(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ロータリーインターフェースを横切って流体を移送するためのスイベルスタック及びそのようなスイベルスタックを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F16L 27/087 20060101AFI20220629BHJP
F16L 39/06 20060101ALI20220629BHJP
F16L 27/08 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16L27/087
F16L39/06
F16L27/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562887
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020061354
(87)【国際公開番号】W WO2020216854
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506364042
【氏名又は名称】シングル・ブイ・ムーリングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ランドリアナリボニー、リバ・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】トリュシ、セバスティアン・ジャン-フランソワ
【テーマコード(参考)】
3H104
3J106
【Fターム(参考)】
3H104JA04
3H104JD09
3H104LE07
3J106AB04
3J106BB02
(57)【要約】
流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するためのスイベルスタックは、下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素のグループと、下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素は、軸を中心として中心付けられ、中央環状要素は、下部環状要素と上部環状要素との間に位置付けられ、下部環状要素と上部環状要素との間の軸を中心として中心付けられた外部環状要素と、中央環状要素と外部環状要素との間の環状体チャンバと、下部環状要素の上向き対向面及び上部環状要素の下向き対向面に隣接している外部環状要素の下向き対向面及び上向き対向面と、下部環状要素の上向き対向面及び上部環状要素の下向き対向面は、第1の段付き面を有し、外部環状要素の上向き対向面及び下向き対向面は、第2の段付き面を有し、そのため、回転軸を中心として中心付けられた少なくとも2つの環状空洞が設けられる、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するためのスイベルスタックであって、
前記スイベルスタックは、
下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素を備える内部環状要素のグループ
を備え、前記下部環状要素は、内半径及び第1の外半径で前記回転軸を中心として中心付けられ、
前記上部環状要素は、前記内半径及び前記第1の外半径で前記回転軸を中心として中心付けられ、
前記中央環状要素は、前記回転軸を中心として中心付けられ、円筒形の外端面を有し、前記下部環状要素の上向き対向面と前記上部環状要素の下向き対向面との間に円形トレンチが存在するような形で、前記下部環状要素と前記上部環状要素との間に位置付けられ、前記中央環状要素は、前記内半径及び第2の外半径を有し、前記第2の外半径は、内半径と第1の外半径との間にあり、前記下向き対向面及び上向き対向面は各々、前記回転軸に対して垂直であり、
前記スイベルスタックは、
前記回転軸を中心として中心付けられ、第2の内半径及び第3の外半径を有する内端面を有する外部環状要素を更に備え、前記第3の外半径は、前記第1の外半径よりも大きく、前記第2の内半径は、前記第2の外半径に実質的に等しく、前記外部環状要素と中央の前記内部環状要素との間にギャップがあり、前記外部環状要素の前記下向き対向面及び上向き対向面は、前記下部環状要素の前記上向き対向面及び前記上部環状要素の前記下向き対向面にそれぞれ直接隣接し、
前記外部環状要素の前記内端面は、前記中央環状要素の平坦な前記円筒形の外端面に当接し、前記中央環状要素と前記外部環状要素との間に環状体チャンバが形成されるように、円形トレンチを設けられ、
前記下部環状要素の前記上向き対向面及び前記上部環状要素の前記下向き対向面は、第1の段付き面を有し、前記外部環状要素の前記上向き対向面及び下向き対向面は、第2の段付き面を有し、前記第1の段付き面及び第2の段付き面は、前記回転軸を中心として中心付けられ、矩形断面を有する少なくとも2つの環状空洞が設けられるような形で構成され、それぞれ、前記少なくとも2つの環状空洞の半分は、前記上部環状要素の前記下向き対向面と前記外部環状要素の前記上向き対向面との間の第1のインターフェースにあり、前記少なくとも2つの環状空洞のもう一方の半分は、前記下部環状要素の前記上向き対向面と前記外部環状要素の前記下向き対向面との間の第2のインターフェースにあり、
前記環状体チャンバの半径方向幅は、前記環状体チャンバの高さ以下であり、前記環状体チャンバの前記半径方向幅は、組み合わせられた前記少なくとも2つの環状空洞の幅よりも小さい、スイベルスタック。
【請求項2】
フェイスシールタイプのシールリングが、前記少なくとも2つの環状空洞の各々中に配置される、請求項1に記載のスイベルスタック。
【請求項3】
各インターフェース中では、前記少なくとも2つの環状空洞の前記半分が、半径方向に隙間によって互いから分離される、請求項1又は請求項2に記載のスイベルスタック。
【請求項4】
半径方向に、前記環状空洞の各々が、前記内部環状要素のグループから選択された1つの環状要素上の外向き縁と前記外部環状要素上の内向き縁との間に画定され、
前記内向き縁及び外向き縁の表面は、前記回転軸の方向に対して平行であり、
前記回転軸に対して平行の方向に、前記環状空洞の各々が、前記外部環状要素の前記上向き対向面と前記上部環状要素の前記下向き対向面との間の前記第1のインターフェースにおいて、及び前記外部環状要素の前記下向き対向面と前記下部環状要素の前記上向き対向面との間の前記第2のインターフェースにおいて画定される、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項5】
前記環状空洞の各々は、前記半径方向の幅WS及び前記回転軸に対して平行の方向の深さHSによって画定される、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項6】
前記外部環状要素の前記内端面における前記円形トレンチの上方に環状の追加の凹部及び下方に環状の追加の凹部が設けられ、各追加の凹部は、ピストン配向されたシールリングを備え付けられる、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項7】
各インターフェース中では、環状ブッシングが配置され、半径方向に最も外側の環状空洞が、半径方向に第2の隙間によって前記環状ブッシングから分離される、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項8】
前記下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素の各々は、前記回転軸に対して平行の方向に延在する少なくとも1つの貫通孔で構成され、前記少なくとも1つの貫通孔は、前記下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素の各々中に対応する位置を有する、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項9】
前記中央環状要素は、前記少なくとも1つの貫通孔のうちの1つから前記円筒形の外端面まで走る少なくとも1つの半径方向導管で構成され、前記半径方向導管は、前記環状体チャンバとの流体連通のために配置される、請求項8に記載のスイベルスタック。
【請求項10】
前記下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素の各々中に少なくとも1つの貫通孔の位置に対応する位置を有する前記少なくとも1つの貫通孔を有する基部環状要素を更に備え、
前記少なくとも1つの貫通孔から前記基部環状要素の円筒形の外端面上のポートまで延在する半径方向導管を更に備える、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項11】
前記外部環状要素は、前記少なくとも1つの貫通孔から前記外部環状要素の円筒形の外端面上のポートまで延在する少なくとも1つの半径方向導管を更に有する、請求項9~10のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項12】
突き刺しチューブが、前記下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素に対応して位置付けられた前記貫通孔中に配置され、前記突き刺しチューブは、前記基部環状要素の前記半径方向導管と前記中央環状要素の前記半径方向導管との間に走る、請求項8~11のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタック。
【請求項13】
流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するための、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタックを備えるタレット係留システム。
【請求項14】
流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するための、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のスイベルスタックを設けられたか、又は請求項13に記載のタレット係留システムを備えるかのうちのいずれかである浮体式沖合建造物。
【請求項15】
流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するためのスイベルスタックを製造するための方法であって、
前記方法は、
下部環状要素、上部環状要素、及び中央環状要素を備える内部環状要素のグループを設けることと、
内半径RI1及び第1の外半径で前記回転軸を中心として前記下部環状要素を中心付けることと、
前記内半径RI1及び第1の前記外半径で前記回転軸を中心として前記上部環状要素を中心付けることと、
前記回転軸を中心として前記中央環状要素を中心付け、円筒形の外端面を前記中央環状要素に設けることと、
前記下部環状要素の上向き対向面と前記上部環状要素の下向き対向面との間に円形トレンチが存在するような形で、前記下部環状要素と前記上部環状要素との間に前記中央環状要素を位置付けることと、前記中央環状要素は、前記内半径及び第2の外半径を有し、前記第2の外半径は、内半径と第1の外半径との間にあり、前記下向き対向面及び上向き対向面は各々、前記回転軸に対して垂直である、
を備え、前記方法は、
前記回転軸を中心として外部環状要素を中心付けることと、前記外部環状要素は、第2の内半径及び第3の外半径を有する内端面を有し、前記第3の外半径は、前記第1の外半径よりも大きく、前記第2の内半径は、前記第2の外半径に実質的に等しく、前記外部環状要素と中央の前記内部環状要素との間にギャップがあり、前記外部環状要素の前記下向き対向面及び上向き対向面は、前記下部環状要素の前記上向き対向面及び前記上部環状要素の前記下向き対向面にそれぞれ直接隣接する、
前記中央環状要素の平坦な前記円筒形の外端面に当接する前記外部環状要素の前記内端面を位置付けることと、
前記中央環状要素と前記外部環状要素との間に環状体チャンバが形成されるように、前記外部環状要素の前記内端面中に円形トレンチを設けることと、
第1の段付き面を前記下部環状要素の前記上向き対向面及び前記上部環状要素の前記下向き対向面に設けることと、
第2の段付き面を前記外部環状要素の前記上向き対向面及び下向き対向面に設けることと、前記第1の段付き面及び第2の段付き面は、前記回転軸を中心として中心付けられ、矩形断面を有する少なくとも2つの環状空洞が設けられるような形で構成され、それぞれ、前記少なくとも2つの環状空洞の半分は、前記上部環状要素の前記下向き対向面と前記外部環状要素の前記上向き対向面との間の第1のインターフェースにあり、前記少なくとも2つの環状空洞のもう一方の半分は、前記下部環状要素の前記上向き対向面と前記外部環状要素の前記下向き対向面との間の第2のインターフェースにあり、前記環状体チャンバの半径方向幅は、前記環状体チャンバの高さ以下であり、前記環状体チャンバの前記半径方向幅は、組み合わせられた前記少なくとも2つの環状空洞の幅よりも小さい、
を更に備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入フローラインと流出フローラインとの間の回転軸を中心としたロータリーインターフェースを横切って流体を移送するためのスイベルスタックに関する。
【0002】
その上、本発明は、そのようなスイベルスタックを備えるタレット係留システムに関する。また、本発明は、そのようなスイベルスタックを設けられた浮体式沖合建造物及びそのようなスイベルスタックを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流入流体ラインと流出生産物配管との間でロータリーインターフェースを横切って高圧流体を移送するための環状体流体スイベルが当該技術分野において知られている。そのようなスイベルのための用途は、例えば、油及び/又はガスの高圧流が(深海)沖合坑井から浮体式生産貯蔵積出(FPSO)船舶などの浮体式船舶に移送される沖合油及びガス探査を含む。典型的には、そのような浮体式船舶は、係留ブイ又は「係留構造体」を結合することができ、坑井から船舶上の生産物配管ダクトまで1つ以上のライザーラインを保持するタレット係留システムを装備されている。タレット係留システムは、船舶とブイとの間のいくらかの回転を可能にすべきであるので、スイベルは、同様に、流入流体ラインと生産物配管との間の回転を提供するように適合される。
【0004】
スイベル設計では、ロータリーインターフェースは、漏れを防止するためにシールを設けられる。ロータリーインターフェース内では、シールは、スイベルを通って流れる高圧流体と周囲との間の高圧差を受ける。
【0005】
また、シールは、インターフェースの回転に起因して機械的摩耗を受ける。先行技術では、スイベル(スイベルスタック)は、このことから、それらの性能及び信頼性に影響を及ぼすいくつかの問題に直面しており、主な問題は、スイベル部分のサイズが比較的大きいことに起因して、動的シールを現場で交換することが実際に不可能であることである。
【0006】
別の主要な問題は、特にシール直径、温度範囲、又は流体圧が増加するときに、シール設計基準を満たすことが困難であることである。本発明の目的は、先行技術の欠点を克服又は軽減することである。
【発明の概要】
【0007】
この目的は、添付の請求項1に記載のスイベルスタックによって達成される。スイベルスタックの構造は、組み立て又は分解の比較的複雑でない方法を可能にし、それはまた、スイベルスタック中の任意のシールを交換する手順を向上させる。
【0008】
更に、本発明は、上記で定義したようなスイベルスタックを装備されたタレット係留システム、上記で定義したようなスイベルスタックを設けられた浮体式沖合建造物、及び上記で定義したようなスイベルスタックを製造するための方法に関する。
【0009】
本発明を、その例示的な実施形態を示す図面を参照して以下でより詳細に説明する。図面は、専ら例示を目的とするものであり、本発明の概念を限定するものではないことが意図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態によるスイベルスタックの斜視図における断面を示す。
【
図2】本発明の実施形態によるスイベルスタックのロータリーインターフェースの詳細な断面を示す。
【
図3】本発明の実施形態によるスイベルスタックのロータリーインターフェースの詳細な断面を示す。
【
図4A】本発明の実施形態によるスイベルスタックにおいて使用するための突き刺しチューブの詳細な断面を示す。
【
図4B】本発明の実施形態によるスイベルスタックにおいて使用するための突き刺しチューブの詳細な断面を示す。
【
図5】本発明の実施形態によるスイベルスタックの斜視図を示す。
【
図6】本発明の実施形態によるマニホールドブロックの一部分の斜視図を示す。
【
図7】本発明の実施形態によるスイベルスタックを装備された浮体式沖合建造物を概略的に示す。
【0011】
以下の発明を実施するための形態では、同一の参照符号によって示された項目は、同じ又は同様の項目を指す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態によるスイベルスタックの斜視図における断面を示す。
【0013】
本発明によるスイベルスタック10のロータリーインターフェース72は、全てが共通の回転軸Aを中心として中心付けられた内部環状要素のグループ及び外部環状要素を備える複数の環状要素から構築される。
【0014】
このロータリーインターフェースでは、外部環状要素は、内部環状要素のグループに対して回転軸Aを中心として回転するように構成される。
【0015】
ロータリーインターフェースは、内部環状要素12、14、16のグループ及び外部環状要素18を備える。内部環状要素のグループは、下部環状要素12、中央環状要素14、及び上部環状要素16を備える。
【0016】
内部環状要素12、14、16の各々は、内半径RI1に円筒形の内面を有する。下部環状要素12及び上部環状要素16は各々、第1の外半径RO1に円筒形の外面を有する。中央環状要素14は、第2の外半径RO2に円筒形の外面を有する。第2の外半径RO2は、第1の外半径RO1よりも小さい。
【0017】
中央環状要素14が下部環状要素12と上部環状要素16との間に位置付けられた状態で、内部環状要素、中央環状要素、及び外部環状要素が互いに積み重ねられると、下部環状要素の対向面12aと上部環状要素の対向面16aとの間に円形トレンチが存在し、それら対向面は、回転軸Aに対して実質的に垂直である。
【0018】
外部環状要素18は、第2の内半径RI2に円筒形の内面を、第3の外半径RO3に円筒形の外面を有し、同じく回転軸Aを中心として中心付けられる。外部環状要素18の第2の内半径RI2は、中央の内部環状要素と外部環状要素との間に約1mmの半径方向ギャップG(
図2及び
図3を参照)が存在するように、中央の内部環状要素14の第2の外半径RO2よりも幾分大きい。外部環状要素18は、外部環状要素の円筒形の内面22が中央の内部環状要素の円筒形の外面20に当接するように、下部の内部環状要素12と上部の内部環状要素16との間の円形トレンチ中に配置される。外部環状要素の円筒形の内面の円周に沿って、凹部24が設けられ、そのため、中央の内部環状要素の円筒形の外面20と外部環状要素18の円筒形の内面22との間に環状体チャンバ24aが形成される。
【0019】
外部環状要素18中には、環状体チャンバ24aの出口(又は入口)を提供するように凹部24と外周との間に半径方向の導管26が設けられる。
【0020】
第2の外半径RO2において中央環状要素14の円筒形の外面20を越えて外向きに各々が延在する下部環状要素12の上向き面12a及び上部環状要素16の下向き面16aは、第1の段付き面を設けられる。外部環状要素18は、第1の段付き面と相補的な第2の段付き面を有する上向き面18b及び下向き面18aを有する。
【0021】
上部環状要素16の下向き対向面16aと外部環状要素18の上向き対向面18bとの間、及び下部環状要素12の上向き対向面12aと外部環状要素18の下向き対向面18aとの間には、フェイスシールタイプのシールリング(図示せず)が配置された環状空洞28、30、32、34が形成される。環状空洞及びシールリングの配置を、
図2を参照してより詳細に説明する。
【0022】
図1を参照すると、スイベルスタックは、複数のロータリーインターフェースを備えることができる。積み重ねを簡略化するために、下部環状要素12及び上部環状要素16は、それらの上向き面12a及び下向き面16a(回転軸Aに対して垂直)が同じ形状で設計される。このようにして、第1のロータリーインターフェースの上部環状要素16を、第1のロータリーインターフェースの上部に積み重ねられた第2のロータリーインターフェースの下部環状要素12として使用することができる。
【0023】
各対の積み重ねられた外部環状要素の間には、結合リング又は駆動リング36が配置される。結合リングは、連結回転のために外部環状要素を対で結合するように構成される。結合リングのうちの1つは、浮体式構造体(図示せず)上の外部構造体(図示せず)に結合するための一対の駆動アーム38を受け入れるように設計された一対のラグ(図示せず)を備え付けられる。
【0024】
スイベルスタック10は、基部環状要素40を備え、その上に下部支持環状要素42が配置される。下部支持環状要素42は、上記で説明したように、下部環状要素12の上向き対向面12aと同一の形状を有する上向き対向面42aを有する。下部支持環状要素42は、段付き上向き対向面を有し、その上に外部環状要素18を、環状空洞が環状要素42と環状要素18との間に存在するような形で配置することができる。
【0025】
基部環状要素40は、その円周上に、各々が流入フローライン46又は流出フローラインにそれぞれ結合されるように構成される入口ポート44(及び/又は出口ポート)を半径方向に設けられる。更に、各入口又は出口ポート44は、基部環状要素40内で、上向き且つ回転軸Aに対して平行に延在する導管48に結合される。
【0026】
内部環状要素12、14、16の各々は、回転軸Aに対して平行に(炭化水素)流体を移送するための少なくとも1つの貫通孔50を設けられる。各内部環状要素12、14、16では、少なくとも1つの貫通孔50は、基部環状要素40中の導管48の場所に対応する場所に位置付けられる。
【0027】
スイベルスタック10の上部には、閉鎖環状要素52をオプションとして配置することができる。閉鎖環状要素52はまた、上方に位置する他のスイベルスタックのための支持体又は(流体)コネクタとして機能することができる。
【0028】
スイベルスタック10内では、内部環状要素12、14、16は、環状要素のピッチ直径DP上に配置された孔を通って延在する複数のボルト止めロッド54によって基部環状要素40と閉鎖環状要素52との間で連結される。
図2を参照して、より詳細な例示を以下に提供する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態によるスイベルスタックのロータリーインターフェースの詳細な断面を示す。
【0030】
第1及び第2の段付き面は、4つの環状空洞28、30、32、34が回転軸Aを中心として中心付けられたレイアウトを有する。第1及び第2の段付き面は矩形断面を有し、中央の外部環状要素18と下部の内部環状要素12及び上部の内部環状要素16との間に設けられる。環状空洞のうちの2つ28、30は、上部環状要素16の対向面16aと外部環状要素18の対向面18bとの間の第1のインターフェースA1に配置される。他の2つの環状空洞32、34は、下部環状要素12の対向面12aと外部環状要素18の対向面18aとの間の第2のインターフェースA2に配置される。環状空洞28、30、32、34の各々中には、フェイスシールタイプのシールリング56が設置される。
【0031】
図2には、下部環状要素12、中央環状要素14、上部環状要素16を外部環状要素18と組み合わせた構成の一部分を示す。また、下部環状要素、中央環状要素、及び上部環状要素を通って延在するボルト止めロッド54の一部分を示す。
【0032】
環状体チャンバ24aの上方及び下方には、環状空洞28、30、32、34が、外部環状要素18と上部環状要素16との間の第1のインターフェースA1、及び中央環状要素14と下部環状要素12との間の第2のインターフェースA2にそれぞれ配置される。
【0033】
第1のインターフェースA1及び第2のインターフェースA2の両方において、液圧領域H、即ち、環状空洞及び対応するシールリングが位置する半径方向領域Hは、最小限に保たれる。即ち、環状空洞の各々は、半径方向幅Wを有し、各シールリングは、関連する環状空洞中に配置されたときに対応する幅を有する。第1のインターフェースA1及び第2のインターフェースA2の各々中の2つの環状空洞28、30;32、34の間には、非0隙間Xが配置される。このことから、半径方向領域Hは、2つの環状空洞28、30;32、34の幅Wに同じインターフェースA1;A2中の隙間Xを加えたものに等しい幅を有する。
【0034】
加えて、液圧領域Hを最小限に保つために、各インターフェース中では、2つの環状空洞28;32のうちの1つは、中央環状要素14の円筒形の外端面15に直接隣接して配置される。
【0035】
環状体チャンバ24aの半径方向幅Bは、環状体チャンバ24aの高さC以下である。加えて、環状体チャンバの半径方向幅Bは、液圧領域Hの幅(即ち、組み合わされた2つの環状空洞28、30;32、34の幅Wに同じインターフェースA1;A2中の隙間Xを加えたもの)よりも小さい。同時に、半径方向内側のシールリングの内径は、環状体チャンバの内径に実質的に等しい。環状体チャンバが動作圧下にあるとき、これらの手段は、第1のインターフェースA1及び第2のインターフェースA2中のシールに対する垂直力F2が、環状体チャンバ24aの上部及び下部半径方向壁に対する垂直力F1よりも小さいという効果を有する。
【0036】
加えて、外部環状要素18の上向き対向面18b及び下向き対向面18aの各々では、ブッシング58(滑り軸受)が、液圧領域Hの外側に、このことからシールリング56の半径よりも大きい半径に位置付けられる。
【0037】
実施形態では、ボルト止めロッド54は、ボルト孔とOリングシールを保持するOリングシール溝60との間に5~10mmのギャップを残すように第2の外半径RO2に対してある距離を隔てて位置付けられ、中央環状要素14と下部の内部環状要素12/上部の内部環状要素16との間の緊密性を保証する。これを達成するために、各ロッドの中心は、中央環状要素中で外半径RO1に向かって及び内半径RI1から離れて位置する。
【0038】
このようにして、内部環状要素12、14、16の各々に対する締付け力は、主にOリングシール溝60に作用して、スイベルスタック10中の関連するフローライン及び環状体チャンバが高い動作圧下にあるときに、Oリングシール溝60からのOリングシールの開放及び押し出しの危険性を制限する。この技法は、ボルト止めロッドに対するこじ開け効果を最小限にする試みを言い換えている(以下を参照)。
【0039】
Oリングシール溝60の内径から外部環状空洞溝(フェースシールを保持する)の外径までの液圧領域Hに対して、圧力によって誘発されるエンドキャップ力が作用していることが認められる。この力は、中央環状要素と下部環状要素との間のインターフェース及び中央環状要素と上部環状要素との間のインターフェースの両方を開く傾向がある。圧力によって誘発されるエンドキャップ力は、液圧領域Hから内半径RI1までの距離とボルト54から同じ内半径RI1までの距離との比率によって増幅される(こじ開け効果):明らかに、ボルト54から内半径RI1までの距離が大きいほど、ボルト54に対する引張荷重は小さくなる。この特性は、このタイプの設計にとって重要である。
【0040】
実施形態によると、第1及び第2の段付き面は、少なくとも2つの環状空洞28、30、32、34が回転軸Aを中心として中心付けられ、それぞれ、少なくとも2つの環状空洞の半分が上部環状要素の下向き対向面と外部環状要素の上向き対向面との間の第1のインターフェースに位置し、少なくとも2つの環状空洞のもう一方の半分が、下部環状要素の上向き対向面と外部環状要素の下向き対向面との間の第2のインターフェースに位置するレイアウトを有する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態によるスイベルスタックのロータリーインターフェースの詳細な断面を示す。
【0042】
図3に示すロータリーインターフェースは、
図2のロータリーインターフェースとほぼ同一である。
図2にあるのと同一の参照符号を有する特徴は、ここでは説明しない。
【0043】
図3に示すインターフェースでは、ピストン配向された2つの追加のシールリング64を嵌合するために、追加の凹部62が環状体チャンバ24aの両側で外部環状要素18中に設けられる。追加のシールリング64は、隔離シールと呼ばれ得、ロータリーインターフェースの円周方向への環状体チャンバ24aの更なる隔離を提供する。
【0044】
図4A及び4Bは、本発明の実施形態によるスイベルスタック10において使用するための突き刺しチューブ66の詳細を示す。
【0045】
スイベルスタック10の内部環状要素12、14、16を通って延在する貫通孔50中には、基部環状要素40と、中央環状要素の半径方向導管26に接続されたそれぞれの貫通孔に関連付けられた中央環状要素14との間に走る導管を提供するために、突き刺しチューブ66を配置することができる。
【0046】
突き刺しチューブ66は、閉鎖されたエンドキャップ68を有し、基部環状要素40の半径方向導管44の高さ及び中央環状要素14中の半径方向導管26の高さでその側壁に開口部70a、70bをそれぞれ設けられる。
【0047】
このようにして、突き刺しチューブを通って流れる流体のための漏れのない流路が得られる。
【0048】
図4Aは、突き刺しチューブ66の断面を示す。
図4Bは、内部環状要素12、14、16の貫通孔50中に据え付けられた突き刺しチューブ66を有するスイベルスタックの断面を示す。
【0049】
図5は、本発明の実施形態によるスイベルスタックの斜視図を示す。
【0050】
ここに図示するスイベルスタック10は、基部環状要素40と、いくつかのロータリーインターフェース72、74、76、78と、閉鎖環状要素52とを備える。
【0051】
更に、スイベルスタック10は、結合リング36のうちの1つに取り付けられた一対の駆動アーム38を備える。駆動アームは、スイベルスタックが据え付けられた船舶(図示せず)に結合されるように構成される。駆動アームは、船舶に対するロータリーインターフェースの固定された配向を提供する。
【0052】
各ロータリーインターフェースの円筒形の外端面には、液圧領域H中のリークポート(図示せず)へのアクセスを提供する追加のプロービングポート80が存在することができる。
【0053】
図6は、本発明の実施形態によるマニホールドブロックの斜視図を示す。
【0054】
スイベルスタック10が船舶などの浮体式物体上のタレット係留システム上に配置されるとき、スイベルスタックの基部環状要素40上の流入/流出流体のためのポート44は、タレット係留システムのタレット内のマニホールド構造(地上部)に取り付けられたライザーライン82に結合することができる。
【0055】
実施形態によると、ライザーライン82は、パイプフランジ84を装備される。ライザーライン82のパイプフランジ84は、次いで、スプールピース86又は接続チューブのフランジ88によって基部環状要素40上の関連するポート44に結合される。スプールピース86は、ライザーライン82のパイプフランジ84に接続するように構成されたスプールピースフランジ89を装備される。フランジ88、89上のコネクタの異なる長さ及び異なる向きを有するスプールピースは、流入/流出流体のためにライザーライン82とポート44との間の流体接続を行うために使用することができる。
【0056】
図7は、本発明の実施形態によるスイベルスタックを装備された浮体式沖合建造物の例を概略的に示す。
【0057】
FPSO船舶、又は一般に沖合船などの浮体式生産ユニット1は、海底の貯留層Rの近くの海上の場所に係留される。船舶上のプロセス機器2を概略的に示す。
【0058】
浮体式生産ユニット1は、タレット係留されている。
図7では、実施形態によると、浮体式生産ユニットを、タレット係留システムによってタレット係留されているものとして示す。
【0059】
タレット係留システムは、係留ブイなどのタレット構造体3と、浮体式生産ユニット1の外側又は内側のうちのいずれかに据え付けられた支持構造体とを備えるタレット係留構造体を提供する。タレット構造体3は、固定ライン5によって海底に固定される。ライザーライン82(並びにアンビリカルライン、ガス/水注入ライン、電力ライン、バルブ/シャッター、等などの他のライン及び他の機器90)は、海底下の貯留層Rとタレット構造体3との間に延在している。浮体式生産ユニット1上に設けられた支持構造体は、タレット構造体3を中心とした浮体式生産ユニット1の回転が依然として可能であるように、タレット構造体3を受け入れるための受け入れ部を有する。このようにして、浮体式生産ユニット1は、風、波、流れ、及び/又は流氷の影響下で風向計を作動させ、環境に関して最も抵抗の少ない位置を取ることができ、その一方で、ライザーラインは、それらの非回転位置に留まる。
【0060】
本発明の実施形態によるスイベルスタック10は、ライザーライン82と浮体式船舶上のプロセス機器2との間に1つ以上のロータリーインターフェースを提供するようにタレット係留システム中に配置される。
【0061】
実施形態によると、内部環状要素及び外部環状要素は、鍛鋼品から得られ、所望の最終形状に機械加工される。鍛鋼品は、炭素鋼又はステンレス鋼に基づき得る。
【0062】
いくつかの実施形態を参照して本発明を説明してきた。示したスイベルスタックは、ここでは例として説明している。本発明の範囲内で、異なる数のロータリーインターフェースを有する構成を構築することができる。
【0063】
先行する発明を実施するための形態を読んで理解すれば、当業者には、明らかな修正及び変更が想起されるが、それはあらゆる点で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと考えられるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る限り、全てのそのような修正及び変更を含むものとして解釈されることが意図される。本発明の範囲は、従って、前述の発明を実施するための形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。
【0064】
[参照符号]
浮体式生産ユニット 1
プロセス機器 2
タレット構造体 3
固定ライン 5
スイベルスタック 10
内部環状要素 12、14、16
円筒形の外端面 15
上向き面 12a
下向き面 16a
外部環状要素 18
下向き対向面 18a
上向き対向面 18b
円筒形の外面 20
円筒形の内面 22
凹部 24
環状体チャンバ 24a
導管 26
環状空洞 28、30、32、34
結合リング又は駆動リング 36
一対の駆動アーム 38
基部環状要素 40
下部支持環状要素 42
入口/出口ポート 44
フローライン 46
貫通孔 50
閉鎖環状要素 52
ボルト 54
フェイスシールタイプのシールリング 56
ブッシング 58
Oリングシール溝 60
追加の凹部 62
隔離シール 64
突き刺しチューブ 66
開口部 70a、70b
ロータリーインターフェース 72、74、76、78
プロービングポート 80
ライザーライン 82
パイプフランジ 84
スプールピース 86
スプールピースフランジ 88
機器 90
インターフェース A1、A2
回転軸 A
ピッチ直径 DP
半径方向ギャップ G
液圧領域 H
チャンバの半径方向幅 B
チャンバの高さ C
垂直力 F1、F2
貯留層 R
第1の外半径 RO1
第2の外半径 RO2
第3の外半径 RO3
第1の内半径 RI1
第2の内半径 RI2
半径方向幅 W
隙間 X
【国際調査報告】