(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための指運動レール、ならびにこのタイプの指運動レールを備えた治療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A61H1/02 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559715
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 DE2020100390
(87)【国際公開番号】W WO2020224727
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019112049.7
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520363878
【氏名又は名称】ユニバーシタッツメディズィン デア ヨハネス グーテンベルク-ユニバーシタット マインツ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA09
4C046AA46
4C046BB05
4C046DD02
4C046DD12
4C046DD36
(57)【要約】
本発明は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための、指運動レール(2)及び治療デバイス(1)に関する。レールは、中手指節間関節(31)の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された手段(21)が、多接合ヒンジとして設計され、それは、第1の接続レバー(2113)を介した接続と一緒に、少なくとも1つの第2の(及び/または第3の)接続レバー(2203、2204)、及び少なくとも1つの接続接合部(2114、2115)を介して、近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方にやはり配置された機構(22)に、動作可能に接続される。本発明による指運動レール(2)、または指運動レール(2)を備えた治療デバイス(1)は、特に指運動レール(2)の長手方向軸(LA)に関する、圧縮力、引張力、及び捩じり力の影響に対して、より顕著に弾力性がある。それは、解剖学的に自然で自動化された指移動の、より精確かつより干渉のない実施を有利に可能にし、好結果を伴う治療の機会、及びデバイスの耐用年数を増加させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための、指運動レール(2)であって、
中手指節間関節(31)の屈曲のために、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された、手段(21)と、
近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)の屈曲のために、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された、機構(22)であって、
前記機構(22)を、中手指節間関節(31)の屈曲のための手段(21)に接続するための、第1の接続レバー(2113)と、
近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)と相互作用するために、前記第1の接続レバー(2113)に動作可能に接続された、少なくとも1つの枢動レバー(2201、2202)と、を有する機構(22)と、
を備え、
前記指運動レール(2)は、
中手指節間関節(31)の屈曲のための前記手段(21)が、多接合ヒンジとして設計され、それは、第1の接続レバー(2113)を介した接続に加えて、少なくとも1つの第2の接続レバー(2203)、及び少なくとも1つの接続接合部(2114、2115)を介して、近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)の屈曲のための前記機構(22)に、動作可能に接続されることを特徴とする、指運動レール(2)。
【請求項2】
中手指節間関節(31)の屈曲のための前記手段(21)は、多接合ヒンジとして設計され、それは、前記第1の接続レバー(2113)を介した接続に加えて、少なくとも1つの第2の接続レバー(2203)、及び少なくとも1つの第3の接続レバー(2204)、ならびに少なくとも1つの接続接合部(2114、2115)を介して、近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)の屈曲のための前記機構(22)に、動作可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の指運動レール(2)。
【請求項3】
中手指節間関節(31)の屈曲のための前記手段(21)は、7つの接合部(2101、2102、2103、2104、2105、2106、2107)を備え、各々は、6つのレバー(2108、2109、2110、2111、2112、2113)のうち2つを、回転可能な方法で互いに接続することを特徴とする、請求項1または2に記載の指運動レール(2)。
【請求項4】
中手指節間関節(31)の屈曲のための前記手段(21)は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手(3)の指及び/または親指の移動を実施するための、治療デバイス(1)において、ホルダ(4)に堅固に接続するための第1のレバー(2108)を有することを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の指運動レール(2)。
【請求項5】
第2のレバー(2109)は、第1の接合部(2101)を介して前記第1のレバー(2108)に回転可能に接続されることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の指運動レール(2)。
【請求項6】
前記第2のレバー(2109)は、移動駆動部(23)に接続するための、少なくとも1つの係合接合部(231)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の指運動レール(2)。
【請求項7】
第3のレバー(2110)は、第2の接合部(2102)を介して前記第1のレバー(2108)に回転可能に接続されることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の指運動レール(2)。
【請求項8】
第4の接合部(2104)を介した前記第2のレバー(2109)、及び第3の接合部(2103)を介した前記第3のレバー(2110)は、第4のレバー(2111)を介して互いに回転可能に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の指運動レール(2)。
【請求項9】
前記第3のレバー(2110)は、第4の接合部(2105)を介して第5のレバー(2112)に回転可能に接続されることを特徴とする、請求項7または8に記載の指運動レール(2)。
【請求項10】
第7の接合部(2107)を介した前記第4のレバー(2111)、及び第6の接合部(2106)を介した前記第5のレバー(2112)は、前記接続レバー(2113)を介して互いに回転可能に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の指運動レール(2)。
【請求項11】
中手指節間関節(31)の屈曲のための前記手段(21)は、中手指節間関節(31)の周りに、前記指運動レール(2)の長手方向軸(LA)であって、詳細には前記移動駆動部(23)に接続するための前記係合接合部(231)、ならびに前記第1の枢動レバー(2201)及び前記第6のレバー(2113)の間における、前記第2の接合部(2206)の間の軸である、長手方向軸(LA)と、水平方向(H)との間の角度(BW)に関して、-15~90°の角度範囲、好ましくは0~90°の角度範囲で指の屈曲を可能にすることを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の指運動レール(2)。
【請求項12】
近位指節間関節(32)及び/または遠位指節間関節(33)の屈曲のための前記機構(22)は、近位指節間関節(32)及び遠位指節間関節(33)の組み合わせた屈曲を可能にし、それによって末節骨(331)は、屈曲部の端部における基節骨(311)に対して概ね平行に向けられることを特徴とする、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の指運動レール(2)。
【請求項13】
継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手(3)の指及び/または親指の移動を実施するための、治療デバイス(1)であって、
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の、1つまたは複数の指運動レール(2)と、
前記治療デバイス(1)を、患者の手(3)に接続するためのホルダ(4)であって、
1つまたは複数の指運動レール(2)が、選択された指の各々に接続される上部構造(40)を有する、ホルダ(4)と、
1つまたは複数の指運動レール(2)をモータ式に駆動するための、少なくとも1つの移動駆動部(23)と、
前記1つまたは複数の指運動レール(2)と制御接続された、少なくとも1つの制御デバイス(14)と、を備える、治療デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための指運動レールに関し、この指運動レールは:中手指節間関節の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された手段と;近位指節間関節及び/または遠位指節間関節の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された機構であって、この機構を中手指節間関節の屈曲のための手段に接続するための第1の接続レバー、ならびに近位指節間関節及び/または遠位指節間関節と相互作用するために、第1の接続レバーに動作可能に接続された少なくとも1つの枢動レバー、を有する機構と、を備える。
【0002】
本発明はさらに、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手の指及び/または親指の移動を実施するための、治療デバイスにも関し、この治療デバイスは、このタイプの1つまたは複数の指運動レールを備える。
【背景技術】
【0003】
継続的、受動的、及び/または能動的に補助した関節モビライゼーションのため、特に手の部位における外科手術後のための、いくつかの指運動レールまたは治療デバイスが、先行技術から公知であり、それは個々及び/または複数の指の自動化された移動を可能にする。
【0004】
米国特許第5,697,892号明細書は、例えば手の継続的で受動的な移動のためのデバイスを開示しており、それを用いて指の屈曲伸長の移動を実施できる。上記の欠点は、指の移動が、指に載った機械運動の運動力学によって制限されることである。加えて、指を個々に、かつ互いに対して独立して処置することができない。
【0005】
欧州特許第2549971号明細書は、手のリハビリテーションデバイスを開示しており、それは、完全な屈曲移動または対象物を把持する移動、及び/または訓練、シーケンス、及び/またはユーザによる自由に設定可能な移動の組み合わせを伴う毎日の活動のシミュレーションに従って、受動的及び能動的に補助された、5本の指の同時及び/または選択的な屈曲/伸長のための、可撓性ロッドと、指の屈曲/伸長の間に、この可撓性ロッドを摺動させ、かつ支持するための要素と、によって特徴づけられる。しかしここで、ロッドは、指の上に直接不利に配置され、移動の自由度を制限する場合がある。
【0006】
特開2011-115248号公報、及び米国特許出願公開第2014/0288664号明細書は、指の移動を支持するためのデバイスを開示しており、それらのデバイスにおける移動の機構は、それぞれの指に並行して側方に配置され、それによって、指に載ることで生じる移動の制限は回避される。特開2011-115248号公報は、移動を支持するためのデバイス、詳細には指運動レールを開示している。それは、3箇所の関節領域を自然に曲げた状態に配置できるよう意図される。反対に、米国特許出願公開第2014/0288664号明細書は、所望の指の移動(「屈曲または伸長)に関するユーザの意図を判断するためのセンサ技術を使用し、次にこの移動を、各指骨に配置された圧電駆動の助けを伴い支持する、指移動の支持デバイスを開示している。
【0007】
しかし、それらの設計原理を考慮すると、両方のデバイスは、異なる患者の指または親指の異なる解剖学的形状に対して、不十分に適合させることしかできず、その結果、それらによって実施される自動化された指の動きは、自然の動きからかなり大きく逸脱する場合がある。
【0008】
これを向上させるために、DE112017000012B4は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手の指ならびに親指の移動を実行するための治療デバイスを開示している。それは、選択された各指に、運動力学的な移動を伴う、それ自体の指運動レールを設けるのを可能にする。処置される指の側部に配置された指運動レールは、妨害されずに指の屈曲移動及び/または伸長移動を可能にする。公知の指運動レールは、キャリッジ/レールの移動の運動力学に基づいており、解剖学的に自然な指の移動に非常に近い、自動化された指の移動を可能にする。しかし、ここでキャリッジは、レールにおいてのみ摺動可能に誘導され、したがって特定の状況下では、捩じり力または軸力の作用、すなわちデバイスの長手方向軸に作用する力の影響を受けやすい場合があり、それはさらに、自動化された指の移動に悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】
これに関連して、米国特許出願公開第2018/0185231号明細書は、小型の指リハビリテーションデバイスを開示しており、これは、親指機構と、人差し指、中指、及び薬指の3本指機構と、小指の移動機構とを備え、それらはユーザの手の甲に配置することができる。個々の移動機構の動きは、この場合、ある種の多接合ヒンジによって実現され、それはさらに伸縮自在デバイスによって動かされる。この伸縮自在デバイスは、枢動ポイントを介して直接的に、多接合ヒンジに枢動可能に接続され、動作中に多接合ヒンジに沿って動く。その結果、駆動部(例えば電源)の供給ケーブルが、常に機械的作用を受け、摩耗及び裂傷を促進させ、例えばケーブルは破損する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,697,892号明細書
【特許文献2】欧州特許第2549971号明細書
【特許文献3】特開2011-115248号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0288664号明細書
【特許文献5】DE112017000012B4
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0185231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の目標は、先行技術に対して向上した指運動レールを利用可能にすること、ならびに、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための、向上した治療デバイスも利用可能にすることである。この治療デバイスは、解剖学的に自然で、妨害されず自動化された指の移動を可能にし、同時に外力に対して耐久性があり堅牢である。
【0012】
指運動レールまたは治療デバイスは、軸力及び捩じり力の作用に対して、特にDE112017000012B4で開示された治療デバイス、及びこの出願が明示的に言及する移動の原理と比較して、より堅牢となるよう意図される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目標は、指運動レールに関しては請求項1の特徴によって、及び治療デバイスに関しては請求項13の特徴によって、実現される。個々に、または互いに組み合わせて使用できる、有利な実施形態及び開発は、従属請求項の主題である。
【0014】
本発明による指運動レールは、課題のタイプの指運動レールとは、中手指節間関節の屈曲のための手段が、多接合ヒンジとして設計されることで特徴づけられる。この多接合ヒンジは、第1の接続レバーを介した接続に加えて、少なくとも1つの第2の接続レバー及び少なくとも1つの接続接合部を介して、近位指節間関節及び/または遠位指節間関節の屈曲のための機構に、動作可能に接続される。
【0015】
本発明による治療デバイスは、それに基づいて、治療デバイスを患者の手に接続するためのホルダであって、本発明による1つまたは複数の指運動レールが、各選択された指に接続される上部構造、及び1つまたは複数のこのような指運動レールをモータ式に駆動するための少なくとも1つの移動駆動部を有するホルダと、本発明による1つまたは複数の指運動レールに制御接続された、少なくとも1つの制御デバイスと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
先行技術と比較すると、本発明による治療デバイス、または中手指節間関節の屈曲のための多接合ヒンジとして設計された手段を伴う、本発明による指運動レールは、指運動レールの長手方向軸に沿って作用する圧縮力及び引張力の作用に対して、ならびに指運動レールの長手方向軸に対する回転力または捩じり力の作用に対しても、より顕著に堅牢である。この利点は、より精確かつより干渉のない、解剖学的に自然(簡潔)で自動化された指の移動を実施するのを可能にし、それは治療の成果を有利に向上されることができる。さらに、デバイスの耐用年数が、先行技術に対して有利に延ばされる。
【0017】
本発明の追加の詳細、及び別の利点を、好ましい例示的な実施形態と、添付の図面とを共に参照して、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例としてホルダ上に5本の指運動レールを伴う、治療デバイスの基本的構造の平面図である。
【
図2】伸長位置にある、本発明による指運動レールの実施形態における側面図である。
【
図3】屈曲位置にある、本発明による指運動レールの別の実施形態における側面図である。
【
図4】別の実施形態において、いくつかの指運動レール及び移動駆動部を伴う、治療デバイスの別の実施形態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態における以下の説明において、同じ参照記号は、同じまたは同等の構成要素を表わす。
【0020】
図1は、例としてホルダ4上に5本の指運動レール2を伴う、治療デバイス1の基本的構造における平面図の例を示す。
【0021】
ここで示される治療デバイス1は、治療デバイス1を患者の手3に接続するためのホルダ4と、1つまたは複数、特にここで示されるように5つの、患者の指及び/または親指の指運動レール2と、を備える。ホルダ4は、有利には1つまたは複数の指運動レール2を、選択された指の各々に接続できる、上部構造40を有する。
【0022】
治療デバイス1は、1つまたは複数の指運動レール2をモータ式に駆動するための、少なくとも1つの移動駆動部23と、1つまたは複数の指運動レール2と制御接続された、少なくとも1つの制御デバイス14と、をさらに備える。指運動レール2またはその移動駆動部23と制御デバイス14との間の制御接続は、(示されるような)ワイヤレス、及び/またはケーブル接続(図示せず)によって成され得る。1つまたは複数の移動駆動部23は、好ましくは
図4に示されるようなリニア駆動として設計することができる。詳細には、移動駆動部23の各々は、誘導レール232と、各指運動レール2のために誘導レール232に沿って進む移動手段235と、を伴う。
【0023】
継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための指運動レールは、中手指節間関節31の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された手段21と、近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された機構22であって、この機構22を中手指節間関節31の屈曲のための手段21に接続するための、第1の接続レバー2113、ならびに近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33と相互作用するために、第1の接続レバー2113に動作可能に接続された、少なくとも1つ(またはここで示すように2つ)の枢動レバー2201、を有する機構22と、を備える。
【0024】
図2~
図4において、中手指節間関節31の屈曲のための手段21に属する構成要素が、明確さを目的としてハッチングを伴い示される。
【0025】
それぞれの遠位指節間関節33及び/または近位指節間関節32との相互作用は、好ましくは第1の枢動レバー2201もしくは第2の枢動レバー2202に定着させるための、取り外し可能な第1の定着及び/もしくは支持手段26、ならびに/または、第1の接続レバー2113に定着させるための、取り外し可能な第2の定着及び/もしくは支持手段27、を介して生じさせることができる。指を定着及び/または支持するための、取り外し可能な定着及び/または支持手段26及び27と、さらにはホルダ4を前腕及び/または手3に定着させるための、取り外し可能な定着手段42とは、サイズを調整可能に有利に設計され、それによって定着することになる体の部位の異なるサイズのために、広く一般に使用することができる。
【0026】
次に、
図2及び
図3は、伸長位置(
図2)及び屈曲位置(
図3)にある、本発明による指運動レール2の実施形態を側面で示す。
図2及び
図3に示される実施形態は、特に、中手指節間関節31の屈曲のための手段21としての、多接合ヒンジの動作原理を例示することを意図する。
【0027】
本発明によると、中手指節間関節31の屈曲のための手段21は、多接合ヒンジとして設計され、それは、第1の接続レバー2113を介した接続に加えて、少なくとも1つの第2の接続レバー2203を介して、詳細にはさらに第3の接続レバー2204、及び少なくとも1つの接続接合部2114、2115を介して、近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33の屈曲のための機構22に、動作可能に接続される。中手指節間関節31の屈曲のための、多接合ヒンジとして設計された手段21は、それぞれ(「垂直の」)中手指節間関節31の周りの移動を可能にし、それによって生じた移動は、有利に解剖学的に「自然な」(簡潔な)指の移動に対応する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、中手指節間関節31の屈曲のための手段21は、例えば7つの接合部2101、2102、2103、2104、2105、2106、及び2107を備えることができ、それらの各々は、6つのレバー2108、2109、2110、2111、2112、及び2113のうち2つを、回転可能な方法で互いに接続する。中手指節間関節31の屈曲のための手段21が、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手3の指及び/または親指の移動を実施するための、治療デバイス1のホルダ4に、堅固に接続するための第1のレバー2108を有する場合、有利である。このようなレバー2108は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の手3の指及び/または親指の移動を実施するための、治療デバイス1のホルダ4における、1つまたは複数の指運動レール2の安定した配置を、有利に可能にする。第1のレバー2108は、第1の接合部2101と第2の接合部2102との間の構造的距離を、有利に予め決定することができ、それによって、中手指節間関節31の屈曲のための手段21における、特に第2のレバー2109、第3のレバー2110、及び第4のレバー2111の、レバーの機械的相互作用を決定する。レバー2108は、言うなれば、中手指節間関節31の屈曲のための手段21としての多接合ヒンジにおける設計のための、距離計測として有利に役立ち得る。
【0029】
加えて、好ましくは第2のレバー2109が、第1の接合部2101を介して第1のレバー2108に回転可能に接続される実施形態は、有益であることが判っている。第2のレバー2109は、この場合移動駆動部23に動作可能に接続するために、少なくとも1つの係合接合部231を有利に備えることができる。
図2は、この目標のために、接続要素233を係合接合部231に設けることができ、例えばそれは、レバー2109を移動駆動部23、特にリニア駆動(
図4も参照)と動作可能に接続するよう、有利にもたらし得ることを示す。係合接合部231の反対側の、接続要素233の端部において、例えば接続接合部234を、移動駆動部23の移動手段235に配置することが可能である。動作中、移動手段235は、誘導レール232に沿って動かすことができ、次に接続要素233を、接続接合部234を介して動かすことができる。係合接合部231によって、この接続要素233の移動は、特に第2のレバー2109の運動を発動することができ、それによって最終的に中手指節間関節31の屈曲のために、多接合ヒンジとして設計された、手段21の全体を発動することができる。移動駆動部23、詳細には例えば誘導レール232など、その固定構成要素は、第1のレバー2108に対して動かないままである。すなわち、中手指節間関節31の屈曲のための手段21として、多接合ヒンジの向きに対する移動駆動部23の向きは、一定のままである。このように、誘導レール232に沿った移動手段235の動きを介してもたらされる、移動駆動部23におけるリニア駆動の動きは、中手指節間関節31の屈曲のために、多接合ヒンジとして設計された手段21の円運動に有利に変換できることが、
図4で確認される。中手指節間関節31の屈曲のために、多接合ヒンジとして設計された手段21に対する、移動駆動部23の旋回部を、有利に省略することが可能である。これは、治療デバイス1の、より小型の設計を可能にするだけではなく、例えば移動駆動部23へのケーブル配線を容易にして、動作中のケーブル移動の繰り返しを避け、それによって治療デバイス1の耐用年数を有利に延ばす。
【0030】
誘導レール232は、それぞれの患者の解剖学的構造条件への適応、詳細には指の長さへの長さ適応も、有利に可能にできる。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態において、第3のレバー2110を、第2の接合部2102を介して第1のレバー2108に、有利に回転可能に接続することができる。好ましくは第4の接合部2104を介した第2のレバー2109、及び好ましくは第3の接合部2103を介した第3のレバー2110を、第4のレバー2111を介して互いに回転可能に接続することができる。第2の接合部2102と第3の接合部2103との間の距離が、第3の接合部2103と第5の接合部2105との間の距離の概ね2倍である場合、やはり有利である。
【0032】
加えて、第3のレバー2110が、第5の接合部2105を介して第5のレバー2112に回転可能に接続される場合、有益であることが判っている。ここで、第7の接合部2107を介した第4のレバー2111、及び第6の接合部2106を介した第5のレバー2112が、接続レバー2113を介して互いに回転可能に接続された場合、有利である。
【0033】
図3は、屈曲位置にある、本発明による指運動レール2の別の好ましい実施形態における側面図を示す。中手指節間関節31の屈曲のための手段21が、指運動レール2の長手方向軸LAであって、詳細には第1の接合部2101、ならびに第1の枢動レバー2201及び第6のレバー2113の間に配置された第2の接合部2206の間の軸である、長手方向軸LAと、水平方向H(手の平と同じ向きに伸びた1つの指と同等)との間の角度BWに関して、中手指節間関節31の周りに-15~90°の角度範囲、好ましくは0~90°の指の屈曲を有利に可能にできることが確認される。
【0034】
最後に、本発明の別の実施形態において、近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33の屈曲のための機構22は、近位指節間関節32及び遠位指節間関節33の組み合わせた屈曲を、有利に可能にできる。それによって、末節骨331は、屈曲部の端部における基節骨311に対して概ね平行に向けられる(再度、
図4における屈曲位置の別の実施形態を参照)。
【0035】
中手指節間関節31の屈曲のための手段21と、(共通の)接続レバー2113を介した、近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33の屈曲のための機構22との相互作用は、手3の指及び/または親指の全移動範囲にわたる、解剖学的に自然で自動化された指の移動を、有利に可能にする。特に指または親指に載る構成要素による移動の制限は、有利に回避される。中手指節間関節31の屈曲のための多接合ヒンジとして設計された手段21は、特に指運動レール2の長手方向軸LAに関する軸力及び捩じり力に対して堅牢であり、それは、指運動レール2または治療デバイス1によって実施される指移動の耐干渉性を有利に向上させる。
【0036】
本発明は、継続的、受動的、及び/または能動的に補助して、患者の指及び/または親指の移動を実施するための、指運動レール2及び治療デバイス1に関する。中手指節間関節31の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方に配置された手段21は、多接合ヒンジとして設計され、それは、第1の接続レバー2113を介した接続に加えて、少なくとも1つの第2の(及び/または第3の)接続レバー2203、2204、及び少なくとも1つの接続接合部2114、2115を介して、近位指節間関節32及び/または遠位指節間関節33の屈曲のための、それぞれの指及び/または親指に並行して側方にやはり配置された機構22に、動作可能に接続されることを特徴とする。本発明による指運動レール2、または指運動レール2を備えた治療デバイス1は、特に指運動レール2の長手方向軸LAに関する圧縮力、引張力、及び捩じり力の影響に対して、より顕著に堅牢である。それは、解剖学的に自然で自動化された指移動の、より精確かつより干渉のない実施を有利に可能にし、好結果を伴う治療の機会、及びデバイスの耐用年数を増加させる。
【0037】
先行技術と比較すると、中手指節間関節31の屈曲のための、多接合ヒンジとして設計された手段21を伴う、本発明による治療デバイス1または本発明による指運動レール2は、指運動レール2の長手方向軸に沿って作用する圧縮力及び引張力の作用に対して、ならびに指運動レール2の長手方向軸LAに関する、回転力または捩じり力の作用に対しても、より顕著に堅牢である。この利点は、より精確かつより干渉のない、解剖学的に自然(簡潔)で自動化された指の移動を実施するのを可能にし、それは治療の成果を有利に向上されることができる。さらに、デバイスの耐用年数が、先行技術に対して有利に延ばされる。
【符号の説明】
【0038】
1 治療デバイス
2 指運動レール
21 中手指節間関節の屈曲のための手段=多接合ヒンジ
2101 第1の接合部
2102 第2の接合部
2103 第3の接合部
2104 第4の接合部
2105 第5の接合部
2106 第6の接合部
2107 第7の接合部
2108 第1のレバー
2109 第2のレバー
2110 第3のレバー
2111 第4のレバー
2112 第5のレバー
2113 接続レバー
2114 第1の接続接合部
2115 第2の接続接合部
22 (近位指節間関節及び/または遠位指節間関節の屈曲のための)機構
2201 第1の枢動レバー
2202 第2の枢動レバー
2203 第2の接続レバー
2204 第3の接続レバー
2205 第1の接合部
2206 第2の接合部
2207 第3の接合部
2208 第4の接合部
23 移動駆動部
231 移動駆動部23に接続するための係合接合部
232 誘導レール
233 接触要素
234 移動手段235への接続接合部
235 移動手段
26 第1の枢動レバー2201に定着させるための、第1の定着及び/または支持手段
27 第1の接続レバー2113に定着させるための、第2の定着及び/または支持手段
3 手
30 手首
31 中手指節間関節
311 基節骨
32 近位指節間関節
321 中節骨
33 遠位指節間関節
331 末節骨
4 ホルダ
40 上部構造
42 定着手段
【国際調査報告】