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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】音響出力装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20220629BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H04R1/10 101Z
H04R9/02 102E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564584
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020084161
(87)【国際公開番号】W WO2020220970
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】201910364346.2
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888762.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888067.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンジアン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ビンヤン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フェンユン・リャオ
(72)【発明者】
【氏名】シン・チ
【テーマコード(参考)】
5D005
5D012
【Fターム(参考)】
5D005BA07
5D005BA12
5D005BD01
5D012BB07
(57)【要約】
本開示は、音響出力装置を提供する。音響出力装置は、音響出力構成要素と、音響出力構成要素が周囲と音響的に通信することを可能にする音響的に開放された構造を形成する支持構造体とを備え得る。音響出力構成要素は、複数の音響ドライバを含み得、複数の音響ドライバのそれぞれは、周波数範囲を有する音を出力するように構成され得る。音響ドライバの少なくとも1つは、第1の磁場を生成するための磁気システムを含み得る。磁気システムは、第2の磁場を生成するための第1の磁性部品および少なくとも1つの第2の磁性部品を含み得る。第1の磁性部品と少なくとも1つの第2の磁性部品との間に磁気ギャップが形成され得る。磁気ギャップ内の第1の磁場の磁場強度は、磁気ギャップ内の第2の磁場の磁場強度よりも大きくてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力構成要素と、
ユーザの耳に近接する前記音響出力構成要素を支持するための支持構造体であって、前記音響出力構成要素が周囲と音響的に通信することを可能にする音響的に開放された構造を形成する支持構造体と、を備え、
前記音響出力構成要素が、それぞれ異なる周波数範囲を有する音を出力するように構成された複数の音響ドライバを含み、
前記複数の音響ドライバのうちの少なくとも1つが、第1の磁場を生成するための磁気システムを含み、
前記磁気システムが、第2の磁場を生成するための第1の磁性部品と、前記第1の磁性部品を取り囲む少なくとも1つの第2の磁性部品と、を含み、
前記第1の磁性部品と前記少なくとも1つの第2の磁性部品との間に磁気ギャップが形成され、前記磁気ギャップ内における前記第1の磁場の磁場強度が、前記磁気ギャップ内における前記第2の磁場の磁場強度よりも大きい、音響出力装置。
【請求項2】
前記支持構造体が、前記音響出力構成要素を前記ユーザの耳に吊るすための耳フックを含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記支持構造体は、前記音響出力装置が前記ユーザによって装着されたときに前記ユーザの頭の上に配置されるヘッドバンドを含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記支持構造体が、前記ユーザの外耳道の開口部の近くに前記音響出力構成要素を固定するように構成された固定部品を含み、
前記固定部品が、前記外耳道を塞ぐことなく前記外耳道に配置される、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記複数の音響ドライバが、
第1の周波数範囲を有する第1の音を出力するように構成された第1の音響ドライバと、
前記第1の周波数範囲よりも高い周波数を含む第2の周波数範囲を有する第2の音を出力するように構成された第2の音響ドライバと、を含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記支持構造体が、複数の第1の音誘導穴と複数の第2の音誘導穴とを含み、
前記第1の音が前記複数の第1の音誘導穴から出力され、
前記第2の音が前記複数の第2の音誘導穴から出力される、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記第1の音響ドライバと前記複数の第1の音誘導穴との間の第1の音響経路と、
前記第2の音響ドライバと前記複数の第2の音誘導穴との間の第2の音響経路と、をさらに備え、
前記第1の音響経路と前記第2の音響経路とが異なる周波数選択特性を有する、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記複数の第1の音誘導穴が、第1の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第1の音誘導穴を含み、
前記複数の第2の音誘導穴が、第2の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第2の音誘導穴を含み、
前記第1の距離が前記第2の距離よりも大きい、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第1の距離が20mmから40mmの範囲内にあり、前記第2の距離が3mmから7mmの範囲内にある、請求項8に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記複数の第2の音誘導穴のうちの少なくとも1つが、前記複数の第1の音誘導穴のうちの少なくとも1つよりも前記ユーザの外耳道に近い、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記支持構造体が、前記第1の音響ドライバを収容するための第1のハウジングを含み、
前記第1のハウジングが、前記第1の音響ドライバのいずれかの側に配置された第1のチャンバおよび第2のチャンバを含む、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第1のチャンバが一対の第1の音誘導穴の一方に音響的に結合されていて、
前記第2のチャンバが前記一対の第1の音誘導穴の他方に音響的に結合されている、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記支持構造体が、前記第2の音響ドライバを収容するための第2のハウジングを含み、
前記第2のハウジングが、前記第2の音響ドライバのいずれかの側に配置された第3のチャンバおよび第4のチャンバを含む、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第3のチャンバが一対の第2の音誘導穴の一方に音響的に結合されていて、
前記第4のチャンバが前記一対の第2の音誘導穴の他方に音響的に結合されている、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記第1の音が、一対の第1の音誘導穴の一方から出力される第1の部分と、前記一対の第1の音誘導穴の他方から出力される第2の部分とを含み、
前記第1の部分が、前記第2の部分に対して逆位相を有する、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記第1の周波数範囲が650Hz未満の周波数を含み、前記第2の周波数範囲が1000Hzを超える周波数を含む、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記第1の周波数範囲と前記第2の周波数範囲とが互いに重複する、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記第1の音響ドライバおよび前記第2の音響ドライバを制御するように構成された制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、ソース信号を、
前記第1の音響ドライバを駆動して前記第1の音を出力するための前記第1の周波数範囲に対応する低周波信号と、
前記第2の音響ドライバを駆動して前記第2の音を出力するための前記第2の周波数範囲に対応する高周波信号とに分割するように構成された分周モジュールを含む、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記分周モジュールが、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、またはデジタルフィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の音響出力装置。
【請求項20】
前記第1の音響ドライバが第1の電気音響変換器を含み、
前記第2の音響ドライバが第2の電気音響変換器を含み、
前記第1の電気音響変換器と前記第2の電気音響変換器とが異なる周波数応答を有する、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項21】
前記磁気システムが、前記第1の磁性部品の第1の表面に機械的に接続された第1の磁性伝導性部品をさらに含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記第1の磁性部品の前記第1の表面の反対側の前記第1の磁性部品の第2の表面に機械的に接続された第2の磁性伝導性部品と、
前記第2の磁性伝導性部品および前記少なくとも1つの第2の磁性部品のそれぞれに機械的に接続されている少なくとも1つの第3の磁性部品と、をさらに備える請求項21に記載の音響出力装置。
【請求項23】
前記磁気ギャップ内に配置され、前記第1の磁性部品および前記第2の磁性伝導性部品のそれぞれに機械的に接続された少なくとも1つの第4の磁性部品をさらに備える請求項22に記載の音響出力装置。
【請求項24】
前記第1の磁性部品と前記第1の磁性伝導性部品と前記第2の磁性伝導性部品のうちの少なくとも1つに機械的に接続された少なくとも1つの導電性部品をさらに備える請求項22に記載の音響出力装置。
【請求項25】
前記第1の磁性伝導性部品に機械的に接続された少なくとも1つの第5の磁性部品をさらに備え、
前記少なくとも1つの第5の磁性部品と前記第1の磁性部品とが、前記第1の磁性伝導性部品の反対側に配置される、請求項21に記載の音響出力装置。
【請求項26】
前記第1の磁場の磁場漏れを抑制するための第3の磁性伝導性部品をさらに備え、
前記第3の磁性伝導性部品が、前記第5の磁性部品に機械的に接続されており、
前記第3の磁性伝導性部品と前記第1の磁性伝導性部品とが、前記第5の磁性部品の反対側に配置されている、請求項25に記載の音響出力装置。
【請求項27】
外部電源の充電インターフェースを吸収するときに前記音響出力装置を充電するように構成される磁気コネクタをさらに備える請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項28】
前記磁気コネクタが、
磁気吸着環と、
複数の収容穴を含む絶縁ベースであって、前記絶縁ベースの少なくとも一部が前記磁気吸着環に挿入される、絶縁ベースと、
それぞれ前記複数の収容穴のうちの1つに収容される複数の端子と、を含む、請求項27に記載の音響出力装置。
【請求項29】
前記絶縁ベースが支持部材および挿入部材を含み、
前記支持部材の断面が前記挿入部材の断面よりも大きく、
前記磁気吸着環が、前記支持部材と前記挿入部材とによって形成される収容空間内に挿入される、請求項28に記載の音響出力装置。
【請求項30】
前記磁気吸着環と前記絶縁ベースとを収容するためのハウジングをさらに備える請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項31】
前記ハウジングが、本体と、前記本体の端部にあるフランジとを含み、
前記本体は、前記絶縁ベースおよび前記磁気吸着環上でスリーブ化され、
前記フランジが、前記磁気吸着環の端部を覆っている、請求項30に記載の音響出力装置。
【請求項32】
前記支持部材の外周壁と前記本体の内周壁とが、バックル接続を介して機械的に接続されている、請求項31に記載の音響出力装置。
【請求項33】
前記磁気吸着環が円形状を有し、
前記複数の端子のそれぞれが、前記磁気吸着環と同心の収縮面を有する、請求項28に記載の音響出力装置。
【請求項34】
前記磁気吸着環が回転中心に対して回転対称であり、
第1の方向に沿った前記磁気吸着環の長さが第2の方向に沿った前記磁気吸着環の長さとは異なり、前記第1の方向と前記第2の方向とが前記回転中心において互いに垂直である、請求項28に記載の音響出力装置。
【請求項35】
前記磁気吸着環が複数の環状部分を含み、前記複数の環状部分の隣接する環状部分の少なくとも一対が各端面で異なる磁気極性を有する、請求項28に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月19日に出願された中国特許出願第201910888067.6号、2019年9月19日に出願された中国特許出願第201910888762.2号、および2019年4月30日に出願された中国特許出願第201910364346.2号の優先権を主張し、これらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、音響装置に関するものであり、より具体的には、開放型音響出力装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
音響技術の発展に伴い、音響出力装置が広く使用されてきた。開放型両耳音響出力装置は、ユーザの特定の範囲内での音の伝導を容易にする携帯型オーディオ装置である。この場合、音響出力装置が音(例えば、音楽、ニュース放送、天気予報など)をユーザに配信するときに、ユーザは周囲環境内で音を聞くことができる。しかしながら、開放型両耳音響出力装置の開放型構造はまた、ある程度の音漏れも引き起こし得る。したがって、音漏れを低減し、特定の音源からの音を効果的に増強するための音響出力装置および/または方法を提供し、それによってユーザのオーディオ体験を改善することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/220720号
【特許文献2】国際公開第2020/220721号
【特許文献3】国際公開第2020/220722号
【特許文献4】国際公開第2020/220723号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、音響出力装置が提供される。音響出力装置は、音響出力構成要素と、ユーザの耳に近接する音響出力構成要素を支持するための支持構造体とを備え得る。支持構造体は、音響出力構成要素が周囲と音響的に通信することを可能にする音響的に開放された構造を形成し得る。音響出力構成要素は、複数の音響ドライバを含み得る。複数の音響ドライバのそれぞれは、ある周波数範囲で音を出力するように構成され得る。異なる音響ドライバによって出力される音の周波数範囲は異なり得る。複数の音響ドライバのうちの少なくとも1つは、第1の磁場を生成するための磁気システムを含み得る。磁気システムは、第2の磁場を生成するための第1の磁性部品と、第1の磁性部品を取り囲む少なくとも1つの第2の磁性部品とを含み得る。第1の磁性部品と少なくとも1つの第2の磁性部品との間に磁気ギャップが形成され得る。磁気ギャップ内の第1の磁場の磁場強度は、磁気ギャップ内の第2の磁場の磁場強度よりも大きくてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、音響出力構成要素をユーザの耳に吊るすための耳フックを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、音響出力装置がユーザによって装着されたときに、ユーザの頭の上に配置されるヘッドバンドを含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、ユーザの外耳道の開口部の近くに音響出力構成要素を固定するように構成された固定部品を含み得る。固定部品は、外耳道を塞ぐことなく外耳道に配置され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の音響ドライバは、第1の周波数範囲で第1の音を出力するように構成された第1の音響ドライバと、第2の周波数範囲で第2の音を出力するように構成された第2の音響ドライバとを含み得る。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲よりも高い周波数を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、複数の第1の音誘導穴および複数の第2の音誘導穴を含み得る。第1の音は、複数の第1の音誘導穴から出力されてもよく、第2の音は、複数の第2の音誘導穴から出力されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の音響ドライバと複数の第1の音誘導穴との間の第1の音響経路、および第2の音響ドライバと複数の第2の音誘導穴との間の第2の音響経路をさらに備え得る。第1の音響経路および第2の音響経路は、異なる周波数選択特性を有し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の第1の音誘導穴は、第1の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第1の音誘導穴を含み得る。複数の第2の音誘導穴は、第2の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第2の音誘導穴を含み得る。第1の距離は、第2の距離よりも大きくてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の距離は、20mmから40mmの範囲にあり得、第2の距離は、3mmから7mmの範囲にあり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の第2の音誘導穴のうちの少なくとも1つは、複数の第1の音誘導穴のうちの少なくとも1つよりも、ユーザの外耳道に近くてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、第1の音響ドライバを収容するための第1のハウジングを含み得る。第1のハウジングは、第1の音響ドライバのいずれかの側に配置された第1のチャンバおよび第2のチャンバを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、一対の第1の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。第2のチャンバは、一対の第1の音誘導穴の他方に音響的に結合され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、第2の音響ドライバを収容するための第2のハウジングを含み得る。第2のハウジングは、第2の音響ドライバのいずれかの側に配置された第3のチャンバおよび第4のチャンバを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第3のチャンバは、一対の第2の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。第4のチャンバは、一対の第2の音誘導穴の他方に音響的に結合され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の音は、一対の第1の音誘導穴の一方から出力される第1の部分と、一対の第1の音誘導穴の他方から出力される第2の部分とを含み得る。第1の部分は、第2の部分に対して逆位相を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲は、650Hz未満の周波数を含み得、第2の周波数範囲は、1000Hzを超える周波数を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲および第2の周波数範囲は、互いに重複してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の音響ドライバおよび第2の音響ドライバを制御するように構成された制御装置をさらに備え得る。制御装置は、第1の音響ドライバを駆動して第1の音を出力するための第1の周波数範囲に対応する低周波信号と、第2の音響ドライバを駆動して第2の音を出力するための第2の周波数範囲に対応する高周波信号とにソース信号を分割するように構成された分周モジュールを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、分周モジュールは、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、またはデジタルフィルタのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバは、第1の電気音響変換器を含み得る。第2の音響ドライバは、第2の電気音響変換器を含み得る。第1の電気音響変換器および第2の電気音響変換器は、異なる周波数応答を有し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、磁気システムは、第1の磁性部品の第1の表面に機械的に接続された第1の磁性伝導性部品をさらに含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の磁性部品の第2の表面および少なくとも1つの第3の磁性部品に機械的に接続された第2の磁性伝導性部品をさらに備え得る。第2の表面は、第1の磁性部品の第1の表面と反対であり得る。少なくとも1つの第3の磁性部品は、第2の磁性伝導性部品および少なくとも1つの第2の磁性部品のそれぞれに機械的に接続することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、磁気ギャップ内に配置され、第1の磁性部品および第2の磁性伝導性部品のそれぞれに機械的に接続された少なくとも1つの第4の磁性部品をさらに備え得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の磁性部品、第1の磁性伝導性部品、または第2の磁性伝導性部品のうちの少なくとも1つに機械的に接続された少なくとも1つの導電性部品をさらに備え得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の磁性伝導性部品に機械的に接続された少なくとも1つの第5の磁性部品をさらに備え得る。少なくとも1つの第5の磁性部品および第1の磁性部品は、第1の磁性伝導性部品の反対側に配置することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の磁場の磁場漏れを抑制するための第3の磁性伝導性部品をさらに備え得る。第3の磁性伝導性部品は、第5の磁性部品に機械的に接続され得る。第3の磁性伝導性部品および第1の磁性伝導性部品は、第5の磁性部品の反対側に配置することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、磁気コネクタが外部電源の充電インターフェースを吸収するときに音響出力装置を充電するように構成された磁気コネクタをさらに備え得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、磁気コネクタは、磁気吸着環、絶縁ベース、および複数の端子を含み得る。絶縁ベースは、複数の収容穴を含み得る。絶縁ベースの少なくとも一部は磁気吸着環に挿入され得る。複数の端子のそれぞれは、複数の収容穴のうちの1つに収容され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、絶縁ベースは、支持部材および挿入部材を含み得る。支持部材の断面は、挿入部材の断面よりも大きくてもよい。磁気吸着環は、支持部材と挿入部材とによって形成される収容空間に挿入され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、磁気吸着環および絶縁ベースを収容するためのハウジングをさらに備え得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、本体と、本体の端部にあるフランジとを含み得る。本体は、絶縁ベースおよび磁気吸着環上でスリーブ化され得る。フランジは、磁気吸着環の端部を覆うことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、支持部材の外周壁および本体の内周壁は、バックル接続を介して機械的に接続され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、磁気吸着環は円形状を有し得、複数の端子のそれぞれは、磁気吸着環と同心である収縮面を有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、磁気吸着環は、回転中心に対して回転対称であり得る。第1の方向に沿った磁気吸着環の長さは、第2の方向に沿った磁気吸着環の長さとは異なり得る。第1の方向および第2の方向は、回転中心において互いに垂直であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、磁気吸着環は、複数の環状部分を含み得る。複数の環状部分の隣接する環状部分の少なくとも一対は、それらのそれぞれの端面で異なる磁気極性を有し得る。
【0040】
追加の特徴は、以下の説明に一部記載され、一部は、以下および添付の図面を検討することにより当業者に明らかになるか、または実施例の製造または操作によって学習することができる。本開示の特徴は、以下で論じられる詳細な例に示される方法論、手段、および組み合わせの様々な側面の実践または使用によって実現および達成され得る。
【0041】
本開示は、例示的な実施形態に関してさらに説明される。これらの例示的な実施形態は、図面を参照して詳細に説明されている。図面は原寸に比例していない。これらの実施形態は、非限定的な例示的な実施形態であり、同様の参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって同様の構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置の構成要素を示す概略図である。
図2図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による例示的な2つの点音源を示す概略図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源および単一の点音源の音漏れの変化を周波数とともに示す概略図である。
図7図7A図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源間の距離の関数としての近距離場音の音量および遠距離場漏れの音量を示すグラフである。
図8】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図9図9A図9Bは、本開示のいくつかの実施形態による音響ドライバの例示
図10図10A図10Cは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音出力シナリオを示す概略図である。
図11図11A図11Bは、本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置を示す概略図である。
図12図12A図12Cは、本開示のいくつかの実施形態による音響経路を示す概略図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態による2組の2つの点音源の作用下での音漏れを示す例示的なグラフである。
図14】本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図15】本開示のいくつかの実施形態による2つの点音源および聴取位置を示す概略図である。
図16】本開示のいくつかの実施形態による、音の周波数の関数としての、異なる距離を有する2つの点音源のユーザに聞こえる音の音量の変化を示すグラフである。
図17】本開示のいくつかの実施形態による、音の、遠距離場における2つの点音源の正規化されたパラメータの変化を周波数とともに示すグラフである。
図18】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の間に提供される例示的なバッフルを示す分布図である。
図19】本開示のいくつかの実施形態による、耳介が2つの点音源の間に位置するとき、音の周波数の関数としてユーザに聞こえる音量の変化を示すグラフである。
図20】本開示のいくつかの実施形態による、耳介が2つの点音源の間に位置するときの、周波数の関数としての漏れた音の音量の変化を示すグラフである。
図21】本開示のいくつかの実施形態による、音響出力装置の2つの点音源が耳介の両側に分布している場合の、周波数の関数としての正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。
図22】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源間のバッフルがある場合とない場合との周波数の関数としての、ユーザに聞こえる音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。
図23】本開示のいくつかの実施形態による、300Hzの周波数でバッフルがある場合とない場合の2つの点音源間の距離の関数としての、ユーザに聞こえる音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。
図24】本開示のいくつかの実施形態による、周波数1000Hzでバッフルがある場合とない場合との2つの点音源間の距離の関数としての、ユーザに聞こえる音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。
図25】本開示のいくつかの実施形態による、周波数5000Hzでバッフルがある場合とない場合との2つの点音源間の距離の関数としての、ユーザに聞こえる音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。
図26】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが1cmである場合に、周波数の関数としてユーザに聞こえる音量の変化を示すグラフである。
図27】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが2cmである場合に、周波数の関数としてユーザに聞こえる音量の変化を示すグラフである。
図28】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが4cmである場合の周波数の関数としての正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。
図29】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが1cmであるときの音の周波数の関数としての遠距離場の正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。
図30】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが2cmである場合の周波数の関数としての正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。
図31】本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが4cmである場合の周波数の関数としての正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。
図32】本開示のいくつかの実施形態による、異なる聴取位置の例示的な分布を示すグラフである。
図33】本開示のいくつかの実施形態による、音の周波数の関数として、近距離場の異なる聴取位置でバッフルなしで2つの点音源からユーザに聞こえる音量を示すグラフである。
図34】本開示のいくつかの実施形態による、近距離場の異なる聴取位置でバッフルのない2つの点音源の正規化されたパラメータを示すグラフである。
図35】本開示のいくつかの実施形態による、周波数の関数として、近距離場の異なる聴取位置にバッフルを備えた2つの点音源からユーザに聞こえる音量を示すグラフである。
図36】本開示のいくつかの実施形態による、近距離場の異なる聴取位置にバッフルを備えた2つの点音源の正規化されたパラメータを示すグラフである。
図37】本開示のいくつかの実施形態による2つの点音源およびバッフルを示す概略図である。
図38】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての近距離場音の音量の変化を示すグラフである。
図39】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての遠距離場漏れの音量の変化を示すグラフである。
図40】本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての正規化パラメータの変化を示すグラフである。
図41】本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図42】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置の縦断面図を示す概略図である。
図43】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システムの縦断面図を示す概略図である。
図44】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システムの縦断面図を示す概略図である。
図45】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システムの縦断面図を示す概略図である。
図46】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システムの縦断面図を示す概略図である。
図47】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システムの縦断面図を示す概略図である。
図48】本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置の一部の分解図を示す。
図49】本開示のいくつかの実施形態による、図48の音響出力装置の部分の断面図を示す。
図50】本開示のいくつかの実施形態による、図49の磁気コネクタの部分Aの部分的に拡大された図を示す。
図51】本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気コネクタの上面図を示す概略図である。
図52】本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な磁気コネクタの上面図を示す概略図である。
図53】本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な磁気コネクタの上面図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の実施形態に関連する技術的解決策を説明するために、実施形態の説明で参照される図面の簡単な紹介を以下に提供する。明らかに、以下に説明する図面は、本開示のいくつかの実施例または実施形態にすぎない。さらなる創造的な努力なしに、当技術分野で通常の技能を有する者は、これらの図面に従って、本開示を他の同様のシナリオに適用することができる。別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、図面中の同じ参照番号は、同じ構造および操作を指す。
【0044】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形での記載は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本開示で使用される場合、「備える」、「有する」および/または「含む」という用語は、記載されたステップおよび要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他のステップおよび要素の存在または追加を除外しない。
【0045】
システムのいくつかのモジュールは、本開示のいくつかの実施形態に従って様々な方法で参照され得るが、任意の数の異なるモジュールが、クライアント端末および/またはサーバで使用および操作され得る。これらのモジュールは、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、例示を意図するものである。システムおよび方法の様々な側面で、様々なモジュールを使用できる。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態によれば、フローチャートは、システムによって実行される操作を説明するために使用される。上記または以下の操作は、順番に実行される場合と実行されない場合があることを明確に理解する必要がある。逆に、操作は逆の順序で、または同時に実行することができる。さらに、1つまたは複数の他の操作をフローチャートに追加することができ、または1つまたは複数の操作をフローチャートから省略してもよい。
【0047】
本開示の実施形態の技術的解決策は、以下に説明する図面を参照して説明される。説明した実施形態が網羅的ではなく、限定的ではないことは明らかである。本開示に記載された実施形態に基づいて、創造的な作業を伴わずに当業者によって得られた他の実施形態は、本開示の範囲内である。
【0048】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置100を示す概略図である。本明細書で使用される場合、音響出力装置100は、音響出力機能を有する装置を指す。実際の用途では、音響出力装置100は、イヤフォン、ブレスレット、ガラス、ヘルメット、時計、衣類、またはバックパックなど、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な形式の製品によって実装され得る。説明のために、音響出力装置の例として、音出力機能を備えたイヤフォンを提供することができる。
【0049】
図1に示すように、音響出力装置100は、ハウジング101、電源102、音響ドライバ103、音響経路105、および音誘導穴106を備え得る。
【0050】
ハウジング101は、音響出力装置100の1つまたは複数の構成要素(例えば、電源102、音響ドライバ103、および/または音響経路105)を保護するように構成され得る。例えば、ハウジング101は収容空間を形成することができ、音響出力装置100の1つまたは複数の構成要素(例えば、電源102、音響ドライバ103、音響経路105)を収容空間に配置することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング101は、1つまたは複数の非磁性金属材料(例えば、銅、アルミニウム、および/またはアルミニウム合金)、プラスチック材料など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ハウジング101は、1つまたは複数の剛性材料および/または1つまたは複数の軟質材料を含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハウジング101は、音響出力装置100を装着するユーザの耳、頭、肩などに音響出力装置100を固定するための1つまたは複数の構成要素を含み得る。単なる例として、ハウジング101は、ユーザの耳に近接する音響出力装置100の音響出力構成要素を支持するための支持構造体を含み得る。音響出力装置100の音響出力構成要素は、例えば、音響ドライバ103(またはその一部)、音響経路105、音誘導穴106、または音を生成および/または出力するための他の任意の構成要素、それらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、支持構造体は、音響出力構成要素が周囲と音響的に通信することを可能にする音響的に開いた構造を形成することができる。そのような支持構造体を含む音響出力装置100は、開放型音響出力装置と呼ばれ得る。開放型音響出力装置は、ユーザが装着した場合、ユーザの外耳道を塞がず、開放型音響出力装置が発する音および環境音を聴取できるようにすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、任意の適切な形態、形状、および/またはサイズを有し得る。単なる例として、支持構造体は、音響出力構成要素をユーザの耳に吊るすための耳フックを含み得る。耳フックは、例えば、円形環、楕円形、多角形(規則的または不規則)、U字形、V字形、半円などの形状を有し得る。別の例として、支持構造体は、音響出力装置100がユーザによって装着されたときに、ユーザの頭の上に配置されたヘッドバンドを含み得る。ヘッドバンドは完全に剛性または完全に柔軟であり得る。あるいは、ヘッドバンドの一部は剛性であり得、ヘッドバンドの他の部分は可撓性であり得る。さらに別の例として、支持構造体は、ユーザの外耳道の開口部の近くに音響出力構成要素を固定するように構成された固定部品を含み得、固定部品は、外耳道を塞ぐことなく外耳道に配置され得る。単なる例として、固定部品は、外耳道に一致する中空の円形環の形状を有し得る。ユーザが装着すると、円形環が外耳道を塞ぐことなく外耳道に刺さることがある。支持構造体に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、図2Aから図4およびその関連する説明を参照されたい。
【0053】
電源102は、音響出力装置100(例えば、音響ドライバ103)の1つまたは複数の構成要素に電力を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源102は、回路構成要素、電池、充電インターフェースなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。回路構成要素は、電池と音響出力装置100の1つまたは複数の他の構成要素(例えば、音響ドライバ103)を接続し、他の構成要素の動作のための電力を提供するように構成され得る。例示的な電池には、蓄電池、乾電池、リチウム電池など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。電源102の充電インターフェースは、音響出力装置100(例えば、電池)を充電するために使用され得る。いくつかの実施形態では、電源102の充電インターフェースは、磁気コネクタが外部電源の充電インターフェースを吸収するときに音響出力装置100を充電するように構成された磁気コネクタを含み得る。磁気コネクタに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、図48図53およびその関連する説明を参照されたい。
【0054】
音響ドライバ103は、電気信号を音に変換するように構成することができる。音響ドライバ103は、音響経路105および音誘導穴106と音響的に結合され得る。音響ドライバ103によって生成された音は、音響経路105を介して音誘導穴106に伝達され得、音誘導穴106は、音を出力し得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ103は、空気伝導スピーカ、骨伝導スピーカ、水力音響変換器、超音波変換器、またはそれらの任意の組み合わせなどの変換器(または電気音響変換器と呼ばれる)を含み得る。変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、磁気拘束型等、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ103は、ボイスコイル、振動板(例えば、振動ダイアフラム)、および磁気システム104を含み得る。磁気システム104は、磁場を生成するように構成され得る。ボイスコイルに電流を流すと、磁場によって発生するアンペア力によってボイスコイルが振動し得る。ボイスコイルの振動は、振動板を振動させて音波を生成することができ、音波は、音響経路105を介して音誘導穴106に伝達され得る。いくつかの実施形態では、磁気システム104は、磁場を生成するための磁性部品および/または磁性部品によって生成される磁場を調整するための磁性伝導性部品を含み得る。いくつかの実施形態では、磁気システム104は、組み合わせて全磁場を生成することができる複数の磁性部品を含むことができる。磁気システム104の磁性部品(またはその一部)の間に磁気ギャップを形成することができ、ボイスコイルを磁気ギャップに配置することができる。磁気ギャップにおいて、全磁場の磁場強度は、磁気システム104の任意の個々の磁性部品によって生成される磁場の磁場強度よりも大きくてもよい。音響ドライバに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、図8およびその関連する説明を参照されたい。磁気システムに関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、図42から図47およびその関連する説明を参照されたい。
【0056】
音響経路105は、音を送信するように構成され得る。例えば、音響経路105は、音響ドライバ103と音響的に結合され、音響ドライバ103によって生成された音を音誘導穴106に送信することができる。いくつかの実施形態では、音響経路105は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、または調整ネットなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路105はまた、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例示的な音響抵抗材には、プラスチック、繊維、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料またはメッシュ材料、多孔質材料、粒子状材料、ポリマー材料など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。音響経路に関するより多くの説明は、本開示の他の場所に見出すことができる。例えば、図8およびその関連する説明を参照されたい。
【0057】
音誘導穴106は、音響ドライバ103によって生成された音などの音を伝播するように構成されている。いくつかの実施形態では、音誘導穴106は、特定の開口部を有し、音が通過することを可能にする音響出力装置100のハウジング101上に形成され得る。音誘導穴106の例示的な形状は、円形、楕円形、正方形、台形、丸みを帯びた四角形、三角形、不規則な形状など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、任意の数の音響ドライバ103、音響経路105、および/または音誘導穴106を備え得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、複数の音響ドライバ103を備え得、それらのそれぞれは、特定の周波数範囲を有する音を生成するように構成される。異なる音響ドライバ103によって生成される音は、異なる周波数範囲を有し得る。任意選択で、音響出力装置100は、複数の音響経路105および複数の対の音誘導穴106をさらに備え得る。音響ドライバ103のそれぞれによって生成された音は、音響経路105の1つを介して一対の音誘導穴106に伝達され得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ103、音響経路105、および/または音誘導穴106の対のパラメータは、音響出力装置100の性能を改善するために、例えば、低減または排除するように調整され得る。環境への音響出力装置の音漏れ、および/またはユーザへの音響出力装置の出力効果を増加させる。
【0059】
音響出力装置100の説明は、例示を目的とするものであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。当業者にとって、本開示の説明に従って、様々な変更および修正を行うことができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、1つまたは複数の追加の構成要素を備え得、および/または上記の音響出力装置100の1つまたは複数の構成要素は省略され得る。例えば、音響出力装置100は、音声情報を含む信号を記憶するための記憶構成要素を備え得る。別の例として、音響出力装置100は、音声信号を処理するための1つまたは複数の音声信号処理アルゴリズムを実行することができる1つまたは複数のプロセッサを備え得る。追加的または代替的に、音響出力装置100の2つ以上の構成要素は、単一の構成要素に統合され得る。音響出力装置100の構成要素は、2つ以上のサブ構成要素上に実装され得る。
【0060】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置200Aを示す概略図である。図2Aに示されるように、音響出力装置200Aは、少なくとも1つの回路ハウジング210、2つの耳フック220、後部フック230、第1のスピーカアセンブリ240a、および第2のスピーカアセンブリ240bを含み得る。回路ハウジング210は、音響出力装置200Aの制御回路、電池など、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の構成要素を収容するために使用され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、音響出力装置200Aは、図2Aに示されるように、第1の回路ハウジング210aおよび第2の回路ハウジング210bを含み得る。2つの耳フック220のうちの1つは、第1のスピーカアセンブリ240aおよび第1の回路ハウジング210aに機械的に接続され得る。耳フック220の他の1つは、第2のスピーカアセンブリ240bおよび第2の回路ハウジング210bに機械的に接続され得る。耳フック220は、音響出力装置200Aの支持構造体として使用することができる。例えば、各耳フック220の形状は、ユーザの耳の形状と一致し得る。音響出力装置200Aがユーザによって装着されるとき、耳フック220は、ユーザの耳に掛けられ得、後部フック230は、ユーザの後頭部を取り囲むことができる。例えば、耳フック220aは、ユーザの左耳に近い第1のスピーカアセンブリ240aを支持するために使用され得、耳フック220bは、ユーザの右耳に近い第2のスピーカアセンブリ240bを支持するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1および第2のスピーカアセンブリは、ユーザの外耳道を塞がなくてもよい。
【0062】
スピーカアセンブリ240aおよび240bは、音を生成および/または出力するための1つまたは複数の音響出力構成要素、例えば、音響ドライバを含み得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置200Aの複数の構成要素は、一体型アセンブリを形成することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置200Aは、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得、および/または音響出力装置200Aの1つまたは複数の構成要素は省略され得る。例えば、音響出力装置200Aは、ユーザが音響出力装置200Aと相互作用するための、1つまたは複数のボタン、マイクロフォン、タッチスクリーンなどなどの1つまたは複数のユーザ相互作用要素を含み得る。別の例として、後部フック230は省略され得、2つの耳フックは独立して使用され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、音響出力装置200Aは、音を出力するための1つまたは複数の音誘導穴を含み得る。音誘導穴の数は、1、2、4、5、10などの任意の正の整数であり得る。音誘導穴は、音響出力装置200Aの任意の位置に配置することができる。単なる例として、複数の音誘導穴が、スピーカアセンブリ240aのハウジング上に設定され得、音誘導穴は、スピーカアセンブリ240aの同じ表面または異なる表面上に配置され得る。別の例として、音誘導穴は、スピーカアセンブリ240a(例えば、第1の回路ハウジング210aと反対側のスピーカアセンブリ240aの表面)に配置され得、別の音誘導穴は、第1の回路ハウジング210a(例えば、スピーカアセンブリ240aの反対側の第1の回路ハウジング210aの表面)に配置され得る。音響出力装置200Aがユーザによって装着されるとき、スピーカアセンブリ240aの音誘導穴および第1の回路ハウジング210aの音誘導穴は、ユーザの耳介の両側に配置され得る。
【0064】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置200Bを示す概略図である。図2Bに示されるように、音響出力装置200Bは、耳フック250、少なくとも1つの音誘導穴260、およびスピーカアセンブリ(図2Bには示されていない)を含み得る。耳フック250は、音響出力装置200Bのユーザの耳に吊るすことができる円形環の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、収容空間は、スピーカアセンブリ(例えば、音響ドライバ)を収容するために、耳フック250内に形成され得る。
【0065】
音誘導穴260は、耳フック250のハウジング上に設定することができる。音誘導穴260の数は、任意の正の値であり得る。単なる例として、図2Bに示されるように、2つの音誘導穴260は、ユーザの外耳道に隣接する耳フック250の側面に設定され得、1つの音誘導穴260は、耳の後ろに隣接する耳フック250の側面に設定され得る。図2Bの音響出力装置200Bは、説明の目的で提供されており、実際の必要に応じて変更することができることを理解されたい。例えば、耳フック250は、人間の耳に適した他の任意の形状、例えば、楕円形、多角形(規則的または不規則)、U字形、V字形、半円などを有し得る。少なくとも1つの音誘導穴260は、音響出力装置200B上の任意の位置に配置することができる。
【0066】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置300を示す概略図である。図3に示すように、音響出力装置300は、ヘッドバンド形状の構造を有し得、ハウジング310、少なくとも1つの音誘導穴320(例えば、第1の音誘導穴320-1、第2の音誘導穴320-図2に示されるように、第3の音誘導穴320-3、および第4の音誘導穴320-4)、およびスピーカアセンブリ(図3には示されていない)を含み得る。ハウジング310は、ヘッドバンドの形状を有し得、少なくとも側面312および少なくとも端面314を含み得る。音響出力装置300は、音響出力装置300がユーザによって装着されているときに、ユーザの頭または首の上に配置することができる。
【0067】
少なくとも1つの音誘導穴320は、ハウジング310に配置され得る。単なる例として、第1の音誘導穴320-1は、端面314に配置され得る。第2の音誘導穴320-2、第3の音誘導穴320-3、および第4の音誘導穴320-4は、側面312に配置することができる。異なる音誘導穴320は、同じ形状または異なる形状を有し得る。いくつかの実施形態では、異なる音誘導穴320を使用して、異なる周波数範囲の音を出力することができる。単なる例として、音誘導穴320-1および320-2を使用して、低周波音(例えば、閾値周波数より低い周波数を有する音)を出力することができ、音誘導穴320-3および320-4は、高周波音(例えば、閾値周波数より高い周波数を有する音)を出力するために使用され得る。音誘導穴320-1と320-2との間の距離、および/または音誘導穴320-3と320-4との間の距離は、環境への音漏れの低減および/またはユーザの耳での改善された音出力効果など、音響出力装置300の改善された性能を達成するために調整され得る。
【0068】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置400を示す概略図である。音響出力装置400は、ハウジング410、固定部品420、およびハウジング410内に収容されたスピーカアセンブリ(図4には示されていない)を含み得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置400のスピーカアセンブリは、固定部品240に機械的に接続され、固定部品240によって外耳道の開口部の近くに配置され得る。固定部品240は、ユーザの外耳道に一致する形状を有することができ、外耳道に固定することができる。固定部品240は、外耳道に固定されたときに空気が通過することができる貫通穴を有することができる。いくつかの実施形態では、固定部品240は、それが快適に装着できるように、1つまたは複数の柔らかい材料(例えば、柔らかいシリコーン、ゴムなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の音誘導穴をハウジング410に設定することができる。例えば、音誘導穴は、ユーザの外耳道に隣接するハウジング410の部分に設定され得、別の音誘導穴は、ユーザの耳の後ろに隣接するハウジング410の部分に設定され得る。
【0069】
図2Aから図4に示される例は、単に例示の目的で提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当技術分野で通常の技能を有する人の場合、本開示の教示の下で、複数の変形および修正を行うことができる。しかしながら、それらの変形および修正は、本開示の範囲から逸脱しない。例えば、音響出力装置の構成要素の形状、サイズ、および/または位置は、実際の必要性に従って調整され得る。
【0070】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な2つの点音源を示す概略図である。音響出力装置に対する音誘導穴の設定の効果をさらに説明するために、そして音が音誘導穴から外側に伝播すると見なされ得ることを考慮して、本開示は、外部に音を出力するための音源としての音響出力装置における音誘導穴を説明し得る。
【0071】
説明の便宜上および例示の目的で、音響出力装置の音誘導穴のサイズが小さい場合、各音誘導穴は、点音源(または点音源または音源)とほぼ見なすことができる。いくつかの実施形態では、音を出力するために音響出力装置に設けられた任意の音誘導穴は、音響出力装置上の単一点(音)源として近似され得る。単一の点音源によって生成される音場圧力pは、式(1)を満たすことができる。
【数1】
ここで、ωは角周波数、ρは空気密度、rは対象点と点音源間の距離、Qは点音源の音量速度、kは波数を示す。標的点における点音源の音場圧力の大きさは、標的点から点音源までの距離に反比例すると結論付けることができる。
【0072】
点音源として音を出力するための音誘導穴は、本開示の原理および効果の説明としてのみ役立つことができ、実際の用途における音誘導穴の形状およびサイズを制限しない場合があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、音誘導穴の面積が十分に大きい場合、音誘導穴はまた、平面音響源と同等であり得る。いくつかの実施形態では、点音源はまた、振動面および音響放射面などの他の構造によって実現され得る。当業者にとって、創造的な活動なしに、音誘導穴、振動面、および音響放射面などの構造によって生成される音は、本開示で論じられる空間スケールでの点音源と同様であり得、同様の音伝播特性および同様の数学的記述方法を有し得ることが理解され得るであろう。さらに、当業者にとって、創造的な活動なしに、本開示で説明される「音響ドライバが少なくとも2つの第1の音誘導穴から音を出力することができる」によって達成される音響効果も同じ効果を達成することができることが知られている。他の音響構造によって、例えば、「少なくとも2つの音響ドライバは、それぞれ、少なくとも1つの音響放射面から音を出力することができる」ことが理解され得るであろう。実際の状況に応じて、調整および組み合わせのために他の音響構造を選択することができ、同じ音響出力効果を達成することもできる。表面音源などの構造で音を外側に放射する原理は、点音源の原理と類似している可能性があり、ここでは繰り返さない場合がある。
【0073】
上記のように、本明細書で提供される音響出力装置には、同じ音響ドライバに対応する少なくとも2つの音誘導穴を設定することができる。この場合、2つの点音源が形成される可能性があり、周囲環境に伝達される音が減少し得る。便宜上、音響出力装置から周囲環境への音の出力は、環境内の他の人に聞こえることがあるため、遠距離場漏れと呼ばれることがある。音響出力装置から音響出力装置を装着しているユーザの耳への音響出力は、音響出力装置とユーザとの間の距離が比較的短いので、近距離場音と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴(すなわち、2つの点音源)からの音出力は、特定の位相差を有し得る。2つの点音源間の距離と2つの点音源の位相差が一定の条件を満たす場合、音響出力装置は、近距離場(例えば、ユーザの耳の位置)と遠距離場とで異なる音響効果を出力することができる。例えば、2つの音誘導穴に対応する点音源間の位相が逆である場合、すなわち、2つの点音源間の位相差の絶対値が180度である場合、遠距離場漏れは、逆位相キャンセルの原理に従って低減され得る。各点音源の振幅および/または位相を調整することによる音響出力装置の強化に関する詳細は、2019年12月31日に出願された国際出願番号PCT/CN2019/130884(特許文献1)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれ得る。
【0074】
図5に示すように、2つの点音源によって生成される音場圧力pは式(2)を満たすことができる。
【数2】
ここで、AおよびAは2つの点音源の強度を示し、φおよびφはそれぞれ2つの点音源の位相を示し、dは2つの点音源間の距離を示し、rおよびrは式(3)を満たすことができる。
【数3】
ここで、rは、対象点と空間内の2つの点音源の中心との間の距離を示し、θは、対象点と2つの点音源の中心を結ぶ線と、2つの点音源が存在する線との間の角度を示す。
【0075】
式(3)から、音場内の対象点をパットする音圧の大きさは、各点音源の強度、距離d、各点音源の位相、および距離rに関連し得ると結論付けることができる。
【0076】
音誘導穴の設定を変えることにより、出力効果の異なる2つの点音源を実現できるため、近距離場音の音量を改善し、遠距離場漏れを減らすことができる。例えば、音響ドライバは、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側からそれぞれ音が伝わり得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの前側は、音を伝達するための前部チャンバを備えていてもよい。前部チャンバは、音響的に音誘導穴と結合することができる。振動ダイアフラムの前側の音は、前部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、さらに外側に伝達され得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの後側には、音を伝達するための後部チャンバを設けることができる。後部チャンバは、音響的に別の音誘導穴と結合することができる。振動ダイアフラムの後側の音は、後部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、さらに外側に伝播し得る。なお、振動ダイアフラムが振動しているときは、振動ダイアフラムの前側と後側で逆位相の音が発生し得る。いくつかの実施形態では、前部チャンバおよび後部チャンバの構造は、異なる音誘導穴で音響ドライバによって出力される音が特定の条件を満たすことができるように特別に設定され得る。例えば、前部チャンバおよび後部チャンバの長さは、特定の位相関係(例えば、逆位相)を有する音が2つの音誘導穴で出力され得るように特別に設計され得る。その結果、音響出力装置の近距離場での音量が小さく、遠距離場での音漏れの問題を効果的に解決することができる。
【0077】
特定の条件下では、単一の点音源の遠距離場漏れの音量と比較して、2つの点音源の遠距離場漏れの音量は周波数とともに増加し得る。言い換えると、遠距離場の2つの点音源の漏れ低減能力は、周波数が高くなるにつれて低下し得る。さらなる説明のために、遠距離場漏れと周波数との間の関係を示す曲線が、図6に関連して説明され得る。
【0078】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、周波数の関数としての2つの点音源および単一の点音源の音漏れの変化を示す概略図である。図6の2つの点音源間の距離は固定され得、2つの点音源は実質的に同じ振幅および逆位相を有し得る。点線は、異なる周波数での単一点音源の漏れた音の音量の変動曲線を示し得る。実線は、異なる周波数での2つの点音源の漏れた音の音量の変動曲線を示し得る。図の横軸は音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)である。ダイアグラムの縦軸は、正規化パラメータαを使用して、漏れた音の音量を評価することができる。パラメータαは、式(4)に従って決定できる。
【数4】
ここで、Pfarは、遠距離場の音響出力装置の音圧(つまり、遠距離場音漏れの音圧)を表す。Pearは、ユーザの耳の周りの音圧(つまり、近距離場音の音圧)を表す。αの値が大きいほど、聞こえる近距離場音に比べて遠距離場漏れが大きくなり、遠距離場漏れを低減するための音響出力装置の能力が低いことを示す。
【0079】
図6に示すように、周波数が6000Hz未満の場合、2つの点音源によって生成される遠距離場漏れは1つの点音源によって生成される遠距離場漏れよりも小さく、周波数が高くなるにつれて大きくなり得る。周波数が10000Hzに近い場合(例えば、約8000Hz以上)、2つの点音源によって生成される遠距離場漏れは、単一の点音源によって生成される遠距離場漏れよりも大きくなり得る。いくつかの実施形態では、2つの点音源と単一の点音源との変動曲線の交点に対応する周波数は、2つの点音源が音漏れを低減することができる上限周波数として決定され得る。
【0080】
説明のために、周波数が比較的小さい場合(例えば、100Hz~1000Hzの範囲)、2つの点音源の音漏れを低減する能力は強くてもよい(例えば、αの値が、-80dB未満など、小さい場合)。そのような周波数帯域では、ユーザが聞く音の音量の増加が最適化の目標として決定され得る。周波数が高い場合(例えば、1000Hz~8000Hzの範囲)、2つの点音源の音漏れを低減する機能が弱い場合がある(例えば、-80dBを超える場合)。このような周波数帯域では、音漏れの減少が最適化の目標として決定され得る。
【0081】
図6によれば、音漏れを低減する2つの点音源の能力の変動傾向に基づいて分周点を決定することが可能であり得る。音響出力装置の音漏れを低減するために、分周点に応じて2つの点音源のパラメータを調整することができる。例えば、特定の値(例えば、-60dB、-70dB、-80dB、-90dBなど)のαに対応する周波数を分周点として使用することができる。分周点より下の周波数帯域での近距離場音を改善するため、および/または分周点より上の周波数帯域での遠距離場音漏れを低減するために、2つの点音源のパラメータを決定することができる。いくつかの実施形態では、高周波を伴う高周波帯域(例えば、高周波音響ドライバからの音出力)および低周波数を伴う低周波帯域(例えば、低周波音響ドライバからの音出力)は、分周点に基づいて決定することができる。分周点の詳細は、本開示の他の場所、例えば、図8およびその説明に開示することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、音漏れを測定および決定するための方法は、実際の条件に従って調整され得る。例えば、半径r(例えば、40センチメートル)を有する2つの点音源の中心点を中心とする球面上の複数の点を特定することができ、複数の点での音圧の振幅の平均値は、音漏れの値として決定され得る。近距離場の聴取位置と点音源の間の距離は、遠距離場漏れを測定するための点音源と球面の間の距離よりもはるかに小さい場合がある。任意選択で、近距離場聴取位置から2つの点音源の中心までの距離と半径rの比は、0.3、0.2、0.15、または0.1未満にすることができる。別の例として、遠距離場の1つまたは複数の点を音漏れを測定するための位置と見なすことができ、その位置の音量を音漏れの値と見なすことができる。別の例として、2つの点音源の中心を遠距離場の円の中心として使用することができ、特定の空間角度に従って円に均等に分布する2つ以上の点の音圧振幅を音漏れの値として平均化することができる。これらの方法は、実際の条件に従って当業者によって調整することができ、限定することを意図するものではない。
【0083】
図6によれば、高周波帯域(分周点に従って決定されるより高い周波数帯域)において、2つの点音源は、音漏れを低減する弱い能力を有し得ると結論付けることができる。低周波帯域(分周点に応じて決定される低周波帯域)では、2つの点音源が音漏れを低減する強力な機能を備え得る。特定の周波数で、2つの点音源間の距離が変化すると、音漏れを低減する能力が変化する場合があり、ユーザが聞く音量(「聞こえる音」とも呼ばれる)との差が変化し得、漏れた音の音量も変化し得る。より良い説明のために、2つの点音源間の距離の関数としての遠距離場漏れの曲線は、図7Aおよび図7Bを参照して説明され得る。
【0084】
図7Aおよび図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源間の距離の関数としての近距離場音の音量および遠距離場漏れの音量を示す例示的なグラフである。図7Bは、図7Aのグラフに対して正規化を実行することによって生成され得る。
【0085】
図7Aでは、実線は、2つの点音源間の距離の関数としての2つの点音源の音量の変動曲線を表すことができ、点線は、2つの点音源間の距離の関数としての2つの点音源の漏れた音の音量の変動曲線を表し得る。横軸は、基準距離d0に対する2つの点音源の距離dの距離比d/d0を表すことができる。縦軸は音量を表し得る(単位はデシベルdBである)。距離比d/d0は、2つの点音源間の距離の変化を反映し得る。いくつかの実施形態では、基準距離d0は、特定の範囲内で選択され得る。例えば、d0は、2.5mm~10mmの範囲の特定の値であり得、例えば、d0は、5mmであり得る。いくつかの実施形態では、基準距離d0は、聴取位置に基づいて決定され得る。例えば、聴取位置から最も近い点音源までの距離を基準距離d0と見なすことができる。基準距離d0は、ここに限定されない実際の条件に応じて、他の任意の適切な値から柔軟に選択できることを知っておくべきである。単なる例として、図7Aでは、d0は5mmであり得る。
【0086】
音の周波数が一定の場合、2つの点音源間の距離が大きくなると、ユーザが聞く音の音量と2つの点音源の漏れた音の音量が大きくなることがある。の距離比d/d0が閾値比よりも小さい場合、ユーザが聞く音の音量の増加(または増分)は、2つの点音源間の距離が増加すると、漏れた音の音量の増加(または増分)よりも大きくなり得る。つまり、ユーザが聞く音の音量の増加は、漏れた音の音量の増加よりも重要であり得る。例えば、図7Aに示すように、距離比d/d0が2の場合、ユーザが聞く音の音量と漏れた音の音量との差は約20dBであり得る。距離比d/d0が4の場合、ユーザが聞く音の音量と漏れた音の音量の差は約25dBになり得る。いくつかの実施形態では、距離比d/d0が閾値比に達すると、2つの点音源の漏れた音の音量に対するユーザが聞く音の音量の比が最大値に達することができる。このとき、2つの点音源の距離がさらに長くなると、利用者が聞く音の音量の曲線と漏れた音の音量の曲線が徐々に平行になる、すなわち、ユーザが聞く音と漏れた音の音量の増加は、実質的に同じままであり得る。例えば、図7Bに示すように、距離比d/d0が5、6、または7である場合、ユーザが聞く音の音量と漏れた音の音量との差は、実質的に同じままであり得、その両方が約25dBであり得る。すなわち、ユーザが聞く音の音量の増加は、漏れた音の音量の増加と同じであり得る。いくつかの実施形態では、2つの点音源の距離比d/d0の閾値比は、0~7の範囲にあり得る。例えば、d/d0の閾値比は、0.5~4.5の範囲で設定することができる。別の例として、d/d0の閾値比は、1~4の範囲で設定され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、閾値比値は、ユーザが聞く音の音量と、図7Aの2つの点音源の漏れた音の音量との間の差の変化に基づいて決定することができる。例えば、ユーザが聞く音の音量と漏れた音の音量との最大差に対応する比を閾値比として決定することができる。図7Bに示すように、距離比d/d0が閾値比(例えば4)よりも小さい場合、ユーザによって聞こえる正規化された音(「正規化された聞こえた音」とも呼ばれる)の曲線は、2つの点音源間の距離が増加するにつれて、上昇傾向(曲線の傾きが0より大きい)を示し得る。すなわち、ユーザの音量が聞こえる音の増加は、漏れた音の音量の増加よりも大きくなり得る。距離比d/d0が閾値比よりも大きい場合、2つの点音源間の距離が大きくなるにつれて、ユーザが聞く正規化された音の曲線の傾きが徐々に0に近づき得る。つまり、ユーザが聞く音の音量の増加は、2つの点音源間の距離が増加するにつれて、漏れた音の音量の増加よりも大きくならない場合がある。
【0088】
上記の説明によれば、聴取位置が固定されている場合、2つの点音源のパラメータは、特定の手段によって調整され得る。遠距離場漏れの音量がわずかに増加するだけで、近距離場音の音量が大幅に増加するという効果を達成し得る(つまり、近距離場音の音量の増加は、遠距離場漏れの音量)。例えば、2つ以上の2つの点音源のセット(例えば、高周波2つの点音源のセットおよび低周波2つの点音源のセット)を使用することができる。各セットについて、セット内の点音源間の距離は、高周波の2つの点音源間の距離が低周波の2つの点音源間の距離よりも小さくなるように、特定の手段によって調整される。低周波の2つの点音源は音漏れが少なく(音漏れを低減する能力が強い)、高周波の2つの点音源は音漏れが大きい(音漏れを低減する能力が弱い)場合がある。2つの点音源間の距離を高周波帯域に設定すると、ユーザが聞く音の音量が漏れた音の音量よりも大幅に大きくなる可能性があり、それによって音の漏れが減少する。
【0089】
いくつかの実施形態では、各音響ドライバは、対応する一対の音誘導穴を有し得る。各音響ドライバに対応する音誘導穴間の距離は、ユーザの耳に伝達される近距離場音の音量と環境に伝達される遠距離場漏れの音量に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバに対応する音誘導穴間の距離が、低周波音響ドライバに対応する音誘導穴間の距離よりも短い場合、ユーザが聞く音の音量を増加させることができ、音漏れが低減され、それにより、音響出力装置のユーザの近くにいる他の人が音を聞くのを防ぐことができる。以上の説明によれば、音響出力装置は、比較的静かな環境においても、開放型イヤフォンとして効果的に使用することができる。
【0090】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。図8に示すように、音響出力装置800は、電子分周モジュール810、音響ドライバ840、音響ドライバ850、音響経路845、音響経路855、少なくとも2つの第1の音誘導穴847、および少なくとも2つの第2の音誘導穴857を含み得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置800は、コントローラ(図には示されていない)をさらに含み得る。電子分周モジュール810は、コントローラの一部であり得、異なる音響ドライバに入力される電気信号を生成するように構成され得る。音響出力装置800内の異なる構成要素間の接続は、有線および/または無線であり得る。例えば、電子分周モジュール810は、有線伝送または無線伝送を介して、音響ドライバ840および/または音響ドライバ850に信号を送信することができる。
【0091】
電子分周モジュール810は、ソース信号の周波数を分割することができる。ソース信号は、1つまたは複数の音源装置(例えば、オーディオデータを格納するメモリ)から来てもよい。音源装置は、音響出力装置800の一部または独立した装置であり得る。ソース信号は、有線または無線の手段を介して音響出力装置800によって受信されるオーディオ信号であり得る。いくつかの実施形態では、電子分周モジュール810は、ソース信号を、異なる周波数を有する2つ以上の分周信号に分解することができる。例えば、電子分周モジュール110は、ソース信号を、高周波音を有する第1の分周信号(または分周信号1)と、低周波音を有する第2の分周信号(または分周信号2)とに分解することができる。便宜上、高周波音を有する分周信号を高周波信号と呼び、低周波音を有する分周信号を低周波信号と呼ぶことができる。
【0092】
説明の目的で、本開示で説明される低周波信号は、第1の周波数範囲(または低周波数範囲と呼ばれる)の周波数を有する音声信号を指し得る。高周波信号は、第2の周波数範囲(または高周波範囲と呼ばれる)の周波数を有する音声信号を指し得る。第1の周波数範囲および第2の周波数範囲は、重複する周波数範囲を含んでも含まなくてもよい。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲よりも高い周波数を含み得る。単なる例として、第1の周波数範囲は、第1の閾値周波数より低い周波数を含み得る。第2の周波数範囲は、第2の閾値周波数を超える周波数を含み得る。第1の閾値周波数は、第2の閾値周波数よりも低いか、または第2の閾値周波数に等しいか、または第2の閾値周波数よりも高くてもよい。例えば、第1の閾値周波数は、第2の閾値周波数よりも低くあり得(例えば、第1の閾値周波数は600Hzであり得、第2の閾値周波数は700Hzであり得る)、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複がないことを意味する。別の例として、第1の閾値周波数は、第2の周波数に等しくてもよい(例えば、第1の閾値周波数および第2の閾値周波数の両方は、650Hzまたは他の任意の周波数値であり得る)。別の例として、第1の閾値周波数は、第2の閾値周波数よりも高くてもよく、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複があることを示す。そのような場合、いくつかの実施形態では、第1の閾値周波数と第2の閾値周波数との間の差は、第3の閾値周波数を超えてはならない。第3の閾値周波数は、固定値、例えば、20Hz、50Hz、100Hz、150Hz、または200Hzであり得る。任意選択で、第3の閾値頻度は、第1の閾値頻度および/または第2の閾値頻度(例えば、第1の閾値頻度の5%、10%、15%など)に関連する値であり得る。あるいは、第3の閾値頻度は、実際の必要性に従ってユーザによって柔軟に設定される値であり得るが、本明細書では限定されなくてもよい。第1の閾値周波数および第2の閾値周波数は、異なる状況に応じて柔軟に設定することができ、本明細書に限定されないことに留意されたい。
【0093】
いくつかの実施形態では、電子分周モジュール810は、分周器815、信号プロセッサ820、および信号プロセッサ830を含み得る。分周器815を使用して、ソース信号を、異なる周波数成分を含む2つ以上の分周信号、例えば、高周波音成分を有する分周信号1と、低周波音成分を有する分周信号2とに分解することができる。いくつかの実施形態では、分周器815は、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、デジタルフィルタ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含むがこれらに限定されない、信号分解機能を実装し得る任意の電子装置であり得る。いくつかの実施形態では、分周器815は、1つまたは複数の分周点に基づいてソース信号を分割することができる。分周点は、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲を区別する特定の周波数を指し得る。例えば、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複する周波数範囲がある場合、分周点は、重複する周波数範囲内の特徴点(例えば、重複する周波数範囲の低周波数境界点、高周波数境界点、中心周波数点など)であり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、周波数と音響出力装置の音漏れとの間の関係に従って決定され得る(例えば、図6図7A、および図7Bに示される曲線)。例えば、音響出力装置の音漏れが周波数によって変化することを考慮すると、特定の条件を満たす漏れた音の音量に対応する周波数点、例えば、図6に示す1000Hzを分周点として選択することができる。いくつかの代替の実施形態では、ユーザは、特定の周波数を分周点として直接指定することができる。例えば、人間の耳に聞こえる音の周波数範囲が20Hz~20kHzであることを考慮すると、ユーザはこの範囲の周波数点を分周点として選択できる。例えば、分周点は、600Hz、800Hz、1000Hz、1200Hzなどであり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、音響ドライバ840および850の性能に基づいて決定することができる。例えば、低周波音響ドライバと高周波音響ドライバが異なる周波数応答曲線を有することを考慮すると、分周点は、周波数範囲内で選択され得る。周波数範囲は、低周波音響ドライバの上限周波数の1/2より上であり、高周波音響ドライバの下限周波数の2倍未満であり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、低周波音響ドライバの上限周波数の3分の1より上で、高周波音響ドライバの下限周波数の1.5倍未満の周波数範囲で選択され得る。いくつかの実施形態では、重複する周波数範囲において、点音源間の位置関係はまた、近距離場および遠距離場において音響出力装置によって生成される音の音量に影響を及ぼし得る。詳細は、2019年12月31日に出願された国際出願第PCT/CN2019/130886号(特許文献2)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
信号プロセッサ820および信号プロセッサ830は、音出力の要件を満たすために、分周信号をさらに処理することができる。いくつかの実施形態では、信号プロセッサ820および/または信号プロセッサ830は、1つまたは複数の信号処理構成要素を含み得る。例えば、信号処理構成要素は、増幅器、振幅変調器、位相変調器、遅延器、動的利得制御器など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。単なる例として、信号プロセッサ820および/または信号プロセッサ830による音声信号の処理は、特定の周波数を有する音声信号の一部の振幅を調整することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が重複する場合、信号プロセッサ820および830は、重複する周波数範囲の周波数を有する音声信号の一部(例えば、重複する周波数範囲の周波数を持つ部分)の強度を調整することができる。これにより、音響出力装置によって出力される最終的な音において、重複する周波数範囲に対応する部分が、複数の音声信号の重ね合わせによって引き起こされる過剰な音量を有し得ることを回避することができる。
【0095】
信号プロセッサ820または830によって処理された後、分周信号1および2は、それぞれ、音響ドライバ840および850に送信され得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ840に送信される処理された分周信号は、より低い周波数範囲(例えば、第1の周波数範囲)を有する音声信号であり得る。したがって、音響ドライバ840は、低周波音響ドライバと呼ばれ得る。音響ドライバ850に送信される処理された分周は、より高い周波数範囲(例えば、第2の周波数範囲)を有する音声信号であり得る。したがって、音響ドライバ850は、高周波音響ドライバと呼ばれることもある。音響ドライバ840および音響ドライバ850は、音声信号をそれぞれ低周波音および高周波音に変換し、次に変換された信号を外側に伝播することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ840は、少なくとも2つの第1の音誘導穴に音響的に結合され得る。例えば、音響ドライバ840は、2つの音響経路845を介して2つの第1の音誘導穴847に音響的に結合され得る。音響ドライバ840は、少なくとも2つの第1の音誘導穴847を通して音を伝播することができる。音響ドライバ850は、少なくとも2つの第2の音誘導穴に音響的に結合され得る。例えば、音響ドライバ850は、2つの音響経路855を介して2つの第2の音誘導穴857に音響的に結合され得る。音響ドライバ850は、少なくとも2つの第2の音誘導穴857を通して音を伝播することができる。音誘導穴は、特定の開口部を有し、音が通過することを可能にする、音響出力装置上に形成された小さな穴であり得る。音誘導穴の形状は、円形、楕円形、正方形、台形、丸みを帯びた四角形、三角形、不規則な形状など、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。また、音響ドライバ840または850に接続される音誘導穴の数は2つに限定されない場合があり、任意の値、例えば3、4、6等であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、音響出力装置800の遠距離場漏れを低減するために、音響ドライバ840を使用して、同じ(またはほぼ同じ)振幅および反対(またはほぼ反対)の位相を有する低周波音を少なくとも2つの第1の音誘導穴を介して出力することができる。音響ドライバ850は、少なくとも2つの第2の音誘導穴を介して、同じ(またはほぼ同じ)振幅および逆の(またはほぼ逆の)位相を有する高周波音を出力するために使用され得る。このようにして、音響干渉キャンセルの原理に従って、低周波音(または高周波音)の遠距離場漏れを低減することができる。
【0098】
図6図7Aおよび図7Bによると、低周波音の波長が高周波音の波長よりも長いことを考慮し、近距離場(例えば、ユーザの耳の近く)での音の干渉キャンセルを低減するために、第1の音誘導穴間の距離と第2の音誘導穴との間の距離は、異なる値を有し得る。例えば、2つの第1の音誘導穴の間に第1の距離があり、2つの第2の音誘導穴の間に第2の距離があると仮定すると、第1の距離は、第2の距離より長くなり得る。いくつかの実施形態では、第1の距離および第2の距離は任意の値であり得る。単なる例として、第1の距離は、例えば、20mm~40mmの範囲で、40mmを超えてはならない。第2の距離は12mmより長くてはならず、第1の距離は第2の距離より長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は12mmより短くてはならない。第2の距離は、例えば、3mm~7mmの範囲で、7mmより短くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は30mmであり得、第2の距離は5mmであり得る。別の例として、第1の距離は、第2の距離より少なくとも2倍長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は、第2の距離より少なくとも3倍長くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は、第2の距離より少なくとも5倍長くてもよい。
【0099】
図8に示されるように、音響ドライバ840は、変換器843を含み得る。変換器843は、音響経路845を介して第1の音誘導穴847に音を送信することができる。音響ドライバ850は、変換器853を含み得る。変換器853は、音響経路855を介して第2の音誘導穴857に音を送信することができる。いくつかの実施形態では、変換器は、ガス伝導性音響出力装置の変換器、骨伝導性音響出力装置の変換器、水力音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、または磁気拘束型など、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(低周波音響ドライバ840、高周波音響ドライバ850など)は、異なる特性または異なる数の変換器を有する変換器を含み得る。例えば、低周波音響ドライバ840および高周波音響ドライバ850のそれぞれは、変換器を含み得、低周波音響ドライバ840および高周波音響ドライバ850の変換器は、異なる周波数応答特性(低周波スピーカユニットおよび高周波スピーカユニットなど)を有し得る。別の例として、低周波音響ドライバ840は、2つの変換器843(2つの低周波スピーカユニットなど)を含み得、高周波音響ドライバ850は、2つの変換器853(2つの高周波スピーカユニットなど)を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、音響出力装置800は、他の手段、例えば、変換器分周、音響経路分周などによって、異なる周波数範囲を有する音を生成することができる。音響出力装置800が変換器または音響経路を使用して音を分割する場合、電子分周モジュール810(例えば、図8の点線の枠内の部分)は省略され得る。ソース信号は、それぞれ音響ドライバ840および音響ドライバ850に入力することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、音響出力装置800は、信号分周を達成するために複数の変換器を使用することができる。例えば、音響ドライバ840および音響ドライバ850は、入力されたソース信号をそれぞれ低周波信号および高周波信号に変換することができる。具体的には、変換器843(低周波スピーカなど)を介して、低周波音響ドライバ840は、ソース信号を低周波成分を有する低周波音に変換することができる。低周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路845に沿って、少なくとも2つの第1の音誘導穴847に伝達され得る。次に、低周波音は、第1の音誘導穴847を通って外側に伝播され得る。変換器853(高周波スピーカなど)を介して、高周波音響ドライバ850は、ソース信号を高周波成分を有する高周波音に変換することができる。高周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路855に沿って、少なくとも2つの第2の音誘導穴857に伝達され得る。次に、高周波音は、第2の音誘導穴857を通って外側に伝播され得る。
【0103】
いくつかの代替の実施形態では、変換器と音誘導穴とを接続する音響経路(例えば、音響経路845および音響経路855)は、送信される音の性質に影響を及ぼし得る。例えば、音響経路は、伝達される音の位相をある程度減衰または変化させ得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネットなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例えば、音響インピーダンスは、5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲にあり得る。例示的な音響抵抗材には、プラスチック、繊維、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料またはメッシュ材料、多孔質材料、粒子状材料、ポリマー材料など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。異なる音響インピーダンスの音響経路を設定することにより、異なる変換器の音出力を音響的にフィルタリングすることができる。この場合、異なる音響経路を介して出力される音は、異なる周波数成分を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、音響出力装置800は、信号分周を達成するために複数の音響経路を利用することができる。具体的には、ソース信号は、特定の音響ドライバに入力され、高周波数成分および低周波数成分を含む音に変換され得る。音は、特定の周波数選択特性を有する音響経路に沿って伝播することができる。例えば、音は、ローパス特性を有する音響経路に沿って、対応する音誘導穴に伝播されて、低周波音を出力することができる。この過程で、音の高周波成分は、ローパス特性を備えた音響経路によって吸収または減衰され得る。同様に、音声信号は、高周波音を出力するために、ハイパス特性を有する音響経路に沿って対応する音誘導穴に伝播され得る。この過程で、音の低周波成分は、ハイパス特性を備えた音響経路によって吸収または減衰され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、音響出力装置800のコントローラは、低周波音響ドライバ840に第1の周波数範囲の音(すなわち、低周波音)を出力させ得、高周波音響ドライバ850に、第2の周波数範囲の音(つまり、高周波音)を出力させ得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置800はまた、支持構造体を含み得る。支持構造体は、音響ドライバ(高周波音響ドライバ850、低周波音響ドライバ840など)を運ぶために使用され得、その結果、音響ドライバは、ユーザの耳から離れて配置され得る。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバ850と音響的に結合された音誘導穴は、ユーザの耳の予想される位置(例えば、耳道入口)の近くに配置され得、一方、音誘導穴は、低周波音響ドライバ840と音響的に結合されたものは、予想される位置からさらに離れて配置され得る。いくつかの実施形態では、支持構造体を使用して、音響ドライバをパッケージ化することができる。例えば、支持構造体は、プラスチック、金属、およびテープなどの様々な材料で作られたケーシングを含み得る。ケーシングは、音響ドライバをカプセル化し、音響ドライバに対応する前部チャンバおよび後部チャンバを形成することができる。前部チャンバは、音響ドライバに対応する少なくとも2つの音誘導穴のうちの1つに音響的に結合され得る。後部チャンバは、音響ドライバに対応する少なくとも2つの音誘導穴の他方に音響的に結合することができる。例えば、低周波音響ドライバ840の前部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴847のうちの1つに音響的に結合され得る。低周波音響ドライバ840の後部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴847のうちの他方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ850の前部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴857のうちの一方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ850の後部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴857の他方に音響的に結合され得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴(第1の音誘導穴847および第2の音誘導穴857など)をケーシング上に配置することができる。
【0106】
音響出力装置800の上記の説明は、単に例として提供され得る。当業者は、音響ドライバの構造、量などを調整および変更することができ、これは、本開示において限定されない。いくつかの実施形態では、音響出力装置800は、任意の数の音響ドライバを含むことができる。例えば、音響出力装置800は、高周波音響ドライバ850の2つのグループおよび低周波音響ドライバ840の2つのグループ、または高周波音響ドライバ850の1つのグループおよび低周波音響ドライバ840の2つのグループを含み得る。これらの高周波/低周波数ドライバは、それぞれ、特定の周波数範囲で音を生成するために使用され得る。別の例として、音響ドライバ840および/または音響ドライバ850は、追加の信号プロセッサを含み得る。信号プロセッサは、信号プロセッサ820または830と同じ構造構成要素または異なる構造構成要素を有し得る。
【0107】
図8に示される音響出力装置およびそのモジュールは、様々な方法で実装され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システムおよびモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせによって実装され得る。ハードウェアは、専用のロジックで実装され得る。ソフトウェアは、適切な命令実行システム、例えば、マイクロプロセッサまたは専用の設計ハードウェアによって実行され得るストレージに格納され得る。上記の方法およびシステムは、コンピュータで実行可能な命令によって実装され、および/またはプロセッサの制御コードに埋め込まれ得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、制御コードは、ディスク、CDまたはDVD-ROMなどの媒体、読み取り専用メモリ(例えば、ファームウェア)などのプログラム可能なメモリ装置、または光学式または電気信号キャリアなどのデータキャリアによって提供され得る。本開示のシステムおよびモジュールは、超大規模集積回路内のプログラマブルハードウェア装置内のハードウェア回路、ゲートアレイチップ、論理チップまたはトランジスタなどの半導体、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはプログラマブルロジック装置によってだけでなく実装され得る。本開示におけるシステムおよびモジュールはまた、様々なプロセッサによって実行されるソフトウェアによって、さらにはハードウェアおよびソフトウェア(例えば、ファームウェア)の組み合わせによっても実装され得る。
【0108】
音響出力装置800およびその構成要素の上記の説明は、説明の便宜のためだけであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、装置の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、各ユニットを組み合わせるか、または下部構造を形成して、他のユニットと任意に接続することが可能であることが理解され得る。例えば、電子分周モジュール810を省略してもよく、ソース信号の分周は、低周波音響ドライバ840および/または高周波音響ドライバ850の内部構造によって実装され得る。別の例として、信号プロセッサ820または830は、電子分周モジュール810から独立した部分であり得る。これらの変更は、本開示の範囲内に含まれ得る。
【0109】
図9Aおよび図9Bは、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。説明のために、同じ変換器と結合された異なる音誘導穴によって出力される音を例として説明することができる。図9Aおよび図9Bでは、各変換器は、前側および後側を有し得、前部チャンバおよび後部チャンバは、それぞれ、変換器の前側および後側に存在し得る。いくつかの実施形態では、これらの構造は、変換器が対称的に負荷され得るように、同じまたはほぼ同じ等価音響インピーダンスを有し得る。変換器の対称的な負荷は、異なる音誘導穴で振幅と位相の関係を満たす音源(上記と同じ振幅と逆位相を有する「2つの点光源」など)を形成し得、その結果、特定の音場が高周波数範囲および/または低周波数範囲で形成され得る(例えば、近距離場音が増強され、遠距離場漏れが抑制され得る)。
【0110】
図9Aおよび図9Bに示されるように、音響ドライバ(例えば、音響ドライバ910または920)は、変換器、ならびに変換器に接続された音響経路および音誘導穴を含み得る。音響出力装置の実際の適用シナリオをより明確に説明するために、説明のためにユーザの耳Eの位置を図9Aおよび図9Bに示す。図9Aは、音響ドライバ910の適用シナリオを示している。音響ドライバ910は、変換器943(または低周波音響ドライバと呼ばれる)を含み得、変換器943は、音響経路945を介して2つの第1の音誘導穴947と結合され得る。図9Bは、音響ドライバ920の適用シナリオを示している。音響ドライバ920は、変換器953(または高周波音響ドライバと呼ばれる)を含み得、変換器953は、音響経路955を介して2つの第2の音誘導穴957と結合され得る。
【0111】
変換器943または953は、電気信号の駆動下で振動する可能性があり、その振動は、等しい振幅および逆位相(180度の反転)を有する音を生成し得る。変換器の型には、空気伝導スピーカ、骨伝導スピーカ、水中音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、磁気拘束型等、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、変換器943または953は、電気信号によって駆動されると振動し得る振動ダイアフラムを含み得、振動ダイアフラムの前側および後側は、順相音および逆相音を同時に出力し得る。図9Aおよび図9Bにおいて、「+」および「-」は、異なる位相を有する音を表すために使用され得、「+」は、順相音を表し、「-」は、逆相音を表し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、変換器は、支持構造体のケーシングによってカプセル化され得、ケーシングの内部は、変換器の前側および後側にそれぞれ接続された音響チャネルを備え、それによって音響経路を形成し得る。例えば、変換器943の前部空洞は、第1の音響経路(すなわち、音響経路945の半分)を介して2つの第1の音誘導穴947のうちの1つに結合され得、変換器943の後部空洞は、第2の音響経路(すなわち、音響経路945の残りの半分)を介して、2つの第1の音誘導穴947の他の音誘導穴に音響的に結合され得る。変換器943から出力される順相音および逆相音は、それぞれ、2つの第1の音誘導穴947から出力され得る。別の例として、変換器953の前部空洞は、第3の音響経路(すなわち、音響経路955の半分)を介して2つの音誘導穴957の1つに結合され得、変換器953の後部空洞は、第4の音響経路(すなわち、音響経路955の残りの半分)を通る2つの第2の音誘導穴957の別の音誘導穴に結合され得る。変換器953から出力される順相音および逆相音は、それぞれ、2つの第2の音誘導穴957から出力され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、音響経路は、送信される音の性質に影響を及ぼし得る。例えば、音響経路は、伝達される音の位相をある程度減衰または変化させ得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネットなど、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例えば、音響インピーダンスは、5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、音響抵抗材は、プラスチック、テキスタイル、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料、メッシュ材料など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、音響ドライバの前部チャンバおよび後部チャンバによって伝達される音が異なって乱されるのを防ぐために、音響ドライバに対応する前部チャンバおよび後部チャンバは、ほぼ同じ等価音響インピーダンスを有し得る。さらに、同じ音響抵抗材、同じサイズおよび/または形状などを備えた音誘導穴を使用することができる。
【0114】
低周波音響ドライバの2つの第1の音誘導穴947間の距離は、d(すなわち、第1の距離)として表すことができる。高周波音響ドライバの2つの第2の音誘導穴957間の距離は、d(すなわち、第2の距離)として表すことができる。距離dとdを設定することにより、低周波帯域でのより高い音量出力と、高周波帯域での音漏れを低減するより強力な能力を達成することができる。例えば、2つの第1の音誘導穴947間の距離は、2つの第2の音誘導穴957間の距離よりも大きい(すなわち、d>d)。
【0115】
いくつかの実施形態では、変換器943および変換器953は、音響出力装置のハウジング内に一緒に収容され得、ハウジングの構造内に隔離されて配置され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、高周波音響ドライバおよび低周波音響ドライバの複数のセットを含み得る。例えば、音響出力装置は、左耳および/または右耳に同時に音を出力するための高周波音響ドライバのセットおよび低周波音響ドライバのセットを含み得る。別の例として、音響出力装置は、2セットの高周波音響ドライバおよび2セットの低周波音響ドライバを含み得、1セットの高周波音響ドライバおよび1セットの低周波音響ドライバは、ユーザの左耳に音を出力するために使用され得、他の高周波音響ドライバのセットおよび他の低周波音響ドライバのセットは、ユーザの右耳に音を出力するために使用され得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバおよび低周波音響ドライバは、異なる出力を有し得る。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバは第1の出力を有し得、高周波音響ドライバは第2の出力を有し得、第1の出力は第2の出力より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の電力および第2の電力は任意の値であり得る。
【0118】
図10A図10B、および図10Cは、本開示のいくつかの実施形態による音出力シナリオを示す概略図である。
【0119】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、2つ以上の変換器を介して同じ周波数範囲の音を生成することができ、音は、異なる音誘導穴を通って外側に伝播することができる。いくつかの実施形態では、異なる変換器は、それぞれ同じコントローラまたは異なるコントローラによって制御され得、特定の位相および振幅条件を満たす音(例えば、同じ振幅であるが逆位相の音、異なる振幅および反対の音)を生成し得る。例えば、コントローラは、音響ドライバの2つの低周波変換器に入力される電気信号を、同じ振幅および逆位相を有するようにすることができる。このようにして、2つの低周波変換器は、振幅は同じで位相が逆の低周波音を出力できる。
【0120】
具体的には、音響ドライバ(低周波音響ドライバ1010または高周波音響ドライバ1020など)内の2つの変換器は、音響出力装置内に並べて配置することができ、そのうちの一方は、順相音を出力するために使用され得、他方は逆相音を出力するために使用され得る。図10Aに示されるように、音響ドライバ1010は、2つの変換器1043、2つの音響経路1045、および2つの第1の音誘導穴1047を含み得る。図10Bに示されるように、音響ドライバ1050は、2つの変換器1053、2つの音響経路1055、および2つの第2の音誘導穴1057を含み得る。逆位相の電気信号によって駆動される2つの変換器1043は、逆位相(180度反転)の低周波音のセットを生成することができる。2つの変換器1043(下に配置された変換器など)の一方は順相音を出力し得、他方(上に配置された変換器など)は逆相音を出力し得る。逆位相の2つの低周波音は、それぞれ2つの音響経路1045に沿って2つの第1の音誘導穴1047に伝達され、2つの第1の音誘導穴1047を通って外側に伝播することができる。同様に、逆位相の電気信号によって駆動される2つの変換器1053は、逆位相(180度反転)の高周波音のセットを生成することができる。2つの変換器1053(下に配置された変換器など)の一方は順相高周波音を出力し得、他方(上に配置された変換器など)は逆相高周波音を出力し得る。逆位相の高周波音は、それぞれ2つの音響経路1055に沿って2つの第2の音誘導穴1057に伝達され、2つの第2の音誘導穴1057を通って外側に伝播することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ内の2つの変換器(例えば、低周波音響ドライバ1043および高周波音響ドライバ1053)は、直線に沿って互いに比較的近くに配置され得、それらのうちの一方は、順相音を出力するために使用され得、他方は逆相音を出力するために使用され得る。
【0122】
図10Cに示されるように、左側は音響ドライバ1010であり得、右側は音響ドライバ1020であり得る。音響ドライバ1010の2つの変換器1043は、それぞれ、コントローラの制御下で、等しい振幅および逆位相の低周波音のセットを生成することができる。変換器1043のうちの1つは、順相低周波音を出力し、順相低周波音を第1の音響経路に沿って第1の音誘導穴1047に送信することができる。他の変換器1043は、逆相低周波音を出力し、逆相低周波音を第2の音響経路に沿って別の第1の音誘導穴1047に送信することができる。音響ドライバ1020の2つの変換器1053は、それぞれ、コントローラの制御下で、等しい振幅および逆位相の高周波音を生成することができる。変換器1053のうちの1つは、順相高周波音を出力し、順相高周波音を第3の音響経路に沿って第2の音誘導穴1057に送信することができる。他の変換器1053は、逆相高周波音を出力し、逆相高周波音を第4の音響経路に沿って別の第2の音誘導穴1057に送信することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、変換器1043および/または変換器1053は、様々な適切な型のものであり得る。例えば、変換器1043および変換器1053は、動的コイルスピーカであり得る。これは、低周波数での高感度、深い低周波数深度、および小さな歪みの特性を有し得る。別の例として、変換器1043および変換器1053は、小さいサイズ、高い感度、および広い高周波範囲の特徴を有し得る可動鉄スピーカであり得る。別の例として、変換器1043および1053は、空気伝導スピーカまたは骨伝導スピーカであり得る。さらに別の例として、変換器1043および変換器1053は、平衡電機子スピーカであり得る。いくつかの実施形態では、変換器1043および変換器1053は、異なる形式のものであり得る。例えば、変換器1043は、可動鉄スピーカであり得、変換器1053は、可動コイルスピーカであり得る。別の例として、変換器1043は動的コイルスピーカであり得、変換器1053は可動鉄スピーカであり得る。
【0124】
図10A図10Cでは、音響ドライバ1010の2つの点音源間の距離はdであり得、音響ドライバ1020の2つの点音源間の距離はdであり得、dはdより大きくてもよい。図10Cに示されるように、聴取位置(すなわち、ユーザが音響出力装置を装着したときの外耳道の位置)は、一組の2つの点音源の線上にほぼ配置され得る。いくつかの実施形態では、聴取位置は、任意の適切な位置に配置することができる。例えば、聴取位置は、2つの点音源の中心点を中心とする円上に配置され得る。別の例として、聴取位置は、2セットの点音源の2本の線の同じ側にあり得る。
【0125】
図10A図10Cに示される音響出力装置の簡略化された構造は、単なる例としてであり得、これは、本開示の限定ではない可能性があることが理解され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、支持構造体、コントローラ、信号プロセッサなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0126】
図11Aおよび図11Bは、本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置を示す概略図である。
【0127】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(例えば、音響ドライバ1043または1053)は、複数の狭帯域スピーカを含み得る。図11Aに示されるように、音響出力装置は、複数の狭帯域スピーカユニットおよび信号処理モジュールを含み得る。ユーザの左側または右側に、音響出力装置は、それぞれn個のグループ、狭帯域スピーカユニットを含み得る。狭帯域スピーカユニットの各グループは、異なる周波数応答曲線を有し得、各グループの周波数応答は、相補的であり、集合的に可聴取音周波数帯域をカバーし得る。本明細書で使用される狭帯域スピーカユニットは、低周波音響ドライバおよび/または高周波音響ドライバよりも狭い周波数応答範囲を有する音響ドライバであり得る。図11Aに示されるようにユーザの左側に配置されたスピーカユニットを例として取り上げると、A1~AnおよびB1~Bnは、2つの点音源のn個のグループを形成する。同じ電気信号が入力されると、2つの点音源ごとに異なる周波数範囲の音が生成され得る。各2つの点音源の距離dnを設定することにより、各周波数帯域の近距離場音と遠距離場音を調整できる。例えば、近距離場音の音量を増強し、遠距離場漏れの音量を低減するために、高周波に対応する一対の2つの点音源間の距離は、低周波数に対応する一対の2つの点音源間の距離よりも小さい場合がある。
【0128】
いくつかの実施形態では、信号処理モジュールは、イコライザ(EQ)処理モジュールおよびデジタル信号プロセッサ(DSP)処理モジュールを含み得る。信号処理モジュールは、信号等化および他のデジタル信号処理アルゴリズム(振幅変調および位相変調など)を実装するために使用できる。処理された信号は、音を出力するために、対応する音響ドライバ(例えば、狭帯域スピーカユニット)に接続され得る。好ましくは、狭帯域スピーカユニットは、動的コイルスピーカまたは可動鉄スピーカであり得る。いくつかの実施形態では、狭帯域スピーカユニットは、平衡電機子スピーカであり得る。2つの点音源は2つの平衡電機子スピーカを使用して構築でき、2つのスピーカからの音出力は逆位相であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(音響ドライバ840、850、1040または1050など)は、フルバンドスピーカの複数のセットを含み得る。図11Bに示されるように、音響出力装置は、複数のセットのフルバンドスピーカユニットおよび信号処理モジュールを含み得る。ユーザの左側または右側に、音響出力装置は、それぞれ、n個のグループのフルバンドスピーカユニットを含み得る。各フルバンドスピーカユニットは、同じまたは類似の周波数応答曲線を有し、広い周波数範囲をカバーし得る。
【0130】
図11Bに示されるようにユーザの左側に配置されたスピーカユニットを例として取り上げると、A1~AnおよびB1~Bnは、2つの点音源のn個のグループを形成する。図11Aおよび図11Bとの違いは、図11Bの信号処理モジュールが、異なる周波数範囲に対応する電気信号を生成するために音源信号に対して分周を実行するための少なくとも1セットのフィルタと、フルバンドスピーカユニットの各グループには、異なる周波数範囲を入力できる。このようにして、スピーカユニットの各グループ(2つの点音源と同様)は、異なる周波数範囲の音響を個別に生成できる。
【0131】
図12A図12Cは、本開示のいくつかの実施形態による音響経路を示す概略図である。
【0132】
上記のように、音響フィルタリング構造は、音響管、音響空洞、および音響経路における音響抵抗などの構造を設定して、音の分周を達成することによって構築することができる。図12A図12Cは、音響経路を使用した音声信号の分周の概略構造図を示している。図12A図12Cは、音響経路を使用して音声信号の分周を実行するときの音響経路を設定する例であり得、本開示の制限ではない可能性があることに留意されたい。
【0133】
図12Aに示されるように、音響経路は、直列に接続された管腔構造の1つまたは複数のグループを含み得、音響抵抗材は、フィルタリング効果を達成するために構造全体の音響インピーダンスを調整するために管腔構造に提供され得る。いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタリングまたはローパスフィルタリングは、音の分周を達成するために管腔構造および/または音響抵抗材のサイズを調整することによって音に対して実行され得る。図12Bに示されるように、1つまたは複数の共振空洞のセットを有する構造(例えば、ヘルムホルツ空洞)は、音響経路の分岐上に構築され得、フィルタリング効果は、各共鳴空洞および音響抵抗材のサイズを調整することによって達成され得る。図12Cに示されるように、管腔構造と共振空洞(例えば、ヘルムホルツ空洞)の組み合わせは、音響経路で構築され得、フィルタリング効果は、管腔構造および/または共振空洞、および/または音響抵抗材のサイズを調整することによって達成され得る。
【0134】
図13は、2組の2つの点音源(1組の高周波2つの点音源と1組の低周波2つの点音源)の作用下での音響出力装置(例えば、音響出力装置800)の音漏れの曲線を示している。2つの点音源の2つのセットの分周点は約700Hzであり得る。
【0135】
正規化パラメータαを使用して、漏れた音の音量を評価することができる(αの説明は式(4)にある)。図13に示されるように、単一の点音源と比較して、2つの点音源の2つのセットは、音漏れを低減するより強力な能力を有し得る。また、2つの点音源を1組のみ備えた音響出力装置と比較して、2組の2つの点音源は、高周波音と低周波音を別々に出力することができる。低周波の2つの点音源間の距離は、高周波の2つの点音源の距離よりも大きくなり得る。低周波数範囲では、低周波数の2つの点音源間の距離(d)を大きく設定することにより、近距離場音の音量の増加が遠距離場漏れの音量の増加よりも大きくなり得る。これにより、低周波帯域でより大きな音量の近距離場音出力が実現され得る。同時に、低周波域では、低周波の2つの点音源の音漏れが非常に小さいため、距離d1を大きくすると、音漏れがわずかに大きくなり得る。高周波域では、高周波の2つの点音源間に小さな距離(d)を設定することにより、高周波の音漏れ低減のカットオフ周波数が低すぎ、音漏れ低減のオーディオ帯域が狭すぎるという問題が克服され得る。したがって、距離dおよび/または距離dを設定することにより、本開示の実施形態で提供される音響出力装置は、単一の点音源または単一の2つの点音源のセットを有する音響出力装置よりも強い音漏れ抑制能力を得ることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、回路のフィルタ特性、変換器の周波数特性、および音響経路の周波数特性などの要因の影響を受けて、音響出力装置の実際の低周波音および高周波音は、図13に示すものとは異なり得る。さらに、低周波音と高周波音は、分周点の近くの周波数帯域で特定のオーバーラップ(エイリアス)を持っている可能性があり、音響出力装置の全体的な音漏れの減少は、図13に示す分周点で変化を持たない。代わりに、図13の細い実線で示されるように、分周点の近くの周波数帯域に勾配および/または遷移があり得る。これらの違いは、本開示の実施形態によって提供される音響出力装置の全体的な漏れ低減効果に影響を及ぼさない可能性があることが理解され得る。
【0137】
図8図13および関連する説明によれば、本開示によって提供される音響出力装置は、高周波の2つの点音源および低周波の2つの点音源を設定することによって異なる周波数帯域で音を出力するために使用され得、それにより、より良い音響出力効果を達成する。さらに、異なる距離で2つの点音源の異なるセットを設定することにより、音響出力装置は、高周波帯域での音漏れを低減するより強力な能力を有し、開放型音響出力装置の要件を満たすことができる。
【0138】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置は、少なくとも1つの音響ドライバを含み得、少なくとも1つの音響ドライバによって生成された音は、少なくとも1つの音響ドライバと結合された少なくとも2つの音誘導穴を通って外側に伝播し得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、バッフル構造を備えていてもよく、その結果、少なくとも2つの音誘導穴がバッフルの2つの側面に分配され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの音誘導穴は、ユーザの耳介の両側に配置され得る。このとき、耳介は、少なくとも2つの音誘導穴を分離するバッフルとして機能することができ、その結果、少なくとも2つの音誘導穴は、ユーザの外耳道への異なる音響経路を有することができる。2つの点音源とバッフルの詳細については、いずれも2019年12月31日に出願された国際出願第PCT/CN2019/130921号(特許文献3)および国際出願第PCT/CN2019/130942号(特許文献4)に記載されており、それぞれの内容全体が参照により本開示に組み込まれている。
【0139】
図14は、本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な音響出力装置1400を示す概略図である。図14に示すように、音響出力装置1400は、支持構造体1410と、支持構造体1410内に取り付けられた音響ドライバ1420とを含むことができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置1400は、支持構造体1410を介してユーザの体(例えば、人体の頭、首、または胴体上部)に装着することができる。同時に、支持構造体1410および音響ドライバ1420は、外耳道に接近するが閉塞しないことができるので、ユーザの耳は開いたままであり得、したがって、ユーザは、音響出力装置1400からの音出力および外部環境の音の両方を聞くことができる。例えば、音響出力装置1400は、ユーザの耳の周りまたは部分的に配置され得、空気伝導または骨伝導によって音を伝達することができる。
【0140】
支持構造体1410は、ユーザの体に装着するために使用することができ、1つまたは複数の音響ドライバ1420を含むことができる。いくつかの実施形態では、支持構造体1410は、中空の内部を備えた密閉シェル構造を有することができ、1つまたは複数の音響ドライバ1420は、支持構造体1410の内部に配置することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置1400は、眼鏡、ヘッドセット、ディスプレイ装置、AR/VRヘルメットなどの製品と組み合わせることができる。この場合、支持構造体1410は、ユーザの耳の近くに吊り下げまたはクランプ方式で固定することができる。いくつかの代替の実施形態では、フックが支持構造体1410上に提供され得、フックの形状がユーザの耳介の形状と一致し得、その結果、音響出力装置1400は、フックを通してユーザの耳に独立して装着され得る。音響出力装置1400は、有線または無線の方法(例えば、ブルートゥース(登録商標))で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話、または他のモバイル装置)と通信することができる。例えば、左耳および右耳の音響出力装置1400は、無線方式で信号源と直接通信接続することができる。別の例として、左耳および右耳の音響出力装置1400は、第1の出力装置および第2の出力装置を含み得る。第1の出力装置は、信号源と通信接続されていてもよく、第2の出力装置は、無線の方法で第1の出力装置と無線で接続されていてもよい。第1の出力装置および第2の出力装置のオーディオ出力は、1つまたは複数の同期信号を介して同期させることができる。本明細書に開示される無線接続は、ブルートゥース(登録商標)、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク、近距離通信など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0141】
いくつかの実施形態では、支持構造体1410は、支持構造体1410がユーザの耳に直接引っ掛けられるように、人間の耳に適した形状、例えば、円形環、楕円形、多角形(規則的または不規則)、U字形、V字形、半円形を有していてもよい。いくつかの実施形態では、支持構造体1410は、1つまたは複数の固定構造を含み得る。固定構造は、耳フック、ヘッドストリップ、または弾性バンドを含み得、その結果、音響出力装置1400は、音響出力装置1400が落下するのを防止して、ユーザによりよく固定され得る。単なる例として、弾性バンドは、頭部領域の周りに装着されるヘッドバンドであり得る。別の例として、弾性バンドは、首/肩領域の周りに装着されるネックバンドであり得る。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、連続バンドであり得、弾性的に引き伸ばされて、ユーザの頭に装着され得る。その間、弾性バンドはまた、ユーザの頭に圧力をかけることができ、その結果、音響出力装置1400は、ユーザの頭の特定の位置に固定され得る。いくつかの実施形態では、弾性バンドは不連続バンドであり得る。例えば、弾性バンドは、剛性部分および可撓性部分を含み得る。剛性部分は、剛性材料(例えば、プラスチックまたは金属)で作製され得、剛性部分は、物理的接続によって音響出力装置1400の支持構造体1410に固定され得る。可撓性部分は、弾性材料(例えば、布、複合材料、または/およびネオプレン)でできていてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、ユーザが音響出力装置1400を装着するとき、支持構造体1410は、耳介の上または下に配置され得る。支持構造体1410は、音を伝達するための音誘導穴1411および音誘導穴1412を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、音誘導穴1411および音誘導穴1412は、それぞれ、ユーザの耳介の両側に配置され得、音響ドライバ1420は、音誘導穴1411および音誘導穴1412を通して音を出力し得る。
【0143】
音響ドライバ1420は、電気信号を受信し、電気信号を出力用の音声信号に変換することができる構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、周波数に関して、音響ドライバ1420の形式は、低周波音響ドライバ、高周波音響ドライバ、または全周波数音響ドライバ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ1420は、可動コイル、可動鉄、圧電、静電、磁歪ドライバなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ1420は、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側からそれぞれ音が伝わり得る。いくつかの実施形態では、支持構造体1410内の振動ダイアフラムの前側は、音を伝達するための前部チャンバ1413を備えていてもよい。前部チャンバ1413は、音誘導穴1411と音響的に結合され得る。振動ダイアフラムの前側の音は、音誘導穴1411から前部チャンバ1413を通って出力することができる。支持構造体1410内の振動ダイアフラムの後側は、音を伝達するための後部チャンバ1414を備えていてもよい。後部チャンバ1414は、音誘導穴1412と音響的に結合され得る。振動ダイアフラムの後側の音は、音誘導穴1412から後部チャンバ1414を通って出力することができる。なお、振動ダイアフラムが振動しているときは、振動ダイアフラムの前側と後側が同時に逆位相の音を発生することがある。音は、それぞれ前部チャンバ1413および後部チャンバ1414を通過した後、音誘導穴1411および音誘導穴1412からそれぞれ外側に伝播することができる。いくつかの実施形態では、前部チャンバ1413および後部チャンバ1414の構造を調整することにより、音響ドライバ1420によって音誘導穴1411および音誘導穴1412で出力される音は、特定の条件を満たすことができる。例えば、前部チャンバ1413と後部チャンバ1414の長さを設計することにより、音誘導穴1411と音誘導穴1412は、特定の位相関係(例えば、逆位相)の音を出力することができる。したがって、音響出力装置1400の近距離場でユーザが聞く小さな音量および音響出力装置1400の遠距離場での大きな音漏れを含む問題を効果的に解決することができる。
【0145】
いくつかの代替の実施形態では、音響ドライバ1420はまた、複数の振動ダイアフラム(例えば、2つの振動ダイアフラム)を含み得る。複数の振動ダイアフラムのそれぞれは、振動して音を生成することができ、音は、支持構造体内の振動ダイアフラムに接続された空洞を通過し、対応する音誘導穴から出力することができる。複数の振動ダイアフラムは、同じコントローラまたは異なるコントローラによって制御され、特定の位相および振幅条件を満たす音を生成することができる(例えば、同じ振幅であるが逆位相の音、異なる振幅および逆位相の音など)。
【0146】
前述のように、特定の音の周波数では、2つの点音源間の距離が大きくなると、ユーザが聞く音の音量と、2つの点音源に対応する漏れた音の音量が大きくなることがある。より明確な説明のために、ユーザが聞く音の音量、音漏れの音量、および点音源距離dの間の関係は、図15から図17に関連してさらに説明され得る。
【0147】
図15は、本開示のいくつかの実施形態による2つの点音源および聴取位置を示す概略図である。図15に示されるように、点音源a1および点音源a2は、聴取位置の同じ側にあり得る。点音源a1は、聴取位置により近い場合があり、点音源a1および点音源a2は、同じ振幅であるが逆位相の音を出力し得る。
【0148】
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、音の周波数の関数としての、異なる距離を有する2つの点音源のユーザによって聞こえられる音の音量の変化を示すグラフである。横軸は、2つの点音源(a1およびa2で示される)によって出力される音の周波数(f)を表す場合があり、単位はヘルツ(Hz)であり得る。縦軸は音の音量を表し、単位はデシベル(dB)である。図16に示すように、点音源a1と点音源a2との間の距離が徐々に増加するにつれて(例えば、dから10dまで)、聴取位置での音量が徐々に増加し得る。すなわち、点音源a1と点音源a2との距離が大きくなると、聴取位置に到達する2つの音の音圧振幅の差(すなわち音圧差)が大きくなり、消音効果が弱くなり得、聴取位置での音量が大きくなり得る。ただし、音のキャンセルが存在するため、聴取位置の音量は、低周波帯域と中周波数帯域の同じ位置(例えば、周波数が1000Hzより低い場合)にある単一の点音源によって生成される音量よりも小さい場合がある。ただし、高周波帯域(例えば、10000Hzに近い周波数)では、音の波長が短くなるため、音の相互増強が現れ、2つの点音源によって生成される音が単一点音源によって生成される音より大きくなり得る。いくつかの実施形態では、音圧は、空気の振動を通じて音によって生成される圧力を指し得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、2つの点音源(例えば、点音源a1と点音源a2)との間の距離を増加させることによって、聴取位置での音量を増加させることができる。ただし、距離が長くなると、2つの点音源の消音が弱くなり、遠距離場音漏れが大きくなり得る。説明のために、図17は、本開示のいくつかの実施形態による、遠距離場の2つの点音源間の異なる距離の正規化されたパラメータの変化を、音の周波数とともに示すグラフである。横軸は音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)である。縦軸は、漏れた音の音量を評価するために正規化パラメータαを使用することができ、単位はデシベル(dB)であることができる。図17に示すように、単一点音源の正規化パラメータαを基準として、2つの点音源間の距離がdから10dに増加すると、正規化パラメータαが徐々に増加し、音漏れが徐々に増加し得ることを示す。正規化パラメータαに関する詳細な説明は、式(4)および関連する説明に記載されている。
【0150】
いくつかの実施形態では、バッフル構造を音響出力装置に追加することは、音響出力装置の出力効果を改善するために、すなわち、遠距離場音漏れの音量を低減しながら、近距離場の聴取位置での音の強さを増大させるために有益であり得る。説明のために、図18は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の間に提供される例示的なバッフルを示す図である。図18に示すように、点音源a1と点音源a2の間にバッフルが設けられている場合、近距離場では、点音源a2の音波は、点音源a2から聴取位置までの音響経路の長さを増やすことと同等であり得る、聴取位置での点音源a1の音波と干渉するためにバッフルをバイパスする必要がある。したがって、点音源a1と点音源a2の振幅が同じであると仮定すると、バッフルがない場合と比較して、聴取位置での点音源a1と点音源a2の音波の振幅の差は、増加すると、聴取位置での2つの音の打ち消し度が低下し、聴取位置での音量が大きくなる。遠距離場では、点音源a1と点音源a2で発生する音波が広い空間でバッフルを迂回する必要がないため、音波が干渉し得る(バッフルがない場合と同様)。バッフルなしの場合と比較して、遠距離場での音漏れが大幅に増加しない場合がある。したがって、点音源a1と点音源a2との間にバッフル構造が設けられていると、遠距離場漏れの音量は大幅に増加しないが、近距離場聴取位置での音量は大幅に増加し得る。
【0151】
本開示において、2つの点音源が耳介の両側に位置する場合、耳介はバッフルとして機能し得るので、耳介は、便宜上、バッフルとも呼ばれ得る。一例として、耳介の存在により、結果は、距離D1(モード1としても知られる)の2つの点音源によって近距離場音が生成され得ることと同等であり得る。遠距離場音は、距離がD2(モード2とも呼ばれる)で、D1>D2の2つの点音源によって生成され得る。図19は、本開示のいくつかの実施形態による、耳介が2つの点音源の間に位置するときの音の周波数の関数としてのユーザによる聴取音の音量の変化を示すグラフである。図19に示すように、周波数が低い場合(例えば、周波数が1000Hz未満の場合)、近距離場音(すなわち、ユーザがユーザの耳に聞く音)の音量は、基本的にはモード1の近距離場音と同じであり得、モード2の近距離場音の音量よりも大きく、単一の点音源の近距離場音の音量に近い場合がある。周波数が高くなると(例えば、周波数が2000Hz~7000Hzの場合)、モード1の近距離場音の音量と耳介の両側に分布する2つの点音源の音量が1つの点音源の音量よりも大きくなり得る。これは、ユーザの耳介が2つの点音源の間にある場合、音源からユーザの耳に伝達される近距離場音の音量を効果的に高めることができることを示している。図20は、本開示のいくつかの実施形態による、耳介が2つの点音源の間に位置するときの音の周波数の関数としての漏れた音の音量の変化を示すグラフである。図20に示されるように、周波数が増加するにつれて、遠距離場漏れの音量が増加し得る。2つの点音源が耳介の両側に分布している場合、2つの点音源によって生成される遠距離場漏れの音量は、モード2の遠距離場漏れの音量と基本的に同じであり得、モード1の遠距離場漏れの音量および単一点音源の遠距離場漏れの音量よりも少ない場合がある。これは、ユーザの耳介が2つの点音源の間にある場合、音源から遠距離場に伝達される音を効果的に低減できること、つまり、音源から周囲環境への音漏れを効果的に低減できることを示している。図21は、本開示のいくつかの実施形態による、音響出力装置の2つの点音源が耳介の両側に分布している場合の、音の周波数の関数としての正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。図21に示すように、周波数が10000Hz未満の場合、耳介の両側に分布する2つの点音源の正規化されたパラメータは、モード1(2つの点音源間にバッフル構造はなく、距離はD1)、モード2(2つの点音源間にバッフル構造はなく、距離はD2)、および単一点音源の場合の正規化されたパラメータよりも小さくなり得、これは、2つの点音源が耳介の両側にある場合に、音響出力装置は、音漏れを低減するためのより優れた能力を有し得ることを示し得る。
【0152】
2つの点音源または2つの音誘導穴の間にバッフルがある場合とない場合の音響出力装置の効果をさらに説明するために、聴取位置での近距離場音の音量および/または遠距離場漏れの音量の異なる条件下での具体的な説明は以下のとおりである。
【0153】
図22は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源間のバッフルがある場合とない場合の音の周波数の関数としての、ユーザによって聞こえる音の音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。図22に示されるように、音響出力装置の2つの点音源(すなわち、2つの音誘導穴)の間にバッフルを追加した後、近距離場において、それは、2つの点音源間の距離を増加させることと同等であり得る。近距離聴取位置での音量は、長距離の2つの点音源のセットによって生成されるのと同等であり得る。バッフルなしの場合と比較して、近距離場音の音量が大幅に増加し得る。遠距離場では、2つの点音源から発生する音波の干渉がバッフルの影響をほとんど受けないため、音漏れは距離の短い2つの点音源から発生するのと同等であり、したがって、バッフルがある場合とない場合とで音漏れが大幅に変化しない場合がある。2つの音誘導穴(すなわち2つの点音源)の間にバッフルを設置することにより、音漏れを低減する音出力装置の能力が効果的に改善され、音響出力装置の近距離場音の音量は大幅に増加し得る。したがって、音響出力装置の音響生成構成要素の要件を減らすことができる。同時に、単純な回路構造は、音響出力装置の電気的損失を低減し得、その結果、音響出力装置の動作時間は、一定量の電気の下で大幅に延長され得る。
【0154】
図23は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の周波数が300Hzである場合の、2つの点音源間の距離の関数としての、ユーザによって聞こえる音の音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。図24は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の周波数が1000Hzである場合の、2つの点音源間の距離の関数としての、ユーザによって聞こえる音の音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。図23および図24に示すように、近距離場では、周波数が300Hzまたは1000Hzの場合、2つの点音源の距離dが大きくなるにつれて、ユーザが聞こえる音の大きさは、2つの点音源間にバッフルがある場合、2つの点音源間にバッフルがない場合よりも大きくなり得、これは、この周波数では、2つの点音源間のバッフル構造により、近距離でユーザが聞く音の音量が効果的に増加し得ることを示している。遠距離場では、2つの点音源の間にバッフルがある場合の漏れた音の音量は、2つの点音源の間にバッフルがない場合と同等であり得、これは、この周波数で、2つの点音源の間にバッフル構造がある場合とない場合とで、遠距離場音漏れにはほとんど影響しないことを示している。
【0155】
図25は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の周波数が5000Hzである場合の、距離の関数としての、ユーザによって聞こえる音の音量および漏れた音の音量の変化を示すグラフである。図25に示すように、近距離場では、周波数が5000Hzの場合、2つの点音源の距離dが大きくなると、2つの点音源の間にバッフルがあるときにユーザが聞く音量は、バッフルがない場合よりも大きくなる。遠距離場では、バッフルがある場合とない場合の2つの点音源の漏れた音の音量は、距離dの関数として変動し得る。全体として、バッフル構造が2つの点音源の間に配置されているかどうかは、遠距離場漏れにほとんど影響しない。
【0156】
図26図28は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dがそれぞれ1cm、2cm、3cmである場合に、音の周波数の関数としてユーザが聞く音の音量の変化を示すグラフである。図29は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが1cmであるときの音の周波数の関数としての遠距離場の正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。図30は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが2cmであるときの音の周波数の関数としての遠距離場の正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。図31は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の距離dが4cmであるときの音の周波数の関数としての遠距離場の正規化されたパラメータの変化を示すグラフである。図26から図28に示すように、音誘導穴の距離dが異なる場合(例えば、1cm、2cm、4cm)、特定の周波数で、近距離の聴取位置(例えば、ユーザの耳介)において、耳介の両側にある2つの音誘導穴の音量(つまり、図に示す「バッフル効果」の状況)は、耳介の同じ側にある2つの音誘導穴(すなわち、図に示されている「バッフルなし」の場合)の音量よりも大きい場合がある。特定の周波数は、10000Hz未満、5000Hz未満、または1000Hz未満であり得る。
【0157】
図29から図31に示すように、音誘導穴の距離dが異なる場合(例えば、1cm、2cm、および4cm)、特定の周波数で、遠距離場の位置(例えばユーザの耳から離れた環境位置)において、耳介の両側に2つの音誘導穴が設けられている場合に発生する漏れた音の量は、耳介の両側に2つの音誘導穴が設けられていない場合に発生するものよりも小さい場合がある。2つの音誘導穴または2つの点音源間の距離が大きくなると、遠距離場の位置での音の干渉キャンセルが弱まり、遠距離場漏れが徐々に増加し、音漏れを低減する能力が弱くなり得ることに注意されたい。したがって、2つの音誘導穴と2つの点音源との間の距離dは、大きすぎない可能性がある。いくつかの実施形態では、出力音を近距離場で可能な限り大きく保ち、遠距離場での音漏れを抑制するために、2つの音誘導穴の間の距離dは、例えば、20cm、12cm、10cm、6cmなどに設定され得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置のサイズおよび音誘導穴の構造要件を考慮して、2つの音誘導穴の間の距離dは、例えば、1cmから12cm、1cmから10cm、1cmから8cm、1cmから6cm、1cmから3cmなどの範囲に設定され得る。
【0158】
上記の説明は、単に説明の便宜のためであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、音響出力装置の形態および詳細の様々な修正および変更を行うことができることが理解され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バッフルの両側に複数の音誘導穴を設定することができる。バッフルの両側にある音誘導穴の数は同じでも異なっていてもよい。例えば、バッフルの片側の音誘導穴の数は2つであり得、反対側の音誘導穴の数は2つまたは3つであり得る。これらの修正および変更は、依然として本開示の保護範囲内にあり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、2つの点音源間の距離を維持することを前提として、2つの点音源に対する聴取位置の相対位置は、近距離場音の音量および遠距離場漏れ低減に特定の影響を及ぼし得る。音響出力装置の音響出力効果を改善するために、いくつかの実施形態では、音響出力装置は、少なくとも2つの音誘導穴を備えていてもよい。少なくとも2つの音誘導穴は、それぞれ、ユーザの耳介の前側および後側に配置された2つの音誘導穴を含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザの耳介の後側に位置する音誘導穴から伝播された音が、ユーザの耳介に到達するために耳介を迂回する必要があることを考慮すると、耳介の前側に位置する音誘導穴とユーザの外耳道の間の音響経路(すなわち、音誘導穴からユーザの耳管入口までの音響距離)は、耳介の後側にある音誘導穴とユーザの耳との間の音響経路よりも短い。音響出力効果に対する聴取位置の効果をさらに説明するために、図32に示すように、4つの代表的な聴取位置(聴取位置1、聴取位置2、聴取位置3、聴取位置4)を選択することができる。聴取位置1、聴取位置2、および聴取位置3は、点音源a1(r1であり得る)から等しい距離を有し得る。聴取位置4と点音源a1との間の距離は、r2であり得、r2<r1であり得る。点音源a1および点音源a2は、それぞれ逆位相の音を生成することができる。
【0160】
図33は、本開示のいくつかの実施形態による、音の周波数の関数として、異なる聴取位置でバッフルなしで2つの点音源のユーザによって聞こえられる音の音量を示すグラフである。図34は、音の周波数の関数としての異なる聴取位置の正規化されたパラメータを示すグラフである。正規化されたパラメータは、式(4)を参照して得ることができる。図33および図34に示すように、聴取位置1は、点音源a1と点音源a2から聴取位置1までの音響経路の差が小さいため、聴取位置1で2つの点音源によって生成される音の振幅の差が小さい場合がある。したがって、聴取位置1での2つの点音源の音の干渉により、ユーザが聞く音の音量が他の聴取位置の音量よりも小さくなり得る。聴取位置2については、聴取位置1と比較して、聴取位置2と点音源a1との間の距離は変化しないままであり得、すなわち、点音源a1から聴取位置2までの音響経路は変化しない可能性がある。しかしながら、聴取位置2と点音源a2との間の距離はより長くなる可能性があり、点音源a2と聴取位置2との間の音響経路の長さは増加し得る。聴取位置2において、点音源a1が発する音と点音源a2が発する音との振幅差が大きくなり得る。したがって、聴取位置2での干渉後に2つの点音源から送信される音量は、聴取位置1での音量よりも大きくなり得る。半径r1の弧上のすべての位置の中で、点音源a1から聴取位置3までの音響経路と、点音源a2から聴取位置3までの音響経路との間の差が最も長くなり得る。したがって、聴取位置1および聴取位置2と比較して、聴取位置3は、ユーザが聞く音の最大音量を有し得る。聴取位置4の場合、聴取位置4と点音源a1との間の距離は短くてもよい。聴取位置4での点音源a1の音の振幅は大きくてもよい。したがって、聴取位置4でユーザが聞く音の音量が大きくなり得る。要約すると、近距離場の聴取位置でユーザが聞く音の音量は、聴取位置と2つの点音源の相対位置が変化するにつれて変化し得る。聴取位置が2つの点音源間の線上にあり、2つの点音源の同じ側にある場合(例えば、聴取位置3)、聴取位置での2つの点音源間の音響経路の差が最大になり得る(音響経路の差は、2つの点音源間の距離dであり得る)。この場合(つまり、耳介がバッフルとして使用されていない場合)、この聴取位置でユーザが聞く音の音量は、他の場所の音量よりも大きくなり得る。式(4)によれば、遠距離場漏れが一定である場合、この聴取位置に対応する正規化パラメータが最小であり、漏れ低減能力が最も強い可能性がある。同時に、聴取位置(例えば、聴取位置4)と点音源a1との間の距離r1を減少させることは、聴取位置での音量をさらに増加させ、同時に音漏れを減少させ、漏れを低減する能力を改善する。
【0161】
図35は、本開示のいくつかの実施形態による、周波数の関数として、近距離場の異なる聴取位置でバッフルを備えた2つの点音源(図32に示される)のユーザによって聞こえる音の音量を示すグラフである。図36は、周波数の関数として、図35に基づく式(4)を参照して得られた異なる聴取位置の正規化パラメータのグラフである。図35および図36に示すように、バッフルがない場合と比較して、バッフルがある場合、聴取位置1の2つの点音源によって生成されるユーザに聞こえる音の音量が著しく増加し得る。聴取位置1でユーザが聞く音の音量は、聴取位置2および聴取位置3の音量を超え得る。その理由は、2つの点音源の間にバッフルが設置された後、点音源a2から聴取位置1への音響経路が増加し得るためであり得る。その結果、聴取位置1での2つの点音源間の音響経路差が大幅に増加し得る。聴取位置1で2つの点音源から発生する音の振幅差が大きくなり、音の干渉キャンセルが困難になり、聴取位置1で発生するユーザが聞く音の音量が大きくなり得る。聴取位置4では、聴取位置と点音源a1との間の距離がさらに短くなるため、この位置での点音源a1の音の振幅が大きくなり得る。聴取位置4でユーザが聞く音の音量は、依然として4つの聴取位置の中で最大であり得る。聴取位置2および聴取位置3の場合、点音源a2から2つの聴取位置への音響経路に対するバッフルの効果はあまり明白ではないので、聴取位置2および聴取位置3での音量増加効果は、バッフルに近い聴取位置1と聴取位置4よりも少ない。
【0162】
遠距離場で漏れた音の音量は、聴取位置によって変化しない場合があり、近距離場の聴取位置でユーザが聞く音の音量は、聴取位置によって変化し得る。この場合、式(4)によれば、音響出力装置の正規化パラメータは、異なる聴取位置で変化し得る。具体的には、ユーザが大音量の音を聞く聴取位置(例えば、聴取位置1および聴取位置4)は、正規化パラメータが小さく、音漏れを低減する強力な能力を有し得る。ユーザが聞く音の音量が小さい聴取位置(例えば、聴取位置2および聴取位置3)は、正規化パラメータが大きく、漏れを低減する能力が弱い可能性がある。
【0163】
したがって、音響出力装置の実際の適用シナリオによれば、ユーザの耳介はバッフルとして機能し得る。この場合、音響出力装置の2つの音誘導穴は、耳介の前側と後側にそれぞれ配置することができ、外耳道は、聴取位置として2つの音誘導穴の間に配置することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置上の2つの音誘導穴の位置を設計することにより、耳介の前側の音誘導穴と外耳道との間の距離は、耳介の後側と外耳道上の音誘導穴の間の距離よりも小さくてもよい。この場合、耳介の前側の音誘導穴が外耳道に近いため、音響出力装置は外耳道で大きな音振幅を生成し得る。耳介の後ろの音誘導穴によって形成される音の振幅は、外耳道でより小さくなり得、それは、外耳道の2つの音誘導穴での音の干渉キャンセルを回避し、それによって、外耳道でユーザが聞く音は大きい。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、耳介が装着されたときに耳介と接触することができる1つまたは複数の接触点(例えば、耳の形状に一致する支持構造体上の「変曲点」)を含み得る。接触点は、2つの音誘導穴を接続する線上、または2つの音誘導穴を接続する線の片側に配置することができる。そして、後部音誘導穴と接触点との間の距離に対する前部音誘導穴と接触点との間の距離の比は、0.05~20であり得る。いくつかの実施形態では、比は0.1~10であり得る。いくつかの実施形態では、比は0.2~5であり得る。いくつかの実施形態において、比は、0.4~2.5であり得る。
【0164】
図37は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源およびバッフル(例えば、耳介)を示す概略図である。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の間のバッフルの位置は、音響出力効果に特定の影響を及ぼし得る。単なる例として、図37に示されるように、バッフルは、点音源a1と点音源a2との間に提供され得、聴取位置は、点音源a1と点音源a2を接続する線上に配置され得る。さらに、聴取位置は、点音源a1とバッフルとの間に位置することができる。点音源a1とバッフルとの間の距離はLであり得る。点音源a1と点音源a2との間の距離はdであり得る。点音源a1とユーザが聞く音との間の距離はLであり得る。聴取位置とバッフルとの間の距離はLであり得る。距離Lが一定である場合、バッフルの動きは、L対dの異なる比を引き起こし得、それにより、聴取位置でユーザに聞こえる音の異なる音量および/または遠距離場漏れの音量を得る。
【0165】
図38は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての近距離場音の音量の変化を示すグラフである。図39は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての遠距離場漏れの音量の変化を示すグラフである。図40は、本開示のいくつかの実施形態による、バッフルが異なる位置にあるときの音の周波数の関数としての正規化パラメータの変化を示すグラフである。図38図40によると、遠距離場漏れの音量は、2つの点音源間のバッフルの位置の変化によってほとんど変化しない可能性がある。点音源a1と点音源a2との間の距離dが一定のままである状況において、Lが減少すると、聴取位置での音量が増加し、正規化パラメータが減少し、音漏れを低減する能力が向上し得る。同じ状況で、Lが大きくなると、聴取位置の音量が大きくなり、正規化パラメータが大きくなり、音漏れを低減する能力が低下し得る。上記の結果の理由は、Lが小さい場合、聴取位置がバッフルに近く、点音源a2から聴取位置への音波の音響経路がバッフルにより増加し得るためであり得る。この場合、点音源a1と点音源a2との間の聴取位置までの音響経路差を大きくすることができ、音の干渉キャンセルを減少することができる。その結果、バッフルを追加した後、聴取位置の音量が大きくなり得る。Lが大きい場合、聴取位置がバッフルから遠く離れ得る。バッフルは、点音源a1と点音源a2との間の聴取位置までの音響経路の差にわずかな影響を与え得る。その結果、バッフルを追加した後の聴取位置での音量変化が小さい場合がある。
【0166】
上記のように、音響出力装置の音誘導穴の位置を設計することにより、人体の耳介は、ユーザが音響出力装置を装着したときに異なる音誘導穴を分離するためのバッフルとして機能し得る。この場合、音響出力装置の構造を簡略化することができ、音響出力装置の出力効果をさらに向上させることができる。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴の位置は、耳介の前側の音誘導穴と耳介(または接触のための音響出力装置上の接触点)との間の距離の、2つの音誘導穴の間の距離に対する比が、ユーザが音響出力装置を装着したときに0.5以下になり得るように適切に設計され得る。いくつかの実施形態では、比は、0.3以下であり得る。いくつかの実施形態では、比は、0.1以下であり得る。いくつかの実施形態では、耳介の前側の音誘導穴と耳介(または耳介と接触するための音響出力装置上の接触点)との間の距離と2つの音誘導穴との間の距離との比は、0.05以上である必要がある。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴と耳介の高さとの間の距離の第2の比は、0.2以上であり得る。いくつかの実施形態では、第2の比は4以下であり得る。いくつかの実施形態では、耳介の高さは、矢状面に垂直な方向の耳介の長さを指し得る。
【0167】
音響ドライバから音響出力装置の音誘導穴までの音響経路は、近距離場音および遠距離場音漏れの音量に一定の影響を与え得ることに留意されたい。音響経路は、音響出力装置の振動ダイアフラムと音誘導穴との間の空洞の長さを調整することによって変更することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバは、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムの前側と後側は、それぞれ前部チャンバと後部チャンバを通る2つの音誘導穴に結合することができる。振動ダイアフラムから2つの音誘導穴への音響経路は異なり得る。いくつかの実施形態では、振動ダイアフラムと2つの音誘導穴との間の音響経路の長さの比は、例えば、0.5~2、0.6~1.5、または0.8~1.2であり得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴で生成される音の位相を反対に保つことを前提として、2つの音誘導穴で生成される音の振幅を変更して、音響出力装置の出力効果を改善することができる。具体的には、音響ドライバと2つの音誘導穴を接続する音響経路のインピーダンスは、2つの音誘導穴のそれぞれでの音の振幅を調整するように調整することができる。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、音波が送信されるときの変位中に媒体が克服する必要がある抵抗を指す場合がある。音響経路は、音の振幅を調整するために、減衰材料(例えば、調整ネット、調整綿など)で満たされていてもいなくてもよい。例えば、共鳴空洞、音穴、音スリット、調整ネット、および/または調整綿を音響経路に配置して、音響抵抗を調整し、それによって音響経路のインピーダンスを変化させることができる。別の例として、2つの音誘導穴のそれぞれの開口を調整して、2つの音誘導穴に対応する音響経路の音響抵抗を変更することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ(振動ダイアフラム)と2つの音誘導穴のうちの1つとの間の音響経路の音響インピーダンスと、音響ドライバと他の音誘導穴との間の音響経路との比は、0.5~2または0.8~1.2であり得る。
【0169】
上記の説明は、単に説明を目的としたものであり、本開示を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、音響出力装置の形態および詳細に様々な修正および変更を加えることができることを理解されたい。例えば、聴取位置は、2つの点音源を接続する線上にない場合があるが、2つの点音源を接続する線の上、下、または延長方向にある場合もある。別の例として、点音源から耳介までの距離の測定方法、および耳介の高さの測定方法も、異なるシナリオに従って調整することができる。これらの同様の変更はすべて、本開示の保護範囲内にあり得る。
【0170】
図41は、本開示のいくつかの実施形態による別の例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【0171】
人間の耳の場合、聞こえる音の周波数帯域は中低周波帯域に集中し得る。中低周波帯域での最適化の目標は、ユーザが聞く音の音量を増加することであり得る。聴取位置が固定されている場合、漏れた音の音量が実質的に変わらない(聞こえる音の音量の増加が音漏れの音量の増加よりも大きい場合がある)一方で、ユーザが聞く音の音量が大幅に増加するように、2つの点音源のパラメータを調整することができる。高周波帯域では、2つの点音源の音漏れ低減効果が弱くなる場合がある。高周波帯域では、最適化の目標は音漏れを低減することであり得る。異なる周波数の2つの点音源のパラメータを調整することにより、音漏れをさらに減らすことができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置1400はまた、音響ドライバ1430を含み得る。音響ドライバ1430は、2つの第2の音誘導穴から音を出力することができる。音響ドライバ1430、第2の音誘導穴、およびそれらの間の構造に関する詳細は、音響ドライバ1420および第1の音誘導穴を参照して説明することができる。いくつかの実施形態では、音響ドライバ1430および音響ドライバ1420は、異なる周波数の音を出力することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、音響ドライバ1420に第1の周波数範囲の音を出力させ、音響ドライバ1430に第2の周波数範囲の音を出力させるように構成されたコントローラをさらに含み得る。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲よりも高い周波数を含み得る。例えば、第1の周波数範囲は100Hzから1000Hzであり得、第2の周波数範囲は1000Hzから10000Hzであり得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ1420は低周波スピーカであり得、音響ドライバ1430は中高周波スピーカであり得る。低周波スピーカと中高周波スピーカの周波数応答特性が異なるため、出力音の周波数帯域も異なり得る。高周波帯域と低周波帯域は、低周波スピーカと中高周波スピーカを使用して分割することができ、したがって、2つの低周波点音源と2つの中高周波点音源を、近距離場音出力と遠距離場漏れ低減とを実行するように構築することができる。例えば、音響ドライバ1420は、主に低周波帯域で音を出力するために使用され得る、音誘導穴1411および音誘導穴1412を介して低周波音を出力するための2つの点音源を提供し得る。2つの低周波点音源を耳介の両側に配置して、近距離場の耳の近くの音量を増やすことができる。音響ドライバ1430は、2つの第2の音誘導穴を通して中高周波音を出力するための2つの点音源を提供することができる。中高周波の音漏れは、2つの第2の音誘導穴の間の距離を調整することによって減らすことができる。2つの中高周波点音源は、耳介の両側または耳介の同じ側に分散させることができる。あるいは、音響ドライバ1420は、近距離場音の音量をさらに増大させるために、音誘導穴1411および音誘導穴1412を通して全周波数音を出力するための2つの点音源を提供することができる。
【0173】
さらに、2つの第2の音誘導穴の間の距離dは、音誘導穴1411と音誘導穴1412との間の距離dよりも小さくてもよく、すなわち、dは、dよりも大きくてもよい。説明のために、図13に示すように、2つの低周波点音源の1つのセットと、距離の異なる2つの高周波点音源の1セットとを含む2つの点音源の2つのセットを設定することによって、単一の点音源および2つの点音源の1つのセットよりも強い音漏れ低減能力を得ることが可能であり得る。
【0174】
なお、音響出力装置の音誘導穴の位置は、図41に示す音響ドライバ1420に対応する2つの音誘導穴1411および1412が両側に分布している場合、および音響ドライバ1430に対応する2つの音誘導穴が耳介の前側に配置されている場合に限定されないことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、音響ドライバ1430に対応する2つの第2の音誘導穴は、耳介の同じ側(例えば、耳介の後側、上側、または下側)に配置され得る。別の例として、いくつかの実施形態では、音響ドライバ1430に対応する2つの第2の音誘導穴は、耳介の両側に分布され得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴1411および音誘導穴1412(および/または2つの第2の音誘導穴)が耳介の同じ側に配置される場合、バッフルは、音誘導穴1411と近距離場音の音量をさらに大きくし、遠距離場音漏れを低減するための音誘導穴1412(および/または2つの第2の音誘導穴)との間に配置され得る。さらなる例のために、いくつかの実施形態では、音響ドライバ1420に対応する2つの音誘導穴はまた、耳介の同じ側(例えば、前側、後側、上側、または下側)に配置され得る。
【0175】
実際の用途では、音響出力装置は、ブレスレット、眼鏡、ヘルメット、時計、衣類、またはバックパック、スマート・ヘッドセットなどの異なる用途形式を含み得る。いくつかの実施形態では、拡張現実技術および/または仮想現実技術は、ユーザのオーディオ体験を向上させるために音響出力装置に適用される。説明のために、音出力機能を備えた眼鏡が例として提供され得る。例示的な眼鏡は、拡張現実(AR)眼鏡、仮想現実(VR)眼鏡などであり得るか、またはそれらを含み得る。
【0176】
図42は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置4200の長手方向断面図を示す概略図である。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、以下に記載される内容は、空気伝導音響出力装置および骨伝導音響出力装置に適用され得ることに留意されたい。
【0177】
図42に示すように、いくつかの実施形態では、音響出力装置4200は、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、第2の磁性部品4208、振動板4205、およびボイスコイル4238を含み得る。音響出力装置4200の構成要素のうちの1つまたは複数は、磁気システムを形成することができる。例えば、磁気システムは、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、および第2の磁性部品4208を含み得る。磁気システムは、第1の全磁場(または磁気システムの全磁場または第1の磁場と呼ばれる)を生成することができる。第1の全磁場は、磁気システムのすべての構成要素(例えば、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、および第2の磁性部品4208)によって生成されるすべての磁場によって形成され得る。
【0178】
本明細書で使用される磁性部品は、磁石などの磁場を生成する可能性のある任意の構成要素を指す。いくつかの実施形態では、磁性部品は、磁性部品内の磁場の方向を指す磁化方向を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202は、第2の磁場を生成し得る第1の磁石を含み得、第2の磁性部品4208は、第2の磁石を含み得る。第1の磁石および第2の磁石は、同じ形式または異なる形式であり得る。いくつかの実施形態では、磁石は、金属合金磁石、フェライトなどを含み得る。金属合金磁石は、ネオジメチル鉄ボロン、サマリウムコバルト、アルミニウムニッケルコバルト、鉄クロムコバルト、アルミニウム鉄ボロン、鉄カーボンアルミニウムなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。フェライトには、バリウムフェライト、鋼フェライト、フェロマンガンフェライト、リチウムマンガンフェライトなど、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0179】
磁性伝導性部品は、磁場集光器または鉄心とも呼ばれることがある。磁性伝導性部品を使用して、磁場ループを形成することができる。磁性伝導性部品は、磁場(例えば、第1の磁性部品4202によって生成される第2の磁場)の分布を調整することができる。いくつかの実施形態では、磁性伝導性部品は、軟磁性材料を含み得る。例示的な軟磁性材料は、金属材料、金属合金材料、金属酸化物材料、アモルファス金属材料などを含み得る。例えば、軟磁性材料は、鉄、鉄-シリコンベースの合金、鉄-アルミニウムベースの合金、ニッケル-鉄ベースの合金、鉄-コバルトベースの合金、低炭素鋼、シリコン鋼板、シリコン鋼板、フェライト、などを含み得る。いくつかの実施形態では、磁性伝導性部品は、例えば、鋳造、プラスチック加工、切断加工、粉末冶金など、またはそれらの任意の組み合わせによって製造することができる。鋳造には、砂型鋳造、インベストメント鋳造、圧力鋳造、遠心鋳造などが含まれ得る。プラスチック加工には、圧延、鋳造、鍛造、スタンピング、押し出し、延伸など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。切削加工は、旋削、フライス盤、計画、研削などを含み得る。いくつかの実施形態では、磁性伝導性部品は、3D印刷技術、コンピュータ数値制御工作機械などによって製造され得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、および第2の磁性伝導性部品4206のうちの1つまたは複数は、軸対称構造を有し得る。軸対称構造は、環構造、柱状構造、または他の軸対称構造を含み得る。例えば、第1の磁性部品4202および/または第1の磁性伝導性部品4204の構造は、円筒、直方体、または中空環(例えば、中空環の断面は、競馬場)であり得る。別の例として、第1の磁性部品4202の構造および第1の磁性伝導性部品4204の構造は、同じ直径または異なる直径を有する同軸シリンダであり得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性伝導性部品4206は、溝形状の構造を有し得る。溝形の構造は、U字形の断面を含み得る(図42に示されるように)。溝形状の第2の磁性伝導性部品4206は、底板および側壁を含み得る。いくつかの実施形態では、底板および側壁は、一体型アセンブリを形成することができる。例えば、側壁は、底板を底板に垂直な方向に延ばすことによって形成することができる。いくつかの実施形態では、底板は、側壁に機械的に接続することができる。本明細書で使用される場合、2つの構成要素間の機械的接続は、結合接続、ロッキング接続、溶接接続、リベット接続、ボルト接続など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0181】
第2の磁性部品4208は、環またはシートの形状を有し得る。例えば、第2の磁性部品4208は、環形状を有し得る。第2の磁性部品4208は、内輪および外輪を含み得る。いくつかの実施形態では、内輪および/または外輪の形状は、円、楕円、三角形、四角形、または任意の他の多角形であり得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208は、複数の磁石を含み得る。複数の磁石のうちの磁石の2つの端部は、隣接する磁石の端部に機械的に接続されるか、またはそれらの端部から一定の距離を有することができる。隣接する磁石間の距離は同じでも異なっていてもよい。例えば、第2の磁性部品4208は、等距離に配置された2つまたは3つのシート状の磁石を含み得る。シート状の磁石の形状は、扇形、四角形等であり得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208は、第1の磁性部品4202および/または第1の磁性伝導性部品4204と同軸であり得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の上面は、図42に示されるように、第1の磁性伝導性部品4204の下面に機械的に接続され得る。第1の磁性部品4202の下面は、第2の磁性伝導性部品4206の底板に機械的に接続することができる。第2の磁性部品4208の下面は、第2の磁性伝導性部品4206の側壁に機械的に接続することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、磁気ギャップは、第1の磁性部品4202(および/または第1の磁性伝導性部品4204)と第2の磁性部品4208(および/または第2の磁性伝導性部品4206)の内輪との間に形成され得る。ボイスコイル4238は、磁気ギャップ内に配置され、振動板4205に機械的に接続され得る。ボイスコイルは、オーディオ信号を送信する可能性のある要素を指す。ボイスコイル4238は、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、および第2の磁性部品4208によって形成される磁場内に配置することができる。ボイスコイル4238に電流が印加されると、磁場によって生成されたアンペア力がボイスコイル4238を振動させるように駆動することができる。ボイスコイル4238の振動は、振動板4205を振動させて音波を生成することができ、音波は、空気伝導および/または骨伝導を介してユーザの耳に伝達され得る。いくつかの実施形態では、ボイスコイル4238の底部と第2の磁性伝導性部品4206との間の距離は、第2の磁性部品4208の底部と第2の磁性伝導性部品4206との間の距離に等しくてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、単一の磁性部品を有するスピーカ装置の場合、ボイスコイル4238を通過する磁気誘導線は、不均一で発散し得る。磁気システム内に磁気漏れが形成される可能性があり、すなわち、いくつかの磁気誘導線が磁気ギャップの外側に漏れて、ボイスコイル4238を通過できない可能性がある。これは、ボイスコイル4238での磁気誘導強度(または磁場強度)の減少をもたらし、音響出力装置4200の感度に影響を及ぼし得る。磁気漏れを排除または低減するために、音響出力装置4200は、少なくとも1つの第2の磁性部品および/または少なくとも1つの第3の磁性伝導性部品(図には示されていない)をさらに含み得る。少なくとも1つの第2の磁性部品および/または少なくとも1つの第3の磁性伝導性部品は、磁気漏れを抑制し、ボイスコイル4238を通過する磁気誘導線の形状を制限し得、その結果、より多くの磁気誘導線がボイスコイル4238を水平かつ密に通過し得、ボイスコイル4238での磁気誘導強度(または磁場強度)を増強し得る。音響出力装置4200の感度および機械的変換効率(すなわち、電気エネルギーをボイスコイル4238の振動の機械的エネルギーに変換する効率)を改善することができる。
【0185】
いくつかの実施形態では、磁気ギャップ内の第1の全磁場の磁場強度(または磁気誘導強度または磁気誘導線密度と呼ばれる)は、磁気ギャップ内の第2の磁場の磁場強度よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208は、第3の磁場を生成することができ、第3の磁場は、磁気ギャップ内の第1の全磁場の磁場強度を増加させることができる。磁気ギャップ内の第1の全磁場の磁場強度を増加させる第3の磁場は、第3の磁場が存在する場合(すなわち、磁気システムが第2の磁性部品4208を含む場合)の第1の全磁場の磁場強度が、第3の磁場が存在しない場合(すなわち、磁気システムが第2の磁性部品4208を含まない場合)よりも大きいことを指す。本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、磁気システムは、すべての磁性部品および磁性伝導性部品を含むシステムを指す。第1の全磁場は、磁気システムによって生成された磁場を指す。第2の磁場、第3の磁場、…、およびN番目の磁場のそれぞれは、対応する磁性部品によって生成される磁場を指す。異なる磁気システムは、同じ磁性部品または異なる磁性部品を結合して、第2の磁場(または第3の磁場、…、N番目の磁場)を生成することができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向と第2の磁性部品4208の磁化方向との間の角度(A1として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A1は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A1は、90度以上であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向は、第1の磁性部品4202の下面または上面に垂直である上方向(図42の矢印aによって示される)に平行であり得る。第2の磁性部品4208の磁化方向は、(図42に示される、第1の磁性部品4202の磁化方向を時計回りに90度回転させることによって得ることができる、第1の磁性部品4202の右側にある矢印bによって示されるように)第2の磁性部品4208の内輪から外輪に向けられた方向に平行であり得る。第2の磁性部品4208の磁化方向は、第1の磁性部品4202の磁化方向に垂直であり得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208の位置において、第1の全磁場の方向と第2の磁性部品4208の磁化方向との間の角度(A2として示される)は、90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208の位置において、第1の磁性部品4202によって生成される磁場の方向と第2の磁性部品4208の磁化方向との間の角度(A3として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。単一の磁性部品を有する磁気システムと比較して、第2の磁性部品4208は、音響出力装置4200の磁気システムの磁気ギャップ内の総磁気誘導線を増加させ、それによって磁気ギャップ内の磁気誘導強度を増加させ得る。さらに、第2の磁性部品4208により、元々散乱された磁気誘導線が磁気ギャップの位置に収束する可能性があり、これにより、磁気ギャップ内の磁気誘導強度がさらに増加し得る。
【0188】
図43は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システム4300の長手方向断面図を示す概略図である。図43に示すように、音響出力装置4200の磁気システムとは異なり、磁気システム4300は、少なくとも1つの導電性部品(例えば、第1の導電性部品4248、第2の導電性部品4250、および第3の導電性部品4252)をさらに含み得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、導電性部品は、金属材料、金属合金材料、無機非金属材料、または他の導電性材料を含み得る。例示的な金属材料は、金、銀、銅、アルミニウムなどを含み得る。例示的な金属合金材料は、鉄ベースの合金材料、アルミニウムベースの合金材料、銅ベースの合金材料、亜鉛ベースの合金材料などを含み得る。例示的な無機非金属材料は、グラファイトなどを含み得る。導電性部品は、シート、環、メッシュなどの形状を有し得る。第1の導電性部品4248は、第1の磁性伝導性部品4204の上面に配置することができる。第2の導電性部品4250は、第1の磁性部品4202および第2の磁性伝導性部品4206に機械的に接続され得る。第3の導電性部品4252は、第1の磁性部品4202の側壁に機械的に接続することができる。いくつかの実施形態では、第1の磁性伝導性部品4204は、図43に示されるように、第1の磁性部品4202から突出して、第1の磁性部品4202の右側に第1の凹部を形成し得る。第3の導電性部品4252は、第1の凹部に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の導電性部品4248、第2の導電性部品4250、および第3の導電性部品4252は、同じまたは異なる導電性材料を含み得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、磁気ギャップは、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、および第2の磁性部品4208の内輪との間に形成され得る。ボイスコイル4238は、磁気ギャップ内に配置され得る。第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、および第2の磁性部品4208は、磁気システム4300を形成し得る。いくつかの実施形態では、磁気システム4300の導電性部品は、ボイスコイル4238の誘導性リアクタンスを低減することができる。例えば、第1の交流電流がボイスコイル4238に印加される場合、第1の交番磁界がボイスコイル4238の近くに生成され得る。磁気システム4300の磁場の作用下で、第1の交流磁場は、ボイスコイル4238に誘導性リアクタンスを生成させ、ボイスコイル4238の動きを妨げ得る。ボイスコイル4238の近くに配置された1つまたは複数の導電性部品(例えば、第1の導電性部品4248、第2の導電性部品4250、および第3の導電性部品4252)は、第1の交流磁場の作用下で第2の交流を誘導し得る。導電性部品によって誘導される第2の交流電流は、その近傍に第2の交流誘導磁場を生成することができる。第2の交流磁場の方向は、第1の交流磁場の方向と反対であり得、第1の交流磁場は弱められ得る。ボイスコイル4238の誘導性リアクタンスを減少させることができ、ボイスコイル4238内の電流を増加させることができ、音響出力装置の感度を改善することができる。
【0191】
図44は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システム4400の縦断面図を示す概略図である。図44に示すように、音響出力装置4200の磁気システムとは異なり、磁気システム4400は、第3の磁性部品4410、第4の磁性部品4412、第5の磁性部品4414、第3の磁性伝導性部品4416、第6の磁性部品4424、および第7の磁性部品4426をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第3の磁性部品4410、第4の磁性部品4412、第5の磁性部品4414、第3の磁性伝導性部品4416、第6の磁性部品4424、および第7の磁性部品4426は、同軸円柱であり得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4208の上面は、第7の磁性部品4426に機械的に接続され得、第2の磁性部品4208の下面は、第3の磁性部品4410に機械的に接続され得る。第3の磁性部品4410は、第2の磁性伝導性部品4206に機械的に接続され得る。第7の磁性部品4426の上面は、第3の磁性伝導性部品4416に機械的に接続され得る。第4の磁性部品4412は、第2の磁性伝導性部品4206および第1の磁性部品4202に機械的に接続され得る。第6の磁性部品4424は、第5の磁性部品4414、第3の磁性伝導性部品4416、および第7の磁性部品4426に機械的に接続され得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202、第1の磁性伝導性部品4204、第2の磁性伝導性部品4206、第2の磁性部品4208、第3の磁性部品4410、第4の磁性部品4412、第5の磁性部品4414、第3の磁性伝導性部品4416、第6の磁性部品4424、および第7の磁性部品4426は、磁気ループおよび磁気ギャップを形成し得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向と第6の磁性部品4424の磁化方向との間の角度(A4として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A4は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A4は90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向は、(図44の矢印aによって示されるように)第1の磁性部品4202の下面または上面に垂直である上方向に平行であり得る。第6の磁性部品4424の磁化方向は、(第1の磁性部品4202の磁化方向が時計回りに270度回転した後の第1の磁性部品4202の右側にある図44の矢印gによって示されるように)第6の磁性部品4424の外環から内環に向けられた方向に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4424の磁化方向は、第4の磁性部品4412の磁化方向と同じであり得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4424の位置において、磁気システム4400によって生成される磁場の方向と第6の磁性部品4424の磁化方向との間の角度(A5として示される)は、90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4424の位置において、第1の磁性部品4202によって生成される磁場の方向と第6の磁性部品4424の磁化方向との間の角度(A6として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向と第7の磁性部品4426の磁化方向との間の角度(A7として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A7は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A7は90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4202の磁化方向は、(図44の矢印aによって示されるように)第1の磁性部品4202の下面または上面に垂直である上方向に平行であり得る。第7の磁性部品4426の磁化方向は、(第1の磁性部品4202の磁化方向が時計回りに360度回転した後の第1の磁性部品4202の右側にある図44の矢印fによって示されるように)第7の磁性部品4426の下面から上面に向けられた方向に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4426の磁化方向は、第3の磁性部品4410の磁化方向と反対であり得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4426において、磁気システム4400によって生成される磁場の方向と第7の磁性部品4426の磁化方向との間の角度(A8として示される)は、90度を超えてはならない。いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4426の位置において、第1の磁性部品4202によって生成される磁場の方向と第7の磁性部品4426の磁化方向との間の角度(A9として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。
【0197】
磁気システム4400において、第3の磁性伝導性部品4416は、磁気システム4400によって生成された磁場ループを閉じることができ、その結果、より多くの磁気誘導線が磁気ギャップに集中することができる。これにより、磁気漏れが抑制され、磁気ギャップ内の磁気誘導強度が増加し、音響出力装置の感度が向上し得る。
【0198】
図45は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システム4500の長手方向断面図を示す概略図である。図45に示されるように、磁気システム4500は、第1の磁性部品4502、第1の磁性伝導性部品4504、第1の磁場変更部品4506、および第2の磁性部品4508を含み得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の上面は、第1の磁性伝導性部品4504の下面に機械的に接続することができる。第2の磁性部品4508は、第1の磁性部品4502および第1の磁場変更部品4506に機械的に接続され得る。第1の磁性部品4502、第1の磁性伝導性部品4504、第1の磁場変更部品4506、および/または第2の磁性部品4508のうちの2つ以上は、本開示の他の場所で説明されるように、機械的接続を介して互いに接続され得る(例えば、図42および関連する説明)。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502、第1の磁性伝導性部品4504、第1の磁場変更部品4506、および/または第2の磁性部品4508は、磁場ループおよび磁気ギャップを形成し得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、磁気システム4500は、第1の全磁場を生成することができ、第1の磁性部品4502は、第2の磁場を生成することができる。磁気ギャップ内の第1の全磁場の磁場強度は、磁気ギャップ内の第2の磁場の磁場強度よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4508は、第3の磁場を生成することができ、第3の磁場は、磁気ギャップでの第2の磁場の、磁場の強度を増加させることができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の磁化方向と第2の磁性部品4508の磁化方向との間の角度(A10として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A10は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A10は90度以下であり得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4508の位置において、第1の全磁場の方向と第2の磁性部品4508の磁化方向との間の角度(A11として示される)は、90度を超えてはならない。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4508の位置において、第1の磁性部品4502によって生成される第2の磁場の方向と第2の磁性部品4508の磁化方向との間の角度(A12として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の磁化方向は、(図45の矢印aによって示されるように)第1の磁性部品4502の下面または上面に垂直である上方向に平行であり得る。第2の磁性部品4508の磁化方向は、(第1の磁性部品4502の磁化方向が時計回りに90度回転した後の第1の磁性部品4502の右側にある図45の矢印cによって示されるように)第2の磁性部品4508の外輪から内輪に向けられた方向に平行であり得る。単一の磁性部品を有する磁気システムと比較して、磁気システム4500の第1の磁場変更部品4506は、磁気ギャップ内の総磁気誘導線を増加させ、それにより、磁気ギャップ内の磁気誘導強度を増加させ得る。さらに、第1の磁場変更部品4506により、元々散乱された磁気誘導線は、磁気ギャップの位置に収束する可能性があり、これは、磁気ギャップ内の磁気誘導強度をさらに増加させ得る。
【0203】
図46は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システム4600の長手方向断面図を示す概略図である。図46に示すように、いくつかの実施形態では、磁気システム4600は、第1の磁性部品4502、第1の磁性伝導性部品4504、第1の磁場変更部品4506、第2の磁性部品4508、第3の磁性部品4610、aを含み得る。第4の磁性部品4612、第5の磁性部品4616、第6の磁性部品4618、第7の磁性部品4620、および第2の環状部品4622を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の磁場変更部品4506および/または第2の環状部品4622は、環形状の磁性部品または環形状の磁性伝導性部品を含み得る。
【0204】
環形状の磁性部品は、本開示の他の場所に記載されているように(例えば、図42および関連する説明)、任意の1つまたは複数の磁性材料を含み得る。環形状の磁性伝導性部品は、本開示に記載されている任意の1つまたは複数の磁性伝導性材料を含み得る(例えば、図42および関連する説明)。
【0205】
いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4618は、第5の磁性部品4616および第2の環状部品4622に機械的に接続され得る。第7の磁性部品4620は、第3の磁性部品4610および第2の環状部品4622に機械的に接続され得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502、第5の磁性部品4616、第2の磁性部品4508、第3の磁性部品4610、第4の磁性部品4612、第6の磁性部品4618、第7の磁性部品4620のうちの1つまたは複数、第1の磁性伝導性部品4504、第1の磁場変更部品4506、および第2の環状部品4622は、磁場ループを形成し得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の磁化方向と第6の磁性部品4618の磁化方向との間の角度(A13として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A13は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A13は90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の磁化方向は、(図46の矢印aによって示されるように)第1の磁性部品4502の下面または上面に垂直である上方向に平行であり得る。第6の磁性部品4618の磁化方向は、(第1の磁性部品4202の磁化方向が時計回りに270度回転した後の第1の磁性部品4502の右側にある図46の矢印fによって示されるように)第6の磁性部品4618の外輪から内輪に向けられた方向に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4618の磁化方向は、第2の磁性部品4508の磁化方向と同じであり得る。第7の磁性部品4620の磁化方向は、(第1の磁性部品4502の磁化方向が時計回りに90度回転した後の第1の磁性部品4502の右側にある図46の矢印eによって示されるように)第7の磁性部品4620の下面から上面に向けられた方向に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4620の磁化方向は、第4の磁性部品4612の磁化方向と同じであり得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4618の位置において、磁気システム4600によって生成される磁場の方向と第6の磁性部品4618の磁化方向との間の角度(A14として示される)は、90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第6の磁性部品4618の位置において、第1の磁性部品4502によって生成される磁場の方向と第6の磁性部品4618の磁化方向との間の角度(A15として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4502の磁化方向と第7の磁性部品4620の磁化方向との間の角度(A16として示される)は、0度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A16は、45度から135度の範囲であり得る。別の例として、角度A16は90度以下であり得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4620の位置において、磁気システム4600によって生成される磁場の方向と第7の磁性部品4620の磁化方向との間の角度(A17として示される)は、90度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第7の磁性部品4620の位置において、第1の磁性部品4502によって生成される磁場の方向と第7の磁性部品4620の磁化方向との間の角度(A18として示される)は、0度、10度、20度などの90度以下であり得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、第1の磁場変更部品4506は、環形状の磁性部品であり得る。第1の磁場変更部品4506の磁化方向は、第2の磁性部品4508または第4の磁性部品4612の磁化方向と同じであり得る。例えば、第1の磁性部品4502の右側において、第1の磁場変更部品4506の磁化方向は、第1の磁場変更部品4506の外環から内環に向けられた方向に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第2の環状部品4622は、環形状の磁性部品であり得る。第2の環状部品4622の磁化方向は、第6の磁性部品4618または第7の磁性部品4620の磁化方向と同じであり得る。例えば、第1の磁性部品4502の右側において、第2の環状部品4622の磁化方向は、第2の環状部品4622の外環から内環に向けられた方向に平行であり得る。磁気システム4600では、複数の磁性部品が総磁気誘導線を増加させ、異なる磁性部品が相互作用し、磁気誘導線の漏れを抑制し、磁気ギャップ内の磁気誘導強度を増加させ、音響出力装置の感度を向上させ得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、磁気システム4600は、磁性伝導性カバーをさらに含み得る。磁性伝導性カバーは、本開示に記載される1つまたは複数の磁性伝導性材料(例えば、低炭素鋼、ケイ素鋼板、ケイ素鋼板、フェライトなど)を含み得る。例えば、磁性伝導性カバーは、第1の磁性部品4502、第1の磁場変更部品4506、第2の磁性部品4508、第3の磁性部品4610、第4の磁性部品4612、第5の磁性部品4616に機械的に接続することができる。第6の磁性部品4618、第7の磁性部品4620、および第2の環状部品4622に機械的に接続され得る。いくつかの実施形態では、磁性伝導性カバーは、少なくとも1つの底板および側壁を含み得る。側壁は環構造であってもよい。少なくとも1つの底板と側壁とは、一体のアセンブリを形成し得る。あるいは、少なくとも1つの底板は、本開示の他の場所で説明されるように、1つまたは複数の機械的接続を介して側壁に機械的に接続され得る。例えば、磁性伝導性カバーは、第1のベース基板、第2のベース基板、および側壁を含み得る。第1の底板および側壁は、一体型アセンブリを形成することができ、第2の底板は、本開示の他の場所に記載される1つまたは複数の機械的接続を介して側壁に機械的に接続することができる。
【0212】
磁気システム4500では、磁気伝導カバーは、磁気システム4500によって生成された磁場ループを閉じることができ、その結果、より多くの磁気誘導線が、磁気システム4500の磁気ギャップに集中することができる。これにより、磁気漏れが抑制され、磁気ギャップでの磁気誘導強度が増加し、音響出力装置の感度が向上し得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、磁気システム4500は、1つまたは複数の導電性部品(例えば、第1の導電性部品、第2の導電性部品、および第3の導電性部品)をさらに含み得る。1つまたは複数の導電性部品は、図43に関連して説明したように、第1の導電性部品4248、第2の導電性部品4250、および第3の導電性部品4252と同様であり得る。
【0214】
図47は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な磁気システム4700の長手方向断面図を示す概略図である。図47に示されるように、磁気システム4700は、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、第2の磁性伝導性部品4706、および第2の磁性部品4708を含み得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702および/または第2の磁性部品4708は、本開示に記載される1つまたは複数の磁石を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702は、第1の磁石を含み得、第2の磁性部品4708は、第2の磁石を含み得る。第1の磁石および第2の磁石は、同じであっても異なっていてもよい。第1の磁性伝導性部品4704および/または第2の磁性伝導性部品4706は、本開示に記載される1つまたは複数の磁性伝導性材料を含み得る。第1の磁性伝導性部品4704および/または第2の磁性伝導性部品4706は、本開示に記載される1つまたは複数の処理方法によって製造され得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、および/または第2の磁性部品4708は、軸対称構造を有し得る。例えば、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、および/または第2の磁性部品4708のそれぞれは、円筒であり得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、および/または第2の磁性部品4708は、同じまたは異なる直径を含む同軸シリンダであり得る。第1の磁性部品4702の厚さは、第2の磁性部品4708の厚さ以上であり得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性伝導性部品4706は、溝形状の構造を有し得る。いくつかの実施形態では、溝形の構造は、U字形の断面を含み得る。溝形状の第2の磁性伝導性部品4706は、底板および側壁を含み得る。いくつかの実施形態では、底板および側壁は、一体型アセンブリを形成することができる。例えば、側壁は、底板を底板に垂直な方向に延ばすことによって形成することができる。いくつかの実施形態では、底板は、本開示の他の場所で説明されるように(例えば、図42および関連する説明)、機械的接続を介して側壁に機械的に接続され得る。第2の磁性部品4708は、環またはシートの形状を有し得る。第2の磁性部品4708の形状は、図43に関連して説明したように、第2の磁性部品4208の形状に類似し得る。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4708は、第1の磁性部品4702および/または第1の磁性伝導性部品4704と同軸であり得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702の上面は、第1の磁性伝導性部品4704の下面に機械的に接続され得る。第1の磁性部品4702の下面は、第2の磁性伝導性部品4706の底板に機械的に接続することができる。第2の磁性部品4708の下面は、第1の磁性伝導性部品4704の上面に機械的に接続することができる。第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、第2の磁性伝導性部品4706、および/または第2の磁性部品4708のうちの2つ以上は、本開示の他の場所で説明されるように、機械的接続を介して互いに接続され得る(例えば、図20および関連する説明)。
【0217】
いくつかの実施形態では、磁気ギャップは、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、第2の磁性部品4708と、第2の磁性伝導性部品4706の側壁との間に形成され得る。ボイスコイル4720は、磁気ギャップ内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、第2の磁性伝導性部品4706、および第2の磁性部品4708は、磁場ループを形成し得る。いくつかの実施形態では、磁気システム4700は、第1の全磁場を生成することができ、第1の磁性部品4702は、第2の磁場を生成することができる。第1の全磁場は、磁気システム4700のすべての構成要素(例えば、第1の磁性部品4702、第1の磁性伝導性部品4704、第2の磁性伝導性部品4706、および第2の磁性部品4708)によって生成されるすべての磁場によって形成され得る。第1の全磁場の磁気ギャップ内の磁場の強度(または磁気誘導強度または磁気誘導線密度と呼ばれる)は、第2の磁場の磁気ギャップ内の磁場の強度よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4708は、第3の磁場を生成することができ、第3の磁場は、磁気ギャップ内の第2の磁場の、磁場の強度を増加させることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、第2の磁性部品4708の磁化方向と第1の磁性部品4702の磁化方向との間の角度(A19として示される)は、90度から180度の範囲であり得る。例えば、角度A10は、150度から180度の範囲であり得る。単なる例として、第2の磁性部品4708の磁化方向(図47の矢印bによって示される)は、第1の磁性部品4702の磁化方向(図47の矢印aによって示される)と反対であり得る。
【0219】
単一の磁性部品を備えた磁気システムと比較して、磁気システム4700は、第2の磁性部品4708を含む。第2の磁性部品4708は、第1の磁性部品4702の磁化方向と反対の磁化方向を有し得、これは、第1の磁性部品4702の磁化方向への磁気漏れを抑制し得、その結果、第1の磁性部品4702によって生成されるより多くの磁気誘導線を有することができる。磁気ギャップに集中する可能性があり、それによって磁気ギャップ内の磁気誘導強度が増加する。
【0220】
磁気システムに関する上記の説明は、単に例示の目的で提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当技術分野で通常の技能を有する人の場合、本開示の教示の下で、複数の変形および修正を行うことができる。しかしながら、それらの変形および修正は、本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態では、磁気システムは、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得、および/または上記の音響出力装置の1つまたは複数の構成要素は省略され得る。追加的または代替的に、磁気システムの2つ以上の構成要素を単一の構成要素に統合することができる。磁気システムの構成要素は、2つ以上のサブ構成要素に実装され得る。
【0221】
図48は、本開示のいくつかの実施形態による音響出力装置の一部の分解図を示している。図49は、本開示のいくつかの実施形態による、図48の音響出力装置の部分の断面図を示している。図48および図49に示されるように、音響出力装置は、磁気コネクタ55を含み得る。磁気コネクタ55は、音響出力装置を充電するために充電器の電源インターフェースと一緒に使用することができる。例えば、音響出力装置を充電するとき、磁気コネクタ55および充電器の電源インターフェースは、互いに一致し、一緒に吸着されて、音響出力装置を充電するための電気的接続を確立することができる。いくつかの実施形態では、磁気コネクタ55は、磁気吸着環551、絶縁ベース552、および複数の端子(例えば、第1の端子553、および第2の端子554)を含み得る。
【0222】
磁気吸着環551は磁石であってもよく、外端と内端の磁気極性は異なっていてもよい。本明細書で使用される場合、音響出力装置の構成要素の外端は、音響出力装置の環境により近い(例えば、音響出力装置から露出された)端部を指し、構成要素の内端は、音響出力装置の環境からさらに離れた端部(例えば、音響出力装置の内部に位置する)を指す。充電器の電力インターフェースは、磁気吸着環551と一致する磁気吸着構造体を有し得る。磁気吸着構造体は、1つまたは複数の磁性材料を含み得る。例えば、磁気吸着構造体は、極性のない鉄および/または1つまたは複数の他の材料を含み得、磁気吸着環551の外端が南極であろうと北極であろうと、磁気吸着環551で吸着され得る。別の例として、磁気吸着構造体はまた、磁石および/または極性を有する1つまたは複数の他の材料を含み得る。磁気吸着環551と磁気吸着構造体は、磁気吸着構造体の外端の磁気極性と磁気吸着環551の外端の磁気極性が反対である場合にのみ、一緒に吸着することができる。磁気コネクタ55と電源インターフェースが互いに吸着されると、磁気コネクタ55の端子が電源インターフェースの対応する端子に接触し、磁気コネクタ55と電源インターフェースとの間に電気的接続が確立され得る。
【0223】
磁気吸着環551の外端は、任意の適切な形状を有し得る。例えば、磁気吸着環551の外端は、環形状を有し得る。磁気吸着環551および電力界面の磁気吸着構造体は、環形状の外端を介して一緒に吸着され得る。環形状の外端の中空設計により、磁気吸着環551は、異なる方向の磁力によって電力界面に吸着され得る。これは、磁気吸着環551と充電器の電力インターフェースとの間の電気的接続の安定性を改善し得る。
【0224】
図50は、本開示のいくつかの実施形態による、図49の磁気コネクタ55の部分Aの部分拡大図を示す。いくつかの実施形態では、絶縁ベース552の少なくとも一部を磁気吸着環551に挿入して、磁気吸着環551を固定することができる。絶縁ベース552は、少なくとも2つの収容穴5521を含み得る。少なくとも2つの収容穴5521は、絶縁ベース552の外端を貫通し得る。いくつかの実施形態では、絶縁ベース552は、PCまたはPVCなどの1つまたは複数の絶縁材料を含み得る。
【0225】
磁気コネクタ55の端子は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、第1の端子553および第2の端子554は両方とも円筒形を有し得る。端子の数は、収容穴5521の数と等しくてもよい。各端子は、収容穴5521の1つに挿入することができる。端子の外端は、絶縁ベース552の上面から対応する収容穴5521を介して露出することができる。すなわち、端子の外端は、絶縁ベース552の上面に面する方向から見て見ることができる。任意選択で、磁気コネクタ55の端子の外端は、絶縁ベース552の上面と同一平面になり、収縮面を形成することができる。例えば、図50に示すように、第1の端子553は、第1の接触面5531を形成し得、第2の端子554は、第2の接触面5541を形成し得る。第1の端子553および第2の端子554は、それぞれ、電力インターフェースの正および負の端子に対応し得る。同様に、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、電気的接続を確立するために電力インターフェースと接触することができる。
【0226】
いくつかの実施形態では、磁気コネクタ55および電力インターフェースが互いに吸着される場合、磁気コネクタ55は、中空環形状の磁気吸着環551によって加えられる異なる方向からの磁力によって制限され得る。第1の接触面5531および第2の接触面5541は、正確に配置され、電力インターフェースと接触して、電気的接続を確立することができる。これは、磁気吸着環551と充電器の電力インターフェースとの間の電気的接続の安定性および精度を改善し得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、絶縁ベース552は、支持部材5522および挿入部材5523を含み得る。支持部材5522および挿入部材5523は、収容穴5521の軸に平行な方向に沿って配置することができる。支持部材5522の断面は、挿入部材5523の断面よりも大きくてもよく、それにより、図50に示すように、支持部材5522上に支持テーブル55221を形成することができる。
【0228】
挿入部材5523の外側壁は、磁気吸着環551の内側壁と一致することができ、その結果、挿入部材5523を磁気吸着環551に挿入して、磁気吸着環551を固定することができる。絶縁ベース552の収容穴5521は、挿入部材5523および支持部材5522を貫通することができ、その結果、収容穴5521に収容される端子は、絶縁ベース552全体を貫通することができる。例えば、第1の端子553は、絶縁ベース552全体を貫通することができる。第1の端子553の第1の端部は、挿入部材5523の外端から露出して、第1の接触面5531を形成することができる。第1の端子553の第2の端部は、支持部材5522の内端から露出して、内部回路に接続することができる。同様に、第2の端子554は、絶縁ベース552全体を貫通することができる。第2の端子554の第1の端部は、挿入部材5523の外端から露出して、第2の接触面5541を形成することができる。第2の端子554の第2の端部は、支持部材5522の内端から露出して、内部回路に接続することができる。
【0229】
いくつかの実施形態では、挿入部材5523は、磁気吸着環551に挿入され得、磁気吸着環551の内端は、支持テーブル55221によって支持され得る。磁気吸着環551の寸法は、支持部材5522の寸法と一致し得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、磁気コネクタ55は、ハウジング555をさらに含み得る。ハウジング555は、絶縁ベース552および磁気吸着環551上でスリーブ化され得、その結果、磁気コネクタ55は、音響出力装置全体の電力インターフェース上に組み立てられ得る。ハウジング555は、1つまたは複数の非磁性金属材料(例えば、銅、アルミニウム、および/またはアルミニウム合金)、プラスチック材料など、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0231】
ハウジング555は、本体5551と、本体5551の外端に配置されたフランジ5552とを含むことができる。ハウジング555の外端は、フランジ5552のために部分的に開いていてもよく、ハウジング555の内端は完全に開いていてもよい。本体5551の内面は、磁性部材環551の外面および絶縁ベース552の支持部材5522と一致し得る。フランジ5552は、磁気吸着環551の外端を覆ってもよい。第1の端子553の第1の接触面5531および第2の端子554の第2の接触面5541は、電力インターフェースへの電気的接続を確立するために露出され得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、絶縁ベース552の挿入部材5523の外端は、図50に示されるように、支持部材5522から遠く離れた磁気吸着環551の端部から突出され得る。フランジ5552によって形成される部分開口端の形状は、挿入部材5523の周囲の形状と一致し得、その結果、支持部材5522から遠く離れた挿入部材5523の端は、ハウジング555の部分開口端を通ってハウジング555の外側に延在し得る。
【0233】
いくつかの代替の実施形態では、絶縁ベース552の挿入部材5523の外端は、フランジ5552の外端に対して沈むことができる。
【0234】
いくつかの実施形態では、支持部材5522の外周壁および本体5551の内周壁は、バックル接続を介して互いに機械的に接続され得る。バックル接続は、ハウジング555、絶縁ベース552、および磁気吸着環551との間の機械的接続の安定性を改善し得、それにより、磁気コネクタ55の安定性を改善し得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、2つの貫通溝55511は、それぞれ、本体5551の外周壁の2つの対向する表面上に配置され得る。支持部材5522は、2つの貫通溝55511と一致する2つのバックル55222を含み得る。ハウジング555は、貫通溝55511とバックル55222との間のバックル接続を介して、絶縁ベース552の支持部材5522上でスリーブ化され得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、磁気吸着環551の外端は、事前設定された対称点(または回転中心と呼ばれる)に関して回転対称であり得る。磁気吸着環551が回転すると、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、磁気吸着環551とともに回転することができる。回転前の第1の接触面5531および第2の接触面5541は、回転後の第1の接触面5531および第2の接触面5541と少なくとも部分的に重なり得る。すなわち、第1の接触面5531および第2の接触面5541によって形成される表面は、同じ事前設定された対称点に関して回転対称であるか、またはそれに近い場合がある。磁気吸着環551の外端の形状および回転角対称性は、第1の接触面5531および第2の接触面5541の配置に基づいて決定することができる。例えば、磁気吸着環551の外端は、円形環、楕円形環、長方形環などの形状を有し得る。
【0237】
磁気吸着環551の外端の回転対称形状により、磁気吸着環551は、対称回転後に元の位置に戻すことができる。磁気吸着環551は、第1の接触面5531および第2の接触面5541に対して少なくとも2つのアセンブリ位置を有し得、磁気コネクタ55および電力インターフェースは、複数の回転角で互いに吸着されて、電気的接続を確立することができる。
【0238】
いくつかの実施形態では、図51に示されるように、磁気吸着環551の外端は、中心を対称点とする円形環の形状を有し得る。第1の接触面5531および第2の接触面5541は、それぞれ、磁気吸着環551と同心に配置された円形または円形環の形状を有し得る。磁気吸着環551が対称点に対して任意の角度で対称的に回転する場合、回転前の第1の接触面5531と第2の接触面5541の両方が、回転後の第1の接触面5531と第2の接触面5541と完全に重なり得る。磁気吸着環551が電力インターフェースの対応する磁気吸着構造体を吸収する場合、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、それぞれ、電力インターフェースの正端子および負端子に対応し得、磁気コネクタに55と電源インターフェースは、さらなるキャリブレーションなしで互いに吸着することができ、これはユーザにとって便利である。
【0239】
いくつかの実施形態では、図52に示されるように、第1の接触面5531の数は1であり得、第2の接触面5541の数は1であり得る。第1の接触面5531および第2の接触面5541は、対称点に対して180度回転対称の形状に配置することができる。磁気吸着環551が180度回転すると、回転後の第1の接触面5531は、回転前の第2の接触面5541と完全に重なり、回転後の第2の接触面5541は、回転前の第1の接触面5531と完全に重なる。第1の接触面5531および第2の接触面5541は、並んで配置され得、それぞれ、電力インターフェースの正の端子および負の端子に対応する。磁気吸着環551の外端は、対称点に関して180度回転対称の形状を有し得る。
【0240】
図53に示すように、磁気吸着環551の外端は、対称点に対して180度回転対称の形状を有し得る。磁気吸着環551が180度回転するとき、回転前の第1の接触面5531および第2の接触面5541は、回転後、それぞれ、第1の接触面5531および第2の接触面5541とそれぞれ少なくとも部分的に重なり得る。第1の方向の磁気吸着環551の寸法は、第1の方向に垂直な第2の方向の寸法とは異なり得る。例えば、磁気吸着環551の外端は、楕円形環、長方形環等の形状を有し得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、第1の方向の磁気吸着環551の寸法は、第2の方向の寸法よりも大きくてもよい。第1の接触面5531の数は1であってもよく、第1の接触面5531は、磁気吸着環551の対称点に配置され得る。第2の接触面5541の数は2であってもよく、2つの第2の接触面5541は、第1の方向の磁気吸着環551の対称点の両側に等距離に配置され得る。磁気吸着環551が180度回転するとき、2つの第2の接触面5541は、互いに位置を入れ替えることができる。第1の接触面5531の形状は、第2の接触面5541の形状と同じであっても異なっていてもよい。2つの第2の接触面5541の形状は同じであり得る。例えば、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、両方とも円形、または対称点を中心に180度回転した後に完全に重なり得る別の形状を有し得る。
【0242】
磁気吸着環551が180度回転するとき、磁気吸着環551は2つの反対方向にあり得、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、180度の回転後に少なくとも部分的に互いに重なり得る。そのような場合、磁気吸着環551は2つの組立位置を有し得る。2つの組立位置のそれぞれにおいて、磁気吸着環551は、第1の端子553および第2の端子554を備えた絶縁ベース552の挿入部材5523上でスリーブ化され得、磁気コネクタ55および電力インターフェースは、互いに吸着されて、電気的接続を確立することができる。
【0243】
いくつかの実施形態では、磁気吸着環551は、円周方向で少なくとも2つの環状部分5511に分割され得る。隣接する環状部分5511の外端は、異なる磁気極性を有し得る。環状部分5511の分割は、特定の規則に従って実行され得る。例えば、磁気吸着環551の外端が環状形状を有する場合、磁気吸着環551は、その半径方向に沿って均等に分割され得る。単なる例として、磁気吸着環551は、同じ形状の4つの環状部分5511に四分の一にされ得る。別の例として、磁気吸着環551はランダムに分割され得る。別の例として、磁気吸着環551の外端が、楕円形環、円形環、または長方形環などの規則的な対称環の形状を有する場合、磁気吸着環551は、磁気吸着環551の少なくとも1つの対称軸に沿った2つ以上の環状部分5511に均等に分割され得る。磁気吸着環551の外端が不規則な環形状を有する場合、磁気吸着環551は、2つ以上の非対称環状部分5511に分割され得る。
【0244】
各環状部分5511の外端の磁気極性は、収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)と電源インターフェースの端子との間の接続に従って決定され得る。収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)と電力インターフェースの端子との間の接続は、有効な接続および無効な接続を含み得る。本明細書で使用される場合、有効な接続とは、収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)が電力インターフェースの端子に吸着され得る接続を指し、各環状部分5511の外端の磁気極性は、電力界面の対応する磁気吸着構造体の外端の磁気極性と反対であり得る。無効な接続とは、収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)が、電源インターフェースの磁気極性のために電源インターフェースの端子に吸着できない接続を指し、各環状部分5511の外端は、電力界面の対応する磁気吸着構造体の外端の外端と同じであり得る。有効な接続は、音響出力装置を充電するために、磁気コネクタ55と電力インターフェースとの間に電気的接続を確立することができる。無効な接続は、音響出力装置を充電するために磁気コネクタ55と電源インターフェースとの間に電気的接続を確立することができない。
【0245】
いくつかの実施形態では、第1の方向の磁気吸着環551の寸法は、第1の方向に垂直な第2の方向の寸法とは異なり得る。例えば、第1の方向の磁気吸着環551の寸法は、第2の方向の寸法よりも大きくてもよい。単なる例として、磁気吸着環551の外端は、楕円形環の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、磁気吸着環551は、第1の方向または第2の方向の楕円環の対称軸に沿って並んで配置された2つの環状部分5511に分割され得る。一方の環状部分5511の外端面の磁気極性はN極であり得、他方の環状部分5511の外端面の磁気極性はS極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の接触面5531および第2の接触面5541は、対称点に対して180度回転対称の形状で配置され得る。
【0246】
電力インターフェースの磁気吸着構造体の形状および数は、磁気コネクタ55の磁気吸着環551のものと同じであり得る。電力界面の磁気吸着構造体の外端の磁気極性は、磁気吸着環551の対応する環状部分5511の外端の磁気極性と反対であり得る。収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)と電力インターフェースの端子との間の接続が有効な接続である場合、磁気吸着環551の環状部分5511は、音響出力装置を充電するための電気的接続を確立するために、電力インターフェースの対応する磁気吸着構造体で吸着され得る。収縮面(例えば、第1の接触面5531および/または第2の接触面5541)と電力インターフェースの端子との間の接続が無効な接続である場合、磁気吸着環551の環状部分5511は、電力界面の対応する磁気吸着構造体で吸着することができない。これは、磁気コネクタ55と電源インターフェースとの間の無効な接続を回避することができ、ユーザにとって便利である。
【0247】
本開示はまた、本開示に記載されるような2つの磁気コネクタ55を含む磁気コネクタ構成要素を提供し得る。例えば、磁気コネクタ構成要素は、磁気コネクタ55aおよび磁気コネクタ55bを含み得る。磁気コネクタ55aの磁気吸着環551の環状部分5511の形状および数は、磁気コネクタ55bのものと同じであり得る。磁気コネクタ55aの磁気吸着環551の環状部分5511の磁気極性は、磁気コネクタ55bの磁気極性と反対であり得る。磁気コネクタ55aおよび55bが互いに吸収するとき、磁気コネクタ55aの収縮面は、磁気コネクタ55bの収縮面に接触することができる。磁気コネクタ55aと磁気コネクタ55bとの間の接続は、図51図53に関連して説明したように、磁気コネクタ55と電力インターフェースとの間の接続と同じであっても類似していてもよい。例えば、磁気コネクタ55aの第1の接触面5531および第2の接触面5541が、磁気コネクタ55bの第1の接触面5531および第2の接触面5541と接触する場合、磁気コネクタ55aおよび磁気コネクタ55bは、それらの環状部分が反対の磁気極性を持っている場合、有効な接続を確立するために一緒に吸着される。磁気コネクタ55aの第1の接触面5531および第2の接触面5541が磁気コネクタ55bの第1の接触面5531および第2の接触面5541と接触するとき、磁気コネクタ55aおよび磁気コネクタ55bは、それらの環状部分が磁気極性を有する場合、一緒に吸着できない。これは、磁気コネクタ55aと磁気コネクタ55bとの間の無効な接続を回避することができ、ユーザにとって便利である。
【0248】
いくつかの実施形態では、図48および図49に示されるように、磁気コネクタ55は、回路ハウジング10に取り付けられ得る。回路ハウジング10は、互いに間隔を置いて配置された2つの主側壁11と、少なくとも1つの端壁13とを含み得る。少なくとも1つの主側壁11の内面は、互いに間隔を置いて配置された2つの遮断壁19を含み得る。2つの遮断壁19は、回路ハウジング10の端壁13と平行に配置することができる。2つの主側壁11および2つの遮断壁19は、二次側壁12の近くに収容空間を形成することができ、磁気コネクタ55は、収容空間に配置することができる。
【0249】
いくつかの実施形態では、2つの主側壁11のそれぞれは、取り付け穴113をさらに含み得る。音響出力装置は、2つの固定部品56をさらに含み得る。2つの固定部品56は、2つの主側壁11の取り付け穴113にそれぞれ挿入され、磁気コネクタ55を固定することができる。取り付け穴113の数および固定部品56の数は同じであり得る。単なる例として、固定部品56はねじであり得る。ねじの端部は、主側壁11の取り付け穴113を貫通して磁気コネクタ55の外側壁に突き当たることができ、ねじのもう一方の端部は、取り付け穴113に固定することができる。
【0250】
いくつかの実施形態では、磁気コネクタ55の反対側のそれぞれは、固定部品56を受け入れるための2つの取り付け穴55512を含み得る。磁気コネクタ55は、磁気コネクタ55が収容空間に挿入される方向に平行な対称軸に関して180度回転対称構造を有することができる。磁気コネクタ55が収容空間に挿入された後、磁気コネクタ55の反対側のそれぞれの2つの取り付け穴55512のうちの少なくとも1つは、取り付け穴113と位置合わせされ得る。取り付け穴113は、固定部品56の外端を受け入れるように構成することができる。取り付け穴55512は、固定部品56の内端を受け入れるように構成され得る。固定部品56の両端は、それぞれ、取り付け穴113および取り付け穴55512を貫通して、磁気コネクタ55を収容空間に固定することができる。いくつかの実施形態では、磁気コネクタ55は、180度回転対称形状を有し得、図48に示されるようにその側面に2つの取り付け穴55512と、側面と反対の表面に2つの取り付け穴55512とを含むことができる。このように、磁気コネクタ55が回転しているかどうかに関係なく、取り付け穴113に一致する2つの取り付け穴があり、これにより、磁気コネクタ55の取り付けが容易になり得る。
【0251】
第1のハウジング保護ケーシング21および/または第2のハウジング保護ケーシング31は、主側壁11の取り付け穴113を覆うことができる。第1のハウジング保護ケーシング21および/または第2のハウジング保護ケーシング31は、磁気コネクタ55が露出されるための露出穴57を含み得、これは、音響出力装置の使用を容易にし得る。
【0252】
音響出力装置に関する上記の説明は、単に例示の目的で提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当技術分野で通常の技能を有する人の場合、本開示の教示の下で、複数の変形および修正を行うことができる。しかしながら、それらの変形および修正は、本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得、および/または上記の音響出力装置の1つまたは複数の構成要素は省略され得る。追加的または代替的に、音響出力装置の2つ以上の構成要素を単一の構成要素に統合することができる。音響出力装置の構成要素は、2つ以上のサブ構成要素に実装され得る。
【符号の説明】
【0253】
10 回路ハウジング
11 主側壁
12 二次側壁
13 端壁
19 遮断壁
21 第1のハウジング保護ケーシング
31 第2のハウジング保護ケーシング
55 磁気コネクタ
55a 磁気コネクタ
55b 磁気コネクタ
56 固定部品
57 露出穴
100 音響出力装置
101 ハウジング
102 電源
103 音響ドライバ
104 磁気システム
105 音響経路
106 音誘導穴
110 電子分周モジュール
113 取り付け穴
200A 音響出力装置
200B 音響出力装置
210 回路ハウジング
210a 回路ハウジング
210b 回路ハウジング
220 耳フック
220a 耳フック
220b 耳フック
230 後部フック
240 固定部品
240a 第1のスピーカアセンブリ
240b 第2のスピーカアセンブリ
250 耳フック
260 音誘導穴
300 音響出力装置
310 ハウジング
312 側面
314 端面
320 音誘導穴
400 音響出力装置
410 ハウジング
420 固定部品
551 磁気吸着環
552 絶縁ベース
553 第1の端子
554 第2の端子
555 ハウジング
800 音響出力装置
810 電子分周モジュール
815 分周器
820 信号プロセッサ
830 信号プロセッサ
840 低周波音響ドライバ
843 変換器
845 音響経路
847 第1の音誘導穴
850 高周波音響ドライバ
853 変換器
855 音響経路
857 第2の音誘導穴
910 音響ドライバ
920 音響ドライバ
943 変換器
945 音響経路
947 第1の音誘導穴
953 変換器
955 音響経路
957 第2の音誘導穴
1010 音響ドライバ
1020 音響ドライバ
1040 音響ドライバ
1043 変換器
1045 音響経路
1047 第1の音誘導穴
1050 音響ドライバ
1053 変換器
1055 音響経路
1057 第2の音誘導穴
1400 音響出力装置
1410 支持構造体
1411 音誘導穴
1412 音誘導穴
1413 前部チャンバ
1414 後部チャンバ
1420 音響ドライバ
1430 音響ドライバ
4200 音響出力装置
4202 第1の磁性部品
4204 第1の磁性伝導性部品
4205 振動板
4206 第2の磁性伝導性部品
4208 第2の磁性部品
4238 ボイスコイル
4248 第1の導電性部品
4250 第2の導電性部品
4252 第3の導電性部品
4300 磁気システム
4400 磁気システム
4410 第3の磁性部品
4412 第4の磁性部品
4414 第5の磁性部品
4416 第3の磁性伝導性部品
4424 第6の磁性部品
4426 第7の磁性部品
4500 磁気システム
4502 第1の磁性部品
4504 第1の磁性伝導性部品
4506 第1の磁場変更部品
4508 第2の磁性部品
4600 磁気システム
4610 第3の磁性部品
4612 第4の磁性部品
4616 第5の磁性部品
4618 第6の磁性部品
4620 第7の磁性部品
4622 第2の環状部品
4700 磁気システム
4702 第1の磁性部品
4704 第1の磁性伝導性部品
4706 第2の磁性伝導性部品
4708 第2の磁性部品
4720 ボイスコイル
5511 環状部分
5521 収容穴
5522 支持部材
5523 挿入部材
5531 第1の接触面
5541 第2の接触面
5551 本体
5552 フランジ
55221 支持テーブル
55222 バックル
55511 貫通溝
55512 取り付け穴
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
【手続補正書】
【提出日】2021-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力構成要素と、
ユーザの耳に近接する前記音響出力構成要素を支持するための支持構造体であって、前記音響出力構成要素が周囲と音響的に通信することを可能にする音響的に開放された構造を形成する支持構造体と、を備え、
前記音響出力構成要素が、それぞれ異なる周波数範囲を有する音を出力するように構成された複数の音響ドライバを含み、
前記複数の音響ドライバのうちの少なくとも1つが、第1の磁場を生成するための磁気システムを含み、
前記磁気システムが、第2の磁場を生成するための第1の磁性部品と、前記第1の磁性部品を取り囲む少なくとも1つの第2の磁性部品と、を含み、
前記第1の磁性部品と前記少なくとも1つの第2の磁性部品との間に磁気ギャップが形成され、前記磁気ギャップ内における前記第1の磁場の磁場強度が、前記磁気ギャップ内における前記第2の磁場の磁場強度よりも大きい、音響出力装置。
【請求項2】
前記支持構造体が、前記音響出力構成要素を前記ユーザの耳に吊るすための耳フックを含む、または、前記支持構造体は、前記音響出力装置が前記ユーザによって装着されたときに前記ユーザの頭の上に配置されるヘッドバンドを含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記支持構造体が、前記ユーザの外耳道の開口部の近くに前記音響出力構成要素を固定するように構成された固定部品を含み、
前記固定部品が、前記外耳道を塞ぐことなく前記外耳道に配置される、請求項1または2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記複数の音響ドライバが、
第1の周波数範囲を有する第1の音を出力するように構成された第1の音響ドライバと、
前記第1の周波数範囲よりも高い周波数を含む第2の周波数範囲を有する第2の音を出力するように構成された第2の音響ドライバと、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記支持構造体が、複数の第1の音誘導穴と複数の第2の音誘導穴とを含み、
前記第1の音が前記複数の第1の音誘導穴から出力され、
前記第2の音が前記複数の第2の音誘導穴から出力される、請求項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第1の音響ドライバと前記複数の第1の音誘導穴との間の第1の音響経路と、
前記第2の音響ドライバと前記複数の第2の音誘導穴との間の第2の音響経路と、をさらに備え、
前記第1の音響経路と前記第2の音響経路とが異なる周波数選択特性を有する、請求項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記複数の第1の音誘導穴が、第1の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第1の音誘導穴を含み、
前記複数の第2の音誘導穴が、第2の距離だけ互いに間隔を置いて配置された一対の第2の音誘導穴を含み、
前記第1の距離が前記第2の距離よりも大きい、請求項に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記支持構造体が、前記第1の音響ドライバを収容するための第1のハウジングと、前記第2の音響ドライバを収容するための第2のハウジングと、を含み、
前記第1のハウジングが、前記第1の音響ドライバのいずれかの側に配置された第1のチャンバおよび第2のチャンバを含み、
前記第1のチャンバが一対の第1の音誘導穴の一方に音響的に結合されていて、前記第2のチャンバが前記一対の第1の音誘導穴の他方に音響的に結合されていて、
前記第2のハウジングが、前記第2の音響ドライバのいずれかの側に配置された第3のチャンバおよび第4のチャンバを含み、
前記第3のチャンバが一対の第2の音誘導穴の一方に音響的に結合されていて、前記第4のチャンバが前記一対の第2の音誘導穴の他方に音響的に結合されている、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第1の音が、一対の第1の音誘導穴の一方から出力される第1の部分と、前記一対の第1の音誘導穴の他方から出力される第2の部分とを含み、
前記第1の部分が、前記第2の部分に対して逆位相を有する、請求項に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記磁気システムが、前記第1の磁性部品の第1の表面に機械的に接続された第1の磁性伝導性部品をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記第1の磁性部品の前記第1の表面の反対側の前記第1の磁性部品の第2の表面に機械的に接続された第2の磁性伝導性部品と、
前記第2の磁性伝導性部品および前記少なくとも1つの第2の磁性部品のそれぞれに機械的に接続されている少なくとも1つの第3の磁性部品と、をさらに備える請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記磁気ギャップ内に配置され、前記第1の磁性部品および前記第2の磁性伝導性部品のそれぞれに機械的に接続された少なくとも1つの第4の磁性部品をさらに備える請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の磁性部品と前記第1の磁性伝導性部品と前記第2の磁性伝導性部品のうちの少なくとも1つに機械的に接続された少なくとも1つの導電性部品をさらに備える請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第1の磁性伝導性部品に機械的に接続された少なくとも1つの第5の磁性部品をさらに備え、
前記少なくとも1つの第5の磁性部品と前記第1の磁性部品とが、前記第1の磁性伝導性部品の反対側に配置され、
前記第1の磁場の磁場漏れを抑制するための第3の磁性伝導性部品をさらに備え、
前記第3の磁性伝導性部品が、前記第5の磁性部品に機械的に接続されていて、
前記第3の磁性伝導性部品と前記第1の磁性伝導性部品とが、前記第5の磁性部品の反対側に配置されている、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項15】
外部電源の充電インターフェースを吸収するときに前記音響出力装置を充電するように構成される磁気コネクタをさらに備える請求項1から14のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】