(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】水中油型エマルションの形態の化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20220629BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220629BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220629BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/73
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562145
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2019085225
(87)【国際公開番号】W WO2020220277
(87)【国際公開日】2020-11-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ディ・ウ
(72)【発明者】
【氏名】シウシア・ワン
(72)【発明者】
【氏名】チ・マ
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン・シュ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC812
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD261
4C083AD281
4C083AD282
4C083BB33
4C083BB36
4C083CC05
4C083CC11
4C083DD33
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、(i)化粧用組成物の総質量の0.75質量%超の量における、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、及び(ii)化粧用組成物の総質量の0.1質量%超の量における、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマーを含む、化粧用組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、本発明による化粧用組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、
(i)化粧用組成物の総質量の0.75質量%超の量における、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、及び
(ii)化粧用組成物の総質量の0.1質量%超の量における、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマー
を含む、化粧用組成物。
【請求項2】
親水性アニオン会合性ポリマーが、少なくとも1種の式(a)のエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸モノマーと、少なくとも1種の式(b)の会合性モノマーとの間の重合によって得られるコポリマーから選択され、
【化1】
[式中、
R
'
a及びR'
bは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C
1~C
6)アルキル基を表し、
R'
c及びR"
cは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C
1~C
6)アルキル基、C(O)OX基、若しくは-alk-C(O)OX基[式中、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムを表し、-alk-は(C
1~C
6)アルキレン基を表す]を表し、好ましくは、R'
c及び/又はR"
cは、水素原子又はメチル基を表し、
R
1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は(C
1~C
6)アルキル基を表し、
R
2は、直鎖状又は分枝状(C
6~C
40)アルキル基、好ましくは(C
10~C
30)アルキル基を表し、
nは、範囲の両端を含めて5から100の間に含まれる整数である]
ただし、(a)又は(b)が、少なくとも1つのカルボキシル基C(O)OH、又はC(O)O-Q
+[式中、Q
+は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムから選択されるカチオンを表す]を含有する、
請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
親水性アニオン会合性ポリマーが、(A)及び/又は(B)単位:
【化2】
[式中、
R'
a及びR'
bは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C
1~C
6)アルキル基を表し、
R'
c及びR"
cは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C
1~C
6)アルキル基、C(O)OX基、若しくは-alk-C(O)OX基[式中、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムを表し、-alk-は(C
1~C
6)アルキレン基を表す]を表し、好ましくは、R'
c及び/又はR"
cは、水素原子又はメチル基を表し、
xは、100から10000の間の整数を表し、
yは、100から10000の間の整数を表し、
x +yは、200から20000の間の整数を表す]
を含有する、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
親水性アニオン会合性ポリマーが、アクリレーツ/アクリル酸パルメス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸セテス-20コポリマー、アクリル酸/イタコン酸べへネス-25コポリマー、アクリル酸/パルメス-25メタクリレーツコポリマー、アクリル酸/アクリル酸ステアレス-50コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸パルメス-25コポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマーが、化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、0.8質量%~6質量%、好ましくは1質量%~3質量%、より好ましくは1質量%~2質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
セルロース系増粘ポリマーが、ヒドロキシ(C
1~C
6)アルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロース)、カルボキシ(C
1~C
6)アルキルセルロース、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
セルロース系増粘ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、混合(ポリ)ヒドロキシ(C
1~C
4)アルキル-(C
1~C
4)アルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、及びヒドロキシブチルメチルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマーが、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、0.2質量%~6質量%、好ましくは0.2質量%~3質量%、より好ましくは0.25質量%~2質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
好ましくはアニオン性及び非イオン性乳化界面活性剤から選択される、少なくとも1種の乳化界面活性剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
乳化界面活性剤が、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは1.5質量%~8質量%、より好ましくは2質量%~5質量%の範囲内の量で存在する、請求項9に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための少なくとも1種の活性成分を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
水性相が、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、30質量%~95質量%、好ましくは50質量%~90質量%、より好ましくは60質量%~90質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
油相が、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%~60質量%、好ましくは3質量%~40質量%、より好ましくは5質量%~30質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項14】
水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、
(i)化粧用組成物の総質量の1質量%~2質量%の範囲内の量における、アクリレーツ/アクリル酸パルメス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸セテス-20コポリマー、アクリル酸/イタコン酸べへネス-25コポリマー、アクリル酸/パルメス-25メタクリレーツコポリマー、アクリル酸/アクリル酸ステアレス-50コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸パルメス-25コポリマー、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、並びに
(ii)化粧用組成物の総質量の0.25質量%~2質量%の範囲内の量における、ヒドロキシ(C
1~C
6)アルキルセルロースから選択される、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマー
を含む、化粧用組成物。
【請求項15】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の化粧用組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物に関する。特に、本発明は、水中油型エマルションの形態の化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、人体のための保護バリアである。皮膚は、物理的負傷(例えば外傷)及び生物学的負傷(例えば、細菌、ウィルス、又は菌による負傷)から、体の内部を保護する。人体の皮膚は、真皮と表皮とを含む。表皮とは皮膚の最上層であり、その表層は角質層と呼ばれる。
【0003】
皮膚及び/又は唇のケア及び/又はメイクアップ専用の配合の開発には、終わりがない。このような配合は、使いやすさ等の適用の観点、並びに適用後の水和及び/又は加湿感等の感覚の観点において、申し分のない特性を示さなければならない。
【0004】
特に使い心地をより良くすることに関連する様々な理由(柔らかさ及び皮膚軟化性等)のため、ケラチン物質、特に皮膚をケア及び/又はメイクアップするための現在の組成物は、通常、水性分散性連続相と油性被分散不連続相とからなる水中油(O/W)型のエマルション、又は油性分散性連続相と水性被分散不連続相とからなる油中水(W/O)型のエマルションの形態である。
【0005】
水中油型エマルションは、外側相として水性相を含み、皮膚に適用された場合には、油中水型エマルションよりも瑞々しく、脂ぎっておらず、軽い感じを与えるため、化粧品分野において最も探求されているエマルションである。
【0006】
皮膚ケアのルーチンにおいて、クリームは、アンチエイジング、ホワイトニング、及び水和等の皮膚ケアのために不可欠の工程である。活性成分、例えば、アンチエイジング剤、水和剤、及び/又は皮膚ホワイトニング成分、例えば、バイカリン、symwhite等を、水中油型エマルションに導入するための取り組みもなされている。
【0007】
消費者は、滋養のある感覚/効能を有するが、軽く瑞々しい皮膚の仕上がりを伴うクリームを探求している。ヨーグルト様テクスチャを有するクリームは、このような要求を満たすことができる。
【0008】
現在、いくつかの化粧料のヨーグルト様テクスチャは、主として、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマーによって提供される。
【0009】
しかしながら、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマーがヨーグルト様テクスチャを提供するためには、化粧料のpH値が6.0超であることが要求され、約5.5のpHにおいて活性であるバイカリン、及び5.0未満のpHにおいて活性であるsymwhiteのように、より低いpHで効能を示す多くの活性物質には好適でない。pHを低いpH値(pH<6.0)に調整する場合、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマーによってヨーグルトテクスチャを得ることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、6.0未満のpHであっても、ヨーグルト様テクスチャを有する水中油型エマルションの形態の化粧用組成物を配合する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、このような必要性を、2種の特定のポリマーの独特の組み合わせによって達成できることを見出した。
【0012】
したがって、一態様によれば、本発明は、水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、
(i)化粧用組成物の総質量の0.75質量%超の量における、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、及び
(ii)化粧用組成物の総質量の0.1質量%超の量における、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマー
を含む、化粧用組成物に関する。
【0013】
本発明による組成物は、6.0未満のpHにおいてさえ、ヨーグルト様テクスチャを与えることができる。
【0014】
本発明による化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを示し、良好な化粧特性を有し、特に、脂ぎった感じを伴うことなく、ケラチン物質を加湿及び/又は軟化させる。
【0015】
本発明による化粧用組成物は、一般に、ProRheo社製の200rpmで回転するスピンドルM3を装備したProRheo R180粘度計を使用して、25℃において測定すると、40~70UD(M3)の範囲に入る粘度を有する。40~70UD(M3)の範囲の粘度は、クリームのために望ましい。
【0016】
本発明による化粧用組成物はまた、適用の際に、厚い-薄い-瑞々しいという感触のプロセスを示す。
【0017】
別の態様によれば、本発明はまた、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、本発明による化粧用組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法に関する。
【0018】
本発明において、「ケラチン物質」という用語は、ヒトの皮膚、粘膜、例えば唇、爪を網羅することが意図される。ヒトの皮膚、特に顔面の皮膚は、本発明によって最も特段に考慮される。
【0019】
本発明の他の主題及び特徴、態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び実施例を読むことで、更により明解となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の記載において、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「の間」及び「~から~までの範囲」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0021】
更に、本記載において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0022】
本出願全体にわたって、「含む(comprising)」という用語は、すべての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0023】
一態様によれば、本発明は、水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、
(i)化粧用組成物の総質量の0.75質量%超の量における、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、及び
(ii)化粧用組成物の総質量の0.1質量%超の量における、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマー
を含む、化粧用組成物に関する。
【0024】
水性相
本発明の化粧用組成物は、少なくとも1つの連続水性相を含む。
【0025】
本発明による化粧用組成物の水性相は、水と、任意選択で、1種又は複数の水混和性又は少なくとも部分的に水混和性の化合物、例としてはC2~C8低級ポリオール又はモノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノールとを含む。
【0026】
「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するものと理解されるべきである。言及することができるポリオールの例としては、グリコール、例としては、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及びイソプレングリコール、カプリリルグリコール、グリセロール(すなわちグリセリン)、並びにポリエチレングリコールが挙げられる。
【0027】
水性相はまた、下で更に説明するように、任意の一般的な水溶性又は水分散性添加剤を含んでもよい。
【0028】
好ましくは、水性相は、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、30質量%~95質量%、好ましくは50質量%~90質量%、より好ましくは60質量%~90質量%の範囲内の量で存在する。
【0029】
油相
本発明の化粧用組成物は、上記のように、水性相中に分散した少なくとも1つの油相を含む。
【0030】
本発明による化粧用組成物の油相の性質は、重大ではない。
【0031】
特に、油相は、少なくとも1種の油を含む。
【0032】
油という用語は、任意の脂肪物質を指す。これらの油は、動物、植物、鉱物又は合成由来のものでありうる。
【0033】
油は揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0034】
「揮発性油」という用語は、室内温度(20~25℃)且つ大気圧(760mmHg)において、1時間未満に皮膚又は唇から蒸発することができる任意の非水性媒体を指す。揮発性油は、室内温度で液体の揮発性化粧用油である。より詳細には、揮発性油は、範囲の両端を含めて0.01から200mg/cm2/分の間の蒸発速度を有する。
【0035】
「不揮発性油」という用語は、室温且つ大気圧において、ケラチン物質上に残留する油を意味することが意図される。より詳細には、不揮発性油は、厳密に0.01mg/cm2/分未満の蒸発速度を有する。
【0036】
この蒸発速度を測定するためには、試験対象の油又は油混合物15gを直径7cmの晶析器に導入し、これを、25℃の温度に温度制御され、50%の相対湿度に湿度制御された0.3m3の大型チャンバ内に位置する秤に載せる。液体を放置して、溶媒を含有する晶析器の真上に、ブレードを晶析器に向けて、晶析器の基部から20cmの距離に配置されたファン(PAPST-MOTOREN社、参照名8550N、2700rpmで回転)を用いて換気することによって、かき混ぜずに自由に蒸発させる。晶析器内に残存する油の質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位表面積(cm2)当たり及び単位時間(分)当たりに蒸発した油のmgで表される。
【0037】
本発明に好適な油は限定されないが、炭化水素系、シリコーン系、又はフッ素系でありうる。
【0038】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を指す。
【0039】
「フッ素油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を指す。
【0040】
「炭化水素油」という用語は、主に水素及び炭素原子を含有する油を指す。
【0041】
油は、任意選択で、酸素、窒素、硫黄、及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル基又は酸基の形態で含んでもよい。
【0042】
好ましくは、油相は、室内温度(約25℃)において固体である油を、少なくとも含む。
【0043】
好ましくは、油は、炭化水素化油及びシリコーン油から選択される。
【0044】
例えば、8~16個の炭素原子を有する炭化水素系揮発性油及びこれらの混合物、とりわけ、分枝状C8~C16アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売されている油、C8~C16分枝状エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル、並びにこれらの混合物を言及することができる。イソドデカン又はイソヘキサデカンが好ましい。
【0045】
不揮発性油としては、以下を言及することができる:
- 鉱物又は合成由来の炭化水素系油、例えば、直鎖状又は分枝状炭化水素、例としては、液体パラフィン又はその誘導体、液体石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えば日本油脂社により販売されているParleam、合成又は植物由来のスクワラン;
- 脂肪酸及びグリセロールのエステルから構成されるトリグリセリド(脂肪酸は様々な鎖長を有してよく、後者は直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよい)を、特に、特に4~22個の炭素原子を含有する脂肪酸のトリグリセリドを、例としては、ヘプタン酸トリグリセリド、オクタン酸トリグリセリド、及びカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、又は他にはヒドロキシル化トリグリセリドをベースとする植物由来の炭化水素系油、例えばスイートアーモンド油、カロフィルム油、ヤシ油、グレープシード油、ゴマ油、アララ(arara)油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アルファルファ油、マロー油、クロスグリ油、マカダミア油、マスカットローズ油、ヘーゼルナッツ油、コリアンダー油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀類(トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ)胚芽油、シアバター油;脂肪酸のエステル、特に4~22個の炭素原子を有する脂肪酸のエステル、特に、オクタン酸、ヘプタン酸、ラノリン酸(lanolic acid)、オレイン酸、ラウリン酸、又はステアリン酸のエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール;
- 式R1COOR2の合成エステル[式中、R1は、7~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖高級脂肪酸の残基を表し、R2は、3~40個の炭素原子を含有する分枝状炭化水素系鎖を表す]、例としては、プルセリン(purcellin)油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12~C15アルコール、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコール若しくはポリアルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル、若しくはリシノール酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、コハク酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、トリイソステアリン酸グリセリル、又はトリイソステアリン酸ジグリセリル;ジイソノナン酸ジエチレングリコール;ペンタエリスリトールエステル;4~22個の炭素原子を含有する芳香族酸及びアルコールのエステル、特にトリメリト酸トリデシル;
- C8~C26高級脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はイソステアリン酸;
- C8~C26高級脂肪アルコール、例えば、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、又はオクチルドデカノール;
- 少なくとも7個の炭素原子を含有する合成エーテル;
- シリコーン油、例えば、室温で液体であり、且つ任意選択でフェニル化された直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチル-ジフェニルトリシロキサン、液体2-フェニルエチルトリメチル-シロキシシリケート(任意選択で、ペンダントである且つ/又はシリコーン鎖の末端において、脂肪族及び/又は芳香族基、例としては、アルキル、アルコキシ又はフェニル基によって置換されており、これらの基が2~24個の炭素原子を含有し、任意選択でフッ素化されており、又はヒドロキシル、チオール及び/若しくはアミン基等の官能基を有する);脂肪酸若しくは脂肪アルコール、又はポリオキシアルキレンによって修飾されたポリシロキサン、例えば、ジメチコンコポリオール又はアルキルメチコンコポリオール;液体フルオロシリコーン;並びに
- これらの混合物。
【0046】
いくつかの実施形態では、油は、室温で液体である直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び式R1COOR2[式中、R1は、7~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状高級脂肪酸の残基を表し、R2は、3~40個の炭素原子を含有する分枝状炭化水素系鎖を表す]の合成エステルから選択される。
【0047】
好ましくは、油相は、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%~60質量%、好ましくは3質量%~40質量%、より好ましくは5質量%~30質量%の範囲内の量で存在する。
【0048】
親水性アニオン会合性ポリマー
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマーを含む。
【0049】
本発明による化粧用組成物に使用することができる親水性アニオン会合性ポリマーとは、水性媒体中で互いに、又は他の分子と可逆的に会合することができる水溶性ポリマーである。
【0050】
その化学構造には、親水性ゾーンと、少なくとも1つの脂肪鎖を特徴とする疎水性ゾーンとを含む。
【0051】
本発明の親水性アニオン会合性ポリマーは、好ましくは、1)と2)との間の共重合によって得られ、
1)は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状(C1~C10)アルキル基によって置換された、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸モノマーであり、
2)は、式(I):
A-O-(Alk-O)z-(CH2)w-Ra (I)
[式中、
Aは、追加のカルボキシル基又はその塩を任意選択で含有し、該追加のカルボキシル基は、直鎖状又は分枝状(C1~C20)アルキル基によってエステル化されていてもよい、エチレン性不飽和非環式残基を表し、
Raは、直鎖状若しくは分枝状(C1~C30)アルキル基、1~30個の炭素原子を有し、アルキル基が直鎖状若しくは分枝状である、アルキルアリール又はアリールアルキル基を表し、好ましくは、Raは、(C1~C20)アルキル基、1~20個の炭素原子を有し、アルキル基が直鎖状若しくは分枝状である、アルキルフェニル又はフェニルアルキル基を表し、
Alkは、直鎖状又は分枝状(C1~C6)アルキレン基を表し、特にAlkは、-CH2-CH(Rb)-[式中、Rbは、水素原子、又は(C1~C4)アルキル基、例えばメチル若しくはエチル基を表す]を表し、
zは、範囲の両端を含めて0から50の間に含まれる整数であり、
wは、範囲の両端を含めて0から30の間に含まれる整数である]
のエステルである、少なくとも1種の会合性モノマーであり、
ただし、(I)は、少なくとも1つのカルボキシル基C(O)OH、又はC(O)O-Q+[式中、Q+は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムから選択されるカチオンを表す]を含有する。
【0052】
1)と2)との重合によって、少なくとも1種のモノマー1)と少なくとも1種のモノマー2)との間で共重合されるものと理解されなければならない。
【0053】
本発明の実施形態によれば、コポリマーは、少なくとも1種の式(a)のエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸モノマーと、本明細書において以前に定義した式(I)又は式(b):
【0054】
【0055】
[式中、
R'a及びR'bは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C1~C6)アルキル基を表し、好ましくは、R'a及びR'bは水素原子を表し、
R'c及びR"cは、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C1~C6)アルキル基、C(O)OX基、若しくは-alk-C(O)OX基[式中、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムを表し、-alk-は(C1~C6)アルキレン基、例えばメチレン基を表す]を表し、好ましくは、R'c及び/又はR"cは、水素原子又はメチル基を表し、
R1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は(C1~C6)アルキル基を表し、
R2は、直鎖状又は分枝状(C6~C40)アルキル基、好ましくは(C10~C30)アルキル基を表し、
nは、範囲の両端を含めて、5から100の間、特に10から50の間、より特定的には20から40の間、好ましくは20から30の間、例えば25に含まれる整数である]
のエステルである、少なくとも1種の会合性モノマーとの間の重合によって得られ、
ただし、(a)又は(b)は、少なくとも1つのカルボキシル基C(O)OH、又はC(O)O-Q+[式中、Q+は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムから選択されるカチオンを表す]を含有する。
【0056】
特にR'a、R'bは水素原子を表し、R'c及びR"cは、水素原子又はメチル基を表し、R1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属を表す。
【0057】
別の変形によれば、R'a、R'b、及びR'cは水素原子を表し、R"cは、-alk-C(O)OX基、例えば-CH2-C(O)OX[式中、Xは本明細書において以前に定義した通りである]を表す。
【0058】
本発明の特定の実施形態によれば、親水性アニオン会合性ポリマーは、(A)及び/又は(B)単位:
【0059】
【0060】
[式中、
R'a、R'b、R'c、R"cは、本明細書において以前に定義した通りであり、
xは整数、好ましくは100超、より好ましくは100から10000の間の整数を表し、
yは整数、好ましくは100超、より好ましくは100から10000の間の整数を表し、
x+yは整数、好ましくは200超、より好ましくは200から20000の間の整数を表す]
を含有する。
【0061】
好ましい実施形態によれば、本発明のアニオン会合性ポリマーは、100000超、好ましくは200000から8000000の間の分子量を有する。
【0062】
好ましい実施形態によれば、式(A)及び(B)において、R1は、水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。
【0063】
本発明において使用可能な、本明細書において以前に定義したコポリマー(a)/(b)の例として、アクリレーツ/アクリル酸パルメス-25コポリマー、例えば3V社からSynthalen(登録商標) W2000の商品名で市販されている製品、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー、例えばRohm and Haas(Dow Chemical)社からAcylun(商標) 28の商品名で市販されている製品、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、例えばRohm and Haas(Dow Chemical)社からAculyn(商標) 22ポリマーの商品名で市販されている製品、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー、例えばAkzoNobel社からStructure 2001の商品名で市販されている製品、アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー、例えばAkzoNobel社からStructure 3001の商品名で市販されている製品、アクリレーツ/メタクリル酸セテス-20コポリマー、アクリル酸/イタコン酸べへネス-25コポリマー、アクリル酸/パルメス-25メタクリレーツコポリマー、アクリル酸/アクリル酸ステアレス-50コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸パルメス-25コポリマー、例えばSigma-3V社からPolygel W 40の商品名で市販されている製品、及びこれらの混合物を言及することができる。
【0064】
上で言及した親水性アニオン会合性ポリマーの中でも、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー、例えばRohm and Haas(Dow Chemical)社からAcylun(商標) 28の商品名で市販されている製品が好ましい。
【0065】
好ましくは、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマーは、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、0.8質量%~6質量%、好ましくは1質量%~3質量%、より好ましくは1質量%~2質量%の範囲内の量で存在する。
【0066】
セルロース系増粘ポリマー
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマーを含む。
【0067】
好ましくは、本発明による化粧用組成物に有用なセルロース系増粘ポリマーは、ヒドロキシ(C1~C6)アルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロース)、カルボキシ(C1~C6)アルキルセルロース、及びこれらの混合物から選択される。
【0068】
より好ましくは、セルロース系増粘ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、混合(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキル-(C1~C4)アルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、及びヒドロキシブチルメチルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらの混合物から、好ましくはヒドロキシエチルセルロースから選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、セルロース系増粘ポリマーはヒドロキシ(C1~C6)アルキルセルロースから選択される。
【0070】
一実施形態では、セルロース系増粘ポリマーはヒドロキシエチルセルロースから選択される。
【0071】
好ましくは、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマーは、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、0.2質量%~6質量%、好ましくは0.2質量%~3質量%、より好ましくは0.25質量%~2質量%の範囲内の量で存在する。
【0072】
乳化界面活性剤
本発明による化粧用組成物は、一般に、好ましくはアニオン性及び非イオン性乳化界面活性剤から選択される、少なくとも1種の乳化界面活性剤(又は乳化剤)を含む。
【0073】
アニオン性乳化界面活性剤については、ステアリン酸、アルキルエーテル硫酸塩、カルボン酸塩、アミノ酸誘導体、スルホン酸塩、イセチオン酸塩、タウリン塩、スルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、リン酸塩、及びアルキルリン酸塩、ポリペプチド、C10~C30、特にC12~C20脂肪酸の金属塩、特にステアリン酸金属塩、並びにこれらの混合物を言及することができる。
【0074】
非イオン性乳化界面活性剤については、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、いっそう良好には12~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸とのエステル、及びそのオキシアルキレン化誘導体、すなわち、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化を含有する誘導体、例えば、C8~C24脂肪酸のグリセリルエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体;C8~C24脂肪酸のポリエチレングリコールエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体;C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体;並びにそのオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;C8~C24脂肪アルコールの糖エーテルのC8~C24脂肪酸の糖エステル、並びにこれらの混合物を言及することができる。
【0075】
脂肪酸のグリセリルエステルとしては、特に、ステアリン酸グリセリル(ステアリン酸のモノ、ジ、及び/若しくはトリグリセリルエステル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、又はリシノール酸グリセリル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
ポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステルとして、特に、ステアリン酸ポリエチレングリコール(ポリエチレングリセリルのモノ、ジ、及び/又はトリステアリン酸エステル)、とりわけ、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール50 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-50)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール 100 EO(CTFA名:PEG-100)、並びにこれらの混合物を言及することができる。
【0077】
このような界面活性剤の混合物、例えば、SEPPIC社によってSIMULSOL 165(登録商標)の名称で販売されている、ステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-100とを含有する製品等を使用することもできる。
【0078】
脂肪アルコールエーテルとして、例えば、ポリエチレングリコールと、8~30個の炭素原子、とりわけ10~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエーテル、例えば、ポリエチレングリコールと、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)とのエーテルを言及することができる。例えば、1~200個、好ましくは2~100個のオキシエチレン基を有するエーテル、例えば、CTFA名セテアレス-20、セテアレス-30のエーテル、及びこれらの混合物を言及することができる。
【0079】
糖モノ又はポリアルキルエステル又はエーテルの例として、Degussa Goldschmidt社によってIsolan-IS(登録商標)の名称で販売されているイソステアリン酸メチルグルコース、又はCroda社によってCrodesta F50(登録商標)の名称で販売されているジステアリン酸スクロース、及び三菱化学フーズ社によってRYOTO sugar ester S 1570(登録商標)の名称で市場導入されている、ステアリン酸スクロース;糖エステル、例えばステアリン酸スクロース;糖の脂肪アルコールエーテル、とりわけアルキルポリグルコシド(APG)、例えば、Henkel社によってそれぞれPlantaren 2000(登録商標)及び1200(登録商標) Plantarenの名称で市場導入されている、デシルグルコシド及びラウリルグルコシド、例えば、Seppic社によるMontanov 68(登録商標)の名称、Goldschmidt社によるTegocare CG90(登録商標)の名称、及びHenkel社によるEmulgade KE3302(登録商標)の名称の、アルコールセトステアリルと混合されたセトステアリルグルコシド、並びにアラキジルグルコシド、例えば、Seppic社によってMontanov 202(登録商標)の名称で販売されている、アラキジルアルコールとべヘニルアルコールとアラキジルとの混合物の形態におけるものを言及することができる。
【0080】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明による化粧用組成物は、ステアリン酸、ステアリン酸ポリエチレングリコール、及びステアリン酸グリセリルから選択される、少なくとも1種の乳化界面活性剤を含む。
【0081】
好ましくは、乳化界面活性剤は、本発明の化粧用組成物中に、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは1.5質量%~8質量%、より好ましくは2質量%~5質量%の範囲内の量で存在する。
【0082】
活性成分
本発明による化粧用組成物は、化粧品分野において一般に使用される、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための少なくとも1種の活性成分を含んでもよい。
【0083】
活性成分として、サンスクリーニング剤、ビタミン、皮膚軟化剤、水和剤、ホワイトニング剤、ピーリング剤等を言及することができる。
【0084】
好ましい一実施形態では、本発明による化粧用組成物は、皮膚軟化剤として、ブチロスペルマム・パルキイ(butyrospermum parkii)の(シア)バターを含む。
【0085】
活性成分の量は、化粧品の分野において一般的なものとすることができる。
【0086】
添加剤
公知の方法において、本発明の化粧用組成物はまた、化粧品又は皮膚科学において一般に使用される1種又は複数のアジュバントを含有することもできる。
【0087】
言及することができる添加剤の例としては、保存剤、充填剤、酸化防止剤、香料、塩基性剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、若しくは水酸化ナトリウム)、又は酸性剤(クエン酸)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明による化粧用組成物は、1種又は複数の保存剤を含む。
【0089】
好適な保存剤としては、限定するものではないが、グリセリン含有化合物(例えば、グリセリン、及び/若しくはエチルヘキシルグリセリン、及び/若しくはフェノキシエタノール)、ベンジルアルコール、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン等)、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビン酸カリウム、並びに/若しくはグレープフルーツ種子抽出物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。2種以上の保存料が、組成物中に含まれてもよい。他の保存料が化粧品産業において公知であり、サリチル酸、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド、クロルフェネシン、トリクロサン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、メチルイソチアゾリノン、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、クオタニウム-15、ステアラルコニウムクロリド、亜鉛ピリチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン、クロルヘキシジン二グルコン酸塩、ポリアミノプロピルビグアニド、塩化ベンザルコニウム、亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、クエン酸、ニーム油、エッセンシャル油(各種)、乳酸、及びビタミンE(トコフェロール)が挙げられる。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明による化粧用組成物は、1種又は複数の充填剤を含む。
【0091】
好適な充填剤としては、限定するものではないが、油の吸収又は光学効果を提供するために、事実上、鉱物又は有機由来、天然又は合成が挙げられる。油吸収充填剤は、マット効果と脂ぎっていない感じとを皮膚に付与しうる。光学効果充填剤は、ソフトフォーカス/ヘイズ/ぼかし効果を皮膚に付与し、より一様な外観を皮膚に提供し、皮膚の不完全さ若しくは色むらの外観を低減し、又は毛穴の視認性を低減しうる。
【0092】
油吸収性充填剤の例として、マイカ、トウモロコシ(コーン)デンプン、酸化マグネシウム、ナイロン-12、ナイロン-66、セルロース、ポリエチレン、タルク、タルク(及び)メチコン、タルク(及び)ジメチコン、パーライト、ケイ酸ナトリウム、軽石、ptfe、ポリメタクリル酸メチル、オリザ・サティバ(oryza sativa)(イネ)デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、変性ジャガイモデンプン、アルミナ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、カルボキシメチルデンプンナトリウムを言及することができる。
【0093】
光学効果充填剤の例として、塩化酸化ビスマス、シリル化シリカ、窒化ホウ素、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム(及び)酸化鉄、ケイ酸ナトリウムカリウムアルミニウムを言及することができる。
【0094】
油吸収性効果と光学効果との両方を提供する充填剤の例として、シリカ、シリカ(及び)メチコン、シリカ(及び)メチコン、ポリシリコーン-22、ポリシリコーン-8、ポリシリコーン-11、メタクリル酸メチルクロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、メチルシラノール/シリケートクロスポリマー、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、並びにスチレン/アクリレーツコポリマーを言及することができる。
【0095】
これらの添加剤は、化粧品分野における通常の割合、例えば、化粧用組成物の総質量の0.01%~30%において使用され、その性質に応じて、組成物の水性相中、又は油相中に導入される。
【0096】
これらの添加剤及びその濃度は、本発明の組成物について所望される特性を変性しないものでなければならない。
【0097】
好ましい態様によれば、本発明は、水性相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の化粧用組成物であって、
(i)化粧用組成物の総質量の1質量%~2質量%の範囲内の量における、アクリレーツ/アクリル酸パルメス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸セテス-20コポリマー、アクリル酸/イタコン酸べへネス-25コポリマー、アクリル酸/パルメス-25メタクリレーツコポリマー、アクリル酸/アクリル酸ステアレス-50コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸パルメス-25コポリマー、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の親水性アニオン会合性ポリマー、並びに
(ii)化粧用組成物の総質量の0.25質量%~2質量%の範囲内の量における、ヒドロキシ(C1~C6)アルキルセルロースから選択される、少なくとも1種のセルロース系増粘ポリマー
を含む、化粧用組成物に関する。
【0098】
方法及び使用
本発明による化粧用組成物は、局所適用が意図され、とりわけ、ケラチン物質、とりわけヒトの皮膚をケア及び/又はメイクアップすることが意図される組成物を構成することができる。
【0099】
したがって、別の態様では、本発明は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、本発明による化粧用組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法に関する。
【0100】
本発明による化粧用組成物は一般に、40~70UDの範囲に入る粘度を有し、これはクリームに望ましい。
【0101】
粘度は、ProRheo社製の200rpmで回転するスピンドルM3を装備したProRheo R180粘度計を使用して、25℃において測定される。
【0102】
本発明による化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを有する。
【0103】
ヨーグルトレオロジー特性は、試験する化粧用組成物が、容器中に保持されている間、平らで艶があるか、及びスプーンを用いて掘り出された場合、化粧用組成物が濃厚なヨーグルトと同様のテクスチャを有するかを、視覚的に観察することによって決定される。試験する化粧用組成物が、容器中に保持されている間、平らで艶があり、且つスプーンを用いて掘り出された場合、化粧用組成物が濃厚なヨーグルトと同様のテクスチャを有するならば、その化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを有するとみなされる。
【0104】
本発明の配合物による化粧用組成物はまた、適用の際に、厚い-薄い-瑞々しいという感触のプロセスを示す。
【0105】
下に記載する実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これらは、非限定的な説明として与えられる。
【0106】
百分率は、活性成分又は活性物質による質量百分率である。
【0107】
以下の実施例において、質量百分率は、化粧用組成物の総質量に対して指示される。
【実施例】
【0108】
(実施例1:本発明及び比較例の配合物による、化粧用組成物の調製)
下の表に列挙する、本発明の配合物(inv.)1~3、及び比較例の配合物(comp.)1~2による化粧用組成物を調製した。
【0109】
【0110】
【0111】
調製方法
上に列挙した化粧用組成物を、以下のように調製する。
【0112】
1.相A(水相)を均一化装置を用いて可溶化させ、60℃に加熱する。
2.相B(油相)を60℃に加熱する。
3.相Bを相Aに導入し、60℃において10分間均一化を続け、水中油型エマルションを得る。
4.相D(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25コポリマー)をエマルションに加え、10分間均一化させる。
5.均一化装置を分散装置に変更し、エマルションを室内温度に冷却し、撹拌を続ける。
6.相E(シリコーン)を予備混合し、撹拌下、室内温度で相Eを導入する。
7.配合物のpH値を、相Hを用いて5.5に調整する。
【0113】
(実施例2:本発明及び比較例の配合物の化粧用組成物の評価)
実施例1において調製した本発明の配合物及び比較例の配合物による化粧用組成物の粘度を、ProRheo社製の200rpmで回転するスピンドルM3を装備したProRheo R180粘度計を使用して、25℃において測定した。
【0114】
配合の24時間後、ヨーグルトレオロジー特性を、試験する化粧用組成物が、容器中に保持されている間、平らで艶があるか、及びスプーンを用いて掘り出された場合、化粧用組成物が濃厚なヨーグルトと同様のテクスチャを有するかを、視覚的に観察することによって決定する。試験する化粧用組成物が、容器中に保持されている間、平らで艶があり、且つスプーンを用いて掘り出された場合、化粧用組成物が濃厚なヨーグルトと同様のテクスチャを有するならば、その化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを有するとみなされる。
【0115】
本発明の配合物及び比較例の配合物による化粧用組成物の粘度及びヨーグルト様テクスチャの特徴を、下にまとめた。
【0116】
【0117】
比較例の配合物による化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを有せず、低すぎる粘度を有することを見て取ることができ、これはクリームのためには望ましくない。
【0118】
一方、本発明の配合物による化粧用組成物は、ヨーグルト様テクスチャを有し、望ましい粘度を有する。
【0119】
年齢20~40歳の女性20人が関与する消費者試験によれば、本発明の配合物による化粧用組成物は、適用の際に、厚い-薄い-瑞々しいという感触のプロセスを示す。
【国際調査報告】