(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】適応治療管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220629BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564700
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 US2020030722
(87)【国際公開番号】W WO2020227009
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ハダド,タレク
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,ビノード
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
適応治療管理システムは、センサーシステム、治療最適化システム、および治療送達システムを含む。治療最適化システムは、治療の最適化を容易にするために、医師の診察と診察の間に治療レジメンを複数回更新することができる。治療最適化システムは、患者データ、治療コンプライアンスデータ、および関連する治療データのうちの少なくとも1つに基づいて治療レジメンを決定することができる。患者データは、センサーシステムによって提供され得る。治療コンプライアンスデータは、治療送達システムによって提供され得る。関連する治療データが遠隔システムによって提供されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心不全治療管理システムであって、
非植え込み型センサーおよび植え込み型センサーを使用して、患者または前記患者に関連する環境に関する患者データを提供するためのセンサーシステムと、
治療レジメンに基づいて治療を施し、治療コンプライアンスデータを提供するための、心不全治療送達システムと、
前記センサーシステムおよび前記心不全治療送達システムに動作可能に結合され、心不全治療レジメン(regimen)を、前記センサーシステムからの前記患者データおよび前記心不全治療送達システムからの前記治療コンプライアンスデータに基づいて更新し、前記更新された心不全治療レジメンを前記心不全治療送達システムに提供する、心不全治療最適化システムと、を含む、システム。
【請求項2】
前記心不全治療最適化システムが、少なくとも毎日、前記治療レジメンを更新するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記心不全治療最適化システムが、前記患者を安定領域に維持するために、前記治療レジメンを医師の入力間に自動的に更新するように構成された、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記心不全治療最適化システムが、遠隔システムに動作可能に結合され、関連する治療データを受信して、リスクスコア生成器、治療レジメン生成器、またはそれらの両方を訓練して前記治療レジメンを更新する、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記心不全治療最適化システムが前記治療レジメンを中断するためのオーバーライドモードを含むか、前記心不全治療送達システムが治療を施すことを中断するためのオーバーライドモードを含むか、またはそれらの両方である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記心不全治療最適化システムが、1つ以上のリスクスコアに基づいて前記治療レジメンを提供するための治療レジメン生成器を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記心不全治療最適化システムが、患者データに基づいて1つ以上のリスクスコアを提供するためのリスクスコア生成器を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記心不全治療送達システムまたは前記心不全治療最適化システムのうちの少なくとも1つが、前記1つ以上のリスクスコアを裏付けるために患者データを収集するように構成された、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記心不全治療最適化システムが、
患者の健康の低下を示すリスクスコア、
医師ベースの治療レジメンと前記患者に施されている現在の治療レジメンとの違いを示す治療スコア、および
前記患者データに含まれていない患者の症状を示す症状スコアから選択された少なくとも1つのスコアに基づいて判定された患者スコアに基づいて、前記治療レジメンを提供するための治療レジメン生成器を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサーシステムの前記非植え込み型センサーが、患者のウェアラブルセンサーを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサーシステムの前記植え込み型センサーが、1つ以上の電気接点を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
外部センサーが、外部デバイスの回路に動作可能に結合された、画像センサー、体重計、圧力センサー、またはマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療送達システムが、1つ以上の薬物を含む薬物ディスペンサー、自動治療ポンプ、前記患者に治療情報を提供するためのグラフィカルユーザーインターフェース、または植え込み型電気刺激装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療送達システムが、前記治療レジメンに基づいて、手元に保管するための1つ以上の薬物を遠隔地から配達するための要求を、通信インターフェースを介して送信するプロセッサを前記治療送達システムに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
心不全治療最適化システムであって、
患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースと、
リスクスコア生成器および治療レジメン生成器を表すデータを記憶するように構成されたメモリと、
前記データ通信インターフェースおよび前記メモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備え、前記プロセッサが、
以前の治療レジメンに基づいて以前の治療を施すことに応じて患者スコアを更新することであって、前記患者スコアが、前記1つ以上のリスクスコア、1つ以上の治療スコア、および1つ以上の症状スコアから選択された少なくとも1つのスコアに基づく、更新することと、
前記更新された患者スコアおよび前記以前の治療レジメンに応じて治療レジメンを決定することと、
前記治療レジメンを前記治療送達システムに提供することと、を行うように構成された、システム。
【請求項16】
前記治療レジメンが、リスクスコア、治療逸脱、または患者の症状のうちの少なくとも1つを最小化するために、前記患者スコアを最小化するように構成された、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、治療コンプライアンスデータに基づいて前記患者スコアを更新するようにさらに構成された、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記1つ以上のリスクスコアの患者の裏付けに基づいて、前記患者スコアを更新するようにさらに構成された、請求項15~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記所定の医師制限パラメータ領域内で前記治療レジメンを決定するようにさらに構成され、前記治療レジメンが前記所定の医師制限パラメータ領域外にあるとの決定に応じて、医師接触プロセスを開始する、請求項15~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
心不全治療送達システムであって、
各レセプタクルが異なる薬物または異なる1回分の薬物を保持する、複数のレセプタクルと、
1つ以上のカートリッジであって、各カートリッジが異なる薬物を含み、各カートリッジが、それぞれのレセプタクルに装填するための異なる薬物または異なる1回分の薬物に関連付いた異なる薬物識別子を含む、カートリッジと、
更新された治療レジメンに応じて、前記1つ以上のカートリッジの各薬物識別子を検出し、特定の薬物識別子に関連付いた新しいカートリッジを配達するための要求を、データ通信インターフェースを介して送信するように構成された、コントローラとを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月7日に出願された米国特許出願第62/844,697号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して、治療に関する。具体的には、本技術は、心不全または他の慢性疾患の治療の管理に関する。
【0003】
慢性疾患の具体例として、うっ血性心不全(CHF)は、心臓が適切な速度で一定に血液を送り出すことができない場合に発生する深刻な疾患である。心臓が効率的に血液を送り出す能力を改善するために、CHF患者は植え込み型医療デバイス(IMD)を必要とする場合がある。植え込み型除細動器(ICD)やペースメーカーなどのIMDは、CHF患者の心機能を改善するための心臓再同期療法を提供することができる。心機能を改善するためにIMDを使用しているにもかかわらず、CHF患者は、体重増加、呼吸困難、起座呼吸、血圧の変化、倦怠感、疲労感、末梢性浮腫(下肢の腫れ)、失神、および/または動悸によって明らかであるように、徐々に悪化するおそれがある。
【0004】
患者データは様々な方法で取得され得る。典型的に、患者は、診察中に健康データを医療従事者に直接伝える。一部のデータは自動的に生成され、インターネットを介してコンピュータシステムまたは医療システムに送信され得る。例えば、電子体重計は、患者の体重を測定し、次にそのデータを医療システムに自動的に送信するように構成されている。
【0005】
収集されたデータに応じて、医療システムは様々な方法で対応し得る。一部の医療システムは、IMDによって検出されたデータに基づいて健康警告を生成することができる。Sarkarらの米国特許公開第2010/0030293号に記載されている1つの例示的な医療システムは、検出された情報に応じて、患者が治療を求めるための警告を生成する。医療デバイスは、診断パラメータに基づいて患者の心不全の悪化を検出することができる。心不全の悪化を検出すると、医療デバイスは、例えば警告を提供して、患者が心不全イベントを経験する前に診察を受けることを可能にすることができる。多くの医療システムは、潜在的な健康問題を医療従事者に自動的に通知できるが、医療システムは典型的に、患者に送達される療法(例えば投薬)を調整するため医師の入力を必要とする。
【発明の概要】
【0006】
本開示の技術は、一般に、適応治療管理システムに関する。該システムは、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または腎機能障害などの慢性疾患のための医師の診察と診察の間に、患者の入院リスクが高くないときであっても、この患者を一定かつ安定した状態に維持するために異なる治療レジメンを施すことが可能である。システムは、医師の診察と診察の間に治療レジメンを複数回更新して治療の最適化を容易にすることができ、これにより患者のリスクスコアを最小限に抑え、医師が処方した治療レジメンからの逸脱を最小限に抑え、患者の症状を最小限に抑えようとすることができる。
【0007】
一態様では、本開示は、患者または患者に関連する環境に関する患者データを提供するためのセンサーシステムを含む治療管理システムを提供する。治療管理システムは、治療レジメンに基づいて治療を施すため、および治療コンプライアンスデータを提供するための、治療送達システムも含む。治療管理システムは、センサーシステムおよび治療送達システムに動作可能に結合された治療最適化システムをさらに含み、センサーシステムからの患者データおよび治療送達システムからの治療コンプライアンスデータに基づいて治療レジメンを更新し、更新された治療レジメンを治療送達システムに提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む治療最適化システムを提供する。治療最適化システムはまた、リスクスコア生成器および治療レジメン生成器を表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、1つ以上のリスクスコア、1つ以上の治療スコア、および1つ以上の症状スコアから選択される少なくとも1つのスコアに基づいている患者スコアを、以前の治療レジメンに基づき以前の治療を施すことに対応して更新することと、更新された患者スコアおよび以前の治療レジメンに対応して治療レジメンを決定することと、この治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0009】
別の態様では、本開示は、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む治療最適化システムを提供する。通信インターフェースは、所定の医師制限パラメータ領域を表すデータを受信するように構成される。治療最適化システムはまた、所定の医師制限パラメータ領域を表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、患者データを使用して、リスクスコア、治療スコア、または症状スコアのうちの少なくとも1つに基づいて患者スコアを決定することと、患者スコアに基づいて治療レジメンを決定することと、治療レジメンが所定の医師制限パラメータ領域内にあるかどうかを決定することと、治療レジメンが所定の医師制限パラメータ領域内にあるとの判定に応答して、この治療レジメンに基づいて治療を施すために治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0010】
さらに別の態様では、本開示は、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む治療最適化システムを提供する。通信インターフェースは、医師ベースの治療レジメンを受信するように構成される。治療最適化システムはまた、医師ベースの治療レジメンを表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、現在の治療レジメンに従って治療を施した後、患者の安定を表す安定領域内に1つ以上のリスクスコアがあるかどうかを判定することと、安定領域内にある1つ以上のリスクスコアに応じて、現在の治療レジメンと医師ベースの治療レジメンとの違いに基づいて治療スコアを決定することと、治療スコアに基づいて更新された治療レジメンを決定することと、更新された治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、複数のレセプタクルを含む治療送達システムを提供する。各レセプタクルは、異なる薬物または異なる1回分の薬物を保持するためのものである。治療送達システムは、1つ以上のカートリッジも備える。各カートリッジは、異なる薬物を含むためのものである。各カートリッジは、それぞれのレセプタクルに装填するための異なる薬物または異なる1回分の薬物に関連付けられた、異なる薬物識別子を含む。治療送達システムは、1つ以上のカートリッジの各薬物識別子を検出し、更新された治療レジメンに応じて特定の薬物識別子に関連付けられた新しいカートリッジを配達するための要求を、データ通信インターフェースを介して送信するように構成されたコントローラを、さらに備える。
【0012】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示に記載される技法の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示による治療管理システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の治療管理システムを用いて使用可能な環境の一例を示す概念図である。
【
図3】
図1の治療管理システムを使用する方法の一例を示すフロー図である。
【
図4】複数の生成器を用いて
図3の最適化治療方法を実施する方法の一例を示す状態図である。
【
図5】
図3の方法において使用可能な、患者スコアを決定する方法の一例を示すフロー図である。
【
図6】リスクスコアの裏付けを使用して
図3の最適化治療方法を実施する一例を示すフロー図である。
【
図7】医師の入力を統合して
図3の最適化治療方法を実施する一例を示すフロー図である。
【
図8】
図7の方法において使用可能な医師制限パラメータ領域の一例を示す概念図である。
【
図9】
図1の治療管理システムを用いて使用可能な、治療送達システムの一例を示す概念図である。
【
図10】
図3の方法を使用して患者の治療を管理する一例を示す概念図である。
【
図11】
図3の方法を使用して患者の治療を管理する別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の技術は、一般に、適応治療管理システムに関する。該システムは、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または腎機能障害などの慢性疾患のための医師の診察と診察の間に、患者の入院リスクが高くないときであっても、この患者を一定かつ安定した状態に維持するために異なる治療レジメンを施すことが可能である。システムは、医師の診察と診察の間に治療レジメンを複数回更新して治療の最適化を容易にすることができ、これにより患者のリスクスコアを最小限に抑え、医師が処方した治療レジメンからの逸脱を最小限に抑え、患者の症状を最小限に抑えようとすることができる。
【0015】
本技術は、患者のリスク状態に基づいて医師が指導する薬量のタイトレーションを管理する動的治療、毎日の不注意に対する治療調整を提供することができ、患者が服用する利尿薬の総量の削減を提供し、非植え込み型または非ウェアラブル型の情報元からのデータを効果的に取得し、治療レジメンへの患者のコンプライアンスを促し、治療レジメンの複雑さを軽減し、コンプライアンス違反を検出し、効率的なトリアージを可能にし、治療の転帰に関するデータを収集し、看護師および医師の予約を自動的にスケジュールする。
【0016】
本明細書で使用する場合、「または」という用語は、概してその包括的な意味で使用され、例えば、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を意味する。「および/または」という用語は、1つまたはすべての列記された要素、または列記された要素のうちの少なくとも2つの組み合わせを意味する。
【0017】
「および」または「または」で結合されて列挙された項目に「のうちの少なくとも1つ」および「のうちの1つ以上」が続く場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、概して列挙された項目のいずれか1つ、および列挙された項目の2つ以上の項目の任意の組み合わせを意味する。
【0018】
ここで、本開示に説明されている1つ以上の態様を示す図面を参照する。しかしながら、図面に示されていない他の態様は、本開示の範囲内にあることが理解されよう。図で使用されている同様の番号は、同様の構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、所与の図における要素を参照するために参照文字を使用することは、同じ参照文字でラベル付けされた別の図における要素を制限することを意図していないことが理解されよう。加えて、異なる図における要素を参照するために異なる参照文字を使用することは、異なる参照要素が同じまたは類似することができないことを示すことを意図していない。
【0019】
図1~2および
図9は、患者の治療を管理するための治療管理システムおよび様々な構成要素を示している。
図3~8は、該治療管理システムによって、または該治療管理システムとともに使用され得る技術の様々な図を示している。
図10~11は、
図3~8に示される1つ以上の技術を用いて、
図1~2および
図9の治療管理システムを使用して治療を管理する様々な例を示す。
【0020】
図1は、本開示による治療管理システムの一例を示すブロック図である。図示されるように、治療管理システム100は、センサーシステム150、治療最適化システム160、治療送達システム170、および遠隔システム180を含み得る。治療管理システム100は、患者の治療レジメンに基づいてこの患者に治療を施し、定期的に、または必要に応じて、医師の診察と診察の間に治療レジメンを更新するために使用されることができる。
【0021】
治療管理システム100は、治療を施す頻度に基づいて治療レジメンを更新することができる。例えば、治療レジメンは、特定の治療の投与を1日1回または複数回、例えば1日3回処方することができ、治療レジメンは、少なくとも毎日、または最高頻度の投与、例えば1日3回更新でき、または患者を一定の状態、安定した状態、もしくは一定かつ安定した状態に保つのに十分に好適な任意の頻度で更新することができる。いくつかの実施形態では、治療は、治療管理システム100による治療レジメンの更新時に調整またはタイトレーションされ得る。例えば、医師は、1回分の薬物および薬物の種類をリスクスコアまたは他の患者の状態にマッピングすることができる処方箋を提供することができ、治療管理システム100は、このリスクスコアまたはリスクスコアの変化に基づいて、毎日、2日、3日、毎週、または任意の好適な時間毎に、治療レジメンを決定および提供することができる。
【0022】
センサーシステム150は、患者およびこの患者に関連する環境に関する様々なパラメータを検出するための1つ以上のセンサーを含み得る。検出されたパラメータは、患者データまたは他のデータを提供するために使用され得る。センサーシステム150の構成要素の様々な例として、患者植え込み型センサー、患者ウェアラブルセンサー、患者が非着用の外部センサー、ユーザー入力を受け付けるためのグラフィカルインターフェースもしくは可聴ユーザーインターフェース、または履歴もしくは過去の患者データを記憶するためのメモリが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「患者データ」という用語は、概して、患者または患者に関連する環境に関するデータを指す。患者データを検出、収集、または決定するために使用可能なセンサーおよびデバイスの様々な例が、例えば、
図2に関して本明細書で説明される。患者データの非限定的な例として、例えば、体液レベル、血圧、心拍数、心拍数変動、脈拍通過時間、QT間隔、体重レベル、呼吸速度、呼吸努力、心臓音、駆出率、カリウムレベル、ナトリウムレベル、クレアチニンレベル(または血中尿素窒素(BUN)などの別の腎バイオマーカー)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)またはその前駆体フォームNT-proBNP、肺心室圧、頸静脈サイズ、姿勢、患者活動、組織灌流レベル、酸素飽和度、血糖値、不整脈(心房または心室)の発生率と負担(例えば、1日あたりの心房または心室の早期拍動)、COPD負担、および患者の心臓の画像、が挙げられる。液面レベルセンサー、血圧センサーなど、様々な特定のセンサーを使用して、各タイプの患者データを収集できる。患者データは、患者が入院しているかどうかやその他の医療利用情報などの患者転帰データを含み得る。患者データは、他の病状または現在の治療(例えば糖尿病、腎不全、肥満、睡眠時無呼吸、認知症、パーキンソン病ほか)など、患者に関する関連情報も含み得る。
【0024】
センサーシステム150は、治療最適化システム160に動作可能に結合されて、患者データをシステム160に提供することができる。治療最適化システム160は、この患者データを使用して、患者に最適な治療レジメンを提供または決定することができる。最適化された治療は、患者固有の治療として説明され得る。特に、履歴患者データは、現在の患者データとの共分散を決定するために、または、例えば人工知能(AI)もしくは他の適応フィードバック方法を使用して、患者の背景または履歴に基づいて様々な危険因子を決定するために使用され得る。治療レジメンは、患者データ、コンプライアンスデータ、および関連する治療データのうちの少なくとも1つに基づいて決定することができる。
【0025】
一部の患者データは、治療最適化システム160に自動的に提供され得、他の患者データは、トリガーとなるイベントに応答して治療最適化システムに提供され得る。いくつかの実施形態では、治療最適化システム160は、センサーシステム150に情報を要求することができ、これは、以前に受信した患者データ、または初期の患者データを補足するために使用される追加の患者データとして説明することができる。特に、治療最適化システム160は、初期の患者データの情報を確認または裏付けるための情報(例えば、「息切れしますか?」または「病院には行きましたか?」)を要求することができる。例えば、高血圧または高血圧症を示す患者データは、画像センサーからのアイスキャンを使用して裏付けまたは確認することができる。追加の患者データは、裏付け、確認、または隣接する患者データとして説明され得る。追加の患者データは、センサーシステム150または治療最適化システム160によって収集され得る。治療最適化システム160によって要求される追加の患者データの様々な例は、
図2に関して本明細書で説明されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「コンプライアンスデータ」または「治療コンプライアンスデータ」は、一般に、施された治療を受けている患者に関連するデータを指す。コンプライアンスデータは、治療が患者に投与されたかどうか、または患者が実際に治療を受けたかどうかを判断するのに十分であり得る。コンプライアンスデータを検出、収集、または決定するために使用可能な様々なセンサーおよびデバイスが、
図2に関して本明細書で説明されている。コンプライアンスデータは、1つ以上のアルゴリズムまたは生成器を訓練して、後続または将来の治療レジメンを生成するために、治療最適化システム160によって使用され得る。
【0027】
コンプライアンスデータの非限定的な例として、例えば、服薬コンプライアンス(例えば、患者が適時に上昇用量(rise dose)で正しい薬を服用したか)、栄養コンプライアンス(例えば、塩および水の摂取を制限する)、身体活動コンプライアンス(例えば、運動)、および物質の使用(例えば、喫煙)を控えること、が挙げられる。コンプライアンスデータには、ユーザーの身元を確認するためのデータ(例えば、薬のユーザーの識別を容易にするため)、またはユーザーが実際に治療レジメンを遵守したことを確認するための、顔認識データ、音声認識データ、指紋データ、口頭による確認データ、内部投薬センサーデータ、ディスペンサー確認データ(例えば、薬または栄養のために何が分配されたかを確認するため)、およびモーションセンサーデータ(例えば、運動を確認するため)などのデータも含まれ得る。
【0028】
図示される実施形態では、治療最適化システム160は、コンプライアンスデータを受信するために、治療送達システム170に動作可能に結合され得る。コンプライアンスデータは、例えば、治療レジメンの更新に使用されるのと同じか同様の頻度で、もしくは治療を施すのと同じか同様の頻度で、もしくは一定または安定領域で治療を管理するための他の任意の好適なペースで受信され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「関連する治療データ」という用語は、一般に、治療レジメンにおける1つ以上の病状および治療に関連するデータを指す。関連する治療データには、現在の患者と同じまたは類似の特性を共有する他の患者に使用された特定の治療に関する情報が含まれ得る。例えば、患者が心不全と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の両方の治療を受けている場合があり、関連する治療データは、同じ治療を受けている他の患者に使用された治療に関する情報を含み得るか、それに基づき得る。関連する治療データは、1つ以上のアルゴリズムまたは生成器を訓練して後続または将来の治療レジメンを生成するために、治療最適化システム160によって使用され得る。例えば、初期治療レジメンは、患者固有の患者データをほとんどまたは全く持たず、同じか類似する病状または治療に関する大規模な集団レベルのデータを含み得る、関連する治療データに基づいて、治療最適化システム160によって決定され得る。患者データはその後、治療レジメンをさらに更新するために使用することができる。
【0030】
図示される実施形態では、治療最適化システム160は、関連する治療データを受信するために、遠隔システム180に動作可能に結合され得る。特に、治療最適化システム160は、インターネットを介して遠隔システム180に動作可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、治療最適化システム160は、インターネットを介してセンサーシステム150または治療送達システム170に動作可能に結合され得、遠隔システム180の機能が、例えば単一ユニットとして治療最適化システムに統合されてもよい。遠隔システム180上に配置された治療最適化システム160は、それを利用する患者の数、および患者がシステムを使用する期間が増加するにつれて絶えず増大する動的データベースとして存続でき得る。
【0031】
関連する治療データは、
図6に関して本明細書で説明されるように、一定または安定領域での治療を管理するために任意の好適なペースで受信され得る。いくつかの実施形態では、関連する治療データは、最初の、または初期の治療レジメンの生成中に、および治療レジメンの更新または治療の実施と比較してより遅い方の頻度で定期的に受信され得る。他の実施形態では、関連する治療データを受信し、使用して、リアルタイムで、または治療レジメンの更新もしくは治療の実施と同じか同様の頻度で、治療レジメンを更新することができる。
【0032】
治療最適化システム160は、治療レジメンを提供するために、治療送達システム170に動作可能に結合され得る。治療送達システム170は、治療レジメンを使用して、患者に治療を施すことができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療を施す」とは、治療を受けるための情報(通知など)を患者に提供すること、患者が治療を利用できるようにすること(薬物の投薬など)、またはデバイスもしくはシステムを制御して、患者に自動的に治療を提供すること(COPDを治療するための薬物送達ポンプや酸素マシンなど)を指す。患者に自動的に治療を提供するために使用され得る薬物送達ポンプの例としては、病状に応じて利尿ポンプまたはインスリンポンプが挙げられる。
【0034】
治療管理システム100は、例えば、システム100全体の様々なシステム150、160、170、180との間で提供されるフィードバックのために、「閉ループ」治療管理システムとして説明することができる。一例では、治療送達システム170からのコンプライアンスデータは、患者への治療の実施を確認または裏付けるために、治療最適化システム160に提供され得る。別の例では、センサーシステム150を使用して、例えば、治療送達システム170を使用して治療を施した後、この施された治療の効果を観察することができる。治療管理システム100の使用において、他の形態のフィードバックも考慮される。
【0035】
図2は、
図1の治療管理システムを用いて使用可能な環境の一例を示す概念図である。図示されるように、治療管理システム100を用いて使用するための環境200は、患者50の身体を含み得る。
【0036】
治療管理システム100のシステムを実装するため、任意の好適な構成要素またはデバイスが使用され得る。治療管理システム100で使用可能なシステムの非限定的な例は、2019年4月25日に出願され米国特許出願第2019/0329043号として公開された米国特許出願第16/394,942号、および2017年1月10日に出願され米国特許公開第2017/0245794号として公開された米国特許出願第15/402,839号に説明されており、これらは参照によって本開示に組み込まれる。いくつかの実施形態では、治療管理システム100は、処方された治療レジメンが保管のために中央通信センターに送られた後、またはコンピューティングデバイスのメモリに保存された後は、いつでも患者の医師と直接やり取りすることなく、患者の治療レジメン、すなわち治療計画、の調整をシームレスにトリガーするように構成される。
【0037】
治療レジメンは、1回以上の治療(例えば、第1回目の投薬、第2回目の投薬など)を含み得る。一般に、患者の治療レジメンの調整は、センサーシステム150の1つ以上のデバイスからの患者データに基づいて決定され得る、1つ以上のリスクスコアなどの様々な要因に依存し得る。
【0038】
センサーシステム150は、患者データを取得するための任意の好適なデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、センサーシステム150は、患者植え込み型センサーを有する植え込み型医療デバイス(IMD)などの患者植え込み型デバイス202、患者ウェアラブルセンサーを有する患者ウェアラブルデバイス204、および外部センサーを有する外部デバイス206を含み得る。
【0039】
様々な種類の患者植え込み型センサーを使用して、患者データの提供に用いるために、患者植え込み型デバイス202の回路に動作可能に結合されることができる。患者の植え込み型センサーの非限定的な例としては、1つ以上の電気接点(例えば電極)を備えた植え込み型電気センサー、生化学センサー、モーションセンサー(例えば3軸加速度計)、圧電センサー、光学センサー、体温センサー、地理的位置センサー(例えばGPSセンサー)、またはマイクが挙げられる。電気接点は、心臓組織または腎臓組織などの患者の組織に電気刺激を提供するために使用することができる。
【0040】
1つ以上の患者植え込み型センサーは、様々な植え込み型医療デバイス202に組み込まれるか、またはそれらに動作可能に結合され得る。植え込み型医療デバイス202の非限定的な例としては、有鉛または無鉛ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)、除細動機能なし心臓再同期デバイス(CRT)もしくは除細動機能付き心臓再同期デバイス(CRT-D)、有鉛または有鉛監視デバイス、または血管外植え込み型除細動器(EVICD)が挙げられる。
【0041】
様々な種類の患者ウェアラブルセンサーを使用して、患者データの提供に用いるために、患者ウェアラブルデバイス204の回路に動作可能に結合されることができる。患者ウェアラブルセンサーの非限定的な例としては、1つ以上の電気接点(例えば電極)を備えた外部電気センサー、生化学センサー、モーションセンサー(例えば3軸加速度計)、圧電センサー、光学センサー、体温センサー、地理的位置センサー(例えばGPSセンサー)、またはマイクが挙げられる。
【0042】
1つ以上の患者ウェアラブルセンサーは、様々な患者ウェアラブルデバイス204に組み込まれるか、またはそれらに動作可能に結合され得る。患者ウェアラブルデバイス204の非限定的な例としては、心拍数モニター、スマートウォッチ、灌流センサー(例えばパルスオキシメータ)、バイタルを監視し、活動を監視するためのパッチ、活動およびバイタル(例えば深部体温)を検出する機能を備えた補聴器、または活動を測定するためのペンダントのようなデバイスが挙げられる。
【0043】
様々なタイプの外部センサーを使用して、患者データの提供に用いるために、外部デバイス206の回路に動作可能に結合することができる。外部センサーの非限定的な例としては、画像センサー、体重計、圧力センサー、またはマイクロフォンが挙げられる。
【0044】
1つ以上の外部センサーは、様々な外部デバイス206に組み込まれるか、またはそれらに動作可能に結合され得る。外部デバイス206の非限定的な例としては、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ホームセキュリティカメラ、治療ディスペンサー、体重計、血圧カフ、ベッドから出る回数や落ち着きのなさなどの睡眠指標を測定するためのベッドセンサー、または家具が挙げられる。
【0045】
センサーシステム150の様々なセンサーは、患者データを提供するために様々な方法で使用され得る。一例では、圧力センサーがソファまたはベッドなどの家具に埋め込まれ、呼吸データおよび心拍数を提供するために使用され得る。
【0046】
別の例では、患者植え込み型デバイス202または患者ウェアラブルデバイス204上の電気センサーは、例えば、心電図(ECG)、インピーダンス値、呼吸データ、または体液レベルを提供するための電気的活動の監視に使用される電気センサーを含み得る。
【0047】
別の例では、3軸加速度計を使用して、患者の活動、歩行パターンの変化、および脆弱性指標(例えば、ソファから起き上がって特定の距離を歩くまでの所要時間)を測定できる。加速度計および/または圧電センサーを使用して、S3およびS4の心音を測定できる(これらの音は、患者の体液量が増加し心不全が悪化し始めると現れる場合がある)。体温センサーは、体温の日変化を測定し、感染リスクを評価するために使用され得る。
【0048】
センサーシステム150の1つ以上のデバイスは、プログラマ208またはアクセスポイント210に動作可能に結合され得る。プログラマ208またはアクセスポイント210は、1つ以上のデバイスに、無線で接続されるか有線で接続されることができる。例えば、プログラマ208およびアクセスポイント210は、データを送受信するために、患者植え込み型デバイス202に無線で接続され得る。次いで、プログラマ208およびアクセスポイント210は、データをさらに送受信するために、ローカルネットワーク、広域ネットワーク、またはインターネットを含み得るネットワーク212に動作可能に結合され得る。
【0049】
治療送達システム170は、患者に治療を施すための任意の好適なデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、治療送達システム170は、1つ以上の薬物を含む薬物ディスペンサー、自動の皮下(SubQ)植え込み型もしくは完全埋め込み型治療ポンプ、静脈内もしくは腹腔内ライン、または患者に治療情報を提供するためのグラフィカルユーザーインターフェースもしくは可聴ユーザーインターフェースを含み得る。治療送達システム170は、ネットワーク212および治療最適化システム160の一方または両方に動作可能に結合され得る。
【0050】
薬物ディスペンサーは、いくつかの治療送達システム170で使用され得る。いくつかの薬物ディスペンサーは、2つ以上の異なる薬物または同じ薬物の異なる投薬量(例えば、利尿薬、高血圧薬など)を保持するための、2つ以上の異なるレセプタクルまたは区画を含むように構成され得る。薬物ディスペンサーは、治療レジメンに従って適切な投薬量の薬物を投与するために、外付け型、ウェアラブル型、または植え込み型であり得る。
【0051】
Boston,MAのPillo社のPILLO(商標)自動錠剤ディスペンサーなど一部の薬剤ディスペンサーは、2つ以上の区画を含み、患者が使用するため単一の容器に薬剤を放出する。また、一部の薬剤ディスペンサーは、薬剤を体内に直接放出する。これらは例えば、米国特許第7,001,359号、米国特許第7,054,782号、米国特許第7,008,413号、米国特許第7,264,611号、および米国特許第7,160,284号で説明されており、参照によって本開示に組み込まれる。植え込み型薬物ディスペンサーの一例に、皮下薬物ディスペンサーがある(例えば、Dublin,Irelandのメドトロニック社のMiniMed PARADIGM(登録商標)REVEL(商標)インスリンポンプといった薬物送達などの皮下植え込み型デバイス、またはBurlington,MAのSCファーマシューティカルズ社のSC2注入器、またはActon,MAのインシュレット社のOmniPod(登録商標)インスリン管理システムなどの皮下デバイス)。
【0052】
薬物ディスペンサーは、送受信機または送信機を含み得るデータ通信インターフェース経由で通信信号を介して治療レジメンを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、データ通信インターフェースは、BLUETOOTH(登録商標)技術などの無線通信プロトコルを利用することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、薬物ディスペンサーは、投与される薬物の投薬量または種類を調整するためのコマンドを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、薬物ディスペンサーは、(例えば薬物レベルが枯渇しているかまたは非常に低くなっているといった)情報を提供するために、別の植え込み型医療デバイス(LINQ(商標)ペースメーカーなど)または外部デバイス(例えばスマートフォン)に信号を送るように構成され得る。
【0054】
薬物ディスペンサーは、患者が正しい薬剤および/または薬剤の投与量に確実にアクセスできることを容易にするために、分配するかそうでなければ投与するための命令を受信するように構成され得る。治療最適化システム160が治療レジメンのための1つ以上の薬物を決定すると、治療最適化システム160は、更新された治療レジメンに従って薬剤を投与するように治療送達システム170に自動的に信号を送信することができる。治療最適化システム160は、例えば、更新された治療レジメンに基づいて投薬量を増加または減少させるために、患者に送達される投薬量を調整するように治療送達システム170に信号を送信することができる。
【0055】
治療送達システム170は、薬物送達のために第1の投薬区画から第2の投薬区画に自動的に切り替えることができる。薬物ディスペンサー、または治療送達デバイスは、第1の投薬量を格納する第1の投薬区画から、患者に送達するための第2の投薬量を格納する第2の投薬区画まで回転し得る。治療送達デバイスは、治療レジメンが変更されたことを患者に自動的に通知する場合としない場合がある。治療送達デバイスは、日中に薬剤を服用するように患者に自動的に通知することができる。治療または薬物は、適切な投与量で患者に自動的に投与され得る。治療送達デバイスは、適切な投与量が送達されると薬物送達メカニズムを自動的にロックするように設定されてもよい。
【0056】
治療最適化システム160は、治療を最適化し、患者の治療レジメンを決定するための任意の好適なデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、治療最適化システム160は、治療送達システム170と統合され得るか、またはネットワーク212を介して治療管理システム100の他の部分と接続されたサーバー上に配置されてもよい。
【0057】
患者に施される治療の量を制御することができる治療送達システム170は、治療コンプライアンスデータの形でロバストなフィードバックを提供することができる。いくつかの実施形態では、治療送達システム170は、施される治療の量を制御することはできないが、患者が少なくとも治療にアクセスし、場合によっては治療を受けたかどうかを示す治療コンプライアンスデータを提供できる、といった場合がある。例えば、治療送達システム170は、容器が開かれたかどうかを示すことができる薬剤容器を含むだけでもよい。例えば、容器は、この容器が開かれたとき、またはコンテナが開かれるたびに、スマートフォンまたはスマートスピーカーなどの他のデバイスに信号を提供することができる無線タグを含み得る。そのような治療送達システム170は、例えば、患者が休暇中であり、オーバーライドモードがアクティブであるときに使用することができ、これは、
図4に関して本明細書で説明する。
【0058】
いくつかの治療送達システム170は、投薬量または他の治療情報などの治療情報を患者に提供するためのグラフィカルユーザーインターフェースまたは可聴ユーザーインターフェースを含み得る。一例では、グラフィカルユーザーインターフェースまたは可聴ユーザーインターフェースは、リスクスコアが高いためその日の塩分を避けるように患者に提案することができる。
【0059】
治療管理システム100の1つ以上のシステムは、データ通信インターフェース220、プロセッサ222、およびメモリ224を有する1つ以上のコンピューティングデバイスを含むことができる。特に、1つ以上のシステムは、1つ以上のコントローラ、センサー、またはインターフェースを含み得、これらの各々は、例えば中央処理装置(CPU)、コンピュータ、論理アレイ、処理回路、またはシステム内部もしくは外部にデータを送ることのできる他のデバイス、などのプロセッサ222を含み得る。各システムは、コントローラの様々な構成要素を一緒に、またはプロセッサ222に動作可能に結合された他の構成要素と結合するために使用される回路を含み得る。プロセッサ222の機能は、ハードウェアによって、および/または非一時的コンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータ命令として実施され得る。
【0060】
プロセッサ222は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または同等のディスクリートまたは集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。いくつかの例では、プロセッサ222は、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、および/または1つ以上のFPGAの任意の組み合わせなどの複数のコンポーネント、ならびに他の個別または集積論理回路を含んでもよい。本明細書におけるコントローラまたはプロセッサ222に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具体化されてもよい。本明細書ではプロセッサベースのシステムとして説明されているが、代替のコントローラは、リレーやタイマーなどの他の構成要素を利用して、単独で、またはマイクロプロセッサベースのシステムと組み合わせて、所望の結果を達成することができる。
【0061】
1つ以上の実施形態では、例示的なシステム、方法、技術、および他の関連機能が、1つ以上のプロセッサ222および/またはメモリ224を含み得るコンピューティングデバイスを使用する1つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装され得る。本明細書で説明する機能を実施して所望の出力データ/情報を生成するため、データ通信インターフェース220を使用して、本明細書で説明するプログラムコードおよび/またはロジックを入力データ/情報に適用してもよい。出力データ/情報は、本明細書で説明するように、1つ以上の他のデバイスおよび/または方法への入力として適用されてもよく、またはデータ通信インターフェース220を使用して既知の方法で適用される場合もある。上記を考慮すると、本明細書で説明するコントローラまたはプロセッサ機能は、当業者に既知の任意の様態で実装され得ることが容易に明らかであろう。
【0062】
ネットワーク212は、一般に、治療管理システム100のいくつかのデバイス間または呼び出しデバイス間で、情報またはデータ(例えば、生理学的データ、リスクレベルデータ、回復データなどの患者データ)を送信するために使用され得る。しかし、ネットワーク212はまた、他の外部コンピューティングデバイス(例えば、メドトロニック社から市販されているCARELINK(登録商標)システム)に情報を送信するために使用されてもよい。
【0063】
典型的には、無線接続が使用され得る。一例では、特許植え込み型デバイス202、患者ウェアラブルデバイス204、外部デバイス206、プログラマ208、アクセスポイント210、治療最適化システム160、および治療送達システム170は、直接またはネットワーク212を介して互いに相互接続され、通信することができる。
【0064】
治療管理システム100の様々なシステムとしては、1つ以上のサーバー、コンピュータ、体重計、携帯型血圧計、生体測定データ収集デバイス、1つのコンピュータ、症状評価システム、携帯情報端末(例えば、携帯電話、タブレットなど)が挙げられ得る。いくつかの例では、治療管理システム100の様々なデバイスは、本明細書で説明する様々な機能または操作のいずれかを実施するためのデータを生成することができ、例えば、患者メトリック(patient metrics)比較に基づいて心不全リスク状態を生成するか、生のメトリックデータから患者メトリックを作成することができる。
【0065】
心不全(HF)のリスク状態は、本開示の利点を有する当業者に既知のいくつかの方法で計算することができる。リスクスコアまたはリスク状態を計算する一例は、2018年8月31日に出願された米国特許公開第2019/0069851号および2018年4月26日に出願された米国特許公開第2019/0125273号で説明されており、これらは参照によって本開示に組み込まれる。
【0066】
様々なデータ通信インターフェース220はまた、ユーザーインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、治療管理システム100の1つ以上のデータ通信インターフェース220として、キーボード、マウス、音声入力、体重センサーなどの入力デバイス、またはグラフィカルユーザーインターフェースもしくは可聴ユーザーインターフェース(例えば、タッチスクリーン入力または音声コマンド用)、プリンター、または他の好適な手段などの出力デバイスが挙げられる。
【0067】
治療管理システム100の1つ以上のプロセッサ222は、信号を何らかの閾値と比較することができるように、何らかの種類のアナログ-デジタル変換を実施するように構成されてもよい。各プロセッサ222は、計算、メモリのデータへのアクセス、比較の実施、各評価期間の開始日および終了日の設定などの様々な機能を実施するように構成されてもよい。評価期間は、各患者から取得され、境界(例えば開始時間と終了時間)内にあるデータを包含する評価ウィンドウとして機能する。
【0068】
治療管理システム100の様々なメモリ224として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または他のいずれかのデジタルもしくはアナログ媒体などの、揮発性媒体、不揮発性媒体、磁気媒体、光学媒体、または電気的媒体が挙げられ得る。一般に、メモリ224は、心不全患者データ、心不全予想リスクデータ、心臓内または血管内圧、活動、姿勢、呼吸、胸部インピーダンス、インピーダンス傾向、循環血液量過多もしくは循環血液量減少のリスクなどを含み得る、患者データなどのデータを記憶し得る。また、評価期間の開始時間および終了時間または日付がメモリ224に記憶されてもよい。場合によっては、患者データがデータ観測を含んでもよい(例えば、閾値を超えセンサーから感知されたデータ)。
【0069】
プログラマ208は、メドトロニック社のMedtronic CARELINK(商標)プログラマなど、当業者に一般に既知であるものを含む、任意の好適なプログラミングシステムを含むことができる。
【0070】
治療最適化システム160は、例えば、プログラマ208を介して、患者植え込み型デバイス202などのセンサーシステム150のデバイスに要求を送信することができる。患者植え込み型デバイス202は、患者データ(例えば、診断情報、循環血液量過多または循環血液量減少を示し得る絶対胸腔内インピーダンスに関連するリアルタイムデータなど)または要求によって選択された、またはすでに入力された患者状態に基づく診断情報を、プログラマ208へ提供し得る。患者データは、患者のメトリック値または患者の植え込み型デバイス202からの他の詳細な情報を含み得る。
【0071】
患者データは、治療最適化システム160による心不全リスクレベルの警告または通知を提供するために使用され得る。心不全のリスクレベルが重大になったときは、警告が自動的に送信またはプッシュされてもよい。加えて、警告は、医療専門家、例えば、臨床医または看護師に対するリスクレベルの通知、および/または治療を受けるための患者50への指示(例えば、HFの悪化を確認するための試験など)であり得る。警告の受信に応答して、ユーザーインターフェースは、リスクレベルに関して医療専門家に警告を表示するか、または治療を受けるよう患者50に指示を提示することができる。
【0072】
心不全データ、例えば、リスクレベルまたは患者メトリック、または要求された心不全情報のいずれかに応答して、コンピューティングデバイスまたはプログラマ24のユーザーインターフェースは、患者メトリック、心不全リスクレベル、または推奨される治療(例えば、投薬)をユーザーに提示し得る。また、いくつかの例では、ユーザーインターフェースはそれぞれのメトリック固有の閾値を超えた患者メトリックを強調表示することもできる。このようにして、ユーザーは、識別された心不全リスクレベルに寄与している患者メトリックをすばやく確認できる。
【0073】
アクセスポイント210は、電話ダイヤルアップ、デジタル加入者回線(DSL)、またはケーブルモデム接続などの様々な接続のいずれかを介してネットワーク112に接続するデバイスを備えることができる。他の例では、アクセスポイント210は、有線または無線接続を含む、異なる形態の接続を介してネットワーク112に結合され得る。いくつかの例では、アクセスポイント210は、患者50と同じ場所に配置されてもよく、本明細書で説明する様々な機能および動作を実施し得る1つ以上のプログラミングユニットおよび/またはコンピューティングデバイス(例えば、1つ以上の監視ユニット)を備えてもよい。
【0074】
別の例では、アクセスポイント210は、患者内の同じ場所に配置され、データを感知し、記録し、ネットワーク112に送信するように構成されたLINQ(商標)デバイスであってもよい。あるいは、モニタリング用に構成されたSEEQ(商標)デバイスなどのウェアラブルパッチを患者の皮膚に取り付けてもよい。例えば、SEEQ(商標)デバイスは、心臓モニタリングのために患者の心臓の上の皮膚に取り付けることができる。別の例では、アクセスポイント210は、患者50内に配置され、IMD16の活動を監視することができる在宅監視ユニットを含むことができる。メドトロニック社から市販されているLINQ(商標)およびSEEQ(商標)デバイスは、アクセスポイント210としても使用できる。LINQ(商標)デバイスの非限定的な例は、2016年4月20日に出願された米国公開第2016/0310031号に関して説明されており、これは参照によって本開示に組み込まれる。
【0075】
治療最適化システム160は、1人以上の熟練した看護師が配置された集中型コミュニケーションセンターおよびエピソード重症度のスペクトルで患者(例えば、低血圧対正常血圧の非代償性HF患者)を管理/治療するための確立されたワークフローを含むか、またはその一部であり得る。治療最適化システム160は、大規模な患者群に対して複雑な計算を実施するように構成され得、センサーシステム150および治療送達システム170から収集され生成された情報(例えば、患者メトリックデータ、心不全リスクレベル、体重、血圧など)のアーカイブのため、メモリ内の安全な記憶域を提供し得る。
【0076】
図3は、
図1の治療管理システムを使用する方法の一例を示すフロー図である。図示されるように、方法300は、患者データを決定すること302を含み得る。患者データは、植え込み型デバイス、ウェアラブルデバイス、または外部デバイスを含み得るセンサーシステムによって提供され得る。一部の患者データは自動的に提供されてもよく、他の患者データはリスクスコアを確認するために提供されてもよい。
【0077】
患者のスコアを決定するためにリスクスコアが使用できる。方法300は、患者スコアを使用して治療を最適化すること304を含み得る。最適化された治療を反映する治療レジメンが生成または決定され得る。一般に、治療の最適化は患者のスコアを最小化し、これは典型的に、リスク、治療の違い、および症状の軽減に対応する。
【0078】
方法300は、例えば、生成された最適な治療レジメンに基づいて、治療を施すこと306を含み得る。治療を施すことには、自発的に治療を受ける患者に対して所定の投薬量を提供すること、または自動的に治療の送達を提供すること(例えば、患者の体内への自動治療ポンプまたは酸素マシン設定)を含み得る。
【0079】
加えて、方法300は、例えば、治療を施すことに応答して、治療コンプライアンスデータを決定すること308を含み得る。治療コンプライアンスデータは、施された治療を患者が遵守したかどうかの何らかの指標を提供する場合がある。例えば、薬物ディスペンサー上またはその近くに配置されたカメラは、投薬される薬剤を服用している患者を識別することができ、これは、患者による治療レジメンへのコンプライアンスの少なくともある程度の検証を提供することができる。
【0080】
さらに、方法300は、反復ループまたは閉ループにより、患者データの決定302、患者スコアを使用した治療の最適化304、および治療を施すこと306に戻ることができる。治療コンプライアンスデータを使用して、治療を最適化するか、治療レジメンを更新することができる。例えば、治療コンプライアンスデータは、前回施された治療レジメンを患者が実際に受けたかどうかを示すことができ、これは、次に施す適切な治療レジメンを決定するために使用され得る。特に、患者スコアは、治療コンプライアンスデータに基づいて更新され得る。例えば、リスクスコアは、
図4に関して本明細書で説明されるような治療コンプライアンスデータに基づいて変化し得る。
【0081】
図4は、複数の発生器を用いて
図3の最適化治療方法を実施する方法の一例を示す状態図である。特に、
図3は、2つの生成器の使用を示している。図示されるように、方法320は、治療を送達しデータを収集する状態322を含み得る。収集されるデータには、例えば、患者データ、治療コンプライアンスデータ、および関連する治療データが含まれ得る。
【0082】
方法320はまた、治療の送達およびデータ収集322に続き得る、リスクスコア生成器によるリスクスコア生成の状態324またはリスク予測を含み得る。リスクスコア生成器を使用して、新規のまたは更新された患者データもしくは現在の治療レジメンに関するデータなど、収集されたデータに基づいて1つ以上のリスクスコアを生成することができる。リスクスコア生成器は、治療最適化システムのメモリに記憶することができる。
【0083】
「リスク」スコアは、患者の健康の低下を示す可能性のある尺度を指す。患者の健康の低下の非限定的な例として、入院のリスクの増加、死亡のリスクの増加、または一般的な健康の低下の他の兆候が挙げられる。
【0084】
一般に、患者データを使用して1つ以上のリスクスコアを決定することができる。例えば、患者の血圧が上昇した場合、高血圧に関連付いたリスクスコア(および全体的なリスクスコア)も上昇する可能性がある。現在の治療レジメンは、特定のリスクスコアを調整するために使用されてもよい。例えば、患者が最高許容レベルのACE阻害薬の投与によって高血圧の治療を受けた場合、高血圧に関連するリスクスコアはさらに上昇する可能性がある。別の例では、最高許容レベルのACE阻害剤を施した後にもかかわらず患者の血圧が高レベルから変化していない場合であっても、高血圧に関連するリスクスコアは依然として増加する可能性がある。
【0085】
方法320はまた、治療レジメン生成器による治療レジメン生成の状態326を含み得る。治療レジメン生成器を使用して、例えば、リスクスコア生成器によって提供される1つ以上のリスクスコアに基づいて治療レジメンを決定することができる。本明細書で説明するように、生成される治療レジメンは、医師によって処方された治療レジメンの範囲内であり得る。治療レジメン生成器は、治療スコアまたは症状スコアなどの他のデータおよびスコアに基づいて治療レジメンを決定することもできる。治療レジメン生成器は、治療最適化システムのメモリに記憶することができる。いくつかの実施形態では、治療レジメン生成器は、患者データを直接入力として使用せず、むしろ患者スコアおよび過去の治療レジメンデータに基づいて更新された治療レジメンを決定する。一般に、リスクスコア生成器と治療レジメン生成器は別個であり、各々がもう一方とは異なる入力と異なる出力を有しているという点で異なる。
【0086】
一般に、治療レジメン生成器は、総合的な患者スコアに基づいて治療レジメンを生成することができ、これは、1つ以上のスコアの組み合わせであり得る。治療レジメン生成器は、総合的な患者スコアを低下させるか最小化するための新しい治療レジメンを提供し得る。一般に、本明細書で使用される場合、低い総合的な患者スコアは、高い総合的な患者スコアよりも良好な患者状態に相当するものとして定義される。ただし、いくつかの実施形態では、高い全体的な患者スコアが、より低い全体的な患者スコアよりも良好な患者状態に対応するものとして定義され得る。
【0087】
治療レジメンはまた、1つ以上の過去の治療レジメンに関する情報に基づいて生成され得る。過去の治療レジメンデータを使用して、患者スコアを更新することができる。例えば、血圧を下げるための過去の治療レジメンが患者の高血圧を下げなかった場合、患者スコアは上がる可能性があり、したがって、新しい治療レジメンはACE阻害薬の投与量を増やすか、高血圧に対して別の治療を導入する可能性がある。
【0088】
一般に、治療レジメン生成器は、以前の治療レジメンに基づいて以前の治療の実施に応じて患者スコアを更新し、更新された患者スコアおよび以前の治療レジメンに応じて治療レジメンを決定し、治療レジメンを治療送達システムに提供し得る。
【0089】
方法320は、治療の送達、データの収集、リスクスコアの生成、および治療レジメンの更新を継続するために、反復または「閉ループ」方式で治療レジメン生成326の後に治療送達およびデータ収集322に戻ることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、方法320の治療レジメン生成326または治療送達およびデータ収集322は、オーバーライドモードに入ることができる。オーバーライドモードでは、治療レジメンまたは治療の施しは、何らかの方法で中断され得る。例えば、オーバーライドモードは、治療レジメンが一定期間更新されるべきではないこと、または治療が一定期間施されるべきではないことを示し得る。
【0091】
様々なトリガーイベントがオーバーライドモードを開始する可能性があり、これは、治療管理システムの1つ以上のセンサーまたはデバイスによって検出され得る。いくつかの実施形態では、医師の入力がオーバーライドモードに入るトリガーとなる場合があるが、これは例えば、患者が診療所または病院にいて医師が治療を施しているときなどである。治療の施しおよび更新された治療レジメンの生成は、オーバーライドモード中に中断される場合がある。患者が去る準備ができているとき、医師の入力がオーバーライドモードの終了をトリガーする可能性がある(例えば、無効化にする、オフにするなど)。
【0092】
いくつかの実施形態では、患者の入力がオーバーライドモードに入ることをトリガーまたは開始する場合があるが、これは例えば、患者が休暇または他の旅行で在宅治療送達システムから離れることを計画しているときなどである。在宅治療送達システムによる治療の施しおよび更新された治療レジメンの生成は、例えば、患者が在宅治療送達システムから離れている間は投薬量の変更または異なる治療に容易にアクセスできないため、中断される可能性がある。患者が在宅治療送達システムに戻ったときに、患者の入力によってオーバーライドモードの終了がトリガーされてもよい。
【0093】
場合によっては、治療送達システムは携帯型であってもよい。携帯型治療送達システムは、在宅治療送達システムと一部またはすべて同様の機能を提供し得る。言い換えれば、携帯型治療送達システムは、更新された治療レジメンに基づいて、少なくともある程度まで、患者に異なる治療を施すことができる可能性がある。例えば、携帯型治療送達システムは、限られた数の異なる投薬量の同じ薬物または限られた数の異なる薬物を含み得る。患者は、携帯型治療送達システムの一部と見なされ得るスマートフォンによって、携帯型治療送達システムから一定量の薬剤を服用するように通知され得る。一般に、携帯型治療送達システムは、治療管理システムが部分的または全体的に、オーバーライドモードを回避または終了することを可能にし得る。
【0094】
治療管理システムの近接センサーまたは他の位置ベースのセンサーを使用して、例えば、手動の医師入力または手動の患者入力を要求する代わりに、オーバーライドモードに入ることまたはオーバーライドモードの終了をトリガーするための環境データを生成することもできる。加えて、患者の電話からのGPS位置など他のソースからのデータを使用して、オーバーライドモードに入ることまたはオーバーライドモードの終了をトリガーすることもできる。
【0095】
さらに、いくつかの実施形態では、治療レジメンの不遵守が、オーバーライドモードをトリガーするか、または全体的な患者スコアまたは1つ以上のリスクスコアの増加をトリガーする可能性がある。
【0096】
いくつかの実施形態では、リスクスコア生成器または治療レジメン生成器は、関連する治療データに基づいて更新され得る。例えば、同じまたは同様の治療を受けている他の患者は、リスクまたは治療に関する様々なベストプラクティスを更新するために使用できるデータを生成する場合がある。これらの生成器は、例えば更新を使用して定期的に更新されるかまたは訓練されることができ、またはリアルタイムで更新されてもよい。例えば、リスクスコア生成器または治療レジメン生成器をクラウドに保存し、1人以上の患者のリスク予測および治療を生成するために使用することができる。
【0097】
図5は、
図3の方法において使用可能な、患者スコアを決定する方法の一例を示すフロー図である。図示されるように、方法340を使用して、データの収集342に応答して患者スコアの決定または更新350を行うことができる。患者スコアおよび他のスコアの最適化は、一般に最小化の観点から説明されるが、最大値または目標値を使用する患者スコアの最適化もまた、本開示の利点を有する当業者が利用可能な任意の好適な方法で企図される。
【0098】
収集された様々な種類のデータに基づいて、1つ以上のリスクスコアの決定344ができ、各リスクスコアは、リスクの異なるパラメータまたはメトリックを表す。リスクスコアうちの1つ以上は、裏付けられた患者データを含む可能性のある、患者データに基づき得る。いくつかの実施形態では、リスクスコアは、潜在的な心不全リスクに関連し得る。
【0099】
リスクスコアは、入力パラメータまたは入力パラメータの組み合わせを表し得る。複合リスクスコアは、一部またはすべての入力パラメータを表し得る。リスクスコア、またはリスクスコアへの入力パラメータの非限定的な例としては、OPTIVOL(商標)スコア(例えば、体液レベルを表すインピーダンスまたはインピーダンス指数)、夜間心拍数(NHR)スコア(例えば、夜間心室レート)、患者活動スコア、心拍変動(HRV)スコア、不整脈スコア(例えば、心房頻拍または心房細動スコア)、心室レートスコア(例えば、不整脈中の平均心拍数)、ペーシングスコア(例えば、CRTの心室ペーシングパーセンテージ)、ショックスコア(例えば、ショック数)、呼吸、組織灌流、体温、治療された不整脈スコア、COPDリスク、脳卒中リスク、腎不全リスク、VT/VFリスク、急性非補償リスク、高カリウムまたは低カリウムリスク、高グルコースまたは低グルコースリスク、または睡眠不整脈リスクが挙げられる。
【0100】
リスクスコアを決定するために使用できる様々な診断メトリックまたはメトリックを、患者データから抽出できる。患者データの非限定的な例としては、(1)メドトロニック社からIMDで市販されているインピーダンス傾向指数、(2)胸腔内インピーダンス、(3)心房頻脈/心房細動(AT/AF)負荷、(4)AT/AF中の平均心室レート、(5)患者活動、(6)心室(V)レート、(7)日中および夜間の心拍数、(8)CRTペーシング率(percent CRT pacing)、または(9)ショック数が挙げられる。
【0101】
治療最適化システムによって実行される中リスクおよび高リスクの計算のいくつかの例は、2011年3月29日に出願された米国特許公開第2016/0361026号、2010年10月28日に出願された米国特許公開第2012/032243号、2018年8月31日に出願された米国特許公開第2019/0069851号、および2018年4月26日に出願された米国特許公開第2019/0125273号で説明されており、これらは参照によって本開示に組み込まれる。
【0102】
例えば、中リスク状態には、AT/AF負荷が閾値を超えている(>6時間/日)、低い%Vペーシングおよび高い夜間心拍数(>85bpm)などの1つ以上の条件が含まれ得る。例えば、高リスク状態には、高いOPTIVOL(商標)/インピーダンス指数(>60オーム日)、患者活動(<1時間/日)、高い夜間心拍数(>85bpm)、低いHRV(<60ミリ秒)などの1つ以上の状態が含まれ得る。
【0103】
インピーダンス指数は、患者が経験した体液のうっ血の量の指標であり得る。インピーダンス指数は、例えば、患者植え込み型デバイスを使用して毎日測定されるインピーダンスと、患者植え込み型デバイスによって、または医師の診察中に継続的に更新、確立されることができる基準インピーダンスとの間の差である。インピーダンス指数を決定および使用する非限定的な例は、2011年7月26日に付与された米国特許第7,986,994号で説明されており、これは参照によって本開示に組み込まれる。
【0104】
心拍変動(HRV)は自律神経緊張のマーカーとなり得、死亡リスクの予後情報を提供し得る。HRVの低下は、交感神経緊張の増加、またはリスクスコアの上昇に関連付いている。HRVデバイスの診断データを使用すると、HRVが低い(<100ms)患者は、死亡と入院の複合リスクが高くなる可能性がある。HRVが50ms未満の患者は、HRVが50~100msの範囲にある患者よりもさらに高いリスクを示す可能性がある。
【0105】
HRVと同様に、心拍数の上昇は交感神経緊張の上昇のマーカーであり得、HFの悪化またはより高いリスクスコアの予後的価値があることが示されている。深夜から午前4時の間に測定される夜間心拍数(NHR)は、日中の心拍数よりも優れた指標になる可能性がある。日中の心拍数は、様々な活動レベル(例えば休息や運動)の影響を受ける場合がある。NHRが高い(75±25bpm)患者は、典型的に、NHRが低い(73±11bpm)患者よりも入院または死亡するリスクが高くなる。
【0106】
さらに、患者活動の低下はHF状態の悪化と関連付いているため、HF入院を予測するのに役立つ場合があり、これはより高いリスクスコアに対応する可能性がある。患者の活動の低下は、FITBIT(登録商標)デバイス、携帯電話、スマートフォンなどの様々な活動デバイスによって判断できる。
【0107】
組み合わせ変数(例えば、ペーシングと不整脈関連情報を組み合わせること)を使用して、悪化するHFリスクまたはより高いリスクスコアを評価することもできる。例えば、組み合わせ変数の構成要素の1つとしてCRTペーシングの大幅な減少(>8%)があり、これは高HFイベントに関連付いている。AF中の急速な伝導が原因で、CRTペーシングの低下が発生する可能性がある。したがって、平均心室レート≧90bpmおよび心房細動(AF)負荷≧6時間/日、および心室細動/心室頻脈(VT/VF)に伝達されるショックも組み合わせ変数の構成要素になり得る。
【0108】
一般に、治療管理システムは、リスクスコア(または全体的なリスクスコア)を下げ、変数の各々を一定かつ安定した領域内に持ち込むための更新された治療レジメンを提供し、リスクスコア(または全体的なリスクスコア)を最小化することができる。いくつかの実施形態では、生理学変数を正常範囲内に維持するために、ベースライン投薬を最大化することができ、利尿薬をより低くすることができる。
【0109】
各々が異なる治療に関連する、収集されたデータに基づいて、1つ以上の治療スコアの決定346を行うことができる。特に、治療スコアは、医師ベースの治療レジメンと患者に施されている現在の治療レジメンとの間の違いに基づいて決定され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、治療レジメンは、複数の異なる治療を含み得る。治療レジメンに含まれ得る治療の非限定的な例としては、利尿薬、心不全薬(例えば、ベータブロッカー、ACE阻害薬、ARB、ヒドララジン、硝酸塩、ENTRESTO(商標)サクビトリル/バルサルタン)およびミネラルコルチコイド)、脳卒中薬、血圧薬物療法(例えば、ACE阻害薬またはベータブロッカーおよびカルシウムチャネルブロッカー)、酸素(例えばCOPDの場合)、ステロイド(例えばCOPDの場合)、身体活動(例えば運動)、食事療法の推奨、栄養補助食品、砂糖の丸薬、経口インスリン、パーキンソン用/ふるえ用薬剤、または抗凝固薬が挙げられる。
【0111】
違いは治療ごとに計算され、1つ以上の治療スコアに組み込まれ得る。この違いは、医師ベースの治療レジメンからの逸脱として説明することもできる。例えば、治療レジメンの違いは、患者スコアまたは症状スコアなどの他のスコアのうちの1つ以上によって生じ得、患者スコアに影響を及ぼし、ひいては治療最適化システムによって生成される治療レジメンに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、リスクスコアおよび症状スコアが一定かつ安定している場合、現在の治療レジメンは、治療スコアを最小化することができる医師ベースの治療レジメンに向けて滴定することができる。医師ベースの治療レジメンは、医師の入力に基づいて決定され、治療管理システムのメモリに記憶され得る。
【0112】
1つ以上の患者の症状を表す収集されたデータに基づいて、1つ以上の症状スコアの決定348を行うことができる。一般に、症状スコアは、リスクスコアに反映されていない他の患者の症状を示し得る。症状スコアは、患者の気分に基づいて決定することができ、リスクスコアまたは治療スコアとは独立していてもよい。例えば、患者のリスクスコアが低い場合でも、治療による副作用があり、症状スコアが高くなる可能性がある。副作用の一例に、患者がベータブロッカーから咳を発症する可能性がある。症状スコアは、センサーデータまたは患者入力からの患者データに基づいてもよい。例えば、患者は、スマートフォンのユーザーインターフェースに痛みの感覚を入力することができ、これを使用して症状スコアを生成することができる。これに応じて、治療管理システムは、患者の症状を軽減するために1つ以上の治療を減少させるか、さもなければ変更してもよく、これによって患者のスコアが最小化され得る。
【0113】
全体的な患者スコアは、1つ以上のリスクスコア、治療スコア、および症状スコアを含み得るスコア因子の少なくとも1つに基づいて決定または更新350され得る。1つ以上のスコア因子を計算し、任意の好適な方法で組み合わせて、治療レジメンを生成するときの患者のリスク、治療の差異または逸脱、ならびに患者の症状の最小化を容易にすることができる。
【0114】
1つ以上の計算されたリスクスコアには重み付けすることができる。重み関数は、単調、非線形、または単調と非線形の両方であり得る1つ以上のリスクスコアに適用できる。一例では、重み関数は、増加する単調な非線形関数であってもよい。
【0115】
重み関数は連続的であり得、閾値または疑似閾値に関連する変曲点を含み得る。例えば、リスクスコアが特定の閾値を超えて増加すると、重み付けされたリスクスコアが劇的に増加する可能性があり、これは、他のリスクスコア、治療スコア、または同様の閾値もしくは疑似閾値に達していない症状スコアよりもリスクスコアを優先する効果がある場合がある。各リスクには、異なる変曲点もしくは疑似閾値、またはまったく異なるリスクプロファイルが含まれてもよい。
【0116】
治療スコアを提供するために治療偏差に、または症状スコアを提供するために症状データに、様々な関数を適用することもできる。重み関数を1つ以上の治療スコアまたは症状スコアに適用することもできる。
【0117】
合計を使用して、複数のスコアを組み合わせることができる。例えば、複数の重み付けされたリスクスコアの合計を使用して、複数のリスクスコアを組み合わせることができる。
【0118】
重み付けされているかどうかにかかわらず、1つ以上のリスクスコア、治療スコア、および症状スコアを、全体的な患者スコアを生成する関数への入力として組み合わせることができる。関数は、一般に、患者スコアの最小化(または最大化)が一般に危険因子、治療の逸脱、および患者の症状の最小化のバランスをとるように、スコア係数を調整することができる。一例では、スコアを合計することができる。
【0119】
図6は、リスクスコアの裏付けを使用して
図3の最適化治療方法を実施する一例を示すフロー図である。図示されるように、方法360は、患者データ、治療コンプライアンスデータ、および関連する治療データなどのデータを収集すること362を含み得る。
【0120】
方法360はまた、例えば、収集されたデータに基づいて、リスクスコアが変更されたかどうかを決定すること364を含み得る。リスクスコアは、提供された以前の治療に基づいて変化する場合もあれば、同じままである場合もある。
【0121】
さらに、方法360は、患者の入力が必要であるかどうかを決定すること366を含み得る。患者の入力が必要な場合は、より多くの情報を提供する(例えば、質問に答える)、または追加のデータを収集するための患者による動作(例えば、体重計に乗る)を求める要求が患者に提供される。
【0122】
方法360は、例えば、患者入力が必要であるとの決定366に応答して、患者入力などの患者データを使用してリスクスコアを裏付けること368を含み得る。一例では、患者データは、血圧に関連する高いリスクスコアを示し得る場合があり、患者は、患者の目の画像を記録するためにカメラの前に立つように求められる場合がある。患者の目の画像を使用して、血圧に関連する高リスクスコアの存在を確認または裏付けることができ、これは許容範囲外の血圧を表す場合がある。
【0123】
方法360は、例えば、リスクスコアを裏付けること368に応答して、またはさらなる患者入力が必要でないと決定すること366に応答して、患者スコアを更新または決定すること370を含み得る。患者スコアは、患者の全体的な状態を評価するために使用できる。
【0124】
加えて、方法360は、例えば、現在の治療レジメンに従って治療を施した後、患者が安定しているかどうかを決定すること372を含み得る。患者の安定性は、全体的な患者スコア、1つ以上のリスクスコア、1つ以上の治療スコア、または1つ以上の症状スコアを閾値と比較することによって決定することができる。図示される実施形態では、患者が安定しているかどうかは、1つ以上のリスクスコアが安定領域内にあるか非安定領域内にあるかに関連している。特に、患者は、1つ以上のリスクスコアが、安定領域と非安定領域との間の境界を定義する特定の閾値を超えるかどうかに基づいて、安定または不安定であると決定され得る。
【0125】
安定性の閾値は、スコアの閾値の大きさ値、スコアの閾値の変化率、またはその両方に対応し得る。一例では、高いが安定したリスクスコアを有する患者は、不安定であると見なされ得る。別の例では、リスクスコアが低く、劇的に増加するが依然として低い患者も、不安定であると見なされ得る。
【0126】
方法360は、例えば、1つ以上のリスクスコアに基づいて患者が安定していないと判断したことに応答して、リスクスコアを安定させるための治療レジメンを決定すること374を含み得る。リスクスコアを安定させるための治療レジメンは、治療スコアまたは症状スコアなどの他のスコアの低下または安定化よりも、リスクスコアの低下または安定化(例えば、大きさ値の低下または変化率の値の低下)を優先し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、閾値は、1つ以上のスコアを生成するために使用される連続関数、およびそれらを患者スコアと組み合わせるために使用される関数に基づくことができる。したがって、閾値は固定されていてもよく、または他のスコアに対する相対値に基づいて決定されてもよい。
【0128】
方法360は、例えば、1つ以上のリスクスコアに基づいて患者が安定していると判断することに応答して、全体的な患者スコアを最適化するための治療レジメンを決定すること376を含み得る。全体的な患者スコアを最適化するための治療レジメンは、必ずしも1つのタイプのスコアを他よりも優先することなく、リスクスコア、治療スコア、および症状スコアのバランスを取ることができる。いくつかの実施形態では、患者が安定している場合、治療スコアに基づいて決定された治療レジメンは、例えば、医師ベースの治療レジメンに向けて、以前の治療レジメンで使用された1つ以上の治療を滴定することができる。
【0129】
加えて、方法360は、例えば、374または376で治療レジメンを決定した後、治療を施すために決定された治療レジメンを提供すること378を含み得る。治療レジメンは、治療送達システムに提供されて施され得る。
【0130】
さらに、方法360は、施された治療のコンプライアンスを確認すること380を含み得る。例えば、患者を識別するために、薬剤が薬物ディスペンサーから投薬されるときにユーザーの顔の画像が記録され得る。そのようなコンプライアンスデータは、例えば、患者スコアの更新370のために、方法360によって使用され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、患者が安定していない場合があり372、患者スコアは、治療管理システムによる管理の代わりに医師の入力が必要であることを示し得る。例えば、全体的なHFリスクスコアが、HFイベントを示すより高い閾値レベルを超える場合があり、これは、患者が病院、救急科、救急車、観察ユニット、緊急治療、またはHF/心臓病クリニックで看護師または医師の診察を受ける必要があることを示唆する場合がある。そのような場合、治療管理システムは、患者だけでなく看護師または医師に自動的に通知し、治療の施しを停止するためにオーバーライドモードに入ることができる。
【0132】
図7~8は、患者の治療を管理するための医師が制限した治療領域の使用を示している。
図7は、医師の入力を統合して
図3の最適化治療方法を実施する一例を示すフロー図である。
図8は、
図7の方法において使用可能な、医師制限パラメータ領域の一例を示す概念図である。
【0133】
図示されるように、方法400は、所与の患者について医師制限パラメータ領域を受信すること402を含み得る。医師制限パラメータ領域402は、異なる患者、異なる健康状態(例えば、HFクラス、NYHA II対NYHA IIIなど)、および異なる治療(例えば、特定の薬剤または薬物)によって異なる可能性がある。医師制限パラメータ領域は、医師の入力に基づくことができ、例えば、医師の診察と診察の間に医師がさらなる入力をすることなく、治療管理システムが患者に治療を施すために使用できるパラメータの許容範囲を示す。医師制限パラメータ領域は、治療管理システムのメモリに記憶することができ、所定の医師が制限する、または医師がガイドするパラメータ領域として説明することができる。
【0134】
方法400は、例えば、収集されたデータに基づいて、患者スコアを更新すること404を含み得る。患者スコアは、
図6の患者スコアの更新370と同じまたは同様の方法で更新することができる。
【0135】
また、方法400は、例えば収集されたデータに基づいて、治療レジメンを更新すること406を含み得る。治療レジメンは、
図4の治療レジメン生成326と同じまたは同様の方法で更新することができる。
【0136】
治療レジメンが更新または決定されると、方法400は、治療レジメンが医師制限パラメータ領域内にあるかどうかを決定すること402を含み得る。
【0137】
この決定は、1つ以上の治療についての治療レジメンと医師制限パラメータ領域との比較に基づくことができる。いくつかの実施形態では、患者スコア、1つ以上のリスクスコア、1つ以上の治療スコア、または1つ以上の症状スコアが、治療レジメンを医師制限パラメータ領域と直接比較することに加えて、またはその代替として行うことができる決定である。例えば、医師制限パラメータ領域は、様々なスコアに対する制限を含み得るか、または医師が制限した治療レジメンに関連するスコアが、比較のために計算され得る。
【0138】
方法400は、例えば、治療レジメンが医師制限パラメータ領域内にあるとの決定408に応答して、治療レジメンを治療送達システムに提供して治療を施すこと410を含み得る。方法400は、治療を施した後、患者スコアの更新404に戻ることができる。医師制限パラメータ領域は、患者が医師の診察を受けるたびに、再び受信または更新402され得る。
【0139】
さらに、方法400は、例えば、治療レジメンが医師制限パラメータ領域外(例えば、医師支援領域内)にあると決定すること408に応答して、医師に連絡するプロセス412を開始することを含み得る。例えば、医師制限パラメータ領域外の治療レジメンは、治療管理システムが、医師制限パラメータ領域で利用可能な治療に基づいて、1つ以上のリスクまたは症状の効果的な治療を提供できないことを示し得る。方法400は、更新された医師制限パラメータ領域の受信402に戻ることができる。
【0140】
医師制限治療領域の一例がプロット420に示されているが、これは、医師制限領域422および医師支援領域424を示す。医師制限領域422はまた、閾値領域として説明され得る。医師制限領域422と医師支援領域424との間の境界426もまた、閾値として説明され得る。
【0141】
医師制限領域422は、治療管理システムがその範囲内で動作することができる治療のための1つ以上のパラメータを定義することができる。医師制限領域422によって定義され得るパラメータの非限定的な例として、治療投与量、投与頻度、または経時的な累積治療投与量が挙げられる。
【0142】
いくつかの実施形態では、医師制限領域422は、例えば、時間対投与量のグラフで示した場合、三角形または他の幾何学的形状の形状をとることができる。図示されるように、三角形の形状は、短い期間にのみ施されることが許され得るより高い投与量と比較して、より低い投与量がより広い範囲の時間にわたって施され得ることを示し得る。
【0143】
図9は、
図1の治療管理システムとともに使用可能な、治療送達システムの一例を示す概念図である。図示されるように、
図9は、薬物ディスペンサー500の形態の治療送達システムを示している。薬剤ディスペンサー500は、1つ以上のレセプタクル506または区画を含むハウジング502を含み得る。通信インターフェース504は、ハウジング502に結合され得る。1つ以上のレセプタクル506は、1つ以上のカートリッジ508を受容または保持するように構成される。例えば、1つのレセプタクル506は、1つのカートリッジ508または複数のカートリッジを受容するように構成され得る。一般に、薬物ディスペンサー500は、2つ以上のカートリッジ508を保持するように構成される。
【0144】
各カートリッジ508は、固有の薬物識別子510を含むか、またはそれに結合され得る。薬物識別子510は、通信インターフェース504によって検出可能であり得、薬物ディスペンサー500によって使用されて、どの薬物が各カートリッジ508に含まれ、カートリッジ508が1つ以上のレセプタクル506のどこに配置されているかを識別する。例えば、薬物識別子510は、通信インターフェース504のRFID送受信機を使用して検出可能であるRFIDタグであってもよい。他の種類の薬物識別子として、光学式エンコーダと電気式エンコーダが挙げられる。
【0145】
いくつかの実施形態では、各カートリッジ508は、異なる薬物または異なる1回分の薬物を含む。薬物ディスペンサー500は、薬物識別子510を追跡することによって、現在の治療レジメンによって示されるとおりに特定のカートリッジ508から特定の薬物を投与することができ得る。言い換えれば、カートリッジ508は、任意の位置または順序で薬物ディスペンサー500に挿入されることができるが、薬物ディスペンサーは、依然として各カートリッジの位置を区別することができ得る。投与された薬物は、患者が施された薬剤を服用するのに使用するために、単一のカップまたは他の容器512に注ぎ込まれ得る。
【0146】
また、通信インターフェース504は、1つ以上の新しいカートリッジ508を配達するための要求を送信するように構成され得る。例えば、通信インターフェース504は、患者が手元に保管するために遠隔地から患者の家に特定のカートリッジ508を配達することを開始するための命令を、インターネットを介して提供することができる。患者または配達サービスは、カートリッジを薬物ディスペンサー500のレセプタクル506に挿入することができる。各カートリッジ508が使用されると、新しいカートリッジを注文することができ、これは、現在の治療レジメンの要件に依存して、空のカートリッジと同じ薬物または1回分の薬物、または異なる薬物または1回分の薬物を含み得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、各カートリッジ508は、密封され、カートリッジ508をレセプタクル506に装填する患者または人がアクセスできない場合がある。カートリッジ508は、薬物ディスペンサー500にのみアクセス可能であり得る。
【0148】
各カートリッジ508は、レセプタクルにそれぞれの薬物を装填するために、それぞれのレセプタクル506に挿入されるように構成され得る。他の実施形態では、各カートリッジ508は、薬物ディスペンサー500に取り付けられ得、薬物ディスペンサーは、カートリッジから適切な1つ以上のレセプタクル506に薬物を空にして、レセプタクルを装填することができる。薬物ディスペンサー500は、装填時にカートリッジに関連付けられた薬物識別子510に基づいて、どのレセプタクルにどの薬物が装填されているかを追跡することができる。言い換えれば、薬物ディスペンサー500は、各カートリッジ508からの各薬物が適切なレセプタクル506に到達することを確実にするよう処理することができる。空にされた後、各カートリッジ508は廃棄されてもよい。
【0149】
通信インターフェース504は、それぞれのカートリッジ508の装填前、装填時、または装填後に、薬物識別子510を検出するように構成され得る。例えば、レセプタクルを装填するためにカートリッジ508が空にされるいくつかの実施形態では、カートリッジ508が薬物ディスペンサー500に取り付けられる前に、または同時に、薬物識別子510が検出され得る。
【0150】
図10は、
図3の方法を使用して患者の治療を管理する一例を示す概念図である。図示されるように、プロット600は、体液レベルリスクスコア(例えば、インピーダンスリスクスコア)の変化に基づいて、異なる治療レジメンがどのように施されているかを示している。プロット600では、時間はx軸に描かれ、投与量または体液レベルはy軸に描かれる。図示されている例では、治療管理システムは、体液レベルリスクスコアが大きさに基づくと安定領域にあるが、変化率に基づくと安定領域にない場合(例えば60オーム日などのOptiVol(商標)高閾値未満だが急速に変化している場合)でも、患者を一定かつ安定した領域に維持するため、治療を調整する。例えば、時間2で体液レベルが増加すると、治療管理システムは時間2でループ利尿薬と電解質を増加させる。時間3で体液レベルが低下すると、時間4でループ利尿薬と電解質が減少する。時間5で体液レベルが再び増加すると、利尿薬と電解質も時間5で再び増加する。ACE阻害薬やベータブロッカーなどの他の薬は、危険因子によっては変化しない場合がある。
【0151】
図11は、
図3の方法を使用して患者の治療を管理する別の例を示す概念図である。図示されるように、プロット650は、利尿治療レベル、腎不全リスクスコア、食事中ナトリウム摂取レベル、およびHF入院リスクスコアを示している。プロット650では、時間はx軸に描かれ、投与量またはリスクはy軸に描かれる。治療管理システムは、体液レベルおよび電解質レベル(例えば、ナトリウム)などの様々なリスクのバランスをとる治療を施すことができる。
【0152】
示されているように、心不全入院(AHF)リスクスコアは、例えば、体液からのインピーダンスの増加により、時間2で急上昇する。治療管理システムは、AHFのリスクの増加に比例して、時間2で利尿薬と電解質の投与量を増やす。腎不全のリスクスコアを低く保つために、治療管理システムは利尿薬の投与量を短時間だけ増やす。図示されるように、AHFリスクスコアが時間3で低下すると、利尿薬の投与量は、低い腎臓リスクスコアを維持するために、時間4で低レベルに戻る。リスクスコアと投与量のこのバランスは、AHFリスクスコアと腎臓リスクスコアを同時に低く保つだけでなく、患者の投与量を可能な限り低く保つことができる。
【0153】
例示的な実施形態
本開示は、限定はされないが、開示の様々な態様の理解は、以下に提供される特定の例示的な実施形態の考察を通じて得られるであろう。例示的な実施形態の様々な修正、ならびに本開示の追加の実施形態が、本明細書で明らかになるであろう。
【0154】
実施形態A1では、治療管理システムは、患者または患者に関連する環境に関する患者データを提供するためのセンサーシステムを含む。治療管理システムは、治療レジメンに基づいて治療を施すため、および治療コンプライアンスデータを提供するための、治療送達システムも含む。治療管理システムは、センサーシステムおよび治療送達システムに動作可能に結合された治療最適化システムをさらに含み、センサーシステムからの患者データおよび治療送達システムからの治療コンプライアンスデータに基づいて治療レジメンを更新し、更新された治療レジメンを治療送達システムに提供する。
【0155】
実施形態A2では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、少なくとも毎日治療レジメンを更新するように構成される。
【0156】
実施形態A3では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、患者を安定領域に維持するために、治療レジメンを医師の入力間に自動的に更新するように構成される。
【0157】
実施形態A4では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、遠隔システムに動作可能に結合され、関連する治療データを受信して、リスクスコア生成器、治療レジメン生成器、またはそれらの両方を訓練して治療レジメンを更新する。
【0158】
実施形態A5では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムが治療レジメンを中断するためのオーバーライドモードを含むか、または治療送達システムが治療を施すことを中断するためのオーバーライドモードを含む。
【0159】
実施形態A6では、システムは、実施形態A5によるシステムを含み、治療最適化システムは、医師の入力または環境データに応答してオーバーライドモードに入るように構成される。
【0160】
実施形態A7では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、インターネットを介して治療送達システムに動作可能に結合されるか、または治療送達システムと単一のユニットに統合される。
【0161】
実施形態A8では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、1つ以上のリスクスコアに基づいて治療レジメンを提供するための治療レジメン生成器を備える。
【0162】
実施形態A9では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、患者データに基づいて1つ以上のリスクスコアを提供するためのリスクスコア生成器を備える。
【0163】
実施形態A10において、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療送達システムまたは治療最適化システムのうちの少なくとも1つは、1つ以上のリスクスコアを裏付けるために患者データを収集するように構成される。
【0164】
実施形態A11では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療最適化システムは、リスクスコア、治療スコア、および症状スコアから選択された少なくとも1つのスコアに基づいて決定された患者スコアに基づいて治療レジメンを提供する、治療レジメン生成器を備える。
【0165】
実施形態A12では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、センサーシステムは、患者植え込み型センサー、患者ウェアラブルセンサー、外部センサー、グラフィカルユーザーインターフェース、または履歴患者データを記憶するためのメモリのうちの少なくとも1つを備える。
【0166】
実施形態A13では、システムは、実施形態A12によるシステムを含み、患者植え込み型センサーは、植え込み型医療デバイスの回路に動作可能に結合された、1つ以上の電気接点を含む植え込み型電気センサー、生化学センサー、モーションセンサー、圧電センサー、光学センサー、体温センサー、地理的位置センサー、またはマイクのうちの少なくとも1つを含む。
【0167】
実施形態A14では、システムは、実施形態A12またはA13によるシステムを含み、患者ウェアラブルセンサーは、1つ以上の電気接点を含む外部電気センサー、生化学センサー、モーションセンサー、圧電センサー、光学センサー、体温センサー、地理的位置センサー、またはマイクのうちの少なくとも1つを含む。
【0168】
実施形態A15では、システムは、任意の実施形態A12~A14によるシステムを含み、外部センサーは、外部デバイスの回路に動作可能に結合された、画像センサー、体重計、圧力センサー、またはマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含む。
【0169】
実施形態A16では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療送達システムは、1つ以上の薬物を含む薬物ディスペンサー、自動治療ポンプ、または患者に治療情報を提供するためのグラフィカルユーザーインターフェースのうちの少なくとも1つを含む。
【0170】
実施形態A17では、システムは、任意のA実施形態によるシステムを含み、治療送達システムは、治療レジメンに基づいて、手元に保管するための1つ以上の薬物を遠隔地から配達するための要求を、通信インターフェースを介して送信するプロセッサを備える。
【0171】
実施形態B1では、治療最適化システムは、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む。治療最適化システムはまた、リスクスコア生成器および治療レジメン生成器を表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、1つ以上のリスクスコア、1つ以上の治療スコア、および1つ以上の症状スコアから選択される少なくとも1つのスコアに基づいている患者スコアを、以前の治療レジメンに基づき以前の治療を施すことに対応して更新することと、更新された患者スコアおよび以前の治療レジメンに対応して治療レジメンを決定することと、この治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0172】
実施形態B2において、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、治療レジメンは、リスクスコア、治療逸脱、または患者の症状のうちの少なくとも1つを最小化するために、患者スコアを最小化するように構成される。
【0173】
実施形態B3では、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、治療コンプライアンスデータに基づいて患者スコアを更新するようにさらに構成される。
【0174】
実施形態B4では、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、1つ以上のリスクスコアの患者の裏付けに基づいて、患者スコアを更新するようにさらに構成される。
【0175】
実施形態B5では、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、1つ以上のリスクスコアに適用される1つ以上の単調関数、非線形関数、または単調および非線形関数に基づいて患者スコアを更新するようにさらに構成される。
【0176】
実施形態B6では、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、治療レジメンは、複数の異なる治療の施しを含む。
【0177】
実施形態B7では、システムは、任意のB実施形態によるシステムを含み、1つ以上の症状スコアは、センサーデータまたは患者入力に基づいて決定された1つ以上の患者症状を表す。
【0178】
実施形態C1では、治療最適化システムは、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、所定の医師制限パラメータ領域を表すデータを受信するように構成される。治療最適化システムはまた、所定の医師制限パラメータ領域を表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、患者データを使用して、リスクスコア、治療スコア、または症状スコアのうちの少なくとも1つに基づいて患者スコアを決定することと、患者スコアに基づいて治療レジメンを決定することと、治療レジメンが所定の医師制限パラメータ領域内にあるかどうかを決定することと、治療レジメンが所定の医師制限パラメータ領域内にあるとの判定に応答して、この治療レジメンに基づいて治療を施すために治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0179】
実施形態C2では、システムは、任意のC実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、治療レジメンが所定の医師制限パラメータ領域の外側にあるとの決定に応答して医師連絡プロセスを開始するようにさらに構成される。
【0180】
実施形態C3では、システムは、任意のC実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、リスクスコア、治療スコア、および症状スコアから選択される1つ以上のスコアが閾値領域の外側にあると決定することに応答して、医師連絡プロセスを開始するように構成される。
【0181】
実施形態C4では、システムは、任意のC実施形態によるシステムを含み、所定の医師制限パラメータ領域は、治療投与量、投与頻度、または経時的な累積治療投与量のうちの少なくとも1つに基づく。
【0182】
実施形態D1では、治療最適化システムは、患者データを提供するように構成されたセンサーシステムおよび治療レジメンに基づいて治療を施すように構成された治療送達システムに動作可能に結合可能な、データ通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、医師ベースの治療レジメンを受信するように構成される。治療最適化システムはまた、医師ベースの治療レジメンを表すデータを記憶するように構成されたメモリと、データ通信インターフェースおよびメモリに動作可能に結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、現在の治療レジメンに従って治療を施した後、患者の安定を表す安定領域内に1つ以上のリスクスコアがあるかどうかを決定することと、安定領域内にある1つ以上のリスクスコアに応じて、現在の治療レジメンと医師ベースの治療レジメンとの違いに基づいて治療スコアを決定することと、治療スコアに基づいて更新された治療レジメンを決定することと、更新された治療レジメンを治療送達システムに提供することと、を行うように構成される。
【0183】
実施形態D2では、システムは、任意のD実施形態によるシステムを含み、治療スコアに基づいて更新された治療レジメンは、リスクスコア、治療スコア、または症状スコアのうちの少なくとも1つを最小化することに基づいて、患者スコアを最小化するように構成される。
【0184】
実施形態D3では、システムは、任意のD実施形態によるシステムを含み、治療スコアに基づいて更新された治療レジメンは、以前の治療レジメンで使用された1つ以上の治療の滴定を含む。
【0185】
実施形態D4では、システムは、任意のD実施形態によるシステムを含み、プロセッサは、1つ以上のリスクスコアが、不安定な患者を表す不安定領域内にあることに応答して、この1つ以上のリスクスコアに基づいて更新された治療レジメンを決定するようにさらに構成される。
【0186】
実施形態E1では、本開示は、複数のレセプタクルを含む治療送達システムを含む。各レセプタクルは、異なる薬物または異なる1回分の薬物を保持するためのものである。治療送達システムは、1つ以上のカートリッジも備える。各カートリッジは、異なる薬物を含むためのものである。各カートリッジは、それぞれのレセプタクルに装填するための異なる薬物または異なる1回分の薬物に関連付けられた、異なる薬物識別子を含む。治療送達システムは、1つ以上のカートリッジの各薬物識別子を検出し、更新された治療レジメンに応じて特定の薬物識別子に関連付けられた新しいカートリッジを配達するための要求を、データ通信インターフェースを介して送信するように構成されたコントローラを、さらに備える。
【0187】
実施形態E2では、システムは、任意のE実施形態によるシステムを含み、コントローラは、データ通信インターフェースを使用してインターネットを介して遠隔送達システムに要求を配信するようにさらに構成される。
【0188】
実施形態E3では、システムは、任意のE実施形態によるシステムを含み、各カートリッジに関連付いた薬物識別子および特定のレセプタクルを検出するようにさらに構成されたデータ通信インターフェースをさらに備え、ここで、各カートリッジは、新しいカートリッジがレセプタクルのいずれかに配置することができるように保持される。
【0189】
実施形態E4では、システムは、任意のE実施形態によるシステムを含み、コントローラは、1つ以上のカートリッジのそれぞれの中の薬物を、複数のレセプタクルのそれぞれのレセプタクルに装填するようにさらに構成される。
【0190】
実施形態E5では、システムは、任意のE実施形態によるシステムを含み、各薬物識別子は、RFIDタグ、光学エンコーダ、または電気エンコーダを含む。
【0191】
このように、適応治療管理システムの様々な実施形態が開示されている。本明細書に開示された様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示された組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われてもよく、追加、併合、または完全に省略されてもよい(例えば、すべての記載された行為または事象は、本技法を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。加えて、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして説明されているが、本開示の技法は、例えば、医療デバイスに関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0192】
1つ以上の実施例では、説明される技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0193】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行されることができる。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、または説明された技法の実装に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、技法は、1つ以上の回路または論理要素で完全に実装されてもよい。
【0194】
本明細書で引用されるすべての参考文献および刊行物は、任意の態様が本開示と直接矛盾する場合を除いて、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0195】
本明細書において使用されるすべての科学的および技術的用語は、別段の定めがないかぎり、当技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書において提供される定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0196】
「結合された」または「接続された」という用語は、直接に(互いに直接接触して)または間接的に(2つの要素の間にそれらの2つの要素を取り付ける1つ以上の要素を有して)互いに取り付けられた要素をいう。いずれの用語も、「動作的に」かつ「動作可能に」よって修正されてもよく、これらは、その結合または接続が、機能性を達成するために構成要素が相互作用することを可能にするように構成されていることを説明するために互換的に使用されてもよい。
【0197】
本明細書で使用される場合、「構成されている」という用語は、本開示の内容が明確に別段の指示しない限り、「適合されている」または「構造化されている」という用語と互換的に使用されてもよい。
【0198】
単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0199】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、それらの制限のない意味で使用されており、一般的に、「含むが、これらに限定されない」を意味する。「から基本的になる」、「からなる」などは、「含む」などに含まれることが理解されよう。
【0200】
「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、または「いくつかの実施形態」などへの言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構成、組成物、または特性が、開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、全体を通して様々な場所でのそのような表現の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構成、組成物、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【国際調査報告】