一のサブタンク3aと第二のサブタンク3bとはつながっているが、第一のサブタンク3aの体積が第二のサブタンク3bの容積よりも小さくなるよう、切り離されている。二つのサブタンク3a、3bの間の分離が分離容積14を形成する。
【0069】
第一及び第二のサブタンク3a、3bは互いから流体的に切り離されて、第一のサブタンク3aが破裂しない限り、第一のサブタンク3a中の冷却流体が第二のサブタンク3bに入ることはないようになっている(図3を参照)。
【0070】
分離容積14は、冷却流体によって第一のサブタンク3a中に蓄積された熱の、冷却浴槽3の外、ひいては冷却システム1を収容する部屋の中への伝達を減らすための断熱部として働く(図3を参照)。
【0071】
記載される実施形態において、分離容積14は、流体漏れ、たとえば第一のサブタンク3a内の冷却流体の漏れを検出するためのセンサ(図示せず)を含む。
【0072】
記載されない代替実施形態において、分離容積14は、冷却流体によって第一のサブタンク3a中に蓄積された熱の、冷却浴槽3の外への伝達を減らすための断熱材、たとえばロックウール又はグラスウールを含むことができる。
【0073】
図2及び3に示すように、第一のサブタンク3aは、第一のサブタンク3a内の下部領域中、その下壁16に対して平行に配設された分配壁15を有する。分配壁15と第一のサブタンク3aの下壁16とが、冷却ユニット5から来る冷却流体が蓄積するところの分配容積17を形成する。この分配壁15は、コンピューティングデバイス6が浸漬されるところの第一のサブタンク3aの容積に冷却流体が入ることを可能にするための、その表面の長さ及び幅にかけて配設された複数の入口オリフィス19を有する。
【0074】
冷却浴槽3の上部領域は、第一のサブタンク3aの内壁から外向きに突出する支持部材20を有する。冷却ユニット5上の突出部21が前記支持部材20に当接して、冷却ユニット5が支持部材20によって支持されると同時に冷媒流体中に浸漬されるようになっている。これらの支持部材20は、第一のサブタンク3aの内壁に沿って縦方向に延びて、冷却ユニット5をユーザが望むところに配置することを可能にする(図2及び3を参照)。
【0075】
記載される実施形態において、支持部材20は分離壁22を有し、分離壁は、支持部材20に対して垂直に取り付けられ、これらの分離壁22と第一のサブタンク3aの内壁との間にオーバフロースペース23を画定する。これらのオーバフロースペース23は、冷却流体が冷却浴槽3から流れ出し、入口19を通って冷却ユニットに入るための流路を画定する(図3及び4を参照)。
【0076】
これらの分離壁22は、二つの支持部材20上に配設され、それぞれが、コンピューティングデバイス6の一部分と結合して前記コンピューティングデバイス6が前記分離壁22によって支持され、冷却流体中に浸漬されることを可能にするように設計された複数のスリット35を有する(図13を参照)。
【0077】
さらに、コンピューティングデバイス上に配設された接合要素39の保定要素41がこれらの分離壁22に結合されている。これらの保定要素41は、可動コンベヤの昇降手段のケーブル(図示せず)が接続されるとき自動的に壁22に結合される。同様に、これらの保定要素41は、可動コンベヤの昇降手段のケーブル(図示せず)が切り離されるとき分離壁から切り離される(図15a及び15bを参照)。
【0078】
図4に示すように、結合ユニット5は、ユーザにとって最適なやり方で冷却ユニット5を第一のサブタンク3a内に配設することを可能にする、縦軸を中心に対称であるケーシング7を有する。この冷却ユニット5は、冷却流体がケーシング7に入ることを可能にするための、前記ケーシング7の上部に配設された入口19を有する。
【0079】
このケーシング7は、互いから流体的に切り離されている第一のコンパートメント7a及び第二のコンパートメント7bを有する。第一のコンパートメント7aは、流体連通している第一のサブコンパートメント7a1及び第二のサブコンパートメント7abを有する(図4及び5を参照)。
【0080】
第一のコンパートメント7aの第一のサブコンパートメント7a1は、冷却流体がケーシング7の中に入ることを可能にするための入口19を有する。この第一のサブコンパートメント7a1は、第一のコンパートメント7aの第一のサブコンパートメント7a1の中から冷却流体を吸い込む二つの流体ポンプ11を収容する。これらの流体ポンプ11は、冷却流体を熱交換器24の第一の回路の中へポンピングする。冷却流体の温度は、熱交換器24中、熱交換器24の第二の回路を通って流れる冷却流体(より低い温度にある)の冷媒流体と相互作用する第一の回路を通って流れるとき、低下する。ひとたび冷却流体の温度が低下したならば、冷却流体は第二のサブコンパートメント7a2へ運ばれる(図4及び5を参照)。
【0081】
記載される実施形態において、熱交換器24は、第一のコンパートメント7aの第一のサブコンパートメント7a1内の流体と接触しないよう、ケーシング7の第二のコンパートメント7b内に配置される。
【0082】
ケーシング7の第二のコンパートメント7bは、第一のサブコンパートメント7a1の冷却流体入口19の一つよりも上に配置されたダクト25を介して冷却ユニット5の前記ケーシング7の外へ延びる。このダクト25は、前記冷媒流体を熱交換器24の第二の回路へ運ぶための、たとえば冷媒流体施設に接続されることができる第一のパイプ26を含む。さらに、このダクトは、冷媒流体を、再び冷却するために、たとえば冷媒流体施設へ運ぶための、熱交換器24から来る第二のパイプ27を含む(図6を参照)。
【0083】
ダクト25は、第二のコンパートメント7bを分離容積14と流体連通状態に接続する漏れ開口部(図示せず)を有する。漏れ開口部(図示せず)は、流体漏れを第二のコンパートメント7bから分離容積14に抜くことを可能にする。この流体漏れは、冷却流体又は冷媒流体のいずれかであることができる。分離容積14内に配設されたセンサ(図示せず)が、前記分離容積14内の流体の存在を検出することを可能にし、コンピュータプログラムが、たとえば、ユーザに警告し、冷却システム1の動作を止めるために使用されることができる。これが、流体漏れが第一のコンパートメント7aの第一のサブコンパートメント7a1に入るのを阻止する(図5及び6を参照)。
【0084】
第一のサブコンパートメント7a1及び第二のサブコンパートメント7a2は、可動パーツ28によって覆われる二つのスルーホール29を有する。これらのスルーホール29それぞれは、これらのスルーホール29の外周に配設されたガスケット(図示せず)を有する。
【0085】
可動パーツ28は、そのモータを含む流体ポンプ11の一部分を第二のサブコンパートメント7a2内に収容することを可能にするために、閉塞位置から動作位置へ独立して動くように設計されている。これは、流体ポンプ11のこの部分を、熱交換器24の第一の回路から来るパイプ32の出口40を通して第二のサブコンパートメント7a2に導入された冷却流体によって冷却することを可能にする。
【0086】
閉塞位置において、可動パーツ28はガスケットと接触して、第一のサブコンパートメント7a1内の冷却流体が第二のサブコンパートメント7a2に流れ込み、第二のサブコンパートメント7a2内の冷却流体が第一のサブコンパートメント7a1に流れ込むのを阻止する。同様に、可動パーツ28が動作位置にあるとき、ガスケット(図示せず)は流体ポンプ11の外壁と接触して、第一のサブコンパートメント7a1内の冷却流体が第二のサブコンパートメント7a2に流れ込み、第二のサブコンパートメント7a2内の冷却流体が第一のサブコンパートメント7a1に流れ込むのを阻止する。
【0087】
可動パーツ28は、流体ポンプ11の一部分が第二のサブコンパートメント7a2に挿入されるとき圧縮されてポテンシャルエネルギーを蓄積して、可動パーツ28を閉塞位置から動作位置へ動かす四つのばね30を有する。流体ポンプ11の一部分が第二のサブコンパートメント7a2の外側から取り出されるとき、ばね30に蓄積されたエネルギーが可動パーツ28を動作位置から閉塞位置へ自動的に動かす(図7~10を参照)。
【0088】
図7~10に示すように、第一のコンパートメント7aの第二のサブコンパートメント7a2は、冷却流体を、第二のサブコンパートメント7a2に挿入された流体ポンプ11の一部分に誘導するためのデフレクタ31を含む。冷却流体は、熱交換器24の第一の回路から来るパイプ32の出口40を通して第二のサブコンパートメント7a2に導入される。
【0089】
ケーシング7は、冷却ユニット5が冷却浴槽3中に浸漬されたとき分配容積17と流体連通する二つのドレン弁33をその下部に含む。これらのドレン弁33は、冷却ユニット5が第一のサブタンク3aから取り出されるとき前記ユニットのケーシング7の中から冷却流体を抜くために使用される。さらに、ケーシング7は、冷却流体を第一のサブコンパートメント7a1から第二のサブコンパートメント7a2へ抜くために使用される、第一のサブコンパートメント7a1と第二のサブコンパートメント7a2との間に配設されたドレン弁36を有する(図7~10を参照)。このドレン弁36は、冷却ユニット5を冷却浴槽3から取り出すために前記ユニットが垂直方向に動かされるとき作動する。冷却ユニット5の前記垂直動が起こると、冷却流体は、二つのばねに固着されたプレートを押し、このプレートが縦方向に移動して、冷却流体を第一のサブコンパートメント7a1から第二のサブコンパートメント7a2へ抜くことを可能にする。
【0090】
ケーシング7の下部に配設された二つのドレン弁33は、作動したとき第二のサブコンパートメント7a2と分配容積17とを流体連通させるための、分配壁15内に配設された二つの機構34へのその結合を可能にする。したがって、冷却ユニット5が使用中であるとき、冷却流体は、ひとたび冷却されると、第一のサブタンク3aの分配容積17へ運ばれる(図11及び12を参照)。
【0091】
第二の好ましい実施形態において、冷却システム1は、ユーザにとってコンピューティングデバイス6及び冷却ユニット5の挿入及び取り出しを容易にする運搬手段を有する。この運搬手段は、冷却浴槽3の一つの周壁の下部ゾーンに取り付けられた二つの運搬ガイド13を含む。運搬ガイド13は、冷却浴槽3の底に対して平行かつ互いに対して平行に、冷却浴槽3の全長を覆うように配設されている(図16を参照)。
【0092】
運搬手段はまた、前記コンベヤが前記運搬ガイド13に沿ってY方向に両センスに動くことを可能にする、二つの運搬ガイド13に取り付けられている可動コンベヤ12を有する。
【0093】
記載される実施形態において、可動コンベヤ12は剛性アーム37を有し、アームの第一の末端が接続プレート38によって両運搬ガイド13に取り付けられている。剛性アーム37の第二の末端は、冷却浴槽3から上に一定の距離に位置して、ユーザが、コンピューティングデバイス6又は冷却浴槽3の冷却ユニット5をメンテナンス位置から浸漬位置へ動かし、浸漬位置からメンテナンス位置へ動かすことを可能にする。
【0094】
コンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5は、可動コンベヤ12上に配設された、モータとプーリ(図示せず)を含む昇降手段を使用して冷却浴槽3から取り出される、又はそれに挿入される。このプーリ(図示せず)は、コンピューティングデバイス6及び冷却ユニット5の二つの接合要素39に結合されているケーブル(図示せず)を含む。これらの接合要素39は、コンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5の上部領域の対向する端部に配設されている。昇降手段のモータが起動され、ひとたびプーリのケーブルが接合要素39に結合されたならば、コンピューティングデバイス6又は冷却ユニット5を昇降させることができる。
【0095】
以下、図1~16を参照しながら冷却システム1の動作を説明する。
【0096】
高温の冷却流体が、ケーシング7の側壁に配設された入口19を通って冷却ユニット5に入る。これらの入口19は、冷却流体をケーシング7の第一のコンパートメント7aの第一のサブコンパートメント7a1へ運ぶ。ひとたび第一のサブコンパートメント7a1に入ると、冷却流体は流体ポンプ11によって吸い込まれ、熱交換器24の中へポンピングされる。ひとたび熱交換器24に入ると、冷却流体は、第一の回路を通って流れて、熱交換器24の第二の回路を通って流れる冷媒流体によって冷却される。
【0097】
ひとたび冷却されると、冷却流体は、第二のサブコンパートメント7a2に運ばれて、前記第二のサブコンパートメント7a2内に収容された流体ポンプ11の一部分を冷却する。
【0098】
その後、冷却流体は、第二のサブコンパートメント7a2から、ケーシング7の下部に配設された二つのドレン弁33を通って流れ出て、分配容積17に向かう。
【0099】
その後、冷却流体は、出口18を通って第一のサブタンク3aの領域に入って、この領域に配設されたコンピューティングデバイス6を冷却する。
【0100】
コンピューティングデバイス6と接触する冷却流体の温度は上昇し、冷却流体は第一のサブタンク3aの上部に移動する。
【0101】
最後に、冷却流体は、分離壁22をオーバフローしてオーバフロースペース23に入ったのち、冷却ユニット5のケーシング7の第一のサブコンパートメント7a1へ戻される。
【0102】
本発明の特定の実施形態が参照されたが、記載された冷却システムに対して数多くの変更及び修飾を加えることができ、また、記載された詳細のすべてを技術的に同等な他の詳細によって置き換えることができ、それにより、特許請求の範囲によって画定される保護の範囲を出ることはないことが当業者には明白である。たとえば、記載された実施形態における冷却システム1は一つの冷却ユニット5を有するが、冷却システム1は、一つよりも多い冷却ユニット5を有することもできる。たとえば、記載された実施形態における冷却システム1は一つのコンピューティングデバイス6を有するが、冷却システム1は、一つよりも多いコンピューティングデバイス6を有することもできる。たとえば、実施形態のいくつかにおいて使用される冷却流体は誘電性流体であるが、誘電性流体の物理的特性に類似する物理的特性を有する別のタイプの流体を使用することもできる。たとえば、実施形態のいくつかにおいて使用される冷却流体の冷媒流体は水であるが、水の物理的特性に類似する物理的特性を有する別のタイプの流体を使用することもできる。たとえば、冷却ユニット5は、二つの流体ポンプ11を有し、その一方は、主流体ポンプ11が故障した場合に使用されるものとして記載されているが、冷却ユニット5は単一の流体ポンプ11を有することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
―少なくとも一つの出口(18)から少なくとも一つの入口(19)へその中を通って流れる冷却流体を収容する冷却浴槽(3)であって、冷却される少なくとも一つのコンピューティングデバイス(6)の少なくとも第一の部分をその中に挿入することを可能にするように設計され、配設され、前記コンピューティングデバイスが、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬される、冷却浴槽(3)、及び
―前記少なくとも一つの入口(19)から流れ出る冷却流体を捕集し、冷却し、ひとたび冷却したならば、前記少なくとも一つの出口(18)に通して前記冷却浴槽(3)の中へ戻すように設計された少なくとも一つの冷却ユニット(5)
を含み、
前記少なくとも一つの冷却ユニット(5)が、前記冷却浴槽(3)に挿入されて、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬され、そこから取り出されるように設計されていることを特徴とする、浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システム(1)。
【請求項2】
少なくとも一つの冷却ユニット(5)が、冷却ユニット(5)が冷却浴槽(3)に挿入されたとき、少なくとも、冷却浴槽(3)の内壁から内向きに突出する支持部材(20)によって支持されるように設計され、配設された突出部(21)を有するケーシング(7)を含む、請求項1記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記支持部材(20)が、冷却浴槽(3)の前記内壁に沿って縦方向に延びる支持部材である、請求項2記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記ケーシング(7)が、互いから流体的に切り離されている第一のコンパートメント(7a)及び第二のコンパートメント(7b)を有し、
前記第一のコンパートメント(7a)が、冷却浴槽(3)中の少なくとも一つの出口(18)から出る冷却流体が前記第一のコンパートメント(7a)に入ることを可能にするための入口(19)を有する、請求項2又は3記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記第一のコンパートメント(7a)が流体ポンプ(11)を収容し、
流体ポンプ(11)が、第一のコンパートメント(7a)の前記入口(19)を通って入った冷却流体中に浸漬され、前記冷却流体を熱交換器(24)の第一の回路の入口へポンピングするように設計され、配設されており、
熱交換器(24)が、前記第二のコンパートメント(7b)に収容され、前記第一の回路を通って流れる冷却流体を冷却するように設計されている、請求項4記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記第一のコンパートメント(7a)が第一のサブコンパートメント(7a1)及び第二のサブコンパートメント(7a2)を有し、
前記第一のサブコンパートメント(7a1)が、冷却流体が前記第一のサブコンパートメントに入ることを可能にするための前記入口(19)を有し、
前記熱交換器(24)の前記第一の回路が、第二のサブコンパートメント(7a2)中に配設された冷却流体出口(40)を有する、請求項5記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記第一のサブコンパートメント(7a1)及び第二のサブコンパートメント(7a2)がスルーホール(29)を介して互いと連通し、
スルーホール(29)が、流体ポンプ(11)の一部分が第一のサブコンパートメント(7a1)から第二のサブコンパートメント(7a2)の中へ通過して、流体ポンプ(11)の一部分が第二のサブコンパートメント(7a2)に収容されることを可能にするように設計され、配設されている、請求項6記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記スルーホール(29)が可動パーツ(28)を有し、可動パーツ(28)が、
―前記パーツが、スルーホール(29)を通過した流体ポンプ(11)の一部分を支持し、前記可動パーツ(28)が、流体ポンプ(11)の下部とともに第二のサブコンパートメント(7a2)内に配置されるところの動作位置と、
―前記パーツがスルーホール(29)を覆うところの、流体ポンプ(11)を担持しないとき適合可能である閉塞位置と
の間で動くように配設されている、請求項7記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記スルーホール(29)がガスケットをその内周に有し、
ガスケットが、可動パーツ(28)が閉塞位置にあるとき前記パーツと接触しているとき、又は可動パーツ(28)が動作位置にあるとき流体ポンプ(11)の外周と接触しているとき、冷却流体が第一のサブコンパートメント(7a1)と第二のサブコンパートメント(7a2)との間を流れるのを阻止する、請求項8記載のシステム(1)。
【請求項10】
第二のサブコンパートメント(7a2)がデフレクタ(31)を含み、
デフレクタが、出口(40)から入る冷却流体を、第二のサブコンパートメント(7a2)内に配設された流体ポンプ(11)の一部分に向けて誘導して、冷却流体が流体ポンプ(11)の前記一部分の外側と熱的に接触して同流体ポンプを冷却するように配設されている、請求項7~9のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記流体ポンプ(11)が、第一のサブコンパートメント(7a1)に収容され、前記第一のサブコンパートメント(7a1)を収容する冷却流体のための吸い込み口を含む流体ポンプ(11)の上部と、第二のサブコンパートメント(7a2)に収容されている、冷却される流体ポンプ(11)の下部とを含む、請求項7~10のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項12】
第一のコンパートメント(7a)の前記入口(19)が、ひとたび冷却ユニット(5)が冷却浴槽(3)に挿入されたならば冷却流体が前記入口(19)の中へオーバフローするように配置されている、ケーシング(7)の上部領域に配置されている、請求項4~11のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記冷却浴槽(3)が、互いから流体的に切り離されている第一のサブタンク(3a)及び第二のサブタンク(3b)を有し、
前記第一のサブタンク(3a)が、前記第二のサブタンク(3b)内に配置され、少なくとも前記少なくとも一つの冷却ユニット(5)及び少なくとも前記コンピューティングデバイス(6)の少なくとも前記第一の部分を受けるように設計されている、請求項1~12のいずれか一項記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記第一のサブタンク(3a)が、前記第二のサブタンク(3b)に接合され、第二のサブタンク(3b)の容積よりも小さい体積を有して、前記第一のサブタンク(3a)と前記第二のサブタンク(3b)との間に分離容積(14)を形成している、請求項13記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記分離容積(14)が、流体漏れをそこへ抜くための、前記ケーシング(7)の前記第二のコンパートメント(7b)の漏れ開口部と流体連通して、それにより、そのような流体漏れが第一のサブタンク(3a)に入るのを阻止する、請求項14記載のシステム(1)。
【請求項16】
少なくとも前記少なくとも一つのコンピューティングデバイス(6)を浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ動かすように設計され、配設された運搬手段を含む、請求項1記載のシステム(1)。
【請求項17】
前記運搬手段が、少なくとも一つの冷却ユニット(5)を浸漬位置からメンテナンス位置へ、またメンテナンス位置から浸漬位置へ動かすように設計され、配設されている、請求項16記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記冷却浴槽(3)が、前記槽の少なくとも一つの周壁の少なくとも一つの外側面上に縦方向に配設された運搬ガイド(13)を含み、
前記運搬手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)の位置まで前記ガイドに沿って両方向の縦方向移動を可能にするための、前記運搬ガイド(13)に誘導的に結合された可動コンベヤ(12)を含む、請求項16又は17記載のシステム(1)。
【請求項19】
前記可動コンベヤ(12)が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを、前記縦方向に直交するZ方向に上下に動かして、同デバイス又はユニットを前記浸漬位置から前記メンテナンス位置へ、また前記メンテナンス位置から前記浸漬位置へ動かすように設計された昇降手段を含む、請求項18記載のシステム(1)。
【請求項20】
前記昇降手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に取り外し可能に接続可能であり、その前記昇降運動を実施するための駆動手段に動作的に接続されているケーブルを含む、請求項19記載のシステム(1)。
【請求項21】
前記昇降手段が、動かされるコンピューティングデバイス(6)又は冷却ユニット(5)に配設された接合要素(39)に取り外し可能に接合され、同デバイス又はユニットを上下に動かすように設計されている、請求項19又は20記載のシステム(1)。
【請求項22】
前記接合要素(39)が、コンピューティングデバイス(6)を冷却浴槽(3)に取り外し可能に接合するように設計されている、請求項21記載のシステム(1)。
【請求項23】
前記接合要素(39)が、コンピューティングデバイス(6)を冷却浴槽(3)に取り外し可能に接合するように設計されている保定要素(41)を含む、請求項22記載のシステム(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この目的を達成するために、第一の局面にしたがって、本発明は、
―少なくとも一つの出口から少なくとも一つの入口へその中を通って流れる冷却流体を収容する冷却浴槽であって、冷却されるコンピューティングデバイスの少なくとも第一の部分をその中に挿入することを可能にするように設計され、配設され、前記コンピューティングデバイスが、その中に収容された冷却流体中に少なくとも部分的に浸漬される、冷却浴槽、及び
―少なくとも一つの入口から流れ出る冷却流体を捕集し、冷却し、ひとたび冷却したならば、冷却流体を、少なくとも一つの出口に通して冷却浴槽の中へ戻すように設計された少なくとも一つの冷却ユニット
を含む、浸漬されたコンピューティングデバイスのための冷却システムを提供する。
【国際調査報告】