(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】製品を貯蔵するための多層物品
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20220629BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20220629BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220629BHJP
B65B 55/08 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/08
B32B27/30 D
B65B55/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563053
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020030371
(87)【国際公開番号】W WO2020223286
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】プラット、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】スクワレク、ゲイリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ、ジョシュア アレン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
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3E086DA08
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4F100YY00C
(57)【要約】
薬剤製品などの製品を貯蔵するための多層物品は、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む第1の層を含む。物品はまた、第1の層上に配設された結合層も含む。結合層は、エチレンアクリレート樹脂を含む。物品は、結合層上に配設された第2の層を更に含む。第2の層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む。物品は、任意選択的に、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む2つの任意選択の層を更に含む。物品は、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を貯蔵するための多層物品であって、
A.ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む、第1の層と、
B.前記第1の層上に配設され、かつエチレンアクリレート樹脂を含む、結合層と、
C.前記結合層上に配設され、かつポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む、第2の層と、
D.ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む、2つの任意選択の層と、を含み、
前記物品が、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する、物品。
【請求項2】
前記2つの任意選択の層を含まず、前記結合層が前記第1の層と直接接触して配設されており、前記第2の層が前記結合層と直接接触して配設されている3層構造である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の層が、前記製品に接触するように配設された最内層であり、前記第2の層が、最外層である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記第2の層が、前記製品に接触するように配設された最内層であり、前記第1の層が、最外層である、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記2つの任意選択の層を含み、かつ5層構造であり、
第1の任意選択の層及び第2の任意選択の層の両方が、前記第1の層上に配設されており、
前記第1の任意選択の層が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含み、前記第1の任意選択の層と前記第1の層との間に前記第2の任意選択の層を挟持し、
前記第2の任意選択の層が、エチレンアクリレート樹脂を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第1の層が、ポリクロロトリフルオロエチレンと最大5重量%のフッ化ビニリデンとの前記コポリマーを含み、前記エチレンアクリレート樹脂が、エステル変性エチレンアクリレート樹脂である、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記第1の層が、約0.5~約6ミルの厚さを有し、前記結合層が、約0.5~約3ミルの厚さを有し、前記第2の層が、約5~約25ミルの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
動物の健康用薬剤を貯蔵するための3層物品であって、
A.前記動物の健康用薬剤と接触するように配設されており、かつ前記ポリクロロトリフルオロエチレンである最内層である、前記第1の層と、
B.前記第1の層上に配設されており、前記第1の層と直接接触し、かつ前記エステル変性エチレンアクリレート樹脂である、前記結合層と、
C.前記第2の層が、前記結合層上に配設されており、前記結合層と直接接触している最外層であり、ポリエチレンテレフタレートであるポリエステルである、からなり、
前記最内層が、約0.5~約6ミルの厚さを有し、前記結合層が、約0.5~約3ミルの厚さを有し、前記最外層が、約5~約25ミルの厚さを有し、
前記物品が、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
ボトルとして更に画定されている、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
多層物品をガンマ線滅菌する方法であって、
A.ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む第1の層と、前記第1の層上に配設されており、かつエチレンアクリレート樹脂を含む結合層と、前記結合層上に配設されており、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む第2の層と、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む2つの任意選択の層と、を含む前記多層物品を提供する工程であって、前記多層物品が、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する、提供する工程と、
B.前記多層物品をガンマ線滅菌する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、製品を貯蔵するための多層物品に関する。より具体的には、本開示は、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む第1の層と、エチレンアクリレートを含む結合層と、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む第2の層と、を含む、多層物品に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な熱可塑性ポリマー及びかかる熱可塑性ポリマーから形成された容器が知られている。かかる容器の重要な物理的特質は、気体、香気、及び水蒸気などの蒸気に対するバリアを含むバリア特性、並びに、強靭性、透明度、摩耗耐性、光透過性、及び科学的不活性などの物理的特質を含む。これらの特性は、食品又は医療製品のための包装用途において特に重要である。
【0003】
多くのフルオロポリマー材料は、それらの優れた水分及び蒸気バリア特性、並びにそれらの耐薬品性で一般的に知られており、したがって、包装物品、特に、蓋用フィルム、ブリスターパッケージ、及びボトル容器の望ましい成分である。加えて、フルオロポリマーは、高い耐熱性及び優れた強靭性を呈する。しかしながら、フルオロポリマーのこのような使用は、それらの比較的高いコストに起因して、特殊な包装用途に制限される。高価なポリマーから製造された梱包材料のコストを低減する好適な手段は、ポリマーが他のより低いコストのポリマー層で積層される多層構造を形成することである。多くの場合、フルオロポリマーの薄層があれば、フルオロポリマーの望ましい特性を活用するのに十分であり、同時に、薄層であることによってコストが最小限に抑えられるため、このアプローチは、フルオロポリマー包装用途に特に望ましい。しかしながら、フルオロポリマーは、ほとんどの他のポリマーに強力に付着しない。実際に、ほとんどのフルオロポリマーは、その非粘着特質で知られている。これは、層間の不十分な結合強度が、多層構造の層間剥離をもたらし得るため、非常に不利である。
【0004】
また、フルオロポリマーから形成された成形物品における更なる改善に関して、当該技術分野において継続的な必要性が存在する。特に望ましいのは、良好な透明性、高い水分バリア、良好な耐薬品性、並びに低水蒸気及び気体透過性を有する、軽量な壊れにくい構造である。より具体的には、フルオロポリマーから形成される物品に関して、当該技術分野において必要性が存在し、この物品は、感湿製品の貯蔵にふさわしい良好な特性を有する。かかる特性は、耐薬品性を提供すること、製品保存可能期間の改善、及びガラス容器の破損の懸念を排除することを含む。
【0005】
単なる一例として、ガラス容器からより耐久性がある何かへの変更が、多くのエンドユーザから所望されている。しかしながら、薬学的空間では、現在入手可能な容器は、劣化、透明度の損失、及び構造的一体性の損失を生じずに滅菌される必要な能力と併せた、必要とされる耐薬品性を有さない。一般に使用されるHDPE、PET、PVC、PP、PS(ポリスチレン)及びポリラクチドなどのプラスチックは、前述の成形物品における使用に関して理想的ではない様々な物理的特性を有することを、当業者は認識する。
【0006】
単なる一例として、PETは物品において使用することができるが、多くの溶媒及び薬剤と望ましくない反応を起こし、それによって多くの用途において使用することができない。同様に、いくつかの他のポリマーもまた、使用することができるが、滅菌されたときに、黄色になるか、さもなければ劣化する傾向がある。したがって、これらのポリマーも、通常、多くの用途で使用することができない。更に、また上記で紹介したように、様々なポリマー同士の接着性に関する既知の問題が存在する。すべてのこれらの理由については、この領域において解決されるべき多くの問題が存在する。
【0007】
従って、このような問題に対する改善及び解決策の余地が残っている。本開示の他の望ましい特徴及び特質は、添付の図面及び本開示の背景技術と併せて、後続の本開示の発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、薬剤製品などの製品を貯蔵するための多層物品を提供する。物品は、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む第1の層を含む。物品はまた、第1の層上に配設された結合層も含む。結合層は、エチレンアクリレート樹脂を含む。物品は、結合層上に配設された第2の層を更に含む。第2の層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む。物品は、任意選択的に、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む2つの任意選択の層を更に含む。物品は、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する。
【0009】
本開示はまた、動物の健康用薬剤を貯蔵するための多層物品も提供する。この物品は、動物の健康用薬剤と接触するように配設され、かつポリクロロトリフルオロエチレンである第1の層を含む。物品はまた、第1の層上に配設され、第1の層と直接接触し、かつエステル変性エチレンアクリレート樹脂である結合層も含む。物品は、その結合層上に配設され、その結合層と直接接触し、ポリエチレンテレフタレートである第2の層を更に含む。この実施形態では、最内層は、約0.5~約6ミルの厚さを有し、結合層は、約0.5~約3ミルの厚さを有し、最外層は、約5~約25ミルの厚さを有する。その上、この実施形態では、物品は、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する。
【0010】
本開示は、多層物品をガンマ線滅菌する方法を更に提供する。本方法は、物品を提供する工程と、多層物品をガンマ線滅菌する工程と、を含む。
【0011】
様々な実施形態では、本開示は、耐薬品性、ガンマ線滅菌可能性、透明性、水分バリア、ほとんどのNBA材料と比較して改善された酸素バリア、並びにガラス等価物と比較してより軽い重量及び脆弱性などの特性を維持しながら、コスト競争力を維持するためにPCTFEと共押出され得る、商業的品質の剛性/可撓性容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は下文で以下の図と併せて説明されるが、同様の番号は同様の要素を示す。
【0013】
【
図1】本開示の多層物品の一実施形態の平面図である。
【0014】
【
図2】本開示の多層物品の別の実施形態の平面図である。
【0015】
【
図3】本開示の多層物品の別の実施形態の平面図であり、物品は、ボトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、性質における単なる例示であり、多層物品を限定することは意図されない。更に、前述の背景技術又は以下の詳細な説明で提示される、いずれの理論によっても拘束されることは意図していない。
【0017】
本開示の実施形態は、概して、3層物品及び同物品を製造するための方法を対象とする。簡潔にするために、ポリマー及び一般的な多層物品の形成に関する従来の技術は、本明細書で詳細に説明されない可能性がある。更に、本明細書に記載される様々なタスク及びプロセス工程は、本明細書に詳細に記載されていない追加の工程又は機能を有する、より包括的な手順又はプロセスに組み込まれ得る。特に、ポリマー及び一般的な多層物品における様々な工程は、周知であり、そのため、簡潔さのために、多くの従来の工程は、本明細書で簡単に言及されるだけであるか、又は周知のプロセスの詳細を提供せずに完全に省略される。
物品
【0018】
本開示は、
図1~
図3に示されるように、多層物品(10)を提供する。物品(10)は、フィルム、容器、箱、カートン、袋、封筒、ドラム、缶、ボトル、又は同様のものとして更に画定されてもよい。物品(10)は、パッカー、ジャー、長方形、円形、楕円形、円筒形、噴霧器、ベア、キャニスタ、トトルなどとして当該技術分野において既知の形状を有するものとして更に画定されてもよい。
【0019】
物品(10)の寸法は、特に限定されず、当業者によって選択され得る。様々な実施形態では、物品(10)の体積は、約0.5オンス~約4オンス(約15ml~約125ml)、約4オンス~約8オンス(約120ml~約250ml)、約8オンス~約12オンス(約250ml~約355ml)、約12オンス~約16オンス(約350ml~約500ml)、約16オンス~約20オンス(約490ml~約600ml)、約20オンス~約24オンス(約600ml~約710ml)、約24オンス~約32オンス(約700ml~約1000ml)、約32オンス~約64オンス(約950ml~約2000ml)、約64オンス~約100オンス(約1950ml~約3000ml)、約100オンス~約136オンス(約2900ml~約4000ml)、又は約4000ml超である。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0020】
一実施形態では、物品(10)は、
図3に示されるように、ボトルとして更に画定される。例えば、物品(10)は、丸薬及び錠剤のために十分に大きい広口を有し、約28mm~約120mmの口サイズを有してもよい。狭いネック物品は、約15mm~約28mmのネック直径を有し、典型的には、液体に使用される。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0021】
物品(10)は、製品(26)を貯蔵するように設計される。製品(26)は、液体、固体、又は気体であってもよい。様々な実施形態では、製品(26)は、動物の健康用薬剤などの液剤などの、液体である。代替的に、製品(26)は、溶媒、例えば、極性溶媒又は非極性溶媒であってもよい。製品(26)は、水であってもよい。
【0022】
代替的に、製品(26)は、医薬用錠剤、カプレットなどの固体であってもよい。なお更なる実施形態では、製品(26)は、インプラント、再建用人工器官、医療埋め込み可能ピルなどの皮下薬物送達デバイス、薬剤溶出ステント、及び同様のものなどの医療デバイスであってもよい。更に他の実施形態では、製品(26)は、外傷デバイス、外科用ツール、プレート、外科用固定デバイス、外科用付属品、又は同様のものとして更に画定される。外科用固定デバイスは、限定されるものではないが、ねじ、ピン、及び締結具を含み得る。更に別の実施形態では、製品(26)は、動物の健康用薬剤、例えば、液剤である。更なる実施形態では、製品(26)は、カプレット若しくはカプセル、液体若しくはローション、粉末若しくは顆粒、調味料若しくはソース、飲料、又は同様のものである。
【0023】
物品(10)は、多層である。例えば、物品(10)は、典型的には、以下に説明されるように、合計3つ又は5つの層を含む。一実施形態では、物品(10)は、例えば、
図1及び
図3に示されるように、3つの層(12、14、16)からなる。別の実施形態では、物品(10)は、例えば、
図2に示されるように、5つの層(12、14、16、18、20)からなる。物品(10)が、4つの層(図には示されていない)からなり得ることもまた企図される。
【0024】
物品は、典型的には、壁によって画定される容器である。
図3に示されるように、層(12、14、16)、及び任意選択的に層(18、20)は、基部(22)、側壁(24)、及び/又は端壁(図示せず)を形成することができる。層(12、14、16)、及び任意選択的に層(18、20)は、典型的には、空洞(C)を画定する。空洞(C)は、典型的には、層(12、14、16)によって完全に囲まれている(すなわち、全ての側面上に画定される)。層(12、14、16)、及び任意選択的に層(18、20)はまた、空洞(C)を完全に囲むための頂部(30)を形成してもよい。代替的に、頂部(30)は、互いに異なる材料から形成されてもよい。空洞(C)は、円筒形状、球形状、円錐形状、矩形形状、立方体形状、及び同様のものを含むがこれらに限定されない任意の形状として画定されてもよい。一実施形態では、空洞(C)は、製品(26)の形状と同じ、実質的に同様、又は相補的である形状として画定される。別の実施形態では、空洞(C)は、ポケットとして画定される。典型的には、空洞(C)は、製品(26)を受容する。
第1の層
【0025】
物品(10)は、第1の層(16)を含む。第1の層(16)は、物品(10)の最内層、最外層、又は内部層若しくは外部層として説明されてもよい。一実施形態では、第1の層(16)は、製品(26)に接触するように配設される最内層である。「最内」という用語は、この第1の層(16)が、物品(10)によって保持される製品(26)に面することを説明する。例えば、かかる実施形態では、物品(10)によって保持される製品(26)に接触するために、第1の層(16)の上部に配設された層は存在しない。第1の層(16)は、代替的に、最も内側の層、内側の層、又は内部層として説明されてもよい。第1の層(16)は、代替的に、製品(26)に接触するか、又は製品(26)に接触するように設計された内部層又は層として説明される。一実施形態では、第1の層(16)は、物品(10)の内部環境、例えば、
図3に示される空洞(C)に暴露される。最内層としての第1の層(16)は、最外層としての第2の層(12)の反対側に配設され得る。
【0026】
代替的に、第1の層(16)は、製品(26)の反対側に配設されるような最外層であってもよい。「最外」という用語は、この第1の層(16)が環境に面し、それ自体が最内層であり得る、第2の層(12)の反対側に配設されることを説明する。例えば、かかる実施形態では、第2の層(12)の上部に配設されて、環境に面する層は存在しない。第1及び/又は第2の層(16、12)は、代替的に、最も外側の層、外側の層、又は外部層、例えば、消費者によって取り扱われ、触れられる層として説明されてもよい。第2の層(12)は、代替的に、環境に暴露される外部層又は層として説明されてもよい。
【0027】
第1の層(16)は、ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む。PCTFEは、中和されるか、又は未中和であってもよい。例えば、PCTFEの中和形態は、様々な非限定的な実施形態において、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第9,862,811号に記載され得る。一実施形態では、第1の層(16)は、中和PCTFEである。別の実施形態では、第1の層(16)は、未中和PCTFEである。更に別の実施形態では、第1の層(16)は、中和PCTFEと未中和PCTFEとの混合物である。更に他の実施形態では、第1の層(16)は、PCTFEとフッ化ビニリデン(VF)とのコポリマーを含んでもよい。典型的には、コポリマーは、最大で約5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量%のVFを含んでもよい。その上、コポリマーは、上記の値を含み、かつ上記の値の間のVFの重量パーセントの任意の値又は値の範囲、例えば、コポリマー中のVFの1~5重量%を含み得る。第1の層(16)は、典型的には、約50~約100、約55~約95、約60~約90、約65~約85、約70~約80、約75~約80、若しくは約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は更により高い重量パーセントのポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)(中和及び/若しくは未中和)、並びに/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーである。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0028】
第1の層(16)は、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)((中和及び/若しくは未中和)、並びに/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーであるか、これらを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなってもよい。「から本質的になる」という用語は、第1の層(16)が、上記で説明されていない他のポリマーを含まないか、又は5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量パーセント未満のこれらの他のポリマーを含む、実施形態を説明する。第1の層(16)は、コポリマー及び/又は2つのタイプのPCTFEのうちの1つを含まなくてもよい。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
結合層
【0029】
物品(10)はまた、第1の層(16)上に配設された結合層(14)を含む。結合層(14)は、例えば、
図1に示されるように、第1の層(16)上に配設され、第1の層(16)と直接接触してもよい。換言すれば、かかる実施形態では、結合層(14)と第1の層(16)との間に配設された他の層は存在しない。この実施形態では、結合層(14)は、第1の層(16)に接触する。代替的に、結合層(14)は、例えば、結合層(14)が第1の層(16)に直接接触しないように、1つ以上の層が間に配設された状態で、第1の層(16)の上に配設され、かつ第1の層(16)から離間されてもよい。
【0030】
結合層(14)は、エチレンアクリレート樹脂を含むか、又はエチレンアクリレート樹脂である。エチレンアクリレート樹脂は、代替的に、当該技術分野において既知であり得る、変性エチレンアクリレート樹脂として説明されてもよい。例えば、変性エチレンアクリレート樹脂は、エステル、無水物、アルカン、アルケン、ケトン、アルデヒド、アミンなどで変性され得る。一実施形態では、結合層は、エステル変性エチレンアクリレート樹脂である。好適な非限定的な例は、エステル変性エチレンアクリレート樹脂である、BYNEL(登録商標)シリーズ2200樹脂である。それらは、温度安定性エステルを含有し、これは、高温共押出において結合層を機能性にする。
【0031】
結合層(14)は、典型的には、約50~約100、約55~約95、約60~約90、約65~約85、約70~約80、約75~約80、若しくは約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は更により高い重量パーセントの(変性)エチレンアクリレートである。結合層(14)は、(変性)エチレンアクリレートであるか、それらを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなってもよい。「から本質的になる」という用語は、結合層(14)が、上記で説明されていない他のポリマーを含まないか、又は5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量パーセント未満のこれらの他のポリマーを含む、実施形態を説明する。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
第2の層
【0032】
物品(10)は、第2の層(12)を更に含む。第2の層(12)は、例えば、上記のように、最内層又は最外層であってもよい。例えば、第2の層(12)が最外層である場合、「最外」という用語は、この第2の層(12)が環境に面し、第1の層(16)の反対側に配設されることを説明する。かかる実施形態では、第2の層(12)の上部に配設されて、環境に面する層は存在しない。第2の層(12)は、代替的に、最も外側の層、外側の層、又は外部層、例えば、消費者によって取り扱われ、触れられる層として説明されてもよい。第2の層(12)は、代替的に、環境に暴露される外部層又は層として説明されてもよい。
【0033】
第2の層(12)は、結合層(14)上に配設される。一実施形態では、第2の層(12)は、例えば、
図1に示されるように、結合層(14)上に配設され、結合層(14)と直接接触する。換言すれば、かかる実施形態では、結合層(14)と第2の層(12)との間に配設された他の層は存在しない。この実施形態では、結合層(14)は、第2の層(12)に接触する。例えば、第2の層(12)及び第1の層(16)は、例えば、
図1及び
図3に示されるように、結合層(14)をそれらの間に挟持して、それにより多層物品(10)を形成する。代替的に、第2の層(12)は、例えば、結合層(14)が第2の層(12)に直接接触しないように、1つ以上の層が間に配設された状態で、結合層(14)の上に配設され、かつ結合層(14)から離間されてもよい。
【0034】
第2の層(12)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む。ポリエステルは、特に限定されず、当該技術分野において既知の任意のものであってもよい。様々な実施形態では、ポリエステルは、ポリグリコリド又はポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate、PHA)、ポリヒドロキシブチレート(polyhydroxybutyrate、PHB)、ポリエチレンアジペート(polyethylene adipate、PEA)、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate、PBS)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(poly(3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyvalerate)、PHBV)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ポリエステルは、PETである。別の実施形態では、第2の層(12)は、ポリカーボネートである。更なる実施形態では、第2の層(12)は、ポリプロピレンである。更に別の実施形態では、第2の層(12)は、ポリエチレン、例えば、超高分子量ポリエチレン(Ultra-high-molecular-weight polyethylene、UHMWPE)、超低分子量ポリエチレン(Ultra-low-molecular-weight polyethylene、ULMWPE又はPE-WAX)、高分子量ポリエチレン(High-molecular-weight polyethylene、HMWPE)、高密度ポリエチレン(High-density polyethylene、HDPE)、高密度架橋ポリエチレン(High-density cross-linked polyethylene、HDXLPE)、架橋ポリエチレン(Cross-linked polyethylene、PEX又はXLPE)、中密度ポリエチレン(Medium-density polyethylene、MDPE)、線状低密度ポリエチレン(Linear low-density polyethylene、LLDPE)、低密度ポリエチレン(Low-density polyethylene、LDPE)、超低密度ポリエチレン(Very-low-density polyethylene、VLDPE)、若しくは塩素化ポリエチレン(Chlorinated polyethylene、CPE)、及び/又はこれらの組み合わせである。
【0035】
第2層(12)に対するポリエステルは、固有粘度に基づいて選択されてもよい。ポリエステルは、DAK-QAR-SOP-0012を使用して判定される、約1~約1.05、約1~約1.1、約1~約1.15、約1~約1.2、約1.05~約1.2、約1.05~約1.15、約1.05~約1.1、約1.1~約1.2、約1.1~約1.15、約1.15~約1.2などの固有を有し得る。様々な実施形態では、これらの値は、±0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、又は0.1だけ変化し得る。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0036】
第2の層(12)は、典型的には、約50~約100、約55~約95、約60~約90、約65~約85、約70~約80、約75~約80、若しくは約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は更により高い重量パーセントのポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせである。第2の層(12)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせであるか、それらを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなってもよい。「から本質的になる」という用語は、第2の層(12)が、上記で説明されていない他のポリマーを含まないか、又は5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量パーセント未満のこれらの他のポリマーを含む、実施形態を説明する。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
任意選択の層
【0037】
物品(10)はまた、任意選択的に、ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む2つの任意選択の層(18、20)も含む。例えば、任意選択の層の一方又は両方は、物品(10)内に含まれてもよいか、又は含まれなくてもよい。任意選択の層の一方又は両方は、前述の層(12、14、16)のうちの任意の1つ以上と同じであっても、又は同様であってもよい。代替的に、それらは、前述の層(12、14、16)のうちの任意の1つ以上と異なっていてもよい。様々な実施形態では、第1の任意選択の層(18)及び第2の任意選択の層(20)の両方が、例えば、
図2に示されるように、第1の層(16)上に配設される。
【0038】
前述の層(12、14、16、18、20)の各々は、異なる厚さを有することができるが、第1の層は、典型的には、約0.5~約6ミルの厚さを有し、一方で結合層は、典型的には、約0.5~約3ミルの厚さを有し、第2の層は、典型的には、約5~約25ミルの厚さを有する。第1及び第2の任意選択の層(18、20)は、含まれる場合、層(12、14、16)のうちのいずれか1つと同じ又は異なる厚さを有することができる。例えば、第1及び第2の任意選択の層(18、20)は、互いに同じ又は異なる厚さ、例えば、約0.5~約25ミルを有してもよい。様々な実施形態において、前述の層(12、14、16、18、20)のうちのいずれか1つ以上は、約0.5~約5.5、約1~約5、約1.5~約4.5、約2~約4、約2.5~約3.5、約2.5~約4、約1~約2.5、約1.5~約2、約5~約20、約10~約15、約15~約20、若しくは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ミルの厚さを有することができる。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0039】
上記に加えて、物品(10)のPCTFEは、USPクラスVI指定を有する。当該技術分野において既知であるように、米国薬局方(United States Pharmacopeia、USP)は、薬剤及び他のヘルスケア技術の品質を保護するための規格を確立することによって公衆衛生を承認する非政府機関である。USP規格は、米国薬局方及び国民医薬品集(US Pharmacopeia and the National Formulary、USP NF)に公開される。USPクラスVI製品は、一連の生物学的試験を経る。USPクラスVI化合物は、浸出液の厳しい要件を満たす生体適合性の明確な履歴を有する成分から作製されなければならない。これらの試験は、Acute Systemic Toxicity Test、Intracutaneous Test、Implantation Test、Standard Temperatures and Times testなどを含む。Systemic Injection Test及びIntracutaneous Testを含む、この分類内に含まれる3つのインビボ試験が存在する。クラスVI認定を合格したプラスチック樹脂材料は、良好な生体適合性の結果を生成する可能性がより高いことが予想される。製品がUSPクラスVI規格を合格するためには、試験要件のすべてを合格することにより、非常に低いレベルの毒性を呈しなければならない。USPクラスVIに対するコンプライアンスは、多くの場合、エンドユーザによって要求される。コンプライアンスに対する試験は、組織上の材料及び抽出物の効果の評価を含む。
【0040】
加えて、物品(10)は、ASTM D1003-13を使用して判定される、少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は約100パーセントの透明度を有する。他の実施形態では、物品(10)は、ASTM D1003-13を使用して判定される、少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は約100パーセントの透過率を有する。更に他の実施形態では、物品(10)は、ASTM D1003-13を使用して判定される、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1パーセント未満のヘイズを有する。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0041】
物品(10)の水蒸気透過率(moisture vapor transmission rate、MVTR)は、ASTM F1249に記載の手順を介して判定され得る。一実施形態では、物品(10)は、例えば、Moconから入手可能な水蒸気透過率測定機器によって判定される37.8℃における構造全体の約1.0g/100インチ2/日(15.5g/m2/日)以下、及び100%の相対湿度(RH)、より典型的には全体構造の0.0005~約0.7g/100インチ2/日(0.0077~約10.7g/m2/日)、最も典型的には全体構造の0.001~約0.06g/100インチ2/日(0.015~約0.93g/m2/日)からの典型的なMVTRを有する。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0042】
物品(10)の酸素透過率(oxygen transmission rate、OTR)は、25℃、0%RHで操作される、Moconによって製造されたOX-TRAN 2/20装置を使用して、ASTM D-3985の手順を介して判定され得る。一実施形態では、物品(10)は、約50cc/100インチ2/日(775g/m2/日)以下、より典型的には約0.001~約20cc/100インチ2/日(0.015~約310g/m2/日)、最も典型的には約0.001~約10cc/100インチ2/日(0.015~約150cc/m2/日)からのOTRを有する。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0043】
前述の層(12、14、16、18、20)の各々は、これらの使用が当業者に周知である1つ以上の従来の添加剤を含んでもよく、又は含まなくてもよい。かかる添加剤の使用は、層(12、14、16、18、20)の加工を強化するのに望ましい場合がある。そのようなものの例として、酸化及び熱安定剤、潤滑剤、剥離剤、難燃加工剤、酸化抑制剤、脱酸化剤、染料、色素及び他の着色剤、紫外線吸収剤及び安定剤、抗菌剤、粒子状及び繊維状充填剤を含む有機又は無機充填剤、強化剤、核剤、可塑剤、並びに当該技術分野において周知の他の従来の添加物が挙げられる。このような量は、例えば、層組成物全体の最大約30重量%の量で使用されてもよい。代表的な紫外線安定剤として、様々な置換レゾルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、及び同様のものが挙げられる。好適な潤滑剤及び剥離剤として、ワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、及びステアルアミドが挙げられる。例示的な難燃剤として、デカブロモジフェニルエーテル及び同様のものを含む、有機ハロゲン化合物、並びに無機化合物が挙げられる。染料及び色素を含む好適な着色剤として、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、二酸化チタン、フタロシアニン、ウルトラマリンブルー、ニグロシン、カーボンブラック、及び同様のものが挙げられる。代表的な酸化安定剤及び熱安定剤として、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リチウム、並びに、ハロゲン化銅、更に塩化物、臭化物、ヨウ化物、などの元素群I族金属ハロゲン化物の周期表が挙げられる。また、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、芳香族アミン、並びに上述の族の置換部材及びこれらの組み合わせが許容可能である。例示的な可塑剤として、カプロラクタム及びラウリルラクタムなどのラクタム、o,p-トルエンスルホンアミド及びN-エチル,N-ブチルベニレンスルホンアミドなどのスルホンアミド、並びに上記の任意の組み合わせ、加えて当該技術分野において周知の他の可塑剤が挙げられる。
追加の実施形態
【0044】
一実施形態では、物品(10)は、2つの任意選択の層を含まず、結合層が第1の層と直接接触して配設され、第2の層が結合層と直接接触して配設される、3層構造である。別の実施形態では、第1の層(16)は、製品(26)に接触するように配設された最内層であり、第2の層(12)は、最外層である。更なる実施形態では、第2の層(12)は、製品(26)に接触するように配設された最内層であり、第1の層(16)は、最外層である。
【0045】
代替的に、物品(10)は、2つの任意選択の層(18、20)を含み、第1の任意選択の層(18)及び第2の任意選択の層(20)の両方が第1の層(16)上に配設された5層構造であり、第1の任意選択の層(16)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含み、第1の任意選択の層(18)と第1の層(16)との間に第2の任意選択の層(20)を挟持し、第2の任意選択の層(20)は、エチレンアクリレート樹脂を含む。
【0046】
様々な関連する実施形態では、第1の層(16)は、ポリクロロトリフルオロエチレンである。ポリクロロトリフルオロエチレンは、中和されていても、中和されていなくてもよい。代替的に、第1の層(16)は、ポリクロロトリフルオロエチレンと最大5重量%のフッ化ビニリデンとのコポリマーを含み得るか、又はこのコポリマーであり得る。更に他の関連する実施形態では、エチレンアクリレート樹脂は、エステル変性エチレンアクリレート樹脂である。その上、第2の層(12)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルであってもよい。その上、更に他の関連する実施形態では、第1の層(16)は、約0.5~約6ミルの厚さを有し、結合層(14)は、約0.5~約3ミルの厚さを有し、第2の層(12)は、約5~約25ミルの厚さを有する。同様に、2つの任意選択の層(18、20)は各々、独立して、約0.5~約25ミルの厚さを有することができる。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0047】
一実施形態では、物品(10)は、動物の健康用薬剤を貯蔵するための3層物品である。一実施形態では、物品(10)は、動物の健康用薬剤(26)と接触するように配設され、かつポリクロロトリフルオロエチレンである最内層(16)、第1の層(16)上に配設され、第1の層(16)に直接接触し、かつエステル変性エチレンアクリレート樹脂である結合層(14)、及び結合層(14)上に配設され、結合層(14)と直接接触し、かつポリエチレンテレフタレートである、最外層(12)からなる。この実施形態では、最内層(16)は、約0.5~約6ミルの厚さを有し、結合層(14)は、約0.5~約3ミルの厚さを有し、最外層(12)は、約5~約25ミルの厚さを有する。その上、この実施形態では、物品(10)は、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する。例えば、この物品(10)は、例えば、
図3に示されるように、ボトルとして更に画定され得る。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0048】
更に他の実施形態では、物品(10)は、以下の3層構造を有する:
PCTFEの最内層/結合層/PC、PET、HDPE、PPの最外層、又は、
PCTFEの最外層/結合層/PC、PET、HDPE、PPの最外層。
【0049】
他の実施形態では、物品(10)は、以下の5層構造を有する:
PC、PET、HDPE、PPの最内層/結合層/PCTFE/結合層/PC、PET、HDPE、PPの最外層、又は、
PC、PET、HDPE、PPの最外層/結合層/PCTFE/結合層/PC、PET、HDPE、PPの最内層。
【0050】
更なる実施形態では、物品(10)は、以下の層分布を有してもよく、全ての値は、物品(10)全体の重量に基づいて、重量パーセントであり:
最内層としてPCTFEを有する三層構造:
PCTFEの最内層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約35、約10~約30、約15~約25、又は約15~約20重量パーセント、
結合層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約15、約10~約15、又は約5~約10重量パーセント、
最外層:物品(10)の総重量に基づいて、約45~約75、約50~約70、約55~約65、又は約55~約60重量パーセントである。
最外層としてPCTFEを有する三層構造:
PC、PET、HDPE、PPの最内層:物品(10)の総重量に基づいて、約45~約75、約50~約70、約55~約65、又は約55~約60重量パーセント、
結合層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約15、約10~約15、又は約5~約10重量パーセント、
PCTFEの最外層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約35、約10~約30、約15~約25、又は約15~約20重量パーセントである。
5層構造:
PC、PET、HDPE、PPの最内層:物品(10)の総重量に基づいて、約25~約75、約30~約70、約35~約65、約40~約60、約45~約55、又は約45~約50重量パーセント、
結合層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約15、約10~約15、又は約5~約10重量パーセント、
PCTFE層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約35、約10~約30、約15~約25、又は約15~約20重量パーセント、
結合層:物品(10)の総重量に基づいて、約5~約15、約10~約15、又は約5~約10重量パーセント、
PC、PET、HDPE、PPの最外層:物品(10)の総重量に基づいて、約25~約75、約30~約70、約35~約65、約40~約60、約45~約55、又は約45~約50重量パーセントである。
様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
物品を形成する方法
【0051】
物品(10)は、周知の射出成形、共射出吹込成形、共射出延伸吹込成形、又は共押出吹込成形技術を含む、当該技術分野において既知の従来の方法によって製造することができる。例えば、物品(10)は、層のうちの1つ以上に対して成分/ポリマーを供給し、次いで物品(10)を好適な成形型の周囲に形成し、当該技術分野において周知の方法で加熱する方法を使用して形成されてもよい。
【0052】
物品(10)を製造するための最も典型的な方法は、共押出吹込成形である。共押出吹込み成形は、個々の押出成形機が、個々の成分を共押出ヘッドに供給するプロセスであり、多層パリソンが、形成され、かつ押出される。次いで、パリソンは、依然としてその溶融形態で、2つの金型半体の間に挟持される。金型半体がパリソン上で完全に閉鎖すると、パリソンの中心に空気が導入され、次にパリソンを金型空洞の構成に膨張させる。次いで、材料は、冷却された金型半体の表面から導入されるより低い温度に起因して固化する。次いで、金型半体は、開放され、新たに形成された容器が、金型から取り出される。
【0053】
代替的に、物品(10)は、まず、本明細書に記載される個々の層を組み合わせて、多層フィルムを形成し、続いて多層フィルムを所望の成形物品(10)に成形することによって形成されてもよい。この実施形態では、多層フィルムは、共押出及び積層技術を含む、多層フィルムの製造に有用な従来の方法によって製造され得る。従来の共押出プロセスでは、個々の層に対するポリマー材料は、同様の数の押出機の送り込みホッパーに供給され、各押出機は、層のうちの1つ以上に対する材料を取り扱う。個々の押出機からの溶融及び可塑化された流れは、マルチマニホールドダイに直接供給され、次いで、組み合わせブロック内で積層された構造に並置され、かつ組み合わされるか、又は層状構造に組み合わされ、次いで単一のマニホールド又はマルチマニホールド共押出ダイに供給される。層は、ポリマー材料の単一の多層フィルムとしてダイから現れる。ダイを出た後、フィルムは、第1の制御された温度鋳造ロール上に流延され、第1のロールの周りを通過し、次いで第2の制御された温度ロール上に入る。制御された温度ロールは、ダイから出た後のフィルムの冷却速度を大きく制御する。追加のロールが、用いられてもよい。別の方法では、フィルム形成装置は、当該技術分野において吹込フィルム装置と称されるものであり得、バブル吹込フィルムのためのマルチマニホールド円形ダイヘッドを含み、それを通って可塑化フィルム組成物が、強制的に押し出され、フィルムバブルに形成され、これが最終的に折り畳まれてフィルムに形成され得る。共押出フィルムの1つの利点は、フィルム層の各々の溶融層、並びに任意の他の任意選択のフィルム層を一体型フィルム構造に組み合わせることによる、1つのプロセス工程における多層フィルムの形成である。
【0054】
代替的に、個々の層は、まず別個の層として形成され、次いで、中間接着剤層を伴うか、又は伴わずに、熱及び圧力下でともに積層されてもよい。積層技術は、当該技術分野において周知である。典型的には、積層は、層を結合させて単体のフィルムにするのに十分な加熱及び圧力の条件下で個々の層を互いの上に位置付けることによって行われる。典型的に、層は、互いの上に位置決めされ、その組み合わせを、当該技術分野において周知の技術によって一対の加熱した積層ローラのニップに通す。積層加熱は、約120℃~約175℃、典型的には約150℃~約175℃の範囲の温度、約5psig(0.034MPa)~約100psig(0.69MPa)の範囲の圧力で、約5秒~約5分、典型的には約30秒~約1分の間に行われ得る。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
【0055】
一実施形態では、物品(10)は、共押出吹込成形によって形成される。例えば、フィルムは、成形前に一軸又は二軸配向されてもよい。層は、少なくとも1つの方向、すなわちその長手方向、その横断方向において一軸配向で、又は長手方向及び横断方向の各々において二軸配向で、1.5:1~5:1の延伸比に延伸されてもよい。延伸比という用語は、延伸方向における寸法の増加の指標である。例えば、物品(10)は、その長手方向又は横断方向のいずれかにおいて、約1.3~約10倍に一軸配向され得、又は多層構造は、その長手方向及び横断方向の各々において、約1.5~約5倍に二軸配向され得る。物品(10)はまた、長手方向及び横断方向のいずれか又は両方において、より小さい又はより大きい程度に延伸されてもよい。層は、同時に二軸配向されてもよく、例えば、機械方向及び横断方向の両方においてフィルムを同じように配向する。これにより、透明性、強度及び靱性特性、並びに改善された水蒸気透過率の劇的な改善をもたらす。様々な非限定的な実施形態では、前述の値を含み、かつ前述の値の間のすべての値及び値の範囲が、本明細書における使用について、本明細書で明確に企図される。
物品をガンマ線処理する方法
【0056】
本開示はまた、物品(10)をガンマ線滅菌する方法を提供する。本方法は、上記のいずれかであり得る物品(10)を提供する工程と、物品(10)をガンマ線滅菌する工程と、を含む。ガンマ線滅菌の工程は、当業者によって選択される任意の条件を使用して利用され得る。
【0057】
前述の詳細な説明で、少なくとも1つの例示の実施形態が提示されたが、膨大な数の変更例が存在することを理解されたい。例示の実施形態又は複数の例示の実施形態は、あくまで例示であり、いかなるようにも範囲、適用性、又は構成を制限する意図がないこともまた理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者らに例示の実施形態を実装するのに簡便なロードマップを提供するだろう。添付の特許請求の範囲に記載される範囲から逸脱することなく、例示の実施形態に説明された要素の機能及び構成に様々な変更を加えることができるものと理解される。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を貯蔵するための多層物品であって、
A.ポリクロロトリフルオロエチレン及び/又はポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーを含む、第1の層と、
B.前記第1の層上に配設され、かつエチレンアクリレート樹脂を含む、結合層と、
C.前記結合層上に配設され、かつポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせを含む、第2の層と、
D.ポリクロロトリフルオロエチレン及び/若しくはポリクロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、又はエチレンアクリレート樹脂、又はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはこれらの組み合わせを各々が独立して含む、2つの任意選択の層と、を含み、
前記物品が、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する、多層物品。
【請求項2】
前記2つの任意選択の層を含まず、前記結合層が前記第1の層と直接接触して配設されており、前記第2の層が前記結合層と直接接触して配設されている3層構造である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
動物の健康用薬剤を貯蔵するための3層物品であって、
A.前記動物の健康用薬剤と接触するように配設されており、かつ前記ポリクロロトリフルオロエチレンである最内層である、前記第1の層と、
B.前記第1の層上に配設されており、前記第1の層と直接接触し、かつ前記エステル変性エチレンアクリレート樹脂である、前記結合層と、
C.前記第2の層が前記結合層上に配設されており、前記結合層と直接接触している最外層であり、ポリエチレンテレフタレートであるポリエステルである、からなり、
前記最内層が、約0.5~約6ミルの厚さを有し、前記結合層が、約0.5~約3ミルの厚さを有し、前記最外層が、約5~約25ミルの厚さを有し、
前記物品が、ASTM D1003-13を使用して判定される少なくとも約90%の透明度を有する、請求項1に記載の物品。
【国際調査報告】