(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】調節可能磁気平衡錘
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20220629BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H02N2/04
H01F7/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563070
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020029268
(87)【国際公開番号】W WO2020219516
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518119928
【氏名又は名称】インベテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ロ クリス
(72)【発明者】
【氏名】リタリアン マーク
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA18
5H681BB13
5H681BC10
5H681DD59
5H681EE10
(57)【要約】
調節可能磁気平衡錘の平衡錘力が調節可能である調節可能磁気平衡錘アセンブリ。調節可能磁気平衡錘アセンブリは、少なくとも1つの強磁性管と、少なくとも1つの強磁性管に配置され、かつ軸線方向に移動可能であるように構成された磁石とを含み、磁石は、それぞれの少なくとも1つの強磁性管に対して回転的に移動可能であるように構成され、平衡錘力は、磁石の極性位置合わせを変更するために磁石とそれぞれの強磁性管の間の回転位置を調節することによって調節可能であるように構成される。これに代えて、調節可能磁気平衡錘アセンブリは、1つの磁石の隣接するものに対する磁極の相対位置合わせに基づいて平衡錘力を変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能磁気平衡錘の平衡錘力が調節可能である調節可能磁気平衡錘アセンブリであって、
強磁性管と、
前記強磁性管内に配置され、かつ該強磁性管に対して軸線方向に移動可能に構成された第1の磁石と、
を含み、
前記第1又は第2の磁石のうちの少なくとも一方が、他方の磁石に対して移動可能に構成され、
前記磁石の位置を互いにそれぞれ調節することによって、前記平衡錘力が調節可能に構成される、
ことを特徴とする調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項2】
前記磁石のうちの少なくとも一方が円筒形である、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項3】
前記磁石の極性位置合わせを変更することができるように、前記磁石のうちの少なくとも一方が他方の磁石に対して回転するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項4】
前記強磁性管は、第1の強磁性管を含み、前記第2の磁石は、該第1の強磁性管に対して平行に位置決めされた第2の強磁性管内に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項5】
前記第1及び第2の磁石は、直線運動システムの第1の構成要素に結合される、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項6】
前記強磁性管は、前記第1の構成要素に対して移動する直線運動システムの第2の構成要素に結合される、ことを特徴とする請求項5に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項7】
前記磁石のうちの少なくとも一方が円筒形ではない、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項8】
前記磁石のうちの少なくとも一方が、他方の磁石により近く又はより遠くに移動するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項9】
第3の強磁性管内に配置された第3の磁石を更に含み、前記第3の磁石は、前記第1及び第2の磁石の間に配置され、かつ該第1及び第2の磁石に対して回転するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項10】
調節可能磁気平衡錘アセンブリであって、
少なくとも1つの穿孔を含む強磁性管と、
前記強磁性管内に配置され、かつ該強磁性管に対して軸線方向及び回転方向に移動可能に構成された磁石と、
を含み、
前記磁石及び前記強磁性管の間の回転位置を調節することにより、該磁石の極性位置合わせを変更し、それによって磁気平衡錘力を変更するように、前記磁気平衡錘アセンブリが構成される、
ことを特徴とする調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項11】
前記磁石は円筒形である、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項12】
前記回転位置は、前記磁石を回転させることによって調節される、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項13】
前記回転位置は、前記強磁性管を回転させることによって調節される、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項14】
前記磁石は、直線運動システムの第1の構成要素に結合される、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項15】
前記強磁性管は、前記第1の構成要素に対して移動する直線運動システムの第2の構成要素に結合される、ことを特徴とする請求項14に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項16】
前記強磁性管は、直線運動システムの移動テーブルに配置される、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項17】
前記穿孔は、前記強磁性管内のスロットを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項18】
前記穿孔は、前記強磁性管内の1対のスロットを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の調節可能磁気平衡錘アセンブリ。
【請求項19】
調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の平衡錘力を調節する方法であって、
磁石が配置された強磁性管に対する該磁石の回転位置を変更して、前記強磁性管に対する前記磁石の極性位置合わせを変更する段階を含み、
前記強磁性管は、少なくとも1つの穿孔を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の平衡錘力を調節する方法であって、
第1の磁石の第2の磁石に対する回転位置を変更して、前記磁石の互いに対する極性位置合わせを変更する段階を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、本明細書に引用によってその開示が組み込まれている2019年4月22日出願の米国仮特許出願第62/836,825号の先願日付の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
直線運動システムは、方向の少なくとも1つの軸に沿って正確な直線運動を生成するのに使用される。直線運動システムの用途は、直線運動が望ましいと考えられるあらゆる用途を含む。典型的な直線運動システムでは、移動キャリッジを様々なモータを用いて駆動する(前後に移動させる)ことができる。これらは、例えば、圧電アクチュエータと、リニアモータと、回転モータ及びスクリューと、回転モータ及びベルトと、回転モータ及びラック及びピニオンとを含むことができる。一般的に、1自由度運動(DOF)を有する直線運動システムは、静止ベース及び移動キャリッジ又はテーブルを特徴とするステージを含む。直線運動ステージは、1よりも多いDOFを有する多軸直線運動システムを形成するために組み合わせることができる。例えば、第1の直線運動ステージは、x軸に沿う運動を提供することができ、一方で第2の直線運動ステージは、x軸に対して垂直であるy軸に沿う運動を提供して2重軸直線運動システムを形成することができる。直線運動システムの例は、本明細書に引用によってその開示が組み込まれている米国特許第10,367,436号明細書号及び米国特許第10,374,530号明細書に見出される。直線運動ステージは、垂直方向に向けることができる。本発明の開示の実施形態は、磁気平衡錘(magnetic counter balance)を使用して直線ステージ(垂直方向に向けられた時)上の重力を平衡化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10,367,436号明細書
【特許文献2】米国特許第10,374,530号明細書
【発明の概要】
【0004】
10の倍数で増加したものを含む同様の参照文字が同じか又は類似の要素を指定することができる以下の図と共に本発明の開示の様々な実施形態を一例として本明細書に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの上面図である。
【
図2A】
図1のステージ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図2B】
図1のステージ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図2C】
図1のステージ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図4】調節不能磁気平衡錘アセンブリを有する従来の小型直線ステージの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリの斜視図である。
【
図6A】
図4のステージ内の磁石の位置を示す図である。
【
図6B】
図5の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図6C】
図5の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有する小型直線ステージの斜視図である。
【
図8】例示目的でブラケットを透明にした
図7のステージの斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有する小型直線ステージの斜視図である。
【
図10A】本発明の実施形態による
図9のステージの調節可能磁気平衡錘アセンブリの進行位置を示す図である。
【
図10B】本発明の実施形態による
図9のステージの調節可能磁気平衡錘アセンブリの進行位置を示す図である。
【
図11】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリの斜視図である。
【
図12】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図13A】
図12の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図13B】
図12の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図13C】
図12の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図14】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図15】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図16】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図17A】
図16の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図17B】
図16の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図17C】
図16の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図18】別の実施形態による調節可能磁気平衡錘アセンブリを有するステージの斜視図である。
【
図19A】
図18の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図19B】
図18の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【
図19C】
図18の調節可能磁気平衡錘アセンブリ内の磁石の可能な位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
磁気平衡錘では、直径を横切って(軸線に沿うのとは反対に)N->Sに分極された円筒形磁石は、それが様々な位置で直線軸線に沿って強磁性鋼管内で移動することができるように配置される。磁石は、鋼管に引き付けられ、それが同心的にのみ拘束される場合にそれはそれ自体を鋼管の中に完全に引き込み、かつそれ自体を鋼管内で中心に置き、それによって全ての方向に力を均等にすることになる。直線軸線を用いて鋼管と磁石を中心化して拘束することにより、平衡錘は、ほぼ一定の直線力を用いて達成することができる。この力は、鋼管が僅かな距離だけ離れている磁場にのみ影響を与えるので、すなわち、磁石が鋼管の端部に近づき過ぎないような十分な長さである鋼管内で磁石が関与する場合に一貫している。磁石サイズ及び強度以外では、平衡錘力(counterbalance force)の量は、磁石と管の間のクリアランス(ギャップ)と鋼管の壁厚とを調節することによって制御される。システムがユーザ向けに設計される時に、ユーザは、彼らの望ましいペイロードを識別し、平衡錘のサイズは、相応に設計される。
【0007】
進行の長さにわたって平衡錘力の一貫性に影響を与えるファクタは、鋼管に対する磁石の同心度、磁石の全長にわたる磁石の荷電一貫性、磁石の全長にわたる磁石のサイズ変動、軸線の進行の全長にわたる鋼管のサイズ変動である。
【0008】
設計のステージ間平衡錘力変動(製造構築一貫性)に影響を与えるファクタは、主として構成要素変動であり、すなわち、磁石間電荷変動、磁石間サイズ変動、鋼管間内径(ID)変動、鋼管間壁厚変動、及び組立変動である。ここに提示する実施形態は、これらの典型的な構築変動に対する調節を可能にすることを意図している。
【0009】
他の明白な利益は、コスト節約及び在庫最小化を含む。広範囲な平衡錘力調節を用いて、コストを節約するために鋼管のIDの機械加工を除去することも可能である。全範囲の平衡錘力値に対処するために在庫された鋼管の量を低減することも可能である。
【0010】
平衡錘が完璧なサイズにされて進行の長さにわたって完璧に一貫性のある力を有する時に、ペイロードは、いずれの電力もなしでどの位置でも垂直に浮遊することになる。それが完璧なサイズでない時に、システムは、ペイロードを固定位置に保つために電力を印加する必要がある。システムを固定位置に保持するために必要な電力は、システムの中に導入される熱をもたらし、これは、高精度機器には望ましくない。
【0011】
ユーザのためのシステムを設計する際に、停電が発生した時に何が起こることになるかを考慮することも必要である。一部の事例では、平衡錘は、ペイロードが安全な位置まで上向きに移動するようなサイズにする必要があり、他の事例では、平衡錘は、ペイロードが安全な位置まで下向きに移動するようなサイズにする必要がある。平衡錘力のサイズ決めは、ユーザのペイロードが停電状況で安全な位置まで移動することになることを保証するために、進行の長さにわたって構築一貫性におけるあらゆる誤差、並びに力一貫性におけるあらゆる誤差を考慮する必要がある。これは、何らかの望ましくない電力及び熱がシステムの中に導入されることが常に必要であることになることを意味する。
【0012】
本発明の開示の実施形態は、直線運動システムのための単一又は多重磁石調節可能平衡錘を含む。
【0013】
調節可能平衡錘の使用により、不整合の50%よりも多くを排除することができ、従って、不要な電力/熱の50%よりも多くを排除することもできる。
【0014】
一部の事例では、ユーザは、彼らが彼らのステージに装着することになる多数のデバイスを有することになり、これは、全体ペイロードに対する変動を引き起こすことになる。過去において、これは、ユーザが、彼らが彼らのデバイスを変更する時はいつでもシステムに追加する及びそこから除去することができる重りのブロックを使用することによって対処されてきた。この手法は、システムが可能な最大の質量に対して調整され、かつ最大平衡錘力に対するサイズを有する必要があることを意味する。最大質量に対して調整されて最大平衡錘に対するサイズを有する時に、ステージの性能属性(加速、減速、整定時間)は低減される。確立された固定位置を有する調節可能平衡錘の使用は、ユーザが調節を行い、従って、各望ましい構成に対して理想的な調整パラメータを利用することを可能にすることができる。
【0015】
本発明の開示の実施形態は、1つの磁石の隣接するものに対する極の相対位置合わせに基づいて平衡錘力が変化する調節可能平衡錘磁石を含む。これは、相対回転又は2つの隣接磁石間の距離を変更することによって達成される。これに代えて、平衡錘の力の増加は、単一スロット付き強磁性管内で磁石を用いて達成することができ、磁石と管の相対回転位置は調節可能である。この代替実施形態では、平衡錘力は、強磁性管内のスロット(又は他の形状の切り抜き)に対する磁石の磁極の回転によって調節することができる。複数の平行管又は磁石は、この実施形態に関して必要ではない。
【0016】
図1を参照すると、DOFステージ10は、平衡錘力変動に対してブラケット12によって支持された3つの磁石14A、14B、14Cの方位を考慮する平衡錘磁石アセンブリ11を含む。このステージは、試験に関して使用されたものである。結果は、以下の表1にある。
【0017】
図2Aを参照すると、磁石方位は、互いに引き付けられるようにそれらの極が向けられた3つの磁石14A、14B、14Cを示すように示されている。この組立手法は、典型的に、材料の複数のステージ及びバッチにわたって最も一貫性のある平衡錘力をもたらしてきた。これは、あらゆる調節の前の磁石方位に対する意図する開始点である。
【0018】
図2Bを参照すると、中心磁石14Bは、平衡錘力を増大するために90度回転される。
【0019】
図2Cを参照すると、中心磁石14Bは、平衡錘力を増大するために180度回転される。
【0020】
DOFステージが組み立てられた状態で同じ磁石及び強磁性鋼管を使用して、全体平衡錘力並びに全移動範囲にわたる線形性を特定するために調節が行われた。
(表1)
【0021】
これは、全移動範囲にわたって一貫性にいずれの悪影響もなしに平衡錘力を50%だけ増大することができたことを明らかにている。
【0022】
この原理は、磁石がそれらの磁場が相互作用するように互いの近くにある場合に1よりも多い磁石を使用する平衡錘の設計に適用することができる。この原理は、磁極が互いに反対である時に(バッキング)、平衡錘管の外側磁石のより多くが全体平衡錘力に影響することができるように磁場が外向きに更に遠くに投影されるということである。
【0023】
図3を参照すると、DOFステージ20は、装着ベース26と、ユーザペイロードがその上に組み立てられる移動テーブル28とを有して示されている。DOFステージ20は、中心磁石24Bの調節を可能にする3つの磁石24A、24B、24Cを有する装着ベースに取り付けられた平衡錘ブラケット22を含む平衡錘磁石アセンブリ21を更に含む。磁石24A、24B、及び24Cの各々は、移動テーブル28内に挿入された強磁性鋼管25A、25B、25Cに配置され、磁石24A、24B、及び24Cの各々は、それらのそれぞれの鋼管に関して軸線方向に移動可能である。この実施形態では、中心磁石24Bは、隣接磁石24A,24Cとの中心磁石24Bの極の相対位置合わせを調節するために回転させることができる。平衡錘ブラケット22は、管25B内で中心磁石24Bを回転させるのに使用されるスクリューアセンブリ29Aのような手動調節可能回転調節機構を含む。スクリュー29B、29C又は他のロッキング機構は、移動テーブル28に対して強磁性管25A、25B、25Cを定位置にロックするのに使用される。仮にこれが、ユーザが異なる使用に対してこれを動的に調節したいと望んだステージ上で使用されることになる場合に、ユーザが彼らの調節を反復的に繰り返すことを可能にするためにマーキング(図示せず)が適用される。
【0024】
図4を参照すると、従来の小型直線ステージ30は、垂直方位の作動に対して構成されて示されている。ステージ30は、装着ベース36及び移動テーブル38を有するように示されている。ステージ30は、移動テーブル38に取り付けられた管マウントブラケット37に装着された単一強磁性管35に配置された単一磁石34を支持する装着ベース36に取り付けられた平衡錘ブラケット32を含む平衡錘磁石アセンブリ31を更に含む。管35は、移動テーブル38が装着ベース36に対して移動する時に磁石34に対して軸線方向に移動可能である。磁石34は、移動テーブル38が装着ベース36に対して移動する時に管35に対して軸線方向に移動可能である。この単一磁石平衡錘実施形態では、磁石34の磁極方位(直径を横切ってN→>Sに分極された)は、調節機能に影響を与えるように別の磁石に関して変更することができず、従って、調節機能を達成するために別の概念が必要である。この実施形態では、平衡錘の力を制御するのに使用される変数は、典型的に磁石間隙と管の壁厚とである。
【0025】
図5を参照すると、本発明の実施形態により磁石の相対方位が調節可能である単一磁石平衡錘アセンブリ41が示されている。
図5に示すように、管45は、1対の正反対の長手スロット43A,43B(
図5では43Aのみを示す)と、管45の両端の材料結合部45A,45Bとを有する。管45は、磁石44の極の位置が例えば管45又は磁石44の回転位置を互いに対して手動で調節することによって管45のスロット43A,43Bに対して調節可能であるように磁石44に対しては回転可能である。
【0026】
図6Aを参照すると、
図4のステージに対する磁石マウントのための従来のマウント手法が示されている。磁石34は、構築される全てのステージに対して一貫した方位が存在するようにステージ上で常に直交して(分極方向に対して)向けられる。
【0027】
図6B及び
図6Cを参照すると、
図5のステージに対する管45のための2つの異なる調節された方位が示されている。
【0028】
図6Bは、管45の金属(中実スロット不在部分)に面する磁石44の極を示し、これは、最低平衡錘力に対する方位である。
【0029】
図6Cは、スロット43に面する磁石44の極を示し、これは、最高平衡錘力に対する方位である。
【0030】
管45のスロット43A,43Bの位置は、
図6B,6Cに示されており、互いから90度離れるように向けられている。平衡錘力は、90度範囲の管45回転の全体を通して変化する。
【0031】
図7を参照すると、ステージ40に装着された調節可能単一磁石平衡錘アセンブリ41が示されている。ステージ40は、装着ベース46及び移動テーブル48を有するように示されている。ステージ40は、移動テーブル48に取り付けられた管マウントブラケット47に装着された単一強磁性管45に配置された単一磁石44を有する装着ベース46に取り付けられた平衡錘ブラケット42を含む平衡錘磁石アセンブリ41を更に含む。管45は、1対の正反対の長手スロット43A,43Bを有する。
【0032】
図8を参照すると、ステージ40は、管マウントブラケット47が透明に例示されて示されている。これは、管45の端部での材料結合部45Aが、管マウントブラケット47が管45を剛的に保持することを可能にする構造一体性に関して使用されることを明確にするために示されている。
【0033】
図9を参照すると、上述で議論して試験した調節可能単一磁石平衡錘アセンブリ51を有する小型直線ステージ50が示されている。管55の90度回転を用いて、1kgから3kgの力まで移動する平衡錘力の約300%変動が達成された。力は、回転を通して徐々に変えられた。
【0034】
管55の端部での材料結合部55A、55Bは、磁石54の進行範囲にわたる線形性に確かに影響を与える。1kg又は3kg平衡錘を有する大型ステージ(上記で試験済み)に関して、線形性は、.25kgのペイロードに対処する必要があるDOFステージ上でのものほど重要ではない。磁石の端部が常に管の移動の中心領域に留まるように設計が対処することができる場合に、結合部は問題ではない。磁石が管の端部の近くに進行する必要があり、かつ線形性が重要である場合に、管の磁石側の材料結合部は除去される必要がある。
【0035】
図10Aを参照すると、進行の一定力領域である位置Aでの磁石54が示されている。
図10Bに示す位置Bでは、材料結合部55Aが接近し始め、力は、もはや一定にならない。
【0036】
図11を参照すると、ブラケット62と、磁石64と、一端に材料結合部65Bを有し、反対端から材料結合部が除去された平衡錘管65とを有する調節可能単一磁石平衡錘アセンブリ61が示されている。この実施形態では、力は、管の端部に遙かに近いところで一定に留まる。この実施形態では、材料結合部が管65から除去された時に失われる機械的一体性を保持するのに役立つ非鉄カラー70が存在する。
【0037】
平衡錘の調節機能に影響を与えるのに、全てが180度位相に関して対称である必要がある複数のスロットのような代替配置が使用される場合があり、スロットと材料の両方は、異なる幅のものとすることができき、材料結合部の長さは、進行長さと線形性におけるファクタとすることもできる。
【0038】
この単一磁石調節可能平衡錘の原理は、あらゆる多重磁石平衡錘に適用することもできる。
【0039】
図1-
図3の実施形態は、2つの外側磁石に対して単一磁石を回転させるように描かれているが、平衡錘磁力を調節する他の手段を使用することもできると考えられる。例えば、1又は2以上の磁石を互いに近づける又は遠くに離すように移動することも、磁力を調節するのに利用することができる。
【0040】
図12-
図19Cを参照すると、少なくとも2つの磁石と、2つの隣接磁石間の相対回転又は距離を変更するための少なくとも1つの強磁性管とを有する調節可能磁気平衡錘を有するそれぞれのベースに対して移動可能である直線運動ステージのための代替実施形態が示されている。
【0041】
図12を参照すると、1対の磁石74A,74Bを支持するステージ78と、内部に配置された1対の強磁性管75A,75Bを有するベース76とを有する実施形態が示されている。平衡錘力調節は、定位置にその後に固定することができる磁石74A、74Bの一方を回転させることによって行われる。この実施形態では、管75A,75Bは固定されて回転されない。
図13A-
図13Cを参照すると、可能な磁石方位は、最小の平衡錘力を有する
図13Aの位置によって示されており、
図13Bは、1つの磁石を90度回転させて増加した平衡錘力を示し、
図13Cは、1つの磁石を180度回転させた最大力を示している。
【0042】
図14を参照すると、この実施形態は、1つの強磁性管85のみが使用されることを除いて
図12の実施形態と同じである。
図13と同じ力調節機能を達成するために、いずれの磁石84A,84Bも回転させることができる。
【0043】
図15を参照すると、
図3の実施形態と類似のこの実施形態は、3つの強磁性管95A.95B,95Cと、中心磁石94Bが回転調節可能である3つの磁石94A,94B,94Cとを含む。
【0044】
図16を参照すると、この実施形態は、1つの強磁性管105と2つの磁石104A,104Bとを含み、一方の104Bは、例えば非円筒形であり、一方の104Aは、円筒形であり、円筒磁石104Aは、ベース106内の強磁性管105に配置される。円筒磁石104Aを回転させると、引力が増大する。この実施形態では、磁石104A、104Bは、ステージ108内で位置合わせされ、その後に定位置に固定される。
図17A-
図17Cを参照すると、可能な磁石方位は、最小の平衡錘力を有する
図17Aの位置によって示され、
図17Bは、1つの磁石を90度回転させて増大した平衡錘力を示し、
図17Cは、1つの磁石を180度回転させた最大力を示している。
【0045】
図18を参照すると、この実施形態は、1つの強磁性管115と2つの磁石114A,114Bとを含み、一方は、例えば非円筒形114Bであり、一方114Aは、円筒形であり、円筒磁石114Aは、ベース116に配置された強磁性管115に配置される。非円筒磁石114Bは、細長スロットに配置されたスクリューのような調節機構を備えたステージ118に取り付けられた調節ブラケット121によって支持される。2つの磁石114A,114B間の距離を調節することは、平衡錘力を調節する。磁石114A,114B間の距離を低減することは、引力を増大させる。強磁性管115を回転することは何も行わない。この実施形態では、磁石114A,114Bは、組立の前に位置合わせされ、その後に定位置に接着される。
図19A-
図19Cを参照すると、可能な磁石の位置は、磁石が最も遠くに離れた最小の衡錘力を有する
図19Aの位置によって示され、
図19Bは、磁石間の距離が増大して増大した平衡錘力を示し、
図19Cは、磁石間の距離が最小である最大力を示している。
【0046】
本明細書に開示する強磁性管は、円筒管又は非円筒管である場合がある。非円筒管は、例えば正方形断面を有することができる。正方形断面を有する非円筒管内の正方形磁石の回転は、0、90、及び180度に制限されると考えられる。
【0047】
本発明の開示の実施形態は、使用の前に磁気平衡錘を手動で調節する段階と、その後に例えば接着剤又はクランプで磁石を固定する段階とを含む。本発明の開示の実施形態はまた、
図3に示すような調節機構を用いて組立の後に磁気平衡錘を調節する段階を含む。
【0048】
開示した実施形態の特徴は、追加の実施形態を生成するために本発明の範囲内で組み合わせる、再配置する、省略するなどができる。更に、ある一定の特徴は、他の特徴の対応する使用なしに時に役立つように使用され場合がある。
【0049】
多くの代替、修正、及び変形が本発明の開示によって可能にされる。本発明の原理の適用を例示するために特定の実施形態を図示して詳細に説明したが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく他に具現化することができることは理解されるであろう。従って、本出願人は、本発明の精神及び範囲内である全てのそのような代替物、修正物、均等物、及び変形物を包含するように意図している。
【符号の説明】
【0050】
20 DOFステージ
21 平衡錘磁石アセンブリ
24A 磁石
25A 強磁性管
28 移動テーブル
【国際調査報告】