(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】流体騒音抑制器のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F15D 1/02 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
F15D1/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562791
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2020029526
(87)【国際公開番号】W WO2020219678
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】クネファー、ケネス エー
(72)【発明者】
【氏名】ペディゴ、ナサニエル アール
(57)【要約】
例示的な流体システムは、外表面を有する弾性インサートを含む流体騒音抑制器を備えることが可能である。弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を低減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流れる流体中に当該変動により起こったであろう騒音を効果的に低減することができ、平均静圧は、約100psigと約10,000psigとの間であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を有する弾性インサートを備える流体騒音抑制器を含む流体システムであって、
前記弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、前記弾性インサートが無ければ、流れる流体中に前記変動により起こったであろう騒音を効果的に低減し、
前記平均静圧は、約100psigと約10,000psigとの間である、流体システム。
【請求項2】
前記流体騒音抑制器は、前記弾性インサートの前記外表面の長さだけ延びる外殻であって、前記弾性インサートの前記外表面と前記外殻の内表面との間に流路を規定する外殻をさらに有する、請求項1に記載の流体システム。
【請求項3】
前記流体騒音抑制器は、前記外殻に一体化された拘束部であって、前記弾性インサートを前記外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含む、請求項2に記載の流体システム。
【請求項4】
前記弾性インサート及び前記外殻は、同軸で揃えられている、請求項2に記載の流体システム。
【請求項5】
前記流体騒音抑制器は、前記弾性インサートの前記外表面に沿って延びる透過ケージであって、前記外殻と前記弾性インサートとの間に配置された透過ケージをさらに含む、請求項2に記載の流体システム。
【請求項6】
前記弾性インサートは、内表面をさらに備え、前記内表面は、前記内表面を通して、前記弾性インサートの長さに沿って流れる、平均静圧を有する流体用の流路を規定する、請求項1に記載の流体システム。
【請求項7】
前記流体騒音抑制器は、前記弾性インサートの前記外表面の長さだけ延びる外殻をさらに含む、請求項6に記載の流体システム。
【請求項8】
既存の長さの流体導管をさらに含み、
前記流体騒音抑制器は、前記既存の長さの流体導管の上流部と下流部との間に配置されており、
前記既存の長さの流体導管の上流部、前記流体騒音抑制器、及び、前記既存の長さの流体導管の下流部は、前記既存の長さの流体導管の上流部及び下流部並びに前記流体騒音抑制器に沿って流体連結されている、請求項1に記載の流体システム。
【請求項9】
前記流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタであって、前記流体騒音抑制器の上流端を前記流体導管の上流部に接続させると共に、前記弾性インサートが前記流体導管の上流部の中に移動することを阻止する流体入口コネクタと、
前記流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタであって、前記流体騒音抑制器の下流端を前記流体導管の下流部に接続させると共に、前記弾性インサートが前記流体導管の下流部の中に移動することを阻止する流体出口コネクタと、をさらに含む、請求項8に記載の流体システム。
【請求項10】
前記弾性インサートは、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含み、前記第1の分離弾性インサート部及び前記第2の分離弾性インサート部は、互いに物理的に当接するように動作可能であり、非効果的な騒音低減を導くことになる前記弾性インサートの径方向への圧縮を防止する、請求項1に記載の流体システム。
【請求項11】
前記弾性インサートは、環状断面をさらに含み、各前記分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含む、請求項10に記載の流体システム。
【請求項12】
前記弾性インサートは、軸方向に分割されて、前記第1の分離弾性インサート部及び前記第2の分離弾性インサート部を形成する、請求項10に記載の流体システム。
【請求項13】
各前記弾性インサート部は、
剛性を有するポリマーマトリクスと、
前記ポリマーマトリクス内に分散されたミクロスフェアと、を含み、
前記ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されており、
少なくとも1つの弾性インサートの前記ポリマーマトリクスの剛性は、他の弾性インサートの剛性と異なる、請求項10に記載の流体システム。
【請求項14】
各前記弾性インサート部は、
剛性を有するポリマーマトリクスと、
前記ポリマーマトリクス内に分散されたミクロスフェアと、を含む、請求項1に記載の流体システム。
【請求項15】
前記ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されており、
前記ミクロスフェアは、前記ポリマーマトリクス内に均一に分散されている、請求項14に記載の流体システム。
【請求項16】
前記ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されており、
前記ミクロスフェアは、前記ポリマーマトリクス内に不均一に分散されている、請求項14に記載の流体システム。
【請求項17】
流体導管の上流部と、
前記流体導管の上流部の下流に配置された流体騒音抑制器と、
前記流体騒音抑制器の下流に配置された、前記流体導管の下流部と、を備える流体騒音抑制器システムであって、
前記流体騒音抑制器は、
外表面及び内表面を有する弾性インサートであって、前記内表面は、前記内表面を通して、前記流体導管の上流部及び下流部の内径にほぼ類似した内径を有する流路を規定する弾性インサートと、
前記弾性インサートの外表面の長さだけ延びる外殻と、を含み、
前記流体騒音抑制器、並びに、前記流体導管の上流部及び下流部は、この中を流れる平均静圧を有する流体用に構成されており、
前記弾性インサートは、互いに物理的に当接するように動作可能な第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部であって、非効果的な騒音低減を導くことになる前記弾性インサートの径方向への圧縮を防止する、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含み、
前記弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、前記弾性インサートが無ければ、流れる流体中に前記変動により起こったであろう騒音を効果的に低減し、
前記平均静圧は、約100psigから約10,000psigの間である、流体騒音抑制器システム。
【請求項18】
前記弾性インサートは、環状断面をさらに含み、各前記分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含む、請求項17に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項19】
前記弾性インサートは、軸方向に分割されて、前記第1の分離弾性インサート部及び前記第2の分離弾性インサート部を形成する、請求項17に記載の流体システム。
【請求項20】
前記流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタであって、前記流体騒音抑制器の上流端を前記流体導管の上流部に接続させると共に、前記弾性インサートが前記流体導管の上流部の中に移動することを阻止する流体入口コネクタと、
前記流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタであって、前記流体騒音抑制器の下流端を前記流体導管の下流部に接続させると共に、前記弾性インサートが前記流体導管の下流部の中に移動することを阻止する流体出口コネクタと、をさらに含む、請求項17に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項21】
前記弾性インサートの前記内表面の長さだけ延び、前記流体入口コネクタから前記流体出口コネクタまでの流体連結を可能にする透過管をさらに含む、請求項20に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項22】
前記透過管は、前記透過管の少なくとも一端に配置されたフランジであって、前記弾性インサートを前記外殻内に拘束するように動作可能なフランジをさらに含む、請求項21に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項23】
前記外殻に一体化され、前記弾性インサートを前記外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含む、請求項17に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項24】
前記流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタと、
前記流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタと、
拘束インサートと、をさらに含み、
前記拘束インサートは、
透過管を含み、
前記透過管は、流体入口コネクタから前記流体出口コネクタまでの流体連結を可能にするように動作し得る、請求項17に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項25】
前記透過管の一端に配置された、外径を有するフランジをさらに含み、
前記フランジの前記外径は、前記外殻の内表面に当接し、
前記フランジは、前記弾性インサートを前記外殻の長さ内に拘束するように動作し得る、請求項24に記載の流体騒音抑制器システム。
【請求項26】
前記外殻に一体化され、前記弾性インサートを前記外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含む、請求項24に記載の流体騒音抑制器。
【請求項27】
流体騒音抑制器の製造方法であって、
外表面及び内表面を有する弾性インサートを提供する工程であって、前記内表面は、前記内表面を通して、前記弾性インサートの長さに沿って流れる流体用の流路を規定し、前記弾性インサートは、平均静圧を超える前記流体中の全圧の変動を低減するように動作可能であり、前記弾性インサートが無ければ、流れる流体中に前記変動により起こったであろう流体媒介性騒音を効果的に抑制する工程と、
前記弾性インサートの外表面に沿って延びる外殻を提供する工程であって、前記外殻は、一体型の流体コネクタと内壁とを有しており、前記外殻の上流端に配置された前記一体型の流体コネクタは、前記流路の上流部と流体導管の上流端との間の流体接続を提供するように構成されている工程と、
前記弾性インサートと前記流路との間の流体連結を可能にするように動作可能な透過管を含む拘束インサートを提供する工程と、
前記外殻の下流端に配置される分離型の流体コネクタを提供する工程であって、前記分離型の流体コネクタは、前記流路の下流部と前記流体導管の下流端との間の流体接続を提供するように構成されている工程と、
前記拘束インサートを前記外殻内に挿入する工程と、
前記弾性インサートを前記外殻内に挿入する工程と、
前記分離型の流体コネクタを前記外殻の下流端に取り付ける工程と、を含む方法。
【請求項28】
前記流体騒音抑制器の前記拘束インサートは、前記透過管の一端に配置された、外径を有するフランジをさらに含み、前記フランジの前記外径は、前記外殻の内表面に当接し、前記フランジは、前記弾性インサートを前記外殻の長さ内に拘束するように動作可能である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記流体騒音抑制器の前記拘束インサートは、前記外殻に一体化された拘束部であって、前記弾性インサートを前記外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記弾性インサートは、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含み、前記第1の分離弾性インサート部及び前記第2の分離弾性インサート部は、互いに物理的に当接するように動作可能であり、非効果的な騒音低減を導くことになる前記弾性インサートの径方向への圧縮を防止する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記弾性インサートは、環状断面を含み、各前記分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記弾性インサートは、軸方向に分割されて、前記第1の分離弾性インサート部及び前記第2の分離弾性インサート部を形成する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年4月23日付で出願された米国仮出願第62/837,582号に基づく優先権を主張するものであり、その全体を、それが以下に完全に示されているものとして、参照により本明細書に援用する。
【0002】
(背景技術)
流体システムにおける騒音は、工業環境、商業環境、及び、住宅環境における一般的な問題である。流体媒介性騒音は、ポンプ、弁、差動装置の作動や、単に液体の乱流により生成され得る。市販の技術は、複雑な内部構造を有する加圧された浮袋を使用して騒音を制御している。この装置は、ガス充填を維持するために、メンテナンスのために持続的に接触することを必要とする。すなわち、浮袋が故障すると、この装置は騒音制御機能を失う。加えて、複雑な内部構造にはコストがかかる。
【0003】
したがって、可動部を有さず、流体騒音抑制器装置の取り替えや修理の回数や費用を低減する流体騒音抑制器を得ることが好都合であろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、上述の要件を満たすシステム、装置、及び、方法を提供することにある。
【0005】
例示的な流体システムは、外表面を有する弾性インサートを含む流体騒音抑制器を備えることが可能であり、弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流れる流体中に当該変動により起こったであろう騒音を効果的に低減することができ、平均静圧は、約100psigと約10,000psigとの間である。
【0006】
幾つかの例では、流体騒音抑制器は、弾性インサートの外表面の長さだけ延びる外殻であって、弾性インサートの外表面と外殻の内表面との間に流路を規定する外殻をさらに含んでいてもよい。
【0007】
幾つかの例では、流体騒音抑制器は、外殻に一体化された拘束部であって、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含んでいてもよい。
【0008】
幾つかの例では、弾性インサート及び外殻は、同軸で揃えられていてもよい。
【0009】
幾つかの例では、流体騒音抑制器は、弾性インサートの外表面に沿って延びる透過ケージであって、外殻と弾性インサートとの間に配置された透過ケージをさらに含んでいてもよい。
【0010】
幾つかの例では、弾性インサートは、内表面をさらに備え、内表面は、内表面を通して、弾性インサートの長さに沿って流れる、平均静圧を有する流体用の流路を規定していてもよい。
【0011】
幾つかの例では、流体騒音抑制器は、弾性インサートの外表面の長さだけ延びる外殻をさらに含んでいてもよい。
【0012】
幾つかの例では、流体システムは、既存の長さの流体導管をさらに含んでいてもよく、流体騒音抑制器は、既存の長さの流体導管の上流部と下流部との間に配置されており、既存の長さの流体導管の上流部、流体騒音抑制器、及び、既存の長さの流体導管の下流部は、既存の長さの流体導管の上流部及び下流部並びに流体騒音抑制器に沿って流体連結されていてもよい。
【0013】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタであって、流体騒音抑制器の上流端を流体導管の上流部に接続させると共に、弾性インサートが流体導管の上流部の中に移動することを阻止する流体入口コネクタと、流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタであって、流体騒音抑制器の下流端を流体導管の下流部に接続させると共に、弾性インサートが流体導管の下流部の中に移動することを阻止する流体出口コネクタと、をさらに含んでいてもよい。
【0014】
幾つかの例では、弾性インサートは、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含んでいてもよく、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部は、互いに物理的に当接するように動作可能であり、非効果的な騒音低減を導くことになる弾性インサートの径方向への圧縮を防止することができる。
【0015】
幾つかの例では、弾性インサートは、環状断面を含んでいてもよく、各分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含んでいてもよい。
【0016】
幾つかの例では、弾性インサートは、軸方向に分割されて、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を形成し得る。
【0017】
幾つかの例では、各弾性インサート部は、剛性を有するポリマーマトリクスと、ポリマーマトリクス内に分散されたミクロスフェアと、を含んでいてもよく、ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されており、少なくとも1つの弾性インサートのポリマーマトリクスの剛性は、他の弾性インサートの剛性と異なっていてもよい。
【0018】
幾つかの例では、各弾性インサート部は、剛性を有するポリマーマトリクスと、ポリマーマトリクス内に分散されたミクロスフェアと、を含んでいてもよい。
【0019】
幾つかの例では、ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されていてもよく、ミクロスフェアは、ポリマーマトリクス内に均一に分散されていてもよい。
【0020】
幾つかの例では、ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧に加圧されていてもよく、ミクロスフェアは、ポリマーマトリクス内に不均一に分散されていてもよい。
【0021】
例示的な流体騒音抑制器システムは、流体導管の上流部と、流体導管の上流部の下流に配置された流体騒音抑制器と、流体騒音抑制器の下流に配置された、流体導管の下流部と、を備えることが可能であり、流体騒音抑制器は、外表面及び内表面を有する弾性インサートであって、内表面は、内表面を通して、流体導管の上流部及び下流部の内径にほぼ類似した内径を有する流路を規定する弾性インサートと、弾性インサートの外表面の長さだけ延びる外殻と、を含んでいてもよく、流体騒音抑制器、並びに、流体導管の上流部及び下流部は、この中を流れる平均静圧を有する流体用に構成されており、弾性インサートは、互いに物理的に当接するように動作可能な第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部であって、非効果的な騒音低減を導くことになる弾性インサートの径方向への圧縮を防止し得る、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含み、弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流れる流体中に当該変動により起こったであろう騒音を効果的に低減することができ、平均静圧は、約100psigから約10,000psigの間である。
【0022】
幾つかの例では、弾性インサートは、環状断面をさらに含んでいてもよく、各分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含んでいてもよい。
【0023】
幾つかの例では、弾性インサートは、軸方向に分割されて、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を形成し得る。
【0024】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタであって、流体騒音抑制器の上流端を流体導管の上流部に接続させると共に、弾性インサートが流体導管の上流部の中に移動することを阻止する流体入口コネクタと、流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタであって、流体騒音抑制器の下流端を流体導管の下流部に接続させると共に、弾性インサートが流体導管の下流部の中に移動することを阻止する流体出口コネクタと、をさらに含んでいてもよい。
【0025】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、弾性インサートの内表面の長さだけ延び、流体入口コネクタから流体出口コネクタまでの流体連結を可能にするように動作し得る透過管をさらに含んでいてもよい。
【0026】
幾つかの例では、透過管は、透過管の少なくとも一端に配置されたフランジであって、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能なフランジをさらに含んでいてもよい。
【0027】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、外殻に一体化され、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含んでいてもよい。
【0028】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、流体騒音抑制器の上流端に配置された流体入口コネクタと、流体騒音抑制器の下流端に配置された流体出口コネクタと、拘束インサートと、をさらに含んでいてもよく、拘束インサートは、透過管をさらに含んでいてもよく、透過管は、流体入口コネクタから流体出口コネクタまでの流体連結を可能にするように動作可能であり得る。
【0029】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、透過管の一端に配置された、外径を有するフランジをさらに含んでいてもよく、フランジの外径は、外殻の内表面に当接するような寸法を有していてもよく、フランジは、弾性インサートを外殻の長さ内に拘束するように動作可能であり得る。
【0030】
幾つかの例では、流体騒音抑制器システムは、外殻に一体化され、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含んでいてもよい。
【0031】
例示的な流体騒音抑制器の製造方法は、外表面及び内表面を有する弾性インサートを提供する工程であって、内表面は、内表面を通して、弾性インサートの長さに沿って流れる流体用の流路を規定し、弾性インサートは、平均静圧を超える流体中の全圧の変動を低減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流れる流体中に当該変動により起こったであろう流体媒介性騒音を効果的に抑制することができる工程と、弾性インサートの外表面に沿って延びる外殻を提供する工程であって、外殻は、一体型の流体コネクタと内壁とを有しており、外殻の上流端に配置された一体型の流体コネクタは、流路の上流部と流体導管の上流端との間の流体接続を提供するように構成されている工程と、弾性インサートと流路との間の流体連結を可能にするように動作可能な透過管を含む拘束インサートを提供する工程と、外殻の下流端に配置される分離型の流体コネクタを提供する工程であって、流路の下流部と流体導管の下流端との間の流体接続を提供する工程と、拘束インサートを外殻内に挿入する工程と、弾性インサートを外殻内に挿入する工程と、分離型の流体コネクタを外殻の下流端に取り付ける工程と、を含むことが可能である。
【0032】
幾つかの例では、流体騒音抑制器の拘束インサートは、透過管の一端に配置された、外径を有するフランジをさらに含み、フランジの外径は、外殻の内表面に当接し、フランジは、弾性インサートを外殻の長さ内に拘束するように動作可能であり得る。
【0033】
幾つかの例では、流体騒音抑制器の拘束インサートは、外殻に一体化された拘束部であって、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能な拘束部をさらに含んでいてもよい。
【0034】
幾つかの例では、弾性インサートは、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含み、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部は、互いに物理的に当接するように動作可能であり、非効果的な騒音低減を導くことになる弾性インサートの径方向への圧縮を防止し得る。
【0035】
幾つかの例では、弾性インサートは、環状断面を含んでいてもよく、各分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を含んでいてもよい。
【0036】
幾つかの例では、弾性インサートは、軸方向に分割されて、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を形成し得る。
【0037】
本開示の技術の他の実装形態、特徴、及び、態様は、本明細書において詳細に説明され、請求及び本開示の技術の一部であると考えられる。これらは、以下の詳細な説明、添付の図面、及び、特許請求の範囲を参照することにより理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下に、添付の図面及びフロー図を参照する。図面及びフロー図は、必ずしも原寸通りに示されているものではない。
【
図1A】
図1Aは、本明細書に開示されるような、例示的な流体システムを示す分解図である。
【
図1B】
図1Bは、本明細書に開示されるような、例示的な流体システムを示す分解図である。
【
図1C】
図1Cは、本明細書に開示されるような、例示的な流体システムを示す分解図である。
【
図1D】
図1Dは、本明細書に開示されるような、例示的な流体システムを示す分解図である。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示されるような、例示的な流体騒音抑制器を示す断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に開示されるような、例示的な流体騒音抑制器を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示されるような、例示的なインライン型流体騒音抑制器を製造するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に提示される例は、一般的に、外表面を有する弾性インサートを備える流体騒音抑制器を含む流体システムを含む。弾性インサートは、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流れる流体内に当該変動により起こったであろう騒音を効果的に低減させることができ、平均静圧は、約100psigと約10,000psigの間であり得る。
【0040】
以下に、本開示の技術の幾つかの実装形態を、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。しかしながら、本開示の技術は、多くの異なる形態において実施されてもよく、以下に記載する実装形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0041】
以下の説明において、多くの具体的な詳細事項を説明する。しかし、本開示の技術の実装形態は、これらの特定の詳細事項が無くても実施され得ることは理解されよう。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、公知の方法、構造、及び、技術については詳細に示していない。「一実装形態」、「実装形態」、「例示的な実装形態」、「幾つかの実装形態」、「特定の実装形態」、「様々な実装形態」等という記載は、本開示の技術の、そのように記載される実装形態が、特定の特徴、構造、又は、特性を含み得るが、全ての実装形態が必ずしもこの特定の特徴、構造、又は、特性を含んでいないことを示している。さらに、「一実装形態」という表現を繰り返し使用することは、同じ実装形態を指すものであってもよいが、必ずしも同じ実装形態を指しているわけではない。
【0042】
明細書及び特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈が明らかに他のことを示していない限り、少なくとも、当該箇所において明らかに関連する意味を有する。用語「又は」は、包括的な「又は」を意味することが意図される。さらに、用語「1つの(a)、(an)」、及び、「その(the)」は、他に特定されない限り、又は、文脈から単独の形態を指すことが明確でない限り、1つ又は複数を意味することが意図される。
【0043】
他に特定されない限り、順序を示す形容詞である「第1の」、「第2の」、「第3の」等を使用して一般的な対象物を記載することは、単に、同様の対象物の別の例が言及されていることを示すものであり、そのように記載される対象物が、時間的、空間的、順位付けにおいて、又は、他の方法において、規定の順番にあるべきであることを示唆することは意図されてない。
【0044】
図1Aは、流体システム100を示す図である。流体システム100は、流体騒音抑制器100a、上流流体導管101a(つまり、流体導管の上流部)、及び、下流流体導管101b(つまり、流体導管の下流部)を含み得る。上流流体導管101a及び下流流体導管101bは、当業者に公知の配管金具、衛生器具、コネクタ、調整器、弁、及び/又は、パイプであり得る。一例において、流体導管101a及び101bは、流体を、約100psigと約10,000psigとの間の平均静圧において輸送するように構成されていてよい。幾つかの例として、平均静圧は、500psigといった単一の数値であり得る。他の例では、平均静圧は、490psig~510psigといった区間であり得る。他の例では、平均静圧は、500psig±10%、又は、500psig±50psigといった、閾値内の数値であり得る。流体導管101a及び101bは、米国流動体協会(NFPA)、米国規格協会(ANSI)、米国自動車技術者協会(SAE)、又は、類似の規制当局によって公開されているコードといった、適用可能な規制コードにしたがった寸法、構成、及び/又は、動作が可能であってよい。流体騒音抑制器100aは、弾性インサート102、外殻104、拘束インサート106、流体入口コネクタ108、流体出口コネクタ110、上流端112、及び、下流端114を含むことが可能である。流体騒音抑制器100aは、米国流動体協会(NFPA)、米国規格協会(ANSI)、米国自動車技術者協会(SAE)、又は、類似の規制当局によって公開されているコードといった適用可能な規制コードにしたがった寸法、構成、及び/又は、動作が可能であってよい。流体導管101a及び101bは、それぞれ、流体を流体騒音抑制器100aの中に及び/又は流体騒音抑制器100aから外に輸送するように動作可能であり得る。
【0045】
図1Bを参照すると、弾性インサート102は、平均静圧に対する全圧の変動を軽減するように動作可能であり、弾性インサート102が無ければ、流れる流体中に当該変動により起こったであろう騒音を効果的に低減することができる。平均静圧は、約100psig~約10,000psigである。弾性インサート102は、剛性を有するポリマーマトリクスから構成されていてよい。ポリマーマトリクスの剛性は、シンタクチックフォームの剛性と類似していることが可能であり、これについては当業者であれば理解できるであろう。ポリマーマトリクスは、例えば、ウレタン又はシリコーンゴムであり得る。ポリマーマトリクスは、ポリマーマトリクス内に分散されたミクロスフェアを含み得る。ミクロスフェアは、0.1MPa以上の内圧を有していてもよい。追加的又は選択的に、ミクロスフェアは、ポリマーマトリクス中に均一に分散されていてもよい。追加的又は選択的に、ミクロスフェアは、ポリマーマトリクス中に不均一に分散されていてもよい。弾性インサート102は、円筒形、立方形、球体、パターン形、及び/又は、非対称形を有していることが可能である。弾性インサート102は、環状、固形、ハチの巣状、及び/又は、立方形の断面を有していてもよい。追加的又は選択的に、弾性インサート102の断面は、非対称形、及び/又は、パターン形であり得る。追加的又は選択的に、弾性インサート102は、2つ以上の分離弾性インサート部、例えば、第1の分離弾性インサート部102a及び第2の分離弾性インサート部102bに分割され得る。加えて、弾性インサート102は、第3の分離弾性インサート部102eを有していてもよい。第1の分離弾性インサート部102aは、第2の弾性インサート部102bに物理的に当接し得る。弾性インサート102は、断面方向、軸方向、及び/又は、対角線方向に分割可能である。この分割体は、曲線状、及び/又は、直線状の切断部を有し得る。追加的又は選択的に、この弾性インサート102を第1の弾性インサート部102a及び第2の弾性インサート部102bに分割する切断部は、弾性インサート部102の外表面102cに沿っていてもよい。弾性インサート102を外表面102cに沿って分割することは、第1の弾性インサート部102aと第2の弾性インサート部102bとの間が直接接続されないことにより、各弾性インサート部102a、102bの径方向における圧縮が低減され得るため、好都合であり得る。これは、径方向の圧縮が流体騒音抑制器の性能を低下させる可能性があるため、望ましいことである。加えて、弾性インサート102は、長さLを有していることが可能である。
【0046】
追加的又は選択的に、各分離弾性インサート部は、異なるポリマーマトリクス、ミクロスフェア分散体、ミクロスフェア内圧、及び/又は、剛性を有していてよい。分散及び加圧されたミクロスフェアを有するポリマーマトリクスを有することは、ポリマーマトリクスが圧力変動の一部を吸収し、これをポリマーマトリクスの機械的な変位に変換することができるため、好都合であり得る。加えて、加圧されたミクロスフェアは、その内圧よりも大きい圧力下で圧縮することにより、圧力変動の一部をさらに吸収する。さらに、一般的なポリマー発泡体材料は、流体騒音抑制装置において使用できるほど十分に機械的堅牢性を有していない場合が多い。追加的又は選択的に、弾性インサート102は、内表面102dを含むことが可能であり、内表面102dは、これを通して、弾性インサート102の長さに沿って流れる流体用の流路102gを規定し得る。弾性インサート102は、外表面102cを内表面102dに接続する少なくとも1つの開口部102fを含むことが可能である。追加的又は選択的に、流路102gは、空洞を規定可能な、内表面102dに接続する第1の開口部102fを含んでいてもよい。追加的又は選択的に、流路102gは、外表面102cを内表面102dに接続するように動作し得る第2の開口部を含んでいてもよい。追加的又は選択的に、弾性インサート102の外表面102cは、外表面102cと外殻104との間に、弾性インサート102の長さに沿って流れる流体用の流路を規定し得る。これについては、
図2Bに詳細に説明する通りである。追加的又は選択的に、弾性インサート102は、外殻104内でこれと同軸で揃えられていることが可能である。加えて、弾性インサート102は、長さLを有していることが可能である。
【0047】
図1Cを参照すると、外殻104は、内表面104aと開口部104bとを有することが可能である。追加的又は選択的に、外殻104は、外殻104に一体化された拘束部104cを有することが可能であり、拘束部104cは、弾性インサート102を外殻104内に拘束して、流体出口コネクタ110の閉塞を妨げるように動作可能である。拘束部104cは、小塊、爪、突起、パターン、及び/又は、直径が小さくなる機構のうちの1つ又はそれ以上であり得る。外殻104は、PVCといったプラスチック、及び/又は、銅といった金属から製造されていることが可能であり、100psigを超える圧力に耐えるように動作可能であり得る。
【0048】
図1Dを参照すると、拘束インサート106は、第1の端部106b及び第2の端部106cを有する透過管106aを含むことが可能である。透過管106a(つまり、透過ケージ)は、流体が弾性インサートに移動すること、及び、弾性インサートから移動することを許容するように動作し得る孔、スロット、及び/又は、他の細孔を含むことが可能である。追加的又は選択的に、透過管106aは、流体が弾性インサート102の中に、及び、弾性インサート102から拡散することを許容するように動作し得る透過膜であり得る。例えば、透過管106aは、弾性インサート102によって少なくとも部分的に取り囲まれていることが可能である。他の例では、透過管106aは、弾性インサート102を少なくとも部分的に取り囲んでいてもよい。追加的又は選択的に、透過管106aは、第1の端部106b又は第2の端部106cのうちの少なくとも1つに、第1のフランジ106dを含むことが可能である。第1のフランジ106dは、弾性インサート102を外殻104内に拘束して、弾性インサート102が流体出口コネクタ110に詰まらないように動作可能であり得る。追加的又は選択的に、透過管106aは、第1の端部106b又は第2の端部106cのうちの少なくとも1つに、第2のフランジ106eを含んでいてもよい。第2のフランジ106eは、弾性インサート102を外殻104内に拘束して、弾性インサート102が流体入口コネクタ108に詰まらないように動作可能であり得る。第1のフランジ106d及び第2のフランジ106eのうちの少なくとも1つは、外殻104内に収まるように構成された外径D1を有していてもよい。弾性インサート106は、PVCといったプラスチック、及び/又は、銅といった金属から製造可能である。
【0049】
図1Aに戻ると、流体入口コネクタ108は、流体騒音抑制器100aの上流端112上に配置されていることが可能であり、流体騒音抑制器100aの上流端112を上流流体導管101aに接続すると共に、弾性インサート102が上流流体導管101aの中に移動することを阻止する。流体入口コネクタ108は、上流流体導管101aを支えるように構成されたネジ部を含むことが可能である。当業者であれば、このネジが、管用ネジの既存の規格、例えば管用ネジの米国標準規格(NPT)に適合し得ることは理解されよう。追加的又は選択的に、流体入口コネクタ108は、用途に応じてカスタムネジ及び/又は金具を有していてもよい。流体入口コネクタ108は、金属、及び/又は、プラスチックから製造可能である。追加的又は選択的に、流体入口コネクタ108は、外殻104と一体化されていてもよい。追加的又は選択的に、流体入口コネクタ108は、外殻104から分離されていてもよい。
【0050】
流体出口コネクタ110(つまり流体コネクタ)は、流体騒音抑制器100aの下流端114上に配置されていることが可能であり、流体騒音抑制器100aの上流端114を下流流体導管101bに接続すると共に、弾性インサート102が下流流体導管101bの中に移動することを阻止する。流体出口コネクタ110は、下流流体導管101bを支えるように構成されたネジ部を含むことが可能である。当業者であれば、このネジが、管用ネジの既存の規格、例えば管用ネジの米国標準規格(NPT)に適合し得ることは理解されよう。追加的又は選択的に、流体出口コネクタ110は、用途に応じてカスタムネジ及び/又は金具を有していてもよい。流体出口コネクタ110は、金属、及び/又は、プラスチックから製造可能である。追加的又は選択的に、流体出口コネクタ110は、外殻104と一体化されていてもよい。追加的又は選択的に、流体出口コネクタ110は、外殻104に対して分離されていてもよい。
【0051】
図2Aは、例示的な流体騒音抑制器100aを示す断面図である。流体騒音抑制器100aは、例えば、第1の分離弾性インサート部102aと第2の分離弾性インサート部102bとを含む弾性インサート102を含むことが可能である。第1の分離弾性インサート部102a及び第2の分離弾性インサート部102bは、それぞれ、部分的に環状の断面を有し得るように構成されていてよく、すなわち、互いに物理的に当接するように構成されている場合に、環状断面を形成する。流路102gは、内径D2を有していることが可能である。内径D2は、上流流体導管101a及び/又は下流流体導管101bの内径と類似した寸法を有し得る。透過管106aは、弾性インサート102の内表面102Cによって取り囲まれていてもよい。
【0052】
図2Bは、例示的な流体騒音抑制器を示す断面図である。透過管106a(つまり、透過ケージ)は、弾性インサート102の外表面102cを取り囲んでいてもよい。流路102gは、外殻104の内表面104aと弾性インサート102の外表面102cとの間に規定され得る。弾性インサート102は、拘束インサート106の第1のフランジ106d及び/又は第2のフランジ106e、及び/又は、一体型の拘束部104cを利用することによって、外殻104内において心合わせされ得る。
【0053】
図3は、例示的なインライン型流体騒音抑制器を製造するための方法300を示す図である。ブロック302において、本方法は、外表面及び内表面を有する弾性インサートを提供する工程を含み得る。内表面は、これを通して、流体が弾性インサートの長さに沿って流れるための流路を規定し、弾性インサートは、平均静圧を超える、流体中の全圧の変動を軽減するように動作可能であり、弾性インサートが無ければ、流体中に当該変動により起こったであろう流体媒介性騒音を効果的に抑制することができる。追加的又は選択的に、弾性インサートは、互いに物理的に当接するように動作し得る第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部を含むことが可能であり、これによって、流体媒介性騒音の非効果的な低減を導き得る弾性インサートの径方向への圧縮を阻止することができる。追加的又は選択的に、弾性インサートは、実質的に環状断面を有していてもよい。追加的又は選択的に、幾つかの分離弾性インサート部は、部分的に環状の断面を有していてもよい。追加的又は選択的に、第1の分離弾性インサート部及び第2の分離弾性インサート部は、軸方向に分割されたものであってもよい。
【0054】
ブロック304において、本方法は、弾性インサートの外表面に沿って延びる外殻を提供する工程を含み得る。外殻は、外殻の上流端に近接して配置された一体型の流体コネクタと内壁とを有している。追加的又は選択的に、外殻の上流端に配置された一体型の流体コネクタは、流路の上流部と流体導管の上流端との間の流体接続を提供するように構成されていてもよい。追加的又は選択的に、外殻は、外殻に一体化されて、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能な拘束部を含んでいてもよい。ブロック306において、本方法は、弾性インサートの外表面と流路との間の流体連結を可能にするように動作し得る透過管を含む拘束インサートを提供する工程を含み得る。ブロック308において、本方法は、外殻の下流端に配置される分離型の流体コネクタを提供する工程を含み得る。追加的又は選択的に、外殻の下流端に配置される分離型の流体コネクタは、流路の下流部と流体導管の下流端との間の流体接続を提供するように構成されていることが可能である。
【0055】
ブロック310において、本方法は、拘束インサートを外殻の中に挿入する工程を含み得る。追加的又は選択的に、拘束インサートは、外径を有すると共に透過管の少なくとも一端に配置された少なくとも1つのフランジを含むことが可能である。このフランジの外径は、外殻の内表面に当接可能であり、フランジは、弾性インサートを外殻内に拘束するように動作可能であり得る。ブロック312において、本方法は、弾性インサートを外殻の中に挿入する工程を含み得る。ブロック314において、本方法は、分離型の流体コネクタを外殻の下流端に取り付ける工程を含み得る。
【0056】
一例では、流体騒音抑制器は、円筒形の圧力含有シェル内の、中心管を有するライナーとして構成された発泡材料を含むことが可能である。しかしながら、加圧下において、円筒形の発泡体は、径方向に圧縮して、支持管に負荷を与え、性能の低下や潜在的なトラップ圧力を生じさせる。発泡材料は、1つ以上の軸方向分割部に分割されており、円周方向における材料の継続性が必要ないため、発泡体の径方向の圧縮が回避され、性能を低下させる動作を排除する。
【0057】
一例では、流体騒音抑制器は、軸方向に分割されたシンタクチックフォームを使用する。シンタクチックフォームは、ミクロスフェアが埋め込まれた(ウレタンといった)ホストマトリクスから成ることが可能である。ミクロスフェアは、気圧よりも高い圧力の気体で充填され得る。加圧下において、ミクロスフェアは曲がって、気体自体を保持しながら、材料の剛性を低減させる。加えて、ミクロスフェアの高い体積分率(典型的には50%)により、粒子の細かい微細構造を有する材料が得られ、ホスト材料も、コンプライアンスに貢献する。これについては、肉眼的に分割されたシンタクチックフォームのライナーは、従来の発泡体よりも高い静圧に対してコンプライアンスを維持する。この分割により、圧力トラップ及びライナーの径方向の崩壊が妨げられ、流体騒音抑制器は、変動するシステム圧力に亘ってその意図される機能を行う。
【0058】
本開示の技術の特定の技法及び方法を、現在最も実用的な実装形態であると考えられることに関連して説明してきたが、本開示の技術は、開示された実装形態に限定されるものではなく、その反対に、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な変形例及び同等の形態を網羅することが意図されていることは理解されよう。ここで特定の用語を使用したが、これらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定するために使用するものではない。
【0059】
本明細書では、例を用いて、ベストモードを含む本開示の技術の特定の実装形態を開示し、また、当業者が、任意の装置又はシステムを作成および使用し、組み込まれた任意の方法を実行することを含め、本開示の技術の特定の実装形態を実施できるようにする。本開示の技術の特定の実装形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲で定義されており、当業者が思い付く他の例を含んでいてもよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の字義どおりの構造要素を持っている場合、または特許請求の範囲の字義と実質的な違いを持たない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】