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特表2022-531252サーマルブリッジを有するエアロゾル発生デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】サーマルブリッジを有するエアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220629BHJP
【FI】
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564577
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2020062054
(87)【国際公開番号】W WO2020225098
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】19172656.1
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ブーチュイギュア,レイス・スリマン
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リエル,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】プレブニク,マルコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB13
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC01
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(100)は、エアロゾル基材が、エアロゾルを発生させるように加熱されるために挿入可能である加熱チャンバ(102)を有する。加熱チャンバ(102)は、ケーシング(110)内に収容され、及びアパーチャ(103)であって、それを通して、例えば加熱チャンバ(102)の開放端(114)を通してエアロゾル基材が加熱チャンバ(102)に挿入可能である、アパーチャ(103)が提供される。絶縁体(121)は、加熱チャンバ(102)とケーシング(110)との間に配置され、及びサーマルブリッジ(119;219)は、加熱チャンバ(102)から、例えばアパーチャ(103)の近傍において又は加熱チャンバ(102)の開放端(114)からケーシング(110)に熱を放散させるために配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス(100)であって、
エアロゾル基材が、エアロゾルを発生させるように加熱されるために挿入可能である加熱チャンバ(102)と、
前記加熱チャンバ(102)が収容されるケーシング(110)と、
アパーチャ(103)であって、それを通して前記エアロゾル基材が前記加熱チャンバ(102)に挿入可能である、アパーチャ(103)と、
前記加熱チャンバ(102)と前記ケーシング(110)との間に少なくとも部分的に配置された絶縁体(121)と、
前記加熱チャンバ(102)から前記ケーシング(110)に熱を放散させるために配置されたサーマルブリッジ(119;219)と
を含むエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項2】
前記加熱チャンバ(102)は、前記アパーチャ(103)の近位にある第1端部と、前記加熱チャンバ(102)の前記第1端部と反対側の第2端部とを含み、前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記加熱チャンバ(102)の前記第2端部よりも前記加熱チャンバ(102)の前記第1端部の近くに配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項3】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記アパーチャ(103)を少なくとも部分的に画定する、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項4】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記加熱チャンバ(102)と前記アパーチャ(103)との間に少なくとも部分的に配置される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項5】
前記サーマルブリッジ(119、219)は、前記エアロゾル発生デバイス(100)から外側に面する熱放散面を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項6】
前記サーマルブリッジ(119、219)は、前記ケーシング(110)の熱放散壁に面する熱放散面を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項7】
前記熱放散面は、前記ケーシング(110)の前記熱放散壁と直接接触する、請求項6に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項8】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記加熱チャンバ(102)を内包するように少なくとも部分的に配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項9】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記加熱チャンバ(102)と接触する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項10】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、第1材料を含み、及び前記絶縁体(121)は、第2材料を含み、前記第1材料は、前記第2材料よりも高い熱伝導率を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項11】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、第1材料を含み、及び前記ケーシング(110)は、第2材料を含み、前記第1材料は、前記第2材料よりも高い熱伝導率を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項12】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、金属を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項13】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、アルミニウムを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項14】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、外側にリブがある、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項15】
シャーシ(107)を更に含み、前記サーマルブリッジ(119;219)及びシャーシ(107)の両方は、前記加熱チャンバ(102)を相補的に取り囲み、前記シャーシ(107)は、前記サーマルブリッジ(119;219)よりも低い熱伝導率を有する材料でできている、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項16】
前記シャーシ(107)は、外側にリブがあるか、又は前記ケーシング(110)は、内側にリブがある、請求項15に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項17】
前記シャーシは、プラスチックで本質的にできており、及び前記サーマルブリッジ(119;219)は、金属で本質的にできている、請求項15又は16に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項18】
前記ケーシング(110)は、前記シャーシ(107)を覆う、請求項15~17のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項19】
前記ケーシング(110)は、金属を含み、好ましくは、前記ケーシング(110)は、金属で本質的にできている、請求項15~18のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項20】
前記加熱チャンバ(102)と前記絶縁体(121)との間に延びる取付要素(108)を更に含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項21】
前記取付要素(108)は、前記シャーシ(107)及び前記絶縁体(121)と協働して、前記絶縁体(121)及び前記加熱チャンバを前記エアロゾル発生デバイス(100)内の所定位置に固定する、請求項20に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項22】
前記加熱チャンバ(102)は、フランジ(116)を有し、及び前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記フランジ(116)の表面に対して位置する、請求項15~21のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項23】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、前記取付要素(108)が位置する前記フランジ(116)の表面と反対側の、前記加熱チャンバ(102)の前記フランジ(116)の表面に対して位置する、請求項20又は21に従属する場合の請求項22に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項24】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、第1材料/前記第1材料を含み、及び前記エアロゾル発生デバイス(100)は、前記アパーチャ(103)を少なくとも部分的に画定する外側トリム部(111)を有し、前記外側トリム部(111)は、第3材料を含み、前記第3材料は、前記第1材料よりも低い熱伝導率を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項25】
ヒータを更に含み、及び前記絶縁体(121)は、前記ヒータと前記ケーシング(110)との間に配置される、請求項1~24のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項26】
前記ヒータは、電動式である、請求項25に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項27】
前記絶縁体(121)は、前記ヒータと前記サーマルブリッジ(119;219)との間に配置される、請求項25又は26に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項28】
前記サーマルブリッジ(119;219)は、アパーチャ部分(118)とケーシング部分(120)とを含み、前記アパーチャ部分(118)は、好ましくは、前記アパーチャ(103)に近接して位置し、及び前記ケーシング部分(120)は、好ましくは、前記絶縁体(121)の長さの一部分と前記ケーシング(110)との間に位置する、請求項1~27のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項29】
前記サーマルブリッジ(119;219)の前記アパーチャ部分(118)は、前記アパーチャ(103)を少なくとも部分的に画定する、請求項28に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項30】
前記加熱チャンバ(102)と前記サーマルブリッジ(119;219)との間にスペーシング構成要素(220)を更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項31】
前記スペーシング構成要素(220)は、シリコン、ポリウレタン又はポリエーテルエーテルケトン、PEEKの少なくとも1つから好ましくは選択される耐熱性高分子材料を含む、請求項28に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーマルブリッジを有するエアロゾル発生デバイスに関する。サーマルブリッジは、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバからエアロゾル発生デバイスのケーシング又はエアロゾル発生デバイスの外部に熱を放散させることができる。本開示は、特に、限定はされないが、自立型であり且つ低温で動作し得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。このようなデバイスは、タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を燃焼させるのではなく、伝導、対流及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させるように構成され得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、シガレット、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、使用者が求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、使用者にとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。したがって、基材は、煙及び/又は蒸気を使用者にとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0004】
使用者がデバイスを最初に起動するときと、使用者がエアロゾル基材から所望のエアロゾルを吸引できるときとの間の時間を最小限にするために、エアロゾル基材を、エアロゾルが放出され得る温度まで可能な限り急速に加熱することが望ましい。これは、強力なヒータの使用を伴い、これは、必然的に、エアロゾル発生デバイス全体が高温になる原因となる。更に、使用者は、典型的には、エアロゾル発生デバイスを相当の長時間にわたって使用する場合があり、エアロゾル発生デバイス全体の加熱に伴う問題が悪化する。エアロゾル発生デバイスが高温になり過ぎれば、使用者が手で持つことが不快になる可能性がある。更に悪いことに、使用者が熱により怪我し得るリスクがある場合、エアロゾル発生デバイスは、消費者が使用するのに完全に不適当なものになるであろう。
【0005】
既存のエアロゾル発生デバイスは、加熱チャンバからエアロゾル発生デバイスの外側への熱の伝達を低減することを目的とした絶縁体を含み、効果の程度は、様々である。しかしながら、エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル基材を加熱チャンバに挿入する開口部又はアパーチャを有し、エアロゾル基材の加熱中に発生した熱は、この開口部から放射、対流及び/又は伝導によって漏れ出る傾向がある。これは、軽減することが難しく、使用者が使用中に例えばデバイスからエアロゾルを吸引するために自らの口及び唇を開口部に非常に接近させることによって使用されるエアロゾル発生デバイスで特に問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、添付の特許請求の範囲に述べられている。
【0007】
本開示の一態様によれば、エアロゾル発生デバイスであって、エアロゾル基材が、エアロゾルを発生させるように加熱されるために挿入可能である加熱チャンバと、加熱チャンバが収容されるケーシングと、アパーチャであって、それを通してエアロゾル基材が加熱チャンバに挿入可能である、アパーチャと、加熱チャンバとケーシングとの間に少なくとも部分的に配置された絶縁体と、加熱チャンバからケーシングに熱を放散させるために配置されたサーマルブリッジとを含むエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0008】
サーマルブリッジは、周囲環境に熱を分散させることができるように、加熱チャンバからケーシングの周囲に熱を伝導するための手法を提供し得る。事実上、サーマルブリッジは、ヒートシンクとして機能し得る。しかしながら、ケーシングに熱を伝導することにより、エアロゾル発生デバイスが熱を放散させる能力を更に向上させることができる。
【0009】
任意選択的に、加熱チャンバは、第1端部と第2端部とを含み、第1端部は、第2端部の反対側であり、アパーチャは、加熱チャンバの第1端部の近位に位置し、サーマルブリッジは、加熱チャンバの第2端部よりもアパーチャの近くに配置される。このような構成では、サーマルブリッジは、周囲環境に熱を分散させることができるように、エアロゾル発生デバイスのアパーチャの外面から熱を伝導するための手段を提供し得る。
【0010】
任意選択的に、サーマルブリッジは、アパーチャを少なくとも部分的に画定する。
【0011】
任意選択的に、サーマルブリッジは、加熱チャンバとアパーチャとの間に少なくとも部分的に配置される。
【0012】
任意選択的に、サーマルブリッジは、エアロゾル発生デバイスから外側に面する熱放散面を含む。
【0013】
任意選択的に、サーマルブリッジは、ケーシングの熱放散壁に面する熱放散面を含む。任意選択的に、熱放散面は、ケーシングの熱放散壁と直接接触する。
【0014】
任意選択的に、サーマルブリッジは、加熱チャンバを内包するように少なくとも部分的に配置される。
【0015】
任意選択的に、サーマルブリッジは、加熱チャンバと接触する、例えば直接接触する。
【0016】
任意選択的に、サーマルブリッジは、第1材料を含み、及び絶縁体は、第2材料を含み、第1材料は、第2材料よりも高い熱伝導率を有する。換言すると、サーマルブリッジは、絶縁体よりも熱伝導性が良好である。
【0017】
任意選択的に、サーマルブリッジは、第1材料を含み、及びケーシングは、第2材料を含み、第1材料は、第2材料よりも高い熱伝導率を有する。他のいくつかの例では、サーマルブリッジとケーシングとは、同じ材料を含む。サーマルブリッジは、金属を含み得、好ましくは金属で本質的にできている。より具体的には、サーマルブリッジは、アルミニウムを含み得、より好ましくはアルミニウムで本質的にできている。
【0018】
任意選択的に、サーマルブリッジは、外側にリブがある。
【0019】
任意選択的に、エアロゾル発生デバイスは、シャーシを更に含み、サーマルブリッジ及びシャーシの両方は、加熱チャンバを相補的に取り囲み、シャーシは、サーマルブリッジよりも低い熱伝導率を有する材料でできている。
【0020】
任意選択的に、シャーシは、外側にリブがあるか、又はケーシングは、内側にリブがある。
【0021】
任意選択的に、シャーシは、プラスチックで本質的にできており、及びサーマルブリッジは、金属、好ましくはアルミニウムで本質的にできている。任意選択的に、ケーシングは、シャーシを覆う。任意選択的に、ケーシングは、金属を含み、好ましくは金属で本質的にできている。
【0022】
任意選択的に、サーマルブリッジは、第1材料を含み、及びエアロゾル発生デバイスは、アパーチャを少なくとも部分的に画定する外側トリム部を有し、外側トリム部は、第3材料を含み、第3材料は、第1材料よりも低い熱伝導率を有する。
【0023】
任意選択的に、エアロゾル発生デバイスは、ヒータを更に含み、及び絶縁体は、ヒータとケーシングとの間に配置される。絶縁体は、好ましくは、ヒータとサーマルブリッジとの間にも配置される。ヒータは、電動式であり得る。
【0024】
任意選択的に、エアロゾル発生デバイスは、加熱チャンバと絶縁体との間から延びる取付要素を含む。任意選択的に、取付要素は、シャーシ及び絶縁体と協働して、絶縁体及び加熱チャンバをエアロゾル発生デバイス内の所定位置に固定する。
【0025】
任意選択的に、加熱チャンバは、フランジを有し、及びサーマルブリッジは、フランジの表面に対して位置する。任意選択的に、サーマルブリッジは、取付要素が位置するフランジの表面と反対側の、加熱チャンバのフランジの表面に対して位置する。
【0026】
任意選択的に、サーマルブリッジは、アパーチャ部分とケーシング部分とを含み、アパーチャ部分は、好ましくは、アパーチャに近接して位置し、及びケーシング部分は、好ましくは、絶縁体の長さの一部分とケーシングとの間に位置する。
【0027】
任意選択的に、サーマルブリッジのアパーチャ部分は、アパーチャを少なくとも部分的に画定する。
【0028】
任意選択的に、エアロゾル発生デバイスは、加熱チャンバとサーマルブリッジとの間にスペーシング構成要素を更に含む。
【0029】
任意選択的に、スペーシング構成要素は、耐熱性高分子材料、好ましくはポリエーテルエーテルケトン、PEEKを含む。
【0030】
本開示の別の態様によれば、エアロゾル発生デバイスであって、エアロゾル基材が、エアロゾルを発生させるように加熱されるために挿入可能である加熱チャンバと、加熱チャンバが収容されるケーシングと、加熱チャンバとケーシングとの間に少なくとも部分的に配置された絶縁体と、アパーチャであって、それを通してエアロゾル基材が加熱チャンバに挿入可能である、アパーチャと、ケーシングと熱接触して配置され、且つ/又はエアロゾル発生デバイスから外側に面する熱放散面を含むサーマルブリッジであって、サーマルブリッジの少なくとも一部は、アパーチャの少なくとも一部を画定するか、又は加熱チャンバとアパーチャとの間に少なくとも部分的に配置される、サーマルブリッジとを含むエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0031】
本開示の更に別の態様によれば、エアロゾル発生デバイスであって、エアロゾル基材が、エアロゾルを発生させるように加熱されるために挿入可能である加熱チャンバと、加熱チャンバが収容されるケーシングと、アパーチャであって、それを通してエアロゾル基材が加熱チャンバに挿入可能である、アパーチャと、加熱チャンバとケーシングとの間に少なくとも部分的に配置された絶縁体と、加熱チャンバからエアロゾル発生デバイスの外部に熱を放散させるために配置されたサーマルブリッジとを含むエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0032】
上記の態様のそれぞれは、上記の他の態様に関して言及した任意の1つ以上の特徴を含み得る。
【0033】
「装置」、「デバイス」などの語の使用は、特定のものではなく、一般的なものを意図している。本開示のこれらの特徴は、個々の構成要素を用いて実装され得るが、これらは、同様に、他の適切な構成要素又は構成要素の組み合わせを用いても実装され得る。
【0034】
本明細書で使用されている「含む」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」を意味することに留意されたい。したがって、本明細書において、「含む」という用語を含む表現を解釈する場合、その用語が先行する特徴以外の特徴も存在する可能性がある。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語も同様に解釈される。本明細書で使用する場合、名詞に続く「(s)」は、この名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0035】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化することの意味は、上記で定義した揮発、噴霧及び気化させることの各々と整合することに留意されたい。疑義を回避するために、エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子を含むミスト又は小滴を一貫して記述するために使用される。エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は小滴も含む。
【0036】
ここで、好ましい実施形態を、添付の図面を参照してあくまで一例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】蓋が閉位置にある、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図2】蓋が開位置にある、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図3】エアロゾル基材キャリアが挿入されている、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図4】ケーシングを取り除いた、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図5】ケーシング及びシャーシの一部を取り除いた、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図6】ケーシング及びシャーシの別の部分を取り除いた、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図7】アパーチャの領域における、第1実施形態によるエアロゾル発生デバイスの一部分の概略断面図である。
図8】ケーシングを取り除いた、第2実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略図である。
図9】アパーチャの領域における、第2実施形態によるエアロゾル発生デバイスの一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
第1実施形態
図1図7を参照すると、本開示の第1実施形態によれば、エアロゾル発生デバイス100は、エアロゾル発生デバイス100の様々な構成要素を収容するケーシング110を含む。アパーチャ103が提供されており、それを通してエアロゾル基材が加熱チャンバ102内に挿入され得る。本実施形態では、エアロゾル基材は、基材キャリア104内に提供される。基材キャリア104は、ほぼ長尺状であり、エアロゾル基材は、基材キャリア104の第1端部に向かって又は基材キャリア104の第1端部に位置する。基材キャリア104は、エアロゾル基材と基材キャリア104の第2端部との間において、例えば厚紙又はプラスチック材料の管の形態の導管を提供する。任意選択的に、導管の長さに沿って例えば基材キャリア104の第2端部にフィルタが提供される。エアロゾル基材が加熱チャンバ102内で加熱される際にエアロゾル基材から発生するエアロゾル及び/又は蒸気は、導管を通して引かれ、基材キャリア102の第2端部から使用者によって吸引され得る。基材キャリア102は、エアロゾル基材が加熱チャンバ102内にある状態で(図3に示されるように)アパーチャ103から突出するのに十分な長さを有する。
【0039】
エアロゾル発生デバイス100は、パーソナル吸引器デバイス、電子シガレット(又はeシガレット)、気化器又はベイピングデバイスとして記載される場合がある。図示される実施形態では、エアロゾル発生デバイス100は、加熱非燃焼(HnB)式デバイスである。しかしながら、本開示で想定されるエアロゾル発生デバイス100は、より一般には、従来のタバコ製品のようにタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱して、吸引のためのエアロゾルを発生させる。
【0040】
エアロゾル基材及び基材キャリア104は、消耗物品と呼ばれる場合がある。図示される実施形態では、消耗物品は、加工済みタバコ材料を内包する棒の形態であり、例えば液体エアロゾル形成物を染み込ませた再構成タバコ(RTB)紙の圧着シート又は方向付けられたストリップである。本実施形態の液体エアロゾル形成物は、植物性グリセリン(VG)を含むが、プロピレングリコール(PG)とVGとの混合物であり得る。本実施形態では、消耗物品は、あらゆる香味料又はニコチンを含有しない純粋なVGを使用する。代わりに、RTBから得られた揮発性香味料及びニコチンをエアロゾル形成物と同時に気化させて、得られた凝縮エアロゾル中に同伴させ、これを使用者が吸入する。しかしながら、他の実施形態では、消耗物品は、ニコチン及び他の香味料を含有するエアロゾル形成物を有する。このような場合、消耗物品は、エアロゾル形成物液体を吸収するための他の固体多孔質物質を典型的には含有し、エアロゾル形成物液体は、例えば、タバコを含有する場合も含有しない場合もある、ゲル化剤と適切な結合剤とで形成されるムースである。
【0041】
エアロゾル発生デバイス100のケーシング110は、エアロゾル発生デバイス100の構成要素を適合させるのに適した任意の形状及びサイズであり得るが、一般に長尺状である。アパーチャ103は、エアロゾル発生デバイス100の第1端部113において、例えばケーシング110の長尺状形状の端部の1つに提供されている。図面では、第1端部113は、上部に示されている。エアロゾル発生デバイス100の第2端部115は、アパーチャ103から最も遠い端部であり、図面中の下部に示されている。これは、エアロゾル発生デバイス100が使用中に一般に方向付けられる手法であり、したがって、第1端部113は、上端部と呼ばれる場合があり、第2端部115は、下端部と呼ばれる場合がある。より具体的には、使用者は、使用中、典型的には、エアロゾル発生デバイス100を、第2端部115を下向きにして且つ/又は使用者の口に対して遠位位置に、及び第1端部113を上向きにして且つ/又は使用者の口に対して近接位置に方向付ける。
【0042】
エアロゾル発生デバイス100は、少なくとも2つの位置間、特に閉位置(図1に示されるような)と開位置(図2に示されるような)との間で移動可能であるように配置された蓋109を有する。閉位置において、蓋109は、材料が加熱チャンバ102に入ることができないように、アパーチャ103を塞いでいる。開位置において、アパーチャ103は、アパーチャ103を通した加熱チャンバ102へのアクセスを可能にするために露出される。図示される実施形態では、蓋109は、スライドさせることにより、閉位置と開位置との間で移動できるように配置されている。他の実施形態では、蓋109は、閉位置と開位置との間で枢動し、且つ/又は閉位置と開位置との間で回転するように配置されている。
【0043】
使用者に情報を示すためのインジケータ101がエアロゾル発生デバイス100上に提供されている。この実施形態では、インジケータ101は、光源、例えば発光ダイオード(LED)又は(本実施形態のように)LEDのストリップを含み、インジケータ101は、例えば、第1端部113と第2端部115との間のケーシング110の側面に提供されている。インジケータ101により使用者に示される情報としては、エアロゾル発生デバイス100のステータス(例えば、エアロゾル発生デバイス100がオフであるか、待機モードであるか又はオンであるか)、バッテリーレベル、加熱チャンバ102の温度又はセッション時間の表示が挙げられ得る。
【0044】
エアロゾル発生デバイス100がケーシング110を取り除いた状態で示される図4から最も明確にわかるように、エアロゾル発生デバイス100は、シャーシ107を含む。シャーシ107は、エアロゾル発生デバイス100に構造的完全性を提供する。また、シャーシ107の外観への影響をあまり考慮することなく、ねじ又はスナップフィット接続などの目に見える取付具を使用して、エアロゾル発生デバイス100の構成要素を取り付けることも可能である。むしろ、ケーシング110は、シャーシ107の周囲に適合し、例えばシャーシ107を覆い、それによりエアロゾル発生デバイス100の外側又は外部表面を提供する。これは、ケーシング110がエアロゾル発生デバイス100の可視面の少なくとも大部分を提供することを意味する。
【0045】
この実施形態では、シャーシ107は、プラスチック材料を含み、ケーシング110は、金属を含む。シャーシ107がプラスチック材料であることは、シャーシ107を成形によって簡単且つ安価に形成できることを意味する。プラスチック材料は、金属よりも大幅に低い熱伝導率を有する傾向もある。これは、シャーシ107が一般にケーシング110に比べてより断熱性があることを意味する。金属のケーシング110により、使用者が外部ケーシング110を快適に保持できるようになる。ケーシング110はまた、魅力的な外観を有し、且つ掻き傷、摩耗、変色又は他の劣化に耐えるように、陽極酸化され得るか、処理され得るか、又は例えば粉末コーティングによってコーティングされ得る。外部ケーシング110の金属の熱伝導率がシャーシ107のプラスチック材料に比べて高いことで、加熱チャンバ102からケーシング110に漏れ出るあらゆる熱をケーシング110の周囲により自由に分配することが可能になるため、局所的なホットスポットが減少する。しかしながら、シャーシ107がプラスチック材料であることと、ケーシング110が金属であることとは、必須ではなく、他の実施形態では、シャーシ107及びケーシング110は、他の材料で形成されることに留意されたい。
【0046】
シャーシ107は、2つの部分を含む。アパーチャ103を見る者の方に向けた状態でエアロゾル発生デバイス100を方向付けると、左側部分107aは、左手側であり、右側部分107bは、右手側である。左側部分107aと右側107bとは、エアロゾル発生デバイス100を二分する平面において嵌合する。この平面は、エアロゾル発生デバイス100の長さに平行であり、この長さは、第1端部113と第2端部115との間の方向にあり、エアロゾル発生デバイス100の前部から後部まで、ここで記載されている向きに延びる。事実上、シャーシ107は、例えば、右手部分107bに位置するインジケータ101などの小さい非対称特徴を収容するために、わずかな違いを除いて互いに鏡像である2つのほぼ等しい部分に分割されている。
【0047】
シャーシ107の外部表面は、リブ付きである。即ち、シャーシ107は、その範囲の大部分にわたってほぼ均一な厚さを有する壁117を含み、壁117の外向き表面上にリブ124が提供されている。リブは、外向き表面から直立している。図示される実施形態では、リブ124のほとんどは、ケーシング110の周囲において、エアロゾル発生デバイス100の長さに対してほぼ周方向に延びている。しかしながら、リブ124の少なくとも1つは、エアロゾル発生デバイス100の長さに沿って他のリブ124にほぼ垂直に延びている。換言すると、シャーシ107は、互いに例えば垂直に交差するリブ124を有する。リブ124は、壁117のみの場合と比べてシャーシ107の構造的完全性を高め、壁117自体を厚くすることにより付加される可能性があるほどの重量を付加しない。
【0048】
ケーシング110は、シャーシ107に直接嵌合される。シャーシ107と同様に、図示される実施形態では、ケーシング110は、2つの部分を含む。アパーチャ103を見る者の方に向けた状態でエアロゾル発生デバイス100を方向付けると、左側部分110aは、左手側であり、右側部分110bは、右手側である。左側部分110aと右側110bとは、シャーシ107の左側部分107aと右側部分107bとが嵌合する平面と同じ平面において嵌合する。したがって、シャーシ107と同様に、ケーシング110は、例えば、右手部分110bに位置するインジケータ101などの小さい非対称特徴を収容するために、わずかな違いを除いて互いに鏡像である2つのほぼ等しい部分に分割されている。
【0049】
この実施形態では、ケーシング110の内向き表面及び外向き表面の両方は、滑らかである。内向き表面は、シャーシ107の外側範囲、例えば図示される実施形態ではリブ124の外側範囲に追従するように起伏を付けられている。ケーシング110の内向き表面は、シャーシ107の外側範囲と面一に嵌合する。これにより、ケーシング110をシャーシ107に例えば接着剤によって確実に接合できるようになる。有利には、シャーシ107のリブ124間の空間は、シャーシ107の壁とケーシング110の内向き表面との間に間隙を提供する。これらの間隙は、単に空気で充填され得る。空気は、それ自体、大気圧において多くのプラスチック材料よりも低い熱伝導率を有する良好な絶縁体である。したがって、シャーシ107のリブ124は、加熱チャンバ102とケーシング110との間におけるエアロゾル発生デバイス100の絶縁特性を有利に向上させる。この実施形態の変形形態では、ケーシングの内面は、リブ124を有し、シャーシは、外側が滑らかである。別の変形形態では、ケーシングの内面及びシャーシの外面の両方がリブ付きである。
【0050】
第1実施形態では、ケーシング110は、アパーチャ103及び蓋109が提供されているエアロゾル発生デバイス100の第1端部113の全体にわたって延びない。むしろ、エアロゾル発生デバイス100は、第1端部113にトリム部111を有する。トリム部111は、アパーチャ103の周囲に少なくとも部分的に延び、図示される実施形態では全体に延びる。換言すると、トリム部111は、アパーチャ103を少なくとも部分的に画定する。トリム部111は、蓋109の下、即ち蓋109とエアロゾル発生デバイス100の残部との間にも延びる。この第1実施形態では、トリム部111は、プラスチック材料、例えばシャーシ107と同じ材料を含む。トリム部111は、シャーシ107の左側部分107aと右側部分107bとの間に保持されている。トリム部111は、使用中、使用者の口に最も近接するエアロゾル発生デバイス100の部分である。
【0051】
エアロゾル発生デバイス100の内部構成要素は、ケーシング110とシャーシ107の右側部分107bとが取り除かれた図5において、且つケーシング110とシャーシ107全体とが取り除かれた図6において最も明確に見ることができる。加熱チャンバ102(又はオーブン)は、絶縁体121によって取り囲まれていることがわかる。インジケータ101もエアロゾル発生デバイス100の電源112、例えばセル又はバッテリーと共によりよく見える。1つのポイントは、両方ともほぼ円筒状である絶縁体121と電源112とが、これらをシャーシ107及びケーシング110の内部にコンパクトに詰めるために隣り合わせに配置されていることである。
【0052】
より詳細には、加熱チャンバ102は、エアロゾル発生デバイス101の第1端部113の方に位置する。加熱チャンバ102は、ほぼカップ形状であり、開放端114がエアロゾル発生デバイス100の第1端部113の方に位置し、この開放端114を通してエアロゾル基材が加熱チャンバ102(図7を参照)に入ることができる。エアロゾル発生デバイス100のアパーチャ103は、加熱チャンバ102の開放端114と合致する。図示される実施形態では、アパーチャ103は、加熱チャンバ102の内径よりもわずかに大きい直径を有する実質的に円形である。エアロゾル基材キャリア104は、加熱チャンバ102の内径と同様の直径を有する実質的に円筒状であり、したがってアパーチャ103及び加熱チャンバ102の開放端114を困難なく通過することができる。しかしながら、アパーチャ103及びエアロゾル基材キャリア104は、エアロゾル基材を加熱チャンバ102内で加熱できるように、エアロゾル基材キャリア104の少なくとも一部を、アパーチャ103を通して加熱チャンバ102に受け入れることができる限り、任意の形状又はサイズであり得る。
【0053】
加熱チャンバ102は、絶縁体121内に取り付けられている。図7から最も明確にわかるように、加熱チャンバ102は、開放端114において外向きに突出したフランジ116を有する。フランジ116は、環状であり、例えば加熱チャンバ102の開放端114の周囲全体に延びる。フランジ116は、加熱チャンバ102の側壁から半径方向外向きに延びる。図示される実施形態では、フランジ116は、側壁に垂直に、例えば加熱チャンバ102の中心軸線を有する平面内においてこの中心軸線に垂直に延びる。
【0054】
絶縁体121内に加熱チャンバ102を取り付け、加熱チャンバ102と絶縁体121との組み合わせをエアロゾル発生デバイス内又はより具体的にはシャーシ107に取り付けるために、取付要素108が提供される。取付要素108は、ほぼ環状であり、例えば加熱チャンバ102の開放端114において、加熱チャンバ102の外縁部及び絶縁体121の周囲に延びる。取付要素108は、加熱チャンバ102を絶縁体121から離隔する。より具体的には、取付要素108は、加熱チャンバ102の開放端114において加熱チャンバ102と絶縁体121との間に位置する。加熱チャンバ102の寸法及び絶縁体121の寸法は、絶縁体121の内壁によって画定される空所内に加熱チャンバ102が嵌合するようなものである。加熱チャンバが絶縁体の空所に挿入されることにより、加熱チャンバ102と絶縁体121との間の唯一の接触は、取付要素108を介したものになる。加熱チャンバ102と絶縁体121との間の別の場所の空間には空気が充填されるため、加熱チャンバ102と絶縁体121との互いの接触がより大きい構成に比べて、加熱チャンバ102と絶縁体121との間の熱的分離が向上する。図示される実施形態では、取付要素108は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。PEEKは、熱劣化に対する耐性が高く、且つ低い熱伝導率を有することが理由で使用される。他の熱可塑性材料などの他の材料を使用することもできる。
【0055】
絶縁体121は、加熱チャンバ102の開放端114以外で加熱チャンバ102を取り囲む。いくつかの実施形態では、絶縁体121は、繊維状又は発泡材料、例えばウールである。図示される実施形態では、絶縁体121は、入れ子状の管又はカップの対を含み、それらの間に空洞を内包している。この空洞は、熱絶縁材料、例えば繊維、発泡体、ゲル若しくは(例えば、低圧の)ガスで充填され得、及び/又は空洞は、真空を含み得る。有利には、真空では、高断熱を得るために非常にわずかな厚みのみを必要とする。絶縁体121が開放端114以外で加熱チャンバ102を取り囲むことが理解されるであろう。したがって、加熱チャンバ102からケーシング110への熱の流れを阻止又は制限する。更に、ヒータ(図示せず)は、典型的には、加熱チャンバ102の外部表面上に位置し、絶縁体121は、このヒータを同様に取り囲んでもいる。
【0056】
取付要素108は、加熱チャンバ102と絶縁体121(加熱チャンバ102の開放端114に近接する絶縁体121の端部の周囲)との間から絶縁体121の外部表面に延びる。取付要素108は、シャーシ107及び絶縁体121の外部表面と協働して、絶縁体121及び加熱チャンバ102をエアロゾル発生デバイス100内の所定位置に固定する。加熱チャンバ102が絶縁体121の内部に入れ子状になっているのとほぼ同じように、絶縁体121とシャーシ107との間に空間がある状態で絶縁体121を収容するために、シャーシ107内に空所がある。
【0057】
追加的な取付要素(図示せず)は、加熱チャンバ102の開放端114に近接する端部の反対側にある絶縁体121の端部に提供されている。しかしながら、絶縁体121は、取付要素108及び追加的な取付要素を介してのみシャーシ107と接触し、別の場所では接触しない。これもまた、エアロゾル発生デバイス100の外側、例えばケーシング110に対する加熱チャンバ102の熱的分離を向上させる。
【0058】
加熱チャンバ102及び絶縁体121は、サーマルブリッジ119により、エアロゾル発生デバイス100内の所定位置に更に保持される。サーマルブリッジ119は、取付要素108が位置するフランジ116の表面と反対側の、加熱チャンバ102のフランジ116の表面に対して位置する。したがって、フランジ116は、サーマルブリッジ119と取付要素108との間に保持されている。図示される実施形態では、サーマルブリッジ119とフランジ116との間において、嵌合を向上させるためのガスケット125があるが、これは、必須ではない。サーマルブリッジ119自体は、アパーチャ103の近傍でシャーシ107に取り付けられており、エアロゾル発生デバイス100の第1端部113に向けた加熱チャンバ102及び絶縁体121の移動を防止するように機能する。
【0059】
図示される実施形態では、サーマルブリッジ119は、アパーチャ部分118とケーシング部分120とを含む。サーマルブリッジ119のアパーチャ部分118は、アパーチャ103に近接して位置し、及びケーシング部分120は、絶縁体121の長さの一部分とケーシング110との間に位置する。サーマルブリッジ119のアパーチャ部分118は、エアロゾル発生デバイス100のアパーチャ103、特にアパーチャ103の内部部分を少なくとも部分的に画定する。より詳細には、サーマルブリッジ119のアパーチャ部分118は、この実施形態ではアパーチャ103の周囲全体に延びるが、他の実施形態ではアパーチャ103の周囲の一部のみに延びる。図示される実施形態では、サーマルブリッジ119のアパーチャ部分118は、その中を通る穴を有し、この穴は、エアロゾル発生デバイス100にアパーチャ103を提供する。サーマルブリッジ119のケーシング部分120は、外部リブ124を備える壁123を含む。外部リブ124は、加熱チャンバ102に対して外側に面する壁123の表面から突出する。リブ124は、サーマルブリッジ119のケーシング部分120の表面積を増加させる役割を果たす。
【0060】
図示される実施形態では、サーマルブリッジ119のアパーチャ部分118とケーシング部分120とは、単一の連続部品である。サーマルブリッジ119は、金属を含む。この実施形態では、金属は、アルミニウムである。アルミニウムは、その高熱伝導率のために、且つ比較的軽量であり、他の金属に比べて簡単に製造を行えることから使用される。他の実施形態では、サーマルブリッジ119は、アルミニウムの合金又はそれ以外の金属若しくは材料、例えば銅、鉄、鋼又はそれらの任意の合金を含む。
【0061】
この第1実施形態では、サーマルブリッジ119のケーシング部分120の外向き表面は、ケーシング110と良好に熱接触している。これは、サーマルブリッジ119のケーシング部分120とケーシング110との間に熱ペースト又は他の好適な材料を使用することによって達成され得る。他の実施形態では、これは、サーマルブリッジ119とケーシング110との間の密な物理的接触を確実にすることによってのみ達成される。
【0062】
サーマルブリッジ119は、加熱チャンバの開放端114からケーシング110に熱を流すための経路を提供するために配置されている。ケーシング110自体が比較的高い熱伝導率を有するため、例えば金属を含むため、加熱チャンバの開放端114からサーマルブリッジ119を通してケーシング110に流れる熱は、ケーシング110によって伝導され、それによりケーシング110の周囲に拡散される。ケーシング110は、エアロゾル発生デバイス100の外部表面となるため、熱は、エアロゾル発生デバイス100から効果的に放射され得る。この構成では、反直観的に、熱を加熱チャンバ102内に更に捕捉しようとするのではなく、開放端114において加熱チャンバ102から逃げる熱をエアロゾル発生デバイス100のアパーチャ103から遠ざけるようにする方がよいと認識する。これにより、エアロゾル発生デバイス100のアパーチャ103の近傍が不必要に高温になることを、開放端114において加熱チャンバ102内に熱を更に捕捉しようとする構成に比べてより効果的に防止する。
【0063】
上述したように、トリム部111は、エアロゾル発生デバイス100の第1端部113においてサーマルブリッジ119を覆っている。トリム部111は、サーマルブリッジ119よりも低い熱伝導率の材料を含むため、加熱チャンバの開放端114からの熱がトリム部に、したがって第1端部113においてエアロゾル発生デバイス100の外部表面に流れることが阻止又は制限される。
【0064】
第1実施形態に基づくサンプルエアロゾル発生デバイスの実験的解析において、エアロゾル発生デバイス100の温度がほぼ定常状態に達するように、エアロゾル発生デバイス100の加熱チャンバ102を繰り返し使用し、エアロゾル基材を室温環境で加熱した。図3に示されるポイントAにおいて、エアロゾル発生デバイス100の外部表面の温度は、約37℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントBは、約35℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントCは、約33℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントDは、約29℃に達し、シャーシ107の内部表面のポイントEは、約46℃に達したことが判明した。
【0065】
第2実施形態
図8及び図9を参照すると、本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生デバイス100は、第2実施形態のサーマルブリッジ219がトリム部111の位置にあり、異なる形態を有すること以外、第1実施形態のエアロゾル発生デバイス100と同一である。
【0066】
より詳細には、第2実施形態のサーマルブリッジ219は、絶縁体121の周囲に延びない。事実上、第1実施形態のサーマルブリッジ119のケーシング部分120は、省略されており、第1実施形態のサーマルブリッジ119のアパーチャ部分118は、第1実施形態のトリム部111を代替するように適合されている。第2実施形態のサーマルブリッジ219は、アパーチャ103を少なくとも部分的に画定する。より具体的には、サーマルブリッジ219は、この実施形態ではアパーチャ103の周囲全体に延びるが、他の実施形態ではアパーチャ103の周囲の一部のみに延びる。図示される実施形態では、サーマルブリッジ219は、その中を通る穴を有し、この穴は、エアロゾル発生デバイス100にアパーチャ103を提供する。サーマルブリッジ219は、ケーシング110によって所定位置に保持されている。即ち、サーマルブリッジ219の周縁部は、例えば、ケーシング110の左側部分110aと右側部分110bとの間でケーシング110に接触している。
【0067】
スペーサ220は、サーマルブリッジ219と加熱チャンバ102のフランジ116との間に延びる。図示される実施形態では、スペーサ220とフランジ116との間において、嵌合を向上させるためのガスケット125もある。スペーサ220は、その中に穴を有し、この穴は、サーマルブリッジ219の穴と同様の寸法であり、2つの穴は、これらがアパーチャ103を共に画定するように位置合わせされる。スペーサ220は、ほぼ管状である。この実施形態では、スペーサ220は、PEEKを含む。PEEKは、加熱チャンバ102のフランジ116からサーマルブリッジ219への伝導による熱の伝達を阻止又は制限するため、有用である。サーマルブリッジ219は、金属、この実施形態ではアルミニウムを含む。サーマルブリッジ219は、代わりに、アルミニウム合金を含み得る。銅、鉄、鋼又はその任意の合金などの他の材料も使用し得る。
【0068】
第1実施形態と同様に、熱を加熱チャンバ102内に更に捕捉しようとするのではなく、第2実施形態のサーマルブリッジ219も、開放端114において加熱チャンバ102から逃げる熱をエアロゾル発生デバイス100のアパーチャ103から遠ざけようとする。これは、サーマルブリッジ219がアパーチャ103の周縁部からケーシング110に向けて熱を伝導させることによって達成される。特に、サーマルブリッジ219は、エアロゾル発生デバイスの第1端部113上でアパーチャ103の周囲に延びる。サーマルブリッジ219は、蓋109の下、即ち蓋109とエアロゾル発生デバイス100の残部との間にも延びる。サーマルブリッジ219は、ケーシング110の左側部分110aと右側部分110bとの間に保持されている。サーマルブリッジ219の周縁部は、ケーシング110と直接接触している。例えば、エアロゾル発生デバイス100の外側又は外部表面上の第1端部113にサーマルブリッジ219を位置付けることにより、サーマルブリッジ219がアパーチャ103から周囲に熱を放射できるようにする。更に、ケーシング110と熱接触していることにより、熱は、サーマルブリッジ219からケーシング110に流れ、ケーシング110の周囲に拡散することができ、そこで周囲環境に放射され得る。互いに接触しているサーマルブリッジ219の表面とケーシング110の表面は、密に嵌合し得、且つ/又は熱ペースト若しくはそれ以外の熱伝導媒体を表面間に適用し、サーマルブリッジ219からケーシング110への良好な熱伝導を確実とすることができる。
【0069】
第2実施形態に基づくサンプルエアロゾル発生デバイスの実験的解析において、エアロゾル発生デバイス100の温度がほぼ定常状態に達するように、エアロゾル発生デバイス100の加熱チャンバ102を繰り返し使用し、エアロゾル基材を室温環境で加熱した。図3に示されるポイントAにおいて、エアロゾル発生デバイス100の外部表面の温度は、約36℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントBは、約33℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントCは、約32℃に達し、エアロゾル発生デバイス100の外部表面のポイントDは、約29℃に達し、シャーシ107の内部表面のポイントEは、約46℃に達したことが判明した。これらの温度は、少なくともケーシング110の外部表面に関する限り、第1実施形態に基づくエアロゾル発生デバイスによって達成される温度よりもわずかに低いことが理解されるであろう。しかしながら、これを相殺するものとして、第2実施形態におけるアパーチャ103を取り囲む金属(即ちサーマルブリッジ219の金属表面)の存在により、プラスチック材料のこのトリム部111が、アパーチャ103を取り囲む表面上に存在する第1実施形態に比べて、その近傍においてエアロゾル発生デバイス100からより多くの熱が放射されることになり得ることが判明した。使用中にエアロゾル発生デバイス100のこの部分に使用者の口が近接することを考えると、これは、使用者の経験に対する顕著な差を生じさせ、測定値が逆を示しているにもかかわらず、アパーチャ103を取り囲む表面の温度が、第2実施形態の方が第1実施形態よりも高いという認識になる。
【0070】
定義及び代替的な実施形態
上述した説明から、様々な実施形態の多くの特徴が互いに交換可能であることが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態の特徴を、具体的に言及されていない形態で一緒に組み合わせたものを含む更なる実施形態に及ぶ。
【0071】
本明細書で使用する場合、「蒸気(vapour)」(又は「蒸気(vapor)」)という用語は、以下を意味する:(i)液体が十分な程度の熱の作用によって自然に変換される形態、又は(ii)大気中に浮遊し、スチーム/煙の雲として見える液体/湿気の粒子、又は(iii)気体のように空間を満たすが、臨界温度を下回っているときに圧力のみで液化できる流体。
【0072】
この定義と整合して、「気化させる(vaporise)」(又は「気化させる(vaporize)」)という用語は、以下を意味する:(i)蒸気に変化させるか又は蒸気への変化を生じさせ、及び(ii)粒子が物理状態を変化させる場合(即ち液体又は固体から気体状態に)。
【0073】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化することの意味は、上記で定義した揮発、噴霧及び気化させることの各々と整合することに留意されたい。疑義を回避するために、エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子を含むミスト又は小滴を一貫して記述するために使用される。エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は小滴も含む。
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図2
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図9
【国際調査報告】