(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】抗IL-6抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220629BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220629BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220629BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220629BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220629BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220629BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220629BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220629BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K47/18
A61K47/26
A61K9/08
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/02
A61K47/22
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564800
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2020030865
(87)【国際公開番号】W WO2020223565
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ガオジョン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ・シャーローク
(72)【発明者】
【氏名】マーク・メルヴィル
(72)【発明者】
【氏名】マダヴ・エヌ・デヴァララジャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC27
4C076DD09
4C076DD51
4C076DD60
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF63
4C085AA14
4C085AA15
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE05
4H045AA11
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
(57)【要約】
凝集体形成および酸化を低減した、安定した水性抗IL-6抗体製剤が、本明細書に提供される。抗IL-6抗体製剤は、IL-6媒介疾患および障害を治療するために好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体製剤であって、
5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体および5mM~15mMのメチオニンを含む、抗体製剤。
【請求項2】
前記抗IL-6抗体が、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含み、
前記VHドメインが、
a)配列番号1のVH CDR1配列、
b)配列番号2のVH CDR2配列、および
c)配列番号3のVH CDR3配列を含み、かつ
前記VLドメインが、
d)配列番号4のVL CDR1配列、
e)配列番号5のVL CDR2配列、および
f)配列番号6のVL CDR3配列を含む、請求項1に記載の抗体製剤。
【請求項3】
前記抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項4】
前記製剤が、7.5mg/mL~30mg/mLの前記抗IL-6抗体を含む、請求項1~3のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項5】
前記製剤が、15mg/mLの前記抗IL-6抗体を含む、請求項5に記載の抗体製剤。
【請求項6】
前記製剤が、30mg/mLの前記抗IL-6抗体を含む、請求項5に記載の抗体製剤。
【請求項7】
前記製剤が、10mMのメチオニンを含む、請求項1~6のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項8】
0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート80をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項9】
1%~40%(w/v)のトレハロースをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項10】
10mM~200mMのアルギニンをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項11】
10mM~100mMのヒスチジンをさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項12】
前記抗体製剤が、5.0~7.0のpHを有する、請求項1~11のいずれかに記載の抗体製剤。
【請求項13】
抗体製剤であって、
a)5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体であって、前記抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する、抗IL-6抗体と、
b)5%(w/v)のトレハロースと、
c)0.07%(w/v)のポリソルベート80と、
d)70mMのアルギニンと、
e)10mMのメチオニンと、
f)20mMのヒスチジンと、を含み、
前記抗体製剤が、6.0のpHを有する、抗体製剤。
【請求項14】
前記製剤が、15mg/mLの前記抗IL-6抗体を含む、請求項25に記載の抗体製剤。
【請求項15】
前記製剤が、30mg/mLの前記抗IL-6抗体を含む、請求項25に記載の抗体製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月1日に出願された米国仮特許出願第62/841,662号、および2019年6月19日に出願された欧州特許出願第19181345.0号の優先権を主張し、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
3.背景技術
IL-6の上昇は、自己免疫疾患、炎症性疾患、および癌などの様々な疾患および状態に関与している。US5856135、WO2004/020633、US2006/0257407A1、US7291721、およびUS8198414を参照されたい。IL-6に結合して中和することによって、またはIL-6受容体に結合することによってIL-6シグナル伝達を低減する抗体は、リウマチ性関節炎およびキャッスルマン病を治療するために承認されている。最近では、抗IL6抗体は、遺伝子型で選択された患者におけるヘプシジン媒介障害の治療において有用であることが実証されており、US2017/0029499A1を参照されたい。利尿剤抵抗の治療においては、WO2018/144773を参照されたい。また炎症性心血管疾患の治療においては、US2019/0241650を参照されたい。
【0004】
抗IL-6抗体の治療的使用は、様々な条件下で抗体の安定性を保持する製剤によって促進される。治療製剤は、活性抗体の許容可能でない活性の喪失なしに貯蔵を可能にし、凝集体または分解種(例えば、断片化、酸化、脱アミド化、もしくは異性化種)などの望ましくない産物の蓄積を最小限に抑え、適切な濃度の抗体を収容し、治療的用途に不適合である成分を含まないことが重要である。
【0005】
当該技術分野では、治療的使用に好適である、抗IL-6抗体を含む安定した水性医薬製剤が必要である。
【発明の概要】
【0006】
4.概要
我々は、凝集体、酸性種、および酸化種の形成を低減した抗IL-6抗体製剤を設計、産生、および試験した。抗IL-6抗体製剤は、IL-6媒介疾患を治療するために使用され得る。
【0007】
したがって、第1の態様では、抗体製剤が本明細書に提供される。抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体および約5mM~約15mMのメチオニンを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含み、VHドメインは、配列番号1のVH CDR1配列、配列番号2のVH CDR2配列、および配列番号3のVH CDR3配列を含み、VLドメインは、配列番号4のVL CDR1配列、配列番号5のVL CDR2配列、配列番号6のVL CDR3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号7のVHドメインアミノ酸配列および配列番号8のVLドメインアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、製剤は、約7.5mg/mL~約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約7.5mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約15mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、製剤は、約10mMのメチオニンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、製剤は、約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、製剤は、約1%~約40%(w/v)のトレハロースをさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約5%(w/v)のトレハロースを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、製剤は、約10mM~約200mMのアルギニンをさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約70mMのアルギニンを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、製剤は、約10mM~約100mMのヒスチジンをさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約20mMのヒスチジンを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約6.0のpHを有する。
【0016】
別の態様では、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約5mM~約15mMのメチオニン、および約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む抗体製剤が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する。
【0017】
別の態様では、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、b)約1%~約40%(w/v)のトレハロース、c)約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)約10mM~約200mMのアルギニン、e)約5mM~約15mMのメチオニン、およびf)約10mM~約100mMのヒスチジンを含む抗体製剤が、本明細書に提供され、この抗体製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する。
【0018】
別の態様では、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体(この抗IL-6抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する)、b)約5%(w/v)のトレハロース、c)約0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)約70mMのアルギニン、e)約10mMのメチオニン、およびf)約20mMのヒスチジンを含む抗体製剤が、本明細書に提供され、この抗体製剤は、約6.0のpHを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、製剤は、約7.5mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約15mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、製剤は、25℃で10cP未満の粘度を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、製剤は、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって測定した場合、300rpmで20時間の撹拌後に5%未満の可溶性凝集体を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、製剤は、イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に50%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、測定される酸性種は、脱アミド化、異性化、酸化、または分解によって生成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、製剤は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に5%未満の酸化種を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、製剤は、イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の酸性種を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、製剤は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に10%未満の酸化種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に6%未満の酸化種を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、製剤は、非経口投与に好適である。いくつかの実施形態では、製剤は、静脈内投与に好適である。いくつかの実施形態では、製剤は、皮下投与に好適である。
【0028】
別の態様では、抗体製剤を含む単位剤形が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、この単位剤形は、約7.5mgの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、この単位剤形は、約15mgの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、この単位剤形は、約30mgの抗IL-6抗体を含む。
【0029】
5.図面の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、タンパク質濃度の増加に伴う、25℃でのCOR-001製剤の粘度に対するL-アルギニン-HClの効果を示している。
【
図2】
図2は、撹拌時のCOR-001製剤の凝集に対するポリソルベート80の効果を示している。COR-001の濃度は、それぞれ、5mg/mL、50mg/mL、および120mg/mLであった。
【
図3A】
図3A、3B、および3Cは、熱応力に対するCOR-001製剤の安定性に対するメチオニンの効果を示しており、
図3Aは、SEC-HPLCによって測定された5mM、10mM、または15mMのメチオニンの非存在下または存在下で45℃でのCOR-001製剤の凝集体の割合を示しており、
図3Bは、icIEFによって測定された5mM、10mM、または15mMのメチオニンの非存在下または存在下で45℃でのCOR-001製剤の酸性種の割合を示しており、
図3Cは、酸化試験によって測定された5mM、10mM、または15mMのメチオニンの非存在下または存在下で45℃でのCOR-001製剤の酸化種の割合を示している。COR-001の濃度は、それぞれ、10mg/mLおよび50mg/mLであった。
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、それぞれ、加速および応力条件下での経時的なpHの変化を示しており、
図4Aは、加速条件下での経時的なpHの変化を示しており、
図4Bは、応力条件下での経時的なpHの変化を示している。
【
図5A】
図5Aおよび5Bは、加速および応力条件下での経時的なポリソルベート80の変化を示しており、
図5Aは、加速条件下での経時的なポリソルベート80の変化を示しており、
図5Bは、応力条件下での経時的なポリソルベート80の変化を示している。
【
図6A】
図6Aおよび6Bは、加速および応力条件下での経時的なタンパク質濃度の変化を示しており、
図6Aは、加速条件下での経時的なタンパク質濃度の変化を示しており、
図6Bは、応力条件下での経時的なタンパク質濃度の変化を示している。
【
図7A】SEC-UHPLCによって測定された加速および応力条件下での経時的なモノマー(非凝集二価全長IgG抗体)の変化を示しており、
図7Aは、加速条件下での経時的なモノマー%の変化を示しており、
図7Bは、応力条件下での経時的なモノマー%の変化を示している。
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、SEC-UHPLCによって測定された加速および応力条件下での経時的なHMWの変化を示しており、
図8Aは、加速条件下での経時的なHMW%の変化を示しており、
図8Bは、応力条件下での経時的なHMW%の変化を示している。
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、SEC-UHPLCによって測定された加速および応力条件下での経時的なLMWの変化を示しており、
図9Aは、加速条件下での経時的なLMW%の変化を示しており、
図9Bは、応力条件下での経時的なLMW%の変化を示している。
【
図10A】
図10Aおよび10Bは、非還元CE-SDSによって測定された加速および応力条件下での経時的なIgGの変化を示しており、
図10Aは、加速条件下での経時的なIgG%の変化を示しており、
図10Bは、応力条件下での経時的なIgG%の変化を示している。
【
図11A】
図11Aおよび11Bは、非還元CE-SDSによって測定された加速および応力条件下での経時的なHHLの変化を示しており、
図11Aは、加速条件下での経時的なHHL%の変化を示しており、
図11Bは、応力条件下での経時的なHHL%の変化を示している。
【
図12A】
図12Aおよび12Bは、還元CE-SDSによって測定された加速および応力条件下での経時的なHC+LCの変化を示しており、
図12Aは、加速条件下での経時的なHC+LC%の変化を示しており、
図12Bは、応力条件下での経時的なHC+LC%の変化を示している。
【
図13A】
図13Aおよび13Bは、icIEFによって測定された加速および応力条件下での経時的な主要種の変化を示しており、
図13Aは、加速条件下での経時的な主要種%の変化を示しており、
図13Bは、応力条件下での経時的な主要種%の変化を示している。
【
図14A】
図14Aおよび14Bは、icIEFによって測定された加速および応力条件下での経時的な酸性種の変化を示しており、
図14Aは、加速条件下での経時的な酸性種%の変化を示しており、
図14Bは、応力条件下での経時的な酸性種%の変化を示している。
【
図15A】
図15Aおよび15Bは、icIEFによって測定された加速および応力条件下での経時的な塩基性種の変化を示しており、
図15Aは、加速条件下での経時的な塩基性種%の変化を示しており、
図15Bは、応力条件下での経時的な塩基性種%の変化を示している。
【
図16A】
図16Aおよび16Bは、RP-HPLCによって測定された加速および応力条件下での経時的な酸化レベルの変化を示しており、
図16Aは、加速条件下での経時的な酸化%の変化を示しており、
図16Bは、応力条件下での経時的な酸化%の変化を示している。
【
図17A】
図17A、17B、および17Cは、MFIによって測定された加速条件下での経時的な目視で見えない粒子のレベルの変化を示しており、
図17Aは、経時的な2ミクロン以上の粒子の変化を示しており、
図17Bは、経時的な10ミクロン以上の粒子の変化を示しており、
図17Cは、経時的な25ミクロン以上の粒子の変化を示している。
【
図18A】
図18Aおよび18Bは、IL-6結合ELISAアッセイによって測定された加速および応力条件下での経時的な抗体効力の変化を示しており、
図18Aは、加速条件下での経時的な参照標準と比較したIL-6結合%の変化を示しており、
図18Bは、応力条件下での経時的な参照標準と比較したIL-6結合%の変化を示している。
【
図19A】
図19Aおよび19Bは、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定された加速および応力条件下での経時的な抗体効力の変化を示しており、
図19Aは、加速条件下での経時的な参照標準と比較したIL-6結合%の変化を示しており、
図19Bは、応力条件下での経時的な参照標準と比較したIL-6結合%の変化を示している。
【
図20】
図20は、長期貯蔵条件下での経時的なpHの変化を示している。
【
図21】
図21は、長期貯蔵条件下での経時的なポリソルベート80の変化を示している。
【
図22】
図22は、長期貯蔵条件下での経時的なタンパク質濃度の変化を示している。
【
図23A】
図23A、23B、および23Cは、長期貯蔵条件下での経時的なSECによるモノマー(非凝集二価全長IgG抗体)、HMW、およびLMWの変化を示しており、
図23Aは、経時的なモノマー%の変化を示しており(矢印は、すべてのロットについて95%信頼度での線形動態予測を伴う24ヶ月でのモノマー%の境界を指し、示されたロットは、限界に最も近いものである)、
図23Bは、経時的なHMW%の変化を示しており(矢印は、すべてのロットについて95%信頼度での線形動態予測を伴う24ヶ月でのHMW%の境界を指し、示されたロットは、限界に最も近いものである)、
図23Cは、経時的なLMW%の変化を示している。
【
図24】長期貯蔵条件下での変化を、加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下で3ヶ月での変化と比較した、ロットCMC-M-0061のクロマトグラフィープロファイルのオーバーレイを示している。
【
図25A】
図25Aおよび25Bは、長期貯蔵条件下での経時的な非還元CE-SDSによるIgGおよびHHLの変化を示しており、
図25Aは、経時的なIgG%の変化を示しており(矢印は、すべてのロットについて95%信頼度での線形動態予測を伴う24ヶ月でのIgG%の境界を指し、示されたロットは、限界に最も近いものである)、
図25Bは、経時的なHHL%の変化を示している。
【
図26】
図26は、長期貯蔵条件(5℃)下での変化を、加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下で3ヶ月での変化と比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを示している。
【
図27】
図27は、長期貯蔵条件下での経時的な還元CE-SDSによるHC+LCの変化を示している(矢印は、すべてのロットについて95%信頼度での線形動態予測を伴う24ヶ月でのHC+LC%の境界を指し、示されたロットは、限界を超えるものである)。
【
図28】
図28は、長期貯蔵条件(5℃)下での変化を、加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下で3ヶ月での変化と比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを示している。
【
図29A】
図29A、29B、および29Cは、長期貯蔵条件下での経時的なicIEFによる主要種、酸性種、および塩基性種の変化を示しており、
図29Aは、経時的な主要種%の変化を示しており、
図29Bは、経時的な酸性種%の変化を示しており、
図29Cは、経時的な塩基性種%の変化を示している。
【
図30】
図30は、長期貯蔵条件(5℃)下での変化を、加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下で3ヶ月での変化と比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを示している。
【
図31】
図31は、RP-HPLCによって測定された長期貯蔵条件下での経時的な酸化レベルの変化を示している。
【
図32A】
図32Aおよび32Bは、HIACによって測定された長期貯蔵条件下での経時的な目視で見えない粒子のレベルの変化を示しており、
図32Aは、経時的な10ミクロン以上の粒子の変化を示しており、
図32Bは、経時的な25ミクロン以上の粒子の変化を示している。
【
図33A】
図33A、33B、および33Cは、MFIによって測定された長期貯蔵条件下での経時的な目視で見えない粒子のレベルの変化を示しており、
図33Aは、経時的な2ミクロン以上の粒子の変化を示しており、
図33Bは、経時的な10ミクロン以上の粒子の変化を示しており、
図33Cは、経時的な25ミクロン以上の粒子の変化を示している。
【
図34A】
図34Aおよび34Bは、長期貯蔵条件下での経時的な抗体効力の変化を示しており、
図34Aは、IL-6結合ELISAによって測定された抗体効力の変化を示しており、
図34Bは、HEK Blueバイオアッセイによって測定された抗体効力の変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
6.詳細な説明
6.1.定義
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0032】
「安定な」抗体製剤は、抗体が貯蔵時にその物理的安定性および/または化学的安定性および/またはその生物学的活性を実質的に保持するものである。貯蔵期間は、一般に、製剤の意図された貯蔵寿命に基づいて選択される。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技法が、当該技術分野で利用可能である。分析技法の例を以下に記載する。「実質的に保持する」とは、85%以上の保持、例えば、少なくとも90%の保持または少なくとも95%の保持を意図する。
【0033】
タンパク質が、色および/もしくは明瞭度の目視検査時に、または紫外線散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって測定された場合に、凝集、沈殿、および/もしくは変性などの有意な物理的変化を示さない場合、医薬製剤中で「その物理的安定性を保持する」。
【0034】
タンパク質の有意な化学的変化が示されない場合、タンパク質は、医薬製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、タンパク質の化学的に変化した形態を検出および定量化することによって評価され得る。化学的変化は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGE、および/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価することができるサイズ修正(例えば、クリッピング)を含んでもよい。他のタイプの化学的変化としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィーによって評価することができる電荷変化(例えば、脱アミド化、酸化、および/または異性化の結果として生じる)が挙げられる。
【0035】
抗体は、所与の時間における抗体の生物学的活性が、例えば、抗原結合アッセイにおいて決定されたように、医薬製剤が調製されたときに示された生物学的活性から有意に変化しない場合、医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。モノクローナル抗体の「生物学的活性」は、抗体が抗原に結合し、インビトロまたはインビボで測定され得る測定可能な生物学的応答をもたらす能力を指す。そのような活性は、拮抗的であっても、または作動的であってもよい。
【0036】
「ヒスチジン緩衝液」は、ヒスチジンイオンを含む緩衝液である。ヒスチジン緩衝液の例としては、塩化ヒスチジン溶液、酢酸ヒスチジン溶液、リン酸ヒスチジン溶液、および硫酸ヒスチジン溶液が挙げられる。ヒスチジン緩衝液またはヒスチジン-HCl緩衝液は、約5.5~約6.5、約5.6~約6.4、約5.7~約6.3、約5.8~約6.2、約5.9~約6.1、または約6.0のpHを有する。
【0037】
「抗体」という用語は、最も広義に使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を具体的に含む。
【0038】
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、一般に、その抗原結合または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、scFv(sFv)断片、scFv-Fc断片、ダイアボディ、線形抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0039】
「インターロイキン6(IL-6)」または「IL-6ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000591で提供されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%以上のアミノ酸同一性を有し、かつIL-6生物学的活性を有するポリペプチドまたはその断片を意味する。IL-6は、複数の生物学的機能を有するプレオトロピックサイトカインである。例示的なIL-6生物学的活性としては、免疫刺激活性および炎症促進活性が挙げられる。「インターロイキン6(IL-6)核酸」とは、インターロイキン6(IL-6)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なインターロイキン6(IL-6)核酸配列は、NCBIアクセッション番号NM_000600で提供される。
【0040】
「IL-6抗体」または「抗IL-6抗体」とは、IL-6に特異的に結合する抗体を意味する。抗IL-6抗体は、IL-6に特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにその抗原結合断片または誘導体を含む。抗IL-6抗体は、以下のセクション6.2.2.1でより詳細に説明される。
【0041】
ポリペプチド配列と参照配列との間の「同一性」パーセントは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大配列同一性パーセントを達成した後、参照配列内のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列内のアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、CLUSTAL OMEGA、またはMUSCLEソフトウェアなどの一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野の範囲内にある様々な方式で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。別段の指定がない限り、配列同一性パーセントは、デフォルトパラメータを使用してBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0042】
「IL-6媒介炎症性障害」とは、IL-6が、疾患またはその症状のうちのいずれかの病因に寄与していることが知られているか、または寄与していると疑われる任意の障害を意味する。
【0043】
「対象者」とは、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、ネコ、ならびにマウスおよびラットを含むげっ歯類を含むが、これらに限定されないヒトまたは非ヒト哺乳動物を意味する。「患者」は、ヒト対象者である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」という用語、およびこれに類するものは、障害、および/またはそれと関連する兆候もしくは症状を低減もしくは緩和すること、またはその進行を遅延もしくは停止させることを指す。当然のことながら、妨げられるものではないが、障害または状態を治療することは、それと関連する障害、状態、または症状を完全に消失させる必要はない。
【0045】
本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、およびそれらの言語的変形形態は、米国特許法においてそれらに付与される意味を有し、明示的に列挙されたものを超える追加の構成要素の存在を可能にする。
【0046】
「約」という用語は、示される値およびその値の上下の範囲を示し、包含する。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、指定値±10%、±5%、または±1%を示す。ある特定の実施形態では、該当する場合、「約」という用語は、指定値±その値の1標準偏差を示す。別段の指定がない限り、「約」は、指定値の±10%を示す。
【0047】
範囲が指定されている場合、エンドポイントが含まれる。さらに、別段の指示がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表現される値は、文脈が別途明確に指示しない限り、本発明の異なる実施形態における記載された範囲内の任意の具体的な値または部分範囲を、範囲の下限の単位の10分の1まで仮定することができることを理解されたい。
【0048】
6.2.製剤
第1の態様では、抗体を含む無菌で安定な水性製剤(医薬組成物)が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの糖類をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの遊離アミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの抗酸化物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの緩衝成分をさらに含む。ある特定の実施形態では、製剤は、抗体、少なくとも1つの糖類、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの遊離アミノ酸、少なくとも1つの抗酸化物質、および少なくとも1つの緩衝成分を含む。現在好ましい実施形態では、製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体および約5mM~約15mMのメチオニンを含む。
【0049】
6.2.1.抗体濃度
いくつかの実施形態では、製剤中の抗体濃度は、少なくとも約5mg/mL、少なくとも約10mg/mL、少なくとも約15mg/mL、少なくとも約20mg/mL、少なくとも約30mg/mL、少なくとも約50mg/mL、少なくとも約100mg/mL、少なくとも約150mg/mL、少なくとも約200mg/mL、少なくとも約250mg/mL、または少なくとも約300mg/mLである。いくつかの実施形態では、製剤中の抗体濃度は、約5mg/mL~約300mg/mL、約10mg/mL~約250mg/mL、約20mg/mL~約200mg/mL、約30mg/mL~約150mg/mL、または約50mg/mL~約100mg/mLである。ある特定の実施形態では、製剤中の抗体濃度は、約5mg/mL、約7.5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約50mg/mL、約70mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、または約150mg/mLである。
【0050】
いくつかの実施形態では、製剤中の抗体濃度は、少なくとも5mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも30mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも150mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも250mg/mL、または少なくとも300mg/mLである。いくつかの実施形態では、製剤中の抗体濃度は、5mg/mL~300mg/mL、10mg/mL~250mg/mL、20mg/mL~200mg/mL、30mg/mL~150mg/mL、または50mg/mL~100mg/mLである。ある特定の実施形態では、製剤中の抗体濃度は、5mg/mL、7.5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、50mg/mL、70mg/mL、100mg/mL、120mg/mL、または150mg/mLである。
【0051】
6.2.2.抗体
様々な実施形態では、本明細書に記載の抗体は、例えば、天然抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体断片(例えば、1つ以上の抗原に結合し、かつ/または1つ以上の抗原を認識する抗体断片)、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、ならびに抗体ファージライブラリから単離された抗体および抗体断片を含む。
【0052】
抗体は、1つ以上の抗原に対して指向される。好適な抗炎症抗体および/または抗癌抗体の例としては、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルなどの抗TNFα抗体;カナキヌマブなどの抗IL1β抗体;ウステキヌマブおよびブリアキヌマブなどの抗IL12/23抗体;ダクリズマブなどの抗IL2R抗体;ベリムマブなどの抗BAFF抗体;リツキシマブなどの抗CD20抗体;エプラツズマブなどの抗CD22抗体;ダクリズマブなどの抗CD25抗体;イラツムマブなどの抗CD30抗体;ゲムツズマブなどの抗CD33抗体;アレムツズマブなどの抗CD52抗体;イピリムマブなどの抗CD152抗体;セツキシマブなどの抗EGFR抗体;ベバシズマブなどの抗VEGF抗体;トラスツズマブおよびペルツズマブなどの抗HER2抗体;トシリズマブ、サリルマブ、およびボバリリズマブなどの抗IL-6R抗体;ならびにシルツキシマブ、ゲリリムズマブ(ゲリリズマブとしても知られる)、およびジルチベキマブなどの抗IL-6抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
6.2.2.1.抗IL-6抗体
現在好ましい実施形態では、抗体製剤は、抗IL-6抗体を含む。
【0054】
様々な実施形態では、抗体製剤は、約2mg/mL~約200mg/mLの抗IL-6抗体、例えば、約2mg/mL~約5mg/mL、約2mg/mL~約10mg/mL、約2mg/mL~約30mg/mL、約2mg/mL~約60mg/mL、約2mg/mL~約120mg/mL、約2mg/mL~約200mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約30mg/mL、約5mg/mL~約60mg/mL、約5mg/mL~約120mg/mL、約5mg/mL~約200mg/mL、約10mg/mL~約30mg/mL、約10mg/mL~約60mg/mL、約10mg/mL~約120mg/mL、約10mg/mL~約200mg/mL、約30mg/mL~約60mg/mL、約30mg/mL~約120mg/mL、約30mg/mL~約200mg/mL、約60mg/mL~約120mg/mL、約60mg/mL~約200mg/mL、または約120mg/mL~約200mg/mLの抗IL-6抗体を含む。様々な実施形態では、抗体製剤は、2mg/mL~200mg/mLの抗IL-6抗体、例えば、2mg/mL~5mg/mL、2mg/mL~10mg/mL、2mg/mL~30mg/mL、2mg/mL~60mg/mL、2mg/mL~120mg/mL、2mg/mL~200mg/mL、5mg/mL~10mg/mL、5mg/mL~30mg/mL、5mg/mL~60mg/mL、5mg/mL~120mg/mL、5mg/mL~200mg/mL、10mg/mL~30mg/mL、10mg/mL~60mg/mL、10mg/mL~120mg/mL、10mg/mL~200mg/mL、30mg/mL~60mg/mL、30mg/mL~120mg/mL、30mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~120mg/mL、60mg/mL~200mg/mL、または120mg/mL~200mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体を含む。
【0055】
典型的な実施形態では、抗IL-6抗体は、IL-6の生物学的活性を中和する。いくつかの実施形態では、中和抗体は、IL-6のIL-6受容体への結合を防止する。
【0056】
いくつかの実施形態では、IL-6抗体は、抗IL-6モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、IL-6抗体は、複数種の抗IL-6抗体を含み、複数種の各々が固有のCDRを有する、ポリクローナル組成物である。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変ドメイン抗体、単一可変ドメイン抗体、線形抗体、またはVドメイン抗体である。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、重鎖定常領域を含む。ある特定の実施形態では、重鎖定常領域は、Fc、任意選択でヒトFcである。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、IgG、IgA、IgD、IgE、およびIgMから選択されるクラスの重鎖定常領域を含む。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、クラスIgGの重鎖定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択されるサブクラスを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性または多重特異性であり、抗原結合部分のうちの少なくとも1つは、IL-6に対する特異性を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗体は、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化されている。いくつかの実施形態では、抗体は、キメラであり、非ヒトV領域およびヒトC領域ドメインを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、マウスである。
【0061】
典型的な実施形態では、抗IL-6抗体は、100nM未満のヒトIL-6に結合するためのKDを有する。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、75nM、50nM、25nM、20nM、15nM、または10nM未満のヒトIL-6に結合するためのKDを有する。特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、5nM、4nM、3nM、または2nM未満のヒトIL-6に結合するためのKDを有する。選択された実施形態では、抗IL-6抗体は、1nM、750pM、または500pM未満のヒトIL-6に結合するためのKDを有する。具体的な実施形態では、抗IL-6抗体は、500pM、400pM、300pM、200pM、または100pM以下のヒトIL-6に結合するためのKDを有する。
【0062】
典型的な実施形態では、抗IL-6抗体は、少なくとも7日間の静脈内投与後の消失半減期を有する。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも30日間の消失半減期を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、非置換ヒトIgG定常ドメインと比較して、血清半減期を延長する少なくとも1つのアミノ酸置換を有するヒトIgG定常領域を有する。
【0064】
ある特定の実施形態では、IgG定常ドメインは、残基252、254、および256における置換を含み、アミノ酸残基252におけるアミノ酸置換は、チロシンによる置換であり、アミノ酸残基254におけるアミノ酸置換は、トレオニンによる置換であり、アミノ酸残基256におけるアミノ酸置換は、グルタミン酸(「YTE」)による置換である。US7,083,784(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ある特定の延長された半減期の実施形態では、IgG定常ドメインは、T250Q/M428L(Hinton et al.,J.Immunology 176:346-356(2006))、N434A(Yeung et al.,J.Immunology 182:7663-7671(2009))、またはT307A/E380A/N434A(Petkova et al.,International Immunology,18:1759-1769(2006))から選択される置換を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体の消失半減期は、ヒト血清アルブミンのFcRN結合特性を利用することによって増加する。ある特定の実施形態では、抗体は、アルブミンにコンジュゲートされる(Smith et al.,Bioconjug.Chem.,12:750-756(2001))。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、細菌アルブミン結合ドメインに融合される(Stork et al.,Prot.Eng.Design Science 20:569-576(2007))。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、アルブミン結合ペプチドに融合される(Nguygen et al.,Prot Eng Design Sel 19:291-297(2006))。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、二重特異性であり、1つの特異性は、IL-6に対するものであり、1つの特異性は、ヒト血清アルブミンに対するものである(Ablynx,WO2006/122825(二重特異性ナノボディ))。
【0066】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体の消失半減期は、PEG化によって(Melmed et al.,Nature Reviews Drug Discovery 7:641-642(2008))、HPMAコポリマーコンジュゲーションによって(Lu et al.,Nature Biotechnology 17:1101-1104(1999))、デキストランコンジュゲーションによって(Nuclear Medicine Communications,16:362-369(1995))、ホモアミノ酸ポリマーとのコンジュゲーションによって(HAPs;HAP化)(Schlapschy et al.,Prot Eng Design Sel 20:273-284(2007))、またはポリシアリル化によって(Constantinou et al.,Bioconjug.Chem.20:924-931(2009))増加する。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、COR-001(ジルチベキマブおよびMEDI5117としても知られる)、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003;Vaccinex)、EB-007(EBI-029;Eleven Bio)、またはFM101(Femta Pharmaceuticals,Lonza)の6つすべてのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、COR-001、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003;Vaccinex)、EB-007(EBI-029;Eleven Bio)、またはFM101(Femta Pharmaceuticals,Lonza)のVHおよびVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体は、COR-001(ジルチベキマブ)、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003;Vaccinex)、EB-007(EBI-029;Eleven Bio)、またはFM101(Femta Pharmaceuticals,Lonza)である(すなわち、その重鎖および軽鎖を含む)。
【0068】
6.2.2.1.1.COR-001および誘導体
ある特定の好ましい実施形態では、抗IL-6抗体またはその抗原結合部分は、COR-001の6つすべてのCDRを含む。COR-001抗体(ジルチベキマブおよびMEDI5117としても知られる)は、WO2010/088444およびUS2012/0034212に記載されており、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、COR-001重鎖V領域および軽鎖V領域を含む。具体的な実施形態では、抗体は、全長COR-001抗体である。COR-001抗体は、以下のCDR、VH、VL、重鎖、および軽鎖配列を有する。
COR-001 VH CDR1
SNYMI ((配列番号1)
COR-001 VH CDR2
DLYYYAGDTYYADSVKG (配列番号2)
COR-001 VH CDR3
WADDHPPWIDL (配列番号3)
COR-001 VL CDR1
RASQGISSWLA (配列番号4)
COR-001 VL CDR2
KASTLES (配列番号5)
COR-001 VL CDR3
QQSWLGGS (配列番号6)
COR-001 VH
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISSNYMIWVRQAPGKGLEWVSDLYYYAGDTYY
ADSVKGRFTMSRDISKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCARWADDHPPWIDLWGRGTLVTVSS
(配列番号7)
COR-001 VL
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKVLIYKASTLESGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQSWLGGSFGQGTKLEIK (配列番号8)
COR-001重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISSNYMIWVRQAPGKGLEWVSDLYYYAGDTYY
ADSVKGRFTMSRDISKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCARWADDHPPWIDLWGRGTLVTVSS
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREE
MTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号9)
COR-001軽鎖
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKVLIYKASTLESGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQSWLGGSFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPS
DEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTL
SKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号10)
【0069】
様々な実施形態では、抗IL-6抗体は、COR-001の誘導体である。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号4と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号5と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号6と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVL CDR3を含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号7と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVHドメインを含む。ある特定の実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号8と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVLドメインを含む。具体的な実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号7と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVHドメイン、および配列番号8と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有するVLドメインを含む。
【0071】
ある特定の実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号9と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号10と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有する軽鎖を含む。具体的な実施形態では、COR-001の誘導体は、配列番号9と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有する重鎖、および配列番号10と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を有する軽鎖を含む。
【0072】
6.2.3.抗酸化物質
いくつかの実施形態では、製剤は、抗酸化物質を含む。
【0073】
様々な実施形態では、抗酸化物質は、約1mM~約100mM、例えば、約2mM~約80mM、約3mM~約50mM、約5mM~約30mM、または約10mM~約20mMの濃度である。様々な実施形態では、抗酸化物質は、1mM~100mM、例えば、2mM~80mM、3mM~50mM、5mM~30mM、または10mM~20mMの濃度である。
【0074】
ある特定の実施形態では、抗酸化物質は、自然発生の化合物である。ある特定の他の実施形態では、抗酸化物質は、合成化合物である。いくつかの実施形態では、抗酸化物質は、キレート剤、還元剤、酸素スカベンジャー、および鎖ターミネーター、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ビタミンCもしくはE、メチオニン、システイン、グルタチオン、EDTA、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼ、または白金から選択される。いくつかの実施形態では、抗酸化物質は、クエン酸、尿酸、アスコルビン酸、リポ酸、グルタチオン、トコフェロール、カロテン、リコペン、システイン、またはメチオニンである。
【0075】
6.2.3.1.メチオニン
現在好ましい実施形態では、製剤は、メチオニンを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、L-メチオニンを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約1mM、少なくとも約2mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約50mM、または少なくとも約100mMのメチオニンを含む。様々な実施形態では、製剤は、約1mM~約100mM、約2mM~約80mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mMのメチオニンを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約1mM、約2mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約50mM、または約100mMのメチオニンを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約1mM~約50mMのメチオニンを含む。特定の実施形態では、製剤は、約5mM~約15mMのメチオニンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、約10mMのメチオニンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも50mM、または少なくとも100mMのメチオニンを含む。様々な実施形態では、製剤は、1mM~100mM、2mM~80mM、5mM~50mM、10mM~20mMのメチオニンを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、1mM、2mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、50mM、または100mMのメチオニンを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1mM~50mMのメチオニンを含む。特定の実施形態では、製剤は、5mM~15mMのメチオニンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、10mMのメチオニンを含む。
【0078】
6.2.4.界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤は、液体の表面張力を低下させることができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。界面活性剤の例としては、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80);TRITON(t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウレル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;メチルココイル酒石酸ナトリウムまたはメチルオレイル酒石酸二ナトリウム;モノパルミチン酸ソルビタン;MONAQUATシリーズ(Mona Industries,Inc.,Paterson,N.J.);ポリエチルグリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、およびポロキシエチレンとポロキシプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、Pluronics/Poloxamer、PF68等)が挙げられる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、界面活性剤は、ポリソルベートである。ある特定の実施形態では、ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、またはポリソルベート80である。
【0079】
様々な実施形態では、組成物は、約0.001%~約1%、例えば、約0.001%~約0.1%、約0.005%~約0.2%、約0.01%~約0.2%、または約0.05%~約0.1%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。様々な実施形態では、組成物は、0.001%~1%、例えば、0.001%~0.1%、0.005%~0.2%、0.01%~0.2%、または0.05%~0.1%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。
【0080】
6.2.4.1.ポリソルベート80
いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80(PS80)を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約0.001%、少なくとも約0.002%、少なくとも約0.003%、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、または少なくとも約1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%~約1%、約0.002%~約0.5%、約0.005%~約0.2%、または約0.01%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.07%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.005%~約0.5%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、製剤は、約0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも0.001%、少なくとも0.002%、少なくとも0.003%、少なくとも0.005%、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、または少なくとも1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%~1%、0.002%~0.5%、0.005%~0.2%、または0.01%~0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%、0.002%、0.003%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.07%、0.1%、0.2%、0.5%、または1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.005%~0.5%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.05%~0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、製剤は、0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0083】
6.2.4.2.ポリソルベート60
いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート60(PS60)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約0.001%、少なくとも約0.002%、少なくとも約0.003%、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、または少なくとも約1%(w/v)のポリソルベート60を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%~約1%、約0.002%~約0.5%、約0.005%~約0.2%、または約0.01%~約0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.07%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%(w/v)のポリソルベート60を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。特定の実施形態では、製剤は、約0.07%(w/v)のポリソルベート60を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも0.001%、少なくとも0.002%、少なくとも0.003%、少なくとも0.005%、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、または少なくとも1%(w/v)のポリソルベート60を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%~1%、0.002%~0.5%、0.005%~0.2%、または0.01%~0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%、0.002%、0.003%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.07%、0.1%、0.2%、0.5%、または1%(w/v)のポリソルベート60を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.05%~0.1%(w/v)のポリソルベート60を含む。特定の実施形態では、製剤は、0.07%(w/v)のポリソルベート60を含む。
【0086】
6.2.4.3.ポリソルベート40
いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート40(PS40)を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約0.001%、少なくとも約0.002%、少なくとも約0.003%、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、または少なくとも約1%(w/v)のポリソルベート40を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%~約1%、約0.002%~約0.5%、約0.005%~約0.2%、または約0.01%~約0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.07%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%(w/v)のポリソルベート40を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。特定の実施形態では、製剤は、約0.07%(w/v)のポリソルベート40を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも0.001%、少なくとも0.002%、少なくとも0.003%、少なくとも0.005%、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、または少なくとも1%(w/v)のポリソルベート40を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%~1%、0.002%~0.5%、0.005%~0.2%、または0.01%~0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%、0.002%、0.003%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.07%、0.1%、0.2%、0.5%、または1%(w/v)のポリソルベート40を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.05%~0.1%(w/v)のポリソルベート40を含む。特定の実施形態では、製剤は、0.07%(w/v)のポリソルベート40を含む。
【0089】
6.2.4.4.ポリソルベート20
いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート20(PS20)を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約0.001%、少なくとも約0.002%、少なくとも約0.003%、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、または少なくとも約1%(w/v)のポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%~約1%、約0.002%~約0.5%、約0.005%~約0.2%、または約0.01%~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.07%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%(w/v)のポリソルベート20を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。特定の実施形態では、製剤は、約0.07%(w/v)のポリソルベート20を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも0.001%、少なくとも0.002%、少なくとも0.003%、少なくとも0.005%、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、または少なくとも1%(w/v)のポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%~1%、0.002%~0.5%、0.005%~0.2%、または0.01%~0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、0.001%、0.002%、0.003%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.07%、0.1%、0.2%、0.5%、または1%(w/v)のポリソルベート20を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、0.05%~0.1%(w/v)のポリソルベート20を含む。特定の実施形態では、製剤は、0.07%(w/v)のポリソルベート20を含む。
【0092】
6.2.5.糖類
いくつかの実施形態では、組成物は、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖類、非還元糖類、およびこれに類するものを含む、糖類およびその誘導体を含む。糖類の例としては、グルコース、マンノース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、デキストリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロース、およびこれに類するものが挙げられる。いくつかの実施形態では、糖類は、二糖類である。ある特定の実施形態では、二糖類は、トレハロースまたはスクロースである。様々な実施形態では、二糖類は、約1%~約40%、約2%~約20%、または約2%~約10%(w/v)の濃度である。様々な実施形態では、二糖類は、1%~40%、2%~20%、または2%~10%(w/v)の濃度である。
【0093】
6.2.5.1.トレハロース
いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを含む。
【0094】
様々な実施形態では、製剤は、約1%~約50%(w/v)のトレハロースを(トレハロース二水和物として)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%(w/v)のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約1%~約40%、約2%~約30%、約3%~約20%、約5%~約15%、または約5%~約10%(w/v)のトレハロースを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約1%、約2%、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、または約40%(w/v)のトレハロースを含む。具体的な実施形態では、製剤は、約5%(w/v)のトレハロースを含む。
【0095】
様々な実施形態では、製剤は、1%~50%(w/v)のトレハロースを(トレハロース二水和物として)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%(w/v)のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1%~40%、2%~30%、3%~20%、5%~15%、または5%~10%(w/v)のトレハロースを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、30%、または40%(w/v)のトレハロースを含む。具体的な実施形態では、製剤は、5%(w/v)のトレハロースを含む。
【0096】
6.2.5.2.スクロース
いくつかの実施形態では、製剤は、スクロースを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%(w/v)のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約1%~約40%、約2%~約30%、約3%~約20%、約5%~約15%、または約5%~約10%(w/v)のスクロースを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約1%、約2%、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、または約40%(w/v)のスクロースを含む。具体的な実施形態では、製剤は、約5%(w/v)のスクロースを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%(w/v)のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1%~40%、2%~30%、3%~20%、5%~15%、または5%~10%(w/v)のスクロースを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、30%、または40%(w/v)のスクロースを含む。具体的な実施形態では、製剤は、5%(w/v)のスクロースを含む。
【0099】
6.2.6.遊離アミノ酸
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの遊離アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つの遊離アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、2つの遊離アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、3つの遊離アミノ酸を含む。遊離アミノ酸は、L型、D型、またはこれらの形態の混合物であり得る。
【0100】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの遊離アミノ酸は、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンである。様々な実施形態では、遊離アミノ酸は、約1mM~約400mM、例えば、約2mM~約300mM、約5mM~約200mM、または約10mM~約100mMの濃度である。様々な実施形態では、遊離アミノ酸は、1mM~400mM、例えば、2mM~300mM、5mM~200mM、または10mM~100mMの濃度である。
【0101】
いくつかの実施形態では、製剤は、メチオニン、ならびにグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、およびリジンから選択される少なくとも1つの追加の遊離アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、メチオニンおよびアルギニンを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、メチオニン、アルギニン、およびヒスチジンを含む。
【0102】
6.2.6.1.アルギニン
いくつかの実施形態では、製剤は、アルギニンを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、L-アルギニンを含む。
【0103】
様々な実施形態では、製剤は、約5mM~約500mMのアルギニンを(アルギニン-HClとして)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約50mM、少なくとも約70mM、少なくとも約80mM、少なくとも約100mM、少なくとも約150mM、少なくとも約200mM、または少なくとも約400mMのアルギニンを含む。様々な実施形態では、製剤は、約5mM~約400mM、約10mM~約200mM、約20mM~約150mM、約30mM~約100mM、または約50mM~約80mMのアルギニンを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、約5mM、約10mM、約20mM、約30mM、約50mM、約70mM、約80mM、約100mM、約150mM、約200mM、または約400mMのアルギニンを含む。特定の実施形態では、製剤は、約10mM~約200mMのアルギニンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、約70mMのアルギニンを含む。
【0104】
様々な実施形態では、製剤は、5mM~500mMのアルギニンを(アルギニン-HClとして)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも50mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも100mM、少なくとも150mM、少なくとも200mM、または少なくとも400mMのアルギニンを含む。様々な実施形態では、製剤は、5mM~400mM、10mM~200mM、20mM~150mM、30mM~100mM、または50mM~80mMのアルギニンを含む。ある特定の実施形態では、製剤は、5mM、10mM、20mM、30mM、50mM、70mM、80mM、100mM、150mM、200mM、または400mMのアルギニンを含む。特定の実施形態では、製剤は、10mM~200mMのアルギニンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、70mMのアルギニンを含む。
【0105】
6.2.7.緩衝剤
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの緩衝剤(緩衝成分)を含む。典型的には、緩衝剤は、存在する場合、製剤のpHを約4.0~約8.0、約4.5~約7.5、約5.0~約7.0、約5.5~約6.5、約5.7~約6.3、約5.9~約6.1、または約6.0に調節するために使用される。
【0106】
様々な実施形態では、少なくとも1つの緩衝剤は、酢酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、カコジル酸塩、2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス[ヒドロキシメチル]メタン(Bis-Tris)、N-[2-アセトアミド]-2-イミノ二酢酸(ADA)、グリシルグリシン、および他の有機酸緩衝液から選択される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、グリシン、または酢酸塩である。様々な実施形態では、緩衝成分は、約1mM~約200mM、約1mM~約50mM、または約5mM~約20mMの濃度である。様々な実施形態では、緩衝成分は、1mM~200mM、1mM~50mM、または5mM~20mMの濃度である。ある特定の実施形態では、緩衝成分は、約10mM、約15mM、約20mM、または約25mMの濃度である。ある特定の実施形態では、緩衝成分は、10mM、15mM、20mM、または25mMの濃度である。
【0107】
6.2.7.1.ヒスチジン
いくつかの実施形態では、製剤は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、L-ヒスチジンを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約1mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約50mM、少なくとも約100mM、少なくとも約150mM、または少なくとも約200mMのヒスチジンを含む。様々な実施形態では、組成物は、約1mM~約200mM、約5mM~約150mM、約10mM~約100mM、約15mM~約50mM、または約20mM~約30mMのヒスチジンを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約30mM、約50mM、約100mM、約150mM、または約200mMのヒスチジンを含む。特定の実施形態では、製剤は、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、約20mMのヒスチジンを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも150mM、または少なくとも200mMのヒスチジンを含む。様々な実施形態では、組成物は、1mM~200mM、5mM~150mM、10mM~100mM、15mM~50mM、または20mM~30mMのヒスチジンを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、30mM、50mM、100mM、150mM、または200mMのヒスチジンを含む。特定の実施形態では、製剤は、10mM~100mMのヒスチジンを含む。具体的な実施形態では、製剤は、20mMのヒスチジンを含む。
【0110】
6.2.7.2.pH
いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.0、例えば、約4.5~約7.5、約5.0~約7.0、約5.5~約6.5、約5.7~約6.3、または約5.9~約6.1のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約5.7、約5.9、約6.0、約6.1、約6.3、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0のpHを有する。特定の実施形態では、製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。特定の実施形態では、製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、約5.5~約6.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、約5.7~約6.3のpHを有する。具体的な実施形態では、製剤は、約6.0のpHを有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、製剤は、4.0~8.0、例えば、4.5~7.5、5.0~7.0、5.5~6.5、5.7~6.3、または5.9~6.1のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、4.0、4.5、5.0、5.5、5.7、5.9、6.0、6.1、6.3、6.5、7.0、7.5、または8.0のpHを有する。特定の実施形態では、製剤は、5.0~7.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、5.5~6.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、5.7~6.3のpHを有する。具体的な実施形態では、製剤は、6.0のpHを有する。
【0112】
6.2.8.防腐剤
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの防腐剤をさらに含む。様々な実施形態では、少なくとも1つの防腐剤は、塩化シタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムから選択される。他のタイプの防腐剤としては、フェノール、ブチル、およびベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールが挙げられる。
【0113】
6.2.9.現在好ましい抗IL-6抗体製剤
様々な実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、および約1mM~約100mMのメチオニン、例えば、約1mM~約5mMのメチオニン、約1mM~約10mMのメチオニン、約1mM~約15mMのメチオニン、約1mM~約30mMのメチオニン、約1mM~約50mMのメチオニン、約1mM~約100mMのメチオニン、約5mM~約10mMのメチオニン、約5mM~約15mMのメチオニン、約5mM~約30mMのメチオニン、約5mM~約50mMのメチオニン、約5mM~約100mMのメチオニン、約10mM~約15mMのメチオニン、約10mM~約30mMのメチオニン、約10mM~約50mMのメチオニン、約10mM~約100mMのメチオニン、約15mM~約30mMのメチオニン、約15mM~約50mMのメチオニン、約15mM~約100mMのメチオニン、約30mM~約50mMのメチオニン、約30mM~約100mMのメチオニン、または約50mM~約100mMのメチオニンを含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、および約5mM~約15mMのメチオニンを含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体および約10mMのメチオニンを含む。
【0114】
様々な実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、および1mM~100mMのメチオニン、例えば、1mM~5mMのメチオニン、1mM~10mMのメチオニン、1mM~15mMのメチオニン、1mM~30mMのメチオニン、1mM~50mMのメチオニン、1mM~100mMのメチオニン、5mM~10mMのメチオニン、5mM~15mMのメチオニン、5mM~30mMのメチオニン、5mM~50mMのメチオニン、5mM~100mMのメチオニン、10mM~15mMのメチオニン、10mM~30mMのメチオニン、10mM~50mMのメチオニン、10mM~100mMのメチオニン、15mM~30mMのメチオニン、15mM~50mMのメチオニン、15mM~100mMのメチオニン、30mM~50mMのメチオニン、30mM~100mMのメチオニン、または50mM~100mMのメチオニンを含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、および5mM~15mMのメチオニンを含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体および10mMのメチオニンを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約1mM~約50mMのメチオニン、および約0.005%~約0.5%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約5mM~約15mMのメチオニン、および約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約5mM~約15mMのメチオニン、および約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約10mMのメチオニン、および約0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、1mM~50mMのメチオニン、および0.005%~0.5%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、5mM~15mMのメチオニン、および0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、5mM~15mMのメチオニン、および0.05%~0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、10mMのメチオニン、および0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、b)約1%~約40%(w/v)のトレハロース、c)約0.005%~約0.5%(w/v)のポリソルベート80、d)約10mM~約200mMのアルギニン、e)約1mM~約50mMのメチオニン、およびf)約10mM~約100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、b)1%~40%(w/v)のトレハロース、c)0.005%~0.5%(w/v)のポリソルベート80、d)10mM~200mMのアルギニン、e)1mM~50mMのメチオニン、およびf)10mM~100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、5.0~7.0のpHを有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、b)約1%~約40%(w/v)のトレハロース、c)約0.02%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)約10mM~約200mMのアルギニン、e)約1mM~約100mMのメチオニン、およびf)約10mM~約100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、b)1%~40%(w/v)のトレハロース、c)0.02%~0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)10mM~200mMのアルギニン、e)1mM~100mMのメチオニン、およびf)10mM~100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、5.0~7.0のpHを有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、b)約1%~約40%(w/v)のトレハロース、c)約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)約10mM~約200mMのアルギニン、e)約5mM~約15mMのメチオニン、およびf)約10mM~約100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、a)5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、b)1%~40%(w/v)のトレハロース、c)0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)10mM~200mMのアルギニン、e)5mM~15mMのメチオニン、およびf)10mM~100mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、5.0~7.0のpHを有する。
【0120】
ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号1のVH CDR1配列、配列番号2のVH CDR2配列、配列番号3のVH CDR3配列、配列番号4のVL CDR1配列、配列番号5のVL CDR2配列、および配列番号6のVL CDR3配列を含む。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号7のVHドメインアミノ酸配列および配列番号8のVLドメインアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0121】
具体的な実施形態では、抗IL-6抗体は、全長COR-001抗体である。様々な実施形態では、抗体製剤は、約5mg/mL~約50mg/mLのCOR-001抗体、例えば、約5mg/mL、約7.5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、または約50mg/mLのCOR-001抗体を含む。様々な実施形態では、抗体製剤は、5mg/mL~50mg/mLのCOR-001抗体、例えば、5mg/mL、7.5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、または50mg/mLのCOR-001抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約7.5mg/mL~約30mg/mLのCOR-001抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、7.5mg/mL~30mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、約7.5mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、7.5mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、約15mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、15mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、約30mg/mLのCOR-001抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体製剤は、30mg/mLのCOR-001抗体を含む。
【0122】
具体的な実施形態では、抗体製剤は、a)約5mg/mL~約120mg/mLのCOR-001抗体、b)約5%(w/v)のトレハロース、c)約0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)約70mMのアルギニン、e)約10mMのメチオニン、およびf)約20mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、約6.0のpHを有する。具体的な実施形態では、抗体製剤は、a)5mg/mL~120mg/mLのCOR-001抗体、b)5%(w/v)のトレハロース、c)0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)70mMのアルギニン、e)10mMのメチオニン、およびf)20mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、6.0のpHを有する。
【0123】
特定の実施形態では、抗体製剤は、a)約7.5mg/mL~約30mg/mLのCOR-001抗体、b)約5%(w/v)のトレハロース、c)約0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)約70mMのアルギニン、e)約10mMのメチオニン、およびf)約20mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、約6.0のpHを有する。特定の実施形態では、抗体製剤は、a)7.5mg/mL~30mg/mLのCOR-001抗体、b)5%(w/v)のトレハロース、c)0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)70mMのアルギニン、e)10mMのメチオニン、およびf)20mMのヒスチジンを含み、抗体製剤は、6.0のpHを有する。
【0124】
6.2.9.1.粘度
いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、25℃で50cP未満、例えば、25℃で40cP未満、30cP未満、20cP未満、10cP未満、または5cP未満である。具体的な実施形態では、製剤は、25℃で10cP未満の粘度を有する。様々な実施形態では、製剤の粘度は、25℃で1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、15cP、20cP、25cP、30cP、35cP、または40cPである。
【0125】
6.2.9.2.凝集
いくつかの実施形態では、製剤は、抗体の凝集を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、可溶性凝集体の形成を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、不溶性凝集体の形成を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって測定した場合、ポリソルベート80の少ない製剤と比較して、可溶性凝集体の形成を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、視覚的外観チェックによって測定した場合、ポリソルベート80の少ない製剤と比較して、不溶性凝集体の形成を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、SEC-HPLCによって測定した場合、メチオニンを含まない製剤と比較して、可溶性凝集体の形成を低減する。いくつかの実施形態では、製剤は、SEC-HPLCによって測定した場合、300rpmで20時間の撹拌後に15%未満の可溶性凝集体を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、SEC-HPLCによって測定した場合、300rpmで20時間の撹拌後に10%未満の可溶性凝集体を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、SEC-HPLCによって測定した場合、300rpmで20時間の撹拌後に5%未満の可溶性凝集体を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、SEC-HPLCによって測定した場合、300rpmで20時間の撹拌後に2%未満の可溶性凝集体を有する。
【0126】
6.2.9.3.荷電バリアント
いくつかの実施形態では、製剤は、イメージングされたキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって主要種よりも早くまたは遅く溶出されたピークとして測定される、荷電バリアントの割合を低減する。ある特定の実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、メチオニンを含まない製剤と比較して、荷電バリアントの割合を低減する。荷電バリアントは、酸性種および塩基性種を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に60%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に60%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の酸性種を有する。
【0128】
いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に60%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に50%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に60%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に50%未満の酸性種を有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に60%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に50%未満の荷電バリアントを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に60%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、40+2℃で1ヶ月間の貯蔵後に50%未満の酸性種を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、製剤は、イメージングされたキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定された主要種よりも早く溶出されたピークとして測定される、酸性種の割合を低減する。様々な実施形態では、測定された酸性種は、脱アミド化、異性化、酸化、または他の分解によって生成される。ある特定の実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、メチオニンを含まない製剤と比較して、酸性種の割合を低減する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に60%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に50%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に40%未満の酸性種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、icIEFによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に30%未満の酸性種を有する。
【0131】
6.2.9.4.酸化
いくつかの実施形態では、製剤は、抗体の酸化を低減する。いくつかの実施形態では、製剤は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、メチオニンを含まない製剤と比較して、残基Met431の酸化を含む酸化を低減する。いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に15%未満の酸化種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に10%未満の酸化種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に5%未満の酸化種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に4%未満の酸化種を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に3%未満の酸化種を有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に10%未満の酸化種を有する。様々な実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に6%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に5%未満の酸化種を有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に10%未満の酸化種を有する。様々な実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に6%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に5%未満の酸化種を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に10%未満の酸化種を有する。様々な実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に6%未満の酸化種を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、RP-HPLCによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に5%未満の酸化種を有する。
【0135】
6.2.9.5.効力
いくつかの実施形態では、製剤は、抗体の効力を保持する。様々な実施形態では、抗IL-6抗体の効力は、IL-6結合ELISAまたはHEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定される。
【0136】
いくつかの実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、25±2℃で6ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、IL-6結合ELISAによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する。様々な実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の20%未満の低減を有する。ある特定の実施形態では、製剤は、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、40±2℃で1ヶ月間の貯蔵後に効力の10%未満の低減を有する。
【0142】
6.3.製剤の投与
本明細書に記載される抗体製剤の好適な投与経路としては、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、または胸骨内注射もしくは注入(例えば、滅菌注射用水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液等)による)、および局所(例えば、クリームまたは軟膏の形態)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、製剤は、非経口注射に好適である。ある特定の実施形態では、製剤は、静脈内注射に好適である。ある特定の実施形態では、製剤は、皮下注射に好適である。
【0143】
いくつかの実施形態では、製剤は、単一用量または複数用量での投与に好適である。
【0144】
6.4.剤形
別の態様では、抗IL-6抗体を含む医薬組成物の1つ以上の単位用量を含有する剤形が、本明細書に提供される。
【0145】
様々な実施形態では、剤形は、予め充填されたシリンジである。様々な実施形態では、剤形は、自動注射ペンである。
【0146】
様々な実施形態では、剤形は、上記のセクション6.2に記載の製剤の1つ以上の単位用量を含む。典型的な実施形態では、製剤は、液体製剤である。他の実施形態では、製剤は、凍結乾燥剤を含むが、これに限定されない乾燥製剤である。特定の実施形態では、剤形は、乾燥製剤および測定量の水性希釈剤を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、b)約1%~約40%(w/v)のトレハロース、c)約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)約10mM~約200mMのアルギニン、e)約5mM~約15mMのメチオニン、およびf)約10mM~約100mMのヒスチジンを含む製剤を含み、この製剤は、約5.0~約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、単位剤形は、a)5mg/mL~120mg/mLの抗IL-6抗体、b)1%~40%(w/v)のトレハロース、c)0.03%~0.1%(w/v)のポリソルベート80、d)10mM~200mMのアルギニン、e)5mM~15mMのメチオニン、およびf)10mM~100mMのヒスチジンを含む製剤を含み、この製剤は、5.0~7.0のpHを有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、a)約7.5mg/mL~約30mg/mLのCOR-001、b)約5%(w/v)トレハロース、c)約0.07%(w/v)ポリソルベート80、d)約70mMのアルギニン、e)約10mMのメチオニン、およびf)約20mMのヒスチジンを含む製剤を含み、この製剤は、約6.0のpHを有する。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約7.5mgのCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約15mgのCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約30mgのCOR-001を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、a)7.5mg/mL~30mg/mLのCOR-001、b)5%(w/v)のトレハロース、c)0.07%(w/v)のポリソルベート80、d)70mMのアルギニン、e)10mMのメチオニン、およびf)20mMのヒスチジンを含む製剤を含み、この製剤は、6.0のpHを有する。
【0149】
ある特定の実施形態では、剤形は、複数の7.5mg単位用量のCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、剤形は、単一の7.5mg単位用量のCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、剤形は、複数の15mg単位用量のCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、剤形は、単一の15mg単位用量のCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、複数の30mg単位用量のCOR-001を含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、単一の30mg単位用量のCOR-001を含む。
【0150】
6.5.治療方法
別の態様では、本明細書に記載の抗IL-6抗体製剤を患者に投与することを含む、患者の疾患または障害の治療方法が、本明細書に提供される。
【0151】
いくつかの実施形態では、患者は、IL-6媒介炎症性障害を有する。
【0152】
様々な実施形態では、患者は、C反応性タンパク質(CRP)の治療前レベルの上昇を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも2mg/Lの治療前CRPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも2mg/L、2.5mg/L、3mg/L、3.5mg/L、4mg/L、4.5mg/L、または5mg/Lの治療前CRPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも7.5mg/L、10mg/L、12.5mg/L、または15mg/Lの治療前CRPレベルを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、IL-6媒介炎症性障害は、ヘプシジン媒介障害である。ヘプシジン媒介障害は、US2017/0029499(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0154】
いくつかの実施形態では、IL-6媒介炎症性障害は、ヘプシジン媒介障害ではない。
【0155】
いくつかの実施形態では、患者は、非自己免疫性IL-6媒介炎症性障害を有する。特定の実施形態では、患者は、リウマチ性関節炎、巨細胞性動脈炎、多関節性若年特発性関節炎、または全身性若年特発性関節炎以外のIL-6媒介炎症性障害を有する。
【0156】
様々な実施形態では、患者は、腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、腎疾患は、慢性腎疾患(CKD)である。いくつかの実施形態では、患者は、KDOQI段階1~5の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、患者は、KDOQI段階3~5の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、患者は、透析中である。いくつかの実施形態では、患者は、透析中ではない。ある特定の実施形態では、患者は、KDOQI段階3~5の慢性腎疾患を有し、患者は、透析中ではない。ある特定の実施形態では、患者は、KDOQI段階3~5の慢性腎疾患を有し、患者は、透析中である。いくつかの実施形態では、患者は、心腎症候群(CRS)を有する。ある特定の実施形態では、患者は、CRSタイプ4を有する。いくつかの実施形態では、患者は、透析で治療されている。
【0157】
特定の実施形態では、患者は、KDOQI段階3~5の慢性腎疾患を有し、2mg/L以上のCRPレベルを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、炎症を有する成人KDOQI段階3~5の慢性腎疾患患者における心血管罹患率および死亡率のリスクを低減するために投与される。
【0158】
様々な実施形態では、患者は、心血管疾患を有する。
【0159】
特定の実施形態では、患者は、アテローム性心疾患を有する。特定の実施形態では、患者は、アテローム性動脈硬化症を有し、2mg/L以上のCRPレベルを有する。ある特定の実施形態では、製剤は、炎症を有する成人アテローム性心血管疾患患者における心血管罹患率および死亡率のリスクを低減するために投与される。
【0160】
いくつかの実施形態では、患者は、以前に心筋梗塞を患ったことがある。いくつかの実施形態では、患者は、以前に心筋梗塞を患ったことがない。
【0161】
特定の実施形態では、患者は、以前に心筋梗塞を患ったことがあり、2mg/L以上のCRPレベルを有する。
【0162】
いくつかの実施形態では、心血管疾患は、うっ血性心不全(CHF)である。ある特定の実施形態では、患者は、駆出率が低減したうっ血性心不全(CHF)を有する。ある特定の実施形態では、患者は、中程度の駆出率を有するうっ血性心不全(CHF)を有する。ある特定の実施形態では、患者は、駆出率が保存されたうっ血性心不全(CHF)を有する。いくつかの実施形態では、心血管疾患は、急性冠動脈症候群である。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、および/または心血管死を低減するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、心不全のリスクを低減するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、心機能を増加させるのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、急性心筋梗塞後の線維症を低減するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、心血管罹患率および死亡率のリスクを低減するのに十分な用量で投与される。
【0163】
いくつかの実施形態では、心血管疾患は、利尿剤抵抗性ではない心不全である。いくつかの他の実施形態では、心血管疾患は、利尿剤抵抗性である心不全である。利尿剤抵抗性心不全は、WO2018/144773に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
様々な実施形態では、患者は、貧血を有する。いくつかの実施形態では、患者は、慢性疾患の貧血を有する。いくつかの実施形態では、患者は、鉄不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)を有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、患者は、糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、患者は、肝疾患を有する。いくつかの実施形態では、患者は、骨粗しょう症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、うつ病を有する。いくつかの実施形態では、患者は、喘息を有する。いくつかの実施形態では、患者は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、および筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経炎症性障害を有する。いくつかの実施形態では、患者は、加齢黄斑変性症(AMD)を有する。様々な実施形態では、患者は、固形腫瘍、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、血液癌、多発性骨髄腫、白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫、およびホジキンリンパ腫などの癌を有する。いくつかの実施形態では、患者は、皮膚疾患を有する。いくつかの実施形態では、抗IL-6抗体製剤は、患者の老化を防止する。
実施形態の一覧
1.抗体製剤であって、
約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体および約5mM~約15mMのメチオニンを含む、抗体製剤。
2.抗IL-6抗体が、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含み、
VHドメインが、
配列番号1のVH CDR1配列、
配列番号2のVH CDR2配列、および
配列番号3のVH CDR3配列を含み、
VLドメインが、
配列番号4のVL CDR1配列、
配列番号5のVL CDR2配列、および
配列番号6のVL CDR3配列を含む、実施形態1に記載の抗体製剤。
3.抗IL-6抗体が、配列番号7のVHドメインアミノ酸配列および配列番号8のVLドメインアミノ酸配列を含む、実施形態1または2に記載の抗体製剤。
4.抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗体製剤。
5.製剤が、約7.5mg/mL~約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
6.製剤が、約7.5mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態5に記載の抗体製剤。
7.製剤が、約15mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態5に記載の抗体製剤。
8.製剤が、約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態5に記載の抗体製剤。
9.製剤が、約10mMのメチオニンを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
10.約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80をさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
11.製剤が、約0.05%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む、実施形態10に記載の抗体製剤。
12.製剤が、約0.07%(w/v)のポリソルベート80を含む、実施形態11に記載の抗体製剤。
13.約1%~約40%(w/v)のトレハロースをさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
14.製剤が、約5%(w/v)のトレハロースを含む、実施形態13に記載の抗体製剤。
15.約10mM~約200mMのアルギニンをさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
16.製剤が、約70mMのアルギニンを含む、実施形態15に記載の抗体製剤。
17.約10mM~約100mMのヒスチジンをさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
18.製剤が、約20mMのヒスチジンを含む、実施形態17に記載の抗体製剤。
19.抗体製剤が、約5.0~約7.0のpHを有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
20.抗体製剤が、約6.0のpHを有する、実施形態21に記載の抗体製剤。
21.約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体、約5mM~約15mMのメチオニン、および約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む、抗体製剤。
22.抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する、実施形態21に記載の抗体製剤。
23.抗体製剤であって、
a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体と、
b)約1%~約40%(w/v)のトレハロースと、
c)約0.03%~約0.1%(w/v)のポリソルベート80と、
d)約10mM~約200mMのアルギニンと、
e)約5mM~約15mMのメチオニンと、
f)約10mM~約100mMのヒスチジンと、を含み、
抗体製剤が、約5.0~約7.0のpHを有する、抗体製剤。
24.抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する、実施形態23に記載の抗体製剤。
25.抗体製剤であって、
a)約5mg/mL~約120mg/mLの抗IL-6抗体であって、抗IL-6抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する、抗IL-6抗体と、
b)約5%(w/v)のトレハロースと、
c)約0.07%(w/v)のポリソルベート80と、
d)約70mMのアルギニンと、
e)約10mMのメチオニンと、
f)約20mMのヒスチジンと、を含み、
抗体製剤が、約6.0のpHを有する、抗体製剤。
26.製剤が、約7.5mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態25に記載の抗体製剤。
27.製剤が、約15mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態25に記載の抗体製剤。
28.製剤が、約30mg/mLの抗IL-6抗体を含む、実施形態25に記載の抗体製剤。
29.製剤が、25℃で10cP未満の粘度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
30.製剤が、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって測定した場合、300rpmでの20時間の撹拌後に5%未満の可溶性凝集体を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
31.製剤が、イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、45℃で2週間のインキュベーション後に50%未満の酸性種を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
32.測定される酸性種が、脱アミド化、異性化、酸化、または分解によって生成される、実施形態31に記載の抗体製剤。
33.製剤が、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定された場合、45℃で2週間のインキュベーション後に5%未満の酸化種を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
34.イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の荷電バリアントを有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
35.製剤が、イメージング検出キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に50%未満の酸性種を有する、実施形態34に記載の抗体製剤。
36.製剤が、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に10%未満の酸化種を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
37.製剤が、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に6%未満の酸化種を有する、実施形態36に記載の抗体製剤。
38.製剤が、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
39.製剤が、IL-6結合ELISAによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する、実施形態38に記載の抗体製剤。
40.製剤が、HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定された場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の50%未満の低減を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
41.HEK Blue細胞ベースのバイオアッセイによって測定した場合、5±3℃で12ヶ月間の貯蔵後に効力の30%未満の低減を有する、実施形態40に記載の抗体製剤。
42.製剤が、非経口投与に好適である、先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤。
43.製剤が、静脈内投与に好適である、実施形態42に記載の抗体製剤。
44.製剤が、皮下投与に好適である、実施形態42に記載の抗体製剤。
45.先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体製剤を含む、単位剤形。
46.単位剤形が、約7.5mgの抗IL-6抗体を含む、実施形態45に記載の単位剤形。
47.単位剤形が、約15mgの抗IL-6抗体を含む、実施形態45に記載の単位剤形。
48.単位剤形が、約30mgの抗IL-6抗体を含む、実施形態45に記載の単位剤形。
【実施例】
【0166】
6.6.実施例
以下は、本発明を実行するための具体的な実施形態の実施例である。これらの実施例は、単に例示の目的のために提供され、本発明の範囲をいかなる方式でも限定することを意図しない。使用される数字(例えば、量、温度等)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験的誤差および偏差は、もちろん許容されるべきである。
【0167】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当該技術分野の範囲内で、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技法および薬理学の従来の方法を用いる。そのような技法は、文献で十分に説明されている。
【0168】
実施例1:高タンパク質濃度での粘度を最小化
COR-001の製造プロセスにおける最終的な限外濾過/浸透濾過工程は、100mg/mLを超える一過性の過濃度を必要とする。濾過流束の衰えおよび膜汚染のリスクを最小限に抑えるために、10cP未満の粘度が望ましい。
【0169】
粘度を低減するために、いくつかの賦形剤を評価し、L-アルギニン塩(例えば、L-アルギニン-HCl)が最も効果的であることが同定された。
図1に示されるように、粘度は、70mMまたは200mMのL-アルギニン-HClの存在下で、最大150mg/mLのCOR-001の場合、10cP未満のままであった。
【0170】
トレハロースによって付与される熱安定化を活用するために、等張組成物(すなわち、トレハロース二水和物の5%(w/v))となるL-アルギニン-HClおよびトレハロース二水和物の組み合わせを選択した。
図1に示されるように、70mMのL-アルギニン-HClおよび5%のトレハロース二水和物中の100mg/mLのCOR-001は、4cPの粘度を有した。COR-001液体製剤には、70mMのL-アルギニン-HClおよび5%のトレハロース二水和物を選択した。
【0171】
実施例2:撹拌誘発凝集を最小化
液体製剤中のタンパク質は、取り扱いおよび輸送中に撹拌誘発凝集しやすい。撹拌誘発タンパク質凝集を防止するための試みにおいて、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)をCOR-001製剤に含めるために評価した。
【0172】
5%のトレハロース二水和物、70mMのアルギニン-HCL、10mMのメチオニン、20mMのヒスチジン、pH6.0中の5、50、および120mg/mLのCOR-001で、0%~0.10%(w/v)のポリソルベート80(PS80)の範囲を評価した。これらの製剤(3mLのガラスバイアル内の1.2mL)を極端な振盪応力条件下(周囲条件下、300rpmで20時間撹拌)で曝露した後、外観、OD340、可溶性凝集体をSEC-HPLCによって、目視で見えない粒子数をMFIによって分析した。
【0173】
PS80なしでは、撹拌後のすべての製剤で沈殿物が観察された。PS80レベルの増加に伴い、産物溶液の濁度が低いほど現れ、PS80レベルが0.05%以上に達したとき、撹拌後に粒子または不透明性は観察されなかった。この外観傾向は、OD340およびSECの結果とも良好に相関していた。
図2は、SECによる可溶性凝集体の形成に対するPS80レベルの効果を示す。結果は、0.03%でのPS80が、50mg/mL以下のタンパク質濃度の可溶性凝集体を低減させることができ、0.05%でのPS80が、応力振盪モデル下で5~120mg/mLの範囲のタンパク質濃度の可溶性凝集体を低減させることができることを示す。COR-001液体製剤中のPS80には、0.07%のレベルを選択した。
【0174】
実施例3:長期貯蔵にわたって酸化を最小化
選択された液体製剤(5%のトレハロース二水和物、70mMのL-アルギニン-HCl、0.07%のPS80、20mMのL-ヒスチジン、pH6.0)中のCOR-001の長期貯蔵安定性を評価するために、タンパク質濃度の範囲(20、50、および120mg/mL)を調製し、13mmのゴムストッパーで閉じた3mLのI型ガラスバイアルに1.2mLで充填した。2~8℃での長期貯蔵の結果を表1に要約する。
【表1】
【0175】
9~12ヶ月後、SE-HPLCおよび非還元CE-SDSによって観察されるような純度の変化は最小限であった。しかしながら、%主要アイソフォームの5~10%の減少は、icIEFによって観察され、酸性種ではそれに伴って増加した。トリプシンマップ/LC-MS分析によって、3つすべてのタンパク質濃度で酸化の有意な増加(16~46%)が観察された。IL-6結合ELISAによって、COR-001の効力の明らかな傾向は観察されず、高度に酸化されたCOR-001が効力に影響を与えなかったことを示し、酸化部位が主に重鎖Met431上にあり、CDR内にないことと一致した。
【0176】
明らかな効力の損失は観察されなかったが、酸化産物は望ましくない。
【0177】
第3のアミノ酸であるメチオニンを、2つのアミノ酸であるアルギニンおよびヒスチジンを含有する製剤に添加することにより、長期貯蔵時の酸化を低減または防止することができるかどうかを評価するために、10mg/mLおよび50mg/mLのCOR-001を各々、0~15mMの範囲のL-メチオニン(5%のトレハロース二水和物、70mMのL-アルギニン-HCl、0.07%のPS80、20mMのL-ヒスチジン、pH6.0)でスパイクし、次いで45℃の加速条件下で2週間インキュベートした。試料を、外観、SEC、CE-SDS、およびicIEF、ならびに酸化アッセイ(RP-HPLC)によって試験して、酸化種を測定した。含まれる様々なL-メチオニンレベルの明らかな影響は、外観およびCE-SDS試験によって観察されなかった。しかしながら、L-メチオニンレベルの増加に伴い、SEC、icIEF、および酸化試験において、変化が少ないことが観察された。
図3A、3B、および3Cに示されるように、45℃の加速条件下で2週間後、L-メチオニンを添加しない製剤と比較して、L-メチオニンは、10mg/mLおよび50mg/mLのCOR-001の両方について凝集、電荷変化、および酸化レベルを低減した。10mMのL-メチオニンでは、これらの変化レベルは本質的にプラトーに達し、10mMのL-メチオニンが、熱応力条件下でCOR-001を安定させるのに十分であることを示した。COR-001液体製剤には、10mMのメチオニンを選択した。
【0178】
実施例4:貯蔵安定性に対するタンパク質濃度の効果
貯蔵時のCOR-001安定性に対するタンパク質濃度の効果を評価するために、選択された液体製剤(5%のトレハロース二水和物、70mMのL-アルギニン-HCl、0.07%のPS80、10mMのL-メチオニン、20mMのL-ヒスチジン、pH6.0)中の2つの異なるタンパク質濃度(10および50mg/mL)を調製し、13mmのゴムストッパーで閉じた3mLのI型ガラスバイアルに1.0mLで充填した。5±3℃、25±2℃、および40±2℃で3ヶ月貯蔵した後の試料を試験した。結果を表2に要約する。
【表2】
【0179】
50mg/mLは、タンパク質濃度が高いため、10mg/mLよりも明瞭度が低かった。すべての貯蔵条件において、3ヶ月後に目視で見える粒子は観察されなかった。50mg/mLの試料と比較して、加速温度(25±2℃および40±2℃)での10mg/mLの試料は、SECおよびCE-SDSアッセイによって試験された変化は少なかったが、icIEFおよび酸化アッセイによって試験された変化が多かった。しかしながら、これらの変化の差は、これらの方法のアッセイのばらつきを考慮すると、小さいと考えられた。すべての貯蔵条件において、3ヶ月後の効力アッセイにおいて、明らかな変化は観察されなかった。全体として、結果は、10mg/mL~50mg/mLの濃度範囲ではCOR-001の安定性に明らかな差異がないことを示す。
【0180】
実施例5:COR-001の異なるロットの安定性
選択した液体製剤中のCOR-001の長期貯蔵安定性を評価するために、異なるロットのCOR-001を液体製剤緩衝液(70mMのL-アルギニン塩酸塩、5w/v%のトレハロース二水和物、10mMのL-メチオニン、0.07w/v%のポリソルベート80、20mMのL-ヒスチジン、pH6.0)に製剤化し、容器施栓系(13mmのFlurotec(登録商標)コーティングブチルゴムストッパーを備えた2R I型ガラスバイアル)に各々1.3mLで充填した。各ロットのCOR-001タンパク質濃度を表3に要約する。
【表3】
【0181】
ロットSTC-261-P221-S24は開発ラボで調製され、開発使用のみを意図している。ロットVVRG56もまた、開発使用に意図されている。ロットCMC-M-0060、ロットCMC-M-0061、およびロットCMC-N-0011は、臨床薬剤ロットである。
【0182】
研究は、5±3℃の長期貯蔵条件、25±2℃/60%±5%相対湿度(RH)の加速条件、および40±2℃/75%±5% RHの応力条件下での評価を含む。すべての安定性容器は、ストッパー表面と接触する最悪の場合のシナリオをシミュレートするために反転方位に配置された。
【0183】
A.加速および応力条件下での安定性結果
加速および応力条件下で貯蔵された製剤中で調製されたCOR-001の各ロットの安定性は、下記の表4~13に要約されており、表4~8は、最大12ヶ月間の加速条件下での結果を示しており、表9~13は、最大3ヶ月間の応力条件下での結果を示している。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0184】
加速条件下では12ヶ月まで(表4~8)、応力条件下では3ヶ月まで(表9~13)、外観に明らかな変化はなかった。
【0185】
加速条件下では12ヶ月まで(表4~8)、応力条件下では3ヶ月まで(表9~13)明瞭度に明らかな変化はなかった。すべての結果は、開発ラボで調製した開発ロットSTC-261-P221を除いて、参照IV(EU法当たりの濁度標準)を下回っていた。このロットの明瞭度は、加速条件下では6ヶ月(表4)、応力条件下では3ヶ月(表9)で参照IVを上回っていた。
【0186】
加速条件下では12ヶ月まで、色の明らかな傾向はなかった(表4~8)。応力条件下では、3ヶ月間の貯蔵にわたってわずかな色の増加傾向があったが(表9~13)、すべての結果は、参照BY4を下回っていた。
【0187】
加速条件下では12ヶ月まで、応力条件下では3ヶ月までpHに明らかな変化はなかったが(
図4Aおよび4B)、開発ロットSTC-261-P221-S24は3ヶ月でわずかに低下しており、これはアッセイのばらつきに起因する可能性が高い。
【0188】
加速および応力条件下で試験した3つの臨床ロットすべてにおいて、ポリソルベート80レベルは、経時的に低下した(
図5Aおよび5B)。加速条件下では、タンパク質濃度とプラトーレベルとの間に明らかな相関がないまま、3つのロットすべてについて、ポリソルベート80レベルの低下は、3ヶ月で約0.04%のプラトーに達した(
図5A)。同様に、応力条件下では、3つのロットすべてについて、ポリソルベート80レベルは、1ヶ月で約0.04%のプラトーに達した(
図5B)。注目すべきことに、加速条件と応力条件との間のプラトーレベルは類似しており、これは、ポリソルベート80の低下が温度に依存しないことを示唆する。
【0189】
開発ロットSTC-261-P221-S24(
図6Aおよび6B)を除き、加速条件下では12ヶ月まで、応力条件下では3ヶ月まで、タンパク質濃度に明らかな変化はなく、開発ロットは、試料希釈によってA280方法で試験し、他のロットは、希釈せずにSolo VPEで試験した。したがって、開発ロットの見かけの変化は、アッセイ希釈のばらつきに起因していた可能性が高い。
【0190】
モノマー(非凝集二価全長IgG抗体)、高分子量(HMW)種、および低分子量(LMW)種のレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー-超高速液体クロマトグラフィー(SEC-UHPLC)によって測定した。モノマー%は、主にHMW%およびLMW%の増加に起因して経時的に減少し、応力条件下ではより多くの変化があった。モノマー%の動態は、タンパク質濃度と相関する明らかな傾向なしに、ロット毎に多少のばらつきを伴って線形であるように見えた(
図7Aおよび7B、
図8Aおよび8B、
図9Aおよび9B)。
【0191】
免疫グロブリンγ(IgG)のレベル、ならびに2つの重鎖および1つの軽鎖(HHL)の組み合わせを、非還元CE-SDSによって測定した。加速条件下では、HHL%において、IgG%は、明らかな傾向なしに経時的に減少し(
図10Aおよび
図11A)、その減少が、他の断片の増加に起因することを示唆した。応力条件下では、IgG%は、加速条件よりも速く減少し、HHL%もまた経時的に増加した(
図10Bおよび
図11B)。応力条件下でのIgG%およびHHL%の両方の変化は、ロット毎に多少のばらつきを伴って線形であるように見えた。しかし、タンパク質濃度と相関する明らかな傾向は観察されなかった。
【0192】
重鎖+軽鎖(HC+LC)のレベルを、還元CE-SDSによって測定した。加速条件下では、HC+LC%の減少は、すべてのロットについて、3ヶ月後にプラトーに達したように見えた(
図12A)。応力条件下では、HC+LC%の減少は線形であるように見え、ロット毎に多少のばらつきがあった。しかし、タンパク質濃度と相関する明らかな傾向は観察されなかった(
図12B)。
【0193】
主要種、酸性種、および塩基性種のレベルを、イメージングされたキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)によって測定した。加速条件下では、塩基性種の明らかな変化が観察されなかったため(
図15A)、主に酸性種の増加に起因して(
図14A)、主要ピーク%は経時的に減少した(
図13A)。
同様に、応力条件下では、主要ピーク%は減少し(
図13B)、酸性種%は増加したが(
図14B)、塩基性種では明らかな変化はなかった(
図15B)。主要種%および酸性種%の変化は、タンパク質濃度とは無関係に、ロット毎に多少のばらつきを伴って線形であるように見えた(
図13Aおよび13B、
図14Aおよび14B、
図15Aおよび15B)。
【0194】
酸化レベルを、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって測定した。加速条件下で、酸化%は、すべてのロットについて3ヶ月でプラトーに達するように見えた(
図16A)。同様に、応力条件下では、酸化%レベルは、すべてのロットについて1ヶ月でプラトーに達するように見えた(
図16B)。加速および応力条件のプラトーレベルは、5~6%であるように見えた。全体的に、これは、最大酸化が5~6%であることを示している。
【0195】
加速条件下で1ヶ月後の3つすべての臨床ロットについて、高精度流体粒子計数(HIAC)によって試験した目視で見えない粒子の数に明らかな変化はなかった(表6~8)。加速条件下で6ヶ月にわたって3つの臨床ロットについて、マイクロフローイメージング(MFI)によって試験した目視で見えない粒子の数に変化があった(
図17A、17B、および17C)。しかしながら、これらの変化は、タンパク質濃度と相関しなかった。プラセボロット(CMC-M-0062)でも3~6ヶ月で同様の目視で見えない粒子レベルが観察されたため、これらの目視で見えない粒子のうちのいくつかは、製剤緩衝成分の性質に起因する可能性があった。
【0196】
加速条件下で最大12ヶ月、および応力条件下で3ヶ月まで、IL-6結合ELISAおよびHEK Blue細胞ベースのバイオアッセイの両方によって試験された効力に明らかな変化はなかった(
図18Aおよび18B、
図19Aおよび19B)。
【0197】
3つの臨床薬剤ロットの微生物学的品質は、エンドトキシンのレベル、および臨床ロットの無菌性試験の代わりに容器施栓の完全性試験(CCIT)によってモニターした。加速条件下で1ヶ月後、結果は、長期貯蔵の合格基準をすべて満たしていた(表6~表8)。
【0198】
B.長期貯蔵条件下での安定性結果
長期貯蔵条件下で貯蔵された製剤中で調製されたCOR-001の各ロットの安定性を以下の表14~18にまとめ、最大12ヶ月間の結果を示す。利用可能であれば、アッセイの合格基準を各表に列挙する。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0199】
長期貯蔵条件では12ヶ月まで外観、明瞭度、および色に明らかな変化はなく、すべての結果が合格基準を満たしていた(表14~18)。
【0200】
長期貯蔵条件では12ヶ月までpHに明らかな変化はなく、すべての結果が5.7~6.3の合格基準を満たしていた(
図20)。
【0201】
3つの臨床ロットのポリソルベート80レベルを、長期貯蔵条件下でモニターした。
図21は、6~9ヶ月で0.07%から0.05~0.06%への小さな低下があったことを示している。加速および応力条件に基づいて、長期貯蔵条件下でのポリソルベート80の低下もまた、0.04~0.05%(w/v)のプラトーに達する可能性があり、これは製剤開発研究に基づき、タンパク質を振盪または撹拌から保護するのに十分である。
【0202】
長期貯蔵条件下では12ヶ月までのタンパク質濃度に明らかな変化はなく、すべての結果が合格基準を満たしていた(
図22)。開発ロットSTC-261-P221-S24について観察された多少のばらつきは、このロットが他のロットとは異なる方法(試料希釈によるA280方法)によって試験されたため、アッセイのばらつきに起因する可能性があった。
【0203】
加速および応力条件と同様に、長期貯蔵条件下でのすべてのロットにおいて、モノマー%、HMW%、およびLMW%の変化があった。モノマー%は、主にHMW%およびLMW%の増加に起因して、経時的に減少した(
図23A、23B、および23C)。95%信頼度での線形動態予測により、すべてのロットのモノマー%およびHMW%の両方は、24ヶ月で合格基準を満たすであろう(
図23Aおよび23B)。長期貯蔵条件下での変化と、3ヶ月での加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下での変化とを比較した、ロットCMC-M-0061のクロマトグラフィープロファイルのオーバーレイを
図24に提示する。
【0204】
加速および応力条件と同様に、ロットVVRG56(
図25A)を除くすべてのロットについて、長期貯蔵条件下でIgG%が減少した。95%信頼度での線形動態予測により、すべてのロットのIgG%レベルは、24ヶ月で合格基準を満たすであろう(
図25A)。経時的なHHL%の変化に明らかな傾向はなく(
図25B)、IgG%の減少が他の断片の増加に起因することを示唆した。長期貯蔵条件(5℃)下での変化と、3ヶ月での加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下での変化とを比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを
図26に提示し、これらの断片の溶出箇所および潜在的な同一性を示す。
【0205】
加速および応力条件と同様に、HC+LC%は、長期貯蔵条件下での断片の増加により、すべてのロットで経時的に減少した(
図27)。長期貯蔵条件(5℃)下での変化と、3ヶ月での加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下での変化とを比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを
図28に提示する。95%信頼度での線形動態予測により、すべてのロットのHC+LC%レベルは、ロットCMC-M-0061およびCMC-N-0011を除き、24ヶ月で合格基準を満たすであろう。限られたデータおよびこれら2つのロットのデータの比較的高いばらつきに基づき、95%信頼度予測から24ヶ月でのレベルは、他のロットと比較して過大評価された。さらに、加速条件下での結果(
図12A)は、HC+LC%の減少が、3ヶ月でプラトー(96%~97%)に達し、3ヶ月~12ヶ月までに明らかな変化がないことを示している。したがって、長期貯蔵条件下で貯蔵した場合、ロットCMC-M-0061およびCMC-N-0011のHC+LC%レベルが24ヶ月で合格基準を満たすと予測するのが妥当である。
【0206】
加速および応力条件と同様に、長期貯蔵条件下では、すべてのロットの主種%の減少(
図29A)および酸性種%の増加(
図29B)があり、塩基性種%に明らかな変化はなかった(
図29C)。長期貯蔵条件(5℃)下での変化と、3ヶ月での加速条件(25℃)および応力条件(40℃)下での変化とを比較した、ロットCMC-M-0061の電気泳動プロファイルのオーバーレイを
図30に提示する。タンパク質濃度の減少に伴い、主要種%の低下率が上昇したように見えたが、これは加速または応力条件では観察されなかった。予測される主要種%は、最速の動態を有するロットについて、24ヶ月でおよそ37%に減少する可能性があった(
図29A)。長期貯蔵状態で24ヶ月での主要種%の予測レベルは、COR-001の効力にいかなる影響も及ぼすことは予想されない。
【0207】
加速および応力条件と同様に、長期貯蔵条件下でのすべてのロットにおいて酸化レベルの経時的な増加があり、6ヶ月でプラトーに達したように見え(
図31)、これは、加速および応力条件下で5~6%のプラトーレベルと類似している(
図16Aおよび16B)。したがって、長期貯蔵条件の場合、最大酸化レベルが24ヶ月で5~6%のままであると予測するのが妥当である。24ヶ月間の長期貯蔵条件下での予測される酸化レベルには、効力の影響は予想されない。
【0208】
長期貯蔵条件では12ヶ月まで目視で見えない微粒子の数に明らかな変化はなく、すべての結果が合格基準を満たしていた。95%信頼度での線形動態予測により、10ミクロン以上および25ミクロン以上のサイズの目視で見えない微粒子の数は、24ヶ月で合格基準を満たすであろう(
図32Aおよび32B)。
【0209】
長期貯蔵条件下でマイクロフローイメージング(MFI)によって試験された目視で見えない粒子の数に変化があった(
図33A、
図33B、および
図33C)。6ヶ月の時点で、2ミクロン以上の粒子の数は、加速条件下での数に類似しており(
図17A)、これらの粒子の増加は、貯蔵温度とは無関係であることを示唆している。プラセボロット(CMC-M-0062)でも同様のレベルが観察された。したがって、これらの目視で見えない微粒子のうちのいくつかは、製剤緩衝成分の性質に起因する可能性があった。
【0210】
加速および応力条件と同様に、長期貯蔵条件下で12ヶ月間までIL-6結合ELISAおよびHEK Blueバイオアッセイによって試験されたすべてのロットの効力に明らかな変化はなく、すべての結果は合格基準を満たしていた(
図34Aおよび34B)。
【0211】
3つの臨床薬剤ロットの微生物学的品質は、エンドトキシンのレベル、および無菌性試験の代わりに容器施栓の完全性試験(CCIT)によってモニターした。長期貯蔵にわたって変化は予想されない(表14~18)。
【0212】
7.均等物および範囲
当業者は、本明細書に記載の本発明による具体的な実施形態に対する多くの均等物を、単なる日常的な実験を使用して認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の明細書に限定されることを意図せず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される。
【0213】
引用文献に明示的に記載されていないとしても、すべての引用文献、例えば、参照文献、刊行物、データベース、データベースエントリ、および本明細書に引用される技術は、参照により本出願に組み込まれる。引用元および本出願の記述が矛盾する場合、本出願の記述が優先されるものとする。
【0214】
セクションおよび表の見出しは、限定することを意図していない。
【配列表】
【国際調査報告】