(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】がんの処置
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20220629BHJP
A61K 31/734 20060101ALI20220629BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20220629BHJP
A61K 31/722 20060101ALI20220629BHJP
A61K 31/78 20060101ALI20220629BHJP
A61K 31/785 20060101ALI20220629BHJP
A61K 31/80 20060101ALI20220629BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220629BHJP
C07K 7/06 20060101ALN20220629BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/734
A61K31/728
A61K31/722
A61K31/78
A61K31/785
A61K31/80
A61P37/04
C07K7/06 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021564270
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020031169
(87)【国際公開番号】W WO2020223698
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521470881
【氏名又は名称】スティミット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ, マイケル ソロモン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB09
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA23
4C086EA25
4C086FA02
4C086FA03
4C086FA05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB09
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045CA04
(57)【要約】
本開示は、がん及び転移性腫瘍の処置及び/または予防のための技術を提供する。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫を刺激することができる生体材料(例えば、ポリマー生体材料)または足場が、免疫調節剤ペイロードの非存在下で、(例えば、外科的切除による)腫瘍除去後の対象の標的部位に投与される。かかる技術は、腫瘍再成長及び/または転移の発生を低減または阻害することができる。本開示は、ポリマー生体材料が含まれるある種の生体材料が、例えば、本明細書に記載されるように、別個の免疫調節性ペイロード、例えば、自然免疫調節性ペイロードなしでも、十分な免疫調節活性、例えば、自然免疫調節活性を提供して、有益な効果を達成することができ得るという更に驚くべき洞察を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍切除術の対象の標的部位に自然免疫調節成分を含む組成物を投与するステップを含む方法であって、前記自然免疫調節成分が自然免疫のポリマー生体材料アゴニストから本質的になる、前記方法。
【請求項2】
前記自然免疫がパターン認識受容体を活性化することにより媒介される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターン認識受容体が、C型レクチン受容体(CLR)、NOD様受容体(NLR)、RIG-I様受容体(RLR)、及び/またはToll様受容体(TLR)であるか、またはそれを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自然免疫がインフラマソームを活性化することにより媒介される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記インフラマソームが、AIM2インフラマソーム、NLRP1(NALP1b)インフラマソーム、及び/またはNLRP3(NALP3)インフラマソーム、及び/またはNLRC4(IPAF)インフラマソームであるか、またはそれを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記自然免疫がcGAS-STING経路により媒介される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、投与の24時間後に評価される場合に、自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが前記標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの炎症性サイトカイン(複数可)が、腫瘍切除術の前記対象の前記標的部位に及び/または体循環中に存在することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記炎症性サイトカイン(複数可)が、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-αであるか、またはそれを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、ヒアルロン酸、アルギナート、キトサン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、シリカゲル、またはそれらのバリアントであるか、またはそれを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、炭水化物ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記炭水化物ポリマーが、キトサンまたはそのバリアントであるか、またはそれを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記炭水化物ポリマーが、カルボキシメチルキトサンであるか、またはそれを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記炭水化物ポリマーが、ヒアルロン酸であるか、またはそれを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記標的部位が腫瘍切除部位である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記標的部位が前記腫瘍切除部位の4インチ以内の部位である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記標的部位がセンチネルリンパ節である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記投与するステップが注射によるものである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記注射がロボット手術システムにより実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与するステップの前に、前記対象に対して腫瘍切除を実行するステップを更に含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記腫瘍切除が非侵襲手術及び/または低侵襲手術(MIS)により実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記非侵襲手術及び/またはMISが、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術であるか、またはそれを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記投与するステップが手術中に実行される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が液体であり、自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが粘性ポリマー溶液である、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が液体であり、自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、前記投与時に、前記標的部位の生体内原位置でポリマーネットワーク生体材料を形成する、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが熱応答性である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、前記投与時に前記対象の体温に曝露される場合に、前記標的部位の生体内原位置でポリマーネットワーク生体材料を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、(i)少なくとも1種の自然免疫調節性ポリマー及び(ii)少なくとも1種の非免疫調節性ポリマーまたは架橋剤を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、炭水化物ポリマー及び熱応答性架橋剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記熱応答性架橋剤が熱応答性ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、架橋型ポリマーネットワーク生体材料を含むか、または架橋型ポリマーネットワーク生体材料である、請求項24~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、非架橋型ポリマーネットワーク生体材料を含むか、または非架橋型ポリマーネットワーク生体材料である、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、試験対象にポリマー生体材料を投与することによりインビボで試験される場合に、前記投与の3日後に少なくとも10%の自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、インビボで前記標的部位に残存することを特徴とする、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニストが、約10Pa~約50,000Paの貯蔵弾性率を特徴とする、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマー生体材料がヒドロゲルを含むか、またはヒドロゲルである、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記投与するステップが、腫瘍切除術の前記対象への腫瘍抗原の投与を含まない、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記投与するステップが、腫瘍切除術の前記対象への微小粒子の投与を含まない、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記投与するステップが、腫瘍切除術の前記対象への免疫細胞の養子移入を含まない、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記投与するステップが、免疫調節剤ペイロードの投与を含まない、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリマー生体材料がインビボで生分解性である、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記腫瘍切除部位が総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とする、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記腫瘍切除術の対象が転移がんに罹患している、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記投与後に腫瘍切除術の前記対象における少なくとも1つの転移部位をモニタリングするステップを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
免疫調節成分を含む組成物を特徴付ける方法であって、前記免疫調節成分が、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストまたはその成分(複数可)から本質的になり、前記方法が、
(a) 免疫調節成分を含む組成物を試験対象の標的部位に投与するステップであって、前記免疫調節成分が、自然免疫のポリマー生体材料アゴニスト候補から本質的になる、前記ステップ、及び
(b) 投与の24時間後に評価される場合に、自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニスト候補が前記標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの炎症性サイトカイン(複数可)が、前記試験対象の前記標的部位に及び/または体循環中に存在するかどうかを決定するステップを含む、前記方法。
【請求項44】
前記投与の3日後に少なくとも10%の自然免疫の前記ポリマー生体材料アゴニスト候補が前記標的部位に残存するかどうかを決定することを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記標的部位がマウス対象の乳房脂肪パッドである、請求項43または44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月2日に出願の米国仮出願第62/842,068号の利益を主張し、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬物、栄養剤、または他の物質の循環系への全身投与は、全身に影響を及ぼす。全身投与経路としては、経腸投与(例えば、消化管を通した薬物の吸収をもたらす経口投与)及び非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、及び皮下注射)が挙げられる。免疫治療薬の投与は、通常、これらの全身投与経路に依存しており、これは、望ましくない副作用をもたらし得る。幾つかの例において、ある種の有望な治療薬は、付随する毒性ならびに現在の投与方法及び投与システムの限界に起因して、開発することが極めて困難である。
手術は、多くの場合、固形腫瘍がんの第1選択処置であり、一般に、抗がん療法の全身投与と組み合わせて使用される。しかしながら、手術により誘発される免疫抑制は、種々の代謝反応及び内分泌反応における変化に起因する手術後の感染性合併症の発症及び腫瘍転移に関係付けられており、これらは、最終的に多くの患者の死亡をもたらす(Hiller,J.G.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2018,15,205-218)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Hiller,J.G.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2018,15,205-218
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
免疫療法の全身投与は、有害な副作用、例えば、非がん性細胞及び/または組織、例えば、非腫瘍特異的免疫細胞に対する望ましくない毒性の誘発、及び/または標的部位で治療反応を引き起こすのに十分な濃度を達成するための高用量の要求をもたらし得る。腫瘍の外科的切除は、免疫抑制をもたらし得る。腫瘍切除後の手術部位で発生し得る免疫反応のかかる変化は、休眠中の微小転移巣の活性化及び/または残存がん細胞の増殖を助長または促進し得、これにより、がん再発のリスクを増加させる。
【0005】
本発明の発明者は、以前に、生体材料及び自然免疫調節剤であり得るか、またはそれを含み得るペイロードを含むシステム(例えば、WO2018/045058を参照のこと)が、腫瘍切除を受けたか、または受けている対象に投与される場合に、とりわけ著しく有用であり得ることを記載した。このシステムの特質は、例えば、がん処置のある特定の従来手法が含まれる、ある特定の従来技術に関連する1つ以上の問題の原因を解決した。例えば、このシステムは、免疫治療薬剤の全身投与に関連し得るある特定の有害事象(例えば、皮疹、肝炎、下痢、大腸炎、下垂体炎、甲状腺炎、及び副腎不全)を低減及び/または回避し得る。とりわけ、このシステムは、全身投与された免疫治療薬(複数可)、及び/または全身投与が腫瘍での所望の反応を引き起こすのに十分な濃度を達成するために必要とされる高用量のかかる薬物(複数可)への非腫瘍特異的免疫細胞の曝露を低減または除去し得る。とりわけ、このシステムは、腫瘍切除後の自然免疫の局所的アゴニズムを提供し得、これにより、とりわけ、薬物のそれが必要とされる所での作用を濃縮することにより有効性を改善し得る。追加的または代替的に、切除術後の自然免疫の局所的アゴニズムを提供するシステムは、とりわけ、がんに対する局所免疫寛容を破ることができ、全身での抗腫瘍免疫の発生を可能にし、これにより、例えば、幾つかの実施形態では、播種性疾患の根絶をもたらし得る。
【0006】
本開示は、ポリマー生体材料が含まれるある種の生体材料が、例えば、本明細書に記載されるように、別個の免疫調節性ペイロード、例えば、自然免疫調節性ペイロードなしでも、十分な免疫調節活性、例えば、自然免疫調節活性を提供して、有益な効果を達成することができ得るという更に驚くべき洞察を提供する。
【0007】
生体材料は、通常、治療薬を送達するための補助的担体及び/または補助剤として使用されており、従来から治療的処置の有効性を引き起こすものと考えられていない。例えば、キトサンは、治療薬における活性成分としての作用というよりはむしろ、遺伝子治療及び/または化学療法を送達するためのビヒクルとして、または送達される抗原の免疫賦活活性を増強するための補助剤として一般に公知である。本開示は、ある特定の種類の生体材料が、既知の治療薬の非存在下で投与される場合であっても、がん処置に有用であり得るという洞察を提供する。従って、本開示は、これまでは処置の主な促進要因と考えられていなかった生体材料のがん治療に対する有用性を教示し、更に、ポリマー生体材料が含まれるこれらの生体材料及び他の生体材料について特に効果的及び/または望ましい処置戦略を教示する。
【0008】
本開示は、とりわけ、ある種の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、それ自体、腫瘍切除後に標的部位に配置される場合に、抗腫瘍免疫を助長及び/または促進し得るのに十分な程度まで免疫反応(複数可)を調節し得、及び/または抗腫瘍免疫を助長及び/または促進し得るのに十分な性質の免疫反応(複数可)を調節し得ることを認識する。例えば、本開示は、とりわけ、ある種の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、それ自体、腫瘍切除後に標的部位に配置される場合に、抗腫瘍免疫を引き起こし得るのに十分な程度まで自然免疫を刺激し得、及び/または抗腫瘍免疫を引き起こし得るのに十分な性質の自然免疫を刺激し得ることを認識する。幾つかの実施形態では、かかる抗腫瘍免疫は、がんの再発及び/または転移のリスク及び/または発生率及び/またはそれに関連する死亡率の低減をもたらし得る。従って、本開示は、免疫賦活作用を濃縮する必要がある標的部位(例えば、腫瘍が外科的に除去された部位)に濃縮することができるシステム及び/または組成物を提供する。かかるシステム及び/または組成物は、幾つかの実施形態では、有害な副作用及び/または自然免疫のアゴニストへの全身曝露を最小限にしながら、例えば、腫瘍の再発及び/または転移を低減または抑制すること(例えば、その発生を遅延させること、程度を低減すること)により、特にがんを処置するのに有用であり得る。
【0009】
一部の態様では、腫瘍除去後に対象の標的部位に、自然免疫調節成分を含む組成物を投与することを含む方法であって、当該自然免疫調節成分が、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストから本質的になるか、またはそれからなる、当該方法が提供される。
【0010】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫が誘発されるように、間接的または直接的にパターン認識受容体を活性化し得る。このようなパターン認識受容体の例は、C型レクチン受容体(CLR)、NOD様受容体(NLR)、RIG-I様受容体(RLR)、及び/またはToll様受容体(TLR)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫が誘発されるように、間接的または直接的に、インフラマソーム(例えば、限定されるものではないが、AIM2インフラマソーム、NLRP1(NALP1b)インフラマソーム、NLRP3(NALP3)インフラマソーム、及び/またはNLRC4(IPAF)インフラマソーム)を活性化し得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫が誘発されるように、間接的または直接的に、cGAS-STING経路を活性化し得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、間接的または直接的に、NFκBの活性及び/またはレベルを誘発し得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、間接的または直接的に、活性酸素種の生成をもたらし得る。
【0011】
例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、投与する必要がある対象の標的部位への投与の24時間後に評価される場合に、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの炎症性サイトカイン(複数可)が、当該対象の標的部位に及び/または体循環中に存在することを特徴とする。かかる炎症性サイトカイン(複数可)の非限定的な例としては、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、TNF-α、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、炭水化物ポリマーであるか、またはそれを含む。本開示による有用な例示的炭水化物ポリマーは、キトサンもしくはそのバリアントまたはそれらの組み合わせであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料アゴニストに使用するためのポリマーの追加の例としては、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、アルギナート、ポリアクリル酸、ポリホスファゼン、シリカゲル、及びそれらのバリアントならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の標的部位への投与によりインビボで評価される場合に、投与の2日後に少なくとも10%の自然免疫のこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが、インビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0014】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、約10Pa~約50,000Paの貯蔵弾性率を特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、粘性ポリマー溶液である。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、ポリマーネットワーク生体材料(例えば、ヒドロゲル)であるか、またはそれを含み、これは、幾つかの実施形態では、架橋型及び/または非架橋型のポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含み得る。
【0015】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、インビボで生分解性である。
【0016】
本明細書において提供される技術は、対象の腫瘍が(例えば、外科的切除により)除去された後に、当該対象を処置するのに有用である。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、(例えば、外科的切除による)腫瘍除去を受けた対象に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除を受けた(例えば、腫瘍切除を最近受けた)対象に投与される。
【0017】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、(例えば、本明細書に記載されるように)対象の腫瘍が除去された後に、当該対象の標的部位に投与される。例えば、幾つかの実施形態では、投与のこのような標的部位は、腫瘍切除部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、投与のこのような標的部位は、腫瘍切除部位に近接する(例えば、4インチ以内の)部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与のこのような標的部位は、センチネルリンパ節であるか、またはそれを含む。
【0018】
当業者により理解されるように、本開示による有用な組成物は、当該技術分野において公知の適切な送達手法を使用して、投与する必要がある対象の標的部位に投与され得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供される技術は、注射による投与に適用できてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、かかる注射用の組成物は液体であり、組成物中に提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、粘性溶液(例えば、粘性ポリマー溶液)であるか、またはそれを含む。他の実施形態では、かかる注射用の組成物は液体であり、組成物中に提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、組成物が注入される標的部位の生体内原位置で(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)ポリマーネットワーク生体材料を形成する。
【0019】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、移植による投与に適用できてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、本開示による組成物中に提供される自然免疫の生体材料アゴニストは、事前に形成された生体材料(例えば、幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料及び/または非架橋型ポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含み得る、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料)である。例示的なポリマーネットワーク生体材料は、ヒドロゲルであるか、またはそれを含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、転移がんに罹患している対象を処置するのに有用であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、腫瘍切除(例えば、原発性腫瘍の外科的切除)を受けた1つ以上の転移に罹患している対象の(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与すること、及び任意に投与後の当該対象の少なくとも1つの転移部位をモニタリングすることを含み得る。
【0021】
幾つかの実施形態では、本開示は、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与それ自体が抗腫瘍免疫を提供するのに十分であり、従って、例えば、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象への腫瘍抗原及び/または微小粒子の投与及び/または免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を必ずしも必要としないような技術を提供する。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された対象に腫瘍抗原及び/または微小粒子を投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された対象への免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を含まない。
【0022】
本開示により包含されるこれらの態様及び他の態様は、以下で及び特許請求の範囲においてより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】自然免疫の生体材料アゴニストの液体製剤(例えば、異なる濃度のカルボキシメチルキトサン(CMCH)及び熱応答性ポリマーの組み合わせの液体調製物)を投与された動物の、自然免疫の生体材料アゴニストの非存在下で熱応答性ポリマーの液体製剤を投与された動物と比較した生存データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ある特定の定義
適応免疫応答の活性化因子:「適応免疫応答の活性化因子」という用語は、対象(例えば、それが投与され、及び/またはそうでなければ投与する必要がある対象)の適応免疫系(及び/または適応免疫系の1つ以上の特徴)を活性化する薬剤を指す。かかる活性化は、例えば、抑制性免疫チェックポイントを中和することにより、または共刺激受容体を作動させることにより抗腫瘍機能を回復させることができ、最終的に、がん細胞により発現される免疫原性抗原に対するヘルパー及び/またはエフェクターT細胞応答を生じさせ、記憶B細胞、形質細胞、及び/またはT細胞集団を生成させる。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、適応免疫応答及び/または白血球輸送の調節に関与する。適応免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、本開示を読む当業者は、本明細書に記載される組成物または医薬組成物から除外される適応免疫応答の活性化因子が、幾つかの実施形態では、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカイン)、及び/または核酸であるか、またはそれを含むことを理解するであろう。
【0025】
自然免疫応答の活性化因子:「自然免疫応答の活性化因子」という用語は、対象(例えば、それが投与され、及び/またはそうでなければ投与する必要がある対象)の自然免疫系(及び/または自然免疫系の1つ以上の特徴)を活性化する薬剤を指す。かかる活性化は、炎症性応答を開始させる、及び/または適応免疫応答を誘発するために役立つ1種以上の作用物質を刺激することができ(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させることができ)、これにより、抗原特異的獲得免疫の発達をもたらす。幾つかの実施形態では、自然免疫系の活性化は、例えば、限定されるものではないが、好中球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージが含まれる関連する免疫細胞の動員、サイトカイン産生、白血球の増殖及び/または生存の増強、ならびに抗原提示細胞による抗原の提示及び/または共刺激分子のレベル及び/または活性を増加させることによるT細胞プライミングの改善をもたらすことができる。自然免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、本開示を読む当業者は、本明細書に記載される組成物または医薬組成物から除外される自然免疫応答の活性化因子が、幾つかの実施形態では、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカイン)、及び/または核酸であるか、またはそれを含むことを理解するであろう。
【0026】
投与:本明細書で使用する場合、「投与すること」または「投与」という用語は、通常、組成物であるか、またはそれに含まれる薬剤の標的部位または処置される部位への送達を達成するための対象への組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒトへの異なる薬剤の投与のために利用され得る種々の経路を知っているであろう。例えば、「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、一般に、移植すること、吸収すること、摂取すること、注入すること、吸入すること、非経口投与、または別様に本明細書に記載される組成物を導入することを指すが、本明細書において提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む組成物の投与の文脈において、投与することは、幾つかの実施形態では、移植すること、または幾つかの実施形態では、注入することを指し得る。
【0027】
アゴニスト:「アゴニスト」という用語は、作用物質、状態、または事象であって、その存在、レベル、程度、種類、または形態が、別の作用物質(すなわち、刺激される作用物質)のレベル及び/または活性の増加と相関する、当該作用物質、状態、または事象を指すために使用され得ることを当業者は理解するであろう。一般に、アゴニストは、例えば、低分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、無機結晶、及び/または関連する活性化活性を示す任意の他の物質が含まれる、任意の化学的分類の作用物質であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、アゴニストは、直接的であり得る(この場合、それは直接的に標的に影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、アゴニストは、間接的であり得る(この場合、標的への結合以外により、例えば、当該標的のレベルまたは活性が変化されるように当該標的の調節因子と相互作用することにより、その影響を及ぼす)。
【0028】
アンタゴニスト:「アンタゴニスト」という用語は、作用物質、状態、または事象であって、その存在、レベル、程度、種類、または形態が、別の作用物質(すなわち、拮抗された作用物質)のレベル及び/または活性の減少と関連する、当該作用物質、状態、または事象を指し得ることを当業者は理解するであろう。一般に、アンタゴニストとしては、例えば、低分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、及び/または関連する阻害活性を示す任意の他の物質が含まれる、任意の化学的分類の作用物質が挙げられ得る。幾つかの実施形態では、アンタゴニストは、標的に直接結合するという点で「直接的アンタゴニスト」であり得る。幾つかの実施形態では、アンタゴニストは、その標的に直接結合する以外の手段により、例えば、当該標的のレベルまたは活性が変化されるように当該標的の調節因子と相互作用することにより、影響を及ぼすという点で「間接的アンタゴニスト」であり得る。
【0029】
抗体:「抗体」という用語は、血清の機能的構成成分を指し、多くの場合、分子の集まり(抗体または免疫グロブリン)または1つの分子(抗体分子または免疫グロブリン分子)のいずれかとしてみなされる。抗体は、特異的抗原決定基(抗原または抗原エピトープ)に結合またはそれと反応することができ、次いで、免疫エフェクター機構の誘発をもたらし得るポリペプチドである。個々の抗体は、通常、単一特異的であるとみなされ、抗体の組成物は、モノクローナル(すなわち、同一の抗体分子からなる)またはポリクローナル(すなわち、同一抗原または更には別個の異なる抗原の同一または異なるエピトープと反応する2種以上の異なる抗体からなる)であり得る。各抗体は、その対応する抗原に特異的に結合するのを可能にする固有の構造を有し、全ての自然抗体は、2本の同一の軽鎖及び2本の同一の重鎖という同一の全体的基本構造を有する。抗体は、総称的に免疫グロブリンとしても公知である。抗体は、ヒトもしくは非ヒト(例えば、マウスなどのげっ歯類、イヌ、ラクダなど)起源であり得る(例えば、ヒトまたは非ヒト細胞または非ヒト生物において元々作られた配列を有し得る)か、または例えば、このようなヒトもしくは非ヒト抗体(または幾つかの実施形態では、それらの抗原結合部分)をベースとしたキメラ抗体、ヒト化抗体、再構築抗体、もしくは再フォーマット抗体であり得るか、もしくはそれを含む。幾つかの実施形態では、文脈から明らかであるように、本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、抗体のエピトープ結合配列を含むフォーマットを包含し、かかるフォーマットとしては、例えば、キメラ抗体及び/または一本鎖抗体(例えば、ナノボディまたはFcab)、ならびに抗体の結合断片、例えば、Fab、Fv断片、または単鎖Fv(scFv)断片、ならびに多量体型、例えば、二量体IgA分子または五価IgM分子が挙げられる。二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、免疫動員性抗がんモノクローナルT細胞受容体(ImmTAC)、二重親和性再標的化(DART);代替足場または抗体ミメティック(例えば、アンチカリン、FN3モノボディ、DARPin、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ(Alphabody)、アビマー、フィノマー、Im7、VLR、VNAR、Trimab、CrossMab、Trident);ナノボディ、バイナノボディー、F(ab’)2、Fab’、ジsdFv、単一ドメイン抗体、三官能性抗体、ダイアボディ、及びミニボディも挙げられる。
【0030】
生体接着剤:「生体接着剤」という用語は、標的表面、例えば、組織表面に付着することができる生体適合性の薬剤を指す。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、標的表面、例えば、組織表面に付着することができ、例えば、一定期間、標的表面に保持することができる。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、生分解性であり得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、例えば、単離または合成により調製または取得されてもよい、天然の薬剤であり得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、当業者によって理解されるように、例えば、人の手によって、例えば、薬剤に応じて処理、合成、及び/または組換え生産により設計及び/または製造されてもよい、非天然の薬剤であり得る。幾つかの特定の実施形態では、生体接着剤は、例えば、複数のモノマー、例えば、糖から構成され得るか、またはそれを含有し得る、ポリマー物質であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の例示的な生体接着剤としては、種々のFDA認可の薬剤、例えば、シアノアクリレート(Dermabond、2-オクチルシアノアクリレート;Indermil、n-ブチル-2-シアノアクリレート;Histoacryl及びHistoacryl Blue、n-ブチル-2-シアノアクリレート)、アルブミン及びグルタルアルデヒド(BioGlue(商標)、ウシ血清アルブミン及び10%グルタルアルデヒド)、フィブリン糊(Tisseel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Evicel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Vitagel(商標)、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Cryoseal(商標)システム、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン)、ホルムアルデヒド及び/またはグルタルアルデヒドにより架橋されたゼラチン及び/またはレゾルシノール、多糖ベースの接着剤(例えば、アルギナート、キトサン、コラーゲン、デキストラン、及び/またはゼラチン)、PEG、アクリレート、ポリアミン、もしくはウレタンバリアント(イソシアネート末端プレポリマー)、及び/またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。例えば、Mehdizadeh and Yang“Design Strategies and Applications of Tissue Bioadhesives”Macromol Biosci 13:271-288(2013)に記載されているような当技術分野において公知である生体接着剤の他の例が、本明細書に記載の方法のために使用され得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、分解性の生体接着剤であり得る。このような分解性の生体接着剤の例としては、限定されるものではないが、フィブリン糊、ゼラチン-レゾルシノール-ホルムアルデヒド/グルタルアルデヒド接着剤、ポリ(エチレングリコール)(PEG)ベースのヒドロゲル接着剤、多糖接着剤、ポリペプチド接着剤、ポリマー接着剤、生体模倣生体接着剤、及びBhagat and Becker“Degradable Adhesives for Surgery and Tissue Engineering”Biomacromolecules 18:3009-3039(2017)に記載のものが挙げられる。
【0031】
生体適合性:本明細書で使用する場合、「生体適合性」という用語は、例えば、インビボで生体組織と接触して配置された場合に、かかる組織に対する顕著な害をもたらさない物質を指す。ある特定の実施形態では、物質は、それら自体が細胞に有毒でない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、物質は、それらのインビトロでの細胞への添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/またはそれらのインビボでの投与が、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症もしくは他のかかる有害作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。当業者によって理解されるように、かかる顕著に重篤な炎症は、手術または生体への異物の導入に通常伴う一過性の軽度炎症と区別可能である。更に本開示を読む当業者は、ポリマー及び/または自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、既定の一定時間にわたる自然免疫アゴニズムの程度が、例えば、抗腫瘍免疫を提供するために、臨床的に有益であり、及び/または望ましい場合、生体適合性であることを理解するであろう。
【0032】
生分解性:本明細書で使用する場合、「生分解性」という用語は、細胞に導入される場合に、細胞に対する顕著な毒性作用を伴わずに、細胞が再利用できるか、または取り除くことができるかのいずれかである成分に分解される(例えば、細胞機構により、例えば、酵素的分解により、加水分解により、及び/またはそれらの組み合わせにより)物質を指す。ある特定の実施形態では、生分解性物質の分解により生成される構成成分は生体適合性であり、従って、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症及び/または他の有害作用をインビボで誘発しない。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、それらの構成モノマーに分解される。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、例えば、酵素活性または細胞機構によって、場合によっては、例えば、(例えば、相対的に低いpHを有する)リゾチームへの曝露によって、または単純な加水分解によって生物により分解され得る。幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、エステル結合の加水分解を伴う。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、ウレタン結合の切断を伴う。例示的な生分解性ポリマーとしては、例えば、限定されるものではないが、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、及びPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ラクチド-カプロラクトン共重合体)、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、乳酸及びグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーが挙げられる。例えば、タンパク質、例えば、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、及びプロラミン(例えば、ゼイン)、ならびに多糖、例えば、アルギナート、セルロースバリアント、及びポリヒドロキシアルカノエート、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、多数の天然に存在するポリマーも生分解性である。当業者は、かかるポリマーが生体適合性である時、及び/またはその生分解性バリアント(例えば、当該技術分野において公知であるように、特定の化学基の置換または付加の点でのみ異なる実質的に同一の構造により親ポリマーに関連する)である時を理解するか、または決定することができるであろう。
【0033】
生物学的製剤:「生物学的製剤」、「生物学的薬物」、及び「生物学的生成物」という用語は、広範囲の生成物、例えば、ワクチン、血液及び血液成分、アレルギー誘発物質、体細胞、遺伝子治療、組織、核酸、ならびにタンパク質を指す。生物学的製剤は、タンパク質もしくは核酸もしくはこれらの物質の複雑な組み合わせを含み得るか、または細胞及び組織などの生命体であり得る。生物学的製剤は、種々の天然の供給源(例えば、ヒト、動物、微生物)から単離され得、及び/または生物工学的方法及び/または他の技術により生成され得る。
【0034】
生体材料:「生体材料」という用語は、(健全な医学的判断により)容認できない反応を誘発することなく医療目的(例えば、治療、診断)のために対象に投与することができることを特徴とする生体適合性の物質を指す。生体材料は、自然界から得られるか、もしくは自然界に由来するか、または合成される。幾つかの実施形態では、生体材料は、ポリマー生体材料であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、ポリマーネットワークの形態であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、注射可能な形態、例えば、粘性溶液であり得る。例えば、生体材料は、(例えば、対象に投与されると)生体内原位置で形成される当該生体材料の前駆体成分を含み得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、液体であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、粘性溶液である。幾つかの実施形態では、生体材料は、固体であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、結晶(例えば、無機結晶)であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、核酸ではない。幾つかの実施形態では、生体材料は、ポリペプチドではない。
【0035】
がん:「がん」という用語は、悪性新生物を指す(Stedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990)。本開示の幾つかの実施形態の文脈において特に対象となるのは、細胞殺傷及び/または除去療法(例えば、外科的切除及び/または特定の化学療法薬療法、例えば、細胞傷害性療法など)により処置されるがんである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、外科的に切除されたもの(すなわち、少なくとも1つの腫瘍が外科的に切除されたもの)である。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、切除術が標準治療であるものである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、転移したものである。ある特定の実施形態では、例示的ながんとしては、聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性単クローン免疫グロブリン症;胆道癌(例えば、胆管癌);胆管癌;膀胱癌;骨癌;乳房癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;心臓腫瘍;子宮頸癌(例えば、子宮頚部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;大腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、大腸腺癌);結合組織癌;上皮性癌;乳管内上皮内癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポシ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);胃腸管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頚部癌(例えば、頭頚部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、咽頭(laryngeal)癌、咽頭(pharyngeal)癌、上咽頭癌、中咽頭癌);造血器癌(例えば、白血病、例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞NHL、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)、毛様細胞性白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、及び中枢神経系原発(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セーザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫);上記の通りの1つ以上の白血病/リンパ腫の組み合わせ;多発骨髄腫;重鎖病(例えば、α鎖病、γ鎖病、μ鎖病);血管芽腫;組織球増加症;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;免疫細胞アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌);肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ);肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症);黒色腫;正中線癌;多発性内分泌腫瘍症候群;筋肉癌;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真正多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原因不明骨髄様化生(AMM)(別名骨髄線維症(MF))、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES));鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、1型または2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨癌);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);副甲状腺癌;乳頭状腺癌;陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);咽頭癌;松果体腫;下垂体癌;胸膜肺芽腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;網膜芽細胞腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;胃癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);胸腺癌;甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;子宮癌;膣癌;ならびに外陰癌(例えば、外陰部パジェット病)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0036】
炭水化物ポリマー:「炭水化物ポリマー」という用語は、例えば、炭水化物骨格を有する1種以上の炭水化物であるか、またはそれを含むポリマーを指す。例えば、幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、多糖もしくはオリゴ糖、または共有結合により連結された複数の単糖単位を含有するポリマーを指す。単糖単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、炭水化物ポリマー内に2つ以上の種類の単糖単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、分枝ポリマーである。
【0037】
化学療法薬:「化学療法薬」という用語は、急速に増殖するがん細胞の増殖を阻害するため、及び/またはがん細胞を死滅させるための、がん細胞に対して指向された治療薬を指す。かかる化学療法薬の例としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害剤、及び/または有糸分裂阻害剤が挙げられる。
【0038】
併用療法:本明細書で使用する場合、「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療計画(例えば、2種以上の治療薬)に同時に曝露される状況を指す。幾つかの実施形態では、2つ以上の治療計画は、同時に投与され得る。幾つかの実施形態では、かかる治療計画は、逐次的に投与され得る(例えば、第1の治療計画の全ての「用量」が、第2の治療計画の任意の用量の投与前に投与される)。幾つかの実施形態では、かかる薬剤は、部分的に重なる投与計画で投与される。幾つかの実施形態では、併用療法の「投与」は、1種以上の薬剤(複数可)または治療法(複数可)の、他の薬剤(複数可)または治療法(複数可)を投与されている対象への組み合わせでの投与を含み得る。明確にするために記すと、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に(または更には必ず同時に)投与されること必要としないが、幾つかの実施形態では、2種以上の薬剤またはその活性部分が、混合組成物で一緒に、または更には化合物の組み合わせで(例えば、単一の化学的複合体または共有結合体の一部として)投与され得る。
【0039】
比較可能:本明細書で使用する場合、「比較可能」という用語は、2つ以上の薬剤、物質、状況、条件のセットなどであって、互いに同一でなくてもよいが、観察される差または類似性に基づいて結論が合理的に導かれ得ることを当業者が理解する、それらの間の比較を可能にするほど十分に類似する、当該2つ以上の薬剤、物質、状況、条件のセットなどを指す。幾つかの実施形態では、比較可能な条件、状況、個体、または集団のセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の変化する特徴を特徴とする。当業者は、文脈における任意の所与の状況で、2つ以上のかかる薬剤、物質、状況、条件のセットなどが比較可能とみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団のセットは、異なる状況、個体、または集団のセットの下で、またはそれらを用いて得られた結果または観察された現象の差が、様々なそれらの特徴の差異により引き起こされるか、または様々なそれらの特徴の差異の存在を示すという合理的な結論を保証するための十分な数及び種類の実質的に同一の特徴を特徴とする場合に、互いに比較可能であることを理解するであろう。
【0040】
架橋剤:本明細書で互換的に使用される、「架橋剤」または「橋かけ剤」という用語は、1つの物質(例えば、1つのポリマー鎖)を別の物質(例えば、別のポリマー鎖)に連結する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、2つの物質間の結合(すなわち、「架橋」)は、共有結合であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、2つの物質間の結合は、イオン結合またはイオン相互作用であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、アルデヒド基とアミノ基との間に共有結合の形成を誘発するための低分子(例えば、ジアルデヒドまたはゲニピン)である。幾つかの実施形態では、架橋剤は、感光性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、pH感受性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、熱感受性官能基を含む。
【0041】
有効量:「有効量」は、所望の生物学的反応、例えば、対象が罹患している可能性のある状態の処置を誘発するのに十分な量である。当業者によって理解されるように、組成物または当該組成物中に含まれる薬剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、当該組成物中の薬剤の物理的、化学的、及び/または生物学的特徴(例えば、薬物動態及び/または分解)、処置されている状態、ならびに対象の年齢及び健康状態のような要因に応じて異なり得る。有効量は、治療処置及び予防処置を包含する。例えば、がんの処置において、有効量は、腫瘍再成長を予防し得るか、腫瘍負荷を低減し得るか、または腫瘍の成長もしくは広がりを停止させ得る。有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。
【0042】
ヒドロゲル:「ヒドロゲル」という用語は、場合により、水相が分散媒であるコロイドゲルとして見い出される、親水性ポリマー鎖の網状組織から形成される物質を指す。幾つかの実施形態では、ヒドロゲルは、吸収性が高い(例えば、90%超の水分を吸収及び/または保持することができる)天然または合成のポリマーネットワークである。幾つかの実施形態では、ヒドロゲルは、例えば、それらの顕著な含水量に起因する天然組織と同程度の柔軟度を有する。
【0043】
免疫療法:「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘発するか、増強するか、または抑制することにより疾患の処置を促進する治療薬を指す。免疫反応を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法に分類される一方で、免疫応答を低減または抑制する免疫療法は、抑制免疫療法に分類される。免疫療法は、通常は生物学的薬物であるがそうでない場合もある。多数の免疫療法ががんを処置するために使用される。これらとしては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、養子細胞移入、サイトカイン、ケモカイン、ワクチン、低分子阻害剤、及び低分子アゴニストが挙げられる。例えば、有用な免疫療法としては、限定されるものではないが、I型インターフェロンの誘導因子、インターフェロン、インターフェロン遺伝子(STING)アゴニストの刺激因子、TLR7/8アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト、抗PD-1抗体、抗CD137抗体、及び抗CTLA-4抗体が挙げられ得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、本明細書に記載されるかかる免疫療法の投与を含まない。
【0044】
免疫調節剤ペイロード:本明細書で使用する場合、「免疫調節剤ペイロード」という用語は、生体材料(例えば、本明細書において提供及び/または利用されるものなどのポリマー生体材料)により保持され得るか、または生体材料中に分散され得る別個の免疫調節剤(例えば、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカインが含まれる)、核酸など)を指し、ここで、当該免疫調節剤は、対象における免疫応答の1つ以上の側面を調節するか、または変化させる(例えば、誘発する、増強する、または抑制するなど)治療効果を提供する。免疫調節剤ペイロードの例としては、限定されるものではないが、適応免疫の活性化因子、自然免疫の活性化因子、炎症誘発性経路の阻害剤、免疫調節性サイトカイン、または免疫調節治療薬、ならびにWO2018/045058及びPCT/US19/23157に記載されるもの、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。上述の特許出願の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、自然免疫調節ペイロード(例えば、自然免疫及び/または自然免疫の1つ以上の特徴を誘発または刺激する免疫調節剤ペイロード)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、自然免疫調節ペイロードは、自然免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、適応免疫調節ペイロード、例えば、適応免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、炎症誘発性経路の阻害剤、例えば、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路により媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫調節性サイトカインであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫調節治療薬であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本開示を読む当業者は、本明細書に記載される組成物または医薬組成物から除外される免疫調節剤ペイロードが、幾つかの実施形態では、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカイン)、及び/または核酸であるか、またはそれを含むことを理解するであろう。当業者によって理解されるように、免疫調節剤ペイロードは、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの成分(例えば、前駆体成分)及び/または例えば、化学反応、酵素反応、及び/または、例えば、分解などの生物学的反応により生成される副生成物を含まない。
【0045】
移植:「移植可能」、「移植」、「移植すること」、及び「移植片」という用語は、対象の特定の位置に、例えば、腫瘍切除部位内またはセンチネルリンパ節に、典型的には一般的な外科的方法により、関心対象の組成物を配置することを指す。
【0046】
増加、誘発、または低減:本明細書で使用する場合、これらの用語または文法的に同等の比較用語は、比較可能な参照測定値に対して相対的である値を示す。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにより得られた評価値は、比較可能な参照生体材料(例えば、自然免疫を誘発することが知られていないポリマー生体材料などの生体材料)により得られたものと比較して「増加」していてもよい。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、対象において達成された評価値は、異なる条件下(例えば、事象の後もしくは前;または自然免疫の生体材料アゴニスト、例えば、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの投与などの事象の存在もしくは不存在)での同一の対象において、または異なる比較可能な対象において(例えば、条件への事前の曝露、例えば、自然免疫の生体材料アゴニスト、例えば、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの投与がないこと、などにおいて関心対象の対象と異なる比較可能な対象において)得られたものと比較して「増加」していてもよい。幾つかの実施形態では、比較用語は、統計的に関連のある差(例えば、統計的関連性を達成するのに十分な発生率及び/または大きさのもの)を指す。当業者は、所与の文脈において、かかる統計的有意差を達成するのに必要であるか、または十分な差の程度及び/または発生率を知っているか、または容易に決定することができるであろう。
【0047】
阻害:「阻害」または「阻害する」という用語は、完全阻害のみに限定されない。従って、幾つかの実施形態では、部分阻害または相対的低減が、「阻害」という用語の範囲内に含まれる。例えば、腫瘍再発及び/または転移のリスク及び/または発生率の文脈において、この用語は、幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の非存在下での、または投与前の腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初のレベルまたは他の適切な参照レベルと比べて再現的及び/または統計的に有意に低い水準までの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。幾つかの実施形態では、この用語は、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の非存在下での、または投与前の腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初のレベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満である水準までの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。
【0048】
阻害剤:本明細書で使用する場合、「阻害剤」という用語は、その存在またはレベルが、調節される標的のレベルまたは活性の減少と関連する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、阻害剤は、直接的に作用し得る(この場合、例えば、標的に結合することにより、直接的に当該標的に対する影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、阻害剤は、間接的に作用し得る(この場合、阻害剤は、標的のレベル及び/または活性が低減されるように当該標的の調節因子と相互作用すること、及び/または別様にそれを変化させることにより、その影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、阻害剤は、その存在またはレベルが、特定の参照レベルまたは活性(例えば、適切な参照条件下、例えば、既知の阻害剤の存在下または本明細書において開示される阻害剤の非存在下などで観察されるもの)と比較して低減されている標的のレベルまたは活性と相関するものである。
【0049】
炎症誘発性経路の阻害剤:本明細書で使用する場合、「炎症誘発性経路の阻害剤」という用語は、幾つかの実施形態では、免疫抑制に関連する炎症を阻害または低減する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、このような炎症誘発性経路の阻害剤は、免疫抑制性細胞の動員を防止するか、または急性炎症を防止する薬剤を指す。かかる急性炎症及び/または免疫抑制性細胞の動員は、手術により引き起こされるものが含まれる、局所的外傷の後に発生し得る。幾つかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、例えば、炎症性サイトカイン(例えば、限定されるものではないが、TGF-β及びIL-10が含まれる)の産生、M2様マクロファージの活性及び/または増殖の増加、例えば、限定されるものではないが、骨髄性細胞、好中球、及びマスト細胞などが含まれる関連する免疫細胞の動員が含まれる、例えば、炎症を誘発する免疫応答を阻害し得る。炎症誘発性経路の阻害剤の例としては、例えば、国際公開PCT/US19/23157(その内容は本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。幾つかの実施形態では、本開示を読む当業者は、本明細書に記載される組成物または医薬組成物から除外される炎症誘発性経路の阻害剤が、幾つかの実施形態では、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカイン)、及び/または核酸であるか、またはそれを含むことを理解するであろう。
【0050】
自然免疫調節成分:本明細書で使用する場合、「自然免疫調節成分」という用語は、対象(例えば、組成物が投与され、及び/またはそうでなければ投与する必要がある対象)の自然免疫(及び/または自然免疫応答の1つ以上の特徴)を調節するか、または変化させる(例えば、刺激する、それに拮抗する、活性化する、低減する、など)組成物の構成成分または一部(幾つかの実施形態では、組成物全体であり得る)を指す。幾つかの実施形態では、自然免疫調節成分は、対象(例えば、組成物が投与され、及び/またはそうでなければ投与する必要がある対象)の自然免疫系(及び/または自然免疫系の1つ以上の特徴)を間接的または直接的に刺激または活性化することができる組成物の構成成分または一部(幾つかの実施形態では、組成物全体であり得る)を指す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される自然免疫調節成分は、標的部位での炎症反応を惹起し、標的部位に免疫細胞を動員し、及び/または1つ以上の適応免疫応答(及び/または適応免疫応答の1つ以上の特徴)を誘発するために役立ち、これにより、例えば、抗原特異的獲得免疫の発達をもたらす、1種以上の作用物質を刺激することができる(例えば、レベル及び/または活性を増加させることができる)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される自然免疫調節成分は、例えば、限定されるものではないが、好中球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージなどが含まれる関連する免疫細胞の動員、サイトカイン産生、白血球の増殖及び/または生存の増強、ならびに抗原提示細胞による抗原の提示及び/または共刺激分子のレベル及び/または活性を増加させることによるT細胞プライミングの改善をもたらすことができる。
【0051】
転移:「転移」、「転移性」、または「転移する」という用語は、原発腫瘍または最初の腫瘍から別の器官または組織へのがん細胞の拡散または遊走を指し、典型的には、続発性(転移性)腫瘍が位置する器官または組織のものではない、原発腫瘍または元の腫瘍の組織型の「続発性腫瘍」または「続発性細胞塊」の存在により同定可能である。例えば、骨に移動した前立腺癌は、転移性前立腺癌と言われ、骨組織中で増殖するがん性の前立腺癌細胞を含む。
【0052】
微小粒子:本明細書で使用する場合、「微小粒子」という用語は、1マイクロメートルと1000マイクロメートル(μm)との間の直径を有する粒子を指す。幾つかの実施形態では、微小粒子は、1μmと500μmとの間の直径を有する。幾つかの実施形態では、微小粒子は、1μmと100μmとの間の直径を有する。
【0053】
単糖:本明細書で使用する場合、「単糖」という用語は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、より小さな糖構成単位または部分に更に分解することができない単一の糖単位からなる単純な形態の糖を指す。単糖の一般的な例としては、例えば、グルコース(デキストロース)、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボースなどが挙げられる。単糖は、炭水化物の炭素原子の数に従って、分類され得る。例えば、3個の炭素原子を有するトリオース、例えば、グリセルアルデヒド及び/またはジヒドロキシアセトン;4個の炭素原子を有するテトロース、例えば、エリスロース、トレオース、及び/またはエリトルロース;5個の炭素原子を有するペントース、例えば、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース、及び/またはキシルロース;6個の炭素原子を有するヘキソース、例えば、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース、及び/またはタガトース;7個の炭素原子を有するヘプトース、例えば、マンノヘプツロース及び/またはセドヘプツロース;8個の炭素原子を有するオクトース、例えば、2-ケト-3-デオキシ-マンノ-オクトネート;9個の炭素原子を有するノノース、例えば、シアロース(sialose);及び10個の炭素原子を有するデコース。上記の単糖は、D-単糖及びL-単糖を包含する。あるいは、単糖は、糖単位がヒドロキシル以外の1つ以上の置換基を含む単糖バリアントであり得る。かかるバリアントは、限定されるものではないが、エーテル、エステル、アミド、酸、ホスフェート、及びアミンであり得る。アミンバリアント(すなわち、アミノ糖)としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、フルクトサミン、及び/またはマンノサミンが挙げられる。アミドバリアントとしては、例えば、糖のN-アセチル化アミンバリアント(例えば、N-アセチルグルコサミン及び/またはN-アセチルガラクトサミン)が挙げられる。
【0054】
ナノ粒子:本明細書で使用する場合、「ナノ粒子」という用語は、1000ナノメートル(nm)未満の直径を有する粒子を指す。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、300nm未満の直径を有する。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、100nm未満の直径を有する。
【0055】
薬学的に許容される塩:「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などを伴わずに、例えば、ヒト及び/または動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれる、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本開示のある特定の実施形態に従って利用され得る薬学的に許容される塩としては、例えば、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸により、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸により、またはイオン交換などの当該技術分野において公知の他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN+(C1~C4アルキル)4
-塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。更に薬学的に許容される塩としては、適切な場合には、対イオンを使用して形成される無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、及びアミンカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0056】
ポリマー:「ポリマー」という用語は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、すなわち、共有結合により連結された1つ以上の反復単位(モノマー)を含む分子構造である。反復単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、ポリマー(例えば、コポリマー)中に存在する2つ以上の種類の反復単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、ポリマーは、分枝ポリマーである。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、ポリペプチドではない。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、核酸ではない。
【0057】
ポリマー生体材料:「ポリマー生体材料」は、本明細書に記載されるように、ポリマーまたはポリマー成分であるか、またはそれを含み、生体適合性である材料である。多数の実施形態において、ポリマー生体材料は、少なくとも1種のポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ポリマーは、コポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料は、特定のポリマー(例えば、キトサン)の調製物であるか、またはそれを含む。当業者は、ある種のポリマーが、種々の形態(例えば、長さ、分子量、電荷、トポグラフィー、界面化学、修飾の程度及び/または種類、例えば、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化など)で存在し得、及び/または利用可能であり得ることを知っているであろう。幾つかの実施形態では、このようなポリマーの調製物は、指定されたレベル及び/または分布のかかる形態または複数の形態を含み得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料の1つ以上の免疫調節性特性が、例えば、Mariani et al.“Biomaterials:Foreign Bodies or Tuners for the Immune Response?”International Journal of Molecular Sciences,2019,20,636に記載されているように、例えば、ポリマー生体材料の界面化学(例えば、ポリマー生体材料の疎水性部分及び/または親水性部分、化学部分、及び/または電荷特性により調節される)及び/またはポリマー生体材料のトポグラフィー(例えば、サイズ、形状、及び/または表面質感により調節される)が含まれる、ポリマー生体材料の生体材料特性(複数可)により調整され得ることを当業者は理解するであろう。
【0058】
ポリマーネットワーク:「ポリマーネットワーク」という用語は、互いに相互作用しているポリマー鎖の集まりを表現するために本明細書において使用される。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、三次元構造材料を形成する。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、(例えば、本明細書に記載される)架橋剤を使用してポリマー鎖を連結して、例えば、共有結合性ポリマーネットワークを生成することにより形成され得る(「架橋型ポリマーネットワーク」)。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、単純にポリマー鎖を混合物に混ぜ合わせるか、または混合することにより形成され得る(「非架橋型ポリマーネットワーク」)。幾つかの実施形態では、このような非架橋型ポリマーネットワークは、ポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間結合により、例えば、水素結合により形成され得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリマー鎖の架橋及びポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間結合の組み合わせにより形成され得る。
【0059】
炎症性サイトカイン:本明細書で使用する場合、「炎症性サイトカイン」という用語は、炎症反応を誘発する、細胞(例えば、免疫系の細胞)により分泌されるタンパク質または糖タンパク質分子を指す。当業者によって理解されるように、炎症は、生物学的文脈に応じて免疫賦活性または免疫抑制性であり得る。
【0060】
炎症誘発性免疫応答:本明細書で使用する場合、「炎症誘発性免疫応答」という用語は、例えば、炎症性サイトカインの産生(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-αが含まれる)、Th1細胞の活性及び/または増殖の増加、骨髄性細胞の動員などが含まれる、炎症を誘発する免疫応答を指す。幾つかの実施形態では、炎症誘発性免疫応答は、急性炎症及び慢性炎症の一方または両方であり得るか、またはそれを含み得る。
【0061】
予防上有効量:「予防上有効量」は、状態を予防するのに十分な量である(例えば、状態の1つ以上の症状または特性の発生または再発を顕著に遅延させ、例えば、その結果、それ/それらが、当該量の投与がない場合に予想される時点で検出されない)。組成物の予防上有効量は、状態の予防において予防効果を提供する、単独または他の薬剤との組み合わせでの治療薬(複数可)の量を意味する。「予防上有効量」という用語は、予防全体を改善するか、または別の予防剤の予防効力を増強する量を包含し得る。予防上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。
【0062】
低分子:「低分子」または「低分子治療薬」という用語は、天然に存在するか、または人工的に作製される(例えば、化学合成により)かにかかわらず、比較的に低い分子量を有する分子を指す。典型的には、低分子は、有機化合物である(すなわち、それは炭素を含有する)。低分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心、及び他の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボニル、及び複素環など)を含有し得る。ある特定の実施形態では、低分子の分子量は、約1,000g/mol以下、約900g/mol以下、約800g/mol以下、約700g/mol以下、約600g/mol以下、約500g/mol以下、約400g/mol以下、約300g/mol以下、約200g/mol、または約100g/mol以下である。ある特定の実施形態では、低分子の分子量は、少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上記の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約200g/molかつ約500g/mol以下)も可能である。ある特定の実施形態では、低分子は、薬物などの治療効果のある薬剤(例えば、米国連邦規則集(C.F.R.)に掲示されるような米国食品医薬品局により承認された分子)である。低分子は、1個以上の金属原子及び/または金属イオンと錯体を形成していてもよい。この例では、低分子は、「有機金属低分子」とも称される。好ましい低分子は、それらが動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて、生物学的効果をもたらすという点で生物学的に活性である。低分子としては、限定されるものではないが、放射性核種及びイメージング剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、低分子は、薬物である。好ましくは、必ずしもではないが、薬物は、適切な政府機関または規制機関により、ヒトまたは動物における使用について安全かつ有効であると既にみなされているものである。例えば、ヒトでの使用が承認されている薬物は、参照により本明細書に組み込まれる、21C.F.R.§§330.5、331~361、及び440~460に基づきFDAにより列記されており、獣医学的使用のための薬物は、参照により本明細書に組み込まれる、21C.F.R.§§500~589に基づきFDAにより列記されている。全ての列挙される薬物は、本発明による使用について許容可能とみなされる。
【0063】
対象:投与が企図される「対象」としては、限定されるものではないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児の対象(例えば、乳幼児、児童、青年)または成人の対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))及び/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);飼育動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌ;及び/または鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/またはシチメンチョウ))が挙げられる。ある特定の実施形態では、動物は、(例えば、任意の発生段階の)哺乳動物である。幾つかの実施形態では、動物(例えば、非ヒト動物)は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。幾つかの実施形態では、対象は、腫瘍切除術の対象、例えば、最近腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される72時間未満(例えば、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、またはより短時間が含まれる)前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される48時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される24時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される12時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。
【0064】
実質的:本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、完全またはほぼ完全な程度または度合の関心対象の特徴または特性を示す質的状態を指す。当業者は、関心対象の薬剤が、あるとしても、絶対の結果を達成または回避すること、例えば、関心対象の薬剤は、免疫応答、例えば、炎症に対する効果を実際には持たないことを理解するであろう。従って、「実質的に」という用語は、多数の生物学的効果及び化学的効果に内在する絶対性の欠如の可能性を表現するために本明細書において使用される。
【0065】
持続:本明細書において互換的に使用されるように、「延長」または「持続」という用語は、通常、効果及び/またはプロセスを所望の一定時間にわたって長引かせることを指す。例えば、(例えば、自然免疫の生体材料アゴニストの存在下での)自然免疫の持続する刺激の文脈において、関心対象の生体材料により誘発されるこのような効果は、関心対象のこのような生体材料が利用されない場合に観察されるものと比較してより長い間観察され得る。自然免疫の生体材料アゴニストからの一定時間にわたる関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書に記載される治療薬及び/または分解もしくは溶解生成物及び/または自然免疫の生体材料アゴニストの可溶性成分)の持続放出の文脈において、かかる放出は、30分から数週間までの範囲の時間尺度で生じ得る。幾つかの実施形態では、持続放出または徐放の程度は、インビトロまたはインビボで特徴付けられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、放出動態は、本明細書に記載の組成物を水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れることによりインビトロで試験され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物が水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れられる場合、100%未満またはそれ以下(例えば、90%以下、80%以下、70%以下、50%以下、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書において提供されるものなどの治療薬及び/または分解もしくは溶解生成物及び/または自然免疫を調節もしくは活性化する生体材料の可溶性成分)が、生体材料から3時間以内に放出される。幾つかの実施形態では、放出動態は、動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に組成物を移植することによりインビボで試験され得る。幾つかの実施形態では、組成物が動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に移植される場合に、70%以下またはそれ以下(例えば、60%以下、50%以下、40%未満、30%未満、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書において提供されるものなどの治療薬及び/または分解もしくは溶解生成物及び/または自然免疫を調節もしくは活性化する生体材料の可溶性成分)が、移植の8時間後にインビボで放出される。
【0066】
試験対象:本明細書で使用する場合、「試験対象」という用語は、本明細書において提供される技術が、例えば、生体材料の分解、及び/または自然免疫アゴニズム及び/または抗腫瘍免疫における生体材料の有効性を評価するための実験的研究のために適用される対象を指す。幾つかの実施形態では、試験対象は、ヒト対象またはヒト対象の集団全体であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、このようなヒト試験対象は、正常な健常対象であり得る。幾つかの実施形態では、このようなヒト試験対象は、腫瘍切除術の対象であり得る。幾つかの実施形態では、試験対象は、哺乳類の非ヒト動物または哺乳類の非ヒト動物集団全体であり得る。かかる哺乳類の非ヒト動物の非限定的な例としては、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ウサギなどが挙げられ、これらは、幾つかの実施形態では、正常な健常対象であり得る一方で、幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象であり得る。幾つかの実施形態では、かかる哺乳類の非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。
【0067】
治療薬:「治療薬」という用語は、所望される通常有益な生理学的効果をもたらす1つ以上の特性を有する薬剤を指す。例えば、治療薬は、疾患を処置、改善、及び/または予防し得る。本開示を読む当業者は、本明細書で使用する場合、「治療薬」という用語は、規制機関が規制目的で薬剤を「治療効果がある」とみなすのに必要とされ得るような特定のレベルまたは種類の治療活性を必要としないことを理解するであろう。本開示を読む当業者によって理解されるように、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、所望の生理作用に寄与し、及び/またはこれを達成する1つ以上の特性を有し得、従って、その用語が本明細書で使用される場合、「治療薬」であるとみなされ得る(かかる生体材料が、任意の特定の規制機関により薬学的活性があるとみなされるか、またはみなされないか否かにかかわらず)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び/または方法(例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを必要とする)において利用され得る治療薬は、例えば、生物学的製剤、低分子、またはそれらの組み合わせを含む、非免疫調節性治療薬であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び/または方法(例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを必要とする)において利用され得る治療薬は、幾つかの実施形態では、細胞毒性剤であり得るか、またはそれを含む化学療法薬であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び/または方法(例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを必要とする)において利用され得る治療薬は、(例えば、本明細書に記載される)免疫調節剤ペイロードを含まない。
【0068】
治療上有効量:「治療上有効量」は、状態の処置において治療効果を提供するのに十分な量であり、当該治療効果は、例えば、頻度及び/または重症度の低減及び/または当該状態に関連する1つ以上の特徴もしくは症状の発生の遅延であり得るか、またはそれを含み得る。治療上有効量は、状態の処置において治療効果を提供する、単独または他の治療法との組み合わせでの治療薬(複数可)の量を意味する。「治療上有効量」という用語は、治療全体を改善するか、状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療有効性を増強する量を包含し得る。治療上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。
【0069】
処置:「処置」、「処置する」、及び「処置すること」という用語は、本明細書に記載される「病態」(例えば、疾患、障害、または状態であって、それらの1つ以上の徴候または症状を含む)、例えば、がんまたは腫瘍を後退させること、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。幾つかの実施形態では、処置は、1つ以上の徴候または症状が発症したか、または観察された後で投与され得る。処置は、例えば、再発及び/または拡散を遅延させるか、または予防するために、症状が消退した後も継続され得る。
【0070】
腫瘍:「腫瘍」及び「新生物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊であって、当該塊の増殖が、正常組織の成長を上回り、これと協調しない、組織の異常な当該塊を指す。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある種の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、一般に、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0071】
腫瘍除去:本明細書で使用する場合、「腫瘍除去」という用語は、がん治療、例えば、外科的切除の結果としてもたらされ得る腫瘍の部分的または完全な除去を包含する。幾つかの実施形態では、腫瘍除去は、手術(すなわち、「腫瘍切除」)による腫瘍の一部または全体の物理的除去を指す。幾つかの実施形態では、腫瘍除去は、外科的腫瘍切除及びアジュバント療法(例えば、化学療法、免疫療法、及び/または放射線治療)の結果としてもたらされ得る。幾つかの実施形態では、アジュバント療法は、外科的腫瘍切除後に、例えば、外科的腫瘍切除の少なくとも24時間以上後に投与され得る。
【0072】
腫瘍切除術の対象:本明細書で使用する場合、「腫瘍切除術の対象」という用語は、腫瘍切除術を受けているか、または最近受けた対象を指す。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上(100%が含まれる)が含まれる)が外科的切除により除去された対象である。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されたことを肉眼による肉眼検査が示しても、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術に対する生理的反応により進行/増殖するように促進され得る、微小転移巣及び/または休眠中の播種性がん細胞を有し得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍切除術が実行された直後に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される(例えば、手術中の投与)。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはより短時間以内が含まれる)に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される。
【0073】
バリアント:本明細書で使用する場合、「バリアント」という用語は、参照物質との顕著な構造的同一性を示すが、当該参照物質と比較して、1つ以上の化学部分の存在またはレベルにおいて当該参照物質と構造的に異なる物質を指す。多数の実施形態では、バリアントは、その参照物質と機能的にも異なる。一般に、特定の物質が適切に参照物質の「バリアント」であるとみなされるかどうかは、当該参照物質との構造的同一性の程度に基づく。当業者によって理解されるように、任意の生物学的または化学的な参照物質は、ある特定の特徴的な構造要素を有する。定義上、バリアントは、1つ以上のかかる特徴的な構造要素を共有する異なる化学物質である。少数の例のみを挙げると、低分子は、特徴的なコア構造要素(例えば、大員環コア)及び/または1つ以上の特徴的なペンダント部分を有していてもよく、そのため、低分子のバリアントは、コア構造要素及び特徴的なペンダント部分を共有するが、他のペンダント部分及び/またはコア内に存在する結合の種類(単対二重、E対Zなど)が異なるものであり、ポリペプチドは、線状もしくは3次元空間において互いに指定される位置を有し、及び/または特定の生物学的機能に寄与する複数のアミノ酸から構成される特徴的な配列要素を有していてもよく、核酸は、線状または3次元空間において互いに指定される位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な配列要素を有していてもよい。例えば、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、1種以上の構造的修飾(例えば、限定されるものではないが、化学部分の付加、除去、及び/または修飾、及び/またはグラフト化)の結果として参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)と異なり得、ただし、当該バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、例えば、本明細書に記載される方法において使用される場合に、(例えば、自然免疫を刺激することにより)免疫系に作用し得る。幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、このようなバリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)の対象の標的部位への投与の24時間後に評価される場合に、当該対象の当該標的部位で、及び/または体循環中に観察される1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)が当該標的部位に投与される場合に観察される量の少なくとも60%またはそれ以上(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または最高100%が含まれる)であることを特徴とする。幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、このようなバリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)の対象の標的部位への投与の24時間後に評価される場合に、当該対象の当該標的部位で、及び/または体循環中に観察される1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)が当該標的部位に投与される場合に観察される量の少なくとも1.1倍またはそれ以上(例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、またはそれ以上が含まれる)であることを特徴とする。幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)のものと異なる少なくとも1つの物理的特性を示す。例えば、幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)の(例えば、生理的pHでの)水溶性と比較して増加した水溶性を示し得る。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して10種、9種、8種、7種、6種、5種、4種、3種、2種、または1種の構造的修飾を有する。幾つかの実施形態では、バリアントは、少数(例えば、5種未満、4種、3種、2種、または1種)の構造的修飾(例えば、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化など)を有する。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して、5種、4種、3種、2種、または1種を超えない化学部分の付加または欠失を有し、幾つかの実施形態では、付加または欠失を有さない。幾つかの実施形態では、バリアントは、化学的操作により参照から生成され得る物質である。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照を生成するものと実質的に類似する(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスの実行により生成され得る物質である。
【0074】
ある特定の実施形態の詳細説明
本開示は、とりわけ、がん処置及び/または身体の生体内原位置での免疫学的事象またはプロセスの局所的調節の達成に関する技術を提供する。
【0075】
幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、外科的切除による(部分的または完全な)腫瘍除去を最近受けたがん患者及び/または受けているがん患者を処置するのに特に有用である。特定の実施形態では、提供される技術は、例えば、手術中の状況で、例えば、固形腫瘍などの腫瘍を処置している腫瘍切除術の対象を処置するのに有用であり得る。腫瘍の外科的切除は、免疫抑制、例えば、切除部位でのもしくはその近くでの局所的な免疫抑制(例えば、創傷治癒に応答したもの)及び/または例えば、1つ以上の遠隔腫瘍部位、例えば、転移部位などの1つ以上の遠隔部位での免疫抑制(例えば、免疫抑制因子の全身拡散に起因する)をもたらし得る。例えば、Krall et al.“The systemic response to surgery triggers the outgrowth of distant immune-controlled tumors in mouse models of dormancy”Sci Transl Med.,10:eaan3464(2018)を参照のこと。腫瘍切除後の手術部位で発生し得る免疫反応におけるかかる変化は、局所的及び/または全身的影響を及ぼし得、休眠中の微小転移巣の活性化及び/または残存がん細胞の増殖を助長または促進し得、これにより、がん再発のリスクを増加させる。例えば、Tohme et al.“Surgery for cancer:a trigger for metastases”Cancer Res.,77:1548-1552(2017)を参照のこと。
【0076】
幾つかの実施形態では、本開示は、従来からがん処置の有効性を引き起こすものと考えられておらず、むしろ補助材料(例えば、薬物担体またはワクチン補助剤)と考えられている、ある特定の種類の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、それ自体が抗腫瘍免疫を誘発するのに有用であり得、従って、特に、例えば、検出可能な残存がん細胞が極めて少ないか、または存在しない腫瘍切除後の状況で、別個の免疫調節剤ペイロードを必ずしも必要としないという洞察を提供する。従って、本開示は、ポリマー生体材料が含まれるかかる生体材料及び他の生体材料について特に効果的及び/または望ましい処置戦略を教示する。
【0077】
特定の実施形態では、本開示は、ある種の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、標的部位(例えば、腫瘍が、例えば、外科的切除により除去された部位)に配置され場合に、それ自体が抗腫瘍自然免疫を刺激するのに十分であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、かかる抗腫瘍自然免疫は、がんの再発及び/または転移のリスク及び/または発生率及び/またはそれに関連する死亡率の低減をもたらし得る。従って、本開示は、免疫賦活作用を集中させることを、それを必要とする標的部位に行うことができる技術を提供する。本明細書において提供されるかかる技術は、幾つかの実施形態では、免疫療法の全身投与に伴い得る有害な副作用を最小限にしながら、例えば、腫瘍の再発及び/または転移を低減または阻害すること(例えば、その発生を遅延させること、程度を低減すること)により、特にがんを処置するのに有用であり得る。
【0078】
I.組成物
本開示は、(例えば、(例えば、本明細書に記載されるような1つ以上のアッセイで試験される場合に)本明細書に記載されるような自然免疫のアゴニストであることを特徴とする、例えば、ポリマー生体材料が含まれる、生体材料から本質的になる(またはそれからなる)免疫調節剤を含む)本明細書に記載されるような免疫調節組成物を提供する。
【0079】
幾つかの実施形態では、本開示は、がん処置に有用である組成物(例えば、本明細書に記載されるような免疫調節組成物)を提供する。特定の実施形態では、提供される組成物は、腫瘍除去を受けているか、またはそれを受けた対象に投与するのに有用である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除術の対象に投与するのに有用である。
【0080】
幾つかの実施形態では、本開示による組成物は、自然免疫調節成分を含む。例えば、幾つかの実施形態では、このような自然免疫調節成分は、対象における(例えば、それが投与される対象及び/またはそうでなければその必要がある対象における)1つ以上の自然免疫応答(及び/または自然免疫応答の1つ以上の特徴)を活性化または刺激する。幾つかの実施形態では、組成物中に提供される自然免疫調節成分は、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)での炎症反応を直接または間接的に引き起こし、及び/または免疫細胞を標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に動員する。当業者は、場合によっては、本明細書に記載される組成物中に提供される自然免疫調節成分は、標的部位での炎症反応を惹起し、及び/または免疫細胞を標的部位に動員する1種以上の作用物質を刺激し得る(例えば、レベル及び/またはその活性を増加させ得る)ことを理解するであろう。
【0081】
幾つかの実施形態では、提供される組成物は、自然免疫調節成分及び任意に1種以上の他の成分(すなわち、自然免疫調節剤でない1種以上の物質/薬剤)を含む。
【0082】
幾つかの実施形態では、自然免疫調節成分は、生体材料から本質的になるか、またはそれからなる。幾つかの実施形態では、自然免疫調節成分は、ポリマー生体材料から本質的になるか、またはそれからなる。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される組成物の自然免疫調節成分は、このような組成物が、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)以外に1種以上の物質(複数可)/薬剤(複数可)を含み得、かかる他の物質(複数可)/薬剤(複数可)が、個別にまたは共に、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の関連する自然免疫調節特性(複数可)を実質的に変化させない範囲で、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)から本質的になるか、またはそれからなる。
【0083】
本発明の発明者は、生体材料、及び自然免疫調節剤(例えば、WO2018/045058(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載される自然免疫応答の活性化因子を参照のこと)であり得るか、またはそれを含むペイロードを含むシステムが、とりわけ、腫瘍切除を受けたか、または受けている対象に投与される場合に、非常に有用であり得ることを以前に記載した。特に本開示は、ある種の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、別個の自然免疫調節ペイロードなしでも十分な自然免疫調節活性を提供して、有益な効果を達成することができ得るという驚くべき洞察を提供する。
【0084】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物の自然免疫調節成分は、自然免疫調節ペイロードを実質的に含まないだけでなく、本開示のこのような組成物は、例えば、適応免疫調節ペイロード、免疫調節性サイトカイン、免疫調節化学療法薬、免疫調節治療薬、及び/またはそれらの組み合わせが含まれる、少なくとも1種以上(例えば、少なくとも2種以上、少なくとも3種以上)の他の種類の免疫調節剤ペイロードの含有を必ずしも必要としない。単に一例として、幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、自然免疫調節ペイロード及び適応免疫調節ペイロードを実質的に含まない。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、自然免疫調節ペイロード、適応免疫調節ペイロード、及び免疫調節性サイトカインを実質的に含まない。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、免疫調節剤ペイロードの非存在下で免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む。
【0085】
自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニスト
本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料アゴニストは、投与された際に、自然免疫のアゴニストまたは活性化因子として機能する生体材料である。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料アゴニストは、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストであるか、またはそれを含む。本開示を読む当業者が理解するように、本開示に従って利用されるポリマー生体材料は、個々の核酸またはポリペプチド分子ではなく、(例えば、幾つかの実施形態では、例えば、貯蔵弾性率、粘性、及び/または位相角が含まれる、本明細書に記載されるように1つ以上の生体材料特性を有する)マトリックス生体材料である。幾つかの実施形態では、このようなポリマー生体材料の文脈において使用されるポリマーは、ポリペプチドではない。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料の文脈において使用されるポリマーは、核酸ではない。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料は、核酸及び/またはポリペプチドであり得るか、またはそれを含み得る。
【0086】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載されるように)少なくとも1つ以上の自然免疫応答が誘発されるように、例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、好中球、及び/またはナチュラルキラー(NK)細胞などの、自然免疫系の1つ以上の種類の細胞の1種以上のパターン認識受容体を間接的または直接的に活性化し得る。このようなパターン認識受容体の例は、C型レクチン受容体(CLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NOD様受容体またはNLR)、レチノイン酸誘導性遺伝子I様受容体(RLR)、及び/またはToll様受容体(TLR)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、マンノース受容体及び/またはアシアロ糖タンパク質受容体ファミリー(例えば、デクチン1、デクチン2、マクロファージ誘導性C型レクチン(ミンクル)、樹状細胞特異的ICAM3結合ノンインテグリン(DC-SIGN)、及びDC NKレクチン群受容体1(DNGR-1))が挙げられる、自然免疫系の多数の異なる細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージなど)の少なくとも1種以上のC型レクチン受容体(CLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、本明細書において利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、NLRA(例えば、CIITA)、NLRB(例えば、NAIP)、NLRC(例えば、NOD1、NOD2、NLRC3、NLRC4、NLRC5、NLRX1)、及び/またはNLRP(例えば、NLRP1、NLRP2、NLRP3、NLRP4、NLRP5、NLRP6、NLRP7、NLRP8、NLRP9、NLRP10、NLRP11、NLRP12、NLRP13、NLRP14)が挙げられる、異なる種類の白血球(例えば、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞)の少なくとも1種以上のNOD様受容体(NLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、本明細書において利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、RIG-I、MDA5、及び/またはLGP2が挙げられる、例えば、骨髄性細胞の少なくとも1種以上のRIG-I様受容体(RLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、及び/またはTLR10が挙げられる、異なる種類の白血球(例えば、樹状細胞、骨髄性樹状細胞、単球、マクロファージ、及び/または好中球)の少なくとも1種以上のToll様受容体(TLR)を直接または間接的に活性化し得る。
【0087】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載されるように)少なくとも1つ以上の自然免疫応答(及び/または自然免疫応答の1つ以上の特徴)が誘発されるように、例えば、骨髄性細胞におけるインフラマソームを間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。幾つかの実施形態では、インフラマソームは、通常、1つ以上の炎症反応を活性化する、例えば、1種以上の炎症性サイトカイン、例えば、インターロイキン1β及び/またはインターロイキン18の成熟及び/または分泌を促進する多タンパク質複合体である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、Absent in Melanoma 2(AIM2)様受容体を含むインフラマソーム(「AIM2インフラマソーム」)を間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、NLRP1(例えば、NALP1b)、NLRP3(例えば、NALP3)、及び/またはNLRC4(例えば、IPAF)が含まれる、1種以上のNLRを含むインフラマソームを間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。
【0088】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫が誘発されるように、cGAS-STING経路に関与する1つ以上の構成要素(例えば、Chen et al.,“Regulation and function of the cGAS-STING pathway of cytosolic DNA sensing”Nature Immunology(2016)17:1142-1149に記載されるようなcGAS-STING経路及び/またはその構成要素)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、NFκB及び/またはNFκB経路に関連する他の構成要素の活性及び/またはレベル(例えば、Dev et al.,“NFκB and innate immunity”Curr Top Microbiol Immunol.(2011)349:115-43に記載されているような自然免疫応答におけるNF-κB活性化)を直接または間接的に誘発し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、自然免疫応答における活性酸素種の生成を直接または間接的に引き起こし得る。
【0089】
本開示を読む当業者に明らかであるように、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫の活性化に関連する1つ以上の構成要素及び/または経路(例えば、本明細書に記載されるもの)を直接または間接的に活性化し得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、自然免疫系の細胞のうちの1つ以上の種類の1種以上のパターン認識受容体(例えば、本明細書に記載されるもの)を直接または間接的に活性化し得、例えば、骨髄性細胞における、インフラマソームの活性化または誘発もし得る(例えば、そのレベル及び/または活性も増加させ得る)。
【0090】
例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、24時間、48時間、または72時間)後に評価される場合に、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの炎症性サイトカイン(複数可)が、当該対象の標的部位に、及び/または体循環中に存在することを特徴とする。かかる炎症性サイトカイン(複数可)の非限定的な例としては、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、TNF-α、及びそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中の1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、またはそれ以上)の炎症誘発性サイトカイン(複数可)のこのような増加は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察される炎症誘発性サイトカイン(複数可)と比較して、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)である。
【0091】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、24時間、48時間、または72時間)後に評価される場合に、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの活性化樹状細胞が、当該対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)に、及び/または体循環(例えば、末梢血)中に存在することを特徴とする。樹状細胞の様々な活性化マーカーが公知であり、樹状細胞の活性化状態を評価するために使用され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、樹状細胞の活性化は、樹状細胞表面の抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び/または共刺激分子(例えば、CD40、CD80、及び/またはCD86)のレベルを検出することにより評価され得る。幾つかの実施形態では、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中の(例えば、活性化樹状細胞の数及び/または樹状細胞上の1種以上のかかる活性化マーカーのレベルを基準にした)活性化樹状細胞のこのような増加は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察される活性化樹状細胞と比較して、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)である。
【0092】
抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインの活性化を評価するための様々な方法が当技術分野において公知である。場合によっては、抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインのレベルは、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、標的免疫細胞における遺伝子発現(例えば、mRNAレベル)に基づいて評価され得ることを当業者は理解するであろう。免疫アッセイ(例えば、ELISA、免疫染色、及び/またはフローサイトメトリー)が同様にかかる活性化を評価するために使用され得ることも当業者は理解するであろう。例えば、樹状細胞表面の抗原提示機構及び/または共刺激分子のタンパク質発現は、例えば、免疫染色及び/またはフローサイトメトリーにより評価され得る。馴化培養培地または末梢血中の炎症性サイトカインなどの炎症誘発性可溶性因子の濃度は、例えば、ELISA及び/またはマルチプレックスレーザービーズ(multiplexing laser bead)技術を使用して測定され得る。
【0093】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、24時間、48時間、または72時間)後に評価される場合に、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くの形質細胞様樹状細胞が、当該対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)に、及び/または体循環(例えば、末梢血)中に存在することを特徴とする。当業者によって理解されるように、場合によっては、形質細胞様樹状細胞は、関連する活性化マーカー(例えば、B220及び/またはPDCA1)の検出により評価され得る。幾つかの実施形態では、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中の(例えば、形質細胞様樹状細胞の数及び/または形質細胞様樹状細胞における1種以上の活性化マーカーのレベルを基準にした)形質細胞様樹状細胞のこのような増加は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察される形質細胞様樹状細胞と比較して、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)である。
【0094】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、24時間、48時間、または72時間)後に評価される場合に、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比べてより多くのNK細胞が、当該対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)に、及び/または体循環(例えば、末梢血)中に存在することを特徴とする。当業者によって理解されるように、場合によっては、NK細胞は、関連する活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはKLRG1)及び/または高エフェクター型のマーカー(例えば、CD11b及び/またはCD27)の評価により検出され得る。幾つかの実施形態では、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中の(例えば、NK細胞の数及び/またはNK細胞における1種以上のかかる活性化マーカー及び/または高エフェクター型のマーカーのレベルを基準にした)NK細胞のこのような増加は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察されるNK細胞と比較して、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)である。
【0095】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、2週間、3週間、1ヵ月、またはより長期間)後に評価される場合に、当該対象が、自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが当該標的部位に投与されない場合に観察されるのと比較して少なくとも1つ以上の抗腫瘍適応応答を示すことを特徴とする。例えば、当業者によって理解されるように、場合によっては、抗腫瘍適応応答は、T細胞の数及び/または1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはGITR)を発現するT細胞の比率を評価することにより評価され得る。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫のこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、2週間、3週間、1ヵ月、またはより長期間)後に評価される場合に、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中のT細胞(例えば、CD4を発現するがFoxP3を発現しないT細胞、またはCD8を発現するT細胞)の数が、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察されるものと比較して、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)高いことを特徴とする。追加的または代替的に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位への投与の所定時間(例えば、2週間、3週間、1ヵ月、またはより長期間)後に評価される場合に、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)及び/または二次リンパ器官(例えば、リンパ節または脾臓)での、及び/または体循環(例えば、末梢血)中の活性化T細胞(例えば、CD69及び/またはGITRを発現する活性化T細胞)の数が、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストまたはそれを含む組成物が投与されない場合に観察されるものと比べて、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上が含まれる)高いことを特徴とする。
【0096】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、1種以上のポリマーを含む。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、少なくとも2種以上のポリマーを含み、これらのうちの少なくとも1種は自然免疫のアゴニストまたは活性化因子として機能する。幾つかのかかる実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、自然免疫のアゴニストまたは活性化因子として機能する少なくとも1種のポリマー及び非免疫調節性である少なくとも1種のポリマーを含み得る。自然免疫の生体材料アゴニストが1種以上のポリマーを含む幾つかの実施形態では、このような生体材料に使用するためのポリマー(複数可)は、少なくとも2kDa、2.5kDa、少なくとも5kDa、少なくとも10kDa、またはそれ以上の平均分子量、例えば、少なくとも20kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、少なくとも110kDa、少なくとも120kDa、少なくとも130kDa、少なくとも140kDa、少なくとも150kDa、少なくとも160kDa、少なくとも170kDa、少なくとも180kDa、少なくとも190kDa、少なくとも200kDa、少なくとも210kDa、少なくとも220kDa、少なくとも230kDa、少なくとも240kDa、少なくとも250kDa、少なくとも260kDa、少なくとも270kDa、少なくとも280kDa、少なくとも290kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも500kDa、少なくとも600kDa、少なくとも700kDa、またはそれ以上が含まれる平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるポリマー(複数可)は、1000kDa以下またはそれ以下の平均分子量、例えば、900kDa以下、800kDa以下、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、200kDa以下、100kDa以下、50kDa以下、またはそれ以下が含まれる平均分子量を有し得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、かかるポリマー(複数可)は、2kDa~1000kDa、または5kDa~600kDa、または10kDa~400kDaの平均分子量を特徴とする。通常、ポリマーは、場合によっては平均分子量を決定するために使用され得る分子量分布によって特徴付けられることを当業者は理解するであろう。更に、平均分子量は、例えば、数平均分子量、重量平均分子量、及びピーク平均分子量が含まれる異なる方法により表現され得、例えば、ゲル電気泳動(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE))、サイズ排除ゲルクロマトグラフィー、質量分析(例えば、MALDIまたはESI)もしくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、屈折率検出(RID)、光散乱、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、HPLC-RID)により決定され得ることを当業者は理解するであろう。
【0097】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される組成物に有用である(例えば、本明細書に記載される1つ以上の特性、例えば、1種以上の炎症性サイトカインのレベルの増加、及び/または樹状細胞及び/またはNK細胞の数及び/または活性化の増加などを示す)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、炭水化物ポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、このような炭水化物ポリマーは、共有結合により連結された1種以上のアミノ糖を含み得る。このような炭水化物ポリマーに有用であり得る例示的なアミノ糖は、グルコサミン、ガラクトサミン、フルクトサミン、及び/またはマンノサミンであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような炭水化物ポリマーは、対象に投与される場合に、当該炭水化物ポリマーが、例えば、cGAS-STING経路または1つ以上のその構成要素の活性化によりIFN(例えば、I型IFN)の産生を誘発する、及び/または例えば、インフラマソーム(例えば、NLRP3)の活性化によりIL-1βの産生を誘発することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような炭水化物ポリマーは、対象に投与される場合に、当該炭水化物ポリマーが、(例えば、本明細書に記載される)1種以上の炎症性サイトカインの産生及び/または(例えば、本明細書に記載される)抗原提示機構及び/または共刺激分子の上方調節を誘発することを特徴とする。ある特定の実施形態では、本開示による有用な炭水化物ポリマーは、グルカン(例えば、α-グルカンなどのデキストラン、β-グルカンなどのザイモサン)、フルクタン(例えば、イヌリン)、マンナン、キチン及び/またはキトサン、マイコバクテリアの炭水化物(例えば、リポアラビノマンナン(LAM)、ムラミルジペプチド(MDP)、D-ムラパルミチン、トレハロース-6-6-ジミコール酸)、リポ多糖(LPS)、サポニン化合物(例えば、QS-21)、及び/またはPetrovsky and Cooper,“Carbohydrate-based immune adjuvants”Expert Rev Vaccines,10:523-537(2011)に記載されるような炭水化物含有化合物であるか、またはそれを含む。
【0098】
キトサン及び/またはキチンが自然免疫を誘発し得ることを当業者は理解するであろう。例えば、Bueter et al.,“Innate Sensing of Chitin and Chitosan”PLOS Pathogens,9(1):e1003080(2013)、Carroll et al.“The Vaccine Adjuvant Chitosan Promotes Cellular Immunity via DNA Sensor cGAS-STING-Dependent Induction of Type I interferons”Immunity,44(3):597-608(2016)、及びRiteau and Sher“Chitosan:An Adjuvant with an Unanticipated STING”Immunity,44(5)522-524を参照のこと。従って、特定の実施形態では、本開示による有用な炭水化物ポリマーは、キトサンもしくはそのバリアントまたはそれらの組み合わせであるか、またはそれを含む。特定の実施形態では、本開示による有用な炭水化物ポリマーは、キチンであるか、またはそれを含む。例えば、Bueter et al.,“Innate Sensing of Chitin and Chitosan”,PLOS Pathogens 9(1):e1003080に記載されているように、キチン粒子のサイズが免疫反応の種類を決定し得ることを当業者は理解するであろう。従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物に使用するためのキチンは、炎症誘発性反応を誘発することが示された約40~70μmの粒子であり得る。
【0099】
本明細書において利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに使用するためのポリマーの追加の例としては、限定されるものではないが、アルギナート(これはNF-κB経路により自然免疫活性化を誘発し得る。例えば、Yang and Jones“Effect of alginate on innate immune activation of macrophages”J Biomed Mater Res A,90:411-418(2009)を参照のこと)、ポリアクリル酸(これは活性酸素種(ROS)生成により自然免疫活性化を誘発し得る。例えば、Gartlan et al.,“Sterile inflammation induced by Carbopol elicits robust adaptive immune responses in the absence of pathogen-associated molecular patterns”Vaccine 34:2188-2196(2016)を参照のこと)、ポリホスファゼン、シリカゲル(これはNLRP3インフラマソームにより自然免疫活性化を誘発し得る)、ならびにそれらのバリアント及びそれらの組み合わせが挙げられる。例示的なポリホスファゼンは、例えば、ポリ[ジ(カルボキシラトエチルフェノキシ)ホスファゼン](PCEP)、ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](PCPP)、及びそれらの塩(例えば、それらのナトリウム塩)が含まれる、ポリ[(有機)ホスファゼン]であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、PCEPは、ポリ[ジ(ナトリウムカルボキシラトエチルフェノキシ)ホスファゼン]であり得るか、またはそれを含む。例えば、Magiri et al.,“Recent advances in experimental polyphosphazene adjuvants and their mechanisms of action.”Cell Tissue Res.,374:465-471(2018)に記載されているように、ポリホスファゼンが、TLR及びNLRP3インフラマソームを活性化し得ることを当業者は理解するであろう。
【0100】
自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに利用されるポリマーそれ自体は、通常、生体適合性である。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに利用されるポリマーそれ自体は、インビボで生分解性である。本開示を読む当業者は、例えば、がんの種類、患者の健康状態及び/または病歴、使用される物質の特性(例えば、免疫原性)、及び/または方法が実施される所望の処置期間に基づいて異なるポリマー及び/または自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの分解速度が選択され得ることを理解するであろう。当業者によって理解されるように、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)がインビボでのより遅い分解速度を有する場合、投与に際した標的部位でのより長い残留時間を有する。
【0101】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの30%~80%または40%~70%が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0102】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの30%~80%または40%~70%が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0103】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの30%~80%または40%~70%が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0104】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの30%~80%または40%~70%が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0105】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの30%~80%または40%~70%が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0106】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストのうちの10%以下またはそれ以下(例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、またはそれ以下が含まれる)が投与の10日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0107】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが、少なくとも2日またはより長期間(例えば、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも9日、少なくとも10日、またはより長期間が含まれる)の間、自然免疫が1つ以上の側面(例えば、限定されるものではないが、パターン認識受容体、インフラマソーム、及び/またはcGAS-STING経路の活性化;及び/または炎症性サイトカインの産生、及び/または抗原提示機構及び/または共刺激分子の上方調節が含まれる、例えば、本明細書に記載されるもの)で刺激されるような速度で溶解または分解されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが、15日以下またはより短期間(例えば、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、またはより短期間が含まれる)の間、自然免疫が1つ以上の側面(例えば、限定されるものではないが、パターン認識受容体、インフラマソーム、及び/またはcGAS-STING経路の活性化;及び/または炎症性サイトカインの産生、及び/または抗原提示機構及び/または共刺激分子の上方調節が含まれる、例えば、本明細書に記載されるもの)で刺激されるような速度で溶解または分解されることを特徴とする。
【0108】
自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、本開示に従って使用するのに好適な形態で提供され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、液体、例えば、粘性ポリマー溶液として提供され得る。幾つかの実施形態では、このような液体形態(例えば、粘性ポリマー溶液)は、自然免疫刺激の影響期間の限定が好ましく、及び/または注射がより望ましい場合に有用であり得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、事前に形成された生体材料(例えば、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料)として提供され得、これは、幾つかの実施形態では、架橋型または非架橋型ポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、粒子(例えば、ナノ粒子または微小粒子)の集団として提供され得、これは、幾つかの実施形態では、担体(例えば、溶液、または同一もしくは異なる物質であり得る生体材料、例えば、ポリマーネットワーク生体材料)中に懸濁または分散され得る。
【0109】
提供される組成物に利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、特定用途の要求に適する適切な弾性及び/または剛性を有するように選択され得る。例えば、本開示を読む当業者は、提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの適切な弾性及び/または剛性が、例えば、腫瘍を囲む組織の特性、投与経路、投与部位、及び/または方法が実施される自然免疫刺激の所望される期間に基づいて選択され得ることを理解するであろう。従って、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、少なくとも10Pa、少なくとも20Pa、少なくとも30Pa、少なくとも40Pa、少なくとも50Pa、少なくとも75Pa、少なくとも100Pa、少なくとも250Pa、少なくとも500Pa、少なくとも1000Pa、少なくとも1500Pa、少なくとも2000Pa、少なくとも2500Pa、少なくとも3000Pa、少なくとも4000Pa、少なくとも5000Pa、少なくとも10kPa、少なくとも15kPa、少なくとも20kPa、少なくとも25kPa、少なくとも30kPa、少なくとも35kPa、少なくとも40kPaの貯蔵弾性率、またはより高い貯蔵弾性率を特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、50kPa以下、40kPa以下、30kPa以下、20kPa以下、10kPa以下、5000Pa以下、4000Pa以下、3000Pa以下、2000Pa以下、1000Pa以下、500Pa以下、250Pa以下、100Pa以下、75Pa以下、50Pa以下、25Pa以下の貯蔵弾性率、またはより低い貯蔵弾性率を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、10Pa~50kPa、500Pa~50kPa、1000Pa~20kPa、または1000Pa~10kPa、または1000Pa~5000Pa、または1000Pa~3000Paの貯蔵弾性率を特徴とする。当業者は、(例えば、Weng et al.,“Rheological Characterization of in situ Crosslinkable Hydrogels Formulated from Oxidized Dextran and N-Carboxyethyl Chitosan”Biomacromolecules,8:1109-1115(2007)に記載されているような)様々な流動学的特徴付け方法が物質の貯蔵弾性率を測定するために使用され得ること、及び場合によっては、物質の貯蔵弾性率は、レオメーター及び/または動的機械分析(DMA)により測定され得ることを理解するであろう。当業者は、流動学的特徴付けが、周囲条件、例えば、温度によって異なり得ることも理解するであろう。従って、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、室温(例えば、22℃~27℃)で測定された(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、対象の体温(例えば、ヒト対象の37℃)で測定された(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とする。本明細書に提供される本開示を読むことにより、当業者に明らかであるように、例えば、粒子形態で提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの貯蔵弾性率は、粒子集団のバルク貯蔵弾性率を指す。
【0110】
自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが液体(例えば、粘性ポリマー溶液などの粘性溶液)として提供され得る幾つかの実施形態では、このような自然免疫の生体材料(ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、ポリマーネットワーク生体材料の形態での自然免疫の生体材料アゴニストの貯蔵弾性率と比較して)低い貯蔵弾性率を特徴とする。特定の実施形態では、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、注射する必要がある対象の標的部位への注射のための十分に低い貯蔵弾性率を特徴とし得る。注射に適した生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の貯蔵弾性率が、例えば、注入標的部位のサイズ、注射量、及び/または注射針のゲージサイズに基づいて選択され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、少なくとも10Pa、少なくとも20Pa、少なくとも30Pa、少なくとも40Pa、少なくとも50Paの貯蔵弾性率、またはより高い貯蔵弾性率を特徴とする。幾つかの実施形態では、注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、500Pa以下、250Pa以下、100Pa以下、75Pa以下、50Pa以下、25Pa以下の貯蔵弾性率、またはより低い貯蔵弾性率を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、10Pa~500Pa、10Pa~250Pa、10Pa~100Pa、25Pa~500Pa、25Pa~250Pa、または25Pa~100Paの貯蔵弾性率を特徴とする。幾つかの実施形態では、このような注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与された際に、自然免疫刺激の影響期間(例えば、約2~15日または約2~10日)の間、標的部位に残存し得る。幾つかの実施形態では、注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、投与の間、より粘性の低い液体であり得、(例えば、本明細書に記載される)標的部位への投与後により粘性の高い液体になり得る。幾つかの実施形態では、このような注射可能な自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、幾つかの実施形態では、注射可能な自然免疫の当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを、(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与する際に、架橋剤(例えば、本明細書に記載されるもの)に曝露することにより、(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与された際に、当該標的部位の生体内原位置でポリマーネットワーク生体材料を形成し得る。例えば、幾つかの実施形態では、投与された際に標的部位の生体内原位置で形成されたポリマーネットワーク生体材料は、注射可能な形態の最初の貯蔵弾性率より、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれ以上が含まれる)高い貯蔵弾性率を有し得る。
【0111】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、10,000mPa・s以下の粘性またはより低い粘性(例えば、9000mPa・s以下、8000mPa・s以下、7000mPa・s以下、6000mPa・s以下、5000mPa・s以下、4000mPa・s以下、3500mPa・s以下、3000mPa・s以下、2500mPa・s以下、2000mPa・s以下、1500mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s、75以下mPa・s以下、50以下mPa・s、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下の粘性、またはより低い粘性が含まれる)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、少なくとも5mPa・sの粘性またはより高い粘性(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1000mPa・s、少なくとも1500mPa・s、少なくとも2000mPa・s、少なくとも2500mPa・s、少なくとも3000mPa・s、少なくとも4000mPa・s、少なくとも5000mPa・s、少なくとも6000mPa・s、少なくとも7000mPa・s、少なくとも8000mPa・s、少なくとも9000mPa・sの粘性、またはより高い粘性が含まれる)を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、5mPa・s~10,000mPa・sまたは10mPa・s~5000mPa・sまたは5mPa・s~200mPa・sまたは20mPa・s~200mPa・sまたは5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。本開示を読む当業者は、場合によっては、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの粘性は、例えば、投与経路(例えば、注射か移植か)、注射量及び/または注射時間、及び/または自然免疫刺激の影響期間に基づいて選択または調整され得ることを理解するであろう。また当業者により理解されるように、ポリマーの粘性は、例えば、温度及び実験試料中のポリマーの濃度に依存する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの粘性は、例えば、1000s-1の剪断速度で20℃にて測定され得る。
【0112】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、粘弾性物質であることを示す位相角を特徴とし得る。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、1°~50°、または2°~45°、または3°~40°、または3°~35°、3°~30°、または3°~25°、または5°~30°、または10°~30°、15°~25°の位相角を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、10°~30°または15°~25°の位相角を特徴とし得る。当業者によって理解されるように、ポリマー生体材料の位相角は、動的機械分析、例えば、周波数掃引分析により決定され得、それは例えば、試料の剪断貯蔵弾性率及び剪断損失弾性率の決定を含む。物質の貯蔵弾性率または弾性率は、その貯蔵エネルギーに基づいて決定され得、物質の弾性特性を表し、一方で、損失弾性率または粘性率は、熱として放散されたエネルギーに基づいて決定され得、物質の粘性特性を表すことを当業者は理解するであろう。位相角(δ)は損失弾性率に対する貯蔵弾性率の比率のアークタンジェントであり、その値は物質がより弾性であるか、またはより粘性であるかを示す。典型的には、45°超の位相角は、粘性特性が支配的であり、物質がより溶液のように振る舞うことを示す。位相角が0°に近づくにつれて、弾性(固体またはゲル状)特性が支配的となる。例えば、大きい貯蔵弾性率及び小さい位相角を有する物質は、より小さい貯蔵弾性率及び位相角を有するものと比べてより強い(より弾性がある)ゲルであることを示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの位相角は、処置される対象の体温に相当する温度で実行される周波数掃引分析により決定され得る。幾つかの実施形態では、周波数掃引分析は、一定の0.4%歪みを印加しながら0.1~10Hzの周波数範囲にわたり実行され得る。
【0113】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象の標的部位に投与される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、ポリマーネットワーク生体材料であるか、または当該標的部位の生体内原位置でポリマーネットワーク生体材料を形成する。幾つかの実施形態では、このようなポリマーネットワーク生体材料は、非架橋型ポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このようなポリマーネットワーク生体材料は、架橋型ポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含む。例示的な架橋型ポリマーネットワーク生体材料は、ヒドロゲルであるか、またはそれを含む。例えば、Parhi,Adv Pharm Bull.,Review 7(4):515-530(2017)、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)、及びKhunmanee et al.“Crosslinking method of hyaluronic-based hydrogel for biomedical applications”J Tissue Eng.8:1-16(2017)(これらの各々の内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、ポリマー鎖を架橋するための様々な架橋剤及び方法が当業者に公知である。更に当業者は、適切な架橋法は、例えば、利用されるポリマーの種類、標的部位の生体内原位置での架橋の容易さ、架橋の強度及び/または種類、及び/または方法が実施される用途に基づいて選択され得ることを理解するであろう。
【0114】
幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料は、共有結合による架橋を含み得る。当業者は、幾つかの実施形態では、このような共有結合による架橋は、例えば、低分子架橋剤などの、天然の供給源に由来し得るか、または合成され得る化学架橋剤を使用することにより形成され得ることを理解するであろう。かかる化学架橋剤の非限定的な例としては、ゲニピン、ジアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ジイソシアネート、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、アクリル酸、ジアクリレートなどが挙げられる。追加的または代替的に、当業者は、幾つかの実施形態では、このような共有結合による架橋は、熱誘発性架橋(例えば、熱誘発性架橋剤、例えば、熱応答性ポリマーなど、例えば、ポロキサマー407またはポロキサマー188などと混合すること)、光誘発性架橋(例えば、光誘発性架橋剤、例えば、ビニルスルホン、メタクリレート、アクリル酸、アジド安息香酸と混合すること)、pH誘発性架橋、酵素触媒による架橋、及びそれらの組み合わせにより形成され得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、チオール(例えば、EXTRACEL(登録商標)、HYSTEM(登録商標))、メタクリレート、ヘキサデシルアミド(例えば、HYMOVIS(登録商標))、及び/またはチラミン(例えば、CORGEL(登録商標))を結合させることにより架橋され得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、ホルムアルデヒド(例えば、HYLAN-A(登録商標))、ジビニルスルホン(DVS)(例えば、HYLAN-B(登録商標))、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)(例えば、RESTYLANE(登録商標))、グルタルアルデヒド、及び/またはゲニピン(例えば、Khunmanee et al.“Crosslinking method of hyaluronic-based hydrogel for biomedical applications”J Tissue Eng.8:1-16(2017)を参照のこと)により直接架橋され得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、ジビニルスルホン(DVS)(例えば、HYLAN-B(登録商標))により架橋される。
【0115】
幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料は、イオン架橋を含み得る。幾つかの実施形態では、このようなイオン架橋は、逆荷電した多価対イオン(例えば、トリポリホスフェート、トリカルボン酸、ジカルボン酸など)と混合すること、及び/または逆荷電したポリマーと混合することにより形成され得ることを当業者は理解するであろう。単に一例として、正に荷電したポリマー鎖は、添加された負に荷電したポリマー鎖とのイオン相互作用により互いに架橋され得、この逆もまた成り立つ。従って、当業者によって理解されるように、例えば、アルギナート、カラゲナン、キトサン、コンドロイチン硫酸、硫酸デキストラン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ペクチン、ポリアクリル酸、ポリβアミノエステル、ポリリン酸、及び/またはキサンタンガムが含まれる、適切な正に荷電したポリマーまたは負に荷電したポリマーがかかるイオン架橋において使用され得る。
【0116】
幾つかの実施形態では、例えば、自然免疫の刺激を延長することがより望ましい場合に、ポリマーネットワーク生体材料は、それが投与される標的部位でのその残留時間を、非架橋型ポリマーネットワーク対応物と比較して増加させるために架橋され得る。幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料は、その非架橋型ポリマーネットワーク対応物と比較して減少した分解速度を有し得る。幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料は、(例えば、生理的条件で、または緩衝液中で)その非架橋型ポリマーネットワーク対応物の溶解性と比較して減少した溶解性を有し得る。
【0117】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、その溶解性(例えば、水性環境などでの溶解速度により測定される)及び/または分解性(例えば、分解速度により測定される)を増加させるために修飾され得る。幾つかの実施形態では、かかる修飾(複数可)は、それが投与される標的部位でのその残留時間を未修飾の対応物と比較して低減し得る。例えば、幾つかの実施形態では、かかる修飾(複数可)は、短期間の自然免疫刺激がより望ましい用途に有用であり得る。当業者は、例えば、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、当該技術分野において公知の適切な修飾手法が、例えば、ポリマー(複数可)の化学構造及び/または方法が実施される用途に基づいて選択され得ることを理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに使用するためのポリマーは、親水性化学部分(例えば、カルボキシル基または糖、例えば、単糖、二糖、またはオリゴ糖)または親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリカルボキシベタイン、またはポリスルホベタイン)を付加することによって修飾され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに使用するためのポリマーは、チオール化により(例えば、ポリマー鎖に少なくとも1つ以上の-SH基を導入することにより)修飾され得る。
【0118】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、例えば、その粘膜付着性を変化させるために修飾され得る。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの粘膜付着性は、チオール化(すなわち、ポリマー鎖が、上皮組織に存在する糖タンパク質のシステインに富む部分とのジスルフィド結合を容易に形成できるように、当該ポリマー鎖に少なくとも1つ以上の-SH基を導入すること)により増加され得る。
【0119】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、その免疫調節性特性(複数可)が調整され得る。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料の1つ以上の免疫調節性特性が、例えば、Mariani et al.“Biomaterials:Foreign Bodies or Tuners for the Immune Response?”International Journal of Molecular Sciences,2019,20,636に記載されているように、例えば、ポリマー生体材料の界面化学(例えば、ポリマー生体材料の疎水性部分及び/または親水性部分、化学部分、及び/または電荷特性により調節される)及び/またはポリマー生体材料のトポグラフィー(例えば、サイズ、形状、及び/または表面質感により調節される)が含まれる、ポリマー生体材料の生体材料特性(複数可)により調整され得ることを当業者は理解するであろう。
【0120】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、GMPグレードである。当業者によって理解されるように、GMPグレードの製品は、例えば、エンドトキシンレベルを許容可能なレベル以下に維持するために、通常、現行のGMPガイドラインに従って製造される。
【0121】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、1種以上(例えば、少なくとも2種以上(例えば、2種、3種、4種、5種、またはそれ以上が含まれる))の(例えば、本明細書に記載される)ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、単一のポリマー生体材料であり得るか、または各々が自然免疫アゴニズムを付与する複数(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、またはそれ以上)のポリマー生体材料(例えば、炭水化物ポリマー[例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントが含まれる)であるか、またはそれを含むポリマー]、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、シリカゲル、及び/またはそれらのバリアント、及び/またはそれらの組み合わせなどの、例えば、本明細書に記載されるようなポリマー生体材料)を含み得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、各々が自然免疫アゴニズムを付与する少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、またはそれ以上)のポリマー(例えば、炭水化物ポリマー[例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントが含まれる)であるか、またはそれを含むポリマー]、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、及び/またはそれらのバリアントなどの、例えば、本明細書に記載されるようなポリマー)及びかかる自然免疫アゴニズムを必ずしも付与するわけではない少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、またはそれ以上)の生体材料(例えば、ポリマー)を含み得る。幾つかの実施形態では、かかる自然免疫アゴニズムを必ずしも付与しなくてもよいこのような生体材料は、当技術分野において公知である、生体適合性及び/または生分解性の生体材料(例えば、ポリマー)であり得る。このような生体適合性及び/または生分解性の生体材料(例えば、ポリマー)は、不活性であり得、免疫反応を必ずしも誘発するわけではない。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫アゴニズムを付与するポリマー(複数可)を含む自然免疫の生体材料アゴニスト中で共存し得る、このような生体適合性及び/または生分解性の生体材料(例えば、炭水化物ポリマー[例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントが含まれる)であるか、またはそれを含むポリマー]、ポリアクリル酸、シリカゲル、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、及び/またはそれらのバリアントなどの、例えば、本明細書に記載されるような生体材料)は、セルロース、キチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、デキストラン、ゼラチン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、フィブリン、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリカルボキシベタイン(PCB)、ポリスルホベタイン(PSB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(フマル酸プロピレン)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリアンヒドリド、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタアクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(αエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、デンプン、それらのバリアント、及び/またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含む。
【0122】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、1種以上の炭水化物ポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、単一の炭水化物ポリマーの生体材料であり得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、少なくとも2種の炭水化物ポリマー(例えば、少なくとも3種の炭水化物ポリマー、またはそれ以上が含まれる)の生体材料であり得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストは、少なくとも1種の炭水化物ポリマー及び少なくとも1種の追加のポリマーの組み合わせであり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような追加のポリマーは、異なる免疫調節性ポリマー生体材料(例えば、本明細書に記載されるもの)であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような追加のポリマーは、不活性であり得、免疫反応を必ずしも誘発するわけではない。
【0123】
幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマー(複数可)は、0.5%(w/w)~10%(w/w)、または0.5%(w/w)~8%(w/w)、または1%(w/w)~7%(w/w)、または2%(w/w)~6%(w/w)の濃度で自然免疫の生体材料アゴニスト中に存在し得る。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマー(複数可)は、より高濃度で、例えば、10%(w/w)以上の濃度(例えば、限定されるものではないが、11%(w/w)、12%(w/w)、13%(w/w)、14%(w/w)、15%(w/w)、16%(w/w)、17%(w/w)、18%(w/w)、19%(w/w)、20%(w/w)、またはより高い濃度が含まれる)で自然免疫の生体材料アゴニスト中に存在し得る。自然免疫の生体材料アゴニスト中の炭水化物ポリマー(複数可)の濃度は、自然免疫の生体材料アゴニストの組成及び/または性質に基づいて調整され得る。単に一例として、自然免疫の生体材料アゴニストが、なんらの他のポリマー(複数可)もない状態の炭水化物ポリマーの調製物である幾つかの実施形態では、より高濃度の炭水化物ポリマー(複数可)が使用され得る。追加のポリマー(複数可)が自然免疫の生体材料アゴニスト中に含まれる幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記載される1つ以上の所望の材料特性(例えば、限定されるものではないが、貯蔵弾性率、粘性、及び/または位相角が含まれる)を達成するために、より低濃度の炭水化物ポリマー(複数可)が使用され得る。明確にするために記すと、記号「w/w」は、ポリマー(複数可)及び溶媒を含む混合物中の特定のポリマーの比率を意味する。
【0124】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、1種以上の炭水化物ポリマー(例えば、本明細書に記載されるもの)及び少なくとも1種の熱応答性ポリマー(例えば、ある特定の温度、例えば、約35~39℃または投与される対象の体温に曝露される場合に、架橋型ポリマーネットワークを形成するポリマー)であるか、またはそれを含む。本開示に従って有用であり得る熱応答性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、キトサン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ビニルカプロラクタム)、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルスクシンイミド、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。Huang et al.“Thermo-sensitive hydorgels for delivering biotherapeutic molecules:A review”Saudi Pharmaceutical Journal(2019) 27(7):990-999、及びZarrintaj et al.“Thermo-sensitive polymers in medicine:A review”European Polymer Journal(2019) 117:402-423(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような熱応答性ポリマーの他の例は、本開示に従って有用であり得る。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマー(複数可)は、0.5%(w/w)~10%(w/w)、または0.5%(w/w)~8%(w/w)、または1%(w/w)~7%(w/w)、または2%(w/w)~6%(w/w)の濃度で、このような自然免疫の生体材料アゴニスト中に存在し得る。幾つかの実施形態では、熱応答性ポリマー(複数可)は、当該熱応答性ポリマー(複数可)及び炭水化物ポリマー(複数可)の組み合わせが、当該組み合わせが約35~39℃または投与される対象の体温(例えば、37℃)に曝露される場合に、自然免疫の架橋型生体材料アゴニストを形成するような濃度で存在し得る。幾つかのかかる実施形態では、自然免疫の架橋型生体材料アゴニストは、例えば、貯蔵弾性率、粘性、位相角、及び/または分解速度が含まれる、本明細書に記載される生体材料特性のうちの1つ以上を特徴とする。
【0125】
A.キトサン及びそのバリアント
幾つかの実施形態では、本開示に従って提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、キトサンまたはそのバリアントであるか、またはそれを含む。本明細書に記載される方法において利用され得るキトサン及び/またはそのバリアントの例としては、限定されるものではないが、キトサン、キトサン塩(例えば、キトサンHCl、塩化キトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサングルタミン酸塩)、アルキルキトサン、芳香族キトサン、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)、ヒドロキシアルキルキトサン(例えば、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン)、アミノアルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、チオール化キトサン、四級アンモニウムキトサン(例えば、N-(2-ヒドロキシル)プロピル-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリド)、グアニジルキトサン、キトサンオリゴ糖、糖化キトサン(例えば、N-ジヒドロガラクトキトサン)、及びそれらのバリアントまたは組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、本開示に従って提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であるか、またはそれを含む。
【0126】
場合によっては、キトサン及び/またはそのバリアントは、キチンの脱アセチルにより生成され得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストに使用するためのキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも70%以上(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上が含まれる(100%まで含まれる))の脱アセチルの程度(すなわち、除去されたアセチル基のパーセント)により特徴付けられる。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、またはそれ以下の脱アセチルの程度を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、キトサンまたはそのバリアントは、80%~95%、70%~95%、または75%~90%の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。当業者によって理解されるように、脱アセチルの程度(%DA)は、当該技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、場合によっては、NMR分光法によって決定され得る。
【0127】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5kDa以上(例えば、少なくとも10kDa以上が含まれる(例えば、少なくとも20kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、少なくとも110kDa、少なくとも120kDa、少なくとも130kDa、少なくとも140kDa、少なくとも150kDa、少なくとも160kDa、少なくとも170kDa、少なくとも180kDa、少なくとも190kDa、少なくとも200kDa、少なくとも210kDa、少なくとも220kDa、少なくとも230kDa、少なくとも240kDa、少なくとも250kDa、少なくとも260kDa、少なくとも270kDa、少なくとも280kDa、少なくとも290kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも500kDa、少なくとも600kDa、少なくとも700kDa、またはそれ以上が含まれる))の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、750kDa以下またはそれ以下(例えば、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、200kDa以下、100kDa以下、50kDa以下、またはそれ以下が含まれる)の平均分子量を有し得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDa、または20kDa~700kDa、または30kDa~500kDa、または150kDa~600kDa、または150kDa~400kDa、または50kDa~150kDa、または10kDa~50kDaの平均分子量を特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの平均分子量を特徴とする。本明細書において述べたように、キトサンまたはそのバリアントの平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、またはピーク平均分子量であり得る。
【0128】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDa、または20kDaまたは700kDa、または30kDa~500kDa、または150kDa~600kDa、または150kDa~400kDa、または50kDa~150kDa、または10kDa~50kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。
【0129】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用されるキトサンまたはそのバリアントは、3500mPa・s以下またはそれ以下(例えば、3000mPa・s以下、2500mPa・s以下、2000mPa・s以下、1500mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1000mPa・s、少なくとも1500mPa・s、少なくとも2000mPa・s、少なくとも2500mPa・sまたはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、キトサンもしくはそのバリアントのこのような粘性ポリマー溶液またはキトサンもしくはそのバリアントを含むこのような粘性ポリマー溶液は、5mPa・s~3000mPa・s、または5mPa・s~300mPa・s、5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~200mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるキトサンまたはそのバリアントの粘性は、20℃の1%酢酸中にて1%で測定される。
【0130】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、またはそれ以上)のキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)であるか、またはそれを含む。例えば、幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、70%~95%、または75%~90%、または80%~95%、または90%超の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの平均分子量(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの範囲の分子量分布(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、5~3000mPa・s、または5~300mPa・s、または20~200mPa・sの範囲の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、PROTASAN(商標) UltraPure塩化キトサン及び/またはキトサングルタミン酸塩(例えば、FMC Health and Nutritionの事業単位であるNovoMatrix(登録商標)から入手(現在はDu Pontの一部;製品番号:CL 113、CL 114、CL 213、CL 214、G 113、G 213、G 214))であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、例えば、Heppe Medical Chitosan GMBHから入手される、キトサン、キトサンオリゴマー、及び/またはそれらのバリアント(例えば、キトサンHCl、カルボキシメチルキトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩が含まれる)(例えば、Chitoceuticals(登録商標)またはChitoscience(登録商標))であり得るか、またはそれを含む。
【0131】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、以下の特性のうちの少なくとも1つまたは全てを特徴とする、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であるか、またはそれを含む:(1)80%~95%の脱アセチルの程度、(ii)30kDa~500kDaの平均分子量、または30kDa~500kDaの分子量分布、及び(iii)5~300mPa・sの範囲の粘性。
【0132】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、(例えば、本明細書に記載される)キトサンのバリアントであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、キトサン鎖の1つ以上の化学部分、例えば、ヒドロキシル及び/またはアミノ基の化学修飾(複数可)を含み得る。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、例えば、限定されるものではないが、糖化キトサンなどの修飾されたキトサン(例えば、その遊離アミノ基のうちの1つ以上に1つ以上の単糖またはオリゴ糖側鎖を付加することにより修飾されたキトサン)であるか、またはそれを含む。本明細書において有用である例示的な糖化キトサンとしては、例えば、限定されるものではないが、US5,747,475、US6,756,363、WO2013/109732、US2018/0312611、及びUS2019/0002594(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0133】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、水性環境中でのキトサンの溶解性を増加させるポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー)とコンジュゲートされたキトサンであるか、またはそれを含む。
【0134】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、チオール化キトサンであるか、またはそれを含む。例えば、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、キトサンに対する様々な修飾、例えば、限定されるものではないが、カルボキシル化、ペグ化、ガラクトシル化(または他のグリコシル化)、及び/またはチオール化が当技術分野において公知である。本開示を読む当業者は、他の修飾されたキトサンが、方法が実施される特定用途に有用であり得ることを理解するであろう。
【0135】
B.ヒアルロン酸(HA)
幾つかの実施形態では、本開示に従って提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、ヒアルロナンまたはヒアルロン酸塩としても公知のヒアルロン酸(HA)であるか、またはそれを含む。
【0136】
特定の理論に拘束されるものではないが、本開示は、HAの生物活性がその分子量に応じて異なることに注目する。例えば、高分子量のHA(高分子量HA)は、抗炎症活性または免疫抑制活性を持ち得るが、低分子量のHA(低分子量HA)は、炎症促進作用または免疫賦活作用を示し得る。例えば、Gao et al.“A low molecular weight hyaluronic acid derivative accelerates excisional wound healing by modulating pro-inflammation,promoting epithelialization and neovascularization,and remodeling collagen”Int J.Mol Sci(2019)20:3722、Cyphert et al.“Size Matters:Molecular Weight Specificity of Hyaluronan Effects in Cell Biology.”Int.J.Cell Biol.(2015)2015:563818、Dicker et al.“Hyaluronan:A simple polysaccharide with diverse biological functions”Acta Biomater.(2014)10:1558-1570、Aya and Stern“Hyaluronan in wound healing:Rediscovering a major player.”Wound Repair Regen.(2014) 22:579-593及び、Frenkel“The role of hyaluronan in wound healing”Int.Wound J.(2014)11:159-163(これらの各々の全ての内容は、本明細書に記載される目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に本開示は、特定の理論に拘束されるものではないが、低分子量HA(例えば、低分子量多分散HA)が、例えば、TLR2及びMyD88を介して自然免疫応答を活性化し得る、例えば、IL-12が含まれる、炎症性サイトカインの産生を誘発し得る、及び/または例えば、IL-10産生が含まれる、抗炎症性シグナル伝達を減少させる、マクロファージの極性に影響を与え得る、及び/またはエイコサノイドを刺激し得る(例えば、ERK1/2、p38、及び/またはJNKシグナル伝達を介した、例えば、COX2及び/またはPGE2生成の誘導が含まれる)ことに注目する。例えば、Monslow et al.“Hyaluronan - a functional and structural sweet spot in the tissue microenvironment”Front.Immunol.(2015)6:231(19ページ)、及びAlaniz et al.“Low molecular weight hyaluronan preconditioning of tumor-pulsed dendritic cells increases their migratory ability and induces immunity against murine colorectal carcinoma”Cancer Immunol Immunother.(2011)60(10):1383-95(これらの各々の全ての内容は、本明細書に記載される目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0137】
本開示は、とりわけ、低分子量HAが、腫瘍切除術の対象の標的部位に投与される場合に、有用な自然免疫の生体材料アゴニストであり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、ある種の低HA、例えば、500kDa以下(例えば、350kDa以下、または250kDa以下、または200kDa以下、または150kDa以下が含まれる)の分子量を有するかかるHAが、本明細書に記載されるように腫瘍切除術の対象の標的部位に投与するための自然免疫の生体材料アゴニストとして有用であり得ることを教示する。
【0138】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)自然免疫の生体材料アゴニスト及びその使用に有用であるHAは、天然の供給源(例えば、動物の供給源)から抽出され得、及び/または微生物発酵により生成され得る。幾つかの実施形態では、HAは、例えば、グラム陽性及び/またはグラム陰性細菌(例えば、限定されるものではないが、Bacillus属菌、Lactococcus lactis、Agrobacterium属菌、及び/またはEscherichia coliが含まれる)を宿主として使用して生成される、組換えHAであり得る。
【0139】
C.ポリアクリル酸ポリマー
幾つかの実施形態では、本開示に従って提供または利用される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、ポリ(1-カルボキシエチレン)またはカルボマーとしても公知のポリアクリル酸ポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、アクリル酸のホモポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、アクリル酸のコポリマー、例えば、幾つかの実施形態では、アクリル酸及び例えば、C10~C30アクリル酸アルキルなどのアクリル酸アルキルを含むコポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、インターポリマー、例えば、幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書において記載または利用される)ポリ(アクリル酸)ホモポリマー、または異なる種類のブロックポリマー(例えば、ブロックホモポリマーまたはコポリマー)を含有するコポリマーを含む、インターポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、(例えば、本明細書に記載される)ポリ(アクリル酸)ホモポリマー、またはポリエチレングリコール及び長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するコポリマーを含む、インターポリマーであり得る。
【0140】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法において提供または利用されるポリ(アクリル酸)ポリマーは、架橋され得る。当業者は、場合によっては、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、アリルショ糖、アリルペンタエリトリトール、及び/またはアリルプロピレンにより架橋され得ることを理解するであろう。
【0141】
本開示を読む当業者は、化粧品、医薬品及びパーソナルケア製品において使用される様々なポリアクリル酸ポリマーが、本開示による自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストにおいて利用され得ることも理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、ポリアクリル酸ポリマーは、Lubrizolの1種以上のCarbopol(登録商標)ポリマー製品であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリアクリル酸ポリマーは、酢酸エチルを含む重合溶媒または酢酸エチル及びシクロヘキサンを含む重合共溶媒を使用した1種以上のポリ(アクリル酸)ホモポリマー(例えば、アリルショ糖またはアリルペンタエリトリトールにより架橋されたアクリル酸のポリマー)であり得るか、またはそれを含み得る。かかるカルボマーホモポリマーの例としては、限定されるものではないが、Carbopol(登録商標)ポリマー71G NF、971P NF、974P NF、980 NF、981 NF、5984 EP、934NF、934P NF、940 NF、及び941 NFが挙げられる。幾つかの実施形態では、ポリアクリル酸ポリマーは、ベンゼンを含む重合溶媒または酢酸エチル及びシクロヘキサンを含む重合共溶媒を使用した1種以上のポリ(アクリル酸)コポリマー(例えば、アリルペンタエリトリトールにより架橋されたアクリル酸及びC10~C30アクリル酸アルキルのポリマー)であり得るか、またはそれを含み得る。例示的なかかるポリ(アクリル酸)コポリマーとしては、限定されるものではないが、Carbopol(登録商標)ポリマー 1342 NF、Pemulen(商標) TR-1 NF、及び/またはPemulen(商標) TR-2 NFが挙げられる。幾つかの実施形態では、ポリ(アクリル酸)ポリマーは、酢酸エチル及びシクロヘキサンを含む重合共溶媒を使用した1種以上のポリ(アクリル酸)インターポリマー(例えば、(例えば、本明細書において記載または利用される)ポリ(アクリル酸)ホモポリマー、またはポリエチレングリコール及び長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するコポリマー)であり得るか、またはそれを含み得る。かかるポリ(アクリル酸)インターポリマーの非限定的な例としては、Carbopol(登録商標)ポリマー ETD 2020 NF及びUltrez 10 NFが挙げられる。
【0142】
II.医薬組成物
幾つかの実施形態では、提供される組成物は、(例えば、本明細書に記載されるような)投与する必要がある対象への投与のための医薬組成物として、定型的な手順に従って製剤化され得る。幾つかの実施形態では、このような医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得、本明細書で使用する場合、これらとしては、所望の特定の剤形に適したあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006、参照により本明細書に組み入れられる)は、医薬組成物を製剤化する際に使用される様々な賦形剤及びその調製のための既知の技術を開示している。好適な薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝食塩水、グリセロール、糖、例えば、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、またはその他、デキストロース、脂肪酸エステルなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0143】
医薬組成物は、必要に応じて、活性化合物と有害な反応を起こさず、それらの活性に干渉しない補助剤(例えば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味料、及び/または芳香剤など)と混合され得る。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、無菌であり得る。
【0144】
好適な医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。医薬組成物は、液体溶液、懸濁液、またはエマルションであり得る。
【0145】
医薬組成物は、定型的な手順に従って、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物の調製は、投与様式に適していなければならない。例えば、幾つかの実施形態では、注射用の医薬組成物は、通常、無菌の水性等張緩衝液を含み得る。必要な場合、医薬組成物は、注射部位の痛みを緩和するための局所麻酔薬も含み得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)医薬組成物の成分は、別々に供給されるか、または単回使用型に、例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの量を示す気密密閉された容器、例えば、アンプルもしくはサッシェ中もしくは無菌のシリンジ中の乾燥した凍結乾燥粉末もしくは水分のない濃縮物として一緒に混合される。医薬組成物が注射により投与される場合には、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの、例えば、前駆体成分(複数可)の乾燥した凍結乾燥粉末は、水性緩衝液で再構成され得、次いで、注入される必要がある対象の標的部位に注入され得る。
【0146】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの医療向け投与(ethical administration)に好適な医薬組成物を対象とするが、かかる組成物は、一般に、あらゆる種類の動物またはインビトロもしくはエキソビボの細胞への投与に好適であることが当業者により理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な医薬組成物を様々な動物またはインビトロもしくはエキソビボの細胞への投与に好適なものにするための当該組成物の改変はよく理解されており、当業者、例えば、獣医薬理学者は、たとえ行うにしても、通常の実験を行うだけで、かかる改変を設計及び/または実行し得る。
【0147】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるか、または今後開発される任意の方法により調製され得る。例えば、かかる準備方法は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)を希釈剤もしくは別の賦形剤及び/または1種以上の他の補助的成分と混合し、次いで、必要とされ、及び/または望ましい場合、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングするステップを含む。あるいは、かかる準備方法は、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングする前に、ポリマーネットワーク生体材料をその前駆体成分(複数可)から形成させるステップも含み得る。
【0148】
本開示による医薬組成物は、単回使用ユニットとして、及び/または複数の単回使用ユニットとして調製され得、パッケージングされ得、及び/またはまとめて販売され得る。本明細書で使用する場合、「単回使用ユニット」は、個別の量の本明細書に記載の医薬組成物である。例えば、医薬組成物の単回使用ユニットは、幾つかの実施形態では、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料であり得るか、もしくはそれを含み得るか、または幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料の前駆体成分(複数可)及びあるとすれば、任意により、架橋剤であり得るか、もしくはそれを含み得る、(例えば、免疫調節剤の非存在下の)所定量の自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む。
【0149】
本明細書に記載される医薬組成物中の(例えば、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料としての、またはこのようなポリマーネットワーク生体材料の前駆体成分(複数可)としての)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニスト及び任意により、任意の追加の薬剤、例えば、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意の追加の成分の相対量は、例えば、標的部位のサイズ、注射量、処置される対象の健康状態及び医学的状態、がんの種類に応じて異なり得、更にこのような医薬組成物が投与される経路にも依存し得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、本明細書に記載される少なくとも1つ以上の側面で自然免疫を誘発するための有効量で医薬組成物中に提供される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、抗腫瘍免疫を誘発するための有効量で医薬組成物中に提供される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、腫瘍再発及び/または転移を阻害するか、またはそのリスクもしくは発生率を低減するための有効量で医薬組成物中に提供される。ある特定の実施形態では、有効量は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの治療上有効量である。ある特定の実施形態では、有効量は、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの予防上有効量である。
【0150】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、このような組成物が、生体材料以外に1種以上の物質(複数可)/薬剤を含み得、かかる他の物質(複数可)/薬剤(複数可)が、個別にまたは共に、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の関連する自然免疫調節特性(複数可)を実質的に変化させない範囲で、(例えば、本明細書に記載される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストから本質的になるか、またはそれからなる。幾つかの実施形態では、このような医薬組成物は、自然免疫調節ペイロードを実質的に含まなくてもよい。
【0151】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、養子移入される細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、T細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍抗原を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、エクスビボでロードされる腫瘍抗原を含まない。
【0152】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、液体形態である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、固体形態(例えば、ゲル形態、結晶形態など)である。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が十分な架橋により発生し得、その結果、得られる物質は、物理的に操作され、外科的処置において移植されるのを可能にする固体形態に見合う貯蔵弾性率を有する。従って、幾つかの実施形態では、固体形態は、本開示の使用目的(例えば、外科移植)を実施するのに適し得る。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が熱架橋により生体内原位置で発生し得、その結果、得られる物質は固体形態に見合う貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁液である。例えば、固体粒子(例えば、無機結晶などの結晶)が懸濁液として送達され得る。
【0153】
III.治療薬の用途
本明細書において提供される技術は、自然免疫応答を誘発する必要がある対象において自然免疫応答を誘発するのに有用である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、抗腫瘍免疫を誘発するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、がんを処置するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、がんの発症を遅延させるか、その進行を遅らせるか、またはその1つ以上の症状を改善するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、原発性腫瘍の再成長を低減または阻害するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、腫瘍再発及び/または転移の発生を低減または阻害するのに有用である。従って、本明細書において提供される幾つかの態様は、(例えば、外科的腫瘍切除により)腫瘍除去を受けているか、または受けた対象の標的部位に、自然免疫調節成分及び任意に1種以上の他の成分(すなわち、自然免疫調節剤でない1種以上の物質/薬剤)を含む組成物を投与する方法に関する。幾つかの実施形態では、自然免疫調節成分は、生体材料から本質的になるか、またはそれからなる。幾つかの実施形態では、自然免疫調節成分は、ポリマー生体材料から本質的になるか、またはそれからなる。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される組成物の自然免疫調節成分は、このような組成物が、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)以外に1種以上の物質(複数可)/薬剤(複数可)を含み得、かかる他の物質(複数可)/薬剤(複数可)が、個別にまたは共に、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の関連する自然免疫調節特性(複数可)を実質的に変化させない範囲で、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)から本質的になるか、またはそれからなる。
【0154】
幾つかの実施形態では、このような提供される組成物は、自然免疫調節ペイロードを実質的に含まない自然免疫調節成分を含み得、ここで、当該自然免疫調節成分は、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む。幾つかの実施形態では、このような提供される組成物は、なんらの免疫調節剤ペイロードを実質的に含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、本開示の方法において利用されるこのような提供される組成物は、本明細書に記載の医薬組成物として製剤化され得る。
【0155】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、腫瘍の除去後に、例えば、当該対象の腫瘍重量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍重量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、当該対象の腫瘍容量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍容量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物の投与前に、腫瘍切除を実行して対象の腫瘍を除去することを含む。
【0156】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された直後に、当該対象の標的部位に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の標的部位に手術中に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはそれ以下以内が含まれる)に当該対象の標的部位に手術後に投与される。
【0157】
幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の存在を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位に近接する部位(例えば、4インチ以内、3.5インチ以内、3インチ以内、2.5インチ以内、2インチ以内、1.5インチ以内、1インチ以内、0.5インチ以内、0.4インチ以内、0.3インチ以内、0.2インチ以内、0.1インチ以内、またはそれ以下以内)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、センチネルリンパ節であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、流入領域リンパ節であるか、またはそれを含む。
【0158】
当業者により理解されるように、本開示による有用な組成物は、当該技術分野において公知の適切な送達手法を使用して、投与する必要がある対象の標的部位に投与され得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供される技術は、注射による投与に適用できて得る。とりわけ、本開示は、低侵襲的処置(例えば、小規模及び/または到達しやすい切除または皮膚切除)は、内臓に到達するための開腹手術または開腹術と比べて引き起こされる炎症(例えば、免疫抑制に関連する炎症)がより少なくあり得ることを理解する。とりわけ、本開示は、例えば、通常、腫瘍切除を実行するため、及び/または本明細書に記載の組成物を投与するための1つ以上の小切開を伴う最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術は、開腹手術と比べて引き起こされる炎症(例えば、免疫抑制に関連する炎症)がより少なくあり得ることを理解する。例えば、幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、本明細書に記載される技術が、腫瘍切除及び/または本明細書に記載の組成物の投与が、例えば、通常、1つ以上の小切開を伴う最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術により実行される場合に、免疫調節剤ペイロードの非存在下で特に有用及び/または効果的であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、本明細書に記載される技術は、到達しやすい切除及び/または皮膚切除の状況において腫瘍切除及び/または本明細書に記載の組成物の投与が実行される場合に、免疫調節剤ペイロードの非存在下で特に有用及び/または効果的であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、提供される技術は、低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の一部としての手術中の(例えば、注射による)投与に適し得る。幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、幾つかの実施形態では、低侵襲投与のためにロボット手術システム(例えば、da Vinci System)を必要とする、(例えば、注射による)投与に適し得る。例えば、幾つかの実施形態では、注射に有用であり得、及び/または低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の状況において有用であり得る組成物は液体であり、このような組成物中に提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、粘性ポリマー溶液であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような粘性ポリマー溶液は、標的部位に注入する前に事前に作製される。
【0159】
他の実施形態では、注射に有用であり得、及び/または低侵襲的処置(例えば、小規模及び/または到達しやすい切除または皮膚切除)もしくは最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術の状況において有用であり得る組成物は液体であり、このような組成物中に提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが注入される標的部位の生体内原位置で(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)ポリマーネットワーク生体材料を形成する。例えば、ある特定の実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)は、対象の標的部位に(例えば、腫瘍切除部位に)別々に投与される。幾つかの実施形態では、非架橋型ポリマーネットワークが、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)の生体内原位置で形成される。幾つかの実施形態では、インビボで架橋型ポリマーネットワークを形成させるために、投与する必要がある対象の標的部位に(例えば、本明細書に記載される)架橋剤も投与される。ある特定の実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、逐次的に投与される。ある特定の実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、同時に投与される。ある特定の実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、混合物として投与される。
【0160】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される投与は、生体内原位置で相互作用または反応して、本明細書に記載されるポリマーネットワーク生体材料を形成する、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの1種以上の前駆体成分の投与を含む。幾つかのかかる実施形態では、かかる相互作用または反応は、幾つかの実施形態では、自発的に発生し得、幾つかの実施形態では、薬剤(例えば、触媒及び/または反応物)の適用及び/または条件(例えば、熱、pH、圧力、特定の波長であり得る電磁放射線のうちの1つ以上など)により引き起こされ得る架橋を伴う。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、(例えば、注射により)対象に(例えば、腫瘍切除部位に)別々に投与される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、(例えば、注射により)逐次的に投与される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、(例えば、注射により)同時に投与される。ある特定の実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの前駆体成分(複数可)及び架橋剤は、単一の混合物として投与される。単に一例として、幾つかの実施形態では、インビボでキトサンを含むポリマーネットワーク生体材料を形成させるために、キトサン及び架橋剤が、別々に(例えば、キトサン及び例えば、トリポリホスフェートなどのイオン架橋剤)、または単一の混合物(例えば、キトサン及び熱応答性架橋剤、例えば、幾つかの実施形態では、例えば、ポロキサマー407などのポロキサマーであり得るか、またはそれを含む熱応答性ポリマー)として対象に(例えば、腫瘍切除部位に)投与され得る。別の例として、幾つかの実施形態では、インビボでアルギナートを含むポリマーネットワーク生体材料を形成させるために、アルギナート及び架橋剤(例えば、カルシウム塩などの塩)が、別々にまたは単一の混合物として対象に(例えば、腫瘍切除部位に)投与され得る。幾つかの実施形態では、インビボでHAを含むポリマーネットワーク生体材料を形成させるために、HA(例えば、低分子量HA)及び架橋剤が、別々に(例えば、HA及び例えば、ジビニルスルホンなどの化学架橋剤)、または単一の混合物(例えば、HA及び熱応答性架橋剤、例えば、幾つかの実施形態では、例えば、ポロキサマー407などのポロキサマーであり得るか、またはそれを含む熱応答性ポリマー)として対象に(例えば、腫瘍切除部位に)投与され得る。
【0161】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、移植による投与に適用でき得る。例えば、幾つかの実施形態では、本開示による組成物中に提供される自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、幾つかの実施形態では、架橋型ポリマーネットワーク生体材料及び/または非架橋型ポリマーネットワーク生体材料であり得るか、またはそれを含み得る、事前に形成された生体材料である。例示的なポリマーネットワーク生体材料は、ヒドロゲルであるか、またはそれを含む。例えば、幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位(例えば、腫瘍切除により生じた空洞容量)に投与され得る。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位に投与され得、生体接着剤により固定され得る。幾つかの実施形態では、投与は、手術中に(すなわち、腫瘍切除の直後に)実行され得る。
【0162】
幾つかの実施形態では、例えば、抗腫瘍免疫などの所望の治療効果(複数可)を達成するための自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの量は、例えば、対象の性別、年齢、及び全身状態、がんの種類及び/または重症度、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの有効性などに応じて対象によって異なり得る。
【0163】
幾つかの実施形態では、本開示は、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与それ自体が抗腫瘍免疫を提供するのに十分であり、従って、例えば、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象への腫瘍抗原の投与及び/または免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を必ずしも必要としないような技術を提供する。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)に当該対象に腫瘍抗原を投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)の当該対象への免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を含まない。
【0164】
幾つかの実施形態では、本開示は、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与それ自体が抗腫瘍免疫を誘発または促進するのに十分であり、従って、例えば、(例えば、本明細書に記載される)投与する必要がある対象への免疫調節剤ペイロードの投与を必ずしも必要としないような技術を提供する。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)に当該対象に免疫調節剤ペイロードを投与することを含まない。
【0165】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象のがんの処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、切除可能な腫瘍の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、固形腫瘍(例えば、限定されるものではないが、芽細胞腫、がん腫、胚細胞腫瘍、及び/または肉腫)の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、脾臓に存在する、またはリンパ系以外の組織、例えば、甲状腺または胃に存在するリンパ腫の処置に使用される。
【0166】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、限定されるものではないが、聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性単クローン免疫グロブリン症;胆道癌(例えば、胆管癌);胆管癌;膀胱癌;骨癌;乳房癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;心臓腫瘍;子宮頚癌(例えば、子宮頚部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;大腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、大腸腺癌);結合組織癌;上皮性癌;乳管内上皮内癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポシ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);胃腸管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頚部癌(例えば、頭頚部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、咽頭(laryngeal)癌、咽頭(pharyngeal)癌、上咽頭癌、中咽頭癌);造血器癌(例えば、リンパ腫、原発性肺リンパ腫、気管支関連リンパ組織リンパ腫、脾リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、小児B細胞非ホジキンリンパ腫);血管芽腫;組織球増加症;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;免疫細胞アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌);肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ);肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);黒色腫;正中線癌;多発性内分泌腫瘍症候群;筋肉癌;中皮腫;鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、1型または2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨癌);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);副甲状腺癌;乳頭状腺癌;陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);咽頭癌;松果体腫;下垂体癌;胸膜肺芽腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;網膜芽細胞腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;胃癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);胸腺癌;甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;子宮癌;膣癌;外陰癌(例えば、外陰部パジェット病)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる、がんを処置するのに有用である。
【0167】
ある特定の実施形態では、がんは、乳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、皮膚癌である。ある特定の実施形態では、がんは、黒色腫である。ある特定の実施形態では、がんは、肺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、腎臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、肝臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膵臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、大腸癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌である。ある特定の実施形態では、がんは、リンパ腫である。ある特定の実施形態では、がんは、前立腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、甲状腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、脳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、胃癌である。ある特定の実施形態では、がんは、食道癌である。
【0168】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、脊索腫、大腸癌、結合組織癌、頭蓋咽頭腫、乳管内上皮内癌、内皮肉腫、子宮内膜癌、上衣腫、上皮性癌、食道癌、ユーイング肉腫、眼癌、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌、血管芽腫、組織球増加症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、上皮内腫瘍、免疫細胞アミロイドーシス、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、平滑筋肉腫(LMS)、黒色腫、正中線癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経内分泌癌、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、腫瘍随伴症候群、副甲状腺癌、乳頭状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、前立腺癌、直腸癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、脂腺癌、皮膚癌、小腸癌(small bowel cancer)、小腸癌(small intestine cancer)、軟部組織肉腫、胃癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、血管癌、外陰癌、またはそれらの組み合わせを処置するのに有用である。
【0169】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を(例えば、本明細書に記載される)腫瘍切除術の対象の標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後に3ヵ月毎またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における腫瘍再成長または腫瘍増殖(tumor outgrowth)のリスクまたは発生について腫瘍切除部位または遠位部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートに基づいて対象が腫瘍再発のリスクまたは発生を有すると判定される場合、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0170】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、転移がんに罹患している対象を処置するのに有用であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、腫瘍切除(例えば、原発性腫瘍の外科的切除)を受けた1つ以上の転移に罹患している対象の(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後に3ヵ月毎またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における少なくとも1つの転移部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートの結果に基づいて、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0171】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍切除前に投与することを含まない。
【0172】
本明細書に記載の組成物が1種以上の追加の医薬品と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。例えば、組成物は、それらの代謝を低減及び/または改変し、それらの排泄を阻害し、及び/または身体内でのそれらの分布を改変する追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。用いられる追加の治療法は、同一の障害について所望の効果を達成し得、及び/または異なる効果を達成し得ることも理解されるであろう。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、養子移入細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、T細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、本明細書に記載の組成物の投与の複数日または複数週間後に投与される。
【0173】
ある特定の実施形態では、治療される対象は、哺乳動物である。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント療法を受けたヒト患者である。特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント療法を受けていないヒト患者である。特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント化学療法を受けたヒト患者である。特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法及び放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍がネオアジュバント療法に客観的に(固形がん効果判定基準(RECIST)または免疫関連効果判定基準(irRC)により定義されるように)反応しなかった(例えば、安定疾患、進行)ヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、標的病変がネオアジュバント療法に客観的に反応した(例えば、部分奏効、完全奏効)ヒト患者である。非標的病変は、不完全反応、安定疾患、または進行を示し得る。ある特定の実施形態では、対象は、(術後)補助療法として免疫療法を受けるのに適しているヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、家畜化された動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、伴侶動物、例えば、イヌまたはネコである。ある特定の実施形態では、対象は、家畜動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、動物園動物である。別の実施形態では、対象は、研究動物、例えば、げっ歯類、ブタ、イヌ、または非ヒト霊長類である。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒトトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタである。
【0174】
IV.キット
本開示は、本明細書において提供される技術を実施するのに有用であるキットも提供する。幾つかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物及び容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/またはディスペンサー容器、または他の好適な容器)を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の1種以上の成分(複数可)は、1つ以上の容器中に別々に提供される。例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの個々の前駆体成分(複数可)(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、キトサンまたはそのバリアント)は、幾つかの実施形態では、別個の容器中に提供され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの個々の前駆体成分(複数可)(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、キトサンまたはそのバリアント)は、乾燥した凍結乾燥粉末として提供され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの個々の前駆体成分(複数可)(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、キトサンまたはそのバリアント)は、乾燥粒子として提供され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの個々の前駆体成分(複数可)(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、キトサンまたはそのバリアント)は、液体として提供され得る。幾つかの実施形態では、事前に形成された(ポリマーネットワーク生体材料の形態の)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、容器中に提供され得る。幾つかの実施形態では、このような事前に形成された自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、乾燥状態で提供され得る。幾つかの実施形態では、事前に形成された(粘性ポリマー溶液の形態の)自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、容器中に提供され得る。
【0175】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の希釈または懸濁のための医薬品賦形剤を含む容器を任意に含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、水溶液を含む容器を含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、緩衝液を含む容器を含み得る。
【0176】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、架橋型ポリマーネットワークを形成させるのに有用である架橋剤を含む容器を任意に含み得る。
【0177】
ある特定の実施形態では、提供されるキットは、免疫調節剤ペイロードを含まなくてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるキットは、自然免疫応答の活性化因子を含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、適応免疫応答の活性化因子を含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、炎症誘発性反応の阻害剤を含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、免疫調節性サイトカインを含まなくてもよい。
【0178】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、本明細書に記載される方法を実施するための使用説明書を更に含む。本明細書に記載されるキットは、必要に応じて、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関による情報も含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供されるキットに含まれる情報は、例えば、がんの処置のための処方情報である。使用説明書は、種々の形態でキットに存在し得、これらのうちの1つ以上がキットに存在し得る。これらの使用説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または基材に印刷された情報、例えば、キットのパッケージング、添付文書などの情報が印刷されている紙または複数の紙としてである。更に別の手段は、使用説明情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CD、USBドライブなどであり得る。存在し得る更に別の手段は、使用説明情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の便利な手段がキットに存在し得る。
【0179】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるキットは、本明細書に記載される1種以上の追加の治療薬を別個の組成物として含み得る。
【0180】
本発明の他の特徴は、以下の代表的実施形態の説明を通じて明らかとなるであろう。それらの代表的実施形態は、本発明の説明のために提供するものであり、本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0181】
実施例1.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(生存評価)
本実施例は、特に、腫瘍切除を受けた1つ以上の対象の生存を延長する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定、及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0182】
幾つかの実施形態では、腫瘍切除後の標的部位への自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与は、腫瘍切除を受けた対象の生存期間を、このような自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが投与されない場合に観察されるのと比較して延長させる。
【0183】
幾つかの実施形態では、がんの動物モデルが、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを同定及び/または特徴付けるために使用され得る。例えば、腫瘍切除が担腫瘍マウスに実行され、例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む本明細書に記載の組成物が、腫瘍切除部位に投与される。次いで、処置された対象の生存がモニタリングされる。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、処置された対象の生存期間を、対照標準(例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが投与されない対照)において観察される生存期間と比較して、例えば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間延長することを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。例えば、幾つかの実施形態では、対照標準は、自然免疫調節成分の非存在下での非免疫調節性ポリマー生体材料の投与であり得る。幾つかの実施形態では、対照標準は、ポリマー生体材料の非投与であり得る。
【0184】
幾つかの実施形態では、雌のBALB/cJマウスに、100,000個の乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)が同所性に接種される。10日後に腫瘍が外科的に切除され、(i)例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む本明細書に記載される組成物(例えば、その結果、当該組成物の免疫調節成分は、当該生体材料から本質的になるか、またはそれからなる)、または(ii)陰性対照組成物(例えば、このような自然免疫の生体材料アゴニストまたは非免疫調節性ポリマー生体材料のない緩衝液)のいずれかが切除空洞に投与される。抗腫瘍免疫の誘発について調査するために、動物の生存がモニタリングされ得る。投与された自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが、自然免疫シグナル伝達を誘発することにより機構的に機能することを確認するために、動物の生存が(例えば、抗IFNAR1の投与による)自然免疫シグナル伝達の中和後にモニタリングされ得る。投与された自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストが抗腫瘍適応免疫応答を誘発するかどうかを評価するために、動物の生存が特定の白血球サブセット(例えば、NK細胞、CD4+T細胞、またはCD8+T細胞)の除去後にモニタリングされ得る。
【0185】
特に、本実施例は、(i)自然免疫調節成分としてキトサンまたはそのバリアント(例えば、カルボキシメチルキトサン)及び(ii)腫瘍切除された対象の体温に曝露される場合に(例えば、投与する必要がある対象への投与の際に)架橋型ヒドロゲルの形成を促進する熱応答性ポリマーを含む自然免疫の生体材料アゴニストの、腫瘍切除された対象の標的部位への投与が、当該腫瘍切除された対象の生存を、このような自然免疫の生体材料アゴニストが投与されなかった場合に観察される生存と比較して改善したことを実証する。
【0186】
例示的な液体製剤:幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料アゴニストの液体製剤は、以下の通りに調製された。例えば、一例では、2.5重量パーセント(重量%)のカルボキシメチルキトサン(CMCH)(例えば、Heppe Medical Chitosanから入手、製品番号43002、ロット番号312-210519-02)及び適切な濃度の熱応答性非免疫調節性ポリマーが、注射投与に適切な緩衝系中に調製された。別の例では、5重量%のCMCH(例えば、Heppe Medical Chitosanから入手、製品番号43002、ロット番号312-210519-02)及び適切な濃度の熱応答性非免疫調節性ポリマーが、注射投与に適切な緩衝系中に調製された。例えば、幾つかの実施形態では、このような緩衝系は、生理的pHを有する。液体製剤は、投与用の1mLのシリンジに充填された。
【0187】
例示的なマウス腫瘍モデル:幾つかの実施形態では、動物実験を、6~8週齢の雌性BALB/cマウス(Jackson Laboratories、#000651)を使用して実行した。動物生存試験のために、105個の4T1-Luc2細胞を、マウスの第4乳房脂肪パッドに同所性に接種した。腫瘍サイズをカリパスにより測定した。サイズを一致させた後、マウスを処置群に無作為に割り当て、腫瘍接種の10日後に手術を実行した。原発腫瘍切除のために、2%のイソフルランでマウスに麻酔をかけ、腫瘍を切除し、体温でゲル化する(例えば、本明細書に記載される)自然免疫の生体材料アゴニストの液体製剤を手術時に腫瘍切除部位に投与した。
【0188】
図1は、自然免疫の生体材料アゴニストの液体製剤(例えば、異なる濃度のカルボキシメチルキトサン及び熱応答性ポリマーの組み合わせの液体調製物)を投与された動物の、熱応答性ポリマーのみの液体製剤を投与された動物と比較した生存データを示す。
図1に実証されるように、カルボキシメチルキトサン(CMCH)と熱応答性ポリマーとの組み合わせの架橋型ヒドロゲルの腫瘍切除部位の生体内原位置での形成を有する動物群は、このような自然免疫の生体材料アゴニストを投与されなかった対照群と比較して、例えば、少なくとも50%以上、より長期間にわたり生存した。加えて、カルボキシメチルキトサンの熱応答性ポリマーとのこのような組み合わせを投与された動物群は、このような自然免疫の生体材料アゴニストなしの対照群と比べて非常に高い生存率を示した。
【0189】
実施例2.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(残留時間/分解評価)
本実施例は、特に、投与された標的部位での分解動態及び/または残留時間を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0190】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、当該生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、投与後に一定期間にわたり、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも7日間、またはより長期間インビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0191】
幾つかの実施形態では、腫瘍切除が担腫瘍マウスに対して実行され、例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で、フルオロフォア標識された自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニスト(または候補)を含む本明細書に記載の組成物(例えば、その結果、当該組成物の免疫調節成分は、当該生体材料から本質的になるか、またはそれからなる)が腫瘍切除部位に投与される。残留時間及び/または分解動態が、例えば、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)でのフルオロフォア標識された生体材料(例えば、ポリマー生体材料)(及び/またはその分解生成物)の蛍光シグナルを検出することによりモニタリングされる。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、投与の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも7日間、またはより長期間後に、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)の自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストがインビボで標的部位に残存することを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0192】
幾つかの実施形態では、雌のBALB/cJマウスに、100,000個の乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)が同所性に接種される。10日後に、腫瘍が外科的に切除され、例えば、各々が免疫調節剤ペイロードの非存在下で、フルオロフォア標識された自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニスト(または候補)を含む本明細書に記載の様々な組成物が切除空洞に投与される。抗腫瘍効果を付与するために有用であり得る、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストに好ましい残留時間プロファイルを決定するために、フルオロフォアの残留時間が、例えば、IVISイメージングにより検出及び/またはモニタリングされ得る。
【0193】
実施例3.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(活性化白血球のインビトロ検出)
本実施例は、特に、インビトロで白血球を活性化する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0194】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、樹状細胞及び/またはNK細胞をこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触させることによりインビトロで試験される場合に、(i)樹状細胞が活性化されること、(ii)NK細胞が活性化されること、及び/または(iii)1種以上の炎症性サイトカインのレベルが増加することを特徴とする。
【0195】
生体材料(例えば、ポリマー生体材料)または例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を含む本明細書に記載の組成物(例えば、その結果、当該組成物の免疫調節成分は、当該生体材料から本質的になるか、またはそれからなる)が自然免疫を刺激するかどうかを決定するために、幾つかの実施形態では、関心対象の細胞(例えば、自然免疫系に関連する細胞)の活性化マーカーが、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の当該関心対象の細胞とのインキュベーション後に評価される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を樹状細胞と接触させることによりインビトロで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、16~24時間後に樹状細胞表面の抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び/または共刺激分子(例えば、CD40、CD80、及び/またはCD86)のレベルを、当該樹状細胞がこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビトロで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、MHC I及び/またはMHC II及び/または共刺激分子を発現する樹状細胞の数を、当該樹状細胞がこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0196】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが生体材料(例えば、ポリマー生体材料)をNK細胞と接触させることによりインビトロで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、16~24時間後にCD69及び/またはKLRG1のレベルを、当該NK細胞がこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビトロで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、16~24時間後にCD69及び/またはKLRG1を発現するNK細胞の数を、当該NK細胞がこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0197】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を樹状細胞及び/またはNK細胞と接触させることによりインビトロで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、16~24時間後に1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)のレベル及び/または活性及び/または産生を、当該樹状細胞及び/またはNK細胞がこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)と接触されない場合に観察されるレベル及び/または活性及び/または産生と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0198】
例えば、幾つかの実施形態では、マウスまたはヒト起源の初代樹状細胞(例えば、マウス骨髄由来の樹状細胞またはヒト単球由来の樹状細胞)が関心対象の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の存在下でインキュベートされ得、次いで、16~24時間後に当該細胞が、例えば、樹状細胞表面の抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び共刺激分子(例えば、CD40、CD80、及び/またはCD86)のレベル及び/または活性を検出することにより樹状細胞の活性化を評価するために、例えば、フローサイトメトリーにより解析され得る。追加的または代替的に、NK細胞が、関心対象の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の存在下でインキュベートされ得、次いで、16~24時間後に当該細胞が、活性化に関連するマーカー(例えば、CD69及び/またはKLRG1が含まれる)について例えば、フローサイトメトリーにより解析され得る。追加的及び/または代替的に、少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、またはそれ以上)の炎症性サイトカイン(例えば、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-αが含まれる)のレベル及び/または活性も評価され得る。
【0199】
抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインの活性化を評価するための様々な方法が当技術分野において公知である。場合によっては、抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインのレベルは、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、標的免疫細胞における遺伝子発現(例えば、mRNAレベル)に基づいて評価され得ることを当業者は理解するであろう。免疫アッセイ(例えば、ELISA、免疫染色、及び/またはフローサイトメトリー)が同様にかかる活性化を評価するために使用され得ることも当業者は理解するであろう。例えば、樹状細胞表面の抗原提示機構及び/または共刺激分子のタンパク質発現は、例えば、免疫染色及び/またはフローサイトメトリーにより評価され得る。馴化培養培地中の炎症性サイトカインなどの炎症誘発性可溶性因子の濃度は、例えば、ELISA及び/またはマルチプレックスレーザービーズ(multiplexing laser bead)技術を使用して測定され得る。
【0200】
実施例4.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(インビボで活性化された白血球の検出)
本実施例は、特に、インビボで白血球を活性化する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0201】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の腫瘍切除部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、(i)樹状細胞が活性化されること、(ii)NK細胞が活性化されること、(iii)例えば、末梢血中の1種以上の炎症性サイトカインのレベルが増加すること、及び/または(iv)抗腫瘍適応応答が誘発されることを特徴とする。
【0202】
生体材料(例えば、ポリマー生体材料)または例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を含む本明細書に記載の組成物(例えば、その結果、当該組成物の免疫調節成分は、当該生体材料から本質的になるか、またはそれからなる)が自然免疫を刺激するかどうかを決定するために、幾つかの実施形態では、標的の腫瘍切除部位へのこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の投与の3または14日後に、脾臓由来の関心対象の細胞(例えば、自然及び/または適応免疫系に関連する細胞)上の活性化マーカーが、評価される。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の3日後)の当該試験対象の脾臓から回収された樹状細胞表面の抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び/または共刺激分子(例えば、CD40、CD80、及び/またはCD86)のレベルを、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の3日後)の試験対象の脾臓から回収される、抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び/または共刺激分子を発現する樹状細胞の数を、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の3日後)の試験対象の脾臓から回収される、CD8及び/またはCD103を発現する樹状細胞の数、及び/またはB220及び/またはPDCA1を発現する形質細胞性樹状細胞の数を、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる) 増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0203】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の3日後)の当該試験対象の脾臓から回収されるNK細胞における1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはKLRG1)及び/または1種以上のエフェクターマーカー(例えば、CD11b及び/またはCD27)のレベルを、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の3日後)の試験対象の脾臓から回収される、1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはKLRG1)及び/または1種以上のエフェクターマーカー(例えば、CD11b及び/またはCD27)を発現するNK細胞の数を、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0204】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、例えば、末梢血中の1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)のレベルを、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0205】
例えば、幾つかの実施形態では、外科的腫瘍切除の状況における自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの局所投与後の免疫細胞サブセット内の細胞変化及び/または分子的変化を分析するために、脾臓における白血球の組成、活性化状態、及び/または機能が評価され得る。幾つかの実施形態では、例えば、フローサイトメトリー解析のために、外科的腫瘍切除後にマウスから脾臓が回収され得る。初期の時点(例えば、手術3日後)では、例えば、NK細胞及び樹状細胞を含む、マウスの自然免疫系が特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、脾臓由来の活性化された(例えば、CD69+及び/またはKLRG1+)及び/または高エフェクター型の(例えば、CD11b+及び/またはCD27+)NK細胞の数が定量化され得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、脾臓由来の樹状細胞(例えば、CD8+及び/またはCD103+)及び脾臓由来の形質細胞様樹状細胞(例えば、B220+及び/またはPDCA1+)の数が決定され得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、脾臓由来の樹状細胞表面の抗原提示機構(例えば、MHC I及び/またはMHC II)及び/または共刺激分子(例えば、CD40、CD80及び/またはCD86)のレベル及び/または活性が、活性化について評価され得る。
【0206】
幾つかの実施形態では、自然免疫細胞及び/または適応免疫細胞の活性化に関連する1種以上の可溶性因子が、例えば、1種以上の関連するサイトカインの、例えば、末梢血中の濃度を測定することにより評価され得る。例えば、幾つかの実施形態では、腫瘍切除部位への自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与後の複数時点で、例えば、1.5時間、6時間、3日、または14日後に、血漿が採取され得、関心対象の1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)について解析される。当業者は、炎症性サイトカインを検出及び/または解析するための様々な方法が利用可能であり、そのうちの1つが例えば、マルチプレックスレーザービーズ(multiplexing laser bead)技術であり得ることを理解するであろう。
【0207】
抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインの活性化を評価するための様々な方法が当技術分野において公知である。場合によっては、抗原提示機構、共刺激分子、及び/または炎症性サイトカインのレベルは、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、標的免疫細胞における遺伝子発現(例えば、mRNAレベル)に基づいて評価され得ることを当業者は理解するであろう。免疫アッセイ(例えば、ELISA、免疫染色、及び/またはフローサイトメトリー)が同様にかかる活性化を評価するために使用され得ることも当業者は理解するであろう。例えば、樹状細胞表面の抗原提示機構及び/または共刺激分子のタンパク質発現は、例えば、免疫染色及び/またはフローサイトメトリーにより評価され得る。対象由来の試料(例えば、血液試料)中の炎症性サイトカインなどの炎症誘発性可溶性因子の濃度は、例えば、ELISA及び/またはマルチプレックスレーザービーズ技術を使用して測定され得る。
【0208】
実施例5.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(インビボでの記憶応答評価)
本実施例は、特に、インビボでがん細胞に対する記憶応答を誘発する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0209】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の腫瘍切除部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、がん細胞に対する記憶応答の誘発が観察されることを特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(及び生体材料の投与後)に少なくとも90日間生存した試験対象に導入される新たに接種されるがん細胞に対する記憶応答を誘発することを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。がん細胞に対する記憶応答の誘発は、例えば、処置された対象の生存期間を、がん細胞の導入前にこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される期間と比較して、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)延長することにより実証され得る。代替的にまたは追加的に、がん細胞に対する記憶応答の誘発は、例えば、処置された対象において観察される腫瘍容積サイズまたは腫瘍成長の、がん細胞の導入前にこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される腫瘍容積サイズまたは腫瘍成長と比較した、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)の低減により実証され得る。
【0210】
例えば、幾つかの実施形態では、記憶応答の誘発は、腫瘍切除後に自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを投与された生存したマウスを、乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)に再曝露することにより評価され得る。かかる乳癌細胞は、生存したマウスの以前にがん細胞を接種されなかった乳房脂肪パッドに接種され得、記憶応答の程度を評価するために、例えば、腫瘍容積及び/または動物の生存を測定することにより、かかる接種された乳癌細胞の拒絶が検出され得る。対照として、乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)が無処置のマウスの乳房脂肪パッドに接種され得る。
【0211】
場合によっては、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを投与した際の記憶応答の誘発が腫瘍抗原特異的CD8+T細胞の全身での増殖に関連するかどうかを評価することが有用であり得る。例えば、脾細胞が、(本実施例に記載される)処置されたマウス及び対照群から単離され得、接種されたがん細胞により発現される免疫優性ペプチドによりインビトロで例えば、6時間再刺激され得る。例えば、マウス白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質gp70の免疫優性ペプチド(アミノ酸423~431)である、SPSYVYHQFが4T1細胞により発現される。1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、及び/またはTNF-α)及び/または細胞溶解性分子(例えば、グランザイムB)を産生するT細胞の脾細胞内の比率が再刺激後に定量化され得る。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが(本実施例に記載されているように)インビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、がん細胞により発現される免疫優性ペプチドによる再刺激後の、処置された対象から回収された脾細胞内での1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、及び/またはTNF-αなど)及び/または細胞溶解性分子(例えば、グランザイムB)を産生するT細胞の比率を、がん細胞の導入前にこのような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される比率と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0212】
1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、本明細書に記載される)及び/または細胞溶解性分子(例えば、本明細書に記載される)を産生するT細胞の比率を評価するための様々な方法が当技術分野において公知である。場合によっては、かかる一部のT細胞は、例えば、フローサイトメトリーにより検出及び/または定量化され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、1種以上の炎症性サイトカイン及び/または細胞溶解性分子を産生する免疫細胞(例えば、T細胞)を同定するために、細胞内サイトカイン染色に続くフローサイトメトリーが実行され得る。かかるマーカーの例としては、限定されるものではないが、特異的T細胞サブセットを規定するCD3、CD4、及び/またはCD8;活性化T細胞についてCD44、CD69、及び/またはGITR;炎症性サイトカインとしてのIFN-γ、IL-2、及び/またはTNF-α;ならびに細胞溶解性分子としてのグランザイムBが挙げられる。
【0213】
実施例6.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(インビボでの抗腫瘍適応応答)
本実施例は、特に、自然免疫の刺激によりインビボで抗腫瘍適応応答を誘発する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の腫瘍切除部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、(本明細書に記載される少なくとも1つ以上の側面での自然免疫の刺激と組み合わされた)抗腫瘍適応応答の誘発が観察されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の14日後)の試験対象の脾臓から回収されるCD4+及び/またはCD8+T細胞における1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはGITR)及び/または1種以上のエフェクターマーカー(例えば、IFN-γ及び/またはIL-2)のレベルを、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察されるレベルと比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。追加的または代替的に、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、それが本実施例に記載されているようにインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、手術後(例えば、手術の14日後)の試験対象の脾臓から回収される、1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはGITR)及び/または1種以上のエフェクターマーカー(例えば、IFN-γ及び/またはIL-2)を発現するCD4+及び/またはCD8+T細胞の数を、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される数と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)増加させることを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0214】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを投与した後のマウス対象における抗腫瘍適応応答は、例えば、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの投与の14日後に、例えば、脾臓のT細胞区画を評価することにより評価され得る。幾つかの実施形態では、T細胞(例えば、CD4及び/またはCD8を発現するもの)の数及び/または活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはGITR)を発現する割合が評価され得る。
【0215】
CD4+及び/またはCD8+T細胞における(例えば、本明細書に記載される)活性化マーカー及び/またはエフェクターマーカーのレベルを評価するための様々な方法が当技術分野において公知である。場合によっては、CD4+及び/またはCD8+T細胞における(例えば、本明細書に記載される)活性化マーカー及び/またはエフェクターマーカーのレベルは、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、CD4+及び/またはCD8+T細胞における遺伝子発現(例えば、mRNAレベル)に基づいて評価され得ることを当業者は理解するであろう。かかる評価を実行するために、免疫アッセイ(例えば、ELISA、免疫染色、及び/またはフローサイトメトリー)が使用され得ることも当業者は理解するであろう。例えば、CD4+及び/またはCD8+T細胞における1種以上の活性化マーカー(例えば、CD69及び/またはGITR)及び/または1種以上のエフェクターマーカー(例えば、IFN-γ及び/またはIL-2)の存在が、例えば、免疫染色及び/またはフローサイトメトリーにより評価され得る。
【0216】
実施例7.例示的な組成物の同定及び/または特徴付け(インビボでの腫瘍再発及び/または転移の阻害)
本実施例は、特に、腫瘍再発及び/または転移を阻害または低減する能力を評価することによる、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または抗腫瘍効果についての特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載される)がん処置に有用であり得る自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストの同定及び/または特徴付けも記載する。
【0217】
幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、試験対象の腫瘍切除部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、腫瘍再発及び/または転移の発生率が、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される発生率と比較して低減されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストは、腫瘍切除後の試験対象の標的部位に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を投与することによりインビボで試験される場合に、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が、腫瘍切除後(例えば、当該試験対象がマウス対象である場合、腫瘍切除の少なくとも1ヵ月後、または当該試験対象がヒト対象である場合、腫瘍切除の少なくとも3ヵ月後)の腫瘍再発及び/または転移の発生率を、このような生体材料(例えば、ポリマー生体材料)が投与されない場合に観察される発生率と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)低減することを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0218】
インビボでの腫瘍再発及び/または転移の発生率を評価するために、ルシフェラーゼを発現する乳癌細胞(例えば、4T1細胞)がマウス対象の乳房脂肪パッドに接種され得る。10日後に腫瘍が外科的に切除され、(i)例えば、免疫調節剤ペイロードの非存在下で自然免疫の生体材料(例えば、ポリマー生体材料)アゴニストを含む本明細書に記載される組成物(例えば、その結果、当該組成物の免疫調節成分は、当該生体材料から本質的になるか、またはそれからなる)、または(ii)陰性対照組成物(例えば、このような自然免疫の生体材料アゴニストのない緩衝液)のいずれかがマウス対象の腫瘍切除部位に投与される。その後に生物発光シグナルが、一定期間にわたって、例えば、少なくとも1ヵ月以上の期間、例えば、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、またはより長期間にわたって検出及び/またはモニタリングされ得、ここで、マウス対象における(例えば、バックグラウンドシグナルレベルを少なくとも10%以上超える)検出可能な生物発光シグナルの存在は、腫瘍再発及び/または転移の存在を示す。腫瘍再発及び/または転移の発生率は、腫瘍容積を測定すること、及び/または動物の生存を評価することによりインビボでモニタリングされ得る。
【0219】
等価物及び範囲
請求項において、「a」、「and」、及び「the」は、反対の規定がない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。ある群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または記載は、反対の規定がない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、当該群の成員のうちの1つ、2つ以上、または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する場合に該当するとみなされる。本発明は、群のうちの厳密に1つの成員が所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。本発明は、群の成員のうちの2つ以上または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。
【0220】
更に本発明は、列挙された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語が別の請求項に導入されている全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項が、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に見出される1つ以上の限定を含むように改変され得る。要素が、例えば、マーカッシュ群形式で列挙して提示される場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれの要素(複数可)も群から除去され得る。一般的に、本発明または本発明の態様が特定の要素及び/または特徴を含むと見なされる場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様は、かかる要素及び/または特徴からなるか、または本質的にそれらからなることを理解すべきである。簡潔さのために、それらの実施形態は、本明細書においてこの通りの言葉で具体的に記載されていない。「含む(comprising)」及び「含有する(containing )」という用語は、オープンであることを意図し、追加の要素またはステップの包含を容認することにも留意されたい。範囲が与えられている場合、端点が含まれる。更に、別様に明記しない限り、または文脈及び当業者の理解から他のことが明らかでない限り、範囲として表現される値は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態において明示される範囲内の任意の特定の値または部分範囲を想定し得る。
【0221】
当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を理解するか、または定型的に過ぎない実験を使用して確認することができるであろう。別様に明記しない限り、または矛盾または不整合が起こることが当業者に明白でない限り、本発明は、列挙された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語などが同じ基本請求項に従属する別の請求項(または関連する任意の他の請求項)に導入されている全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を包含することを理解されたい。更に、特定の除外が本明細書において記載されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様が特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解すべきである。本発明の範囲は、上記の発明の詳細な説明に限定されることを意図せず、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
【配列表】
【国際調査報告】