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特表2022-531145機能剤と有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスとを含む混合物、および関連する製造方法
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  • 特表-機能剤と有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスとを含む混合物、および関連する製造方法 図1-2
  • 特表-機能剤と有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスとを含む混合物、および関連する製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】機能剤と有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスとを含む混合物、および関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20220629BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220629BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220629BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/19
A61K8/29
A61Q17/04
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563208
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 FR2020050693
(87)【国際公開番号】W WO2020217024
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】1904461
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521462495
【氏名又は名称】ミヨシ ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴージョン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ドーファン,クエンティン
(72)【発明者】
【氏名】セラール,レティシア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ボスメット,ポーリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB241
4C083AD151
4C083BB21
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB25
4C083CC11
4C083CC19
4C083DD11
4C083DD16
4C083EE17
4C083FF01
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物(1)に関するものであり、少なくとも1つの有機ケイ素材料を有するワックス状マトリックス(3)も含み、その有機ケイ素材料がワックス状マトリックス(3)の重量部の大部分、好ましくはその全体を形成し、固体粒子(2)によって形成された機能剤が分散されていることを特徴とする。混合物(1)は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散されて、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことが意図されている。本発明はまた、化粧品および/または皮膚科学的組成物の配合に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物(1)であって、前記混合物(1)は、少なくとも1つの有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックス(3)も含み、前記有機ケイ素材料は、前記ワックス状マトリックス(3)の重量の大部分、好ましくは全てを形成し、固体粒子(2)によって形成された前記機能剤が前記ワックス状マトリックス(3)内に分散されており、前記混合物(1)は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散されて、前記機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことが意図されている、
混合物(1)。
【請求項2】
前記固体粒子(2)には、同じ種類の未処理の固体粒子と比較して、処理された固体粒子(2)によるワックス状マトリックス(3)の吸収能力を低下させる表面処理がされていることを特徴とする、請求項1に記載の固体混合物(1)。
【請求項3】
前記表面処理はまた、同じ種類の未処理の固体粒子と比較して、処理された固体粒子(2)の親油性および/または疎水性の性質を高めることも可能にすることを特徴とする、請求項2に記載の固体混合物(1)。
【請求項4】
前記表面処理が、前記粒子(2)のそれぞれの表面での分子(5)のグラフト化を含むことを特徴とする、請求項3に記載の固体混合物(1)。
【請求項5】
前記グラフト化分子(5)が、少なくともシリコーン鎖、炭酸鎖、天然もしくは合成ポリマー、有機分子、またはチタン酸化物もしくはケイ素酸化物を含むことを特徴とする、請求項4に記載の混合物(1)。
【請求項6】
前記有機ケイ素材料が、ポリメチルシルセスキオキサンであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項7】
前記固体粒子(2)が、10nm~500μmの範囲に含まれる、好ましくは100nm~100μmの範囲に含まれる平均サイズを有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項8】
前記固体粒子(2)が、少なくとも有機および/もしくは鉱物顔料、有機および/もしくは鉱物チャージ、複合材料および/もしくはバイオ複合材料、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項9】
前記機能剤が、物理的な日焼け止めを形成することを意図していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項10】
前記ワックス状マトリックス(3)が、脂溶性および/または水に不溶性もしくはほとんど不溶性であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項11】
前記ワックス状マトリックス(3)が、室温でほぼ固体であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項12】
前記ワックス状マトリックス(3)が、30~150℃の範囲に含まれる、より好ましくは45~130℃の範囲に含まれる融点および/または軟化点を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項13】
押出によって得られる、顆粒の形態、例えばペレットまたはスティック(4)などの形態であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項14】
前記機能剤が、前記混合物(1)の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%を形成することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項15】
前記機能剤および前記ワックス状マトリックス(3)が、一緒に、前記混合物(1)の、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、さらにより好ましくは全てを形成することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項16】
界面活性剤を含まないことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の混合物(1)。
【請求項17】
少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物(1)の製造方法であって、前記製造方法は、少なくとも、
-流体マトリックス(3)を得るための少なくとも1つの有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックス(3)を加熱する加熱工程(C)であって、前記有機ケイ素材料が、前記ワックス状マトリックス(3)の重量の大部分、好ましくは全てを形成する、加熱工程(C)と、
-固体粒子(2)によって形成された前記機能剤を前記流体マトリックス(3)内に分散させる分散工程(D)と、
を含み、
前記混合物(1)は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散されて、前記機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことが意図されている、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項18】
前記固体粒子(2)を処理する処理工程(T)を含み、前記処理工程(T)の間、前記固体粒子(2)には、同じ種類の未処理の固体粒子(2)と比較して、処理された固体粒子(2)によるワックス状マトリックス(3)の吸収能力を低下させる表面処理が施されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱工程(C)の間に、前記ワックス状マトリックス(3)は、その融点および/または軟化点以上の温度まで加熱されることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記固体粒子(2)の平均サイズを小さくすることを意図して前記固体粒子(2)を粉砕する粉砕工程(B)をさらに含むことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記粉砕工程(B)の完了時に、前記固体粒子(2)が、100nm~500μmの範囲にほぼ含まれる、好ましくは100nm~100μmの範囲に含まれる平均サイズを有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記分散段階が、少なくとも部分的に前記粉砕工程(B)を含み、その結果、前記粉砕工程(B)の少なくとも一部の間に、前記流体マトリックス(3)が、前記粒子(2)と混合されることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物(1)が、顆粒の形態、例えばペレットまたはスティック(4)の形態であるように、前記混合物(1)を押し出す押出工程(E)を含むことを特徴とする、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記押出工程(E)が、高温で実施され、前記混合物(1)は、この工程の間、60~80℃の範囲に含まれる温度を有することを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分散工程(D)の後に、前記混合物(1)が室温まで冷却されて固体を形成する冷却工程(F)を含むことを特徴とする、請求項17から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法であって、
請求項1から16のいずれか一項に記載の混合物(1)が添加されて、1つまたは複数の美容および/または皮膚科学的に許容される成分と混合される再分散工程(R)を含む、
製造方法。
【請求項27】
前記再分散工程(R)が、前記美容および/または皮膚科学的に許容される成分のうちの1つまたは複数によって、前記混合物(1)を可溶化する可溶化工程をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法。
【請求項28】
前記可溶化工程は、30℃未満の温度、好ましくは25℃未満の温度で実施されることを特徴とする、請求項27に記載の化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法。
【請求項29】
前記再分散工程(R)が、流動化工程をさらに含み、前記流動化工程において、前記添加された混合物(1)は、少なくとも流動化するまで加熱されることを特徴とする、請求項26または27に記載の化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の配合の分野で使用される物質および混合物の一般的な技術分野、特に機能剤、例えば顔料タイプ、を
含む種類の混合物に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物に関する。
【0003】
本発明はまた、そのような混合物の製造方法に関する。
【0004】
最後に、本発明は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0005】
化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造は、通常、いくつかの物質および化合物を組み合わせて均質な、すなわち、様々な化合物および物質が規則的に分布しており、安定している、つまり、特に沈降もしくはクリーミング(クリーム状にする)、または合体もしくは凝集などの別の望ましくない現象によって、時間の経過とともに相が分離しない材料に混合する必要がある。
【0006】
この目的のために、化粧品組成物に組み込まれてそのマットまたは光沢のある外観を着色または増強する前に、粉砕ユニットによって微粒子に粉砕される固体顔料に頼ることが知られている。それらは最終的な使用において一般的に満足のいくものであるが、これらの粉砕顔料の導入にはまだいくつかの欠点がある。
【0007】
化粧品組成物の製造におけるこれらの粉砕顔料の使用の1つの主要な欠点は、これらの粉砕性にあり、これらの粉砕顔料の保管、輸送、および取り扱いを、複雑で、高価で、汚れ、およびさらには汚染させ、一方、生物および設備の安全性に関して無視できないリスク、ならびに、これらの粉砕顔料の洗浄および/または除去に関する大きな困難を特徴としている。一般に、顔料の粉砕が細かく、したがって顔料粒子が小さいほど、管理はより複雑になる。さらに、これらの顔料の粉末状態は、大きな比表面積(実際の表面/低質量)を与え、その結果、かなりの反応性をもたらし、したがって、特に時間の経過とともに劣化するリスクが高まり、特に爆発などの事故のリスクさえある。
【0008】
さらに、粉砕ユニットは、非常に多くの場合特殊かつ非常に高価であり、一方、粉砕プロセス自体は、粉砕顔料粒子の性質および望ましいサイズに応じて、特に長く複雑になる可能性があり、これは、例えば審美的、感覚的、および/または定性的要件に応じて変化する可能性がある。ほとんどの場合、コストおよび複雑さのために、これらの粉砕ユニットは、顔料の特定の粉砕専用ではなく、したがって、異なる粒子サイズなどの他の仕様に従って顔料を粉砕するか、または他のタイプの顔料を粉砕するための設定が必要である。したがって、これらの粉砕ユニットは、異なる「バッチ」またはいくつかのタイプおよびサイズの粉砕顔料のセットを処理し、これらは、後で異なる化粧品組成物製造ユニットで保管、輸送、および使用されなければならない。これは、一方で、取り扱いが困難な粉状顔料のバッチの増加をもたらし(保管、輸送、特に化粧品組成物の配合を行うための他の物質との混合中の取り扱い、異なる顔料の混合を回避する)、他方で、化粧品組成物製造ユニットは、ほとんど常に別個であり、粉砕ユニットから離れているという事実において、それは、粉砕顔料の管理(特に輸送)をさらに複雑にする。
【0009】
最終的に、現在実施されているように、粉砕顔料の化粧品組成物への組み込みは、実施の容易さ、保管、輸送、安全性、およびコストの点で不十分である。
【発明の概要】
【0010】
結果として、本発明は、化粧品および/または皮膚科学的組成物に容易に組み込む(一体化する)ことができることが判明するだけでなく、新しい混合物を提供することによって、前述の異なる欠点を克服することを提案するが、さらに、その管理、特にその輸送、保管、および取り扱いに関して、実施が非常に容易である。
【0011】
本発明の別の目的は、非常に単純で安価な設計の新しい混合物を提供することを目的としている。
【0012】
本発明の別の目的は、取り扱いが特に容易な新しい混合物を提供することを目的としている。
【0013】
本発明の別の目的は、輸送および保管が特に容易な新しい混合物を提供することを目的としている。
【0014】
本発明の別の目的は、化粧品および/または皮膚科学的組成物に効果的に組み込むことが容易である新しい混合物を提供することを目的としている。
【0015】
本発明の別の目的は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の配合物の成分として良好な再現性を得ることができるように設計された新しい混合物を提供することを目的としている。
【0016】
本発明の別の目的は、その設計が、広範囲の用途、特に非常に多種多様な化粧品および/または皮膚科学的組成物に使用することを可能にする新しい混合物を提供することを目的としている。
【0017】
本発明の別の目的は、生物の安全性に関して最小限のリスクを有し、設備を劣化させない新しい混合物を提供することを目的としている。
【0018】
本発明の別の目的は、製造が容易に工業化でき、最小限の数の異なる物質を組み込むことができる新しい混合物を提供することを目的としている。
【0019】
本発明の別の目的は、時間の経過とともにほとんど分解しないか、または全く分解しない新しい混合物を提供することを目的としている。
【0020】
本発明の別の目的は、その実施が単純で、容易で、かつ費用効果が高く、使用者にとって良好な再現性および良好な安全性を有する混合物の製造方法を提供することを目的としている。
【0021】
本発明の別の目的は、最適な安全条件を保証しながら、その実施が迅速で、監視しやすく、容易である化粧品および/または皮膚科学的混合物の製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
本発明の目的は、少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物であって、混合物は、少なくとも1つの有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスも含み、有機ケイ素材料は、ワックス状マトリックスの重量の大部分、好ましくは全てを形成し、固体粒子によって形成された機能剤がワックス状マトリックス内に分散されており、混合物は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散されて、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことが意図されている、混合物によって達成される。
【0023】
本発明の目的は、少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物の製造方法であって、当該製造方法は、少なくとも、
-流体マトリックスを得るための少なくとも1つの有機ケイ素材料を含むワックス状マトリックスを加熱する加熱工程であって、有機ケイ素材料が、ワックス状マトリックスの重量の大部分、好ましくは全てを形成する、加熱工程と、
-固体粒子によって形成された機能剤を流体マトリックス内に分散する分散工程と、
を含み、
混合物は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散されて、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことが意図されている、ことを特徴とする、方法によって達成される。
【0024】
本発明の目的は、前述の混合物が添加され、次いで1つまたは複数の美容および/または皮膚科学的に許容される成分と混合される再分散工程を含む、化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の他の特殊性および利点は、単に例示的かつ非限定的な例として提供される添付の図面を参照して、以下に行われる説明を読むと、より詳細に現れ、明らかになるであろう。
図1】側面図により、本発明による混合物の例を概略的に示しており、この例では、押出によって得られたスティックの形態である。
図2図1の混合物の詳細を微視的またはナノメートルスケールで概略的に示す。
図3】側面図により、押出工程を実施する特定の実施形態による、本発明による混合物の製造方法の実施を可能にする製造装置の例の一部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図に示されているように、本発明は混合物1に関する。したがって、混合物1は、好ましくは、いくつかの異なる要素によって、より具体的には、いくつかの異なる物質、材料、物体の比較的均質かつ安定な混合物によって、有利には全て美容および/または皮膚科学的に許容できる、つまり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むのに適しているものによって形成される。したがって、混合物1は、有利には、化粧品および/または皮膚科学的組成物の使用に関して、毒性レベルが非常に低く、場合によってはゼロである。
【0027】
本発明によれば、混合物1は、少なくとも50重量%の機能剤を含む。好ましい実施形態によれば、混合物1は、(厳密に)50重量%超、好ましくは(厳密に)60重量%超、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%の機能剤を含む。有利には、機能剤は、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込まれるのに適した要素を形成するように適切に選択される。したがって、混合物1内の高い割合の機能剤は、最終的な化粧品および/または皮膚科学的生成物を形成するために、混合物1が他の化合物と再分散されることが意図される中間(または場合によりほぼ最終)生成物を構成する場合に特に有利である。実際、混合物1は、機能剤の中間の「担体」または「ビヒクル」として有利に機能し、したがって、混合物1内の機能剤の割合が、一方では、混合物1内の機能剤以外の物質の性質に依存しない、またはほとんど依存しない最終配合物(すなわち、最終の化粧品および/または皮膚科学的生成物)のために、他方では、コスト、保管、および輸送に関連する明らかな理由のために、可能な限り高いことが好ましく、機能剤の含有量が少ない中間混合物は、定義上、より多くの量で使用されなければならず、したがって、所定の量の機能剤に対して一般により大きな重量に対してより大きな体積を占める必要があり、一方、より大きな割合である混合物1内の機能剤以外の物質は、最終配合物では、その上、評価されない高いコストを表す(および場合により最終的または最終の化粧品および/または皮膚科学的配合物に「寄生する」)。好ましくは、機能剤は、化粧品および/または皮膚科学的組成物内の1つまたは複数の非常に特定の機能を満たすことを意図している。例えば、機能剤は、特にサンクリームタイプの化粧品および/または皮膚科学的組成物内に、物理的な日焼け止めを形成することを意図している、すなわち、それは、太陽の紫外線と、化粧品および/または皮膚科学的組成物の使用者の皮膚との間に、物理的、好ましくは不透明なバリアを形成することを意図している。
【0028】
本発明によれば、機能剤は、固体粒子2によって形成され、すなわち、固体粒子2は、好ましくは少なくとも室温で固体であり、より高い温度、例えば30~90℃でさえ固体である。好ましくは、固体粒子は、水に不溶性である。好ましくは、固体粒子は、10nm~500μmの範囲に含まれる、好ましくは100nm~100μmの範囲に含まれる平均サイズを有する。したがって、平均サイズは、好ましくは、粒子2の平均粒子サイズ、特に、粒子の1つのサンプルのみを使用して測定することができる、粒子のそれらの平均直径または平均最大寸法を指す。
【0029】
固体粒子2は、少なくとも有機および/もしくは鉱物(すなわち、無機)顔料、有機および/もしくは鉱物チャージ、複合材料および/もしくはバイオ複合材料、またはこれらの混合物を含む。特定の実施形態によれば、固体粒子2は、主に、または完全に、鉱物顔料によって形成され、これは、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、群青顔料(例えば、群青または紫)、酸化スズ、および/または酸化亜鉛によって構成することができる。例えば、有機顔料は、カーボンブラックおよび/または有機ラッカーによって構成される。例えば、鉱物チャージは、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、シリカ、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、パーライト、炭酸カルシウム、および/またはホウケイ酸塩によって構成される。例えば、有機チャージは、デンプン、セルロース、天然もしくは合成ポリマー、ならびに/またはシリコーンポリマーおよび樹脂によって構成される。例えば、複合材料および/またはバイオ複合材料は、1つまたは複数の真珠質を含む。固体粒子が顔料からなる場合、機能剤は、例えば、化粧品および/または皮膚科学的配合物を着色すること、または皮膚を太陽から保護することを意図している(前述の日焼け止めクリームの場合、特に日焼け止めを形成する固体粒子2)。固体粒子2がチャージからなる場合、機能剤は、例えば、化粧品および/または皮膚科学的配合物の感覚特性を改変することを意図し得る。
【0030】
さらに本発明によれば、混合物1はまた、機能剤が内部に分散されるワックス状マトリックス3を含む。言い換えれば、機能剤、より具体的には、固体粒子2は、有利には、ワックス状マトリックス3と混合され、ワックス状マトリックス3内に、好ましくは均一に、すなわち、規則的な体積分布に従って分散される。有利なことに、混合物1内で、ワックス状マトリックス3および固体粒子2は、巨視的観点から、1つの単相を形成し、肉眼でワックス状マトリックス3を固体粒子2から区別することは不可能である。
【0031】
本発明によれば、ワックス状マトリックス3は、少なくとも1つの有機ケイ素(organosilicon)(または有機ケイ素(organosilicic))材料を含む。それはまた、複数の異なる有機ケイ素材料を含み得る。
【0032】
本発明によれば、有機ケイ素材料は、ワックス状マトリックス3の重量の大部分、好ましくは全てを形成する。言い換えれば、有機ケイ素材料は、ワックス状マトリックス3の少なくとも50重量%、有利には少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくはほぼ100重量%を形成する。あるいは、または前述の構成で補完的に、ワックス状マトリックス3は、主に、好ましくは完全に、重量で、複数の異なる有機ケイ素材料によって形成され、すなわち、有機ケイ素材料は、この場合、複数の異なる有機ケイ素化合物によって形成される。
【0033】
有機ケイ素材料に加えて、ワックス状マトリックス3が、少なくとも別のワックス状材料、例えば、天然、鉱物および/もしくは合成ワックス、1つまたは複数の天然および/もしくは合成油の蒸留に由来する室温での脂肪体固体、天然および/もしくは合成樹脂、シリコーンもしくはシリコーンポリマーワックス、有機ケイ素(organosilicon)(または有機ケイ素(organosilicic))材料、またはこれらの混合物を含む。
【0034】
有利には、有機ケイ素材料(または複数の異なる有機ケイ素材料)は、シルセスキオキサンの群に属し、これらは、一般式(RSiO3/2を有し、Rは、特にアルカン、アルケン、アリール、またはアリーレン型の炭酸基を表し、一方、通常のように、Siはシリコン原子を表し、Oは酸素原子を表し、nは一般に1より大きい整数を表し、例えば、3から20であり、例えば8に等しい。さらにより有利には、有機ケイ素材料は、シルセスキオキサンポリマーである。好ましくは、この有機ケイ素材料は、有機シリコーン材料である。
【0035】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、有機ケイ素材料は、ポリメチルシルセスキオキサンからなる。言い換えれば、本実施形態では、ワックス状マトリックス3は、ポリメチルシルセスキオキサンを含み、好ましくは、例えば、主にポリメチルシルセスキオキサンによって形成され、場合により、ほぼ完全にまたは完全にポリメチルシルセスキオキサンによって形成される。したがって、有利には、ポリメチルシルセスキオキサンは、ワックス状マトリックス3として単独で、または、場合により、別の有機ケイ素材料または前述のワックス状材料のうちの1つ(天然ワックス、樹脂など)などの別のワックス状材料と混合して使用される場合に特に効果的な有機ケイ素材料の一種である。例えば、ワックス状マトリックス3は、主に(重量で)またはそうでなくても、シクロペンタシロキサン、少なくとも1つ(C30~C45)のアルキルメチコン、および/または植物油の水素化エステルなどの水素化エステル、例えば、INCI名が「水素化オリーブオイルステアリルエステル」のオリーブオイル水素化エステルをさらに含む。もちろん、ワックス状マトリックス3は、特に前述のものの中で、複数の物質の混合物によって形成される場合があり、ポリメチルシルセスキオキサンは、有利には、重量において、優勢のままである。好ましくは、ワックス状マトリックス3は、室温でほぼ固体であり、特に30℃未満、好ましくは45℃未満、より好ましくは55℃未満、さらにより好ましくは65℃未満で、ほぼ固体である。逆に、ワックス状マトリックス3は、有利には、室温よりも高い温度、例えば、30℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは55℃以上、およびさらにより好ましくは65℃以上の温度でほぼ流体である。したがって、有利には、ワックス状マトリックス3は、30~150℃、より好ましくは45~130℃、さらにより好ましくは55~130℃の範囲に含まれる融点および/または軟化点を有する。本発明のいくつかの実施形態では、ワックス状マトリックス3は、55~150℃、例えば、55~95℃、または95~150℃の範囲に含まれる融点および/または軟化点を有する。例えば、ワックス状マトリックス3は、ワックス状マトリックス3が主にまたは完全にポリメチルシルセスキオキサンによって形成される場合、約0.80~1.5の範囲に含まれる密度、好ましくは0.9~1.3の範囲に含まれる密度、例えば約1.24である密度を有する。例えば、特に、ワックス状マトリックス3が主にまたは完全にポリメチルシルセスキオキサンによって形成される場合、その軟化点は、有利には、55~150℃の範囲に含まれる、または75~90℃の範囲に含まれる。好ましくは、ワックス状マトリックス3は、ワックスと同様または同等の一般的な物理的特性を有する材料、特に、所定の温度を超えると著しく流動化する、すなわち、所定の温度以上に加熱されると、固体性を失うか、または非常に高い粘度からはるかに低い粘度に切り替わる材料である材料によって形成される。例えば、ワックス状マトリックス3は、実質的に熱溶融性および/または熱可塑性材料によって形成され、所定の温度、例えば65℃を超えて加熱されると、著しく軟化および/または溶融する。したがって、ワックス状マトリックス3は、好ましくは、室温で固体であり、好ましくは、それが室温より高い所定の温度、特にその融点および/または軟化点より高くなると、ほぼ流体になる。有利には、ワックス状マトリックス3は、室温で、互いに別個の複数の固体顆粒によって形成され得る、すなわち、機械的圧力によって圧縮するのが困難であるか、または圧縮不可能である。
【0036】
本発明によれば、混合物1は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に流動化および/または可溶化によって分散されて、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことを意図している。有利には、混合物1は、例えば、室温または30℃未満または45℃未満で、比較的堅く、たるんでいない、粘稠性を有し、すなわち、最小の機械的強度であり、流体、特に液体とは実質的に区別される。例えば、混合物1は、図1および図3に示されるように、押出によって得られる顆粒、例えば、ペレットまたはスティック4の形態である。好ましくは、混合物1は、配合中(すなわち、製造中)に化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込まれるまたは取り入れられることを意図している。言い換えれば、混合物1は、有利には、美容および/または皮膚科学的に許容される成分と、好ましくは均一に混合されて、化粧品および/または皮膚科学的組成物を形成することを意図している。有利には、化粧品および/または皮膚科学的組成物内への混合物1の組み込みは、この方法で後でより詳細に示されるように、以下の作用のいずれかによって実行される:
-混合物1の加熱によって得られる流動化、すなわち、一般に、(固体粒子は有利には流動化しないので、少なくとも部分的に)固体粒子および/またはワックス状マトリックス3の軟化または溶融による混合物1の固体の性質の喪失を通じて;化粧品および/または皮膚科学的組成物の形成ための、流動混合物1と美容および/または皮膚科学的に許容される成分との(「高温での」)その後の混合が、容易になり得る、なぜなら、成分が(「高温で」またはそうでない場合も)有利には主に流体形態でもあるからである;
-1つまたは複数の美容および/または皮膚科学的に許容される成分による混合物1の可溶化を通じて、これらの他の組成物は、好ましくは主に流体形態であり、これらの成分の少なくとも1つは、特に混合物1が「低温」(すなわち、室温、特に約20℃または30℃未満)である場合でさえ、混合物1を可溶化することができ、もちろん、混合物1は、場合により「高温」であり得る(この場合、前述のように流動化による混合について説明しており、流動化と可溶化の組み合わせはもちろん可能である)。説明のためにのみ提供される非限定的な実施形態によれば、混合物1は、主にシリコーンワックスによって形成されたワックス状マトリックス3を含み、シリコーンワックスは、特に油タイプの、美容および/または皮膚科学的に許容される成分によって容易に溶解され、混合物1は、有利には、美容および/または皮膚科学的に許容される成分に容易に溶解して、化粧品および/または皮膚科学的混合物を形成する。
【0037】
有利には、ワックス状マトリックス3は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相(すなわち、油相)内において、室温、すなわち、有利には30℃より低い温度、より有利には25℃より低く(および任意で15℃以上)、例えば、約20℃(+/-2℃)で可溶化できるように設計されている。したがって、有機ケイ素材料は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相内で、室温で、容易に可溶化するのが有利である。有利には、混合物1(したがって、ワックス状マトリックス3を取り込んでいる)は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相(すなわち、油相)内において、室温、すなわち、有利には30℃より低い温度、より有利には25℃より低く(および任意で15℃以上)、例えば、約20℃(+/-2℃)で、可溶化することができる。このような構成により、「低温」、すなわち室温(実際には一般に約18から25℃で構成される)で、化粧品および/または皮膚科学的組成物に組み込まれ得る異なる油タイプ内で混合物1を可溶化できる。有利には、これにより、混合物1を化粧品および/または皮膚科用組成物内に分散させて機能剤を化粧品および/または皮膚科用組成物内に組み込むために、混合物1ならびに/または化粧品および/もしくは皮膚科用組成物の脂肪相(油)を加熱する必要性を回避することができ、そのような加熱は、エネルギー大量消費である(したがって、追加のコストを伴う)だけでなく、化粧品および/または皮膚科学的組成物の油相の1つまたは複数の成分の劣化の原因となる可能性もある。
【0038】
化粧品および/または皮膚科学的組成物は、1人の使用者を直接意図するか、または中間生成物を形成することができ、この中間生成物は、化粧品および/または皮膚科学的生成物を取り入れることを意図しており、この化粧品および/または皮膚科学的生成物は、使用者を意図した最終生成物、または中間生成物である。
【0039】
混合物1は、有利には、機能剤、すなわち、粒子2と、有機ケイ素ワックス状マトリックス3(特に、ポリメチルシルセスキオキサンなど)との混合から生じ、好ましくは粉状ではなく、流体形態での配合中に、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で凝集性であり、「再分散」しやすい。したがって、低温、すなわち室温では、混合物1は、有利には、低温でも固体であるワックス状マトリックス3内に分散された固体粒子2のセットと同じ態様で、固体分散体を構成する。好ましくは、そのような構成は、特に、固体粒子2のみの性質、多くの場合、自然に粉状であることに関連する制約を取り除くことを可能にする。したがって、好ましくは、混合物1は、粒子2単独よりも、管理、すなわち、保管、輸送、および取り扱いが実質的に容易である、なぜなら、特に、混合物1が、例えば、室温で、小さな固体(例えば、ペレットまたはスティック4タイプの顆粒)の形態であり、凝集性であり、比較的不活性であり、かつ取り扱いが容易であり、一方、反対に、粒子2は、それらが単独である場合、多くの場合、非常に細分化された粉末状の性質を有し、高い反応性および空気中において高い分散性を有するからである。有利には、混合物1は、室温で、互いに別個の固体によって、好ましくは顆粒、例えば、スティック、ペレット4などの縮小サイズで形成され、別個の固体は、好ましくは、機械的圧力によって圧縮するのが困難であるか、または圧縮できない。したがって、混合物1は、例えば、凝塊、合体、圧縮、または堆積により、別個の固体が互いに分離されることなく、(少なくとも)数キログラムまたは数十キログラムの容器に貯蔵された、例えば、バッグに貯蔵された(小さな)別個の固体の形態で、保管および輸送が容易である。言い換えれば、混合物1は、好ましくは、これ/これらが、それぞれの(別個の固体、数キログラムまたは数十キログラムによって形成される)中身と共に計量したバッグなどの容器を使用して実行された場合でも、輸送および/または保管中に互いに別個のままである、別個の固体の形態で保管および輸送が容易である。好ましくは、混合物1によって形成された別個の固体は、容器内に保管および/または輸送された後でも、取り扱いが容易なままであり、それは、それらが貯蔵されているときでさえ、別個の固体の付着がないことのおかげであり、別個の固体は、貯蔵にもかかわらずそれぞれのユニットの性質を維持している。もちろん、上記の輸送は、好ましくは、室温または室温よりわずかに高い温度で実施されるが、有利には、ワックス状マトリックス3の融点および/または軟化点未満のままである。したがって、混合物1は、輸送および保管に実用的であるだけでなく、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に、別個の固体、特に顆粒(例えば、ペレットまたはスティック4)がいつ分散されるべきかを定量化するためにも実用的である。特に、これにより、最終的な化粧品および/または皮膚科学的組成物で得られる機能剤の量を容易に定量化することができ、これは、混合物1のおかげで化粧品および/または皮膚科学的組成物を配合するときの優れた再現性を意味する。
【0040】
有利には、固体粒子2には表面処理が施されており、当該表面処理は、同じ種類の未処理の固体粒子と比較して、処理された固体粒子2によるワックス状マトリックス3の吸収能力の低下を引き起こす。言い換えれば、混合物1の機能剤を形成する固体粒子2は、有利には表面処理されており、ワックス状マトリックス3でそれらをより迅速に「飽和」させることができ、すなわち、考慮された量の固体粒子2と比較して、ワックス状マトリックス3の使用量が少量になる。例えば、ある量の固体粒子2(処理されているかどうかに関係なく)を含むワックス状マトリックス3の吸収限界(または「飽和」)は、次のように試験される:ある量の(必要以上の)ワックス状マトリックス2(好ましくは、有機ケイ素材料、特に、ポリメチルシルセスキオキサンによって形成される)が流動化するように加熱され、例えば、65°まで加熱され、そして、考慮された量の固体粒子2(処理されているかどうかにかかわらず)に一滴ずつ追加される、これらは好ましくは同時に混合または粉砕作用を受ける;混合または粉砕された固体粒子2/ワックス状マトリックス3の液滴の混合物は、例えばプラスティシン(工作用粘土)と同じ方法で、最初に非常に粘性のある、さらには固体またはほぼ固体のペーストを形成し、次いで、ワックス状マトリックス3の液滴をさらに加えると、その粘度が著しく低下するか、および/または固体もしくはほぼ固体状態から流体もしくはほぼ流体状態(特に液体または軟化)に切り替わる。したがって、表面処理は、有利には、それらの混合物の粘稠度を喪失させるために、考慮される量の固体粒子2に添加される流動ワックス状マトリックス3の量を減らすことを可能にし、すなわち、非常に粘性のある固体またはほぼ固体の状態から、著しく粘性の低い流動状態またはほぼ流動状態に切り替わる。ワックス状マトリックスの吸収能力の低下を引き起こすことを可能にする表面処理は、それ自体が知られており、複数の代替方法によって変更され、もちろん、本発明は特定の処理に限定されない。非限定的な例として、本発明の文脈で実施される固体粒子2の表面処理は、アミノ酸、例えば、N-アシル-L-グルタミン酸などのN-アシルアミノ酸に基づく処理に基づくことができ、有利には、US-4,606,914の教示に従う。例えば、表面処理は、グルタミン酸ミリストイルナトリウムおよび水酸化アルミニウムから作られた塩など、N-アシルアミノ酸の金属塩の形のアミノ酸に基づく処理に基づく。もちろん、本発明による他の表面処理を考慮することができ、表面処理は、例えば、以下に基づくことができる:グルタミン酸ミリストイルジナトリウム、有利にはジミリスチン酸アルミニウムおよびトリエトキシカプリリルシランを実施する処理;トリエトキシカプリリルシランなどのアルコキシシランを実施する処理、US-6482441の教示に従った処理、脂肪酸を実施する処理、1つまたは複数のリン脂質を実施する処理、オリーブ油水素化エステルを実施する処理など。例えば、表面処理された固体粒子2は、単なる例示的かつ非限定的な例によると、生顔料(好ましくは90重量%超)、グルタミン酸ミリストイルナトリウム(好ましくは10重量%未満)、および水酸化アルミニウム(好ましくは10重量%未満)によって形成される。ワックス状マトリックスの吸収能力の低下を引き起こすことを可能にする表面処理は、上記に列挙された異なる処理の組み合わせによってさらに形成され得る。有利には、ワックス状マトリックスの吸収能力の低下を引き起こすことを可能にする表面処理はまた、同じ種類の未処理の固体粒子と比較して、処理された固体粒子2の疎水性を増加させること、および/または油相におけるそれらの分散性を改善することを可能にする。有利には、機能剤は、(厳密に)50重量%超、好ましくは60重量%超、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%、またはさらには少なくとも90重量%の混合物1を形成する。したがって、好ましくは、混合物1の、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%は、固体粒子2によって形成される。このような機能剤(したがって粒子)の高い重量比率は、有利には、表面処理のおかげで可能になる。ワックス状マトリックスは、好ましくは5~25重量%、好ましくは7~22重量%、より好ましくは15~20重量%の混合物1を形成する。要約すると、有利には、表面処理のおかげで、比較的少量のワックス状マトリックス3が、比較的大量の固体粒子2への担体として機能するのに十分である。
【0041】
好ましくは、混合物1が流動化および/または可溶化されるとき、混合物1、ひいてはそれによって含まれる機能剤(およびより具体的には固体粒子2)は、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に均一かつ安定した方法で分散または混合され得る。要約すると、本発明の一般原理のおかげで、特に表面処理のおかげで、大量の機能剤(少なくとも50重量%、または少なくとも80、およびさらには少なくとも85重量%)および少量のワックス状マトリックス3を含む、取り扱いが容易な混合物1を得るだけでなく、その後、製造中に化粧品および/または皮膚科学的組成物内に混合物1を容易に分散させて、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことも有利には可能である。有利には、ワックス状マトリックス3、ひいては混合物1は、化粧品および/または皮膚科学的組成物内での再分散前の機能剤の担体として機能する。好ましくは、混合物1の再分散は、流動化によって、したがって混合物1が流体になるまで加熱して、それ自体が流体である美容および/または皮膚科学的に許容される成分と、より容易に混合することによって、または混合物1の可溶化によって、好ましくは、流体である美容および/または皮膚科学的に許容される成分内で、場合により低温で(すなわち、加熱せずに)、小さな固体(粒子の顆粒、例えば、ペレットまたはスティック4)の形態で、行うことができる。
【0042】
さらに、混合物1内の比較的少量の、または限定された量のワックス状マトリックス3、および混合物1の有機ケイ素材料(ポリメチルシルセスキオキサンなど)の性質は、有利には、混合物1を広範囲の化粧品および/または皮膚科学的組成物に組み込むことを可能にする。言い換えれば、混合物1の設計は、それによって含まれる機能剤を、化粧品および/または皮膚科学的組成物の他の成分に関する何の制約もなしに、またはほとんど制約なしに、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に組み込むことを有利に可能にし、すなわち、化粧品および/または皮膚科学的組成物を形成するこれらの他の成分を改変して、これらの他の成分を混合物1に適合させる必要がない。要約すると、本発明の混合物1は、広範囲の化粧品および/または皮膚科学的組成物に有利に組み込むことができる。
【0043】
有利には、ワックス状マトリックス3、特にワックス状マトリックス3を部分的または全体的に形成する有機ケイ素材料(好ましくはポリメチルシルセスキオキサンによって構成される)は、著しいフィルム形成性を有し、これは、使用者の毛髪に使用することを目的とした化粧品および/または皮膚科学的組成物において特に興味深い。したがって、混合物1は、特にワックス状マトリックス3を部分的または全体的に形成する有機ケイ素材料がポリメチルシルセスキオキサンである場合、化粧品および/または皮膚科学的組成物中に分散され、化粧品および/または皮膚科学的組成物内に機能剤を組み込むだけでなく、化粧品および/または皮膚科学的組成物にワックス状マトリックス3に固有の性質、例えば、前述のワックス状マトリックス3のフィルム形成性を組み込むことを意図し得る。
【0044】
好ましくは、ワックス状マトリックス3は、脂溶性であるおよび/または水に不溶性もしくはほとんど不溶性である。したがって、天然または合成ワックス(特にシリコーンワックス)の物理的特性に近いまたは類似の物理的特性を有利には有するワックス状マトリックス3は、好ましくは、親油性、脂溶性、および/または疎水性の性質を有する。特に、ワックス状マトリックス3は、化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造に一般的に使用される油相に溶解する。有利には、ワックス状マトリックス3は、混合物1内の相対量が少ないため、化粧品および/または皮膚科学的組成物を比較的容易に組み込むことが意図され、混合物は、好ましくは、組成物の物理的および/または化学的特性を著しく変更することなく、組み込まれることが意図され、組成物が、場合により、油中水型、例えばシリコーン中水型、あるいは水中油型、のエマルション内に脂肪または油(および/または親油性)相を有する場合、それはさらに容易である。
【0045】
混合物1は、場合により、無水物相、好ましくは脂肪/油/シリコーンタイプのみを含む化粧品および/または皮膚科学的組成物の一部となるように再分散されることが意図され得、組成物は、例えば、バーム、口紅などである。
【0046】
有利には、表面処理はまた、同じ種類の未処理の固体粒子2と比較して、処理された固体粒子2の親油性および/または疎水性の性質を高めることも可能にする。したがって、表面処理は、脂肪および脂肪質物質に対する化学的親和力を固体粒子2に付与するか、または固体粒子2における脂肪および脂肪質物質に対する化学的親和力を強化し、有利には、同じことがワックス状マトリックス3を包含する。特に、そのような特徴は、ワックス状マトリックス3内の固体粒子2のより良い分散ならびに/または化粧品および/もしくは皮膚科学的組成物(ひいては、特に油相またはその同等物を含む)内の混合物1(したがって固体粒子2自体)のより良い分散を得ることを可能にする。
【0047】
好ましくは、表面処理は、図2に示されるように、粒子2のそれぞれの表面への分子5のグラフト化を含む。依然としてより好ましくは、グラフト化分子5は、少なくともシリコーン鎖、炭酸鎖、天然もしくは合成ポリマー、有機分子、またはチタン酸化物もしくはケイ素酸化物を含む。したがって、有利には、混合物1は、特に、ワックス状マトリックス3および処理された粒子2を含み、粒子2は、グラフト化分子5を備えるおよび/または含む。好ましくは、粒子2は、少なくとも部分的にグラフト化分子5のおかげで、ワックス状マトリックス3内に均一に分散しており、したがって、グラフト化分子5の存在は、好ましくは、粒子2の親油性および/もしくは疎水性の性質を強化し、ならびに/または、有利には、ワックス状マトリックス3の粒子2の吸収能力を低下させる。
【0048】
有利には、機能剤およびワックス状マトリックス3は、一緒に、混合物1の、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、さらにより好ましくは全てを形成する。実際、混合物1を作製するためであろうと、混合物1を化粧品および/または皮膚科学的組成物内に分散させるためであろうと、混合物1に、ワックス状マトリックス3および機能剤以外の成分を組み込むことは有利には必要ではないが、これは依然として考慮され得る。したがって、好ましくは、混合物1は、界面活性剤を含まない、すなわち、特に、表面張力を低下させることを主な機能とする任意の物質を含まない、または、混合物1は、そのような物質を含むが、有用ではない量であり、ワックス状マトリックス3および/または機能剤に対して重量が無視できる。
【0049】
本発明はまた、図3の実施形態によって部分的に示される第2の態様によれば、混合物1、好ましくは前述(または以下)に記載の混合物1の製造方法に関する。したがって、本発明の方法は、好ましくは前述のように、少なくとも50重量%の機能剤を含む混合物1を製造することを可能にし、混合物1は、場合により、(厳密に)50重量%超、好ましくは(厳密に)60重量%超、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、または85重量%の機能剤を含む。したがって、混合物1に関する前述の説明は、有利には、本発明による製造方法にも適用される(逆に、したがって、製造方法に関する以下の説明は、本発明による混合物1にも適用される)。
【0050】
本発明によれば、製造方法は、流体マトリックス3を得るために、少なくとも1つの有機ケイ素(organosilicon)(または有機ケイ素(organosilicic))材料を含むワックス状マトリックス3を加熱する少なくとも1つの工程を含む。有機ケイ素材料は、ワックス状マトリックス3の重量の大部分、好ましくは全てを形成する。言い換えれば、有機ケイ素材料は、ワックス状マトリックス3の、少なくとも50重量%、有利には少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくはほぼ100重量%を形成する。好ましくは、ワックス状マトリックス3は、前述のものであり、一方、有機ケイ素材料もまた、好ましくは、前述のとおりであり、特に、ポリメチルシルセスキオキサンからなる。言い換えれば、加熱工程の間、ワックス状マトリックス3は、例えば、少なくとも1つの抵抗器を使用して、または対流によって、流動化するまで加熱され、すなわち、もはや固体の粘稠度を有さないように十分に溶融または軟化され、それによって流体ワックス状マトリックス3を形成する。加熱工程の間に、ワックス状マトリックス3は、有利には、その融点および/または軟化点以上の温度まで加熱される。したがって、加熱工程中、ワックス状マトリックス3は、流動化されるように、例えば、30~150℃の範囲に含まれる温度、より好ましくは45~130℃の範囲に含まれる温度まで、または、55~95℃の範囲に含まれる温度、もしくは55~150℃の範囲に含まれる温度まで加熱される。したがって、好ましくは、低温では、ワックス状マトリックス3はほぼ固体であるが、一方、高温では、所定の温度を超えると、ほぼ流体である。したがって、好ましくは、「流体マトリックス」という表現は、流動化するまで加熱されたワックス状マトリックス3を指す。
【0051】
さらに本発明によれば、本方法は、流体マトリックス3内に、固体粒子2によって形成された機能剤を分散する分散工程をさらに含む。有利には、分散工程は、処理された粒子2とワックス状マトリックス3とを混合する少なくとも1つの工程を含み、ワックス状マトリックス3は、特に、低温で固体形態、または高温で流動形態であり得る。好ましくは、固体粒子2は、前述のとおりである。
【0052】
好ましくは、本方法はまた、固体粒子2の処理工程(図示せず)を含み、処理工程の間に固体粒子2は表面処理され、同じ種類の未処理の固体粒子2と比較して、処理された固体粒子2によって流体マトリックス3の吸収能力の低下が引き起こされ、処理された固体粒子2は、機能剤を形成する。特に、前述のように、処理工程は、有利には、粒子2のそれぞれの表面への分子5のグラフト化、ならびに/または、同じ種類の未処理の固体粒子と比較して、処理された固体粒子2の親油性および/もしくは疎水性の性質の増加を伴う。
【0053】
本発明によれば、有利には、本明細書に記載のように、混合物1は、室温で固体であり、化粧品および/または皮膚科学的組成物内で流動化および/または可溶化によって分散され、機能剤を化粧品および/または皮膚科学的組成物の中に組み込むことを意図している。
【0054】
有利には、本方法は、固体粒子2を、それらの平均サイズを小さくすることを意図する粉砕工程をさらに含む。例えば、粉砕工程の完了時に、固体粒子2は、ほぼ10nm~500μm、好ましくは100nm~100μmの範囲に含まれる平均サイズを有する。
【0055】
好ましくは、図3に示されるように、分散段階が、少なくとも部分的に粉砕工程を含み、その結果、粉砕工程の少なくとも一部の間に、流体マトリックス3が、粒子2と混合される。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、図3に示されるように、本方法は、混合物1が、顆粒の形態、例えばペレットまたはスティック4の形態となるようにするために、混合物1の押出工程をさらに含む。有利には、押出工程が、高温で実施され、混合物1は、この工程の間、60~80℃の範囲に含まれる温度を有する。
【0057】
有利には、分散工程の後に、本方法はまた、固体を形成させるために、混合物1が室温まで冷却される冷却工程も含む。
【0058】
図3に示される、例示的かつ非限定的な目的のために提供される実施形態によれば、本方法は、以下を連続的に含む:
-混合工程、混合工程の間に、処理された固体粒子2およびワックス状マトリックス3が低温で混合され、マトリックス3は、低温(室温)で、固体であり、固体ボールの形態であり、一方、粒子2は、粗い形態であり、大きすぎて許容できない粒子サイズである、
-加熱工程、加熱工程の間に、ワックス状マトリックス3が加熱され、したがって、流動化され、同時に、粒子2は固体のままである、
-粉砕工程、粉砕工程の間に、粒子2が許容可能な粒子サイズに粉砕され、その間、ある種の粉砕を受ける流体マトリックス3と密接に混合され/混合されたままである、
-均質化工程、均質化工程の間に、粉砕粒子2および流体マトリックス3によって形成された混合物が、任意の好適な手段(撹拌、吹き付け、剪断・・・)によって均質化される、
-押出工程、押出工程の間に、高温混合物が圧縮され、ダイ6を通って、シリンダの形態の長い製品が得られる、
-冷却工程、冷却工程の間に、長い製品が徐々に冷却される、
-切断工程、切断工程の間に、長い製品が切断され、好ましくは顆粒、例えば、ペレットまたはスティック4など、別個の複数の固体に分離される、
混合、加熱、粉砕、および均質化工程を含む、本明細書における分散工程
【0059】
有利なことに、特に本実施形態によれば、本方法は、二軸スクリュヒータ押出機7の使用を含み、二軸スクリュヒータ押出機7の中で、以下に開示される工程が実行される。
【0060】
本発明はまた、第3の態様によれば、前述のように混合物1が添加され、次いで1つまたは複数の美容および/または皮膚科学的に許容される成分と混合される再分散工程を含む、化粧品および/または皮膚科学的組成物の製造方法に関する。有利には、混合物1および混合物1の製造方法に関する前述の説明は、本発明による組成物の製造方法にも適用される。
【0061】
第1の変形例によれば、再分散ステップは、美容および/または皮膚科学的に許容される成分のうちの1つまたは複数によって、混合物1を可溶化する工程をさらに含む。有利には、可溶化工程は、少なくとも、化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相(特に油)または脂肪相の一部内での混合物1の可溶化(すなわち、特に分散)を含む。
【0062】
前述の第1の変形例と互換性のある第2の変形例によれば、再分散工程Rは、流動化工程をさらに含み、添加された混合物1は、例えば、55から85℃の範囲に含まれ得る50℃より高い温度で、少なくとも流動化するまで加熱される。再分散工程はまた、可溶化工程および流動化工程を、例えば、次々に、または別の例によれば、同時に含み得る。
【0063】
好ましくは、再分散工程について、特に可溶化工程および/または流動化工程について、美容および/または皮膚科学的に許容される成分のうちの1つ以上は、室温でほぼ流体であり、それにより、その可溶化および/またはその流動化のいずれによっても、混合物1の再分散を促進する。
【0064】
特に、本発明の混合物1のワックス状マトリックス3が、主に、または完全に、有機ケイ素材料によって(重量で)形成されるという事実により、化粧品および/または皮膚科学的組成物内、より具体的にはそのような組成物の脂肪(油)相内での、混合物1の優れた分散性を得ることができる。したがって、特に、本発明の混合物1のワックス状マトリックス3は、混合物1の固体粒子2が、何の特別な困難なしに、そしておそらく加熱なしに、すなわち、室温で、化粧品および/または皮膚科学的組成物を形成するための他の成分とともに、効果的に(再)分散され、特に、固体粒子2が顔料からなる場合に化粧品および/または皮膚科学的組成物を着色することを可能にする。
【0065】
したがって、特定の実施形態によれば、可溶化工程は、30℃より低い、好ましくは25℃より低い(および場合により15℃より高い)、例えば、約20℃(+/-2℃)の温度で(特に脂肪相内で)実施される。したがって、この最後の特定の実施形態では、再分散工程Rは、有利には、混合物1の加熱を含まず、好ましくは、化粧品および/または皮膚科学的組成物、特に化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪(油)相の加熱も含まない。したがって、可溶化工程は、有利には、「低温で」、すなわち、室温(実際には、一般に、約18~25℃の間)で実施することができ、それにより、エネルギーを節約し、化粧品および/または皮膚科学的組成物の1つまたは複数の成分、特に化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相の熱による潜在的な劣化を回避する。したがって、再分散工程は、加熱による混合物1の流動化の工程を含まず、それは、ワックス状マトリックス3を形成するために選択された有機ケイ素材料、特にポリメチルシルセスキオキサンの特性のおかげである。
【0066】
混合物1、したがってそれに含まれる固体粒子2の優れた「再分散性」を強調するために、本発明によるC1~C3と表記される混合物1の異なる例、すなわち、それぞれが、各固体粒子2によって形成され、有機ケイ素材料によって形成されたワックス状マトリックス3内に分散された各機能剤を含むものが、例示的かつ非限定的な目的のためにのみ作製された。対照混合物C4~C4の例もまた、対照混合物C4~C6の各例のそれぞれのワックス状マトリックスが有機ケイ素材料によってではなく、例えば、非有機ケイ素材料であるオリーブ油エステルワックスによって形成されるという事実を除いて、それぞれ、本発明による混合物C1からC3の例と同じ方法で作製された。特に、混合物C1~C3の例のワックス状マトリックス3の有機ケイ素材料は、ポリメチルシルセスキオキサンからなる。
【0067】
混合物C1~C6は、表1に従って調製されており、したがって、それぞれは、それぞれの固体粒子(この場合は顔料)およびそれぞれのワックス状マトリックスの混合から得られる。
【0068】
混合物C1~C6の全ての例は、室温(約20~25℃)で固体である顆粒の形態である。
【0069】
【0070】
これらの非限定的な例では、混合物C1~C6の固体粒子2は、処理された顔料、すなわち、ワックス状マトリックスの吸収能力の低下を引き起こす表面処理がされた(顔料タイプの)固体粒子2からなる。これらの処理された顔料の(本特許出願の出願日での)それぞれの商品名を表1に報告する。これらの処理された顔料は、特に会社Miyoshiによってそれぞれの商品名で商品化されている。
【0071】
例えば、混合物C1~C6の例の顔料(これは固体粒子である)の表面処理は、好ましくは、US-4,606,914の教示に従って、アミノ酸に基づく処理で実施することができ、アミノ酸は、特にN-アシルアミノ酸の金属塩の形態である。したがって、例えば、表面処理は、生の、すなわち、未処理の固体粒子(および特に顔料)を、生の固体粒子の重量に対して、0.5~10重量%のN-アシルアミノ酸の1つまたは複数の金属塩でコーティングすることからなる。例えば、N-アシルアミノ酸は、N-アシル-L-グルタミン酸であるが、金属は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、またはチタンからなる。例えば、N-アシルアミノ酸の金属塩は、グルタミン酸ミリストイルナトリウムおよび水酸化アルミニウムを使用して作製される。特に、そのような表面処理は、本明細書に提示された例のために、例示的かつ非限定的な目的のために、ならびに、これまでおよび以下の残りの説明において、使用され得る。表面処理、特に、N-アシルアミノ酸の金属塩を使用する処理は、好ましくは、(未処理の)生の固体粒子と比較して、処理された固体粒子2の疎水性および油中の分散性を高める。
【0072】
混合物C1~C3の例は、本発明の混合物1の製造方法に従って調製されており、一方、混合物C4~C6の例は、同等の製造方法に従って調製されるが、ただし、C4~C6の製造方法は、有機ケイ素材料(この場合はポリメチルシルセスキオキサン)の代わりに非有機ケイ素材料(特にオリーブオイルエステルワックス)の使用を含む。
【0073】
その後、本発明による混合物C1~C3の例の分散性を、混合物C1~C6のそれぞれの例を、常に同じ性質で同じ比率で、各液体脂肪体内に分散させることによって、本発明に適合しない混合物C4~C6の例の分散性と比較し、液体脂肪体は、ジメチコーン型直鎖シリコーン油、シクロペンタシロキサン型環状シリコン油、およびメチルトリメチコン型分枝シリコーン油から選択される。混合物(C1~C6)の例と脂肪体との比率(重量)は、1:9である。混合物C1~C6の例の分散(この場合の可溶化)は、室温(約20~25℃の間)で5~15分間、6000rpmでの均質化の下で行われた。
【0074】
混合物C1~C6の各例をそれぞれの液体脂肪体内に分散させることにより、それぞれの混合物M1~M6を得ることができる(したがって、Mxは、それぞれの液体脂肪体における混合物Cxの例の可溶化に対応し、xは、1~6の範囲である)。
【0075】
混合物C1~C3(有機ケイ素材料マトリックスを含む)の例および混合物C4~C6(非有機ケイ素材料マトリックスを含む)の例の分散性を、混合物C1~C6を観察することによって比較した:
-分散していない固体片が存在する可能性があるため、視覚的に、
-光学顕微鏡を使用して、分散液の細かさを評価する。
【0076】
実施された観察から、混合物C1~C3の例、特にそれらの顔料(機能剤の固体粒子2)は、混合物M1~M3内にそれぞれ非常に均一に分散しているが、一方、混合物C4~C6の例、特にそれらの固体粒子(この場合は顔料)は、混合物M4~M6内にそれぞれ非常に不均一に分散しているという結果が得られた、なぜなら、混合物C4~C6のこれらの例は、混合物M4~M6内で、混合物M1~M3内の混合物C1~C3の例では起こらない、凝集体を形成するからである。言い換えれば、液体脂肪体、特に、化粧品および/または皮膚科学的組成物の脂肪相で混合する場合、有機ケイ素材料を有するワックス状マトリックス3を含む固体混合物1C1~C3の例の分散性は、使用される顔料のタイプ(固体粒子2)に関係なく完全である(優れた可溶化)が、一方、非有機ケイ素ワックス状マトリックスを有する固体混合物C4~C6の例は、不完全な態様でのみ(ここでは室温で)可溶化し、それらの顔料は望ましくない塊および凝集物を形成する。
【0077】
産業上の利用可能性
したがって、本発明は、機能剤を大量に含む混合物1を得ることを可能にし、混合物1の輸送、保管、および取り扱いを容易にする。
図1-2】
図3
【国際調査報告】