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特表2022-531207組成的に画定されたプラスミドDNA/ポリカチオンナノ粒子およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】組成的に画定されたプラスミドDNA/ポリカチオンナノ粒子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20220629BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220629BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20220629BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220629BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K9/19
A61K47/36
A61K47/34
A61K47/42
A61K47/04
A61K38/18
A61K38/19
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/713
A61K31/711
A61K31/7105
A61K45/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564392
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020030429
(87)【国際公開番号】W WO2020223323
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,152
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ハイクアン マオ
(72)【発明者】
【氏名】イチョン フー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ギルバート ポンパー
(72)【発明者】
【氏名】ホンウェン リウ
(72)【発明者】
【氏名】イル ミン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー アルマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン カーリントン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076CC26
4C076CC29
4C076DD26
4C076EE13
4C076EE25
4C076EE26
4C076EE30
4C076EE36
4C076EE37
4C076EE41
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG06
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA19
4C084BA03
4C084DA01
4C084DB52
4C084MA05
4C084MA41
4C084MA44
4C084NA03
4C084ZB211
4C084ZB212
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA06
4C086MA41
4C086MA44
4C086NA03
4C086ZB21
(57)【要約】
現在開示されている対象は、本明細書において「フラッシュ・ナノ複合体形成」または「(FNC)」と呼ばれる、速度論的に制御された混合過程を提供し、ポリアニオン溶液、例えば、プラスミドDNA溶液の、ポリカチオン溶液との混合を加速させ、マイクロチャンバー内の乱流混合を通じて、高分子電解質複合体(PEC)の集合速度を一致させ、それにより、ナノ粒子サイズ、組成、流体力学的サイズ、流体力学密度、表面電荷、およびポリアニオンペイロードの調整可能性により証明されるようなナノ粒子集合に関する速度論的条件の明示制御を達成する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーが均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で、前記1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを前記1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーと均一的に混合することを含む、均一なPECナノ粒子を製造する方法。
【請求項2】
フラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】

(a)第1の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを含む第1のストリームを拘束チャンバに流すことと、
(b)第2の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを含む第2のストリームを前記拘束チャンバに流すことであって、前記第1のストリームおよび前記第2のストリームは、前記拘束チャンバに入る際、相反する側にあることと、
(c)任意に、第3の可変流量において、1つまたは複数の水溶性治療薬、1つまたは複数の混和性有機溶剤、および/または1つまたは複数の凍結保護物質からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む第3のストリームを前記拘束チャンバに流すことであって、前記各ストリームは、前記拘束チャンバに入る際、前記他の2つのストリームから等距離にあることと、
前記第1の可変流量、前記第2の可変流量、およびもし存在する場合、前記第3の可変流量は、同一または異なりうることと、
(d)レイノルズ数が約1,000から約20,000になるまで、前記拘束チャンバ内で、前記第1のストリーム、前記第2のストリーム、およびもし存在する場合、前記第3のストリームを衝突させ、それにより、前記1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび前記1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを、PECナノ粒子を継続的に生成する高分子電解質複合体形成過程を経るようにすることであって、前記高分子電解質複合体形成過程は、前記第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームの成分が均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、前記PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で生じることとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の可変流量、前記第2の可変流量、およびもし存在する場合、前記第3の可変流量は、それぞれ、約10ミリリットル/分(mL/min)以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の可変流量、前記第2の可変流量、およびもし存在する場合、前記第3の可変流量は、それぞれ、約3mL/minから約30mL/minである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記特性混合時間は、約1msから約200msである、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記特性混合時間は、約15msである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レイノルズ数は、約2,000から約5,000の範囲を有する、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のストリームのpH値および前記第2のストリームのpH値は、それぞれ、約2.5から約8.4の範囲を有する、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のストリームのpH値および前記第2のストリームのpH値は、それぞれ、約3.5である、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、キトサン、PAMAMデンドリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、プロタミン、ポリ(アルギニン)、ポリ(リジン)、ポリ(βアミノエステル)、カチオン性ペプチドおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、負電荷ブロック共重合体、ヘパリン硫酸、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、トリポリリン酸(TPP)、オリゴ(グルタミン酸)、サイトカイン、タンパク質、ペプチド、成長因子、および核酸からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、ガイドRNA、プラスミドDNA、ベクターDNA、mRNA、miRNA、piRNA、shRNA、およびsiRNAからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のストリームおよび/または前記第2のストリームは、更に、1つまたは複数の水溶性治療薬を含む、請求項3~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の水溶性治療薬は、小分子、炭水化物、糖、タンパク質、ペプチド、核酸、抗体またはその抗体断片、ホルモン、ホルモン受容体、受容体リガンド、サイトカイン、および成長因子からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、プラスミドDNAであり、前記1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)またはその誘導体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
約25から約800μg/mLのプラスミドDNA濃度を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プラスミド濃度は、約25μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、および約800μg/mLからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法から生成される均一な1つの高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子または複数のPECナノ粒子。
【請求項20】
前記ナノ粒子は、ナノ粒子あたり平均約1から約50部のpDNAを有する、請求項19に記載のPECナノ粒子。
【請求項21】
前記PECナノ粒子は、平均、ナノ粒子あたり約1.3から約21.8部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.6部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.7部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約2.3部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約2.6部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約4.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約4.7部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約9.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3部のpDNA;ナノ粒子あたり約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約4.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約10.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約13.5部のpDNA;またはナノ粒子あたり約21.8部のpDNAを有する、請求項20に記載のPECナノ粒子。
【請求項22】
前記PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり1つのpDNAを有する、請求項20に記載のPECナノ粒子。
【請求項23】
前記ナノ粒子は、約30nmから約130nmの平均サイズを有する、請求項19~22のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項24】
前記1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンを含み、前記1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、プラスミドDNAを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項25】
前記PECナノ粒子は、前記プラスミドDNA内のリン酸塩に対する前記ポリエチレンイミン内のアミンの比率(N/P)が約3から約10である、請求項19~24のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項26】
前記PECナノ粒子は、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、および約10からなる群から選択されるN/Pを有する、請求項25に記載のPECナノ粒子。
【請求項27】
前記PECナノ粒子は、全lPEIに対する結合lPEIのパーセンテージが約50%から約75%である、請求項19~26のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項28】
前記複数のPECナノ粒子は、約0.1から約0.25の多分散指数(PDI)を有する、請求項19~28のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項29】
前記ナノ粒子は、約60Da/nmから約80Da/nmの見掛け流体力学密度を有する、請求項19~28のいずれか一項に記載のPECナノ粒子。
【請求項30】
薬学的に容認可能な担体内に、請求項19~29のいずれか一項に記載の1つのPECナノ粒子または複数のPECナノ粒子を備える医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤は、凍結乾燥製剤を含む、請求項30に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記1つのPECナノ粒子または複数のPECナノ粒子は、少なくとも9カ月間、-20°Cで長期的な安定性を示す、請求項31に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[連邦支援研究または開発]
本発明は、国立衛生研究所によりもたらされたEB018358およびEB024495の下、政府支援によりなされた。政府は、発明の一定の権利を有する。
【0002】
高分子電解質複合体(PEC)形成は、プラスミドDNA(pDNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、タンパク質、およびペプチドを含む広範囲の高分子治療法の導入にかかる微粒子伝達手段を集めるために広く使用されている。有望な非ウイルス遺伝子導入アプローチとして、水溶液内のポリカチオン性担体を使用して、pDNA分子が凝縮され、PECナノ粒子にパッケージ化される。集められたpDNA/ポリカチオンナノ粒子は、標的細胞および細胞内コンパートメントへの輸送およびアクセスを促進し、酵素分解からpDNAを保護する(Shi他、2017)。遺伝子導入にかかる体内運命および有効性、およびナノ粒子のトランスフェクション比率は、近年の多くの努力により明らかにされるように、それらのサイズ範囲および分布(Hickey他、2015)、形態学(Williford他)、表面特性、組成、および構造(Blanco他、2015)などのナノ粒子特性に依存する。難易度が高いが、これらのナノ粒子特性およびそれらの生体系との相互作用の間の関係についての詳細な理解に努める。この挑戦は、主にPEC集合速度の十分な制御の欠如に起因し、集められたナノ粒子の特性に影響する。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの態様において、現在開示されている対象は、均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子を製造する方法を提供し、方法は、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーが均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーと均一的に混合することを含む。
【0004】
特定の態様において、方法は、フラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)法を含む。そのような態様において、方法は、(a)第1の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを含む第1のストリームを拘束チャンバに流すことと、(b)第2の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを含む第2のストリームを拘束チャンバに流すことであって、第1のストリームおよび第2のストリームは、拘束チャンバに入る際、相反する側にあることと、(c)任意に、第3の可変流量において、1つまたは複数の水溶性治療薬、1つまたは複数の混和性有機溶剤、および/または1つまたは複数の凍結保護物質からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む第3のストリームを拘束チャンバに流すことであって、各ストリームは、拘束チャンバに入る際、他の2つのストリームから等距離にあり、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、同一または異なりうることと、(d)レイノルズ数が約1,000から約20,000になるまで、拘束チャンバ内で、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームを衝突させ、それにより、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを、PECナノ粒子を継続的に生成する高分子電解質複合体形成過程を経るようにすることであって、高分子電解質複合体形成過程は、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームの成分が均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で生じることとにより、均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子を継続的に生成することを含む。
【0005】
態様によっては、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、それぞれ、約3ミリリットル/分(mL/min)以上である。特定の態様において、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、それぞれ、約3mL/minから約50mL/minである。
【0006】
態様によっては、特性混合時間は、約1msから約200msである。特定の態様において、特性混合時間は、約15msである。
【0007】
いくつかの態様において、レイノルズ数は、約2,000から約8,000または約3,000から約5,000の範囲を有する。いくつかの態様において、第1のストリームのpH値および第2のストリームのpH値は、それぞれ、約2.5から約8.4の範囲を有する。特定の態様において、第1のストリームのpH値および第2のストリームのpH値は、それぞれ、約3.5である。
【0008】
いくつかの態様において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、キトサン、PAMAMデンドリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、プロタミン、ポリ(アルギニン)、ポリ(リジン)、ポリ(βアミノエステル)、カチオン性ペプチドおよびその誘導体からなる群から選択される。
【0009】
いくつかの態様において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、負電荷ブロック共重合体、ヘパリン硫酸、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、トリポリリン酸(TPP)、オリゴ(グルタミン酸)、サイトカイン、タンパク質、ペプチド、成長因子、および核酸からなる群から選択される。特定の態様において、核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、ガイドRNA、プラスミドDNA、ベクターDNA、mRNA、miRNA、piRNA、shRNA、およびsiRNAからなる群から選択される。
【0010】
更なる態様において、第1のストリームおよび/または第2のストリームは、更に、1つまたは複数の水溶性治療薬を含む。態様によっては、1つまたは複数の水溶性治療薬は、小分子、炭水化物、糖、タンパク質、ペプチド、核酸、抗体またはその抗体断片、ホルモン、ホルモン受容体、受容体リガンド、サイトカイン、および成長因子からなる群から選択される。
【0011】
態様によっては、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、プラスミドDNAであり、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)またはその誘導体である。そのような態様において、プラスミドDNA濃度は、約25から約800μg/mLである。特定の態様において、プラスミド濃度は、約25μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、および約800μg/mLからなる群から選択される。
【0012】
他の態様において、現在開示されている対象は、現在開示されている方法から生成される均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子または複数のPECナノ粒子を提供する。
【0013】
いくつかの態様において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり平均、約1から約50部のpDNAを有する。特定の態様において、PECナノ粒子は、平均、ナノ粒子あたり約1.7から約21.8部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7から約9.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.7部のpDNA;ナノ粒子あたり約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約4.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.5部のpDNA;またはナノ粒子あたり約21.8部のpDNAを有する。更により特定の態様において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり1つのpDNAを有する。
【0014】
いくつかの態様において、PECナノ粒子は、約35nmから約130nmの平均サイズを有する。特定の態様において、PECナノ粒子は、約80nmの平均サイズを有する。
【0015】
態様によっては、PECナノ粒子は、ポリエチレンイミンおよびプラスミドDNAを含む。そのような態様において、PECナノ粒子は、プラスミドDNA内のリン酸塩に対するポリエチレンイミン内のアミンの比率(N/P)が約3から約10である。特定の態様において、PECナノ粒子は、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、および約10からなる群から選択されるN/Pを有する。
【0016】
いくつかの態様において、PECナノ粒子は、lPEIの全量に対する結合lPEIのパーセンテージが約50%から約75%である。態様によっては、複数のPECナノ粒子は、約0.1および約0.25の間の多分散指数(PDI)を有する。態様によっては、PECナノ粒子は、約+20から約+50mVの表面電荷を有する。態様によっては、PECナノ粒子は、ナノ粒子を懸濁させるために使用される媒体に依存し、約60Da/nmから約80Da/nmの見掛け流体力学密度を有する。
【0017】
他の態様において、現在開示されている対象は、現在開示されているPECナノ粒子または複数のPECナノ粒子を含む製剤を提供する。特定の態様において、製剤は、凍結乾燥製剤を含む。態様によっては、PECナノ粒子または複数のPECナノ粒子は、少なくとも9カ月間、-20°Cで長期的な安定性を示す。
【0018】
現在開示されている対象により全体をまたは一部を取り上げられている、現在開示されている対象のある態様は上述されており、他の態様は、本明細書で以下に記載されるような添付の例および図に関連した説明が進むにつれ明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願広報のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じて庁より提供されるであろう。
【0020】
このように現在開示されている対象を一般的な言葉で説明してきており、ここでは添付の図面について参照するが、必ずしも縮尺どおりに記述されているわけではない。
図1図1Aおよび図1Bは、現在開示されている拘束衝突噴流(CIJ)デバイスの代表的な実施形態の図を示す。図1Aは、急速混合条件下で高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子を製造するために使用されるCIJデバイスの実施形態を示す。ストリームは、それぞれ直鎖状ポリエチレンイミン(lPEI)およびプラスミドDNAで満たされ、lPEI-DNA複合体ナノ粒子は、収集される前に小さな拘束チャンバ内に形成される図1Bは3つの噴出口が120°の角度で離れているCIJデバイスを示す模式図を示す。噴出口1は、キトサン、PAMAMデンドリマー、PEI、プロタミン硫酸塩、ポリ(アルギニン、ポリ(リジン)および正荷電ブロック共重合体を含む正電荷ポリマーで満たされうる。噴出口2は、ポリ(アスパラギン酸)、ヘパリン硫酸、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、トリポリリン酸、オリゴ(グルタミン酸)、サイトカイン、タンパク質、ペプチド、成長因子、DNA、siRNA、mRNAを含む負電荷高分子で満たされている。噴出口3は、水混和性有機溶剤で蓋をされ、または水混和性有機溶剤で満たされ、最終製剤の極性をそのままで制御しうる(先行技術;米国仮特許出願第20170042829号、METHODS OF PREPARING POLYELECTROLYTE COMPLEX NANOPARTICLES(高分子電解質複合体ナノ粒子の製造方法)、Mao他、2017年2月16日公開、参照によりその全体を本明細書に援用する。)
図2図2A図2B図2C図2D図2E図2F、および図2Gは、pDNA/lPEIナノ粒子集合における特性混合時間τの効果を示す。(図2A図2B)平均ナノ粒子サイズDgにおける混合速度プロファイル(τおよび流量Q)の効果(図2A)およびDLSにより定められるサイズ分布幅として示される均一性(図2B)。混合速度スケールは、領域I(τ<τ)および領域II(τ>τ)の2つの領域に分けられる。標識1、2および3は、3つの異なる混合条件から生成される3つの代表的な調製を示す。(図2C)Q=1.25mL/min、τ=1.8×10ms(調製1)、Q=5mL/min、τ=790ms(調製2)、およびQ=20mL/min、τ=15ms(調製3)で製造される3セットのナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像およびDLSプロファイル。スケールバー=50nm(左パネル)および200nm(右パネル)。(図2D図2E)τ=15msにより製造される、平均ナノ粒子サイズDg(図2D)およびゼータ電位(図2E)における入力pDNA濃度およびプラスミドサイズの効果。(図2F図2G)τ=15msにより製造される、平均ナノ粒子サイズDg(図2F)およびゼータ電位(図2G)におけるN/P比の効果。テストされた条件について、pDNA/lPEIナノ粒子のサイズプロファイルおよびゼータ電位は、4から6のN/P比で変化しなかった。
図3図3A図3B図3C図3D、および図3Eは、FNC集合pDNA/lPEIナノ粒子の組成を示す。(図3A)結合lPEIの分率および集められたナノ粒子の組成は、ナノ粒子が様々な入力pDNA濃度で、または様々なプラスミドにより製造された場合と同様のままであった。(図3B)乱流混合条件(Q=20mL/min、τ=15ms<τ)および層流混合条件(Q=5mL/min、τ=790ms>τ)下で集められた、gWiz-LucおよびgWiz-GFPナノ粒子製剤に対する3から6の入力N/P比を備える結合対遊離lPEIの量および割合。gWiz-LucおよびgWiz-GFPプラスミドナノ粒子、それぞれに対する標識:LucおよびGFP。(図3C)様々な流量下で50または200μg/mLのgWiz-Luc pDNAにより製造されるナノ粒子の結合lPEI分率およびゼータ電位であって、全てのgWiz-Luc/lPEIナノ粒子が同一の平均的な組成を共有することを示唆している。(図3D)5.32×10Daのモル質量を有するI2/lPEIナノ粒子についての代表的ジムプロットであって、また、ゼロに近づく第2ビリアル(viral)係数Aを示す。(図3E)I2プラスミドの変更された入力濃度により製造されるgWiz-GFP/lPEIナノ粒子についての代表的なデバイプロット。
図4図4A図4B図4C図4D、および図4Eは、pDNA/lPEI PECナノ粒子の集合を示す。(図4A図4B)乱流混合条件(Q=20mL/min、τ=15ms)下で集められたナノ粒子についての、ナノ粒子の平均モル質量およびサイズの相関関係(図4A)および回転半径(図4B)。(図4A)および(図4B)における各データ点は、独立した製剤バッチを表す。(図4C)Q=20mL/minにおいて様々なN/P比で調合されたナノ粒子への方程式2(上のパネル)および方程式3(下のパネル)の線状フィットの適用。(図4D)様々な混合条件により、すなわち様々なτで生産されたナノ粒子についての、ナノ粒子平均モル質量およびサイズの相関関係。25μg/mLの入力pDNA濃度(オレンジ)について、標識1から8は、7、11、15、23、163、5855、4×10msのτ、およびピペット操作をそれぞれ表す。100μg/mL(青)について、標識1から6は、8、15、42、795、10および2×10msのτを、それぞれ表す。(図4E)乱流混合条件(τ<τ)下での提案された2ステップのpDNA/lPEI PECナノ粒子集合モデル。
図5図5A図5B図5C、および図5Dは、粒子あたり様々な数のpDNAを有するpDNA/lPEIナノ粒子のトランスフェクション過程および効率を示す。(図5A)4時間の培養時間に続いて、PC3前立腺細胞株内で3H標識されたpDNAで製造されたナノ粒子の細胞取込定量分析(pDNA投与量=0.6μg/10細胞)。(図5B)4時間の培養での、PC3細胞内の様々なNを有するナノ粒子のin vitro(体外)トランスフェクション効率(pDNA投与量=0.6μg/10細胞)。アスタリスクは、N=6.1ナノ粒子グループと比較した場合の有意水準を示す。(図5C)ナノ粒子の静脈注射後12時間の、Balb/cマウスの肺におけるin vivo(体内)トランスフェクション効率(生物発光放射輝度)(投与量=マウスあたり30μgのpDNA)。(図5D)マウスあたり、30μgのpDNAを含有するH標識されたナノ粒子の静脈注射後1時間の、ナノ粒子の全身体内分布。標識:H:心臓、K:腎臓、S:胃、SI:小腸。統計解析について、一元配置分散分析および多重比較から*p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001。
図6図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、様々なN/P比およびペイロードレベル(N)で、速度論的制御条件下で生産されたpDNA/lPEIナノ粒子の導入遺伝子発現を示す。(図6A)PC3がん細胞株内のナノ粒子(W1-8、表4参照)のin vitroトランスフェクション効率(投与量=0.6μgのgWiz-Lucプラスミド/10細胞)。(図6B)マウスあたり40μgのgWiz-Lucプラスミドを含有するナノ粒子(W1-8、表4参照)の静脈注射後12時間の、健康なBalb/cマウスの肺におけるin vivoトランスフェクション効率(左)および導入遺伝子発現に有意差を有するグループの代表的IVIS画像(右)。(図6C)マウスあたり40μgのPEG-Lucプラスミドを含有するナノ粒子(P1-8、表4参照)の注射後48時間の、NSGマウスのLL2転移モデルの肺におけるin vivoトランスフェクション効率(左)および導入遺伝子発現に有意差を有するグループの代表的IVIS画像(右)。(図6D)マウスあたり40μgの3H標識されたgWiz-Lucプラスミドを含有するナノ粒子(W1、W2、W6、W8)の注射後1時間の、Balb/cマウスにおける全身体内分布。標識:H:心臓、K:腎臓、S:胃、SI:小腸。(図6E)(図6D)において占めされるマウスの肺への体内分布。
図7図7A図7B図7C図7D、および図7Eは、既製のpDNA/lPEIナノ粒子のスケールアップ生産および長期保存安定性を示す。(図7A)FNCセットアップを使用して製造されたナノ粒子の凍結乾燥および再構成。(図7B)0、1、3、6および9カ月間-20°Cで保存された凍結乾燥ナノ粒子の再構成にかかるナノ粒子特性。0カ月は、凍結乾燥の完了直後に再構成された試料を表す。
図8図8A図8B図8C、および図8Dは、τ<τの様々な入力pDNA濃度および入力N/P比で調合されたPECナノ粒子のサイズ分布を示す。様々な入力pDNA濃度により製造されたナノ粒子の(図8A)サイズ分布および(図8B)多分散指数(PDI)。様々な入力N/P比により製造されたナノ粒子の(図8A)サイズ分布および(図8B)多分散指数(PDI)。
図9図9Aおよび図9Bは、様々な入力pDNA濃度およびN/P比により製造されたナノ粒子のTEM画像を示す。(図9A)50および800μg/mLの入力pDNA濃度で製造されたgWiz-Luc PECナノ粒子のTEM画像。200μg/mLの入力pDNA濃度で製造されたgWiz-Luc PECナノ粒子のTEM画像が図2Cに示されていることは注意すること。これらのTEM観察は、Q=20mL/minの衝突流量における乱流混合条件下で製造されたpDNA/in vivo-jetPEI(登録商標)ナノ粒子の均一性を示す。(図9B)3または6の入力N/P比で製造されたgWiz-GFP PECナノ粒子であって、様々なN/P比での調製にわたるサイズの類似性を明らかにしている。スケールバー=50nm(左側2つのパネル(penal))および200nm(右のパネル)。
図10図10A図10B図10C図10D図10E、および図10Fは、入力pDNA濃度によるサイズの調整可能性なしで、ピペット操作方法により生産された不均一なPECナノ粒子を示す。(図10A)I2プラスミド、(図10B)gWiz-GFPプラスミド、(図10C)gWiz-Lucプラスミドにより作成されたPECナノ粒子のサイズ、および(図10D)I2プラスミド、(図10E)gWiz-GFPプラスミド、(図10F)gWiz-Lucプラスミドから作成されたPECナノ粒子の多分散指数(PDI)。標識:B1、B2、B3およびB4は、ピペット操作によりナノ粒子を作成した後に続く4つの異なる手順を表す、表2参照。
図11図11は、PECナノ粒子懸濁液のpDNA濃度の決定を示す。PEI結合および集合に応じて、pDNA分子による260nmでの吸収度は増加するが、なお、pDNA濃度に対する直線関係を維持している。この標準曲線は、任意のPECナノ粒子懸濁液のpDNA濃度を評価するために使用された。
図12図12A図12B図12C図12D図12E、および図12Fは、様々な入力pDNA濃度およびN/P比で、20mL/minの流量により製造されたナノ粒子のSLSデータを示す。(図12A)ナノ粒子あたり1.02×10Daのモル質量、および1.7のpDNA;(図12B)ナノ粒子あたり3.59×10Daのモル質量、および6.1のpDNA;(図12C)ナノ粒子あたり1.27×10Daのモル質量、および21.8のpDNAを有するgWiz-Luc PECナノ粒子のフルジムプロットであって、普遍的なゼロ第2ビリアル係数を明らかにする。(図12D)I2プラスミドおよび(図12E)gWiz-Lucプラスミドにより様々な入力pDNA濃度で;または(図12F)gWiz-Lucプラスミドにより様々な入力N/P比で、製造されたPECナノ粒子の結合デバイプロット。(図12A)について、元の34μg/mL(ナノ粒子の全質量濃度)の試料は、81μg/mLに濃縮され、続いて、54μg/mLになるように希釈された。モル質量は、濃度に応じてわずかに減少したように思われた。しかしながら、全体として、システムは0と同等な第2ビリアル係数を提示した。
図13図13は、生体試料内のH標識されたpDNAの絶対量の定量的評価に対する標準曲線である。様々な量のH標識されたpDNA溶液は、7mLのガラスシンチレーションバイアルに含まれた4mLのシンチレーション流体に追加された。同一の読み取り手順がセクション1.6に記載されたように適用され、標準曲線が得られた。実生体試料(細胞可溶化物またはマウス組織溶質)の全ての読み取りが、この標準曲線で示される量範囲に該当した。
図14図14Aおよび図14Bは、ナノ粒子あたり様々な平均pDNAコピー数NのPECナノ粒子の投与に応じた肺のin vivoトランスフェクション効率を示す。(図14A)マウスあたり30μgのpDNAを含有するナノ粒子の注射後12時間の、全てのグループのIVIS全身生物発光画像。スケールバー:10-6フォトン(photon)/s/cm/srの単位での局所放射輝度。(図14B)最高シグナルで3匹のマウスの均一化された肺で測定されたようなルシフェラーゼ存在量であって、よりNが高いPECナノ粒子が、肺でのより高いトランスフェクション効率をもたらしたという知覚傾向を示す。
図15図15A図15B、および図15Cは、ナノ粒子あたり様々なpDNAコピー数Nの投与されたPECナノ粒子の体内分布を示す。(図15A)肺、(図15B)肝臓、および(図15C)脾臓に導入されたpDNAの存在量。
図16図16は、IVIS関心領域(ROI)の定量的結果および組織内のルシフェラーゼ存在量の間の相関関係を示す。IVIS ROI定量分析は、図15で示されるように様々なNのPECナノ粒子が投与されたマウスの肺領域への30秒の暴露により実施された。肺は、撮像直後にマウスから採取され、超音波処理によりルシフェラーゼアッセイ報告の溶解緩衝液(Promega、US)内で均一化され、ルシフェラーゼタンパク質を放出した。続いて、in vitroトランスフェクション効率評価についてのセクション1.6に記載されているように、組織試料内のルシフェラーゼ量が定められた。
図17図17A図17B、および図17Cは、健康なBalb/cマウスで速度論的制御条件により製造された様々なpDNAペイロードおよびPEI組成のPECナノ粒子のin vivoトランスフェクション効率を示す。(図17A)マウスあたり40μgのpDNAを含有するPECナノ粒子の注射後12、24および48時間における、表4に記載されている製剤が投与された全てのグループのIVIS全身画像。標識Dは、毒性のため死亡したマウスを示す。スケールバー:10-7フォトン/s/cm/srの単位での局所放射輝度;および注射後(図17B)24時間および(図17C)48時間におけるIVIS ROI定量分析結果。
図18図18Aおよび図18Bは、NSGマウスのLL2肺転移モデルにおいて、速度論的制御条件により製造された様々なpDNAペイロードおよびPEI組成のPECナノ粒子の腫瘍特異的トランスフェクションおよび発現効率を示す。(図18A)マウスあたり40μgのpDNAを含有するPECナノ粒子の注射後48時間および72時間における、表4に記載されている製剤が投与された全てのグループのIVIS全身画像。スケールバー:10-5フォトン/s/cm/srの単位での局所放射輝度。(図18B)注射後72時間時点でのIVIS ROI定量分析結果。
図19図19Aおよび図19Bは、トランスフェクションおよび導入遺伝子活性における重要な発見を伴うPECナノ粒子製剤の体内分布データを示す。(図19A)肝臓のpDNA存在量、(図19B)脾臓のpDNA存在量。
図20図20Aは、ピペット操作でナノ粒子を製造し、再現性を示さない、3つの独立した実験を示す。図20Bは、現在開示されているFNC集合方法でナノ粒子を製造し、優れた再現性を示す、3つの独立した実験を示す。
図21図21Aは、調製後1時間観察され、激しい凝集を示した、ピペット操作で製造されたナノ粒子を示す。図21Bは、調製後96時間観察され、良好な安定性を示した、FNC集合ナノ粒子を示す。
【0021】
図面の簡単な説明中、図14図16のNの表記は下記の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、現在開示されている対象は、現在開示されている対象の全ての実施形態ではないが、いくつかの実施形態が示されている、添付の図面を参照して、以下においてより完全に説明されるであろう。全体にわたって、類似の数字は類似の要素を指す。現在開示されている対象は、多くの異なる形式で具現化されてもよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすために提供される。実際、上述の説明および関連図面において提示された教示の利益を有する、現在開示されている対象に関係する当業者には、本明細書に記載されている、現在開示されている対象の多くの変型例および他の実施形態が思い浮かぶであろう。従って、現在開示されている対象が開示されている特定の実施形態に限定されないこと、および変型例および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。
【0023】
現在開示されている対象は、継続的および拡張可能な方法で高分子電解質複合体ナノ粒子を生産するフラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)法を提供する。現在開示されているFNC法は、共重合体の溶媒誘起の過飽和に頼ることなく、高分子電解質複合体形成の結果としてナノ粒子を生成する。FNCにより生産された高分子電解質複合体ナノ粒子は、従来の方法を使用して製造された高分子電解質複合体より、小さいサイズ、良好な均一性および低い多分散性を有する。例えば、大量調製方法と比較して、FNC過程は、継続的なフロー操作過程において、調節可能なサイズで均一なナノ粒子の形成を可能にし、スケールアップ生産に適している。FNCは、また、より高い多用途性および粒子サイズおよび分布にかかる制御、より高い薬剤封入効率、およびコロイド安定性の改善を提供する(Shen他、2011;D’Addio他、2013;D’Addio他、2102;Gindy他、2008;Lewis他、2015;D’Addio他、2011;Luo他、2014;Santos他、2014)。
【0024】
さらに、現在開示されている方法は、ポリマー鎖の絡み合いの改善を通じて、結果として凝縮および圧縮された高分子電解質ナノ粒子をもたらす。加えて、方法は、タンパク質または核酸などの治療薬を、それらの固有の生理化学的性質を保ったまま、高分子電解質ナノ粒子内に効率的に封入する手段を提供する。さらに、これらの新しい方法で製造されたDNA含有ナノ粒子の製剤は、粒子サイズおよび形状分布を改善し、大量調製方法と比較した場合に、より高い細胞トランスフェクション効率を示した。
【0025】
I.組成的に画定されたプラスミドDNA/ポリカチオンナノ粒子およびその製造方法
いくつかの実施形態において、現在開示されている対象は、均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子を製造する方法を提供し、方法は、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーが均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーと均一的に混合することを含む。
【0026】
特定の実施形態において、方法は、フラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)法を含む。そのような態様において、方法は、(a)第1の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを含む第1のストリームを拘束チャンバに流すことと、(b)第2の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを含む第2のストリームを拘束チャンバに流すことであって、第1のストリームおよび第2のストリームは、拘束チャンバに入る際、相反する側にあることと、(c)任意に、第3の可変流量において、1つまたは複数の水溶性治療薬、1つまたは複数の混和性有機溶剤、および/または1つまたは複数の凍結保護物質からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む第3のストリームを拘束チャンバに流すことであって、各ストリームは、拘束チャンバに入る際、他の2つのストリームから等距離にあり、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、同一または異なりうることと、(d)レイノルズ数が約1,000から約20,000になるまで、拘束チャンバ内で、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームを衝突させ、それにより、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを、PECナノ粒子を継続的に生成する高分子電解質複合体形成過程を経るようにすることであって、高分子電解質複合体形成過程は、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームの成分が均一的に混合される特性混合時間(τ)よりも長い、PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で生じることとにより、均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子を継続的に生成することを含む。
【0027】
本明細書に使用されているように、「高分子電解質複合体」(高分子電解質コアセルベートまたは「PEC」としても知られる)は、逆荷電粒子(例えば、ポリマー-ポリマー、ポリマー-薬剤、およびポリマー-薬剤-ポリマー)間に形成された会合複合体である。高分子電解質複合体は、逆荷電ポリイオン、すなわち水溶性ポリカチオンおよび水溶性ポリアニオン間の静電相互作用により形成される。本明細書に使用されているように、「継続的に」という用語は、少なくとも2つの現在開示されているストリームが拘束チャンバに流れている間のPECナノ粒子の生成などの、時間的に連続した過程を指す。本明細書に使用されているように、「水溶性の」という用語は、水に溶解可能な化合物の能力を指す。
【0028】
いくつかの実施形態において、水溶性ポリイオンは、好適な溶剤に溶解され、結果として、高分子鎖に沿って分布する素電荷をもたらす。様々な実施形態において、高分子電解質複合体は、逆荷電の高分子が相互作用可能になったときに形成される。例えば、いくつかの実施形態において、高分子電解質複合体のフラッシュ沈殿ナノ粒子は、急速におよび均一的にストリーム、すなわち、ストリームに溶解された水溶性ポリカチオンおよびストリームに溶解された水溶性ポリアニオンを混合することにより形成される。
【0029】
いくつかの実施形態において、ストリームは、1つまたは複数の液体成分を含む組成であり、溶液または懸濁液内の固体または複数の固体を運搬可能である。典型的に、ストリームは有極性で、例えば酢酸または水である。より典型的に、ストリームは水である。
【0030】
ストリームは、レイノルズ数が約1,000から約20,000になるまで、拘束チャンバ内で衝突し、それにより、水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび水溶性ポリアニオン性ポリマーが、PECナノ粒子を継続的に生成する高分子電解質複合体形成過程を経るようにする。本明細書に使用されているように、「衝突する」という用語は、高流量で拘束チャンバ内で互いに打ち合っている少なくとも2つのストリームを指す。現在開示されている方法およびデバイスを使用すると、驚くべきことに、DNA分子などの分子が、そのような高いせん断条件下で損傷を受けないままでいることが示されている。
【0031】
高分子電解質複合体ナノ粒子を生成するための第1および第2のストリームの急速で均質な混合は、例えば、流量および混合効率および速度が制御されている間に、様々な方法を通して達成されうる。いくつかの実施形態において、高分子電解質複合体ナノ粒子は、求心ミキサまたはバッチフラッシュミキサを使用して、フラッシュ・ナノ複合体形成により生産されてもよい。例えば、参照によりその全体を本明細書に援用する、Johnson他、米国仮特許出願第2004/0091546号参照。
【0032】
別の例として、第1および第2のストリームの混合は、少なくとも2つの高速噴流(図1A図1B図1C)を伴う拘束衝突噴流(CIJ)デバイスを使用して達成されてもよく、このことは、参照によりその全体を本明細書に援用する、2017年2月16日に公開された、Mao他による、米国仮特許出願第20170042829号、METHODS OF PREPARING POLYELECTROLYTE COMPLEX NANOPARTICLES(高分子電解質複合体ナノ粒子の製造方法)に開示されている。典型的な実施形態において、逆荷電ストリームは、別々の注射器に充填され、デジタル処理で制御された注射器ポンプ(例えば、New Era Pump System、モデルNE-4000)によりCIJデバイスの拘束チャンバに供給される。いくつかの実施形態において、拘束チャンバに運ばれた、相反するストリームが収集前に完全に反応できるように、出口としての役目を果たす長管ランナーが使用される。いくつかの実施形態において、第1のストリームおよび第2のストリームは、拘束チャンバに入る際、相反する側にある。本明細書に使用されているように、「相反する側」という用語は、ストリームが、通常、互いに反対側にあることを意味する。いくつかの実施形態において、ストリームは、互いに正反対にある。いくつかの実施形態において、ストリームは、互いに正反対でなくてもよい。
【0033】
本開示の方法は、また、1つまたは複数の追加のストリームを提供することを含む。例えば、いくつかの実施形態において、方法は、本明細書で以下に記載されているような治療薬、生理食塩水、水混和性有機溶剤(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール)などの、さらなる添加物を含む第3のストリームを提供することを含み、最終製剤の極性をそのままで、または凍結保護物質(例えば、グリセロール、トレハロース、スクロース、ブドウ糖)を制御し、再構成にかかるナノ粒子のコロイド安定性を改善することができうる。いくつかの実施形態において、第3の、第4のまたは更にもっと多くの噴流が、CIJデバイスに追加され、本明細書に記載のものなどの添加物で追加のストリームを調整してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、現在開示されている方法は、更に、第3のストリームを拘束チャンバに流すことを含み、各ストリームは、拘束チャンバに入る際、他の2つのストリームから等距離にある。いくつかの実施形態において、ストリームを互いに等距離に保つことにより、ストリームの均一な混合が可能になる。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1のストリームのpH値および第2のストリームのpH値は、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、および8.4を含む、約2.5から約8.4の範囲にある。いくつかの実施形態において、第1のストリームのpH値および第2のストリームのpH値は、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、および7.4を含む、約3.5から約7.4の範囲にある。いくつかの実施形態において、第1のストリームのpH値および第2のストリームのpH値は、それぞれ、3.5である。
【0036】
上述のCIJデバイスの注射器に含まれるストリームが拘束チャンバ内で衝突させられる流量は、例えば、プログラム可能な注射器ポンプ経由で容易に調整されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、特性混合時間は、流量の関数であり、流量を変更することにより調整されうる。例えば、高流量において、フローパターンは、乱流様の特性を想定してもよく、混合時間は、数ミリ秒のオーダーであってもよい。これらの条件下で、効率的な質量移動が達成され、狭いサイズ分布の別々で均一なナノ粒子が生産されうる。様々な実施形態において、最終的な平均粒子サイズは、高分子電解質の混合時間、濃度および化学組成の関数である。
【0037】
混合速度に影響を与える、フローの混合効率および性質は、一般に、レイノルズ数(Re)により画定され、無次元数は、粘性力に対する慣性流の比率を表す。CIJデバイスについて、総Re数は、多数のストリームの寄与を累算することにより計算される:
【数1】

ここで、ρはi番目の入口ストリームの溶液の密度(kg/m)であり、Qはi番目の入口ストリームの流量(m/s)であり、μはi番目の入口ストリームの流体粘性(Pa s)であり、dはi番目の入口ノズルの直径(m)であり、nはストリームの数である。
【0038】
いくつかの実施形態において、反応物の混合の間に達成されたレイノルズ数は、約1,600から約10,000、約2,000から約10,000、約2,000から約8,000、約1,900から約5,000、および約3,000から約5,000など、約1,000から約20,000である。
【0039】
いくつかの実施形態において、ストリームの可変流量は、約3mL/分から約50mL/分の間など、約5mL/分から約30mL/分の間、および約10mL/分から約20mL/分の間など、約1ミリリットル(mL)/分から約50mL/分の範囲である。いくつかの実施形態において、ストリームの可変流量は、約10mL/分より多い。他の実施形態において、ストリームの可変流量は、約3mL/分より多い。
【0040】
特定の実施形態において、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、それぞれ、約10ミリリットル/分(mL/min)以上である。更により特定の実施形態において、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、それぞれ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20mL/minを含む、約10mL/minから約20mL/minの間である。
【0041】
実施形態によっては、特性混合時間は、約1msから約100msの間、および約1msから約25msの間を含む、約1msから約200msの間である。いくつかの実施形態において、特性混合時間は、約20msより短い。実施形態によっては、特性混合時間は、約1、10、15、20、および25msを含む、約1msから約25msの間である。特定の実施形態において、特性混合時間は、約15msである。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1のストリームの流量に対する第2のストリームの流量の比率は、約0.1から約10である。
【0043】
いくつかの実施形態において、添加物がストリーム内に含まれる。例えば、治療薬は、水溶性ポリカチオンを含有するストリームおよび/または水溶性ポリアニオンを含有する第2のストリームのいずれかに追加されてもよい。いくつかの実施形態において、第1のストリームおよび/または第2のストリームは、更に、1つまたは複数の水溶性治療薬を含む。いくつかの実施形態において、生成されたPECナノ粒子は、少なくとも1つまたは複数の水溶性治療薬を封入する。
【0044】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の水溶性治療薬は、小有機または無機分子などの小分子;単糖類;オリゴ糖;多糖類;ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体および誘導体からなる群から選択される生体高分子;ペプチド模倣薬;siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、miRNAおよびリボザイム、デンドリマーおよびアプタマーからなる群から選択されるDNA、RNA干渉分子などの核酸;抗体断片および細胞内抗体を含む抗体;細菌、植物、真菌、動物細胞、および動物組織からなる群から選択される生体物質から作成される抽出物;自然発生のまたは合成の物質;および任意のその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の水溶性治療薬は、小分子、炭水化物、糖、タンパク質、ペプチド、核酸、抗体またはその抗体断片、ホルモン、ホルモン受容体、受容体リガンド、サイトカイン、および成長因子からなる群から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、キトサン、PAMAMデンドリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、プロタミン、ポリ(アルギニン)、ポリ(リジン)、ポリ(β-アミノエステル)、カチオン性ペプチドおよびその誘導体からなる群から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、負電荷ブロック共重合体(ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(グルタミン酸)、ヘパリン硫酸、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、トリポリリン酸(TPP)、ポリ(グルタミン酸)、サイトカイン(例えば、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、腫瘍壊死因子)、タンパク質、ペプチド、成長因子、および核酸からなる群から選択される。
【0047】
本明細書に使用されているような「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリマーを指す。本明細書に使用されているように、「ペプチド」は、約50以下のアミノ酸などの、アミノ酸モノマーの短鎖を指す。
【0048】
本明細書に使用されているように、「成長因子」は、細胞の成長、増殖、治癒、および/または細胞分化を刺激可能な、タンパク質またはホルモンなどの物質を指す。成長因子の限定されない例には、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子β(TGF-β)、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、インスリン様成長因子-II(IGF-II)、線維芽細胞成長因子(FGF)、β-2-ミクログロブリン(BDGF II)、および骨形成因子が含まれる。
【0049】
本明細書に使用されているように、「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、リン酸エステル多量体型のリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)、または単鎖型または二重らせんのいずれかの、ホスホロチオエートおよびチオエステルなどの、任意のそのリン酸エステル類似体(anologs)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAらせんが考えられる。核酸分子という用語、および特にDNAまたはRNA分子は、分子の一次および二次構造のみを指し、それを任意の特定の第3の形式に限定しない。従って、この用語は、とりわけ、線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、および染色体で見つかる二本鎖DNAを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、核酸は、RNA阻害剤である。本明細書に使用されているように、「RNA阻害剤」は、例えば、RNA干渉(RNAi)により、標的遺伝子の発現に干渉または阻害する任意の作用薬として画定される。このようなRNA阻害剤は、アンチセンス分子、リボザイム、小抑制性核酸配列を含むが、それらに限定されず、例えば、ガイドRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、短ヘアピンRNAまたは小ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、CRISPR RNA、標的遺伝子と相動性のあるRNA分子を含む核酸分子、またはその断片、およびRNA干渉(RNAi)により標的遺伝子の発現を干渉または阻害する任意の分子に限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態において、核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、ガイドRNA、プラスミドDNA、ベクターDNA、mRNA、miRNA、piRNA、shRNA、およびsiRNAからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、核酸は、siRNAではない。本明細書に使用されているように、「プラスミドDNA」という用語は、典型的に環状であり、単独で複製可能な小DNA分子を指す。
【0052】
いくつかの実施形態において、プラスミドDNA濃度は、25、50、100、200、300、400、500、600、700、および800μg/mLを含む、約25から約800μg/mLの間である。特定の実施形態において、プラスミド濃度は、約25μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約400μg/mL、および約800μg/mLからなる群から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーは、プラスミドDNAであり、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)-b-PEIおよびポリ(エチレングリコール)-g-PEI等だが、それらに限定されない、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)およびその誘導体からなる群から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態において、第2のストリームは1つまたは複数の水溶性治療薬を含み、高分子電解質複合体形成過程は、生成された高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子内の1つまたは複数の水溶性治療薬を封入する。
【0055】
いくつかの実施形態において、高分子電解質複合体ナノ粒子は、キトサン/TPP、プロタミン/ヘパリン硫酸、PEI/DNA、キトサン-g-PEG17/Glu5、キトサン/ポリ-アスパラギン酸ナトリウム塩およびプロタミン硫酸塩/ヘパリンなどの、ポリカチオンおよびポリアニオンを含む。いくつかの実施形態において、第1のストリームは、キトサンを含み、第2のストリームは、トリポリリン酸(TPP)およびタンパク質を含み、タンパク質は、生成された高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子内のTPPおよびキトサンにより、共に封入される。ポリカチオンおよびポリアニオンの濃度は、使用される特定の高分子および結果として生じる高分子電解質複合体ナノ粒子の所望の形および均一性に依存することになる。特定の実施形態は、下記の例に記載される。
【0056】
いくつかの実施形態において、水溶性ポリカチオンおよび/または水溶性ポリアニオンの濃度を増加させることおよび/またはストリームのpHを増加させることは、形、粒子サイズおよび/または粒子サイズ均一性に影響を及ぼしうる。例えば、DNAを含有するストリームの濃度が増加すると、PEIなどの水溶性ポリカチオンの濃度は一定のままである一方、フラッシュ・ナノ複合体形成の間に形成される結果として得られるナノ粒子の形は、いくつかの実施形態において、通常、球状よりはむしろ、より棒状であるかもしれない。さらに、水溶性ポリカチオンおよび/または水溶性ポリアニオンのストリームのいずれかのpHを増加させることは、また、結果としてより棒状のナノ粒子を生じさせうる。反対に、球状のナノ粒子は、通常、いくつかの実施形態において、水溶性ポリカチオンおよび/または水溶性ポリアニオンのストリームの濃度および/またはpHを増加させることにより取得されるかもしれない。
【0057】
本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、ストリームは、治療薬、例えば、水溶性治療薬などの添加物を含有することになる。例えば、タンパク質などの水溶性治療薬は、TPPなどの水溶性ポリアニオンを含有するストリームに追加されてもよい。タンパク質を含有する水溶性ポリアニオンのストリーム、およびキトサンを含有する水溶性ポリカチオン性のストリームは、例えば、CIJデバイスの注射器にそれぞれ充填され、キトサンおよびTPPにより共に封入されるタンパク質含有のナノ粒子を取得してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、核酸、例えばsiRNAなどの水溶性治療薬は、例えば、ナノ粒子内のPEIなどの水溶性ポリカチオンと複合化されてもよい。従って、本開示の水溶性ポリアニオンは、本明細書に記載のインスタント高分子電解質複合体ナノ粒子を形成する、および治療薬として作用することの両方に使用されてもよい。
【0059】
II.高分子電解質複合体ナノ粒子
いくつかの実施形態において、現在開示されている対象は、フラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)法から生成される均一な高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子調製を提供し、方法は、(a)第1の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーを含む第1のストリームを拘束チャンバに流すことと、(b)第2の可変流量において、1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを含む第2のストリームを拘束チャンバに流すことであって、第1のストリームおよび第2のストリームは、拘束チャンバに入る際、相反する側にあることと、(c)任意に、第3の可変流量において、1つまたは複数の水溶性治療薬、1つまたは複数の混和性有機溶剤、および/または1つまたは複数の凍結保護物質からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む第3のストリームを拘束チャンバに流すことであって、各ストリームは、拘束チャンバに入る際、他の2つのストリームから等距離にあり、第1の可変流量、第2の可変流量、およびもし存在する場合、第3の可変流量は、同一または異なりうることと、(d)レイノルズ数が約1,000から約20,000になるまで、拘束チャンバ内で、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームを衝突させ、それにより、1つまたは複数の水溶性ポリカチオン性ポリマーおよび1つまたは複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーを、PECナノ粒子を継続的に生成する高分子電解質複合体形成過程を経るようにすることであって、高分子電解質複合体形成過程は、第1のストリーム、第2のストリーム、およびもし存在する場合、第3のストリームの成分が均一的に混合される特性混合時間(τM)よりも長い、PECナノ粒子の集合が生じる特性集合時間(τ)を有する条件下で生じることとを含む。
【0060】
現在開示されている均一な高分子電解質複合体ナノ粒子は、上述のような、および下記の例におけるような、粒子サイズ、粒子サイズの分布、およびポリアニオンおよびポリカチオン成分を有する。いくつかの実施形態において、本開示の均一な高分子電解質複合体ナノ粒子は、本明細書に記載されているように、水溶性治療薬などの、1つまたは複数の添加物を封入する。
【0061】
いくつかの実施形態において、本方法にかかり形成される、高分子電解質複合体ナノ粒子は、粒子サイズが均一である、すなわち、粒子サイズの分布が狭い。例えば、いくつかの実施形態において、本ナノ粒子は、約500nm未満、約100nm未満、約60nm未満、または約40nm未満の平均粒子サイズ(均質な直径)を有する。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約20nmから約500nmである。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約25nmから約100nmである。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約30nmから約80nmである。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約25nmから約60nmである。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約30nmから約45nmである。いくつかの実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子は、直径約30nmである。特定の実施形態において、生成された高分子電解質複合体ナノ粒子のサイズの範囲は、直径約30nmから約80nmである。更により特定の実施形態において、ナノ粒子は、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、および130nmを含む、約35nmから約130nmの平均サイズを有する。特定の実施形態において、PECナノ粒子は、約80nmの平均サイズを有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、現在開示されているPECナノ粒子は、ナノ粒子あたり、1、1.5、2.0、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、および50部のpDNAを含む、ナノ粒子あたり平均約1から約50部のpDNAを有する。特定の実施形態において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり平均約1.3から約21.8部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.6部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約1.7部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約2.3部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約2.6部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約4.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約4.7部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約9.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3部のpDNA;ナノ粒子あたり約3.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約4.4部のpDNA;ナノ粒子あたり約5.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約6.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約8.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.1部のpDNA;ナノ粒子あたり約9.5部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約10.0部のpDNA;ナノ粒子あたり約1.3から約13.5部のpDNA;またはナノ粒子あたり約21.8部のpDNAを有する。特定の実施形態において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり平均40部未満のpDNAを有する。
【0063】
特定の実施形態において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり平均約1.3から約21.8部のpDNAを;いくつかの実施形態において、例えば、I2プラスミドに対して、ナノ粒子あたり1.3、1.7、2.3、4.7、および13.5部のpDNAを含む、ナノ粒子あたり約1.3から約13.5部のpDNAを;いくつかの実施形態において、例えば、gWiz-GFPに対して、ナノ粒子あたり1.6、1.7、2.6、6.1、および10.0部のpDNAを含む、ナノ粒子あたり約1.6から約10.0部のpDNAを;いくつかの実施形態において、例えば、gWiz-Lucに対して、ナノ粒子あたり1.4、1.7、3.5、6.1、および21.8部のpDNAを含む、ナノ粒子あたり約1.4から約21.8部のpDNAを;および、いくつかの実施形態において、例えば、様々なN/P比を備えるgWiz-Lucに対して、ナノ粒子あたり4.4、5.0、6.1、および9.1部のpDNAを含む、ナノ粒子あたり約4.4から約9.1部のpDNAを有する。更により特定の実施形態において、PECナノ粒子は、ナノ粒子あたり1つのpDNAを有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、PECナノ粒子は、ポリエチレンイミンおよびプラスミドDNAを含む。実施形態によっては、PECナノ粒子は、約3から約6の、プラスミドDNA内のリン酸塩に対するポリエチレンイミン内のアミンの比率(N/P)を有する。特定の実施形態において、PECナノ粒子は、約3、約4、約5、および約6からなる群から選択されるN/Pを有する。更により特定の実施形態において、PECナノ粒子は、全lPEIに対して約50、55、60、65、70、71、72、73、74、および75%の結合lPEIを含む、全lPEIに対する約50%から約75%の結合lPEIのパーセンテージを有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、複数の生成された高分子電解質複合体ナノ粒子の多分散指数(PDI)は、約0.05から約0.2の範囲であってもよい。特定の実施形態において、複数のPECナノ粒子は、0.01、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、および0.25を含む、約0.1から約0.25のPDIを有する。
【0066】
いくつかの実施形態において、PECナノ粒子は、+20、+21、+22、+23、+24、+25、+26、+27、+28、+29、+30、+31、+32、+33、+34、+35、+36、+37、+38、+39、+40、+41、+42、+43、+44、+45、+46、+47、+48、+49、および+50mVを含む、約+20から約+50mVの表面電荷を有する。いくつかの実施形態において、PECナノ粒子は、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、および80Da/nmを含む、約60Da/nmから約80Da/nmの見掛け流体力学密度を有する。特定の実施形態において、PECナノ粒子は、約67.68Da/nmの見掛け流体力学密度を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、現在開示されている対象は、薬学的に容認可能な担体内に現在開示されているPECナノ粒子または複数のPECナノ粒子を含む医薬製剤を提供する。実施形態によっては、医薬製剤は、凍結乾燥製剤を含む。特定の実施形態において、PECナノ粒子または複数のPECナノ粒子の医薬製剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、および9カ月を含む、少なくとも9カ月間、-20°Cで長期的な安定性を示す。
【0068】
本明細書に使用されているように、「薬学的に容認可能な担体」は、水、生理食塩水、ブドウ糖液、ヒト血清アルブミン、リポソーム、ヒドロゲル、微小粒子およびナノ粒子を含むことが意図されているが、それらに限定されない。薬剤活性のある組成物に対するこのような媒体および作用薬の使用は、当技術分野で周知であり、よって、効果的なレベルでそれぞれを組成物に組み込むさらなる例および方法については、ここで議論される必要はない。
【0069】
扱われている特定の条件により、現在開示されているナノ粒子は、液体または固体の剤形に調合され、全身的にまたは局所的に投与されてもよい。作用薬は、当業者には周知のように、例えば、時限的または持続的な徐放性の形態で与えられてもよい。製剤および投与に関する技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.)Lippincott,Williams&Wilkins(2000)で見つけてもよい。好適な経路には、経口、口腔、吸入噴霧により、舌下、直腸、経皮、膣内、経粘膜、鼻腔または腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射、およびくも膜下腔内、脳室内直接、静脈内、関節内、胸骨内、関節滑液嚢内、肝内、病巣内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射または他の導入形態を含む、非経口投与を含んでもよい。
【0070】
投与の形式および/または経路は変化しうるが、いくつかの実施形態において、現在開示されているナノ粒子または医薬組成物は、非経口で(例えば、皮下、静脈内、または筋肉内投与により)投与され、また、いくつかの実施形態において、肺に直接投与される。肺への局所投与は、溶液エアロゾルまたは粉末エアロゾルであってもよい、エアロゾル式医薬品を含む、様々な製剤方針を使用して達成されうる。粉末製剤は、典型的に、小粒子を含む。好適な粒子は、例えば、空気ジェットミル、ボールミルまたは振動ミル、ふるい分け、微量沈降、噴霧乾燥、凍結乾燥または制御結晶化で粉砕することにより、当技術分野で周知の任意の手段を使用して製造されうる。典型的に、粒子は、直径約10ミクロン以下になるであろう。粉末製剤は、任意に、当業者には周知の、少なくとも1つの粒子性の薬学的に容認可能な担体を含有してもよい。好適な医薬担体の例には、アラビノース、グルコース、フルクトース、リボース、マンノース、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、デンプン、デキストラン、マンニトールまたはソルビトールなどの、単糖類、二糖類、多糖類および糖アルコールを含む糖類が含まれるが、それらに限定されない。あるいは、溶液エアロゾルは、当業者には周知の任意の手段、例えば、組成物の定量投与を行うために適した弁で提供されるエアロゾルバイアルを使用して製造されてもよい。活性成分の吸入可能な形式が噴霧可能な水分、有機または水分/有機分散である場合、吸入デバイスは、噴霧器、例えば、1mLから50mL、一般に1mLから10mLの分散を含む空気ジェット噴霧器、または超音波噴霧器などの、例えば、従来の空気噴霧器;または例えば、10μLから100μLのより少ない噴霧量が可能なハンドヘルド噴霧器であってもよい。
【0071】
注入に関して、開示の作用薬は、ハンクス液、リンゲル液などの生理的に適合する緩衝液、または生理食塩水緩衝液または等張糖液などの、水溶液内で調合および希釈されてもよい。
【0072】
全身投与に適した投与への開示の実施のため、本明細書に開示された化合物を調合するために薬学的に容認可能な不活性担体を使用することは、開示の範囲内である。適切な担体の選択および好適な製造の実施により、本開示の組成物、特に、溶液として調合されたものは、例えば静脈注射により、非経口で投与されてもよい。化合物は、当技術分野でよく知られている薬学的に容認可能な担体を使用して、経口投与に適した投与量に容易に調合されうる。このような担体により、治療を受ける対象者(例えば、患者)が経口摂取するために、開示の化合物を錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として調合できるようになる。
【0073】
経鼻または吸入投与のため、開示の作用薬は、また、当業者には周知の方法により調合されてもよく、例として、生理食塩水などの、可溶化、希釈、または分散物質、ベンジルアルコール、吸収促進剤、およびフッ化炭素などの防腐剤を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0074】
本明細書には特定の用語が用いられているが、それらは、単に総称および記述的な意味で使用され、限定することを目的としていない。他に画定されていない限り、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、この現在記載されている対象が属する技術分野における当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0075】
長年の特許法の慣習に従い、「a」、「an」、および「the」という用語は、請求項を含む本出願で使用される場合、「1つまたは複数」を指す。従って、例えば、「対象者(a subject)」への言及には、文脈上明らかに正反対である場合(例えば、複数の対象者(a plurality of subjects))等を除き、複数の対象者を含む。
【0076】
本明細書および請求項を通じて、「含む(備える)」(「comprise」、「comprises」、および「comprising」)という用語は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、非排他的な意味で使用される。同様に、「含む」(「include」)という用語およびその文法上の変化形は、リスト内の項目の列挙が、リスト化された項目に置換または追加されうる他の類似の項目を除外しないように、限定しないことを意図している。
【0077】
本明細書および添付の請求項のため、「約」という用語は明示的に値、量または範囲と共に記されないかもしれないが、別段の指示がない限り、明細書および請求項で使用される、量、サイズ、寸法、割合、形、形成、パラメーター、パーセンテージ、パラメーター、数量、特性、その他の数値を表す全ての数は、「約」という用語によりいかなる場合も改変されるものとして理解される。従って、反対に指示されていない限り、以下の明細書および添付の請求項で説明される数値パラメーターは、正確ではなく、正確である必要がないが、現在開示されている対象により取得されるように求められた所望の特性に応じた許容範囲、換算係数、四捨五入、測定誤差等、および当業者には周知のその他の要因を反映して、要望通り、おおよそであってもよく、および/またはより大きくてもよく、またはより小さくてもよい。例えば、「約」という用語は、値に言及する場合、開示された方法を実施するために、または開示された組成を採用するために、変動量が適切である限り、指定された量から、いくつかの実施形態において±100%、いくつかの実施形態において±50%、いくつかの実施形態において±20%、いくつかの実施形態において±10%、いくつかの実施形態において±5%、いくつかの実施形態において±1%、いくつかの実施形態において±0.5%、およびいくつかの実施形態において±0.1%の変化量を含むように意図されうる。
【0078】
さらに、「約」という用語は、1つまたは複数の数または数値範囲に関連して使用される場合、範囲内の全ての数を含む、全てのそのような数を指すと理解されるべきであり、説明された数値の上および下の境界を拡大することにより、その範囲が改変される。端点による数値範囲の列挙には、全ての数、例えば、その範囲内(例えば、1から5の列挙には、1、2、3、4、および5、およびその分数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1等が含まれる)およびその範囲内の任意の範囲内に属している、その分数を含む全整数が含まれる。
【実施例
【0079】
以下の例には、現在開示されている対象の代表的な実施形態を実施するために当業者に指針を与えることが含まれている。本開示および当該技術分野の一般的なレベルに照らすと、当業者は、以下の例が単に例示的であるにすぎないこと意図しており、現在開示されている対象の範囲を逸脱しない限り、多数の変更、改変、および代替が採用されうることが理解できる。以下の例は、説明のために提供されるのであり、限定するためではない。
【0080】
例1 プラスミドDNA/ポリカチオン複合体ナノ粒子の集合にかかる速度論的制御
1.1 概要. 直鎖状ポリエチレンイミン(lPEI)などの、プラスミドDNA(pDNA)およびポリカチオンから集められた高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子は、遺伝子治療のための主要な非ウイルス導入手段に相当する。pDNA/ポリカチオンナノ粒子のサイズ、形および表面特性を制御するための試みは、主として、ポリカチオン性担体の微調整分子構造および媒体極性、pH、および温度などの集合条件に焦点を当ててきた。これらのナノ粒子の再現可能な生産は、しかしながら、集合過程およびナノ粒子構造の非平衡性質を考慮すると、集合速度を制御する能力にかかっている。
【0081】
いくつかの実施形態において、現在開示されている対象は、本明細書で「フラッシュ・ナノ複合体形成」または「(FNC)」と呼ばれる、速度論的に制御された混合過程を採用し、pDNA溶液とポリカチオンlPEI溶液との混合を加速させ、マイクロチャンバー内の乱流混合を通してPEC集合速度を一致させ、それにより、ナノ粒子サイズ、組成、およびpDNAペイロードの調整可能性により証明されるようなpDNA/lPEIナノ粒子集合についての速度論的条件の明示制御が達成される。実験およびシミュレーションを組み合わせたアプローチを使用して、ナノ粒子あたり平均約1.7から約21.8部のpDNAを有し、約35nmから約130nmの平均サイズを有するpDNA/lPEIナノ粒子が、大量混合方法よりも均一に、拡張可能に製造された。明確に画定された組成およびサイズを有するこれらのナノ粒子を使用すると、pDNAペイロードおよびナノ粒子製剤組成は、これらのナノ粒子のトランスフェクション効率および毒性と相関関係を持ちうる。これらのナノ粒子は、凍結乾燥製剤内で少なくとも9カ月間、-20°Cで長期的な安定性を示し、遺伝子治療のために明確に画定された特性を備えた既製のナノ粒子生成物が拡張可能に製造できることを実証した。
【0082】
1.2 背景. 集合成分の高分子電解質性は、それらの静電複合体形成率と比較して、ポリマー鎖の拡散率が遅いことを示す。結果として、PEC集合は、非平衡で、速度論的に阻害された複合体構造を生み出す。集合過程の間、様々な成分の一時的で局所的な濃度プロファイルは、各PEC集合が明確なナノ粒子の形成をどのように開始し、広め、終了するのかを決定する。これらの速度論的条件にかかる制御は、ナノ粒子が集合を始める前に、集合成分の均質な分布が可能になるように、混合が集合過程よりも速い場合にのみ可能になる。均一な混合により、PECナノ粒子が均一な特性で生産できるようになるだけでなく、集合システムへの入力条件の操作を通じて、ナノ粒子のサイズ、表面特性、および組成を制御する機会も提供される。この集合条件には、様々な集合成分が均一的に混合される、特性混合時間(τ)を、PECナノ粒子集合が生じる、特性集合時間(τ)未満に減少させることが必要となる。ピペット操作およびボルテックスを含む従来の混合方法では、この要求を満たすことができない。
【0083】
混合は、様々なフローの接触部分にわたる集合成分の拡散を通じて生じる。τを短くするための最も一般的なアプローチは、層流および乱流の両セットアップにより達成されうる、拡散経路の短縮である。層流セットアップにおいて、混合は、様々な流路が小さい区画内に導かれることにより達成される。しかしながら、製造が困難なため、流体力学的集束(Lu他、2014;Lu他、2016)、および液滴の閉じ込め(Juul他、2012)などの工学的アプローチが開発され、表面積対体積率を更に増加させた。一方、乱流セットアップにおいて、乱流渦は、効率的な拡散ために、急流の断絶を非常に小さくすることが可能である。流れ乱流は、「T」コネクタ(Kasper他、2011)、テスラミキサおよびヘリンボンミキサ(Feng他、2016)、同軸ジェットミキサ(Liu他、2015;Liu他、2017)、拘束衝突噴流(CIJ)(JohnsonおよびPrud’homme;LiuおよびFox、2006)、およびマルチインレットボルテックスミキサ(MIVM)(Liu他、2008;He他、2017;He他、2018)により与えられうる。
【0084】
集合成分の混合速度のより高度な制御のおかげで、従来の方法と比較してより均一な特性を備えた、薬剤を負荷したナノ粒子を製造することにおいて、様々な程度の成功が果たされている。近年、CIJミキサにおける乱流混合が採用され、pDNA/lPEIナノ粒子を生成し、方法の拡張性およびサイズを制御する実現可能性が証明された(Santos他、2016)が、混合およびナノ粒子集合の反応速度論は、分析されていない。速度論的に限定された集合は、ナノ粒子形成がフラッシュ・ナノ沈殿(FNP)と呼ばれる過程で混合された溶媒の溶媒混合率対高分子凝集および薬剤分配率により調整されうる、両親媒性高分子ミセルの自己集合に関して、よく説明されてきている(SaadおよびPrud’homme、2016)。FNPには、疎水性鎖凝集のための特性時間よりも短い時間で、混和性溶媒を運搬する2つの相反する噴出を混合するMIVMまたはCIJミキサでの乱流混合が使用される。均一なナノ粒子は、均質な過飽和条件の結果として生産されうる(Nikoubashman他、2016;Zhang他、2012)。このような混合状況下で速度論的条件を変化させることにより、ナノ粒子形成のための拡散律則および溶解支配型凝集メカニズム(JohnsonおよびPrud’homme、2003)、およびナノ粒子サイズを予測するための数量モデル(Pagels他、2018)が提案されている。
【0085】
1.3 作業の範囲. 現在開示されている対象は、一部において、pDNA/ポリカチオンPECナノ粒子集合の速度論的制御態様を調査する。より具体的には、現在開示されている対象は、「フラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)」と呼ばれるCIJミキサでの乱流混合アプローチを使用した、PEC集合およびナノ粒子形成の速度論的制御を証明する。FNCにおける高分子電解質pDNAおよび直鎖状ポリエチレンイミン(lPEI)の拡散速度は、FNPにおける溶媒およびポリマーの拡散速度とは著しく異なり、ここで、高分子電解質電荷中和によってもたらされる複合体形成速度は、FNPにおけるポリマー鎖セグメントの疎水性凝集よりも速く、PECは、FNPで起こる有機溶剤混合なしに、水媒体で生じる。これらの要因は、FNCにおけるナノ粒子へのPEC集合の速度論的制御についての独特の過程および追加的な挑戦に寄与する。現在開示されている研究について、in vivo-jetPEI(登録商標)が、検査担体として選択された。それは、非ウイルス担体についてのベンチマークとしてのそのin vivoでの高いトランスフェクション効率、GMP品質でのその有効性、および均一な電荷密度を伴うポリカチオンとしてのその分子の単純さによるものである。in vivo-jetPEI(登録商標)のPECナノ粒子および4kbから7kbの典型的なサイズのプラスミドをモデルシステムとして使用して、CIJミキサにおける混合フローレジメンが流体力学シミュレーションを使用して検査され、PEC集合過程にかかる速度論的制御を達成する必要条件が分析された。pDNA/in vivo-jetPEI(登録商標)ナノ粒子組成にかかる精巧な制御が、速度論的条件の操作を通じて証明され、ナノ粒子組成、サイズおよび表面特性のそれらのin vitroおよびin vivoでのトランスフェクション効率への効果が特徴付けられた。速度論的制御条件下で集められたpDNA/in vivo-jetPEI(登録商標)ナノ粒子の利点が、それらの非ウイルス遺伝子治療に対するトランスフェクション効率および翻訳ポテンシャルに関して分析された。
【0086】
1.4 代表的結果および議論. 混合は、乱流構造におけるpDNAおよびlPEIフロー間の接触部分にわたる分子拡散として生じる。
【0087】
1.4.1.pDNA/lPEIナノ粒子集合についての結果における特性混合時間τの効果. 次に、gWiz-Luc pDNA(6.7kb)溶液を衝突させた際のpDNA/lPEIナノ粒子のFNC集合における流量Qの効果が実験的に検査された。以下の条件は、本研究において変更しなかった:lPEI溶液のpHは、3.5で一貫して維持され、lPEIの同一のプロトン化の程度を75%程度に維持し、それによりlPEIの同一の電荷密度を維持した(Curtis他、2016)。同様に、DNA溶液の濃度は、検査の際、200μg/mLの濃度で維持され、in vivo-jetPEI(登録商標)溶液は、4のN/Pに対応する濃度で維持された。Qを増加させる、すなわち、τを減少させると、ナノ粒子の動的光散乱(DLS)測定により与えられたサイズ(z平均流体力学直径、Dg)は、下限の安定期に到達するまで減少した(図2A)。
【0088】
プラスミド濃度が200μg/mLから50μg/mLまで減少したとき、またはプラスミドサイズが6.7kbから4.4kbまで減少したとき(I2プラスミド、表1参照)、測定されたナノ粒子サイズも同一の傾向をたどった。一貫したDLSサイズが得られた臨界Qは、入力pDNA濃度の低下により、およそ15mL/minからおよそ8.5mL/minに低下した(臨界τは、およそ20msからおよそ85msに増加した)。DLSにより与えられたナノ粒子のサイズ分布幅(セクション1.6参照)は、Qにおいて同一の依存度を示し(図2B)、τが減少するにつれて、ナノ粒子の均一性が上昇したことを示した。流量依存の平均サイズおよび均一性は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により確認された(図2C)。
【0089】
【表1】
【0090】
これらの発見に基づいて、特性混合時間τまたは流量Qの分野は、2つの領域に分けることができた:
「領域I」は、平均DLSサイズおよび均一性が、Qまたはτと無関係に、一定のままである、速度論的条件に対応する。このことは、全てのナノ粒子が同様の集合経路を有するように、マイクロチャンバー内の混合条件が、均一な集合の発生を可能にする最大程度の均一性に達したことを示す。この集合過程は、特性集合時間(τ)として画定される時間スケールを有し、τ<τのとき、ほぼ全てのpDNA/lPEIナノ粒子が、同一の画定条件(pDNAおよびlPEIの濃度、温度、媒体pH、イオン強度等)下で集められる。言い換えれば、集合成分pDNAおよびlPEIは、ナノ粒子形成よりも速い速度で混合され、ほとんど「同時に」およびほとんど同一の微小環境でナノ粒子集合を開始しうる。上述されるように、DPEI≫DDNAであり、pDNAフロー領域に主として拡散するのはlPEI分子であり、その結果、pDNA分子の近辺にlPEI分子が均一に分布される。これにより、pDNAおよびlPEIの入力濃度プロファイルにより画定される一様な初期速度論的条件が確立される。
【0091】
「領域II」は、分子混合過程がナノ粒子集合過程より長い時間スケールで生じるような、τ>τである速度論的条件に対応する。この条件下で、ナノ粒子集合は、混合が進むにつれて不均一に生じ、部分的に形成されたナノ粒子は、更に、不明確に遅延分子と結び付きうる。これにより、ナノ粒子サイズが不均一で、おそらくより大きくなり、ナノ粒子の組成は、流量および混合条件に依存する。流量が増加し、τ=τを許容する臨界条件に近づくにつれ、集合混合物は、より乱流混合構造に近づき、より均質になる。混合物組成は、pDNAおよびlPEIの入力濃度プロファイルに近くなる。例えば、調製1(Q=1.25mL/minおよびτ=1.8×10ms)、調製2(Q=5mL/minおよびτ=7.9×10ms)、および調製3(Q=20mL/minおよびτ=15ms)を比較すると、ナノ粒子の集合体は、本分析と一致する特性を示した(図2A図2C)。流量が増加するにつれ、すなわち、τが減少するにつれ、フロー混合プロファイルは、層流混合から乱流混合への遷移を経るが、これは、領域II(τ>τ)から領域I(τ<τ)へのナノ粒子集合遷移と同時に起こる。これにより、流量を1mL/minから50mL/minに変更することにより、溶液混合時間スケールをpDNA/lPEIナノ粒子集合時間スケールと一致させる、CIJデバイスにおける乱流混合の能力が示される。
【0092】
1.4.2. pDNA/lPEIナノ粒子集合におけるpDNA濃度およびN/P比の効果. 領域Iで画定される速度論的条件下で集合が生じる場合、pDNAおよびlPEIの集合濃度プロファイルは、入力濃度プロファイル(すなわち、衝突溶液におけるpDNA濃度およびN/P比)によりうまく画定される。これにより、ナノ粒子特性における集合濃度プロファイルの効果を検討する機会が提供される。20mL/minの流量(図2A図2Bに記されるように、τ=15ms)がこの比較に対して選択された。図2Dで示されるように、pDNA濃度の増加は、結果としてナノ粒子サイズの拡大をもたらした。これらの製剤の比較的狭いサイズ分布および低いPDI(0.12-0.16)(図8A図8B)、およびTEM観察(図9A)により、pDNA/lPEIナノ粒子の速度論的に制御された混合および均一な集合が確認された。他方、入力pDNA濃度が400μg/mLで固定された場合、様々なN/P比で集められたナノ粒子は、同様のサイズに帰し(図2Eおよび図9B)、プラスミドが、初期lPEI濃度と無関係に、この混合条件下で、N/P比が3まで減少した場合も最大圧縮度まで、最も効果的に圧縮されたことが示されている。本観察では、更に、集合過程の間、pDNAと複合体を形成するためのlPEI分子のアクセスを最大化する際に、τ<τである乱流混合の効果が確認される。加えて、ゼータ電位評価により、使用されるプラスミド、pDNA濃度(図2E)または入力N/P比(図2G)にかかわらず、全ての製剤に対する表面電荷が+40mV程度で同様であることが明らかになった。このことは、ナノ粒子表面が類似しており、過量のlPEI分子から成ることを示唆する。ピペット操作などの、pDNA/ポリカチオンナノ粒子の調製のための従来の混合方法は、数秒の単位の混合時間をもたらすため、この速度論的スケールでは領域IIに該当する。続いてボルテックスを行う、ピペット操作方法(表2)により、流量Q<1.5mL/minで、FNC調製のナノ粒子と類似した平均サイズおよび均一性のナノ粒子が生成された(図9)。入力pDNA濃度に対するナノ粒子サイズの明確な依存性は見られなかった。さらに、例1.4.7で用いられる様々なピペット操作手順(表2)の結果として、より高い変動率が見られた。
【0093】
【表2】
【0094】
1.4.3. 平均的ナノ粒子組成および遊離lPEI測定. lPEIによるpDNAの完全複合体形成は、3より大きいN/P比で達成される。従って、N/P≧3の集合は、結果として、ナノ粒子懸濁液における過度の非結合または遊離lPEIをもたらすだろう(Yue他、2011)。集められたナノ粒子の実際の組成を評価するため、遊離lPEIの量が、公開されたプロトコルに従って、まず特徴付けられた(Bertschinger他、2004)。pDNA/lPEIナノ粒子が図2で画定されるような乱流混合条件(Q=20mL/minおよびτ=15ms)下で集められた場合、様々なpDNA濃度入力を備える全てのナノ粒子製剤は、入力N/P比が4で固定される限り、同一の結合対遊離lPEI組成を有した(図3A)。結合lPEIの量は、ほぼ70%前後で、ナノ粒子における2.7のN/P比に対応した。pDNA濃度入力を一貫させて入力N/Pを3から6に調整した場合(図3B、左パネル)、ナノ粒子に結合したlPEIの量は、入力N/P比にかかわらず一貫していたことがわかった。これにより、pDNAに結合したlPEIの量が、様々な調製条件下で製造されたナノ粒子間で同一であったことが示され、この平均的組成は、ナノ粒子における2.74±0.14のN/P比(n=28の個別の調製)に対応する。結果として生じるこれらの「過電荷」ナノ粒子は、全ての電荷されたグループがPEC形成の過程の電荷中和に関与可能なわけではないという事実と一致する(Berret、2005)。gWiz-Lucは、結果として、N/P比が減少するにつれ、わずかに少ない量の結合lPEIをもたらすようだという点で、テストされた2つのプラスミドの間にわずかな違いがあった。とはいえ、総体的結論として、pDNAにlPEIが結合されてPECを形成するにあたっては、pDNAまたはlPEIの濃度にも、入力N/P比にも影響を受けないということは明確である。
【0095】
1.4.4. 電荷中和はPECナノ粒子集合に対する律速段階ではない. pDNA中和に対する結合N/P比がこのように一貫して最小であることは、非乱流混合条件下で製造されたナノ粒子にも当てはまったことが分かった(図3Bの右パネルおよび図3C)。様々な混合条件下で製造されたナノ粒子に対して測定された表面電荷(すなわち、ゼータ電位)も、同一のままであった(図3C)。ナノ粒子のlPEI含有量およびゼータ電位は、電荷中和および複合体形成過程に直接関連しているため、図3A図3B、および図3Cで明らかになった発見は、電荷中和およびpDNA-lPEI結合がナノ粒子集合に対して律速していないことを示唆する。言い換えれば、電荷中和は、pDNA/lPEI PECの、ナノ粒子への凝縮および鎖の折り畳みよりもずっと速い速度で起こる。すなわち、電荷中和は、全特性集合時間τよりもずっと短い時間スケールで起こる。速度論的に制御された混合条件下で達成されるpDNA/lPEI PECナノ粒子集合過程は、現在、2つの明確なステップにモデル化でき、これは、幾つかの文献報告(BarreleiroおよびLindman、2003;Santhiya他、2012)に一致する:
ステップ1:lPEI分子がpDNA分子の近辺に拡散するするとすぐに、pDNAに結合する、電荷中和段階。本研究において、入力pDNA濃度またはN/P比にかかわらず、lPEIは、およそ2.7のN/P比で一貫してpDNAと複合体を形成した。本段階では、pDNA/lPEI PECが形成され、律速していない。
ステップ2:中和されたpDNA/lPEI複合体が折り畳みによる変形および凝縮を経て(Osada他、2012;Takeda他、2017)、複合体の体積を著しく減少させる、すなわち、圧縮が生じる、PEC鎖集合。これは、ステップ2に対する時間スケールがステップ1の時間スケールよりずっと大きく、律速段階である。従って、特性集合時間τは、主としてステップ2の完了時刻により決定される。構造が正味の正の表面電荷からの反発力により安定化される前の、集合過程の間、隣接するpDNAまたはPECが、互いに十分拡散するほど近い場合、多数のPECを伴う圧縮および集合が起こりうる。その結果、多数のpDNAが明確な単一のナノ粒子にパッケージ化される。
【0096】
1.4.5. 各pDNA/lPEIナノ粒子の平均pDNAコピー数の特性評価. 現在開示されているナノ粒子が狭いサイズ分布および一貫した組成で製造されうると仮定すると、ナノ粒子のモル質量は、静的光散乱(SLS)技術を使用して特徴付けられた。ナノ粒子内pDNA/lPEI質量比が固定された場合(図3A)、ナノ粒子の屈折率増分(dn/dc)値が一定で、加法規則に従うことが想定された(セクション1.6参照)(DaiおよびWu、2012)。散乱光の強度を測定して、各散乱角および各ナノ粒子質量濃度に関するレイリー散乱比を取得することにより、および濃度および角依存曲線をジムプロットにおけるゼロ濃度およびゼロ角度に外挿することにより、ナノ粒子の重量平均モル質量、
【数2】
が計算され、そこから、ナノ粒子あたりのpDNAの平均コピー数
【数3】
が計算されうる(セクション1.6参照)(Dubin他、2012;HiemenzおよびLodge、2007)。
【0097】
【数4】
=13.5のpDNA/lPEIナノ粒子に対する代表的ジムプロットが図3Dに示される。本方法により測定された全てのナノ粒子について(図3Dおよび図12A図12B図12C)、ジムプロット分析では、これらのナノ粒子の第2ビリアル係数(A)はゼロに近づくことが示される。本発見は、SLS測定に使用された溶媒(水)および温度(25℃)条件がθ条件を満たす、すなわち、PEC鎖圧縮がランダム充填法で生じて、PEC-溶媒相互作用がファンデルワールス相互作用およびPEC鎖の体積膨張を打ち消すことを意味する。このθ条件は、これらのナノ粒子の光散乱挙動の濃度依存が無視でき、レイリー比が固定された濃度で測定でき、デバイプロットを使用した計算が測定できるため、平均モル質量の測定を著しく容易にする(図3Eおよび図12D図12E図12F)。他方、入力N/P比を変更することにより、各ナノ粒子のプラスミドの平均数にわずかな変化が示された。400μg/mLのpDNAの入力に対して、入力N/P比が3から6に変わると、Nは、N/P=3に対して9.2から、N/P=4に対して6.1、N/P=5に対して5.0、およびN/P=6に対して4.4まで減少した(図12F)。
【0098】
1.4.6. pDNA/lPEIナノ粒子のDLSサイズおよびモル質量の相関関係. 3つ全てのプラスミドに対して異なる条件下で製造されたナノ粒子の測定された重量平均モル質量がそれらの流体力学的体積寸法(すなわち、D )に対してプロットされた場合(図4A)、共通の線形相関が現れた:
【数5】

ここで、Dは、ナノ粒子懸濁液のDLSにより測定されるz平均サイズであり、Мは、SLSにより与えられたナノ粒子の重量平均モル質量である。このような、プラスミドおよびナノ粒子集合で使用された条件と無関係な様々なナノ粒子への「普遍的な」フィットは、PEC集合ユニットおよびこれらのナノ粒子の圧縮度が類似していることを示唆する。より具体的には、これらのナノ粒子は、67.68Da/nmの同一の見掛け流体力学密度を有する。すなわち、pDNAは、そのうちどんなに多くのpDNAが単一のナノ粒子に充填されていたとしても、同一程度に凝縮される。
【0099】
同様に、ナノ粒子の重量平均モル質量が回転半径の二乗(すなわちR )に直線比例する、別の組成-サイズ相関関係も特定された(図4B):
【数6】

この相関関係は、50から130nmのDを備えるナノ粒子にうまくフィットし、実験データ点からの偏差は、サイズが50nm未満になるにつれて増加する。この
【数7】
およびR 間の直線関係により、更に、これらのpDNA/lPEIナノ粒子がθ条件下で集められることが確認され、PECユニットは、テストされた溶媒および温度条件下でのランダム充填挙動を想定する(HiemenzおよびLodge、2007)。
【0100】
ステップ1で形成された各PEC鎖(その結合lPEI全てを備えるpDNA)がステップ2のナノ粒子集合に対する充填ユニット(すなわち、PECユニット)として見なされる場合、pDNA/PEIナノ粒子は、1つまたは多数のPECユニットのいずれかを含む実態としてモデル化されうる。ナノ粒子集合は、量子化された組み合わせパターンに従う。4から6に変化するN/Pにより生成されたナノ粒子が同様のモル質量を有する一方、N/P=3により生成されたナノ粒子は、モル質量が重いが、なお、方程式2および方程式3の2つの線状フィットに該当する(図4C)。lPEIがpDNAを十分に圧縮するのに必要な量を超過している、2.7より大きい入力N/Pでは、量子化された組み合わせが有効なままであることが推定される。このモデルは、更に、層流混合条件(τ>τ)下で製造されたナノ粒子も、同一の相関関係に従う(図4D)という事実により支持される。均一性がより低い(すなわち、分布がより広い)ナノ粒子が、ナノ粒子あたりより少ない部数のpDNAを備えるより均一なナノ粒子と同一の見掛け流体力学密度を有するように見えることは注目に値する。本分析は、ステップ1で形成されたPECユニットがナノ粒子集合の構成要素であり、それらのPECユニットが、θ条件下での溶液のPECユニット鎖のランダムな折り畳みと同様の方法で圧縮され、結び付けられるという仮説と一致する。
【0101】
1.4.7. 乱流混合条件下のFNCにおけるpDNA/lPEIナノ粒子集合速度のモデリング. これらの発見および上述のナノ粒子集合モデルに基づいて、τ<τ条件下の集合速度が分析され、ナノ粒子あたりのpDNAコピー数を決定するための濃度依存メカニズムが理解された(図4E)。ステップ1におけるpDNA-lPEI結合(すなわち、PECユニット形成)の速度は、τStep 1≪τStep 2、およびτ≒τStep 2であるように、(図3A図3B図3Cからの結論として)ステップ2のPEC圧縮および結び付きの速度よりもずっと速い。
【0102】
特性集合時間τは、恐らく、プラスミド長さ、lPEI構造および分子量、pDNA-lPEI結合の化学量論的性質および立体的性質などの、ナノ粒子集合に関与する高分子電解質の固有特性に影響される。(t=0として画定される)乱流構造の生成に応じて、混合は、主として、pDNA溶液領域に拡散するlPEI分子により生じ、lPEI拡散は、τの経時変化で進行する。pDNA上の急速なlPEI結合は、lPEIが拡散するにつれ、およそ2.7のN/P比で生じる。t≧τの場合、混合が完了し、結果として、ほぼ全てのpDNAが同量のlPEIと結合し、ナノ粒子集合の構成要素としてまさにステップ2に進もうとする均一なPECユニットを形成する。集合は、θ条件下で生じ(図3D図4B、および方程式2)、PEC鎖間の相互作用はPEC-溶媒相互作用を取り消す。単一PEC鎖の折り畳みとは対照的に、マルチPEC鎖の折り畳みおよび結び付きに対する追加的な障壁は存在しない。結果として、PECユニットの圧縮は、単一ナノ粒子の集合に関与するpDNAの数にかかわらず(すなわち、最終的な
【数8】

にかかわらず)、同一の凝縮程度で終了する。
【数9】

>1が成立するのは、多数のPECユニットが、単一ナノ粒子に圧縮されるマルチPEC鎖に対して十分に速い速度で拡散し、接触する場合である。従って、単一ナノ粒子の集合に関与するPECユニットの数は、主として、τの経時変化内のPEC拡散により決定づけられる。PECユニット間の拡散距離が短くなった結果、より多くのPECユニットがτに類似する時間スケール内に結び付けられるように、入力pDNA濃度が高くなると、乱流構造のpDNAフロー領域のpDNA濃度が上昇し、それにより、溶液のpDNA分子間の平均距離が短くなる。従って、FNC過程で画定された速度論的に制御された混合条件下では(すなわち、τ<τの場合)、単一ナノ粒子にパッケージ化されるpDNAの数を明示的に制御することが可能である。
【0103】
上記の分析に基づいて、入力pDNA濃度が十分低い場合、つまり、任意の2つのpDNA分子間の平均距離がτの時間スケールの間に互いに拡散するには長すぎる場合、ナノ粒子を含有する単一のプラスミドが生産されうる。重量平均モル質量およびナノ粒子サイズの相関関係(図4A)により、c→0の場合の外挿されたサイズ制限は、本研究でテストされたプラスミド(4.4kbから6.7kb)に対して30から40nmの間に該当し(図2D)、ナノ粒子あたり1つのpDNAのみを含有するpDNA/lPEIナノ粒子の典型的なサイズを表す。この小さいサイズおよび単一pDNAペイロードは、図10で示されるように、25μg/mLの最低入力pDNA濃度では混合速度の制御が不十分である、ピペット操作では決して得られなかった。
【0104】
1.4.8. ナノ粒子あたり様々なコピー数のpDNAを備えるpDNA/lPEIナノ粒子のトランスフェクション効率. 様々な濃度のgWiz-Lucプラスミドを使用して、
【数10】

=1.7(入力c=100μg/mL)、3.5(入力c=200μg/mL)、6.1(入力c=400μg/mL)および21.8(入力c=800μg/mL)で、20mL/minの流量により、FNCデバイスにおいてナノ粒子が生成された。この一連のナノ粒子により、これらのナノ粒子のin vitroおよびin vivoトランスフェクション効率における
【数11】

の効果が検査された。表面電荷(ゼータ電位)および組成(結合および遊離lPEI分率)は同一であるとしても、これらのナノ粒子のサイズも異なることに注意すべきである(表3)。
【0105】
【表3】

*データは、n=3の測定での平均的な±標準偏差の形式で示される。
【0106】
これまでの報告で、表面接触、親和性および輸送速度の違いによる細胞取込のナノ粒子サイズ依存性が証明された(Hickey他、2015)。3H標識されたpDNAが使用され、様々な
【数12】

によりナノ粒子を集めて(セクション1.6参照)、PC3前立腺がん細胞での4時間の培養時間にわたって、それらの細胞取込を評価した。データでは、これらのナノ粒子グループ間の違いは示されなかった(図5A)。トランスフェクションテストのため、全pDNA投与量が固定された(24ウェルプレートでウェルにつき5×10で、1×10の細胞あたり0.6μg)ため、(投与された全ナノ粒子のうち)測定されたナノ粒子取り込みの全分率は、細胞あたり入手可能なナノ粒子の総数および取り込み率の関数になる。恐らく、製剤の
【数13】

が高くなると、ナノ粒子の数が少なくなり、従って、細胞取込率が高くなる。時点ごとの同様の取り込みpDNA量を考慮すると、
【数14】

=6.1および21.8の場合、エンドソームエスケープ、pDNA解離、および核輸送などの、細胞内導入過程における効率が高くなるかもしれない。これまでの文献報告において、pDNA/lPEIナノ粒子は、典型的に、静脈(i.v.)注射に続いて、肺でのトランスフェクションおよび導入遺伝子活性をもたらす(Boeckle他、2004)。PC3がん細胞株におけるin vitroトランスフェクション効率実験では、
【数15】

=6.1および21.8の場合、同様のトランスフェクション効率レベルを有し、そのレベルは
【数16】

=1.7または3.5のいずれかのレベルよりもずっと高かったことが示された(図5B)。
【0107】
in vitroでの発見と一致して、
【数17】

=1.7の場合、他の製剤よりもトランスフェクション効率がかなり低いことが示され、
【数18】

が高くなると、トランスフェクション効率が良くなるという、
【数19】

=3.5、6.1、および21.8
の場合のナノ粒子についての認識傾向が見られた(図5Cおよび図14)。体内分布研究は、マウスあたり30μgのpDNAの投与量で、3H標識されたナノ粒子の静脈注射により、Balb/cマウスで実施された。マウスは、ナノ粒子の投与後1時間で犠牲になり、主要組織および血液試料が採取され、重さが測定された(weighted)。生体試料は可溶化され、溶液は液体シンチレーション評価を受け、試料内の3H標識されたpDNAを数値化した。結果、全ての製剤について、ナノ粒子が1時間以内に臓器および組織に迅速に分布したこと(>95%)が明らかになった。これらのナノ粒子の分布パターンは、肺に沈着するナノ粒子が少ない結果となった1.7の
【数20】

の場合を除いて、同様であった(図5Dおよび図15A)。そして、脾臓を通るクリアランスは、より顕著であった(図15C)。全てのグループについて、投与量の5-8%が肺(図15B)に行き着いたのと比較して、全投与量の42-45%が肝臓に行き着いたにも関わらず、肝臓での導入遺伝子発現は検出可能なレベルではなかった。これは、恐らく、肝臓のクッパー細胞によるナノ粒子の迅速なクリアランスおよび分解のためであった(Tsoi他、2016)。
【0108】
これらのナノ粒子間のin vivo導入効率のわずかな差は、恐らく、pDNA/lPEIナノ粒子が血清成分と強く相互作用し、静脈注射後に急速に集合し、肺微小血管系への閉じ込めおよびエンドサイトーシスの細胞による肝臓および肺への実質的な取り込みにつながる(Ogris他、1999)という事実によるものであり、これは、
【数21】

を制御した結果として、ペイロード能力の差を隠すことになる。オプソニン化および凝集の傾向が低いナノ粒子(例えば、ペグ化ナノ粒子)を識別すること、および血清コーティングのメカニズムの理解することは、in vivoのトランスフェクション効率における組成およびサイズが画定されたナノ粒子の詳細な効果をより明らかにする助けになるだろう。
【0109】
1.4.9. 速度論的制御条件下で製造されたpDNA/lPEIナノ粒子のpDNAペイロードおよびPEI組成(すなわち、結合対遊離PEI濃度)のin vitroおよびin vivoトランスフェクション効率にかかる効果. 上記の予備研究は、6以上の
【数22】

を備えるナノ粒子は、より低いプラスミドペイロードを備えたナノ粒子よりもin vitroおよびin vivoでのトランスフェクション効率が良いことを明らかにした。乱流混合条件(Q=20mL/min、τ=15ms<τ)下で製造されたナノ粒子は、続いて、様々なN/P比で検査され、Q=5mL/min、τ=790ms≫τ)で製造されたナノ粒子と比較された。2つの一連のナノ粒子は、gWiz-Lucプラスミドで製造され、表4で示される詳細な特徴を有した。
【0110】
【表4】
*方程式2および7に基づいて計算。
【0111】
まず、gWiz-Lucプラスミドで製造された全てのナノ粒子が、PC3がん細胞株でテストされた(図6A)。ナノ粒子のセット(W1-4およびW5-8)はいずれも、N/P比が高いほど(すなわち、結果として遊離PEI分率が高いほど)、高いトランスフェクション効率をもたらし、このことは、これまでの文献報告に一致してした(Boeckle他、2004;Klauber他、2016)。
【0112】
ペイロードが低いナノ粒子は、ペイロードが高い、特にN/P=4および6のナノ粒子よりも良いパフォーマンスを示した。同一のナノ粒子のセットは、続いて、Balb/cマウスに投与され、それらの肺でのトランスフェクション効率が注射後12時間、24時間および48時間の時点で測定された。結果(図6Bおよび図17)は、in vitroでの実験と同様のパターンを示した。導入遺伝子発現活性は、低ペイロードおよび高ペイロードのナノ粒子のいずれについても、3のN/P比で製造されたナノ粒子で低かった。N/P=4の場合、低ペイロード(
【数23】

=6.1)
のナノ粒子は、より高いペイロード(
【数24】

=45.6)
のナノ粒子よりも効果的であった。N/P=4、
【数25】

=6.1の製剤、およびN/P=5および6で製造されたナノ粒子についての導入遺伝子活性は、ペイロードレベル
【数26】


にかかわらず同様のルシフェラーゼ発現レベルを示した。
【0113】
この一連のナノ粒子から選択された4つナノ粒子製剤の体内分布も、それらのトランスフェクション効率における最大の差を以て特徴付けられた:ペイロードが低く、N/P比が低いナノ粒子
(表4、W1:N/P=3および
【数27】

=9.1、W2:N/P=4および
【数28】

=6.1)、およびペイロードが高く、N/P比が高いナノ粒子(表4、W6:N/P=4および
【数29】

=45.6、W8:N/P=6および
【数30】

=42.8)。
3H標識されたナノ粒子が、図6Bおよび図6Cで使用されたときと同一の投与量でBalb/cマウスの静脈内に注射された。注射されたナノ粒子投与量の大半(>95%)は、1時間以内に組織および臓器に分布した(図6E)。W1ナノ粒子は、他のナノ粒子製剤と比較して、肺に分布したナノ粒子の分率は最低(1.4%)(図6D図6E)で、肝臓(統計的有意性はないが、54.0%)および脾臓(6.0%)に最高レベルで分布し(図19)、肺での最低のトランスフェクション効率と相関関係を持っている。W2は、W8と同様のレベルの肺への分布を示し(図6D図6E)、これらの2つの製剤間の同様の導入遺伝子発現レベルと相関関係がある(図6C)。W6は、W2と同様の体内分布プロファイルを生み出したにも関わらず、W2によりも著しく低いトランスフェクション効率をもたらした。これは、in vitroでの研究で示されるような低い細胞内導入効率(図6A)、および肺に導入されたナノ粒子の数が7.5倍少ないことにも原因があるかもしれない。ペイロードが低いナノ粒子製剤に対して、非常に多くのナノ粒子が、より多数の細胞のより多くのトランスフェクションイベントを促進するかもしれない。他方、これらのナノ粒子のうち、より小さいサイズのものは、組織のナノ粒子輸送および腫瘍組織へのアクセスに影響を及ぼすかもしれない。W6およびW8ナノ粒子と比較すると、それらのペイロード(
【数31】
=45.6および42.8)およびサイズ(Dg=158.9および155.5nm)は同様であるにも関わらず、より高いレベルの遊離lPEI(図3B、1.75mM対0.74mM)がより低いレベルの肝臓のクリアランス(図6Dおよび図19A)につながった。この要因は、より高い細胞内導入効率(図6A)とともに、肺での比較的高い導入遺伝子発現活性の原因であるかもしれない。
【0114】
1.4.10. 既製の凍結乾燥pDNA/lPEIナノ粒子のスケールアップ生産. 非ウイルスDNA導入遺伝子治療の臨床解釈の成功は、高い導入およびトランスフェクション効率、良好な生体適合性、拡張可能な生産過程、長期保存安定性、および高いパフォーマンス一貫性(すなわち、低いバッチ間変動性)に依存する。PECナノ粒子を通じたpDNAの全身導入に関する現行の手法は、投与直前のクリニックでの治療的pDNAおよびin vivo-jetPEI(登録商標)溶液の現地混合に依存する(すなわち、表4のW9などの手動ピペット操作に類似)。予想されるように、ナノ粒子形成の再現性およびパフォーマンス一貫性は、画定が難しいだろう(図9)。ここで報告されたFNC過程によるナノ粒子調製は、継続的で、拡張性および再現性が高い方法15-17を提供する。単一ベンチモデルデバイスにより、0.5グラムのpDNAが1時間以内にpDNA/lPEIナノ粒子にパッケージ化でき、これは、マウスあたり40μgのpDNAの12,500の投与量に相当する。結果として生じたナノ粒子懸濁液は、最適化された凍結乾燥プロトコルにさらされ、抗凍結剤として9.5%w/wのトレハロースを含む粉体形状(図7A)に変えられうる。凍結乾燥pDNA/lPEIナノ粒子は、-20℃で保存された場合、少なくとも9カ月安定していた。各時点で再構成された場合、サイズ、PDI、ゼータ電位、PEI回復、およびDNA回復は、全て、新たに製造された試料と一致していた(図7B)。再構成過程は、単に、水を追加し、ボルテックスの必要はなく、室温で1分未満置かれた後に凝集のない澄んだ懸濁液を生成することによる(図7A)。再構成されたpDNA/lPEIナノ粒子は、少なくとも4日間、安定性を維持した。
【0115】
1.5 要約
現在開示されている対象は、シミュレーション方法および実験的アプローチを結び付け、特性混合時間と相関関係がある入力pDNAおよびlPEI溶液の流量を実現する、pDNA/lPEIナノ粒子のFNC集合に使用されるCIJマイクロチャンバーにおける混合の反応速度論への詳細な理解を提供する。マイクロチャンバー内の溶液の乱流混合を可能にする混合速度を制御することにより、高い均一性および拡張性を備えるナノ粒子サイズ、表面電荷および組成にかかる明示制御が証明された。FNC集合pDNA/lPEIナノ粒子の静的光散乱測定および組成分析から、ナノ粒子流体力学的サイズおよびナノ粒子あたりのpDNAペイロード間の「普遍的な」相関関係が実現され、これは、pDNA中和および圧縮が、様々な条件下にて様々なpDNAペイロードで集められたナノ粒子について、同程度で達成されたことを示唆している。これらの発見は、ナノ粒子サイズの制御を超えたpDNA/lPEIナノ粒子のより細かい組成制御を可能にするだけではなく、pDNA/lPEIナノ粒子集合の速度論的過程を調べる実験的証拠を提供した。PECユニットを形成する際のpDNAおよびlPEI分子間の電荷中和は、律速段階ではないことが確認され、特性集合時間は、主として、PECユニットの鎖の折り畳みおよび圧縮により決定されることが分かった。各ナノ粒子にパッケージ化されたpDNAの数は、主として、PECユニットの拡散距離(すなわち、局所pDNA濃度)により決定される。FNCによる速度論的制御条件下で、入力pDNA濃度を50μg/mLから800μg/mLに制御することにより、35から130nmの平均流体力学的サイズに対応する、平均約1.7のpDNAから約21.8のpDNAが集められた。これらの明確に画定されたナノ粒子により、これらのナノ粒子のトランスフェクション効率におけるpDNAペイロードおよび製剤組成の効果を調査することが可能になった。本研究でテストされたがん細胞モデルにおいて、ナノ粒子のプラスミドDNAの媒体ペイロードは、最高のin vivo導入効率で最適となり、それらのin vitroトランスフェクション活性とよく相関することが分かった。健康なマウスモデルおよび担がんのマウスモデルの両方のin vivo導入遺伝子発現により、pDNA/lPEIナノ粒子の媒体pDNAペイロードが肺での導入遺伝子発現に有利に働くことが示された。これらのナノ粒子は、安定性が-20°Cでの保存で少なくとも9カ月続く既製の凍結乾燥製剤として、拡張可能に生産されうる。さらに、このナノ製剤は、再構成しやすく、投与しやすい。本方法は担体構造およびプラスミド長さおよび種類に特に依存しないため、通常、多くの他の潜在的なポリカチオン担体に適用可能である。従って、このFNC生産過程は、遺伝子導入のための非ウイルスナノ粒子伝達手段の臨床解釈に向けた明確な技術的優位性を提供する。
【0116】
1.6 実験
1.6.1. pDNA/in vivo-jetPEI(登録商標)高分子電解質複合体(PEC)ナノ粒子の調製. 全てのCIJデバイスは、典型的なCIJ設計に基づいて、Johns Hopkins Whiting School of Engineeringの工作室で製造された(JohnsonおよびPrud’homme、2003)。in vivo-jetPEI(登録商標)が与えられ、3から6の異なる入力N/P比に対応する所望の濃度まで超純水により希釈されて使用された。溶液のpHは(濃度にかかわらず)、NaOHまたはHClにより3.50まで調整され、全ての実験にわたってPEI分子の電荷密度を一貫させた。4の入力N/P比のナノ粒子における入力pDNA濃度の効果を調査する際、pDNAは、製造業者により純水内で運ばれ(表1)、50から800μg/mLの濃度範囲まで超純水により希釈された。PECナノ粒子は、高圧注射器ポンプによりあらかじめ設定された流量で、2つの希釈標準溶液をCIJチャンバに注入することにより調合された。PECナノ粒子は、追加的な培養時間を必要とすることなく、CIJから出て直ちに安定し、下流で直接、特性評価および適用を受けた。等張条件が要求される場合、pDNAおよびPEI希釈標準溶液は、水の代わりに9.5%(w/w)のトレハロースで製造された。全ての製剤は、室温で少なくとも1カ月安定した。ピペット操作によるPECナノ粒子の調製(W9、表4)については、表2で示されるように手順B3が使用された。
【0117】
1.6.2. 非複合体PEI評価. 方法は、これまでの報告から採用された(Bertschinger他、2004)。希釈されたナノ粒子懸濁液の500μLのアリコートが、Vivaspin500遠心濃縮器に追加された(PES、100,000MWCO、縫工筋、試料ごとにn=4の濃縮器)。濃縮器は、続いて、1分間遠心分離され、ナノ粒子を含まず、非複合体PEI分子のみを含有する素通り画分溶液を得た。60μLの素通り画分溶液のアリコートが、96ウェルプレートの1つのウェルに追加された(濾過された溶液ごとにn=3のウェル)。Protein Red Advanced Protein Assay(PRAPA、Cytoskeleton US)溶液(200μL)がウェルに追加され、混合物は室温で10分間培養された。
【0118】
1.6.3. PECナノ粒子の特性評価. サイズ測定のための動的光散乱(DLS)およびゼータ電位測定のための位相解析光散乱(PALS)は、25℃でMalvern ZEN3690 Zetasizerを使用して実施された。Zetasizerからの最も信頼できる結果として、z平均流体力学直径が得られ、本研究の全ての分析に対するPECナノ粒子のサイズとして使用された。(ISO13321の手順に従う)DLS装置により与えられた多分散性(PDI)がナノ粒子サイズに依存するため、我々は、サイズ分布幅を使用し、図2Aの様々なサイズのナノ粒子の均一性を評価した。このサイズ分布幅は、サイズ標準偏差の標準項として、単一のサイズピークに対して、DLS装置から直接与えられる:
【数32】
ゼータ電位測定は、信頼できる評価のため、低塩濃度緩衝液(5mMのNaCl)で実施され、懸濁液の0.6mS/cmの伝導率を得た。
【0119】
1.6.4. 静的光散乱(SLS)は、658nmの波長のレーザ源および光学区画として石英ガラスフローセルを備えた、Wyatt DAWN HELEOS18角(angel)レーザ光散乱光度計で実施された。装置は、等方散乱(3nmのデキストラン、MW9000-11000、Sigma US)に対して正規化された全てのレーザ検知器で、マニュアルに従って適切に較正された。適切な濃度に希釈されたPEC懸濁液は、450nmまたは1μmのいずれかのサイズのカットオフで、フィルタを通してフローセルに導入された。各試料は、5分間、200μL/minの流量で流され、検出器からの安定したシグナルを確立した。データ収集は、5分間継続され、各検出器の時間平均強度を得た。装置から出たPECナノ粒子が採取され、DLSおよびDNA回復評価(NanoDropによる、図11)を受け、過程の間に影響を受けていないナノ粒子特性および濃度を得た。データ処理(ジムまたはデバイプロットの生成)は、Wyatt ASTRA6.1ソフトウェアにより実施された。各試料はn=3で別々に流され、本明細書に示されたモル質量結果は、平均値であった。PECナノ粒子は、SLS36下で2つの成分から成る共重合体として扱われ、光散乱理論の指示どおりに、重量平均モル質量をもたらしうる(HiemenzおよびLodge、2007)。
【0120】
PECナノ粒子の屈折率増分(dn/dc)を決定するため、我々は、これまでに説明された加法ルールに従った(DaiおよびWu、2012):
【数33】
ここで、WpDNAおよびWPEIは、それぞれ、PECナノ粒子に複合化されたpDNAおよびPEIの重量分率である。dn/dc値は、遊離PEI評価の結果の入力pDNA濃度および結合PEI分率に代入することにより入手できる。FNCによるナノ粒子集合についての提案モデルに基づいて、pDNA分子の1つずつに対し、結びついた全ての結合PEIは、以下のモル質量を有する:
【数34】
ここで、γは、遊離PEI評価により与えられた結合PEI分率であり、C(PEI)およびC(pDNA)は、それぞれ、製剤に対するPEIおよびpDNAの入力質量濃度であり、MDNAは、使用されたpDNAの分子量である。続いて、ナノ粒子あたりの(重量)平均pDNAコピー数は、以下により計算されうる:
【数35】
ここで、
【数36】
は、SLSにより与えられたナノ粒子の重量平均モル質量である。
【0121】
1.6.5. 透過型電子顕微鏡(TEM). 炭素被覆銅グリッド(Electron Microscopy Services、US)は、フィルムを親水性にするための試料負荷の前に、30秒間のプラズマ処理(Nグロー放電)を受けた。PECナノ粒子懸濁液は、20分間グリッドで培養され、続いて、ろ紙により乾燥された。10μLの2%(w/v)酢酸ウラニル溶液のアリコートが、グリッド上に滴下され、1分間培養され、続いて、ろ紙により乾燥された。グリッドは、撮像の前に、24時間フード下で乾燥されてもよかった。染料溶液がウラニル基を正荷電にする低pHを有し、pDNA分子と強く反応する一方、ネガティブ染色パターン(明確に印を付けられた辺縁を備えた染料の層上に置かれたナノ粒子)が探査され、撮像された。撮像は、100kVで動作する、FEI Tecnai 12 Twin Transmission Electron Microscopeで実施された。全ての画像は、Megaview III広角カメラにより撮像された。
【0122】
1.6.6. in vitroトランスフェクション活性. PC3がん細胞は、5×10細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種され、単層細胞培養を形成した。24時間の培養後、各ウェルの培地は吸引された。3μgのpDNAを含有する50μLのPECナノ粒子懸濁液のアリコートが、500μLの新鮮培地に追加され、20秒間ボルテックスされて混合し、全混合物が各ウェルに追加された。細胞は、1から4時間PECナノ粒子で培養された。培養の際、混合物は吸引され、細胞はPBSにより2回洗浄され、新鮮培地に置かれた。再度の24時間の培養後、細胞がルシフェラーゼを発現させるようにする。採取のため、100μLのレポーター溶解緩衝液(Promega、US)が各ウェルに追加され、プレート全体が2つの凍結融解サイクルを受けた。標準のルシフェラーゼ定量分析(Promega、US)およびタンパク質定量分析(Pierce BCA試薬、Thermo Scientific、US)が実施され、可溶化液の総タンパク量のmgあたりのルシフェラーゼのngを単位としたトランスフェクション効率を得た。全てのテストについて、グループごとにn=4のウェルがテストされた。
【0123】
1.6.7. in vivoトランスフェクション効率. 全てのin vivo実験手順は、Johns Hopkins Institutional Animal Care and Use Committee(JHU ACUC)により認可された。PECナノ粒子は、200μgのpDNA/mLの濃度で、マウスあたり30または40μgのpDNAの投与量で、マウス側部の尾静脈を通して静脈内に注射された。調製における入力pDNA濃度が低いグループに対して、ナノ粒子懸濁液は、3,000MWCOで、Amicon Ultra-2遠心フィルタユニットにより200μgのpDNA/mLまで濃縮され、PECおよび遊離PEI分子のいずれも同率で濃縮した。in vivo生物発光撮像は、IVISR Spectrum(PerkinElmer、US)を使用して実施され、画像は、Living Image Software(PerkinElmer、US)で処理された。関心領域(ROI)定量分析の結果は、直線関係を示す肺のルシフェラーゼタンパク質存在量と良好な相関関係を有している(図16)ため、組織均質化は、導入遺伝子活性の速度を測定するために広くは普及しなかった。予備テストは、導入遺伝子発現レベル(健康な肺組織または肺の腫瘍細胞のルシフェラーゼ濃度)が健康なBalb/cマウスモデルに対する注射後12および48時間後頃にピークに達することを明らかにした(Jackson Laboratory、US)。IVIS評価の時点は、従って、30mg/mLのD-ルシフェリン(Gold Biotechnology、US)溶液の100μLの腹腔内注射および5分の拡散期間に応じて、イソフルランにより麻酔をかけられ、IVISシステムにより撮像されたマウスで、設定された。LL2腫瘍モデルに対して、接種は、PEC投与に先立って3日間、5×10のがん細胞を含有する200μLのPBS溶液の静脈注射により実施された。
【0124】
1.6.8. 3H標識されたPECナノ粒子の調製.細胞取込および体内分布研究. PECナノ粒子のトリチウム標識法は、ナノ粒子調製に先立って、原料としてのS-アデノシル-L[メチル-3H]メチオニン(3H-SAM)によるpDNAのメチル化により実施された。処理は、結果として、集合過程にはそれほど影響を及ぼさないpDNAのわずかな構造変化をもたらした。この標識法の大きな強みは、シンチレーション流体アッセイを通して、壊変毎分(DPM)をカウントすることにより、生体試料の標識pDNAの絶対量を評価する能力にあり、従って、PECナノ粒子の投与に応じた細胞取込および体内分布研究に理想的である。操作範囲内で、DPMは、アッセイの標識pDNA量に線形比例する(図13)。pDNAを標識化するため、水、10×NEB緩衝液(New England Biolabs、US)、3H-SAM(PerkinElmer、US)、pDNA(1mg/mL)およびM.Sssl酵素(New England Biolabs、US)が、50-mLの管に12:2:2:1:1(v/v)の比率で追加された。
【0125】
溶液は、よく混合され、37℃で2時間、反応のため培養され、65℃まで>30分間加熱することにより、クエンチされた。反応混合物は、QIAprep Spin Miniprep kit(Qiagen、US)を使用して精製された標識pDNAと共に、EB緩衝液により希釈され、最後に非標識pDNAと混合され、PEC集合のための希釈標準溶液がもたらされた。細胞取込実験のため、同一の投与方法が、in vitroトランスフェクション実験として採択された。各時点において、ナノ粒子含有の媒体は排出され、細胞は新しいPBSにより2回洗浄され、続いて採取された。体内分布研究のため、同一の投与および製剤濃度が、in vivoトランスフェクション実験として採択された。注射後1時間で、動物は、組織が採取されて犠牲になり、重さが測定された。十分にSOLVABLE(溶解可能)な可溶化流体(PerkinElmer、US)が、組織に追加され、70℃で48時間培養された。組織可溶化液は、よく混合され、100μLの各試料(n=3単独測定)が、7-mLのシンチレーションバイアルの4mLのUltima Goldシンチレーションカクテル流体(PerkinElmer、US)に追加された。DPMは、5分の測定経時変化で、Tri-Carb 2200CA液体シンチレーションアナライザ(Packard Instrument Company、US)により評価された。
【0126】
例2 比較例-大量混合により製造されたナノ粒子と比較したフラッシュ・ナノ複合体形成FNC集合ナノ粒子の組成
上述の通り、現在開示されているDNAナノ粒子の組成は、粒子あたりのDNAの平均数、平均粒子サイズおよびサイズ分布、明確に画定されたDNAおよびポリマー含量、および凍結乾燥および常温保存可能な形体での粒子製剤の観点において特有である。他の報告されたDNAナノ粒子製剤は、正確に同一の組成報告を持たず、これらのベンチマークパラメーターのいくつかを直接比較することは困難である。しかしながら、現在開示されているFNC生産ナノ粒子、および大量混合方法、例えば、ピペット操作方法で生産されたナノ粒子間の明確な違いについての証拠を提供可能な、特有の物理的特性測定がある。
【0127】
現在開示されているFNC集合ナノ粒子は、ピペット操作方法、実験室規模で使用される一般的な大量調製方法により生成されたナノ粒子と比較して、明確な物理的特性を有する。ピペット操作方法は、大量混合調製の比較例として、本明細書で提供される。以下の結果は0.4mLから1.0mLの総量のバッチスケールで作成されたものであることに注意すべきである。より大きなバッチサイズでは、結果として生じるナノ粒子は、うまく画定されず、凝集体を生成しやすくなる。
【0128】
200μg/mLの同一のプラスミド濃度、3.5のlPEI溶液のpH、9.5%w/wのトレハロース濃度、および4または6のN/P比(例えば、PEI製造業者による最小推奨レベル)で製造された場合、FNC集合ナノ粒子は、大量混合により生成された均一ではないナノ粒子と比較して、(プラスミドサイズに依存して)ナノ粒子あたり5から10のプラスミドの平均pDNAペイロードに対応して、約80nmに近い平均サイズでより均一になり、160nmより大きな平均サイズを有し、ナノ粒子あたり40より多いプラスミドの平均pDNAペイロードに対応する。
【0129】
さらに、当技術分野で周知の大量混合方法により生成されたナノ粒子のサイズおよびペイロード(図20A)は、現在開示されているFNC方法により製造されたナノ粒子と比較して、再現性がずっと低く、変動の度合いが高い(図20B)。これらの結果は、現在開示されているFNC方法によれば、調製ごとおよび操作者ごとのバッチ間変動のレベルがずっと低くなることを示している。さらに、ナノ粒子の品質は、どの溶液をピペットで移すか、ピペット操作速度、およびボルテックスなどの、追加的な混合方法がどのように続くかまたは追加的な混合方法が続くかどうかを含む、ピペット操作の正確な実施にかかっている。いくつかのピペット操作の実施は、結果として調製の時間内に安定しない凝集体をもたらす(図21A参照)。一方、現在開示されているFNC集合ナノ粒子は、室温で少なくとも96時間、生産後に安定している(図21B)。
【0130】
現在開示されているFNCナノ粒子および大量混合で生成されたナノ粒子間のより詳細な比較が、表6で以下に提供される。
【0131】
例3 比較例-大量混合により製造されたナノ粒子と比較したフラッシュ・ナノ複合体形成FNC集合ナノ粒子のトランスフェクション効率および毒性
現在開示されているFNCナノ粒子の特有な組成および特性は、同一の調製条件(N/P=4)下で大量混合により製造されたナノ粒子と比較して、高いトランスフェクション効率につながる(表6参照)。現在開示されているFNCナノ粒子は、より低いin vivo毒性を示した(表6)。マウスあたり40μgのpDNAを投与した場合、6のN/P比で大量混合により生成されたナノ粒子は、結果として、4のN/P比のFNC集合ナノ粒子と比較して、激しい毒性をもたらし、注射の直後に1/5の動物が死亡し、より高レベルのアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および肝臓の顕著な壊死をもたらした。同一の6のN/P比でナノ粒子を生産するFNCを使用すると、結果として生じる壊死部分が2倍近く減少した。4のN/P比のFNC集合ナノ粒子は、全てのナノ粒子製剤中、最低レベルの肝臓毒性を示し、ALT血清レベルの増加も最低であった。さらに、FNCナノ粒子では、組織学的検査により評価されたように、壊死部位の頻度が低い(<5%)ことが観察された。
【0132】
【表5】
*マウスあたり40μgのDNAの投与量でテスト
【0133】
例4 哺乳類細胞提示
哺乳類の提示は、細胞の表面に発現した分子のコンビナトリアルライブラリーから親和性試薬を選択するために使用される強力な方法である。プラスミドDNA分子のライブラリーが使用され、リーダー配列(例えば、Igκ)および膜貫通領域(例えば、PGFR)を使用して、細胞膜に向けられうる様々なタンパク質のライブラリーを発現させうる。抗体可変領域などの、様々な結合領域のライブラリーは、続いて、膜の細胞外側に露出され、標的リガンド、例えばがん抗原と自由に結合しうる。リガンドに対して好適な親和性を備えるライブラリーメンバーを発現させる細胞が、リガンドおよび標識を結び付け、フローサイトメトリーを使用して非結合クローンの集団から選択されうるように、標的抗原は、例えば、ビオチンで標識され、ストレプトアビジン-R-フィコエリトリンで検出されうる。DNAプラスミドは、続いて、細胞から分離され、転換され、例えば、大腸菌内で育成されうる。DNAプラスミドクローンは、哺乳類細胞に再びトランスフェクトされ、手順が繰り返されうる。そのため、発現、結合、分類および濃縮を何回か連続して繰り返した後、(バインダーおよび非バインダーを含有する)大きなコンビナトリアル集団から小さな結合集団が、標的リガンドに対する高い親和性を有して、分離されうる。
【0134】
選択過程を効率的にするため、細胞あたり限られた数のプラスミドがトランスフェクトされるべきである。そうでなければ、例えば、抗体断片の不均一な集団が各細胞の表面に発現するであろうため、非バインダーを発現させるプラスミドおよびバインダーを発現させるプラスミドのいずれもが、様々な細胞に十分に分離されないであろうし、フローサイトメトリーで共に濃縮されるであろう。従って、細胞あたり1つの(または少数の)抗体クローンが発現され、最高の親和性を備える抗体断片を発現させるクローンが非結合クローンからのフローサイトメトリーによる選択の各サイクルで効率的に選択され、濃縮が達成されるように、細胞あたり1つのプラスミドまたは少数のプラスミドをトランスフェクトすることが望ましい。
【0135】
哺乳類の提示のための方法が当技術分野で周知である(例えば、HoおよびPastan、2009参照)一方、ナノ粒子あたり画定された数のプラスミドのパッケージ化を達成する方法は、周知ではない。上述された例は、ナノ粒子あたり約1のプラスミドから約50のプラスミドをパッケージ化し、高レベルのトランスフェクションを達成する方法を説明する。ライブラリーのため、細胞あたり(約1のプラスミドから約50のプラスミドを含有する)約1のナノ粒子から約10のナノ粒子を使用することは、細胞あたり少数のプラスミドクローンのトランスフェクションを達成するために適しており、従って、哺乳類の提示方法において、効率的な濃縮を達成するであろう。
【0136】
参考文献
明細書で言及された全ての出版物、特許出願、特許、その他の参考文献は、現在開示されている対象が関係する当業者のレベルを示している。明細書で言及された全ての出版物、特許出願、特許、その他の参考文献(例えば、ウェブサイト、データベース、等)は、各個別の出版物、特許出願、特許、その他の参考文献が具体的におよび個々に参照により援用すると示された場合と同程度に、それらの全体を参照により本明細書に援用する。多数の特許出願、特許、その他の参考文献が本明細書に参照されているが、このような参考文献は、これらの文書のいずれかが当該分野で共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことが理解されるだろう。明細書および援用した参考文献のいずれかの間に対立がある場合、(援用した参考文献に基づいているかもしれない、その任意の改変を含む)明細書が優先される。他に明記されていない限り、本明細書では、当該分野で標準に受け入れられている用語の意味が使用される。本明細書では、様々な用語の標準の略語が使用される。
【0137】
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【0138】
前述の対象は、理解を明確にするために説明および例を使用して多少詳しく記載されてきたが、添付の請求項の範囲内で一定の変更および改変が可能なことは、当業者により理解されるであろう。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】