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  • 特表-満液式システムにおける冷媒混合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】満液式システムにおける冷媒混合物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20220629BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
C09K5/04 F
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564367
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020030204
(87)【国際公開番号】W WO2020223196
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,312
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ クリントン オールグッド
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ ハビランド マイナー
(72)【発明者】
【氏名】ルーク デイビッド シモーニ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド マシュー スナイダー
(57)【要約】
満液式蒸発器を含む冷凍システムである。満液式蒸発器は、液体蒸発器冷媒組成物及び蒸気蒸発器冷媒組成物を更に含む。液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含む。液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
満液式蒸発器を備え、
前記満液式蒸発器は、
液体蒸発器冷媒組成物と、
蒸気蒸発器冷媒組成物とを更に含み、
前記液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い、冷凍システム。
【請求項2】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記液体蒸発器冷媒組成物及び前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、1500未満の地球温暖化係数を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記液体蒸発器冷媒組成物は潤滑剤を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記潤滑剤は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、パラフィン、ナフテン、ポリアルファオレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
液体冷媒組成物と、
前記液体冷媒組成物と接触する蒸気冷媒組成物とを含み、
前記液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い、冷媒組成物。
【請求項9】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
前記液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は、0.528~0.590であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
前記蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
前記液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
前記液体冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
前記蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
前記蒸気冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
満液式蒸発器冷凍システムにおいてR-22冷媒を置き換える方法であって、
a、第1潤滑剤を第2潤滑剤に置き換えるステップであって、前記第1潤滑剤は鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、パラフィン、又はナフテン油であり、前記第2潤滑剤はポリオールエステル(POE)又はポリビニルエーテル(PVE)である、ステップと、
b、前記システムから前記R-22冷媒を回収し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を充填するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
満液式蒸発器を含む前記冷凍システムはチラーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記チラーは、産業用若しくは商業用の空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記冷媒組成物は更にペンタフルオロエタンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、R-454Aからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
満液式蒸発器を含む冷凍システムにおける2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物の使用であって、前記システムは、R-22冷媒と共に使用するように設計されたものである、使用。
【請求項20】
満液式蒸発器を含む冷凍システムはチラーである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記チラーは、産業用若しくは商業用の空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用される、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
前記冷媒組成物はペンタフルオロエタンを更に含む、請求項19に記載の使用。
【請求項23】
前記冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、請求項19に記載の使用。
【請求項24】
前記冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A及びR-454Aからなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項25】
冷却すべき物体の近くで、満液式蒸発器内で2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を蒸発させるステップと、次に前記非共沸組成物を凝縮するステップと、を含み、前記満液式蒸発器は、冷凍システムの構成要素である、冷却を生じさせるための方法。
【請求項26】
前記冷凍システムはチラーである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記冷却すべき物体は、前記冷却を遠隔場所に運ぶ熱伝達流体である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記冷凍システムは、産業用若しくは商業用の空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記非共沸冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A及びR-454Aからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒組成物及び当該組成物を利用する満液式蒸発器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
満液式蒸発器で今日稼働する多くのチラー及び産業用冷凍システムは、冷媒としてR-22という高GWPのオゾン層破壊純粋流体、又はR-507Aという高GWPの共沸混合物を使用する。満液式蒸発器を使用するチラーシステムの例としては、スケートリンク、商業用及び産業用空調、並びにプロセス冷却、冷蔵、食品加工、冷却又は凍結による調製及び保存などの商業用及び産業用冷凍が挙げられる。R-22/R-507Aのほぼ全ての代替品は多成分混合物であり、満液式蒸発器システムでの混合成分の示差的蒸発と分離のために、概してうまく機能しない。Bivens,et al.(ASHRAE Transactions:Symposia,777~780ページ,1997)は、R-22をR-32、R-125、及びR-134aを含む共沸混合物に置き換えたことを報告している。彼らの研究では、冷却能力が36%低減し、必要な電力が14%増加し、全体的な成績係数(COP)が44%低減することが明らかになった。
【0003】
満液式蒸発器システムでR-22/R-507A冷媒と同様又は優れた性能を示す低GWP冷媒多成分混合物は、元々R-22若しくはR-507A用に設計されたシステムのオゾン層破壊係数及び/又は高GWPを低減するのに有益である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bivens,et al.(ASHRAE Transactions:Symposia,777~780ページ,1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態は、満液式蒸発器を含む冷凍システムである。満液式蒸発器は、液体蒸発器冷媒組成物及び蒸気蒸発器冷媒組成物を更に含む。液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含む。液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い。
【0006】
他の例示的な実施形態は、満液式蒸発器冷凍システムにおいてR-22冷媒を置き換えるための方法、満液式蒸発器を含む冷凍システムでの非共沸冷媒の使用、及び満液式蒸発器を含む冷凍システム内で、非共沸冷媒を蒸発させることにより冷却を生じさせるための方法である。
【0007】
本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を例示する好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による冷凍システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
冷媒組成物及び当該組成物を使用するシステムが提供される。この組成物は、R-22(クロロジフルオロメタンのASHRAE表記)及びR-507A(50重量百分率のペンタフルオロエタンと50重量百分率の1,1,1-トリフルオロエタンとを含む共沸混合物のASHRAE表記)に代わる低地球温暖化係数(GWP)冷媒を提供する。
【0010】
冷凍システム100の実施形態が図1に示される。図1の実施形態では、冷凍システム100は、受容タンク110を含む。受容タンク110は、冷媒組成物を含み、動作中に冷媒組成物を冷凍システム100の他の構成要素に供給する。
【0011】
いくつかの実施形態では、冷凍システムはチラーである。チラーは、熱伝達流体を冷却するように設計された蒸気圧縮システムであり得、その後、遠隔の物品、場所、又は空間を冷却するために使用される。チラーは、他の使用の中でもとりわけ、産業用若しくは商業用空調、産業製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用され得る。
【0012】
冷媒組成物は、地球温暖化係数(GWP)が低い材料から選択され得る。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、1800未満、1500未満、1400未満、及び/又は1200未満のGWPを示す。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、高いGWPを有する冷媒組成物を置き換えるように選択され得る。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、クロロジフルオロメタン(R-22又はHCFC-22)、及びペンタフルオロエタンと1,1,1-トリフルオロエタンとの共沸混合物であるR-507Aを含む冷媒を置き換えように選択され得る。代替組成物は、望ましくは、R-22及びR-507Aと比較し、同様の又は改善された特性を提供する。同様の特性は、不燃性及び熱を運ぶ能力を含み得る。
【0013】
R-22及びR-507A冷媒の置き換えに適した冷媒組成物は、ジフルオロメタン(R-32、又はHFC-32)、及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf、又はHFO-1234yf)を含み得る。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)及び/又は1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)又はE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を更に含み得る。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、非共沸冷媒組成物であり得る。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAEとも呼ばれる)によってR-454A(35重量百分率のHFC-32と65重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-454B(68.9重量百分率のHFC-32と31.1重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-454C(21.5重量百分率のHFC-32と78.5重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-452A(11重量百分率のHFC-32と59重量百分率のHFC-125と30重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-452B(67重量百分率のHFC-32と7重量百分率のHFC-125と26重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-448A(26重量百分率のHFC-32と26重量百分率のHFC-125と21重量百分率のHFC-134aと20重量百分率のHFO-1234yfと7重量百分率のHFO-1234ze(trans)とを含む混合物)、R-449A(24.3重量百分率のHFC-32と24.7重量百分率のHFC-125と25.7重量百分率のHFC-134aと25.3重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、R-449B(25.2重量百分率のHFC-32と24.3重量百分率のHFC-125と27.3重量百分率のHFC-134aと23.2重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)、及びR-449C(20重量百分率のHFC-32と20重量百分率のHFC-125と29重量百分率のHFC-134aと31重量百分率のHFO-1234yfとを含む混合物)として表記された冷媒組成物を含む。
【0014】
共沸組成物は、単一の物質として挙動する2つ以上の物質の恒温沸騰混合物である。共沸組成物を特定する1つの方法は、液体の部分的蒸発又は蒸留によって生成された蒸気が、蒸発又は蒸留させた液体と同じ組成を有すること、すなわち、混合蒸留物/還流物が組成変化しないことである。
【0015】
非共沸組成物は、混合物として挙動する2つ以上の物質の混合物である。液体の部分的な蒸発又は蒸留によって生成された蒸気は、蒸発又は蒸留させた液体とは異なる組成を有する。液体の部分的な蒸発又は蒸留で生成される蒸気が、蒸発又は蒸留させた液体とわずかに異なる場合、非共沸組成物は、ほぼ共沸(共沸混合物様とも呼ばれる)と見なされ得る。ほぼ共沸組成物を定義するために異なる定義が使用されてきたが、本発明の目的のために、単一の物質として挙動しない、又は共沸混合物ではない混合物は、非共沸であると見なされる。
【0016】
冷凍システム100の動作中、冷媒組成物は、熱伝達プロセスの一部として冷凍システム100全体を循環する。図1の例では、受容タンク110は、満液式蒸発器120に動作可能に接続され、冷媒組成物を満液式蒸発器120に供給する。一実施形態では、冷媒組成物は、熱サイホンの場合のように、差圧によって受容タンク110と満液式蒸発器120との間で運ばれる。一実施形態では、冷媒組成物は、ポンプ125を介して、受容タンク110と満液式蒸発器120との間で運ばれる。一実施形態では、冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)、及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含む非共沸組成物である。いくつかの実施形態では、受容タンク110は任意選択的であり、省略され得る。
【0017】
動作中、蒸発器は、典型的には、外部熱源(周囲空気であり得る)にさらされ、それによって冷媒組成物の一部が気化することにより、エネルギーが冷媒に伝達される。結果として、非共沸組成物の場合、満液式蒸発器120内の冷媒の蒸気画分の組成は、初期冷媒組成物の非共沸特性のために、満液式蒸発器120内の冷媒の液体画分とは異なる組成を示し、それぞれ蒸気蒸発器組成物121及び液体蒸発器組成物122を規定する。初期冷媒組成物の低沸点成分は、蒸気蒸発器組成物121においてより高い濃度で見出され得、初期冷媒組成物のより高い沸点成分は、液体蒸発器濃度においてより高い濃度で見出され得る。
【0018】
液体蒸発器組成物122がより高沸点の成分に富むようになると、液体蒸発器組成物122の沸点は、初期泡立ち点から上昇し、露点に近づく。これは、時間の経過とともに蒸発器温度のシフトをもたらし得、最終的には冷凍システム100の効率を低下させる。沸騰温度のこの変化又は「グライド」は、冷媒温度グライドと呼ばれる。
【0019】
一実施形態では、蒸気蒸発器組成物121の特性は、1つ以上のオンラインセンサ及び/又はサンプリングポートによって蒸発器出口ポート127で監視され得る。センサは、蒸気蒸発器組成物121の1つ以上の特性を測定し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の特性は、温度及び/又は圧力を含み得る。管理システム130が冷凍システム100の動作を監視及び調整することを可能にするプロセッサ、メモリ、及び命令を有する任意的な管理システム130は、特性並びに液体蒸発器組成物122及び蒸気蒸発器組成物121を監視し、所望の動作パラメータ内にあるかどうかを判定し得る。
【0020】
一実施形態では、冷媒組成物の成分の適切な質量分率は、液体蒸発器冷媒組成物中の0.220~0.350のジフルオロメタンの質量分率及び液体蒸発器冷媒組成物中の0.650~0.780の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率並びに蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.401~0.559のジフルオロメタンの質量分率及び蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.441~0.599の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率を含む。
【0021】
一実施形態では、冷媒組成物の成分の適切な質量分率は、液体蒸発器冷媒組成物中の0.072~0.110のジフルオロメタンの質量分率、液体蒸発器冷媒組成物中の0.300~0.400の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率、及び液体蒸発器冷媒組成物中の0.528~0.590のペンタフルオロエタンの質量分率を含む。蒸気蒸発器冷媒組成物の質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.122~0.179のジフルオロメタンの質量分率、蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.174~0.268の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率、及び蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.610~0.648のペンタフルオロエタンの質量分率を含み得る。
【0022】
一実施形態では、冷媒組成物の成分の適切な質量分率は、液体蒸発器冷媒組成物中の0.167~0.243のジフルオロメタンの質量分率、液体蒸発器冷媒組成物中の0.253~0.293の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率、液体蒸発器冷媒組成物中の0.205~0.247のペンタフルオロエタンの質量分率、及び液体蒸発器冷媒組成物中の0.257~0.336の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率を含む。蒸気蒸発器冷媒組成物の質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.274~0.383のジフルオロメタンの質量分率、蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.185~0.237の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率、蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.264~0.304のペンタフルオロエタンの質量分率、及び蒸気蒸発器冷媒組成物中の0.128~0.225の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率を含み得る。
【0023】
満液式蒸発器120は、吸引ライン135を介して圧縮機140に動作可能に接続される。圧縮機140は、圧縮機140に入る蒸気蒸発器組成物121の圧力を増加させる。動作を容易にし、圧縮機140の耐用年数を延ばすために、潤滑剤を冷媒組成物に含めることができる。潤滑剤と冷媒組成物との溶解性及び混和性は、潤滑剤の性能を改善し、圧縮機140の耐用年数を延ばすことができる。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、鉱油、アルキルベンゼン、パラフィン、ナフテン、ポリアルファオレフィン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、及びそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、潤滑剤は、ポリオールエステルを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、任意選択的なサージタンク150を蒸発器120と圧縮機140との間に挿入し、液体冷媒及び/又は潤滑剤が圧縮機140に入るのを防ぐことができる。サージタンク150は、存在する場合、蓄積された液体を受容タンク110に戻し、再び満液式蒸発器120に提供することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本冷凍システムの圧縮機は、少なくとも1つの往復圧縮機である。いくつかの実施形態では、本発明の圧縮機は、少なくとも1つのスクリュー圧縮機である。いくつかの実施形態では、冷凍システムの圧縮機は、往復圧縮機又はスクリュー圧縮機から選択される。
【0026】
圧縮機140は、凝縮器160に動作可能に接続される。凝縮器160は、加圧蒸気蒸発器組成物121を受け入れ、加圧蒸気蒸発器組成物121が熱を外部媒体に伝達し、液体状態に凝縮することを可能にする。
【0027】
結果として、非共沸組成物の場合、凝縮器160内の冷媒の蒸気画分の組成は、冷媒組成物の非共沸特性のために、それぞれ蒸気凝縮器組成物及び液体凝縮器組成物を定義する、凝縮器160内の冷媒の液体画分とは異なる組成を示す。冷媒組成物のより低い沸点の成分は、蒸気凝縮器組成物においてより高い濃度で見出され得、冷媒組成物のより高い沸点の成分は、液体凝縮器の凝縮物においてより高い濃度で見出され得る。
【0028】
一実施形態では、液体凝縮器組成物の特性は、1つ以上のオンラインセンサ及び/又はサンプリングポートによって蒸発器出口ポート167で監視され得る。センサは、液体凝縮器組成物の1つ以上の特性を測定し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の特性は、温度及び/又は圧力を含み得る。任意選択的な管理システム130は、管理システム130が所望の動作パラメータ内で液体凝縮器組成物及び蒸気凝縮器組成物を監視することを可能にするプロセッサ、メモリ、及び命令を有する。
【0029】
一実施形態では、管理システム130は、凝縮器160内の冷凍成分が完全に凝縮することを可能にするために、冷凍システム100の動作を定期的に一時的に停止し得る。
【0030】
凝縮器160は、膨張弁170を介して受容タンク110に動作可能に接続される。液体凝縮器組成物は、冷凍システム100の低圧側に戻り、再度満液式蒸発器120に提供されることによって熱を吸収するために再度利用可能になる。
【0031】
代替の実施形態では、受容タンク110は、冷凍システム100の高圧側にあり得、膨張弁170は、受容タンク110と満液式蒸発器120との間に位置決めされ得る。そのような実施形態では、ポンプ125は、典型的には存在しない。
【0032】
別の例示的な実施形態は、満液式蒸発器冷凍システムにおいてR-22冷媒を置き換えるための方法を含み、方法は、a)第1潤滑剤を第2潤滑剤に置き換えるステップであって、第1潤滑剤は鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、パラフィン又はナフテン油であり、第2潤滑剤はポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)又はポリビニルエーテル(PVE)である、ステップと、b)システムからR-22冷媒を回収し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとジフルオロメタンとを含む非共沸冷媒組成物をシステムに充填するステップと、を含む。
【0033】
一実施形態では、満液式蒸発器を含む冷凍システムはチラーである。チラーは、他の使用の中でもとりわけ、産業用若しくは商業用空調、産業製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用され得る。
【0034】
別の実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含む。更に別の実施形態では、冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む。
【0035】
別の実施形態では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される。
【0036】
別の例示的な実施形態は、満液式蒸発器を含む冷凍システムにおける2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物の使用を含み、このシステムは、R-22冷媒と共に使用するために設計されたものである。一実施形態では、満液式蒸発器を含む冷凍システムは、チラーであり得る。いくつかの実施形態では、チラーは、空調を提供するため、又はスケートリンクの床を凍結するために使用され得る。
【0037】
別の実施形態では、冷凍システムにおいて使用される非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含む。別の実施形態では、非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む。一実施形態では、非共沸冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される。
【0038】
別の例示的な実施形態は、冷却すべき物体の近くで、満液式蒸発器内で2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を蒸発させるステップと、次に当該非共沸組成物を凝縮するステップと、を含む、冷却を生じさせるための方法を含む。満液式蒸発器は、図1で説明されるように冷凍システムの構成要素である。冷凍システムはチラーであり得、冷却すべき物体は、冷却を遠隔場所に運ぶ熱伝達流体であり得る。熱伝達流体は、例えば塩化カルシウムブラインなどのブライン水溶液、又は例えばエチレングリコール若しくはプロピレングリコール溶液などのグリコールであり得る。遠隔場所は、空調用の空間である場合もあり、氷を冷却するためのスケートリンクの床である場合もある。別の実施形態では、非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含み得る。別の実施形態では、非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む。一実施形態では、非共沸冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される。
【0039】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、その要素の代わりに同等物を使用することができることが理解されるであろう。加えて、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。
【実施例
【0040】
(実施例1)
冷媒性能
R-22の代わりに非共沸冷媒混合物を使用してシステムがどのように動作するかをよりよく理解するために、典型的な性能パラメータを実証できるだけでなく、サイクルを移動する際の非共沸冷媒組成物の変化を推定できる独自のソフトウェアが開発された。このモデルは定常状態の動作を想定し、輸送現象を伴う熱力学的な挙動、例えば熱伝達抵抗は全く考慮しない。それは、充填高さが可変の満液式蒸発器、サージタンク、単段圧縮機(等方性効率で動作)、全凝縮を提供する凝縮器、収集タンク、及び等エンタルピー膨張弁を含む。質量及びエネルギーの収支では、NISTのREFPROPを使用したエネルギー及び相平衡サイクル計算のために、混合成分の公開された状態方程式と混合パラメータとを使用する。
【0041】
条件
満液式蒸発器システム
凝縮器温度=90.0°F
蒸発器温度=10.0°F
圧縮機効率=0.75
【0042】
【表1】
【0043】
上記の各冷媒混合物について、0.01~0.9体積分率(液体を入れた蒸発器の体積)の蒸発器充填高さでの蒸発器内の組成物の予測範囲は、表1bに示すとおりである。
【0044】
【表2】
【0045】
(実施例2)
R-449Aを使用したR-22システムの改良
R-22により動作する満液式蒸発器を備えた間接スケートリンクチラーは、R-449Aを使用して改良された。チラーは、複数の往復圧縮機、蒸発凝縮器、シェルアンドチューブ満液式蒸発器を含んだ。スケートリンクの床を冷却するために塩化カルシウムブラインが使用された。
【0046】
システムの性能は、システム全体の電力計、ブラインの流れ、及び蒸発器を通過するブラインの温度降下を使用し、改良前と改良後の両方で監視及び定量化された。システム全体の出力測定は、圧縮機用モータ、凝縮器水ポンプ、ブライン循環ポンプ、床下グリコールポンプ、融雪ポンプ、及びクランクケースヒーターや制御装置などの補助装置からの吸引を含んだ。蒸発器を通るブラインの流れ及び温度降下を使用し、蒸発器の熱負荷を評価した。
【0047】
改良は、鉱油からPOE(ポリオールエステル)オイルへのオイル交換と、R-22の除去後の漏れ及び最終的に生じることのあるエラストマーの収縮を防ぐための重要なエラストマーシールの交換とからなった。R-22冷媒を回収し、システムにR-449Aを充填した。ブライン温度は、試験全体を通して約14~18°Fに維持された。システムは、約9か月間、R-449Aで正常に動作し続けた。
【0048】
蒸発器蒸気のサンプルが(圧縮機出口で)採取され、上記の計算からサイクルのその時点でモデル化された組成とよく一致することが示された。これらの結果を表2に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
改良は、わずかなシステム変更のみでR-22用に設計された満液式蒸発器チラーにおいて非共沸冷媒を使用することの実行可能性を示す。R-449Aの吸込圧力及び吐出圧力は、R-22の動作と同等であり、既存のシステム構成要素の制限内である。同様の周囲温度プロファイルを持つ数日のエネルギー使用量の比較では、予期せず、2つの流体間に有意差は示されなかった。
【0051】
追加の実施形態
実施形態A1:
満液式蒸発器を備え、
満液式蒸発器は、
液体蒸発器冷媒組成物と、
蒸気蒸発器冷媒組成物とを更に含み、
液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及びと2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い、冷凍システム。
【0052】
実施形態A2:
液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、実施形態A1に記載の冷凍システム。
【0053】
実施形態A3:
液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、実施形態A1又はA2に記載の冷凍システム。
【0054】
実施形態A4:
液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
液体蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
液体蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
蒸気蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の冷凍システム。
【0055】
実施形態A5:液体蒸発器冷媒組成物及び蒸気蒸発器冷媒組成物が1500未満の地球温暖化係数を示す、実施形態A1~A4のいずれか1つに記載のシステム。
【0056】
実施形態A6:液体蒸発器冷媒組成物が潤滑剤を更に含む、実施形態A1~A5のいずれか1つに記載のシステム。
【0057】
実施形態A7:潤滑剤は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、パラフィン、ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A1~A6のいずれか1つに記載のシステム。
【0058】
実施形態A8:圧縮機が少なくとも1つのスクリュー圧縮機又は少なくとも1つの往復圧縮機である、実施形態A1~A7のいずれか1つに記載のシステム。
【0059】
実施形態B1:冷凍システムの温度グライドを低減する方法であって、冷凍システムは、入口ポートと出口ポートとを備えた受容タンク、入口ポートと出口ポートとを備えた蒸発器、蒸発器出口ポートセンサ、第1入口ポートと出口ポートとを備えたサージタンク、入口ポートと出口ポートとを備えた圧縮機、入口ポートと出口ポートとを備えた凝縮器、凝縮器出口ポートセンサ、及び入口ポートと出口ポートとを備えた膨張弁、プロセッサ、メモリ、及びプロセッサによって実行されたときに管理システムが冷凍システムの動作を調整することを可能にする命令を備えた管理システムを含み、方法は、
受入タンクから蒸発器への少なくとも第1冷媒及び第2冷媒を含む非共沸液体冷媒組成物を提供するステップと、
非共沸液体冷媒組成物の一部を蒸発させるのに十分に蒸発器内の非共沸冷媒組成物を加熱し、第1蒸気蒸発器冷媒組成物及び第1液体蒸発器冷媒組成物を最初に形成するステップと、
管理システムによって蒸発器出口ポートセンサから第1蒸発器出口測定値を最初に受信するステップと、
第1液体蒸発器冷媒組成物の一部を蒸発させるのに十分に蒸発器内の第1液体蒸発器冷媒組成物を加熱し、第2蒸気蒸発器冷媒組成物及び第2液体蒸発器冷媒組成物を再度形成するステップと、
管理システムによって第2蒸発器出口ポートセンサからの第2蒸発器出口測定値を再度受信するステップと、
管理システムによって第1蒸発器出口測定値と第2蒸発器出口測定値との間の差が所定の閾値よりも大きいと決定するステップと、
管理システムによって第1蒸発器出口測定値と第2蒸発器出口測定値とに基づいて冷凍システムの動作を調整するステップと、を含む、方法。
【0060】
実施形態B2:第1蒸発器出口測定値が温度を含み、第2蒸発器出口測定値が温度を含む、実施形態B1に記載の方法。
【0061】
実施形態B3:第1蒸発器出口測定値が圧力を更に含み、第2蒸発器出口測定値が圧力を更に含む、実施形態B1又はB2に記載の方法。
【0062】
実施形態B4:所定の閾値は、非共沸液体冷媒組成物の泡立ち点と非共沸液体冷媒組成物の最高沸点成分の沸点との間の差よりも小さい、実施形態B1~B3のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態B5:所定の閾値は、非共沸液体冷媒組成物の泡立ち点と非共沸液体冷媒組成物の最高沸点成分の沸点との間の差の80%未満である、実施形態B1~B4に記載の方法。
【0064】
実施形態B6:
冷凍システムの動作を調整するステップは、第2液体冷媒組成物の一部を、第2サージタンク入口ポートを介してサージタンクに追加するステップを含み、
サージタンクへの第2液体冷媒組成物の追加速度は、第1サージタンク入口ポートを介してサージタンクに入る蒸気冷媒の質量の5%未満である、実施形態B1~B5のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態B7:
第1液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態B8:
第1液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
第1液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態B9:
第1液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
第1液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
第1液体蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
第1液体蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
第1蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態B10:圧縮機は、少なくとも1つのスクリュー圧縮機又は少なくとも1つの往復圧縮機である、実施形態B1~B9のいずれか1つに記載のシステム。
【0069】
実施形態C1:
液体冷媒組成物と、
液体冷媒組成物と接触する蒸気冷媒組成物とを含み、
液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)とを含み、
蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)とを含み、
液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い、冷媒組成物。
【0070】
実施形態C2:
液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、実施形態C1に記載の組成物。
【0071】
実施形態C3:
液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、実施形態C1に記載の組成物。
【0072】
実施形態C4:
液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
液体冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
液体冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
蒸気冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、実施形態C1に記載の組成物。
【0073】
実施形態C5:E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を更に含む、実施形態C1~C4のいずれか1つに記載の組成物。
【0074】
実施形態D1:満液式蒸発器冷凍システムにおいてR-22冷媒を置き換えるための方法であって、
a.第1潤滑剤を第2潤滑剤に置き換えるステップであって、第1潤滑剤は鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、パラフィン、又はナフテン油であり、第2潤滑剤はポリオールエステル(POE)又はポリビニルエーテル(PVE)である、ステップと、
b.システムからR-22冷媒を回収し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を充填するステップと、を含む、方法。
【0075】
実施形態D2:満液式蒸発器を含む冷凍システムはチラーである、実施形態D1に記載の使用。
【0076】
実施形態D3:満液式蒸発器を含む冷凍システムはチラーであり、産業用若しくは商業用空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用される、実施形態D1又はD2に記載の使用。
【0077】
実施形態D4:冷媒組成物はペンタフルオロエタンを更に含む、実施形態D1~D3のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態D5:冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、実施形態D1~D4のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態D6:冷媒組成物は、R-449、R-452、R-454からなる群から選択される、実施形態D1~D5のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態D7:冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【0081】
実施形態D8:圧縮機は、少なくとも1つのスクリュー圧縮機又は少なくとも1つの往復圧縮機である、実施形態D1~D7のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
実施形態E1:満液式蒸発器を含む冷凍システムにおける2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む冷媒組成物の使用であって、システムは、R-22冷媒と共に使用するために設計されたものである、使用。
【0083】
実施形態E2:満液式蒸発器を含む冷凍システムはチラーである、実施形態E1に記載の使用。
【0084】
実施形態E3:チラーは、産業用若しくは商業用の空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは又は保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供するために使用される、実施形態E1又はE2に記載の使用。
【0085】
実施形態E4:冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含む、実施形態E1~E3のいずれか1つに記載の使用。
【0086】
実施形態E5:冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、実施形態E1~E4のいずれか1つに記載の使用。
【0087】
実施形態E6:冷媒組成物は、R-448、R-449、R-452、及びR-454からなる群から選択される、実施形態E1~E5のいずれか1つに記載の使用。
【0088】
実施形態E7:冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される、実施形態E1~E6のいずれか1つに記載の使用。
【0089】
実施形態E8:冷凍システムは、少なくとも1つのスクリュー圧縮機又は少なくとも1つの往復圧縮機である少なくとも1つの圧縮機を更に含む、実施形態A1~A7のいずれか1つに記載のシステム。
【0090】
実施形態F1:冷却すべき物体の近くで、満液式蒸発器内で2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を蒸発させるステップと、次に当該非共沸組成物を凝縮するステップであって、満液式蒸発器は、冷凍システムの構成要素である、凝縮するステップと、を含む、冷却を生じさせるための方法。
【0091】
実施形態F2:冷凍システムはチラーである、実施形態F1に記載の方法。
【0092】
実施形態F3:冷却すべき物体は、冷却を遠隔場所に運ぶ熱伝達流体である、実施形態F1又はF2に記載の方法。
【0093】
実施形態F4:冷蔵システムは、産業用若しくは商業用の空調、産業用製造プロセスの冷却、冷蔵、食品若しくは医薬品の調製、冷却若しくは凍結による加工若しくは保存、又はスケートリンクの床の凍結を提供する、実施形態F1~F3のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態F5:非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタンを更に含む、実施形態F1~F4のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態F6:非共沸冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含む、実施形態F1~F5のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態F7:非共沸冷媒組成物は、R-448A、R-449A、R-452A、及びR-454Aからなる群から選択される、実施形態F1~F6のいずれか1つに記載の方法。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
満液式蒸発器を備え、
前記満液式蒸発器は、
液体蒸発器冷媒組成物と、
蒸気蒸発器冷媒組成物とを更に含み、
前記液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い,冷凍システム。
【請求項2】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記液体蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
前記液体蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記液体蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項5】
液体冷媒組成物と、
前記液体冷媒組成物と接触する蒸気冷媒組成物とを含み、
前記液体冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記蒸気冷媒組成物は、ジフルオロメタン(HFC-32)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)を含み、
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は、前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率よりも低く、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は、前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率よりも高い、冷媒組成物。
【請求項6】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.220~0.350であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.650~0.780であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.401~0.559であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.441~0.599である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.072~0.110であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.300~0.400であり、
前記液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.528~0.590であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.122~0.179であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.174~0.268であり、
前記蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.610~0.648である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記液体冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.167~0.243であり、
前記液体冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.253~0.293であり、
前記液体冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.205~0.247であり、
前記液体冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記液体冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.257~0.336であり、
前記蒸気冷媒組成物中のジフルオロメタンの質量分率は0.274~0.383であり、
前記蒸気冷媒組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの質量分率は0.185~0.237であり、
前記蒸気冷媒組成物は、ペンタフルオロエタン(HFC-125)を更に含み、
前記蒸気冷媒組成物中のペンタフルオロエタンの質量分率は0.264~0.304であり、
前記蒸気冷媒組成物は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を更に含み、
前記蒸気蒸発器冷媒組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタンの質量分率は0.128~0.225である、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
満液式蒸発器冷凍システムにおいてR-22冷媒を置き換える方法であって、
a、第1潤滑剤を第2潤滑剤に置き換えるステップであって、前記第1潤滑剤は鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、パラフィン、又はナフテン油であり、前記第2潤滑剤はポリオールエステル(POE)又はポリビニルエーテル(PVE)である、ステップと、
b、前記システムから前記R-22冷媒を回収し、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を充填するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
満液式蒸発器を含む冷凍システムにおける2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物の使用であって、前記システムは、R-22冷媒と共に使用するように設計されたものである、使用。
【請求項11】
冷却すべき物体の近くで、満液式蒸発器内で2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む非共沸冷媒組成物を蒸発させるステップと、次に前記非共沸組成物を凝縮するステップと、を含み、前記満液式蒸発器は、冷凍システムの構成要素である、冷却を生じさせるための方法。
【国際調査報告】