(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】DINレールのための加熱要素
(51)【国際特許分類】
H05B 3/06 20060101AFI20220629BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20220629BHJP
H02B 1/04 20060101ALN20220629BHJP
H02B 1/28 20060101ALN20220629BHJP
【FI】
H05B3/06 A
H05B3/20 351
H02B1/04 E
H02B1/28 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564796
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2020062560
(87)【国際公開番号】W WO2020225293
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475750
【氏名又は名称】スウェレール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ホルガーソン,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】グリヴァンス,フレデリック
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
5G016
【Fターム(参考)】
3K034AA07
3K034AA15
3K034BA13
3K034JA09
3K092PP20
3K092QA03
3K092QB26
3K092RF02
3K092TT06
3K092VV23
5G016CD08
5G016CG33
(57)【要約】
本開示は、DINレール(1)に取り付けられた電気装置を加熱するための、加熱要素(5)に関する。加熱要素(5)は、電気絶縁材料で作られた細長い可撓性シート(11)と、可撓性シート(11)の上面(11a)に配された正温度係数塗料(12)を含んだ層と、を備える。加熱要素(5)をDINレールに取り付ける方法が提供される。この方法は、可撓性シート(11)を、逆U型が可撓性シートの長さに沿って形成されるよう曲げること、及び加熱要素(5)を、この曲げた可撓性シートが曲げのバネ力によって所定の位置にとどまるよう、DINレール(1)の溝の中に挿入すること、を含む。DINレールを加熱するための加熱要素の使用も、提供される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DINレール(1)に取り付けられた電気装置を加熱するための、加熱要素(5)であって、電気絶縁材料で作られた細長い可撓性シート(11)と、前記可撓性シート(11)の上面(11a)に配された正温度係数塗料(12)を含んだ層と、を備えることを特徴とする、加熱要素(5)。
【請求項2】
前記正温度係数塗料(12)は、前記可撓性シートの実質的に全長にわたって配される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項3】
前記正温度係数塗料(12)は、前記可撓性シート(11)の少なくとも2mm幅にわたり、かつ前記可撓性シート(11)の中央部分に配される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項4】
前記正温度係数塗料は、前記可撓性シート(11)の幅の少なくとも75%にわたり、かつ前記可撓性シート(11)の中央部分に配される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項5】
前記正温度係数塗料は、前記可撓性シート(11)の前記上面(11a)における複数の別個の位置に配される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項6】
前記電気絶縁材料は、ポリエステルまたはプラスチックなどの誘電材料で構成される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項7】
前記可撓性シート(11)は、前記可撓性シート(11)の各側部に沿った1つの縁部(13)を備え、2つの細長い前記側部の前記縁部は、前記上面(11a)の側部において曲線状になっている、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項8】
前記可撓性シート(11)の長さ及び幅は、前記可撓性シートがその長さに沿って逆U型に曲げられたときに、前記可撓性シートがDINレール(1)の溝の中に適合するよう適応される、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項9】
前記正温度係数塗料(12)に接続して配置された、前記正温度係数塗料(12)に電力を供給するための配線(8)を備える、請求項1に記載の加熱要素(5)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の加熱要素(5)を、DINレールに取り付ける方法であって、
逆U型が、可撓性シートの長さに沿って形成されるように、前記可撓性シート(11)を曲げることと、
曲げた前記可撓性シートが、曲げのバネ力によって所定の位置のとどまるよう、前記加熱要素(5)を前記DINレール(1)の溝の中に挿入することと、
を含む、方法。
【請求項11】
DINレールを加熱するための、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の加熱要素の使用であって、前記加熱要素は、可撓性シート(11)をその長さに沿って逆U型に曲げること、及び曲げた前記可撓性シート(11)が曲げのバネ力によって所定の位置にとどまるよう、前記可撓性シート(11)をDINレール(1)の溝の中に配置すること、によってDINレールに取り付けられる、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DINレールを加熱するための加熱要素、この加熱要素を取り付けるための方法、及びDINレールを伴う加熱要素の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
DINレールは、回路遮断器及び制御装置をラックに取り付けるために使用される。それらは、一般に冷延炭素鋼板から作られ、亜鉛メッキまたはクロメート処理をした明るい表面仕上げを有する場合がある。DINレールは、回路遮断器及び制御装置の、機械的支持のためのものである。
【0003】
3つの主なDINレールのタイプが存在する。トップハットレール、C型レール、及びG型レールである。これらのタイプ内で、多くの変形が存在し、そのいくつかは以下のとおりである。
-トップハットレールIEC/EN60715-35×7.5。これは米国において、TS35レールとして知られている。
-トップハットレールIEC/EN60715-35×15。これも米国において、TS35レールとして知られている。
-5mm×7.5mmトップハットレール(EN50022、BS5584、DIN46277-3)
-ミニチュアトップハットレール、15mm×5.5mm(EN50045、BS6273、DIN46277-2)
-75mm幅のトップハットレール(EN50023、BS5585)
-C20(末尾の数字は、レールの垂直全高に相当する。例えばAS2756.1997(C3))
-C30
-C40
-C50
-EN50035(米国ではG32)、BS5825、DIN46277-1
【0004】
DINレールは、好適な表面に定着されることになる細長くて平坦な裏部分を伴う、全体が細長いレールである。それらは、電気装置を取り付けるための、細長くて平坦な裏部分の上側及び下側において、2つの突出部も有する。これら突出部は、異なるタイプによって異なる形状及び寸法を有する。DINレールの異なる断面は、
図1~
図3に例示される。
図1はトップハットレールを、
図2はC型レールを、及び
図3はG型レールを示す。
【0005】
ラックキャビネットの課題、特に屋外に位置されたものの課題は、キャビネットの温度変化である。回路遮断器は、所定のアンペアを超過すると回路への電流を遮断するよう設計される。キャビネットの温度が非常に低下した場合、回路遮断器は、指定されたよりも高い負荷、すなわちより高いアンペア数で、機能停止し、かつ電流を遮断する。
【0006】
別の課題は、寒い環境に位置されたシステムは、しばしば結露を溜め、それが電子要素を損傷させる場合があることである。
【0007】
上記のための解決策は、キャビネット内を所望の温度に維持することができるよう、キャビネットの内側に、温度制御器を伴う電気ヒータを置くことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を少なくとも部分的に克服すること、及び電気装置の良好な作動温度を維持し、キャビネット内の電気装置周りの結露を回避するために、改善した方法を提供すること、ならびにエネルギーを節約すること、である。
【0009】
本開示は、DINレールを加熱するための加熱要素、この加熱要素をDINレールに取り付けるための方法、及びDINレールを伴う加熱要素の使用、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に定義された加熱要素、請求項10に定義された取付方法、及び請求項11に定義された加熱要素の使用、によって実現される。
【0011】
本開示のいくつかの態様によると、DINレールに取り付けられた電気装置を加熱するための、加熱要素を提供する。この加熱要素は、電気絶縁材料で作られた細長い可撓性シートと、この可撓性シートの上面に配された正温度係数すなわちPTC塗料と、を備える。この加熱要素は、DINレールに取り付けられた電気装置を加熱するために使用され、これはDINレール自体も加熱する。電気装置を加熱することによって、かつ電気装置に近い加熱要素を有することによって、結露及び回路遮断器の機能不全を避けるために、ラックキャビネット全体を加熱する必要はない。換言すると、回路遮断器は加熱要素によって加熱されるので、キャビネットを加熱する必要がなく、エネルギーは節約される。正温度係数塗料が使用されるため、PTC塗料の自己制限の性質により、温度を制御するためのいかなる追加の回路も必要としない。
【0012】
PTC塗料を備えた層が可撓性シートの上面に配されるという特徴は、上面に直接配されたPTC塗料層、ならびに、接着剤または絶縁材料などの他材料による1層または複数層を間に伴う、上面に配されたPTC塗料層、を含むことに留意されたい。換言すると、上面に配されたPTC塗料層は、上面に直接配するか、またはそれらの間に1層もしくは複数層を伴って配することができる。
【0013】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料は、可撓性シートの実質的に全長にわたって配される。したがって可撓性シートは、その全長にわたって電気装置を加熱することができる。
【0014】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料は、可撓性シートの少なくとも2mm幅にわたり、かつ可撓性シートの中央部分に配される。加熱要素は、その上面を電気装置に向けて位置されることになる。可撓性シートの中央部分、かつその延長に沿って配置された正温度係数塗料は、DINレールに取り付けられることになる電気装置に、良好な加熱をもたらすことになる。
【0015】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料は、可撓性シートの幅の少なくとも75%にわたり、かつ可撓性シートの中央部分に配される。塗料によってどれくらい上面が被覆されるかは、どの程度の熱を実現したいかに依拠し、それはユーザ及び地域の様々なタイプによって異なり得る。
【0016】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料は、可撓性シートの上面における複数の別個の位置に配される。これは、加熱要素にわたって、より均一な温度となる利点を有し得る。なぜなら、より小さいいくつかの箇所の正温度係数塗料は、大きい箇所を加熱するよりも容易であるためである。小さいドットの正温度係数塗料は、大きい領域の塗料よりも、均一の電流を実現するために容易である。
【0017】
いくつかの態様によると、電気絶縁材料は、ポリエステルまたはプラスチックなどの誘電材料で構成される。ポリエステル及びプラスチックは、両方とも安価な材料であり、取り扱い及び形状付けるのが容易である。
【0018】
いくつかの態様によると、可撓性シートは、その各側部に沿った1つの縁部を備える。これら2つの細長い側部の縁部は、上面の側部において曲線状となっている。曲線状になった縁部は、加熱要素が、突出部と平坦な裏部分との間が曲線状となったDINレールに良好に適合するように成される。
【0019】
いくつかの態様によると、可撓性シートの長さ及び幅は、可撓性シートがその長さに沿って逆U型に曲げられたときに、可撓性シートがDINレールの溝の中に適合するよう、適応される。
【0020】
いくつかの態様によると、加熱要素は、正温度係数塗料に接続して配置された、正温度係数塗料に電力を供給するための配線を備える。
【0021】
本開示のいくつかの態様によると、上記による加熱要素をDINレールに取り付けるための方法が提供され、この方法は、可撓性シートを、逆U型が可撓性シートの長さに沿って形成されるよう曲げること、及び加熱要素を、この曲げた可撓性シートが曲げによるバネ力によって所定の位置にとどまるよう、DINレールの溝の中に挿入すること、を含む。
【0022】
本開示のいくつかの態様によると、DINレールを加熱するための、上記による加熱要素の使用を提供する。ここで加熱要素は、可撓性シートをその長さに沿って逆U型に曲げること、及びこの曲げたシートが曲げによるバネ力によって所定の位置にとどまるよう、DINレールの溝の中に配置することによって、DINレールに取り付けられる。
【0023】
本開示の代替の実施形態によると、電気装置を取り付けるためのDINレールを備える。このDINレールは、裏側及び表側を伴う細長い支持セクションを備える。この表側は、電気装置を定着させるための、その両側に沿った2つの細長い取付フランジと、それらの間の細長い溝と、を備える。DINレールは、支持セクションに直接接触して配置された、少なくとも1つの加熱要素を備え、この少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも1つの正温度係数すなわちPTCヒータを備える。DINレールに取り付けられた電気装置は、ヒータ及びDINレールの熱放射、ならびにDINレールを介した熱伝導の両方によって、加熱されることになる。DINレールを加熱することによって、かつ電気装置に近い加熱要素を有することによって、結露及び回路遮断器の機能不全を避けるために、ラックキャビネット全体を加熱する必要はない。換言すると、回路遮断器は加熱されたDINレールによって加熱されるので、キャビネットを加熱する必要がなく、そのためエネルギーは節約される。PTCヒータが使用されるため、PTCヒータの自己制限の性質により、温度を制御するためのいかなる追加の回路も必要としない。
【0024】
代替の実施形態の異なる態様を、以下で説明する。
【0025】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素が溝に配置される。溝に位置付けられたとき、加熱要素は、取付フランジ及び支持セクションによって物理的に防護される。
【0026】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも1つの正温度係数ヒータを取り囲む材料を備える。この材料はシリコーンで構成され、溝の中に適合し、かつ取付フランジによって溝に保持されるような外形を有する。シリコーンは可撓性材料であり、そのため加熱要素を押し込むことによって溝に据えるのを可能にする。シリコーンは、加熱要素を所定の位置に保持するために、縁部において僅かに変形することになる。これは、加熱要素を定着させるために非常に効率的である。
【0027】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも1つの弾性要素によって溝の支持セクションに定着される。この少なくとも1つの弾性要素は、2つの対向するフランジの間で締め付けられ、それによって少なくとも1つの加熱要素を、溝の所定の位置に保持する。弾性要素を使用することによって、加熱要素は即座に溝に装着され得る。これは、加熱要素を固定するための、安価で迅速な方法でもある。
【0028】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、接着剤によって支持セクションに定着される。非常に強力な接着剤が存在する。接着剤は、加熱要素を支持セクションに接着されるための、迅速で安価な方法である。接着剤及び弾性要素の両方を、加熱要素の定着のために使用することは、DINレールの大量生産において効率的に用いられ得る。
【0029】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも1つの正温度係数ヒータに電力を供給するための配線を備え、この配線は溝に配置される。この利点は、配線が、取付フランジによって溝の中で物理的に防護されることである。したがってこの配線は、物理的損傷から、及び取り扱い中に何かに引っ掛かることから防護される。別の利点は、視覚的に目立たないよう配線を溝の中に隠すために、視覚的に好ましいことである。
【0030】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、支持セクションの裏側に装着される。Dinレールの大量生産を簡略化するために、加熱要素は支持セクションの裏側に装着され得る。これも、DINレールの使用される規格のタイプに依拠して、有利となり得る。いくつかの規格のために、加熱要素は、溝に位置されたときに、電気装置を取り付ける邪魔となり得る。このような場合、加熱要素を裏側に配置することは有利である。
【0031】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、支持セクションの材料に埋め込まれる。これは、特に加熱要素及び/または配線を周囲から防護する必要がある厳しい環境において、有利である。これは非常に安全な代替とも成り得る。なぜならDINレールのユーザは、加熱要素またはその配線にアクセスできないことになるからである。
【0032】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、細長い支持セクションに沿って互いから離隔して配置された、複数の加熱要素を備える。DINレールは様々な長さであり、それらは通常、例えばネジなどを使用して表面に定着させるために、支持セクションに規則的な間隔の穴を有する。それによって加熱要素は、レールを定着させるために穴がアクセス可能となるよう、加熱要素間で距離を取って配分され得る。
【0033】
いくつかの態様によると、複数の加熱要素は、細長い支持セクションの長さに沿って均等に配分される。加熱要素が均等に配分されることは、生産上有利となり得る。なぜならそれは、距離の再設定がなく、加熱要素間の規則的な間隔を伴って視覚的にも好ましくなり得るからである。
【0034】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素の各々は、加熱要素に配分された複数の正温度係数ヒータを備える。PTC要素は、様々なサイズ及び形状で生産することができ、そのため各加熱要素は、1つまたはいくつかのPTCヒータ6を備え得る。生産を簡略化するために、加熱要素ごとに1つのPTCヒータが有利と成り得るが、2つ以上のPTCヒータは、より均等な熱の広がりを与え得る。
【0035】
いくつかの態様によると、正温度係数ヒータは、加熱要素の長さに沿って均等に配分される。これによる利点は、加熱要素における均等な熱の配分である。
【0036】
いくつかの態様によると、正温度係数ヒータは、加熱要素の長さに沿って配置された2枚の鋼板の間に配置され、正温度係数ヒータ及び鋼板は、電気絶縁材料に埋め込まれる。
【0037】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、30~45℃の最大表面温度であり、好ましくは最大温度は40℃である。この温度は、DINレールに取り付けられた電気装置の良好な作動温度を保証する。電子装置は通常、室温または室温よりも僅かに高い温度において、最良に機能するよう作られる。30~45℃の表面温度は、電気装置のために最適な作動条件を提供することになる。
【0038】
本開示の実施形態によると、取り付けられた電気装置を加熱するため、任意の上記の特徴に従ったDINレールの使用を備える。
【0039】
本開示の実施形態によると、任意の上記の代替における特徴に従ったDINレールシステムを備える。このシステムは、DINレールに取り付けられ、かつ少なくとも1つの加熱要素に電気接続された、回路遮断器を備える。DINレールに既に装着されている、少なくとも1つの加熱要素のための回路遮断器を伴い、DINレールシステムは、電気装置のための最適な作動条件をもたらす、DINレールを使用するための準備を提供する。したがってDINレールシステムは、表面に取り付けるのが容易であり、回路遮断器に電気を接続する。
【0040】
いくつかの態様によると、回路遮断器は、小型回路遮断器すなわちMCBである。
【0041】
次に本発明を、添付の図面を参照して、本発明の様々な実施形態を記載することによって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図4】細長いシートを備えた加熱要素を示す図である。
【
図5】逆U型に曲げられた加熱要素を、側部から示す図である。
【
図6】加熱要素を溝に配置した、DINレールを示す図である。
【
図7A】DINレールがG型レールである、
図7と同じものを示す図である。
【
図8】DINレールの溝に配置され、このDINレールに取り付けられた電気装置の部品を伴う、加熱要素を示す図である。
【
図10】プリント配線及びPTC塗料を伴う、可撓性絶縁材料を示す図である。
【
図11】PTC塗料のパッチ、配線、及びカプセル化を示す、
図10の一部の断面図である。
【
図12】溝に配置された加熱要素を備えたDINレールの例を、上から見た図である。
【
図15】加熱要素が溝の中に嵌め込まれた、DINレールの例の断面図である。
【
図17】埋め込まれた加熱要素を伴う、DINレールの例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の態様を、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明する。しかし、本明細書で開示するデバイスは、多くの異なる形態で実現できるので、本明細書に記載された態様に限定するものと解釈するべきではない。図における同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0044】
本明細書で使用される技術用語は、本開示の特定の態様を説明する目的のみのためのものであり、本発明を限定することは意図されない。本明細書で使用される単数形「1つの(a、an)」、及び「その(the)」は、文脈で別様に明白に示さない限り、複数形を同様に含むよう意図される。
【0045】
別様に定義しない限り、本明細書で使用される全ての用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと、同じ意味を有する。
【0046】
「背景技術」で説明したように、DINレール1の異なる断面が、
図1~
図3に例示される。
図1はトップハットレールを、
図2はC型レールを、及び
図3はG型レールを例示する。DINレール1は、一般に冷延炭素鋼板から作られ、亜鉛メッキまたはクロメート処理をした明るい表面仕上げを伴う。金属であっても、それらは機械的支持のみを意味し、それらが接地接続シャーシを提供し得るとしても、電流を伝えるバスバーとして使用されない。
【0047】
2つの代替の解決策が、本明細書で提示されることに留意されたい。1つは
図4~
図9に関連し、1つは
図10~
図16に関連する。多くの態様が、両方の代替に適用可能であることに留意されたい。
【0048】
図4は、細長いシート11を備えた加熱要素5を示す。本開示のいくつかの態様によると、DINレール1に取り付けられた電気装置を加熱するための、加熱要素5を提供する。加熱要素5は、電気絶縁材料で作られた細長い可撓性シート11と、可撓性シート11の上面11aに配された正温度係数塗料12とを備える。正温度係数塗料12は、例えばシリコーン、または炭素とブレンドされたポリマーを含む。PTC塗料は、いくつかの製造者から入手可能であり、その特定の内容物は、本明細書では開示されない。電気装置の例を、
図8及び
図9で確認することができ、そこでは回路遮断器として例示される。電気装置は、例えば回路遮断器、生産制御装置などであり、DINレール1に取り付けられるよう適応される。
【0049】
図1~
図3で確認できるように、DINレール1は、裏側及び表側を伴う細長い支持セクション2を備える。この表側は、電気装置を定着させるための、その両側に沿った2つの細長い取付フランジ3と、それらの間の細長い溝4と、を備える。換言すると、DINレール1は、支持セクション2の両側に沿って縦方向に延びた、第1及び第2の取付フランジ3を有する。様々なDINレールの規格の例において、これらの特徴は全ての規格で共通である。
【0050】
細長い可撓性シートは、細長い形状に沿って中心線の周りに僅かな曲げを有し得る。加熱要素5は、DINレールの溝4の中に挿入される。挿入されたとき、加熱要素5は
図5に示されるように逆U型を有することになる。加熱要素5の上面11aは、加熱要素がDINレールに取り付けられたとき、上方を向きDINレールの反対側に配置される。
図5は、逆U型に曲げられた加熱要素を側部から示す。ユーザのために、加熱要素の挿入を容易にするよう、この形状に向けて僅かに予め曲げてよい。細長い可撓性シートは、DINレールの中に挿入されたときに、U型の両脚部がDINレールに対して押圧し、かつ加熱要素5をDINレールの所定の位置に保持するような形状を有する。細長い可撓性シートは、DINレールに配置されたときに、U型の両脚部がDINレールに対して押圧し、かつ加熱要素5をDINレールの所定の位置に保持するよう、可撓性である。可撓性シートは、DINレールに押し込まれたときに、U型の両脚部が互いに向けて押圧される限り、
図5に示される角度よりも鋭角に、予め曲げてよいことに留意されたい。
【0051】
加熱要素5は、DINレール1に取り付けられた電気装置を加熱するために使用され、これはDINレール自体も加熱する。電気装置を加熱することによって、かつ電気装置に近い加熱要素を有することによって、結露及び回路遮断器の機能不全を避けるために、ラックキャビネット全体を加熱する必要はない。換言すると、回路遮断器はヒータによって加熱されるので、キャビネットを加熱する必要がなく、エネルギーは節約される。正温度係数塗料が使用されるため、PTC塗料の自己制限の性質により、温度を制御するためのいかなる追加の回路も必要としない。
【0052】
正温度係数塗料12すなわちPTC塗料12を使用する利点は、所望の加熱を保つために、熱をオン及びオフにする温度センサが必要ないことである。PTC塗料12は、抵抗ヒータであり、PTC塗料12が特定の温度に到達したとき、抵抗値は増加し、それ以上加熱されない。換言すると、PTC材料は、最大温度に到達するよう設計される。なぜなら、規定の温度において、いかなる追加の温度上昇も、より大きい電気抵抗を受けるからである。したがってPTC材料は、加熱要素5が過熱する危険のないよう、本質的に温度を自己制限する。PTC材料は、材料の抵抗値が急速に増加する温度よりも、熱くならない。したがって、PTC材料が、その温度のために製造された温度よりも熱くなることは不可能である。
【0053】
PTC塗料12は、規定の最大温度を有するよう製造される。したがってPTC塗料12は、最大温度を何度にするかを設計するうえで、事前に選択される。
【0054】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料12は、可撓性シートの実質的に全長にわたって配される。したがって可撓性シートは、その全長にわたって電気装置を加熱することができる。PTC塗料12が、全長にわたって配されるか否かは、設計者次第である。PTC塗料は、加熱要素5の加熱部分であるが、PTC塗料12のない加熱要素の部分が存在するかは問題ではない。なぜなら、そのときその部分は単純に何も加熱しないことになるからである。加熱に関して、最も効率的な加熱要素は、全長にわたるPTC塗料を伴う加熱要素5である。
【0055】
いくつかの態様によると、正温度係数塗料12は、可撓性シート11の少なくとも2mm幅にわたり、かつ可撓性シート11の中央部分に配される。PTC塗料は、その上面を電気装置に向けて位置されることになる。PTC塗料を、可撓性シートの中央部分、かつその延長に沿って配置すると、DINレールに取り付けられることになる電気装置に、良好な加熱をもたらすことになる。中央部分は、可撓性シートの上面の部分を意味し、それは幅に関して可撓性シートの中央であり、可撓性シートの全長に延びる。
図7Aに関して以下で説明する例において、PTC塗料が、取付フランジの間に突出した加熱要素の部分となるよう、PTC塗料は中央部分から僅かにずらされる。いかにしてPTC塗料12を可撓性シート11上に配置できるかについては、多くの代替が存在する。高い最大温度を伴うPTC塗料は、上面の狭い部分に配されると、PTC塗料が上面11a上のより広い部分に配されるのと同じ熱の量を電気装置に与え得る。PTC塗料の厚さも、電気装置が受ける熱に影響する。必要な温度は、加熱要素が使用されることになる環境に依拠するために、PTC塗料の幅及び厚さは、使用によって変化され得る。いくつかの態様によると、正温度係数塗料は、可撓性シート11の少なくとも7mmまたは10mm幅にわたり、かつ可撓性シート11の中央部分に配される。さらに、塗料によってどれくらい上面が被覆されるかは、どの程度の熱を実現したいかに依拠し、それは使用及び地域の様々なタイプによって異なり得る。PTC塗料の幅も、選択したPTC塗料の効率に依拠し得る。いくつかのPTC塗料は、他よりも効率的である。いくつかの態様によると、正温度係数塗料12は、可撓性シート11の幅の少なくとも50%または75%にわたり、かつ可撓性シート11の中央部分に配される。
【0056】
いくつかの態様によると、PTC塗料12は、可撓性シート11の上面における複数の別個の位置に配される。これは、加熱要素にわたって、より均一な温度となる利点を有し得る。なぜなら、より小さい箇所の正温度係数塗料のスポットは、1つの大きい箇所を加熱するよりも容易であるためである。より小さいドットの正温度係数塗料に、均一の電流を実現することは、より大きい1つの領域の塗料に実現するよりも容易である。
【0057】
PTC塗料は、可撓性シート11の面に直接配置する必要はないことに留意されたい。例えばプラスチックの層、または他の可撓性で絶縁材料が間に存在し得る。いくつかの態様によると、PTC塗料は、例えば接着によって、またはテープなどによって、可撓性基体11の上に載せられた可撓性の絶縁材料の上に適用される。いくつかの態様によると、PTC塗料、及び電力供給のための配線は、可撓性の絶縁材料の中にカプセル化され、ユニットを形成して、それは次に可撓性シート11に装着される。
【0058】
PTC塗料の厚さは、いくつかの態様によると、0.1~2mmである。好ましくは厚さは、0.1~1mmである。
【0059】
いくつかの態様によると、電気絶縁材料は、ポリエステルまたはプラスチックなど、誘電材料で構成される。ポリエステル及びプラスチックは、両方とも安価な材料であり、取り扱い及び形状付けるのが容易である。電気絶縁材料は非導電性材料である。
【0060】
いくつかのDINレールは、より曲線状を有しており、他よりも表側と取付フランジとが近付いている。このような差を順応させ、それによって加熱要素が良好な適合で異なる形状のDINレールに取り付けられるよう、可撓シートは曲線状の縁部を有し得る。いくつかの態様によると、可撓性シート11は、その各側に沿った1つの縁部13を備える。これら2つの細長い側部の縁部は、上面11aの側において曲線状となっている。いくつかの態様によると、この曲線は、可撓性シートの径と同じ半径を有する。この半径は、径よりも小さくてもよい。この半径は、DINレールの異なる規格に良好に適合するよう、異なるように選択され得る。
【0061】
図6は、加熱要素が溝に配置された、DINレールを示す。
図7は、
図6と同じものを側部から見た図である。
図7Aは、DINレールがG型レールである、
図7と同じものを示す。
図7Aで確認できるように、加熱要素は、異なる規格のDINレールにも使用され得る。いくつかの態様によると、可撓性シート11の長さ及び幅は、可撓性シートがその長さに沿って逆U型に曲げられたときに、可撓性シートがDINレール1の溝の中に適合するよう、適応される。多くの異なるDINレールの規格が存在するため、幅は、DINレールの上述に従って配置することができるよう、適合されるべきものよりも近いものを特定できない。したがって幅は、どのDINレールをユーザが使用するかが判ったときに判断される。長さも、使用するDINレールの長さに依拠して変化され得る。加熱要素は、DINレールの取付フランジの上方に突出し得ることに、留意されたい。僅かに突出する場合、PTC塗料は、加熱する電気装置により近付くことになり、それは有利となり得る。しかし、加熱要素は、DINレールに新しい電気装置を取り付ける邪魔となってはならない。
【0062】
図8は、DINレールの溝に配置され、このDINレールに取り付けられた電気装置14の部品を伴う、加熱要素を示す。
図9は、
図8の配置の分解組立図である。図面で確認できるように、加熱要素5は、DINレール1の溝4において、電気装置14の下に配置される。図面において、可撓性シートの上側は電気装置14に当接するが、これは必須ではなく見込みである。
【0063】
図5、
図6、及び
図7において、PTC塗料12に電力を供給するための配線8の例が示される。いくつかの態様によると、加熱要素は、正温度係数塗料12に接続して配置された、正温度係数塗料12に電力を供給するための配線8を備える。
【0064】
PTC塗料12が可撓シート11の上面において複数の別個の位置に配された場合、PTC塗料の各ドットもしくはスポットまたはパッチは、配線8と接続される。いくつかの態様によると、PTC塗料は、
図10及び
図11に示されるように、配線8と共に可撓性絶縁材料15の上に適用され、次に可撓性絶縁材料15に被覆されて、PTC塗料及び配線のために可撓性の絶縁ハウジングを実現する。カプセル化されたPTC塗料及び配線は、次に可撓性基体11の上に載せられる。PTC塗料及び配線は、例えば可撓性シート11または可撓性絶縁材料15の上にプリントされる。
【0065】
図10及び
図11において、プリント配線8及びPTC塗料12を伴う、可撓性絶縁材料15が示される。
図10は、プリント配線8及びPTC塗料12を伴う、可撓性絶縁材料15を示し、
図11は、PTC塗料12、配線8、及びカプセル化15を示す、
図10の一部の断面を示す。これらの例において、PTC塗料12は、可撓性シート11の上面における複数の別個の位置に配される。示される例において、PTC塗料は、PTC塗料パターンの型に配置される。
【0066】
図10で確認できるように、配線8は、電流が各PTC塗料パッチを流れ抜けるよう、各PTC塗料パッチ12が一方の側でプラス+に、他方の側でマイナス-に接続されるような、格子設計を有する。電力源に接続される端子16の例も示される。
図11において、層が断面で示される。可撓性絶縁材料15は、ここでは第1のプリントにおける2層の銀に使用され、この銀は配線8であり、次にPTC塗料12の層である。1層の銀または3層以上の銀も代替とされる。銀及びPTC塗料は次に、この例においては、2層の可撓性絶縁材料15によってカプセル化される。例えば2つの上層における可撓性絶縁材料15は、電気絶縁の可撓性プラスチックである。第1の層における可撓性絶縁材料15、すなわち基層は、例えばマイラーポリエステルである。可撓性絶縁材料の基層及び上層は、同じ材料で構成され得る。可撓性絶縁材料15によって形成されたカプセル化は、湿気が配線に接触しないことも保証し得る。配線8は、銀以外の材料で構成され得る。
【0067】
図10及び
図11に示される設計の例は、可撓性シート5に配置され、加熱要素1を形成する。代替で、PTC塗料12及び配線8は、可撓性シート5に直接プリントされ、次に可撓性絶縁材料15によってカプセル化させる。示された例は、全ての説明した可撓性シート5の変形を伴って機能する。
【0068】
加熱要素は、電力源にプラグで差し込むことができる端子16において、例えばリベット接点によって電力を供給される。これら接点は、プラスチックハウジングをこれら接点の上に使用して、例えばリベット留めされる。
【0069】
本開示は、上記の態様における任意の1つによる加熱要素5を、DINレールに取り付けるための方法も提供する。この方法は、可撓性シート11を、逆U型が可撓性シートの長さに沿って形成されるよう曲げること、及び加熱要素5を、この曲げた可撓性シートが曲げによるバネ力によって所定の位置にとどまるよう、DINレール1の溝4の中に挿入すること、を含む。換言すると、加熱要素5は、その長さに沿って曲げられ、それによって加熱要素5をDINレール1の溝4の中に押し込むことができる。挿入されると、可撓性シートにおける可撓材料の弾性は、加熱要素5を所定の位置に保持することになる。そのため可撓性シート11は弾性である。
【0070】
可撓性シートの長さに沿って逆U型が形成されるよう、可撓性シート11を曲げることは、逆U型のUの下側である上面におけるPTC塗料を伴って成され、それによって、加熱要素がDINレールの溝4の中に挿入されたとき、PTC塗料は、DINレールの反対側に面した側の加熱要素に配置される。
【0071】
本開示は、DINレールを加熱するために、上記の態様における任意の1つによる加熱要素の使用も提供する。ここで加熱要素は、可撓性シート11をその長さに沿って逆U型に曲げること、及びこの曲げた可撓性シート11が曲げのバネ力によって所定の位置にとどまるよう、DINレール1の溝の中に配置すること、によって、DINレールに取り付けられる。さらにここでは、上面11aは、DINレールの反対側に面する側の加熱要素にある。
【0072】
PTC塗料12の層が、
図4に示されていることに留意されたい。
図5~
図9において、PTC塗料12はやはりそこに存在するが、図示されない。PTC塗料12は、電気装置14がDINレールに取り付けられたときには、常に電気装置14に面する側の加熱要素5に配置される。
【0073】
加熱要素5の安全な機能性を保証するために、加熱要素5は、過負荷または短絡から防護するよう、回路遮断器に接続され得る。本開示の実施形態によると、裏側及び表側を伴う細長い支持セクション2を含むDINレール1を備えた、DINレールシステムを備える。この表側は、電気装置14を定着させるための、その両側に沿った2つの細長い取付フランジ3と、それらの間の細長い溝4と、を備える。上記の態様における任意の1つによる加熱要素5は、上面11aがDINレールの反対側に面するよう、逆U型でDINレールの溝4に配置される。Dinレールシステムは、DINレール1に取り付けられ、かつ加熱要素5に電気接続された、回路遮断器を備える。DINレール1に装着されている、加熱要素5のための回路遮断器を伴い、DINレールシステムは、電気装置のための最適な作動条件をもたらす、DINレール1を使用するための準備を提供する。そのためDINレールシステムは、表面に取り付けるのが容易であり、電気を回路遮断器に接続する。DINレールシステムのDINレール1は、当然ながら、任意の上述の態様に従うことができる。なぜなら上記の全ては回路遮断器と組み合わせ可能だからである。回路遮断器は、DINレール1の突出部/取付フランジに定着されるよう設計される。いくつかの態様によると、回路遮断器は、小型回路遮断器すなわちMCBであるが、MCCBすなわち配線用遮断器としてもよい。1つの回路遮断器を、同じラックのいくつかのDINレールそれぞれに配置された、いくつかの加熱要素にも接続し得る。
【0074】
DINレールの1つの長さが、上記による1つまたは複数の加熱要素を用いて加熱され得ることに、留意されたい。
【0075】
【0076】
電気装置を取り付けるためのDINレール1が開示される。DINレールは1、裏側及び表側を伴う細長い支持セクション2を備える。この表側は、電気装置を定着させるための、その両側に沿った2つの細長い取付フランジ3と、それらの間の細長い溝4と、を備える。換言すると、DINレール1は、支持セクション2の両側に沿って縦方向に延びた、第1及び第2の取付フランジ3を有する。様々なDINレールの規格の例において、これらの特徴は全ての規格で共通である。
図1~
図3、ならびに以下で説明する
図14で確認できるように、取付フランジ3は、あるポイントで曲げられて、支持セクション2と平行な部分を形成する。DINレール1の機能、ならびに形状及びサイズの変化は、当業者には共通の認識であり、「背景技術」で説明した様々な規格で規定される。
【0077】
本開示で提示されるDINレール1は、支持セクション2に直接接触して配置された、少なくとも1つの加熱要素5を備え、少なくとも1つの加熱要素5は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ6を備える。換言すると、支持セクション2は、正温度係数すなわちPTCヒータを用いて加熱要素5によって加熱される。換言すると、
図12~18に示される代替において、加熱要素はその中にPTCヒータを備え、これらのPTCヒータは、好ましくはPTCセラミックストーンの形態である。上述の特徴との別の違いは、加熱要素がここでは支持セクション2に直接接触して取り付けられることである。電気装置をDINレール1に取り付けたとき、電気装置は、ヒータ及びDINレール1からの熱放射、ならびにDINレール1を介した熱伝導の両方によって、加熱されることになる。DINレール1を加熱することによって、かつ電気装置に近い加熱要素5を有することによって、結露及び回路遮断器の機能不全を避けるために、ラックキャビネット全体を加熱する必要はない。換言すると、回路遮断器は加熱されたDINレール1によって加熱されるので、キャビネットを加熱する必要はなく、そのためエネルギーは節約される。PTCヒータ6が使用されるため、PTCヒータ6の自己制限の性質により、温度を制御するためのいかなる追加の回路も必要としない。
【0078】
加熱要素5を支持セクション2に直接接触させてどこに配置するかについて、いくつかの代替が存在し、それらを以下でさらに説明する。
【0079】
正温度係数ヒータ6すなわちPTCヒータ6を使用する利点は、所望の熱を保つために、熱をオン及びオフにする温度センサが必要ないことである。PTCヒータ6は、抵抗ヒータであり、PTCヒータ6が特定の温度に到達したとき、抵抗値は増加して、それ以上加熱されない。換言すると、PTC材料は、最大温度に到達するよう設計される。なぜなら、規定の温度において、いかなる追加の温度上昇も、より大きい電気抵抗を受けるからである。したがってPTC材料は、加熱要素5が過熱する危険のないよう、本質的に温度を自己制限する。PTC材料は、材料の抵抗値が急速に増加する温度よりも、熱くならない。したがって、PTC材料は、機能不全となる温度よりも熱くなることは不可能である。
【0080】
PTCセラミックストーンの形態のPTCヒータ6は、規定の最大温度を有するよう製造される。したがってPTCヒータ6は、事前にそれらの最大温度に基づいて選択される。PTCヒータ6の構造は、当業者には公知であるので、ここではさらに説明しない。
【0081】
PTCセラミックストーンの形態のPTCヒータ6は、多くの異なるサイズ、例えば約20×15×2mmで製造され得る。PTCヒータ6は、例えば長さ3~40mm、幅1~25mm、及び厚さ0.1~5mmである。
【0082】
加熱要素5を備えたDINレール1の例は、
図12~
図16に示される。示される例において、少なくとも1つの加熱要素5が溝4に配置される。電気装置は、一般的に取付フランジ3に取り付けられる。したがって、溝4には加熱要素5のための空間が存在する。溝4に位置付けられたとき、少なくとも1つの加熱要素での加熱は、取付フランジ3及び支持セクション2によっても物理的に防護される。この例において、加熱要素5のサイズ及び形状は、溝4の中に適合するよう成される。
【0083】
図12~
図16において、細長い支持セクション2及び2つの細長い取付フランジ3が確認できる。
【0084】
図14の断面図において、このDINレール1の例が、
図1~
図3におけるDINレール1とは僅かに異なることが確認できる。取付フランジ3は、前の例よりも湾曲される。本開示で提示される特徴は、別様に明確に記載されない限り、全てのDINレール規格に適用可能である。
【0085】
図15の断面図において、加熱要素5を溝に定着される方法の例が示される。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ6を取り囲む材料を備える。この材料はシリコーンで構成され、かつ溝4の中に適合するような外形を有して、取付フランジ3によって溝4に保持される。シリコーンは可撓性材料であり、それによって加熱要素を溝に押し込むのを可能にする。シリコーンは、加熱要素を所定の位置に保持するために、縁部において僅かに変形することになる。これは、加熱要素を定着させるために非常に効率的な方法である。任意の他の方法と組み合わせて、加熱要素を定着させてもよい。シリコーンの熱伝導及び剛性を向上させるため、例えばケイ素と混合させ得る。他の材料を追加して、材料の熱伝導及び/または剛性を向上させ得る。
【0086】
加熱要素5を溝4に装着する1つの方法は、接着剤を使用することである。したがって、いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、接着剤によって、溝4の支持セクション2に定着される。非常に強力な接着剤が存在する。接着剤は、加熱要素5を支持セクション2に装着されるための、迅速で安価な方法である。接着剤は、熱を少なくとも1つの加熱要素5から支持セクション2に伝えるのを補助するよう、熱伝導性であってよい。接着剤は、例えば糊または樹脂である。
【0087】
締結具、結束バンド、またはネジなど、少なくとも1つの加熱要素5を接着剤を用いて装着することに対する代替が存在する。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、少なくとも1つの弾性要素7によって溝4の支持セクション2に定着される。この少なくとも1つの弾性要素7は、2つの対向したフランジ3の間で締め付けられ、それによって少なくとも1つの加熱要素5を、溝4の所定の位置に保持する。
図4~
図7において、弾性要素7は、弾性材料の部材として示され、これは取付フランジ3の内側の間で締め付けられる。示される例において、各加熱要素5を保持する2つの弾性要素7が存在するが、1つまたはいくつかの弾性要素7が加熱要素5を保持するために使用されることもあり得る。弾性要素7は、好ましくは熱伝導性材料で作られる。加熱要素5が、接着剤及び弾性要素7の両方を用いて装着されることもあり得る。弾性要素7を使用することによって、加熱要素5は即座に溝4に装着され得る。これは、少なくとも1つの加熱要素5を固定するための、安価で迅速な方法でもある。弾性(resilient)の別の用語は、拘束(restraint)である。なぜなら、加熱要素5を溝4に拘束するのは弾性材料であるからである。
【0088】
弾性要素7の使用において、好ましくは取付フランジ3が、例えば
図4~
図8に示されるように湾曲されたDINレール規格と組み合わされて使用される。弾性要素7は、湾曲した取付フランジ3に、より容易に固定される。DINレール1には、代替として、弾性要素7を固定するために突出部が装備される場合がある。
【0089】
接着剤及び少なくとも1つの弾性要素7の両方を、少なくとも1つの加熱要素5の定着のために使用することが、DINレール1の大量生産において、効率的に用いられ得る。
【0090】
少なくとも1つの加熱要素5は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ6に電力を供給するための配線8を備え得る。配線8は、例えば溝4に配置される。配線8は、例えば
図12及び
図16の例で確認できるように、支持セクション2と取付フランジ3との間の曲部に配置される。配線8を溝4に配置する利点は、配線8が、取付フランジ3によって溝4の中で物理的に防護されることである。それによって配線8は、物理的損傷から、及び取り扱い中に何かに引っ掛かることから、防護される。別の利点は、視覚的に目立たないよう配線8を溝の中に隠すために、視覚的に好ましいことである。
【0091】
DINレール1の大量生産を簡略化するために、少なくとも1つの加熱要素5は支持セクション2の裏側に装着され得る。DINレール1を生産するための方法に依拠して、少なくとも1つの加熱要素5を裏側に配置することは有利である場合がある。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、支持セクション2の裏側に装着される。これも、DINレール1に使用される規格のタイプに依拠して、有利となり得る。いくつかの規格のために、少なくとも1つの加熱要素5は、溝4に位置されたときに、電気装置を取り付ける邪魔となり得る。このような場合、加熱要素5を裏側に配置することは有利である。少なくとも1つの加熱要素5は、例えば接着剤を用いて裏側に装着され得る。さらに、少なくとも1つの加熱要素5を、接着剤を用いて装着することに対する代替として、締結具、結束バンド、またはネジを使用する。このとき加熱要素5は、支持セクション2とDINレール1が装着される表面との間に配置されるので、DINレール1を取り付けるときに、少なくとも1つの加熱要素5の材料が損傷を受けないよう構造的統合性を有することが好ましい。少なくとも1つの加熱要素は、例えば鋼鉄、シリコーン、またはシリコーンとケイ素との混合物の、外側材料を有し得る。
【0092】
少なくとも1つの加熱要素を、裏側2または溝4に配置することの代替は、支持セクション2の材料の内側に配置することである。この例は
図17に示され、そこではDINレール1は、埋め込まれた加熱要素を伴うC断面のDINレール1である。特徴は、当然ながら、C断面のみではなく、全てのDINレール規格に適用可能であることである。したがって、いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素は、支持セクション2の材料に埋め込まれる。支持セクション2は、この場合、間に少なくとも1つの加熱要素5を伴う2層で作られる。これは、少なくとも1つの加熱要素5及び/または配線8を周囲から防護する必要がある厳しい環境において、特に有利である。これは非常に安全な代替とも成り得る。なぜならDINレール1のユーザは、配線8も支持セクション2に埋め込まれた場合、少なくとも1つの加熱要素5またはその配線8にアクセスできないことになるからである。少なくとも1つの加熱要素5は、DINレール1のユーザがアクセスできないので、DINレール1の耐用期間は増加し得る。
【0093】
少なくとも1つの加熱要素5が、隠されずに溝4または裏側に配置されたとき、及び支持セクション2の材料に埋め込んで配置されたとき、の両方において、少なくとも1つの加熱要素5の外面は、好ましくは電流を伝えない。したがってPTCヒータ6は、加熱要素5の表面から電気絶縁される。これは、例えばPTCヒータ6の周りに配置された電気絶縁材料を伴って成され得る。電気絶縁材料は、好ましくは熱伝導して、少なくとも1つの加熱要素5の表面へ伝える熱を増加させる。
【0094】
加熱要素5を実現かつ配置するための、多くの方法が存在する。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、細長い支持セクション2に沿って互いから離隔して配置された、複数の加熱要素5を備える。DINレール1は様々な長さであり、それらは通常、例えばネジなどを使用して表面に定着させるために、支持セクション2に規則的な間隔の穴10を有する。それによって加熱要素5は、穴10がレールを定着さえるためにアクセス可能となるよう、加熱要素5間で距離を取って配分され得る。DINレール1が短い場合、1つのみの加熱要素5が支持セクション2に備えられ得る。いくつかの態様によると、複数の加熱要素5は、細長い支持セクション2の長さに沿って均等に配分される。加熱要素5が均等に配分されることは、生産上有利となり得る。なぜならそれは、距離の再設定がなく、加熱要素5間の規則的な間隔を伴って視覚的にも好ましくなり得るからである。支持セクション2の定着穴10が規則的な間隔で配置された場合、加熱要素5は、穴10の間で規則的に配置され得る。
【0095】
1つまたは複数のPTCヒータ6が、加熱要素5に存在し得る。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5の各々は、加熱要素5に配分された複数の正温度係数ヒータ6を備える。PTC要素は、様々なサイズ及び形状で生産することができ、そのため各加熱要素5は、1つまたはいくつかのPTCヒータ6を備え得る。生産を簡略化するために、加熱要素5ごとに1つのPTCヒータが有利と成り得るが、2つ以上のPTCヒータは、より均等な熱の広がりを与え得る。いくつかの態様によると、正温度係数ヒータ6は、加熱要素5の長さに沿って均等に配分される。これによる利点は、加熱要素5における均等な熱配分である。
【0096】
加熱要素5は、所望の特性を実現するために、異なる方法で設計することができる。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、30~45℃の最大表面温度を有し、好ましくは最大温度は40℃である。この温度は、DINレール1に取り付けられた電気装置の良好な作動温度を保証する。電子装置は通常、室温または室温よりも僅かに高い温度において、最良に機能するよう作られる。30~45℃の表面温度は、電気装置のために最適な作動条件を提供することになる。
【0097】
30~45℃の最大表面温度に到達するために、より高い最大温度を伴う小さいPTCヒータが使用され得る。温度は、熱が加熱要素5の材料を通して伝導されると低下する。例えば、70~100℃の最大温度を伴うPTCヒータが使用され得る。最大表面温度を実現する別の方法は、いくつかのPTCヒータ6、または所望の表面温度に近い最大温度を伴う、より大きいPTCヒータを用いることである。例えば50℃の最大温度を伴う3つのPTCヒータ6を使用して、45℃の表面温度に到達し得る。
【0098】
PTCヒータ6は多くの様々なサイズ及び最大温度で現出するので、どのPTCヒータ6をいくつ使用するかを選択するのは、システムの設計者次第である。どの規格のDINレール形状が使用されるかに依拠して、異なるサイズ及び異なる最大温度のPTCヒータ6が望ましい場合がある。例えば、より広い支持セクションを伴うDINレール1にはより大きいPTCヒータ6を使用し、より狭いDINレール1にはより小さいPTCヒータ6を使用することは、有利である場合がある。
【0099】
PTCヒータに電力を供給するための、様々な方法が存在する。1つの方法は
図18に示され、それは加熱要素5の例における断面を示す。示された例において、正温度係数ヒータ6は、加熱要素5の長さに沿って配置された2枚の鋼板9の間に配置され、正温度係数ヒータ6及び鋼板9は、電気絶縁材料に埋め込まれる。換言すると、2枚の鋼板9は細長く、かつ加熱要素5の長さを通して延び、それら2枚の鋼板9の間に、1つまたは複数のPTCヒータ6が配置される。図面に示される配線8は、それぞれの鋼板に接続されて、PTCヒータ6に電力を供給する。
【0100】
いかにしてPTCヒータ6に電力を供給し得るかの、別の例は、加熱要素5を通る配線8がPTCヒータ6に当接する箇所において絶縁されないように、配線8を薄く削ってもよい。換言すると、図面で確認できるように、少なくとも1つの加熱要素5を通る2本の配線8は、PTCヒータ6の両側に配置され、それによって2本の配線はPTCヒータ6に当接し、接触領域において、配線8は薄く削られて導電線を露出させる。
【0101】
図17で示される例において、PTCヒータ6は、熱伝導材料で囲まれて加熱要素5を形成する。熱伝導材料は、例えばアルミニウムまたは鋼鉄である。換言すると、少なくとも1つの加熱要素5は、ある種の絶縁を伴う1つまたは複数のPTCヒータ6と共に埋め込まれた、アルミニウムまたは鋼鉄材料と、配線8とを備える。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、間を離隔されて列で配置された、PTCヒータ6を伴う細長い形状を有する。いくつかの態様によると、少なくとも1つの加熱要素5は、PTCヒータ6の2つ以上の列を備える。
【0102】
任意の上記の特徴によるDINレール1の使用により、好ましくはラックキャビネットまたは制御キャビネットにおいて取り付けられた電気装置を加熱する。
【0103】
DINレール1の安全な機能性を保証するために、DINレール1は、過負荷または短絡から防護するために、回路遮断器に接続され得る。本開示の実施形態によると、裏側及び表側を伴う細長い支持セクション2を含むDINレール1を有する、DINレールシステムを備える。この表側は、電気装置を定着させるために、その両側に沿って2つの細長い取付フランジ3と、それらの間の細長い溝4と、を備える。DINレール1は、支持セクション2に直接接触して配置された、少なくとも1つの加熱要素5を備え、少なくとも1つの加熱要素5は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ6を備える。DinレールシステムはDINレール1に取り付けられ、かつ加熱要素5に電気接続された、回路遮断器を備える。DINレール1に既に装着されている、少なくとも1つの加熱要素5のための回路遮断器を伴い、DINレールシステムは、電気装置のための最適な作動条件をもたらす、DINレール1を使用するための準備を提供する。したがってDINレールシステムは、表面に取り付け、電気を回路遮断器に接続するのが容易である。DINレールシステムのDINレール1は、当然ながら、任意の上述の態様に従うことができる。なぜなら上記の全ては回路遮断器と組み合わせ可能だからである。回路遮断器は、DINレール1の突出部に定着されるよう設計される。いくつかの態様によると、回路遮断器は、小型回路遮断器すなわちMCBであるが、MCCBすなわち配線用遮断器としてもよい。回路遮断器は図面に示されない。なぜなら少なくとも1つの加熱要素5と使用するのに好適で、かつDINレール1に取り付け可能な、任意の規格の回路遮断器が使用され得るからである。
【0104】
[態様]
態様1:電気装置を取り付けるためのDINレール(1)であって、DINレール(1)は表側及び裏側を伴う細長い支持セクション(2)を備え、この表側は、電気装置を定着させるための、表側の両側に沿った2つの細長い取付フランジ(3)と、それらの間の細長い溝(4)とを備え、DINレールは、支持セクション(2)に直接接触して配置された、少なくとも1つの加熱要素(5)を備えることと、少なくとも1つの加熱要素(5)は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ(6)を備えることと、を特徴とする、DINレール(1)。
【0105】
態様2:少なくとも1つの加熱要素(5)は、溝(4)に配置される、態様1に記載のDINレール(1)。
【0106】
態様3:少なくとも1つの加熱要素(5)は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ(6)を取り囲む材料を備え、この材料はシリコーンで構成され、かつ溝(4)の中に適合するような外形を有して、取付フランジ(3)によって溝に保持される、態様2に記載のDINレール(1)。
【0107】
態様4:少なくとも1つの加熱要素(5)は、少なくとも1つの弾性要素(7)によって溝(4)の支持セクション(2)に定着され、少なくとも1つの弾性要素(7)は、2つの対向したフランジ(3)の間で締め付けられ、それによって少なくとも1つの加熱要素(5)を、溝(4)の所定の位置に保持する、態様2に記載のDINレール(1)。
【0108】
態様5:少なくとも1つの加熱要素(5)は、接着剤によって支持セクション(2)に定着される、態様1~4のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)。
【0109】
態様6:少なくとも1つの加熱要素(5)は、少なくとも1つの正温度係数ヒータ(6)に電力を供給するための配線(8)を備え、この配線(8)は溝(4)に配置される、態様2~5のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)。
【0110】
態様7:少なくとも1つの加熱要素(5)は、支持セクション(2)の裏側に装着される、態様1または5に記載のDINレール(1)。
【0111】
態様8:少なくとも1つの加熱要素(5)は、支持セクション(2)の材料に埋め込まれる、態様1に記載のDINレール(1)。
【0112】
態様9:少なくとも1つの加熱要素(5)は、細長い支持セクション(2)に沿って互いから離隔して配置された、複数の加熱要素(5)を備える、態様1~8のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)。
【0113】
態様10:複数の加熱要素(5)は、細長い支持セクション(2)の長さに沿って均等に配分される、態様9に記載のDINレール(1)。
【0114】
態様11:少なくとも1つの加熱要素(5)の各々は、加熱要素(5)に配分された複数の正温度係数ヒータ(6)を備える、態様1~10のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)。
【0115】
態様12:正温度係数ヒータ(6)は、加熱要素(5)の長さに沿って均等に配分される、態様11に記載のDINレール(1)。
【0116】
態様13:正温度係数ヒータ(6)は、加熱要素(5)の長さに沿って配置された2枚の鋼板(9)の間に配置され、正温度係数ヒータ(6)及び鋼板(9)は、電気絶縁材料に埋め込まれる、態様11または12に記載のDINレール(1)。
【0117】
態様14:加熱要素(5)は、30~45℃の最大表面温度を有し、好ましくは40℃の最大表面温度を有する、態様1~13のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)。
【0118】
態様15:取り付けられた電気装置を加熱するための、態様1~14のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)の使用。
【0119】
態様16:DINレール(1)に取り付けられ、かつ少なくとも1つの加熱要素(5)に電気接続された回路遮断器を含んだ、態様1~14のうちいずれか一項に記載のDINレール(1)を備える、DINレールシステム。
【0120】
態様17:回路遮断器は、小型回路遮断器すなわちMCBである、態様16に記載のDINレールシステム。
【符号の説明】
【0121】
1 DINレール
2 支持セクション
3 取付フランジ
4 溝
5 加熱要素
6 PTCヒータ
7 弾性要素
8 配線
9 鋼板
10 穴
11 可撓性シート
11a 上面
12 正温度係数塗料
13 縁部
14 電気装置
15 可撓性絶縁材料
16 端子
【国際調査報告】